(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172455
(43)【公開日】2022-11-16
(54)【発明の名称】溶接トーチウィービングのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B23K 9/095 20060101AFI20221109BHJP
B23K 9/127 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B23K9/095 501F
B23K9/127 502Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022075713
(22)【出願日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】17/307,040
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510202156
【氏名又は名称】リンカーン グローバル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ランス エフ.ギュモン
(72)【発明者】
【氏名】アデウォレ エー.アイオアディ
(72)【発明者】
【氏名】フロイド エム.トンプソン ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ディー.ヒレン
(57)【要約】
【課題】 溶接トーチウィービングのためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】 ロボット電気アーク溶接システムは、溶接トーチと、溶接作業中に溶接トーチを操作するよう構成される溶接ロボットと、溶接シームに沿った、ウィービング周波数及びウィービング周期での溶接トーチのウィービング移動を制御するよう溶接ロボットに動作可能に接続されるロボットコントローラと、溶接波形を制御するよう溶接トーチに動作可能に接続され、それとの通信のためにロボットコントローラに動作可能に接続される溶接用電力供給部とを含んでいる。溶接用電力供給部は、溶接作業のサンプリング周期の間に複数の溶接パラメータをサンプリングし、且つ、解析パケットを形成し、解析パケットを処理して溶接品質スコアを生成するよう構成され、溶接用電力供給部は、ウィービング周波数又はウィービング周期を取得し、ウィービング周波数又はウィービング周期に基づいて解析パケットを形成するためのサンプリング周期を自動的に調整する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動電気アーク溶接システムであって、
トーチマニピュレータと、
前記トーチマニピュレータから延在する溶接トーチと、
前記トーチマニピュレータに動作可能に接続されて、溶接作業中に溶接シームの方向における溶接経路に沿った前記溶接トーチの移動を制御し、同時に、ウィービング周波数及びウィービング周期で前記溶接シーム全体にわたって前記溶接トーチの前後のウィービング移動を制御するモーションコントローラと、
溶接波形を制御するよう前記溶接トーチに動作可能に接続され、それとの通信のために前記モーションコントローラに動作可能に接続される溶接用電力供給部と、を備え、前記溶接用電力供給部は、前記溶接作業のサンプリング周期の間に複数の溶接パラメータをサンプリングし、且つ、解析パケットを形成し、前記解析パケットを処理して溶接品質スコアを生成するよう構成され、
前記溶接用電力供給部は、前記ウィービング周波数又は前記ウィービング周期を取得し、前記ウィービング周波数又は前記ウィービング周期に基づいて前記解析パケットを形成するための前記サンプリング周期を自動的に調整する、
自動電気アーク溶接システム。
【請求項2】
前記解析パケットを形成するための前記サンプリング周期は前記ウィービング周期と等しい、請求項1に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項3】
前記溶接用電力供給部は前記モーションコントローラから前記ウィービング周波数を受信する、請求項1に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項4】
前記溶接用電力供給部は前記モーションコントローラから前記ウィービング周期を受信する、請求項1に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項5】
前記溶接用電力供給部は前記溶接作業中に前記モーションコントローラからトーチ位置情報を受信する、請求項1に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項6】
前記溶接用電力供給部は前記トーチ位置情報に基づいて前記解析パケットを形成するための前記サンプリング周期を自動的に調整する、請求項5に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項7】
前記溶接用電力供給部は前記溶接品質スコアに対応するスルーアークシームトラッキング情報を記録する、請求項1に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項8】
更に、前記溶接シームを追跡し、前記溶接波形のパルス電流部分及び低電流部分のうちの少なくとも1つに対応するものとして分類される溶接電流データから前記溶接経路に対する補正を計算するスルーアークシームトラッキングロジックを備える、請求項1に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項9】
自動電気アーク溶接システムであって、
トーチマニピュレータと、
前記トーチマニピュレータから延在する溶接トーチと、
前記トーチマニピュレータに動作可能に接続されて、溶接作業中に溶接シームの方向における溶接経路に沿った前記溶接トーチの移動を制御し、同時に、ウィービング周波数及びウィービング周期で前記溶接シーム全体にわたって前記溶接トーチの前後のウィービング移動を制御するモーションコントローラと、
溶接波形を制御するよう前記溶接トーチに動作可能に接続され、それとの通信のために前記モーションコントローラに動作可能に接続される溶接用電力供給部と、を備え、前記溶接用電力供給部は、前記溶接作業のサンプリング周期の間に複数の溶接パラメータをサンプリングし、且つ、解析パケットを形成し、前記解析パケットを処理して溶接品質スコアを生成するよう構成され、
前記溶接用電力供給部はトーチ位置情報を受信し、前記トーチ位置情報に基づいて前記解析パケットを形成するための前記サンプリング周期を自動的に調整する、
自動電気アーク溶接システム。
【請求項10】
前記解析パケットを形成するための前記サンプリング周期は前記ウィービング周期と等しい、請求項9に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項11】
前記溶接用電力供給部は前記モーションコントローラから前記ウィービング周波数を受信する、請求項9に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項12】
前記溶接用電力供給部は前記モーションコントローラから前記ウィービング周期を受信する、請求項9に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項13】
前記溶接用電力供給部は前記溶接品質スコアに対応するスルーアークシームトラッキング情報を記録する、請求項9に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項14】
更に、前記溶接シームを追跡し、前記溶接波形のパルス電流部分及び低電流部分のうちの少なくとも1つに対応するものとして分類される溶接電流データから前記溶接経路に対する補正を計算するスルーアークシームトラッキングロジックを備える、請求項9に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項15】
自動電気アーク溶接システムであって、
トーチマニピュレータと、
前記トーチマニピュレータから延在する溶接トーチと、
前記トーチマニピュレータに動作可能に接続されて、溶接作業中に溶接シームの方向における溶接経路に沿った前記溶接トーチの移動を制御し、同時に、前記溶接シーム全体にわたって前記溶接トーチの前後のウィービング移動を制御するモーションコントローラと、
溶接波形を制御するよう前記溶接トーチに動作可能に接続され、それとの通信のために前記モーションコントローラに動作可能に接続される溶接用電力供給部と、を備え、前記溶接波形はパルス電流部分と、前記パルス電流部分よりも低い電流レベルを有する低電流部分とを含み、
前記自動電気アーク溶接システムは、前記溶接シームを追跡し、前記溶接経路に対する補正を計算するスルーアークシームトラッキングロジックを含み、
前記スルーアークシームトラッキングロジックは、前記溶接波形の前記パルス電流部分に対応するものとして分類される溶接電流データと、前記溶接用電力供給部によって提供される前記溶接波形の前記低電流部分に対応するものとして分類される溶接電流データとから、前記溶接経路に対する前記補正を計算し、
前記溶接経路に対する前記補正を計算する場合、前記スルーアークシームトラッキングロジックは、前記溶接波形の前記パルス電流部分に対応するものとして分類される前記溶接電流データを、前記溶接波形の前記低電流部分に対応するものとして分類される前記溶接電流データとは異なるように重み付けする、
自動電気アーク溶接システム。
【請求項16】
前記溶接経路に対する前記補正を計算する場合、前記スルーアークシームトラッキングロジックは、前記溶接波形の前記パルス電流部分に対応するものとして分類される前記溶接電流データを、前記溶接波形の前記低電流部分に対応するものとして分類される前記溶接電流データよりも重く重み付けする、請求項15に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項17】
前記モーションコントローラは前記スルーアークシームトラッキングロジックを備える、請求項15に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項18】
前記溶接用電力供給部は前記スルーアークシームトラッキングロジックを備える、請求項15に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項19】
