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特開2022-172494ネットワーク診断システム、ネットワーク診断方法及びネットワーク診断プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172494
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ネットワーク診断システム、ネットワーク診断方法及びネットワーク診断プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 43/00 20220101AFI20221110BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
H04L12/70 100Z
H04L12/28 200M
H04L12/28 100F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078273
(22)【出願日】2021-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森 啓充
(72)【発明者】
【氏名】福島 誠
(72)【発明者】
【氏名】菅原 智之
(72)【発明者】
【氏名】和田 俊亮
【テーマコード(参考)】
5K030
5K033
【Fターム(参考)】
5K030GA12
5K030HC14
5K030JA10
5K030MA03
5K030MB06
5K030MB20
5K030MC03
5K030MC07
5K033AA05
5K033BA03
5K033DA15
5K033DB03
5K033DB20
5K033EA01
5K033EA05
5K033EA07
(57)【要約】
【課題】ネットワーク機器の故障に至る前に、通信不良の予兆の検知及びネットワークにおける劣化部位の特定が可能なネットワーク診断システム、ネットワーク診断方法及びネットワーク診断プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】ネットワーク診断システムは、2以上のホストコンピュータ、および、対象機器が接続されるネットワークの診断システムであって、各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信結果を取得するように構成された通信結果取得部と、各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信経路に関する情報を取得するように構成された経路情報取得部と、前記通信結果および前記通信経路に関する情報に基づいて、前記通信経路上における劣化部位を特定するように構成された劣化部位特定部と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上のホストコンピュータ、および、対象機器が接続されるネットワークの診断システムであって、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信結果を取得するように構成された通信結果取得部と、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信経路に関する情報を取得するように構成された経路情報取得部と、
前記通信結果および前記通信経路に関する情報に基づいて、前記通信経路上における劣化部位を特定するように構成された劣化部位特定部と、
を備えるネットワーク診断システム。
【請求項2】
前記通信結果取得部は、前記通信結果として、各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信速度を示すパラメータを取得するように構成された
請求項1に記載のネットワーク診断システム。
【請求項3】
前記劣化部位特定部は、前記パラメータと閾値との比較に基づき、前記劣化部位を特定するように構成された
請求項2に記載のネットワーク診断システム。
【請求項4】
前記パラメータは、各々の前記ホストコンピュータについての前記対象機器への送信パケットの送信から前記送信パケットに対応する前記対象機器からの応答パケットの受信までの時間である
請求項2又は3に記載のネットワーク診断システム。
【請求項5】
前記通信結果取得部は、各々の前記ホストコンピュータにて前記対象機器を宛先として実行されるpingコマンドの実行結果に基づき、前記パラメータを取得するように構成された
請求項2乃至4の何れか一項に記載のネットワーク診断システム。
【請求項6】
前記通信結果取得部は、各々の前記ホストコンピュータについての前記対象機器への送信パケット、又は、前記送信パケットに対応する前記対象機器からの応答パケットに含まれるタイムスタンプに基づき、前記パラメータを取得するように構成された
請求項2乃至4の何れか一項に記載のネットワーク診断システム。
【請求項7】
前記劣化部位特定部による診断結果を示す情報を出力するように構成された出力部を備える
請求項1乃至6の何れか一項に記載のネットワーク診断システム。
【請求項8】
2以上のホストコンピュータ、および、対象機器が接続されるネットワークの診断方法であって、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信結果を取得するステップと、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信経路に関する情報を取得するステップと、
前記通信結果および前記通信経路に関する情報に基づいて、前記通信経路上における劣化部位を特定するステップと、
を備えるネットワーク診断方法。
【請求項9】
2以上のホストコンピュータ、および、対象機器が接続されるネットワークの診断プログラムであって、
コンピュータに、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信結果を取得する手順と、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信経路に関する情報を取得する手順と、
前記通信結果および前記通信経路に関する情報に基づいて、前記通信経路上における劣化部位を特定する手順と、
