(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172642
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】計算装置、計算方法、プログラム、制御装置、制御方法、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/65 20180101AFI20221110BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20221110BHJP
F24F 11/48 20180101ALI20221110BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20221110BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20221110BHJP
F24F 3/00 20060101ALI20221110BHJP
F24F 140/20 20180101ALN20221110BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20221110BHJP
F24F 110/22 20180101ALN20221110BHJP
F24F 140/60 20180101ALN20221110BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F11/46
F24F11/48
F24F11/64
F24F11/70
F24F3/00 B
F24F140:20
F24F110:12
F24F110:22
F24F140:60
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078637
(22)【出願日】2021-05-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】大茂 昌史
(72)【発明者】
【氏名】崔 林日
(72)【発明者】
【氏名】坂井 正頌
(72)【発明者】
【氏名】山口 徹
(72)【発明者】
【氏名】上田 憲治
【テーマコード(参考)】
3L053
3L260
【Fターム(参考)】
3L053BA05
3L053BA06
3L053BB00
3L260AB06
3L260AB09
3L260BA41
3L260BA45
3L260BA46
3L260BA75
3L260CA32
3L260CA33
3L260CB37
3L260CB42
3L260CB45
3L260CB62
3L260EA03
3L260FA02
3L260FA09
3L260FA10
3L260FB32
3L260FB33
3L260FB54
3L260FB57
(57)【要約】
【課題】環境条件に合った蓄熱モードで運転することができる計算装置、計算方法、プログラム、制御装置、制御方法、制御プログラムを提供する。
【解決手段】計算装置は、熱源井戸設備と、冷却塔、冷凍機、および冷媒回路、を有した蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムで蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する計算装置であって、シミュレーション条件を取得する取得部と、シミュレーション条件に基づき、冷却塔による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出する第一算出部と、シミュレーション条件に基づき、冷凍機による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出する第二算出部と、第一シミュレーション結果と第二シミュレーション結果とに基づき、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する決定部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水井戸、冷水井戸、前記温水井戸と前記冷水井戸とを接続する井戸側配管、および前記井戸側配管に設けられたポンプ、を備える熱源井戸設備と、
冷却塔、冷凍機、および、前記冷却塔および前記冷凍機の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管と熱交換可能な冷媒回路、を有した蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムで蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する計算装置であって、
シミュレーション条件を取得する取得部と、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出する第一算出部と、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出する第二算出部と、
前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する決定部と、
を備える計算装置。
【請求項2】
前記第一シミュレーション結果、および前記第二シミュレーション結果は、それぞれ、
前記冷媒回路と熱交換した前記井戸側配管から前記冷水井戸に対する注水温度、前記熱源井戸設備側での蓄熱量、および蓄熱を行うのに必要な動力、の少なくとも一つを含む
請求項1に記載の計算装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記第一蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力と、
前記第二蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力と、
の比較結果に基づき、前記蓄熱モードを決定する
請求項1または2に記載の計算装置。
【請求項4】
前記第二算出部は、前記第二蓄熱モードにおける蓄熱量が前記第一蓄熱モードにおける蓄熱量と同じになるように、前記第二シミュレーション結果を算出する
請求項1から3のいずれか一項に記載の計算装置。
【請求項5】
前記決定部は、複数の仮想外気条件の各仮想外気条件に関連付けて、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する
請求項1から4のいずれか一項に記載の計算装置。
【請求項6】
前記仮想外気条件は、仮想外気温度、および仮想外気湿度の少なくとも一方を含む、
請求項5に記載の計算装置。
【請求項7】
前記第一蓄熱モードにおいて、前記冷媒回路と熱交換した前記井戸側配管から前記冷水井戸に対する注水温度が上限注水温度となる限界外気温度を算出する温度算出部をさらに備え、
前記決定部は、前記限界外気温度以上となる前記仮想外気温度では、前記第二蓄熱モードを前記蓄熱モードとして選択する
請求項6に記載の計算装置。
【請求項8】
温水井戸、冷水井戸、前記温水井戸と前記冷水井戸とを接続する井戸側配管、および前記井戸側配管に設けられたポンプ、を備える熱源井戸設備と、
冷却塔、冷凍機、および、前記冷却塔および前記冷凍機の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管と熱交換可能な冷媒回路、を有した蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムで蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する計算方法であって、
シミュレーション条件を取得し、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出し、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出し、
前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する、
計算方法。
【請求項9】
温水井戸、冷水井戸、前記温水井戸と前記冷水井戸とを接続する井戸側配管、および前記井戸側配管に設けられたポンプ、を備える熱源井戸設備と、
冷却塔、冷凍機、および、前記冷却塔および前記冷凍機の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管と熱交換可能な冷媒回路、を有した蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムで蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する方法であって、
シミュレーション条件を取得し、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出し、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出し、
前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する
方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の計算装置で決定された前記蓄熱モードに関する蓄熱モード情報が記憶されたモード情報記憶部と、
前記モード情報記憶部に記憶された前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システムを運転させる運転制御部と、を備える
