(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172496
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】通信処理装置、通信処理システム、障害通知方法及び障害通知プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 13/00 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
H04L13/00 313
H04L13/00 301B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078280
(22)【出願日】2021-05-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 展行
【テーマコード(参考)】
5K034
5K035
【Fターム(参考)】
5K034AA06
5K034CC06
5K034KK28
5K034NN12
5K034SS03
5K034TT01
5K035AA02
5K035CC10
5K035DD01
5K035FF04
5K035HH07
5K035JJ01
5K035LL03
(57)【要約】
【課題】電文の欠落や再送による処理効率の低下を抑制することができる通信処理装置、通信処理システム、障害通知方法及び障害通知プログラムを提供する。
【解決手段】通信処理装置100は、NIC130を介して他の通信処理装置200との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、障害の発生を通知するリセットパケットRSTを生成し、生成したリセットパケットRSTを他の通信処理装置200に対して送出するNICドライバ123を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NICを介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットを生成し、生成した前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して送出するNICドライバを備えた、
通信処理装置。
【請求項2】
前記NICドライバは、前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して送出した後で、前記NICを切り離す、
請求項1に記載の通信処理装置。
【請求項3】
発生した前記障害を検知する制御部と、
前記制御部から前記障害の発生を受信し、TCP/IPに対して、TCPパス切断命令を送信するアプリケーションと、
をさらに備えた、
請求項1または2に記載の通信処理装置。
【請求項4】
前記NICドライバは、前記障害の発生を検知し、
前記NICドライバから前記障害の発生を受信し、TCP/IPに対して、TCPパス切断命令を発行するアプリケーションと、
をさらに備えた、
請求項1または2に記載の通信処理装置。
【請求項5】
第1NICを有する第1通信処理装置と、
第2NICを有する第2通信処理装置と、
を備え、
前記第1通信処理装置は、前記第1NIC及び前記第2NICを介して、前記第2通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットを生成し、生成した前記リセットパケットを前記第2通信処理装置に対して送出するNICドライバを有する、
通信処理システム。
【請求項6】
前記NICドライバは、前記リセットパケットを前記第2通信処理装置に対して送出した後で、前記第1NICを切り離す、
請求項5に記載の通信処理システム。
【請求項7】
第3NICを有する第3通信処理装置をさらに備え、
前記第2通信処理装置は、前記NICドライバから前記リセットパケットを受け取った場合には、前記第2NIC及び前記第3NICを介して、前記第3通信処理装置との間で通信を行う、
請求項5に記載の通信処理システム。
【請求項8】
第3NICを有する第3通信処理装置をさらに備え、
前記第2通信処理装置は、第4NICをさらに有し、前記NICドライバから前記リセットパケットを受け取った場合には、前記第4NIC及び前記第3NICを介して、前記第3通信処理装置との間で通信を行う、
請求項5に記載の通信処理システム。
【請求項9】
NICを介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットをNICドライバに生成させるリセットパケット生成ステップと、
生成した前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して前記NICドライバに送出させるリセットパケット送出ステップと、
を備えた障害通知方法。
【請求項10】
NICを介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットをNICドライバに生成させるリセットパケット生成手順と、
生成した前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して前記NICドライバに送出させるリセットパケット送出手順と、
