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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172474
(43)【公開日】2022-11-16
(54)【発明の名称】エンドミル
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/10 20060101AFI20221109BHJP
   B23C 5/16 20060101ALI20221109BHJP
   B23C 5/28 20060101ALI20221109BHJP
   B23B 27/14 20060101ALI20221109BHJP
   B23B 27/20 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B23C5/10 B
B23C5/16
B23C5/28
B23B27/14 B
B23B27/20
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128186
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2020507210の分割
【原出願日】2018-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】503212652
【氏名又は名称】住友電工ハードメタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
(72)【発明者】
【氏名】久木野 暁
(57)【要約】      (修正有)
【課題】切刃部に切屑が詰まることを抑制しつつ、切刃部の摩耗を抑制可能なエンドミルを提供する。
【解決手段】エンドミルは、シャンクと、切刃部とを有している。シャンクは、クーラント供給路を有する。切刃部は、クーラント供給路の出口を覆い、かつシャンク上に設けられている。切刃部は、多孔体により構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クーラント供給路を有するシャンクと、
前記クーラント供給路の出口を覆い、かつ前記シャンク上に設けられた切刃部とを備え、
前記切刃部は、多孔体により構成されており、
前記切刃部は、前記シャンク側にある後端面と、前記後端面と反対側にある先端面と、前記後端面と前記先端面とを貫通するクーラント流路とを含み、
前記先端面における前記クーラント流路の開口部は、切刃を構成し、
前記先端面は、前記シャンクに向かって延在する切屑排出溝を有し、
前記切屑排出溝は、底面部を有し、
前記クーラント流路の出口は、前記底面部に露出している、エンドミル。
【請求項2】
前記切屑排出溝は、前記後端面から離間している、請求項1に記載のエンドミル。
【請求項3】
前記切屑排出溝は、前記後端面に連なっている、請求項1に記載のエンドミル。
【請求項4】
前記シャンクは、前記切屑排出溝の延在方向に沿って延在する外周溝を有している、請求項1に記載のエンドミル。
【請求項5】
回転軸に平行な方向から見て、前記切屑排出溝は、直線状である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエンドミル。
【請求項6】
回転軸に平行な方向から見て、前記切屑排出溝は、円弧状である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエンドミル。
【請求項7】
前記切刃部は、多結晶ダイヤモンドにより構成されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のエンドミル。
【請求項8】
前記多結晶ダイヤモンドの平均粒径は、0.5μm以上100μm以下である、請求項7に記載のエンドミル。
【請求項9】
