(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172657
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】輸送用冷凍システム及び冷凍車両
(51)【国際特許分類】
B60P 3/20 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
B60P3/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078701
(22)【出願日】2021-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 勝巳
(57)【要約】 (修正有)
【課題】商品の積み下ろしの際にも低騒音で運転できる冷凍システム及び冷凍車両を提供する。
【解決手段】冷凍車両100に搭載する電力を動力源とする輸送用冷凍システム102であって、荷室101の温度制御を行う庫内ユニット104A、104Bと庫外ユニット103とを備え、冷凍車両100の停止中に庫外ユニット103のファンの動作を低下させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍車両に搭載する電力を動力源とする輸送用冷凍システムであって、
荷室の温度制御を行う庫内ユニットと庫外ユニットとを備え、
前記冷凍車両の停止中に、前記庫外ユニットのファンの動作を低下させる、
輸送用冷凍システム。
【請求項2】
前記動作の低下は、前記庫外ユニットが備える全ての前記ファンについて、少なくとも一つの前記ファンの回転数の低下、少なくとも一つの前記ファンの停止のうちの何れかを含む、
請求項1に記載の輸送用冷凍システム。
【請求項3】
前記輸送用冷凍システムは、複数の庫内ユニットを備え、
複数の前記庫内ユニットのうち一部を加温運転し、残りの前記庫内ユニットを冷却運転する運転モードでは、加温運転する前記庫内ユニットの庫内熱交換器をコンデンサ、冷却運転する前記庫内ユニットの庫内熱交換器をエバポレータとして機能させ、前記庫外ユニットが備える庫外熱交換器を経由すること無く前記コンデンサと前記エバポレータとの間で冷媒を循環させる、
請求項1または請求項2に記載の輸送用冷凍システム。
【請求項4】
前記加温運転する前記庫内ユニットの加温能力が過剰な場合、前記庫外ユニットの庫外熱交換器を経由すること無く前記コンデンサと前記エバポレータとの間で冷媒を循環させつつ、圧縮機が吐出した冷媒の一部を前記庫外熱交換器へ供給し、残りの前記冷媒を前記コンデンサへ供給し、前記コンデンサで凝縮した前記冷媒と前記庫外熱交換器で凝縮した前記冷媒とを前記エバポレータへ供給する、
請求項3に記載の輸送用冷凍システム。
【請求項5】
前記冷却運転する前記庫内ユニットの冷却能力が過剰な場合、前記庫外ユニットの庫外熱交換器を経由すること無く前記コンデンサと前記エバポレータとの間で冷媒を循環させつつ、前記コンデンサで凝縮した前記冷媒の一部を前記庫外熱交換器へ供給し、残りの前記冷媒を前記エバポレータへ供給する、
請求項3または請求項4に記載の輸送用冷凍システム。
【請求項6】
前記冷凍車両の停止中に、前記庫外ユニットのファンの動作を低下させるとともに、圧縮機の回転数を低下させる、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の輸送用冷凍システム。
【請求項7】
前記冷凍車両の停止中に、加温する荷室の設定温度を所定温度上昇させ、冷却する荷室の設定温度を所定温度低下させる、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の輸送用冷凍システム。
【請求項8】
荷室と、前記荷室を冷却または加温する請求項1から請求項7の何れか1項に記載の輸送用冷凍システムと、前記輸送用冷凍システムに電力を供給する電源と、
を備える冷凍車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送用冷凍システム及び冷凍車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電力で駆動する冷凍車両が提供されている。電力駆動の冷凍車両は、CO2の排出量が少なく、低騒音で走行できるため宅配便やコンビニエンスストア等の店舗へ商品の配送に利用されている。冷凍車両は、荷室の加温、冷却のために冷凍システムを搭載している。荷室の中に庫内ユニットが配備され、荷室の外には庫外ユニットが配備されている。庫外ユニットには、庫外熱交換器と、外気と庫外熱交換器の熱交換を促進するファンが設けられている。冷凍車両が店舗等に到着して商品の積み下ろしを行っている間、周囲の住宅では、庫外ユニットのファンの音が騒音として認識されることがある。夏や冬であれば冷暖房の為に窓が閉められているが、春や秋などの過ごしやすい季節には窓が解放されていることも多い。店舗側では、騒音による苦情を回避するために、荷物の積み下ろしを行う間冷凍システムの運転を停止したり、店舗から離れた場所に停車して荷物の積み下ろしを行ったりして対応している。