制御装置。
【請求項11】
実外気条件を取得する外気条件取得部を備え、
前記運転制御部は、前記外気条件取得部で取得された前記実外気条件に関連付けられた前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システムを運転させる
請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
請求項1から7のいずれか一項に記載の計算装置で決定された前記蓄熱モードに関する蓄熱モード情報を記憶させておき、
記憶された前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システムを運転させる、
制御方法。
【請求項13】
請求項1から7のいずれか一項に記載の計算装置で決定された前記蓄熱モードに関する蓄熱モード情報を記憶させておき、
記憶された前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システムを運転させる
方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計算装置、計算方法、プログラム、制御装置、制御方法、制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地下水を温熱源又は冷熱源として利用する地中熱利用システムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、温水井戸、冷水井戸、これらを接続する井戸側配管を有する熱源井戸設備と、凝縮器、及び蒸発器を備えた冷凍サイクルを有する熱源機と、を備えた地中熱利用システムが提案されている。この地中熱利用システムでは、季節に応じて、蓄冷熱運転モードと、放冷熱運転モードとを切換可能とされている。蓄冷熱運転モードは、熱源機の蒸発器と井戸側配管との間で熱交換するとともに、熱源機の凝縮器と負荷との間で熱交換する。放冷熱運転モードは、熱源機の凝縮器と井戸側配管との間で熱交換するとともに、熱源機の蒸発器と負荷との間で熱交換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されたような地中熱利用システムでは、常に、より効率のよい運転を行うことが望まれている。例えば、気温や湿度といった環境条件は日々変化している。このため、夏期、冬期といった季節だけでなく、運転時の条件に合わせて、より適した運転モードで地中熱利用システムを運転するのが好ましい。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、環境条件に合った蓄熱モードで運転することができる計算装置、計算方法、プログラム、制御装置、制御方法、制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る計算装置は、温水井戸、冷水井戸、前記温水井戸と前記冷水井戸とを接続する井戸側配管、および前記井戸側配管に設けられたポンプ、を備える熱源井戸設備と、冷却塔、冷凍機、および、前記冷却塔および前記冷凍機の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管と熱交換可能な冷媒回路、を有した蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムで蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する計算装置であって、シミュレーション条件を取得する取得部と、前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出する第一算出部と、前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出する第二算出部と、前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する決定部と、を備える。
【0008】
本開示に係る計算方法は、温水井戸、冷水井戸、前記温水井戸と前記冷水井戸とを接続する井戸側配管、および前記井戸側配管に設けられたポンプ、を備える熱源井戸設備と、冷却塔、冷凍機、および、前記冷却塔および前記冷凍機の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管と熱交換可能な冷媒回路、を有した蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムで蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する計算方法であって、シミュレーション条件を取得し、前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出し、前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出し、前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する。
【0009】
本開示に係るプログラムは、温水井戸、冷水井戸、前記温水井戸と前記冷水井戸とを接続する井戸側配管、および前記井戸側配管に設けられたポンプ、を備える熱源井戸設備と、冷却塔、冷凍機、および、前記冷却塔および前記冷凍機の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管と熱交換可能な冷媒回路、を有した蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムで蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する方法であって、シミュレーション条件を取得し、前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出し、前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出し、前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の計算装置、計算方法、プログラム、制御装置、制御方法、制御プログラムによれば、環境条件に合った蓄熱モードで運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムの概略構成を示す系統図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムにおいて、冷房運転モードの運転を行う場合の地下水、媒体の流れを示す図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムにおいて、暖房運転モードの運転を行う場合の地下水、媒体の流れを示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムにおいて、第一蓄熱モードで冷水蓄熱運転を行う場合の地下水、媒体の流れを示す図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムにおいて、第二蓄熱モードで冷水蓄熱運転を行う場合の地下水、媒体の流れを示す図である。
【
図7】本開示の実施形態に係る計算方法の流れを示すフローチャートである。
【
図8】本開示の実施形態に係る制御方法の流れを示すフローチャートである。
【
図9】本開示の実施形態に係る計算装置、制御装置がそれぞれ備えるコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において同一または相当する構成には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0013】
<実施形態>
本開示に係る地中熱利用システムの実施形態について、
図1~
図8を参照して説明する。
(地中熱利用システムの構成)
図1、
図2に示すように、地中熱利用システム1は、熱源井戸設備10と、蓄熱補助設備100と、熱交換器4(
図1参照)と、計算装置200(
図2参照)と、制御装置300(
図2参照)と、を主に備える。
【0014】
(熱源井戸設備の構成)
図1に示すように、熱源井戸設備10は、温水井戸21と、冷水井戸22と、井戸側配管3と、ポンプ31と、を主に備える。
【0015】
温水井戸21、冷水井戸22は、それぞれ、地上から帯水層内に延びている。
温水井戸21、冷水井戸22は、それぞれ、帯水層の地下水を取り込んだり、温水井戸21、冷水井戸22の内部から帯水層へ地下水を戻したりできるように構成されている。
【0016】
熱源井戸設備10は、温水井戸21および冷水井戸22のうちの一方から地下水をくみ上げ、熱交換器4で熱交換を行った後、温水井戸21および冷水井戸22のうちの他方に熱交換後の地下水を注入する。つまり、熱源井戸設備10は、温水井戸21から地下水をくみ上げて冷水井戸22に注水する場合と、冷水井戸22から地下水をくみ上げて温水井戸21に注水する場合の、2つの運転モードを有する。
【0017】
井戸側配管3は、温水井戸21と冷水井戸22とを接続する。
井戸側配管3の両端は、温水井戸21、冷水井戸22の内部に延びている。
例えば、井戸側配管3は、温水井戸21と冷水井戸22とを接続するように、温水井戸21と冷水井戸22との各地下水に両端が浸漬されていてもよい。
【0018】
井戸側配管3には、ポンプ31が設けられている。
井戸側配管3の両端部には、ポンプ31がそれぞれ設けられている。
ポンプ31は、温水井戸21、冷水井戸22から井戸側配管3に揚水する。
