(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172670
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】建材製造システム、制御装置、建材製造方法、建材及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20221110BHJP
E04F 13/10 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
G06Q50/08
E04F13/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078722
(22)【出願日】2021-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】坂本 圭司
(72)【発明者】
【氏名】細田 恵吾
(72)【発明者】
【氏名】足芝 翔大
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 洋介
【テーマコード(参考)】
2E110
5L049
【Fターム(参考)】
2E110BA03
2E110BB03
2E110CB02
2E110EA09
2E110FA01
2E110GB43W
2E110GB62X
2E110GB62Y
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】建材における平板部材の切削溝の位置を適宜補正し、切削溝を安定的に切削加工できる建材製造システム、制御装置、建材製造方法及びそのような建材製造方法によって製造された建材並びにプログラムを提供する。
【解決手段】
長尺状の平板部材の一面に長手方向に延びる切削溝を切削加工する切削装置と、 切削溝が内側となるように平板部材を折り曲げて、長尺角柱状の芯材の周面に巻回する巻回装置と、を備え、平板部材を芯材に巻回して建材を製造する建材製造システムであって、製造された建材に関する寸法を測定する建材測定装置と、切削装置を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、建材に関する寸法の許容値に対する、建材測定装置によって測定された製造された建材に関する寸法に基づいて、切削装置による切削加工位置を補正する補正手段を備えることを特徴とする建材製造システム。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の平板部材の一面に長手方向に延びる切削溝を切削加工する切削装置と、前記切削溝が内側となるように前記平板部材を折り曲げて、長尺角柱状の芯材の周面に巻回する巻回装置と、を備え、前記平板部材を前記芯材に巻回して建材を製造する建材製造システムであって、
製造された建材に関する寸法を測定する建材測定装置と、
前記切削装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記建材に関する寸法の許容値に対する、前記建材測定装置によって測定された前記製造された建材に関する寸法に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正する補正手段を備えることを特徴とする建材製造システム。
【請求項2】
請求項1に記載の建材製造システムであって、
前記芯材に関する寸法を測定する芯材測定装置と、
前記平板部材に関する寸法を測定する平板部材測定装置と、をさらに備え、
前記補正手段は、さらに、前記芯材測定装置によって測定された前記芯材に関する寸法及び前記平板部材測定装置によって測定された前記平板部材に関する寸法に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正することを特徴とする建材製造システム。
【請求項3】
請求項2に記載の建材製造システムであって、
前記制御装置は、
前記芯材測定装置によって測定された前記芯材に関する寸法及び前記平板部材測定装置によって測定された前記平板部材に関する寸法に基づいて、前記建材に関する寸法の許容値を調整する許容値調整手段をさらに備えることを特徴とする建材製造システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載の建材製造システムであって、
前記平板部材に切削加工された切削溝の位置を測定する溝位置測定装置をさらに備え、
前記補正手段は、さらに、前記溝位置測定装置によって測定された前記切削溝の位置に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正することを特徴とする建材製造システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の建材製造システムであって、
前記巻回装置の周辺の環境状態を測定する環境測定装置をさらに備え、
前記補正手段は、さらに、前記環境測定装置によって測定された前記巻回装置の周辺の環境状態に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正することを特徴とする建材製造システム。
【請求項6】
長尺状の平板部材を長尺角柱状の芯材の周面に巻回して建材を製造するために、該平板部材の一面に長手方向に延びる切削溝を切削加工する切削装置を制御する制御装置であって、
製造された建材に関する寸法の測定値を取得する手段と、
前記建材に関する寸法の許容値に対する、取得された前記製造された建材に関する寸法の測定値に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正する手段と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の制御装置であって、
前記芯材に関する寸法の測定値及び前記平板部材に関する寸法の測定値を取得する手段と、