【0003】
店舗への商品の搬送では、商品の種類に応じて商品をチルド温度帯管理商品(例えば5℃)と米飯温度帯管理商品(例えば18℃~20℃)など、異なる温度で管理することが求められる場合がある。これに対し、冷凍車両では、荷室を2つに仕切り、一方の部屋をチルド温度帯管理温度(例えば5℃)、他方の部屋を米飯温度帯管理温度(例えば18℃~20℃)に温度管理している。上述の騒音が問題となりやすい季節では、チルド温度帯管理温度商品を搬送(例えば5℃)の部屋については冷却運転、米飯温度帯管理温度商品を搬送(例えば18℃~20℃)の部屋については加温運転により温度管理することが多い。
【0004】
特許文献1には、冷凍車両の庫内を2室に仕切り、一方を加温運転によって温度管理し、他方を冷却運転によって温度管理する制御方法が開示されている。特許文献1に記載の制御方法では、庫外熱交換器を直列に接続し、圧縮機からの冷媒を加温運転する部屋の室内熱交換器、次に庫外熱交換器、次に冷却運転する部屋の室内熱交換器、圧縮機の順に循環させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
商品の積み下ろしの際にも低騒音で運転できる冷凍システムが必要とされている。
【0007】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる輸送用冷凍システム及び冷凍車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様によれば、輸送用冷凍システムは、冷凍車両に搭載する電力を動力源とする輸送用冷凍システムであって、荷室の温度制御を行う庫内ユニットと庫外ユニットとを備え、前記冷凍車両の停止中に、前記庫外ユニットのファンの動作を低下させる。
【0009】
本開示の一態様によれば、冷凍車両は、荷室と、前記荷室を冷却または加温する上記の輸送用冷凍システムと、前記輸送用冷凍システムに電力を供給する電源と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の輸送用冷凍システム及び冷凍車両によれば、低騒音で冷凍システムの運転ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態における冷凍車両の一例を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態における冷媒回路の一例を示す図である。
【
図3A】本開示の一実施形態におけるA室、B室が共に冷却運転のときの冷媒の流れを説明する図である。
【
図3B】本開示の一実施形態におけるA室、B室が共に加温運転のときの冷媒の流れを説明する図である。
【
図3C】本開示の一実施形態におけるA室が加温運転、B室が冷却運転のときの冷媒の流れを説明する図である。
【
図3D】本開示の一実施形態におけるA室が冷却運転、B室が加温運転のときの冷媒の流れを説明する図である。
【
図3E】本開示の一実施形態におけるA室が冷却運転、B室が加温運転のときにA室の過剰冷却を抑止する制御での冷媒の流れを説明する図である。
【
図3F】本開示の一実施形態におけるA室が冷却運転、B室が加温運転のときにB室の過剰加温を抑止する制御での冷媒の流れを説明する図である。
【
図4】本開示の一実施形態における制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の一実施形態におけるコントローラのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、本開示の一実施形態による輸送用冷凍システムについて
図1~
図5を参照して説明する。
(構成)
図1は、本開示の一実施形態における冷凍車両の一例を示す図である。
図1に示すとおり冷凍車両100は、荷室101と、冷凍システム102と、コントローラ105と、電源ユニット106と、を備えている。荷室101は、A室とB室に仕切られている。A室にはA室の庫内温度を制御する庫内ユニット104A、B室にはB室の庫内温度を制御する庫内ユニット104Bが設けられている。次に
図2を用いて説明するように、庫外ユニット103と、庫内ユニット104Aおよび庫内ユニット104Bは冷媒配管で接続されており、これらは、冷凍車両100で輸送する荷物を冷却または加温する冷凍システム102を構成する。コントローラ105は、冷凍システム102を制御する。例えば、コントローラ105は、冷凍システム102が備える電動圧縮機、ファン、電磁弁や膨張弁などを制御する。電源ユニット106は、冷凍システム102を含む冷凍車両100の動力源である。例えば、電源ユニット106は、電動圧縮機へ電力を供給し、電動圧縮機を駆動する。電源ユニット106は、冷凍車両100の駆動用モータへ電力を供給する。
【0013】
図2は本開示の一実施形態における冷媒回路の一例を示す図である。
