(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172316
(43)【公開日】2022-11-15
(54)【発明の名称】放射誘導型放射線療法における使用のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20221108BHJP
【FI】
A61N5/10 M
A61N5/10 K
A61N5/10 H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022142058
(22)【出願日】2022-09-07
(62)【分割の表示】P 2021153916の分割
【原出願日】2012-03-30
(31)【優先権主張番号】61/470,432
(32)【優先日】2011-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.コンパクトフラッシュ
(71)【出願人】
【識別番号】510246448
【氏名又は名称】リフレクション メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル メイジン
(72)【発明者】
【氏名】アクシェイ ナンダリー
(57)【要約】
【課題】放射誘導型放射線療法における使用のためのシステムおよび方法の提供。
【解決手段】本明細書において説明されるのは、座標系内の1つ以上の着目領域に対して、放射線源を配置するためのシステムおよび方法である。そのようなシステムおよび方法は、1人以上の患者腫瘍領域への放射線の局在化された送達のための放射誘導型放射線療法(EGRT)において使用されてもよい。これらのシステムは、患者領域の周りを移動可能な構台であって、複数の陽電子放出検出器、放射線源が、その上に移動可能に配列される、構台と、コントローラとを備える。コントローラは、同時発生の陽電子消滅放射経路を識別し、放射線ビームを識別された放出経路に沿って印加するよう放射線源を配置するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射誘導型放射線療法関連発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/470,432号(2011年3月31日出願)の優先権を主張し、この出願は参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
放射線療法は、殺腫瘍線量の放射線を身体の局在領域に送達することを含む。放射線手術とも呼ばれる定位放射線療法を使用して、脳、胸部、頭部、頸部、肺、肝臓、膵臓、脊椎、および前立腺内の腫瘍が治療され得る。種々の腫瘍場所限定技法を使用して、腫瘍の場所を精密に決定し、健康な非癌組織を保護しながら、高線量の放射線が腫瘍に送達されることを確実にするよう支援し得る。例えば、単一かつ立体のX線撮像、キロ電圧およびメガ電圧CT撮像、埋め込み型基準マーカーおよび応答機、超音波撮像、MRI、およびその他等の搭載型撮像技術は、放射線ビームが腫瘍領域に特定に標的化され得るように、腫瘍場所情報を収集することによって、放射線療法の有効性を改善するよう支援し得る。種々の放射線ビーム成形技法もまた、周囲組織への放射線暴露を低減させながら、治療されるべき腫瘍に放射線を精密に指向させるよう支援するために使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書において説明されるのは、座標系内の1つ以上の着目領域に対して、放射線源を配置するためのシステムおよび方法である。いくつかの変形例では、そのようなシステムおよび方法は、1人以上の患者腫瘍領域への放射線の局在化された送達のための放射誘導型放射線療法(EGRT)のために使用されてもよい。EGRTシステムは、患者領域の周りを移動可能な構台を備えてもよく、1つ以上の陽電子放出検出器および放射線源が構台上に移動可能に配列される。EGRTシステムは、同時発生の陽電子消滅放射経路を識別し、放射線源を指向し、識別された放出経路に沿って、放射線ビームを印加するように構成されるコントローラを備えてもよい。種々の方法が、EGRTシステムと併用され、他の組織領域への放射線の送達を低減または回避しながら、放射線が、標的領域に送達されるように、標的領域に印加される放射線ビームを調整してもよい。本明細書において説明されるEGRTシステムおよび方法は、単独で、または腫瘍の治療のための外科手術、化学療法、および/または小線源療法と併せて使用されてもよい。
【0004】
本明細書において説明されるEGRTシステムの一実施例は、患者領域の周りを移動可能な構台と、1つ以上の陽電子放出検出器と、1つ以上の治療用放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備えてもよい。EGRTシステムのいくつかの変形例は、1つ以上の単一光子放出検出器を備えてもよい。治療用放射線源は、1つ以上の放射性材料、X線源、または粒子ビーム源であってもよい。陽電子放出検出器および治療用放射線源は、標的領域と交差する同時発生の陽電子消滅放射経路の検出と、処方された放射線線量を標的領域に送達するための放射線ビームの印加のために、構台の周囲の種々の場所に配置されてもよい。放射線ビームは、放出経路に沿って、および/または検出された放出に基づいて決定された標的場所に印加されてもよい。可動構台は、組織の種々の領域が、患者領域内で治療され得るように、陽電子放出検出器および/または治療用放射線源の位置を調節してもよい。
【0005】
本明細書において説明される方法は、EGRTシステムと併用され、他の組織領域への放射線の送達を低減または回避しながら、標的領域に放射線を送達するために、標的領域に印加される放射線ビームを調整してもよい。例えば、EGRT方法を使用して、放射線敏感構造への放射線の送達を回避しながら、標的体積への処方された線量の放射線を送達し、PET信号および/または放射線ビーム減衰を補償し、リアルタイム腫瘍場所データを収集し、周囲組織を保護しながら、殺腫瘍レベルの放射線が、標的体積に送達されることを確実にするよう支援するための他の機能を果たしてもよい。本明細書において説明されるEGRTシステムおよび方法は、単独で、または腫瘍の治療のための外科手術、化学療法、放射線増感剤、および/または小線源療法と併せて使用されてもよい。例えば、EGRTシステムおよび方法は、化学療法の前および/または後に使用されてもよい。EGRTはまた、外科手術および/または小線源療法の前および/または後に使用されてもよい。腫瘍治療計画のいくつかの変形例は、腫瘍の一部を外科的に除去し、任意の残りの腫瘍塊を化学療法および/またはEGRTで治療するステップを含んでもよい。腫瘍治療計画における種々の療法は、部分的に、腫瘍のサイズ、タイプ、場所、進行度、および病因、ならびに種々の患者変数(例えば、性別、年齢、アレルギー、ある薬剤への耐性等)によって決定されてもよい。
【0006】
組織の標的領域に対する放射誘導型放射線療法のための方法の一実施例は、陽電子放出検出器を使用して、標的組織および保護されるべき放射線敏感組織の両方と交差する、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップと、標的組織に印加される放射線が、保護されるべき組織に印加される放射線を上回るように、放出経路に沿って、放射線を選択的に印加するステップとを含んでもよい。いくつかの変形例では、放出経路に沿って、放射線を印加するステップは、確率的態様で、放射線を照射するステップ、または確率的態様で、強度変調させられる放射線を照射するステップを含んでもよい。
【0007】
放射線を組織の標的化領域に印加するためのEGRT方法の別の実施例は、陽電子放出検出器を使用して、標的組織領域と交差する単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップと、放出経路が、器官構造と交差するか否かを決定するステップと、放出経路に沿って、放射線を印加するように、放射線源を配置するステップと、放出経路に沿って、放射線を印加するステップとを含んでもよく、放射線は、確率的係数によって修正されてもよい。いくつかの変形例では、放射線を印加するステップは、放射線の強度が、確率的係数によってスケーリングされる放射線を印加するステップを含んでもよい。
【0008】
組織の標的領域のEGRTのための別の方法は、組織の標的領域と交差する、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップであって、放出経路が、標的組織からの拡張部の所定の縁に実質的に垂直である、ステップと、放射線源を使用して、放出経路に沿って放射線ビームを標的組織に印加するステップであって、放射線ビームの幅が、拡張部の縁の幅に対応し得る、ステップとを含んでもよい。いくつかの変形例では、標的組織は、PET反応性組織であり、拡張部の縁は、PET反応性組織に隣接する組織を備えてもよい。
【0009】
組織の標的領域のEGRTのための別の方法は、陽電子放出検出器を使用して、組織のPET反応性領域の境界を検出するステップと、PET反応性領域の境界を越えて、拡張領域を画定するステップと、組織の選択された領域と交差する、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップであって、検出された放出経路が、実質的に、拡張領域の軸に垂直であり得る、ステップと、検出された放出経路に沿って、拡張領域の幅に対応する幅を有し得る、放射線ビームを印加するステップとを含んでもよい。いくつかの変形例では、陽電子放出検出器は、検出された陽電子消滅放射経路に基づいて、組織領域のPET反応性領域の境界を決定するように構成されてもよい。
【0010】
組織の標的領域のEGRTのための別の方法は、組織のPET反応性領域の境界を検出するように構成される陽電子放出検出器を使用して、組織のPET反応性領域の境界を決定するステップと、PET反応性領域の境界を越えて、拡張領域を画定するステップと、組織の選択された領域と交差する、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップであって、検出された放出経路が、実質的に、拡張領域の軸に垂直であり得る、ステップと、検出された放出経路に沿って、拡張領域の幅に対応し得る幅を有する、放射線ビームを印加するステップを含んでもよい。いくつかの変形例では、拡張領域を画定するステップは、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴画像診断、PET、または任意の他の好適な撮像モダリティのうちの1つ以上によって得られた画像を使用するステップを含んでもよい。
【0011】
組織の標的領域のEGRTのための方法の別の実施例は、陽電子放出検出器を使用して、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップであって、放出経路が、保護されるべき第1の組織のPET反応性領域および治療されるべき第2の組織のPET反応性領域と交差し得る、ステップと、放射線源が放射線を放出経路に沿って印加可能であり得る場所に、放射線源を配置するステップと、放射線を放出経路に沿って印加するステップであって、放射線が放射線源の場所の第1の組織のPET反応性領域の投影に反比例する変調率に従って調節され得る、ステップとを含んでもよい。いくつかの変形例では、放射線を印加するステップは、変調率によって修正される継続時間を有する放射線ビームを印加するステップを含んでもよい。代替として、または加えて、放射線を印加するステップは、変調率によって修正される強度を有する放射線を印加するステップを含んでもよい。他の変形例では、第2の組織のPET反応性領域は、組織の標的領域と交差してもよく、組織の第1の領域は、組織の標的領域と交差しなくてもよい。
【0012】
組織の標的領域のEGRTのためのさらに別の方法は、陽電子放出検出器を使用して、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップであって、放出経路が組織の標的化領域と交差する、ステップと、放射線源を使用して、放射線を放出経路に沿って印加するステップであって、印加される放射線が代替撮像モダリティによって決定され得るような完全放出経路に沿って、検出された陽電子消滅放射の総減衰に従って調節され得る、ステップとを含んでもよい。いくつかの変形例では、印加される放射線は、陽電子消滅放射経路に沿って、治療用放射線の減衰に従って調節されてもよい。例えば、印加される放射線は、検出された陽電子消滅放射の減衰に正比例または反比例してもよい。代替撮像モダリティの実施例として、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴画像診断、X線、および/または任意の好適な撮像モダリティが挙げられ得る。
【0013】
EGRTのための方法の別の実施例は、陽電子放出検出器を使用して、単一陽電子消滅放射経路を検出するステップであって、放出経路が組織の標的領域と交差する、ステップと、選択された撮像モダリティによって得られた組織の標的領域の画像を使用して、放出経路の減衰率を算出するステップと、放射線を放出経路に沿って印加するステップであって、放射線が減衰率によって変調させられる、ステップとを含んでもよい。いくつかの変形例では、放射線は、陽電子消滅放射経路に沿って、放射線の減衰を補償するように調節されてもよい。印加される放射線は、検出された陽電子消滅放射の減衰に比例または反比例してもよい。いくつかの変形例では、選択された撮像モダリティは、コンピュータ断層撮影であってもよい。いくつかの変形例では、放射線の強度は、減衰率に比例または反比例して変調させられてもよい。加えて、または代替として、印加される放射線は、減衰率に比例または反比例して変調させられ得る継続時間を有してもよい。例えば、放出経路に沿って印加される放射線は、減衰率に反比例して変調させられ得る周波数を有してもよい。
【0014】
EGRTのためのシステムの一変形例は、患者領域の周りを移動可能な構台であって、構台は回転可能な内側構台および回転可能な外側構台を備える、構台と、患者領域内の複数の陽電子消滅放射経路を検出するように構成される内側構台に沿って移動可能に配列される複数の陽電子放出検出器と、外側構台に沿って移動可能に配列される放射線源であって、患者領域内の複数の陽電子消滅放射経路のそれぞれに沿って、放射線を印加するように構成される、放射線源とを備えてもよい。いくつかのEGRTシステムでは、内側構台は、外側構台より高速で回転可能であってもよい。いくつかの変形例では、システムは、複数の陽電子放出検出器が放射線源を遮蔽する感知モードと、放射線源が遮蔽されず、放射線を患者領域に印加可能である発射モードとを備えてもよい。代替として、または加えて、EGRTシステムは、内側構台に沿って移動可能に配列される1つ以上の単一光子放出検出器を備えてもよい。いくつかの変形例では、放射線源はまた、コリメータを備えてもよい。
