(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172647
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ナット保持具及びナット保持具を有するクランプ装置
(51)【国際特許分類】
F16B 37/14 20060101AFI20221110BHJP
F16B 41/00 20060101ALI20221110BHJP
F16B 2/06 20060101ALI20221110BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
F16B37/14 Z
F16B41/00 A
F16B2/06 A
F16B7/04 301R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078650
(22)【出願日】2021-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】000136170
【氏名又は名称】株式会社ピカコーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江良 修
【テーマコード(参考)】
3J022
3J039
【Fターム(参考)】
3J022DA11
3J022EA33
3J022EB14
3J022EC12
3J022EC23
3J022ED23
3J022ED24
3J022FA05
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022FB24
3J022GA06
3J022GA12
3J022GA14
3J039AA05
3J039BB02
3J039CA01
(57)【要約】
【課題】 六角ナットをナット挿入溝内で溝長手方向の位置を特定して保持できるようにする。
【解決手段】 六角ナットNの対角線P上の一対の角部に嵌合する嵌合部4と、六角ナットNと対面して一対の嵌合部4を連結していて六角ナットNの雌ネジ孔Naと同心のボルト貫通孔5aを形成した連結部5と、少なくともひとつの嵌合部4から外方に突出していてボルト貫通孔5aから所要距離だけ離れた先端側に係合突起6aを有する位置決め腕部6とを有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
六角ナット(N)の対角線(P)上の一対の角部に嵌合する嵌合部(4)と、この一対の嵌合部(4)を連結する連結部(5)と、少なくともひとつの嵌合部(4)から外方に突出していて先端に係合突起(6a)を有する位置決め腕部(6)とを有していることを特徴とするナット保持具。
【請求項2】
六角ナット(N)の対角線(P)上の一対の角部に嵌合する嵌合部(4)と、
六角ナット(N)と対面して一対の嵌合部(4)を連結していて六角ナット(N)の雌ネジ孔(Na)と同心のボルト貫通孔(5a)を形成した連結部(5)と、
少なくともひとつの嵌合部(4)から外方に突出していてボルト貫通孔(5a)から所要距離だけ離れた先端側に係合突起(6a)を有する位置決め腕部(6)とを有していることを特徴とするナット保持具。
【請求項3】
連結する2部材(12、12)の表裏にそれぞれ宛がわれる2つのクランプ部材(A、B)と、一方のクランプ部材(A)に形成されたボルト孔(Aa)に挿入されるボルト(10)と、他方のクランプ部材(B)に形成されたナット挿入溝(8)に挿入されていてボルト(10)が螺合する六角ナット(N)とを備えたクランプ装置であって、
前記他方のクランプ部材(B)には、ナット挿入溝(8)の端部から間隔をおいた位置にナット挿入溝(8)と直交するボルト孔(Ba)が形成され、ナット挿入溝(8)と六角ナット(N)との間に六角ナット(N)を保持するナット保持具(1)が配置されており、
