(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172681
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】無線中継局のハンドオーバ処理を高度化する制御装置、中継装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 36/10 20090101AFI20221110BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20221110BHJP
H04W 40/36 20090101ALI20221110BHJP
【FI】
H04W36/10
H04W16/26
H04W40/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078744
(22)【出願日】2021-05-06
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 ヤンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】武田 洋樹
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA33
5K067EE06
5K067JJ39
(57)【要約】
【課題】IABノードのハンドオーバ時の通信途絶を解消又は軽減すること。
【解決手段】制御装置は、他の制御装置から複数の中継局が無線接続されることによって第1の通信経路が形成されている場合に、その複数の中継局に含まれる第1の中継装置が所定の条件を満たしたことに応じて他の制御装置へのメッセージの送信を行うことなく他の制御装置の配下から制御装置の配下にハンドオーバすることを可能とするための第1の情報と、複数の中継局のうちの第1の中継装置から見て第1の通信経路において制御装置と反対側に接続されている第2の中継装置を示す第2の情報とを、他の制御装置から受信し、第1の中継装置が制御装置の配下にハンドオーバした場合に第1の中継装置および第2の中継装置が制御装置の通信を中継する中継局として動作することによって第2の通信経路を形成するための設定情報を生成して、その設定情報を他の制御装置へ送信する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格に従って中継伝送を制御する制御装置であって、
他の制御装置から複数の中継局が直列的に無線接続されることによって第1の通信経路が形成されている場合に、前記複数の中継局に含まれる第1の中継装置が所定の条件を満たしたことに応じて前記他の制御装置へのメッセージの送信を行うことなく前記他の制御装置の配下から前記制御装置の配下に接続先を切り替えるハンドオーバを行うことを可能とするための第1の情報と、前記複数の中継局のうちの前記第1の中継装置から見て前記第1の通信経路において前記制御装置と反対側に接続されている第2の中継装置を示す第2の情報とを、前記他の制御装置から受信する受信手段と、
前記第1の中継装置が前記制御装置の配下にハンドオーバした場合に当該第1の中継装置および前記第2の中継装置が前記制御装置の通信を中継する中継局として動作することによって第2の通信経路を形成するための設定を含んだ設定情報を生成する生成手段と、
前記他の制御装置へ、前記設定情報を送信する送信手段と、
前記第1の中継装置によるハンドオーバを受け付けて、当該ハンドオーバのための処理を行う処理手段と、
前記第1の中継装置が前記制御装置の配下にハンドオーバしたことに応じて、前記設定情報を用いて前記第1の中継装置および前記第2の中継装置を含んだ前記第2の通信経路を設定する設定手段と、
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記制御装置から1つ以上の中継局が無線接続されて形成されている第3の通信経路に含まれる前記制御装置または前記1つ以上の中継局のうちの、前記第1の中継装置がハンドオーバによって接続する候補となる1つ以上の装置のそれぞれについて別個に、当該1つ以上の装置のそれぞれに対応する識別情報と関連付けた前記設定情報を生成し、
前記送信手段は、前記識別情報と前記設定情報とを関連付けた情報を前記他の制御装置へ送信し、
前記処理手段は、前記第1の中継装置のハンドオーバにおいて、当該第1の中継装置の接続先の装置に対応する前記識別情報を特定し、
前記設定手段は、特定された前記識別情報に対応する接続先の装置に前記第1の中継装置が接続され、かつ、前記第2の中継装置が前記第1の中継装置から見て前記接続先の装置と反対側に接続されて前記第2の通信経路が形成されるように、当該識別情報に関連付けられた設定を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記第1の中継装置がハンドオーバによって接続する候補となる1つの装置と前記制御装置との間に接続される中継局が存在する場合に、前記1つの装置についての前記設定情報として、当該中継局のための前記第2の通信経路の設定を含んだ設定情報を生成し、