を実行させるためのネットワーク診断プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネットワーク診断システム、ネットワーク診断方法及びネットワーク診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラントでは、ネットワークを介してプラント機器の操作や監視が行われることがある。ネットワークを介した通信に異常が生じると、ネットワークを介したプラント機器の適切な操作や監視ができなくなる。そこで、ネットワークの異常診断を行うことが考えられる。
【0003】
引用文献1は、発電プラントに関するものではないが、拠点間における通信のボトルネック箇所を判定するためのネットワーク診断システムが開示されている。このネットワーク診断システムでは、送信装置を設置した拠点と、受信装置を設置した拠点との間における試験トラフィックを段階的に増加させ、試験トラフィックの受信時における受信装置に異常が生じたときの試験トラフィック量と閾値との比較に基づいて、拠点間におけるボトルネック箇所の有無を判定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-43478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発電プラントにおけるネットワーク診断では、通常、ネットワーク機器の故障(例えばネットワークケーブルの断線)を検知し、警報を出力している。このように、ネットワーク機器が故障したことを検知するので、警報あったときには既に通信障害が生じており、ネットワークが二重化されていない項目では操作又は監視が不能になる等の問題があった。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、ネットワーク機器の故障に至る前に、通信不良の予兆の検知及びネットワークにおける劣化部位の特定が可能なネットワーク診断システム、ネットワーク診断方法及びネットワーク診断プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態に係るネットワーク診断システムは、
2以上のホストコンピュータ、および、対象機器が接続されるネットワークの診断システムであって、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信結果を取得するように構成された通信結果取得部と、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信経路に関する情報を取得するように構成された経路情報取得部と、
前記通信結果および前記通信経路に関する情報に基づいて、前記通信経路上における劣化部位を特定するように構成された劣化部位特定部と、
を備える。
【0008】
また、本発明の少なくとも一実施形態に係るネットワーク診断方法は、
2以上のホストコンピュータ、および、対象機器が接続されるネットワークの診断方法であって、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信結果を取得するステップと、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信経路に関する情報を取得するステップと、
前記通信結果および前記通信経路に関する情報に基づいて、前記通信経路上における劣化部位を特定するステップと、
を備える。
【0009】
また、本発明の少なくとも一実施形態に係るネットワーク診断プログラムは、
2以上のホストコンピュータ、および、対象機器が接続されるネットワークの診断プログラムであって、
コンピュータに、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信結果を取得する手順と、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信経路に関する情報を取得する手順と、
前記通信結果および前記通信経路に関する情報に基づいて、前記通信経路上における劣化部位を特定する手順と、
を実行させるように構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、ネットワーク機器の故障に至る前に、通信不良の予兆の検知及びネットワークにおける劣化部位の特定が可能なネットワーク診断システム、ネットワーク診断方法及びネットワーク診断プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係るネットワーク診断システムの診断対象となるネットワークの構成の一例を示す概略図である。
図2】一実施形態に係るネットワーク診断システムの概略構成図である。
図3】ホストコンピュータと対象機器との間の通信経路に関する情報の一例を示す図である。
図4】pingコマンド実行時の通信を示す模式図である。
図5】pingコマンドの実行結果の一例を示す図である。
図6】診断対象のネットワークに接続された機器間の通信を示す模式図である。
図7】ホストコンピュータ(Host_1)と対象機器との間の通信結果の一例を示す図である。
図8】ホストコンピュータ(Host_2)と対象機器との間の通信結果の一例を示す図である。
図9】診断結果の一例を示す図である。
図10】一実施形態に係るネットワーク診断システムによる診断結果の出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0013】
(診断対象のネットワークの構成)
図1は、幾つかの実施形態に係るネットワーク診断システムの診断対象となるネットワークの構成の一例を示す概略図である。図1に示すように、診断対象のネットワーク1は、2以上のホストコンピュータ10及び1以上の対象機器12を含む複数の機器が、スイッチングハブ2及び接続ケーブル4(銅線ケーブル又は光ファイバケーブル等)を含むネットワーク機器を介して接続されるコンピュータネットワークである。ネットワーク1は、ルータ6を介して外部ネットワークに接続されていてもよい。なお、図1に示すネットワーク1は、ルータ6を介してインターネット8(外部ネットワーク)に接続される。
【0014】
2以上のホストコンピュータ10及び1以上の対象機器12を含む複数の機器の各々は、IPアドレスが割り当てられた機器であり、PC(パーソナルコンピュータ)等の計算機、制御機器又はルータを含んでもよい。制御機器は、発電プラントの構成機器(例えばガスタービン、蒸気タービン又は発電機等)を制御又は監視するように構成されていてもよい。
【0015】
