(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172664
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20221110BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20221110BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
H04M9/00 H
G08B25/04 J
G08B25/00 510M
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078715
(22)【出願日】2021-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】小川 憲一
【テーマコード(参考)】
5C087
5K038
【Fターム(参考)】
5C087DD05
5C087DD06
5C087DD26
5C087DD36
5C087EE01
5C087EE02
5C087FF24
5C087GG02
5C087GG09
5C087GG10
5K038AA06
5K038CC03
5K038CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】誤検知した撮像データが何度もサーバへ送信されてしまうことがなく、低コストで運用し得るインターホンシステムを提供する。
【解決手段】集合玄関機1は、カメラ31により撮像される映像から人物の顔を検知する顔検知部40と、映像から顔認証サーバでの顔認証処理に使用する人物の顔画像を抽出するようになっているとともに、所定の誤検知画像を記憶する誤検知画像記憶部39と、今回抽出した顔画像と誤検知画像とを比較する判断部41とを備える。判断部41における判断の結果、今回抽出した顔画像が人物の顔画像であると判断すると、その顔画像を顔認証サーバへ送信し、顔認証サーバで所定の顔認証処理を実行させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段を備えたインターホン機器と、クラウド上に配置され、前記インターホン機器が通信可能な顔認証サーバとを備えており、
前記顔認証サーバでは、前記インターホン機器から送信された撮像データにもとづいて所定の顔認証処理が実行されるインターホンシステムであって、
前記インターホン機器は、前記撮像手段により撮像される映像から人物の顔を検知する顔検知部と、前記映像から前記顔認証サーバでの顔認証処理に使用する前記撮像データを作成するデータ作成部とを備えているとともに、
所定の誤検知データを記憶する誤検知データ記憶部と、前記撮像データと前記誤検知データとを比較する判断部とを備えており、
前記判断部による判断の結果が所定の判断結果であると、前記撮像データを前記顔認証サーバへ送信することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記顔認証サーバは、前記撮像データが前記人物の顔に係る撮像データでないと判断すると、前記インターホン機器に誤検知信号を送信する一方、
前記インターホン機器は、前記誤検知信号を受信すると、前記顔認証サーバへ送信した前記撮像データを前記誤検知データとして前記誤検知データ記憶部に記憶することを特徴とする請求項1に記載のインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば集合玄関機で撮像した映像にもとづき来訪者をチェックする集合住宅インターホンシステム等のインターホンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インターホンシステムの一例である集合住宅インターホンシステムとしては、クラウド上に配置されたサーバを利用するものが考案されている(たとえば特許文献1)。そして、そのようなインターホンシステムでは、たとえば集合住宅インターホンシステムを構成する集合玄関機で撮像した来訪者の画像をサーバへ送信し、サーバにおいて顔認証に係る処理を実行するように構成することで、顔認証に係る精度の向上を図ることができるとともに、集合玄関機に搭載するCPUを安価なCPUとして低コスト化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように安価なCPUが搭載されたインターホン機器では、人物以外の物を人物として誤検知し、人物が撮像されたとして当該映像に係る撮像データをサーバに送信し、サーバで顔認証に係る処理が実行されることがある。そのような場合には、サーバ側において誤検知であることが判明するものの、たとえば人物以外の物が電柱や郵便ポスト等、常時カメラに映り込む可能性があるものであると、インターホン機器が誤検知を繰り返し、サーバへ何度も誤検知した撮像データを送信してしまい、サーバの利用料金等が高騰してしまうという問題が起こり得る。