庫外ユニット103は、電動圧縮機1と、庫外熱交換器2と、膨張弁3と、レシーバ4と、ドレンパンヒータ5と、ドライヤ6と、電磁弁7~11と、リリーフバルブ12と、逆止弁13~14と、ファン15~16と、を備える。電動圧縮機1は、
図1で図示した運転席上方の筐体ではなく、運転座席の下部に設けられていてもよい。A室の庫内ユニット104Aは、庫内熱交換器21Aと、膨張弁22Aと、ドレンパンヒータ23Aと、アキュムレータ24Aと、電磁弁25Aと、逆止弁26Aと、ファン27A~28Aと、を備える。B室の庫内ユニット104Bは、庫内熱交換器21Bと、膨張弁22Bと、ドレンパンヒータ23Bと、電磁弁25Bと、逆止弁26Bと、ファン27B~28Bと、を備える。
【0014】
電動圧縮機1と庫外熱交換器2は、電動圧縮機1の吐出側の配管P1と配管P1に接続された配管P2で接続される。配管P2には電磁弁7が設けられている。配管P2は庫外熱交換器2の下部を通るように敷設されドレンパンヒータ5を構成する。電動圧縮機1と庫内熱交換器21Aは配管P1と配管P1に接続された配管P3で接続される。配管P3には電磁弁9が設けられている。配管P3は庫内熱交換器21Aの下部を通るように敷設されドレンパンヒータ23Aを構成する。電動圧縮機1と庫内熱交換器21Bは配管P1と配管P1に接続された配管P4で接続される。配管P4には電磁弁10が設けられている。配管P4は庫内熱交換器21Bの下部を通るように敷設されドレンパンヒータ23Bを構成する。電動圧縮機1の吸入側とアキュムレータ24Aは配管P5で接続されている。高圧ガスが流れる配管P2,P3、P4には、それぞれ低圧のガスが流れる配管P6、P7、P8が接続されている。配管P6、P7、P8にはそれぞれ電磁弁8、25A、25Bが設けられている。配管P6、P7、P8は、それぞれ配管P2,P3、P4とアキュムレータ24Aとを接続する。
【0015】
庫外熱交換器2には配管P2の他に配管P9が接続され、配管P9はレシーバ4と接続されている。配管P9には膨張弁3が設けられ、さらに膨張弁3をバイパスするように配管P9aが設けられている。配管P9aには、膨張弁3と並行して逆止弁13が設けられている。庫内熱交換器21Aには配管P3の他に配管P10が接続され、配管P10はレシーバ4と接続されている。配管P10には膨張弁22Aが設けられ、さらに膨張弁22Aをバイパスするように配管P10aが設けられている。配管P10aには、膨張弁22Aと並行して逆止弁26Aが設けられている。庫内熱交換器21Aには配管P4の他に配管P11が接続され、配管P11はレシーバ4と接続されている。配管P11には膨張弁22Bが設けられ、さらに膨張弁22Bをバイパスするように配管P11aが設けられている。配管P11aには、膨張弁22Bと並行して逆止弁26Bが設けられている。また、配管P11にはドライヤ6が設けられ、ドライヤ6と並行して逆止弁14が設けられている。
【0016】
レシーバ4と電動圧縮機1は配管P12で接続され、配管P12には電磁弁11が設けられ、液インジェクション回路を構成している。配管P1と配管P9は、配管P13で接続され、配管P13にはリリーフ弁12が設けられ、高圧リリーフ回路を構成する。庫外熱交換器2、庫内熱交換器21A、21Bがそれぞれエバポレータとして機能するときの冷媒流れ方向の出口側には、冷媒の温度を計測する温度センサ17,29A、29Bが設けられている。電動圧縮機1の吐出側には、冷媒の温度を計測する温度センサ18、冷媒の圧力を計測する圧力センサ19が設けられる。電動圧縮機1の吸入側には、冷媒の圧力を計測する圧力センサ19aが設けられる。また、荷室101のA室には庫内温度を計測する温度センサ30A、B室には庫内温度を計測する温度センサ30Bが設けられる。次に、
図3A~
図3Fを用いて、A室、B室の温度制御別に冷媒の流れについて説明する。
【0017】
(A室、B室が共に冷却運転)
A室、B室が共に冷却運転の場合について
図3Aを参照して説明する。コントローラ105は、電磁弁7、25A、25Bを開とし、電磁弁8、9、10を閉とし、膨張弁3を閉とする。電動圧縮機1が吐出した冷媒は、配管P1、P2を通じて庫外熱交換器2(コンデンサ)へ至り凝縮する。凝縮した液冷媒は、逆止弁13を通じて配管P9を流れ、レシーバ4へ至る。液冷媒は、レシーバ4から配管P10を通じて、庫内ユニット104Aの膨張弁22Aに至り、膨張弁22Aにて減圧され、庫内熱交換器21A(エバポレータ)にて気化する。気化した冷媒は、配管P7を通じてアキュムレータ24Aへ至る。庫内ユニット104Bについても同様に、高圧液冷媒がレシーバ4から配管P11を通じて膨張弁22Bへ送られ、膨張弁22Bにて減圧した冷媒が庫内熱交換器21B(エバポレータ)にて気化し、配管P8を通じて、アキュムレータ24Aへ送られる。そして、低圧ガスがアキュムレータ24Aから配管P5を通じて電動圧縮機1へ吸入される。以降、同様のサイクルにて冷媒が循環する。コントローラ105は、ファン15~16、27A~28A、27B~28Bを運転させ、温度センサ30A、30Bが計測する温度がそれぞれA室、B室の設定温度となるよう冷凍システム102を制御する。例えば、コントローラ105は、温度センサ29A,29Bが計測する温度が所定の温度(所定の加温能力又は冷却能力を示す温度/対応する温度)となるように膨張弁22A、22Bの開度を制御する。なお、A室のみ冷却運転を行い、B室の運転を停止する場合、コントローラ105は、電磁弁25Bを閉じ、ファン27B~28Bを停止する。B室のみ冷却運転を行いA室の運転を停止する場合、コントローラ105は、電磁弁25Aを閉じ、ファン27A~28Aを停止する。
