(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172506
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、および固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20221110BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20221110BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20221110BHJP
C09B 57/00 20060101ALI20221110BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20221110BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20221110BHJP
C08F 295/00 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G03F7/004 505
G03F7/004 504
G02F1/1335 505
C09B57/00 Z
C09B67/20 F
H01L27/146 D
C08F295/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078299
(22)【出願日】2021-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸也
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕一
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 昌洋
(72)【発明者】
【氏名】立石 直也
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
2H291
4J026
4M118
【Fターム(参考)】
2H148BE03
2H148BE13
2H148BE33
2H148BG02
2H148BG11
2H148BH03
2H148BH13
2H148BH17
2H148BH21
2H225AC36
2H225AC43
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC49
2H225AC72
2H225AD02
2H225AD06
2H225AD14
2H225AM22P
2H225AM23P
2H225AM25P
2H225AM32P
2H225AM38P
2H225AM62P
2H225AM92P
2H225AM95P
2H225AM96P
2H225AN05P
2H225AN29P
2H225AN39P
2H225AN41P
2H225AN42P
2H225AN49P
2H225AN61P
2H225AN82P
2H225AN85P
2H225AN94P
2H225AN95P
2H225AN97P
2H225AN98P
2H225BA01P
2H225BA16P
2H225BA35P
2H225CA17
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
2H291FA02Y
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA85Z
2H291FB02
2H291FB12
2H291FB14
2H291FB22
2H291FC10
2H291FC13
2H291FD22
2H291LA04
2H291LA21
2H291LA22
4J026HA11
4J026HA20
4J026HA29
4J026HA32
4J026HA39
4J026HA49
4J026HB11
4J026HB32
4J026HB39
4J026HB43
4J026HB45
4J026HB48
4J026HC11
4J026HC20
4J026HC29
4J026HC32
4J026HC39
4J026HC43
4J026HC45
4J026HE01
4J026HE02
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA07
4M118BA10
4M118BA14
4M118CA02
4M118CB20
4M118FB23
4M118GB03
4M118GB07
4M118GB11
4M118GC08
4M118GD04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】保存安定性に優れ、明度、コントラスト比、耐熱性、および耐溶剤性、が良好な画素を形成できること。
【解決手段】赤色顔料、ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)、塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)およびバインダ樹脂(C)を含む。(A)は式(1)で表される顔料分散剤を含むことを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物によって、解決される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色顔料、ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)、塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)およびバインダ樹脂(C)を含むカラーフィルタ用着色組成物であって、ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)が下記一般式(1)で表される顔料分散剤を含むことを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
一般式(1)
【化1】
[一般式(1)中、R
1~R
10は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、-CF
3、-OR
11、-SR
12、-N(R
13)R
14、-SO
3M、-SO
2NHR
15、または、-SO
2N(R
16)R
17であり、R
11~R
17は、それぞれ独立して、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、または、置換基を有してもよいアラルキル基であり、R
1~R
10のうち、少なくとも一つは炭素数3~18のアルキル基、-OR
11、-SR
12、-N(R
13)R
14、-SO
2NHR
15、または、-SO
2N(R
16)R
17である。-SO
3Mは、スルホ基またはスルホ基の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩を表す。]
【請求項2】
塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)が、下記一般式(2)、一般式(3)及び一般式(4)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構成単位を有することを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
一般式(2)
【化2】
[一般式(2)において、R
201~R
203は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R
201~R
203のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R
204 は水素原子又はメチル基を示し、Lは2価の連結基を示し、W - は対アニオンを示す。]
一般式(3)
【化3】
[一般式(3)において、R
205及びR
206は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R
205及びR
206が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R
204は水素原子又はメチル基を示し、Lは2価の連結基を示す。]
一般式(4)
【化4】
[一般式(4)において、R
207は水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、アシル基、オキシラジカル基、またはOR
212を表し、R
212は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、またはアシル基を表し、R
208、R
209、R
210、R
211はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示す。R
204は水素原子又はメチル基を示し、Lは2価の連結基を示す。]
【請求項3】
さらに、酸性置換基を有する顔料分散剤(D)(ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)を除く)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項4】
酸性置換基を有する顔料分散剤(D)が、スルホン化色素誘導体、またはスルホン化色素誘導体の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩であって、スルホン化色素誘導体の色素骨格がキナクリドン色素、イソインドリン色素、キノフタロン色素、およびアントラキノン色素からなる群より選ばれる少なくとも一つである請求項3に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項5】
さらに、光重合性単量体および/または光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1~4いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項7】
請求項6記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする、液晶表示装置。
【請求項8】
請求項6記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする、固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、C-MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)などに代表される固体撮像素子、有機EL表示装置、および電子ペーパー等に用いられるカラーフィルタの製造に使用される着色組成物、これを用いて形成されるフィルタセグメントを備えるカラーフィルタ、およびそのカラーフィルタを備えた液晶表示装置、固体撮像素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置に用いられているカラーフィルタの上には、一般に液晶を駆動させるための透明電極が、蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極及び配向膜の性能を充分に得るには、その形成工程を一般に230℃以上の高温で行う必要があり、カラーフィルタには耐熱性が要求される。
【0003】
カラーフィルタに要求される重要な品質項目としては、コントラスト比と明度が挙げられる。コントラスト比が低いカラーフィルタを用いると、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまい、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ぼやけた画面となってしまう。そのため高品質な液晶表示装置を実現するためには、コントラスト比を高めることが不可欠である。また、明度が低いカラーフィルタを用いると、光の透過率が低いため、暗い画面となってしまい、明るい画面とするためには、光源であるバックライトの数を増量する必要がある。しかし、消費電力を抑制する観点から、カラーフィルタの高明度化がトレンドとなっている。
【0004】
赤色フィルタセグメントの形成に用いられる着色剤としては、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド291、C.I.ピグメントレッド242、およびC.I.ピグメントレッド177が一般的に広く用いられてきた。ジケトピロロピロール顔料であるC.I.ピグメントレッド254やC.I.ピグメントレッド291は特に明度に優れる顔料であるが、近年、カラーフィルタに対する高コントラスト化の要望も強く、そのためにはジケトピロロピロール系顔料の一次粒子径をできるかぎり微細化する必要がある。しかし、微細化されたジケトピロロピロール系顔料は、その分子間水素結合によって、結晶成長し易いという性質を有するため、カラーフィルタを形成する際の加熱工程において結晶化が起こり、異物が発生してしまうことが問題となっている。
【0005】
特許文献1には、C.I.ピグメントレッド291と特定構造のジケトピロロピロール顔料を併用することにより、加熱工程の結晶析出を抑制できることが開示されているが、明度、コントラスト比、耐熱性、および耐溶剤性などにおいて更なる改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、保存安定性に優れ、明度、コントラスト比、耐熱性、および耐溶剤性が良好な画素を形成できるカラーフィルタ用着色組成物、これを用いて形成されるフィルタセグメントを備えるカラーフィルタ、およびそのカラーフィルタを備えた液晶表示装置、固体撮像素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定のジケトピロロピロール系顔料分散剤と塩基性樹脂型分散剤を用いることにより保存安定性に優れ、高明度、高コントラスト比、かつ加熱工程による結晶析出が抑制され、耐溶剤性良好なカラーフィルタ用着色組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
【0009】
即ち、本発明は、赤色顔料、ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)、塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)およびバインダ樹脂(C)を含むカラーフィルタ用着色組成物であって、ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)が下記一般式(1)で表される顔料分散剤を含むことを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物に関する
【0010】
一般式(1)
【化1】
[一般式(1)中、R
1~R
10は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、-CF
3、-OR
11、-SR
12、-N(R
13)R
14、-SO
3M、-SO
2NHR
15、または、-SO
2N(R
16)R
17であり、R
11~R
17は、それぞれ独立して、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、または、置換基を有してもよいアラルキル基であり、R
1~R
10のうち、少なくとも一つは炭素数3~18のアルキル基、-OR
11、-SR
12、-N(R
13)R
14、-SO
2NHR
15、または、-SO
2N(R
16)R
17である。-SO
3Mは、スルホ基またはスルホ基の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩を表す。]
【0011】
また、本発明は、塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)が、下記一般式(2)、一般式(3)及び一般式(4)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構成単位を有することを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0012】
一般式(2)
【化2】
[一般式(2)において、R
201~R
203は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R
201~R
203のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R
204 は水素原子又はメチル基を示し、Lは2価の連結基を示し、W - は対アニオンを示す。]
【0013】
【0014】
[一般式(3)において、R205及びR206は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R205及びR206が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R204は水素原子又はメチル基を示し、Lは2価の連結基を示す。]
【0015】
一般式(4)
【化4】
[一般式(4)において、R
207は水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、アシル基、オキシラジカル基、またはOR
212を表し、R
212は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、またはアシル基を表し、R
208、R
209、R
210、R
211はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示す。R
204は水素原子又はメチル基を示し、Lは2価の連結基を示す。]
【0016】
