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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172621
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】電源装置管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20221110BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20221110BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
H02M7/12 W
H02J7/34 A
H02J1/00 306K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078604
(22)【出願日】2021-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】000227618
【氏名又は名称】日比谷総合設備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】峯田 喜次郎
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
5H006
【Fターム(参考)】
5G165DA01
5G165DA06
5G165EA07
5G165HA16
5G165JA09
5G165MA01
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA04
5G503DA17
5G503DA18
5H006AA04
5H006CC04
5H006DA02
5H006DB01
5H006DC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電源システムでは、実負荷と定格負荷との乖離が大きく、待機整流器を含め多数の整流器が低負荷で稼働されている実情に鑑みて、整流器を高効率で稼働するよう制御して台数の削減を図る電源装置管理システムを提供する。
【解決手段】電源装置管理システムにおいて、整流器20a、20b、……、20nの稼働状態とこれら整流器の出力容量B1、サーバ10の負荷容量B2、蓄電池50の充電容量B3をPLC2に供給し、負荷容量B2を供給できる出力容量B1を確保するのに十分な台数の整流器20a、20b、……、20nを稼働させる。
【効果】実負荷に対して必要十分な台数の整流器20a、20b、……、20nを稼働させることで、整流器20a、20b、……、20nの稼働台数を減じることができると共に、高効率で稼働させることができ、輪番稼働させるための待機整流器の台数も減じられ、無負荷損失を減じることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続された複数台の整流器と、これら整流器の出力により充電される蓄電池とからなる電源装置を制御する電源装置管理システムであって、
前記複数台の整流器のそれぞれの稼働状態についての情報と、
前記複数台の整流器から出力される出力容量と、
負荷側の装置を動作させる負荷容量と、
前記複数台の整流器のそれぞれに供給される電流の導通・非導通を切り替える開閉器の状態と、
前記蓄電池の充電容量とを、
プログラマブルロジックコントローラ(PLC)に入力して、前記負荷容量に基づいて、整流器の稼働台数を調整して、整流器を高効率で行うように稼働台数を制御し、
必要に応じて蓄電池への充電と放電とを行わせることを特徴とする電源装置管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置管理システムであって、
ネットワークを介して前記PLCを集中管理センターに接続させ、該PLCから送られる計測値に基づいて、該集中管理センターにおいて管理して、PLCに対して整流器の制御信号を送出し、PLCはこの制御信号に基づいて整流器の稼働台数を制御することを特徴とする電源装置管理システム。
【請求項3】
並列に接続された複数台の整流器と、これら整流器の出力により充電される蓄電池とからなる電源装置とからなる直流電源装置ユニットを組み合わせ、
前記複数の直流電源装置ユニットをバス配線により接続させ、
それぞれの直流電源装置ユニットに関して、
前記複数台の整流器に入力される交流電源の電力と、
前記複数台の整流器のそれぞれの稼働状態についての情報と、
前記複数台の整流器から出力される出力容量と、
負荷側の装置を動作させる負荷容量と、
前記複数台の整流器のそれぞれに供給される電流の導通・非導通を切り替える開閉器の状態と、