前記多孔体の気孔率は、2体積%以上20体積%以下である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のエンドミル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンドミルに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-112678号公報(特許文献1)には、ダイヤモンド焼結体を有するボールエンドミルが記載されている。当該ボールエンドミルの刃部は、半球状の球体面を有している。当該半球状の球体面の表面は、ダイヤモンド粒子と結合剤によるダイヤモンド焼結体の凸部を研磨加工して形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-112678号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示に係るエンドミルは、シャンクと、切刃部とを備えている。シャンクは、クーラント供給路を有する。切刃部は、クーラント供給路の出口を覆い、かつシャンク上に設けられている。切刃部は、多孔体により構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】第1実施形態に係るエンドミルの斜視模式図である。
図2】第1実施形態に係るエンドミルの切刃部付近の拡大斜視模式図である。
図3】第1実施形態に係るエンドミルの正面模式図である。
図4図3のIV-IV線に沿った端面模式図である。
図5】第2実施形態に係るエンドミルの正面模式図である。
図6】第2実施形態に係るエンドミルの側面模式図である。
図7】第3実施形態に係るエンドミルの側面模式図である。
図8】第4実施形態に係るエンドミルの正面模式図である。
図9】第5実施形態に係るエンドミルの側面模式図である。
図10】第6実施形態に係るエンドミルの側面模式図である。
図11】第7実施形態に係るエンドミルの側面模式図である。
図12】第8実施形態に係るエンドミルの側面模式図である。
図13】本実施形態に係る切削部の製造方法を概略的に示すフローチャートである。
図14】焼結体の構成を示す斜視模式図である。
図15】ペレットの構成を示す斜視模式図である。
図16】酸処理工程前のペレットの構成を示す断面模式図である。
図17】酸処理工程後のペレットの構成を示す断面模式図である。
図18】成形後のペレットの構成を示す斜視模式図である。
図19】気孔率の測定装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
特開2016-112678号公報(特許文献1)に記載のエンドミルにおいては、切刃は、ダイヤモンド粒子の凸部と、結合剤としてのコバルトの凹部とにより構成されている。そのため、当該エンドミルにおいては、切削加工が進行するにつれて、切屑が徐々に凹部に詰まりやすかった。また硬脆材を高回転で加工する場合、摩擦熱により切刃部が摩耗しやすかった。
【0007】
本発明の一態様は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、切刃部に切屑が詰まることを抑制しつつ、切刃部の摩耗を抑制可能なエンドミルを提供することである。
【0008】
[本開示の効果]
本発明の一態様によれば、切刃部に切屑が詰まることを抑制しつつ、切刃部の摩耗を抑制可能なエンドミルを提供することができる。
【0009】
[本発明の実施形態の概要]
まず、本発明の実施形態の概要について説明する。
【0010】
(1)本開示に係るエンドミル1は、シャンク10と、切刃部20とを備えている。シャンク10は、クーラント供給路13を有する。切刃部20は、クーラント供給路13の出口12dを覆い、かつシャンク10上に設けられている。切刃部20は、多孔体により構成されている。クーラント供給路13から導入されたクーラントは、切刃部20の内部から切刃部20の表面に出てくる。そのため、切刃部20に詰まった切屑は、クーラントにより外部に押し出される。またクーラントは、切刃部20の表面から外部に吐出される。そのため、切刃部20を効果的に冷却することができる。結果として、切刃部20に切屑が詰まることを抑制しつつ、切刃部20の摩耗を抑制することができる。
【0011】
(2)上記(1)に係るエンドミル1において、切刃部20は、シャンク10側にある後端面22と、後端面22と反対側にある先端面21と、後端面22と先端面21とを貫通するクーラント流路24とを含んでいてもよい。先端面21におけるクーラント流路24の開口部は、切刃23を構成していてもよい。これにより、先端面21に形成された切刃23に切屑が詰まることを効果的に抑制しつつ、切刃23を効果的に冷却することができる。
【0012】
(3)上記(2)に係るエンドミル1において、先端面21は、シャンク10に向かって延在する切屑排出溝25を有していてもよい。これにより、切屑を効果的に外部に排出することができる。