取得された前記芯材に関する寸法の測定値及び前記平板部材に関する寸法の測定値に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正する手段と、をさらに備えることを特徴とする制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の制御装置であって、
取得された前記芯材に関する寸法の測定値及び前記平板部材に関する寸法の測定値に基づいて、前記建材に関する寸法の許容値を調整する手段をさらに備えることを特徴とする制御装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8までのいずれか1つに記載の制御装置であって、
前記切削溝の位置情報を取得する手段と、
取得された前記切削溝の位置情報に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正する手段と、をさらに備えることを特徴とする制御装置。
【請求項10】
請求項6から請求項9までのいずれか1つに記載の制御装置であって、
前記切削溝が内側となるように前記平板部材を折り曲げて前記芯材の周面に巻回する巻回工程の周辺の環境状態に関する情報を取得する手段と、
取得された前記巻回工程の周辺の環境状態に関する情報に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正する手段と、をさらに備えることを特徴とする制御装置。
【請求項11】
長尺状の平板部材の一面に長手方向に延びる切削溝を切削加工する切削装置と、該切削溝が内側となるように前記平板部材を折り曲げて、長尺角柱状の芯材の周面に巻回する巻回装置と、を用い、前記芯材を前記平板部材で巻回して建材を製造する建材製造方法であって、
製造された建材に関する寸法を建材測定装置にて測定し、
前記切削装置を制御装置にて制御し、
前記制御装置の制御により、前記建材に関する寸法の許容値に対する、前記建材測定装置によって測定された前記製造された建材に関する寸法に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正することを特徴とする建材製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の建材製造方法にて製造されたことを特徴とする建材。
【請求項13】
コンピュータを、請求項6から請求項10までのいずれか1つに記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材を製造する建材製造システム、制御装置、建材製造方法、建材及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
内装工事等に用いられる長尺状の建材として、長尺状の平板部材が長尺角柱状の芯材の周面に巻回されたものが知られている。平板部材の内側には、芯材の角部に沿ってそれぞれ折り曲げられる箇所に応じて、長手方向に延びるV字状の切削溝が切削加工されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような建材の寸法は、各種加工装置の傾向並びに芯材に関する寸法及び平板部材に関する寸法から複合的かつ累積的に影響を受ける。このため、建材の品質の維持を図るにあたり、建材に関する寸法の安定化が望まれている。特に、平板部材の切削溝の位置は、建材に関する寸法への寄与度が高いことから、切削溝の位置には、高い精度が求められている
【0005】
しかしながら、従来、切削溝の位置の調整は、作業者によってその作業者の経験則に基づいて行われており、切削溝の位置に関して作業者間にばらつきが生じることから、品質の維持が困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、上記のような建材における平板部材の切削溝の位置を適宜補正し、切削溝を安定的に切削加工できる建材製造システム、制御装置、建材製造方法及びそのような建材製造方法によって製造された建材並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願記載の建材製造システムは、長尺状の平板部材の一面に長手方向に延びる切削溝を切削加工する切削装置と、前記切削溝が内側となるように前記平板部材を折り曲げて、長尺角柱状の芯材の周面に巻回する巻回装置と、を備え、前記平板部材を前記芯材に巻回して建材を製造する建材製造システムであって、製造された建材に関する寸法を測定する建材測定装置と、前記切削装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記建材に関する寸法の許容値に対する、前記建材測定装置によって測定された前記製造された建材に関する寸法に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正する補正手段を備えることを特徴とするものである。
【0008】
また、前記建材製造システムは、前記芯材に関する寸法を測定する芯材測定装置と、前記平板部材に関する寸法を測定する平板部材測定装置と、をさらに備え、前記補正手段は、さらに、前記芯材測定装置によって測定された前記芯材に関する寸法及び前記平板部材測定装置によって測定された前記平板部材に関する寸法に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正してもよい。
【0009】
また、前記建材製造システムにおいて、前記制御装置は、前記芯材測定装置によって測定された前記芯材に関する寸法及び前記平板部材測定装置によって測定された前記平板部材に関する寸法に基づいて、前記建材に関する寸法の許容値を調整する許容値調整手段をさらに備えてもよい。
【0010】
また、前記建材製造システムは、前記平板部材に切削加工された切削溝の位置を測定する溝位置測定装置をさらに備え、前記補正手段は、さらに、前記溝位置測定装置によって測定された前記切削溝の位置に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正してもよい。
【0011】
また、前記建材製造システムは、前記巻回装置の周辺の環境状態を測定する環境測定装置をさらに備え、前記補正手段は、さらに、前記環境測定装置によって測定された前記巻回装置の周辺の環境状態に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正してもよい。