また、本発明は、さらに、酸性置換基を有する顔料分散剤(D)(ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)を除く)を含有することを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0017】
また、本発明は、酸性置換基を有する顔料分散剤(D)が、スルホン化色素誘導体、またはスルホン化色素誘導体の金属塩もしくはアミン塩であって、色素骨格がキナクリドン色素、イソインドリン色素、キノフタロン色素、およびアントラキノン色素からなる群より選ばれる少なくとも一つである前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0018】
また、本発明は、さらに、光重合性単量体および/または光重合開始剤を含有することを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0019】
また、本発明は、前記カラーフィルタ用着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
【0020】
また、本発明は、前記カラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置に関する。
【0021】
また、本発明は、前記カラーフィルタを備えたことを特徴とする固体撮像素子に関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、保存安定性に優れ、明度、コントラスト比、耐熱性、および耐溶剤性が良好な画素を形成できるカラーフィルタ用着色組成物、これを用いて形成されるフィルタセグメントを備えるカラーフィルタ、およびそのカラーフィルタを備えた液晶表示装置、固体撮像素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、液晶表示装置の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のカラーフィルタ用顔料組成物、カラーフィルタ用着色組成物を構成する各成分について詳述する。なお、本願における「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。なお、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、及び「(メタ)アクリロイルオキシ」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/またはメタクリロイル」、「アクリル及び/またはメタクリル」、「アクリル酸及び/またはメタクリル酸」、「アクリレート及び/またはメタクリレート」、及び「アクリロイルオキシ及び/またはメタクリロイルオキシ」を表すものとする。
【0025】
<ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物の必須成分である一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)について説明する。
【0026】
一般式(1)
【化5】
[一般式(1)中、R
1~R
10は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、-CF
3、-OR
11、-SR
12、-N(R
13)R
14、-SO
3M、-SO
2NHR
15、または、-SO
2N(R
16)R
17であり、R
11~R
17は、それぞれ独立して、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、または、置換基を有してもよいアラルキル基であり、R
1~R
10のうち、少なくとも一つは炭素数3~18のアルキル基、-OR
11、-SR
12、-N(R
13)R
14、-SO
2NHR
15、または、-SO
2N(R
16)R
17である。-SO
3Mは、スルホ基またはスルホ基の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩を表す。]
【0027】
一般式(1)中、R1~R10、およびR11~R17における「置換基を有してもよい」の「置換基」とは、結晶析出抑制効果の観点から、中性置換基が好ましい。
【0028】
上記炭素数1~20の無置換のアルキル基としては、無置換の直鎖状または分岐状アルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、1,5-ジメチルヘキシル基、1,6-ジメチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、結晶析出抑制効果の観点から炭素数3~18が好ましく、炭素数4~18がより好ましい。
【0029】
上記炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基としては、具体的には、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、3-エトキシプロピル基、ポリオキシエチレン基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、結晶析出抑制効果の観点から炭素数3~18が好ましく、炭素数4~18がより好ましい。
【0030】
上記置換基を有してもよいフェニル基としては、炭素数1~20のアルキル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、炭素数1~4のアルコキシル基などの置換基を有するフェニル基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、p-メチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-クロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、3-カルバモイルフェニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
上記置換基を有してもよいアラルキル基としては、具体的にベンジル基、4-メチルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
上記-SO3Mにおいてスルホ基と金属塩を形成する金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、アルミニウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
上記-SO3Mにおいてスルホ基とアルキルアンモニウム塩を形成するアミンとしては、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ヒドロキシエチルアミン、ジヒドロキシエチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジエチルアミノプロピルアミン、N,N-ジブチルアミノプロピルアミン等の低級アミン、ラウリルアミン、オレイルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン等の炭素数2以上のアルキル基を有する長鎖アルキルアミン、ラウリルアンモニウム、ステアリルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム等の炭素数12以上のアルキル基を有する長鎖アルキル4級アンモニウムイオンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
また、本発明におけるジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)としては、色相やコントラストの観点から下記一般式(5)~(11)で表される構造が好ましく、特に一般式(5)、(6)または(9)で表される構造が好ましい。
【0035】
一般式(5):
【化6】
[一般式(5)中、YおよびZは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、-CF
3、-OR
11、-SR
12、-N(R
13)R
14、であり、R
11~R
14は、それぞれ独立して、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、または、置換基を有してもよいアラルキル基である。ただし、YおよびZの少なくとも一つは、炭素数3~18のアルキル基、-OR
11、-SR
12、-N(R
13)R
14、である。]
【0036】
結晶抑制効果の観点から、Yは炭素数3~18のアルキル基、-OR11、-SR12が好ましく、特に炭素数4~18のアルキル基が好ましく、さらに、分岐アルキル基であることが好ましい。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
一般式(11):
【化12】
[一般式(6)~(11)中、R
21~R
32は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、-CF
3、-OR
11、-SR
12、-N(R
13)R
14、または、置換基を有してもよいフェニル基である。R
11~R
14は、それぞれ独立して、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、または、置換基を有してもよいアラルキル基である。X
1~X
12は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、または、置換基を有してもよいアラルキル基である。ただし、X
1およびX
2が同時に水素原子となることはなく、X
3およびX
4が同時に水素原子となることはなく、X
5およびX
6が同時に水素原子となることはなく、X
7およびX
8が同時に水素原子となることはなく、X
9およびX
10が同時に水素原子となることはなく、X
11およびX
12が同時に水素原子となることはない。-SO
3Mは、スルホ基またはスルホ基の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩を表す。]
【0043】
X1~X12は、明度、コントラストおよび結晶析出の抑制効果の観点から、炭素数3~18の無置換のアルキル基、炭素数3~18のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、または、置換基を有してもよいアラルキル基が好ましく、特に炭素数4~18の無置換のアルキル基、炭素数4~18のエーテル結合を有するアルキル基が好ましく、さらに、分岐アルキル基であることが好ましい。
【0044】
本発明に用いることができるジケトピロロピロール顔料分散剤(A)の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
一般式(5)におけるYおよびZの具体例を表1に示す。
【0046】
【0047】
【0048】
一般式(6)におけるR21、R22、X1およびX2の具体例を表2、表3に示す。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
一般式(7)におけるR23、R24、X3およびX4の具体例を表4に示す。
【0053】
【0054】
【0055】
一般式(8)におけるR25、R26、X5およびX6の具体例を表5に示す。
【0056】
【0057】
【0058】
一般式(9)におけるR27、R28、X7、X8および-SO3Mの具体例を表6に示す。
【0059】
【0060】
【0061】
一般式(10)におけるR29、R30、X9、X10および-SO3Mの具体例を表7に示す。
【0062】
【0063】
【0064】
一般式(11)におけるR31、R32、X11、X12および-SO3Mの具体例を表8に示す。
【0065】
【0066】
【0067】
輝度、コントラストおよび結晶析出の抑制効果の観点から、上記構造のうち、特に、(5-2)、(5-5)、(5-7)、(5-9)、(6-5)、(6-6)、(6-7)、(6-10)、(6-11)、(6-12)、(6-13)、(6-14)、(6-27)、(6-28)、(9-1)などが好ましい。
【0068】
(ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)の製造方法)
本発明のジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)を製造する方法はいくつか挙げられ、特に限定されるものではないが、例えば下記の方法で製造することができる。
【0069】
一般式(5)で表わされるジケトピロロピロール系顔料分散剤は、コハク酸ジエステル合成法で製造することができる。すなわち、コハク酸ジエステル1モルに対して、下記一般式(12)のベンゾニトリル化合物2モルを、tert-アミルアルコール等の不活性有機溶剤中で、アルカリ金属又はアルカリ金属アルコキシドの存在下において、80~110℃の高温で縮合反応を行い、ジケトピロロピロール化合物のアルカリ金属塩を生成させ、続いて、このジケトピロロピロール化合物のアルカリ金属塩に対して、水、アルコール、酸等を用いてプロトン化することにより、一般式(5)のジケトピロロピロール系顔料分散剤を得ることができる。このとき、プロトン化における温度、水、アルコールまたは酸の種類、比率や量により、得られる一次粒子径の大きさを制御することができる。一般式(5)で表わされるジケトピロロピロール系顔料分散剤の製造方法はこの方法に限定されるものではない。
【0070】
一般式(12):
【化20】
[一般式(12)中、YおよびZは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、-CF
3、-OR
11、-SR
12、-N(R
13)R
14、であり、R
11~R
14は、それぞれ独立して、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、または、置換基を有してもよいアラルキル基である。ただし、YおよびZの少なくとも一つは、炭素数3~18のアルキル基、-OR
11、-SR
12、-N(R
13)R
14、である。]
【0071】
一般式(6)~一般式(11)で表わされるジケトピロロピロール系顔料分散剤は、特に限定されるものではないが、コハク酸ジエステル合成法により合成したジケトピロロピロール顔料を、発煙硫酸によりスルホン化、さらに、塩素化剤により塩化スルホニルとした後、任意のアミンと反応させてスルホンアミド化することにより合成する方法が最も簡便に合成することができる。
【0072】
ジケトピロロピロールは、コハク酸ジエステル合成法で製造することができる。すなわち、コハク酸ジエステル1モルに対して一般式(13)で表されるベンゾニトリル化合物2モルを、tert-アミルアルコール等の不活性有機溶剤中で、アルカリ金属又はアルカリ金属アルコキシドの存在下において、80~110℃の高温で縮合反応を行い、ジケトピロロピロール化合物のアルカリ金属塩を生成させ、続いて、このジケトピロロピロール化合物のアルカリ金属塩に対して、水、アルコール、酸等を用いてプロトン化することにより、種々のジケトピロロピロール顔料を得ることができる。
【0073】
一般式(13):
【化21】
[一般式(13)中、R
33~R
37は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、-CF
3、-OR
11、-SR
12、-N(R
13)R
14、-SO
3M、-SO
2NHR
15、または、-SO
2N(R
16)R
17であり、R
11~R
17は、それぞれ独立して、炭素数1~20の無置換のアルキル基、炭素数1~20のエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、または、置換基を有してもよいアラルキル基であり、R
33~R
37のうち、少なくとも一つは-SO
2NHR
15、または、-SO
2N(R
16)R
17である。-SO
3Mは、スルホ基またはスルホ基の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩を表す。]
【0074】
また、コハク酸ジエステル合成法において、少なくとも2種の構造的に異なるベンゾニトリル化合物を用いて、複数の構造が混在するジケトピロロピロールを製造することもできる。
【0075】
ジケトピロロピロールは発煙硫酸と反応させることによりスルホン化することができる。本発明におけるジケトピロロピロール顔料分散剤において、ジケトピロロピロール一分子に対し、スルホン酸基は1等量でも2等量でもよく、混在してもよい。
【0076】
スルホン化したジケトピロロピロールは、塩化チオニルなどの塩素化剤を用いて塩化スルホニル化することにより、一級アミンまたは二級アミンと容易に反応しスルホンアミド化することができる。
【0077】
本発明のジケトピロロピロール系顔料分散剤の製造に用いるアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ジメチルアミン、N-エチルイソプロピルアミン、N-メチルブチルアミン、N-メチルイソブチルアミン、N-ブチルエチルアミン、N-tert-ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N-sec-ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N-イソブチル-sec-ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2-エチルヘキシル)アミン、ジオクチルアミン、N-メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N-エチル-1,2-ジメチルプロピルアミン、N-メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、アニリン、2-メチルアニリン、3-メチルアニリン、4-メチルアニリン、4-エチルアニリン、4-プロピルアニリン、4-ブチルアニリン、4-アミルアニリン、4-デシルアニリン、3,4-ジメチルアニリン、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