【0018】
(A室、B室が共に加温運転)
A室、B室が共に加温運転の場合について
図3Bを参照して説明する。コントローラ105は、電磁弁7、25A、25Bを閉とし、電磁弁8、9、10を開とし、膨張弁22A、22Bを閉とする。電動圧縮機1が吐出した冷媒は、配管P1、P3を通じて庫内熱交換器21A(コンデンサ)へ至り凝縮する。凝縮した冷媒は、逆止弁26Aを通じて配管P10を流れ、レシーバ4へ至る。同様に、電動圧縮機1が吐出した冷媒は、配管P1、P4を通じて庫内熱交換器21B(コンデンサ)へ至り凝縮する。凝縮した冷媒は、逆止弁26Bを通じて配管P11を流れ、レシーバ4へ至る。液冷媒は、レシーバ4から配管P9を通じて、庫外ユニット103の膨張弁3にて減圧され、庫外熱交換器2(エバポレータ)にて気化し、配管P6を通じてアキュムレータ24Aへ至る。低圧ガスは配管P5を通じてアキュムレータ24Aから電動圧縮機1へ吸入される。以降、同様のサイクルにて冷媒が循環する。コントローラ105は、ファン15~16、27A~28A、27B~28Bを運転させ、温度センサ30A、30Bが計測する温度がそれぞれA室、B室の設定温度となるよう冷凍システム102を制御する。例えば、コントローラ105は、温度センサ17が計測する温度が所定の温度(所定の加温能力又は冷却能力を示す温度/対応する温度)となるように膨張弁3の開度を制御する。なお、A室のみ加温運転を行い、B室の運転を停止する場合、コントローラ105は、電磁弁10を閉じ、ファン27B~28Bを停止する。B室のみ加温運転を行いA室の運転を停止する場合、コントローラ105は、電磁弁9を閉じ、ファン27A~28Aを停止する。
【0019】
(A室が加温運転、B室が冷却運転)
A室が加温運転、B室が冷却運転の場合について
図3Cを参照して説明する。コントローラ105は、電磁弁9、25Bを開とし、電磁弁7、8、10、25Aを閉とし、膨張弁3、22Aを閉とする。電動圧縮機1が吐出した冷媒は、配管P1、P3を通じて庫内熱交換器21A(コンデンサ)へ至り凝縮し、逆止弁26Aを通じて配管P10を流れ、レシーバ4へ至る。液冷媒は、レシーバ4から配管P11を通じて庫内ユニット104Bへ送られ、膨張弁22Bにて減圧され、庫内熱交換器21B(エバポレータ)にて気化する。気化した冷媒は、配管P8を通じてアキュムレータ24Aへ至る。低圧ガスは、アキュムレータ24Aから配管P5を通じて電動圧縮機1へ吸入される。以降、同様のサイクルにて冷媒が循環する。コントローラ105は、ファン15~16を運転もしくは停止、ファン27A~28A、27B~28Bを運転させ、温度センサ30A、30Bが計測する温度がそれぞれA室、B室の設定温度となるよう冷凍システム102を制御する。例えば、コントローラ105は、温度センサ29Bが計測する温度が所定の温度(所定の加温能力又は冷却能力を示す温度/対応する温度)となるように膨張弁22Bの開度を制御する。
【0020】
このようにA室が加温運転、B室が冷却運転の場合、庫外ユニットに冷媒を流さずに、庫内ユニット104Aと庫内ユニット104Bの間で冷媒を循環させてA室、B室の温度管理を行う。A室、B室は断熱材で覆われ、庫内ユニット104Aと庫内ユニット104Bもその中に収容されている。このような環境下で、A室では庫内熱交換器21Aを通じてA室へ放熱し、B室では庫内熱交換器21Aを通じて吸熱することで効率良くA室、B室の温度管理を行うことができ、電源ユニット106が備える電池の電力消費を抑制することができる。
【0021】
(A室が冷却運転、B室が加温運転)
A室が冷却運転、B室が加温運転の場合について
図3Dを参照して説明する。コントローラ105は、電磁弁10、25Aを開とし、電磁弁7、8、9、25Bを閉とし、膨張弁3、22Bを閉とする。電動圧縮機1が吐出した冷媒は、配管P1、P4を通じて庫内熱交換器21B(コンデンサ)へ至り凝縮し、逆止弁26Bを通じて配管P11を流れ、レシーバ4へ至る。液冷媒は、レシーバ4から配管P10を通じて庫内ユニット104Aへ送られ、膨張弁22Aにて減圧される。減圧された液冷媒は、庫内熱交換器21A(エバポレータ)にて気化し、配管P7を通じてアキュムレータ24Aへ送られる。アキュムレータ24Aの低圧ガスは、配管P5を通じて電動圧縮機1へ吸入される。以降、同様のサイクルにて冷媒が循環する。コントローラ105は、ファン15~16を運転もしくは停止、ファン27A~28A、27B~28Bを運転させ、温度センサ30A、30Bが計測する温度がそれぞれA室、B室の設定温度となるよう冷凍システム102を制御する。例えば、コントローラ105は、温度センサ29Aが計測する温度が所定の温度(所定の能力に対応する温度)となるように膨張弁22Aの開度を制御する。このようにA室が冷却運転、B室が加温運転の場合(