【0012】
本願記載の制御装置は、長尺状の平板部材を長尺角柱状の芯材の周面に巻回して建材を製造するために、該平板部材の一面に長手方向に延びる切削溝を切削加工する切削装置を制御する制御装置であって、製造された建材に関する寸法の測定値を取得する手段と、前記建材に関する寸法の許容値に対する、取得された前記製造された建材に関する寸法の測定値に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正する手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0013】
また、前記制御装置は、前記芯材に関する寸法の測定値及び前記平板部材に関する寸法の測定値を取得する手段と、取得された前記芯材に関する寸法の測定値及び前記平板部材に関する寸法の測定値に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正する手段と、をさらに備えてもよい。
【0014】
また、前記制御装置は、取得された前記芯材に関する寸法の測定値及び前記平板部材に関する寸法の測定値に基づいて、前記建材に関する寸法の許容値を調整する手段をさらに備えてもよい。
【0015】
また、前記制御装置は、前記切削溝の位置情報を取得する手段と、取得された前記切削溝の位置情報に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正する手段と、をさらに備えてもよい。
【0016】
また、前記制御装置は、前記切削溝が内側となるように前記平板部材を折り曲げて前記芯材の周面に巻回する巻回工程の周辺の環境状態に関する情報を取得する手段と、取得された前記巻回工程の周辺の環境状態に関する情報に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正する手段と、をさらに備えてもよい。
【0017】
本願記載の建材製造方法は、長尺状の平板部材の一面に長手方向に延びる切削溝を切削加工する切削装置と、該切削溝が内側となるように前記平板部材を折り曲げて、長尺角柱状の芯材の周面に巻回する巻回装置と、を用い、前記芯材を前記平板部材で巻回して建材を製造する建材製造方法であって、製造された建材に関する寸法を建材測定装置にて測定し、前記切削装置を制御装置にて制御し、前記制御装置の制御により、前記建材に関する寸法の許容値に対する、前記建材測定装置によって測定された前記製造された建材に関する寸法に基づいて、前記切削装置による切削加工位置を補正することを特徴とするものである。
【0018】
本願記載の建材は、前記建材製造方法にて製造されたことを特徴とするものである。
【0019】
本願記載のプログラムは、コンピュータを、前記制御装置として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、平板部材の切削溝が安定的に切削加工されることにより、平板部材を精度よくかつ安定的に芯材の周面に巻回して建材を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】実施形態1における建材製造システムの模式図である。
【
図4】実施形態1における建材製造システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】建材の製造手順を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態1における制御装置による処理手順の一部を示すフローチャートである。
【
図7】第1補正手段にかかる補正テーブルの一例を示す図である。
【
図8】第2補正手段にかかる補正テーブルの一例を示す図である。
【
図9】実施形態2における建材製造システムの構成を示すブロック図である。
【
図10】実施形態2における制御装置による処理手順の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品等には同一の符号を付しており、それら部品等の名称及び機能も同じである。従って、それらの部品等について重複する説明は省略している。
【0023】
(実施形態1)
-建材製造システムの構成-
図1は、建材Bを示す正面図である。
図2は、建材Bの構成を示す分解図である。また、図において、符号Wは、幅方向(左右方向)を示しており、-W方向(マイナスW方向)を左方向とし、+W方向(プラスW方向)を右方向とする。なお、図は説明の便宜を図るためのものであり、実際の建材Bの各構成要素間の寸法比率をなんら示すものではない。
【0024】
建材製造システムAは、主に内装工事に用いられる長尺状の建材Bを製造する製造システムである。建材Bは、長尺状の平板部材9が長尺角柱状の芯材8の周面に巻回されることにより製造される(
図1、
図2参照)。芯材8は、例えば、日本農林規格(JAS)に規定される普通合板等から形成されている。本実施形態において、芯材8は、針葉樹合板から形成されている。平板部材9は、例えば、中密度繊維板(MDF)等から形成されている。本実施形態において、平板部材9は、JIS A5905で規定される接着剤による区分がUタイプ又はMタイプのMDFから形成されている。平板部材9の外表面には、例えば木目調の化粧シート90が貼り付けられている(
図1、
図2参照)。化粧シート90は、例えば、オレフィン系樹脂シート等から形成されている。
【0025】
平板部材9の内側には、芯材8の角部85a~85dに沿ってそれぞれ折り曲げられる箇所に応じて、長手方向に延びるV字状の切削溝95a~95dがそれぞれ切削加工位置Pa~Pdにおいて切削加工されている(
図2参照)。切削溝95a~95dが切削加工されていることによって、平板部材9を芯材8の角部85a~85dに沿って折り曲げることが可能となっている。平板部材9は、図示しない接着剤によって、芯材8に接着されている。接着剤には、例えば、樹脂系エマルジョン等が用いられる。本実施形態において、接着剤には、ポリ酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが用いられる。平板部材9の全幅96は、芯材8の外周よりも小さく設定されている。このため、平板部材9が芯材8の周面に巻回された状態において、建材Bの天面には、平板部材9の両側端部によってちり部X5,X6が形成されている。