<その他の顔料分散剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)以外の顔料分散剤を含有することができる。本発明に用いることができる顔料分散剤としては、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する公知の顔料分散剤を用いることができる。例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性官能基を有する化合物およびこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性官能基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性官能基を有する化合物が挙げられる。有機色素としては、例えばジケトピロロピロール系顔料、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン、ハロゲン化アルミニウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、等が挙げられる。
【0079】
より具体的には、特開昭61-246261号公報、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開平11-199796号公報、特開2001-172520号公報、特開2001-220520号公報、特開2002-201377号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2003-171594号公報、特開2004-217842号公報、特開2005-213404号公報、特開2006-291194号公報、特開2007-079094号公報、特開2007-226161号公報、特開2007-314681号公報、特開2007-314785号公報、特開2008-31281号公報、特開2009-57478号公報、WO2009/025325号パンフレット、WO2009/081930号パンフレット、特開2011-162662号公報、WO2011/052617号パンフレット、特開2012-172092号公報、特開2012-208329号公報、特開2012-226110号公報、WO2012/102399号パンフレット、特開2014-5439号公報、WO2016/163351号パンフレット、特開2017-156397号公報、特許第5753266号公報などに記載の公知の顔料分散剤が挙げられ、これらは単独又は2種類以上を混合して用いることができる。なおこれらの文献には、顔料分散剤を誘導体、顔料誘導体、色素誘導体もしくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などの官能基を有する化合物は、顔料分散剤と同義である。
【0080】
(酸性置換基を有する顔料分散剤(D))
その他の顔料分散剤としては、酸性置換基を有する顔料分散剤(D)(ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)を除く)を含有することが、塩基性樹脂型分散剤との相互作用の観点から好ましい
【0081】
酸性置換基を有する顔料分散剤(D)としては、色素骨格である有機顔料、またはトリアジン等に、酸性置換基を導入した化合物があげられ、例えば、特開昭63-305173号公報、特公昭57-15620号公報、特公昭59-40172号公報、特公昭63-17102号公報、特公平5-9469号公報、特開2001-335717号公報、特開2003-128669号公報、特開2004-091497号公報、特開2007-156395号公報、特開2008-094873号公報、特開2008-094986号公報、特開2008-095007号公報、特開2008-195916号公報、特許第4585781号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。
【0082】
中でも、本発明の塩基性樹脂型分散剤との相互作用の観点から、前記酸性置換基を有する顔料分散剤(D)の酸性置換基が、スルホ基、またはスルホ基の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩のいずれかであることが好ましく、スルホ基であることがより好ましい。
【0083】
金属塩を構成する金属としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、鉄、
マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、コバルト、ストロンチウム等の各種金属が挙げ
られる。これらの中でも、アルミニウム塩を用いると、製造における単離性、及び顔料分
散剤としての分散性に優れるだけでなく、低粘度、流動特性、経時粘度安定性に最も優れ
た着色組成物が得られる。
【0084】
アルキルアンモニウム塩を構成するアミンとしては、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ヒドロキシエチルアミン、ジヒドロキシエチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジエチルアミノプロピルアミン、N,N-ジブチルアミノプロピルアミン等の低級アミン、ラウリルアミン、オレイルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン等の炭素数2以上のアルキル基を有する長鎖アルキルアミン、ラウリルアンモニウム、ステアリルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム等の炭素数12以上のアルキル基を有する長鎖アルキル4級アンモニウムイオンが挙げられる。これらの中でも、ラウリルアンモニウム、ステアリルアンモニウム等の炭素数12以上のアルキル基を有する長鎖アルキル4級アンモニウムイオンとの塩を用いると、最も分散安定性に優れ、特に保存安定性が高い着色組成物が得られる。
【0085】
スルホ基の導入数は、色素骨格に対し、1個ないし2個が望ましい。3個以上になると、カラーフィルタに好適に使用できる有機溶剤に対し親和性がなくなり、分散性が低下する。
【0086】
本発明に、酸性置換基を有する顔料分散剤(D)(ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)を除く)を用いる場合、色素骨格がキナクリドン色素、イソインドリン色素、キノフタロン色素、およびアントラキノン色素からなる群より選ばれるものが好ましい
【0087】
<顔料>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、赤色顔料を必須成分に加えて、従来公知の種々の顔料、及び染料を着色剤として任意に選択して併用して含有できる。
【0088】
本発明で使用することができる赤色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、221、224、226、242、246、254、255、264、269、270、272、273、274,276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、291、295、296などが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0089】
ジケトピロロピロール系顔料分散剤は、これと同一または類似の化学構造を有する顔料に使用すると、非集合性、非結晶性、流動性等を効果的に向上させることができる。また、色相の面では、黄色~赤色の顔料に使用するのが好ましく、橙色~赤色の顔料に使用するのがより好ましい。
【0090】
特に、ジケトピロロピロール系顔料分散剤は、ジケトピロロピロール系赤色顔料、キナクリドン系赤色顔料、チアジンインジゴ系赤色顔料、アントラキノン系赤色顔料、アゾ系赤色顔料に代表される赤色系統の顔料に使用することが好ましく、その中でも特にジケトピロロピロール系赤色顔料が好ましい。
【0091】
本発明で使用することができる橙色顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ38、43、又は71が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0092】
顔料として、C.I.ピグメントレッド254、255、264、272、291、C.I.ピグメントオレンジ71からなる群から選ばれる少なくとも1種のジケトピロロピロール顔料を含有することが好ましく、さらにC.I.ピグメントレッド48:1、122、166、168、176、177、179、202、209、242、268、269、295、296、C.I.ピグメントオレンジ38、43、C.I.ピグメントイエロー138、139、150、185、231、233、234からなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含有することが好ましい。
【0093】
本発明で使用することができる黄色顔料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、221、231、233又は特許第4993026号公報に記載のキノフタロン系顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0094】
本発明で使用することができる緑色顔料は、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、36、37、58、59、62、63、特開2008-19383号公報、特開2007-320986号公報、特開2004-70342号公報、国際公開第2015/118720号パンフレット等に記載の亜鉛フタロシアニン顔料、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムタロシアニン顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0095】
本発明で使用することができる青色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、特開2004-333817号公報、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0096】
本発明で使用することができる紫色顔料は、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0097】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、二酸化チタン、酸化鉄、五酸化アンチモン、酸化亜鉛、シリカなどの金属酸化物、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料も使用することができる。
【0098】
<その他の着色剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、前記顔料以外の染料などの着色剤を含有することができる。染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等のいずれも用いることができる。また、これらの誘導体や、染料をレーキ化したレーキ顔料の形態であってもかまわない。
【0099】
さらに、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有する酸性染料、直接染料の形態の場合は、酸性染料の無機塩や、酸性染料と四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、もしくは一級アミン化合物等の含窒素化合物との造塩化合物、又はこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化して造塩化合物として用いること、あるいはスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物として用いることで耐性に優れたものとなるために、堅牢性に優れた着色組成物とすることができ、好ましい。また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、堅牢性に優れるため好ましく、より好ましくは、オニウム塩基を有する化合物が、側鎖にカチオン性基を有する樹脂である場合である。
【0100】
塩基性染料の形態の場合は、有機酸や過塩素酸もしくはその金属塩を用いて造塩化して用いることができる。中でも、塩基性染料の造塩化合物が耐性、顔料との併用性に優れているために好ましく、さらに塩基性染料と、カウンタイオンとしてはたらくカウンタ成分である有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、又は酸性染料とを造塩した、造塩化合物を用いることがより好ましいものである。
【0101】
また、色素骨格に重合性不飽和基を有する場合、耐性に優れた染料とすることができ、好ましい。
【0102】
染料の化学構造としては、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造を挙げることができる。
【0103】
これらの色素構造の中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましい。色素構造を形成しうる具体的な色素化合物については「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている。
【0104】
<顔料組成物>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)と顔料を混合し、顔料組成物を作製してから、塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)およびバインダ樹脂(C)を混合することで、作製してもよい。
【0105】
顔料組成物中に含まれるジケトピロロピロール系顔料分散剤の量は、顔料100重量部に対して、0.1~30重量部が好ましく、1~20重量部がより好ましい。ジケトピロロピロール系顔料分散剤の含有量が0.1重量部より少ない場合には、添加したジケトピロロピロール系顔料分散剤の効果が得られ難く、3 0重量部より多い場合には、ジケトピロロピロール系顔料分散剤の色相への影響が大きく、明度低下が生じることがある。
【0106】
顔料組成物は、顔料粉末とジケトピロロピロール顔料分散剤の粉末を単に混合して調製しても充分な分散効果が得られるが、ディソルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ロールミル、アトライター、サンドミル、各種粉砕機等を用いて顔料粉末と顔料分散剤の粉末を機械的に混合する方法、顔料の水または有機溶媒によるサスペンジョン系に顔料分散剤を含む溶液を添加し、顔料表面に顔料分散剤を沈着させる方法、硫酸等の強い溶解力を持つ溶媒に有機顔料と顔料分散剤を共溶解して水等の貧溶媒により共沈させる方法などにより顔料組成物を得てもよい。
【0107】
<顔料の微細化>
本発明の着色組成物に使用する赤色顔料、その他の顔料は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は特に限定されるものではなく、例えば湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用でき、本発明で例示するように湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理等を行い微細化することができる。顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は5~90nmの範囲であることが好ましい。5nmよりも小さくなると有機溶剤中への分散が困難になり、90nmよりも大きくなると十分なコントラスト比を得ることができない場合がある。このような理由から、より好ましい平均一次粒子径は10~70nmの範囲である。
【0108】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、プラネタリー型ミキサー等のバッチ式又は連続式混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0109】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対し、50~2000質量部用いることが好ましく、300~1000質量部用いることが最も好ましい。
【0110】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100質量部に対し、5~1000質量部用いることが好ましく、50~500質量部用いることが最も好ましい。
【0111】
ソルトミリング処理する際には、混練効率を向上させるために色素誘導体を併用してもよい。顔料の微細化および整粒化に非常に有効である。本発明で使用されるジケトピロロピロール系顔料組成物の微細化においては、前記色素誘導体を使用することが好ましいが、これらに限定されるものではない。色素誘導体の使用量は、色調に影響を与えない程度、すなわち顔料100質量%に対して0.5~30質量%の範囲であることが好ましい。
【0112】
また、ソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100質量部に対し、5~200質量部の範囲であることが好ましい。
【0113】
