(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172610
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】後処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/36 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
B65H31/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078571
(22)【出願日】2021-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】原 俊
(72)【発明者】
【氏名】圓谷 悠
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BH04
3F054BH07
3F054CA06
3F054CA31
3F054DA01
3F054DA11
(57)【要約】
【課題】媒体に記録された画像を傷付ける虞を低減できる後処理装置を提供する。
【解決手段】媒体17を排出する第1排出部23と、媒体17を積載する処理トレイ24と、媒体17の端部を整合する端部整合部28と、媒体17を端部整合部28へと搬送する第1搬送部31と、処理トレイ24に対する第1搬送部31の相対位置を変更する第1位置変更部30と、第1位置変更部30を制御する制御部43と、媒体17に後処理を行う後処理部29と、を備え、制御部43は、第1搬送距離L1を処理トレイ24に積載された媒体17の積載枚数に応じて変更させ、積載枚数が第1積載値以上である場合の第1搬送距離L1と、第1積載値未満である場合の第1搬送距離L1と、の第1差より、積載枚数が第1積載値より大きい第2積載値以上である場合の第1搬送距離L1と、第2積載値未満である場合の第1搬送距離L1と、の第2差が大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出することで記録を行う記録部によって記録された媒体を排出する排出部と、
前記排出部によって排出された前記媒体を積載する処理トレイと、
前記処理トレイに設けられ、前記媒体の端部を整合する端部整合部と、
前記処理トレイに載せられた前記媒体の上面に接触する第1搬送位置で回転して該媒体を前記端部整合部へと搬送する第1搬送部と、
前記処理トレイに対する前記第1搬送部の相対位置を変更する第1位置変更部と、
前記第1位置変更部を制御する制御部と、
前記処理トレイ上の前記媒体に後処理を行う後処理部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1搬送位置に位置する前記第1搬送部と前記処理トレイとの第1搬送距離を、前記処理トレイに積載された前記媒体の積載枚数に応じて変更させ、
前記積載枚数が第1積載値以上である場合の前記第1搬送距離と、前記第1積載値未満である場合の前記第1搬送距離と、の第1差より、前記積載枚数が前記第1積載値より大きい第2積載値以上である場合の前記第1搬送距離と、前記第2積載値未満である場合の前記第1搬送距離と、の第2差が大きいことを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記積載枚数が前記第2積載値より大きい第3積載値以上である場合の前記第1搬送距離と、前記第3積載値未満である場合の前記第1搬送距離と、の第3差は、前記第2差より大きいことを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記処理トレイ上に積載された前記媒体の記録濃度及び前記積載枚数に基づいて前記第2差を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1搬送部が前記媒体を搬送する時間を、
前記積載枚数が第1枚数閾値未満である場合は、第1搬送時間にさせ、
前記積載枚数が前記第1枚数閾値以上である場合は、前記第1搬送時間よりも長い第2搬送時間にさせることを特徴とする請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1搬送部が前記媒体を搬送する速度を、
前記積載枚数が第2枚数閾値未満である場合は、第1搬送速度にさせ、
前記積載枚数が前記第2枚数閾値以上である場合は、前記第1搬送速度よりも速い第2搬送速度にさせることを特徴とする請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記処理トレイに載せられた前記媒体の前記上面に接触する第2搬送位置で回転して該媒体を前記端部整合部へと搬送する第2搬送部と、
前記処理トレイに対する前記第2搬送部の相対位置を変更する第2位置変更部と、
を備え、
前記第1搬送部は、前記媒体に接触するベルトを有し、
前記第2搬送部は、前記媒体に接触するパドルを有し、
前記制御部は、前記第2位置変更部を制御して前記第2搬送位置に位置する前記第2搬送部と前記処理トレイとの第2搬送距離を、前記積載枚数に応じて変更させ、
前記積載枚数が前記第1積載値以上である場合の前記第2搬送距離と、前記第1積載値未満である場合の前記第2搬送距離と、の第4差より、前記積載枚数が前記第2積載値以上である場合の前記第2搬送距離と、前記第2積載値未満である場合の前記第2搬送距離と、の第5差が小さいことを特徴とする請求項1~請求項5のうち何れか一項に記載の後処理装置。
【請求項7】
前記処理トレイに載せられた前記媒体の前記上面に接触する第2搬送位置で回転して該媒体を前記端部整合部へと搬送する第2搬送部を備え、
前記第1搬送部は、前記媒体に接触するベルトを有し、
前記第2搬送部は、前記媒体に接触するパドルを有し、
前記制御部は、前記第2搬送部が前記媒体を搬送する時間を、
前記積載枚数が第1枚数閾値未満である場合は、第3搬送時間にさせ、
前記積載枚数が前記第1枚数閾値以上である場合は、前記第3搬送時間よりも長い第4搬送時間にさせることを特徴とする請求項1~請求項6のうち何れか一項に記載の後処理装置。
【請求項8】
前記処理トレイに載せられた前記媒体の前記上面に接触する第2搬送位置で回転して該媒体を前記端部整合部へと搬送する第2搬送部を備え、
前記第1搬送部は、前記媒体に接触するベルトを有し、
前記第2搬送部は、前記媒体に接触するパドルを有し、
前記制御部は、前記第2搬送部が前記媒体を搬送する速度を、
前記積載枚数が第2枚数閾値未満である場合は、第3搬送速度にさせ、
前記積載枚数が前記第2枚数閾値以上である場合は、前記第3搬送速度よりも速い第4搬送速度にさせることを特徴とする請求項1~請求項7のうち何れか一項に記載の後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、画像が形成された媒体の一例であるシートに後処理を施す後処理装置の一例であるシート処理装置がある。シート処理装置は、シートが積み重ねられる処理トレイと、処理トレイ上でシートを搬送する第1搬送部の一例である戻しベルトと、端部整合部の一例である基準ストッパーと、を備える。
【0003】
戻しベルトは、シートを搬送して基準ストッパーに突き当てることで、シートを揃える。シート処理装置は、処理トレイに積載されるシートの枚数が増加するに従って戻しベルトの上昇率を下げ、シートにかける荷重を増して強い搬送力でシートを送る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