前記溶接用電力供給部は、前記溶接作業のサンプリング周期の間に複数の溶接パラメータをサンプリングし、且つ、解析パケットを形成し、前記解析パケットを処理して溶接品質スコアを生成するよう構成され、前記溶接用電力供給部は、前記ウィービング移動のウィービング周波数又はウィービング周期を取得し、前記ウィービング周波数又は前記ウィービング周期に基づいて前記解析パケットを形成するための前記サンプリング周期を自動的に調整する、請求項15に記載の自動電気アーク溶接システム。
【請求項20】
前記溶接用電力供給部は前記溶接品質スコアに対応するスルーアークシームトラッキング情報を記録する、請求項19に記載の自動電気アーク溶接システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年10月16日出願の米国特許出願第16/161,255号明細書の一部継続出願であり、その開示を引用して本明細書中に組み込む。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ロボットアーク溶接に関し、特に、溶接ロボットによって実行されるウィービング溶接に関する。
【0003】
結果として生じる溶接の合否に関する情報を提供するよう、溶接中の品質指標を計算することは公知である。また、ロボットウィービング溶接中にスルーアークシームトラッキングを行うことも公知である。しかし、スルーアークシームトラッキングの精度は、頻繁に変化する溶接電流レベルのために、パルス部を有する溶接波形の使用の悪影響を受け得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8,987,628号明細書
【特許文献2】米国特許第5,278,390号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の概要は、本明細書中で検討する装置、システム、及び/又は方法の幾つかの態様の基本的な理解を提供するために、簡易化した概要を呈示する。この概要は、本明細書中で検討する装置、システム、及び/又は方法の広範な概略ではない。それは、かかる装置、システム、及び/又は方法の重要な構成要素を特定し、それらの適用範囲を詳細に描写する意図はない。その唯一の目的は、後半で呈示するより詳細な説明への前置きとして、簡略化した形態で幾つかの概念を呈示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、ロボット電気アーク溶接システムが提供される。システムは、溶接トーチと、溶接作業中に溶接トーチを操作するよう構成される溶接ロボットと、溶接シームに沿った、ウィービング周波数及びウィービング周期での溶接トーチのウィービング移動を制御するよう溶接ロボットに動作可能に接続されるロボットコントローラと、溶接波形を制御するよう溶接トーチに動作可能に接続され、それとの通信のためにロボットコントローラに動作可能に接続される溶接用電力供給部とを含んでいる。溶接用電力供給部は、溶接作業のサンプリング周期の間に複数の溶接パラメータをサンプリングし、且つ、解析パケットを形成し、解析パケットを処理して溶接品質スコアを生成するよう構成され、溶接用電力供給部は、ウィービング周波数又はウィービング周期を取得し、ウィービング周波数又はウィービング周期に基づいて解析パケットを形成するためのサンプリング周期を自動的に調整する。
【0007】
ある特定の実施形態において、解析パケットを形成するためのサンプリング周期はウィービング周期と等しい。ある特定の実施形態において、溶接用電力供給部はロボットコントローラからウィービング周波数を受信する。ある特定の実施形態において、溶接用電力供給部はロボットコントローラからウィービング周期を受信する。ある特定の実施形態において、溶接用電力供給部は溶接作業中にロボットコントローラからトーチ位置情報を受信する。更なる実施形態において、溶接用電力供給部はトーチ位置情報に基づいて解析パケットを形成するためのサンプリング周期を自動的に調整する。ある特定の実施形態において、溶接用電力供給部は溶接品質スコアに対応するスルーアークシームトラッキング情報を記録する。ある特定の実施形態において、システムは、溶接シームを追跡し、溶接波形のパルス電流部分及び低電流部分のうちの1つに対応するものとして分類される溶接電流データから溶接経路に対する補正を計算するスルーアークシームトラッキングロジックを含んでいる。
【0008】
本発明の別の態様によれば、ロボット電気アーク溶接システムが提供される。システムは、溶接トーチと、溶接作業中に溶接トーチを操作するよう構成される溶接ロボットと、溶接シームに沿った、ウィービング周波数及びウィービング周期での溶接トーチのウィービング移動を制御するよう溶接ロボットに動作可能に接続されるロボットコントローラと、溶接波形を制御するよう溶接トーチに動作可能に接続され、それとの通信のためにロボットコントローラに動作可能に接続される溶接用電力供給部とを含んでいる。溶接用電力供給部は、溶接作業のサンプリング周期の間に複数の溶接パラメータをサンプリングし、且つ、解析パケットを形成し、解析パケットを処理して溶接品質スコアを生成するよう構成され、溶接用電力供給部はトーチ位置情報を受信し、トーチ位置情報に基づいて解析パケットを形成するためのサンプリング周期を自動的に調整する。
【0009】
ある特定の実施形態において、解析パケットを形成するためのサンプリング周期はウィービング周期と等しい。ある特定の実施形態において、溶接用電力供給部はロボットコントローラからウィービング周波数を受信する。ある特定の実施形態において、溶接用電力供給部はロボットコントローラからウィービング周期を受信する。ある特定の実施形態において、溶接用電力供給部は溶接品質スコアに対応するスルーアークシームトラッキング情報を記録する。ある特定の実施形態において、システムは、溶接シームを追跡し、溶接波形のパルス電流部分及び低電流部分のうちの1つに対応するものとして分類される溶接電流データから溶接経路に対する補正を計算するスルーアークシームトラッキングロジックを含んでいる。
【0010】
本発明の別の態様によれば、ロボット電気アーク溶接システムが提供される。システムは、溶接トーチと、溶接作業中に溶接トーチを操作するよう構成される溶接ロボットと、溶接シームを辿る溶接経路に沿った溶接トーチのウィービング移動を制御するよう溶接ロボットに動作可能に接続されるロボットコントローラと、溶接波形を制御するよう溶接トーチに動作可能に接続され、それとの通信のためにロボットコントローラに動作可能に接続される溶接用電力供給部とを含んでいる。溶接波形はパルス電流部分と、パルス電流部分よりも低い電流レベルを有する低電流部分とを含んでいる。ロボット電気アーク溶接システムは、溶接シームを追跡し、溶接経路に対する補正を計算するスルーアークシームトラッキングロジックを含む。スルーアークシームトラッキングロジックは、溶接波形のパルス電流部分及び低電流部分のうちの1つに対応するものとして分類され、溶接用電力供給部によって提供される溶接電流データから溶接経路に対する補正を計算する。
【0011】
ある特定の実施形態において、溶接電流データは溶接波形のパルス電流部分及び低電流部分のうちの1つに対応するものとして溶接用電力供給部によって分類される。更なる実施形態において、溶接電流データは溶接波形の対応する部分に従って溶接電流測定値をフィルタリングすることによって取得される。ある特定の実施形態において、溶接電流データは溶接波形のパルス電流部分及び低電流部分のうちのどちらか一方に対応するものとして溶接用電力供給部によって分類される。更なる実施形態において、溶接電流データは溶接波形のパルス電流部分及び低電流部分のうちのどちらか一方に従ってセグメント化される。更なる実施形態において、溶接電流データは溶接波形のパルス電流部分及び低電流部分のうちのどちらか一方に対応するものとしてタグ付けされる。ある特定の実施形態において、溶接用電力供給部は、溶接作業のサンプリング周期の間に複数の溶接パラメータをサンプリングし、且つ、解析パケットを形成し、解析パケットを処理して溶接品質スコアを生成するよう構成され、溶接用電力供給部は、ウィービング移動のウィービング周波数又はウィービング周期を取得し、ウィービング周波数又はウィービング周期に基づいて解析パケットを形成するためのサンプリング周期を自動的に調整する。
【0012】
発明の前記及び他の態様は、添付図面を参照して以下の説明を読み取った上で発明に関係する当業者にとって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、1つの例示的な実施形態による、アーク溶接機のモニターを示す組み合わせたブロック図及びコンピュータフロー図又はプログラムである。
【
図2】
図2は、1つの例示的な実施形態による、固定及び可変持続時間の両方の時間区分又は状態に分割されたコマンド波形を示す波形発生器からの電流コマンドグラフである。
【
図3】
図3は、1つの例示的な実施形態による、実際のアーク電流パラメータを破線で重ね合わせたアーク電流に対する実際のコマンド信号の電流グラフである。
【
図4】
図4は、1つの例示的な実施形態による、
図2及び3に示すような溶接パラメータの代わりに溶接機内部の信号を監視するためのブロック図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す例示的な実施形態において経験するような波形、ワイヤ供給装置コマンド信号、及び実際のワイヤ供給装置コマンド信号を示す時間に基づくグラフである。
【
図6】
図6は、1つの例示的な実施形態による、レベル監視機能を示すパラメータ曲線の一部である。
【
図7】
図7は、1つの例示的な実施形態による、
図2及び3に示す波形の選択状態中の安定性に対する処理を示すブロック図及びコンピュータフロー図又はプログラムである。
【
図8】
図8は、
図1に示す例示的な実施形態のレベルモニターステージからの情報を処理するブロック図及びコンピュータフロー図又はプログラムである。
【
図9】
図9は、1つの例示的な実施形態による、サンプリングされた溶接データパラメータを重み付けするための重み付け方法を示すフロー図である。
【
図12】
図12は、スルーアークシームトラッキングのための測定位置を示す。
【
図15】