<特定金属元素>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、顔料の構成成分以外に少量のLi、Na、K、Mg、Ca、Fe、Al、及びCr(以下、特定金属元素ともいう)が存在する場合がある。これら特定金属元素が多く存在すると、保存安定性が阻害される場合、耐熱性が低下する場合、後述する感光性着色組成物の形態で調製した際の感度低下を引き起こす場合がある。
また、このような特定金属元素が多く存在する着色組成物を用いて作成したカラーフィルタは、異物が発生する場合があり、結果として明度低下を引き起こしやすい。本発明のカラーフィルタ用着色組成物に含まれる特定金属元素の合計含有量は、500質量ppm以下であることが好ましい。
【0114】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物に含まれる特定金属元素の合計量は、300質量ppm以下がより好ましく、200質量ppm以下が特に好ましい。また、特定金属元素の合計量の下限は、特に限定されないが、1質量ppm以上が好ましく、5質量ppm以上がより好ましい。上記範囲内であれば、コストも抑制でき、保存安定性に優れ、かつ異物の発生、明度低下が少ないカラーフィルタを形成できる着色組成物を得ることができる。
【0115】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物に含まれる各特定金属元素の量は、各々100質量ppm以下であることが好ましく、各々50質量ppm以下であることがより好ましい。
【0116】
また、顔料構造の一部にNi、Zn、Cu、Al、Fe、及びCo等の金属元素が含まれる場合には、顔料構造の一部を構成していないこれら金属元素が存在する場合がある。このような金属元素も少ない方がよく、以下の方法で特定金属元素と同様に取り除くことが出来る。さらに、Mn、Cs、Ti、Co、Si、Pd等、着色組成物の各種原料の製造工程で用いる材料(たとえば触媒)等により混入してしまうものも、低濃度であることが好ましい。
【0117】
顔料あるいは製造過程において装置から混入した金属元素を除去する方法としては、特開2010-83997号公報、特開2018-36521号公報、特開平7-198928号公報、特開平8-333521号公報、特開2009-7432号公報等による水洗による方法、特開2011-48736号公報に記載のマグネットによる磁性異物の除去等の方法が挙げられ、単独または複数の方法を適宜使用する。
【0118】
特定金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって、測定できる。
【0119】
<塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)を含有する。塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)は、着色剤に吸着する塩基性基を含む顔料親和性部位と、着色剤体と相溶性のある部位を有し、着色剤に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。
【0120】
塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)としては、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体、ランダム共重合体、およびウレタン系樹脂型分散剤などが挙げられる。
【0121】
本発明において、塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)は、一般式(1)で表されるジケトピロロピロール顔料分散剤との親和性の観点から、一般式(2)で表される4級アンモニウム塩基、一般式(3)、および(4)で表される1級、2級もしくは3級のアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの構成単位を有することが好ましい。
【0122】
一般式(2)
【化22】
[一般式(2)において、R
201~R
203は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R
201~R
203のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R
204 は水素原子又はメチル基を示し、Lは2価の連結基を示し、W - は対アニオンを示す。]
【0123】
一般式(3)
【化23】
[一般式(3)において、R
205及びR
206は、相互に独立に、水素原子、又は置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R
205及びR
206が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R
204は水素原子又はメチル基を示し、Lは2価の連結基を示す。]
【0124】
一般式(4)
【化24】
[一般式(4)において、R
207は水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、アシル基、オキシラジカル基、またはOR
212を表し、R
212は、水素原子、炭素数1~18のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基、またはアシル基を表し、R
208、R
209、R
210、R
211はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示す。R
204は水素原子又はメチル基を示し、Lは2価の連結基を示す。]
【0125】
一般式(2) におけるR201~R203としては、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7~16のアラルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基が特に好ましい。
【0126】
一般式(3) におけるR205及びR206としては、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が特に好ましい。
【0127】
一般式(4)のR207において、炭素数1~18のアルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、n―ブチル基、t―ブチル基、n―ヘキシル基、シクロヘキシル基、n―オクチル基、ヘキサデシル基等を挙げることが出来る。
炭素数6~20のアリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等を挙げることが出来る。
炭素数7~12のアラルキル基としては、例えば、炭素数6~10のアリール基に炭素数1~8のアルキル基が結合した基が挙げられ、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、α―メチルベンジル基、2-フェニルプロパン-2-イル基等を挙げることが出来る。
またアシル基としては、炭素数2~8のアルカノイル基及び、アロイル基が挙げられ、具体的にはアセチル基、ベンゾイル基等を挙げることが出来る。
この中でも特に、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、オキシラジカル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
【0128】
一般式(2)、(3)及び(4)において、2価の連結基Lとしては、例えば、メチレン基、炭素数2~10のアルキレン基、アリーレン基、-CONH-R213-、-COO-R214-(但し、R213及びR214は単結合、メチレン基、炭素数2~10のアルキレン基、又は炭素数2~10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)である)等が挙げられ、好ましくは-COO-R214-である。 また、上記式(2) において、対アニオンのW-としては、Cl-、Br- 、I- 、ClO4
-、BF4
- 、CH3COO- 、PF6
- 等が挙げられる。
【0129】
一般式(2)で表される構成単位の前駆体・部分構造となる、4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0130】
一般式(3)で表される構成単位の前駆体・部分構造となる、3級アミン基を有するエチレン性不飽和単量体の具体例としては、
N ,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(
メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-
ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリ
レート類;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及
びN,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の三級アミノ基を有する(
メタ)アクリルアミド類;
等が挙げられる。
【0131】
一般式(4)で表される構成単位の前駆体・部分構造となる、エチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えば、下記化合物(4-1)~(4-11)で表される化合物等を挙げることが出来る。
【0132】
【化25】
(4-1)
(4-2)
(4-3)
(4-4)
(4-5)
(4-6)
(4-7)
(4-8)
(4-9)
(4-10)
(4-11)
【0133】
化合物(4-1)~(4-11)において、R204は水素またはメチル基を表す。
【0134】
これらのうち、2,2,6,6-テトラメチルピペリジルメタクリレート(上記化合物(4-1)において、R204がメチル基である化合物)、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート(上記化合物(4-2)においてR204がメチル基である化合物)が好ましく、特に1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレートが好ましい。
【0135】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(2)~(4)で表される構成単位以外のアミノ基を含有するエチレン性不飽和単量体を併用してもよい。
【0136】
本発明における塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)1g中の一般式(2)~(4)で表される構成単位の量は、通常0.1~5mmolであることが好ましく、この範囲内であると明度と分散性をより両立することができる。
【0137】
本発明における塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)は、一般式(2)~(4)で表される構成単位の種類にもよるが、アミン価が30~350mgKOH/gであることがより好ましい。アミン価が30mgKOH/g以上であると顔料分散体の粘度、及び粘度安定性に優れ、350mgKOH/g以下であると明度に優れる
【0138】
また、本発明における塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)の分子量はポリスチレン換算の重量平均で、通常1,000以上、100,000以下の範囲が好ましい。塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)の分子量が1,000未満であると分散安定性が低下し、100,000を超えると現像性が低下する傾向がある。
【0139】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物では、この塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)以外に、後述するその他の分散剤や各種樹脂を添加しても良い。
【0140】
(アクリル系ブロック共重合体)
本発明の塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)は、前記一般式(2)~(4)で表される構成単位を有するAブロックと、前記一般式(2)~(4)で表される構成単位を有さないBブロックとからなるアクリル系ブロック共重合体であることが、さらに好ましい。AブロックとBブロックの構成は特に限定されないが、A―Bブロック、B-A-Bブロック、または、A-B-Aが好ましく、A―Bブロック、B-A-Bブロックがさらに好ましく用いることができる。
【0141】
Aブロックは、一般式(2)~(4)で表される構成単位のどれかを有していれば特に限定はされないが、エチレン性不飽和単量体由来の部分構造であることが好ましい。
【0142】
一般式(2)~(4)で表される構成単位を含有する部分構造は、1つのAブロック中に単独または2種以上含有されていても良く、2種以上含有する場合は、ランダム共重合または、ブロック共重合の何れかの態様で含有されていても良い。
【0143】
また、Aブロック中における、一般式(2)~(4)で表される構成単位の含有量は、好ましくは50~100質量%、より好ましくは80~100質量%であり、特に好ましくは95~100質量%である。
【0144】
一方、Aブロックのうち一般式(2)~(4)で表される構成単位を含まない構成単位、及び、Bブロックとしては、共重合可能な単量体を共重合させたポリマー構造であれば特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。以下に共重合可能な単量体を示す。
【0145】
例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレ5ート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート、及びオクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート 、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルキルオキシシリル基を有する(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、及びテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;並びに、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類等が挙げられる。
また、スチレン、及びα-メチルスチレン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;並びに、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
【0146】
更に、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、及びω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0147】
Bブロックはエチレン性不飽和単量体由来の部分構造であることが好ましく、さらに、少なくとも、ベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシエチル(メタ)クリレートからなる群から選択されるエチレン性不飽和単量体が用いられるのが好ましい。
【0148】
(アクリル系ブロック共重合体の製造)
本発明において、塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)として好ましいアクリル系ブロック共重合体は、例えば、以下に示すリビング重合法にて調製される。ここでリビング重合とは、一般的なラジカル重合に起こる副反応が抑制され、さらには重合の成長が均一に起こるため、容易にブロックポリマーや分子量の揃った樹脂を合成する重合方法である。重合時に添加する重合開始剤とビニル系モノマーとの仕込み比によって、重合体の分子量やブロック共重合するモノマーの比率を自由にコントロールでき、ブロックポリマー・グラジエントポリマー・星形ポリマー・くし型ポリマー、さらには、末端官能性ポリマーなどの製造に利用することができる。
【0149】
本発明において、アクリル系ブロック共重合体は公知のラジカルリビング重合法によって合成することが出来、特開2014-219665等に記載される方法を用いることができる。原子移動ラジカル重合法(ATRP法)およびニトロキサイド法(NMP法)が、重合体の分子量・分子量分布の制御の観点のみならず、広範囲な単量体に適応出来る点、既存の設備に適応可能な重合温度を採用出来る点で好ましく、さらに、着色等の原因となり得る遷移金属等を用いない点でニトロキサイド法(NMP法)がより好ましい。
【0150】
[原子移動ラジカル重合法(ATRP法)]
原子移動ラジカル重合法では、レドックス重合触媒として、銅、ルテニウム、鉄、ニッケルなどの遷移金属錯体を用いて行われる。遷移金属錯体の具体的な例としては、塩化銅(I)臭化銅(I)などの低原子価のハロゲン化遷移金属が挙げられる。
【0151】
上記遷移金属錯体には有機配位子が使用される。有機配位子は、重合溶剤への可溶性およびレドックス重合触媒の可逆的な変化を可能にするために使用される。遷移金属の配位原子としては、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子等が挙げられる。
【0152】
原子ラジカル重合法に使用される開始剤としては、公知のものを使用出来るが、主に、反応性の高い炭素ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル化合物等が用いられる。具体的に例示すると、ブロモイソ酪酸エチル、ブロモ酪酸エチル、クロロイソ酪酸エチル、クロロ酪酸エチル、パラトルエンスルホン酸クロライド、1-ブロモエチルベンゼン、クロロエチルベンゼン等である。これらは単独又は併用で用いる。