前記制御装置は、前記1つの装置に、当該1つの装置のための前記設定情報を通知し、前記1つの装置と前記制御装置との間に接続される前記中継局に、当該中継局のための前記設定情報を通知する通知手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記通知手段は、BAP(Backhaul Adaptation Protocol) MAPPING CONFIGURATIONメッセージ、又は、BAP control PDU(Protocol Data Unit)を用いて通知を行う、
ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記第1の中継装置がハンドオーバによって前記1つの装置に接続したことに応じて、前記1つの装置と前記制御装置との間に接続される前記中継局および前記1つの装置に対して、前記通知手段によって通知された前記1つの装置についての前記設定情報による設定を有効化するように指示する、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記第1の中継装置が前記1つの装置と異なる他の装置にハンドオーバによって接続したことに応じて、当該1つの装置についての前記設定情報を削除し、かつ、前記1つの装置と前記制御装置との間に接続される前記中継局および前記1つの装置に対して、当該1つの装置についての前記設定情報の削除を指示する、
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記設定手段は、前記設定情報に有効期限を設定し、前記第1の中継装置のハンドオーバが行われないまま前記有効期限を経過した場合に、当該設定情報を削除する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記設定手段は、前記第1の中継装置のハンドオーバが行われないまま前記他の制御装置から前記設定情報を削除すべきことの指示を受信した場合に、前記設定情報を削除する、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記処理手段は、前記第1の中継装置がハンドオーバの手順において送信したランダムアクセスプリアンブルまたは前記第1の中継装置がハンドオーバの手順の完了時に送信した無線リソース制御(RRC)メッセージによって、前記接続先の装置に対応する前記識別情報を特定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項10】
前記受信手段は、前記他の制御装置から受信したHANDOVER REQUESTメッセージから前記第1の情報および前記第2の情報を取得し、
前記送信手段は、HANDOVER REQUEST ACKNOWLEDGEメッセージによって前記設定情報を前記他の制御装置へ送信する、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
制御装置から複数の中継局が第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格に従って直列的に無線接続されることによって通信経路が形成される通信システムにおいて、中継伝送を制御する前記制御装置であって、
前記複数の中継局に含まれる第1の中継装置が所定の条件を満たしたことに応じて前記制御装置へのメッセージの送信を行うことなく、前記制御装置の配下から他の制御装置の配下に接続先を切り替えるハンドオーバを行うことを可能とするための第1の情報と、前記複数の中継局のうちの前記第1の中継装置から見て前記制御装置と反対側に接続されている第2の中継装置を示す第2の情報とを、前記他の制御装置へ通知する通知手段と、
前記他の制御装置から、前記第1の中継装置が前記他の制御装置の配下にハンドオーバした場合に当該第1の中継装置および前記第2の中継装置が前記他の制御装置の通信を中継する中継局として動作するための設定情報を受信する受信手段と、
前記設定情報を前記第1の中継装置へ送信する送信手段と、
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項12】
前記設定情報は、前記他の制御装置から1つ以上の中継局が無線接続されて形成されている第3の通信経路に含まれる前記他の制御装置または前記1つ以上の中継局のうちの、前記第1の中継装置がハンドオーバによって接続する候補となる1つ以上の装置のそれぞれについて別個に生成され、
前記受信手段は、当該1つ以上の装置のそれぞれに対応する識別情報と関連付けられた前記設定情報を、前記識別情報と共に受信し、
前記送信手段は、前記識別情報と前記設定情報とを前記第1の中継装置へ送信する、
ことを特徴とする請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記通知手段は、前記第1の中継装置がハンドオーバによって接続する候補の装置をそれぞれ配下に有する複数の他の制御装置に、前記第1の情報および前記第2の情報を通知し、
前記受信手段は、前記複数の他の制御装置のそれぞれから、前記複数の他の制御装置のそれぞれの配下の前記候補の装置のそれぞれについて別個に生成され、当該候補の装置のそれぞれに対応する前記識別情報と、当該識別情報に関連付けられた前記設定情報とを受信する、