図15は、溶接用電力供給部の例示のコントローラの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一般的発明概念は、多くの異なる形態での実施形態を可能にするが、それらは図面内に示し、本開示が一般的発明概念の原理の単なる実例として見なされるべきであるという認識の下で、それらの特定の実施形態を本明細書中で詳細に説明する。従って、一般的発明概念は、本明細書中に示す特定の実施形態に制限されることを意図していない。更に、2015年3月24日に発行された(特許文献1)の開示は、その全てを引用して本明細書中に組み込む。
【0015】
以下は、開示全体を通して用いられる例示的な用語の定義である。全ての用語の単数及び複数形の両方がそれぞれの意味の範囲に入る。
【0016】
「ロジック」とは、本明細書中で用いるような「回路」と同義であって、関数又は動作を実行するよう、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれぞれの組み合わせを含むが、これらに限定されない。例えば、所望の用途又はニーズに基づいて、ロジックは、ソフトウェア制御マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)等の個別ロジック、又は他のプログラムロジックデバイスを含んでいてもよい。幾つかの例において、ロジックはソフトウェアとして完全に具現化されてもよい。
【0017】
本明細書中で用いるような「ソフトウェア」又は「コンピュータプログラム」は、コンピュータ又は他の電子デバイスに関数、動作を実行させるか、及び/又は所望の方法で動作させる1つ以上のコンピュータ読取可能及び/又は実行可能を含むが、これに限定されない。命令は、個別のアプリケーション又は動的にリンクされたライブラリからのコードを含むルーチン、アルゴリズム、モジュール、又はプログラム等の様々な形態で具現化されてもよい。ソフトウェアも、独立型プログラム、関数呼び出し、サーブレット、アプレット、メモリに格納される命令、オペレーティングシステムの一部、又は他の種類の実行可能命令等の様々な形態で実装されてもよい。ソフトウェアの形態は、例えば、所望の用途の要件、それが実行される環境、及び/又は、設計者/プログラマの要望等に依存することは、当業者によって正しく認識されよう。
【0018】
本明細書中で用いるような「コンピュータ」、「処理ユニット」、及び「プロセッサ」は、データを格納、検索、及び処理できる任意のプログラム化された、又は、プログラム可能な電子デバイスを含むが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書中で用いるように、「少なくとも1つ」、「1つ以上」、及び「及び/又は」は、動作において接続的及び離接的の両方である幅広い解釈のできる表現である。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの1つ以上」、「A、B、又はCのうちの1つ以上」、及び「A、B、及び/又はC」という表現のそれぞれは、A単体、B単体、C単体、A及びBと共に、A及びCと共に、B及びCと共に、或いは、A、B、及びCと共に、を意味する。2つ以上の代替用語を呈する任意の離接語又は句は、実施形態、特許請求の範囲、又は図面内であろうとなかろうと、その用語のうちの含まれる1つ、用語のどちらか一方、又は両方の用語の可能性を考慮するよう理解されるべきである。例えば、「A又はB」という句は「A」或いは「B」若しくは「A及びB」の可能性を含むよう理解されるべきである。
【0020】
ここで図を参照すると、
図1は、電気アーク溶接機10における標準的なオンボードコントローラ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、コンピュータ、等)によって実装されるブロック図及びフロー図又はプログラムを示している。例えば、溶接機10は、Cleveland,OhioのThe Lincoln Electric Companyによって販売されるインバータ型電気アーク溶接機、Power Waveであってもよい。標準技術に従って、溶接機10は、電流を電力供給装置12に向ける三相電気入力L1、L2、L3を含んでいる。搭載コンピュータ化コントローラは、インバータ型電力供給装置を操作して端子14において正電位と端子16において負電位とを生成する。
【0021】
選択的アーク溶接プロセスは、標準平滑化インダクタ18を有するよう示される選択され、実際の溶接回路に事前に決定された波形を向けることによって行われる。溶接機10は、モータ26の速度で動作する供給装置24によって所望の速度で運転されるリール22から進む溶接ワイヤ20の間で電気アーク溶接プロセスを行う。アークの熱はワイヤ20及び母材30を溶融してワイヤからの溶融金属を母材上に堆積させる。溶接プロセスの実パラメータを監視するため、分流器32は、ライン34a上のブロック34から出力信号I
aを提供する。この信号は、何らかの所定の時間における実際のアーク電流を代表している。同様の方法において、ワイヤ20と母材30との間の電圧は、ブロック36によって検知され、そのため、ライン36a上の出力V
aは、第2の溶接パラメータを構成する瞬時アーク電圧である。
図1に示す溶接パラメータは、実アーク電流I
a及び実アーク電圧V
aである。
【0022】
本発明を実施するために制御される別のパラメータは、モータ26の回転によって生じるワイヤ供給速度(WFS)である。従って、溶接プロセスの3つの外部から読取可能な溶接パラメータは、ライン34aにおけるアーク電流I
a、ライン36aにおけるアーク電圧V
a、及び、後で説明するようなライン46bにおいて読取可能なワイヤ供給速度WFSである。ライン46bにおけるWFSは、供給装置変速機の駆動ロール24に接続されるか、代替として、ワイヤに取り付けられる受動ホイール上のタコメータ又はエンコーダ46cによって読み取られる。
図1において、タコメータは供給ロールによって駆動されるように示している。また、例えば、モータ26の出力シャフトによって駆動されてもよい。
【0023】
Power Wave電気アーク溶接機は、一連の高速反復波形を生成するよう波形発生器を含み、各波形(例えば、電圧/電流波形の単一シーケンス)はサイクル時間を有する溶接サイクルを構成する。これらの溶接サイクルは、溶接プロセス中に繰り返されてサイクル時間を定義する。Power Wave溶接機10の一実施形態は、Blankenshipへの(特許文献2)に示されており、ここで、溶接機は、コマンドライン42を介して電力供給装置12によって出力される個々の波形と、コマンドライン44を介してモータ26の速度とを制御している。コマンドライン44は、モータ26のワイヤ駆動制御46上のマイクロプロセッサによって認識されて、ライン46aにおいてモータ電圧駆動PWMパルスを出力する信号を有する。実際には、ライン44上の情報はデジタルであり、ライン46a上のコマンド信号はアナログである。波形発生器40は、溶接機10によって実行される所望の溶接プロセスを制御するためのライン42、44におけるデジタル信号を生成する。外部パラメータIa、Va、及びWFSは、適切な監視装置によって読み取ることができる。
【0024】
波形発生器40は、出力波形のそれぞれを一連の時間区分化部分又は状態に分割又は区分化する。1つの例示的な実施形態において、モニターMは、とりわけ、波形の1つの選択区分中にパラメータを読み取るよう、溶接機10のコンピュータにロードされるプログラムである。モニターMは、一般的発明概念の精神及び適用範囲から逸脱することなく、ソフトウェア、ハードウェア、及びそれらの組み合わせを用いて実装されてもよい。監視される波形の一部は、波形発生器40によって決定される。実際、モニターMが、発生器40によって出力される波形の様々な時間区分又は状態を監視する。実際には、波形発生器40は、波形を形成する時間区分のうちのいくつかを選択し、様々な状態をコマンドインターフェース70に出力する。従って、コマンドインターフェース70は、発生器による各波形出力の選択時間区分中にパラメータの測定をもたらす。コマンドインターフェース70上の情報又はデータは、監視される単数又は複数の状態及び種々のパラメータIa、Va、及び/又はWFSの特定の値若しくはレベルを含んでいる。
【0025】
モニターMのインターフェース70は、読み取られる溶接パラメータのための値と共に処理される特定の状態を認識するデータを包含している。インターフェース70内のデータは、レベルステージ81によって解析されてレベル毎にパラメータの関係を決定する。実パラメータは、発生器40の波形の選択状態中に訓練すなわち測定されたパラメータと比較される。波形の特定区分又は状態中、レベルモニターステージ81は、ライン34a、36a、及び46bにおける実パラメータを読み取る。実パラメータのこれらの瞬時値は、内部メモリに格納され、レポートロジック82として識別される。実パラメータの読み取りは、発振器84によって示すように、急速に行われる。1つの例示的な実施形態において、実パラメータの読み取りは、パルス溶接に対して120kHzのレートで行われる。レートは調整されてもよいが、しかし、レートが高ければ高いほど、レベル測定の感度は良好となる。レベルモニター81は、また、最低又は最高レベルのいずれか一方からの実溶接パラメータの偏差も決定する。このように、実際値が格納できるだけではなく、最低レベル又は最高レベルと比較して、所定の状態に対するパラメータの実測値の偏差を表すデータも格納される。レポートメモリ又はロジック82は、波形の所定状態中の設定レベルからの偏差並びに波形の選択状態中の実レベルを記録する。溶接サイクル全体に対して、これらの読取値は、溶接の品質及び溶接欠陥に向かう何らかの傾向を決定するよう、蓄積され、カウントされるか、又はそうでなければ、処理される。
【0026】
1つの例示的な実施形態において、読取値(例えば、読取値の定期的に蓄積されたセット)は、複数の基準に基づいて重み付けされる。読取値は、例えば、250ms毎に蓄積されてもよい。1つの例示的な実施形態において、1つのセットは、その期待値(例えば、所定の閾値、平均値)からの偏差の大きさ及び対応する波形に対するその時間区分の時間寄与に基づいて重み付けされる。かかる重み付け方法(例えば、
図9に示し、以下で説明する重み付け方法900)は、例えば、レベルモニターステージ81若しくは何らかの類似又は関連データ処理ステージにおいて実装されてもよい。
【0027】
安定性モニターステージ91は、発振器94によって決定される高速でライン34a、36a及び46b上の実溶接パラメータを読み取る。1つの例示的な実施形態において、実パラメータの読み取りは、パルス溶接に対して120kHzのレートで行われる。安定性モニターステージ91は、出力される波形の一状態中の標準偏差又は絶対偏差に対して実溶接パラメータを解析する。レポートメモリ又はロジック92は、波形の所定状態中のこの偏差並びに波形の選択状態中の実際値を記録する。溶接サイクル全体に対して、これらの読取値は、溶接の品質及び溶接欠陥に向かう何らかの傾向を決定するよう、蓄積され、カウントされるか、又はそうでなければ、処理される。
