(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172646
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】組立家具
(51)【国際特許分類】
A47B 96/20 20060101AFI20221110BHJP
A47B 47/00 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
A47B96/20 Z
A47B47/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078647
(22)【出願日】2021-05-06
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】398047696
【氏名又は名称】株式会社セキチュー
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】特許業務法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158377
【弁理士】
【氏名又は名称】三谷 祥子
(72)【発明者】
【氏名】土田 一聡
(72)【発明者】
【氏名】大村 忠
【テーマコード(参考)】
3B054
【Fターム(参考)】
3B054BA05
3B054BA10
3B054BA17
3B054BB04
3B054BB09
3B054BB16
3B054BC03
3B054BC07
3B054BC14
3B054CA09
(57)【要約】
【課題】 組立家具の改良。
【解決手段】組立家具用の交差板(1)。交差板(1)を含む、組立家具。交差板(1)と、背板(2)及び/又はスペーサー(3)を含む、組立家具。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立家具用の交差板(1)であって、
交差板(1)は、1以上の切欠付きユニット(10)を含む平板であり、
切欠付きユニット(10)は、4辺(Sla,SLb,SWa,SWb)を有する方形(110)の一部が2つの方形状の切欠(N1,N2)によって欠損したものであって、
方形(110)において、
辺(SLa)と辺(SLb)が、交差板(1)の長さ方向に沿い、向かい合う平行な2辺であり、
辺(SWa)と辺(SWb)が、交差板(1)の幅方向に沿い、向かい合う平行な2辺であり、
切欠(N1)は、
方形(110)のうち辺(SLa)と辺(SWa)とで挟まれた区画を、辺(SLa)と辺(SWa)との交点を始点に、交差板(1)の長さ方向に距離(L1)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、方形 (110)を切り欠いており、
切欠(N2)は、
方形(110)のうち辺(SLa)と辺(SWb)とで挟まれた区画を、辺(SLa)と辺(SWb)との交点を始点に、交差板(1)の長さ方向に距離(L2)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、方形 (110)を切り欠いており、
切欠(N1)と切欠(N2)とが、交互に、交差板(1)の長さ方向の片側に開口して、配置されており、
交差板(1)が、切欠(N1)及び/又は切欠(N2)において、他の交差板(1)と噛み合うことができる、
交差板(1)。
【請求項2】
交差板(1)の幅が、切欠(N1)と切欠(N2)の交差板(1)の幅方向に距離(W)の2倍:(W+W)である、請求項1に記載の組立家具用の交差板(1)。
【請求項3】
2以上の切欠付きユニット(10)からなる交差板(1)が、
長さ方向の始端に切欠(Ne1)を有し、
長さ方向の終端に切欠(Ne2)を有し、
切欠(Ne1)と切欠(Ne2)の間に1以上の切欠(N12)を有し、
さらに、
切欠(Ne1)は、交差板(1)の始端から、交差板(1)の長さ方向に距離(Le1)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いており、
切欠(Ne2)は、交差板(1)の終端から、交差板(1)の長さ方向に距離(Le2)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いており、
切欠(N12)は、交差板(1)の長さ方向に距離(L12)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いており、