【0013】
(4)上記(3)に係るエンドミル1において、切屑排出溝25は、後端面22から離間していてもよい。
【0014】
(5)上記(3)に係るエンドミル1において、切屑排出溝25は、後端面22に連なっていてもよい。
【0015】
(6)上記(3)に係るエンドミル1において、シャンク10は、切屑排出溝25の延在方向に沿って延在する外周溝14を有していてもよい。これにより、切屑をさらに効果的に外部に排出することができる。
【0016】
(7)上記(3)~(6)に係るエンドミル1において、回転軸Aに平行な方向から見て、切屑排出溝25は、直線状であってもよい。
【0017】
(8)上記(3)~(6)に係るエンドミル1において、回転軸Aに平行な方向から見て、切屑排出溝25は、円弧状であってもよい。
【0018】
(9)上記(1)~(8)に係るエンドミル1において、切刃部20は、多結晶ダイヤモンドにより構成されていてもよい。被削材が鉄系の材料の場合、ダイヤモンドと鉄とは反応性が高いため、切刃23が著しく摩耗する場合がある。そのため、被削材が鉄系の材料であり、かつ切刃部20がダイヤモンドから構成されているエンドミル1において、特に摩耗を抑制する効果が高くなる。
【0019】
(10)上記(9)に係るエンドミル1において、多結晶ダイヤモンドの平均粒径は、0.5μm以上100μm以下であってもよい。
【0020】
(11)上記(1)~(10)に係るエンドミル1において、多孔体の気孔率は、2体積%以上10体積%以下であってもよい。多孔体の気孔率を2体積%以上とすることにより、多量のクーラントを切刃部20の表面から吐出することができる。一方、多孔体の気孔率を20体積%以下とすることにより、切刃部20の強度が過度に低下することを抑制することができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面に基づいて本開示の実施形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0022】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係るエンドミル1の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係るエンドミル1の斜視模式図である。図2は、第1実施形態に係るエンドミル1の切刃部20付近の拡大斜視模式図である。図3は、第1実施形態に係るエンドミル1の正面模式図である。
【0023】
第1実施形態に係るエンドミル1は、たとえば超硬合金または焼入鋼などの硬脆材の加工に用いられる回転切削工具である。図1に示されるように、第1実施形態に係るエンドミル1は、回転軸Aの周りを回転可能に構成されており、シャンク10と、切刃部20とを主に有している。切刃部20は、シャンク10上に設けられている。切刃部20の直径は、たとえば6mm以下である。シャンク10は、たとえば第1シャンク部11と、第2シャンク部12とにより構成されている。第2シャンク部12は、第1シャンク部11上に設けられている。第1シャンク部11および第2シャンク部12の各々は、円筒状である。第1シャンク部11の直径は、第2シャンク部12の直径よりも大きい。
【0024】
第1シャンク部11は、第1主面11aと、第2主面11bと、第1外周部11cとを有している。第2主面11bは、第1主面11aの反対側の面である。第1外周部11cは、回転軸Aの周りに設けられている。第2シャンク部12は、第3主面12aと、第4主面12bと、第2外周部12cとを有している。第4主面12bは、第3主面12aの反対側の面である。第1シャンク部11の第1主面11aは、第2部材の第4主面12b上に接している。シャンク10は、クーラント供給路13を有している。クーラント供給路13は、第2主面11bから第3主面12aまで延在している。
【0025】