前記蓄電池の充電容量とを、
プログラマブルロジックコントローラ(PLC)に入力して、前記負荷容量に基づいて、直流電源装置ユニットの間同士における整流器の稼働台数を直流電源装置ユニットの間で調整して、整流器を高効率で行うように稼働台数を制御し、
必要に応じて蓄電池への充電と放電とを行わせることを特徴とする電源装置管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の電源装置管理システムであって、
前記直流電源装置ユニットのそれぞれのPLCを、ネットワークを介して集中管理センターに接続させ、それぞれのPLCから送られる情報に基づいて、該集中管理センターにおいて管理して、それぞれのPLCに対して整流器の制御信号を送出し、PLCはこの制御信号に基づいて整流器の稼働台数を制御することを特徴とする電源装置管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サーバー(通信装置)等の機器装置の定格負荷に対して適正な容量の電源装置(整流器)で稼働を行えるように電源装置を管理する電源装置管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置の整流器の容量と台数設計との関係を考察すると、サーバー等の負荷側の定格負荷に基づいて電源装置の容量が決定されている。例えば、定格負荷が24kWであれば、電源装置は6kWのものを4台と常用予備機を1~2台設置しており、この場合、合計電源容量は30~36kWとしてある。すなわち、電源装置は非常時にも安定した電源を確保する信頼性の観点から、定格負荷に要する台数Nに対して1~2台の台数が設置されている。
【0003】
例えば特許文献1には、整流装置の給電制御を行う直流電力供給装置として、冗長方式で運転される個々の整流装置の出力電流を検出して、整流装置の総合出力電流に相当する出力電流総合電圧信号を形成し、それぞれの整流器が前記出力電流総合電圧信号を予め決められた態様に従って処理して、自己が給電再開すべきか、あるいは給電停止をすべきかについて自己判断機能を有するものとすることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、冗長分の交流入力容量を必要とすることなく冗長分を含めたすべての電源を常時動作させることのできる冗長方式電源装置および電源用入力制限回路が開示されている。
すなわち、(N+M)台の電源(N、Mは1以上の整数)を並列接続した電源部と、前記電源部への交流入力容量を検出する検出手段と、前記検出手段の検出する交流入力容量がN台の電源が定格出力した場合に必要な前記電源部への交流入力容量になるように前記各電源の出力容量を制限する出力制限手段とを有する、構成とされたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-318949号公報
【特許文献2】特開2005-287177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1と特許文献2とに開示された電源装置は、いずれも定格負荷に対して冗長分を含めて電源容量が決定されているものである。
【0007】
ところで、サーバー等の定格負荷と運転時の実負荷とを比較すると、大きな乖離のあることが実計測調査により判明した。
特許文献1や特許文献2に開示された電源装置の場合、電源装置の信頼性を確保するため、冗長方式が採用されると共に、電源装置の許容容量が大きくされている。
一方、電源装置の損失は、一般的に、負荷がかからない場合でも一定の電力を消費している無負荷損失(待機電力)と負荷率により設計されている負荷損失とからなっており、電源装置は、負荷率が高い場合に高効率となるように設計されている。
【0008】
前述したように、定格負荷と実負荷との間の乖離が大きく、電源装置の稼働時における負荷側の負荷率が小さいため、電源装置は効率が低い状態で運転されている。このため、例えば、1台の電源装置を90%の電力で運転する場合の方が、運転効率が高く有利であるにも拘わらず、30%の電力で3台の電源装置を運転するようになされている。
【0009】
しかも、上述した特許文献1と特許文献2に開示された電源装置では、予め設定された態様に基づいて運転されるものであるため、実負荷が小さい状態での運転となって、電源装置の効率が劣っている。
【0010】