なお、図1に示す例では、ネットワーク1は、2台のスイッチングハブ2(Hub_1、Hub_2)及び複数の接続ケーブル4(cable_1~cable_10)を含むネットワーク機器を介して接続される複数の機器を含む。複数の機器は、2台のホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)と、複数の対象機器12(Dev_A~Dev_G)と、を含む。対象機器12である機器Dev_Dは、ルータ6として機能する。
【0016】
(ネットワーク診断システムの構成)
図2は、一実施形態に係るネットワーク診断システムの概略構成図である。図2に示すように、ネットワーク診断システム20は、通信結果取得部22と、経路情報取得部24と、劣化部位特定部26と、を含む解析部21を備える。また、ネットワーク診断システム20は、通信結果取得部22、経路情報取得部24及び/又は劣化部位特定部26が処理する情報を記憶するための記憶部30を含む。
【0017】
通信結果取得部22は、各々のホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)と対象機器12(Dev_A~Dev_G)との間の通信結果を取得するように構成される。
【0018】
幾つかの実施形態では、通信結果取得部22は、ホストコンピュータ10の各々に対し、1以上の対象機器12の各々との間で通信を行うように指令を送出するように構成される。指令を受け取ったホストコンピュータ10の各々は、指令に従って1以上の対象機器12の各々と通信を行うとともに、その通信結果をホストコンピュータ10の記憶装置(内部記憶装置又は外部記憶装置)に記憶するように構成される。また、通信結果取得部22は、各々のホストコンピュータ10から、該ホストコンピュータ10の記憶装置に記憶された通信結果を取得し、記憶部30に記憶するように構成される。
【0019】
経路情報取得部24は、各々のホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)と対象機器12(Dev_A~Dev_G)との間の通信経路に関する情報を取得するように構成される。通信経路に関する情報は、記憶部30に記憶されていてもよい。経路情報取得部24は、記憶部30から、該記憶部30に記憶された通信経路に関する情報を取得するように構成されてもよい。
【0020】
上述の通信経路に関する情報は、ホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)の各々と対象機器12(Dev_A~Dev_G)の各々とがどのネットワーク機器(スイッチングハブ2及び接続ケーブル4)を介して接続されるかを示す情報である。
【0021】
上述の通信経路に関する情報は、例えば、診断対象となるネットワーク1のネットワーク構成を示す情報(ネットワーク構成図等)を含んでもよい。あるいは、上述の通信経路に関する情報は、例えば図3に示すようなテーブル形式の情報を含んでもよい。ここで、図3は、診断対象のネットワーク1に属する各々のホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信経路に関する情報(テーブル)の一例を示す図である。
【0022】
図3に示すテーブルには、ネットワーク1に属する一対の機器(ホストコンピュータ10、対象機器12及びスイッチングハブ2)と、該一対の機器同士を接続する接続ケーブル4の組合せが示されている。例えば、図3のテーブルには、Host_1(ホストコンピュータ10)とHub_1(スイッチングハブ2)とはcable_1(接続ケーブル4)を介して接続されること、及び、Dev_A(対象機器12)とHub_1とはcable_2(接続ケーブル4)を介して接続されることが示されている。したがって、図3のテーブルから、Host_1とDev_Aとは、cable_1、Hub_1、cable_2を介して互いに接続されていることがわかる。
【0023】
あるいは、図3のテーブルには、Host_2(ホストコンピュータ10)とHub_2(スイッチングハブ2)とはcable_6(接続ケーブル4)を介して接続されること、Hub_2とHub_1とはcable_10(接続ケーブル4)を介して接続されること、及び、Dev_AとHub_1とはcable_2を介して接続されることが示されている。したがって、図3のテーブルから、Host_2とDev_Aとは、cable_6、Hub_2、cable_10、Hub_1、cable_2を介して互いに接続されていることがわかる。
【0024】
劣化部位特定部26は、通信結果取得部22で取得された通信結果および経路情報取得部24で取得された通信経路に関する情報に基づいて、通信経路上における劣化部位を特定するように構成される。劣化部位特定部26は、上述の通信結果及び/又は通信経路に関する情報を、記憶部30から取得し、このように取得した通信結果及び/又は通信経路に関する情報に基づいて通信経路上における劣化部位を特定するようにしてもよい。
【0025】
ネットワーク診断システム20は、劣化部位特定部26による診断結果を示す情報を出力するように構成された出力部28を備えていてもよい。出力部28は、上述の診断結果を視覚情報又は聴覚情報として端末装置32(ディスプレイ又はスピーカ等のデバイス)に出力するように構成されてもよい。診断結果の出力先の端末装置32は、インターネット8等の外部ネットワークを介して接続される機器(モバイル端末等)であってもよい(図1参照)。
【0026】
解析部21は、プロセッサ(CPU等)、記憶装置(メモリデバイス;RAM等)、補助記憶部及びインターフェース等を備えた計算機を含む。解析部21は、インターフェースを介して、ネットワーク1に接続された機器(ホストコンピュータ10等)からの信号を受け取るようになっている。プロセッサは、このようにして受け取った信号を処理するように構成される。また、プロセッサは、記憶装置に展開されるプログラムを処理するように構成される。これにより、上述の各機能部(通信結果取得部22、経路情報取得部24、劣化部位特定部26及び/又は出力部28)の機能が実現される。
【0027】
解析部21での処理内容は、プロセッサにより実行されるプログラムとして実装される。プログラムは、補助記憶部に記憶されていてもよい。プログラム実行時には、これらのプログラムは記憶装置に展開される。プロセッサは、記憶装置からプログラムを読み出し、プログラムに含まれる命令を実行するようになっている。
【0028】