図2に示されるように、切刃部20は、先端面21と、後端面22とを主に有している。後端面22は、シャンク10側にある面である。後端面22は、シャンク10に対向している。後端面22は、たとえばろう付けによってシャンク10に接合されている。先端面21は、後端面22と反対側の面である。切刃部20の後端面22は、シャンク10の第3主面12a上に設けられている。切刃部20の後端面22は、切刃部20は、クーラント供給路13の出口12dを覆っている。切刃部20は、多孔体により構成されている。切刃部20の形状は、略半球状である。先端面21の形状は、略半球面状である。後端面22の形状は、略円状である。切刃部20は、クーラント流路24(図4参照)を有している。図3に示されるように、先端面21には、クーラント流路24の開口部が複数設けられている。先端面21におけるクーラント流路24の開口部は、切刃23を構成している。別の観点から言えば、クーラント流路24の出口の周囲が切刃23となっている。
【0026】
図4は、図3のIV-IV線に沿った端面模式図である。図4に示されるように、クーラント流路24は、後端面22と先端面21とを貫通する。別の観点から言えば、クーラント流路24は、先端面21および後端面22の各々に開口している。後端面22におけるクーラント流路24の開口部は、クーラント流路24の入口となる。先端面21におけるクーラント流路24の開口部は、クーラント流路24の出口となる。切刃部20は、たとえばコバルトをバインダーとして多結晶ダイヤモンドが焼結された後に、バインダーとしてのコバルトがリーチアウトされることで形成される。リーチアウトされたコバルトが存在していた部分が空洞となり、当該空洞がクーラント流路24となる。クーラント流路24は、複数のダイヤモンド粒子26の間に形成された空間である。別の観点から言えば、クーラント流路24の内壁は、複数のダイヤモンド粒子26の表面によって構成される。
【0027】
図4の矢印で示されるように、シャンク10に設けられたクーラント供給路13から供給されるクーラントは、切刃部20の後端面22に開口するクーラント流路24から切刃部20の内部に導入される。その後、クーラントは、切刃部20の先端面21に開口するクーラント流路24から外部に放出される。クーラント流路24は、複数の流路に分岐されていてもよい。分岐した複数の流路の開口部の各々が、切刃23を構成している。クーラントは、液体であってもよいし、気体であってもよい。クーラントが液体の場合、液体は水溶性であってもよし、油性であってもよい。
【0028】
切刃部20を構成する材料は、たとえば多結晶ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素焼結体、炭化珪素等である。望ましくは、切刃部20を構成する材料は、多結晶ダイヤモンド焼結体である。具体的には、多結晶ダイヤモンドの平均粒径は、たとえば0.1μm以上100μm以下である。多結晶ダイヤモンドの平均粒径の上限は、特に限定されないが、たとえば50μm以下であってもよいし、10μm以下であってもよい。多結晶ダイヤモンドの平均粒径の下限は、特に限定されないが、たとえば0.5μm以上であってもよいし、1μm以上であってもよい。多結晶ダイヤモンドの平均粒径は、以下の方法により測定することができる。
【0029】
<多結晶ダイヤモンドの粒径測定方法>
多結晶ダイヤモンド中のダイヤモンド粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡により倍率10~50万倍で写真撮影像を元に焼結体を構成する結晶粒の粒径分布を測定する。具体的には、画像解析ソフト(例えば、Scion Corporation社製のScionImage)を用いて、個々の粒子を抽出し、抽出した粒子を2値化処理して各粒子の面積(S)を算出する。そして、各粒子の粒径(D)を、同じ面積を有する円の直径(D=2√(S/π))として算出する。次に、上記で得られた粒径分布をデータ解析ソフト(例えば、OriginLab社製のOrigin、Parametric Technology社製のMathchad等)によって処理し、平均粒径を算出することができる。
【0030】
多孔体の気孔率は、たとえば2体積%以上20体積%以下である。多孔体の気孔率の上限は、特に限定されないが、たとえば10体積%以下であってもよいし、8体積%以下であってもよい。多孔体の気孔率の下限は、特に限定されないが、たとえば3体積%以上であってもよいし、5体積%以上であってもよい。多孔体の気孔率の測定方法は後述する。
【0031】
次に、第1実施形態に係るエンドミル1の作用効果について説明する。
【0032】