距離(Le1)、距離(Le2)、距離(L1)、距離(L2)、距離(L12)の間に、(Le1)=(Le2)=(L12),(L1)+(L2)=(L12)が成立する、
請求項1に記載の交差板(1)。
【請求項4】
辺(SLa)、辺(SLb)、辺(SWa)、辺(SWb)の長さが等しい、請求項1に記載の交差板(1)。
【請求項5】
請求項1に記載の交差板(1)を含む、組立家具。
【請求項6】
DIY仕様である、請求項4に記載の組立家具。
【請求項7】
交差板(1)と、背板(2)及び/又はスペーサー(3)を含む、組立家具であって、
交差板(1)は、1以上の切欠付きユニット(10)を含む平板であり、
切欠付きユニット(10)は、4辺(Sla,SLb,SWa,SWb)を有する方形(110)の一部が2つの方形状の切欠(N1,N2)によって欠損したものであって、
方形(110)において、
辺(SLa)と辺(SLb)が、交差板(1)の長さ方向に沿い、向かい合う平行な2辺であり、
辺(SWa)と辺(SWb)が、交差板(1)の幅方向に沿い、向かい合う平行な2辺であり、
切欠(N1)は、
方形(110)のうち辺(SLa)と辺(SWa)とで挟まれた区画を、辺(SLa)と辺(SWa)との交点を始点に、交差板(1)の長さ方向に距離(L1)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、方形 (110)を切り欠いており、
切欠(N2)は、
方形(110)のうち辺(SLa)と辺(SWb)とで挟まれた区画を、辺(SLa)と辺(SWb)との交点を始点に、交差板(1)の長さ方向に距離(L2)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、方形 (110)を切り欠いており、
切欠(N1)と切欠(N2)とが、交互に、交差板(1)の長さ方向の片側に開口して、配置されており、
交差板(1)が、切欠(N1)及び/又は切欠(N2)において、他の交差板(1)と噛み合うことができる、
背板(2)を、噛み合わされた4枚の交差板(1)に接するように配置することができ、
切欠(N1)及び/又は切欠(N2)が交差板(1)を切り欠いている区画を、スペーサー(3)で閉塞することができる、
組立家具。
【請求項8】
交差板(1)の幅が、切欠(N1)と切欠(N2)の交差板(1)の幅方向に距離(W)の2倍:(W+W)である、請求項7に記載の組立家具。
【請求項9】
2以上の切欠付きユニット(10)からなる交差板(1)が、
長さ方向の始端に切欠(Ne1)を有し、
長さ方向の終端に切欠(Ne2)を有し、
切欠(Ne1)と切欠(Ne2)の間に1以上の切欠(N12)を有し、
さらに、
切欠(Ne1)は、交差板(1)の始端から、交差板(1)の長さ方向に距離(Le1)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いており、
切欠(Ne2)は、交差板(1)の終端から、交差板(1)の長さ方向に距離(Le2)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いており、
切欠(N12)は、交差板(1)の長さ方向に距離(L12)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いており、
距離(Le1)、距離(Le2)、距離(L1)、距離(L2)、距離(L12)の間に、(Le1)=(Le2)=(L12),(L1)+(L2)=(L12)が成立する、
請求項7に記載の組立家具。
【請求項10】
辺(SLa)、辺(SLb)、辺(SWa)、辺(SWb)の長さが等しい、請求項7に記載の組立家具。
【請求項11】
DIY仕様である、請求項7に記載の組立家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立家具用の交差板、この交差板を含む組立家具、この交差板を構造単位に含む家具に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の家具市場において組立家具、すなわち家具のパーツが組み合わされたもので購入後に組み立てを要する家具製品は、比較的低価格であることと、パーツの組み合わせによってサイズ変更が容易である点が、評価されている。特に、購入者が家庭で組み立てることを想定したDIY仕様の組立家具は、一般家庭への搬入が容易で、作る楽しみを体験できるため、消費者の人気が高い。
【0003】
