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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172648
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】オゾン水生成吐出装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20060101AFI20221110BHJP
   C02F 1/78 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
C02F1/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078660
(22)【出願日】2021-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】519024326
【氏名又は名称】株式会社HBコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100084342
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 久巳
(74)【代理人】
【識別番号】100213883
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 雅史
(72)【発明者】
【氏名】杉本 吉則
【テーマコード(参考)】
4D050
4D061
【Fターム(参考)】
4D050AA01
4D050BB02
4D050BD02
4D050BD04
4D050BD08
4D050CA10
4D061DA01
4D061DB09
4D061EA02
4D061EB02
4D061EB04
4D061EB07
4D061EB09
4D061EB14
4D061EB19
4D061EB20
4D061EB28
4D061EB29
4D061EB30
4D061EB31
4D061EB33
4D061EB35
4D061EB39
4D061GC11
4D061GC15
(57)【要約】
【課題】吐出するオゾン水のオゾン濃度を一定に保持するオゾン水生成吐出装置を提供する。
【解決手段】本発明のオゾン水生成吐出装置1は、容器内蓄水6に水没した状態で蓄水容器5の内部に固定配置されたオゾン発生回路16bにより容器内蓄水6を電気分解してオゾン水を生成する電極構造体2と、電極構造体2は陽極部材21と陰極部材22が電極間隙23を隔てて電気絶縁状態で配置された構造を有し、吐出スイッチ11の吐出信号を受けて、オゾン水をポンプP1により蓄水容器5の下方位置から吐出管14に送出して吐出管14の吐出口14aから外部に吐出する吐出機構と、電極構造体2が電気分解を開始する前にポンプP2により吐出管14の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した容器内蓄水6を蓄水容器5に吸入する吸入機構と、ポンプP1・P2の動作を制御するポンプ制御回路16cを具備することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内蓄水を蓄水した蓄水容器と、前記容器内蓄水に水没した状態で前記蓄水容器の内部に固定配置されてオゾン発生回路により前記容器内蓄水を電気分解してオゾン水を生成する電極構造体と、吐出スイッチの吐出信号を受けて、前記オゾン水をポンプにより前記蓄水容器から吐出管に送出して当該吐出管から外部に吐出する吐出機構と、前記電極構造体が前記容器内蓄水の電気分解を開始する前にポンプにより少なくとも前記吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水を前記蓄水容器に吸入する吸入機構と、前記吐出機構と前記吸入機構においてポンプの動作を制御するポンプ制御回路を具備することを特徴とするオゾン水生成吐出装置。
【請求項2】
前記オゾン発生回路により前記電気分解は周期的に反復して実行され、前記ポンプ制御回路により夫々の電気分解の直前に前記吸入機構が作動する請求項1に記載のオゾン水生成吐出装置。
【請求項3】
一定時間だけ前記オゾン発生回路及び前記ポンプ制御回路を休止させて電気分解及びポンプ動作を停止させ、前記一定時間が終了するとオゾン発生回路及び前記ポンプ制御回路を駆動して電気分解及びポンプ動作を開始させる休止タイマ回路が設けられる請求項1又は2に記載のオゾン水生成吐出装置。
【請求項4】
前記吐出機構は、前記蓄水容器の内部下方位置から前記オゾン水が送出ポンプにより送出管に送出され、前記オゾン水がバルブを介して前記吐出管に送水されて吐出口から吐出される機構であり、前記吸入機構は、吸入ポンプにより前記吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水をバルブを介して吸入管に吸入して前記蓄水容器の内部上方位置に放出する機構である請求項1~3のいずれかに記載のオゾン水生成吐出装置。
【請求項5】
前記吐出機構は、前記蓄水容器の内部下方位置から前記オゾン水が吸入送出ポンプにより送出管に送出され、前記オゾン水がバルブを介して前記吐出管に送水されて吐出口から吐出される機構であり、前記吸入機構は、前記吸入送出ポンプにより前記吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水をバルブを介して吸入管に吸入して前記蓄水容器の内部上方位置に放出する機構である請求項1~3のいずれかに記載のオゾン水生成吐出装置。
【請求項6】
前記吐出機構は、前記蓄水容器の内部下方位置から前記オゾン水が吸入送出ポンプにより吸入送出管に送出され、前記オゾン水が前記吐出管に送水されて吐出口から吐出される機構であり、前記吸入機構は、吸入送出ポンプにより前記吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水を吸入送出管に吸入して前記蓄水容器の前記内部下方位置に放出する機構である請求項1~3のいずれかに記載のオゾン水生成吐出装置。
【請求項7】
前記電極構造体は、電極間隙を隔てて配置された陽極部材と陰極部材を単位電極体とし、1個の単位電極体又は接続された2個以上の単位電極体から構成される請求項1~6のいずれかに記載のオゾン水生成吐出装置。
【請求項8】
前記陽極部材と前記陰極部材の間の電極間隙に紐状絶縁スペーサを介装して両者間の電気絶縁性を確実化した請求項7に記載のオゾン水生成吐出装置。
【請求項9】
前記紐状絶縁スペーサがOリング又は紐である請求項8に記載のオゾン水生成吐出装置。
【請求項10】
前記蓄水容器の容器底板の一部に凹盆部を設け、前記凹盆部は容器底板内面から段差面を介してより低い位置に凹盆部底板を配置し、前記容器底板内面と前記段差面と凹盆部底
板内面とは連続して水密状態に形成されており、前記凹盆部底板内面は前記容器底板内面より段差深さだけ低い位置に配置され、前記電極構造体を前記凹盆部底板内面の上に立設し、前記容器内蓄水が前記段差面に沿って流下して前記電極構造体の底面から上昇しながら電気分解を促進する請求項1~9のいずれかに記載のオゾン水生成吐出装置。
【請求項11】
前記電極構造体は、電極の表面が前記容器内蓄水に接触する状態で電極保護部により保護されており、当該電極保護部により前記電極構造体の抜脱防止を図り、且つ構造安定性を図る請求項1~10のいずれかに記載のオゾン水生成吐出装置。