媒体は、画像が形成されることで膨潤、カールすることがある。処理トレイに膨潤、カールした媒体が積載される場合は、同数の膨潤、カールしていない媒体が積載される場合に比べ、積載された媒体の高さが高くなる。そのため、特許文献1のように枚数が増加するに従って第1搬送部の上昇率を下げた場合、第1搬送部が媒体を押さえる圧力が大きく上昇し、第1搬送部が画像に傷を付ける虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する後処理装置は、液体を吐出することで記録を行う記録部によって記録された媒体を排出する排出部と、前記排出部によって排出された前記媒体を積載する処理トレイと、前記処理トレイに設けられ、前記媒体の端部を整合する端部整合部と、前記処理トレイに載せられた前記媒体の上面に接触する第1搬送位置で回転して該媒体を前記端部整合部へと搬送する第1搬送部と、前記処理トレイに対する前記第1搬送部の相対位置を変更する第1位置変更部と、前記第1位置変更部を制御する制御部と、前記処理トレイ上の前記媒体に後処理を行う後処理部と、を備え、前記制御部は、前記第1搬送位置に位置する前記第1搬送部と前記処理トレイとの第1搬送距離を、前記処理トレイに積載された前記媒体の積載枚数に応じて変更させ、前記積載枚数が第1積載値以上である場合の前記第1搬送距離と、前記第1積載値未満である場合の前記第1搬送距離と、の第1差より、前記積載枚数が前記第1積載値より大きい第2積載値以上である場合の前記第1搬送距離と、前記第2積載値未満である場合の前記第1搬送距離と、の第2差が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】後処理装置を備える記録システムの第1実施形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
[記録システム]
以下、後処理装置を備える記録システムの第1実施形態について図を参照して説明する。
【0009】
図面では、記録システム11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、X軸と平行な方向を幅方向X、Y軸と平行な方向を搬送方向Y、Z軸と平行な方向を鉛直方向Zともいう。
【0010】
図1に示すように、記録システム11は、搬送方向Yに並んで設けられる記録装置12、中間装置13、後処理装置14、及び中折装置15を備える。記録装置12、中間装置13、後処理装置14、及び中折装置15は、互いに隣接して設けられる。
【0011】
記録装置12は、例えば、媒体17に液体の一例であるインクを吐出することによって、画像を記録するインクジェット式のプリンターである。画像は、媒体17に付着した液体により形成されるものである。画像は、写真、図柄、文字、記号、マーク、線、及び表などを含む。
【0012】
記録装置12は、記録装置12及び記録システム11を操作するための例えばタッチパネルなどの操作部18と、媒体17を積層状態で収容可能な媒体収容部19と、を備えてもよい。記録装置12は、複数の媒体収容部19を備えてもよい。
【0013】
記録装置12は、液体を吐出することで記録を行う記録部21を備える。記録部21は、媒体収容部19から1枚ずつ送り出された媒体17に記録を行う。本実施形態の記録部21は、媒体17の幅方向Xに亘って設けられるラインタイプである。記録部21は、媒体17の幅方向Xに移動しながら記録を行うシリアルタイプとして構成されてもよい。
【0014】
記録装置12は、媒体17に対して、片方の面にのみ記録を行う片面記録と、媒体17の両方の面に記録を行う両面記録と、を行うことができる。片面記録を行う場合、記録装置12は、媒体17の表面に記録を行ったあと、媒体17を中間装置13に送る。両面記録を行う場合、記録装置12は、媒体17の表面に記録を行ったあと、媒体17を反転させて記録部21に戻し、媒体17の裏面に記録を行う。記録装置12は、両面に記録した媒体17を中間装置13に送る。
【0015】
中間装置13は、片面もしくは両面に記録された媒体17を後処理装置14に送る。記録された媒体17に対し、半分に折る中折処理を行う場合、後処理装置14は、媒体17を中折装置15に送る。中折装置15は、媒体17に対し、媒体17の中央をステープルで綴じる中綴じ処理を行ってもよい。
【0016】
[後処理装置]
図2に示すように、後処理装置14は、記録部21によって記録された媒体17を排出する排出部の一例である第1排出部23と、第1排出部23によって排出された媒体17を積載する処理トレイ24と、を備える。後処理装置14は、処理トレイ24上に積載された媒体17を排出する第2排出部25と、第2排出部25によって排出された媒体17を積載する積載トレイ26と、を備えてもよい。
【0017】
第1排出部23と第2排出部25は、それぞれ一対のローラーにより構成してもよい。第1排出部23と第2排出部25は、媒体17を挟んだ状態で回転することにより媒体17を排出する。第1排出部23は、媒体17を第1排出方向D1に排出する。第2排出部25は、媒体17を第2排出方向D2に排出する。
【0018】
処理トレイ24は、第1排出方向D1において第1排出部23より下流であって、且つ少なくとも一部が第1排出部23より鉛直方向Zの下方に位置する。そのため、処理トレイ24は、第1排出部23により排出されて落下する媒体17を受ける。
【0019】
積載トレイ26は、第2排出方向D2において、第2排出部25より下流であって、且つ少なくとも一部が第2排出部25より鉛直方向Zの下方に位置する。そのため、積載トレイ26は、第2排出部25により排出されて落下する媒体17を受ける。
【0020】
後処理装置14は、処理トレイ24に設けられる端部整合部28と、処理トレイ24上の媒体17に後処理を行う後処理部29と、第1位置変更部30と、第1搬送部31と、を備える。後処理装置14は、第2搬送部32と、第2位置変更部33と、媒体17を検出可能な検出部34と、を備えてもよい。
【0021】
第1搬送部31は、第1回転軸36と、ベルト37と、を有してもよい。ベルト37は、例えばローレットベルトにより構成してもよい。ローレットベルトは、表面に凹凸が形成されたベルトであり、接触した相手との間の摩擦力が、表面が平坦なベルトに比べて高い。ベルト37は、環状をなし、弾性変形可能である。ベルト37は、第1回転軸36に嵌められ、第1回転軸36と一体で回転する。
【0022】
第1位置変更部30は、処理トレイ24に対する第1搬送部31の相対位置を変更する。第1位置変更部30は、処理トレイ24と第1搬送部31のうち、少なくとも一方を移動させる。本実施形態の第1位置変更部30は、第1搬送部31を移動させる。第1位置変更部30は、
図2に実線で示す第1搬送位置TP1と、
図2に二点鎖線で示す第1待機位置WP1と、に第1搬送部31を移動可能である。
【0023】
第1搬送位置TP1は、第1搬送部31が媒体17を搬送する位置である。第1搬送位置TP1に位置する第1搬送部31は、処理トレイ24に載せられた媒体17の上面に接触し、媒体17を処理トレイ24との間に挟む。第1搬送位置TP1に位置する第1搬送部31は、ベルト37が媒体17に接触する。
【0024】
第1搬送位置TP1に位置する第1搬送部31は、
図2において反時計回り方向に回転することで、媒体17を整合方向D3に搬送する。整合方向D3は、処理トレイ24が有する積載面24aに平行な方向である。積載面24aは、媒体17が積載される面である。
【0025】
端部整合部28は、処理トレイ24において整合方向D3の下流端に位置する。すなわち、第1搬送部31は、第1搬送位置TP1で回転することで、処理トレイ24に載せられた媒体17を端部整合部28へと搬送する。第1搬送部31は、媒体17を端部整合部28に突き当てて整合する。
【0026】
換言すると、端部整合部28は、第1搬送部31により搬送される媒体17の端部を整合する。本実施形態の整合とは、整合方向D3における媒体17の下流端を端部整合部28に添わせることである。第1搬送部31は、第1排出部23から排出された媒体17を整合することで、この媒体17と先に積載されている媒体17との端部を揃える。第1排出部23から順次排出される媒体17は、整合方向D3の下流端が揃った状態で処理トレイ24上に積み重ねられる。したがって、処理トレイ24には、整合済みの媒体17が積載される。