第1実施形態に係るエンドミル1によれば、シャンク10は、クーラント供給路13を有する。切刃部20は、クーラント供給路13の出口12dを覆い、かつシャンク10上に設けられている。切刃部20は、多孔体により構成されている。クーラント供給路13から導入されたクーラントは、切刃部20の内部から切刃部20の表面に出てくる。そのため、切刃部20に詰まった切屑は、クーラントにより外部に押し出される。またクーラントは、切刃部20の表面から外部に吐出される。そのため、切刃部20を効果的に冷却することができる。結果として、切刃部20に切屑が詰まることを抑制しつつ、切刃部20の摩耗を抑制することができる。
【0033】
また第1実施形態に係るエンドミル1によれば、切刃部20は、シャンク10側にある後端面22と、後端面22と反対側にある先端面21と、後端面22と先端面21とを貫通するクーラント流路24とを含んでいる。先端面21におけるクーラント流路24の開口部は、切刃23を構成している。これにより、先端面21に形成された切刃23に切屑が詰まることを効果的に抑制しつつ、切刃23を効果的に冷却することができる。
【0034】
さらに第1実施形態に係るエンドミル1によれば、切刃部20は、多結晶ダイヤモンドにより構成されている。被削材が鉄系の材料の場合、ダイヤモンドと鉄とは反応性が高いため、切刃23が著しく摩耗する場合がある。そのため、被削材が鉄系の材料であり、かつ切刃部20がダイヤモンドから構成されているエンドミル1において、特に摩耗を抑制する効果が高くなる。
【0035】
さらに第1実施形態に係るエンドミル1によれば、多孔体の気孔率は、2体積%以上20体積%以下である。多孔体の気孔率を2体積%以上とすることにより、多量のクーラントを切刃部20の表面から吐出することができる。一方、多孔体の気孔率を20体積%以下とすることにより、切刃部20の強度が過度に低下することを抑制することができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るエンドミル1の構成について説明する。第2実施形態に係るエンドミル1は、先端面21がシャンク10に向かって延在する切屑排出溝25を有している構成において、第1実施形態に係るエンドミル1と異なっており、その他の構成は、第1実施形態に係るエンドミル1と同様である。以下、第1実施形態に係るエンドミル1と異なる構成を中心に説明する。
【0037】
図5は、第2実施形態に係るエンドミル1の正面模式図である。図6は、第2実施形態に係るエンドミル1の側面模式図である。図5に示されるように、回転軸Aに平行な方向から見て、切屑排出溝25は、直線状であってもよい。回転軸Aに平行な方向から見て、切刃部20は、円の一部が切り欠かれた形状を有している。シャンク10の第3主面12aの一部が切刃部20から露出している。図6に示されるように、回転軸Aに垂直な方向から見て、切屑排出溝25は、シャンク10に向かって延在している。切屑排出溝25は、切刃部20の後端面22に連なっていてもよい。切屑排出溝25は、シャンク10に設けられたクーラント供給路13の延在方向とほぼ平行であってもよい。別の観点から言えば、切屑排出溝25は、回転軸Aとほぼ平行であってもよい。
【0038】
第2実施形態に係るエンドミル1によれば、先端面21は、シャンク10に向かって延在する切屑排出溝25を有している。これにより、切屑を効果的に外部に排出することができる。
【0039】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るエンドミル1の構成について説明する。第3実施形態に係るエンドミル1は、シャンク10が外周溝14を有している構成において、第2実施形態に係るエンドミル1と異なっており、その他の構成は、第2実施形態に係るエンドミル1と同様である。以下、第2実施形態に係るエンドミル1と異なる構成を中心に説明する。
【0040】
図7は、第3実施形態に係るエンドミル1の側面模式図である。図7に示されるように、シャンク10は外周溝14を有していてもよい。回転軸Aに垂直な方向から見て、外周溝14は、直線状であってもよい。外周溝14は、シャンク10に設けられたクーラント供給路13の延在方向とほぼ平行であってもよい。別の観点から言えば、外周溝14は、回転軸Aとほぼ平行であってもよい。外周溝14は、切刃部20に設けられた切屑排出溝25の延在方向に沿って設けられている。別の観点から言えば、外周溝14は、切屑排出溝25に繋がっている。
【0041】
第3実施形態に係るエンドミル1によれば、シャンク10は、切屑排出溝25の延在方向に沿って延在する外周溝14を有している。これにより、切屑をさらに効果的に外部に排出することができる。