【0153】
[ニトロキサイド法(NMP法)]
ニトロキシドを介するリビングラジカル重合法は、安定なニトロキシフリーラジカル(=N-O・)をラジカルキャッピング剤として用いて行われる。安定なニトロキシフリーラジカルとしては、特に限定されないが、例えば2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6-テトラエチル-1-ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6-テトラメチル-4-オキソ-1-ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5-テトラメチル-1-ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3-テトラメチル-2-イソインドリニルオキシラジカル、N,N-ジ-t-ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても構わない。
【0154】
上記ラジカルキャッピング剤は、ラジカル重合開始剤と併用される。両者の併用割合は特に限定されるものではないが、ラジカルキャッピング剤1モルに対し、ラジカル開始剤0.1~10モルが適当である。
【0155】
上記ラジカル重合開始剤は、合成される樹脂の重量平均分子量(Mw)に応じて適宜選択されるが、共重合体を合成する際に使用する単量体中の(メタ)アクリロイル基1モルに対し、0.0001~1モル、好ましくは0.001~0.1モルの割合で用いられる。
【0156】
ラジカル重合開始剤としては、公知のものを使用できるが、重合温度条件下でラジカルを発生しうる化合物であれば特に制限はない。例示するならばジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、α、α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3などのジアルキルパーオキサイド類;
t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどのパーオキシエステル類;
シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;
2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレート、などのパーオキシケタール類;
クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルシクロヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;
ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;
ビス(t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類などの有機過酸化物、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0157】
又、ラジカル重合開始剤としてアゾ化合物も使用することもできる。例示するならば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)などの2,2’-アゾビスブチロニトリル類、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)などの2,2’-アゾビスバレロニトリル類、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)などの2,2’-アゾビスプロピオニトリル類、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)などの1,1’-アゾビス-1-アルカンニトリル類などが使用できる。
【0158】
更に、Macromolecules 1995,28,2993で報告されているよう
に、ラジカルキャッピング剤と前記のラジカル重合開始剤とを併用する代わりに、下記化合物(N-1~4)で表されるアルコキシアミン化合物を開始剤として用いても構わない。
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
アクリル系ブロック共重合体を製造する工程では、無溶剤又は場合によって溶剤を使用することができる。溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いてもよい。
【0164】
使用する溶剤量はAブロックとBブロックとからなる単量体100質量部に対して、0~300質量部が好ましく、更には0~100質量部が好ましい。使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま、組成物の製品の一部として使用することもできる。
【0165】
アクリル系ブロック共重合体固形分に対する、Aブロックの含有率は1~99質量%含有することが好ましく、さらに20~50質量%含有することが好ましく、特に20~30質量%含有することが好ましい。Aブロックが20~30質量%含有することで、残りの70~80質量%がBブロックを構成する。その為、Bブロックが分散媒である溶剤に親和することにより、顔料を分散媒中に安定に存在させることができる。
<その他の分散剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、その他の分散剤を併用してもよい。
その他の分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0166】
<バインダ樹脂(C)>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物に用いるバインダ樹脂(C)は、着色剤を分散、染色、又は浸透させるものであって、熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、アルカリ現像型着色レジスト材の形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
【0167】
特に側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂をアルカリ現像型着色レジスト材に用いることで、活性エネルギー線で露光し塗膜を形成する際に、樹脂が3次元架橋されることで着色剤が固定され、耐熱性が良好になり、着色剤の熱による退色(分光特性の悪化)を抑制できる。また、現像工程においても着色剤成分の凝集・析出を抑制する効果もある。
【0168】
バインダ樹脂(C)としては、可視光領域の400~700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。
【0169】
バインダ樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、2,000~80,000の範囲が好ましく、より好ましくは3,000~40,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は3000~40,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0170】
バインダ樹脂(C)をカラーフィルタ用着色組成物として使用する場合には、着色剤吸着基及び現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシ基、着色剤担体及び溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、着色剤の分散性、浸透性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20~300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である場合がある。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる場合がある。
【0171】
バインダ樹脂(C)は、成膜性及び諸耐性が良好なことから、着色剤の全質量100質量部に対し、20質量部以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、1000質量部以下の量で用いることが好ましい。
【0172】
バインダ樹脂(C)に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。中でもアクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0173】
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したビニル系アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0174】
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(i)や(ii)の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
【0175】
[方法(i)]
方法(i)としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシ基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合及びカルボキシ基を導入する方法がある。
【0176】
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0177】
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
【0178】
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシ基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。
【0179】
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシ基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合及びカルボキシ基を導入する方法がある。
【0180】
[方法(ii)]
方法(ii)としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシ基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0181】
水酸基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ-バレロラクトン、(ポリ)ε-カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12-ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0182】
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0183】
<熱硬化性化合物>
本発明の着色組成物は、熱硬化性化合物を含有することができる。熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物及び/又は樹脂、ベンゾグアナミン化合物及び/又は樹脂、ロジン変性マレイン酸化合物及び/又は樹脂、ロジン変性フマル酸化合物及び/又は樹脂、メラミン化合物及び/又は樹脂、尿素化合物及び/又は樹脂、フェノール化合物及び/又は樹脂、が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明に熱硬化性化合物を用いる場合、耐熱性、耐溶剤性などの観点から、エポキシ化合物が好ましい。エポキシ化合物としては、エポキシ基を有していれば特に制限はなく、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよいが、とくに多官能のエポキシ化合物であることが高い架橋密度の塗膜が得られるために好ましい。
【0184】
エポキシ化合物の好ましい重量平均分子量としては、200以上100,000以下が好ましい。より好ましい分子量は300以上10,000以下であり、さらに好ましくは500以上5000以下である。
【0185】
エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物などがいずれも使用できる。好ましくは、ノボラック型エポキシ化合物、および脂環式エポキシ化合物であり、特に好ましくは脂環式エポキシ化合物である。官能基数は、2官能以上であることが好ましく、より好ましくは、熱架橋性に優れるため、3官能以上である。
【0186】
2官能のエポキシ化合物としては、DIC製のEPICLON830、840、850、860、1050、2050、3050、4050、7050、HM-091、101、ナガセケムテックス製デナコールEX-211、212、252、711、721などが挙げられる。
【0187】
3官能以上の多官能エポキシ化合物としては、ノボラック型エポキシ化合物、高分子脂環族主鎖エポキシ化合物であるEHPE3150(ダイセル化学工業社製)などが挙げられる。ノボラック型エポキシ化合物としては、具体的には、EOCN-1020、EOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、EOCN-4500、EOCN-4600、XD-1000、XD-1000-L、XD-1000-2L、NC-3000、NC-3000-H(以上、日本化薬社製)、YDPN-638、YDCN-700-2、YDCN-700-3、YDCN-700-5、YDCN-700-7、YDCN-700-10、YDCN-704、YDCN-704A(以上、新日鐵化学社製)、N-660、N-665、N-670、N-673、N-680、N-690、N-695、N-665-EXP、N-672-EXP、N-655-EXP-S、N-662-EXP-S(以上、DIC社製)などが挙げられる。また、三官能のエポキシ化合物であるテクモアVG3101(プリンテック社製)、四官能のエポキシ化合物であるTETRAD-C、TETRAD-X(以上、三菱ガス化学社製)なども挙げられる。また、ナガセケムテックス製デナコールEX-313、314、321、411、421、512、521、611、612、614、614B、622なども挙げられる。また、三菱化学製JER1031S、1302H60、604、630、630LSDなども挙げられる。
【0188】
<有機溶剤>
本発明の着色組成物には、着色剤を充分に着色剤担体中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布して着色膜を形成することを容易にするために有機溶剤を含有させる。有機溶剤は、着色組成物の塗布性が良好であることに加え、着色組成物各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
【0189】
有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、o-キシレン、o-ジエチルベンゼン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0190】
中でも、着色剤の分散性、浸透性、及び着色組成物の塗布性が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール、3-メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
【0191】
また有機溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚の着色膜を形成できることから、着色剤100質量部に対して、500~4000質量部の量で用いることが好ましい。
【0192】
<光重合性単量体>
本発明の着色組成物は光重合性単量体を含有してもよい。光重合性単量体としては、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
【0193】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらの光重合性化合物は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0194】
光重合性単量体の配合量は、着色剤の全質量を基準(100質量部)として、5~400質量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から10~300質量部であることがより好ましい。
【0195】
<光重合開始剤>
本発明の着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成するために、光重合開始剤を含有してもよい。加えて、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物の形態で調製することができる。
【0196】
光重合開始剤としては、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、又は2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はO-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4’-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0197】
光重合開始剤の含有量は、着色剤100質量部に対し、2~200質量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から3~150質量部であることがより好ましい。