【0027】
第1待機位置WP1は、第1搬送位置TP1よりも処理トレイ24から離れた位置である。第1待機位置WP1は、第1搬送位置TP1より上方の位置である。第1待機位置WP1に位置する第1搬送部31は、媒体17から離れるため、媒体17の拘束を解除する。
【0028】
第2搬送部32は、第1排出部23より第1排出方向D1の下流であって、第1搬送部31より整合方向D3の上流に設けられる。第2搬送部32は、処理トレイ24の上方に位置する。第2搬送部32は、第2回転軸39と、少なくとも1つのパドル40と、を有してもよい。本実施形態の第2搬送部32は、3つのパドル40を有する。パドル40は、基端部分が第2回転軸39に固定されており、第2回転軸39と一体で回転する。パドル40の先端部分は、板状をなし、弾性変形可能である。
【0029】
第2位置変更部33は、処理トレイ24に対する第2搬送部32の相対位置を変更する。第2位置変更部33は、処理トレイ24と第2搬送部32のうち、少なくとも一方を移動させる。本実施形態の第2位置変更部33は、第2搬送部32を移動させる。第2位置変更部33は、
図2に実線で示す第2搬送位置TP2と、
図2に二点鎖線で示す第2待機位置WP2と、に第2搬送部32を移動可能である。
【0030】
第2搬送位置TP2は、第2搬送部32が媒体17を搬送する位置である。第2搬送位置TP2に位置する第2搬送部32は、回転することで処理トレイ24に載せられた媒体17の上面に接触する。第2搬送位置TP2に位置する第2搬送部32は、パドル40が媒体17に接触する。
【0031】
第2搬送位置TP2に位置する第2搬送部32は、
図2において反時計回り方向に回転することで、媒体17を整合方向D3に搬送する。すなわち、第2搬送部32は、第2搬送位置TP2で回転することで、処理トレイ24に載せられた媒体17を第1搬送部31及び端部整合部28へと搬送する。
【0032】
本実施形態の後処理装置14は、媒体17に対してステープル処理を行う。ステープル処理は、複数枚の媒体17をステープルで綴じる処理である。後処理装置14は、パンチ処理、シフト処理などを行ってもよい。パンチ処理は、1枚又は複数枚の媒体17に穴をあける処理である。シフト処理は、媒体17を部単位で積載トレイ26に排出すると共に、部ごとに位置をずらして排出する処理である。
【0033】
後処理装置14は、制御部43を備える。制御部43は、後処理装置14における各機構の駆動を統括的に制御し、後処理装置14で実行される各種動作を制御してもよい。制御部43は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0034】
制御部43は、第1位置変更部30を制御することで、第1搬送位置TP1を変更させる。具体的には、制御部43は、処理トレイ24に積載された媒体17の積載枚数に応じて第1搬送位置TP1に位置する第1搬送部31と処理トレイ24との第1搬送距離L1を変更させる。第1搬送位置TP1に位置する第1搬送部31は、弾性を有するベルト37が変形し、ベルト37の弾性力により媒体17を押さえる。本実施形態の第1搬送距離L1は、変形しない第1回転軸36から積載面24aまでの、積載方向D4における距離である。積載方向D4は、例えば積載面24aに垂直な方向である。
【0035】
制御部43は、第2位置変更部33を制御することで、第2搬送位置TP2を変更させる。具体的には、制御部43は、処理トレイ24に積載された媒体17の積載枚数に応じて第2搬送位置TP2に位置する第2搬送部32と処理トレイ24との第2搬送距離L2を変更させる。第2搬送位置TP2に位置する第2搬送部32が回転すると、弾性を有するパドル40の先端が変形し、パドル40の弾性力により媒体17を押さえる。本実施形態の第2搬送距離L2は、変形しない第2回転軸39から積載面24aまでの、積載方向D4における距離である。
【0036】
制御部43は、積載枚数に対する第1搬送距離L1及び第2搬送距離L2の関係を予め記憶している。制御部43は、第1搬送距離L1及び第2搬送距離L2を変更する目安である複数の積載値を記憶していてもよい。
【0037】
表1に示すように、本実施形態の制御部43は、9つの積載値を記憶する。具体的には、制御部43は、積載値として6枚、11枚、16枚、21枚、26枚、31枚、36枚、41枚、46枚を記憶している。本実施形態の制御部43は、積載枚数に基づいて第1搬送距離L1及び第2搬送距離L2を変更する。制御部43は、積載枚数が多くなるのに合わせて第1搬送距離L1の変更量を大きくすると共に第2搬送距離L2の変更量を小さくする。
【0038】
【表1】
[第1搬送距離]
表1に示すように、制御部43は、積載枚数が積載値を超えた場合に、第1搬送距離L1を大きくする。例えば、制御部43は、積載枚数が積載値である6枚未満の場合は、第1搬送距離L1を1.0mmにさせる。具体的には、制御部43は、1枚目から5枚目までの媒体17を、第1搬送距離L1を1.0mmにして整合させる。
【0039】
制御部43は、6枚目の媒体17を第1搬送部31に整合させるとき、第1搬送距離L1を例えば1.6mmにさせる。制御部43は、積載枚数が次の積載値である11枚になるまで第1搬送距離L1を1.6mmにさせる。
【0040】
制御部43は、積載枚数が11枚を超えた場合に、第1搬送距離L1を1.6mmから例えば2.3mmに変更させる。制御部43は、積載枚数が次の積載値である16枚を超えた場合に、第1搬送距離L1を2.3mmから例えば3.1mmに変更させる。以降同様に、制御部43は、積載枚数が積載値を超えるたびに第1搬送距離L1を大きくする。
【0041】
制御部43は、積載枚数が積載値を超える前と後の第1搬送距離L1の差を、積載枚数が多くなるほど大きくさせてもよい。具体的には、制御部43は、積載枚数が6枚を超えた場合に第1搬送距離L1を例えば0.6mm大きくさせる。制御部43は、積載枚数が11枚を超えた場合に第1搬送距離L1を例えば0.7mm大きくさせる。制御部43は、積載枚数が16枚を超えた場合に第1搬送距離L1を例えば0.8mm大きくさせる。
【0042】
以下の説明において、積載枚数が積載値以上である場合の第1搬送距離L1とは、積載枚数がこの積載値以上であって、且つこの積載値の次に大きい積載値未満の場合の第1搬送距離L1である。積載枚数が積載値未満である場合の第1搬送距離L1とは、この積載値の次に小さい積載値以上であって、且つこの積載値未満である場合の第1搬送距離L1である。
【0043】
積載枚数が第1積載値である6枚以上である場合の第1搬送距離L1は、1.6mmである。積載枚数が第1積載値である6枚未満である場合の第1搬送距離L1は、1.0mmである。したがって、積載枚数が第1積載値以上である場合の第1搬送距離L1と、積載枚数が第1積載値未満である場合の第1搬送距離L1と、の第1差は、0.6mmである。
【0044】
第2積載値である11枚は、第1積載値より大きい。積載枚数が第2積載値である11枚以上である場合の第1搬送距離L1は、2.3mmである。積載枚数が第2積載値である11枚未満である場合の第1搬送距離L1は、1.6mmである。したがって、積載枚数が第2積載値以上である場合の第1搬送距離L1と、積載枚数が第2積載値未満である場合の第1搬送距離L1と、の第2差は、0.7mmである。第2差は、第1差より大きい。
【0045】
第3積載値である16枚は、第2積載値より大きい。積載枚数が第3積載値である16枚以上である場合の第1搬送距離L1は、3.1mmである。積載枚数が第3積載値である16枚未満である場合の第1搬送距離L1は、2.3mmである。したがって、積載枚数が第3積載値以上である場合の第1搬送距離L1と、積載枚数が第3積載値未満である場合の第1搬送距離L1と、の第3差は、0.8mmである。第3差は、第2差より大きい。