例えば、ポンプ31は、井戸側配管3の両端に設けられ、温水井戸21、冷水井戸22内の地下水に浸漬されていてもよい。
例えば、ポンプ31は、インバータ制御により出力を変更できてもよい。
【0019】
熱交換器4は、井戸側配管3内の地下水と蓄熱補助設備100側の媒体との間で熱交換する。
例えば、熱交換器4は、温水井戸21からくみ上げられて井戸側配管3内を流れる地下水と、蓄熱補助設備100側の媒体との間で熱交換する。熱交換が行われた後の地下水は、熱交換器4から井戸側配管3内を流れ、冷水井戸22に注水される。
例えば、熱交換器4は、冷水井戸22からくみ上げられて井戸側配管3内を流れる地下水と、蓄熱補助設備100側の媒体との間で熱交換する。熱交換が行われた後の地下水は、熱交換器4から井戸側配管3内を流れ、温水井戸21に注水される。
例えば、熱交換器4は、地上において、井戸側配管3の途中に設けられていてもよい。
【0020】
熱交換器4を経た水が温水の場合、温水井戸21では温水蓄熱を行う。
熱交換器4を経た水が冷水の場合、冷水井戸22では冷水蓄熱を行う。
ここで「温水」とは、帯水層の地下水の初期地中温度より高い温度の水のことであり、「冷水」とは、帯水層の地下水の初期地中温度より低い温度の水のことである。
例えば、帯水層の地下水の初期地中温度は18℃である。
【0021】
(蓄熱補助設備の構成)
蓄熱補助設備100は、蓄熱補助設備100は、熱交換器4で井戸側配管3内の地下水と熱交換を行った媒体を利用する。
蓄熱補助設備100は、冷却塔130と、熱源機110と、冷媒回路101と、を少なくとも備えている。
本実施形態において、蓄熱補助設備100は、例えば、熱源機110と、空調機120と、冷却塔130と、冷媒回路101と、を備えている。
蓄熱補助設備100は、例えば、熱源機110と、空調機120と、を備えた空気調和システムを構成してもよい。
【0022】
例えば、熱源機110は、コンデンサ、エバポレータ、コンプレッサ等を備えたヒートポンプであってもよい。
空調機120は、熱源機110から供給される媒体(冷水)と熱交換することで、空調機120が設置された空間の空気調和を行う。
【0023】
冷却塔130は、冷却水を大気と接触させて気化させるときの気化熱により、冷却水を冷却する。冷却塔130は、第二熱交換器140との間で冷却水を循環させる。
第二熱交換器140は、空気調和システム側の冷媒回路101の媒体(冷却水)と、冷却塔130側の冷却水との間で熱交換を行う。
第二熱交換器140は、冷却塔130で冷却された冷却水との熱交換により、空気調和システム側の冷媒回路101の媒体を冷却する。
上記熱源機110と、冷却塔130とにより、冷凍機150が構成されている。
【0024】
冷媒回路101は、熱交換器4と、熱源機110と、空調機120と、第二熱交換器140との間で、媒体の流路を形成する。
冷媒回路101は、不図示のポンプ、開閉弁等が適宜設けられ、運転モードに応じ、熱交換器4、熱源機110、空調機120、および第二熱交換器140の間で、媒体を所定のルートで循環させる。
例えば、蓄熱補助設備100は、冷媒回路101における媒体の循環ルートを切り換えることで、冷房運転モードと、暖房運転モードとで、運転モードの切換が可能とされている。
【0025】
(冷房運転モードの構成)
図3に示すように、冷房運転モードでは、蓄熱補助設備100側で冷房運転を行い、温水井戸21で温水蓄熱を行う。この場合、冷水井戸22のポンプ31は、地下水をくみ上げて熱交換器4に送り込む。熱交換器4は、井戸側配管3内の地下水と蓄熱補助設備100側の冷媒回路101を流れる媒体との間で熱交換を行う。蓄熱補助設備100側において、熱交換器4における熱交換により冷却された媒体(冷却水)は、熱源機110に送り込まれ、熱源機110において空調機120側の媒体(冷水)と熱交換される。これにより、熱源機110と接続された空調機120は、室内の冷房を行うことができる。他方、熱源機110における熱交換によって加熱された媒体(冷却水)は、熱交換器4に再び送りこまれて冷却された後循環する。熱交換器4では、加熱された媒体と井戸側配管3内を流れる地下水との熱交換を行うことで、地下水が加熱される。加熱された地下水を、井戸側配管3を通して温水井戸21に注水することで、温水蓄熱がなされる。
【0026】
(暖房運転モードの構成)
図4に示すように、暖房運転モードでは、蓄熱補助設備100側で暖房運転を行い、冷水井戸22で冷水蓄熱を行う。この場合、温水井戸21のポンプ31は、地下水(温水)をくみ上げて熱交換器4に送り込む。熱交換器4は、井戸側配管3内の地下水と蓄熱補助設備100側の冷媒回路101を流れる媒体との間で熱交換を行う。蓄熱補助設備100側において、熱交換器4における熱交換により加熱された媒体は、熱源機110に送り込まれ、熱源機110において熱交換される。これにより、熱源機110と接続された空調機120は、室内の暖房を行うことができる。他方、熱源機110における熱交換によって冷却された媒体は、熱交換器4に再び送りこまれて循環する。熱交換器4では、冷却された媒体と井戸側配管3内を流れる地下水との熱交換を行うことで、地下水が冷却される。冷却された地下水を、井戸側配管3を通して冷水井戸22に注水することで、冷水蓄熱がなされる。
【0027】
また、地中熱利用システム1は、外気温度が低い冬期(又は夜間)において、暖房運転を行っていない状態で地下水を冷却することで、冷水井戸22で冷水蓄熱を行うことができる。
地中熱利用システム1は、冷水蓄熱を行う際、冷却塔130による蓄熱を含む第一蓄熱モードと、冷凍機150による蓄熱を含む第二蓄熱モードとの間で、蓄熱モードの切換が可能とされている。
地中熱利用システム1は、後述する制御装置300の制御により、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードで冷水蓄熱を行う。
【0028】
(第一蓄熱モードの構成)
図5に示すように、第一蓄熱モードでは、冷却塔130で大気と接触させて気化させるときの気化熱により冷却した冷却水を、第二熱交換器140に送る。第二熱交換器140では、冷却水と、冷媒回路101の媒体との熱交換が行われる。つまり第二熱交換器140は、冷却塔130で冷却された冷却水によって、冷媒回路101の媒体を冷却する。冷却された媒体は、熱交換器4に送られ、井戸側配管3内の地下水と熱交換を行う。この場合、温水井戸21のポンプ31は、地下水(温水)をくみ上げて熱交換器4に送り込む。これによって、井戸側配管3内の地下水は冷却されて冷水井戸22に注水され、冷水蓄熱がなされる。
【0029】
(第二蓄熱モードの構成)
図6に示すように、第二蓄熱モードでは、冷却塔130と熱源機110とを冷凍機150として用いる。この場合、温水井戸21のポンプ31は、地下水(温水)をくみ上げて熱交換器4に送り込む。蓄熱補助設備100側において、媒体は、第二熱交換器140側から熱源機110に送り込まれる。熱源機110は、熱交換器4側から送られてくる媒体(冷水)を熱交換により冷却する。熱源機110における熱交換によって冷却された媒体(冷水)は、熱交換器4に送りこまれる。熱交換器4では、冷却された媒体と井戸側配管3内を流れる地下水との熱交換を行うことで、地下水が冷却される。冷却された地下水を、井戸側配管3を通して冷水井戸22に注水することで、冷水蓄熱がなされる。他方、熱源機110で熱交換器4側の媒体(冷水)との熱交換により温度上昇した媒体(冷却水)は、第二熱交換器140に送られる。第二熱交換器140は、熱源機110から送られた媒体を、冷却塔130で冷却された冷却水と熱交換することで冷却する。
【0030】
(計算装置の構成)
図2に示すように、計算装置200は、地中熱利用システム1で蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する。
計算装置200は、地中熱利用システム1で、冷水蓄熱を行う場合に、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとのうち、どちらの蓄熱モードで冷水蓄熱を行うのが適切か、予めシミュレーション計算を行う。計算装置200は、シミュレーション計算の結果に基づき、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する。
【0031】
本実施形態において、計算装置200は、地中熱利用システム1に備えられている。つまり、計算装置200は、地中熱利用システム1の設置場所に設けられている。
計算装置200は、例えば、制御装置300とともに設けられていてもよい。
計算装置200は、制御装置300の一部の構成として、制御装置300に組み込まれていてもよい。
また、計算装置200は、地中熱利用システム1の設置場所とは異なる場所に設けられていてもよい。
例えば、計算装置200は、有線または無線を用いた外部ネットワークを介し、制御装置300とデータ通信可能に設けてもよい。
【0032】
計算装置200は、取得部210と、第一算出部220と、第二算出部230と、温度算出部240と、決定部250と、を機能的に備えている。
【0033】
取得部210は、シミュレーション条件を取得する。
取得部210は、蓄熱モードを決定するために行うシミュレーション計算の前提となるシミュレーション条件を取得する。
取得するシミュレーション条件としては、例えば、外気条件がある。
外気条件は、例えば、外気温度、および外気湿度の少なくとも一方を含むようにしてもよい。
外気条件は、外気温度、および外気湿度の双方を含むようにしてもよい。
本実施形態において、外気条件は、例えば、地中熱利用システム1が設置された場所(エリア)で想定される外気温度(範囲)、および外気湿度(範囲)を含む。