ことを特徴とする請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記受信手段は、前記複数の他の制御装置のうちの第1の他の制御装置から、前記第1の中継装置がハンドオーバにより当該第1の他の制御装置の配下の装置に接続したことの通知を受信し、
前記制御装置は、前記複数の他の制御装置のうちの前記第1の他の制御装置と異なる第2の他の制御装置へ、前記設定情報を削除するように指示する指示手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項13に記載の制御装置。
【請求項15】
前記受信手段は、前記第1の中継装置がハンドオーバにより他の制御装置の配下の装置に接続した場合、当該装置に対応する第1の識別情報を示す通知を受信し、
前記制御装置は、前記第1の識別情報と異なる第2の識別情報に対応する、前記第1の中継装置の接続先の候補の装置を配下に有する他の制御装置へ、前記第2の識別情報に関連付けられた前記設定情報を削除するように指示する指示手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の制御装置。
【請求項16】
前記他の制御装置によって生成される前記設定情報の有効期限を決定する決定手段をさらに有し、
前記通知手段は、前記第1の情報および前記第2の情報と共に前記有効期限を示す情報を前記他の制御装置へ通知し、
前記送信手段は、前記設定情報と共に前記有効期限を示す情報を前記第1の中継装置へ送信する、
ことを特徴とする請求項11から15のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項17】
前記通知手段は、前記第1の情報および前記第2の情報を含んだHANDOVER REQUESTメッセージを前記他の制御装置へ送信し、
前記受信手段は、前記他の制御装置から送信されたHANDOVER REQUEST ACKNOWLEDGEメッセージから、前記設定情報を取得する、
ことを特徴とする請求項11から16のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項18】
前記送信手段は、さらに前記第2の中継装置へ、当該第2の中継装置が前記他の制御装置の通信を中継する中継局として動作するための前記設定情報を送信する、
ことを特徴とする請求項11から17のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項19】
前記送信手段は、無線リソース制御(RRC)メッセージ、BAP(Backhaul Adaptation Protocol) MAPPING CONFIGURATIONメッセージ、又は、BAP control PDU(Protocol Data Unit)を用いて、前記設定情報を送信する、
ことを特徴とする請求項11から18のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項20】
中継伝送を制御する第1の制御装置から複数の中継局が第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格に従って直列的に無線接続されることによって通信経路が形成される通信システムにおける前記複数の中継局に含まれる中継装置であって、
前記中継装置が無線接続の接続先を前記第1の制御装置の配下から第2の制御装置の配下に切り替えるハンドオーバを実行すべき条件を示す条件情報と、当該ハンドオーバの後の設定情報であって、前記第2の制御装置に接続して中継局として動作するための情報を含んだ第1の設定情報と、前記通信経路において前記中継装置から見て前記第1の制御装置と反対側に接続されている他の中継装置であって前記複数の中継局に含まれる他の中継装置が前記ハンドオーバの後に前記第2の制御装置と接続して中継局として動作するための情報を含んだ第2の設定情報とを、前記第1の制御装置から受信する受信手段と、
前記条件情報によって示される前記条件が満たされた後に、前記第1の制御装置へのメッセージの送信を行わずに前記第2の制御装置の配下にハンドオーバを実行する実行手段と、
前記ハンドオーバによって前記第2の制御装置の配下に接続されたことに応じて、前記第1の設定情報に基づいて前記第2の制御装置の配下の中継局として動作するための制御を実行する制御手段と、
前記第2の設定情報を前記他の中継装置へ送信し、前記第2の制御装置へのハンドオーバの後に前記他の中継装置に対して当該第2の設定情報に基づいて中継局として動作するための制御を実行するように指示する情報を送信する送信手段と、
を有することを特徴とする中継装置。
【請求項21】
前記第1の設定情報および前記第2の設定情報は、前記第2の制御装置から1つ以上の中継局が無線接続されて形成されている第2の通信経路に含まれる前記第2の制御装置または前記1つ以上の中継局のうちの、前記中継装置がハンドオーバによって接続する候補となる1つ以上の装置のそれぞれについて別個に生成され、
前記受信手段は、当該1つ以上の装置のそれぞれに対応する識別情報と関連付けられた前記第1の設定情報および前記第2の設定情報を、前記識別情報と共に受信する、