【0046】
本実施形態では、複数の積載値のうち何れの積載値を第1積載値~第3積載値としても第2差が第1差より大きく、第3差が第2差より大きくなる。第1積載値~第3積載値は、複数の積載値のうち何れか3つである。3つの積載値のうち一番小さいものが第1積載値であり、中間のものが第2積載値であり、一番大きいものが第3積載値である。
【0047】
[第2搬送距離]
表1に示すように、制御部43は、積載枚数が積載値を超えた場合に、第2搬送距離L2を大きくする。例えば、制御部43は、積載枚数が積載値である6枚未満の場合は、第2搬送距離L2を30.0mmにさせる。具体的には、制御部43は、1枚目から5枚目までの媒体17を、第2搬送距離L2を30.0mmにして搬送させる。
【0048】
制御部43は、6枚目の媒体17を第2搬送部32に搬送させるときの第2搬送位置TP2を、第2搬送距離L2が30.9mmになる位置に変更させる。制御部43は、積載枚数が次の積載値である11枚になるまで第2搬送距離L2を30.9mmにさせる。
【0049】
制御部43は、積載枚数が11枚を超えた場合に、第2搬送距離L2を30.9mmから31.7mmに変更させる。制御部43は、積載枚数が次の積載値である16枚を超えた場合に、第2搬送距離L2を31.7mmから32.4mmに変更させる。以降同様に、制御部43は、積載枚数が積載値を超えるたびに第2搬送距離L2を大きくする。
【0050】
制御部43は、積載枚数が積載値を超える前と後の第2搬送距離L2の差を、積載枚数が大きくなるほど小さくしてもよい。具体的には、制御部43は、積載枚数が6枚を超えた場合に第2搬送距離L2を0.9mm大きくさせる。制御部43は、積載枚数が11枚を超えた場合に第2搬送距離L2を0.8mm大きくさせる。制御部43は、積載枚数が16枚を超えた場合に第2搬送距離L2を0.7mm大きくさせる。
【0051】
以下の説明において、積載枚数が積載値以上である場合の第2搬送距離L2とは、積載枚数がこの積載値以上であって、且つこの積載値の次に大きい積載値未満の場合の第2搬送距離L2である。積載枚数が積載値未満である場合の第2搬送距離L2とは、この積載値の次に小さい積載値以上であって、且つこの積載値未満である場合の第2搬送距離L2である。
【0052】
積載枚数が第1積載値である6枚以上である場合の第2搬送距離L2は、30.9mmである。積載枚数が第1積載値である6枚未満である場合の第2搬送距離L2は30.0mmである。したがって、積載枚数が第1積載値以上である場合の第2搬送距離L2と、積載枚数が第1積載値未満である場合の第2搬送距離L2と、の第4差は、0.9mmである。
【0053】
積載枚数が第2積載値である11枚以上である場合の第2搬送距離L2は、31.7mmである。積載枚数が第2積載値である11枚未満である場合の第2搬送距離L2は、30.9mmである。したがって、積載枚数が第2積載値以上である場合の第2搬送距離L2と、積載枚数が第2積載値未満である場合の第2搬送距離L2と、の第5差は、0.8mmである。第5差は、第4差より小さい。本実施形態では、複数の積載値のうち何れの積載値を第1積載値及び第2積載値としても第5差が第4差より小さくなる。
【0054】
[記録濃度]
記録濃度は、媒体17の面積に対する画像を記録する面積の割合である。言い換えると、媒体17に打ち込めるインクの最大ドット数に対して、実際に打ち込んだインクのドット数の割合である。
【0055】
媒体17は、上面と下面の合計の記録濃度が高いほど膨潤しやすい。膨潤した媒体17は、膨潤していない媒体17に比べて積載された高さが高くなる。また、上面と下面の記録濃度の差が大きい程カールが大きくなり、カールしていない媒体17に比べて積載された高さが高くなる。
【0056】
制御部43は、処理トレイ24上に積載された媒体17の記録濃度及び積載枚数に基づいて第2差を設定してもよい。制御部43は、例えば積載枚数が第2積載値になったときに記録濃度と濃度閾値とを比較し、記録濃度が濃度閾値以上である場合に、第2差を大きくしてもよい。記録濃度は、処理トレイ24に積載される媒体17の上面の記録濃度または下面の記録濃度の一方でもよい。また、記録濃度は、処理トレイ24に積載される媒体17の上面の記録濃度と下面の記録濃度の合計であってもよい。記録濃度は、処理トレイ24に積載される媒体17の上面の記録濃度と下面の記録濃度の差を用いてもよい。また、記録濃度は、既に処理トレイ24に積載されている媒体17の記録濃度を用いてもよい。
【0057】
例えば、第1積載値が11枚であり、第2積載値が16枚である場合、制御部43は、積載枚数が16枚になったとき、記録濃度と濃度閾値とを比較する。記録濃度が濃度閾値以上である場合、制御部43は、第2差を大きくする。換言すると、制御部43は、第2差が大きくなるように、16枚以上である場合の第1搬送距離L1に濃度調整値を加える。濃度調整値を0.1mmとすると、第1搬送距離L1は、3.2mmになり、第2差は0.9mmになる。
【0058】
[作用]
図2に示すように、第1排出部23が媒体17を排出する間、制御部43は、第2搬送部32を第2待機位置WP2に位置させると共に、
図2に示す停止姿勢で停止してもよい。このとき制御部43は、第1搬送部31を第1搬送位置TP1に位置させてもよい。第1搬送位置TP1に位置する第1搬送部31は、処理トレイ24との間に媒体17を挟む。したがって、整合済みの媒体17が乱れる虞を低減できる。
【0059】
停止姿勢の第2搬送部32は、第1排出部23が媒体17を排出する一対のローラーの間の位置より、パドル40が上方に位置する。そのため、第1排出部23から排出される媒体17は、パドル40と処理トレイ24との間に入る。
【0060】
例えば制御部43は、検出部34が媒体17を検出する状態から検出しない状態に変わった場合に、媒体17が第1排出部23を通過したと判断してもよい。媒体17の第1排出方向D1における後端が第1排出部23を通過すると、制御部43は、第1位置変更部30を制御し、第1搬送部31を第1待機位置WP1に移動させると共に、第2位置変更部33を制御し、第2搬送部32を第2搬送位置TP2に移動させる。第2搬送位置TP2は、第2搬送部32が媒体17を搬送する位置である。制御部43は、積載枚数に応じて第2搬送位置TP2を変更する。
【0061】
制御部43は、
図2において反時計回り方向に回転させる。回転する第2搬送部32は、媒体17を、第1待機位置WP1に位置する第1搬送部31と、処理トレイ24との間に送り込む。
【0062】
続いて制御部43は、第1位置変更部30を制御し、第1搬送部31を第1搬送位置TP1に移動させ、第2搬送部32により送られた媒体17を処理トレイ24との間に挟む。制御部43は、第1搬送位置TP1に位置する第1搬送部31を回転させることにより媒体17を整合する。
【0063】
制御部43は、第1搬送部31が媒体17を搬送する時間及び速度と、第2搬送部32が媒体17を搬送する時間及び速度と、を積載枚数に応じて変更してもよい。制御部43は、時間の設定に用いる第1枚数閾値と、速度の設定に用いる第2枚数閾値と、を予め記憶している。第1枚数閾値と第2枚数閾値は、互いに同じ値であってもよい。第1枚数閾値と第2枚数閾値は、互いに異なる値であってもよく、どちらが大きくてもよい。第1枚数閾値と第2枚数閾値は、複数の積載値のうち何れかと同じ値であってもよい。
【0064】
積載枚数が第2枚数閾値未満である場合、制御部43は、第1搬送部31が媒体17を搬送する速度を第1搬送速度にさせ、第2搬送部32が媒体17を搬送する速度を第3搬送速度にさせる。第1搬送速度と第3搬送速度は、同じ速度であってもよいし、異なる速度であってもよい。
【0065】