【0015】
放射誘導型放射線療法のための方法の実施例は、複数の陽電子放出検出器を使用して、複数の標的組織領域と交差する陽電子消滅放射経路を検出するステップと、複数の放出経路のそれぞれに沿って、放射線を印加するための放射線源を配置するステップと、放出経路のそれぞれに沿って、放射線を印加し、放射線を複数の標的組織領域に送達するステップとを含んでもよい。
【0016】
EGRTのためのシステムの別の実施例は、患者領域の周りを移動可能な構台であって、回転可能な内側構台および回転可能な外側構台を備える、構台と、患者領域内の複数の可動PET反応性領域からの複数の陽電子消滅放射経路を検出するように構成される内側構台に沿って移動可能に配列される複数の陽電子放出検出器と、外側構台に沿って移動可能に配列される放射線源であって、放射線を患者領域内の複数のPET反応性領域のそれぞれに印加するように構成され得る、放射線源とを備えてもよい。いくつかのEGRTシステムでは、内側構台は、外側構台より高速で回転可能であってもよい。いくつかの変形例では、EGRTシステムは、複数の陽電子放出検出器が放射線源を遮蔽する感知モードと、放射線源が遮蔽されず、放射線を患者領域に印加可能である発射モードとを備えてもよい。代替として、または加えて、EGRTシステムは、内側構台に沿って移動可能に配列される1つ以上の単一光子放出検出器を備えてもよい。いくつかの変形例では、放射線源はまた、コリメータを備えてもよい。
【0017】
EGRTのための方法の実施例は、複数の陽電子放出検出器を使用して、複数の可動標的組織領域と交差する陽電子消滅放射経路を検出するステップと、放出経路に沿って放射線を印加するために、放射線源を配置するステップと、標的組織領域の移動に従って、検出された放出経路を偏移させるステップから導出された経路に沿って、放射線を複数の可動標的組織領域に印加するステップとを含んでもよい。
【0018】
また、本明細書において説明されるのは、放射線源(EGRTのためのシステム内で使用され得る、放射線源等)を配置するために使用され得るシステムである。放射線源を配置するためのシステムの一変形例は、円形構台と、構台上に搭載される放射線源と、構台上に搭載された陽電子放出検出器と、放射線源および陽電子放出検出器と通信するコントローラとを備えてもよい。陽電子放出検出器は、座標系内の第1の着目領域から始まる陽電子放出経路を検出するように構成されてもよく、コントローラは、(例えば、メモリ内に記憶されるアルゴリズムをプログラミングすることによって)放出経路に沿って、放射線源を配置するように構成されてもよい。放射線源は、(例えば、メモリ内に記憶されたプログラムおよび/またはコントローラからの1つ以上の信号によって)選択された確率的係数に従って、放射線を発生させるように構成されてもよい。いくつかの変形例では、コントローラは、放出経路が座標系内の第2の着目領域と交差するか否かを決定するように構成されてもよく、放射線源は、放出経路が第2の着目領域と交差する場合、選択された確率的係数に従って、放射線を放出経路に沿って発生させるように構成されてもよい。代替として、または加えて、放射線源は、放出経路が第2の着目領域と交差し、選択された確率的係数が事前にプログラムされた確率閾値を下回る場合、放出経路に沿って、発生させるように構成されてもよい。いくつかの変形例では、放射線源は、放射線を放出経路に沿って確率的態様で強度変調させられる放射線を発生させるように構成されてもよく、および/または確率的係数によってスケーリングされる放射線を発生させるように構成されてもよい。
【0019】
放射線源を配置するためのシステムの別の変形例は、円形構台と、構台上に搭載された放射線源と、構台上に搭載された陽電子放出検出器と、放射線源および陽電子放出検出器と通信するコントローラとを備えてもよい。陽電子放出検出器は、座標系内の複数の着目領域から始まる複数の陽電子放出経路を検出するように構成されてもよく、コントローラは、(例えば、メモリ内に記憶されるアルゴリズムをプログラミングすることによって)複数の放出経路に沿って、放射線源を配置するように構成されてもよい。
【0020】
放射線源を配置するためのシステムの別の変形例は、円形構台と、構台上に搭載された放射線源と、構台上に搭載された陽電子放出検出器と、放射線源および陽電子放出検出器と通信するコントローラとを備えてもよい。陽電子放出検出器は、座標系内の複数の可動着目領域と交差する陽電子放出経路を検出するように構成されてもよく、コントローラは、(例えば、メモリ内に記憶されるアルゴリズムをプログラミングすることによって)着目領域の移動に従って、検出された放出経路を偏移させることによって導出された経路に沿って、放射線源を配置するように構成されてもよい。
【0021】
放射線源を配置するためのシステムの一変形例は、円形構台と、構台上に搭載された放射線源と、構台上に搭載された陽電子放出検出器と、放射線源および陽電子放出検出器と通信するコントローラとを備えてもよい。陽電子放出検出器は、座標系内の着目領域と交差する、陽電子放出経路を検出するように構成されてもよく、放出経路は、実質的に、着目領域からの拡張部の縁の所定方向に垂直であってもよい。コントローラは、(例えば、メモリ内に記憶されるアルゴリズムをプログラミングすることによって)放出経路に沿って、放射線源を配置するように構成されてもよく、放射線源は、(例えば、メモリ内に記憶されたプログラムおよび/またはコントローラからの1つ以上の信号によって)拡張部の縁の幅に対応する幅を有する放射線ビームを発生させるように構成されてもよい。いくつかの変形例では、着目領域は、PET反応性であってもよく、拡張部の縁は、PET反応性着目領域に隣接する領域を備えてもよい。
【0022】
放射線源を配置するためのシステムの一変形例は、円形構台と、構台上に搭載された放射線源と、構台上に搭載された陽電子放出検出器と、放射線源および陽電子放出検出器と通信するコントローラとを備えてもよい。陽電子放出検出器は、座標系内のPET反応性着目領域の境界を検出し、座標系内の第2の着目領域と交差する単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するように構成されてもよい。コントローラは、(例えば、メモリ内に記憶されるアルゴリズムをプログラミングすることによって)PET反応性着目領域の境界を越える拡張領域を画定し、検出された放出経路が、拡張領域の軸に実質的に垂直であるか否かを決定し、放射線源を放出経路に沿って配置するように構成されてもよい。放射線源は、(例えば、メモリ内に記憶されたプログラムおよび/またはコントローラからの1つ以上の信号によって)拡張領域の幅に対応する幅を有する、放射線ビームを発生させるように構成されてもよい。いくつかの実施例では、コントローラは、コンピュータ断層撮影および/または磁気共鳴画像診断によって得られた画像を使用することによって、拡張領域を画定するように構成されてもよい。
【0023】
放射線源を配置するためのシステムの別の変形例は、円形構台と、構台上に搭載された放射線源と、構台上に搭載された陽電子放出検出器と、放射線源および陽電子放出検出器と通信するコントローラとを備えてもよい。陽電子放出検出器は、座標系内の着目領域と交差する単一陽電子消滅放射経路を検出するように構成されてもよい。コントローラは、(例えば、メモリ内に記憶されるアルゴリズムをプログラミングすることによって)選択された撮像モダリティによって得られた着目領域の画像を使用して、放出経路の減衰率を算出し、放射線源を放出経路に沿って配置するように構成されてもよい。放射線源は、(例えば、メモリ内に記憶されたプログラムおよび/またはコントローラからの1つ以上の信号によって)減衰率によって変調させられる放射線を発生させるように構成されてもよい。選択された撮像モダリティは、コンピュータ断層撮影および/または磁気共鳴画像診断であってもよい。いくつかの実施例では、放射線源は、陽電子消滅放射経路に沿って、放射線の減衰を補償するように調節される放射線を発生させるように構成されてもよい。代替として、または加えて、放射線源は、検出された陽電子消滅放射経路の減衰に比例する放射線を発生させるように構成されてもよい。他の実施例では、放射線源は、検出された陽電子消滅放射経路の減衰に反比例する放射線を発生させるように構成されてもよい。代替として、または加えて、放射線源は、減衰率に比例して変調させられる強度を有する放射線、および/または減衰率に比例して変調させられる継続時間を有する放射線、および/または減衰率に反比例して変調させられる強度を有する放射線、および/または減衰率に反比例して変調させられる周波数を有する放射線を発生させるように構成されてもよい。
【0024】
放射線源を配置するためのシステムの別の変形例は、円形構台と、構台上に搭載された放射線源と、構台上に搭載された陽電子放出検出器と、放射線源および陽電子放出検出器と通信するコントローラとを備えてもよい。陽電子放出検出器は、座標系内の第1のPET反応性着目領域および第2のPET反応性着目領域と交差する単一の陽電子消滅放射経路を検出するように構成されてもよい。コントローラは、(例えば、メモリ内に記憶されるアルゴリズムをプログラミングすることによって)放出経路に沿った場所に放射線源を配置するように構成されてもよく、放射線源は、(例えば、メモリ内に記憶されたプログラムおよび/またはコントローラからの1つ以上の信号によって)放射線源の場所上の第1のPET反応性着目領域の投影に反比例する変調率に従って調節される放射線を発生させるように構成されてもよい。いくつかの変形例では、放射線源は、変調率によって修正される継続時間を有する放射線ビームを発生させるように構成されてもよい。代替として、または加えて、放射線源は、変調率によって修正される強度を有する放射線を発生させるように構成されてもよい。いくつかの実施例では、第2のPET反応性着目領域は、第3の着目領域と交差してもよく、第1の着目領域は、第3の着目領域と交差しなくてもよい。
【0025】
放射誘導型放射線療法のためのシステムの一変形例は、患者領域の周りを移動可能な構台と、患者領域内の複数の陽電子消滅放射経路を検出するように構成される内側構台に沿って移動可能に配列される複数の陽電子放出検出器と、外側構台に沿って移動可能に配列される放射線源とを備えてもよい。構台は、回転可能な内側構台および回転可能な外側構台を備えてもよく、放射線源は、外側構台に沿って移動可能に配列されてもよい。放射線源は、患者領域内の複数の陽電子消滅放射経路に沿って放射線を印加するように構成されてもよく、内側構台は、外側構台より高速で回転可能であってもよい。随意に、システムはさらに、内側構台に沿って移動可能に配列される単一光子放出検出器を備えてもよい。いくつかの変形例では、放射線源は、コリメータを備えてもよい。そのようなシステムは、随意に、複数の陽電子放出検出器が放射線源を遮蔽する感知モードと、放射線源が遮蔽されず、放射線を患者領域に印加可能である発射モードとを備えてもよい。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
放射線源を配置するためのシステムであって、該システムは、
円形構台と、
該構台上に搭載された放射線源と、
該構台上に搭載された陽電子放出検出器であって、該陽電子放出検出器は、座標系内の第1の着目領域から始まる陽電子放出経路を検出するように構成されている、陽電子放出検出器と、
該放射線源および該陽電子放出検出器と通信するコントローラであって、該コントローラは、該放射線源を該放出経路に沿って配置するように構成され、該放射線源は、選択された確率的係数に従って放射線を発生させるように構成されている、コントローラと
を備える、システム。
(項目2)
前記コントローラは、前記放出経路が前記座標系内の第2の着目領域と交差するか否かを決定するように構成され、前記放射線源は、該放出経路が、該第2の着目領域と交差する場合、前記選択された確率的係数に従って、放射線を該放出経路に沿って発生させるように構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記放射線源は、前記放出経路が前記第2の着目領域と交差し、前記選択された確率的係数が事前にプログラムされた確率閾値を下回る場合、放射線を該放出経路に沿って発生させるように構成されている、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記放射線源は、確率的態様で強度変調させられた放射線を前記放出経路に沿って発生させるように構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記放射線源は、前記確率的係数によってスケーリングされた放射線を発生させるように構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目6)
放射線源を配置するためのシステムであって、該システムは、
円形構台と、
該構台上に搭載された放射線源と、
該構台上に搭載された陽電子放出検出器であって、該陽電子放出検出器は、座標系内の複数の着目領域から始まる複数の陽電子放出経路を検出するように構成されている、陽電子放出検出器と、
該放射線源および該陽電子放出検出器と通信するコントローラであって、該コントローラは、該放射線源を該複数の放出経路に沿って配置するように構成されている、コントローラと
を備える、システム。
(項目7)
放射線源を配置するためのシステムであって、該システムは、
円形構台と、
該構台上に搭載された放射線源と、
該構台上に搭載された陽電子放出検出器であって、該陽電子放出検出器は、座標系内の複数の可動着目領域と交差する陽電子放出経路を検出するように構成されている、陽電子放出検出器と、
該放射線源および該陽電子放出検出器と通信するコントローラであって、該コントローラは、該着目領域の移動に従って該検出された放出経路を偏移させることによって導出された経路に沿って該放射線源を配置するように構成されている、コントローラと
を備える、システム。
(項目8)
放射線源を配置するためのシステムであって、該システムは、
円形構台と、
該構台上に搭載された放射線源と、
該構台上に搭載された陽電子放出検出器であって、該陽電子放出検出器は、座標系内の着目領域と交差する陽電子放出経路を検出するように構成され、該放出経路は、該着目領域からの拡張部の縁の所定方向に実質的に垂直である、陽電子放出検出器と、