【請求項12】
前記蓄水容器の最上部に蓄水を蓄水容器の中に注入するための蓄水注入口を有した蓄水受部を配置し、前記蓄水容器と前記蓄水受部を開閉蓋を有する外観ケースに収容し、前記開閉蓋の内面側に注入口遮断部材を設け、前記開閉蓋を閉鎖すると前記注入口遮断部材が前記蓄水受部の蓄水注入口を圧接状態に密閉してオゾンの逃散を遮断し、前記開閉蓋を開放することにより開放された前記蓄水注入口から蓄水を蓄水容器内に注入可能になる請求項1~11に記載のオゾン水生成吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄水容器の内部に蓄水された容器内蓄水を電気分解してオゾン水を生成し且つオゾン水を吐出管を通じて吐出するオゾン水生成吐出装置に関し、特に容器内蓄水の電気分解を開始する前にポンプにより少なくとも前記吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水を蓄水容器に吸入する吸入機構を設けたオゾン水生成吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭、職場、商店、飲食店などで手軽に利用できるよう、水道水などの原料水を容器に蓄水し、この容器内蓄水を電気分解してオゾン水を生成し、オゾン水を1回に0.1mL~1mLずつ吐出できるオゾン水生成吐出装置の出現が望まれている。
【0003】
特開2011-092883号公報(特許文献1)には、携帯用電解水噴霧器において、筒状水タンク部102に連通する電解部105を設け、筒状水タンク部102と電解部105は、流入孔105Eでのみ連通するように構成し、プッシュ式噴霧機構部104を手でプッシュするたびに、噴霧用チューブを通してオゾン水をノズル104Aから噴霧すると同時に、タンク部102内から流入口105Eを通して原料水が小容量の電解部105内へ流入し、電解部105内で電気分解されて、再び高濃度のオゾン水が電解部105内に生成される技術が開示されている。類似した技術は特開2009-154030号公報にも開示されている。他にも、特許第6249200号公報(特許文献2)には、噴霧用チューブの内部にオゾン水を生成する電解セルを取り付ける技術が開示されている。これらの技術では、区画された部分に貯留できるオゾン水の量が少ないため、単位時間当たりの噴霧量がある値を超えると、オゾン水の生成スピードが噴霧スピードに追い付かず、噴霧水中のオゾン濃度が低下する難点がある。
特に、噴霧後であっても噴霧用チューブ内にオゾン水が残留し、このオゾン水の中にあるオゾンは一定時間が経過すると分解して消失し、残留オゾン水は通常の残留水になってしまう。従って、次の噴霧時には、この残留水と噴霧供給されたオゾン水とが混合してオゾン濃度が低下する。このオゾン濃度が低下したオゾン水が噴霧されることになるという弱点が従来技術に共通して存在する。
【0004】
そこで、電極の形状や電極表面の物質を工夫することにより、オゾン濃度を高め且つオゾン水生成の効率を上昇させる技術が開発されている。例えば、特許第6258566号公報(特許文献3)には、原料水との接触面積を増やして電解効率を上げるために、陽極及び/又は陰極をメッシュ状にする発明が開示されている。また、再表03-000957号公報(特許文献4)には、表面にタンタル酸化物又はニオブ酸化物からなる電極触媒を備えた電解用電極を用いることで、オゾンの生成効率を高める技術が開示されている。また、特開平08-134677号公報(特許文献5)には、陽極電極にオゾン発生触媒機能を有した貴金属製の金網を使用し、陽極電極の外面側には耐食性金属で製造したラス網を重ねて、原料水を供給することで、網目どうしを結ぶ狭い間隙を縫うように原料水を進行させ、その撹拌作用により、発生したオゾン気泡を水に溶解させ、オゾンが気体のまま排出されることを防ぎ、オゾン水の生成効率を高める技術が開示されている。しかし、これらの技術は有用であるが、電極構造が複雑で製造コストが高くなるという欠点がある。
【0005】
また、特許文献1~5のいずれの技術も、電気分解の際に、陽極と陰極とで挟まれた電極間隙において、原料水に鉛直方向に働く浮力により自然に生じる上昇水流の流れを制御することにより、オゾン水の生成効率を上げる、という発想を有していない。
【0006】
以上を纏めると、従来文献1~5においては、(1)噴霧後に噴霧用チューブ内にオゾン水が残留して通常の残留水になってしまい、この残留水を何ら処理していないという欠点がある。(2)電気分解の際に、陽極と陰極とで挟まれた電極間隙において、原料水に鉛直方向に働く浮力により自然に生じる上昇水流の流れを制御することにより、オゾン水の生成効率を上げる、という発想を有していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-092883号公報
【特許文献2】特許第6249200号公報
【特許文献3】特許第6258566号公報
【特許文献4】再表03-000957号公報
【特許文献5】特開平08-134677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡易かつ安価であり、家庭、職場、商店、飲食店などで手軽に利用できるオゾン水生成吐出装置を提供することである。また、本発明の目的は、容器内蓄水の電気分解を開始する前にポンプにより少なくとも吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水を蓄水容器に吸入する吸入機構を設けて、吐出するオゾン水のオゾン濃度を一定に保持するオゾン水生成吐出装置を提供することである。更に、本発明の目的は、電気分解の際に、陽極と陰極とで挟まれた電極間隙とその近傍において、容器内蓄水に鉛直方向に作用する浮力により上昇水流の流れを加速且つ制御することにより、オゾン水の生成効率を上げるオゾン水生成吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、容器内蓄水を蓄水した蓄水容器と、前記容器内蓄水に水没した状態で前記蓄水容器の内部に固定配置されてオゾン発生回路により前記容器内蓄水を電気分解してオゾン水を生成する電極構造体と、吐出スイッチの吐出信号を受けて、前記オゾン水をポンプにより前記蓄水容器から吐出管に送出して当該吐出管から外部に吐出する吐出機構と、前記電極構造体が前記容器内蓄水の電気分解を開始する前にポンプにより少なくとも前記吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水を前記蓄水容器に吸入する吸入機構と、前記吐出機構と前記吸入機構においてポンプの動作を制御するポンプ制御回路を具備するオゾン水生成吐出装置である。
【0010】
本発明の第2の形態は、前記第1の形態において、前記オゾン発生回路により前記電気分解は周期的に反復して実行され、前記ポンプ制御回路により夫々の電気分解の直前に前記吸入機構が作動するオゾン水生成吐出装置である。
【0011】
本発明の第3の形態は、前記第1又は第2の形態において、一定時間だけ前記オゾン発生回路及び前記ポンプ制御回路を休止させて電気分解及びポンプ動作を停止させ、前記一定時間が終了するとオゾン発生回路及び前記ポンプ制御回路を駆動して電気分解及びポンプ動作を開始させる休止タイマ回路が設けられるオゾン水生成吐出装置である。
【0012】