をコンピュータに実行させる障害通知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信処理装置、通信処理システム、障害通知方法及び障害通知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホストシステム(ホストの通信処理装置)及びホストシステムの通信相手となる接続システム(接続相手の通信処理装置)の間の通信をNIC(Network Interface Card)を介したTCPプロトコル(Transmission Control Protocol)で行っているコンピュータシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6487883号公報
【特許文献2】特開2009-211703号公報
【特許文献3】特許2007-172634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホストの通信処理装置上で障害が発生した場合に、ホスト側では即座に障害を認識することができる。これに対して、接続側の通信処理装置では、障害検出までに時間を要してしまう。よって、接続側の通信処理装置は、障害検出まで障害となっている相手と通信を継続しようとする。
【0005】
障害発生時において、ホスト側では、接続側に対して不正な情報を送信しないために、NICドライバが即座にNICを切り離す処理を行っている。これに対して、接続側では、アライブチェック(死活監視)によるタイムアウトを検知することで初めてホスト側に障害が発生したことを検出する。
【0006】
障害発生時から実際に接続側で障害を検出するまでの間に、接続側の通信処理装置は、障害が発生したホスト側に対して電文の送信を継続する。このため、電文の欠落や再送が発生し、処理効率が低下してしまうという課題がある。
【0007】
本開示の目的は、このような課題を解決するためになされたものであり、電文の欠落や再送による処理効率の低下を抑制することができる通信処理装置、通信処理システム、障害通知方法及び障害通知プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態に係る通信処理装置は、NICを介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットを生成し、生成した前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して送出するNICドライバを備える。
【0009】
一実施の形態に係る通信処理システムは、第1NICを有する第1通信処理装置と、第2NICを有する第2通信処理装置と、を備え、前記第1通信処理装置は、前記第1NIC及び前記第2NICを介して、前記第2通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットを生成し、生成した前記リセットパケットを前記第2通信処理装置に対して送出するNICドライバを有する。
【0010】
一実施の形態に係る障害通知方法は、NICを介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットをNICドライバに生成させるリセットパケット生成ステップと、生成した前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して前記NICドライバに送出させるリセットパケット送出ステップと、を備える。
【0011】
一実施の形態に係る障害通知プログラムは、NICを介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットをNICドライバに生成させるリセットパケット生成手順と、生成した前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して前記NICドライバに送出させるリセットパケット送出ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、電文の欠落や再送による処理効率の低下を抑制することができる通信処理装置、通信処理システム、障害通知方法及び障害通知プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態の概要に係る通信処理装置を例示したブロックである。
【
図2】実施形態の概要に係る障害通知方法を例示したフローチャート図である。
【
図3】実施形態の概要に係る通信処理システムを例示した構成図である。
【
図4】実施形態1に係る通信処理システムを例示した構成図である。
【
図5】実施形態1に係るリセットパケットを例示した図である。
【
図6】実施形態1に係るNICドライバの動作を例示したフローチャート図である。
【
図7】実施形態1に係る通信処理システムにおいて、通信処理装置で障害が発生した場合の障害通知方法を例示したシークエンス図である。
【
図8】実施形態2に係る通信処理システムにおいて、通信処理装置で障害が発生した場合の障害通知方法を例示したシークエンス図である。
【
図9】実施形態3に係る通信処理システムを例示した構成図である。
【
図10】実施形態3に係る通信処理システム3において、通信処理装置で障害が発生した場合の障害通知方法を例示したシークエンス図である。