図3D)、A室が加温運転、B室が冷却運転(
図3C)の場合と同様に庫外ユニット103を休止状態として、電動圧縮機1と、庫内熱交換器21B(コンデンサ)と、膨張弁22Aと、庫内熱交換器21A(エバポレータ)と、で冷媒回路を構成し、庫内ユニット104Aと庫内ユニット104Bの間で冷媒を移動することによってA室とB室の温度管理を行う。これにより、冷凍システム102を効率良く稼働することができる。
【0022】
このように、A室とB室のうち一方が加温運転、他方が冷却運転とする運転モードの場合、コントローラ105は、庫外ユニット103を休止状態として庫内ユニット104A、104B間で冷媒を循環させる制御を優先して行う。しかし、A室とB室それぞれの設定温度、そのときの外気温度などの条件によっては、庫内を所望の温度に維持するための運転負荷がA室とB室とでは大きく異なる場合がある。例えば、A室が先に設定温度に到達し、B室が設定温度に至らない場合、それまでと同じ運転を継続するとA室にとっては過剰な加温又は冷却を行うことになる。このような場合には、庫外ユニット103へ余剰分を振り分けることで、A室への過剰な冷媒の供給を抑制し、A室とB室の両方において、(過剰とならずに)必要な分の熱交換量だけを維持できるような運転に切り替える。次にA室が冷却運転、B室が加温運転の場合を例に、過剰冷却、過剰加熱を抑止する運転における冷媒の流れについて説明する。
【0023】
(A室が冷却運転、B室が加温運転、A室の過剰冷却を抑止)
A室の過剰冷却を抑止する場合について
図3Eを参照して説明する。コントローラ105は、電磁弁8、10、25Aを開とし、電磁弁7、9、25Bを閉とし、膨張弁22Bを閉とする。電動圧縮機1が吐出した冷媒は、配管P1、P4を通じて庫内熱交換器21B(コンデンサ)へ流れ、庫内熱交換器21Bにて凝縮されると逆止弁26Bを通じて配管P11を流れ、レシーバ4へ至る。ここまでは、
図3Dと同様である。その後、一部の液冷媒は、レシーバ4から配管P10を通じて庫内ユニット104Aへ送られ、一部は配管P9を通じて庫外ユニット103の膨張弁3へ送られる。庫内ユニット104Aへ送られた冷媒の流れは
図3Dと同様である。つまり、膨張弁22Aにて減圧され、庫内熱交換器21A(エバポレータ)にて気化し、配管P7を通じてアキュムレータ24Aへ送られる。一方、膨張弁3へ送られた冷媒は、膨張弁3で減圧され、庫外熱交換器2(エバポレータ)にて気化され、配管P6を通じてアキュムレータ24Aへ送られる。そして、庫外熱交換器2と庫内熱交換器21Aを経由した冷媒は、アキュムレータ24Aから配管P5を通じて電動圧縮機1へ吸入され、再圧縮される。以降、同様のサイクルにて冷媒が循環する。
図3Dに示す冷媒の流れと比較した場合の冷媒が流れるルートの違いを
図3Eの破線にて示す。コントローラ105は、ファン15~16、27A~28A、27B~28Bを運転させ、温度センサ30A、30Bが計測する温度がそれぞれA室、B室の設定温度となるよう冷凍システム102を制御する。例えば、コントローラ105は、温度センサ29Aが計測する温度が所定の温度(所定の加温能力又は冷却能力を示す温度/対応する温度)となるように膨張弁22Aの開度を制御し、温度センサ17が計測する温度が所定の温度(所定の加温能力又は冷却能力を示す温度/対応する温度)となるように膨張弁3の開度を制御する。これにより、余剰分の冷媒を庫外熱交換器2へ振り分け、A室の冷却が過剰となることを抑止することができる。コントローラ105は、A室とB室の運転負荷が等しくなると(温度管理に必要な熱交換量、冷媒量が必要となると)、
図3Dで例示した回路に切り替えて加温冷却同時運転を実行する。
【0024】
(A室が冷却運転、B室が加温運転、B室の過剰加温を抑止)
B室の過剰加温を抑止する場合について
図3Fを参照して説明する。コントローラ105は、電磁弁7、10、25Aを開とし、電磁弁8、9、25Bを閉とし、膨張弁3、22Bを閉とする。電動圧縮機1が吐出した冷媒の一部は、配管P1、P4を通じて庫内熱交換器21B(コンデンサ)へ流れ、庫内熱交換器21Bにて凝縮されると逆止弁26Bを通じて配管P11を流れ、レシーバ4へ至る。また、電動圧縮機1が吐出した冷媒の残りは、配管P1、P2を通じて庫外熱交換器2(コンデンサ)へ流れ、庫外熱交換器2にて凝縮される。凝縮された冷媒は、逆止弁13を通じて配管P9を流れ、レシーバ4へ至る。その後、液冷媒は、レシーバ4から配管P10を通じて膨張弁22Aへ送られ、膨張弁22Aにて減圧される。減圧された冷媒は、庫内熱交換器21A(エバポレータ)にて気化し、配管P7を通じてアキュムレータ24Aへ送られる。アキュムレータ24Aに貯留されたガス冷媒は、配管P5を通じて電動圧縮機1へ吸入され、再圧縮される。以降、同様のサイクルにて冷媒が循環する。
図3Dに示す冷媒の流れと比較した場合の冷媒が流れるルートの違いを