【0042】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係るエンドミル1の構成について説明する。第4実施形態に係るエンドミル1は、切屑排出溝25が円弧状である構成において、第2実施形態に係るエンドミル1と異なっており、その他の構成は、第2実施形態に係るエンドミル1と同様である。以下、第2実施形態に係るエンドミル1と異なる構成を中心に説明する。
【0043】
図8は、第4実施形態に係るエンドミル1の正面模式図である。図8に示されるように、回転軸Aに平行な方向から見て、切屑排出溝25は、円弧状であってもよい。回転軸Aに平行な方向から見て、シャンク10の第3主面12aの一部が切刃部20から露出している。回転軸Aに平行な方向から見て、切屑排出溝25は、回転軸Aに向かって凹んでいてもよい。回転軸Aに平行な方向から見て、切屑排出溝25は、シャンク10に設けられたクーラント供給路13の出口よりも外周側に位置している。第4実施形態に係るエンドミル1は、第2実施形態に係るエンドミル1と同様の作用効果を奏する。
【0044】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係るエンドミル1の構成について説明する。第5実施形態に係るエンドミル1は、先端面21が切屑排出溝25を有しており、かつ切屑排出溝25が後端面22から離間している構成において、第1実施形態に係るエンドミル1と異なっており、その他の構成は、第1実施形態に係るエンドミル1と同様である。以下、第1実施形態に係るエンドミル1と異なる構成を中心に説明する。
【0045】
図9は、第5実施形態に係るエンドミル1の側面模式図である。図9に示されるように、切屑排出溝25は、先端面21の形状に沿って設けられてもよい。具体的には、切屑排出溝25は、たとえば、第1側面部25aと、第2側面部25bと、第1底面部25cとにより構成されている。第2側面部25bは、第1側面部25aと連なる。第1底面部25cは、第1側面部25aおよび第2側面部25bの各々と連なっている。第1側面部25aおよび第2側面部25bの各々は、先端面21に連なっている。第1底面部25cは、先端面21よりもシャンク10側に位置する。第1側面部25aおよび第2側面部25bの各々は、先端面21と交差する方向に延在している。
【0046】
図9に示されるように、切屑排出溝25は、切刃23に連なっている。具体的には、クーラント流路24の出口は、第1底面部25cに露出していてもよい。クーラント流路24の出口は、第1側面部25aに露出していてもよい。クーラント流路24の出口は、第2側面部25bに露出していてもよい。切屑排出溝25は、切刃部20の後端面22から離間していてもよい。具体的には、第1側面部25a、第2側面部25bおよび第1底面部25cの各々は、後端面22から離間している。別の観点から言えば、切屑排出溝25は、シャンク10まで達していなくてもよい。第5実施形態に係るエンドミル1によれば、切屑排出溝25が設けられていないエンドミルと比較して、切屑を効果的に外部に排出することができる。
【0047】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態に係るエンドミル1の構成について説明する。第6実施形態に係るエンドミル1は、切屑排出溝25が後端面22に連なっている構成において、第5実施形態に係るエンドミル1と異なっており、その他の構成は、第5実施形態に係るエンドミル1と同様である。以下、第5実施形態に係るエンドミル1と異なる構成を中心に説明する。
【0048】
図10は、第6実施形態に係るエンドミル1の側面模式図である。図10に示されるように、切屑排出溝25は、後端面22に連なっていてもよい。別の観点から言えば、切屑排出溝25は、シャンク10まで達していてもよい。切屑排出溝25は、たとえば、第1側面部25aと、第2側面部25bと、第1底面部25cとにより構成されている。第2側面部25bおよび第1底面部25cの各々は、後端面22に連なっている。第1側面部25aは、後端面22から離間している。シャンク10の第3主面12aの一部は、切屑排出溝25の部分において、切刃部20から露出していてもよい。第5実施形態に係るエンドミル1によれば、切屑を効果的に外部に排出することができる。