積載枚数が第2枚数閾値以上である場合、制御部43は、第1搬送部31が媒体17を搬送する速度を第2搬送速度にさせ、第2搬送部32が媒体17を搬送する速度を第4搬送速度にさせる。第2搬送速度は、第1搬送速度よりも速い。第4搬送速度は、第3搬送速度よりも速い。第2搬送速度と第4搬送速度は、同じ速度であってもよいし、異なる速度であってもよい。
【0066】
積載枚数が第1枚数閾値未満である場合、制御部43は、第1搬送部31が媒体17を搬送する時間を第1搬送時間にさせ、第2搬送部32が媒体17を搬送する時間を第3搬送時間にさせる。第1搬送時間と第3搬送時間は、同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。
【0067】
積載枚数が第1枚数閾値以上である場合、制御部43は、第1搬送部31が媒体17を搬送する時間を、第2搬送時間にさせ、第2搬送部32が媒体17を搬送する時間を第4搬送時間にさせる。第2搬送時間は、第1搬送時間より長い。第4搬送時間は、第3搬送時間より長い。第2搬送時間と4搬送時間は、同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。
【0068】
制御部43は、第1搬送部31の回転を開始してから第1搬送時間もしくは第2搬送時間が経過すると、第1搬送部31の回転を停止させる。制御部43は、第2搬送部32の回転を開始してから第3搬送時間もしくは第4搬送時間が経過すると、第2搬送部32の回転を停止させ、第2搬送部32を第2待機位置WP2に移動させる。
【0069】
処理トレイ24に積載される媒体17の枚数である積載枚数が、後処理を行う単位である処理枚数より少ない場合、制御部43は、第1排出部23が次の媒体17を排出するまで待機する。
【0070】
積載枚数が、処理枚数になると、制御部43は、後処理装置14に後処理を行わせる。本実施形態の後処理部29は、処理トレイ24に積載されている複数の媒体17をステープルで綴じる。制御部43は、第2排出部25を制御し、処理トレイ24上の媒体17の束を積載トレイ26に排出させる。
【0071】
[第1実施形態の効果]
(1)制御部43は、積載枚数が第1積載値を超えたとき、第1搬送距離L1を第1差の分だけ大きくし、積載枚数が第2積載値を超えたとき、第1搬送距離L1を第2差の分だけ大きくする。第2積載値は、第1積載値より大きい。第2差は、第1差より大きい。すなわち、制御部43は、積載枚数が多い場合に第1搬送距離L1の変更量を大きくし、第1搬送部31を処理トレイ24から離す。そのため、処理トレイ24に膨潤した媒体17が積載される場合でも、第1搬送部31が媒体17を大きな圧力で押さえてしまう虞を低減し、媒体17に記録された画像を傷付ける虞を低減できる。
【0072】
(2)処理トレイ24に膨潤した媒体17が積載される場合の媒体17の高さと、膨潤していない媒体17を同数積載した場合の媒体17の高さと、の差は、積載される媒体17の枚数に比例して大きくなる。その点、制御部43は、積載枚数が第3積載値を超えたとき、第1搬送距離L1を第3差の分だけ大きくする。第3積載値は、第2積載値より大きい。第3差は、第2差より大きい。すなわち、制御部43は、段階的に第1搬送距離L1の変更量を大きくするため、積載枚数が増えた場合でも第1搬送部31が媒体17を大きな圧力で押さえてしまう虞を低減できる。
【0073】
(3)媒体17は、記録濃度によって膨潤の度合いが変化する。記録濃度が大きい場合は、膨潤の度合いも大きくなり、積み重ねた媒体17の高さも高くなる。制御部43は、記録濃度及び積載枚数に基づいて第2差を設定する。したがって、積載枚数が第2積載値を超えたときの第1搬送距離L1を、媒体17の状態に合わせて設定することができる。
【0074】
(4)第1搬送距離L1を大きくした場合、第1搬送部31の搬送力が媒体17に伝わりにくくなることがある。その点、積載枚数が第1枚数閾値未満である場合、制御部43は、第1搬送部31に媒体17を第1搬送時間搬送させる。積載枚数が第1枚数閾値以上である場合、制御部43は、第1搬送部31に媒体17を第2搬送時間搬送させる。第2搬送時間は、第1搬送時間より長い。すなわち、積載枚数が多い場合に低下する第1搬送部31の搬送力を、第1搬送部31が媒体17を搬送する時間を長くすることで補うことができる。
【0075】
(5)積載枚数が第2枚数閾値未満である場合、制御部43は、第1搬送部31に第1搬送速度で媒体17を搬送させる。積載枚数が第2枚数閾値以上である場合、制御部43は、第1搬送部31に第2搬送速度で媒体17を搬送させる。第2搬送速度は、第1搬送速度より速い。すなわち、積載枚数が多い場合に低下する第1搬送部31の搬送力を、第1搬送部31が媒体17を搬送する速度を速くすることで補うことができる。
【0076】
(6)第1搬送部31は、ベルト37が媒体17に接触して媒体17を搬送する。第2搬送部32は、パドル40が媒体17に接触して媒体17を搬送する。ベルト37は、媒体17に接触した状態で回転して媒体17を搬送するのに対し、パドル40は、媒体17を叩くように媒体17を搬送する。したがって、媒体17においてベルト37と接触した部分は連続しているのに対し、パドル40と接触した部分同士は離れている。そのため、パドル40が媒体17を大きな圧力で押さえて傷を付けてしまった場合でも、パドル40が付ける傷はベルト37が付ける傷より小さく目立ちにくい。制御部43は、積載枚数が第1積載値を超えたとき、第2搬送距離L2を第4差の分だけ大きくし、積載枚数が第2積載値を超えたとき、第2搬送距離L2を第5差の分だけ大きくする。第5差は、第4差より小さい。すなわち、制御部43は、積載枚数が多い場合に第2搬送距離L2の変更量を小さくし、第2搬送部32を処理トレイ24から離す量を小さくする。したがって、積載枚数が多い場合に低下する第1搬送部31の搬送力を、第2搬送距離L2の変更量を小さくすることで補うことができる。
【0077】
(8)積載枚数が第1枚数閾値未満である場合、制御部43は、第2搬送部32に媒体17を第3搬送時間搬送させる。積載枚数が第1枚数閾値以上である場合、制御部43は、第2搬送部32に媒体17を第4搬送時間搬送させる。第4搬送時間は、第3搬送時間より長い。すなわち、積載枚数が多い場合に低下する第1搬送部31の搬送力を、第2搬送部32が媒体17を搬送する時間を長くすることで補うことができる。
【0078】
(9)積載枚数が第2枚数閾値未満である場合、制御部43は、第2搬送部32に第3搬送速度で媒体17を搬送させる。積載枚数が第2枚数閾値以上である場合、制御部43は、第2搬送部32に第4搬送速度で媒体17を搬送させる。第4搬送速度は、第3搬送速度より速い。すなわち、積載枚数が多い場合に低下する第1搬送部31の搬送力を、第2搬送部32が媒体17を搬送する速度を速くすることで補うことができる。
【0079】
(第2実施形態)
次に、後処理装置の第2実施形態について図を参照しながら説明する。この第2実施形態は、第1待機位置を変更する点で第1実施形態の場合とは異なっている。そして、その他の点では第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0080】
図2に示すように、本実施形態の制御部43は、第1位置変更部30を制御することで、待機距離L3を変更させる。待機距離L3は、第1搬送部31が第1待機位置WP1に位置する場合の、第1回転軸36から積載面24aまでの積載方向D4の距離である。
【0081】
【表2】
表2に示すように、本実施形態の制御部43は、待機距離L3のテーブルを記憶している。制御部43は、処理トレイ24に積載される媒体17の平均の記録濃度と、積載枚数と、に基づいて待機距離L3を変更させる。すなわち、制御部43は、第1待機位置WP1を変更させる。
【0082】