取得部210で取得するシミュレーション条件としては、揚水温度、上限注水温度を含んでいてもよい。揚水温度は、温水井戸21で揚水できる地下水の温度である。上限注水温度は、冷水井戸22で冷水蓄熱を行う場合に、冷水井戸22に注水される地下水の注水温度の上限値である。上限注水温度は、例えば、冷水井戸22に地下水を注入したときに冷水井戸22内の地下水の温度上昇が抑えられる注水温度の上限値である。
取得部210は、取得する外気温度、外気湿度を、シミュレーションを行うための仮想外気条件として取得する。
【0034】
取得部210は、シミュレーション条件として、熱源井戸設備10、蓄熱補助設備100を構成する機器の仕様を含むようにしてもよい。
機器の仕様としては、例えば、熱源井戸設備10のポンプ31、蓄熱補助設備100の熱源機110、冷却塔130、冷媒回路101に設けられたポンプ(図示無し)、蓄熱補助設備100側の媒体の仕様等を含むようにしてもよい。
【0035】
取得部210は、例えばオペレータが各シミュレーション条件の数値等の入力を受け付けることによって、シミュレーション条件を取得してもよい。
取得部210は、例えば、熱源井戸設備10、蓄熱補助設備100を構成する各機器の仕様を記憶したデータベース等から、シミュレーション条件を取得してもよい。
【0036】
第一算出部220は、取得部210で取得したシミュレーション条件に基づき、冷却塔130による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーション計算を実施する。
第一算出部220は、シミュレーション条件に基づいて、
図5に示したような、冷却塔130を用いた蓄熱を含む第一蓄熱モードで運転を行った場合のシミュレーション計算を実施する。
第一算出部220は、冷却塔130を用いて媒体を冷却することによって、冷水井戸22に冷水蓄熱を行った場合のシミュレーション計算を実施する。
第一算出部220は、仮想外気条件として取得された、仮想外気温度、仮想外気湿度の範囲内で、温度、湿度を様々に異ならせて、複数回のシミュレーション計算を実施する。
第一算出部220は、シミュレーション計算によって得られた結果である第一シミュレーション結果を算出(出力)する。
第一算出部220は、シミュレーション計算により得られる第一シミュレーション結果として、注水温度、蓄熱量、動力、の少なくとも一つを含んでいてもよい。注水温度は、冷媒回路101と熱交換した井戸側配管3から冷水井戸22に注水される地下水の温度である。蓄熱量は、冷媒回路101と熱交換した井戸側配管3から冷水井戸22に注水することで得られるエネルギ量である。蓄熱を行うのに必要な動力とは、第一蓄熱モードで蓄熱するのに必要な、熱源井戸設備10側のポンプ31、蓄熱補助設備100の冷媒回路101に設けられた各種ポンプ(図示無し)、冷却塔130を動作させるための動力である。
【0037】
第二算出部230は、取得部210で取得したシミュレーション条件に基づき、冷凍機150(熱源機110、および冷却塔130)による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーション計算を実施する。
第二算出部230は、シミュレーション条件に基づいて、
図6に示したような、冷凍機150を用いた蓄熱を含む第二蓄熱モードで運転を行った場合のシミュレーション計算を実施する。
第二算出部230は、冷凍機150を用いて媒体を冷却することによって、冷水井戸22に冷水蓄熱を行った場合のシミュレーション計算を実施する。
第二算出部230は、仮想外気条件として取得された、仮想外気温度、仮想外気湿度の範囲内で、温度、湿度を異ならせて、複数回のシミュレーション計算を実施する。
第二算出部230は、シミュレーション計算によって得られた結果である第二シミュレーション結果を算出(出力)する。
第二算出部230は、算出する第二シミュレーション結果として、注水温度、蓄熱量、動力、の少なくとも一つを含んでいてもよい。
第二算出部230は、第二蓄熱モードにおける蓄熱量が第一蓄熱モードにおける蓄熱量と同じになるように、第二シミュレーション結果を算出するようにしてもよい。
第二算出部230が算出する動力は、熱源井戸設備10側のポンプ31、蓄熱補助設備100の冷媒回路101側に設けられた各種ポンプ(図示無し)、冷却塔130、熱源機110を動作させるための動力である。
【0038】
温度算出部240は、第一蓄熱モードにおいて、冷媒回路101と熱交換した井戸側配管3から冷水井戸22に注水される地下水の注水温度が上限注水温度となる限界外気温度を算出する。
【0039】
決定部250は、第一算出部220で算出された第一シミュレーション結果と、第二算出部230で算出された第二シミュレーション結果とに基づき、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する。
決定部250は、例えば、第一シミュレーション結果、第二シミュレーション結果に含まれる注水温度、蓄熱量、動力を比較するようにしてもよい。
決定部250は、例えば、第一シミュレーション結果と第二シミュレーション結果との比較の結果、例えば、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとのうち、注水温度が低い方を蓄熱モードとして決定する。
決定部250は、第二蓄熱モードにおける蓄熱量が第一蓄熱モードにおける蓄熱量と同じになるようにシミュレーションを行った場合、注水温度が低い方を蓄熱モードとして決定してもよい。
決定部250は、例えば、第一シミュレーション結果と第二シミュレーション結果との比較の結果、例えば、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとのうち、蓄熱量が多い方を蓄熱モードとして決定する。
決定部250は、例えば、第一シミュレーション結果と第二シミュレーション結果との比較の結果、例えば、第一蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力と、第二蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力との比較結果に基づき、動力が小さい方を蓄熱モードとして決定する。
決定部250は、第二蓄熱モードにおける蓄熱量が第一蓄熱モードにおける蓄熱量と同じになるようにシミュレーションを行った場合、第一蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力と、第二蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力との比較結果に基づき、動力が小さい方を蓄熱モードとして決定するようにしてもよい。
【0040】
また、決定部250は、温度算出部240で算出される限界外気温度以上となる仮想外気温度の条件では、第二蓄熱モードを蓄熱モードとして選択する。冷却塔130を用いる第一蓄熱モードでは、外気温度が高い場合に、冷却塔130における冷却が十分に行えず、注水温度が上限注水温度以上となってしまうことがあるためである。
決定部250は、予め定められた目標冷水蓄熱量(例えば冷水蓄熱量と温水蓄熱量が同等になるように予測して冷水蓄熱を行うなど)と現状の冷水蓄熱量を比較し、大容量の冷水蓄熱が可能な第二蓄熱モードを蓄熱モードとして決定してもよい。冷却塔130を用いる第一蓄熱モードでは、十分な冷水蓄熱量が得られない可能性があるためである。
【0041】
決定部250では、第一シミュレーション結果と第二シミュレーション結果とを比較した結果、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとのうち、決定した蓄熱モードを、シミュレーション計算を行ったときの仮想外気条件ごとに関連付けた蓄熱モード情報を生成する。
決定部250は、決定した蓄熱モードを、シミュレーション計算を行った仮想外気温度(例えば、1℃ごと)に関連付けた蓄熱モード情報を生成してもよい。
決定部250は、決定した蓄熱モードを、シミュレーション計算を行った仮想外気湿度(例えば、5%ごと)に関連付けた蓄熱モード情報を生成してもよい。
決定部250は、決定した蓄熱モードを、シミュレーション計算を行った仮想外気温度と仮想湿度との各組み合わせに関連付けた蓄熱モード情報を生成してもよい。
決定部250は、生成した蓄積モード情報を、後述する制御装置300に出力する。
【0042】
本実施形態の計算装置200の動作について説明する。
計算装置200の動作は、計算方法の実施形態に相当する。
計算装置200は、
図7に示す各ステップを実施する。
【0043】
まず、取得部210は、シミュレーション条件を取得する(ST01:シミュレーション条件を取得するステップ)。取得部210は、シミュレーション条件として、外気条件(外気温度、外気湿度)を取得する。
例えば、シミュレーション条件として、揚水温度、上限注水温度をさらに取得してもよい。
例えば、取得部210は、シミュレーション条件として、熱源井戸設備10のポンプ31、蓄熱補助設備100の熱源機110、冷却塔130、冷媒回路101に設けられたポンプ(図示無し)、蓄熱補助設備100側の媒体の仕様等をさらに取得してもよい。
【0044】
ST01の実施に続いて、第一算出部220は、取得部210で取得したシミュレーション条件に基づき、冷却塔130による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーション計算を実施し、第一シミュレーション結果を得る(ST02:第一蓄熱モードでのシミュレーション計算を実施するステップ)。
【0045】