本発明の第4の形態は、前記第1~第3の各形態において、前記吐出機構は、前記蓄水容器の内部下方位置から前記オゾン水が送出ポンプにより送出管に送出され、前記オゾン水がバルブを介して前記吐出管に送水されて吐出口から吐出される機構であり、前記吸入機構は、吸入ポンプにより前記吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水
をバルブを介して吸入管に吸入して前記蓄水容器の内部上方位置に放出する機構であるオゾン水生成吐出装置である。
【0013】
本発明の第5の形態は、前記第1~第3の各形態において、前記吐出機構は、前記蓄水容器の内部下方位置から前記オゾン水が吸入送出ポンプにより送出管に送出され、前記オゾン水がバルブを介して前記吐出管に送水されて吐出口から吐出される機構であり、前記吸入機構は、前記吸入送出ポンプにより前記吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水をバルブを介して吸入管に吸入して前記蓄水容器の内部上方位置に放出する機構であるオゾン水生成吐出装置である。
【0014】
本発明の第6の形態は、前記第1~第3の各形態において、前記吐出機構は、前記蓄水容器の内部下方位置から前記オゾン水が吸入送出ポンプにより吸入送出管に送出され、前記オゾン水が前記吐出管に送水されて吐出口から吐出される機構であり、前記吸入機構は、吸入送出ポンプにより前記吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水を吸入送出管に吸入して前記蓄水容器の前記内部下方位置に放出する機構であるオゾン水生成吐出装置である。
【0015】
本発明の第7の形態は、前記第1~第6の各形態において、前記電極構造体は、電極間隙を隔てて配置された陽極部材と陰極部材を単位電極体とし、1個の単位電極体又は接続された2個以上の単位電極体から構成されるオゾン水生成吐出装置である。
【0016】
本発明の第8の形態は、前記第7の形態において、前記陽極部材と前記陰極部材の間の電極間隙に紐状絶縁スペーサを介装して両者間の電気絶縁性を確実化したオゾン水生成吐出装置である。
【0017】
本発明の第9の形態は、前記第8の形態において、前記紐状絶縁スペーサがOリング又は紐であるオゾン水生成吐出装置である。
【0018】
本発明の第10の形態は、前記第1~第9の各形態において、前記蓄水容器の容器底板の一部に凹盆部を設け、前記凹盆部は容器底板内面から段差面を介してより低い位置に凹盆部底板を配置し、前記容器底板内面と前記段差面と凹盆部底板内面とは連続して水密状態に形成されており、前記凹盆部底板内面は前記容器底板内面より段差深さだけ低い位置に配置され、前記電極構造体を前記凹盆部底板内面の上に立設し、前記容器内蓄水が前記段差面に沿って流下して前記電極構造体の底面から上昇しながら電気分解を促進するオゾン水生成吐出装置である。
【0019】
本発明の第11の形態は、前記第1~第10の各形態において、前記電極構造体は、電極の表面が前記容器内蓄水に接触する状態で電極保護部により保護されており、当該電極保護部により前記電極構造体の抜脱防止を図り、且つ構造安定性を図るオゾン水生成吐出装置である。
【0020】
本発明の第12の形態は、前記第1~第11の各形態において、前記蓄水容器の最上部に蓄水を蓄水容器の中に注入するための蓄水注入口を有した蓄水受部を配置し、前記蓄水容器と前記蓄水受部を開閉蓋を有する外観ケースに収容し、前記開閉蓋の内面側に注入口遮断部材を設け、前記開閉蓋を閉鎖すると前記注入口遮断部材が前記蓄水受部の蓄水注入口を圧接状態に密閉してオゾンの逃散を遮断し、前記開閉蓋を開放することにより開放された前記蓄水注入口から蓄水を蓄水容器内に注入可能になるオゾン水生成吐出装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の形態によれば、容器内蓄水を蓄水した蓄水容器と、前記容器内蓄水に水没した状態で前記蓄水容器の内部に固定配置されてオゾン発生回路により前記容器内蓄水を電気分解してオゾン水を生成する電極構造体から構成されている。
前記容器内蓄水は、通常は水道水や地下水や清浄な河川水などの清浄水を蓄水容器内に注水して堆積させた蓄水である。蓄水容器の内部に、主として蓄水容器の容器底板の近傍に電極構造体が固定状態で配置されている。蓄水容器の内部に蓄水された容器内蓄水の中に前記電極構造体は水没状態に設定される。
前記電極構造体は少なくとも陽極部材と陰極部材が電極間隙を隔てて電気絶縁状態で配置された構造を有している。1個の陽極部材と1個の陰極部材を電極間隙だけ離間させた単位体だけでなく、この単位体を複数対、直列・並列・直並列させても良いし、陰極部材・陽極部材・陰極部材の構成でも良い等、種々の構造を有している。この電極構造体により容器内蓄水を電気分解してオゾンを発生させ、オゾンが容器内蓄水中に混合分散してオゾン水になる。
【0022】
また、本発明の第1の形態によれば、吐出スイッチの吐出信号を受けて、前記オゾン水をポンプにより前記蓄水容器の下方位置から吐出管に送出して当該吐出管の先端にある吐出口から外部に吐出する吐出機構が設けられている。
吐出スイッチは、蓄水容器内のオゾン水を随時に吐出させるためのスイッチであり、接触スイッチでも非接触スイッチでも良く、適材適所に選択される。接触スイッチには、マイクロスイッチ・触覚スイッチ・リミットスイッチ・タッチパッド・歪みゲージ型スイッチ・感圧ダイオード型スイッチ・ロードセル型スイッチ・押しボタン型スイッチ・ダイヤフラム型スイッチ・ベローズ型スイッチ等があり、非接触スイッチには、ホール素子スイッチ・光電センサスイッチ・誘導型近接スイッチ・静電容量型近接スイッチ・磁気型近接スイッチ・レーザスイッチ・超音波センサスイッチ・光センサスイッチ・赤外線スイッチ等がある。一番簡易には赤外線スイッチのように手を近づけるだけで吐出信号を発信するスイッチが簡易且つ安価である。
上記吐出スイッチの吐出信号を受けて、前記オゾン水をポンプにより前記蓄水容器の下方位置から吐出管に送出して当該吐出管の先端にある吐出口から外部に吐出する吐出機構が設けられている。蓄水容器の下方位置とは、底近傍でも側面近傍でも良い。オゾン水がどんどん吐出されると、容器内蓄水の水位、即ち蓄水面が下降するから、オゾン水が確実に存在する底近傍が最適である。
また、前記吐出機構、即ち吐出スイッチとポンプの動作を制御するために、ポンプ制御回路がオゾン水生成吐出装置に設けられている。
【0023】
更に、本発明の第1の形態によれば、前記電極構造体が前記容器内蓄水の電気分解を開始する前にポンプにより少なくとも前記吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水(元は容器内蓄水)を前記蓄水容器に吸入する吸入機構と、当該吸入機構においてポンプの動作を制御するポンプ制御回路が設けられている。
オゾン水をポンプにより吐出管に送出して吐出口から吐出すると、吐出した後には吐出管内にオゾン水が残留する。オゾンは時間が経過すると分解するから、吐出管内に残留したオゾン水は通常の水に戻る。次の吐出信号では、吐出管内に残留した通常の水も吐出されることになるから、吐出されたオゾン水のオゾン濃度はかなり低下することになる。
そこで本発明では、電極構造体が電気分解を開始する前に、吐出管内に残留したオゾン水又はオゾンが消失した通常の水、即ち容器内蓄水をポンプにより蓄水容器内に吸入し、そして電気分解してオゾン生成を行うことを実行する。そうすれば、吐出されるオゾン水は一定のオゾン濃度を常に保持することができる。ここが本発明の最大の作用効果である。