そこで、この発明は、実負荷とサーバー等の定格負荷との乖離をなくして、電源装置(整流器)を高効率で運転して、電源装置(整流器)の設置台数を減じることができようにする電源装置管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係る電源装置管理システムは、並列に接続された複数台の整流器と、これら整流器の出力により充電される蓄電池とからなる電源装置を制御する電源装置管理システムであって、前記複数台の整流器のそれぞれの稼働状態についての情報と、前記複数台の整流器から出力される出力容量と、負荷側の装置を動作させる負荷容量と、前記複数台の整流器のそれぞれに供給される電流の導通・非導通とを切り替える開閉器の状態と、前記蓄電池の充電容量とを、プログラマブルロジックコントローラ(PLC(Programmable Logic Controller))に入力して、前記負荷容量に基づいて、整流器の稼働台数を調整して、整流器を高効率で行うように稼働台数を制御し、必要に応じて蓄電池への充電と放電とを行わせることを特徴としている。
【0012】
作動される装置の実負荷の容量に応じた出力容量で整流器を稼働させることで、整流器が高効率で稼働される。このため、前述したように、90%の電力で1台の整流器を運転することで、従来30%の電力で運転される3台の整流器のうちの2台を減じることができる。
また、低負荷時には整流器が停止されることになり、無負荷損失が存しなくなる。
また、待機する整流器を配することで、整流器の故障が検出された場合には、当該整流器を切り離し、待機している整流器を投入することで負荷の変動に対して安定した運転を継続させることができる。
【0013】
また、前記電源装置管理システムであって、ネットワークを介して前記PLCを集中管理センターに接続させ、該PLCから送られる計測値に基づいて、該集中管理センターにおいて管理して、PLCに対して整流器の制御信号を送出し、PLCはこの制御信号に基づいて整流器の運転台数を制御することができる。
【0014】
例えば、点在する複数のデーターセンターの電源管理を、一カ所の集中管理センターにおいて管理できるものである。
【0015】
また、この発明に係る電源装置管理システムは、並列に接続された複数台の整流器と、これら整流器の出力により充電される蓄電池とからなる電源装置とからなる直流電源装置ユニットを組み合わせ、前記複数の直流電源装置ユニットをバス配線により接続させ、それぞれの直流電源装置ユニットに関して、前記複数台の整流器に入力される交流電源の電力と、前記複数台の整流器のそれぞれの稼働状態についての情報と、前記複数台の整流器から出力される出力容量と、負荷側の装置を動作させる負荷容量と、前記複数台の整流器のそれぞれに供給される電流の導通・非導通を切り替える開閉器の状態と、前記蓄電池の充電容量とを、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)に入力して、前記負荷容量に基づいて、直流電源装置ユニットの間同士における整流器の稼働台数を直流電源装置ユニットの間で調整して、整流器を高効率で行うように稼働台数を制御し、必要に応じて蓄電池への充電と放電とを行わせることを特徴としている。
【0016】
複数の直流電源装置ユニットの間で電力の融通を行えるようにしたものである。このため、複数の直流電源装置ユニットからなる設備全体の整流器の稼働効率を高くすることができ、当該設備全体の整流器の台数制御を効率的に行えると共に、無負荷損失の削減を行える。
【0017】
また、前述の電源装置管理システムであって、前記直流電源装置ユニットのそれぞれのPLCを、ネットワークを介して集中管理センターに接続させ、それぞれのPLCから送られる情報に基づいて、該集中管理センターにおいて管理して、それぞれのPLCに対して整流器の制御信号を送出し、PLCはこの制御信号に基づいて整流器の稼働台数を制御することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る電源装置管理システムによれば、整流器の運転状態を適切に制御することにより、整流器を負荷容量に応じた容量のものとすることができる。このため、整流器を効率よく運転することで、整流器の台数を減じられると共に、無負荷損失を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明に係る電源装置管理システムを説明する構成図である。
図2】この電源管理システムにより電源の管理を説明する概略のフローチャートであり、整流器の故障時・輪番時における整流器投入制御を説明する図である。
図3】この電源管理システムにより電源の管理を説明する概略のフローチャートであり、停電復帰時や負荷急増時等における整流器台数制御を説明する図である。
図4】複数の直流電源装置ユニットを連繋させて整流器台数の制御を行う構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係る電源装置管理システムを具体的に説明する。
【0021】