【
図11】実施形態3に係る通信処理システム3において、通信処理装置で障害が発生した場合の障害通知方法を例示したシークエンス図である。
【
図12】実施形態4に係る通信処理システムを例示した構成図である。
【
図13】実施形態4に係る通信処理システム4において、通信処理装置で障害が発生した場合の障害通知方法を例示したシークエンス図である。
【
図14】実施形態4に係る通信処理システム4において、通信処理装置で障害が発生した場合の障害通知方法を例示したシークエンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0015】
(実施形態の概要)
実施形態の概要に係る通信処理装置及び通信処理システムを説明する。
図1は、実施形態の概要に係る通信処理装置100を例示したブロックである。
図1に示すように、通信処理装置100は、ネットワークインターフェースカード(以下、NIC130と呼ぶ。)及びNICドライバ123を備えている。NICドライバ123は、NIC130を介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、障害の発生を通知するリセットパケットを生成し、生成したリセットパケットを他の通信処理装置に対して送出する。
【0016】
図2は、実施形態の概要に係る障害通知方法を例示したフローチャート図である。
図2に示すように、本実施形態の障害通知方法は、リセットパケット生成ステップ(ステップSB)及びリセットパケット送出ステップ(ステップSC)を備えている。リセットパケット生成ステップにおいて、NIC130を介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、障害の発生を通知するリセットパケットをNICドライバ123に生成させる。
【0017】
リセットパケット送出ステップにおいて、生成したリセットパケットを他の通信処理装置に対してNICドライバ123に送出させる。なお、本実施形態の障害通知方法をプログラムにしてコンピュータに実行させてもよい。
【0018】
図3は、実施形態の概要に係る通信処理システムを例示した構成図である。
図3に示すように、通信処理システム1は、通信処理装置100及び通信処理装置200を備えている。通信処理装置100は、NIC130及びNICドライバ123を有している。通信処理装置200は、NIC230を有している。通信処理装置100がNIC130及びNIC230を介して、通信処理装置200との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、NICドライバ123は、障害の発生を通知するリセットパケットを生成し、生成したリセットパケットを通信処理装置200に対して送出する。
【0019】
本実施形態によれば、通信処理装置100及び通信処理システム1において、障害発生時に、NIC130を制御するNICドライバ123上で、障害の発生を通知するリセットパケットを生成させ、通信処理装置200に対して送出させる。これにより、電文の欠落や再送による処理効率の低下を抑制することができる。
【0020】
(実施形態1)
次に、実施形態1に係る通信処理装置100、通信処理装置200及び通信処理システム1を説明する。
図4は、実施形態1に係る通信処理システム1を例示した構成図である。
図4に示すように、通信処理システム1は、通信処理装置100及び通信処理装置200を備えている。通信処理装置100及び通信処理装置200は、相互に無線または有線の通信回線により、情報伝達可能な状態で接続されている。通信処理装置100は、例えば、ホスト側である。その場合には、通信処理装置200は、例えば、接続側である。通信処理装置100及び通信処理装置200は、NIC130及び230を介したTCPプロトコル(Transmission Control Protocol)で通信を行っている。なお、通信処理システム1は、通信処理装置100及び通信処理装置200に限らず、さらに他の通信処理装置が接続されてもよい。
【0021】
通信処理装置100は、アプリケーション110、オペレーションシステム(以下、OSと呼ぶ。)120、NIC130を備えている。OS120は、OS制御部121、TCP/IP122(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)及びNICドライバ123を有している。通信処理装置200は、アプリケーション210、OS220、NIC230を備えている。OS220は、OS制御部221、TCP/IP222及びNICドライバ223を有している。通信処理装置100は、NIC130を介して、通信処理装置200との間で通信を行う。以下では、通信処理装置100の構成を具体的に説明するが、通信処理装置200の構成も、特に説明しない場合には、通信処理装置100と同様である。
【0022】
通信処理装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マイコン等を備えたコンピュータでもよい。通信処理装置100は、制御処理及び演算処理等を行う演算装置としての機能を有する。
【0023】