該放射線源および該陽電子放出検出器と通信するコントローラであって、該コントローラは、該放射線源を該放出経路に沿って配置するように構成され、該放射線源は、該拡張部の縁の幅に対応する幅を有する放射線ビームを発生させるように構成されている、コントローラと
を備える、システム。
(項目9)
前記着目領域は、PET反応性であり、前記拡張部の縁は、該PET反応性着目領域に隣接する領域を備える、項目8に記載のシステム。
(項目10)
放射線源を配置するためのシステムであって、該システムは、
円形構台と、
該構台上に搭載された放射線源と、
該構台上に搭載された陽電子放出検出器であって、該陽電子放出検出器は、座標系内のPET反応性着目領域の境界を検出し、該座標系内の第2の着目領域と交差する単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するように構成されている、陽電子放出検出器と、
該放射線源および該陽電子放出検出器と通信するコントローラと
を備え、
該コントローラは、
該PET反応性着目領域の境界を越える拡張領域を画定して、該検出された放出経路が、該拡張領域の軸に実質的に垂直であるか否かを決定することと、
該放射線源を該放出経路に沿って配置することであって、該放射線源が、該拡張領域の幅に対応する幅を有する放射線ビームを発生させることと
を行うように構成されている、システム。
(項目11)
前記コントローラは、コンピュータ断層撮影によって得られた画像を使用することによって、拡張領域を画定するように構成されている、項目10に記載のシステム。
(項目12)
前記コントローラは、磁気共鳴画像診断によって得られた画像を使用することによって、拡張領域を画定するように構成されている、項目10に記載のシステム。
(項目13)
放射線源を配置するためのシステムであって、該システムは、
円形構台と、
該構台上に搭載された放射線源と、
該構台上に搭載された陽電子放出検出器であって、該陽電子放出検出器は、座標系内の着目領域と交差する単一の陽電子消滅放射経路を検出するように構成されている、陽電子放出検出器と、
該放射線源および該陽電子放出検出器と通信するコントローラと
を備え、
該コントローラは、
選択された撮像モダリティによって得られた該着目領域の画像を使用して、該放出経路の減衰率を算出することと、
該放射線源を該放出経路に沿って配置することであって、該放射線源が、該減衰率によって変調させられる放射線を発生させるように構成されている、ことと
を行うように構成される、システム。
(項目14)
前記放射線源は、放射線を発生させるように構成されており、該放射線は、該放射線の減衰を前記陽電子消滅放射経路に沿って補償するように調節される、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記選択された撮像モダリティは、コンピュータ断層撮影である、項目13に記載のシステム。
(項目16)
前記放射線源は、放射線を発生させるように構成され、該放射線は、前記検出された陽電子消滅放射経路の減衰に比例する、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記放射線源は、放射線を発生させるように構成され、該放射線は、前記検出された陽電子消滅放射経路の減衰に反比例する、項目15に記載のシステム。
(項目18)
前記放射線源は、放射線を発生させるように構成され、該放射線は、前記減衰率に比例して変調させられる強度を有する、項目13に記載のシステム。
(項目19)
前記放射線源は、放射線を発生させるように構成され、該放射線は、前記減衰率に比例して変調させられる継続時間を有する、項目13に記載のシステム。
(項目20)
前記放射線源は、放射線を発生させるように構成され、該放射線は、前記減衰率に反比例して変調させられる強度を有する、項目13に記載のシステム。
(項目21)
前記放射線源は、放射線を発生させるように構成され、該放射線は、前記減衰率に反比例して変調させられる周波数を有する、項目13に記載のシステム。
(項目22)
放射線源を配置するためのシステムであって、該システムは、
円形構台と、
該構台上に搭載された放射線源と、
該構台上に搭載された陽電子放出検出器であって、該陽電子放出検出器は、座標系内の第1のPET反応性着目領域および第2のPET反応性着目領域と交差する単一の陽電子消滅放射経路を検出するように構成されている、陽電子放出検出器と、
該放射線源および該陽電子放出検出器と通信するコントローラであって、該コントローラは、該放射線源を該放出経路に沿った場所に配置するように構成され、該放射線源は、該放射線源の場所の該第1のPET反応性着目領域の投影に反比例する変調率に従って調節される放射線を発生させるように構成される、コントローラと
を備える、システム。
(項目23)
前記放射線源は、放射線ビームを発生させるように構成され、該放射線ビームは、前記変調率によって修正される継続時間を有する、項目22に記載のシステム。
(項目24)
前記放射線源は、放射線を発生させるように構成され、該放射線は、前記変調率によって修正される強度を有する、項目22に記載のシステム。
(項目25)
前記第2のPET反応性着目領域は、第3の着目領域と交差し、前記第1の着目領域は、該第3の着目領域と交差しない、項目22に記載のシステム。
(項目26)
放射誘導型放射線療法のためのシステムであって、該システムは、
患者領域の周りを移動可能な構台であって、該構台は、回転可能な内側構台および回転可能な外側構台を備える、構台と、
該内側構台に沿って移動可能に配列される複数の陽電子放出検出器であって、該陽電子放出検出器は、該患者領域内の複数の陽電子消滅放射経路を検出するように構成されている、複数の陽電子放出検出器と、
該外側構台に沿って移動可能に配列される放射線源であって、該放射線源は、該患者領域内の該複数の陽電子消滅放射経路に沿って放射線を印加するように構成され、該内側構台は、該外側構台よりも高速で回転可能である、放射線源と
を備える、システム。
(項目27)
前記内側構台に沿って移動可能に配列される単一光子放出検出器をさらに備える、項目26に記載のシステム。
(項目28)
前記放射線源は、コリメータを備える、項目27に記載のシステム。
(項目29)
前記システムは、感知モードと、発射モードとを備え、該感知モードにおいて、前記複数の陽電子放出検出器は、前記放射線源を遮蔽し、該発射モードにおいて、該放射線源は、遮蔽されずに、放射線を前記患者領域に印加可能である、項目26に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、放射線陽電子を消滅放射経路に沿って整列させるための放射誘導型放射線療法システムの一変形例である。
【
図1A】
図1Aは、計画標的体積(PTV)および放射線敏感構造の両方と交差する応答線(LOR)に沿って、確率的に放射線を印加するためのEGRT方法の実施例の概念描写であって、
図1Bは、
図1Aの描写に従って機能するEGRT方法の一実施例の流れ図であって、
図1C~1Eは、
図1Bの方法を使用して、コンピュータシミュレーションから導出された等値線プロット(均一な等値線間隔を有する)を描写する。
【
図1B】
図1Aは、計画標的体積(PTV)および放射線敏感構造の両方と交差する応答線(LOR)に沿って、確率的に放射線を印加するためのEGRT方法の実施例の概念描写であって、
図1Bは、
図1Aの描写に従って機能するEGRT方法の一実施例の流れ図であって、
図1C~1Eは、
図1Bの方法を使用して、コンピュータシミュレーションから導出された等値線プロット(均一な等値線間隔を有する)を描写する。
【
図1C】
図1Aは、計画標的体積(PTV)および放射線敏感構造の両方と交差する、応答線(LOR)に沿って、確率的に放射線を印加するためのEGRT方法の実施例の概念描写であって、
図1Bは、
図1Aの描写に従って機能する、EGRT方法の一実施例の流れ図であって、
図1C~1Eは、
図1Bの方法を使用して、コンピュータシミュレーションから導出された等値線プロット(均一等値線間隔を有する)を描写する。
【
図1D】
図1Aは、計画標的体積(PTV)および放射線敏感構造の両方と交差する、応答線(LOR)に沿って、確率的に放射線を印加するためのEGRT方法の実施例の概念描写であって、
図1Bは、
図1Aの描写に従って機能する、EGRT方法の一実施例の流れ図であって、
図1C~1Eは、
図1Bの方法を使用して、コンピュータシミュレーションから導出された等値線プロット(均一等値線間隔を有する)を描写する。
【
図1E】
図1Aは、計画標的体積(PTV)および放射線敏感構造の両方と交差する、応答線(LOR)に沿って、確率的に放射線を印加するためのEGRT方法の実施例の概念描写であって、
図1Bは、
図1Aの描写に従って機能する、EGRT方法の一実施例の流れ図であって、
図1C~1Eは、
図1Bの方法を使用して、コンピュータシミュレーションから導出された等値線プロット(均一等値線間隔を有する)を描写する。
【
図2A】
図2Aは、PTVの実質的に垂直な拡張領域の幅に対応する幅を有する放射線ビームを印加するためのEGRT方法の別の変形例の概念描写であって、
図2Bは、PTVの拡張領域を画定するために使用され得る、ある方法の流れ図であって、
図2Cは、
図2Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図2B】
図2Aは、PTVの実質的に垂直な拡張領域の幅に対応する幅を有する放射線ビームを印加するためのEGRT方法の別の変形例の概念描写であって、
図2Bは、PTVの拡張領域を画定するために使用され得る、ある方法の流れ図であって、
図2Cは、
図2Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図2C】
図2Aは、PTVの実質的に垂直な拡張領域の幅に対応する幅を有する、放射線ビームを印加するためのEGRT方法の別の変形例の概念描写であって、
図2Bは、PTVの拡張領域を画定するために使用され得る、ある方法の流れ図であって、
図2Cは、
図2Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図3A】
図3Aは、PTV内のPET反応性領域と、PTV外のPET反応性領域との間を区別する、放射線ビームを印加するための別のEGRT方法の概念描写であって、
図3Bは、
図3Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図3B】
図3Aは、PTV内のPET反応性領域と、PTV外のPET反応性領域との間を区別する放射線ビームを印加するための別のEGRT方法の概念描写であって、
図3Bは、
図3Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図4A】
図4Aは、同時発生の陽電子放出経路に沿って、減衰を補正するための別のEGRT方法の概念描写であって、
図4Bは、4Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図4B】
図4Aは、同時発生の陽電子放出経路に沿って、減衰を補正するための別のEGRT方法の概念描写であって、
図4Bは、4Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図5A】
図5Aは、同時発生の陽電子放出経路に沿って、精密に放射線ビームを印加するための別のEGRT方法の概念描写であって、
図5Bは、
図5Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図5B】
図5Aは、同時発生の陽電子放出経路に沿って、精密に放射線ビームを印加するための別のEGRT方法の概念描写であって、
図5Bは、
図5Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図6-1】
図6A~6Cは、EGRT方法の実施例の概念描写であって、複数の放射線ビームは、単一LORに沿って印加され、
図6Dは、
図6A~6Cに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図6-2】
図6A~6Cは、EGRT方法の実施例の概念描写であって、複数の放射線ビームは、単一LORに沿って印加され、
図6Dは、
図6A~6Cに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図7】
図7は、EGRT技法および強度変調放射線療法(IMRT)技法の両方を使用する方法の一実施例の流れ図である。
【
図8-1】
図8Aおよび8Bは、EGRTの間、腫瘍および/またはPTVのための場所情報を更新するEGRT方法の概念描写であって、
図8Cは、
図8Aおよび8Bに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図8-2】
図8Aおよび8Bは、EGRTの間、腫瘍および/またはPTVのための場所情報を更新するEGRT方法の概念描写であって、
図8Cは、
図8Aおよび8Bに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図9A】
図9Aは、均一線量分布のために、PTVに印加される放射線を変調させるためのEGRT方法の別の実施例の概念描写であって、
図9Bは、
図9Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図9B】
図9Aは、均一線量分布のために、PTVに印加される放射線を変調させるためのEGRT方法の別の実施例の概念描写であって、
図9Bは、
図9Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図10-1】
図10Aおよび10Bは、LORの原点を計算するためのEGRT方法の概念描写であって、
図10Cは、
図10Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図10-2】
図10Aおよび10Bは、LORの原点を計算するためのEGRT方法の概念描写であって、
図10Cは、
図10Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図11A】
図11Aは、放射線を低酸素組織領域に送達するためのEGRT方法の一変形例の概念描写であって、
図11Bは、
図11Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図11B】