ST02の実施に続いて、第二算出部230は、取得部210で取得したシミュレーション条件に基づき、冷凍機150による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーション計算を実施し、第二シミュレーション結果を得る(ST03:第二蓄熱モードでのシミュレーション計算を実施するステップ)。
【0046】
ST03の実施に続いて、決定部250は、ST02で得られた第一シミュレーション結果と、ST03で得られた第二シミュレーション結果とに基づき、第一蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力と、第二蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力とを比較する(ST04:第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとの動力を比較するステップ)。
【0047】
また、ST02の実施に続いて、温度算出部240は、第一蓄熱モードで蓄熱を行った場合、冷水井戸22に対する注水温度が、上限注水温度となる限界外気温度を算出する(ST05:第一蓄熱モードでの限界外気温度を算出するステップ)。ST05は、ST04、ST05を並行して行ってもよいし、ST03、ST04の前、または後に実施するようにしてもよい。
【0048】
ST04、およびST05の完了後、決定部250は、第一算出部220で算出された第一シミュレーション結果と、第二算出部230で算出された第二シミュレーション結果とに基づき、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する(ST06:蓄熱モードを決定するステップ)。決定部250は、第一シミュレーション結果、第二シミュレーション結果に含まれる注水温度、蓄熱量、動力を比較し、例えば省エネルギ性が高くなるように、蓄熱モードを決定してもよい。
決定部250は、冷水井戸22に対する注水温度が上限注水温度を超えないように、例えば、限界外気温度以上となる仮想外気温度では、第二蓄熱モードを蓄熱モードとして選択してもよい。
【0049】
ST06の実施後、決定部250は、決定した蓄熱モードを仮想外気条件ごとに関連付けた蓄熱モード情報を、生成する(ST07:蓄熱モード情報を生成するステップ)。決定部250は、生成した蓄積モード情報を、制御装置300に出力する。
【0050】
(制御装置の構成)
図2に示すように、制御装置300は、地中熱利用システム1の動作を制御する。
制御装置300は、冷房運転モード、暖房運転モード、第一蓄熱モード、第二蓄熱モードのそれぞれにおいて、地中熱利用システム1の各部の動作を制御する。
制御装置300は、冷水蓄熱を行う場合、計算装置200で決定された蓄熱モードで運転する。
制御装置300は、運転時における実外気条件に基づき、実外気条件に対応する蓄熱モードで、地中熱利用システム1の運転を行う。
【0051】
制御装置300は、モード情報記憶部310と、外気条件取得部320と、運転制御部330と、を備える。
【0052】
モード情報記憶部310は、計算装置200から出力された蓄熱モード情報を記憶している。
モード情報記憶部310は、計算装置200、仮想外気条件ごとに決定された蓄熱モードが関連付けられた蓄熱モード情報を記憶している。
【0053】
外気条件取得部320は、実外気条件を取得する。
外気条件取得部320は、実外気条件として、実外気温度、および実外気湿度の少なくとも一方を取得する。
外気条件取得部320は、実外気条件として、実外気温度、および実外気温度の双方を取得してもよい。
外気条件取得部320は、例えば、温度計、湿度計等によって地中熱利用システム1が設けられている場所における実外気温度、実外気湿度の検出値を、実外気条件として取得してもよい。
外気条件取得部320は、例えば、オペレータによって入力される実外気温度、実外気湿度の数値を取得するようにしてもよい。
外気条件取得部320は、外部のネットワークを介して、実外気温度、実外気湿度のデータを取得するようにしてもよい。
【0054】
運転制御部330は、モード情報記憶部310に記憶された蓄熱モードに基づき、地中熱利用システム1を運転させる。
運転制御部330は、モード情報記憶部310に記憶された蓄熱モードと、実外気条件とに基づき、第一蓄熱モードと第二次苦熱モードとのいずれかの蓄熱モードで、地中熱利用システム1を運転させる。
運転制御部330は、モード情報記憶部310に記憶された蓄熱モード情報を参照し、取得された実外気条件に対応する仮想外気条件に関連付けられた蓄熱モードを取得する。
運転制御部330は、取得された蓄熱モードで、熱源井戸設備10、蓄熱補助設備100の各部を制御し、冷水蓄熱運転を行う。
【0055】
本実施形態の制御装置300の動作について説明する。
制御装置300の動作は、制御方法の実施形態に相当する。
制御装置300は、
図8に示す各ステップを実施する。
【0056】
まず、外気条件取得部320は、実外気条件を取得する(ST11:実外気条件を取得するステップ)。
【0057】
ST11の実施後、運転制御部330は、モード情報記憶部310に記憶された蓄熱モード情報を参照し、取得された実外気条件に対応する仮想外気条件に関連付けられた蓄熱モードを取得する(ST12:実外気条件に対応した蓄熱モードの情報を取得するステップ)。運転制御部330は、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとのうち、そのときの実外気条件において、比較の結果、適切であると計算装置200で決定された方の蓄熱モードを取得する。
【0058】
ST12の実施後、運転制御部330は、取得した蓄熱モードに基づき、地中熱利用システム1を運転させる(ST13:取得した蓄熱モードで地中熱利用システムを運転させるステップ)。
運転制御部330は、実外気条件に対応して第一蓄熱モードを取得した場合、第一蓄熱モードで冷水蓄熱を行う。
運転制御部330は、実外気条件に対応して第二蓄熱モードを取得した場合、第二蓄熱モードで冷水蓄熱を行う。
【0059】
(作用及び効果)
本実施形態によれば、計算装置200は、冷却塔130による蓄熱を含む第一蓄熱モードを行った場合の第一シミュレーション結果と、冷凍機150による蓄熱を含む第二蓄熱モードを行った場合の第二シミュレーション結果とに基づき、蓄熱モードを決定する。これにより、計算装置200は、環境条件に適した蓄熱モードを、シミュレーションに基づいて高い精度で決定することができる。その結果、地中熱利用システム1は、環境条件に合った蓄熱モードで運転することが可能となる。
【0060】
また本実施形態の一例によれば、第一シミュレーション結果、および第二シミュレーション結果は、それぞれ、注水温度、蓄熱量、および動力、の少なくとも一つを含む。
これにより、冷却塔130による蓄熱を含む第一蓄熱モードと、冷凍機150による蓄熱を含む第二蓄熱モードとで、注水温度、蓄熱量、動力の少なくとも一つを比較することで、決定部250は、蓄熱モードを適切に決定することができる。
【0061】
また本実施形態の一例によれば、決定部250は、第一蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力と、第二蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力とを比較する。これにより、決定部250は、必要な動力が少なく、より省エネルギ性の高い蓄熱モードを選択することができる。
【0062】
また本実施形態の一例によれば、第二算出部230は、第二蓄熱モードにおける蓄熱量が第一蓄熱モードにおける蓄熱量と同じになるように、第二シミュレーション結果を算出する。これにより、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとで蓄熱量を同じにした状態で、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとを比較することで、決定部250は、適切な蓄熱モードを選択することができる。
【0063】
また本実施形態の一例によれば、決定部250は、複数の仮想外気条件の各仮想外気条件に関連付けて、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する。このように、仮想外気条件に関連付けて蓄熱モードを決定することによって、地中熱利用システム1は、運転時の実外気条件に応じた適切な蓄熱モードで運転を行うことが可能となる。
【0064】
また本実施形態の一例によれば、仮想外気条件は、仮想外気温度、および仮想外気湿度の少なくとも一方を含む。
これにより、地中熱利用システム1は、運転時の実外気温、実外気温度に応じた適切な蓄熱モードで運転を行うことが可能となる。
【0065】
また本実施形態の一例によれば、決定部250は、限界外気温度以上となる仮想外気温度では、第二蓄熱モードを蓄熱モードとして選択する。
これにより、実外気温が高く、冷却塔130による冷却を行うと注水温度が高くなってしまう場合に、地中熱利用システム1は、冷却塔130による冷却は行わず、冷凍機150を用いた蓄熱を行うことで、注水温度上昇を抑えることができる。
【0066】
本実施形態の計算方法によれば、第一シミュレーション結果と第二シミュレーション結果とに基づき、蓄熱モードを決定することによって、環境条件に適した蓄熱モードを、シミュレーションに基づいて高い精度で決定することができる。その結果、地中熱利用システム1は、環境条件に合った蓄熱モードで運転することが可能となる。
【0067】
本実施形態によれば、制御装置300は、計算装置200で決定された蓄熱モードに関する蓄熱モード情報が記憶されたモード情報記憶部310と、モード情報記憶部310に記憶された蓄熱モードに基づき、地中熱利用システム1を運転させる運転制御部330と、を備える。