前記ナット保持具(1)は、六角ナット(N)の対角線(P)上の一対の角部に嵌合する嵌合部(4)と、一対の嵌合部(4)を連結する連結部(5)と、少なくともひとつの嵌合部(4)から外方に突出していて先端にナット挿入溝(8)の端部と係合する係合突起(6a)を有する位置決め腕部(6)とが設けられていることを特徴とするナット保持具を有するクランプ装置。
【請求項4】
前記ナット保持具(1)は、連結部(5)に六角ナット(N)の雌ネジ孔(Na)と同心に配置されるのボルト貫通孔(5a)が形成され、位置決め腕部(6)はひとつの嵌合部(4)の両側端部から突出され、及び/又は、二つの嵌合部(4)の同側端部から突出され、ボルト貫通孔(5a)から係合突起(6a)までの距離(L1)は、他方のクランプ部材(B)のボルト孔(Ba)からナット挿入溝(8)の端部までの距離(L2)と略等しいことを特徴とするナット保持具を有する請求項3に記載のナット保持具を有するクランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、六角ナットをナット挿入溝内で保持するナット保持具及びナット保持具を有するクランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2部材の連結、締結にはボルト・ナットが利用されている。六角ナットはボルト螺合時に供回りを生じないように、締結部材に形成したナット挿入溝に挿入される。この場合、溝付き部材のナット挿入溝の溝開口に対して六角ナットを挿入する際、六角ナットを保持具により保持した状態で溝端開口から溝内部に所定姿勢となるように挿入できることが必要になる。
【0003】
この課題を解決するために、特許文献1においては、保持具の保持部にナットを保持させた状態で、溝部の溝開口に対して横向き姿勢として挿入すると共に、溝内部で更に押し込むことにより、ナットを所定姿勢状態で保持するように構成されており、前記保持具は、前記保持部の側部に位置する基部から傾斜方向に延びる変形自在部を備えた弾性支持部を延設し、前記変形自在部の先端に接支部を設けている(解決手段)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術は、弾性支持部が溝壁に弾力的に当接することにより、六角ナットをナット挿入溝に対して一定位置に保持できるが、ナット挿入溝内での溝長手方向の保持位置(ナット挿入溝の溝端開口から所要距離)は特定されるものではなく、ナット挿入溝を形成している部材にボルト孔が形成されていて、そのボルト孔に同心的に六角ナットを配置する必要がある場合には、適用し難いものとなっている。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにしたナット保持具及びナット保持具を有するクランプ装置を提供することを目的とする。
本発明は、六角ナットをナット挿入溝内で溝長手方向の位置を特定して保持できるようにしたナット保持具を提供することを目的とする。
本発明は、クランプ部材に形成したナット挿入溝内に、ナット保持具で六角ナットを溝長手方向の位置を特定して保持できるようにしたナット保持具を有するクランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明ナット保持具における課題解決のための具体的手段は、六角ナットNの対角線P上の一対の角部に嵌合する嵌合部4と、この一対の嵌合部4を連結する連結部5と、少なくともひとつの嵌合部4から外方に突出していて先端に係合突起6aを有する位置決め腕部6とを有していることを特徴とする。
本発明ナット保持具を有するクランプ装置における課題解決のための具体的手段は、連結する2部材12、12の表裏にそれぞれ宛がわれる2つのクランプ部材A、Bと、一方のクランプ部材Aに形成されたボルト孔Aaに挿入されるボルト10と、他方のクランプ部材Bに形成されたナット挿入溝8に挿入されていてボルト10が螺合する六角ナットNとを備えたクランプ装置であって、前記他方のクランプ部材Bには、ナット挿入溝8の端部から間隔をおいた位置にナット挿入溝8と直交するボルト孔Baが形成され、ナット挿入溝8と六角ナットNとの間に六角ナットNを保持するナット保持具1が配置されており、前記ナット保持具1は、六角ナットNの対角線P上の一対の角部に嵌合する嵌合部4と、一対の嵌合部4を連結する連結部5と、少なくともひとつの嵌合部4から外方に突出していて先端にナット挿入溝8の端部と係合する係合突起6aを有する位置決め腕部6とが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ナット保持具はナット挿入溝8内に挿入して、位置決め腕部6の係合突起6aをナット挿入溝8の端部に係合させると、ナット挿入溝8内での六角ナットNの溝長手方向位置を特定することができる。