図11Aは、放射線を低酸素組織領域に送達するためのEGRT方法の一変形例の概念描写であって、
図11Bは、
図11Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図12A】
図12Aは、LORに沿って、陽電子放出活性が低減されたPTVと交差する放射線を送達するためのEGRT方法の変形例の概念描写であって、
図12Bは、
図12Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図12B】
図12Aは、LORに沿って、陽電子放出活性が低減されたPTVと交差する放射線を送達するためのEGRT方法の変形例の概念描写であって、
図12Bは、
図12Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図13】
図13は、2つ以上のPET追跡子を使用するEGRT方法の一実施例の流れ図である。
【
図14A】
図14Aは、複数のPTVと交差するLORに沿って放射線を印加するためのEGRT方法の実施例の概念描写であって、
図14Bは、
図14Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図14B】
図14Aは、複数のPTVと交差するLORに沿って放射線を印加するためのEGRT方法の実施例の概念描写であって、
図14Bは、
図14Aに描写される方法の例示的実装の流れ図である。
【
図15-1】
図15A~15Bは、可動内側構台および別個に可動する外側構台を有するEGRTシステムの実施例の概略描写であって、
図15Cは、
図15Aおよび15Bに描写されるシステムが、どのように使用され得るかの一実施例の流れ図である。
【
図15-2】
図15A~15Bは、可動内側構台および別個に可動する外側構台を有するEGRTシステムの実施例の概略描写であって、
図15Cは、
図15Aおよび15Bに描写されるシステムが、どのように使用され得るかの一実施例の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書において説明されるのは、座標系内の1つ以上の着目領域に対して、放射線源を配置するためのシステムおよび方法である。いくつかの変形例では、そのようなシステムおよび方法は、陽電子消滅事象からの光子の放出経路に沿った放射線の送達のための放射誘導型放射線療法のために使用されてもよい。本明細書において説明されるシステムおよび方法は、高線量の放射線を第1の着目領域(例えば、腫瘍)に送達する一方、あったとしても少量の放射線を第2の着目領域(例えば、周辺組織)に送達するために使用されてもよい。以下に説明されるシステムおよび方法は、高レベルの放射線が腫瘍に印加され得る一方、腫瘍の周囲の組織を保護するために、標的化腫瘍領域を精密に特定可能であり得る。これらのシステムおよび方法は、正確な腫瘍場所限定を提供するよう支援してもよく、リアルタイム(例えば、陽電子消滅放射経路が検出されてから数秒以内)で、放射線ビームを標的腫瘍領域に送達するために使用されてもよい。これらのシステムおよび方法は、有用放射線治療を提供するために、腫瘍体積描出、患者設定、および生理的動作等の複数のプロセスから生じる不確実性に対処および管理してもよい。本明細書において説明されるシステムおよび方法は、放射線治療効率、患者快適性、および/またはコスト有効性を改善するよう支援してもよい。以下に説明される変形例および実施例は、EGRTシステムを指すが、これらは、単に、座標系内の1つ以上の着目領域に対して、放射線源を配置するために使用され得るシステムの実施例であることを理解されたい。座標系内の着目領域として、腫瘍組織、非腫瘍組織、放射線敏感器官または構造、任意の解剖学的構造、陽電子を放出する任意の領域または体積(例えば、PET反応性領域)、陽電子を放出しない任意の領域(例えば、非PET反応性領域)、PET反応性領域に対して画定され得る領域または体積、固定領域または体積、可動領域または体積、ユーザまたは施術者によって識別された任意の領域または体積(例えば、計画標的体積)、あるいは機械アルゴリズム(例えば、画像処理アルゴリズム)等を含み得るが、それらに限定されない。
【0028】
EGRTは、単独で、または他のタイプの放射線療法と併せて使用されてもよい。例えば、EGRTは、強度変調放射線療法(IMRT)および/または画像誘導放射線療法(IGRT)と併用されてもよい。IMRTは、高度共形線量分布を発生させ、健康組織を保護しながら、放射線を標的化腫瘍領域に送達可能であってもよい。IGRTは、患者内の腫瘍を特定するために、治療前計画において、MRIまたはCT等の撮像モダリティを使用してもよい。これらの撮像モダリティの一方または両方をEGRTと組み合わせることは、治療用放射線が意図された組織領域に送達されることを確実にするよう支援するための標的化腫瘍領域のリアルタイム場所追跡に有用となり得る。
【0029】
本明細書において開示されるものは、PET追跡子を使用するEGRTのためのシステムおよび方法であって、放射線は、検出された同時発生の陽電子消滅放射経路と整列させられた応答線(LOR)に沿って印加されてもよい。EGRTのために使用され得るシステムは、患者領域の周りを移動可能な構台と、構台に沿って移動可能であり得る1つ以上の陽電子放出検出器と、同様に構台に沿って移動可能であり得る1つ以上の治療用放射線源とを備えてもよい。1つ以上の陽電子放出検出器は、複数の着目領域(例えば、腫瘍)に対応する放出経路を検出および追跡可能であってもよい。1つ以上の放射線源は、放射線が、健康組織ではなく腫瘍に正確に印加され得るように、複数の腫瘍のそれぞれの動きを補償するように構成されてもよい。放射誘導型放射線療法のために使用され得る放射線源を配置するためのシステム(130)の一変形例が、
図1に描写される。システム(130)は、円形可動構台(図示せず)と、構台上に搭載される放射線源(131)と、構台上およびその周囲の種々の場所に配置される1つ以上の陽電子消滅放射センサ(133)と、1つ以上のX線検出器(132)と、モーションシステム(134)と、コントローラまたはマイクロプロセッサ(135)とを備えてもよい。X線検出器(132)および陽電子消滅放射センサ(133)はまた、可動構台上に搭載されてもよい。いくつかの変形例では、陽電子放出センサ(133)およびX線検出器(132)は、構台の周縁の実質的部分の周囲に配列されてもよい。陽電子放出センサ(133)は、陽電子消滅事象から始まる光子の放出経路(136)を感知することによって、陽電子消滅事象を検出するように構成されてもよい。モーションシステム(134)は、構台および着目領域または標的体積(138)の周りに取り付けられた機器を移動させ、放射線源(131)を検出された放出経路(136)と整列させるように構成されてもよい。マイクロプロセッサ(135)は、放射線源(131)、陽電子放出センサ(133)、X線検出器(132)、およびモーションシステム(134)に接続されることにより、これらの構成要素の各々の動作を相互に対して調整し、所望のシーケンスにおいて、これらの構成要素の各々をアクティブ化させてもよい。例えば、マイクロプロセッサ(135)は、標的体積(138)と交差する同時発生光子放出経路(136)を識別してもよく、放射線源(131)の整列、構成、およびトリガを協調させ、放射線を検出された放出経路(136)に沿って標的体積(138)に指向させてもよい。
【0030】
マイクロプロセッサ(135)は、EGRT期間の過程において、複数の検出された放出経路に応答して構台の回転を制御し、放射線源(131)の位置を調節してもよい。EGRTシステムのマイクロプロセッサは、コンピュータ可読記憶メディアを備えてもよく、コンピュータ可読記憶メディア内に記憶されるソフトウェアまたはファームウェアに従って、種々の機能を実行可能であってもよい。コンピュータ可読記憶メディアの実施例として、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、または半導体システム、装置またはデバイス、ポータブルコンピュータディスケット(磁気)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(磁気)、読取専用メモリ(ROM)(磁気)、消去可能プログラマブル読取専用メモリ(EPROM)(磁気)、ポータブル光学ディスク、例えば、CD、CD-R、CD-RW、DVD、DVD-R、またはDVD-RW、あるいはフラッシュメモリ、例えば、コンパクトフラッシュカード、セキュア化されたデジタルカード、USBメモリデバイス、メモリスティック、等を含むことができるが、それらに限定されない。ソフトウェアまたはファームウェアはまた、命令実行システム、装置、またはデバイス、例えば、命令実行システム、装置、またはデバイスからの命令をフェッチし、命令を実行することができる、コンピュータベースのシステム、プロセッサ含有システム、または他のシステムによって、あるいはそれと連動して、使用するための任意のトランスポートメディア内で伝搬されることができる。トランスポートメディアの実施例として、電子、磁気、光学、電磁または赤外線有線または無線伝搬メディアを含むことができるが、それらに限定されない。
【0031】
本明細書において説明されるEGRTのためのシステムおよび方法は、PET追跡子から始まる同時発生の陽電子消滅放射事象からの放出経路を検出し、それに応答するように構成されてもよいが、他のタイプの放射性追跡子もまた、EGRTのために使用されてもよい。例えば、EGRTシステムおよび方法は、加えて、または代替として、SPECT追跡子から生じる単一光子放出を検出し、それに応答するように構成されてもよい。一般に核医学において使用される他の放射性追跡子もまた、本明細書において説明されるEGRTシステムおよび方法と併用されてもよい。そのような放射性追跡子からの放出線は、正確かつほぼリアルタイムの腫瘍追跡のための誘導としての役割を果たしてもよい。使用される放射性追跡子のタイプに応じて、EGRTシステムは、陽電子放出検出器、単一光子放出検出器等の種々の検出器を備えてもよい。EGRTシステムはまた、線形加速器、放射性材料、X線源、粒子ビーム源等を含む種々の治療用放射線源を備えてもよい。いくつかの変形例では、放射線源は、単一光子事象に応答して、放射線を送達可能なコリメータを備えてもよい。EGRTのために使用され得るシステムの一実施例は、2004年11月29日出願の米国特許第7,265,356号に説明される。EGRTシステムの付加的説明および実施例は、以下ならびに2009年2月9日出願の米国特許出願公開第2009/0256078号(参照することによって全体として本明細書に組み込まれる)に提供される。
【0032】
EGRTのための方法は、リアルタイムで腫瘍の場所を追跡するために使用されてもよく、および/または周辺組織を保護しながら、所望の線量の放射線を計画標的体積(PTV)内の腫瘍に送達するために使用されてもよい。PTVは、単独でまたは組み合わせてのいずれかにおいて、CT、PET、MRI、X線等の種々の撮像モダリティを使用して、医師および/または技術者(例えば、放射線腫瘍医、医学物理学者、放射線技師、放射線療法士等)によって、治療前および/または計画期間の間に決定されてもよい。PTVはまた、放射線療法期間の間に決定されてもよい。例えば、PTVは、単独でまたは組み合わせてのいずれかにおいて、1つ以上のタイプの搭載型撮像モダリティ(例えば、CT、PET、MRI、X線等)を使用して、放射線療法期間の間、周期的に決定されてもよい。PTVに関するデータは、放射線療法期間の間、医学物理学者および/または放射線療法士によって使用されるために、EGRTシステムのマイクロプロセッサ内に記憶されてもよい。PTVは、腫瘍領域および腫瘍領域の領域内の周辺非腫瘍組織を含んでもよく、またはPTVは、周辺非腫瘍組織を伴わない腫瘍領域のみを含んでもよい。代替として、または加えて、PTVは、選択された撮像モダリティ(例えば、CT、PET、MRI、X線、SPECT等)によって決定されるような可視場所および腫瘍の成長を含んでもよい。ある場合には、PTVは、PET反応性組織領域(すなわち、PET追跡子を取り込み、陽電子消滅から生じる光子を放出している組織体積)を含んでもよく、他の場合には、PTVは、PET反応性領域および隣接する非PET反応性組織領域の両方を含んでもよい。いくつかの変形例では、PTVは、1つ以上の付加的な縁、例えば、患者および/または器官の動作、器官形状およびサイズ変動、ならびに放射線ビーム整列における不確実性のための縁を有する前述の領域を含んでもよい。
【0033】
いくつかの方法は、呼吸または他の患者移動による腫瘍および/またはPTV移動を補償し、および/または正確なまたは精密な腫瘍縁検出を提供するよう支援し、および/またはPTVに印加される放射線が、PTV内の「高温」または「低温」点を低減させることによって(例えば、放射線線量が、PTV全体にわたって均一に送達されるように)、均質であることを確実にするよう支援してもよい。EGRTのための種々の方法が、個々に、以下に説明されるが、本明細書に開示される方法のうちの1つ以上が、EGRT期間前またはその間に、組み合わせられてもよいことを理解されたい。随意に、EGRTのこれらの方法のうちの1つ以上は、患者の癌治療の過程において、外科手術、化学療法、小線源療法、および/または他の癌療法と併せて使用されてもよい。
【0034】
EGRTのための方法の一変形例は、減少量の放射線を放射線敏感構造に送達する一方、処方された線量の放射線をPTV内に位置する腫瘍に送達してもよい。そのような方法のある変形例は、選択された組織領域または任意の放射線敏感構造へのいかなる放射線の送達も回避してもよい。放射線敏感構造は、例えば、特に、放射線損傷を受けやすい器官であってもよい。放射線敏感構造として、心臓、食道、直腸、胃、腸上部および下部、胸部、配偶子形成に関わる唾液腺器官、脊髄、および他の神経組織等が挙げられ得る。EGRTのいくつかの変形例では、放射線敏感構造は、随意に、これらの放射線敏感構造が、任意の放射線損傷を自己修復するよう支援し得る放射線防御剤(例えば、アミホスチン)を用いて治療されてもよい。減少量の放射線を放射線敏感構造に送達する方法の一変形例は、放射線敏感構造と交差する同時発生の陽電子消滅放射経路またはLORに沿って、放射線を低頻度で送達するステップを含んでもよい。