【0049】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態に係るエンドミル1の構成について説明する。第7実施形態に係るエンドミル1は、シャンク10が外周溝14を有している構成において、第6実施形態に係るエンドミル1と異なっており、その他の構成は、第6実施形態に係るエンドミル1と同様である。以下、第6実施形態に係るエンドミル1と異なる構成を中心に説明する。
【0050】
図11は、第7実施形態に係るエンドミル1の側面模式図である。図11に示されるように、シャンク10は、外周溝14を有していてもよい。外周溝14は、シャンク10の第3主面12aから第4主面12b(図1参照)に向かって延在している。外周溝14は、回転軸Aに平行に設けられていてもよいし、回転軸Aの周りに螺旋状に設けられていてもよい。外周溝14は、第3側面部14bと、第2底面部14aとにより構成されている。第3側面部14bおよび第2底面部14aの各々は、シャンク10の第3主面12aに連なっている。切刃部20の切屑排出溝25は、シャンク10の外周溝14に繋がっている。別の観点から言えば、外周溝14は、切屑排出溝25の延在方向に沿って設けられている。具体的には、第3側面部14bは、第2側面部25bの延在方向に沿って延在している。同様に、第2底面部14aは、第1底面部25cの延在方向に沿って延在している。
【0051】
第7実施形態に係るエンドミル1によれば、シャンク10は、切屑排出溝25の延在方向に沿って延在する外周溝14を有している。これにより、切屑をさらに効果的に外部に排出することができる。
【0052】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態に係るエンドミル1の構成について説明する。第8実施形態に係るエンドミル1は、クーラント供給路13がテーパ部13bを有している構成において、第1実施形態に係るエンドミル1と異なっており、その他の構成は、第1実施形態に係るエンドミル1と同様である。以下、第1実施形態に係るエンドミル1と異なる構成を中心に説明する。
【0053】
図12は、第8実施形態に係るエンドミル1の側面模式図である。図11に示されるように、クーラント供給路13は、テーパ部13bと、筒状部13aとを有していてもよい。テーパ部13bは、第2主面11bから第3主面12aに向かう方向において拡がる部分である。テーパ部13bは、たとえば回転軸Aに対して傾斜する直線に沿って延在している。回転軸Aに対して垂直な方向におけるテーパ部13bの幅は、第2主面11bから第3主面12aに向かう方向において大きくなる。テーパ部13bは、第3主面12aに連なっている。テーパ部13bは、筒状部13aと切刃部20との間にある。筒状部13aは、回転軸Aに沿って延在している。別の観点から言えば、筒状部13aは、回転軸Aを取り囲んでいる。テーパ部13bは、切刃部20の後端面22に覆われている。切刃部20のクーラント流路24は、テーパ部13bに繋がっている。
【0054】
第8実施形態に係るエンドミル1によれば、クーラント供給路13がテーパ部13bを有している。これにより、クーラントが切刃部20に対して効果的に供給される。結果として、切刃部20に切屑が詰まることをさらに抑制しつつ、切刃部20の摩耗をさらに抑制することができる。
【0055】
次に、切刃部の製造方法について説明する。
【0056】
図13は、本実施形態に係る切削部の製造方法を概略的に示すフローチャートである。図13に示されるように、切刃部の製造方法は、焼結工程(S10)と、ワイヤ放電加工工程(S20)と、酸処理工程(S30)と、成形工程(S40)とを主に有している。まず、焼結工程(S10)が実施される。焼結工程(S10)においては、ダイヤモンドと、コバルトの粉末とが混ぜ合わされる。混ぜ合わされたダイヤモンドとコバルトは、たとえば5万気圧かつ1300℃以上1500℃以下の温度で数時間保持されことにより、焼結体となる。図14は、焼結体の構成を示す斜視模式図である。図14に示されるように、焼結体30は、たとえば円板状である。焼結体30の直径W1は、たとえば50mmである。焼結体30の厚みT1は、たとえば2mm以上20mm以下である。
【0057】