解析部21は、ネットワーク1に接続されるPC等の計算機によって構成されてもよい。解析部21を構成する計算機は、1以上の対象機器12のうちの1つであってもよく、2以上のホストコンピュータ10のうちの1つであってもよく、あるいは、対象機器12又はホストコンピュータ10以外の計算機であってもよい。なお、図1に示す例示的な実施形態では、対象機器12である機器Dev_Cが解析部21として機能するようになっている。
【0029】
記憶部30は、解析部21を構成する計算機の内部記憶装置(主記憶装置)又は外部記憶装置(補助記憶装置)を含んでもよく、あるいは該計算機にネットワークを介して接続された記憶装置を含んでもよい。
【0030】
上述の実施形態に係るネットワーク診断システム20では、2以上のホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信結果、及び、2以上のホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信経路に関する情報を取得する。したがって、これらの情報に基づき、各々のホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信経路に配置されるネットワーク機器(例えば接続ケーブル4又はスイッチングハブ2等)の劣化の有無を判定することができる。よって、上述の実施形態に係るネットワーク診断システム20によれば、ネットワーク機器の故障(例えば接続ケーブル4の断線等)に至る前に、通信不良の予兆の検知及びネットワーク1における劣化部位の特定をすることができる。
【0031】
(ネットワーク診断のフロー)
以下、上述のネットワーク診断システム20を用いたネットワーク診断のフローについてより具体的に説明する。
【0032】
幾つかの実施形態に係るネットワーク診断方法は、2以上のホストコンピュータ10、および、1以上の対象機器12が接続されるネットワーク1の診断方法であり、各々のホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信結果を取得するステップ(通信結果取得ステップ)と、各々のホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信経路に関する情報を取得するステップ(経路情報取得ステップ)と、上述の通信結果および上述の通信経路に関する情報に基づいて、ネットワーク1の通信経路上における劣化部位を特定するステップ(劣化部位特定ステップ)と、を備える。
【0033】
(通信結果取得ステップ)
幾つかの実施形態では、まず、通信結果取得部22は、各々のホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)と対象機器12(Dev_A~Dev_G)との間の通信結果を取得する。
【0034】
通信結果取得部22は、ホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)の各々に対し、対象機器12(Dev_A~Dev_G)の各々との間で通信を行うように指令を送出する。指令を受け取ったホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)の各々は、該指令に従って対象機器12(Dev_A~Dev_G)の各々と通信を行うとともに、その通信結果を各々のホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)の記憶装置(内部記憶装置又は外部記憶装置)に記憶する。また、通信結果取得部22は、各々のホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)から、該ホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)の記憶装置に記憶された通信結果を取得し、記憶部30に記憶させる。
【0035】
幾つかの実施形態では、通信結果取得ステップにおいて、通信結果取得部22は、各々のホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)と対象機器12(Dev_A~Dev_G)との間の通信結果として、各々のホストコンピュータ(Host_1、Host_2)と対象機器12(Dev_A~Dev_G)との間の通信速度を示すパラメータを取得する。
【0036】
幾つかの実施形態では、上述の通信速度を示すパラメータは、各々の前記ホストコンピュータ(Host_1、Host_2)についての対象機器12(Dev_A~Dev_G)への送信パケットの送信から該送信パケットに対応する対象機器12(Dev_A~Dev_G)からの応答パケットの受信までの時間である。
【0037】
一実施形態では、通信結果取得ステップにおいて、通信結果取得部22は、各々のホストコンピュータ(Host_1、Host_2)にて対象機器12(Dev_A~Dev_G)を宛先として実行されるpingコマンドの実行結果に基づき、上述の通信速度を示すパラメータを取得する。
【0038】
ここで、図4は、pingコマンド実行時の通信を示す模式図であり、図5は、pingコマンドの実行結果の一例を示す図である。
【0039】
pingは、IPネットワークにおいて、ノードの到達性を確認するためのソフトウエアであり、ネットワーク機能が実装されているオペレーティングシステムの殆どに用意されている。送信元ホスト(例えばホストコンピュータ10としてのHost_1)において宛先ホスト(例えば対象機器12としてのDev_A)を指定してpingコマンドを実行すると、送信元ホストから宛先ホストに向けて、エコー要求を含むICMP(Internet Control Message Protocol)パケット(送信パケット)が送信されるとともに、該パケットを受け取った宛先ホストからエコー応答を含むICMPパケット(応答パケット)が送信元ホストに返送される(図4参照)。pingの実行結果には、通常、送信元ホストが宛先ホストに送信したパケット数、送信元ホストが宛先ホストから受信したパケット数、損失パケット数、及び、パケットの往復時間(送信元ホストでの送信パケットの送信から応答パケットの受信までの時間;ラウンドトリップ時間)等が含まれる(図5参照)。
【0040】