図1Aは、計画標的体積PTV(102)および放射線敏感構造(104)を有する患者領域(100)を概念的に描写する。PTV(102)の少なくとも一部は、PET追跡子(例えば、FDG、FLT、F-MISO)を取り込んでおり、陽電子消滅事象から生じる光子を放出していてもよく、すなわち、PTVの少なくとも一部は、PET反応性であってもよい。PTV内において始まる放出経路または応答線は、応答線(106)等の放射線敏感構造(104)と交差してもよい一方、その他は、応答線(108)等の放射線敏感構造(104)と交差しなくてもよい。放射線源(図示せず)は、LOR(108)に沿って、ある周波数および強度で放射線を印加し、処方された線量をPTV(102)に送達してもよい。放射線源は、LOR(106)に沿って、(例えば、周波数および/または強度が)減衰または変調させられた放射線を印加し、放射線敏感構造(104)への放射線暴露を低減させてもよい。例えば、放射線が、LOR(106)に沿って送達される周波数は、確率的態様で、低減されてもよい。代替として、または加えて、LOR(106)に沿って送達される放射線は、LOR(108)に沿って送達される放射線と比較して、減衰(例えば、強度または電力が低減)させられてもよい。
減少量の放射線を放射線敏感構造に送達する一方、処方された線量の放射線をPTVに送達する方法(110)の一実施例は、
図1Bに図式的に表される。方法(110)は、例えば、放射線が、放射線敏感構造と交差するLORに沿って印加される周波数を低減してもよい。本方法は、可動構台と、構台に沿った1つ以上の陽電子放出検出器と、1つ以上の構台上に搭載された放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備えるEGRTシステムを使用して実装されてもよい。LORの処理(112)は、陽電子放出検出器を使用して、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップを含んでもよく、LORに関して随意に、データ(例えば、場所データ、信号強度データ等)をマイクロプロセッサのメモリ内に記憶するステップを含んでもよい。次に、マイクロプロセッサは、LORが、LORの場所データをマイクロプロセッサのメモリ内に記憶されたPTVの場所データと比較することによって、PTVと交差するか否かを評価してもよい(114)。交差しない場合、EGRTシステムは、初期状態(112)に戻り、別のLORを検出してもよい。交差する場合、マイクロプロセッサは、LORの場所データを放射線敏感構造の場所データと比較することによって、LORが放射線敏感構造と交差するか否かを評価してもよい(116)。交差しない場合、マイクロプロセッサは、EGRTシステムの放射線源に命令を送信し、LORに沿って放射線を印加してもよい(122)。交差する場合、マイクロプロセッサは、0~1の間の数Xを無作為に生成してもよい(118)。マイクロプロセッサは、次いで、数Xが、事前にプログラムされた確率閾値Tを下回るか否かを決定する(120)。下回らない場合、EGRTシステムは、初期状態(112)に戻り、別のLORを検出してもよい。調整数Xが、事前にプログラムされた閾値Tを下回る場合、マイクロプロセッサは、放射線源に命令を送信し、LORに沿って放射線を印加してもよい(122)。放射線が検出されたLORに沿って送達されると、方法(110)は、所望に応じて、例えば、処方された線量の放射線が、PTVおよび/または放射線敏感構造に印加されるまで、繰り返されてもよい。実施例として、放射線敏感構造に、周囲組織および/またはPTVの線量レベルの20%以下である線量を処方することが望ましくあり得る。本実施例では、確率閾値Tは、放射線が、放射線敏感構造およびPTVの両方と交差する応答線5本のうちから1本に送達されるように、0.2であるように選択されてもよい。代替として、確率閾値Tはまた、放射線が変調させられる減衰率または倍率を表してもよい。例えば、PTVおよび放射線敏感構造の両方と交差するLORに沿って印加される放射線は、印加される放射線が公称強度レベルの20%であるように、確率閾値T=0.2によって変調させられてもよい。代替として、放射線源の公称リーフ開時間は、公称リーフ開時間の20%であってもよい。確率閾値Tは、任意の好適な値、例えば、0、0.005、0.01、0.05、0.10、0.5、0.75、0.9、1.0等であってもよい。他の変形例では、LORに沿って印加される放射線の強度または電力は、確率的係数によって減衰またはスケーリングさせられてもよい。確率的係数は、閾値T未満である、無作為に生成された数0~1から導出されてもよい。
【0035】
図1C~1Eは、方法(110)が放射線をPTV(140)に印加するために実装されたとき、コンピュータシミュレーション放射線線量マップを表す等値線プロットである。
図1C~1Eにおける様々な等値線プロットは、一様な等値線間隔を有し、放射線敏感構造(142)に印加される放射線の量に及ぼす、確率閾値Tを変動させることの影響を反映する。
図1Cは、確率閾値T=1.0のときの(すなわち、放射線敏感構造への線量送達に対して、何のペナルティもない)線量プロファイルを描写する。本実施例では、放射線敏感構造(142)への放射線線量は、周囲組織の放射線線量に類似する。
図1Dは、確率閾値T=0.2のときの線量プロファイルを描写し、
図1Eは、確率閾値T=0.0のときの線量プロファイルを描写する。確率閾値Tが、ゼロに向かって減少するにつれて、放射線敏感構造(142)への総線量も、等値線マップに描写されるように、減少し得る。
【0036】
EGRT方法の他の変形例では、放射線源は、PTVに送達される放射線ビームの特性を調節し、PTV内の非PET反応性組織へ放射線を送達してもよい。例えば、放射線ビームの幅は、PTV内の非PET反応性組織に放射線を送達するように拡張されてもよく、および/または複数の放射線ビームが、PTV内の非PET反応性場所に経時的に印加されてもよい。そのような方法の一実施例は、
図2Aに概念的に描写される。本方法は、治療計画段階の間に、画像(例えば、PET-CT画像を含む、CT、MRI、PET等のうちの1つ以上)を得て、EGRTの間に治療されるべき計画標的体積または複数の体積を画定するステップを含んでもよい。縁が拡張されるPTV(202)は、PET反応性標的体積(204)の縁から幅(W1)だけ拡張してもよい。EGRT期間の間に、PTV(202)と交差するLOR(206)が陽電子放出検出器(図示せず)によって検出されると、放射線源(210)によって印加される放射線ビーム(208)は、放射線ビーム幅(W2)が、PET反応性体積(204)とPTV(202)との間に追加される縁の方向により広くなるように調節されてもよい。いくつかの変形例では、放射線ビームの幅(W2)は、放射線ビーム(208)が縁拡張方向に実質的に垂直である場合、縁の方向に拡張されてもよい。
【0037】
PTV内のPET反応性体積の境界に隣接する組織に放射線を印加する方法の一実施例は、
図2Bおよび2Cに描写される。
図2Bは、EGRT期間に先立って行われ得る治療計画の間に、またはEGRT期間の間に行われ得る、使用されてもよい方法(220)を描写する。方法(220)は、CT、MRI、PET、および/または複合PET-CT画像等の1つ以上の画像を得るステップを備えてもよい(222)。得られた画像に基づいて、PTVは、PET反応性領域を特定することによって画定されてもよい(224)。随意に、PET反応性体積を越える任意の拡張縁もまた、画定されてもよく、例えば、PTVは、PET反応性組織およびPET反応性組織に隣接する非PET反応性組織を備えてもよい。いくつかの変形例では、治療体積および/またはPET反応性体積を越える拡張縁は、付加的な患者データ、コンピュータ実行画像処理アルゴリズム、および/または施術者入力によって画定されてもよく、PET反応性体積の縁を越えた長さおよび/または幅を有してもよい。PTVの境界を画定する、PET反応性体積および/または拡張縁に関する情報(例えば、標的体積に対する縁拡張の長さ、幅、体積、配向等)は、治療期間の間の使用のために、EGRTシステムのマイクロプロセッサのメモリ内に記憶されてもよい。
【0038】
図2Cは、方法(220)からの情報を使用して、放射線治療を患者に提供し得るEGRT方法(230)の一実施例を描写する。本方法は、前述およびさらに以下に説明されるように、EGRTシステムを使用して実装されてもよい。撮像されたPET反応性体積、および方法(220)からの縁拡張データ(例えば、標的体積に対する縁拡張の長さ、幅、体積、配向等)は、EGRT期間に先立って、EGRTシステムのマイクロプロセッサのメモリ内に記憶されてもよい。代替として、または加えて、拡張縁は、CT、MRI、PET、および/または複合PET-CT画像等の治療の間に、1つ以上の画像を得ることによって、期間の間の任意の時点において、EGRTシステムによって決定または算出されてもよい。LORの処理(232)は、陽電子放出検出器を使用して、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップを含んでもよく、随意に、LORに関するデータ(例えば、場所データ、信号強度データ等)をマイクロプロセッサのメモリ内に記憶するステップを含んでもよい。次に、マイクロプロセッサは、LORの場所データとPTVの場所データとを比較することによって、LORがPTV(234)と交差するか否かを評価してもよい。交差しない場合、EGRTシステムは、初期状態(232)に戻り、別のLORを検出してもよい。交差する場合、マイクロプロセッサは、方法(220)からのデータを使用して、LORが縁拡張方向に実質的に垂直であるか否かを算出してもよい(236)。垂直ではない場合、マイクロプロセッサは、EGRTシステムの放射線源に命令を送信し、LORに沿って放射線を印加してもよい(268)。LORが、縁拡張方向に実質的に垂直であると算出される場合、マイクロプロセッサは、放射線源に命令を送信し、LORに沿って放射線ビームを送達してもよく(240)、放射線ビームは、拡張縁の幅に対応する幅を有する。いくつかの変形例では、拡張縁は、期間の間、EGRTシステムのマイクロプロセッサによって算出されてもよく、単独で、または治療計画段階の間に決定され得る任意の拡張縁と併せて使用されてもよい。放射線がLORに沿って送達されると、方法(230)は、所望に応じて、例えば、処方された線量の放射線がPTVに印加されるまで、繰り返されてもよい。
【0039】
EGRT方法のいくつかの変形例は、計画標的体積から生じる同時発生の陽電子消滅放射経路と、計画標的体積外から始まる放出経路とを区別してもよい。陽電子消滅事象は、PTV外で生じ得、FDG等のあるPET追跡子の取り込み増加は、例えば、心臓、脳、炎症領域、肺の感染領域、または他の解剖学的領域内において生じ得る。例えば、PET追跡子は、複数の場所内の組織によって取り込まれ得、EGRTは、それらの場所のサブセットのみに対して計画されてもよい(すなわち、いくつかのPET反応性組織は、放射線に好適な標的であり得る一方、他のPET反応性組織は、そうではない場合がある)。
図3Aは、第1のPET反応性体積(302)および第2のPET反応性体積(304)を有する患者領域(300)を描写する。本実施例では、第1のPET反応性体積(302)は、PTVの一部でなくてもよい。第2のPET反応性体積(304)は、PTV内に位置してもよい。PTV内から始まる同時発生の陽電子消滅放射経路と、PTV外から始まる放出経路とを区別しないEGRT方法は、PTVをPTV外のPET反応性領域と接続する方向に、増加した放射線線量を印加してもよい。EGRT方法が、比較的により高い放射線の局在化された領域を生み出すことを回避し得る方法の1つは、治療用放射線源が占有し得る各位置に対して、PTV外のPET反応性体積の数学的投影を算出するステップを含んでもよい。例えば、第1のPET反応性体積(302)は、場所(307)における放射線源に対する投影(306)を有し得る。PTV外のPET反応性体積の類似投影は、EGRTシステムの構台上の放射線源場所のうちの1つ以上に対して算出されてもよい。いくつかの変形例では、算出された投影は、特定の場所における投影の値に反比例する、各経路に沿って送達される放射線の時間または強度あるいは発射数を変調させるために使用されてもよい。例えば、PTV外のPET反応性領域は、PTVを通る様々な経路と比較して、PTVを通る経路に沿ってより高い相対的投影値をもたらし得る。放射線源は、算出された投影値に従って、放射線を送達してもよい。例えば、構台のある場所において増加された投影値は、治療用放射線源に信号伝達して、その場所から比例的に減少させられた投影値が送達するであろうより少ない放射線を送達してもよい。送達される放射線は、種々の点において、例えば、放出経路に沿って、時間、強度、または発射数が変調させられてもよい。
【0040】
高放射線の局在化された領域が生み出されることを回避する方法(310)の一実施例が、
図3Bに図式的に表される。方法(310)は、放射線源の場所における「高温点」の投影に従って、LORに沿って印加される放射線を変調させる。本方法は、可動構台と、構台に沿った1つ以上の陽電子放出検出器と、構台に沿った1つ以上の放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備えるEGRTシステムを使用して実装されてもよい。LORの処理(312)は、陽電子放出検出器を使用して、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップを含んでもよく、随意に、マイクロプロセッサのメモリ内にLORに関するデータ(例えば、場所データ、信号強度データ等)を記憶するステップを含んでもよい。次に、マイクロプロセッサは、LORの場所データをマイクロプロセッサメモリ内に記憶され得るPTVの場所データと比較することによって、LORがPTVと交差するか否かを評価してもよい(314)。交差しない場合、EGRTシステムは、初期状態(312)に戻り、別のLORを検出してもよい。交差する場合、マイクロプロセッサは、PTV内にはない1つ以上のPET反応性領域の投影に反比例する変調率を算出してもよい(316)。算出された変調率は、放射線ビームの周波数、デューティサイクル、強度、発射数、および/または他の特性を調節するために使用されてもよい。マイクロプロセッサは、次いで、放射線源に命令を提供し、変調率に従って放射線ビームを変調してもよい。放射線源は、次いで、LORに沿って変調させられた放射線を送達してもよい(318)。検出されたLORに沿って放射線が送達されると、方法(310)は、所望に応じて、例えば、処方された線量の放射線がPTVに印加されるまで、繰り返されてもよい。
【0041】
いくつかのEGRTのための方法は、対象内の密度変動に起因して生じ得るLOR信号強度の任意の減衰を補償してもよい。