このような組立家具には、構造が単純で組立が容易であること、様々なサイズやデザインを実現できること、家具として十分な強度を有することなどが、求められている。そこで、これまでに様々な構成材(ユニット)を用いた組立家具が提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、ダンボールからなるリサイクル可能なキッズ用組立家具が記載されている。この組立家具は移動や組立が簡単であるという長所を有するが、重量物の積載や大型化は困難である。
【0005】
例えば特許文献2には、段ボールシート製の側板と横板とを構造単位とする組立家具が記載されている。この組立家具は、パーツが軽量で薄型であるために一般家庭で利用し易い点、様々なサイズの家具に加工できる点で、優れる。しかし、この組立家具の場合、収納物が外から見えない、使用者がダンボールシートの壁に囲まれるため圧迫感がある、デザインに変化をつけ難い、といった問題がある。
例えば特許文献3には、2種類の板部材のみで組み立てることができる組立家具が記載されている。この組立家具は、特別な接続部材や工具を必要としない点で利便性が高いが、出来上がる家具は、特許文献3の
図5に示される棚とその類似品に限られ、しかも、完成された棚には突出部(
図5の符号14で示される部分)が必ず出現するため、サイズやデザインのバリエーションに欠ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-198887号公報
【特許文献2】特許第6366874号公報
【特許文献3】実用新案登録第3229918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、単純な構造、組立が容易である、優れたデザイン、サイズのバリエーションが豊富である、といった要求性能のすべてを満足する組立家具は、未だ見出されていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者は、これらの要求性能のすべてを満足する組立家具を求めて努力した。その結果、1以上の切欠付きユニットを含む平板からなり、長さのバリエーションに富む板状部材を組立家具の主要な構成単位とすることによって、理想的な組立家具を実現した。すなわち本発明は以下のものである。
【0009】
(発明1)組立家具用の交差板(1)であって、
交差板(1)は、1以上の切欠付きユニット(10)を含む平板であり、
切欠付きユニット(10)は、4辺(Sla,SLb,SWa,SWb)を有する方形(110)の一部が2つの方形状の切欠(N1,N2)によって欠損したものであって、
方形(110)において、
辺(SLa)と辺(SLb)が、交差板(1)の長さ方向に沿い、向かい合う平行な2辺であり、
辺(SWa)と辺(SWb)が、交差板(1)の幅方向に沿い、向かい合う平行な2辺であり、
切欠(N1)は、
方形(110)のうち辺(SLa)と辺(SWa)とで挟まれた区画を、辺(SLa)と辺(SWa)との交点を始点に、交差板(1)の長さ方向に距離(L1)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、方形 (110)を切り欠いており、
切欠(N2)は、
方形(110)のうち辺(SLa)と辺(SWb)とで挟まれた区画を、辺(SLa)と辺(SWb)との交点を始点に、交差板(1)の長さ方向に距離(L2)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、方形 (110)を切り欠いており、
切欠(N1)と切欠(N2)とが、交互に、交差板(1)の長さ方向の片側に開口して、配置されており、
交差板(1)が、切欠(N1)及び/又は切欠(N2)において、他の交差板(1)と噛み合うことができる、
交差板(1)。
【0010】
(発明2)交差板(1)の幅が、切欠(N1)と切欠(N2)の交差板(1)の幅方向に距離(W)の2倍:(W+W)である、発明1の交差板(1)。
【0011】
(発明3)2以上の切欠付きユニット(10)からなる交差板(1)が、
長さ方向の始端に切欠(Ne1)を有し、
長さ方向の終端に切欠(Ne2)を有し、
切欠(Ne1)と切欠(Ne2)の間に1以上の切欠(N12)を有し、
さらに、
切欠(Ne1)は、交差板(1)の始端から、交差板(1)の長さ方向に距離(Le1)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いており、
切欠(Ne2)は、交差板(1)の終端から、交差板(1)の長さ方向に距離(Le2)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いており、