すなわち、通信結果取得ステップでは、Host_1(ホストコンピュータ10)は、通信結果取得部22からの指令に基づき、対象機器12(Dev_A~Dev_G)の各々を宛先ホストとして指定してpingコマンドを実行する。Host_1(ホストコンピュータ10)からの対象機器12(Dev_A~Dev_G)の各々に対するpingコマンドの実行結果(通信結果)は、Host_1(ホストコンピュータ10)の記憶装置に記憶される。なお、該実行結果(通信結果)には、ICMPパケットのラウンドトリップ時間がそれぞれ含まれる。Host_2(ホストコンピュータ10)も同様に、通信結果取得部22からの指令に基づき、対象機器12(Dev_A~Dev_G)の各々を宛先ホストとして指定してpingコマンドを実行し、その実行結果を記憶装置に記憶する。
【0041】
そして、通信結果取得部22は、Host_1及びHost_2(ホストコンピュータ10)からpingコマンドの実行結果を取得し、該実行結果に含まれるラウンドトリップ時間を、Host_1及びHost_2(ホストコンピュータ10)と対象機器12(Dev_A~Dev_G)の各々の間の通信速度を示すパラメータとして取得する。
【0042】
あるいは、一実施形態では、通信結果取得ステップにおいて、通信結果取得部22は、各々のホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)についての対象機器12(Dev_A~Dev_G)への送信パケット、又は、該送信パケットに対応する対象機器12(Dev_A~Dev_G)からの応答パケットに含まれるタイムスタンプに基づき、上述の通信速度を示すパラメータを取得する。
【0043】
ここで、図6は、ネットワーク1に接続された機器間の通信を示す模式図である。TCP/IPプロトコルに基づく通信では、送信元ホスト(例えばホストコンピュータ10としてのHost_1)から宛先ホスト(例えば対象機器12としてのDev_A)に対して送信データを含む送信パケットを送信すると、宛先ホストからの確認応答(Acknowledge)パケット(応答パケット)が返送される。これらの送信パケット及び応答パケットのヘッダには、送信パケットのタイムスタンプがそれぞれ格納されている。したがって、送信元ホストでの応答パケットの受信時刻と、送信パケット又は応答パケットのヘッダに格納されるタイムスタンプの時刻との差に基づいて、パケットの往復時間(送信元ホストでの送信パケットの送信から応答パケットの受信までの時間;ラウンドトリップ時間)を算出することができる。なお、ホストコンピュータ10は、パケットキャプチャ等のソフトウエアを用いて、該ホストコンピュータ10で送受信されるパケットの内容を取得することができる。
【0044】
すなわち、通信結果取得ステップでは、Host_1(ホストコンピュータ10)は、通信結果取得部22からの指令に基づき、対象機器12(Dev_A~Dev_G)の各々に対して送信データを含む送信パケットを送信する。そうすると、対象機器12(Dev_A~Dev_G)から確認応答パケット(応答パケット)がHost_1(ホストコンピュータ10)に返送される。Host_1(ホストコンピュータ10)は、例えば、確認応答パケットの内容を、該確認応答パケットの受信時刻とともに記憶する。Host_2(ホストコンピュータ10)も同様に、通信結果取得部22からの指令に基づき、対象機器12(Dev_A~Dev_G)の各々に対して送信データを含む送信パケットを送信するとともに、該送信パケットに対応する確認応答パケットの内容を、該確認応答パケットの受信時刻とともに記憶する。
【0045】
そして、通信結果取得部22は、Host_1及びHost_2(ホストコンピュータ10)から、送信パケットに対応する確認応答パケットの内容及び該確認応答パケットの受信時刻(通信結果)を取得し、該通信結果に基づいて各ホストコンピュータ(Host_1、Host_2)と対象機器12(Dev_A~Dev_G)の各々との間の通信にかかるラウンドトリップ時間を算出する。そして、このように算出されるラウンドトリップ時間の各々を、Host_1及びHost_2(ホストコンピュータ10)と対象機器12(Dev_A~Dev_G)の各々の間の通信速度を示すパラメータとして取得する。
【0046】
(経路情報取得ステップ)
次に、経路情報取得部24は、各々のホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)と対象機器12(Dev_A~Dev_G)との間の通信経路に関する情報を取得する。経路情報取得部24は、記憶部30から、該記憶部30に記憶された通信経路に関する情報を取得するようにしてもよい。上述の通信経路に関する情報は、既に説明したとおりであり、例えば、図3に示すテーブル等である。
【0047】
(劣化部位特定ステップ)
次に、劣化部位特定部26は、通信結果取得ステップで取得された通信結果および経路情報取得ステップで取得された通信経路に関する情報に基づいて、ネットワーク1の通信経路上における劣化部位を特定する。
【0048】
ホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信経路上における劣化部位は、例えば以下のようにして特定することができる。ここでは、通信結果取得ステップにおいて、ホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)にて対象機器12(Dev_A~Dev_G)を宛先として実行したpingコマンドの実行結果に含まれるラウンドトリップ時間を、ホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信速度を示すパラメータ(通信結果)として取得したことを前提とする。なお、通信パケットのヘッダに含まれるタイムスタンプに基づいて通信パケットのラウンドトリップ時間を算出した場合についても同様に説明することができる。
【0049】
劣化部位特定部26は、各々のホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信速度を示すパラメータとしての上述のラウンドトリップ時間を閾値と比較する。
【0050】
上述の比較の結果、ラウンドトリップ時間が閾値以下である場合、該当するホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信速度は低下していないと判定できる。この場合、該当するホストコンピュータ10と対象機器との間に配置されているネットワーク機器(スイッチングハブ2及び接続ケーブル4等)の各々は劣化していないと判定することができる。該当するホストコンピュータ10と対象機器との間に配置されているネットワーク機器は、経路情報取得ステップで取得される通信経路に関する情報から特定することができる。