【0198】
<増感剤>
さらに、本発明の着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、ビイミダゾール誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
これらの増感剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0199】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0200】
増感剤の含有量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100質量部に対し、3~60質量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5~50質量部であることがより好ましい。
【0201】
<チオール化合物>
本発明の着色組成物は、連鎖移動剤としての働きをするチオール化合物を含有することができる。
チオール化合物としては、チオール基を2個以上有する多官能チオール化合物が良く、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオール化合物は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0202】
チオール化合物の含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の全固形分の質量を基準(100質量%)として好ましくは0.1~30質量%であり、より好ましくは0.1~20質量%である。チオール化合物の含有量が0.1質量%未満ではチオール化合物の添加効果が不充分であり、30質量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する場合がある。
【0203】
<酸化防止剤>
本発明の着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、着色組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
【0204】
本発明における「酸化防止剤」とは、紫外線吸収機能、ラジカル捕捉機能、又は、過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、及びトリアジン系の化合物があげられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。
【0205】
これらの酸化防止剤の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤又はイオウ系酸化防止剤が挙げられる。また、より好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、又はリン系酸化防止剤である。
【0206】
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0207】
酸化防止剤の含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の固形分質量を基準(100質量%)として、0.1~5.0質量%の場合、明度、感度が良好であるためより好ましい。
【0208】
<アミン系化合物>
また、本発明の着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。
このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、及びN,N-ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0209】
<レベリング剤>
本発明の本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することができる。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ-2122、ビックケミー社製BYK-333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK-310、BYK-370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全質量を基準(100質量%)として、0.003~0.5質量%用いることが好ましい。
【0210】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0211】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ-2110、FZ-2122、FZ-2130、FZ-2166、FZ-2191、FZ-2203、FZ-2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0212】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0213】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのポリオキシアルキレン系の界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0214】
<硬化剤、硬化促進剤>
また本発明の着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。上記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂100質量部に対し、0.01~15質量部が好ましい。
【0215】
<その他の添加剤成分>
本発明の着色組成物には、経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0216】
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸及びそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤100質量部に対し、0.1~10質量部の量で用いることができる。
【0217】
密着向上剤としては、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の着色剤100質量部に対して、0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部の量で用いることができる。
【0218】
<着色組成物の製造方法>
本発明の着色組成物は、着色剤を、樹脂などの着色剤担体及び/又は溶剤中に、好ましくは色素誘導体や樹脂型分散剤などの分散助剤と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(着色剤分散体)。このとき、2種以上の着色剤等を同時に着色剤担体に分散しても良いし、別々に着色材担体に分散したものを混合しても良い。染料等、着色剤の溶解性が高い場合、具体的には使用する溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。
【0219】
また、感光性の着色組成物(レジスト材)として用いる場合には、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物は、前記着色剤分散体と、光重合性単量体及び/又は光重合開始剤と、必要に応じて、溶剤、その他の分散助剤、及び添加剤等を混合して調整することができる。光重合開始剤は、着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した着色組成物に後から加えてもよい。
【0220】
<分散助剤>
着色剤を着色剤担体中に分散する際に、適宜、色素誘導体(前記の顔料分散剤)、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を含有してもよい。分散助剤は、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、明度及び粘度安定性が良好になる。色素誘導体と樹脂型分散剤に関しては、前記に説明した通りである。
【0221】
<界面活性剤>
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0222】
界面活性剤を添加する場合には、着色剤100質量部に対し、好ましくは0.1~55質量部、さらに好ましくは0.1~45質量部である。界面活性剤の配合量が、0.1質量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、含有量が55質量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼす場合がある。
【0223】
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0224】
<着色組成物中の水分量>
本発明の着色組成物は、水の含有量が着色組成物全量に対して2質量%以下であることが好ましい。
【0225】
水の含有量が上記範囲内であると、着色組成物を経時保存した後でも分散安定性・感度に優れる。
【0226】
水の含有量は、着色組成物全量に対して1.8質量%以下が好ましく、1.6質量%以下がより好ましい。この範囲の十分少ない水分量であれば、経時保存後でも着色組成物の分散安定性・感度に問題が起こりにくい。
【0227】
水の含有量を制御する方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いることができる。例えば、乾燥した不活性ガスを吹き込みながら、着色組成物を製造する方法や、製造後、モレキュラーシーブスを投入し脱水する方法等が挙げられる。その中でも、乾燥した不活性ガスを吹き込みながら、製造する方法が好ましい。
【0228】
水の含有量は、カールフィッシャー法などの公知の方法により測定することができる。
【0229】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントを具備する。また、カラーフィルタは、さらにマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、および黄色フィルタセグメントを具備するものであってもよい。本発明のカラーフィルタは、赤色フィルタセグメントのうち少なくとも1つが、本発明の顔料組成物中から形成されてなるものである。
【0230】
<カラーフィルタの製造方法>
カラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度及び平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0231】
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して露光(放射線の照射)を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0232】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、露光を行うこともできる。
【0233】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【0234】
透明基板あるいは反射基板上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、上記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
【0235】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、本発明のカラーフィルタを備える。本発明のカラーフィルタをシール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、カラー液晶表示装置が製造される。このカラー液晶表示装置は、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【0236】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備える。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の固体撮像素子用のカラーフィルタが備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
基板上に、固体撮像素子(CCD センサ、CMOSセンサ、有機CMOSセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダ イオード及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光 部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタを有する構成である。
更に、前記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
なお、有機CMOSセンサは、光電変換層として薄膜のパンクロ感光性有機光電変換膜とCMOS信号読み出し基板を含んで構成され、光を捕捉しそれを電気信号に変換する役割を有機材料が担い、電気信号を外部に取り出す役割を無機材料が担う2層構成のハイブリッド構造であり、原理的には入射光に対して開口率を 100%にすることができる。有機光電変換膜は構造フリーの連続膜でCMOS信号読みだし基板上に敷設できるので、高価な微細加工プロセスを必要とせず、 フィルタセグメント微細化に適している。
カラーフィルタセグメントの配置は特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
【0237】
また、本発明のカラーフィルタは、カラー液晶表示装置以外にカラー撮像素子、有機EL表示装置、電子ペーパー等の製造に使用することもできる。
【実施例0238】
以下に、実施例により本発明を説明する。なお、実施例中の「部」及び「%」とは、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0239】
(塩基性基を有する樹脂型分散剤の平均分子量)
塩基性基を有する樹脂型分散剤の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)は、装置としてHLC-8320GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとして SUPER-AW3000を使用し、溶離液として30mMトリエチルアミン及び10mM LiBrのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を用いて測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)である。
【0240】
(塩基性基を有する樹脂型分散剤のアミン価)
塩基性基を有する樹脂型分散剤のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
【0241】
(バインダ樹脂の平均分子量)
バインダ樹脂の数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてTHF溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1wt%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量はいずれもポリスチレン換算値である。
【0242】
(バインダ樹脂の酸価)
バインダ樹脂の酸価は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠し、測定した酸価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
【0243】
続いて、実施例及び比較例で用いた樹脂溶液、樹脂型分散剤溶液、色素誘導体、顔料組成物の製造方法について説明する。
【0244】
<塩基性基を有する樹脂型分散剤(B)溶液の製造>
(塩基性基を有する樹脂型分散剤(B-1)の製造例:AB型ブロックポリマー)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート60部、nーブチルメタクリレート20部、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、開始剤としてブロモイソ酪酸エチル9.3部、触媒として塩化第一銅5.6部、メトキシプロピルアセテート133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。次に、この反応装置に、メトキシプロピルアセテート61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート20部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジメチルアミノエチルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。GPC測定の結果、重合体のMw9900、分子量分布Mw/Mnが1.2であり、反応転化率は98.5%であった。このようにして、固形分当たりのアミン価が71.4mgKOH/gのアクリル系ブロック共重合体(B-1)を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が50質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加し塩基性基を有する樹脂型分散剤(B-1)溶液を調製した。