次に、ワイヤ放電加工工程(S20)が実施される。具体的には、WEDM(Wire Electric Discharge Machine)を用いて、円板状の焼結体からペレットがくり貫かれる。図15は、ペレットの構成を示す斜視模式図である。図15に示されるように、ペレット32は、たとえば円柱状である。ペレット32の直径W2は、たとえば切刃部20の直径とほぼ同じである。ペレット32の厚みT1は、たとえば2mm以上20mm以下である。図16は、酸処理工程前のペレットの構成を示す断面模式図である。図16に示されるように、ペレット32は、ダイヤモンド粒子26とコバルト領域31(バインダー)とにより構成されている。コバルト領域31は、ダイヤモンド粒子26の周りを取り囲むように配置されている。コバルト領域31は、隣り合う2つのダイヤモンド粒子26の間に配置されている。
【0058】
次に、酸処理工程(S30)が実施される。具体的には、ペレット32が密閉されたポット(図示せず)に配置される。ポットには、酸が配置されている。酸は、たとえば塩酸、硫酸または硝酸などである。ペレット32は、上記酸に浸漬された状態で、たとえば72時間保持される。ポット内の圧力は、たとえば数気圧である。酸の温度は、たとえば150℃以上200℃以下である。これにより、ペレット32からコバルトが酸に溶け出す。言い換えれば、コバルトがリーチアウトする。図17は、酸処理工程後のペレットの構成を示す断面模式図である。図17に示されるように、コバルトがリーチアウトすることで、ペレット32の内部に空洞が形成される。この空洞が、切刃部20のクーラント流路24となる。クーラントは、ダイヤモンド粒子26とダイヤモンド粒子26との間の空洞を通って流れる。
【0059】
次に、成形工程(S40)が実施される。具体的には、ペレット32が酸処理のポットから取り出された後、ペレット32が成形される。図18は、成形後のペレットの構成を示す斜視模式図である。図18に示されるように、ペレット32は、略半球状の先端面21を有するように加工される。先端面21には、クーラント流路24の開口部が複数露出する。クーラント流路24の開口部は、切刃23として機能する。
【0060】
次に、気孔率の測定方法について説明する。
【0061】
図19は、気孔率の測定装置の構成を示す模式図である。図19に示されるように、気孔率の測定装置100は、試料台40と、真空ポンプ42と、圧力ゲージ43と、配管44とを主に有している。試料台40は、表面40aと裏面40bとを有している。試料台40には、表面40aおよび裏面40bの各々に開口するように貫通孔41が設けられている。貫通孔41は配管44を介して真空ポンプ42に繋がっている。配管44の途中には、圧力ゲージ43が設けられている。圧力ゲージ43は、配管44内の圧力を測定することができる。切刃部20は、試料台40の表面40aに開口する貫通孔41を覆うように、試料台40の表面40aに配置される。
【0062】
切刃部20の気孔率が低い場合、配管44の内部の圧力は真空に近くなり、圧力は低くなる。一方、切刃部20の気孔率が高い場合、配管44の内部の圧力はあまり下がらず、圧力は低くならない。たとえば気孔率が0%および100%の基準サンプルを用いて、それぞれの圧力を基準値とする。その後、測定対象の切刃部20を用いて、配管44の圧力を圧力ゲージ43で測定することで、気孔率を求めることができる。
【0063】
なお、上記各実施形態に係るエンドミル1によって好適に加工される被削材は、たとえば超硬合金または焼入鋼製の金型である。超硬合金の種類は、たとえばAF1、G5またはG6などである。焼入鋼の種類は、たとえばSKD11である。
【0064】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
1 エンドミル、10 シャンク、11 第1シャンク部、11a 第1主面、11b 第2主面、11c 第1外周部、12 第2シャンク部、12a 第3主面、12b 第4主面、12c 第2外周部、12d 出口、13 クーラント供給路、13a 筒状部、13b テーパ部、14 外周溝、14a 第2底面部、14b 第3側面部、20 切刃部、21 先端面、22 後端面、23 切刃、24 クーラント流路、25 切屑排出溝、25a 第1側面部、25b 第2側面部、25c 第1底面部、26 ダイヤモンド粒子、30 焼結体、31 コバルト領域、32 ペレット、40 試料台、40a 表面、40b 裏面、41 貫通孔、42 真空ポンプ、43 圧力ゲージ、44 配管、100 測定装置、A 回転軸、T1 厚み、W1,W2 直径。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19