前記吐出機構と前記吸入機構において使用されるポンプは、単方向ポンプや双方向ポンプでも良いし、これらを組み合わせた複合ポンプでも良い。これらの各種ポンプを適材適所に使用することができる。
【0024】
本発明の第2の形態によれば、前記第1の形態において、前記オゾン発生回路により前記電気分解は周期的に反復して実行され、前記ポンプ制御回路により夫々の電気分解の直前に前記吸入機構が作動するオゾン水生成吐出装置である。
本発明のオゾン水生成吐出装置では、電気分解は周期的に自動的に反復実行されるから、各電気分解の前に、吐出管内に残留したオゾン水又はオゾンが消失した通常の水、即ち容器内蓄水が蓄水容器内に吸入されることになる。換言すれば、電気分解はパルス状に多数回に亘って反復されるから、各電気分解のパルスの前には吸入パルスが存在することになる。即ち、動作順序で云うと、吸入・電気分解・吸入・電気分解・・・吸入・電気分解となり、吐出管内の残留水も周期的に吸入されて電気分解され、オゾン水のオゾン濃度を常時一定に保持することが実行される。
【0025】
本発明の第3の形態によれば、前記第1又は第2の形態において、一定時間だけ前記オゾン発生回路及び前記ポンプ制御回路を休止させて電気分解及びポンプ動作を停止させ、前記一定時間が終了するとオゾン発生回路及び前記ポンプ制御回路を駆動して電気分解及びポンプ動作を開始させる休止タイマ回路が設けられるオゾン水生成吐出装置を提供することができる。
人がいない夜中や、一時的に外出する場合や、定期休業日である土曜・日曜等の場合には、オゾン水生成吐出装置の動作を休止させておく必要が生じる。そのような場合に、休止タイマ回路を設けて、4時間休止・8時間休止・12時間休止・24時間休止などの休止時間を設定することができる。この休止時間内はオゾン発生回路及びポンプ制御回路が休止状態になる。
【0026】
本発明の第4の形態によれば、前記第1~第3の各形態において、前記吐出機構は、前記蓄水容器の内部下方位置から前記オゾン水が送出ポンプにより送出管に送出され、前記オゾン水がバルブを介して前記吐出管に送水されて吐出口から吐出される機構であり、前記吸入機構は、吸入ポンプにより前記吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水をバルブを介して吸入管に吸入して前記蓄水容器の内部上方位置に放出する機構であるオゾン水生成吐出装置を提供することができる。本第4形態は図1及び図3に示されている。
本第4形態では単方向ポンプが使用され、送出ポンプと吸入ポンプは共に単方向ポンプである。蓄水容器の内部下方位置にある送出管入口から容器内蓄水を送出ポンプにより送出管に送出し、バルブを介して吐出管に送出して吐出する。逆に、吐出管内に残留した水をバルブを介して吸入管に吸入して吸入管出口から蓄水容器の内部上方位置に放出し、再度電気分解に掛けることが可能になる。このような単方向ポンプを用いた単純な構成で、吐出機構と吸入機構が設けられているから、安価なオゾン水生成吐出装置を提供できる。
図1では、吸入管を蓄水容器の外周側に下降させ、底部を貫通して蓄水容器の内周側を上昇させるため、吸入管が長くなっている。他方、図3では、送出管は図1と同じであるが、吸入管はバルブから蓄水容器の天板上方を通って天板を貫通して吸入管出口が配置されているから、吸入管の長さが短くなっている特徴がある。
【0027】
本発明の第5の形態によれば、前記第1~第3の各形態において、前記吐出機構は、前記蓄水容器の内部下方位置から前記オゾン水が吸入送出ポンプにより送出管に送出され、前記オゾン水がバルブを介して前記吐出管に送水されて吐出口から吐出される機構であり、前記吸入機構は、前記吸入送出ポンプにより前記吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水をバルブを介して吸入管に吸入して前記蓄水容器の内部上方位置に放出する機構であるオゾン水生成吐出装置を提供することができる。本第5形態は図2に示されている。
本第5形態では双方向ポンプが使用され、第4形態の送出ポンプと吸入ポンプは1台の吸入送出ポンプで置き換わっている。双方向ポンプは2台の単方向ポンプを使用するより
高価であり、装置全体が高価になる弱点があるが、構成を比較的簡単にすることができる。但し、図2では、図1と同様に送出管と吸入管の2本を別管として使用しているから、管構成は比較的複雑である。但し、その作用効果は、図1と同様であるから、ここでは吸入と送出について重複説明は省略する。
【0028】
本発明の第6の形態によれば、前記第1~第3の各形態において、前記吐出機構は、前記蓄水容器の内部下方位置から前記オゾン水が吸入送出ポンプにより吸入送出管に送出され、前記オゾン水が前記吐出管に送水されて吐出口から吐出される機構であり、前記吸入機構は、吸入送出ポンプにより前記吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水を吸入送出管に吸入して前記蓄水容器の前記内部下方位置に放出する機構であるオゾン水生成吐出装置を提供することができる。本第6形態は図4に示されている。
本第6形態でも双方向ポンプが使用され、第4形態の送出ポンプと吸入ポンプは1台の吸入送出ポンプで置き換わっている。同時に、本第6形態では、第4形態の送出管と吸入管が1本の吸入送出管で置き換わっている点に特徴がある。
本第6形態では、蓄水容器の内部下方位置にある吸入送出管出入口から容器内蓄水を吸入送出ポンプにより吸入送出管に送出し、吐出管に送出して吐出する。逆に、吐出管内に残留した水を吸入送出ポンプにより吐出管から吸入送出管に吸入して吸入送出管出入口から蓄水容器の内部下方位置に放出し、再度電気分解に掛けることが可能になる。
このように1台の双方向ポンプである吸入送出ポンプを使用し、且つ1本の吸入送出管を用いた単純な構成で、吐出機構と吸入機構が設けられているから、簡単な構成でオゾン水生成吐出装置を提供できる作用効果がある。しかも、1本の吸入送出管を蓄水容器の外周側に配置するから、管構成が極めて単純な特徴を有する利点がある。
【0029】
本発明の第7の形態によれば、前記第1~第6の各形態において、前記電極構造体は、電極間隙を隔てて配置された陽極部材と陰極部材を単位電極体とし、1個の単位電極体又は接続された2個以上の単位電極体から構成されるオゾン水生成吐出装置を提供することができる。
容器内蓄水を電気分解してオゾンを発生させるために、電極構造体は電圧を印可する陽極部材と陰極部材を電極間隙を隔てて対向配置させた単位電極体から少なくとも構成する必要がある。また、電気分解能力を増強するために、前記単位電極体を2個以上接続させて電極構造体を構成することもできる。接続形態は、直列接続でも並列接続でもよく、更には直列接続と並列接続を混在させた直並列接続でも構わない。
【0030】
本発明の第8の形態によれば、前記第7の形態において、前記陽極部材と前記陰極部材の間の電極間隙に紐状絶縁スペーサを介装して両者間の電気絶縁性を確実化したオゾン水生成吐出装置を提供することができる。
電極間隙を隔てて対向配置された前記陽極部材と前記陰極部材は金属体であるから可動性は極めて低いが、両部材間の絶縁性を確実化するために、本形態では電極間隙に紐状絶縁スペーサを介装させて、両部材の直接接触を物理的に遮断している。これにより容器内蓄水の電気分解を故障なく持続させる作用効果がある。