本発明によれば、クランプ装置のナット挿入溝8を形成したクランプ部材Bにはボルト孔Baがあり、ナット保持具はナット挿入溝8内に挿入して、位置決め腕部6の係合突起6aをナット挿入溝8の溝端開口に係合させると、ナット挿入溝8内での六角ナットNの溝長手方向位置をボルト孔Baと略合致する位置に特定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のナット保持具の実施形態を示す正面側の斜視図である。
【
図7】(a)はナット保持具をクランプ部材に組み込んだ斜視図である。(b)はナット保持具をクランプ部材に組み込んだ水平断面の斜視図である。(c)はナット保持具をクランプ部材に組み込んだ垂直断面の斜視図である。
【
図9】クランプ装置を利用した作業台の斜視図である。
【
図10】ナット保持具の第1変形例を示す斜視図である。
【
図11】ナット保持具の第2変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~6において、ナット保持具1単体の実施形態を示し、
図7~9において、ナット保持具1をクランプ装置2に組み込んだ実施形態を示している。
クランプ装置2は、連結する2部材(支柱)12、12の表裏にそれぞれ宛がわれる2つのクランプ部材A、Bと、一方のクランプ部材(表クランプ部材)Aに形成されたボルト孔Aaに挿入されるボルト10と、他方のクランプ部材(裏クランプ部材)Bに形成されたナット挿入溝8に挿入されていてボルト10が螺合する六角ナットNとを備えていて、ナット保持具1はナット挿入溝8内において、六角ナットNを保持しかつ六角ナットNの溝長手方向位置を特定するものである。
【0011】
前記他方のクランプ部材Bにはボルト10が挿通されるボルト孔Baが形成され、背面側にはナット挿入溝8が上下方向に長く形成されている。このナット挿入溝8はクランプ部材Bの上面から下面まで貫通され、収納される六角ナットNが溝開放側(ボルト孔Baの孔心方向)へ抜け出ないように抜け止め縁部8aを備えている。
図1~6において、ナット保持具1は弾性を有する合成樹脂で一体成形されており、六角ナットNの対角線P上の一対の角部に嵌合する嵌合部4と、六角ナットNと対面して一対の嵌合部4を連結していて六角ナットNの雌ネジ孔Naと同心のボルト貫通孔5aを形成した連結部5と、一対の嵌合部4の両側端部から上下外方に突出していてボルト貫通孔5aから所要距離だけ離れた先端側に係合突起6aを有する位置決め腕部6とを有している。
【0012】
前記他方のクランプ部材Bに形成されたナット挿入溝8は、溝幅が六角ナットNの平行2面幅より僅かだけ広く、六角ナットNが回動しようとするとその平行2面が溝壁に衝突して、六角ナットNの回動を阻止するようになっている。なお、六角ナットNの平行2面とは、嵌合部4が嵌合する一対の角部から離れている一対の平行な側面を言う。
前記上下の嵌合部4はそれぞれ、V字状、逆V字状になっていて、その幅寸法はナット挿入溝8の溝幅及び六角ナットNの2面幅より短くなっており、六角ナットNに嵌合した状態でナット挿入溝8内に挿入可能である。
【0013】
前記連結部5は六角ナットNの正面に対向していて一回り大きい六角形であり、その中央にボルト貫通孔5aが形成され、上下に上下の嵌合部4を連結するための繋ぎ部5bが
形成されている。この繋ぎ部5bはナット挿入溝8の開口側の対向する抜け止め縁部8a間に嵌まるものである。