【0026】
図3は、実施形態1における建材製造システムAの模式図である。
図4は、実施形態1における建材製造システムAの構成を示すブロック図である。建材製造システムAは、平板部材9に切削溝95a~95dを切削加工し、切削溝95a~95dが内側となるように平板部材9を折り曲げ、平板部材9を芯材8に巻回して建材Bを製造する製造システムであり、上流側から、切削装置10と、接着剤塗布装置11と、巻回装置12と(これらを包括して「各種加工装置」と称す)、を備えている(
図3、
図4参照)。切削装置10の上流側には、平板部材9が投入される平板部材投入部191が設けられている。接着剤塗布装置11及び巻回装置12の間には、芯材8が投入される芯材投入部190が設けられている。建材製造システムAにおいて、芯材8、平板部材9及び建材Bは、搬送装置19によって搬送される。搬送装置19は、例えば、コンベア等から形成されている。
【0027】
切削装置10は、切削溝95a~95dをそれぞれ順番に平板部材9に切削加工する装置である。
【0028】
接着剤塗布装置11は、芯材8と接触する平板部材9の内面に接着剤を塗布する装置である。
【0029】
巻回装置12は、平板部材9を芯材8の周面に巻回する装置であり、図示しない押圧ローラ及び折り曲げアームを有している。巻回装置12によって、平板部材9は、芯材8の周面に次のように巻回される。まず、芯材8の底面が、押圧ローラによって、平板部材9の中央部に押圧される。次に、平板部材9の両端部が、折り曲げアームによって、それぞれ芯材8の角部85b及び角部85cに沿って折り曲げられる。そして、平板部材9の両端部が、折り曲げアームによって、それぞれ芯材8の角部85a及び角部85dに沿って折り曲げられることにより、平板部材9が芯材8の周面に巻回される。
【0030】
建材製造システムAは、上記の構成に加えて、芯材測定装置20と、平板部材測定装置21と、建材測定装置22と(これらを包括して「各種測定装置」と称す)、切削装置10を含む各種装置を制御する制御装置5と、を備えている(
図3、
図4参照)。
【0031】
芯材測定装置20は、芯材8に関する寸法を測定する装置であり、芯材投入部190に設けられている。本実施形態において、「芯材に関する寸法」とは、芯材8の幅86及び厚さ87を含む(
図2参照)。
【0032】
芯材測定装置20は、芯材8の幅86を測定する幅測定部200と、芯材8の厚さ87を測定する厚さ測定部201と、を有している(
図4参照)。幅測定部200及び厚さ測定部201には、例えば、接触式変位計が用いられる。
【0033】
芯材測定装置20は、幅測定部200及び厚さ測定部201が測定した各測定値を芯材寸法測定値として制御装置5に出力する。
【0034】
平板部材測定装置21は、平板部材9に関する寸法を測定する装置であり、平板部材投入部191に設けられている。本実施形態において、「平板部材に関する寸法」とは、平板部材9の厚さ97を含む(
図2参照)。
【0035】
平板部材測定装置21は、平板部材9の厚さ97を測定する平板部材厚さ測定部210を有している(
図4参照)。平板部材厚さ測定部210には、例えば、レーザ変位計が用いられる。
【0036】
平板部材測定装置21は、平板部材厚さ測定部210が測定した測定値を平板部材寸法測定値として制御装置5に出力する。
【0037】
建材測定装置22は、製造された建材Bに関する寸法を測定する装置であり、巻回装置12の下流側に設けられている。本実施形態において、「建材に関する寸法」とは、建材Bの上下両端部における幅X1,X2、建材Bの左右両端部における厚さX3,X4、ちり部X5,X6の幅、建材Bの角部において平板部材9の切削溝95a~95dの側面同士がそれぞれ向かい合う箇所の該側面間の隙間X7~X14、ちり部X5,X6のうねりX15,X16等の各種測定値を含む(
図1参照)。また、本実施形態において、建材Bの「外寸」とは、幅X1,X2及び厚さX3,X4を指す。
【0038】
建材測定装置22は、建材Bの外寸を測定する外寸測定部220と、隙間X7~X14を測定する隙間測定部221と、建材Bのちり部X5,X6の幅を測定するちり測定部222と、うねりX15,X16を測定するうねり測定部223と、を有している(
図4参照)。外寸測定部220には、例えば、接触式変位計が用いられる。隙間測定部221には、例えば、レーザ変位計が用いられており、ちり測定部222及びうねり測定部223には、例えば、走査型レーザ変位計が用いられる。
【0039】
建材測定装置22は、外寸測定部220、隙間測定部221、ちり測定部222及びうねり測定部223が測定した各測定値を建材寸法測定値として制御装置5に出力する。
【0040】
制御装置5は、切削装置10、接着剤塗布装置11、巻回装置12、芯材測定装置20、平板部材測定装置21、建材測定装置22及び搬送装置19に通信可能に接続されている。
【0041】
制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)等の処理部50と、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを含む記憶部51と、切削装置10の切削加工状態等を示す液晶ディスプレイ等からなる表示部52と、外部装置からデータを取得する入力部53と、を有している(
図4参照)。処理部50、記憶部51、表示部52及び入力部53は、図示しないバス線により相互に接続されている。
【0042】
記憶部51には、制御プログラム510、切削加工パラメータ511、寸法基準値512、建材寸法許容値513及び補正テーブル514が記憶されている。また、記憶部51には、各種測定装置から取得された図示しない測定値が記憶される。
【0043】