図1に、この発明に係る電源装置管理システムの構成が示してある。負荷として複数台のサーバ(通信設備)10が、並列に接続されて設置されている。これらサーバ10a、10b、……、10nを作動させる直流電力を供給する電源装置である複数台の整流器20a、20b、……、20nが設置されている。これら整流器20a、20b、……、20nは並列に接続されて、それぞれ、電磁開閉器31a、31b、……、31nと遮断器32a、32b、……32nと、電流計測器33a、33b、……33nとを介して主開閉器盤35に接続され、この主開閉器盤35が交流電源1に接続されて、整流器20a、20b、……、20nに交流電力が供給されている。整流器20a、20b、……、20nで整流されて出力される直流電力は、サーバ10a、10b、……、10nに電路40を介して入力されている。また、電路40には整流器20a、20b、……、20nと並列に蓄電池50が接続されている。
また、上述した電流計測器33a、33b、……33nは、電磁開閉器31a、31b、……、31nと遮断器32a、32b、……32nと共に一体的に組み込まれた遮断器一体型電流計測装置であっても、あるいは遮断器分離型電流計測装置であっても構わない。なお、これら電磁開閉器31a、31b、……、31nと遮断器32a、32b、……32n、電流計測器33a、33b、……33nとは、開閉器盤30に収容されている。
【0022】
上述した電流計測器33a、33b、……33nと電磁開閉器31a、31b、……、31n、遮断器32a、32b、……32nとは、PLC2に接続されており、電流計測器33a、33b、……33nで計測された電流値がPLC2に供給され、電磁開閉器31a、31b、……、31nの開閉状態に関する情報がPLC2に供給され、また、電磁開閉器31a、31b、……、31nの開閉動作の指令がPLC2から送出される。
なお、前記整流器20a、20b、……、20nへ供給される交流電力は、稼働中の整流器20a、20b、……、20nについて電流計測器33a、33b、……33nで計測された交流電流による合計値であり、主開閉器盤35内の電流計測装置35aによって計測される。すなわち、電流計測装置35aによる計測値ΣAは、電流計測器33a、33b、……33nによる計測値A1、A2、……、ANの合計となる。
【0023】
また、前記整流器20a、20b、……、20nに接続されている電路40の前記蓄電池50に分岐する電路の上流側に電流計測装置21が、下流側に電流計測装置22が、分岐から蓄電池50に至る電路に電流計測装置23が、それぞれ配されている。すなわち、電流計測装置21で整流器20a、20b、……、20nから出力される直流電流が計測され、電流計測装置22でサーバ10a、10b、……、10nへの供給される直流電流が計測される。また、蓄電池50の充電時あるいは放電時の容量が電流計測装置23で計測される。
すなわち、電流計測装置22で計測される電流は、サーバ10a、10b、……、10nの作動により消費される負荷容量B2である。また、電流計測装置21で計測される電流は、整流器20a、20b、……、20nから出力される出力容量B1である。また、電流計測装置23で計測される電流は、出力容量B1と負荷容量B2との差であり、サーバ10a、10b、……、10nを作動させる容量が不足する場合には、蓄電池50から放電されて、不足の容量を補う。反対に、整流器20a、20b、……、20nからの出力容量B1が余剰の場合には、この余剰容量で蓄電池50の充電が行われる。
すなわち、整流器20a、20b、……、20nから出力される総容量ΣBは、整流器20a、20b、……、20nの1台当たりの容量Cと稼働している整流器20a、20b、……、20nの台数iとの積(ΣB=C×i)となる。このΣBが電流計測装置21により計測される直流電流による出力容量B1であり、サーバ10a、10b、……、10nに供給される。一方、サーバ10a、10b、……、10nが必要とする負荷容量B2が、出力容量B1よりも大きい場合には、サーバ10a、10b、……、10nの負荷容量B2が不足することになる。このため、この差(B2-B1)を補うよう、蓄電池50から充電容量B3を放電する。他方、サーバ10a、10b、……、10nの負荷容量B2が出力容量B1よりも小さい場合には、出力容量B1に余剰が生じることになり、この余剰分を蓄電池50の充電に供する充電容量B3となる。
【0024】
そして、整流器盤20に配されている、前記電流計測装置21と電流計測装置22、電流計測装置23との計測値がPLC2に供給されている。また、整流器20a、20b、……、20nの稼働状態に関する情報がPLC2との間で交換されている。なお、整流器20a、20b、……、20nの稼働と停止は、前記電磁開閉器31a、31b、……、31nの開閉によって行うこととするが、整流器20a、20b、……、20nに開閉器が内蔵されている場合には、この内蔵されている開閉器によって行うことができる。この場合には、PLC2からは、整流器20a、20b、……、20nに内蔵された開閉器を作動させる開閉信号が送出される。