ことを特徴とする請求項20に記載の中継装置。
【請求項22】
前記実行手段は、ハンドオーバの手順において送信するランダムアクセスプリアンブルまたはハンドオーバの手順の完了時に送信する無線リソース制御(RRC)メッセージにおいて、当該ハンドオーバにおける接続先の装置へ、当該装置に対応する前記識別情報を通知する、
ことを特徴とする請求項21に記載の中継装置。
【請求項23】
前記制御手段は、ハンドオーバにおける接続先の装置に対応する前記識別情報と関連付けられた前記第1の設定情報に基づいて、前記第2の制御装置の配下の中継局として動作するための制御を実行する、
ことを特徴とする請求項21又は22に記載の中継装置。
【請求項24】
ハンドオーバにおける接続先の装置に対応する第1の識別情報と異なる第2の識別情報に関連付けられた前記第1の設定情報を削除する削除手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項21から23のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項25】
前記送信手段は、前記中継装置のハンドオーバにおける接続先の装置に対応する第1の識別情報と異なる第2の識別情報に関連付けられた前記第2の設定情報を削除することを示す指示を、前記他の中継装置へ送信する、
ことを特徴とする請求項21から24のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項26】
前記受信手段は、無線リソース制御(RRC)メッセージ、BAP(Backhaul Adaptation Protocol) MAPPING CONFIGURATIONメッセージ、又は、BAP control PDU(Protocol Data Unit)を用いて、前記第1の設定情報および前記第2の設定情報を受信する、
ことを特徴とする請求項20から25のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項27】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格に従って中継伝送を制御する制御装置によって実行される制御方法であって、
他の制御装置から複数の中継局が直列的に無線接続されることによって第1の通信経路が形成されている場合に、前記複数の中継局に含まれる第1の中継装置が所定の条件を満たしたことに応じて前記他の制御装置へのメッセージの送信を行うことなく前記他の制御装置の配下から前記制御装置の配下に接続先を切り替えるハンドオーバを行うことを可能とするための第1の情報と、前記複数の中継局のうちの前記第1の中継装置から見て前記第1の通信経路において前記制御装置と反対側に接続されている第2の中継装置を示す第2の情報とを、前記他の制御装置から受信することと、
前記第1の中継装置が前記制御装置の配下にハンドオーバした場合に当該第1の中継装置および前記第2の中継装置が前記制御装置の通信を中継する中継局として動作することによって第2の通信経路を形成するための設定を含んだ設定情報を生成することと、
前記他の制御装置へ、前記設定情報を送信することと、
前記第1の中継装置によるハンドオーバを受け付けて、当該ハンドオーバのための処理を行うことと、
前記第1の中継装置が前記制御装置の配下にハンドオーバしたことに応じて、前記設定情報を用いて前記第1の中継装置および前記第2の中継装置を含んだ前記第2の通信経路を設定することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項28】
制御装置から複数の中継局が第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格に従って直列的に無線接続されることによって通信経路が形成される通信システムにおいて、中継伝送を制御する前記制御装置によって実行される制御方法であって、
前記複数の中継局に含まれる第1の中継装置が所定の条件を満たしたことに応じて前記制御装置へのメッセージの送信を行うことなく前記制御装置の配下から他の制御装置の配下に接続先を切り替えるハンドオーバを行うことを可能とするための第1の情報と、前記複数の中継局のうちの前記第1の中継装置から見て前記制御装置と反対側に接続されている第2の中継装置を示す第2の情報とを、前記他の制御装置へ通知することと、
前記他の制御装置から、前記第1の中継装置が前記他の制御装置の配下にハンドオーバした場合に当該第1の中継装置および前記第2の中継装置が前記他の制御装置の通信を中継する中継局として動作するための設定情報を受信することと、
前記設定情報を前記第1の中継装置へ送信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項29】
中継伝送を制御する第1の制御装置から複数の中継局が第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格に従って直列的に無線接続されることによって通信経路が形成される通信システムにおける前記複数の中継局に含まれる中継装置によって実行される制御方法であって、