制御プログラム510は、記憶部51のROMに記憶されている。処理部50の制御によって、ROMに記憶されている制御プログラム510が読み出され、RAM上にロードされることにより、制御プログラム510が実行される。なお、制御プログラム510は、上記に限られず、HDD等の記録媒体から読み込まれてもよいし、LAN(Local Area Network)等のネットワークからダウンロードされてもよい。
【0044】
切削加工パラメータ511は、切削溝95a~95dの加工幅及び切削加工位置Pa~Pdを含む。本実施形態において、切削加工位置Pa~Pdは、平板部材9の左側縁(-W方向端縁)を加工原点Oとした右方向側(+W方向側)の距離数値として設定されている(
図2参照)。
【0045】
寸法基準値512は、芯材8に関する寸法及び平板部材9に関する寸法のそれぞれに対応する基準値を含む。
【0046】
建材寸法許容値513は、請求項に記載の「建材に関する寸法の許容値」に相当するものであり、建材Bに関する寸法のそれぞれに対して許容される範囲の上限値及び下限値を含む。
【0047】
補正テーブル514(514a,514b)は、切削溝95a~95dの切削加工位置Pa~Pdの補正に用いられる演算テーブルである。補正テーブル514には、所定の補正条件、補正量及び補正方向が設定されている。
【0048】
-建材の製造手順-
図5は、建材Bの製造手順を示すフローチャートである。
次に、
図5のフローチャートを用いて、上記のような建材製造システムAによって建材Bが製造される手順を説明する。
【0049】
まず、平板部材9が平板部材投入部191に投入された後、ステップS1において、制御装置5の処理部50は、平板部材測定装置21に、平板部材9の厚さ97を測定させる。ステップS2において、処理部50は、切削装置10に、平板部材9に切削溝95a~95dを切削加工させる。ステップS3において、処理部50は、接着剤塗布装置11に、平板部材9の内面に接着剤を塗布させる。
【0050】
さらに、芯材8が芯材投入部190に投入された後、ステップS4において、処理部50は、芯材測定装置20に、芯材8の幅86及び厚さ87を測定させる。ステップS4の後、処理部50は、搬送装置19に、芯材8を巻回装置12に搬送させる。
【0051】
ステップS5において、処理部50は、巻回装置12に、芯材8の周面に平板部材9を巻回させる。ステップS5は、請求項に記載の「巻回工程」に相当するものである。最後に、ステップS6において、処理部50が建材測定装置22に、建材Bに関する寸法を測定させることをもって、建材Bの製造が完了する。
【0052】
なお、処理部50が芯材測定装置20に芯材8の幅86及び厚さ87を測定させるタイミングは、上記に限られず、例えば、処理部50が切削装置10に切削溝95a~95dを切削加工させるタイミングよりも前であってもよい。
【0053】
ところで、上記のような建材製造システムAによって製造された建材Bに関する寸法は、各種加工装置の傾向並びに芯材8に関する寸法及び平板部材9に関する寸法から複合的かつ累積的に影響を受ける。建材Bの品質の維持を図るにあたり、建材Bに関する寸法の安定化が望まれている。特に、切削溝95a~95dの位置は、建材Bに関する寸法への寄与度が高いことから、切削溝95a~95dの位置には、高い精度が求められている。
【0054】
そこで、本願記載の制御装置5は、平板部材9の切削溝95a~95dの切削加工位置Pa~Pdを補正する補正手段を備えている。補正手段によって、平板部材9を精度よくかつ安定的に芯材8の周面に巻回することが可能となる。
【0055】
本実施形態において、補正手段は、芯材測定装置20によって測定された芯材8に関する寸法及び平板部材測定装置21によって測定された平板部材9に関する寸法に基づいて切削加工パラメータ511の切削加工位置Pa~Pdを補正する第1補正手段と、建材寸法許容値513に対する建材測定装置22によって測定された建材Bに関する寸法に基づいて切削加工パラメータ511の切削加工位置Pa~Pdを補正する第2補正手段と、を含む。
【0056】
第1補正手段によって、切削加工位置Pa~Pdが芯材8に関する寸法及び平板部材9に関する寸法に合わせて補正されることから、建材Bに関する寸法への芯材8に関する寸法及び平板部材9に関する寸法の影響が軽減されるという効果が生じる。
【0057】
第2補正手段によって、建材寸法許容値513に対して建材Bに関する寸法が大きい又は小さい場合には、建材寸法許容値513に対する建材Bに関する寸法のずれをオフセットするように切削加工位置Pa~Pdが補正されることから、建材Bに関する寸法への各種加工装置の影響が軽減されるという効果が生じる。
【0058】
また、本実施形態における制御装置5は、芯材測定装置20によって測定された芯材8に関する寸法及び平板部材測定装置21によって測定された平板部材9に関する寸法に基づいて、建材寸法許容値513を調整する許容値調整手段をさらに備えている。許容値調整手段によって、建材寸法許容値513が芯材8及び平板部材9に合わせて精度よく設定されるという効果が生じる。
【0059】
図6は、実施形態1における制御装置5による処理手順の一部を示すフローチャートである。
図7は、第1補正手段にかかる補正テーブル514aの一例を示す図である。
図8は、第2補正手段にかかる補正テーブル514bの一例を示す図である。なお、
図7及び
図8においては、説明の便宜上、切削加工位置Pa~Pdの補正量の図示を省略している。
【0060】
次に、
図6のフローチャートを用いて、制御装置5による補正手段及び許容値調整手段の処理手順を説明する。
【0061】
-制御装置による処理手順-
まず、ステップS51において、制御装置5の処理部50は、芯材測定装置20から芯材寸法測定値を入力部53にて取得する。ステップS52において、処理部50は、平板部材測定装置21から平板部材寸法測定値を入力部53にて取得する。処理部50は、取得された芯材寸法測定値及び平板部材寸法測定値を記憶部51に記憶させる。なお、ステップS51において、芯材測定装置20により測定された芯材寸法測定値は、入力部53にて手動によって入力されてもよい。同様に、ステップS52において、平板部材測定装置21により測定された平板部材寸法測定値は、入力部53にて手動によって入力されてもよい。