【0028】
1つの例示的な実施形態において、読取値(例えば、読取値の定期的に蓄積されたセット)は、複数の基準に基づいて重み付けされる。読取値は、例えば、250ms毎に蓄積されてもよい。1つの例示的な実施形態において、1つのセットは、その期待値(例えば、所定の閾値、平均値)からの偏差の大きさ及び対応する波形に対するその時間区分の時間寄与に基づいて重み付けされる。かかる重み付け方法(例えば、
図9に示し、以下で説明する重み付け方法900)は、例えば、安定性モニターステージ91若しくは何らかの類似又は関連データ処理ステージにおいて実装されてもよい。
【0029】
モニターステージ81又はモニターステージ91のいずれか一方を用いる場合、幾つかの波形は省略されてもよい。1つの例示的な実施形態において、開始シーケンス後、波形の全てが波形の様々な選択状態中の実溶接パラメータを解析するために監視される。溶接プロセスにおける所定の波形の幾つかの状態が監視され、レベル適合性、傾向、及び安定性を解析するよう、結果が各状態に関して別々に記録される。安定性を測定する場合、標準偏差アルゴリズムが、Ia、Va及び/又はWFSを評価するためにモニターMにおいて用いられる。この情報は、所定のサイクル時間を有する溶接サイクル全体を形成する波形の様々な区分のそれぞれを解析することに利用可能である。実際には、パルス波形中のピーク電流等のある特定の状態が、パルス溶接プロセスの安定性及びレベル偏差を決定するために監視される。STT溶接プロセスにおいて、モニターMは、これらの区分が溶接プロセスの外部条件によってやがて変化するため、各波形に対する短絡時間を記録する。短絡時間における変化は、溶接技術者に実施すべき調整を知らせる。
【0030】
標準波形発生器40によって生成された一連の高速反復波形は、
図2及び3に示すように時間状態に分割される。出力電流コマンド波形は、
図3に示す時間区分Aの固定持続期間を有するピーク電流102と、
図3に示す区分Bの間の可変持続時間を持つバックグラウンド電流104とを持つパルス波形100である。波形は、コマンドインターフェース70が、いずれかの所定の時間に発生器40によって処理される特定の状態を受信するように、時間t
1~t
4における区分に分割される。
図3において破線110で示すように、
図1における分流器33からの実アーク電流は、波形100のコマンド電流信号から外れている。
【0031】
状態A又は状態B等の選択された機能状態の間、実アーク電流Iaが発振器84又は発振器94によって決定されるレートで読み取られる。実際には、これは単一のソフトウェア発振器である。レベルモニターステージ81は、実パラメータ110と波形100のコマンドレベルとの間の縦座標方向における偏差を記録する。選択状態の間、安定性モニターステージ91は実パラメータの統計標準偏差を読み取る。状態A及びBは、通常、パルス溶接プロセスに関して監視される。しかし、t1~t2間の上昇状態及び/又はt3~t4中の下降状態は、波形のこれらの状態中の実パラメータの活動を制御又は、少なくとも読み取るよう監視されてもよい。図示の通り、バックグラウンド時間区分Bは、時間t1の可変時間部分によって示すような可変時間を有している。従って、監視される状態は、固定持続時間又は可変持続時間を有していてもよい。可変持続時間の場合、状態は、持続時間の最後まで監視される。レポートロジック82は、これを1つの時間、すなわち、t4から連続時間すなわち、t1までのレベルとして検知する。時間t1が時間t4に関して変化するにつれて、各波形のこの時間が、発生器40の溶接形態の選択によってインターフェース70から取得される既知の時間と比較されるレベルとして記録される。
【0032】
モニターMは、波形の特定の選択状態中の実溶接パラメータを監視するが、しかし、モニターは、また、コンピュータを操作して、ライン46a上のモータ26への実際の入力等の内部信号の安定性及び/又はレベル特性を決定するためのプログラミングを有している。ライン46a上の信号のかかる内部監視は、
図5に示す信号を用いて
図4に示すフロー図において説明する。
【0033】
ワイヤ供給装置内のマイクロプロセッサは、誤差増幅器と同様のPID比較ネットワークであるサブルーチンを含んでいる。このPID比較器は、ライン44上のワイヤ供給速度WFS及びコマンド信号である第1の入力46bを有する
図4のブロック152として略図示する。ライン46b上の実際のWFSは、供給装置変速機の駆動ロール24に接続されるか、代替として、WFSを読み取るようワイヤに取り付けられる受動ホイール上のタコメータ又はエンコーダによって読み取られる。PIDの出力156は、供給装置のマイクロプロセッサにおいてデジタル化されるパルス幅変調器158の入力における電圧レベルである。パルス幅変調器の出力は、供給装置24のワイヤ供給速度を制御するためのモータ26に対するライン46a上のコマンド信号である。
【0034】
1つの例示的な実施形態によれば、モニターMは、
図4に略図示するようなプロセスプログラムを含んでおり、ここで、ライン156上の信号が処理ブロック160によって読み取られ、結果が、
図1に示す実施形態に関して先に検討したように、レベルモニターステージ81及び/又は安定性モニターステージ91の入力へのライン162上に出力される。従って、ライン156上の内部信号が、1kHzを超える高速で読み取られて、この内部信号のレベル及び/又はこの信号の安定性をチェックする。
【0035】
図5に示すように、パルス溶接のための波形100は、発生器40からの波形の連続として延在している。ワイヤ供給速度に関して、ライン44上の発生器40からのコマンド信号は、
図5に示す形を取る。それは、開始上昇部分170と終了下降部分172とを含んでいる。これらの2つの部分は、ライン44上のコマンド信号における急激な増加又は減少の原因となる。ライン44上の信号のこれらの異常コマンド部分の間に、ライン156上のこの内部信号の安定性及び/又はレベル偏差を試験する目的のために用いられる略水平のワイヤ供給速度コマンドが存在する。
図5において、速度が安定するまで、ワイヤ加速部分170が保持される。この時間も監視される。他の内部信号が、
図4及び5に示すものと同じ概念を用いて監視されてもよい。レベルモニターステージは、ライン156上の信号が長時間、最低又は最高を超えたかどうかを判断する。ワイヤ供給装置に対して、これは通常、供給システムにおける詰まりを示す。
【0036】
図6はレベルモニターステージの概念を示し、ここで、閾値180は最高パラメータレベルであり、閾値182は最低パラメータレベルである。アーク電流として示すパラメータが過度部184によって示すような閾値180を超える場合、過電流の記録された事象が存在する。同様の方法において、電流が過度部186によって示すようなレベル182未満である場合、不足電流事象が記録される。加えて、これらの事象は、複数の基準に基づいて重み付けされてもよい。1つの例示的な実施形態において、各事象は、その期待値(例えば、所定の閾値、平均値)からの偏差の大きさ及び対応する波形に対するその時間区分の時間寄与に基づいて重み付けされる。かかる重み付け方法(例えば、
図9に示し、以下で説明する重み付け方法900)は、例えば、レベルモニターステージ81、安定性モニターステージ91、若しくは何らかの類似又は関連データ処理ステージにおいて実装されてもよい。
【0037】
重み付き事象は、
図1に示すようなレベルモニターステージ81の出力を提供するよう定期的にカウントされるか、そうでなければ蓄積される。重み付き事象は、例えば、250ms毎に蓄積されてもよい。従って、レベルモニターステージ81は、プリセット閾値より上の逸脱部184とプリセットレベルより下の逸脱部186とを検出する。これらのレベルは、インターフェース70における特定状態によって設定される。波形の幾つかの状態は、閾値と共にレベルモニターステージ81を用い、同じ波形の別の状態は、安定性モニターステージ91を用いてもよい。好ましくは、そして実際には、両モニターステージが、モニターMによって取得される選択状態又は波形の状態に対して用いられる。
【0038】
図1に示す実施形態は、発生器40からの波形の選択状態の間又は
図4及び5における開示と関連して説明するような溶接全体の間に、内部制御信号に対する実パラメータのレベル及び/又は安定性を監視する。これまでに説明したような
図1のモニターMは、作業期間にわたる溶接サイクル又は溶接作業全体を解析することに用いるための重み付きデータを提供する。データが判断され、格納された後に、様々な解析プログラムがデータを処理するために用いられる。1つの例示的な実施形態によれば、モニターステージ91からの重み付き安定性データは、
図7に示すような2つのプログラムによって解析される。記録、表示、及び処理の介在又は評価のために、様々なコンピュータプログラムにおいて安定性データを解析することは、当業者が備える技能の範囲内である。
【0039】
図7に示すように、解析プログラム200は、モニターMのモニターステージ91の結果(すなわち、重み付き安定性値)を用いる。実施例として、プログラム200は、
図2及び3に示すような波形の電流ピーク部分である時間t
2~t
3の間の時間状態の監視中に動作する。解析プログラム200は、ピーク電流状態中の安定性ステージ91の結果を解析するために用いられる2つのシステムを示すコンピュータフロー図として示されており、ここで、ライン34aにおける実電流の統計標準偏差が計算される。実際には、モニターステージ91が計算された偏差をもたらす前に、わずかな遅延が存在する。状態t
2~t
3中にI
aを読み取るが、そうでなければI
aを無視するサンプル選択機能は、サンプルセレクタ又はフィルタ90aとして示されている。フィルタ90aに組み込まれる時間区分t
2~t
3の開始時のこのプログラム遅延は、モニターが、出力波形の様々なステージにおける各レベルシフト中に経験する電流の変動を無視することを可能にする。
【0040】
図7に示すプログラム化されたフロー図において、モニターステージ91からの安定性出力は、ブロック210として示すコンピュータプログラムによって読み取られ、時間t
3の存在によって決定される各波形の端部においてライン210a上のロジックによって示すようにリセットされる。従って、各波形の安定性はブロック210によって取得される。この取得された安定性データは、2つの別個の解析プログラムによって処理される。