前記中継装置が無線接続の接続先を前記第1の制御装置の配下から第2の制御装置の配下に切り替えるハンドオーバを実行すべき条件を示す条件情報と、当該ハンドオーバの後の設定情報であって、前記第2の制御装置に接続して中継局として動作するための情報を含んだ第1の設定情報と、前記通信経路において前記中継装置から見て前記第1の制御装置と反対側に接続されている他の中継装置であって前記複数の中継局に含まれる他の中継装置が前記ハンドオーバの後に前記第2の制御装置と接続して中継局として動作するための情報を含んだ第2の設定情報とを、前記第1の制御装置から受信することと、
前記第2の設定情報を前記他の中継装置へ送信することと、
前記条件情報によって示される前記条件が満たされた後に、前記第1の制御装置へのメッセージの送信を行わずに前記第2の制御装置の配下にハンドオーバを実行することと、
前記ハンドオーバによって前記第2の制御装置の配下に接続されたことに応じて、前記第1の設定情報に基づいて前記第2の制御装置の配下の中継局として動作するための制御を実行することと、
前記第2の制御装置へのハンドオーバの後に前記他の中継装置に対して当該第2の設定情報に基づいて中継局として動作するための制御を実行するように指示する情報を送信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項30】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格に従って中継伝送を制御する制御装置に備えられたコンピュータに、
他の制御装置から複数の中継局が直列的に無線接続されることによって第1の通信経路が形成されている場合に、前記複数の中継局に含まれる第1の中継装置が所定の条件を満たしたことに応じて前記他の制御装置へのメッセージの送信を行うことなく前記他の制御装置の配下から前記制御装置の配下に接続先を切り替えるハンドオーバを行うことを可能とするための第1の情報と、前記複数の中継局のうちの前記第1の中継装置から見て前記第1の通信経路において前記制御装置と反対側に接続されている第2の中継装置を示す第2の情報とを、前記他の制御装置から受信させ、
前記第1の中継装置が前記制御装置の配下にハンドオーバした場合に当該第1の中継装置および前記第2の中継装置が前記制御装置の通信を中継する中継局として動作することによって第2の通信経路を形成するための設定を含んだ設定情報を生成させ、
前記他の制御装置へ、前記設定情報を送信させ、
前記第1の中継装置によるハンドオーバを受け付けて、当該ハンドオーバのための処理を行わせ、
前記第1の中継装置が前記制御装置の配下にハンドオーバしたことに応じて、前記設定情報を用いて前記第1の中継装置および前記第2の中継装置を含んだ前記第2の通信経路を設定させる、
ためのプログラム。
【請求項31】
制御装置から複数の中継局が第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格に従って直列的に無線接続されることによって通信経路が形成される通信システムにおいて、中継伝送を制御する前記制御装置に備えられたコンピュータに、
前記複数の中継局に含まれる第1の中継装置が所定の条件を満たしたことに応じて前記制御装置へのメッセージの送信を行うことなく前記制御装置の配下から他の制御装置の配下に接続先を切り替えるハンドオーバを行うことを可能とするための第1の情報と、前記複数の中継局のうちの前記第1の中継装置から見て前記制御装置と反対側に接続されている第2の中継装置を示す第2の情報とを、前記他の制御装置へ通知させ、
前記他の制御装置から、前記第1の中継装置が前記他の制御装置の配下にハンドオーバした場合に当該第1の中継装置および前記第2の中継装置が前記他の制御装置の通信を中継する中継局として動作するための設定情報を受信させ、
前記設定情報を前記第1の中継装置へ送信させる、
ためのプログラム。
【請求項32】
中継伝送を制御する第1の制御装置から複数の中継局が第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格に従って直列的に無線接続されることによって通信経路が形成される通信システムにおける前記複数の中継局に含まれる中継装置に備えられたコンピュータに、
前記中継装置が無線接続の接続先を前記第1の制御装置の配下から第2の制御装置の配下に切り替えるハンドオーバを実行すべき条件を示す条件情報と、当該ハンドオーバの後の設定情報であって、前記第2の制御装置に接続して中継局として動作するための情報を含んだ第1の設定情報と、前記通信経路において前記中継装置から見て前記第1の制御装置と反対側に接続されている他の中継装置であって前記複数の中継局に含まれる他の中継装置が前記ハンドオーバの後に前記第2の制御装置と接続して中継局として動作するための情報を含んだ第2の設定情報とを、前記第1の制御装置から受信させ、
前記第2の設定情報を前記他の中継装置へ送信させ、
前記条件情報によって示される前記条件が満たされた後に、前記第1の制御装置へのメッセージの送信を行わずに前記第2の制御装置の配下にハンドオーバを実行させ、
前記ハンドオーバによって前記第2の制御装置の配下に接続されたことに応じて、前記第1の設定情報に基づいて前記第2の制御装置の配下の中継局として動作するための制御を実行させ、