【0031】
本発明の第9の形態によれば、前記第8の形態において、前記紐状絶縁スペーサがOリング又は紐であるオゾン水生成吐出装置を提供することができる。
電気絶縁性を有したOリングであれば、1個以上、確実には離隔した状態で2個以上のOリングを陽極部材又は陰極部材に巻回するだけで、両部材の物理的接触を簡単に遮断できる。また電気絶縁性を有した紐であれば、1本の紐を陽極部材又は陰極部材に1回以上、確実には離隔した状態で2回以上連続して多重巻回すればOリングと同等の物理的接触の遮断能力を有する。
【0032】
本発明の第10の形態によれば、前記第1~第9の各形態において、蓄水容器の容器底
板の一部に凹盆部が設けられる。当該凹盆部は容器底板内面から段差面を介してより低い位置に凹盆部底板を配置され、容器底板内面と段差面と凹盆部底板内面とが連続して水密状態に形成されている。凹盆部底板内面は容器底板内面より段差深さHだけ低い位置に配置されている。
凹盆部底板の形成には2種の方法がある。第1は、容器底板の略中央部を下方に凹設する、即ち凹ませて形成する場合には、容器底板と凹盆部底板は切れ目なく連続して形成される。この場合には、段差深さHは凹設深さになり、段差深さHを多少ではあるが厚薄調整できる。第2は、容器底板の略中央部に穴部を開口し、この穴部を下方から閉鎖板で密閉する場合には、閉鎖板が凹盆部底板になり、2枚の底板が積層された構造になる。この場合には、段差深さHは容器底板の厚みに相当する。
この段差深さHが深くなるほど、容器内蓄水が自然に凹盆部底板内面に流下する速度が大きくなり、流下水量が増大する。電極構造体が凹盆部底板内面の上に立設されるから、容器内蓄水が段差面に沿って流下する速度が増し、この流下水が電極構造体の底面から上昇しながら電気分解が促進される。従って、凹盆部により電気分解される水量が増大するから、大量のオゾンが発生し、オゾン水の生成速度が増大する作用効果を発現する。段差深さHが大きい程、オゾン水の生成速度は増大するが、比例関係より複雑な水力学的関係を有する。但し、段差深さHが無い場合よりも、、段差深さHが板厚程度でも存在すれば凹盆部への流下水量が増大し発生オゾン量が増大することが実験的に確認されている。
【0033】
本発明の第11の形態によれば、前記第1~第10の各形態において、前記電極構造体は、電極の表面が前記容器内蓄水に接触する状態で電極保護部により保護されており、当該電極保護部により前記電極構造体の抜脱防止を図り、且つ構造安定性を図るオゾン水生成吐出装置を提供することができる。
本発明に係るオゾン水生成吐出装置の中心部材は電極構造体であり、電極構造体は蓄水容器内に立設されている。従って、本形態では、電極構造体を保護する電極保護部を設け、しかも電極構造体が容器内蓄水と大面積で接触するような構造で電極保護部を配置する。この電極保護部により、容器本体からの抜脱防止を図り、且つ構造安定性を図ることができる。
例えば、電極構造体の先端部に保護頭部を被せ、その保護頭部から電極構造体の2面、3面又は4面に沿って2本以上の保護柱部を離間状態で立設させて、蓄水容器の容器底板内面と結合させる。更に望ましくは、保護頭部や保護柱部から押え部を突設して電極構造体の周面や先端両面を狭持して、電極構造体の構造安定性を強化することもできる。保護頭部に頭部穴部を開口すると、オゾン水がその頭部穴部を通して上昇し、その上昇を加速させることもできる。
【0034】
本発明の第12の形態によれば、前記第1~第11の各形態において、蓄水容器の最上部に蓄水を蓄水容器の中に注入するための蓄水注入口を有した蓄水受部を配置されている。蓄水容器と蓄水受部とを開閉蓋を有する外観ケースに収容し、開閉蓋の内面側に注入口遮断部材が設けられている。開閉蓋を閉鎖するとこの注入口遮断部材が蓄水受部の蓄水注入口を圧接状態に密閉するから蓄水容器内からオゾンの逃散を遮断する。また、開閉蓋を開放すると、開放された蓄水注入口から蓄水を蓄水容器内に注入することが可能になる構造を有する。
蓄水容器内のオゾン水は使用頻度によりどんどん外部に吐出されてゆくから、蓄水容器内の蓄水面は時間と共に低下してゆき、蓄水を時間と共に補充する必要がある。上記開閉蓋は蓄水を補充するために必須部材であり、閉鎖時にオゾンの逃散を防止する意味でも開閉蓋の内面側に注入口遮断部材を設けることが必須条件となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るオゾン水生成吐出装置1を示す全体説明図である。
図2図2は、本発明の第2実施形態に係るオゾン水生成吐出装置1を示す全体説明図である。
図3図3は、本発明の第3実施形態に係るオゾン水生成吐出装置1を示す全体説明図である。
図4図4は、本発明の第4実施形態に係るオゾン水生成吐出装置1を示す全体説明図である。
図5図5は、本発明に使用される1個の単位電極体である電極構造体2の第1実施例の分解斜視図(5A)及び斜視図(5B)である。
図6図6は、本発明の第1実施形態~第4実施形態に共通する電源回路17・休止タイマ回路16a・オゾン発生回路16b・ポンプ制御回路16c・吐出スイッチ11の動作波形図である。
図7図7は、図5に示された電極構造体2の上面図(7A)及び側面図(7B)である。
図8図8は、本発明に使用される1個の単位電極体からなる電極構造体2の第2実施例の分解斜視図(8A)とその合体斜視図(8B)、及びその変形例の斜視図(8C)である。
図9図9は、本発明に使用される1個の単位電極体からなる電極構造体2の第3実施例の分解斜視図(9A)及び合体斜視図(9B)である。
図10図10は、本発明に使用される2個以上の単位電極体を組み合わせた電極構造体2の第4実施例の全体斜視図である。
図11図11は、本発明に使用される2個以上の単位電極体を組み合わせた電極構造体2の第5実施例の全体斜視図である。
図12図12は、本発明において陽極部材21に巻回される様々な紐状絶縁スペーサ30の巻回形態を例示する説明図である。
図13図13は、本発明において容器底板5dに形成される凹盆部7の変形例の説明図である。
図14図14は、本発明において電極構造体2を保護する電極保護部40の実施例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明に係るオゾン水生成吐出装置の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
【0037】
図1は、本発明の第1実施形態に係るオゾン水生成吐出装置1を示す全体説明図である。
本形態におけるオゾン水生成吐出装置1は、外観ケース3の中に蓄水容器5を内蔵して構成されている。外観ケース3は底面を有した筒状の外観ケース本体3cとその周面に突設されたオゾン水吐出用突部3dから構成されている。オゾン水吐出用突部3dにはオゾン水を吐出するための吐出口部3eが開口されている。外観ケース本体3cの上面には開閉自在な開閉蓋3aが設けられ、開閉蓋3aの内面にゴム材やスポンジ材などの柔軟部材からなる注水口遮断部材3bが付設されている。
また、オゾン水吐出用突部3dの下面側には吐出スイッチ11が配置されている。本実施形態では、吐出スイッチ11は赤外線スイッチが使用されており、オゾン水を吐出するために使用者が手をその近傍に伸ばしただけで、体温を感じて吐出信号を発信してオゾン水を吐出口部3eから吐出することができる。
【0038】