図4Aは、PET反応性体積(401)およびより高い密度の領域を有する患者領域(400)を概念的に描写する。増加した密度の領域は、人工インプラント、骨(404)等のより高い組織密度を有する器官等の存在によるものであり得る。例えば、骨構造(404)と交差するLOR(402)は、増加した密度の任意の骨または領域と交差しないLOR(406)よりも多く減衰させられ得る。種々の撮像モダリティは、LORの信号強度の減衰を近似させるために使用されてもよい。EGRTのいくつかの変形例では、キロ電圧(kilovoltage)CT画像を使用して、LOR信号の減衰を推定および補償してもよい。LOR減衰はまた、コーンビームCT、MRI、X線等の他の撮像モダリティに基づいて算出されてもよい。LOR信号の減衰の推定は、計画段階または治療前期間において、あるいは放射線療法治療期間の間に行われてもよい。いくつかの変形例では、LOR信号の減衰は、PETまたはX線撮像技法を使用して、放射線療法治療期間の間に動的に算出されてもよい。放射線ビームは、次いで、LOR信号の減衰に従って調節され、健康組織への放射線を制限しながら、正確な量の放射線がPTVに送達されるように、LOR信号減衰を補償してもよい。ある場合には、減衰させられるLORに沿って増加したレベルの放射線を印加し、減衰効果を補償し、PTVが治療上有効なレベルの放射線を受容することを確実にするよう支援することが、望ましくあり得る。他の場合には、LORを減衰させるより高い密度の領域は、放射線敏感構造であり、そのLORに沿って減少したレベルの放射線を印加し、より高い密度領域に送達される放射線を低減または制限することが、望ましくあり得る。例えば、骨構造は、LOR信号を減衰させ得、減衰させられたLORに沿って印加される放射線は、骨構造に送達される放射線を制限するように低減されてもよい。放射線ビームは、例えば、検出されたLOR信号の大きさまたは周波数の減衰を補償するために、大きさまたは周波数を増加または減少させることによって変調させられてもよい。代替として、または加えて、放射線ビームは、時間(例えば、デューティサイクル)および/または強度が変調させられてもよい。この変調は、患者を通るその総経路に沿って、LORの密度投影を計算し、その投影推定値をLOR光子エネルギーに変換し(すなわち、511keV)、送達される放射線の量がLOR経路に沿った総減衰を補償するように、放射線応答の時間または強度を調節することによって実装されてもよい。
【0042】
十分な量の放射線がPTVに印加されるように、LOR信号減衰を補正または補償する方法(410)の一実施例は、
図4Bに図式的に表される。方法(410)は、LORに沿って印加される放射線を変調させ、LOR信号内において測定される減衰を補償する。本方法は、可動構台と、構台に沿った1つ以上の陽電子放出検出器と、構台に沿った1つ以上の放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備えるEGRTシステムを使用して実装されてもよい。LORの処理(412)は、陽電子放出検出器を使用して、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップを含んでもよく、随意に、マイクロプロセッサのメモリ内にLORに関するデータ(例えば、場所データ、信号強度データ等)を記憶するステップを含んでもよい。次に、マイクロプロセッサは、LORの場所データをマイクロプロセッサメモリ内に記憶され得るPTVの場所データと比較することによって、LORがPTVと交差するか否かを評価してもよい(414)。交差しない場合、EGRTシステムは、初期状態(412)に戻り、別のLORを検出してもよい。交差する場合、マイクロプロセッサは、マイクロプロセッサのメモリ内に前もって入力および/または記憶され得るキロ電圧またはメガ電圧CT画像に基づいて、LOR減衰を算出してもよい(416)。LOR信号の減衰を使用して、放射線ビームを変調するために使用され得る減衰値を算出してもよい(418)。いくつかの変形例では、算出された減衰値は、正確な量の放射線が、減衰させられたLORに送達されるように、LOR信号減衰量に比例して放射線量を減少または増加させることによって、放射線療法平均エネルギーを調節してもよい。マイクロプロセッサは、次いで、放射線源に命令を提供し、算出された減衰値に従って放射線ビームを変調してもよい。例えば、放射線ビームは、減衰率に比例または反比例して変調させられてもよい。放射線源は、次いで、LORに沿って、変調させられた放射線を送達してもよい(420)。検出されたLORに沿って放射線が送達されると、方法(410)は、所望に応じて、例えば、処方された線量の放射線がPTVに印加されるまで、繰り返されてもよい。
【0043】
EGRTシステムと併用され得る方法の一変形例は、放射線を複数の計画標的体積に送達するために使用されてもよい。方法は、陽電子放出活性を複数の計画標的体積から検出するステップと、次いで、計画標的体積のうちの少なくとも1つと交差する各検出されたLORに沿って、1つ以上の放射線ビームを印加するステップとを含んでもよい。EGRTシステムおよび方法は、ほぼリアルタイム(例えば、LORが検出されてから数秒以内)でLORに応答することによって、その移動の相関性に関わらず、計画標的体積のそれぞれの任意の移動を補償可能であり得る。例えば、放射線ビームは、LORが検出されてから5秒、4秒、3秒、2秒、1秒、または0.5秒未満以内に検出されたLORに沿って印加されてもよい。
図14Aは、患者領域(1400)が、第1のPTV内の矢印(1404)に沿って移動可能な第1のPET反応性領域(1402)と、第2のPTV内の矢印(1408)に沿って移動可能な第2のPET反応性領域(1406)とを有する一実施例を描写する。第1のPET反応性体積の移動と第2のPET反応性体積の移動とは、相関していても、または相関していなくてもよい。LOR(1410)、(1412)、および(1414)は、計画標的体積のうちの少なくとも1つと交差するLORを表す。EGRTシステムは、1つ以上の放射線ビームを、LOR(1410)に沿って第1のPET反応性領域(1402)に印加し、および/または放射線ビームを、LOR(1412)に沿って第2のPET反応性領域(1406)に印加し、および/または放射線ビームを、LOR(1414)に沿って第1および第2のPET反応性領域の両方に印加し、処方された線量の放射線を第1および第2のPET反応性領域に送達してもよい。
【0044】
放射線を複数の計画標的体積に送達するための方法(1420)の一実施例は、
図14Bに図式的に表される。本方法は、可動構台と、構台に沿った1つ以上の陽電子放出検出器と、構台に沿った1つ以上の放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備えるEGRTシステムを使用して実装されてもよい。LORの処理(1422)は、陽電子放出検出器を使用して、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップを含んでもよく、随意に、マイクロプロセッサのメモリ内にLORに関するデータ(例えば、場所データ、信号強度データ等)を記憶するステップを含んでもよい。次に、マイクロプロセッサは、LORの場所データを第1のPTVの場所データと比較することによって、LORが第1のPTVと交差するか否かを評価してもよい(1424)。交差する場合、マイクロプロセッサは、命令を放射線源に送信し、LORに沿って放射線を印加してもよい(1428)。LORが第1のPTVと交差しない場合、マイクロプロセッサは、LORの場所データを第2のPTVの場所データと比較することによって、LORが第2のPTVと交差するか否かを評価してもよい(1426)。交差する場合、マイクロプロセッサは、命令を放射線源に送信し、LORに沿って放射線を印加してもよい(1428)。交差しない場合、EGRTシステムは、初期状態に戻り、別のLORを検出してもよい(1422)。検出されたLORに沿って放射線が送達されると、方法(1420)は、所望に応じて、例えば、処方された線量の放射線が、第1および/または第2の計画標的体積に印加されるまで、繰り返されてもよい。
【0045】
EGRT方法のいくつかの変形例は、治療用放射線源が、放射線ビームをPTVに向かって精密に指向することを支援するために使用されてもよい。そのような方法の一実施例は、
図5Aに概念的に描写され、患者領域(500)によって表される患者は、EGRTシステムの構台(502)の中心部分内に位置する。陽電子放出検出器によって検出されたLOR(503)は、最初に、LOR(503)がPTV(504)と交差するか否かを決定するように評価されてもよい。いくつかの状況では、放射線源(506)は、検出されたLORから有限距離に配置されると、放射線ビーム(508)を発射させてもよい。放射線ビーム(508)は、LOR(504)と放射線ビーム(508)とを整列させるよう支援し得るPTV(504)内の特定地点(507)に指向させられてもよい。地点(507)は、LORとPTVの交差点によって形成される、線分の中間点であってもよい。例えば、地点(507)は、LORがPTVの境界を横断する第1の地点を識別し、境界の第2の場所においてLORがPTVの境界と横断する第2の地点を識別し、第1の地点と第2の地点とを接続し、線分を画定することによって算出されてもよい。地点(507)は、画定された線分の中間点であってもよい。代替として、地点(507)は、PTV内の任意の別の場所であってもよい。
【0046】
放射線ビームをPTV内の特定の場所に精密に指向させる方法(510)の一実施例が、
図5Bに図式的に表される。方法(510)は、放射線源を指向させ、LORとPTVとの交差点によって形成される線分の中間点に放射線ビームを印加する。本方法は、可動構台と、構台に沿った1つ以上の陽電子放出検出器と、構台に沿った1つ以上の放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備えるEGRTシステムを使用して実装されてもよい。LORの処理(512)は、陽電子放出検出器を使用して、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップを含んでもよく、随意に、マイクロプロセッサのメモリ内にLORに関するデータ(例えば、場所データ、信号強度データ等)を記憶するステップを含んでもよい。次に、マイクロプロセッサは、LORの場所データをPTVの場所データと比較することによって、LORがPTVと交差するか否かを評価してもよい(514)。交差しない場合、EGRTシステムは、初期状態(512)に戻り、別のLORを検出してもよい。交差する場合、マイクロプロセッサは、LORとPTVとの交差点によって形成される線分の中間点を算出してもよい(516)。マイクロプロセッサは、次いで、放射線源に命令を提供し、前のステップにおいて算出された中間点に向かって、放射線ビームを指向および印加してもよい(518)。検出されたLORに沿って放射線が送達されると、方法(510)は、所望に応じて、例えば、処方された線量の放射線がPTVに印加されるまで、繰り返されてもよい。
【0047】
EGRT方法の他の変形例は、複数の場所からおよび/または複数の時間点において、単一のLORに応じて放射線を送達するステップを含んでもよい。実施例として、放射線ビームは、LORのいずれかの端部からLORに沿って、または同一のLOR終点から異なる時間において、送達されてもよい。
図6Aおよび6Bは、複数の放射線ビームが、どのようにLORに沿って印加され得るかの一実施例を概念的に描写する。
図6Aは、PTV(604)のPET反応性領域を有する構台(602)内に位置する患者(600)を描写する。PTV(604)内から始まるLOR(606)は、構台(602)に沿った第1の場所(608)および第2の場所(610)において検出されてもよい。放射線源(612)は、種々の位置で、構台に沿って移動させられ、放射線ビームをLOR(606)に沿ってPTV(604)に印加してもよい。例えば、
図6Bに描写されるように、放射線源(612)は、第1の場所(608)に移動させられ、第1の放射線ビーム(614)をLOR(606)に沿ってPTV(604)に印加してもよい。加えて、または代替として、
図6Cに描写されるように、放射線源(612)は、第2の場所(610)に移動させられ、第2の放射線ビーム(616)をLOR(606)に沿ってPTV(604)に印加してもよい。いくつかの変形例では、複数の放射線ビームが、放射線源(612)から、単一の位置に位置するLOR(606)に沿って印加されてもよい。
【0048】
PTV内の特定の場所を目がけて、放射線ビームを精密に指向させる方法(620)の一実施例が、
図6Dに図式的に表される。方法(620)は、検出されたLORの1つ以上の終点から放射線ビームを印加するために、放射線源を指向させる。本方法は、可動構台と、構台に沿った1つ以上の陽電子放出検出器と、構台に沿った1つ以上の放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備えるEGRTシステムを使用して実装されてもよい。LORを処理すること(622)は、陽電子放出検出器を使用して、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップを含んでもよく、随意に、マイクロプロセッサのメモリ内にLORに関するデータ(例えば、場所データ、信号強度データ等)を記憶するステップを含んでもよい。次に、マイクロプロセッサは、LORの場所データをPTVの場所データと比較することによって、LORがPTVと交差するか否かを評価してもよい(624)。交差しない場合、EGRTシステムは、初期状態(622)に戻り、別のLORを検出してもよい。交差する場合、マイクロプロセッサは、放射線源に命令を提供し、第1の放射線ビームをLORに沿って第1の場所から送達してもよい(626)。マイクロプロセッサは、次いで、放射線源に命令を提供し、第2の放射線ビームをLORに沿って第2の場所から印加してもよい(628)。随意に、複数の放射線ビームが、LORに沿って同一の場所から送達されてもよい。検出されたLORに沿って放射線が送達されると、方法(620)は、所望に応じて、例えば、処方された線量の放射線がPTVに印加されるまで、繰り返されてもよい。
【0049】
方法の別の変形例は、強度変調させられた放射線療法(IMRT)およびEGRTを組み合わせて、放射線治療を計画標的体積に送達してもよい。ハイブリッドIMRT-EGRT方法は、同時発生の陽電子消滅放射信号が低い場合、またはより短い治療時間が所望される場合に、有用であり得る。いくつかの変形例では、IMRTとEGRTとは、別個の治療前計画を有してもよく、放射線療法の間、IMRTは、期間の一部の間、放射線ビームを送達するために使用されてもよい一方、EGRTは、期間の別の部分の間、放射線ビームを送達するために使用されてもよい。例えば、放射線ビームは、構台に沿った放射線源の各位置に対して、最初に、IMRTを、次に、EGRTを使用して(または、その逆において)印加されてもよい。いくつかの方法は、放射線療法期間の間、1つ以上の放射線源位置に対して、IMRTとEGRTとを交互させてもよい。