前記一対の繋ぎ部5bによって、ナット挿入溝8内に位置する上下嵌合部4がナット挿入溝8の外に位置する連結部5に連結され、上下嵌合部4間で六角ナットNを抱持でき、かつ六角ナットNの対向2辺側を抜け止め縁部8aに係合できるようになっている。
【0014】
前記位置決め腕部6は嵌合部4の側端部から立ち上がって六角ナットNの平行2面と平行な腕となり、その腕の先端に六角ナットNの平行2面に直交する方向に突出して鈎形状の係合突起6aを形成しており、この係合突起6aは六角ナットNの平行2面より外側に突出していて、ナット保持具1をナット挿入溝8に挿入していくと、ナット挿入溝8の溝端部(クランプ部材Bの上下表面)に係合することができる。
【0015】
上下の嵌合部4の両側端部から立ち上がった上下各対の位置決め腕部6は、ナット挿入溝8の上下端の左右溝端部と係合し、ナット保持具1が保持する六角ナットNの溝長手方向(
図2、4では上下方向)位置を特定する。この特定すべき六角ナットNの位置は、クランプ部材Bに形成されたボルト孔Baと略同心になる位置である。
即ち、クランプ部材Bにはボルト10が挿入されるボルト孔Baがクランプ部材Bの上面から所要距離L2離れて形成され、このボルト孔Baの背面側に上下に渡ってナット挿入溝8が貫通形成されているので、ナット保持具1をクランプ部材Bの上面からナット挿入溝8に挿入していくと、位置決め腕部6の係合突起6aがナット挿入溝8の溝端開口に係合し、六角ナットNの雌ネジ孔Naがボルト孔Baと略同心となる、また、そのようになるように、雌ネジ孔Naと同心であるボルト貫通孔5aから係合突起6aまでの距離L1は、他方のクランプ部材Bのボルト孔Baからナット挿入溝8の溝端開口までの距離L2と略等しく設定される。
【0016】
図7~9において、クランプ装置2は、2台の階段形作業台D2を連結して作業台組み合わせ構造体にするために利用されていて、2台の階段形作業台D2の後方に2台の箱形作業台D1を連結するのにも利用可能になっている。
図9において、1台の階段形作業台D2は、2本の支柱(部材)12、12と上下の支柱連結材13aを連結板22aで連結して四角枠22を形成し、下側の支柱連結材13aを前方に突出して、支柱12の略半分長さの短尺支柱12の下部を連結し、この短尺支柱12の上部と長尺の支柱12の上下中途部とを短尺の支柱連結材13aで連結板22aを介して連結して、大小2つの四角枠が結合された階段枠24を形成し、この階段枠24を一対、枠連結材13bで連結し、一対の階段枠24の上段間に上段台板14を架設し、一対の階段枠24の下段間に下段台板16を架設している。
【0017】
即ち、4角にそれぞれ長尺支柱12を配置し、一側の2本の長尺支柱12の外方に長尺支柱12より短尺の2本の短尺支柱12を配置し、6本の支柱12、12を支柱連結材13aで連結し、4本の長尺支柱12の上部に上段台板14を設け、2本の短尺支柱12の上部と2本の長尺支柱12の上下中途部との間に下段台板16を設けて階段形作業台D2を構成している。
【0018】
前記階段形作業台D2は2台隣接配置すると、それぞれの6本の支柱12、12の内の3本ずつは平行に対向することになり、互いに平行な2本の支柱をクランプ装置2で連結して作業台組み合わせ構造体とする。前記長短の支柱12、12は、断面コ字形(門形)の溝形材Lが使用されており、クランプ装置2で連結する2部材12、12となっている。
【0019】
箱形作業台D1は階段形作業台D2の大四角枠部分と略同じ構造であり、階段形作業台D2の後側の支柱12は箱形作業台D1の前側の支柱12に平行に隣接して、クランプ装置2で連結される。クランプ装置2は箱形作業台D1の外から見える方を表面側とし、内面側を裏面側とする。
前記支柱12、12に使用される溝形材Lにおいて、
図8に示すように、溝形材Lは断面コ字形状のアルミ押し出し材又は形鋼材であり、表面側となる主部Laと、この主部Laの両端から背面側に突出した一対の側部Lbとを有する。
【0020】
前記主部La及び側部Lbには、溝形材Lの長手方向に沿った突起状のリブc及びリブ
c間の溝dが幅方向に多数本形成されており、高い屈曲強度を有する形状になっている。