【0041】
第1のプログラムはパス解析ルーチン212を含んでいる。所定の波形に対する安定性がブロック212における所望の閾値設定に合格した場合、この情報がライン214に出力される。特定の波形が所望の閾値未満の安定性を有した場合、ロジック信号がライン216内に現れる。カウンタ220、222は、各溶接サイクル中にライン224上のロジックによってイネーブル化される。従って、溶接サイクル中の各波形に対する安定性パス信号は、カウンタ220又はカウンタ222のいずれか一方においてカウントされる。無論、各状態t2~t3の第1の部分は無視されて、パラメータIaが確定することを可能にする。2つのカウンタの結果は、それぞれ、読取ブロック220a、222aによって示すように読み取られ、格納されるか、そうでなければ保持される。1つの例示的な実施形態において、カウンタステージ222によって蓄積された不安定性が所望の数を超えた場合、溶接サイクルはブロック226によって示すように不合格判定される。
【0042】
図7に示すコンピュータプログラム200の第2の解析実装は、ブロック230として示されている。これは溶接サイクル中にイネーブル化されるプログラムである。全ての波形中に蓄積される溶接サイクルの全体的な不安定性は、100が最も安定したアークである総数として解析される。この安定性アキュムレータ及び解析ステージの出力は、ブロック236によって示すように読み取られ、格納されるか、そうでなければ保持される。読取ステージ234が設定安定性よりも下であれば、溶接サイクルはブロック238によって示すように不合格判定される。当業者は、モニターMの結果を安定性ステージ91から解析するための他のプログラムを設計してもよい。コンピュータプログラム200は、取得した重み付き安定性データを解析するよう2つの実装を呈する。2つの実装は、モニターが検出するよう構成されるアーク安定性又は溶接品質問題の性質に応じて、選択的に(一方又は他方のいずれか、若しくは両方)イネーブル化されてもよい。可変パルスに関する安定性は取得できないため、波形の選択状態のみにおける安定性を読み取ることが有利である。
【0043】
別の例示的な実施形態に従い、モニターMのレベルモニターステージ81の結果(すなわち、重み付き読取値)を解析するためのコンピュータプログラムを
図8に示す。この図示の実施形態において、レベル解析プログラム250は、フィルタ80cを有する最小モニターステージ81a及びフィルタ80dを有する最大モニターステージ81bとして識別される2つの別個のルーチンにおいてモニターレベルステージ81からの出力を処理する。これらステージのうちのいずれか一方が個別に用いられてもよいか、又は、実際には、それらは組み合わせられる。サブセクション81aは、実パラメータが閾値最小182よりも下の事象である
図6に示す移行部186の決定に関係している。発生器40からのライン202a上の最低レベルは、ステージ81aがプログラムステップ252によって選択される場合に用いられる。これらの事象は、示すように溶接サイクルのそれぞれに対してブロック254によってカウントされる。カウンタは、ライン254a上のロジックによって溶接サイクル中にイネーブル化される。カウンタ254は、溶接サイクルにおいて用いられる波形の累計である。波形の数は、ライン258によって示すような発生器40の出力から時間t
3の発生をカウントすることによって取得される。前に示したように、状態の第1の部分は、何らかの特定状態の開始時に通常の不整合を除去するよう概して無視される。ブロック260は、カウンタ256からの数Nで除算されたモニターステージ81aからの蓄積最低事象186を除算するためのコンピュータフロー図サブルーチンである。これは、サブルーチン262に提供される溶接サイクル中の最小移行の平均を提供する。平均最小移行は、ブロック262aによって示すように読み取られ、格納されるか、そうでなければ出力される。平均が、波形発生器によって、又は、プログラムステップ264によって提供されるある特定の閾値より上である場合、プログラムルーチン266は、溶接サイクルが許容できないことを決定する。許容される場合、何の行動も行われない。しかし、許容ルーチン266が、平均が数264に単に近付いていると判断した場合、警告信号がブロック266aによって提供される。全体的な不合格により、ルーチン266bによる溶接不合格判定信号が提供される。当業者は、最低電流偏差又は設定閾値に関するような実パラメータの移行の解析を達成するための他のコンピュータプログラムを考案してもよい。
【0044】
図8において、最大モニターステージ81bは、最小ステージ81aと連動して動作する。最高レベルは、発生器40からのライン202b上であり、ステージ81bがプログラム270によって選択される場合に用いられる。同様のデータ情報及びプログラミングは同じ数を保持する。カウンタ272は、状態t
2~t
3中の事象184の数をカウントする。サブルーチン280は、溶接サイクル中に形成される様々な波形中の事象184の平均を提供する。ブロック282におけるこの平均は、ブロック282aによって示すように読み取られ、格納されるか、そうでなければ使用される。ブロック286において、許容性サブルーチンが処理され、ここで、発生器40から出力されるか、そうでなければ、コンピュータプログラムによって実施されるブロック284によって示される数は、ブロック282からの平均と比較されて、平均がブロック284によって示す設定数に近付いた場合に、ブロック286aによって示すような警告信号を提供する。数が達した場合、不合格判定サブルーチンが、ブロック286bによって示すように実施される。
【0045】
実際には、ステージ81a及びステージ81bは共に実装され、ブロック262及び282からの両移行部の平均は、所定の溶接サイクルの警告及び/又は不合格判定を与えるよう、読み取られ、許容できる数によって解析される。従って、実際には、最低レベル偏差が解析され、最高レベル偏差が解析され、そして、総合的レベル偏差が解析される。これの全てが、
図8に略図示するようなコンピュータプログラムによって達成される。レベルステージ81a、81bは、レポートロジック82と共に検討されるように格納及び/又は表示されるレベル条件を出力する。レベルステージ81a、81bによるレベル条件出力は、本明細書中で検討するように重み付けされてもよい。
【0046】
上記に鑑みて、大きさ及び時間寄与加重の使用は、パラメータ安定性のより正確な測定と、従って、全体の溶接品質とを提供する。このように、数値又はスコアを容易に理解することは、溶接品質全体を定量化するよう演算することができる。1つの例示的な実施形態において、0~100すなわち0%~100%の間の溶接スコアは、
図1に示す例示的な実施形態によって監視されるもの等の監視された溶接条件又はパラメータに基づいて、溶接に対して計算される。かかる重み付け方法(例えば、
図9に示し、以下で説明する重み付け方法900)は、例えば、レベルモニターステージ81、安定性モニターステージ91、若しくは何らかの類似又は関連データ処理ステージにおいて実装されてもよい。
【0047】
1つの例示的な実施形態による重み付け方法900を
図9に示す。重み付け方法は、例えば、モニターMにおいて実装されてもよい。重み付け方法900の最初のステップ902において、溶接サイクルの波形は、一連の時間区分化部分又は状態に分割される。次いで、ステップ904において、状態のうちの少なくとも1つに対応する溶接パラメータ(例えば、電圧、アンペア数)が所定のレートでサンプリングされる。1つの例示的な実施形態において、サンプリングレートは120kHzである。1つの例示的な実施形態において、サンプリングレートは120kHz以上である。1つの例示的な実施形態において、サンプリングレートは、割り込みサービスルーチン(ISR)処理のために割り込みを生成するために用いられてもよい。
【0048】
サンプリングされた溶接パラメータは、溶接データを計算するために用いられる。例示的な重み付け方法900において、溶接データは、実行カウント、電圧合計、電圧二乗合計、アンペア数合計、及びアンペア数二乗合計を含む。実行カウントはゼロから開始し、各サンプリング期間(例えば、120kHz毎)に1ずつ増分する。電圧合計及びアンペア数合計はゼロから開始し、各サンプリング期間においてそれぞれサンプリングされた電圧及びサンプリングされたアンペア数ずつ増加する。同様に、電圧二乗合計及びアンペア数二乗合計はゼロから開始し、各サンプリング期間においてそれぞれサンプリングされた電圧の二乗及びサンプリングされたアンペア数の二乗ずつ増加する。
【0049】
所定のサンプリング期間後、ステップ906において、サンプリングされた溶接データは、更なる処理(以下で説明するような)に対して渡され、溶接データ値はゼロにリセットされ、サンプリングプロセス(すなわち、ステップ904)が繰り返される。1つの例示的な実施形態において、サンプリング期間は250msである。サンプリングされた溶接データの各コレクションは、解析パケットを形成する。解析パケットの更なる処理後(例えば、250ms毎)、対応する状態のための現在の溶接品質格付けを表す追加溶接データが利用できる。この追加溶接データは、グラフ化及び/又は平均化されてもよい。溶接の長さ(すなわち、溶接サイクル)にわたるこれら格付けの平均は、溶接に対する全体の品質指標を提供する。
【0050】
サンプリングされた状態のそれぞれに対して、ステップ906において生じる各解析パケットの溶接データの更なる処理は、結果として追加溶接データの計算をもたらす。追加溶接データは、実行カウント、電圧平均、電圧平方自乗平均(RMS)、電圧分散、アンペア数平均、アンペア数RMS、及びアンペア数分散を含む。追加溶接データの実行カウントの値は、溶接データの実行カウントの値からコピーされる。電圧平均は、(溶接データからの)電圧合計を実行カウントで除算して計算される。電圧RMSは、(溶接データからの)電圧二乗合計を実行カウントで除算することによって得られた商の平方根として計算される。電圧分散は、電圧RMSから電圧平均を引いて計算される。アンペア数平均は、(溶接データからの)アンペア数合計を実行カウントで除算して計算される。アンペア数RMSは、(溶接データからの)アンペア数二乗合計を実行カウントで除算することによって得られた商の平方根として計算される。アンペア数分散は、アンペア数RMSからアンペア数平均を引いて計算される。
【0051】