【0245】
(塩基性基を有する樹脂型分散剤(B-2~B-8、B-10)の製造例:AB型ブロックポリマー)
表1に記載した原料と仕込み量を用いた以外はアクリル系ブロック共重合体(B-1)と同様にして合成を行い、塩基性基を有する樹脂型分散剤(B-2)~(B-8)、(B-10)の溶液を得た。
【0246】
(塩基性基を有する樹脂型分散剤(B-9)の製造例:BAB型ブロックポリマー)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート20部、nーブチルメタクリレート15部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、メトキシプロピルアセテート133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。3時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、メトキシプロピルアセテート30部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート・25部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジメチルアミノエチルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、メトキシプロピルアセテート31部、第三ブロック(Bブロック)、メチルメタクリレート25部、nーブチルメタクリレート15部、を仕込み窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を継続した。第三ブロック(Bブロック)モノマー投入から4時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した反応溶液を室温まで冷却し重合を停止した。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成したアクリル系ブロック共重合体溶液に不揮発分が50質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して塩基性基を有する樹脂型分散剤(B-9)溶液を調製した。
【0247】
それぞれの塩基性基を有する樹脂型分散剤のアミン価、重量平均分子量は表9に記載の通りであった。
【0248】
【表9】
MMA;メチルメタクリレート
nBA;n-ブチルアクリレート
HEMA;ヒドロキシエチルメタクリレート
DM;ジメチルアミノエチルメタクリレート
DE;ジエチルアミノエチルメタアクリレート
LA-82;1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート
DMC;メタクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド
DMAPMA;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド
【0249】
(塩基性基を有する樹脂型分散剤(B-11)の製造例:ランダムポリマー)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にメトキシプロピルアセテート70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりジメチルアミノエチルメタクリレート20部、メチルメタクリレート60部、nーブチルメタクリレート20部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量(Mw)18000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が50質量%になるようにプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを添加して塩基性基を有する樹脂型分散剤(B-11)溶液を調製した。
【0250】
<酸性樹脂型分散剤(F-1)溶液の調製)
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート100部、i-ブチルメタクリレート70部、ベンジルメタクリレート20部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50部、シクロヘキサノン50部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、固形分測定で固形分40%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて希釈し、酸価77、重量平均分子量8,500のカルボン酸系樹脂型分散剤(F-1)の溶液を得た。
【0251】
<バインダ樹脂(C)溶液の製造>
(バインダ樹脂溶液1の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりスチレン16.2部、グリシジルメタクリレート35.5部、ジシクロペンタニルメタクリレート25.0部、メタクリル酸メチル16部及びこの段階における前駆体の反応に要する触媒としてアゾビスイソブチロニトリル1.0部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸17.0部及びこの段階における前駆体の反応に要する触媒としてトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応を行い、重量平均分子量が約12000(GPCによる測定)の樹脂溶液を得た。投入したアクリル酸はグリシジルメタクリレート構成単位のエポキシ基末端にエステル結合するので樹脂構造中にカルボキシ基を生じさせない。さらにテトラヒドロ無水フタル酸30.4部及びこの段階における前駆体の反応に要する触媒として、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させた。加えたテトラヒドロ無水フタル酸は無水カルボン酸部位が開裂して生じた2個のカルボキシ基の一方が樹脂構造中の水酸基にエステル結合し、他方がカルボキシ基末端を生じさせる。不揮発分が20%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して樹脂バインダ樹脂溶液1を得た。
【0252】
<酸性置換基を有する顔料分散剤(D)の製造例>
(スルホ基を有するキノフタロン化合物(D1)の製造)
特開2015-172732号公報の実施例に記載のキノフタロン化合物(QL-c-1)と同様の製造方法で、酸性置換基を有する顔料分散剤(D)として、下記式(14)で表されるスルホ基を有するキノフタロン化合物(D1)を得た。
【0253】
【0254】
(スルホ基を有するキノフタロン化合物(D2)の製造)
キノフタロン化合物であるC.I.ピグメントイエロー138(BASF社製「パリオトールイエロー K0960-HD」)30部を101%硫酸300部中に溶解し、70℃にて8時間攪拌し、スルホン化反応を行った。反応の終点は、硫酸溶液の分光スペクトルを測定し、スペクトルの変化が見られなくなる点とした。次いで、この反応溶液を氷水3000部中に注入し、析出物を濾別、水洗後、80℃で乾燥し、酸性置換基を有する顔料分散剤(D)として、下記式(15)で表されるスルホ基を有するキノフタロン化合物(D2)を得た。
【0255】
【0256】
(スルホ基のアルミニウム塩を有するキノフタロン化合物(D3)の製造)
特許第4585781号公報に記載の合成方法に従い、酸性置換基を有する顔料分散剤(D)として、下記式(16)で表されるスルホ基のアルミニウム塩を有するキノフタロン化合物(D3)を得た。
【0257】
【0258】
(スルホ基を有するイソインドリン化合物(D4)の製造)
イソインドリン化合物であるC.I.ピグメントイエロー185(BASF社製「パリオゲンイエロー D1155」)30部を101%硫酸300部中に溶解し、70℃ にて8時間攪拌し、スルホン化反応を行った。反応の終点は、硫酸溶液の分光スペクトルを測定し、スペクトルの変化が見られなくなる点とした。次いで、この反応溶液を氷水3000部中に注入し、析出物を濾別、水洗後、80℃で乾燥し、酸性置換基を有する顔料分散剤(D)として、下記式(17)で表されるスルホ基を有するイソインドリン化合物(D4)31部を得た。
【0259】
【0260】
<ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A)の製造方法>
(ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A5-1)の製造)
還流管を付けたステンレス製反応容器に、窒素雰囲気下、モレキュラシーブで脱水したtert-アミルアルコール200部、およびナトリウム-tert-アミルアルコキシド140部を加え、攪拌しながら100℃に加熱し、アルコラート溶液を調製した。一方で、ガラス製フラスコに、コハク酸ジイソプロピル88部、4-プロピルベンゾニトリル122.5部を加え、攪拌しながら90℃に加熱して溶解させ、これらの混合物の溶液を調製した。この混合物の加熱溶液を、100℃に加熱した上記アルコラート溶液中に、激しく攪拌しながら、2時間かけて一定の速度でゆっくり滴下した。滴下終了後、90℃にて2時間、加熱攪拌を継続し、ジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩を得た。さらに、ガラス製ジャケット付き反応容器に、メタノール600部、水600部、及び酢酸304部を加え、-10℃に冷却した。この冷却した混合物を、高速攪拌ディスパーサーを用いて、直径8cmのシェアディスクを4000rpmで回転させながら、この中に、75℃まで冷却した先に得られたジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩溶液を、少量ずつ添加した。この際、メタノール、酢酸、および水からなる混合物の温度が常に-5℃以下の温度を保つように、冷却しながら、かつ、75℃のジケトピロロピロール系化合物のアルカリ金属塩の添加する速度を調整しながら、およそ120分間にわたって少量ずつ添加した。アルカリ金属塩添加後、赤色の結晶が析出し、赤色の懸濁液が生成した。続いて、得られた赤色の懸濁液を5℃にて限外濾過装置で洗浄後、濾別し赤色ペーストを得た。このペーストを0℃に冷却したメタノール3500部にて再分散し、メタノール濃度約90%の懸濁液とし、5℃にて3時間攪拌し、結晶転移を伴う粒子整粒および洗浄を行った。続いて、限外濾過機で濾別し、得られたジケトピロロピロール系化合物の水ペーストを、80℃にて24時間乾燥させ、粉砕することにより下記構造で表されるジケトピロロピロール系顔料分散剤(A5-1)を129.6部得た。
【0261】
ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A5-1):
【化34】
【0262】
(ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A5-2~A5-12)の製造)
4-プロピルベンゾニトリル122.5部を表10記載のニトリルに変更した以外は、ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A5-1)の製造と同様に行い、ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A5-2~A5-12)を得た。
【0263】
【0264】
(ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A6-1)の製造)
102%発煙硫酸300部中に、C.I.ピグメントレッド272(BASF社「IrgazinFlame Red K3800」)30部を室温で仕込んだ。室温で3時間攪拌した後、1500部の冷メチルエチルケトンに30分かけて滴下した。沈殿したジスルホン酸体をろ過し、3000部の氷メチルエチルケトンで洗浄し、80℃で乾燥させジスルホン酸体を得た。N,N-ジメチルホルムアミド100部にジスルホン酸体10部を投入し、塩化チオニルを10部ゆっくりと滴下した。反応溶液を60度に加熱し、6時間攪拌させた。反応液を氷250部と水250部に注入させ、沈殿物をろ過、500部の氷水で3回洗浄し、クロロスルホニルジケトピロロピロールのプレスケーキを得た。N,N-ジメチルホルムアミド300部とプロピルアミン(東京化成工業株式会社製)5.6部中にこのプレスケーキを投入し、3時間攪拌した。この混合液をメタノール1500部中に注入し、
析出物をろ過、メタノール、水で洗浄し、80℃ で乾燥させた。これにより下記構造で表されるジケトピロロピロール系顔料分散剤(A6-1)を10.8部得た。
【0265】
ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A6-1):
【化35】
【0266】
(ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A6-2~A6-31)、(A7-1、A7-2)、(A8-1、A8-2)の合成)
C.I.ピグメントレッド272とプロピルアミン5.6部を表11記載のジケトピロロピロール顔料とアミンに変更した以外はジケトピロロピロール系顔料分散剤(6-1)と同様の方法によりジケトピロロピロール系顔料分散剤(A6-2~A6-31)、(A7-1、A7-2)、(A8-1、A8-2)を得た。
【0267】
また、ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A6-2~A6-31)、(A7-1、A7-2)、においては、下記のジケトピロロピロール顔料(1)~(5)を用い、顔料分散剤((A6-2~A6-31)、(A7-1、A7-2)、)を得た。
【0268】
【0269】
【0270】
【0271】
【0272】
【0273】
【表11】
C.I.ピグメントレッド254:CINIC社「Cinilex DPP Red ST」
C.I.ピグメントレッド255:杭州イプシロンケミカル社「DPP Scarlet 5G」
C.I.ピグメントレッド264:CINIC社「Cinilex DPP Rubine SR6T」
C.I.ピグメントレッド291:CINIC社「Cinilex DPP Red MT-CF」
C.I.ピグメントオレンジ71:杭州イプシロンケミカル社「DPP Orange TR」
C.I.ピグメントオレンジ73:CINIC社「Cinilex DPP Orange SJ1C」
【0274】
(ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A12-1)の製造)
102%発煙硫酸300部中に、C.I.ピグメントオレンジ73(CINIC社 「Cinilex DPP Orange SJ1C」)30部を室温で仕込んだ。室温で3時間攪拌した後、1500部の冷メチルエチルケトン に30分かけて滴下した。沈殿物をろ過し、3000部の氷メチルエチルケトンで洗浄し、80℃で乾燥させ、ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A12-1)を、10.8部得た。高速液体クロマトグラフィーにより純度を測定した結果、1分子当たり2個スルホ基が導入されていることが確認され、純度は98%であった。
【0275】
<微細化赤色顔料の製造>
(微細化赤色顔料(PR254-1)の調製)
ジケトピロロピロール赤色顔料(C.I .ピグメントレッド254、BASF社「IrgazinRED L3630」)300部、塩化ナトリウム1500部、およびジエチレングリコール150部の混合物を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所)を使用し、60℃で6時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とした。ろ過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除去後、乾燥、粉砕して290部の微細化赤色顔料(PR254-1)を得た。
【0276】
(微細化赤色顔料(PR291-1)の調製)
ジケトピロロピロール赤色顔料(C.I .ピグメントレッド291、CINIC社 「Cinilex DPP MT-CF」)300部、塩化ナトリウム1500部、およびジエチレングリコール150部の混合物を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所)を使用し、60℃で6時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とした。ろ過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除去後、乾燥、粉砕して290部の微細化赤色顔料(PR291-1)を得た。
【0277】
(微細化赤色顔料(PR272-1)の調製)
ジケトピロロピロール赤色顔料(C .I .ピグメントレッド272、BASF社「Irgazin REDK3800」)300部、塩化ナトリウム1500部、およびジエチレングリコール150部の混合物を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所)を使用し、60℃で6時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とした。ろ過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除去後、乾燥、粉砕して290部の微細化赤色顔料(PR272-1)を得た。
【0278】
<その他の色の微細化顔料の製造方法>
(微細化緑色顔料の製造:PG58-1)
フタロシアニン緑色顔料C.I.ピグメントグリーン58(DIC社製「FASTOGEN GREENA110)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の緑色微細化顔料・PG58-1を得た。