【0050】
ハイブリッドIMRT-EGRT方法(700)の一実施例は、
図7に図式的に表される。方法(700)は、IMRTおよびEGRT技法の両方を利用して、放射線をPTVに印加してもよい。方法(700)は、可動構台と、構台に沿った1つ以上の陽電子放出検出器と、構台に沿った1つ以上の放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備えるEGRTシステムを使用して実装されてもよい。放射線源は、ある構台角度で、構台に沿った第1の場所に移動させられてもよい(702)。いくつかの変形例では、一組の構台角度が、円形構台の周囲に均一に離間されてもよい一方、他の変形例では、構台角度の間隔は、均一でなくてもよい。各構台角度場所において、マイクロプロセッサは、複数のLORに関するデータ(例えば、場所データ、信号強度データ等)を陽電子放出検出器から受信してもよく、事前にプログラムされたか、またはマイクロプロセッサ内に記憶された所定のモデルに基づいて、IMRTまたはEGRTが、放射線をPTVに送達するために使用されるべきか否か(706)を算出または計算してもよい(704)。この決定は、EGRTの使用に応答するために十分なLORデータが存在するか否かに基づいて、決定されてもよい。IMRTが選択される場合、マイクロプロセッサは、放射線源に命令を提供し、放射線をPTV全体に送達してもよい(708)。EGRTが選択される場合、マイクロプロセッサは、LORがPTVと交差するか否かを評価してもよい(710)。交差しない場合、EGRTシステムは、初期状態(702)に戻り、次の構台角度を処理してもよい。交差する場合、マイクロプロセッサは、放射線源に命令を提供し、LORに沿って放射線ビームを送達してもよい(712)。放射線が、IMRTまたはEGRTを使用して送達されると、放射線源は、別の場所に移動させられてもよく、方法(700)は、所望に応じて、例えば、処方された線量の放射線がPTVに印加されるまで、繰り返されてもよい。
【0051】
EGRTのための方法の別の変形例では、方法は、治療期間の間に、PTVの場所および/または配向を更新するステップを含んでもよい。例えば、PTVの重心は、治療の間に生じ得る任意の腫瘍移動(例えば、患者の呼吸パターン、器官変形、蠕動、または患者の位置の偏移等の変化のため)を考慮するように再画定されてもよい。
図8Aおよび8Bは、初期位置におけるPTV(802)およびPTV(802)内の初期位置における腫瘍(804)を有する患者領域(800)を概念的に描写する。PTVおよび腫瘍の初期位置は、治療前期間または放射線療法期間の間の早い段階の時間点において、測定されてもよい。放射線療法の過程において、PTVの位置は、例えば、
図8Bに描写される位置まで偏移させられる必要があり得る。そこに図示されるように、PTVは、第2の位置(806)に再画定され、腫瘍(808)の新しい動作範囲を反映してもよい。いくつかの実施例では、PTVの重心は、腫瘍の平均動作範囲に従って再画定されてもよい。加えて、または代替として、PET画像は、前の時間間隔(例えば、最後の0.5秒、1秒、2秒、10秒、20秒、50秒、60秒、90秒等)において、PET信号データに基づいて再構築され、PTVを変形させる(並進、回転、再配向、伸張、または収縮等)ために使用されてもよい。いくつかのEGRT方法は、ベースライン走査に対して、または最後に再構築されたPET画像に対して、時間的に不明瞭な再構築されたPET画像の重心の変化に基づいて、PTV重心を再画定するステップを含んでもよい。
【0052】
PTVの位置を周期的に更新するEGRT方法(810)の一実施例は、
図8Cに描写される。方法(810)は、30秒毎に、PTVの位置を更新してもよいが、任意の更新周期が、所望に応じて選択されてもよいことを理解されたい(例えば、0.5秒、1秒、2秒、10秒、20秒、50秒、60秒、90秒等)。方法(810)は、可動構台と、構台に沿った1つ以上の陽電子放出検出器と、構台に沿った1つ以上の放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備えるEGRTシステムを使用して実装されてもよい。EGRT治療(812)の開始後、マイクロプロセッサは、治療前データまたは最後の30秒からの最新陽電子消滅放射データに基づいて、初期または新しいPET画像を再構築してもよい(814)。PETデータおよび/または画像は、マイクロプロセッサのメモリ内に記憶されてもよい。マイクロプロセッサは、次いで、PTVの現在の位置の場所データとPTVの以前の位置の場所データとを比較することによって、PTVの現在の位置が、PTVの以前の位置から変化しているか否かを決定してもよい(816)。移動していない場合、マイクロプロセッサは、前述で説明されたように、放射線源に命令を提供し、検出されたLORに沿って放射線ビームを印加してもよく、EGRTは、次いで、再開してもよい(818)。移動している場合、PTV位置は、マイクロプロセッサのメモリ内で更新されてもよい(820)。マイクロプロセッサは、次いで、更新されたPTV場所情報を使用して、検出されたLORが更新されたPTV内に位置するか否かを決定してもよい。EGRTは、再開してもよい(818)。放射線がLORに沿って送達されると、方法(810)は、所望に応じて、例えば、処方された線量の放射線がPTVに印加されるまで、繰り返されてもよい。
【0053】
EGRT方法のいくつかの変形例は、別様に均一なPET反応性体積の中心に生じ得る放射線線量のピーク発生(すなわち、「逆投影効果」)を低減または回避するために使用されてもよい。この効果は、PET反応性体積の中心近傍の体積と交差するLORが、体積の縁に向かって交差するものよりも高い頻度で検出され得るために生じ得る。EGRT方法は、フィルタ補正逆投影技法を使用して、PET反応性領域内の放射線ピークを低減または排除してもよい。
図9Aは、略均一な密度で光子を放出し得るPET反応性体積(900)の一次元の数学的投影(902)を算出するために使用され得る方法を概念的に描写し、投影(902)は、放射線源のある位置と交差する同時発生の陽電子消滅放射の数を計数することによって計算される。計算された数学的投影(902)は、フィルタ補正逆投影アルゴリズム、例えば、Ram-Lakフィルタ、Shepp-Loganフィルタ、または画像再構築のために使用され得る任意の他のフィルタにおいて使用するために好適なフィルタ(904)によって、数学的にフィルタリングされてもよい。フィルタ補正投影の結果は、修正され、例えば、ゼロに設定され、フィルタ補正後投影(906)を得ることができる負の値をもたらしてもよい。フィルタ補正後投影(906)を使用して、次いで、PET反応性体積への放射線エネルギーのより均一な印加が送達されるように、放射線ビームを変調させるために使用されてもよい。例えば、送達される放射線の強度、および/または送達される放射線の時間的側面が、フィルタ補正後投影(906)に比例してもよい。
【0054】
PET反応性領域内の放射線ピークを低減または排除する放射線を印加するために使用され得るEGRT方法(910)の一実施例が、
図9Bに描写される。本方法は、可動構台と、構台に沿った1つ以上の陽電子放出検出器と、構台に沿った1つ以上の放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備えるEGRTシステムを使用して実装されてもよい。LORの処理(912)は、陽電子放出検出器を使用して、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップを含んでもよく、随意に、マイクロプロセッサのメモリ内にLORに関するデータ(例えば、場所データ、信号強度データ等)を記憶するステップを含んでもよい。次に、マイクロプロセッサは、LORがPTVと交差するか否かを評価してもよい(914)。交差しない場合、EGRTシステムは、初期状態(912)に戻り、別のLORを検出してもよい。交差する場合、マイクロプロセッサは、LORへの放射線応答が変調させられるべき程度を計算する(916)。マイクロプロセッサは、
図9Aに説明されるように、線量分布を計算し、ゼロに修正された負の値によって、Ram-Lakフィルタ補正PTV投影に基づいて、放射線応答を変調させてもよい。マイクロプロセッサは、次いで、放射線源に命令を提供し、フィルタ補正後投影に従って、放射線ビームを変調させてもよい。放射線源は、次いで、変調させられた放射線をLORに沿って送達してもよい(918)。検出されたLORに沿って、放射線が送達されると、方法(910)は、所望に応じて、例えば、処方された線量の放射線がPTVに印加されるまで、繰り返されてもよい。
【0055】
EGRTにおいて使用され得る別の方法は、治療されるべき患者体積にわって、陽電子放出分布または光子放出分布のリアルタイムまたはほぼリアルタイム測定強度に比例する放射線線量を送達してもよい。そのような方法は、放出経路を検出するための陽電子放出および/または単一光子放出検出器と、PTVに印加される放射線ビームを成形するためのコリメータを有する放射線源とを有するEGRTシステムと併用されてもよい。同時発生の陽電子消滅放射および/またはSPECT信号の分布は、低酸素状態、細胞増殖の増加、あるいは治療されるべき患者体積の他の生物学的または機能的側面の領域と相関し得る。例えば、
図11Aに描写されるように、特定の時間(T1)では、腫瘍(1100)は、放射線追跡子取り込みの増加率を実証し得る第1の場所に、サブ領域(1102)を有し得る。腫瘍および/またはサブ領域は、時間(T2)におけるサブ領域(1104)が、腫瘍(1100)内の第2の場所にあり得るように移動し得る。ある場合には、患者体積のこれらのサブ領域への放射線線量を上昇させることが望ましくあり得、これは、これらのサブ領域の動作の追跡を伴い得る。本方法のいくつかの変形例は、FDG、F-MISO、FLT、F-ACBC、Cu-ATSM等の1つ以上のPET追跡子、ならびにTc-99m標識化合物、99mTc-HL91、111In-カプロマブペンデチド等の1つ以上のSPECT追跡子を使用してもよく、これは、PTV全体を通した生物学的および機能的構成に関する付加的情報を提供し得る。
【0056】
PTVからのSPECTおよび/または同時発生の陽電子消滅放射信号に比例する放射線をPTVに送達するEGRT方法(1110)の一実施例は、
図11Bに描写される。本方法は、可動構台と、構台に沿った1つ以上の単一光子/陽電子放出検出器と、構台に沿った1つ以上の放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備えるEGRTシステムを使用して実装されてもよい。SPECTまたはPET追跡子は、患者内に注入されてもよい(1112)。注入され得るPET追跡子の実施例として、F-MISO、FLT、FDG等が挙げられる。注入され得るSPECT追跡子の実施例として、Tc-99m標識化合物、99mTc-HL91、111In-カプロマブペンデチド(ProstaScint)が挙げられる。SPECTまたはPET追跡子の薬物動態に従って、十分な時間周期が経過後(1114)、EGRTが、前述のように、開始してもよい(1116)。
【0057】
図11Bに描写される方法もまた、SPECT追跡子を使用して行われてもよい。EGRTシステムは、単一光子放出検出器を備え、標的体積から放出される単一光子を捕捉してもよい。放射線源は、次いで、マイクロプロセッサによって、放射線を単一光子放出の線形経路に沿って印加するように命令されてもよい。マイクロプロセッサはまた、検出された光子のエネルギーレベル間で判別を行い、光子のエネルギーに従って、検出された光子の線形経路に沿って、印加される放射線のレベルを変調してもよい。PET追跡子の場合、EGRTの一実施例は、陽電子放出検出器を使用して、標的体積内にある複数のPET追跡子から発生されるLOR放出を捕捉してもよい。マイクロプロセッサは、放射線源に、計画標的体積と交差する検出されたLORに沿って放射線を印加するよう命令するであろう。
【0058】
いくつかの状況では、PTVは、それを直に包囲する組織よりも低いLOR信号を有し得る。そのような条件では、放射線ビームは、代わりに、周囲組織の平均割合より少ない数の検出されたLORを有する、組織の領域であり得る、「低温点」に指向させられてもよい。「低温点」は、以前のPET走査から、またはある時間間隔(例えば、放射線ビームの印加前の0.5秒、1秒、5秒、20秒、30秒、90秒)にわたって蓄積されたPETデータを使用して、画像を再構築し、再構築された画像を使用して、「低温点」領域を決定することによって、検出されてもよい。
図12Aは、「低温点」(1202)を有する計画標的体積(1200)、すなわち、減少した同時発生の陽電子消滅放射活性を有する、PTV内の組織の領域を図式的に描写する。「低温点」組織の実施例は、18F-ML-10等の細胞アポトーシスを検出するPET追跡子を使用する、低信号FDG取り込みまたは領域を有する脳内の領域が挙げられ得る。より低い密度のLORは、方向(1204)に沿って検出され得る一方、より高い密度のLORは、方向(1206)に沿って検出され得る。EGRTシステムは、方向(1204)に沿って、より多くの放射線を送達し、「低温点」(1202)内の組織を治療するようにプログラムされてもよい。
【0059】
EGRTシステムと併用され、低LOR活性を有する組織の領域に放射線を印加し得る方法の一実施例が、
図12Bに表される。本方法は、可動構台と、構台に沿った1つ以上の陽電子放出検出器と、構台に沿った1つ以上の放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備える、EGRTシステムを使用して実装されてもよい。放射線源は、構台上のある場所に配置されてもよい(1212)。マイクロプロセッサは、1つ以上の陽電子放出検出器から収集されたデータを使用して、その放射線源の場所において、PET体積LOR投影を計算してもよい(1214)。マイクロプロセッサは、次いで、以前のPET走査画像等の以前に記憶された画像から、または以前の時間間隔にわたって蓄積されたPETデータを使用して画像を再構築することによって、決定され得る所定の閾値を有するLOR数を比較する(1216)。LOR数が、所定の閾値を上回る場合、マイクロプロセッサは、放射線ビームを発射するための命令を発行せず、EGRTシステムは、初期状態(1212)に戻り、別の構台場所におけるLOR投影を処理してもよい。LOR数が、所定の閾値を下回る場合、マイクロプロセッサは、LORの方向が、PTVと交差するか否かを評価してもよい(1218)。LORの方向が、PTVと交差しない場合、マイクロプロセッサは、放射線ビームを発射するための命令を発行せず、EGRTシステムは、初期状態(1212)に戻り、別の構台場所において、LOR投影を処理してもよい。LORの方向が、PTVと交差する場合、マイクロプロセッサは、放射線源に命令を提供し、LOR数が所定の閾値を下回る方向に沿って、放射線を送達してもよい(1220)。