前記箱形作業台D1、階段形作業台D2の支柱12、12として溝形材Lを用いる場合は、四角枠22、階段枠24等の枠形状と見える側に主部Laがあり、枠が一対あると見える側に側部Lbがあることになる。
【0021】
従って、互いに平行な2本の溝形材Lを連結するクランプ装置2は、箱形作業台D1同士又は階段形作業台D2同士の連結のように、主部La同士を対面させて側部Lb同士を隣合わせで連結する形態(
図8に仮想線で示す。)と、箱形作業台D1と階段形作業台D2の連結のように、側部Lb同士を対面させて主部La同士を隣合わせで連結する形態(
図8に実線で示す。)とを採る必要がある。
【0022】
クランプ装置2は箱形作業台D1の外から見える方を表面側とし、内面側を裏面側とする。クランプ装置2は、2本の溝形材Lの一面側(裏面)に対向面部Bbが宛がわれる裏クランプ部材Bと、2本の溝形材Lの一面と反対側の他面側(表面)に対向面部Abが宛がわれる表クランプ部材Aと、前記裏クランプ部材Bと表クランプ部材Aとを締結する締結具Cとを備えている。
【0023】
締結具Cは六角頭付きボルト、蝶ボルト等のボルト10と、このボルト10が螺合する六角ナットNとを有する。
裏クランプ部材Bは、金属押し出し材から形成した左右幅方向に長い横長材であり、その一側面が対向面部Bbとなり、連結形材対向面部Bbの幅方向中央に突出形状の第1間隔設定部Bdが設けられ、第1間隔設定部Bdの中央にボルト孔Baが形成され、裏面側にボルト孔Baと直交する方向に長いナット挿入溝8が形成されている。
【0024】
裏クランプ部材Bの連結形材対向面部Bbには、溝形材Lの側部Lbが面接したときに第1間隔設定部Bdとの間で溝形材Lの側部Lbがずれるのを阻止する係合部27が設けられている。前記係合部27は突起形状であり、第1間隔設定部Bdの側面との間の寸法が、溝形材Lの側部Lbの幅寸法と略同一(同一より若干長くてもよい。)になっている。
【0025】
また、裏クランプ部材Bの連結形材対向面部Bbには、溝形材Lの主部Laが対向しかつ一方の側部Lbが第1間隔設定部Bdに当接したときに、第1間隔設定部Bdとの間で溝形材Lの両側部Lbの端部がずれるのを阻止する係止部8が設けられている。前記係止部8は細溝形状であり、2本の係止部8の間隔は溝形材Lの両側部Lbの間隔であり、側部Lbは係止部8の細溝内に挿入されて係合する。
【0026】
前記溝形材Lは主部Laの背面を第1間隔設定部Bdに対向させるとき、両側部Lbの端部が第1間隔設定部Bdに当接することになり、主部Laが係合部27と干渉することはない。そこで、前記係止部8を細溝形状としたが、係合7と同様な突起形状であってもよく、第1間隔設定部Bdの側面と突起形状の係止部8とで、溝形材Lの両側部Lbの位置をずれ動かないように確定できればよい。
【0027】
前記裏クランプ部材Bは連結形材対向面部Bbに係合部27と係止部8とを設けているので、溝形材Lの一側部Lbと当接する側部当接形態と、主部Laと対向して両側部Lbの端部と当接する形態とを採ることができるが、連結形材対向面部Bbに係合部27のみ設けて側部当接形態の専用クランプとしたり、係合部27を割愛して連結形材対向面部Bbに係止部8のみ設けて両側部当接形態の専用クランプとしたり、してもよい。
【0028】
表クランプ部材Aは、金属押し出し材から形成した横長材であり、その一側面が連結形材対向面部Abとなり、連結形材対向面部Abの幅方向中央に突出形状の第2間隔設定部Adが設けられ、第2間隔設定部Adの中央にボルト孔Aaが形成されている。第2間隔設定部Adは2本の溝形材L間に入り易くするために左右に傾斜面Aeが形成されている。
【0029】
前記表クランプ部材Aは、連結形材対向面部Abの第2間隔設定部Adから側方端までの寸法が溝形材Lの側部Lbの幅寸法より短くなっており、その側方端には溝形材Lの表面のリブc間の溝dに引っかかる尖端縁30が突設されている。この尖端縁30の先端は、半円形の円弧面になっている。
従って、表クランプ部材Aは、裏クランプ部材Bの連結形材対向面部Bbに溝形材Lの