ステップ906の後、後続の処理は、現在の溶接が溶接品質パラメータを決定することに用いられるべき訓練溶接であるか、かかる溶接品質パラメータに対して評価されるべき通常溶接であるかどうかによって決まる。従って、ステップ908において、現在の溶接が訓練溶接であるか、又は通常溶接であるかどうかが判断される。1つの例示的な実施形態において、特に指示のない限り(例えば、ユーザ入力によって)、溶接は通常溶接であることが、デフォルト条件である。
【0052】
現在の溶接がステップ908において訓練溶接であると判断された場合、以下の追加溶接データ値、すなわち、実行カウント、電圧平均、電圧分散、アンペア数平均、及びアンペア数分散が、訓練溶接の有効部分のために(例えば、20~30秒で)保存される一方で、他の溶接データ値及び追加溶接データ値は無視されてもよい。訓練溶接の有効部分は訓練期間である。1つの例示的な実施形態において、訓練期間は、少なくとも80の連続する解析パケット(すなわち、サンプリング期間)に相当する。
【0053】
その後、ステップ910において、溶接品質パラメータは、訓練期間中に保存された追加溶接データ値を用いて計算される。例えば、以下の溶接品質パラメータ、すなわち、品質実行カウント平均、品質実行カウント標準偏差、品質電圧平均、品質電圧標準偏差、品質アンペア数平均、品質アンペア数標準偏差、品質電圧分散平均、品質電圧分散標準偏差、品質アンペア数分散平均、及び品質アンペア数分散標準偏差が、サンプリングされた状態のそれぞれに対して計算される。
【0054】
品質実行カウント平均は、訓練期間中に処理される解析パケットの全てから実行カウントの平均として計算される。実行カウントは整数に丸められてもよい。品質実行カウント標準偏差は、品質実行カウント平均に対する訓練期間中に処理される各解析パケットから実行カウントの標準偏差として計算される。品質電圧平均は、訓練期間中に処理される解析パケットの全てから電圧平均の平均として計算される。品質電圧標準偏差は、品質電圧平均に対する訓練期間中に処理される各解析パケットから電圧平均の標準偏差として計算される。品質アンペア数平均は、訓練期間中に処理される解析パケットの全てからアンペア数平均の平均として計算される。品質アンペア数標準偏差は、品質アンペア数平均に対する訓練期間中に処理される各解析パケットからアンペア数平均の標準偏差として計算される。品質電圧分散平均は、訓練期間中に処理される解析パケットの全てから電圧分散の平均として計算される。品質電圧分散標準偏差は、品質電圧分散に対する訓練期間中に処理される各解析パケットから電圧分散の標準偏差として計算される。品質アンペア数分散平均は、訓練期間中に処理される解析パケットの全てからアンペア数分散の平均として計算される。品質アンペア数分散標準偏差は、品質アンペア数分散に対する訓練期間中に処理される各解析パケットからアンペア数分散の標準偏差として計算される。上で述べたように、これらの品質パラメータは、確認された良好な、又はそうでなければ許容できる溶接の伝達に基づいた場合、後続の溶接を測定するか、そうでなければ格付けするためのベンチマークとして用いられてもよい。
【0055】
現在の溶接が、ステップ908において、訓練溶接とは対照的に、評価溶接(すなわち、その品質の評価を必要とする溶接)であると判断された場合、何の溶接データ又は追加溶接データも保存する必要はない。代わりに、様々な品質計算の結果が取得され、保存される。これらの品質計算は、ステップ914における、様々な外れ値の存在を初期に検出することを含む。外れ値は、データ点又は値が寄与する平均値からの閾距離よりも大きいデータ点又は値である。1つの例示的な実施形態において、外れ値は、平均値からの3つの標準偏差の限界の外側に入る値である。
【0056】
重み付け方法900において、ステップ914において求められた外れ値は、実行外れ値、電圧外れ値、電圧分散外れ値、アンペア数外れ値、及びアンペア数分散外れ値を含む。監視された状態のそれぞれに対して、解析パケットのそれぞれは、これら外れ値のいずれかの存在を検出するよう評価される。
【0057】
解析パケットが以下の関係、すなわち、(実行カウント-品質実行カウント平均)の絶対値>(3×品質実行カウント標準偏差)を満足した場合、それは実行外れ値と見なされる。解析パケットが以下の関係、すなわち、(電圧平均-品質電圧平均)の絶対値>(3×品質電圧標準偏差)を満足した場合、それは電圧外れ値と見なされる。解析パケットが以下の関係、すなわち、(電圧分散-品質電圧分散平均)の絶対値>(3×品質電圧分散標準偏差)を満足した場合、それは電圧分散外れ値と見なされる。解析パケットが以下の関係、すなわち、(アンペア数平均-品質アンペア数平均)の絶対値>(3×品質アンペア数標準偏差)を満足した場合、それはアンペア数外れ値と見なされる。解析パケットが以下の関係、すなわち、(アンペア数分散-品質アンペア数分散平均)の絶対値>(3×品質アンペア数分散標準偏差)を満足した場合、それはアンペア数分散外れ値と見なされる。
【0058】
これらの外れ値の検出後、各外れ値の2ステップ重み付き合計(すなわち、ステップ916及び918から)が、対応する解析パケットのための品質指標を計算することに用いられる。
【0059】
外れ値のそれぞれを重み付けすることにおける第1のステップ(すなわち、ステップ916)は、3つの標準偏差限界に関する外れ値の大きさによって判断される。一般に、データ点又は値の略0.3%が、3つの標準偏差の限界の外側に入る可能性があり、従って、外れ値と見なされる。外れ値の重み付けは、その値が3つの標準偏差の限界の上に増加するにつれて増加する。外れ値は、4つの標準偏差において完全に100%で重み付けされ、5つの標準偏差において最大の200%で重み付けされる。一般に、通常データセットにおいて発生する完全な(すなわち、100%)重み付き外れ値の確率は15,787分の1である。
【0060】
従って、ステップ916において、外れ値のそれぞれは、このアプローチに従って重み付けされる。各実行外れ値に適用される重みは、(3つの標準偏差限界の上の量/品質実行カウント標準偏差)の絶対値として計算され、最大重み値は2.0である。各電圧外れ値に適用される重みは、(3つの標準偏差限界の上の量/品質電圧標準偏差)の絶対値として計算され、最大重み値は2.0である。各電圧分散外れ値に適用される重みは、(3つの標準偏差限界の上の量/品質電圧分散標準偏差)の絶対値として計算され、最大重み値は2.0である。各アンペア数外れ値に適用される重みは、(3つの標準偏差限界の上の量/品質アンペア数標準偏差)の絶対値として計算され、最大重み値は2.0である。各アンペア数分散外れ値に適用される重みは、(3つの標準偏差限界の上の量/品質アンペア数分散標準偏差)の絶対値として計算され、最大重み値は2.0である。
【0061】
外れ値のそれぞれを重み付けすることにおける第2のステップ(すなわち、ステップ918)は、外れ値の状態の実行カウントによって判断される。特に、各外れ値の値は、外れ値の状態の実行カウントと乗算され、それによって、波形全体に関する状態の時間寄与を説明している。このように、大きい実行カウント(すなわち、実行時間)を有する状態は、相応に重い重みを持つ外れ値を生成する。従って、特定の外れ値に対する実行時間が増加するにつれて、外れ値の重みも増加する。
【0062】
ステップ916及び918における外れ値の重み付けは、最終重み付き実行外れ値、最終重み付き電圧外れ値、最終重み付き電圧分散外れ値、最終重み付きアンペア数外れ値、及び最終重み付きアンペア数分散外れ値を含む最終重み付き外れ値のセットを生成する。これらの最終重み付き外れ値は、ステップ920において合計されて、各解析パケットのための最終重み付き外れ値合計を生成する。その後、解析パケットのそれぞれのための品質指標の判断は、完全な品質値から最終重み付き外れ値合計を引いたものを完全な品質値で除算することによって得られる商として、ステップ922において計算される。完全な品質値は、解析パケットのための実行カウントを外れ値カテゴリの数(すなわち、この場合は5)で乗算したものと等しい。
【0063】
従って、瞬時品質指標(すなわち、現在完了した解析パケットからの溶接スコア又は溶接品質スコア)は、溶接プロセス中に判断され、溶接機に伝達されるか、そうでなければ利用されてもよい。このように、潜在的な問題は、溶接が完了した後だけとは対照的に、何らかの是正措置を取るには遅すぎる恐れがある場合に、それらが発生する際、すなわち、溶接プロセス中に検出することができる。
【0064】
更に、溶接プロセス中に任意の時点まで集計された品質指標の平均は、その時点までの溶接の品質指標(例えば、溶接スコア又は溶接品質スコア)を決定するために平均化されてもよい。例えば、溶接プロセスが完了した後、個々の品質指標の全てが、完了した溶接に対する全体の品質指標、スコア、等級、格付け等を得るために平均化されてもよい。溶接に対する全体の品質指標は、許容できる溶接に対する最低品質指標値を反映する(例えば、訓練溶接から導き出される)所定の品質指標に対して比較されてもよい。
【0065】
このように、溶接の品質は、リアルタイム又はリアルタイムに近い状態で、正確に、効果的に、一貫して、及び/又は、自動的に判断することができる。これは、溶接の可視検査がその品質を正確に測定するには必ずしも十分とは限らないため、そして、オペレータが、全体の溶接品質に悪影響を及ぼす溶接プロセス中の偏差又は他の問題を検出しないか、そうでなければ肯定するため、特に有利である。
【0066】
いくつかの例示的な実施形態において、溶接に対する品質指標(すなわち、溶接スコア又は溶接品質スコア)は、自動(例えば、ロボット)溶接プロセス中のような略同じ条件の下で、略同じアーク溶接プロセスに従って繰り返し生成される溶接を評価するための効果的なツールである。各溶接に対する瞬時の、定期的な、及び/又は全体の溶接スコアを計算することによって、自動品質制御プロセスがアーク溶接プロセスに適応することができる。特に、最低許容溶接スコア又は許容溶接スコアの範囲は、溶接条件及びアーク溶接プロセスに従って、閾値として最初に特定される。その後、各溶接は、溶接を合格にすべきか、不合格にすべきかどうかを迅速及び正確に判断するよう閾値に対して比較されるその(瞬時の、定期的な、及び/又は全体の)溶接スコアを有する。加えて、生産運用又は一連の運用のために溶接スコア全体にわたる傾向を評価することによって、生産プロセスにおける問題をより容易に特定することができるか、及び/又は、生産プロセスをより容易に最適化することができる。上で検討した品質指標すなわち溶接スコアは、品質を反映する重み付き統計的測定に基づいている。溶接スコアは、許容溶接スコアから離れる任意の傾向(例えば、溶接スコアの継続的な減少からわかるような)が存在するかどうかを判断するために、ある期間にわたって評価されてもよい。