通信処理装置100は、図示しない記憶部及びインタフェース部を有してもよい。記憶部は、例えば、メモリ又はハードディスク等の記憶装置を有してもよい。記憶装置は、例えば、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等である。記憶部は、制御プログラム及び演算プログラム等を記憶するための機能を有する。また、記憶部は、処理データ等を一時的に記憶するための機能を有する。インタフェース部は、例えばユーザインタフェース(User Interface)である。インタフェース部は、キーボード、タッチパネル又はマウス等の入力装置と、ディスプレイ又はスピーカ等の出力装置とを有する。インタフェース部は、ユーザ(オペレータ等)によるデータの入力の操作を受け付け、ユーザに対して情報を出力する。
【0024】
通信処理装置100の各構成要素は、例えば、プログラムを実行させることによって実現できる。より具体的には、各構成要素は、記憶部に格納されたプログラムを実行することによって実現され得る。また、必要なプログラムを任意の不揮発性記録媒体に記録しておき、必要に応じてインストールすることで、各構成要素を実現するようにしてもよい。また、各構成要素は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。
【0025】
OS制御部121は、OS120の機能の一部であり、通信処理装置100に発生した障害を検知する。OS制御部121は、検知した障害の発生をアプリケーション110に通知する。アプリケーション110は、OS制御部121から障害の発生を通知される。アプリケーション110は、TCP/IP122に対して、TCPパス切断命令を発行する。TCP/IP122は、OS120の機能の一部であり、通信プロトコル制御を行う。NICドライバ123は、OS120の機能の一部であり、NICデバイス制御を行う。
【0026】
また、OS制御部121は、NICドライバ123に、リセットパケットRSTを生成させる。リセットパケットRSTは、接続相手の通信処理装置200に障害の発生を通知するパケットである。
【0027】
図5は、実施形態1に係るリセットパケットRSTを例示した図である。
図5に示すように、リセットパケットRSTは、IPヘッダ、TCPヘッダ及びRSTフラグ等を有している。リセットパケットRSTを、RSTパケットとも呼ぶ。リセットパケットRSTの生成処理は、
図5に示す通り、TCP/IPレイヤの保有するIPアドレス・TCPポート番号・Flag/Status等の管理情報(TCP制御情報)を基にして、RSTフラグを含むリセットパケットRSTの生成を行う。
【0028】
リセットパケットRSTは、一般的に、TCP/IPレイヤにおいて、パケット生成・送出されるものである。しかしながら、本実施形態では、即座に接続側の通信処理装置200に送出するために、NICドライバ123にパケット生成・送出機能を組み込む。このように、本実施形態では、リセットパケットRST生成層は、カーネル層である。本実施形態では、カーネル層で、NICドライバ123がリセットパケットRSTを生成する。例えば、NICドライバ123がリセットパケットRSTを自動生成する。よって、リセットパケットRSTは、ユーザ層で生成されていない。
【0029】
リセットパケットRSTがユーザ層で生成された場合には、障害で通信パス(NIC)が切り離された後では、通信相手に送出することができない。つまり、障害時には、リセットパケットRSTを通信相手に送信できない。これに対して、カーネル層でNICドライバ123が生成した場合には、NICの障害処理の一環として処理することができる。例えば、NICドライバ123のNIC130の切り離し処理の前に、リセットパケットRSTの生成及び送出処理を組み入れることができる。このため、通信処理装置100からNIC130を切り離す前にリセットパケットRSTを通信処理装置200に対して送出することができる。
【0030】
図6は、実施形態1に係るNICドライバの動作を例示したフローチャート図である。
図6のステップSAに示すように、通信処理装置100がNIC130を介して通信処理装置200との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、ステップSBに示すように、NICドライバ123は、障害の発生を通知するリセットパケットRSTを生成する。そして、ステップSCに示すように、NICドライバ123は、生成したリセットパケットRSTを通信処理装置200に対して送出する。次に、ステップSDに示すように、NICドライバ123は、リセットパケットRSTを通信処理装置200に対して送出した後で、NIC130を切り離す。
【0031】
次に、通信処理システム1の動作を説明する。
図7は、実施形態1に係る通信処理システム1において、通信処理装置100で障害が発生した場合の障害通知方法を例示したシークエンス図である。
【0032】
図7のステップS11に示すように、NIC130以外の通信処理装置100で障害が発生した場合には、通信処理装置100のOS制御部121は、障害発生を検知する。そうすると、ステップS12に示すように、OS制御部121は、アプリケーション110に対して、障害通知を行う。
【0033】
次に、ステップS13に示すように、アプリケーション110は、TCPパス切断命令をTCP/IP122に対して発行する。
【0034】