【0051】
一方、上述の比較の結果、ラウンドトリップ時間が閾値を超える場合、該当するホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信速度は低下していると判定できる。この場合、該当するホストコンピュータ10と対象機器との間に配置されているネットワーク機器(スイッチングハブ2及び接続ケーブル4等)の何れかに劣化が生じていると判定することができる。該当するホストコンピュータ10と対象機器との間に配置されているネットワーク機器は、経路情報取得ステップで取得される通信経路に関する情報から特定することができる。
【0052】
図7は、第1のホストコンピュータ10(Host_1)と対象機器12(Dev_A)との間の通信結果、及び、通信速度を示すパラメータの閾値との比較結果の一例を示す図である。 図8は、第2のホストコンピュータ10(Host_2)と対象機器12(Dev_A)との間の通信結果、及び、通信速度を示すパラメータの閾値との比較結果の一例を示す図である。
【0053】
図7に示されるように、第1のホストコンピュータ10(Host_1)と対象機器12(Dev_A)との間の通信パケットのラウンドトリップ時間(通信速度を示すパラメータ)が閾値を超えている。この場合、ホストコンピュータ10(Host_1)と対象機器12(Dev_A)との間に配置されるネットワーク機器であるHub_1(スイッチングハブ2)、cable_1又はcable_2(接続ケーブル4)の少なくとも何れかに劣化が生じていると判定される。なお、図7において、劣化が生じている可能性があると判定されたネットワーク機器に「NG」が付記されている。
【0054】
一方、図8に示されるように、第2のホストコンピュータ10(Host_2)と対象機器12(Dev_A)との間の通信パケットのラウンドトリップ時間(通信速度を示すパラメータ)は閾値以下である。この場合、ホストコンピュータ10(Host_2)と対象機器12(Dev_A)との間に配置されるネットワーク機器であるHub_1、Hub_2(スイッチングハブ2)、cable_2、cable_6又はcable_10(接続ケーブル4)には劣化は生じていないと判定される。なお、図8において、劣化が生じていないと判定されたネットワーク機器に「OK」が付記されている。
【0055】
以上のようにして、第1のホストコンピュータ10(Host_1)と対象機器12(Dev_A)との間の通信結果、及び、第2のホストコンピュータ10(Host_2)と対象機器12(Dev_A)との間の通信結果が得られたら、これらの通信結果を統合して、ホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)と対象機器12(Dev_A)の通信経路上における劣化部位を特定する。ここで、図9は、特定された劣化部位を含む診断結果の一例を示す図である。
【0056】
上述したように、第1のホストコンピュータ10(Host_1)と対象機器12(Dev_A)との間の通信結果から、Hub_1(スイッチングハブ2)、cable_1又はcable_2(接続ケーブル4)の少なくとも何れかに劣化が生じていると判定される(図7参照)。その一方、第2のホストコンピュータ10(Host_2)と対象機器12(Dev_A)との間の通信結果から、Hub_1、Hub_2(スイッチングハブ2)、cable_2、cable_6又はcable_10(接続ケーブル4)には劣化は生じていないと判定される(図8参照)。これらの判定結果を統合し、cable_1(接続ケーブル4)に劣化が生じていると特定することができる。また、ネットワーク1において、cable_1を含む部位に通信不良が生じる予兆があることが検出できる。
【0057】
以上においては、ホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)と対象機器12(Dev_A)との間の通信経路に着目して説明したが、ホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)と他の対象機器12(Dev_B~Dev_G)との間の通信経路についても、同様に劣化部位の判定をすることができる。
【0058】
すなわち、2つのホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)の一方との通信速度は低下していないが、他方との通信速度が低下しているような対象機器12が存在する場合、その対象機器と、上述の他方のホストコンピュータ10との間に配置されており、かつ、上述の一方のホストコンピュータ10との間に配置されていないネットワーク機器に劣化が生じていると特定することができる。
【0059】
なお、通信速度を示すパラメータと比較する閾値は、ホストコンピュータ10と対象機器12との組み合わせ毎に個別に設定される。すなわち、例えば、Host_1とDev_Aとの間の通信速度を示すパラメータに対して設定される閾値と、Host_2とDev_Aとの間の通信速度を示すパラメータに対して設定される閾値は異なっていてもよい。また、例えば、Host_1とDev_Aとの間の通信速度を示すパラメータに対して設定される閾値と、Host_1とDev_Bとの間の通信速度を示すパラメータに対して設定される閾値は異なっていてもよい。
【0060】
以上に説明した実施形態に係る方法によれば、2以上のホストコンピュータ10(Host_1、Host_2)と対象機器12(Dev_A~Dev_G)との間の通信結果、及び、2以上のホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信経路に関する情報を取得する。したがって、これらの情報に基づき、各々のホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信経路に配置されるネットワーク機器(例えば接続ケーブル4又はスイッチングハブ2等)の劣化の有無を判定することができる。よって、上述の実施形態によれば、ネットワーク機器の故障に至る前に、通信不良の予兆の検知及びネットワーク1における劣化部位の特定をすることができる。
【0061】