切欠(N12)は、交差板(1)の長さ方向に距離(L12)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いており、
距離(Le1)、距離(Le2)、距離(L1)、距離(L2)、距離(L12)の間に、(Le1)=(Le2)=(L12),(L1)+(L2)=(L12)が成立する、
発明1の交差板(1)。
【0012】
(発明4)辺(SLa)、辺(SLb)、辺(SWa)、辺(SWb)の長さが等しい、発明1の交差板(1)。
【0013】
(発明5)発明1の交差板(1)を含む、組立家具。
【0014】
(発明6)DIY仕様である、発明4の組立家具。
【0015】
(発明7)交差板(1)と、背板(2)及び/又はスペーサー(3)を含む、組立家具であって、
交差板(1)は、1以上の切欠付きユニット(10)を含む平板であり、
切欠付きユニット(10)は、4辺(Sla,SLb,SWa,SWb)を有する方形(110)の一部が2つの方形状の切欠(N1,N2)によって欠損したものであって、
方形(110)において、
辺(SLa)と辺(SLb)が、交差板(1)の長さ方向に沿い、向かい合う平行な2辺であり、
辺(SWa)と辺(SWb)が、交差板(1)の幅方向に沿い、向かい合う平行な2辺であり、
切欠(N1)は、
方形(110)のうち辺(SLa)と辺(SWa)とで挟まれた区画を、辺(SLa)と辺(SWa)との交点を始点に、交差板(1)の長さ方向に距離(L1)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、方形 (110)を切り欠いており、
切欠(N2)は、
方形(110)のうち辺(SLa)と辺(SWb)とで挟まれた区画を、辺(SLa)と辺(SWb)との交点を始点に、交差板(1)の長さ方向に距離(L2)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、方形 (110)を切り欠いており、
切欠(N1)と切欠(N2)とが、交互に、交差板(1)の長さ方向の片側に開口して、配置されており、
交差板(1)が、切欠(N1)及び/又は切欠(N2)において、他の交差板(1)と噛み合うことができる、
背板(2)を、噛み合わされた4枚の交差板(1)に接するように配置することができ、
切欠(N1)及び/又は切欠(N2)が交差板(1)を切り欠いている区画を、スペーサー(3)で閉塞することができる、
組立家具。
【0016】
(発明8)交差板(1)の幅が、切欠(N1)と切欠(N2)の交差板(1)の幅方向に距離(W)の2倍:(W+W)である、発明7の組立家具。
【0017】
(発明9)2以上の切欠付きユニット(10)からなる交差板(1)が、
長さ方向の始端に切欠(Ne1)を有し、
長さ方向の終端に切欠(Ne2)を有し、
切欠(Ne1)と切欠(Ne2)の間に1以上の切欠(N12)を有し、
さらに、
切欠(Ne1)は、交差板(1)の始端から、交差板(1)の長さ方向に距離(Le1)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いており、
切欠(Ne2)は、交差板(1)の終端から、交差板(1)の長さ方向に距離(Le2)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いており、
切欠(N12)は、交差板(1)の長さ方向に距離(L12)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いており、
距離(Le1)、距離(Le2)、距離(L1)、距離(L2)、距離(L12)の間に、(Le1)=(Le2)=(L12),(L1)+(L2)=(L12)が成立する、
発明7の組立家具。
【0018】
(発明10)辺(SLa)、辺(SLb)、辺(SWa)、辺(SWb)の長さが等しい、発明7の組立家具。
【0019】
(発明11)DIY仕様である、発明7の組立家具。
【発明の効果】
【0020】
本発明の組立家具は、部品点数が少ないにも関わらず強度に優れ、デザイン性が良好で様々なサイズに対応でき、組立が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明で用いる切掛けユニット(10)の1例。
【
図2】本発明で用いる切欠付きユニット(10)の原型である、方形(110)の1例。
【
図3】本発明における方形(110)と切欠付きユニット(10)の関係。
【