図3Fの破線にて示す。コントローラ105は、ファン15~16、27A~28A、27B~28Bを運転させ、温度センサ30A、30Bが計測する温度がそれぞれA室、B室の設定温度となるよう冷凍システム102を制御する。例えば、コントローラ105は、温度センサ29Aが計測する温度が所定の温度(所定の加温能力又は冷却能力を示す温度/対応する温度)となるように膨張弁22Aの開度を制御する。これにより、余剰分の冷媒を庫外熱交換器2へ振り分け、B室の加温が過剰となることを抑止することができる。コントローラ105は、A室とB室の運転負荷が等しくなると、
図3Dで例示した回路に切り替えて加温冷却同時運転を実行する。
【0025】
このように本実施形態では、部屋ごとに加温運転と冷却運転を実施する場合、庫内ユニット104A、104Bで閉じた回路内の冷媒循環による温度管理を優先としながらも、A室とB室の熱交換量のバランスが取れるように、冷媒の供給が過剰となる側の庫内ユニットと並列的に庫外ユニット103を接続し、膨張弁3と、電磁弁7,8、の開閉制御により、庫外熱交換器2をコンデンサとエバポレータとで切り替えて運転する。これにより、A室とB室の運転負荷に応じて適切に冷媒量を配分することができ、例えば、A室が先に設定温度に到達したような場合であっても、A室の温度管理に影響をあまり及ぼすことなく、B室の庫内温度を設定温度に制御することができる。ここでは、A室が冷却運転、B室が加温運転の場合に冷却運転や加温運転が過剰となることを抑止する制御を説明したが、A室が加温運転、B室が冷却運転の場合についても同様である。
【0026】
コントローラ105は、A室とB室の設定温度、外気温度に応じて、
図3A~
図3Fの何れかの冷媒回路に切り替えて冷凍システム102の運転を行う。例えば、A室の設定温度が5℃、B室の設定温度が米飯温度帯管理商品(例えば18℃~20℃)の場合、外気温度が米飯温度帯管理商品以上であれば、コントローラ105は、
図3Aに例示した冷媒回路によってA室とB室を冷却運転し、外気温度がチルド温度帯管理商品(例えば5℃)未満であれば、
図3Bに例示した冷媒回路によってA室とB室を加温運転する。外気温度がチルド温度帯管理商品(例えば5℃)~米飯温度帯管理商品(例えば18℃~20℃)の範囲であれば、コントローラ105は、
図3Dに例示した冷媒回路によってA室を冷却運転、B室を加温運転し、各部屋の温度状況に応じて
図3Eに例示した冷媒回路や
図3Fに例示した冷媒回路へ切り替える。
【0027】
(動作)
次に
図4を参照して庫外ユニット103のファン15~16の動作が騒音として認識されやすい状況における低騒音制御について説明する。ファン15~16の動作が騒音として認識されやすいのは、店舗等の近隣住人が窓を開けておくことが多い季節(例えば、春、秋)や時間帯(例えば、夏の深夜~早朝など)である。コンビニエンスストアなどへ商品を配送する冷凍車両100では、5℃程度での冷蔵を要する商品と18℃~20℃程度で温度管理する必要がある米飯類を配送することが多い。このような条件を考慮すると、騒音が認識されやすい状況では、
図3C~
図3Fに例示した加温運転と冷却運転を並行して実施する制御が行われている可能性が高い。
図4のフローチャートでは、A室、B室の設定温度がそれぞれチルド温度帯管理商品(例えば5℃)、米飯温度帯管理商品(例えば18℃~20℃)、外気温度がチルド温度帯管理商品~米飯温度帯管理商品の中間とし、コントローラ105が、
図3D(状況に応じて
図3E、
図3F)に例示する加温冷却同時運転の冷媒回路で冷凍システム102の運転を行っているとする(ステップS11)。
【0028】
冷凍車両100が店舗に到着すると、商品の積み下ろしのために運転手が冷凍車両100を停車し、イグニッションキーをOFFにする。コントローラ105は、イグニッションキーがOFFにされたことを示す信号を受信する。イグニッションキーがOFFされたことを示す信号を受信すると、コントローラ105は、冷凍車両100が停止したと判定する。冷凍車両100が停止したと判定すると(ステップS12;Yes)、コントローラ105は、低騒音制御を実行する。コントローラ105は、運転中の冷媒回路が、
図3Dに例示する加温冷却同時運転のものであっても、
図3Eに例示する過剰冷却抑止運転のものであっても、
図3Fに例示する過剰加温抑止運転のものであっても、以下に説明する低騒音制御(ステップS13~S15)を実行する。
【0029】
例えば、コントローラ105は、庫外ユニット103のファン15~16の動作を低下させる(ステップS13)。ファン15~16の動作を低下させるとは、例えば、ファン15~16を停止させること、ファン15~16の回転数を低下させること、ファン15~16のうち一方を停止させること、ファン15~16のうち一方を停止させ、他方の回転数を低下させること等である。ファン15~16の動作を低下させることにより、騒音が低下し、消費電力を低減することができる。また、コントローラ105は、電動圧縮機1の回転数を低下させる(ステップS14)。電動圧縮機1の回転数を低下させることで、騒音が低下し、消費電力を低減することができる。
【0030】