一方の側部Lbが面接したとき、連結形材対向面部Ab及び尖端縁30が溝形材Lの他方の側部Lbに当接しかつ溝dに引っかかり、溝形材Lの主部Laをその幅方向で挟持し、裏クランプ部材Bの連結形材対向面部Bbに溝形材Lの主部Laが対向したとき、連結形材対向面部Ab及び尖端縁30が溝形材Lの主部Laの表面側に当接しかつ引っかかり、溝形材Lの一方の側部Lbをその幅方向で挟持する。
【0030】
前記クランプ装置2は、並列配置される2本の溝形材Lの作業台内部側に裏クランプ部材Bを宛がい、2本の溝形材Lの作業台表面側に表クランプ部材Aを宛がい、作業台表面側から締結具Cのボルト10を貫通し、裏クランプ部材Bの背面側に位置する六角ナットNに螺合して、ボルト10の両側で2本の溝形材Lを挟持する。
裏クランプ部材Bのナット挿入溝8は、横長材に対して縦方向に長く、上面から下面まで貫通しており、即ち、溝端が上面に開放されかつ下面に開放されており、その上下間の中央にボルト孔Baが形成され、その溝幅は六角ナットNの対向2面幅と略等しく、六角ナットNはナット挿入溝8内に挿入できるが、対向2面が溝壁に当接して回動出来ないようになっている。ナット挿入溝8は裏面の開口側に対向する一対の抜け止め縁部8aを有し、六角ナットNが裏面側へ脱落するのを規制している。
【0031】
前記六角ナットNは
図1~6に示したナット保持具1に保持されてナット挿入溝8内に挿入されている。六角ナットNを保持したナット保持具1をナット挿入溝8に挿入していくと、位置決め腕部6の係合突起6aがナット挿入溝8の上面の端部と係合し、ナット挿入溝8内での六角ナットNの雌ネジ孔Na及びナット保持具1のボルト貫通孔5aの溝長手方向位置が略合致する。その状態で表クランプ部材Aのボルト孔Aaからボルト10を挿入していくと、裏クランプ部材Bのボルト孔Ba及びナット保持具1のボルト貫通孔5aに挿入され、かつ六角ナットNの雌ネジ孔Naに円滑に螺合する。
【0032】
図10において、ナット保持具1の第1変形例を示している。
ナット保持具1-2は、六角ナットNの上下角部に嵌合する嵌合部4と、一対の嵌合部4を連結していてボルト貫通孔5aを形成した連結部5と、上側の嵌合部4の両側端から上外方に突出していてボルト貫通孔5aから所要距離だけ離れた先端側に係合突起6aを有する位置決め腕部6とを有している。
【0033】
前記ナット保持具1-2はナット挿入溝8の溝上端から挿入して、上側一対の係合突起6aが溝上端に係合して、六角ナットNの雌ネジ孔Naを裏クランプ部材Bのボルト孔Baと同心になる位置に特定できる。
図11において、ナット保持具1の第2変形例を示している。
ナット保持具1-3は、六角ナットNの上下角部に嵌合する嵌合部4と、一対の嵌合部4を連結していてボルト貫通孔5aを形成した連結部5と、上下嵌合部4の同側端部から上下外方に突出していてボルト貫通孔5aから所要距離だけ離れた先端側に係合突起6aを有する位置決め腕部6とを有している。
【0034】
前記ナット保持具1-3はナット挿入溝8の溝上端から挿入して、上下一対の係合突起6aが溝上下端に係合して、六角ナットNの雌ネジ孔Naを裏クランプ部材Bのボルト孔Baと同心になる位置に特定できる。
前述した実施形態のナット保持具1においては、六角ナットNの対角線P上の一対の角部に嵌合する嵌合部4と、この一対の嵌合部4を連結する連結部5と、少なくともひとつの嵌合部4から外方に突出していて先端に係合突起6aを有する位置決め腕部6とを有している。
【0035】
この構成によって、六角ナットNをナット保持具1に保持して、ナット挿入溝8内に挿入していくと、位置決め腕部6の係合突起6aがナット挿入溝8の端部と係合することになり、ナット挿入溝8内での六角ナットNの溝長手方向位置を特定することができる。
また、前記実施形態のナット保持具1においては、六角ナットNの対角線P上の一対の角部に嵌合する嵌合部4と、六角ナットNと対面して一対の嵌合部4を連結していて六角ナットNの雌ネジ孔Naと同心のボルト貫通孔5aを形成した連結部5と、少なくともひとつの嵌合部4から外方に突出していてボルト貫通孔5aから所要距離だけ離れた先端側に係合突起6aを有する位置決め腕部6とを有している。