図12】本発明の交差板(1)、背板(2)、スペーサー(3)の例。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[組立家具] 本発明の組立家具は、交差板(1)を含む。本発明の組立家具は(1)交差板の他にオプションとして、背板(2)及び/又はスペーサー(3)を構造材として含む。以下、図面を参照させて各構造単位について詳述する。
図1~
図13は本発明の理解を助けるための参考図である。図面の表示には細部の省略や誇張があって、実際の発明品は描写されていない。
【0023】
[交差板(1)] 本発明の組立家具において、交差板(1)は家具の本体の骨格を決定する構造単位である。交差板(1)だけで家具を完成することが出来る点で、本発明の交差板(1)は画期的である。
【0024】
交差板(1)は、1以上の切欠付きユニット(10)からなる平板である。ここで「平板」とは、古典的な家具材である木板に限られない。本発明で言う「平板」の、材質、長さ、幅、厚みは、家具の構造材として許容される限り、制限されない。
【0025】
切欠付きユニット(10)は、4辺(Sla,SLb,SWa,SWb)を有する方形(110)の一部が2つの方形状の切欠(N1,N2)によって欠損したものである。本発明では「方形」は長方形又は正方形を意味する。交差板(1)は厚みのある平板であるから、厳密には、切欠付きユニット(10)も厚みを有する平板である。それゆえ、実際には、「方形(110)」は、切欠付きユニット(10)の原型である、表面が方形で厚みのある平板の表面形状を意味する。以下、冗長な表現を避けるために「方形(110)」と言う表現を用いる。
【0026】
図1に、本発明の交差板(1)に含まれる切掛けユニット(10)の1例(1)を示す。切掛けユニット(10)は、2枚の平板が連結したT字形をなす。
【0027】
図2に、切欠付きユニット(10)の原型である方形(110)の1例(110)を示す。方形(110)は、辺(Sla)(1101),辺(SLb)(1102),辺(SWa)(1103),辺(SWb)(1104)を有する。辺(SLa)(1101)と辺(SLb)(1102)が向かい合う平行な2辺である。辺(SWa)(1103)と辺(SWb)(1104)が向かい合う平行な2辺である。
【0028】
図3に、方形(110)と切欠付きユニット(10)の関係を示す。点線(1105)は、切欠付きユニット(10)の原型となった方形(110)の外周を表す。切欠付きユニット(10)には、2つの方形状の切欠(N1,N2)(101,102)がある。
【0029】
図4に、切欠(N1)(101)を拡大して示す。切欠(N1)(101)は長方形であって、方形(110)の外周をなす辺(SLa)(1101)と辺(SWa)(1103)とで挟まれた部分を、辺(SLa)(1101)と辺(SWa)(1103)との交点(1106)を始点に、方形(110)を切り欠いている。
図4で示す例では、切欠(N1)(101)の長辺の長さがWであり、切欠(N1)(101)の短辺の長さがL1である。
【0030】
図5に、切欠(N2)(102)を拡大して示す。切欠(N2)(102)は長方形であって、方形(110)の外周をなす辺(SLa)(1101)と辺(SWb)(1104)とで挟まれた部分を、辺(SLa)(1101)と辺(SWb)(1104)との交点(1107)を始点に、方形(110)を切り欠いている。
図5で示す例では、切欠(N2)(102)の長辺の長さがWであり、切欠(N2)(102)の短辺の長さがL2である。
【0031】
図6に、本発明の交差板(1)の例(11,12,13,14,15)を示す。交差板(11,12,13,14,15)のいずれもが切欠付きユニット(10)を含む。矢印は本発明の交差板(1)の長さ方向を表す。
【0032】
本発明の交差板(1)は1以上の切欠付きユニット(10)を含む。1つの切欠付きユニット(10)をそのまま交差板(1)として用いることができる。複数の切欠付きユニット(10)を含む交差板(1)は、通常は、予め準備した切欠付きユニット(10)を接続せず、母材とする平板材料から最終形状に合わせた形状を裁断し、切欠けを形成する。木質材料から交差板(1)を製造する場合には、各種建築材料に用いる切断加工方法を用いることができる。ただし、予め準備した切欠付きユニット(10)を連結して得られた交差板(1)が十分な強度と形状精度を示す場合には、複数の切欠付きユニット(10)を連結することもできる。この場合は例えば、溶着、接着剤、注型重合などの方法を採用できる。
【0033】