また、コントローラ105は、A室とB室の設定温度を調節してもよい(ステップS15)。荷物の積み下ろしを行う間、荷室の扉を開けることにより、庫内へ外気が流入し、A室とB室の庫内温度が上昇や低下しがちになる。また、コンビニエンスストアの配送では、商品を店舗に届けると同時に空パレットの回収を行う。空パレットが直射日光により熱せられていたり、夜間の冷気により冷やされていると、空パレットを積載する荷室の庫内温度に影響が及ぶ。外気の流入や空パレットの回収による庫内温度の変動を抑制するために、コントローラ105は、例えば、A室の設定温度を1~2℃低く設定(例えば、3~4℃)し、B室の設定温度を1~2℃高く設定(例えば、21~22℃)する。これにより、荷物の積み下ろしによる庫内温度の変動を抑制し、商品の温度管理を適切に行うことができる。A室、B室の庫内温度がそれぞれの設定温度に制御されている状況で設定温度の調整を行う為、加温運転、冷却運転とも運転負荷の上昇はそれほど大きくなく、また、本実施形態の加温冷却同時運転の場合、
図3Dを用いて説明したように、断熱された庫内ユニット間で熱交換を行うことによって効率的に庫内温度を制御することができるので、電動圧縮機1の回転数を低下させても、A室、B室の庫内温度をそれぞれ調節後の設定温度に制御することができる。なお、ステップS13~S15の実行順は、任意であってよい。
【0031】
荷物の積み下ろしが終了すると、運転手がイグニッションキーをONにし、冷凍車両100を発車させる。コントローラ105は、例えば、イグニッションキーがONにされたことを示す信号を受信すると、あるいは、冷凍車両100の速度が閾値以上となると、冷凍車両100が発車したと判定する。冷凍車両100が発車すると(ステップS16;Yes)、コントローラ105は、庫外ユニット103のファン15~16の動作、電動圧縮機1の回転数、A室とB室の設定温度を低騒音制御前の状態に戻す(ステップS17)。コントローラ105は、冷凍車両100による配送が終了するまでの間(ステップS18;No)、ステップS11~17の制御を繰り返し実行する。配送が終了すると(ステップS18;Yes)、コントローラ105は、冷凍システム102の運転を停止する。
【0032】
以上、説明したように本実施形態によれば、冷凍車両100による店舗への商品配送において、荷下ろし作業時に庫外ユニット103のファン15~16の動作を低下させ、電動圧縮機1の回転数を低下させることにより、低騒音で冷凍システム102を運転することができる。また、荷物の積み下ろし中も、庫内熱交換器21Aと庫内熱交換器21Bの間で冷媒を循環させてA室とB室の温度制御を行うためファン27A~28Aと、ファン27B~28Bは動作させるが、これらのファンの動作音は、荷室の壁により防音されるため騒音とはならない。これらにより、低騒音で冷凍システム102を運転することができる。また、本実施形態によれば、ファン15~16の動作を低下させ、電動圧縮機1の回転数を低下させることにより、冷凍車両100が搭載する電池の消耗を防ぐことができる。これにより、冷凍車両100の走行や冷凍システム102の運転により多くの電力を割りあてることができる。
【0033】
上記の説明では、低騒音制御として、ステップS13~ステップS15を行うこととしたが、ステップS13だけ、あるいはステップS13とステップS14だけ、又はステップS13とステップS15だけを実行するようにしてもよい。また、
図3Aに例示する冷却運転や
図3Bに例示する加温運転を行っている際にも、
図4のステップS12~ステップS17の処理を適用して低騒音制御を実行するようにしてもよい。また、
図4においてステップS13~ステップS15を低騒音制御として実行することとしたが、コントローラ105は、ステップS13~ステップS15の処理を省エネ制御として実行してもよい。例えば、冷凍車両100が高速道路を走行している場合などに、庫外ユニット103のファン15~16の動作を低下させても、冷凍車両100の走行によって受ける風によって庫外熱交換器2と外気との熱交換に支障が無ければ、ファン15~16の動作を低下させてもよい。これにより、冷凍システム102の運転による電力の消費を低減することができる。
【0034】
図5は、本開示の一実施形態におけるコントローラのハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。上述のコントローラ105は、コンピュータ900を備える。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。
【0035】
少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。
【0036】
上述したコントローラ105における各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをそれぞれの装置のコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。制御システムは、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0037】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0038】