また、幾つかの実施形態によれば、各々のホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信速度を示すパラメータを取得するようにしたので、該パラメータに基づいて、各々のホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信経路に配置されるネットワーク機器の劣化の可能性を判定することができる。これにより、ネットワーク機器の故障に至る前に、通信不良の予兆の検知及びネットワーク1における劣化部位の特定をすることができる。
【0062】
また、幾つかの実施形態によれば、各々のホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信速度を示すパラメータと閾値との比較に基づいて、各々のホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信経路に配置されるネットワーク機器の劣化の可能性を適切に判定することができる。
【0063】
また、幾つかの実施形態によれば、各々のホストコンピュータ10について、対象機器12への送信パケットの送信から該送信パケットに対応する対象機器12からの応答パケットの受信までの時間を、上述の通信速度を示すパラメータとして取得する。よって、該パラメータに基づいて、各々のホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信経路に配置されるネットワーク機器の劣化の可能性を適切に判定することができる。
【0064】
また、幾つかの実施形態では、各々のホストコンピュータ10から対象機器12に送出されたpingコマンドの実行結果に基づき上述の通信速度を示すパラメータを取得する。したがって、簡易な手順で上述のパラメータを取得することができる。
【0065】
また、幾つかの実施形態では、各々のホストコンピュータ10について、対象機器12への送信パケット又は該送信パケットに対応する対象機器12からの応答パケットに含まれるタイムスタンプに基づき、上述の通信速度を示すパラメータを取得する。したがって、簡易な手順で上述のパラメータを取得することができる。
【0066】
なお、ネットワーク1に接続される対象機器12と他の機器との間の通信経路上に劣化部位が存在すると、対象機器12における単位時間当たりの破棄パケット数が増加する。そこで、対象機器12における単位時間当たりの破棄パケット数に基づいて、対象機器12の他の機器との間の通信経路上に劣化部位が存在することを判定してもよい。劣化部位特定部26は、対象機器12における単位時間当たりの破棄パケット数を考慮して、対象機器12と他の機器との間の通信経路上における劣化部位を特定するように構成されてもよい。なお、対象機器12における単位時間当たりの破棄パケット数は、対象機器12でのnetstatコマンドの実行結果等に基づき取得することができる。
【0067】
図10は、一実施形態に係るネットワーク診断システム20の出力部28による診断結果の出力例を示す図である。
【0068】
一実施形態では、出力部28は、図10に示すような画面表示100を、端末装置32等のディスプレイに出力するように構成されてもよい。図10に示す画面表示100は、ネットワーク構成図102と、ホストコンピュータ10(ここではHost_1)と対象機器12(ここではDev_A)との間の通信速度の経時変化を示すグラフ104と、を含む。
【0069】
ネットワーク構成図102には、ネットワーク診断システム20により特定された通信経路上における劣化部位(図10に示す例ではcable_1)に、劣化部位であることを示すマーク(×印)が示されている。また、グラフ104には、ホストコンピュータ10と対象機器12との間の通信速度の経時変化とともに、閾値が示されている。通信速度の経時変化は、上述したネットワーク診断方法を規定期間毎に繰り返し行い、通信速度(通信速度を示すパラメータ;ラウンドトリップ時間等)を蓄積することで得ることができる。
【0070】
このように、ネットワーク診断システム20による診断結果を示す情報を視覚的に表示することにより、通信不良の予兆の検知及びネットワークにおける劣化部位等の診断結果を、作業者等が容易かつ的確に認識することができる。
【0071】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0072】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るネットワーク診断システム(20)は、
2以上のホストコンピュータ(10)、および、対象機器(12)が接続されるネットワーク(1)の診断システムであって、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信結果を取得するように構成された通信結果取得部(22)と、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信経路に関する情報を取得するように構成された経路情報取得部(24)と、
前記通信結果および前記通信経路に関する情報に基づいて、前記通信経路上における劣化部位を特定するように構成された劣化部位特定部(26)と、
を備える。
【0073】
上記(1)の構成では、2以上のホストコンピュータと対象機器との間の通信結果、及び、2以上のホストコンピュータと対象機器との間の通信経路に関する情報を取得する。したがって、これらの情報に基づき、各々のホストコンピュータと対象機器との間の通信経路に配置されるネットワーク機器(例えばケーブル又はスイッチングハブ等)の劣化の有無を判定することができる。よって、上記(1)の構成によれば、ネットワーク機器の故障に至る前に、通信不良の予兆の検知及びネットワークにおける劣化部位の特定をすることができる。
【0074】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記通信結果取得部は、前記通信結果として、各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信速度を示すパラメータを取得するように構成される。
【0075】
上記(2)の構成によれば、ネットワークのある部位で劣化が進むと、ネットワークにおいて当該部位を介した通信速度が低下する傾向がある。上記(2)の構成によれば、各々のホストコンピュータと対象機器との間の通信速度を示すパラメータを取得するようにしたので、該パラメータに基づいて、各々のホストコンピュータと対象機器との間の通信経路に配置されるネットワーク機器の劣化の可能性を判定することができる。これにより、ネットワーク機器の故障に至る前に、通信不良の予兆の検知及びネットワークにおける劣化部位の特定をすることができる。