また、OS制御部121は、アプリケーション110に対して、障害通知を行うと同時に、ステップS14に示すように、NICドライバ123にリセットパケットRSTを生成させる。これを受けて、NICドライバ123は、リセットパケットRSTを生成する。リセットパケットRSTは、通信処理装置200に対して障害を通知するものである。また、NICドライバ123は、リセットパケットRSTを生成する際には、TCP制御情報を参照する。
【0035】
次に、ステップS15に示すように、NICドライバ123は、通信処理装置200のTCP/IP222に対してリセットパケットRSTの送出を行い、障害を通知する。そして、ステップS16に示すように、NICドライバ123は、リセットパケットRSTの生成・送出処理後に、即座にNIC130の切り離しを行う。よって、NIC130を停止させることができる。これにより、通信処理装置200に対して不正な情報を送信することを防ぐことができる。
【0036】
一方、ステップS17に示すように、リセットパケットRSTを受信した通信処理装置200のTCP/IP222では、コネクション異常を検出する。よって、ステップS18に示すように、TCP/IP222は、障害の発生通知をアプリケーション210に対して行う。これにより、ステップS19に示すように、アプリケーション210は、障害を検出し、障害処理を行うことができる。
【0037】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の通信処理システム1において、NICドライバ123は、リセットパケットRSTを生成し、送出する処理を行う。これにより、ホスト側の通信処理装置100から、通信相手となる接続側の通信処理装置200に対して、障害の発生を明示的に通知することができる。よって、障害が発生した通信処理装置100のみが即座に障害検出が可能であったのに加えて、通信処理装置200側にも即座に障害を通知し、通信処理装置200に応じた障害処理を行うことができる。このため、障害の発生した通信処理装置100に対する電文の送出を速やかに停止し、電文の再送や欠落による処理効率の低下を抑制することができる。
【0038】
上述したように、リセットパケットRSTは、一般的に、TCP/IPレイヤにおいて、パケット生成・送出されるものである。しかしながら、これまでのOSは、障害の発生を検知した際に、NICドライバにNICの切り離しをさせていた。よって、TCP/IPレイヤにおいて生成されたリセットパケットRSTは、通信処理装置200に送出されない。接続側の通信処理装置200は、アライブチェックによるタイムアウトまで、障害の発生を検知することができない。
【0039】
これに対して、本実施形態では、NICドライバ123は、リセットパケットRSTを即座に接続側の通信処理装置200に通知するために、ホスト側に対する電文の送出を速やかに停止し、電文の再送や欠落による処理効率の低下を抑制することができる。
【0040】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る通信処理システムを説明する。本実施形態では、NICドライバ123が障害を検知する。
図8は、実施形態2に係る通信処理システム2において、通信処理装置100で障害が発生した場合の障害通知方法を例示したシークエンス図である。
【0041】
図8のステップS21に示すように、通信処理装置100のNIC130で障害が発生した場合には、通信処理装置100のNICドライバ123は、障害発生を検知する。そうすると、NICドライバ123は、OS制御部121に障害を通知する。また、ステップS22に示すように、OS制御部121は、アプリケーション110に対して、障害通知を行う。
【0042】
次に、ステップS23に示すように、アプリケーション110は、障害の発生を受信し、TCPパス切断命令をTCP/IP122に対して発行する。
【0043】
また、ステップS24に示すように、NICドライバ123は、通信処理装置200に対して障害を通知するリセットパケットRSTを生成する。
【0044】
次に、ステップS25に示すように、NICドライバ123は、通信処理装置200のTCP/IP222に対してリセットパケットRSTの送出を行い、障害を通知する。そして、ステップS26に示すように、NICドライバ123は、リセットパケットRSTの生成・送出処理後に、即座にNIC130の切り離しを行う。これにより、通信処理装置200に対して不正な情報を送信することを防ぐことができる。
【0045】
一方、ステップS27に示すように、リセットパケットRSTを受信した通信処理装置200のTCP/IP222ではコネクション異常を検出する。よって、ステップS28に示すように、TCP/IP222は、障害通知をアプリケーション210に対して行う。これにより、ステップS29に示すように、アプリケーション210は、障害検出し、障害処理を行うことができる。
【0046】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の通信処理システムでは、NICドライバ123は、障害を検出後、リセットパケットRSTを生成し、送出する処理を行う。これにより、障害が発生した通信処理装置100のみが即座に障害検出が可能であったのに加えて、通信処理装置200側にも即座に障害を通知し、通信処理装置200に応じた障害処理を行うことができる。このため、障害が発生したホスト側に対する電文の送出を速やかに停止し、電文の再送や欠落による処理効率の低下を抑制することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0047】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る通信処理システムを説明する。本実施形態では、正系と副系から構成された冗長な通信処理装置を有している。