【0062】
ステップS521において、処理部50は、芯材寸法測定値及び平板部材寸法測定値と、それぞれ対応する寸法基準値512との間に所定値以上の差異があるか否かを判定する。芯材寸法測定値及び平板部材寸法測定値と、それぞれ対応する寸法基準値512との間に所定値以上の差異がある場合には、処理部50は、第1補正手段の処理を実行すべくステップS522へと進む。
【0063】
<第1補正手段>
ステップS522において、処理部50は、芯材寸法測定値及び平板部材寸法測定値に基づいて、切削加工位置Pa~Pdを補正する(第1補正手段)。本実施形態において、処理部50は、第1補正手段の処理を補正テーブル514aに従って実行する。補正テーブル514aは、芯材寸法測定値及び平板部材寸法測定値と、それぞれ対応する寸法基準値512と、切削加工位置Pa~Pdの補正量及び補正方向と、を対応付けるテーブルである。補正テーブル514aにおいて、項目「寸法」は、芯材8に関する寸法及び平板部材9に関する寸法を示す列である。本実施形態において、項目「寸法」には、芯材8の幅86に対応する「芯材幅」、芯材8の厚さ87に対応する「芯材厚さ」及び平板部材9の厚さ97に対応する「平板部材厚さ」が設定されている。項目「測定値-基準値」は、芯材寸法測定値又は平板部材寸法測定値及びそれぞれ対応する寸法基準値512の差分に対する条件(式)を示す列である。項目「補正の対象となる切削加工位置」は、切削加工位置Pa~Pdのうち、項目「測定値-基準値」が示す各条件を満たした場合に補正の対象となる切削加工位置を示す列である。項目「補正方向」は、補正の対象となる切削加工位置の補正の方向を-W方向又は+W方向で示す列である。
【0064】
処理部50は、記憶部51に記憶された芯材寸法測定値及び平板部材寸法測定値及びそれぞれ対応する寸法基準値512の差分が項目「測定値-基準値」が示す各条件を満たす場合に、その条件下で補正の対象となる切削加工位置を、項目「補正方向」にそれぞれ設定された補正方向に補正する。
【0065】
例えば、
図7に示すように、芯材8の幅86の測定値が、それに対応する寸法基準値512よりも大きい場合には、処理部50は、切削加工位置Pc,Pdを+W方向側に補正する。これにより、切削加工位置Pb及びPcの間の距離が、芯材8の幅86に合わせて大きくなることから、平板部材9及び芯材8の間のガタつき(隙間)が軽減される。一方、芯材8の幅86の測定値が、それに対応する寸法基準値512よりも小さい場合には、処理部50は、切削加工位置Pc,Pdを-W方向側に補正する。
【0066】
同様に、芯材8の厚さ87の測定値が、それに対応する寸法基準値512よりも大きい場合には、処理部50は、切削加工位置Pb~Pdを+W方向側に補正する。このときの切削加工位置Pdの補正量は、切削加工位置Pb,Pcの補正量よりも大きく設定されている。これにより、切削加工位置Pa及びPbの間の距離並びに切削加工位置Pc及びPdの間の距離が、芯材8の厚さ87に合わせて大きくなることから、平板部材9及び芯材8の間のガタつき(隙間)が軽減される。一方、芯材8の厚さ87の測定値が、それに対応する寸法基準値512よりも小さい場合には、処理部50は、切削加工位置Pb~Pdを-W方向側に補正する。
【0067】
また、平板部材9の厚さ97の測定値が、それに対応する寸法基準値512よりも大きい場合には、処理部50は、切削加工位置Pb~Pdを+W方向側に補正する。これにより、平板部材9の内面が芯材8の幅86及び厚さ87に合わせて調整されることから、平板部材9及び芯材8の間のガタつき(隙間)が軽減される。一方、平板部材9の厚さ97の測定値が、それに対応する寸法基準値512よりも小さい場合には、処理部50は、切削加工位置Pb~Pdを-W方向側に補正する。
【0068】
本実施形態において、処理部50は、建材Bの製造毎に第1補正手段の処理を実行するが、もちろんこれに限られず、例えば、建材Bの所定の製造数毎に実行してもよい。
【0069】
なお、第1補正手段における切削加工位置Pa~Pdの各補正量は、芯材寸法測定値及び平板部材寸法測定値に基づいた変動値であってもよいし、予め設定された固定値であってもよい。また、第1補正手段における切削加工位置Pa~Pdの各補正量は、それぞれ異なっていてもよい。
【0070】
<許容値調整手段>
続いて、ステップS523において、処理部50は、芯材寸法測定値及び平板部材寸法測定値に基づいて、建材寸法許容値513を調整する(許容値調整手段)。例えば、芯材8の幅86の測定値が、それに対応する寸法基準値512よりも1mm大きい場合には、処理部50は、建材Bの幅X1,X2のそれぞれに対応する建材寸法許容値513をそれぞれ+1mmシフトするように調整する。同様に、芯材8の厚さ87の測定値が、それに対応する寸法基準値512よりも1mm大きい場合には、処理部50は、建材Bの厚さX3,X4のそれぞれに対応する建材寸法許容値513をそれぞれ+1mmシフトするように調整する。平板部材9の厚さ97の測定値が、それに対応する寸法基準値512よりも1mm大きい場合には、処理部50は、建材Bの幅X1,X2及び厚さX3,X4のそれぞれに対応する建材寸法許容値513をそれぞれ+2mmシフトするように調整する。
【0071】
本実施形態において、処理部50は、建材Bの外寸に対応する建材寸法許容値513に対して許容値調整手段の処理を実行するが、もちろんこれに限られず、例えば、建材Bの隙間X7~X14に対して実行してもよい。
【0072】
なお、建材寸法許容値513の調整量は、上記のように芯材寸法測定値及び平板部材寸法測定値に基づいた変動値であってもよいし、予め設定された固定値であってもよい。
【0073】
ステップS53において、処理部50は、切削装置10に切削加工パラメータ511の切削加工位置Pa~Pdを指示値として渡すとともに、切削装置10に切削溝95a~95dの切削加工を指示する。
【0074】
ステップS55において、処理部50は、建材測定装置22から建材寸法測定値を入力部53にて取得する。処理部50は、取得された建材寸法測定値を記憶部51に記憶させる。なお、ステップS55において、建材測定装置22により測定された建材寸法測定値は、入力部53にて手動によって入力されてもよい。