【0025】
そして、PLC2はネットワーク3を介して管理センター等の制御・管理を行うための管理装置4に接続されて、管理装置4とPLC2との間で情報が交換されている。
【0026】
以上により構成された電源装置管理システムでは、PLC2に提供される情報により整流器20a、20b、……、20nの稼働の状態を監視する。
前記電流計測器33a、33b、……33nにより計測された電流により整流器20a、20b、……、20nのうちのいずれが稼働状態にあるか、あるいはいずれが停止状態にあるかが検出される。稼働状態にある整流器20a、20b、……、20nの出力容量B1は、電流計測装置21によって計測される。また、サーバ10a、10b、……、10nを作動させる負荷容量B2は、電流計測装置22によって計測され、これらの計測値がPLC2に送出される。PLC2では、これらの計測値に基づいて、出力容量B1と負荷容量B2との差を求める。また、負荷容量B2を供給するのに必要であり、しかも高効率で整流器20a、20b、……、20nを稼働させることができるよう、出力容量B1を得るのに必要な整流器20a、20b、……、20nの稼働台数を調整する。すなわち、サーバ10a、10b、……、10nの負荷容量B2を確保して、整流器20a、20b、……、20nが高効率で稼働するように必要な稼働台数をPLC2で求める。この求められた台数の整流器20a、20b、……、20nを稼働させることで、整流器20a、20b、……、20nを効率よく稼働させることができる。
すなわち、従来、サーバ10a、10b、……、10nの定格負荷を基準に設置されて稼働している整流器20a、20b、……、20nを、実負荷に基づいて、稼働する整流器20a、20b、……、20nの台数を減じることができ、稼働する整流器20a、20b、……、20nを高効率で稼働させることができる。このため、予め設置すべき整流器20a、20b、……、20nの台数を減じて設備コストを削減でき、しかも、エネルギー効率の向上を図ることができる。
例えば、前述したように、3台の整流器20がそれぞれ30%の電力で稼働されている場合、これを1台の整流器20が90%の電力で稼働するようにすれば、稼働される整流器20を高効率で稼働でき、消費電力が削減される。
また、整流器20の稼働台数を減じることで、無負荷時の電力量の損失を小さくできる。
【0027】
また、PLC2により整流器20a、20b、……、20nの稼働状態を監視しているから、整流器20a、20b、……、20nのいずれかが故障した場合に、故障に係る整流器20a、20b、……、20nを迅速に把握することができる。
また、電流計測器33a、33b、……33nの測定値から、停電が発生したことを迅速に把握できて、蓄電池50からの放電を行うことでサーバ10a、10b、……、10nの作動を継続できる。
また、サーバ10a、10b、……、10nの作動が過負荷となった場合には、蓄電池50から放電すると共に、必要に応じて停止している整流器20a、20b、……、20nを稼働させて電源に投入する。
【0028】
図2図3とには、PLC2の監視により、整流器の故障時や停電時、稼働させる整流器を一定時間毎に変更して輪番稼働させる場合について概略のフローチャートが示してある。
なお、図1における電磁開閉器31a、31b、……、31nのうちの斜線を施してある電磁開閉器31c、31nが開放されて電流が遮断されている状態で、これら電磁開閉器31c、31nに接続されている整流器20c、20nは稼働していない状態で、投入されるのに待機している。
PLC2では、図2に示す故障時・輪番時整流器投入制御(ステップ201)と、図3に示す整流器台数制御(ステップ301)とが実行されている。なお、整流器台数制御の条件として、停電復帰等と整流器故障時、蓄電池充電時、負荷急増時を想定する。また、故障時・輪番時整流投入制御(ステップ201)と整流器台数制御(ステップ301)とは連繋しており、実行されている制御の内容についての情報が相互に交換されている。
【0029】
故障時・輪番時における整流器投入制御(ステップ201)では、整流器の故障の有無を監視している(ステップ202)。この整流器の故障は、当該時に稼働しているべき整流器(図1における整流器20a、20b、20d)について監視を行って、稼働すべき整流器20a、20b、20dが稼働していないと判断される場合には(ステップ202/YES)、当該故障整流器が切り離され、当該故障整流器に替えて停止中の整流器(図1における整流器20c、20n)が投入される(ステップ203)。その後、PLC2は故障情報を管理センター等に通知する(ステップ204)。監視に係る整流器が稼働している場合には(ステップ202/NO)、当該整流器の稼働時間が設定された時間を経過したか否かを判断する(ステップ205)。稼働時間が設定時間を経過していない場合には(ステップ205/NO)、ステップ202に戻って整流器の故障を監視する。一方、稼働時間が設定時間を経過している場合(ステップ205/YES)には、停止中の整流器20c、20nのうちのそれまでの稼働時間が小さい整流器を投入する(ステップ206)。すなわち、一定時間毎に稼働させる整流器を交換する輪番制御が行われる。