交差板(1)には、組立家具の構造材としての使用差し支えない限り、切欠付きユニット(10)に無い区画や形状が含まれていてもよく、切欠付きユニット(10)に塗装、被覆、凹凸や溝の付加などの加工を施すこともできる。
【0034】
交差板(1)の長さ方向に対応させると、切欠(N1)は交差板(1)の長さ方向に距離(L1)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、方形(110)を切り欠き、切欠(N2)は、交差板(1)の長さ方向に距離(L2)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、方形 (110)を切り欠く。切欠(N1)と切欠(N2)とが、交互に、交差板(1)の長さ方向の片側に開口して、配置される。距離(W)は、交差板(1)に出現する切欠けの幅方向の寸法であり、いわゆる切欠けの深さを表す。
【0035】
1枚の交差板(1)の長さ、幅、厚みは、組立家具の構成部材になり得る限り、制限されない。したがって、1枚の交差板(1)に含まれる切欠付きユニット(10)の個数も、組立家具の構成部材としての交差板(1)を構成し得る限り制限されない。ここで交差板(1)の「幅」は、交差板(1)の長さ方向(
図6の矢印の向き)に直行する向きの寸法である。
【0036】
本発明の交差板(1)は、切欠(N1)及び/又は切欠(N2)において、他の交差板(1)と噛み合うことができる。
図7,
図8に、2枚の交差板(1)が噛み合う様子を示す。2枚の交差板(1)は同一であってよいが、便宜上、2枚の交差板(1)を色分けしている。交差板(1)の幅が切欠の深さ(W)の2倍(W+W)ならば、2枚の交差板(1)は、噛合部の側面(6)が平らになった状態で噛み合う。
【0037】
図9に、交差板(1)が噛み合う様子を示す。
図9から理解されるように、交差板(1)の厚みに交差板(1)の切掛け部分の寸法を合致させることによって、切り欠け部に隙間を生じることなく交差板(1)同士を噛み合わせることができる。
【0038】
本発明では、ユーザーが、より単純で組立容易な構造材を使って、さらに多様な家具を設計することができるよう、好ましくは、交差板(1)の長さにはバリエーションを設け、交差板(1)の厚みは一様とする。この場合、2以上の切欠付きユニット(10)からなる交差板(1)では、両端部に、切欠付きユニット(10)の形状を拡張した部分を設けることができる。
【0039】
図10に、2以上の切欠付きユニットを含む交差板(1)の一方の端部(以下「始端」という)の一部を示す。矢印は交差板(1)の長さ方向を示す。交差板(1)の始端から長さ方向に複数の切欠付きユニット(10)がこの順で並んでいる。実際には、交差板(1)全体が1体の母材から裁断されており、2つの切欠付きユニット(10)の間にある境界は構造上存在しないが、
図10では便宜上、切欠付きユニット(10)を一つずつ色分けしている。交差板(1)は、長さ方向の始端(41)に切欠(Ne1)(51)を有する。
【0040】
図11に、2以上の切欠付きユニットを含む交差板(1)の他方の端部(以下「終端」という)の一部を示す。矢印は交差板(1)の長さ方向を示す。交差板(1)の終端(42)から長さ方向に複数の切欠付きユニット(10)がこの順で並んでいる。実際には、交差板(1)全体が1体の母材から裁断されており、2つの切欠付きユニット(10)の間にある境界は構造上存在しないが、
図11では便宜上、切欠付きユニット(10)を一つずつ色分けしている。交差板(1)は、長さ方向の終端(42)に切欠(Ne2)(52)を有する。
【0041】
図10と
図11に示すように、交差板(1)は、切欠(Ne1)(51)と切欠(Ne2)(52)との間に1以上の切欠(N12)(53)を有する。切欠(N12)(53)は2つの切欠付きユニット(10)が連結したことにより生じる。2つの切欠付きユニット(10)が連結するとき、一方の切欠付きユニット(10)の切欠(N1)と他方の切欠付きユニット(10)の切欠(N2)とが連結する。
【0042】
前述の通り、切欠(N1)は交差板(1)の幅方向には距離(W)に渡る。前述の通り、切欠(N1)と同じく、切欠(N2)は交差板(1)の幅方向には距離(W)に渡る。したがって、切欠(N12)(53)は、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いている。
【0043】
前述の通り、切欠(N1)は交差板(1)の長さ方向には距離(L1)に渡る。前述の通り、切欠(N1)と同じく、切欠(N2)は交差板(1)の長さ方向には距離(L2)に渡る。したがって、切欠(N12)(53)は、交差板(1)の長さ方向に距離(L12)に渡って、交差板(1)を切り欠き、距離(L12)、距離(L1)、距離(L2)の間には、(L1)+(L2)=(L12)が成立する。