図9は、実施形態3に係る通信処理システムを例示した構成図である。
【0048】
図9に示すように、通信処理システム3は、通信処理装置100、通信処理装置200及び通信処理装置300を備えている。通信処理装置100及び通信処理装置200は、相互に無線または有線の通信回線により、情報伝達可能な状態で接続されている。通信処理装置200及び通信処理装置300は、相互に無線または有線の通信回線により、情報伝達可能な状態で接続されている。通信処理装置100は、例えば、ホスト側の正系である。通信処理装置300は、例えば、ホスト側の副系である。その場合には、通信処理装置200は、例えば、接続側である。
【0049】
本実施形態において、通信処理装置100の構成は、実施形態1及び2の通信処理装置100と同様である。通信処理装置300の構成は、通信処理装置100の構成と同様である。具体的には、通信処理装置300は、アプリケーション310、OS320、NIC330を備えている。OS320は、OS制御部321、TCP/IP322及びNICドライバ323を有している。本実施形態において、通信処理装置200は、実施形態1及び2のNIC230の代わりに、2つのNIC、すなわち、NIC231及びNIC232を有している。NIC231は、正系であり、NIC232は、副系である。それ以外は、実施形態1及び2の通信処理装置200と同様である。
【0050】
通信処理装置100及び通信処理装置200は、NIC130及びNIC231を介したTCPプロトコル(Transmission Control Protocol)で通信を行う。通信処理装置300及び通信処理装置200は、NIC330及びNIC232を介したTCPプロトコルで通信を行う。通信処理装置200は、2つのNIC231(正系)及び232(副系)を介して、それぞれホスト側の通信処理装置100(正系)及び通信処理装置300(副系)と情報伝達可能状態に接続されている。
【0051】
次に、通信処理システム3の動作を説明する。
図10及び
図11は、実施形態3に係る通信処理システム3において、通信処理装置100で障害が発生した場合の障害通知方法を例示したシークエンス図である。本実施形態において、まず、通信処理装置100と通信処理装置200とが通信を行っている。そして、通信処理装置100で障害が発生する。
図10及び
図11のステップS31~ステップS39は、実施形態1のステップS11~ステップS19と同様である。しかしながら、本実施形態は、実施形態1及び2と異なり、ステップS39の後で、正系の通信処理装置100から副系の通信処理装置300へ、通信相手の接続先の切り替えを行う。
【0052】
図11のステップS40に示すように、TCP/IP222において、NIC231からNIC232への通信相手の切り替え処理を行う。これにより、ホスト側の正系の通信処理装置100から副系の通信処理装置300に通信相手を切り替える。
【0053】
本実施形態によれば、通信処理装置100は、NIC130及びNIC231を介して、通信処理装置200との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、NICドライバ123は、障害の発生を通知するリセットパケットRSTを生成し、生成したリセットパケットRSTを通信処理装置200に対して送出する。一方、通信処理装置200は、NICドライバ123からリセットパケットRSTを受け取った場合には、NIC232及びNIC330を介して、通信処理装置300との間の通信に切り替える。これにより、障害が発生した正系の通信処理装置100に対してではなく、副系の通信処理装置300に対して電文送信を行うことができる。よって、電文の再送や欠落による処理効率の低下を抑制することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1及び2の記載に含まれている。
【0054】
(実施形態4)
次に、実施形態4に係る通信処理システムを説明する。本実施形態の通信処理システムにおいて、通信処理装置200は、1つのNIC230の接続先を切り替えることで、正系の通信処理装置100と、副系の通信処理装置300と通信を行う。
【0055】
図12は、実施形態4に係る通信処理システムを例示した構成図である。
図12に示すように、通信処理システム4は、通信処理装置100、通信処理装置200及び通信処理装置300を備えている。通信処理装置100及び通信処理装置200は、相互に無線または有線の通信回線により、情報伝達可能な状態で接続されている。通信処理装置200及び通信処理装置300は、相互に無線または有線の通信回線により、情報伝達可能な状態で接続されている。通信処理装置100は、例えば、ホスト側の正系である。通信処理装置300は、例えば、ホスト側の副系である。その場合には、通信処理装置200は、例えば、接続側である。