ステップ203で故障した整流器に替えて投入された整流器に対して、ステップ205にて、稼働時間の経過が判断されて、稼働時間が一定時間を経過していない場合にはステップ202にて故障の判断が実行される。
また、ステップ203で切り離された整流器に対しては、修理され、あるいは、新たな整流器と交換される。
【0030】
図3に示す整流器台数制御(ステップ301)では、蓄電池50へ充電する場合と、蓄電池50から放電する場合を示している。
【0031】
蓄電池50への充電が行われる場合は、負荷容量B2よりも出力容量B1を大きくする必要があり、すなわち、
整流器出力容量B1≧負荷容量B2+蓄電池充電容量B3 (式1)
となるよう制御する。すなわち、電流計測装置22における負荷容量B2と電流計測装置23における充電容量B3との合計よりも電流計測装置21における出力容量B1が大きくなるように、整流器20a、20b、……、20nを稼働させる制御を行う。
稼働中(ステップ311)の整流器(図1における整流器20a、20b、20d)により、蓄電池50への充電を開始する。この充電時間が1Cを超えたか否かを判断する(ステップ312)。この「1C」は、1時間での充電を行うことを示し、この時間は、例えば、01~1.0の範囲等で任意に設定できるようにすることが好ましい。充電時間が1Cを超えている場合には(ステップ312/YES)、充電時間1Cを超えても(式1)が満たされていないことになり、出力容量B1に蓄電池50を充電するための余剰容量が十分ではないためである。このため、停止中の1台目の整流器(例えば、図1における整流器20c)を投入する(ステップ313)と共に、蓄電池50の充電を開始して充電時間を監視し、充電時間が1Cを超えたか否かを判断する(ステップ314)。
充電時間が1Cを超えている場合には(ステップ314/YES)、(式1)が満たされないため、2台目の整流器(例えば、図1における整流器20n)を投入する(ステップ315)と共に、充電を開始して充電時間を監視し、充電時間が1Cを超えたか否かを判断する(ステップ316)。
充電時間が1Cを超えている場合には(ステップ316/YES)、(式1)が満たされないため、3台目の整流器(例えば、整流器20n+1)を投入する(ステップ317)と共に、充電を開始して充電時間を監視し、充電時間が1Cを超えたか否かを判断する(ステップ318)。
充電時間が1Cを超えている場合には(ステップ318/YES)、(式1)が満たされないため、N台目の整流器(例えば、整流器20n+i)を投入して(ステップ319)、充電状態を監視する。
この整流器の投入台数を順次増加させて充電時間が1Cを超えたか否かを監視して、(式1)を満たすように制御する。(式1)が満たされた場合には、ステップ213、314、316、318における判断が「NO」となる。すなわち、この時点で充電時間が1Cを超えない時点で(式1)が満たされたと認められる。なお、この「NO」と判断される場合は、上述のように、整流器の投入台数が少ない場合から順に判断され、「NO」と判断された場合には、新たな整流器の投入は行われない。
この状態で蓄電池50が十分に充電された状態となり、この蓄電池50から放電が必要となる場合に迅速に対応することができることとなる。
【0032】
前記(式1)が満たされたならば、蓄電池50が所定の容量となって充電が完了したのであるから、整流器の稼働状態や稼働時間、故障情報等を監視する(ステップ330)。そして、この整流器の稼働状態等の監視により、前述した故障時等の制御(ステップ201)が実行されることになる。
【0033】
停電や整流器の故障、負荷の急増時等には、蓄電池50から放電して十分な負荷容量B2を確保することを要するため、蓄電池50の放電が行われる。蓄電池50の放電は一時的なものとして用いて、停止している整流器20a、20b、……、20nを稼働させ、整流器の出力容量B1を負荷容量B2よりも大きくして、負荷容量の急増等に対応する。すなわち、
整流器出力容量≧負荷容量 (式2)
となるように制御する。