【0067】
ロボット溶接プロセス等の溶接プロセス中、溶接スコアは、溶接の現在の状況を反映するよう、(1つ以上のサンプリングされた、そうでなければ測定されたパラメータに基づいて)定期的に計算される。溶接スコアは、溶接の現在の状況を反映する瞬時測定値として、又は、溶接プロセス中の(測定値に対応する)ある期間にわたる溶接の状況を反映する幾つかの測定値の平均として計算されてもよい。1つの例示的な実施形態において、溶接スコアは、溶接の現在の全体的状況を反映する、溶接プロセスが開始されてから取られた測定値の全てを平均化することによって計算される。溶接スコアは所定の閾溶接スコアと比較されてもよい。閾溶接スコアは、良好又はそうでなければ許容できる溶接状況に対する最低溶接スコアである。溶接スコアが閾溶接スコア以上であった場合、現在の溶接状態は良好であると判断される。そうでなければ、現在の溶接状態は不良であると判断される。
【0068】
図10は、ロボット溶接システム300の略図を示している。ロボット溶接システム300は、母材306上でアーク溶接を行うよう溶接トーチ304を操作する溶接ロボット302(例えば、6軸ロボットアーム)を含んでいる。アーク溶接は、ガスメタルアーク溶接(GMAW)、フラックスコアードアーク溶接(FCAW)、ガスタングステンアーク溶接(GTAW)、サブマージアーク溶接(SAW)、等であってもよい。溶接ロボット302は、溶接中のロボットの動きを制御するようロボットコントローラ308から位置決めコマンドを受信する。ある特定の実施形態において、ロボットコントローラ308は、溶接経路に対する修正を行うためのスルーアークシームトラッキングロジック309を含むことができる。スルーアークシームトラッキングを更に詳細に以下で検討する。ロボットコントローラ308は溶接中に情報交換するよう溶接用電力供給部310と通信する。かかる交換情報は、溶接電圧及び電流等の溶接パラメータ、溶接状態情報、及びトーチ位置情報を含むことができる。溶接用電力供給部310は、溶接波形、溶接電圧、溶接電流、ワイヤ供給速度、等のような溶接パラメータを制御するためのプロセッサベースのコントローラ80を含んでいる。ロボット溶接システムは、消耗溶接電極を溶接トーチ304へ供給するためのワイヤ供給装置312を含むことができ、また、溶接トーチ304に送出されるシールドガス314の供給源を含むことができる。ロボット溶接システム300は、しかし、自動アーク溶接システムの一例にすぎない。自動アーク溶接システムの他の例示的な種類には、パイプ、タンク等を溶接するための軌道溶接機、溶接継手に沿って直線的に移動するリニアトラック溶接機、並びにコラム及びブームキャリッジシステムが含まれる。各自動アーク溶接システムは、ロボットアーム302、トーチキャリッジ等の適切なトーチマニピュレータと、トーチマニピュレータに動作可能に接続されて、溶接経路に沿って所望の通りにトーチを移動させる、対応するモーションコントローラとを含む。
【0069】
図11は、第1の母材306aを第2の母材306bへ溶接する場合にロボット溶接システムによって実行されてもよいウィービングパターン例を示している。ロボットが溶接中に溶接シームに沿った方向316に溶接トーチ304を動かす際に、ロボットは溶接継手全体にわたって左右にトーチをウィービングさせる。右R、左L、及び中央Cのウィービング位置を
図11に指示する。ロボットは、シームの方向316における溶接トーチ304の移動速度、及び溶接電極のワイヤ供給速度等の変数によって決まってもよい略一定の周波数でシーム全体にわたって溶接トーチ304を前後にウィービングさせることができる。ウィービング周波数の例は1~5Hzの範囲にあるが、他のウィービング周波数も可能である。
【0070】
ウィービング溶接プロセスのための品質指標(例えば溶接スコア又は溶接品質スコア)を計算する場合、溶接スコアの精度は、ウィービングパターンに沿った一貫した位置(例えば、L、R、及び/又はC)において計算することによって向上させることができる。これにより、溶接スコアを計算するために用いられる解析パケットが同様のデータ(例えば、1ウィービング周期にわたるデータ)を含むことができる。ロボットコントローラはトーチ位置情報及び/又はウィービング速度(例えば、ウィービング周波数又は周期)に関する情報を溶接用電力供給部に提供することができ、その結果、溶接用電力供給部はウィービングパターンに沿った一貫した位置における溶接スコアの計算を行うことができる。例えば、ロボットコントローラは溶接用電力供給部にウィービングパターン内部のトーチの位置を通知し、溶接用電力供給部はトーチ位置に基づいて溶接スコアを計算することができる。溶接トーチがウィービングパターンの左側位置L(又は幾つか他の所定位置)に到達する度に、溶接用電力供給部は上で説明したように解析パケットを処理してウィービングの1周期に対する溶接スコアを計算することができる。かかるシナリオにおいて、解析パケットが収集される所定又は固定期間のサンプリング周期を有する代わりに、サンプリング周期はロボットコントローラによって溶接用電力供給部に提供されるトーチ位置情報に従ってウィービング周期又は周波数によって決定される。従って、溶接用電力供給部は溶接スコアを計算するための同期情報としてトーチ位置情報を用いることができる。ロボットコントローラは、また、溶接用電力供給部にウィービング周波数又はウィービング周期も通知することができ、溶接用電力供給部はウィービング周波数/周期に基づいて解析パケットのためのサンプリング周期を調整することができる。例えば、溶接用電力供給部は解析パケットのためのサンプリング周期をウィービング周期と等しくなるよう設定することができる。2Hzウィービング周波数に対し、ウィービング周期は500msであり、溶接スコア解析パケットのためのサンプリング周期は、溶接用電力供給部によって500msに設定又は調整することができ、(それによって、溶接用電力供給部がウィービングパターンに沿った一貫した位置における溶接スコアを計算することが可能となる)。溶接スコア解析パケットのためのサンプリング周期をウィービング周期に設定しながら、溶接用電力供給部は、また、一貫したウィービング位置における溶接スコアを得るよう、ロボットコントローラによって提供されるトーチ位置情報も参照して、必要に応じてサンプリング周期を自動的に調整することができる。スルーアークシームトラッキング(TAST)が溶接シームに対する方向変化に自動的に従うようロボットコントローラによって実行されている場合、TAST情報は溶接スコアを向上させるよう溶接用電力供給部によって用いられてもよい。例えば、溶接シームにおける偏差は溶接スコアと共に記録されるか、又は、溶接スコアを計算する場合に重み付けプロセスにおいて用いられてもよい。溶接スコアと共に記録されたTAST情報はその溶接スコアに対応する。
【0071】
図12はウィービング溶接中のTASTを示している。TASTは溶接電流及び電圧フィードバック並びにロボットのウィービング機能を用いて溶接継手内のトーチの横方向位置を特定する。継手の中央において、アーク電流は最小であり、アーク長さ又は電圧はその最大となっている。トーチがそのウィービングサイクルの縁端(L及びR位置)に達するにつれて、アーク電流は最大となり、電圧は降下する。ウィービングサイクルの縁端におけるピーク電流の値が増加する場合、トーチは溶接継手から遠ざかって移動しており、TASTは溶接シームを辿るようロボットの溶接経路に対して必要な修正を行う。TASTは、また、トーチの垂直方向位置を特定することもできる。コンタクトチップから母材までの距離が増加するにつれて、電流は小さくなり、コンタクトチップから母材までの距離が短くなるにつれて、電流量は増加する。TASTはトーチの垂直方向位置のばらつきを修正して一定の突出し長さを維持することができる。TAST計算は溶接電圧及び電流の両方を利用して溶接シームの縁端を特定することができる(例えば、TASTは電圧及び電流測定値からインピーダンス又はインピーダンス変化を計算することができる)。
図12は、TAST計算を行うための左側L、中央C、及び右側Rのウィービング位置を示している。シームトラッキング及び突き出し制御のための動き補正ベクトルを計算することに加えて、TAST計算を実行して、溶接開先の大きさに対する変化に基づき、トーチのウィービング又は振動幅、振動速度、移動速度、及び/又は側壁ドウェル時間を調整することができる。例えば、溶接開先が広がった場合、TAST計算は、トーチの振動幅を増加させ、溶接継手に沿ったその移動速度を遅くして、溶接金属の堆積を所望の通りに維持することができる。
【0072】
図13は、ウィービング溶接中及びTAST計算を行う場合に用いられてもよいパルス出力電流溶接波形例を示している。
図13の波形は単なる一例であり、説明を簡単にするために提供されている。多くの異なる溶接波形(例えば、表面張力移行STT)を本開示に対して適用できることは正しく認識するべきである。
図13の波形700はピークパルス710を含んでいる。ピークパルス710が点弧されると、短絡が生じる可能性があり、それは、例えば、時間720において始まり、例えば、短絡が解消される時間730まで続く。時間720及び730は短いインターバル740を画成している。ピークパルス710は複数のパルス周期又は溶接プロセスのサイクル中に一定の間隔で点弧される。波形700は、また、少し前に解消された短絡の直後に別の短絡を生じさせないよう助けるために用いられるプラズマブーストパルス750も含んでいる。波形700のための周波数範囲の例は100~200Hzであるが、他の周波数も可能である。
【0073】
図14は、ウィービング溶接中及びTAST計算を行う場合に用いられてもよい更なるパルス出力電流溶接波形例を示している。
図14の波形760はSTT溶接波形である。バックグラウンド電流762(例えば、50~100アンペアの間)はアークを維持し、母材の加熱に寄与する。溶接電極が最初に溶融池に短絡した後、電流は即座に最低レベル764まで低下して固体短絡を確実にする。電極の液体架橋部分のくびれを監視する間に、上方に増加するピンチ電流が次いで印加されて溶融金属を電極の端部で溶融池へ加圧する。液体架橋がまさに破断しかけている場合、溶接用電力供給部は溶接電流を最低レベルまで低下させることによって対応する。アーク回復直後、ピーク電流766又はプラズマブーストパルスが印加されて、電極と溶融池との間の偶発的な短絡を防止し、溶接パッドル及び継手を加熱するよう溶融池を下方に押すプラズマ力を生じる。次いで、指数型テールアウト768が調整されて全体の入熱を調整する。テールアウト768は溶接電流をバックグラウンド電流762レベルに戻す。STT波形のための周波数範囲の例は100~200Hzであるが、他の周波数も可能である。