本実施形態の制御部43は、例えば実験結果などから予め設定された第1積載値、第2積載値、第1濃度閾値、及び第2濃度閾値を記憶している。第1濃度閾値は、第2濃度閾値より低い。本実施形態では、第1濃度閾値は30%であり、第2濃度閾値は70%であり、第1積載値は11枚であり、第2積載値は31枚である。
【0083】
記録濃度が70%以上であり、積載枚数が11枚未満である場合、待機距離L3は、例えば50mmである。第1記録濃度が70%以上であり、積載枚数が11枚以上且つ31枚未満である場合、待機距離L3は、例えば60mmである。記録濃度が70%以上であり、積載枚数が31枚以上である場合、待機距離L3は、例えば70mmである。
【0084】
記録濃度が30%以上且つ70%未満であり、積載枚数が11枚未満である場合、待機距離L3は、例えば30mmである。記録濃度が30%以上且つ70%未満であり、積載枚数が11枚以上且つ31枚未満である場合、待機距離L3は、例えば40mmである。第1記録濃度が30%以上且つ70%未満であり、積載枚数が31枚以上である場合、待機距離L3は、例えば50mmである。
【0085】
記録濃度が30%未満であり、積載枚数が11枚未満である場合、待機距離L3は、例えば10mmである。記録濃度が30%未満であり、積載枚数が11枚以上且つ31枚未満である場合、待機距離L3は、例えば20mmである。記録濃度が30%値未満であり、積載枚数が31枚以上である場合、待機距離L3は、例えば30mmである。
【0086】
積載枚数が第1積載値である11枚以上の場合と、11枚未満である場合と、の待機距離L3の差である第1待機差は、10mmである。積載閾値が第2積載値である31枚以上である場合と、31枚未満である場合と、の待機距離L3の差である第2待機差は、10mmである。すなわち、第1待機差と第2待機差は同じ値である。
【0087】
[移動量]
制御部43は、第1待機位置WP1に位置する第1搬送部31を、処理トレイ24に近づくように移動させて第1搬送位置TP1に位置させる。本実施形態では、待機距離L3と第1搬送距離L1との差を移動量ともいう。
【0088】
制御部43は、予め設定された複数の移動割合を記憶する。ここでの移動割合とは、待機距離L3に対する移動量の割合である。本実施形態の制御部43は、3つの移動割合を記憶する。第1移動割合は、第2移動割合より大きい。第2移動割合は、第3移動割合より大きい。第2移動割合と第3移動割合の差は、第1移動割合と第2移動割の差より大きい。
【0089】
制御部43は、積載枚数が第1積載値より小さい場合、第1搬送部31の移動量を待機距離L3の第1移動割合にする。制御部43は、積載枚数が第1積載値以上であってかつ第2積載値未満である場合、第1搬送部31の移動量を待機距離L3の第2移動割合にする。制御部43は、積載枚数が第2積載値以上である場合、第1搬送部31の移動割合を待機距離L3の第3移動割合にする。
【0090】
【表3】
表3には、第1移動割合が9割、第2移動割合が8割、第3移動割合が6割である場合の第1搬送距離L1を示す。
【0091】
積載枚数が11枚未満である場合、制御部43は、待機距離L3の第1移動割合を移動量とする。積載枚数が11枚以上且つ31枚未満である場合、制御部43は、待機距離L3の第2移動割合を移動量とする。積載枚数が31枚以上である場合、制御部43は、待機距離L3の第3移動割合を移動量とする。第1搬送距離L1は、待機距離L3と移動量との差である。
【0092】
具体的には、記録濃度が70%以上であり、積載枚数が11枚未満である場合、移動量は45mmであり、第1搬送距離L1は5mmである。記録濃度が70%以上であり、積載枚数が11枚以上且つ31枚未満である場合、移動量は48mmであり、第1搬送距離L1は12mmである。記録濃度が70%以上であり、積載枚数が31枚以上である場合、移動量は42mmであり、第1搬送距離L1は28mmである。
【0093】
積載枚数が第1積載値以上である場合の第1搬送距離L1と、第1積載値未満である場合の第1搬送距離L1と、の第1差は7mmである。積載枚数が第2積載値以上である場合の第1搬送距離L1と、第2積載値未満である場合の第1搬送距離L1と、の第2差は16mmである。したがって、第2差は第1差より大きい。
【0094】
記録濃度が30%以上且つ70%未満であり、積載枚数が11枚未満である場合、移動量は27mmであり、第1搬送距離L1は、3mmである。記録濃度が30%以上且つ70%未満であり、積載枚数が11枚以上且つ31枚未満である場合、移動量は32mmであり、第1搬送距離L1は8mmである。記録濃度が30%以上且つ70%未満であり、積載枚数が31枚以上である場合、移動量は30mmであり、第1搬送距離L1は20mmである。
【0095】
積載枚数が第1積載値以上である場合の第1搬送距離L1と、第1積載値未満である場合の第1搬送距離L1と、の第1差は5mmである。積載枚数が第2積載値以上である場合の第1搬送距離L1と、第2積載値未満である場合の第1搬送距離L1と、の第2差は12mmである。したがって、第2差は第1差より大きい。
【0096】
記録濃度が30%未満であり、積載枚数が11枚未満である場合、移動量は9mmであり、第1搬送距離L1は1mmである。記録濃度が30%未満であり、積載枚数が11枚以上且つ31枚未満である場合、移動量は16mmであり、第1搬送距離L1は4mmである。記録濃度が30%未満であり、積載枚数が31枚以上ある場合、移動量は18mmであり、第1搬送距離L1は12mmである。
【0097】
積載枚数が第1積載値以上である場合の第1搬送距離L1と、第1積載値未満である場合の第1搬送距離L1と、の第1差は3mmである。積載枚数が第2積載値以上である場合の第1搬送距離L1と、第2積載値未満である場合の第1搬送距離L1と、の第2差は8mmである。したがって、第2差は第1差より大きい。
【0098】
[作用]
第2搬送部32は、媒体17を整合方向D3に搬送して第1搬送部31に送る。このとき、第1搬送部31は、第1待機位置WP1に位置する。
【0099】
画像が形成された媒体17は、膨潤して波打つように変形したり、湾曲するように変形する所謂カールが生じたりすることがある。媒体17は、記録濃度が高い場合に、記録濃度が低い場合より変形が大きくなりやすい。処理トレイ24に変形した媒体17が積載されている場合、第2搬送部32に搬送される媒体17は、自身の変形が小さくても、積載された媒体17に沿うように変形して第1搬送部31に当たり、画像に傷が付いてしまう虞がある。
【0100】
そのため、制御部43は、制御部43は、積載枚数及び記録濃度に基づいて第1搬送部31の第1待機位置WP1を変更させる。すなわち、積載枚数が多く且つ記録濃度が高い場合は、積載枚数が少なく且つ記録濃度が低い場合より待機距離L3を大きくする。
【0101】
[第2実施形態の効果]
(10)制御部43は、積載枚数と記録濃度とに基づいて第1待機位置WP1を変更させる。これにより、処理トレイ24に積載された整合済みの媒体17の変形が、整合前の媒体17に与える影響を考慮した第1待機位置WP1で第1搬送部31を待機させることができる。したがって、媒体17が第1待機位置WP1に位置する第1搬送部31に当たり、媒体17に記録された画像が傷付く虞を低減できる。
【0102】
(第3実施形態)
次に、後処理装置の第3実施形態について図を参照しながら説明する。この第3実施形態は、待機距離が第2実施形態の場合とは異なっている。そして、その他の点では第2実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0103】
【表4】
表4には、本実施形態の待機距離L3を示す。第1濃度閾値、第2濃度閾値、第1積載閾値、及び第2積載値の値は、第2実施形態と同じである。
【0104】