【0056】
本実施形態において、通信処理装置100及び通信処理装置300の構成は、実施形態3の通信処理装置100及び通信処理装置300と同様である。本実施形態において、通信処理装置200は、実施形態1及び2と同様に、1つのNIC230を有している。しかしながら、NIC230は、通信相手となる接続先を切り替えることができる。NIC230は、正系の通信処理装置100または副系の通信処理装置300と通信を行う。
【0057】
次に、通信処理システム4の動作を説明する。
図13及び
図14は、実施形態4に係る通信処理システム4において、通信処理装置100で障害が発生した場合の障害通知方法を例示したシークエンス図である。
図13及び
図14のステップS41~ステップS49は、実施形態1のステップS11~ステップS19と同様である。
【0058】
図14のステップS50に示すように、TCP/IP222において、NIC230の切り替え処理を行う。これにより、ホスト側の正系の通信処理装置100をから副系の通信処理装置300に通信相手を切り替える。
【0059】
本実施形態によれば、通信処理装置200は、NIC230及びNIC330を介して、通信処理装置300との間で通信を行う。これにより、障害が発生した正系の通信処理装置100に対してではなく、副系の通信処理装置300に対して電文送信を行うことができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1~3の記載に含まれている。
【0060】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施形態1~4の各構成を組み合わせたものも、実施形態の技術思想の範囲である。
【0061】
(付記1)
NICを介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットをNICドライバに生成させるリセットパケット生成ステップと、
生成した前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して前記NICドライバに送出させるリセットパケット送出ステップと、
を備えた障害通知方法。
(付記2)
前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して送出した後で、前記NICドライバに前記NICを切り離させるNIC切り離しステップをさらに備えた、
付記1に記載の障害通知方法。
(付記3)
発生した前記障害を制御部に検知させるステップと、
前記制御部から前記障害の発生をアプリケーションに受信させ、TCP/IPに対して、TCPパス切断命令を送信させるステップと、
をさらに備えた、
付記1または2に記載の障害通知方法。
(付記4)
前記NICドライバに、前記障害の発生を検知させ、前記NICドライバから前記障害の発生をアプリケーション受信させ、TCP/IPに対して、TCPパス切断命令を送信させるステップと、
をさらに備えた、
付記1または2に記載の障害通知方法。
(付記5)
NICを介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットをNICドライバに生成させるリセットパケット生成手順と、
生成した前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して前記NICドライバに送出させるリセットパケット送出手順と、
をコンピュータに実行させる障害通知プログラム。
(付記6)
前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して送出した後で、前記NICドライバに前記NICを切り離させるNIC切り離し手順と、
をさらにコンピュータに実行させる付記5に記載の障害通知プログラム。
(付記7)
発生した前記障害を制御部に検知させる手順と、
前記制御部から前記障害の発生をアプリケーションに受信させ、TCP/IPに対して、TCPパス切断命令を送信させる手順と、
をさらにコンピュータに実行させる付記5または6に記載の障害通知プログラム。
(付記8)
前記NICドライバに、前記障害の発生を検知させ、前記NICドライバから前記障害の発生をアプリケーション受信させ、TCP/IPに対して、TCPパス切断命令を送信させる手順と、
をさらにコンピュータに実行させる付記5または6に記載の障害通知プログラム。
【符号の説明】
【0062】
1、2、3、4 通信処理システム
100 通信処理装置
110 アプリケーション
120 OS
121 OS制御部
122 TCP/IP
123 NICドライバ
130 NIC
200 通信処理装置
210 アプリケーション
220 OS
221 OS制御部
222 TCP/IP
223 NICドライバ
230、231、232 NIC
300 通信処理装置
310 アプリケーション
320 OS
321 OS制御部
322 TCP/IP
323 NICドライバ
330 NIC
【手続補正書】
【提出日】2022-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NICを介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットを生成し、生成した前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して送出するNICドライバを備え、