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、誤検知した撮像データが何度もサーバへ送信されてしまうことがなく、低コストで運用し得るインターホンシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、撮像手段を備えたインターホン機器と、クラウド上に配置され、インターホン機器が通信可能な顔認証サーバとを備えており、顔認証サーバでは、インターホン機器から送信された撮像データにもとづいて所定の顔認証処理が実行されるインターホンシステムであって、インターホン機器は、撮像手段により撮像される映像から人物の顔を検知する顔検知部と、映像から顔認証サーバでの顔認証処理に使用する撮像データを作成するデータ作成部とを備えているとともに、所定の誤検知データを記憶する誤検知データ記憶部と、撮像データと誤検知データとを比較する判断部とを備えており、判断部による判断の結果が所定の判断結果であると、撮像データを顔認証サーバへ送信することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、インターホン機器に、撮像手段により撮像される映像から人物の顔を検知する顔検知部と、映像から顔認証サーバでの顔認証処理に使用する撮像データを作成するデータ作成部とが備えられているとともに、所定の誤検知データを記憶する誤検知データ記憶部と、撮像データと誤検知データとを比較する判断部とが備えられており、判断部による判断の結果が所定の判断結果であると、撮像データを顔認証サーバへ送信するようになっている。したがって、人物の顔として誤検知した同じような撮像データを何度も顔認証サーバへ送信してしまうことがなく、低コストで運用し得るインターホンシステムとすることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、顔認証サーバは、撮像データが人物の顔に係る撮像データでないと判断すると、インターホン機器に誤検知信号を送信する一方、インターホン機器は、誤検知信号を受信すると、顔認証サーバへ送信した撮像データを誤検知データとして誤検知データ記憶部に記憶することを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、顔認証サーバは、撮像データが人物の顔に係る撮像データでないと判断すると、インターホン機器に誤検知信号を送信する一方、インターホン機器は、誤検知信号を受信すると、顔認証サーバへ送信した撮像データを誤検知データとして誤検知データ記憶部に記憶するため、顔認証サーバにおける精度の高い認証処理により誤検知と判断された撮像データを誤検知データとして増やして記憶していくことができ、インターホン機器における判断結果の精度が向上し、ひいては一層低コストで運用し得るインターホンシステムとすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インターホン機器に、撮像手段により撮像される映像から人物の顔を検知する顔検知部と、映像から顔認証サーバでの顔認証処理に使用する撮像データを作成するデータ作成部とが備えられているとともに、所定の誤検知データを記憶する誤検知データ記憶部と、撮像データと誤検知データとを比較する判断部とが備えられており、判断部による判断の結果が所定の判断結果であると、撮像データを顔認証サーバへ送信するようになっている。したがって、人物の顔として誤検知した同じような撮像データを何度も顔認証サーバへ送信してしまうことがなく、低コストで運用し得るインターホンシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】集合住宅インターホンシステムを示す構成図である。
【
図2】集合住宅インターホンシステムの集合玄関機の機能を示したブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態となる集合住宅インターホンシステムについて、図面にもとづき詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る集合住宅インターホンシステムを示す構成図である。
図2は、集合住宅インターホンシステムの集合玄関機1の機能を示したブロック構成図である。
集合住宅インターホンシステムは、集合住宅のエントランスに設置されて来訪者が居住者を呼び出すための集合玄関機1、各居室毎にその玄関に設置された居住者を呼び出すための玄関子機15、15・・、各居室毎にその居室内に設置されて居住者が呼び出しに応答するための居室親機12、12・・、管理室に設置されて管理者と居住者や来訪者とが通話するための管理室親機13、及びそれらの機器間の通信を制御するための制御機14等により構成されてなる。また、エントランスには、エントランスから居室のある居住エリアに進む際に通過しなければならないオートドア16が設置されている。さらに、集合玄関機1と制御機14とは伝送線L1を介して、管理室親機13と制御機14とは伝送線L2を介して、オートドア16と制御機14とは伝送線L3を介して夫々接続されているとともに、居室親機12、12・・と制御機14とは親機幹線L4を介して夫々接続されている。
【0012】
ここで、本発明の要部となる集合玄関機1、及び顔認証サーバ2を利用した顔認証に係る制御について説明する。
集合玄関機1は、来訪者を撮像するためのカメラ31と、来訪者と居住者とが通話するためのマイク32及びスピーカ33と、呼び出す居室番号等を来訪者が入力するための操作部34と、操作内容等を表示するための表示部35と、集合玄関機1自身の動作を制御するためのCPU36と、オートドア16の開閉を制御するためのオートドア制御部37と、後述するような誤検知画像を記憶する誤検知画像記憶部39とを備えてなる。また、集合玄関機1は、外部機器と通信するための通信部38を備えており、通信部38を介して制御機14及びクラウドN上に配置される顔認証サーバ2と通信可能となっている。