記録濃度が70%以上であり、積載枚数が11枚未満である場合、待機距離L3は、例えば50mmである。記録濃度が70%以上であり、積載枚数が11枚以上且つ31枚未満である場合、待機距離L3は、例えば60mmである。記録濃度が70%以上であり、積載枚数が31枚以上である場合、待機距離L3は、例えば80mmである。
【0105】
記録濃度が30%以上且つ70%未満であり、積載枚数が11枚未満である場合、待機距離L3は、例えば30mmである。記録濃度が30%以上且つ70%未満であり、積載枚数が11枚以上且つ31枚未満である場合、待機距離L3は、例えば40mmである。記録濃度が30%以上且つ70%未満であり、積載枚数が31枚以上である場合、待機距離L3は、例えば60mmである。
【0106】
記録濃度が30%未満であり、積載枚数が11枚未満である場合、待機距離L3は、例えば10mmである。記録濃度が30%未満であり、積載枚数が11枚以上且つ31枚未満である場合、待機距離L3は、例えば20mmである。記録濃度が30%値未満であり、積載枚数が31枚以上である場合、待機距離L3は、例えば40mmである。
【0107】
積載枚数が第1積載値である11枚以上の場合と、11枚未満である場合と、の待機距離L3の差である第1待機差は、10mmである。積載閾値が第2積載値である31枚以上である場合と、31枚未満である場合と、の待機距離L3の差である第2待機差は、20mmである。すなわち、第2待機差は、第1待機差より大きい。
【0108】
[作用]
第1搬送部31を第1搬送位置TP1に移動させるとき、制御部43は、第1搬送部31を一定量移動させる。したがって、積載枚数が第1積載値以上である場合の第1搬送距離L1と、第1積載値未満である場合の第1搬送距離L1と、の第1差は、第1待機差と同じ10mmである。積載枚数が第2積載値以上である場合の第1搬送距離L1と、第2積載値未満である場合の第1搬送距離L1と、の第2差は、第2待機差と同じ20mmである。したがって、第2差は第1差より大きい。
【0109】
[第3実施形態の効果]
(11)処理トレイ24に積載される媒体17の変形は、累積される。例えば枚数の増加量に対して第1待機位置WP1の変更量が一定である場合、積載された媒体17に対して第1搬送部31を十分に離すことができない虞がある。その点、制御部43は、第1待機差より、第2待機差を大きくする。したがって、変形した媒体17が積載される場合でも、第1待機位置WP1を媒体17の変形を考慮した位置に変更でき、媒体17が第1待機位置WP1に位置する第1搬送部31に当たる虞を低減できる。
【0110】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1実施形態において、制御部43は、第1待機位置WP1に位置する第1搬送部31を、処理トレイ24に近づく方向に移動させる量を変更することで、第1搬送距離L1を変更させてもよい。
【0111】
・第1実施形態において、制御部43が記憶する積載値の数は、2つもしくは3つであってもよい。第2実施形態及び第3実施形態において、制御部43は、3つ以上の積載値を記憶していてもよい。
【0112】
・第1実施形態において、制御部43は、複数の濃度閾値と、各濃度閾値に対応する補正値とを記憶していてもよい。
・第1搬送距離L1及び待機距離L3は、第1回転軸36と積載面24aとの鉛直方向Zにおける距離であってもよい。
【0113】
・第1搬送距離L1は、積載方向D4における、積載面24aからベルト37の最上部までの距離でもよい。
・第2搬送距離L2は、第2回転軸39と積載面24aとの鉛直方向Zにおける距離であってもよい。
【0114】
・待機距離L3は、第1搬送部31が第1待機位置WP1に位置する場合の、積載方向D4における、積載面24aからベルト37の最上部までの距離でもよい。
・制御部43は、積載枚数が0枚であるときの第1搬送距離L1を、積載枚数が1枚であるときの第1搬送距離L1より大きくしてもよい。すなわち、1枚目の媒体17を押さえる第1搬送部31の第1搬送距離L1は、2枚目の媒体17を押さえる第1搬送部31の第1搬送距離L1より大きくしてもよい。第1搬送距離L1が大きくなると、第1搬送部31が媒体17を押さえる力は小さくなる。しかし、処理トレイ24と媒体17との間の摩擦力は、媒体17同士の摩擦力より小さいため、押さえる力を小さくしても媒体17を搬送することができる。
【0115】
・第1位置変更部30は、第1搬送位置TP1及び第1待機位置WP1とは異なる例えば第1基準位置に第1搬送部31を移動可能としてもよい。第1位置変更部30は、第1基準位置に位置する第1搬送部31を第1搬送位置TP1に移動させてもよい。第1位置変更部30は、第1基準位置に位置する第1搬送部31を第1待機位置WP1に移動させてもよい。
【0116】
・第2位置変更部33は、第2搬送位置TP2及び第2待機位置WP2とは異なる例えば第2基準位置に第2搬送部32を移動可能としてもよい。第2位置変更部33は、第2基準位置に位置する第2搬送部32を第2搬送位置TP2に移動させてもよい。第2位置変更部33は、第2基準位置に位置する第2搬送部32を第2待機位置WP2に移動させてもよい。
【0117】
・第1搬送部31が媒体17を搬送する速度は、積載枚数に関係なく一定であってもよい。
・第2搬送部32が媒体17を搬送する速度は、積載枚数に関係なく一定であってもよい。
【0118】
・第1搬送部31が媒体17を搬送する時間は、積載枚数に関係なく一定であってもよい。
・第2搬送部32が媒体17を搬送する時間は、積載枚数に関係なく一定であってもよい。
【0119】
・第1搬送部31と第2搬送部32のうち少なくても一方は、媒体17を搬送するローラーであってもよい。第1搬送部31は、媒体17を搬送するパドルを有してもよい。第2搬送部32は、媒体17を搬送するベルトを有してもよい。
【0120】
・第2搬送距離L2は、積載枚数に関係なく一定であってもよい。
・制御部43は、記録濃度には関係なく、積載枚数に応じて第1待機位置WP1を変更させてもよい。
【0121】
・液体は、媒体17に付着することで、この媒体17に記録することができるものであれば任意に選択することができる。例えば、インクは、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含み、水性インク、油性インク、ジェルインク、ホットメルトインク等の各種組成物を包含するものとする。
【0122】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)後処理装置は、液体を吐出することで記録を行う記録部によって記録された媒体を排出する排出部と、前記排出部によって排出された前記媒体を積載する処理トレイと、前記処理トレイに設けられ、前記媒体の端部を整合する端部整合部と、前記処理トレイに載せられた前記媒体の上面に接触する第1搬送位置で回転して該媒体を前記端部整合部へと搬送する第1搬送部と、前記処理トレイに対する前記第1搬送部の相対位置を変更する第1位置変更部と、前記第1位置変更部を制御する制御部と、前記処理トレイ上の前記媒体に後処理を行う後処理部と、を備え、前記制御部は、前記第1搬送位置に位置する前記第1搬送部と前記処理トレイとの第1搬送距離を、前記処理トレイに積載された前記媒体の積載枚数に応じて変更させ、前記積載枚数が第1積載値以上である場合の前記第1搬送距離と、前記第1積載値未満である場合の前記第1搬送距離と、の第1差より、前記積載枚数が前記第1積載値より大きい第2積載値以上である場合の前記第1搬送距離と、前記第2積載値未満である場合の前記第1搬送距離と、の第2差が大きい。
【0123】
この構成によれば、制御部は、積載枚数が第1積載値を超えたとき、第1搬送距離を第1差の分だけ大きくし、積載枚数が第2積載値を超えたとき、第1搬送距離を第2差の分だけ大きくする。第2積載値は、第1積載値より大きい。第2差は、第1差より大きい。すなわち、制御部は、積載枚数が多い場合に第1搬送距離の変更量を大きくし、第1搬送部を処理トレイから離す。そのため、処理トレイに膨潤した媒体が積載される場合でも、第1搬送部が媒体を大きな圧力で押さえてしまう虞を低減し、媒体に記録された画像を傷付ける虞を低減できる。