これにより、地中熱利用システム1は、計算装置200によるシミュレーションに基づいて高い精度で決定された、環境条件に適した蓄熱モードで運転を行うことが可能となる。
【0068】
また本実施形態の一例によれば、運転制御部330は、外気条件取得部320で取得された実外気条件に関連付けられた蓄熱モードに基づき、地中熱利用システム1を運転させる。
これにより、計算装置200によるシミュレーションに基づいて高い精度で決定された、環境条件に適した蓄熱モードで、地中熱利用システム1の運転を行うことが可能となる。その結果、地中熱利用システム1は、環境条件に合った蓄熱モードで運転することが可能となる。
【0069】
本実施形態における制御方法によれば、計算装置200によるシミュレーションに基づいて高い精度で決定された、環境条件に適した蓄熱モードで、地中熱利用システム1の運転を行うことが可能となる。その結果、地中熱利用システム1は、環境条件に合った蓄熱モードで運転することが可能となる。
【0070】
<変形例>
なお、上述の実施形態においては、計算装置200、制御装置300のそれぞれの各種機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをマイコンといったコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各種処理を行うものとしている。ここで、コンピュータシステムのCPUの各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0071】
上述の実施形態において、計算装置200、制御装置300のそれぞれの各種機能を実現するためのプログラムを実行させるコンピュータ190のハードウェア構成の例について説明する。
【0072】
図9に示すように、計算装置200、制御装置300のそれぞれが備えるコンピュータ190は、プロセッサ195と、メモリ196と、記憶/再生装置197と、Input Output Interface(以下、「IO I/F」という。)198と、通信Interface(以下、「通信I/F」という。)199と、を備える。
【0073】
例えば、プロセッサ195は、CPUであってもよい。
例えば、メモリ196は、計算装置200、制御装置300のそれぞれで実行されるプログラムで使用されるデータ等を一時的に記憶するRandom Access Memory(以下、「RAM」という。)等の媒体であってもよい。
例えば、記憶/再生装置197は、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ等の外部メディアへデータ等を記憶したり、外部メディアのデータ等を再生したりするための装置であってもよい。
例えば、IO I/F198は、計算装置200、制御装置300のそれぞれと他の装置との間で情報等の入出力を行うためのインタフェースであってもよい。
例えば、通信I/F199は、インターネット、専用通信回線等の通信回線を介して、計算装置200、制御装置300のそれぞれと他の装置との間で通信を行うインタフェースであってもよい。
【0074】
<その他の実施形態>
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として示したものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、本開示の範囲や要旨に含まれると同様に、本開示の範囲とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0075】
<付記>
実施形態に記載の計算装置200、計算方法、プログラム、制御装置300、制御方法、制御プログラムは、例えば以下のように把握される。
【0076】
(1)第1の態様に係る計算装置200は、温水井戸21、冷水井戸22、前記温水井戸21と前記冷水井戸22とを接続する井戸側配管3、および前記井戸側配管3に設けられたポンプ31、を備える熱源井戸設備10と、冷却塔130、冷凍機150、および、前記冷却塔130および前記冷凍機150の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管3と熱交換可能な冷媒回路101、を有した蓄熱補助設備100と、を備える地中熱利用システム1で蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する計算装置200であって、シミュレーション条件を取得する取得部210と、前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔130による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出する第一算出部220と、前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機150による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出する第二算出部230と、前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する決定部250と、を備える。
【0077】
この計算装置200は、冷却塔130による蓄熱を含む第一蓄熱モードを行った場合の第一シミュレーション結果と、冷凍機150による蓄熱を含む第二蓄熱モードを行った場合の第二シミュレーション結果とに基づき、蓄熱モードを決定する。これにより、計算装置200は、環境条件に適した蓄熱モードを、シミュレーションに基づいて高い精度で決定することができる。その結果、地中熱利用システム1は、環境条件に合った蓄熱モードで運転することが可能となる。
【0078】
(2)第2の態様に係る計算装置200は、(1)の計算装置200であって、前記第一シミュレーション結果、および前記第二シミュレーション結果は、それぞれ、前記冷媒回路101と熱交換した前記井戸側配管3から前記冷水井戸22に対する注水温度、前記熱源井戸設備10側での蓄熱量、および蓄熱を行うのに必要な動力、の少なくとも一つを含む。
【0079】
これにより、冷却塔130による蓄熱を含む第一蓄熱モードと、冷凍機150による蓄熱を含む第二蓄熱モードとで、注水温度、蓄熱量、動力の少なくとも一つを比較することで、決定部250は、蓄熱モードを適切に決定することができる。
【0080】
(3)第3の態様に係る計算装置200は、(1)又は(2)の計算装置200であって、前記決定部250は、前記第一蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力と、前記第二蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力と、の比較結果に基づき、前記蓄熱モードを決定する。
【0081】
これにより、第一蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力と、第二蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力とを比較することで、決定部250は、より省エネルギ性の高い蓄熱モードを選択することができる。
【0082】
(4)第4の態様に係る計算装置200は、(1)から(3)の何れか一つの計算装置200であって、前記第二算出部230は、前記第二蓄熱モードにおける蓄熱量が前記第一蓄熱モードにおける蓄熱量と同じになるように、前記第二シミュレーション結果を算出する。
【0083】
これにより、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとで蓄熱量を同じにした状態で、第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとを比較することで、決定部250は、適切な蓄熱モードを選択することができる。
【0084】
(5)第5の態様に係る計算装置200は、(1)から(4)の何れか一つの計算装置200であって、前記決定部250は、複数の仮想外気条件の各仮想外気条件に関連付けて、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する。
【0085】
これにより、仮想外気条件に関連付けて蓄熱モードを決定することによって、地中熱利用システム1は、運転時の実外気条件に応じた適切な蓄熱モードで運転を行うことが可能となる。
【0086】
(6)第6の態様に係る計算装置200は、(5)の計算装置200であって、前記仮想外気条件は、仮想外気温度、および仮想外気湿度の少なくとも一方を含む。
【0087】
これにより、地中熱利用システム1は、運転時の実外気温、実外気温度に応じた適切な蓄熱モードで運転を行うことが可能となる。
【0088】
(7)第7の態様に係る計算装置200は、(5)または(6)の計算装置200であって、前記第一蓄熱モードにおいて、前記冷媒回路101と熱交換した前記井戸側配管3から前記冷水井戸22に対する注水温度が上限注水温度となる限界外気温度を算出する温度算出部240をさらに備え、前記決定部250は、前記限界外気温度以上となる前記仮想外気温度では、前記第二蓄熱モードを前記蓄熱モードとして選択する。
【0089】
これにより、注水温度が上限注水温度以上となる仮想外気温度では、第二蓄熱モードを蓄熱モードとして選択することによって、地中熱利用システム1は、実外気温が高く、冷却塔130による冷却を行うと注水温度が高くなってしまう場合に、冷却塔130による冷却は行わず、冷凍機150を用いた蓄熱を行うことで、注水温度上昇を抑えることができる。