【0279】
(微細化黄色顔料の製造:PY138-1)
キノフタロン黄色顔料C.I.ピグメントイエロー138(BASF社製「パリオトールイエロー K0960-HD」)500部、塩化ナトリウム500部、およびジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の微細化黄色顔料・Y138-1を得た。
【0280】
(微細化青色顔料の作製:PB15:6-1)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6(トーヨーカラー株式会社製「LIONOL BLUE ES」、比表面積60m2/g)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の微細化青色顔料PB15:6-1を得た。
【0281】
(微細化紫色顔料の作製:PV23-1)
ジオキサジン紫色顔料C.I.ピグメントバイオレット23(トーヨーカラー株式会社製「LIONOGEN VIOLET RL」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の微細化紫色顔料・PV23-1を得た。
【0282】
<着色組成物の製造方法>
続いて、着色組成物を製造し、その評価を行った。
[実施例1]
(着色組成物(RP-1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20質量%の着色組成物(RP-1)を作製した。
微細化赤色顔料(PR254-1) : 10.8部
ジケトピロロピロール系顔料分散剤(A5-1) : 0.12部
スルホ基を有するキノフタロン化合物(D-1) : 1.08部
バインダ樹脂溶液1 : 25.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc) : 57.0部
塩基性基を有する樹脂型分散剤(B-1)溶液 : 6.0部
【0283】
[実施例2~77、比較例1~5]
(着色組成物(RP-2~82))
以下、微細化赤色顔料、顔料分散剤、樹脂型分散剤を表12に示す組成に変更した以外は着色組成物(RP-1)と同様にして、着色組成物(RP-2~82)を作製した。
【表12】
【0284】
<その他の着色組成物の作製方法>
(PR177着色組成物(RP-83)の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20質量%の着色組成物(RP-83)を作製した。
C.I.ピグメントレッド177(シニック社製「シニレックスレッド SR3C)
: 12.0部
バインダ樹脂溶液1 : 40.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc): 48.0部
【0285】
「シニック社製「シニレックスレッド SR3C」を、表13に示す微細化顔料に変更した以外は(RP-83)と同様にして、着色組成物(GP-1)~(VP-1)を作製した。
【表13】
【0286】
<着色組成物の評価>
着色組成物(RP-1)~(RP-82)について、下記評価を行った。結果を表14に示す。
【0287】
(塗膜のコントラスト比(CR)評価)
液晶ディスプレー用バックライトユニットから出た光は、偏光板を通過して偏光され、ガラス基板上に塗布された着色組成物の塗膜を通過し、もう一方の偏光板に到達する。この際、偏光板と偏光板の偏光面が平行であれば、光は偏光板を透過するが、偏光面が直交している場合には光は偏光板により遮断される。しかし、偏光板によって偏光された光が着色組成物の塗膜を通過する際に、着色剤粒子によって散乱等が起こり、偏光面の一部にずれが生じると、偏光板が平行のときは透過する光量が減り、偏光板が直交のときは一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行の際の輝度と、直交の際の輝度との比を、コントラスト比として算出した。
(コントラスト比)=(平行のときの輝度)/(直交のときの輝度)
従って、塗膜中の着色剤により散乱が起こると、平行のときの輝度が低下し、かつ直交のときの輝度が増加するため、コントラスト比が低くなる。
【0288】
なお、輝度計としては色彩輝度計(トプコン社製「BM-5A」)、偏光板としては偏光板(日東電工社製「NPF-G1220DUN」)を用いた。測定に際しては、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色マスクを介して測定した。
【0289】
着色組成物をそれぞれ、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分間乾燥し、ついで230℃で60分間加熱、放冷することで塗膜基板を作製した。得られた塗布基板のコントラスト比(CR)を測定した。作製した塗膜基板は、230℃での熱処理後で、膜厚が1.5μmとなるよう調整した。コントラスト比は、下記基準に従って判定した。
◎:3000以上:極めて良好
○:2000以上~3000未満:良好
△:1000以上~2000未満:実用可能
×:1000未満:不良
【0290】
(保存安定性評価)
着色組成物の粘度を、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃における初期粘度を測定した。別途、当該顔料分散体25gを、ガラス容器中密閉状態で、40℃、24時間静置した後、上記と同様の方法で粘度を測定し、経時粘度とした。粘度変化率=(初期粘度-経時粘度)/初期粘度×100(%)により下記基準で保存安定性を評価した。評価基準を以下に示す。
◎(実用上極めて良好):粘度変化率が±5%以内で、沈降物を生じなかった場合。
○(実用上良好):粘度変化率が±10%以内で、沈降物を生じなかった場合。
△(実用可能):粘度変化率が±10%~20%で、沈降物を生じなかった場合。
×(実用不可):粘度変化率が±20%を超える場合、又は粘度変化率が±20%以内であっても沈降物を生じていた場合。
【0291】
【0292】
表14に示す通り、本発明の着色組成物は、コントラスト比、保存安定性に優れているが。比較例の着色組成物では、コントラスト比、保存安定性の両立は困難であった。
【0293】
<感光性着色組成物の製造>
[実施例78]
(赤色感光性着色組成物(RR-1))
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、孔径1μmのフィルタで濾過して、赤色感光性着色組成物(RR-1)を作製した。
着色組成物(RP-1) :25.0部
着色組成物(RP-83) :25.0部
バインダ樹脂溶液1 : 7.5部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM-402」) : 2.0部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアーOXE-02」): 1.2部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB-F」) : 0.3部
シクロヘキサノン :39.0部
【0294】
[実施例79~154、比較例6~10]
(赤色感光性着色組成物(RR-2~82))
表15に示す成分にそれぞれ変更した以外は、実施例78と同様にして、それぞれ赤色感光性着色組成物(RR-2)~(RR-82)を作製した。
【0295】
<感光性着色組成物の評価>
得られた赤色感光性着色組成物について、下記評価を行った。結果を表15に示す。
【0296】
(コントラストの評価)
得られた赤色感光性着色組成物をそれぞれ、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分間乾燥し、ついで230℃で60分間加熱、放冷することで塗膜基板を作製した。得られた塗布基板のコントラスト比(CR)を測定した。作製した塗膜基板は、230℃での熱処理後で、膜厚が1.5μmとなるよう調整した。コントラスト比は、下記基準に従って判定した。
◎:3000以上:極めて良好
○:2000以上~3000未満:良好
△:1000以上~2000未満:実用可能
×:1000未満:不良
【0297】
(明度の評価)
得られた赤色感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、クリーンオーブン中80℃で15分間加温して溶剤を除去し塗膜を得た。続いて超高圧水銀ランプを用いて、積算光量100mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行い、塗膜基板を得た。ついでクリーンオーブン中230℃で30分間加熱、放冷後、得られた塗膜基板の明度Y(C)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」)を用い測定した。尚、赤色塗膜基板は230℃での熱処理後で、C光源で(x=0.660、y=0.324)の色度に合わせた。アルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム1.5質量%炭酸水素ナトリウム0.5質量% 陰イオン系界面活性剤(花王社製「ペリレックスNBL」)8.0質量%及び水90質量%からなるものを用いた。明度の評価は下記の4段階で評価した。
◎:18.5以上(極めて良好)
○:18.3以上、18.5未満(良好)
△:18.1以上、18.3未満(不良)
×:18.1未満(極めて不良)
【0298】
(結晶析出物評価)
感光性着色組成物(RR-1~RR-82)を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、クリーンオーブン中70℃で15分間加温して溶剤を除去し乾燥塗膜を得た。この時、乾燥塗膜が2.5μmになるように塗布した。続いて、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量100mJ/cm2で100μm幅(ピッチ200μm)ストライプパターンのフォトマスクを介して紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行い、ストライプ状の塗膜基板を得た。続けて230℃で60分間の加熱処理行った後、さらに240℃で60分間、280℃で60分間の加熱処理を行った。加熱処理後の基板の塗膜表面を光学顕微鏡にて観察し、結晶析出有無を下記4段階の基準に従って判定した。
◎:230℃60分間加熱処理後、さらなる240℃60分間加熱処理後、およびさらなる280℃60分間加熱処理でも結晶析出なし。
○ ・・・230℃60分間加熱処理後、およびさらなる240℃60分間加熱処理でも結晶析出ないが、さらなる280℃60分間加熱処理で結晶析出あり。
△ ・・・230℃60分間加熱処理後では結晶析出ないが、さらなる240℃60分間加熱処理で結晶析出あり。
× ・・・230℃60分間加熱処理後で結晶析出あり。
【0299】
(耐溶剤性の評価)
得られた赤色感光性着色組成物をスピンコート法により、予めブラックマトリックスが形成されているガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で20分間乾燥させた。次いで、この基板を室温に冷却した後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外光を露光した。その後、この基板を23℃の0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液にて30秒間スプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥した。さらに、クリーンオーブン中で、230℃で30分間加熱処理を行い、基板上にストライプ状の着色画素層を形成した。作製した着色画素層は、230℃での熱処理後で、膜厚が2.0μmとなるよう調整した。得られたストライプ状の着色画素について、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」)を用い、[L* (1)、a* (1)、b* (1)]を測定した。その後、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)又はメタノール(MeOH)に15分間浸漬し、浸漬後で色度[L* (2)、a* (2)、b* (2)]を測定し、色差ΔE*abを求めた。色差ΔE*abの算出方法、耐溶剤性の評価基準はカラーフィルタ用着色組成物の耐熱性評価の時と同様である。
【0300】
【0301】
表15より、本発明の着色組成物を含む感光性着色組成物は、耐溶剤性、結晶析出に優れた結果が得られた。比較例の感光性着色組成物は、耐溶剤性や結晶析出が悪い結果であった。塩基性樹脂型分散剤は、ブロック共重合体を用いたほうが良い結果であり、ジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド由来の繰り返し単位を含むブロック共重合体を用いた系が良好であった。
【0302】
<カラーフィルタの作製>
本発明の着色組成物を含む赤色感光性着色組成物を使用し、カラーフィルタを作製した。使用した緑色感光性着色組成物及び青色感光性着色組成物は、以下のようにして調製した。
【0303】
(緑色感光性着色組成物(GR-1))
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、孔径1μmのフィルタで濾過して、緑色感光性着色組成物(GR-1)を作製した。
PG58・着色組成物(GP-1) :35.0部
PY138・着色組成物(YP-1) :15.0部
バインダ樹脂溶液1 : 7.5部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM-402」) : 2.0部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB-F」) : 0.3部
シクロヘキサノン :39.0部
【0304】
(青色感光性着色組成物(BR-1))
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、孔径1μmのフィルタで濾過して、青色感光性着色組成物(BR-1)を作製した。
PB15:6・着色組成物(BP-1) :45.0部
PV23・着色組成物(VP-1) : 5.0部
バインダ樹脂溶液1 : 7.5部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM-402」) : 2.0部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB-F」) : 0.3部
シクロヘキサノン :39.0部
【0305】
[実施例155]
赤色感光性着色組成物(RR-1)をスピンコート法により、予めブラックマトリックスが形成されているガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で20分間乾燥させた。次いで、この基板を室温に冷却した後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外線を露光した。
その後、この基板を23℃の0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液にて30秒間スプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥した。さらに、クリーンオーブン中で、230℃で30分間加熱処理を行い、基板上にストライプ状の着色画素層を形成した。
次に、緑色感光性着色組成物(GR-1)を使用し、赤色着色画素層と同様にして緑色着色画素層を形成した。さらに、同様にして青色感光性着色組成物(BR-1)を使用して青色着色画素層を形成し、カラーフィルタ(CF-1)を得た。各着色画素層の形成膜厚はいずれも2.0μmであった。
【0306】
得られたカラーフィルタについて、画素上に異物の有無について、確認を行った。測定方法は、着色組成物の評価の場合と同様である。本発明の着色組成物を使用したカラーフィルタは異物がないことが確認された。以上のことから、本発明の着色組成物の効果が立証された。
【0307】
<固体撮像素子用カラーフィルタの作製>
6インチシリコンウエハ上に、平坦化膜用レジスト液(HL-18s:新日鐵化学社製)をスピンコート法により塗布し、プリベイクとして、100℃のホットプレートで6分間加熱処理した。更に、230℃のオーブンにて1時間処理して、塗布膜を硬化させて1.0μmの平坦化膜を形成し、平坦化膜付きウエハを得た。
【0308】
緑色感光性着色組成物(GR-1)を平坦化膜付シリコンウエハ上に、スピンコーターで塗布し、プリベイクとして、100℃のホットプレートで1分間加熱処理した。プリベイク後の膜厚を0.9μmになるように調整した。
【0309】
次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長で1.0μm四方の赤色画素を形成するためのフォトマスクを通して露光量150mJ/cm2にてパターン露光を行った。
【0310】
露光後の塗膜を有機アルカリ現像液で1分間、パドル現像を行った。パドル現像後、20秒間スピンシャワーにて純水でリンスを行い、さらに純粋にて20秒間水洗を行った。その後、ウエハ上に残った水滴を高圧のエアーで飛ばし、基板を自然乾燥させ、さらに、表面温度230℃のホットプレート上で5分間加熱処理して正方形ピクセルパターンを形成した。熱処理後の緑色パターンの膜厚は0.80μmであった。
【0311】
次に、赤色感光性着色組成物(RR-20)を使用し、緑色着色画素層と同様にして赤色着色画素層を形成し、さらに、青色感光性着色組成物(BR-1)を使用して青色着色画素層を形成し、カラーフィルタ(CF-2)を得た。
【0312】
このようにして作製された固体撮像素子用カラーフィルタは、非常に分光特性に優れていた。とくに、赤色フィルタにおいて530nm付近のコブが抑えられており分光特性が良好で、耐熱性に優れたものであり、そのため、該固体撮像素子用カラーフィルタを用いた固体撮像素子は、特に、肌色の再現性に優れていた。