【0075】
ステップS551において、処理部50は、建材寸法測定値が建材寸法許容値513の範囲内にあるか否かを判定する。ここで、「建材寸法測定値が建材寸法許容値の範囲内にある場合」とは、建材寸法測定値のそれぞれが建材寸法許容値513の上限値よりも小さく、かつ、建材寸法許容値513の下限値よりも大きい場合を指す。建材寸法測定値が、それぞれ対応する建材寸法許容値513の範囲内にない場合には、処理部50は、第2補正手段の処理を実行すべくステップS552へと進む。
【0076】
<第2補正手段>
ステップS552において、処理部50は、建材寸法許容値513に対する建材寸法測定値に基づいて、切削加工位置Pa~Pdを補正する(第2補正手段)。本実施形態において、処理部50は、第2補正手段の処理を補正テーブル514bに従って実行する。補正テーブル514bは、建材寸法測定値と、それぞれ対応する建材寸法許容値513と、切削加工位置Pa~Pdの補正量及び補正方向と、を対応付けるテーブルである。補正テーブル514bにおいて、項目「Xn(建材寸法)」は、建材Bに関する寸法を示す列である。項目「測定値」は、建材寸法許容値513に対する建材寸法測定値の条件(式)を示す列である。具体的には、項目「測定値」には、建材寸法測定値がそれに対応する建材寸法許容値513の上限値よりも大きい場合の条件(式)及び建材寸法測定値がそれに対応する建材寸法許容値513の下限値よりも小さい場合の条件(式)の両方又はいずれか一方が設定されている。項目「補正の対象となる切削加工位置」は、切削加工位置Pa~Pdのうち、項目「測定値」が示す条件を満たした場合に補正の対象となる切削加工位置を示す。項目「補正方向」は、補正の対象となる切削加工位置の補正の方向を-W方向又は+W方向で示す。
【0077】
処理部50は、記憶部51に記憶された建材寸法測定値が項目「測定値」が示す各条件を満たす場合に、その条件下で補正の対象となる切削加工位置を、項目「補正方向」にそれぞれ設定された補正方向に補正する。
【0078】
例えば、
図8に示すように、建材Bの幅X1の測定値が、それに対応する建材寸法許容値513の上限値よりも大きい場合には、処理部50は、切削加工位置Pc,Pdを-W方向側に補正する。これにより、切削加工位置Pb及びPcの間の距離が小さくなるとともに、切削溝95b,95cの端縁がそれぞれ芯材8の角部85b,85cに近づくことから、建材Bの幅X1が小さくなる。
【0079】
同様に、建材Bの厚さX4の測定値が、それに対応する建材寸法許容値513の上限値よりも大きい場合には、処理部50は、切削加工位置Pdを-W方向側に補正する。これにより、切削加工位置Pc及びPdの間の距離が小さくなるとともに、切削溝95c,95dの端縁がそれぞれ芯材8の角部85c,85dに近づくことから、建材Bの厚さX4が小さくなる。
【0080】
また、建材Bの隙間X7の測定値が、それに対応する建材寸法許容値513の上限値よりも大きい場合には、処理部50は、切削加工位置Pb~Pdを-W方向側に補正する。これにより、切削加工位置Pa及びPbの間の距離が小さくなるとともに、切削溝95a,95bの端縁がそれぞれ芯材8の角部85a,85bに近づくことから、建材Bの隙間X7が小さくなる。
【0081】
さらに、建材Bのちり部X5のうねりX15の測定値が、それに対応する建材寸法許容値513の上限値よりも大きい場合には、切削加工位置Pa及びPbの間の距離並びに切削加工位置Pb及びPcの間の距離が芯材8の幅86及び厚さ87に対して小さいことに起因してちり部X5における平板部材9の外表面又は化粧シート90が波打っている状態となっている。これを解消すべく、処理部50は、切削加工位置Pb~Pdを+W方向側に補正する。このときの切削加工位置Pcの補正量は、切削加工位置Pbの補正量よりも大きく設定されている。これにより、切削加工位置Pa及びPbの間の距離並びに切削加工位置Pb及びPcの間の距離が、芯材8の幅86及び厚さ87に合わせて大きくなることから、平板部材9の外表面又は化粧シート90の波打ちが軽減される。
【0082】
本実施形態において、処理部50は、切削装置10による切削加工後に第2補正手段の処理を実行する。このため、第2補正手段により補正された切削加工位置Pa~Pdは、第2補正手段の処理の実行後の建材Bの製造から有効となる。
【0083】
本実施形態において、処理部50は、建材Bのロット毎に第2補正手段の処理を実行するが、もちろんこれに限られず、建材Bの製造毎に実行してもよい。また、本実施形態において、ステップS551,S552において参照される建材寸法測定値は、記憶部51に記憶された建材寸法測定値のロット毎の平均値であるが、もちろんこれに限られず、ロット毎に建材寸法測定値から最大値及び最小値を除いた平均値でもよい。
【0084】
なお、第2補正手段における切削加工位置Pa~Pdの各補正量は、建材寸法測定値及び建材寸法許容値513の差に基づいた変動値であってもよいし、予め設定された固定値であってもよい。また、第2補正手段における切削加工位置Pa~Pdの各補正量は、それぞれ異なっていてもよい。
【0085】
なお、平板部材9及び切削装置10は、上記に限られず、例えば、平板部材9が芯材8の角部85b,85cに沿って折り曲げられるとともに芯材8の底面及び両側面の下部を覆うものであって、切削装置10が平板部材9に芯材8の角部85b,85cに応じて、切削溝95b,95cを切削加工するものであってもよい。
【0086】
(実施形態2)
図9は、実施形態2における建材製造システムAの構成を示すブロック図である。
【0087】
実施形態2における建材製造システムAは、実施形態1に記載の構成に加えて、溝位置測定装置23と、環境測定装置24と、を備えている。
【0088】
溝位置測定装置23は、平板部材9に切削加工された切削溝95a~95dの位置を測定する装置であり、切削装置10の下流側かつ接着剤塗布装置11の上流側に設けられている。溝位置測定装置23には、例えば、三次元測定器が用いられる。
【0089】
溝位置測定装置23は、平板部材9の左側縁(-W方向端縁)を測定原点とした右方向側(+W方向側)の距離数値を溝測定位置として制御装置5に出力する。