図12Bに描写される方法はまた、SPECT追跡子および単一光子放出検出器を備えるEGRTシステムを使用して行われてもよい。
【0060】
随意に、前述の方法のいずれも、PETまたはSPECT放射線追跡子等の複数の放射性追跡子を一度に使用してもよい。例えば、患者は、FDGおよびFLTの混合物、または任意の他の所望の組み合わせ放射性追跡子が注入されてもよい。EGRTシステムは、どのタイプの追跡子が崩壊事象から生じるかにかかわらず、PTVと交差する任意の検出されたLORに沿って、放射線ビームを印加するように構成されてもよい。
【0061】
複数のPET追跡子が、本明細書において説明されるEGRT方法のいずれかと併用され得る方法(1300)が、
図13に描写される。本方法は、可動構台と、構台に沿った1つ以上の陽電子放出検出器と、構台に沿った1つ以上の放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備えるEGRTシステムを使用して実装されてもよい。第1の追跡子(例えば、FDG)が、患者内に注入されてもよい(1302)。続いて、または同時に、第2の追跡子(例えば、FLT)が、患者内に注入されてもよい(1304)。第1および第2の追跡子の薬物動態に従って、十分な時間周期が経過後に(1306)、EGRTが、前述のように、開始してもよい(1308)。
【0062】
加えて、前述の方法のいずれもが、基準マーカー、放射線不透過性マーカー、またはPTVが放射線療法のために追跡されることを可能にする任意の他の識別子と組み合わせて、使用されてもよい。いくつかの変形例では、本明細書において説明される方法は、必要に応じて、外科手術および/または化学療法と組み合わせて、使用されてもよい。
【0063】
随意に、前述の方法のいずれもが、飛行時間(TOF)方法を使用して、陽電子消滅放射の原点が計画標的体積内またはそれに十分に近接しているか否か評価してもよい。TOF方法は、PETシステムと併用され、単一のLORの各終点の検出間の時間差(すなわち、同時発生の陽電子消滅放射光子のそれぞれの検出間の時間差)を計算することによって、診断PET画質を改善するよう支援してもよい。TOF方法から得られた情報を使用して、マイクロプロセッサは、陽電子放出の原点をLOR経路に沿って予想または算出してもよい。例えば、原点の約5cmの推定誤差を有する方法は、その計算された陽電子放出原点が、PTV境界からのこの誤差(例えば、5cm)を上回るLOR事象を除外するようにシステムをトリガしてもよい。
図10Aおよび10Bは、TOF方法が、どのように前述のEGRTシステムおよび方法のいずれかと併用され得るかを概念的に描写する。構台(1000)内に位置する患者(1002)は、PTV(1004)を有してもよい。EGRTシステムは、LOR(1006)を検出してもよく、EGRTのマイクロプロセッサは、TOF方法を使用して、LORの原点がPTV内またはそれに十分に近接しているか否かを評価してもよい。例えば、
図10Aでは、LOR(1006)の計算された原点(1008)が示される。原点(1008)は、PTV(1004)と共存せず、PTV(1004)にも十分に近接しないので、マイクロプロセッサは、LOR(1006)を無視し、新しいLORを処理する状態に戻るようにプログラムされてもよい。
図10Bに描写される別の実施例は、LOR(1007)の計算された原点(1009)がPTVに十分に近接しており、マイクロプロセッサが放射線源に命令を提供し、放射線をLOR(1007)に沿って印加するようにプログラムされ得る実施例を描写する。前述のEGRTシステムのいずれかと組み合わせて、TOF方法を含むことは、PTV内にまたはそれに十分に近接していることからは生じない事象を排除することによって、EGRT性能を改善するよう支援し得る。
【0064】
前述のEGRT方法のいずれかと併用され得るTOF方法(1010)の一実施例は、
図10Cに描写される。本方法は、可動構台と、構台に沿った1つ以上の陽電子放出検出器と、構台に沿った1つ以上の放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備える、EGRTシステムを使用して実装されてもよい。LORの処理(1012)は、陽電子放出検出器を使用して、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップを含んでもよく、随意に、マイクロプロセッサのメモリ内にLORに関するデータ(例えば、場所データ、信号強度データ等)を記憶するステップを含んでもよい。次に、マイクロプロセッサは、LORの場所データをPTVの場所データと比較することによって、LORがPTVと交差するか否かを評価してもよい(1014)。交差しない場合、EGRTシステムは、初期状態(1012)に戻り、別のLORを検出してもよい。交差する場合、マイクロプロセッサは、TOF方法を使用して、陽電子放出原点を算出する(1016)。PTVに対する原点の場所に基づいて、マイクロプロセッサは、次いで、原点がPTVに十分に近接しているか否かを評価してもよい(1018)。近接していない場合、EGRTシステムは、初期状態(1012)に戻り、別のLORを検出してもよい。近接している場合、マイクロプロセッサは、次いで、放射線源に命令を提供し、放射線をLORに沿って送達してもよい(1020)。放射線が検出されたLORに沿って送達されると、方法(1010)は、所望に応じて、例えば、処方された線量の放射線がPTVに印加されるまで、繰り返されてもよい。
【0065】
前述のように、前述の方法のいずれもは、任意の好適なEGRTシステム、例えば、2009年2月9日出願の米国特許出願公開第2009/0256078号(前述で参照することによって全体として組み込まれる)に説明されるEGRTシステム等を使用して行われてもよい。PETを放射線療法と組み合わせるEGRTシステムの別の変形例は、それぞれ別個に回転可能である内側構台および外側構台を有する構台を備えてもよい。1つ以上の陽電子放出検出器が、内側構台上に位置してもよい一方、1つ以上の放射線源が、外側構台上に位置してもよい。内側構台は、外側構台よりも高速で回転してもよい。いくつかの変形例では、陽電子放出検出器を有する内側構台は、陽電子放出検出器が、放射線源ほど重くなくあり得るので、放射線源を有する外側構台よりも高速で回転し得る。代替として、または加えて、内側および外側構台はそれぞれ、異なる電力出力を有するモータシステムによって支持されてもよく、モータシステムはそれぞれ、独立して制御されてもよい。
図15Aおよび15Bは、EGRTシステム(1500)の一実施例を描写する。内側構台(1502)は、相互から180度に位置する2つの陽電子放出検出器(1505)を有する。外側構台(1504)は、PTV(1510)と交差するLOR(1508)に応答するように構成される放射線源(1506)を有する。EGRTシステムは、EGRTシステムが1つ以上のLORを検出する第1のモード(例えば、「感知」モード)と、EGRTがPTV(1510)と交差する検出されたLORに沿って放射線を印加する第2のモード(例えば、「発射」モード)とを有してもよい。感知モードでは、陽電子放出検出器は、
図15Aに描写されるように、対象を放射線源(1506)から遮蔽してもよい。感知モードにおいて、応答線が検出されてもよいが、放射線は、送達されない。
図15Bに描写される発射モードにおいて、陽電子放出検出器は、もはや患者を放射線源から遮蔽せず、放射線源(1506)は、検出されたLORに沿って放射線を印加してもよい。陽電子放出検出器を支持する内側構台(1502)は、放射線源を支持する外側構台(1504)よりも実質的により高速で回転可能であり得、これは、LOR検出と放射線応答との間の非常に僅かな遅延時間をもたらし得る。
【0066】
別個に回転可能な内側および外側構台を有する構台と、構台に沿った1つ以上の陽電子放出検出器と、1つ以上の構台上に搭載された放射線源と、モーションシステムと、マイクロプロセッサとを備えるEGRTシステムと併用され得る方法の一実施例が、
図15Cに表される。マイクロプロセッサは、最初に、ユーザ入力および/または事前にプログラムされた状態に基づいて、システムが感知モードにあるか否かを決定してもよい(1522)。EGRTシステムが感知モードにある場合、陽電子放出検出器によって測定されるLOR(1530)が収集され、随意に、陽電子放出検出器および/またはマイクロプロセッサのメモリ内に記憶されてもよい。マイクロプロセッサは、LORの配向および方向をPTVの場所と比較し、LORがPTVと交差するか否かを決定してもよい(1532)。LORがPTVと交差しない場合、マイクロプロセッサは、初期状態(1522)に戻ってもよい。LORがPTVと交差する場合、LORは、マイクロプロセッサのメモリキューに追加される(1534)。EGRTシステムが感知モードにある間、複数のLORは、メモリキュー内に記憶されてもよい。いくつかの変形例では、EGRTシステムは、放射線療法期間の開始時に感知モードに初期化してもよい。
【0067】
しかしながら、初期状態(1522)にある場合、マイクロプロセッサは、EGRTシステムが感知モードにないことを決定し、またはそうではない場合、マイクロプロセッサが有効応答線のキューからの応答線を処理してもよい(1524)。LORの処理は、陽電子放出検出器を使用して、単一同時発生陽電子消滅放射経路を検出するステップを含んでもよく、随意に、マイクロプロセッサのメモリキュー内にLORに関するデータを記憶するステップを含んでもよい。マイクロプロセッサは、次いで、例えば、放射線源にクエリを行うことによって、LORの場所を放射線源の場所と比較し、放射線源が、概してLORと整列させられているか否かを決定してもよい(1526)。整列させられていない場合、マイクロプロセッサは、LORに沿って放射線を印加するよう放射線源に命令を提供せず、初期状態(1522)に戻ってもよい。整列させられている場合、マイクロプロセッサは、放射線源に命令を提供し、LORに沿って放射線ビームを発射してもよい(1528)。これは、システムが感知モードに戻るまで、または放射線がメモリキュー内に記憶された全LORに沿って送達されるまで、繰り返されてもよい。
【0068】
前述の発明は、明確性および理解の目的のために、例示および実施例として、ある程度詳細に説明されたが、変更および修正が実践されてもよく、添付の請求項の範囲内であることが意図されることは、明白であろう。
【0069】
値の範囲が提供される場合、文脈によって明確に別様に示されない限り、下限の単位の1/10まで、その範囲の上限と下限との間の各介在値もまた、具体的に開示されるものと理解されたい。任意の記載値または記載範囲内の介在値と任意の他の記載またはその記載範囲内の介在値との間の各より小さい範囲も、本発明内に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、範囲内に含有または除外されてもよく、より小さい範囲内に一方または両方の限界が含まれる、あるいはいずれも含まれない、各範囲もまた、記載範囲内の任意の具体的に除外される限界を条件として、本発明内に包含される。記載範囲が、一方または両方の限界を含む場合、それらの含まれる限界の一方または両方を除外する範囲もまた、本発明内に含まれる。
【0070】
別様に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書において説明されるものに類似する、またはそれと同等である、任意の方法および材料が、本発明の実践または試験において使用され得るが、いくつかの潜在的かつ好ましい方法および材料が、ここに説明される。
【0071】
本明細書および添付の請求項で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって明確に別様に示されない限り、複数参照を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「刃」についての言及は、複数のそのような刃を含み、「エネルギー源」についての言及は、1つ以上のエネルギー源および当業者に公知のその均等物の言及を含む等となる。
【0072】
本明細書で論じられる刊行物は、単に、その開示のために提供される。本明細書に記載のいずれも、本発明が、先行発明であるという理由から、そのような刊行物に先行する権限が与えられるという了解として解釈されるものではない。さらに、提供される刊行物の日付は、該当する場合、実際の公開日と異なる場合があり、独立して、確認される必要があり得る。
【0073】
前述は、単に、本発明の原理を図示する。当業者は、本明細書に明示的に説明または図示されないが、本発明の原理を具現化し、その精神および範囲内に含まれる、種々の配列を考案可能であろうことを理解されるであろう。さらに、本明細書に列挙される全ての実施例および条件付きの文言は、読者が、発明者らによって当技術の増進に寄与する本発明の原理および概念を理解することを補助することを意図し、そのような具体的に列挙される実施例および条件に限定されないものと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、側面、および実施形態ならびにその具体的実施例を列挙する、本明細書の全ての記載は、その構造的および機能的両方の均等物を包含することが意図される。加えて、そのような均等物は、現在公知の均等物および将来開発される均等物の両方を含む、すなわち、構造に関わらず同一の機能を果たす任意の要素を含むことが意図される。本発明の範囲は、したがって、本明細書に図示および説明される例示的実施形態に限定されることを意図しない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の請求項によって具現化される。本明細書において説明される全実施形態に対して、方法のステップは、連続して行われる必要はない。
【外国語明細書】