【0013】
上述したような集合玄関機1では、カメラ31を常時起動させて周囲の映像を撮像しており、CPU36は、映像内に人物が映り込むと顔検知部40で当該人物の顔を検知し、映り込んでいる人物の顔画像を映像から抽出する(撮像データを作成する)とともに、後述するようにして誤検知画像記憶部39に記憶されている誤検知画像と今回抽出した顔画像とを判断部41で比較する。そして、その比較の結果、今回抽出した顔画像が人物の顔画像であると判断すると、その顔画像を顔認証サーバ2へ送信し、顔認証サーバ2で所定の顔認証処理を実行させる。一方、今回抽出した顔画像が人物の顔画像ではないと判断すると、今回顔画像として作成した撮像データを顔認証サーバ2へ送信しない。
【0014】
なお、顔認証サーバ2で実行される顔認証処理とは、集合玄関機1のカメラ31に映っている人物の同定であり、たとえば集合玄関機1から送信されてきた顔画像と予め顔認証サーバ2に登録されている認証用画像とを比較し、集合玄関機1のカメラ31に映っている人物が予め登録されている人物と一致するか否かを判断する等して行う。そして、集合玄関機1では、顔認証サーバ2においてカメラ31に映っている人物が予め登録されている人物であると同定されたことをもって、操作部34における操作を許容したり、オートドア16の開放を許容したりという制御を実行する。
【0015】
また、顔認証サーバ2における顔認証処理の結果、今回集合玄関機1から顔画像として送信されてきた画像が人物の顔画像ではないと判断されることもある(たとえば、電柱や郵便ポストを人物として誤検知してした場合等が考えられる)。そこで、そのような場合には、顔認証サーバ2から集合玄関機1へ誤検知であることを示す誤検知信号が送信される。そして、集合玄関機1は、顔認証サーバ2からの誤検知信号を受信すると、今回顔画像として抽出した画像を誤検知画像として誤検知画像記憶部39に記憶し、次回以降の顔画像の判断に使用する。
【0016】
以上のような構成を有する集合住宅インターホンシステムによれば、集合玄関機1に、カメラ31により撮像される映像から人物の顔を検知する顔検知部40を備え、映像から顔認証サーバ2での顔認証処理に使用する人物の顔画像を抽出するようになっているとともに、所定の誤検知画像を記憶する誤検知画像記憶部39と、今回抽出した顔画像と誤検知画像とを比較する判断部41とが備えられており、判断部41における判断の結果、今回抽出した顔画像が人物の顔画像であると判断すると、その顔画像を顔認証サーバ2へ送信し、顔認証サーバ2で所定の顔認証処理を実行させるようになっている。したがって、人物の顔として誤検知した同じような画像を何度も顔認証サーバ2へ送信してしまうことがなく、低コストで運用し得る集合住宅インターホンシステムとすることができる。
【0017】
また、顔認証サーバ2は、集合玄関機1から受信した撮像データが人物の顔に係るものでないと判断すると、集合玄関機1に誤検知信号を送信する一方、集合玄関機1は、顔認証サーバ2から誤検知信号を受信すると、顔認証サーバ2へ送信した撮像データを誤検知画像として誤検知画像記憶部39に記憶するため、顔認証サーバ2における精度の高い認証処理により誤検知と判断された撮像データを誤検知画像として増やして記憶していくことができ、集合玄関機1における判断結果の精度が向上し、ひいては一層低コストで運用し得る集合住宅インターホンシステムとすることができる。
【0018】
なお、本発明に係るインターホンシステムは、インターホンシステムの全体的な構成は勿論、撮像手段を備えたインターホン機器に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。
【0019】
たとえば上記実施形態では集合住宅インターホンシステムについて説明しているが、本発明は、インターホン子機とインターホン親機とからなるインターホンシステム等の他のインターホンシステムとしても好適に採用することができる。
また、上記実施形態では、撮像手段をインターホン機器の本体に内蔵するとしているが、たとえば集合玄関機と、該集合玄関機とは別に設置される監視カメラと、その両者の動作を制御する制御機とからインターホン機器を構成してもよい。
【0020】
さらに、上記実施形態では、顔認証サーバで人物の顔に係る撮像データではないと判断された撮像データのみを誤検知データとして記憶するとしているが、インターホン機器が設置される環境に応じて、予め誤検知しそうな撮像データを誤検知データとして誤検知データ記憶部に任意に記憶させるように構成することも可能である。
【0021】
加えて、誤検知データが増えるに伴い、インターホン機器における誤検知データ記憶部の容量が圧迫されてしまうことも考えられるため、記憶してから所定の期間(たとえば1ヶ月)にわたって作成した撮像データとの比較に使用しなかった誤検知データについては誤検知データ記憶部から順次消去するように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0022】
1・・集合玄関機(インターホン機器)、2・・顔認証サーバ、31・・カメラ(撮像手段)、36・・CPU(データ作成部)、39・・誤検知画像記憶部(誤検知データ記憶部)40・・顔検知部、41・・判断部。