前記NICドライバは、前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して送出した後で、前記NICを切り離す、
通信処理装置。
【請求項2】
発生した前記障害を検知する制御部と、
前記制御部から前記障害の発生を受信し、TCP/IPに対して、TCPパス切断命令を送信するアプリケーションと、
をさらに備えた、
請求項1に記載の通信処理装置。
【請求項3】
前記NICドライバは、前記障害の発生を検知し、
前記NICドライバから前記障害の発生を受信し、TCP/IPに対して、TCPパス切断命令を発行するアプリケーションと、
をさらに備えた、
請求項1に記載の通信処理装置。
【請求項4】
NICを介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットを生成し、生成した前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して送出するNICドライバを備え、
発生した前記障害を検知する制御部と、
前記制御部から前記障害の発生を受信し、TCP/IPに対して、TCPパス切断命令を送信するアプリケーションと、
をさらに備えた通信処理装置。
【請求項5】
NICを介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットを生成し、生成した前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して送出するNICドライバを備え、
前記NICドライバは、前記障害の発生を検知し、
前記NICドライバから前記障害の発生を受信し、TCP/IPに対して、TCPパス切断命令を発行するアプリケーションと、
をさらに備えた通信処理装置。
【請求項6】
第1NICを有する第1通信処理装置と、
第2NICを有する第2通信処理装置と、
を備え、
前記第1通信処理装置は、前記第1NIC及び前記第2NICを介して、前記第2通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットを生成し、生成した前記リセットパケットを前記第2通信処理装置に対して送出するNICドライバを有し、
前記NICドライバは、前記リセットパケットを前記第2通信処理装置に対して送出した後で、前記第1NICを切り離す、
通信処理システム。
【請求項7】
第1NICを有する第1通信処理装置と、
第2NICを有する第2通信処理装置と、
を備え、
前記第1通信処理装置は、前記第1NIC及び前記第2NICを介して、前記第2通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットを生成し、生成した前記リセットパケットを前記第2通信処理装置に対して送出するNICドライバを有し、
第3NICを有する第3通信処理装置をさらに備え、
前記第2通信処理装置は、前記NICドライバから前記リセットパケットを受け取った場合には、前記第2NIC及び前記第3NICを介して、前記第3通信処理装置との間で通信を行う、
通信処理システム。
【請求項8】
第1NICを有する第1通信処理装置と、
第2NICを有する第2通信処理装置と、
を備え、
前記第1通信処理装置は、前記第1NIC及び前記第2NICを介して、前記第2通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットを生成し、生成した前記リセットパケットを前記第2通信処理装置に対して送出するNICドライバを有し、
第3NICを有する第3通信処理装置をさらに備え、
前記第2通信処理装置は、第4NICをさらに有し、前記NICドライバから前記リセットパケットを受け取った場合には、前記第4NIC及び前記第3NICを介して、前記第3通信処理装置との間で通信を行う、
通信処理システム。
【請求項9】
NICを介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットをNICドライバに生成させるリセットパケット生成ステップと、
生成した前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して前記NICドライバに送出させるリセットパケット送出ステップと、
を備え、
前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して送出した後で、前記NICドライバに前記NICを切り離させるNIC切り離しステップをさらに備えた障害通知方法。
【請求項10】
NICを介して他の通信処理装置との間で通信を行っている間に、所定の障害が発生した場合には、前記障害の発生を通知するリセットパケットをNICドライバに生成させるリセットパケット生成手順と、
生成した前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して前記NICドライバに送出させるリセットパケット送出手順と、
前記リセットパケットを前記他の通信処理装置に対して送出した後で、前記NICドライバに前記NICを切り離させるNIC切り離し手順と、
をコンピュータに実行させる障害通知プログラム。