【0074】
従来のTASTにおいて、専用のTASTコントローラ(例えば、TAST制御盤又はTASTロジック)を含んでいてもよいロボットコントローラは、溶接継手におけるトーチ位置に関する溶接電流及び電圧を監視する。ロボットコントローラは、トーチがウィービングサイクルの縁端又は中央に近付いている場合を知り、データを取り込み、トーチ位置に基づいてTAST計算を行う。専用のTASTコントローラが用いられた場合、メインロボット制御プロセッサはトーチ位置をTASTコントローラへ通信することができる。TASTデータ取り込み及び計算はウィービングの縁端又は中央の100分の1インチ~10,000分の1インチ内等のウィービングの縁端又は中央間近で行われてもよい。
【0075】
上で検討したパルス溶接波形により、電流及び電圧はピーク、低電流レベル、バックグラウンドレベル、等の間で常に変更されている。TAST電流/電圧測定が行われ、TAST計算が実行される場合に溶接波形の一部が優位を占めることによって、後続のTAST計算が影響を受ける可能性がある。例えば、1つのTAST計算は主に電流パルスに基づいてもよい一方で、別のものは主にバックグラウンド電流部分に基づいてもよい。これはTAST計算における誤りを招く可能性があり、結果としてシームトラッキング調整に対する過剰又は不足した修正を生じる可能性がある。これに対処するため、一実施形態において、溶接用電力供給部は溶接中に溶接電圧及び電流測定を行い、フィルタリングされた又はタグ付けされた溶接電圧及び電流データをロボットコントローラ又はTASTコントローラに提供することができる。データは溶接波形の一部に従ってフィルタリングされるか、又はタグ付けされ、そのデータはピーク又はバックグラウンド等に対応している。溶接用電力供給部はロボットコントローラからトーチ位置情報を受信し、トーチがウィービングの縁端又は中央に近付く際にフィルタリングされた又はタグ付けされた溶接電圧及び電流データを伝送することができる。フィルタリングされたデータの一例は、ピークパルスの間のみ又は波形のバックグラウンド部分(或いは所望通りに他の幾つかの部分)の間のみ行われる測定から得られる電圧及び電流データである。TAST計算は、次いで、溶接波形の一貫した部分を後続のTAST計算において用いるように、フィルタリングされたデータを用いて実行されてもよい。例えば、溶接波形のピークパルス又はバックグラウンド部分に対応するデータのみが、補正ベクトルを計算するために用いられる。データがタグ付けされるか、又はセグメント化される場合、溶接波形の一部分からのデータを(例えば、区別可能なデータブロックにセグメント化される)溶接波形の別の部分に対応するデータから区別することができるように、溶接波形の複数の異なる部分に関する電圧及び電流データもロボットコントローラ又はTASTコントローラに提供されてもよい。タグ付けされたデータはTASTコントローラによって認識される適切な識別子を含むため、タグ付けされたデータを区別可能なデータブロックにセグメント化する必要はない。TAST計算は次いで、溶接波形の選択された部分を用いて行うことができる。フィルタリングされたか又はタグ付けされたデータは、溶接波形のパルス電流部分の間に行われる電流測定及び波形の低電流部分(例えば、バックグラウンド部分)の間に行われる電流測定等のそれらが対応する溶接波形の部分に従って分類されるか、又は識別される。TAST計算は、溶接波形のパルス部分及びバックグラウンド部分等の溶接波形の低電流部分の一方又は両方に対応する電圧及び電流データを用いて行うことができる。ある特定の実施形態において、パルス部分及びバックグラウンド部分等の溶接波形の2つ以上の異なる部分に対応する電圧及び電流データが、TAST計算を実行するために用いられ、TAST論理は、溶接波形のどの部分にデータが対応するかに応じて、データに異なる重み付けを行う。例えば、溶接波形のパルス部分は、バックグラウンド部分よりも一貫性があり、TAST計算を実行する際により有用な情報を提供してもよい。従って、パルス部分に対応する電圧及び電流データは、TAST計算において、バックグラウンド部分に対応するデータよりも重く重み付けすることができる(より大きな重みが与えられる)。パルス部分に対応するデータには、バックグラウンド部分に対応するデータよりも小さい重みを与えることができるか、又はデータには等しい重みを与えることができる。他の実施形態において、溶接波形の単一部分(例えば、パルス部分)に対応するデータが、TAST計算を行うために用いられる。
【0076】
ある特定の実施形態において、溶接用電力供給部はTAST計算を行い、ロボットコントローラへ経路修正命令を提供することができる。かかる実施形態において、溶接用電力供給部はTASTロジックを含む。
【0077】
別の例示の実施形態において、溶接用電力供給部はロボットコントローラからトーチ位置情報を受信する。トーチがウィービングの縁端に近付くにつれて、溶接用電力供給部は溶接波形をTAST測定のために用いられる所定のレベルに調整する。例えば、トーチがウィービングの縁端に近付くにつれて、バックグラウンド電流レベル又はパルスを印加することができる。ロボットコントローラ又はTASTコントローラは次いで、溶接波形の一貫した部分に基づいてTAST測定を行うことができる。
【0078】
図15は、溶接用電力供給部の例示のコントローラ80の一実施形態を示している。コントローラ80は、バスサブシステム812を介して多数の周辺装置と通信する少なくとも1つのプロセッサ814を含んでいる。これらの周辺装置は、例えば、メモリサブシステム828及びファイルストレージサブシステム826を含むストレージサブシステム824、ユーザーインターフェース入力デバイス822、ユーザーインターフェース出力デバイス820、及びネットワークインターフェースサブシステム816を含んでいてもよい。入出力デバイスはコントローラ80とのユーザの対話を可能にする。ネットワークインターフェースサブシステム816は外部ネットワークとの対話を提供し、他のコンピュータシステム内の対応するインターフェースデバイスに接続される。
【0079】
ユーザーインターフェース入力デバイス822は、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、又はグラフィックスタブレット等のポインティングデバイス、スキャナ、ディスプレイに組み込まれるタッチスクリーン、音声認識システム等のオーディオ入力デバイス、マイクロフォン、及び/又は他の種類の入力デバイスを含んでいてもよい。一般に、用語「入力デバイス」の使用は、情報をコントローラ80又は通信ネットワークに入力するための可能性のある全ての種類のデバイス及び方法を含むことを意図している。
【0080】
ユーザーインターフェース出力デバイス820は、ディスプレイサブシステム、プリンタ、ファックス機、又はオーディオ出力デバイス等の非視覚的表示を含んでいてもよい。ディスプレイサブシステムは、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)等のフラットパネル装置、プロジェクション装置、又は可視画像を作成するための他の幾つかの機構を含んでいてもよい。ディスプレイサブシステムは、また、オーディオ出力デバイスを介するもの等の非視覚的表示を提供してもよい。一般に、用語「出力デバイス」の使用は、情報をコントローラ80からユーザ又は別の機械又はコンピュータシステムに出力するための可能性のある全ての種類のデバイス及び方法を含むことを意図している。
【0081】
ストレージサブシステム824は本明細書中に説明するモジュールの幾つか又は全ての機能を提供するプログラミング及びデータ構造体を格納している。これらのソフトウェアモジュールはプロセッサ814単体又は他のプロセッサと組み合わせることによって概して実行される。ストレージサブシステム内で用いられるメモリ828は、プログラム実行中の命令及びデータを格納するためのメインランダムアクセスメモリ(RAM)830及び固定命令が格納される読出し専用メモリ(ROM)832を含む多数のメモリを含むことができる。ファイルストレージサブシステム826は、プログラム及びデータファイルのための持続性ストレージを提供することができ、ハードディスクドライブ、関連するリムーバブルメディアに加えてフロッピーディスクドライブ、CD-ROMドライブ、光学式ドライブ、又はリムーバブルメディアカートリッジを含んでいてもよい。ある特定の実施形態の機能を実装するモジュールは、ストレージサブシステム824内のファイルストレージサブシステム826によって、又は、プロセッサ814によってアクセス可能な他の機械内に格納されてもよい。
【0082】
バスサブシステム812はコントローラ80の種々のコンポーネント及びサブシステムに意図したように互いに通信させるための機構を提供する。バスサブシステム812は単一バスとして概略的に示しているが、バスサブシステムの代替実施形態は多重バスを用いてもよい。
【0083】
コントローラ80は、ワークステーション、サーバ、コンピューティングクラスタ、ブレードサーバ、サーバファーム、又はその他任意のデータ処理システム或いはコンピューティングデバイスを含む様々な種類のものであってもよい。コンピューティングデバイス及びネットワークの絶えず変化する性質のため、
図15に示すコントローラ80の説明は幾つかの実施形態を示すための特定の実施例としてのみを目的としている。
図15に示すコントローラよりも多くの或いは少ないコンポーネントを有するコントローラ80の他の多くの構成が可能である。
【0084】
本開示は一例としてであり、本開示に含まれる教示の公正な適用範囲から逸脱することなく、詳細を追加、修正、又は削除することによって、様々な変更が行われてもよいことは明らかであろう。本発明は、従って、以下の特許請求の範囲がやむを得ずそのように限定する場合を除き、本開示の特定の詳細に限定されない。
【符号の説明】
【0085】
10 電気アーク溶接機
20 溶接ワイヤ
40 波形発生器
80 プロセッサベースコントローラ
100 パルス波形
110 実パラメータ
200 解析プログラム
250 レベル解析プログラム
300 ロボット溶接システム
302 溶接ロボット
304 溶接トーチ
308 ロボットコントローラ
309 アークシームトラッキングロジック
310 溶接用電力供給部
700,760 波形
【外国語明細書】