【0090】
(8)第8の態様に係る計算方法は、温水井戸21、冷水井戸22、前記温水井戸21と前記冷水井戸22とを接続する井戸側配管3、および前記井戸側配管3に設けられたポンプ31、を備える熱源井戸設備10と、冷却塔130、冷凍機150、および、前記冷却塔130および前記冷凍機150の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管3と熱交換可能な冷媒回路101、を有した蓄熱補助設備100と、を備える地中熱利用システム1で蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する計算方法であって、シミュレーション条件を取得し、前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔130による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出し、前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機150による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出し、前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する。
【0091】
これにより、第一シミュレーション結果と第二シミュレーション結果とに基づき、蓄熱モードを決定することによって、環境条件に適した蓄熱モードを、シミュレーションに基づいて高い精度で決定することができる。その結果、地中熱利用システム1は、環境条件に合った蓄熱モードで運転することが可能となる。
【0092】
(9)第9の態様に係るプログラムは、温水井戸21、冷水井戸22、前記温水井戸21と前記冷水井戸22とを接続する井戸側配管3、および前記井戸側配管3に設けられたポンプ31、を備える熱源井戸設備10と、冷却塔130、冷凍機150、および、前記冷却塔130および前記冷凍機150の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管3と熱交換可能な冷媒回路101、を有した蓄熱補助設備100と、を備える地中熱利用システム1で蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する方法であって、シミュレーション条件を取得し、前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔130による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出し、前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機150による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出し、前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する方法をコンピュータに実行させる。
【0093】
これにより、第一シミュレーション結果と第二シミュレーション結果とに基づき、蓄熱モードを決定することによって、環境条件に適した蓄熱モードを、シミュレーションに基づいて高い精度で決定することができる。その結果、地中熱利用システム1は、環境条件に合った蓄熱モードで運転することが可能となる。
【0094】
(10)第10の態様に係る制御装置300は、(1)から(7)の何れか一つの計算装置200で決定された前記蓄熱モードに関する蓄熱モード情報が記憶されたモード情報記憶部310と、前記モード情報記憶部310に記憶された前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システム1を運転させる運転制御部330と、を備える。
【0095】
これにより、地中熱利用システム1は、計算装置200によるシミュレーションに基づいて高い精度で決定された、環境条件に適した蓄熱モードで運転を行うことが可能となる。
【0096】
(11)第11の態様に係る制御装置300は、(10)の制御装置300であって、実外気条件を取得する外気条件取得部320を備え、前記運転制御部330は、前記外気条件取得部320で取得された前記実外気条件に関連付けられた前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システム1を運転させる。
【0097】
これにより、計算装置200によるシミュレーションに基づいて高い精度で決定された、環境条件に適した蓄熱モードで、地中熱利用システム1の運転を行うことが可能となる。その結果、地中熱利用システム1は、環境条件に合った蓄熱モードで運転することが可能となる。
【0098】
(12)第12の態様に係る制御方法は、(1)から(7)の何れか一つの前記蓄熱モードに関する蓄熱モード情報を記憶させておき、記憶された前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システム1を運転させる。
【0099】
これにより、計算装置200によるシミュレーションに基づいて高い精度で決定された、環境条件に適した蓄熱モードで、地中熱利用システム1の運転を行うことが可能となる。その結果、地中熱利用システム1は、環境条件に合った蓄熱モードで運転することが可能となる。
【0100】
(13)第13の態様に係る制御プログラムは、(1)から(7)の何れか一つの計算装置200で決定された前記蓄熱モードに関する蓄熱モード情報を記憶させておき、記憶された前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システム1を運転させる方法をコンピュータに実行させる。
【0101】
これにより、計算装置200によるシミュレーションに基づいて高い精度で決定された、環境条件に適した蓄熱モードで、地中熱利用システム1の運転を行うことが可能となる。その結果、地中熱利用システム1は、環境条件に合った蓄熱モードで運転することが可能となる。
【符号の説明】
【0102】
1…地中熱利用システム
2…井戸
3…井戸側配管
4…熱交換器
10…熱源井戸設備
21…温水井戸
22…冷水井戸
31…ポンプ
100…蓄熱補助設備
101…冷媒回路
110…熱源機
120…空調機
130…冷却塔
140…第二熱交換器
150…冷凍機
190…コンピュータ
195…プロセッサ
196…メモリ
197…記録/再生装置
198…IO I/F
199…通信I/F
200…計算装置
210…取得部
220…第一算出部
230…第二算出部
240…温度算出部
250…決定部
300…制御装置
310…モード情報記憶部
320…外気条件取得部
330…運転制御部
ST01…シミュレーション条件を取得するステップ
ST02…第一蓄熱モードでのシミュレーション計算を実施するステップ
ST03…第二蓄熱モードでのシミュレーション計算を実施するステップ
ST04…第一蓄熱モードと第二蓄熱モードとの動力を比較するステップ
ST05…第一蓄熱モードでの限界外気温度を算出するステップ
ST06…蓄熱モードを決定するステップ
ST07…蓄熱モード情報を生成するステップ
ST11…実外気条件を取得するステップ
ST12…実外気条件に対応した蓄熱モードを取得するステップ
ST13…取得した蓄熱モードで地中熱利用システムを運転させるステップ
【手続補正書】
【提出日】2022-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水井戸、冷水井戸、前記温水井戸と前記冷水井戸とを接続する井戸側配管、および前記井戸側配管に設けられたポンプ、を備える熱源井戸設備と、
冷却塔、冷凍機、および、前記冷却塔および前記冷凍機の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管と熱交換可能な冷媒回路、を有した蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムで蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する計算装置であって、
シミュレーション条件を取得する取得部と、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出する第一算出部と、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出する第二算出部と、
前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する決定部と、
を備え、
前記決定部は、複数の仮想外気条件の各仮想外気条件に関連付けて、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する計算装置。
【請求項2】
前記第一シミュレーション結果、および前記第二シミュレーション結果は、それぞれ、
前記冷媒回路と熱交換した前記井戸側配管から前記冷水井戸に対する注水温度、前記熱源井戸設備側での蓄熱量、および蓄熱を行うのに必要な動力、の少なくとも一つを含む
請求項1に記載の計算装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記第一蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力と、
前記第二蓄熱モードで蓄熱するのに必要な動力と、