【0124】
(B)後処理装置において、前記積載枚数が前記第2積載値より大きい第3積載値以上である場合の前記第1搬送距離と、前記第3積載値未満である場合の前記第1搬送距離と、の第3差は、前記第2差より大きくてもよい。
【0125】
処理トレイに膨潤した媒体が積載される場合の媒体の高さと、膨潤していない媒体を同数積載した場合の媒体の高さと、の差は、積載される媒体の枚数に比例して大きくなる。その点、この構成によれば、制御部は、積載枚数が第3積載値を超えたとき、第1搬送距離を第3差の分だけ大きくする。第3積載値は、第2積載値より大きい。第3差は、第2差より大きい。すなわち、制御部は、段階的に第1搬送距離の変更量を大きくするため、積載枚数が増えた場合でも第1搬送部が媒体を大きな圧力で押さえてしまう虞を低減できる。
【0126】
(C)後処理装置において、前記制御部は、前記処理トレイ上に積載された前記媒体の記録濃度及び前記積載枚数に基づいて前記第2差を設定してもよい。
媒体は、記録濃度によって膨潤の度合いが変化する。記録濃度が大きい場合は、膨潤の度合いも大きくなり、積み重ねた媒体の高さも高くなる。この構成によれば、制御部は、記録濃度及び積載枚数に基づいて第2差を設定する。したがって、積載枚数が第2積載値を超えたときの第1搬送距離を、媒体の状態に合わせて設定することができる。
【0127】
(D)後処理装置において、前記制御部は、前記第1搬送部が前記媒体を搬送する時間を、前記積載枚数が第1枚数閾値未満である場合は、第1搬送時間にさせ、前記積載枚数が前記第1枚数閾値以上である場合は、前記第1搬送時間よりも長い第2搬送時間にさせてもよい。
【0128】
第1搬送距離を大きくした場合、第1搬送部の搬送力が媒体に伝わりにくくなることがある。その点、この構成によれば、積載枚数が第1枚数閾値未満である場合、制御部は、第1搬送部に媒体を第1搬送時間搬送させる。積載枚数が第1枚数閾値以上である場合、制御部は、第1搬送部に媒体を第2搬送時間搬送させる。第2搬送時間は、第1搬送時間より長い。すなわち、積載枚数が多い場合に低下する第1搬送部の搬送力を、第1搬送部が媒体を搬送する時間を長くすることで補うことができる。
【0129】
(E)後処理装置において、前記制御部は、前記第1搬送部が前記媒体を搬送する速度を、前記積載枚数が第2枚数閾値未満である場合は、第1搬送速度にさせ、前記積載枚数が前記第2枚数閾値以上である場合は、前記第1搬送速度よりも速い第2搬送速度にさせてもよい。
【0130】
この構成によれば、積載枚数が第2枚数閾値未満である場合、制御部は、第1搬送部に第1搬送速度で媒体を搬送させる。積載枚数が第2枚数閾値以上である場合、制御部は、第1搬送部に第2搬送速度で媒体を搬送させる。第2搬送速度は、第1搬送速度より速い。すなわち、積載枚数が多い場合に低下する第1搬送部の搬送力を、第1搬送部が媒体を搬送する速度を速くすることで補うことができる。
【0131】
(F)後処理装置は、前記処理トレイに載せられた前記媒体の前記上面に接触する第2搬送位置で回転して該媒体を前記端部整合部へと搬送する第2搬送部と、前記処理トレイに対する前記第2搬送部の相対位置を変更する第2位置変更部と、を備え、前記第1搬送部は、前記媒体に接触するベルトを有し、前記第2搬送部は、前記媒体に接触するパドルを有し、前記制御部は、前記第2位置変更部を制御して前記第2搬送位置に位置する前記第2搬送部と前記処理トレイとの第2搬送距離を、前記積載枚数に応じて変更させ、前記積載枚数が前記第1積載値以上である場合の前記第2搬送距離と、前記第1積載値未満である場合の前記第2搬送距離と、の第4差より、前記積載枚数が前記第2積載値以上である場合の前記第2搬送距離と、前記第2積載値未満である場合の前記第2搬送距離と、の第5差が小さくてもよい。
【0132】
この構成によれば、第1搬送部は、ベルトが媒体に接触して媒体を搬送する。第2搬送部は、パドルが媒体に接触して媒体を搬送する。ベルトは、媒体に接触した状態で回転して媒体を搬送するのに対し、パドルは、媒体を叩くように媒体を搬送する。したがって、媒体においてベルトと接触した部分は連続しているのに対し、パドルと接触した部分同士は離れている。そのため、パドルが媒体を大きな圧力で押さえて傷を付けてしまった場合でも、パドルが付ける傷はベルトが付ける傷より小さく目立ちにくい。制御部は、積載枚数が第1積載値を超えたとき、第2搬送距離を第4差の分だけ大きくし、積載枚数が第2積載値を超えたとき、第2搬送距離を第5差の分だけ大きくする。第5差は、第4差より小さい。すなわち、制御部は、積載枚数が多い場合に第2搬送距離の変更量を小さくし、第2搬送部を処理トレイから離す量を小さくする。したがって、積載枚数が多い場合に低下する第1搬送部の搬送力を、第2搬送距離の変更量を小さくすることで補うことができる。
【0133】
(G)後処理装置は、前記処理トレイに載せられた前記媒体の前記上面に接触する第2搬送位置で回転して該媒体を前記端部整合部へと搬送する第2搬送部を備え、前記第1搬送部は、前記媒体に接触するベルトを有し、前記第2搬送部は、前記媒体に接触するパドルを有し、前記制御部は、前記第2搬送部が前記媒体を搬送する時間を、前記積載枚数が第1枚数閾値未満である場合は、第3搬送時間にさせ、前記積載枚数が前記第1枚数閾値以上である場合は、前記第3搬送時間よりも長い第4搬送時間にさせてもよい。
【0134】
この構成によれば、積載枚数が第1枚数閾値未満である場合、制御部は、第2搬送部に媒体を第3搬送時間搬送させる。積載枚数が第1枚数閾値以上である場合、制御部は、第2搬送部に媒体を第4搬送時間搬送させる。第4搬送時間は、第3搬送時間より長い。すなわち、積載枚数が多い場合に低下する第1搬送部の搬送力を、第2搬送部が媒体を搬送する時間を長くすることで補うことができる。
【0135】
(H)後処理装置は、前記処理トレイに載せられた前記媒体の前記上面に接触する第2搬送位置で回転して該媒体を前記端部整合部へと搬送する第2搬送部を備え、前記第1搬送部は、前記媒体に接触するベルトを有し、前記第2搬送部は、前記媒体に接触するパドルを有し、前記制御部は、前記第2搬送部が前記媒体を搬送する速度を、前記積載枚数が第2枚数閾値未満である場合は、第3搬送速度にさせ、前記積載枚数が前記第2枚数閾値以上である場合は、前記第3搬送速度よりも速い第4搬送速度にさせてもよい。
【0136】
この構成によれば、積載枚数が第2枚数閾値未満である場合、制御部は、第2搬送部に第3搬送速度で媒体を搬送させる。積載枚数が第2枚数閾値以上である場合、制御部は、第2搬送部に第4搬送速度で媒体を搬送させる。第4搬送速度は、第3搬送速度より速い。すなわち、積載枚数が多い場合に低下する第1搬送部の搬送力を、第2搬送部が媒体を搬送する速度を速くすることで補うことができる。
【符号の説明】
【0137】
11…記録システム、12…記録装置、13…中間装置、14…後処理装置、15…中折装置、17…媒体、18…操作部、19…媒体収容部、21…記録部、23…排出部の一例である第1排出部、24…処理トレイ、24a…積載面、25…第2排出部、26…積載トレイ、28…端部整合部、29…後処理部、30…第1位置変更部、31…第1搬送部、32…第2搬送部、33…第2位置変更部、34…検出部、36…第1回転軸、37…ベルト、39…第2回転軸、40…パドル、43…制御部、D1…第1排出方向、D2…第2排出方向、D3…整合方向、D4…積載方向、L1…第1搬送距離、L2…第2搬送距離、L3…待機距離、TP1…第1搬送位置、TP2…第2搬送位置、WP1…第1待機位置、WP2…第2待機位置、X…幅方向、Y…搬送方向、Z…鉛直方向。