稼働中(ステップ321)の整流器に対して、蓄電池50の放電を開始し、放電の有無を判断する(ステップ322)。このとき、蓄電池50から放電されたならば(ステップ322/YES)、(式2)が満たされていないのであるから、すなわち蓄電池50の放電がなければ負荷容量を確保できないのであるから、停止中の1台目の整流器(例えば、図1における整流器20c)を投入する(ステップ323)と共に、蓄電池50の放電を開始し、放電の有無を判断する(ステップ324)。
放電が継続されている場合には(ステップ324/YES)、負荷容量B2が出力容量B1よりも大きく、(式2)が満たされていないのであるから、2台目の整流器(例えば、図1における整流器20n)を投入する(ステップ325)と共に、蓄電池50の放電を開始し、放電の有無を判断する(ステップ326)。
放電が継続されている場合には(ステップ326/YES)、3台目の整流器(例えば、整流器20n+1)を投入する(ステップ327)と共に、蓄電池50の放電を開始し、放電の有無を判断する(ステップ328)。
放電が継続されている場合には(ステップ328/YES)、(式2)が満たされていないのであるから、N台目の整流器(例えば、整流器20n+i)を投入して(ステップ329)、蓄電池50の放電を開始する。
この整流器の投入台数を順次増加することで蓄電池50からの放電がない状態となるよう、すなわち(式2)が満たされた場合には、ステップ322、324、326、328における判断が「NO」となる。すなわち、蓄電池50からの放電がなく、(式2)が満たされたと認められる。
【0034】
前記(式2)が満たされたならば、整流器20a、20b、……、20nの出力容量B1がサーバ10a、10b、……、10nの負荷容量B2よりも大きくなったのであるから、整流器の稼働状態や稼働時間、故障情報等を監視する(ステップ330)。そして、この整流器の稼働状態等の監視により、前述した故障時等の制御(ステップ201)が実行されることになる。
【0035】
図4には、図1に示すサーバ10a、10b、……、10nと整流器20a、20b、……、20n、蓄電池50とからなる直流電源装置が複数組の直流電源装置ユニット60a、60b、……、60nとして設置されているシステムが示してある。直流電源装置ユニット60a、60b、……、60nのそれぞれには、サーバ10(10a、10b、……、10n)と整流器20a、20b、……、20n、開閉器盤30、蓄電池50とが備えられている。なお、開閉器盤30にAC電源から給電される。また、これら直流電源装置ユニット60a、60b、……、60nのそれぞれには、図1に示す実施形態と同様に、PLC2が配されており、開閉器盤30における電磁開閉器31a、31b、……、31nの開閉状態や整流器盤20の整流器20a、20b、……、20nの稼働と停止、蓄電池50の充電容量等の情報がPLC2との間で交換されている。また、このPLC2は、それぞれネットワーク3(図1参照)を介して管理センター等の管理装置4(図1参照)に接続されている。
そして、直流電源装置ユニット60a、60b、……、60nのそれぞれの電路40は直流バス42に接続されている。
【0036】
直流電源装置ユニット60a、60b、……、60nのそれぞれについて測定されてPLC2に供された測定値は管理装置4に供される。管理装置4では、直流電源装置ユニット60a、60b、……、60nのそれぞれの稼働状態から直流電源装置ユニット60a、60b、……、60nの整流器20a、20b、……、20nの稼働状態を監視し、すべての直流電源装置ユニット60a、60b、……、60nの整流器20a、20b、……、20nが高効率で稼働されるように、整流器20a、20b、……、20nの動作台数を調整する。このとき、直流電源装置ユニット60a、60b、……、60nのすべての整流器2020a、20b、……、20nについて高効率で稼働されるように、直流バス42を介して直流電源装置ユニット60a、60b、……、60n間で電力を融通しあう。
これにより、直流電源装置ユニット60a、60b、……、60nのいずれについても、負荷容量に対して適宜な台数で整流器20a、20b、……、20nを稼働して、電力消費量を適宜な状態とすることができる。
【0037】
以上に説明したとおり、この発明に係る電源装置管理システムによれば、稼働時の負荷に応じて整流器の台数を適宜なものとすることにより、整流器を高効率で稼働でき、電力消費量の削減に寄与できる。
【符号の説明】
【0038】
1 交流電源
2 PLC
3 ネットワーク
4 管理装置
10a、10b、……、10n サーバ
20 整流器盤
20a、20b、……、20n 整流器
21 電流計測装置
22 電流計測装置
23 電流計測装置
30 開閉器盤
31a、31b、……、31n 電磁開閉器
33a、33b、……33n 電流計測器
35 主開閉器盤
40 電路
42 直流バス
50 蓄電池
60a、60b、……、60n 直流電源装置ユニット
図1
図2
図3
図4