【0090】
環境測定装置24は、巻回装置12の周辺の環境状態を測定する装置であり、巻回装置12の周辺に設けられている。本実施形態において、「環境状態」とは、湿度を指す。環境測定装置24には、湿度センサが用いられる。
【0091】
環境測定装置24は、巻回装置12の周辺の湿度を環境測定値として制御装置5に出力する。
【0092】
実施形態2における制御装置5の記憶部51には、環境状態に対応する環境基準値515が記憶されている。環境基準値515には、例えば、前日測定された環境状態が用いられる。また、記憶部51には、溝位置測定装置23から取得された溝測定位置及び環境測定装置24から取得された環境測定値が記憶される。
【0093】
実施形態2における制御装置5は、環境測定装置24によって測定された巻回装置12の周辺の環境状態に基づいて、切削加工パラメータ511の切削加工位置Pa~Pdを補正する第3補正手段と、溝位置測定装置23によって測定された切削溝95a~95dの位置に基づいて、切削加工パラメータ511の切削加工位置Pa~Pdを補正する第4補正手段と、を備えている。
【0094】
第3補正手段によって、切削加工位置Pa~Pdが環境測定装置24によって測定された巻回装置12の周辺の環境状態に合わせて補正されることから、建材Bに関する寸法への環境状態の影響が軽減されるという効果が生じる。
【0095】
第4補正手段によって、切削加工位置Pa~Pdが切削装置10の傾向を起因とする切削溝95a~95dの位置のずれをオフセットする方向に補正されることから、切削溝95a~95dの位置が安定するという効果が生じる。
【0096】
図10は、実施形態2における制御装置5による処理手順の一部を示すフローチャートである。
【0097】
次に、
図10のフローチャートを用いて、実施形態2における制御装置5による補正手段の処理手順を説明する。なお、ステップ55(建材寸法測定値を取得)以降は、実施形態1と共通であり、かかる説明は省略している。
【0098】
ステップS50において、制御装置5の処理部50は、環境測定装置24から環境測定値を入力部53にて取得する。処理部50は、取得された環境測定値を記憶部51に記憶させる。なお、ステップS50において、環境測定装置24により測定された環境測定値は、入力部53にて手動によって入力されてもよい。
【0099】
ステップS501において、処理部50は、環境測定値と、環境測定値に対応する環境基準値515との間に所定値以上の差異があるか否かを判定する。環境測定値と、環境測定値に対応する環境基準値515との間に所定値以上の差異がある場合には、処理部50は、第3補正手段の処理を実行すべくステップS502へと進む。
【0100】
<第3補正手段>
ステップS502において、処理部50は、環境測定値に基づいて、切削加工位置Pa~Pdを補正する(第3補正手段)。
【0101】
例えば、湿度の測定値がそれに対応する環境基準値515よりも高い場合には、芯材8が膨張していることが想定されることから、処理部50は、その芯材8に合わせて切削加工位置Pb~Pdを+W方向側に補正する。このときの切削加工位置Pcの補正量は、切削加工位置Pbの補正量よりも大きく設定されており、切削加工位置Pdの補正量は、切削加工位置Pcの補正量よりも大きく設定されている。これにより、切削加工位置Pa及びPbの間の距離、切削加工位置Pb及びPcの間の距離並びに切削加工位置Pc及びPdの間の距離が、膨張した芯材8の幅86及び厚さ87に合わせて大きくなることから、平板部材9及び芯材8の間のガタつき(隙間)が軽減される。
【0102】
なお、第3補正手段における各補正量は、環境測定値に基づいた変動値であってもよいし、予め設定された固定値であってもよい。
【0103】
ステップS53の切削加工の後に、ステップS54において、処理部50は、溝位置測定装置23から溝測定位置を入力部53にて取得する。処理部50は、取得された溝測定位置を記憶部51に記憶させる。なお、ステップS54において、溝位置測定装置23により測定された溝測定位置は、入力部53にて手動によって入力されてもよい。
【0104】
ステップS541において、処理部50は、溝測定位置と、切削装置10に渡した切削加工位置Pa~Pdの指示値との間にそれぞれ所定値以上の差異があるか否かを判定する。溝測定位置と、それぞれ対応する切削加工位置Pa~Pdの指示値との間に所定値以上の差異がある場合には、処理部50は、第4補正手段の処理を実行すべくステップS542へと進む。
【0105】
<第4補正手段>
ステップS542において、処理部50は、溝測定位置に基づいて、切削加工位置Pa~Pdを補正する(第4補正手段)。
【0106】
例えば、切削溝95aの測定位置が、切削加工位置Paの指示値よりも+W方向側にある場合は、処理部50は、切削加工位置Paを-W方向側に補正する。これにより、切削加工位置Paに対する切削溝95a~95dの偏りが修正されることから、切削溝95a~95dの位置が安定する。
【0107】
なお、第4補正手段における各補正量は、溝測定位置に基づいた変動値であってもよいし、予め設定された固定値であってもよい。
【0108】
上記の実施形態及び実施例はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態及び実施例のみにより解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0109】
なお、処理部50による第1補正手段、第2補正手段、第3補正手段、第4補正手段及び許容値調整手段の各処理の組み合わせは、上記の実施形態に記載のものに限られず、例えば、第2補正手段及び第4補正手段の処理を実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0110】
A 建材製造システム
B 建材
10 切削装置
11 接着剤塗布装置
12 巻回装置
19 搬送装置
20 芯材測定装置
21 平板部材測定装置
22 建材測定装置
23 溝位置測定装置
24 環境測定装置
5 制御装置
50 処理部
51 記憶部
514 補正テーブル
8 芯材
9 平板部材