<付記>
各実施形態に記載の輸送用冷凍システム及び冷凍車両は、例えば以下のように把握される。
【0039】
(1)第1の態様に係る輸送用冷凍システム(冷凍システム102)は、冷凍車両(100)に搭載する電力を動力源とする輸送用冷凍システムであって、荷室の温度制御を行う庫内ユニット(104A、104B)と庫外ユニット(103)とを備え、前記冷凍車両の停止中に、前記庫外ユニットのファン(15~16)の動作を低下させる。
これにより、低騒音での荷物の積み下ろしを実現することができる。
【0040】
(2)第2の態様に係る輸送用冷凍システムは、(1)の輸送用冷凍システムであって、前記動作の低下は、前記庫外ユニットが備える全ての前記ファンについて、少なくとも一つの前記ファンの回転数の低下、少なくとも一つの前記ファンの停止のうちの何れかを含む。
これにより、ファンの動作を低下させ、ファン動作により発生する騒音と消費電力を低下することができる。
【0041】
(3)第3の態様に係る輸送用冷凍システムは、(1)~(2)の輸送用冷凍システムであって、前記輸送用冷凍システムは、複数の庫内ユニットを備え、複数の前記庫内ユニットのうち一部を加温運転し、残りの前記庫内ユニットを冷却運転する運転モードでは、加温運転する前記庫内ユニットの庫内熱交換器をコンデンサ、冷却運転する前記庫内ユニットの庫内熱交換器をエバポレータとして機能させ、前記庫外ユニットが備える庫外熱交換器を経由すること無く前記コンデンサと前記エバポレータとの間で冷媒を循環させる(
図3C、
図3D)。
これにより、効率の良く各部屋の温度管理を行うことができる。
【0042】
(4)第4の態様に係る輸送用冷凍システムは、(3)の輸送用冷凍システムであって、前記加温運転する前記庫内ユニットの加温能力が過剰な場合、前記庫外ユニットの庫外熱交換器を経由すること無く前記コンデンサと前記エバポレータとの間で冷媒を循環させつつ、圧縮機が吐出した冷媒の一部を前記庫外熱交換器へ供給し、残りの前記冷媒を前記コンデンサへ供給し、前記コンデンサで凝縮した前記冷媒と前記庫外熱交換器で凝縮した前記冷媒とを前記エバポレータへ供給する(
図3F)。
これにより、庫内ユニット間の冷媒の移動による効率的な運転を継続しつつ、加温運転をする庫内熱交換器への冷媒の過剰供給を抑制し、運転負荷に応じた適切な量の冷媒をそれぞれの庫内熱交換器へ供給することができる。
【0043】
(5)第5の態様に係る輸送用冷凍システムは、(3)~(4)の輸送用冷凍システムであって、前記冷却運転する前記庫内ユニットの冷却能力が過剰な場合、前記庫外ユニットの庫外熱交換器を経由すること無く前記コンデンサと前記エバポレータとの間で冷媒を循環させつつ、前記コンデンサで凝縮した前記冷媒の一部を前記庫外熱交換器へ供給し、残りの前記冷媒を前記エバポレータへ供給する。
これにより、庫内ユニット間の冷媒の移動による効率的な運転を継続しつつ、冷却運転をする庫内熱交換器への冷媒の過剰供給を抑制し、運転負荷に応じた適切な量の冷媒をそれぞれの庫内熱交換器へ供給することができる。
【0044】
(6)第6の態様に係る輸送用冷凍システムは、(1)~(5)の輸送用冷凍システムであって、前記冷凍車両の停止中に、前記庫外ユニットのファンの動作を低下させるとともに、圧縮機の回転数を低下させる。
これにより、冷凍車両停止時の輸送用冷凍システムの運転における低騒音、省エネルギー化を徹底することができる。
【0045】
(7)第7の態様に係る輸送用冷凍システムは、(1)~(6)の輸送用冷凍システムであって、前記冷凍車両の停止中に、加温する荷室の設定温度を所定温度上昇させ、冷却する荷室の設定温度を所定温度低下させる。
これにより、荷物の積み下ろし中に荷室を外気へ解放することによる庫内温度の変動を抑制することができる。
【0046】
(8)第8の態様に係る冷凍車両100は、荷室101と、前記荷室を冷却または加温する(1)~(7)の輸送用冷凍システム102と、前記輸送用冷凍システム102に電力を供給する電源(電源ユニット106)と、を備える。
これにより、冷凍車両100の停止中であっても、低騒音にて冷凍機システムを運転することができる。
【符号の説明】
【0047】
1・・・電動圧縮機、2・・・庫外熱交換器、3・・・膨張弁、4・・・レシーバ、5,23A,23B・・・ドレンパンヒータ、6・・・ドライヤ、7,8,9,10,11,25A,25B・・・電磁弁、12・・・リリーフ弁、13,14,26A,26B・・・逆止弁、15,16,27A,28A,27B,28B・・・ファン、21A,21B・・・庫内熱交換器、22A,22B・・・膨張弁、24A・・・アキュムレータ、100・・・冷凍車両、101・・・荷室、102・・・冷凍システム、103・・・庫外ユニット、104A,104B・・・庫内ユニット、105・・・コントローラ、106・・・電源ユニット、900・・・コンピュータ、901・・・CPU、902・・・主記憶装置、903・・・補助記憶装置、904・・・インタフェース