外観ケース3の中には蓄水容器5が内蔵されており、蓄水容器5の上面には蓄水注入口5aを上方に開口した蓄水受部5bが突設されている。前記開閉蓋3aを開くと蓄水注入口5aが上方に開口され、この蓄水注入口5aから、例えば水道水などの原料水を注入して、蓄水容器5の中に容器内蓄水6を貯留し、この容器内蓄水6aは蓄水面6aを有する
ように上方部が空洞になる位置まで貯留される。その後に開閉蓋3aを閉鎖すると、注入口遮断部材3bが蓄水注入口5aを完全に密閉状態に閉鎖することになる。その結果、後述するようにオゾンが生成されても、オゾンは蓄水注入口5aから外部に逃散することは無い。従って、オゾンは容器内蓄水6の中に溶解して分散状態になり、容器内蓄水6はオゾン水へと変化する。
蓄水容器5の容器底板5dの中央部には一段低くなっている凹盆部7が形成されている。この凹盆部7は容器底板内面5cから段差面7cを介して凹盆部底板7aを凹設して構成されている。容器底板内面5cと凹盆部底板内面7bの落差が段差深さHになる。この段差深さHが存在すると、凹盆部7の周辺に存在する容器内蓄水6が段差面7cに沿って矢印A方向に凹盆部内に加速的に自然に流下する。この流下した容器内蓄水6が後述する電極構造体2の最下面及び/又は電極構造体の表面に形成された多数の孔27から電極構造体2の内部に浸入して上昇し、電気分解を加速的に受けてオゾン発生が増大化するのである。前記孔27は凹盆部7の内部に位置する電極構造体の表面にも形成されている。即ち、凹盆部7の存在により電極構造体2に浸入する水量が増大してオゾン発生量が増大する作用効果を生じることになる。
【0039】
凹盆部7に配置される電極構造体2は、内側に陽極部材21と外側に陰極部材22が電極間隙23だけ離隔した状態で対向配置された構造を有している。陽極部材21の周囲には紐状絶縁スペーサ30が巻回されて、電極間隙23を安定して保持し、陽極部材21と陰極部材22が短絡せず絶縁状態に保持される。その結果、容器内蓄水6の電気分解を安定して持続することができる。
陰極部材22の表面には多数の孔27が形成され、この孔27から容器内蓄水6が内部に浸入し、陽極部材21と陰極部材22の間で電気分解が実行される。前述したように、段差面7cから矢印A方向に流下した容器内蓄水6は電極構造体2の下面に流入して上昇するが、下面だけでなく段差深さHの中にある孔7からも容器内蓄水6は電極構造体2の内部に流入する。これらの相乗効果により、電極構造体2の内部に浸入する容器内蓄水6の分量は増大するのである。
電極構造体2の内部に浸入した容器内蓄水6は電気分解されるから、その結果生じるオゾン気体がその浮力により蓄水容器5の中に存在する容器内蓄水6の全体に溶解分散して、容器内蓄水6の全体がオゾン水へと変化する。
また、上述したように、注入口遮断部材3bにより蓄水注入口5aは完全に密閉されているから、オゾン気体は外部に逃散することができず、容器内蓄水6のオゾン水への変化は急速に実現する利点がある。
【0040】
オゾン水を外部に送出する送出管12において、その一端である送出管入口12aは容器底板5dを貫通して蓄水容器5の内部底近傍に配置され、送出ポンプP1を介してバルブVに接続されている。そして、バルブVから吐出管14がオゾン水吐出用突部3dの内部を通して配管され、吐出管14の吐出口14aが吐出口部3eから突設されている。従って、使用者が吐出スイッチ11に手を近づけると吐出スイッチ11は吐出信号を送信し、送出ポンプP1の送出作用により、オゾン水は送出管入口12aから矢印B方向に吸い込まれ、送出管12を矢印C方向に上昇してバルブVの送出経路fOを流通して送出管14に送出され、適量のオゾン水が吐出口14aから矢印D方向に外部に吐出されることになる。
しかし、ここに本発明が解決すべき重要な問題がある。吐出管14を通してオゾン水を吐出した後に、吐出管14の中にオゾン水が一部残留する。しかも、この吐出管14内の残留オゾン水は時間が経過するとオゾンが分解して通常の水に変化してしまう。つまり、次の吐出の際に、吐出管14内に残留した通常の水も吐出されることになり、オゾン水による脱臭除菌作用の低減を招来する。この問題を解決することが次の課題になる。
【0041】
そこで、本第1実施形態では、吸入ポンプP2と吸入管13を設けて上記問題を解決し
ている。即ち、バルブVから吸入管13が垂下され、吸入ポンプP2を介して容器底板5dを貫通し吸入管13が蓄水容器5の内部を上昇方向に配置され、その他端である吸入管出口13aが蓄水面6aより上方に突出配置されている。換言すると、適時に吸入ポンプP2を駆動して吐出管14内の残留水をバルブ11の吸入経路fiを通して吸入管13の中に矢印E方向に吸入する。そして、吸入管13の中を矢印F方向に吸い上げて吸入管出口13aから蓄水容器6aの中に矢印G方向に放出するのである。
この吸入動作は電極構造体2による電気分解の前に行うと、吸入された残留水の再電気分解が可能になり、容器内蓄水6の電気分解が効率的に行える。電気分解が周期的に行われるならば、電気分解の前に吸入動作を行い、電気分解と同様に、吸入動作も周期的に行うことが良好になる。
本第1実施形態では、送出ポンプP1と吸入ポンプP2として低価格の単方向ポンプが使用されており、オゾン水生成吐出装置1の全体を安価に構成して提供することができる。
【0042】
次に、電子回路系について説明する。本第1実施形態では、制御部16として休止タイマ回路16aとオゾン発生回路16bとポンプ制御回路16cが配置され、これら3種の回路体に電源を供給する電源回路17が配置されている。
電源回路17は電圧を供給する装置で、交流電源でも直流電源でも良い。交流電源の場合には下記のオゾン発生回路16bが交直変換回路を併有する。また直流電源の場合には、交流電源を直流化した回路でも良いし、電池や充電可能な二次電池でも良い。オゾン発生回路16bは陽極部材21と陰極部材22に周期的な直流電圧パルスを印加する回路で、直流パルス・ゼロ電圧・直流パルス・ゼロ電圧と周期的に直流電圧パルスを印加する回路であれば何でもよい。また、ポンプ制御回路16cとしては、吐出スイッチ11の吐出信号を受けて送出ポンプP1を一定時間だけ吐出駆動し、且つ吸引ポンプP2を周期的に駆動する回路である。例えば、オゾン発生をさせる上記直流パルスに連動させて、この直流パルスの直前に吸引ポンプP2を駆動する周期回路がある。
【0043】
図2は、本発明の第2実施形態に係るオゾン水生成吐出装置1を示す全体説明図である。図1の第1実施形態と異なるのは、ポンプ関係だけであり、他は総て図1の第1実施形態と同一であるから、以下では異なる点だけを説明する。
図2に示される吸入送出ポンプPは、吸引端と送出端を二組有した双方向ポンプであり、図1の送出ポンプP1と吸入ポンプP2の両者を1台に装備した双方向ポンプである。1台のこの吸入送出ポンプPにより、図1で説明した送出ポンプP1と吸入ポンプP2の動作を総て実現している点だけが相違点である。他の部材は全く同一であり、同一の動作を行って図1と同一の作用効果を実現しているから、説明は省略する。
【0044】
図3は、本発明の第3実施形態に係るオゾン水生成吐出装置1を示す全体説明図である。図1の第1実施形態と異なるのは、吸入管13を上方に設けた配置形態だけである。単方向ポンプである送出ポンプP1と吸入ポンプP2も同一であり、他は総て図1の第1実施形態と同一であるから、以下では異なる点だけを説明する。