の比較結果に基づき、前記蓄熱モードを決定する
請求項1または2に記載の計算装置。
【請求項4】
前記第二算出部は、前記第二蓄熱モードにおける蓄熱量が前記第一蓄熱モードにおける蓄熱量と同じになるように、前記第二シミュレーション結果を算出する
請求項1から3のいずれか一項に記載の計算装置。
【請求項5】
前記仮想外気条件は、仮想外気温度、および仮想外気湿度の少なくとも一方を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の計算装置。
【請求項6】
前記第一蓄熱モードにおいて、前記冷媒回路と熱交換した前記井戸側配管から前記冷水井戸に対する注水温度が上限注水温度となる限界外気温度を算出する温度算出部をさらに備え、
前記決定部は、前記限界外気温度以上となる前記仮想外気温度では、前記第二蓄熱モードを前記蓄熱モードとして選択する
請求項5に記載の計算装置。
【請求項7】
温水井戸、冷水井戸、前記温水井戸と前記冷水井戸とを接続する井戸側配管、および前記井戸側配管に設けられたポンプ、を備える熱源井戸設備と、
冷却塔、冷凍機、および、前記冷却塔および前記冷凍機の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管と熱交換可能な冷媒回路、を有した蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムで蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する計算方法であって、
シミュレーション条件を取得し、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出し、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出し、
前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定し、
前記蓄熱モードの決定において、複数の仮想外気条件の各仮想外気条件に関連付けて、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する
計算方法。
【請求項8】
温水井戸、冷水井戸、前記温水井戸と前記冷水井戸とを接続する井戸側配管、および前記井戸側配管に設けられたポンプ、を備える熱源井戸設備と、
冷却塔、冷凍機、および、前記冷却塔および前記冷凍機の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管と熱交換可能な冷媒回路、を有した蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムで蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する方法であって、
シミュレーション条件を取得し、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出し、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出し、
前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定し、
前記蓄熱モードの決定において、複数の仮想外気条件の各仮想外気条件に関連付けて、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する
方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載の計算装置で決定された前記蓄熱モードに関する蓄熱モード情報が記憶されたモード情報記憶部と、
前記モード情報記憶部に記憶された前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システムを運転させる運転制御部と、を備える
制御装置。
【請求項10】
実外気条件を取得する外気条件取得部を備え、
前記運転制御部は、前記外気条件取得部で取得された前記実外気条件に関連付けられた前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システムを運転させる
請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか一項に記載の計算装置で決定された前記蓄熱モードに関する蓄熱モード情報を記憶させておき、
記憶された前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システムを運転させる、
制御方法。
【請求項12】
請求項1から6のいずれか一項に記載の計算装置で決定された前記蓄熱モードに関する蓄熱モード情報を記憶させておき、
記憶された前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システムを運転させる
方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【請求項13】
温水井戸、冷水井戸、前記温水井戸と前記冷水井戸とを接続する井戸側配管、および前記井戸側配管に設けられたポンプ、を備える熱源井戸設備と、
冷却塔、冷凍機、および、前記冷却塔および前記冷凍機の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管と熱交換可能な冷媒回路、を有した蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムで蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する計算装置であって、
シミュレーション条件を取得する取得部と、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出する第一算出部と、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出する第二算出部と、
前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する決定部と、
を備える計算装置で決定された前記蓄熱モードに関する蓄熱モード情報が記憶されたモード情報記憶部と、
実外気条件を取得する外気条件取得部と、
前記モード情報記憶部に記憶された前記蓄熱モードであり、前記外気条件取得部で取得された前記実外気条件に関連付けられた前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システムを運転させる運転制御部と、を備える
制御装置。
【請求項14】
温水井戸、冷水井戸、前記温水井戸と前記冷水井戸とを接続する井戸側配管、および前記井戸側配管に設けられたポンプ、を備える熱源井戸設備と、
冷却塔、冷凍機、および、前記冷却塔および前記冷凍機の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管と熱交換可能な冷媒回路、を有した蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムで蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する計算装置であって、
シミュレーション条件を取得する取得部と、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出する第一算出部と、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出する第二算出部と、
前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する決定部と、
を備える計算装置で決定された前記蓄熱モードに関する蓄熱モード情報を記憶させておき、
実外気条件を取得し、
記憶された前記蓄熱モードであり、取得された前記実外気条件に関連付けられた前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システムを運転させる
制御方法。
【請求項15】
温水井戸、冷水井戸、前記温水井戸と前記冷水井戸とを接続する井戸側配管、および前記井戸側配管に設けられたポンプ、を備える熱源井戸設備と、
冷却塔、冷凍機、および、前記冷却塔および前記冷凍機の少なくとも一方に接続されて前記井戸側配管と熱交換可能な冷媒回路、を有した蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムで蓄熱を行う際の蓄熱モードを決定する計算装置であって、
シミュレーション条件を取得する取得部と、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷却塔による蓄熱を含む第一蓄熱モードのシミュレーションの結果である第一シミュレーション結果を算出する第一算出部と、
前記シミュレーション条件に基づき、前記冷凍機による蓄熱を含む第二蓄熱モードのシミュレーションの結果である第二シミュレーション結果を算出する第二算出部と、
前記第一シミュレーション結果と前記第二シミュレーション結果とに基づき、前記第一蓄熱モードと前記第二蓄熱モードとのうち、いずれかの蓄熱モードを決定する決定部と、
を備える計算装置で決定された前記蓄熱モードに関する蓄熱モード情報を記憶させておき、
実外気条件を取得し、
記憶された前記蓄熱モードであり、取得された前記実外気条件に関連付けられた前記蓄熱モードに基づき、前記地中熱利用システムを運転させる
方法をコンピュータに実行させるための制御プログラム。