【0044】
切欠(Ne1)(51)は、交差板(1)の始端(41)から、交差板(1)の長さ方向に距離(Le1)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いている。
【0045】
切欠(Ne2)(52)は、交差板(1)の終端(42)から、交差板(1)の長さ方向に距離(Le2)に渡って、交差板(1)の幅方向に距離(W)に渡って、交差板(1)を切り欠いている。
【0046】
交差板(1)の長さ(切欠付きユニット(10)の含有数)に関わらず交差板(1)の厚みが一定である場合には、距離(Le1)、距離(Le2)、距離(L12)が、(Le1)=(Le2)=(L12)の関係にあると、好適である。この場合、交差板(1)の切欠(Ne1)、切欠(Ne2)、切欠(N12)のそれぞれが、他の交差板(1)の切欠(Ne1)、切欠(Ne2)、切欠(N12)のいずれと噛み合っても、噛合部分にどの切り欠け部分で噛み合わせても、噛合部分に隙間が生じることがなく、また、噛合不可能な(交差板(1)の厚みに対して狭すぎる)切欠が発生しない。
【0047】
本発明の交差板(1)を噛み合わせて一つの家具を完成するために、特別な工具や部品は要らない。この点で、本発明の交差板(1)を含む組立家具は、手軽に家具を手作りしたい消費者向けである。したがって、本発明の交差板(1)は、DI使用製品として好適である。本発明の交差板(1)は、特にDIY仕様の組立家具に適する。
【0048】
[背板(2)] 家具の構成材料として、交差板(1)に背板(2)を組み合わせることができる。窓背板(2)は平板状の部材である。窓背板(2)を、噛み合わされた4枚の交差板(1)に接するように配置することができる。
【0049】
4枚の交差板(1)が噛み合うと、4枚の交差板(1)が囲む空間部分が発生する。この部分は家具において窓状に開放した部分である。家具に密封性やデザインの変化をもたらすために、背板(2)をこの空間に挿入する。背板(2)は、交差板(1)で形成された棚に載せた物品の落下防止にも役立つ。
【0050】
背板(2)の形状、サイズ、厚み、表面状態(色、塗装、凹凸など)は、家具の構成材料として許容される限り、制限されない。背板(2)は、交差板(1)の形状、サイズ、厚み、表面状態(色、塗装、凹凸など)などに応じて設計される。
【0051】
[スペーサー(3)]
家具の構成材料として、交差板(1)にスペーサー(3)を組み合わせることができる。スペーサー(3)は、切欠(N1)及び/又は切欠(N2)が交差板(1)を切り欠いている区画を閉塞するための部材である。スペーサー(3)は、好ましくは、交差板(1)と同じ材料からなる方形の板材であり、交差板(1)と厚みを有する。スペーサー(3)の形状は、切欠付きユニット(10)の形状、交差板(1)の切掛け部分の形状に合致するように設計される。交差板(1)の開放した切欠部をスペーサー(3)で閉塞することによって、隙間のない棚板や壁板からなる家具が完成する。スペーサー(3)は、交差板(1)で形成された棚に載せた物品の落下防止にも役立つ。
【実施例0052】
図12に、交差板(1)、背板(2)、スペーサー(3)の例を示す。この例では、背板(2)の表面は、1辺が350mmの正方形である。この例では、スペーサー(3)の表面は長辺が148mm、短辺が18mmの長方形であって、厚みは交差板(1)と同じ18mmである。実際には、さらに長い交差板(1)(
図6の15や、さらに長いもの)を組み合わせる。
【0053】
図13に、本発明の交差板(1)、背板(2)、スペーサー(3)からなる組み立て式の棚を示す。スペーサー(3)は、実際には交差板(1)と同質の材料からなるため視認し難いが、便宜上、色分けしている。背板(2)が無い部分(7)は手前から奥に貫通した開放空間をなす。
本発明の交差板(1)によって、軽量性、部品点数の少なさ、高強度、組立容易性、豊富なデザインとサイズ、のすべてを兼ね備えた理想的な組立家具を完成することができる。本発明の交差板(1)に、背板(2)及び/又はスペーサー(3)を加えることによって、さらに組立家具のバリエーションが向上する。本発明の組立家具は、一般家庭用向きのDIY仕様の組立家具だけでなく、オフィスや店舗で使用される比較的大型の組立家具としても、利用価値が高い。したがって本発明によって、消費者の満足度が高い製品を家具市場に供給することができる。