図3では、吸入管13を蓄水容器5の天板の上側に配置し、吸入管出口13aを蓄水容器5の天板に下方に向けて貫通させている点が異なっている。従って、吸入ポンプP2を介装した吸入管13は、図1よりも極端に短く構成されているから、管路配置が極めて簡単化されている特徴を有する。送出ポンプP1による送出方向B・C、及び吸入ポンプP2を用いた吸入方向E・Fも図1と全く同様であるから、説明は省略する。
【0045】
図4は、本発明の第4実施形態に係るオゾン水生成吐出装置1を示す全体説明図である。
本第4実施形態で使用される吸入送出ポンプPは、吸入端と送出端を1組だけ有した双方向ポンプであり、吸入端と送出端を2組有した図2の吸入送出ポンプPとは異なってい
る。一番重要な相違点は、1本の吸入送出管15を有するだけであり、送出管12と吸入管13を2本有した第1~3実施形態とは異なる点である。本第4実施形態が、第1~4実施形態の中で、一番簡単な構成を有していることは云うまでもない。
吸入送出ポンプPが送出作動すると、蓄水容器5のオゾン水は吸入送出管出入口15aから矢印B方向に吸い込まれて、吸入送出管15を矢印C方向に上昇して、吐出管14を通って矢印D方向に吐出される。また、吸入送出ポンプPが吸入作動すると、吐出管14内の残留水は、矢印E方向と矢印F方向に流動し、吸入送出管出入口15aから蓄水容器5内に矢印G方向に放出される。
【0046】
図5は、本発明に使用される1個の単位電極体である電極構造体2の第1実施例の分解斜視図(5A)及び全体斜視図(5B)である。
本第1実施例において、電極構造体2は、矩形板状の陽極部材21と、陽極部材21に電極間隙23を隔てて対面する断面形状がU字型若しくはコの字型の陰極部材22と、陽極部材21と陰極部材22とで挟持された紐状絶縁スペーサ30の1種であるOリング30aから構成される。この1個以上のOリング30aが前記陽極部材21を巻回して配置され、電極間隙23のうち、Oリング30a以外の空間部分には前述した容器内蓄水6が流入する。
陽極部材21には陽極接続突起25が形成され、陰極部材22には陰極接続突起26が形成され、陽極接続突起25と陰極接続突起26に電圧が印加されて容器内蓄水6の電気分解が実行され、水分解によりオゾンが生成される。また、陰極部材22には多数の孔27が開孔形成され、これらの孔27から電極間隙23内に容器内蓄水6流入して、電気分解を効率化しオゾン発生量を増大化させている。
なお、前記Oリング30aや後述する紐30b等の紐状絶縁スペーサ30の材質は、特に限定されるものではないが、フッ素樹脂、軟質フッ素樹脂、バイトンゴム、シリコンゴム、塩ビゴム、エチレンプロピレンゴム等が利用可能であり、耐食性の観点から、フッ素樹脂や軟質フッ素樹脂等が好ましい
【0047】
図6は、本発明の第1実施形態~第4実施形態に共通する電源回路17・休止タイマ回路16a・オゾン発生回路16b・ポンプ制御回路16c・吐出スイッチ11の動作波形図である。
このオゾン水生成吐出装置1は、電源回路17がオン状態(時刻T1~T2)でのみ作動し、オフ状態では全ての機能が停止する。休止タイマ回路16aは、電源回路がオン状態であっても、帰宅時に例えば10時間や14時間といった休止タイマをオン(時刻T3~T4)にすると、その休止タイマの時間内はオゾン発生回路16bやポンプ制御回路16cや吐出スイッチ11は機能を停止する。従って、電源回路17がオン状態で、且つ休止タイマ回路16aがオフ状態のとき(T1~T3、T4~T2)、オゾン発生回路16bとポンプ制御回路16cと吐出スイッチ11は機能を発揮する構成になっている。
オゾン発生回路16bは、直流パルス・ゼロ電圧・直流パルス・ゼロ電圧・・と周期的に直流電圧パルスを印加するように構成されている。具体的には、例えば時刻tから2分間の直流電圧パルスの印加と10分間休止を交互に周期的に反復するように構成されている。時間については適宜に調節可能になっている。
ポンプ制御回路16cは、吐出管14内の残留水の吸入動作と蓄水容器5からのオゾン水の送出動作を制御する回路である。上記のように、オゾン発生回路16bが時刻tから2分間だけ電気分解(オゾン発生)する場合には、時刻tの前、例えば直前に、吐出管内の残留水の吸入動作を周期的に行う。また、吐出スイッチ11が吐出信号を送信する時刻Tのときにオゾン水を吐出する送出動作を実行する。
【0048】
図7は、図5に示された電極構造体2の上面図(7A)及び側面図(7B)である
図7において、Oリング30aで構成される紐状絶縁スペーサ30は弾性素材からなることが好ましい。その場合、電極構造体2は、紐状絶縁スペーサ30により巻回された陽
極部材21と、陰極部材22との挿嵌により構成される。本形態によれば、接着剤をもちいることなく、単なる挿嵌により電極構造体2を構成でき、その構成が紐状絶縁スペーサ30の弾性により維持されるので、構造がシンプルで製造が容易な電極構造体2を有するオゾン水生成吐出装置1を提供できる。
本発明において、陽極部材21を構成する素材は、導電性を有する限り特に限定されるものではないが、耐食性及びオゾン生成反応の触媒作用の観点から少なくともその表面は白金、イリジウム等の貴金属及びそれらの酸化物、又は、ニオブ酸化物、又は、タンタル酸化物、又は、カーボンを含むことが好ましい。陽極部材21には、陽極接続突起25が延設されている。
本発明において、陰極部材22を構成する素材は、導電性を有する限り特に限定されるものではないが、発生する水素に対して脆化しないという観点から、白金族元素、ニッケル、ステンレス、チタン、ジルコニウム、金、銀、カーボン等が好ましい。陰極部材22には、陰極接続突起26が延設されている。
【0049】
図8は、本発明に使用される1個の単位電極体からなる電極構造体2の第2実施例の分解斜視図(8A)とその合体斜視図(8B)、及びその変形例の斜視図(8C)である。
図(8A)及び図(8B)に示す第2実施例においては、陽極部材21は円柱形状であり、陰極部材22は円筒形状である。Oリング30aで構成される紐状絶縁スペーサ30が陽極部材21の円柱の側面を巻回している。紐状絶縁スペーサ30は、陽極部材21と陰極部材22の間に挟持されており、その配向方向は水平方向と交差する方向である。
図(8C)に示すように、変形例においては、陽極部材21を構成する貴金属等の使用量を節減する観点から、陽極部材21は円筒形状をなしている。なお、陽極部材21を巻回するOリング30aの個数は2個に限られず、1個でもよく、3個以上でもよい。また、陽極部材21を巻回する紐状絶縁スペーサ30は、Oリング30aでなくてもよく、螺旋状に陽極部材21を巻回する後述の紐30bでもよい。また、紐状絶縁スペーサ30は、必ずしも陽極部材21の全周を隙間なく巻回する必要はなく、分離した複数の円弧から構成されていてもよい。また、紐状絶縁スペーサ30は、必ずしも陽極部材21の全周に渡って同じ太さである必要はなく、場所によって太さが異なる紐状絶縁材料から構成されていてもよい。
【0050】
図9は、本発明に使用される1個の単位電極体からなる電極構造体2の第3実施例の分解斜視図(9A)及び合体斜視図(9B)である。
本第3実施例の構成と作用効果は、上述の実施例と多くの点で共通するから、相違点を中心に説明する。この第3実施例は、図7及び図8に示した実施例と陰極部材22の構造のみが異なる。即ち、陰極部材22は2枚の分離した板からなり、これら2枚の板が、紐状絶縁スペーサ30の一例であるOリング30aにより巻回された陽極部材21を挟持することにより電極構造体2が構成される。電極構造体2を構成する各部材は、接着、融着、締着等により互いに固定される。