【0076】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記劣化部位特定部は、前記パラメータと閾値との比較に基づき、前記劣化部位を特定するように構成される。
【0077】
上記(3)の構成によれば、各々のホストコンピュータと対象機器との間の通信速度を示すパラメータと閾値との比較に基づいて、各々のホストコンピュータと対象機器との間の通信経路に配置されるネットワーク機器の劣化の可能性を適切に判定することができる。
【0078】
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)の構成において、
前記パラメータは、各々の前記ホストコンピュータについての前記対象機器への送信パケットの送信から前記送信パケットに対応する前記対象機器からの応答パケットの受信までの時間である。
【0079】
上記(4)の構成によれば、各々のホストコンピュータについて、対象機器への送信パケットの送信から該送信パケットに対応する対象機器からの応答パケットの受信までの時間を、上述の通信速度を示すパラメータとして取得する。よって、該パラメータに基づいて、各々のホストコンピュータと対象機器との間の通信経路に配置されるネットワーク機器の劣化の可能性を適切に判定することができる。
【0080】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(4)の何れかの構成において、
前記通信結果取得部は、各々の前記ホストコンピュータにて前記対象機器を宛先として実行されるpingコマンドの実行結果に基づき、前記パラメータを取得するように構成される。
【0081】
上記(5)の構成によれば、各々のホストコンピュータにて対象機器を宛先として実行されるpingコマンドの実行結果に基づき、上述の通信速度を示すパラメータを取得する。したがって、簡易な手順で上述のパラメータを取得することができる。
【0082】
(6)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(4)の何れか構成において、
前記通信結果取得部は、各々の前記ホストコンピュータについての前記対象機器への送信パケット、又は、前記送信パケットに対応する前記対象機器からの応答パケットに含まれるタイムスタンプに基づき、前記パラメータを取得するように構成される。
【0083】
上記(6)の構成によれば、各々のホストコンピュータについて、対象機器への送信パケット又は該送信パケットに対応する対象機器からの応答パケットに含まれるタイムスタンプに基づき、上述の通信速度を示すパラメータを取得する。したがって、簡易な手順で上述のパラメータを取得することができる。
【0084】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、
前記ネットワーク診断システムは、
前記劣化部位特定部による診断結果を示す情報を出力するように構成された出力部(28)を備える。
【0085】
上記(7)の構成によれば、劣化部位特定部による診断結果を示す情報を端末機器に出力可能であるので、通信不良の予兆の検知及びネットワークにおける劣化部位等の診断結果を、作業者等が容易かつ的確に認識することができる。
【0086】
(8)本発明の少なくとも一実施形態に係るネットワーク診断方法は、
2以上のホストコンピュータ、および、対象機器が接続されるネットワークの診断方法であって、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信結果を取得するステップと、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信経路に関する情報を取得するステップと、
前記通信結果および前記通信経路に関する情報に基づいて、前記通信経路上における劣化部位を特定するステップと、
を備える。
【0087】
上記(8)の方法では、2以上のホストコンピュータと対象機器との間の通信結果、及び、2以上のホストコンピュータと対象機器との間の通信経路に関する情報を取得する。したがって、これらの情報に基づき、各々のホストコンピュータと対象機器との間の通信経路に配置されるネットワーク機器(例えばケーブル又はスイッチングハブ等)の劣化の有無を判定することができる。よって、上記(8)の方法によれば、ネットワーク機器の故障に至る前に、通信不良の予兆の検知及びネットワークにおける劣化部位の特定をすることができる。
【0088】
(9)本発明の少なくとも一実施形態に係るネットワーク診断プログラムは、
2以上のホストコンピュータ、および、対象機器が接続されるネットワークの診断プログラムであって、
コンピュータに、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信結果を取得する手順と、
各々の前記ホストコンピュータと前記対象機器との間の通信経路に関する情報を取得する手順と、
前記通信結果および前記通信経路に関する情報に基づいて、前記通信経路上における劣化部位を特定する手順と、
を実行させるように構成される。
【0089】
上記(9)のプログラムでは、2以上のホストコンピュータと対象機器との間の通信結果、及び、2以上のホストコンピュータと対象機器との間の通信経路に関する情報を取得する。したがって、これらの情報に基づき、各々のホストコンピュータと対象機器との間の通信経路に配置されるネットワーク機器(例えばケーブル又はスイッチングハブ等)の劣化の有無を判定することができる。よって、上記(9)のプログラムによれば、ネットワーク機器の故障に至る前に、通信不良の予兆の検知及びネットワークにおける劣化部位の特定をすることができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0091】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0092】
1 ネットワーク
2 スイッチングハブ
4 接続ケーブル
6 ルータ
8 インターネット
10 ホストコンピュータ
12 対象機器
20 ネットワーク診断システム
21 解析部
22 通信結果取得部
24 経路情報取得部
26 劣化部位特定部
28 出力部
30 記憶部
32 端末装置
100 画面表示
102 ネットワーク構成図
104 グラフ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10