前記第2の制御装置へのハンドオーバの後に前記他の中継装置に対して当該第2の設定情報に基づいて中継局として動作するための制御を実行するように指示する情報を送信させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線中継局のハンドオーバ処理の高度化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)において、端末装置がネットワークへアクセスする手法をバックホールリンクに応用し、中継伝送を実行するためのIAB(Integrated Access and Backhaul)が規格化されている。IABでは、中継装置として動作するIABノードが、端末装置としての機能を用いて、コアネットワークに接続可能で中継伝送を制御するIABドナーと無線アクセスリンクを確立して接続する。なお、1つのIABドナーに対しては、複数のIABノードが直接接続することができる。また、IABノードは、IABドナーとの接続を確立した後、端末装置として動作する他のIABノードとの接続を確立することができる。すなわち、1つのIABドナーに対して、複数のIABノードが直列的に接続することができる。なお、以下では、IABノードから見て、IABドナーの側を上流と呼び、その反対側を下流と呼ぶ。すなわち、IABドナーとIABノードAが直接接続し、IABノードAにIABノードBが直接接続し、IABノードBにIABノードCが直接接続する構成において、IABノードBから見て、IABノードAやIABドナーが上流の装置であり、IABノードCが下流の装置となる。IABドナーは、接続先のIABドナーやIABノードを切り替えるハンドオーバを実行することができる。これにより、IABノードは、より良好な無線品質のIABドナーやIABノードを上流の装置として、中継伝送を実行することができる。
【0003】
ハンドオーバは、端末装置において接続中の無線リンクの通信品質が劣化した後にコアネットワーク側におけるハンドオーバの準備等の処理が開始され、基地局装置から端末装置への指示メッセージが送信されるのが標準的な手法である。しかしながら、この手法では、実際に通信品質が劣化してからハンドオーバの指示が送信されるまでの処理に時間を要するため、通信できない又は通信品質が不十分な時間が長期化してしまいうる。これに対して、この準備等の処理を事前に実行しておき、端末装置において所定の条件が満たされた場合に、基地局装置からの指示メッセージを受信せずに接続先のセルを切り替える手法が規定されている(非特許文献1参照)。所定の条件は、例えば、端末装置において、隣接セルの無線品質が接続中のセルの無線品質より所定レベル以上良好となった場合や接続中のセルの無線品質が所定値以下となった場合を含む。この手法によれば、ハンドオーバが実行されるべき通信品質の低下などが生じる前にコアネットワーク側におけるハンドオーバの準備が完了しているため、通信できない又は通信品質が不十分な時間を大幅に低減することができる。このようなハンドオーバを条件付きハンドオーバと呼ぶ。非特許文献2には、この条件付きハンドオーバをIABノードの端末機能におけるハンドオーバに適用することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TR38.874、V16.0.0、2018年12月
【非特許文献2】3GPP寄書、R3-210001、2021年1月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、複数のIABノードが直列的に接続される場合がある。この場合、条件付きハンドオーバが行われる際に、ハンドオーバを行うIABノードに加えて、そのIABノードから見て下流のIABノードまで接続先のIABドナーを切り替えることとなりうる。この場合、その下流のIABノードについてはハンドオーバの用意がされていないため、下流のIABノードにおいて通信の途絶が発生してしまいうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、IABノードのハンドオーバ時の通信途絶を解消又は軽減する技術を提供する。
【0007】
本発明の一態様による制御装置は、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格に従って中継伝送を制御する制御装置であって、他の制御装置から複数の中継局が直列的に無線接続されることによって第1の通信経路が形成されている場合に、前記複数の中継局に含まれる第1の中継装置が所定の条件を満たしたことに応じて前記他の制御装置へのメッセージの送信を行うことなく前記他の制御装置の配下から前記制御装置の配下に接続先を切り替えるハンドオーバを行うことを可能とするための第1の情報と、前記複数の中継局のうちの前記第1の中継装置から見て前記第1の通信経路において前記制御装置と反対側に接続されている第2の中継装置を示す第2の情報とを、前記他の制御装置から受信する受信手段と、前記第1の中継装置が前記制御装置の配下にハンドオーバした場合に当該第1の中継装置および前記第2の中継装置が前記制御装置の通信を中継する中継局として動作することによって第2の通信経路を形成するための設定を含んだ設定情報を生成する生成手段と、前記他の制御装置へ、前記設定情報を送信する送信手段と、前記第1の中継装置によるハンドオーバを受け付けて、当該ハンドオーバのための処理を行う処理手段と、前記第1の中継装置が前記制御装置の配下にハンドオーバしたことに応じて、前記設定情報を用いて前記第1の中継装置および前記第2の中継装置を含んだ前記第2の通信経路を設定する設定手段と、を有する。