図9において、陰極部材22は2枚の分離した板からなり、その側面に開口部が2つあるから、電極間隙23に外部から出入りする容器内蓄水6の移動の自由度が大きい。そのため、電極構造体2の外部から容器内蓄水6を電極間隙23内に効率的に導くことができ、又、生成したオゾンを電極間隙23内から電極構造体2の外部へと効率的に送り出すことができるので、オゾン及びオゾン水を効率的に生成することができる。
【0051】
図10は、本発明に使用される2個以上の単位電極体を組み合わせた電極構造体2の第4実施例の全体斜視図である。
本第4実施例の構成と作用効果は、既述の第1実施例と多くの点で共通であるから、相違点を中心に説明する。本実施例は、図5に示す第1実施例の変形例である。図10において、電極構造体2は、nを2以上の整数として、紐状絶縁スペーサ30により巻回されたn枚の板状の陽極部材21が、n個の凹部をもつ板状の陰極部材22の凹部にそれぞれ
挿嵌されて構成されている。nが2の場合には、陰極部材の断面形状は「wの字型」である。本第4実施例においては、オゾン生成反応の起きる陽極部材21の表面積が大きくなるので、オゾン及びオゾン水を効率的に生成することができる。
【0052】
図11は、本発明に使用される2個以上の単位電極体を組み合わせた電極構造体2の第5実施例の全体斜視図である。
本第5実施例の構成と作用効果は、既述の第3実施例と多くの点で共通であるから、相違点を中心に説明する。本第5実施例は、図9に示す第3実施例の変形例である。図11において、電極構造体2は、nを2以上の整数として、紐状絶縁スペーサ30により巻回されたn枚の板状の陽極部材21が、(n+1)枚の板状の陰極部材22の間に挿嵌されて、接着、融着、締着等により各部材が互いに固定されて構成されている。本第5実施例においては、オゾン生成反応の起きる陽極部材21の表面積が大きくなるので、オゾン及びオゾン水を効率的に生成することができる。
【0053】
図12は、本発明において陽極部材21に巻回される様々な紐状絶縁スペーサ30の巻回形態を例示する説明図(12A)~(12D)である。
本発明においては、陽極部材21に各種の紐状絶縁スペーサ30を巻回する様々な仕方がある。紐状絶縁スペーサ30としてはOリング30aと紐30bがある。他の条件を一定に保ちつつ、巻回の仕方を変えた各種形態がある。(12A)では2個のOリング30aを斜め巻きしている。(12B)では1本の紐30bをW巻きしている。(12C)では2個のOリング30aを水平巻きしている。(12D)では2個のOリング30aを鉛直巻きしている。これらの各種巻き方を適材適所に実施することができる。
【0054】
図13は、本発明において容器底板5dに形成される凹盆部7の変形例の説明図である。
図1に示される凹盆部7の実施例では、蓄水容器5の容器底板5dを凹設、即ち窪ませて凹盆部底板7aが設けられている。従って、容器底板内面5cと凹盆部底板内面7bとの段差深さHは凹設深さに相当するから、凹設加工深さを変えることにより段差深さHは自在に設計加工できる。
図13の変形例では、容器底板5dに穴を開口し、この穴を閉鎖するように容器底板5dの下面に凹盆部底板7aを水密状態に接合して凹盆部7を形成している。従って、この変形例では段差深さHは容器底板5dの厚さに相当するだけで、段差深さHを自在に調整することは難しい。また、この変形例では、段差面7cは容器底板5dの前記穴の周囲面である。
しかしながら、少しの段差深さHが存在すれば、容器内蓄水6が段差面7cに沿って流下する速度が増大することが実験的に確認されている。この流下水が電極構造体2の底面から上昇しながら電気分解が促進される。従って、凹盆部7により電気分解される水量が増大するから、大量のオゾンが発生し、オゾン水の生成速度が増大する作用効果を発現する。段差深さHが大きい程、オゾン水の生成速度は増大するが、比例関係より複雑な水力学的関係を有することが分かっている。但し、段差深さHが無い場合よりも、段差深さHが板厚程度でも存在すれば凹盆部7への流下水量が増大し発生オゾン量が増大することは実験的に明らかである。
【0055】
図14は、本発明において電極構造体2を保護する電極保護部40の実施例の説明図である。
電極構造体2は、電極の表面が容器内蓄水6に接触する状態で電極保護部40により保護されており、当該電極保護部40により電極構造体2の抜脱防止を図り、且つ構造安定性を増大させることが可能である。
図14の電極保護部40では。電極構造体2の先端部に保護穴部42を開口した保護頭部41を被せ、その保護頭部41から電極構造体2の厚さの薄い両側面に保護柱部43を
立設させている。2本の保護柱部43の下端部は容器底板内面5cと結合されており、2本の保護柱部43は大きな強度で安定して立設されている。電極構造体2の下面は、凹盆部底板内面7bに立設されており、容器内蓄水6が段差面7cに沿って凹盆部底板内面7bに向かって矢印A方向に流下して行く。流下した容器内蓄水6と孔7から浸入した容器内蓄水6は上昇しながら、陽極部材21と陰極部材22に印加された直流電圧により電気分解されてオゾンを発生する。そして、上昇するオゾン水は頭部穴部42から抜けて蓄水容器5内全体に混合分散してゆく。
【0056】
本発明は、上記の実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係るオゾン水生成吐出装置は、簡易かつ安価であり、家庭、職場、商店、飲食店などで手軽に利用でき、従来使用されているアルコール等の消毒剤に代わるオゾン水生成吐出装置を提供することができる。特に、容器内蓄水の電気分解を開始する前にポンプにより少なくとも吐出管の内部に残留するオゾン水又はオゾンが消失した水を蓄水容器に吸入する吸入機構を設けて、吐出するオゾン水のオゾン濃度を一定に保持するオゾン水生成吐出装置を提供することができる。また、本発明では、凹盆部を設けることにより、電極構造体に流入する容器内蓄水の量を増大させてオゾン水生成能力を向上させたオゾン水生成吐出装置を提供するこができる。従って、本発明に係るオゾン水生成吐出装置は、家庭において個人が手軽に利用可能であり、電器製品の製造及び販売に係る業界において広く利用できるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 オゾン水生成吐出装置
2 電極構造体
3 外観ケース
3a 開閉蓋
3b 注入口遮断部材
3c 外観ケース本体
3d オゾン水吐出用突部
3e 吐出口部
5 蓄水容器
5a 蓄水注入口
5b 蓄水受部
5c 容器底板内面
5d 容器底板
6 容器内蓄水
6a 蓄水面
7 凹盆部
7a 凹盆部底板
7b 凹盆部底板内面
7c 段差面
11 吐出スイッチ
12 送出管
12a 送出管入口
13 吸入管
13a 吸入管出口
14 吐出管
14a 吐出口
15 吸入送出管
15a 吸入送出管出入口
16 制御部
16a 休止タイマ回路
16b オゾン発生回路
16c ポンプ制御回路
17 電源回路
21 陽極部材
22 陰極部材
23 電極間隙
25 陽極接続突起
26 陰極接続突起
27 孔
30 紐状絶縁スペーサ
30a Oリング
30b 紐
40 電極保護部
41 保護頭部
42 保護穴部
43 保護柱部
A~G 矢印
H 段差深さ
fi 吸入経路
fO 送出経路
P 吸入送出ポンプ
P1 送出ポンプ
P2 吸入ポンプ
V バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14