【0036】
この構成によって、六角ナットNをナット保持具1に保持して、ナット挿入溝8内に挿入していくと、位置決め腕部6の係合突起6aがナット挿入溝8の端部と係合することになり、ナット挿入溝8内での六角ナットNの雌ネジ孔Na及びナット保持具1のボルト貫通孔5aの溝長手方向位置を特定することができる。
前述した実施形態のクランプ装置2においては、連結する2部材12、12の表裏にそれぞれ宛がわれる2つのクランプ部材A、Bと、一方のクランプ部材Aに形成されたボルト孔Aaに挿入されるボルト10と、他方のクランプ部材Bに形成されたナット挿入溝8に挿入されていてボルト10が螺合する六角ナットNとを備えたクランプ装置であって、前記他方のクランプ部材Bには、ナット挿入溝8の端部から間隔をおいた位置にナット挿入溝8と直交するボルト孔Baが形成され、ナット挿入溝8と六角ナットNとの間に六角ナットNを保持するナット保持具1が配置されており、前記ナット保持具1は、六角ナットNの対角線P上の一対の角部に嵌合する嵌合部4と、一対の嵌合部4を連結する連結部5と、少なくともひとつの嵌合部4から外方に突出していて先端にナット挿入溝8の端部と係合する係合突起6aを有する位置決め腕部6とが設けられている。
【0037】
この構成によって、六角ナットNをナット保持具1に保持して、他方のクランプ部材Bに形成されたナット挿入溝8内に挿入していくと、位置決め腕部6の係合突起6aがナット挿入溝8の端部と係合することになり、ナット挿入溝8内での六角ナットNの雌ネジ孔Na及びナット保持具1のボルト貫通孔5aの溝長手方向位置を特定することができ、一方のクランプ部材Aのボルト孔Aaからボルト10を挿入していくと、他方のクランプ部材Bのボルト孔Ba及びナット保持具1のボルト貫通孔5aに挿入され、かつ六角ナットNの雌ネジ孔Naに円滑に螺合することができる。
【0038】
また、前記実施形態のクランプ装置2においては、ナット保持具1は、連結部5に六角ナットNの雌ネジ孔Naと同心に配置されるのボルト貫通孔5aが形成され、位置決め腕部6はひとつの嵌合部4の両側端部から突出され、及び/又は、二つの嵌合部4の同側端部から突出され、ボルト貫通孔5aから係合突起6aまでの距離L1は、他方のクランプ部材Bのボルト孔Baからナット挿入溝8の端部までの距離L2と略等しい。
【0039】
この構成によって、ナット挿入溝8内での六角ナットNの雌ネジ孔Na、ナット保持具1のボルト貫通孔5a及び他方のクランプ部材Bのボルト孔Baをより正確に略同心に配置でき、一方のクランプ部材Aのボルト孔Aaから挿入されるボルト10を、他方のクランプ部材Bのボルト孔Ba及びナット保持具1のボルト貫通孔5aに挿入でき、かつ六角ナットNの雌ネジ孔Naにより円滑に螺合することができる。
【0040】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、部材の形状、構成及び組み合わせ等を変更したりすることもできる。
例えば、位置決め腕部6は上下嵌合部4のいずれか一方から1本突出しているだけでもよく、係合突起6aは鉤形状の他に半円形、三角形または四角形等でもよい。
連結部5のボルト貫通孔5aは、円形の他に四角孔でもよく、ボルト10の先端が六角ナットNから大きく突出しない場合は、ボルト貫通孔5aを設けなくともよい。
【符号の説明】
【0041】
1 ナット保持具
2 クランプ装置
4 嵌合部
5 連結部
5a ボルト貫通孔
5b 繋ぎ部
6 腕部
6a 係合突起
7 係合部
8 ナット挿入溝
8a 抜け止め縁部
10 ボルト
12 支柱(部材)
24 階段枠
27 係合部
8 係止部
30 尖端縁
A クランプ部材(表クランプ部材)
Aa ボルト孔
B クランプ部材(裏クランプ部材)
Ba ボルト孔
Bb 対向面部
Bd 間隔設定部
C 締結具
D1 箱形作業台
D2 階段形作業台
L 溝形材
L1、L2 距離
La 主部
Lb 一側部
N 六角ナット
Na 雌ネジ孔
P 対角線