【0008】
本発明の一態様による制御装置は、制御装置から複数の中継局が第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格に従って直列的に無線接続されることによって通信経路が形成される通信システムにおいて、中継伝送を制御する前記制御装置であって、前記複数の中継局に含まれる第1の中継装置が所定の条件を満たしたことに応じて前記制御装置へのメッセージの送信を行うことなく、前記制御装置の配下から他の制御装置の配下に接続先を切り替えるハンドオーバを行うことを可能とするための第1の情報と、前記複数の中継局のうちの前記第1の中継装置から見て前記制御装置と反対側に接続されている第2の中継装置を示す第2の情報とを、前記他の制御装置へ通知する通知手段と、前記他の制御装置から、前記第1の中継装置が前記他の制御装置の配下にハンドオーバした場合に当該第1の中継装置および前記第2の中継装置が前記他の制御装置の通信を中継する中継局として動作するための設定情報を受信する受信手段と、前記設定情報を前記第1の中継装置へ送信する送信手段と、を有する。
【0009】
本発明の一態様による中継装置は、中継伝送を制御する第1の制御装置から複数の中継局が第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)規格に従って直列的に無線接続されることによって通信経路が形成される通信システムにおける前記複数の中継局に含まれる中継装置であって、
前記中継装置が無線接続の接続先を前記第1の制御装置の配下から第2の制御装置の配下に切り替えるハンドオーバを実行すべき条件を示す条件情報と、当該ハンドオーバの後の設定情報であって、前記第2の制御装置に接続して中継局として動作するための情報を含んだ第1の設定情報と、前記通信経路において前記中継装置から見て前記第1の制御装置と反対側に接続されている他の中継装置であって前記複数の中継局に含まれる他の中継装置が前記ハンドオーバの後に前記第2の制御装置と接続して中継局として動作するための情報を含んだ第2の設定情報とを、前記第1の制御装置から受信する受信手段と、前記条件情報によって示される前記条件が満たされた後に、前記第1の制御装置へのメッセージの送信を行わずに前記第2の制御装置の配下にハンドオーバを実行する実行手段と、前記ハンドオーバによって前記第2の制御装置の配下に接続されたことに応じて、前記第1の設定情報に基づいて前記第2の制御装置の配下の中継局として動作するための制御を実行する制御手段と、前記第2の設定情報を前記他の中継装置へ送信し、前記第2の制御装置へのハンドオーバの後に前記他の中継装置に対して当該第2の設定情報に基づいて中継局として動作するための制御を実行するように指示する情報を送信する送信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、IABノードのハンドオーバ時の通信途絶を解消又は軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】IABドナー及びIABノードのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】ハンドオーバ元のIABドナーの機能構成例を示す図である。
【
図4】ハンドオーバ先のIABドナーの機能構成例を示す図である。
【
図5】ハンドオーバを実行するIABノードの機能構成例を示す図である。
【
図6】無線通信システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
(システム構成)
図1に本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、3GPP規格で規定されているIAB(Integrated Access and Backhaul)を用いた無線中継伝送システムである。IABを用いた無線中継伝送システムは、IABドナー(IABドナーX~Z)と、IABノード(IABノードA~H)とを含む。IABドナーは、中継伝送の制御を行う制御装置としての機能(Central Unit、CU)及び基地局装置としての無線信号の送受信のための処理を行う機能(Distributed Unit、DU)を有する。一方、IABノードは、端末装置として動作する機能(Mobile Termination、MT)及びDUを有し、いずれかのIABドナーに、直接または他のIABノードを介して、MTによって無線接続する。そして、IABノードは、接続したIABドナーのCUによる制御の下で中継伝送を実行して、端末装置(User Equipment、UE)とIABドナーとの間の通信を中継するように動作する。
【0014】
図1の例では、IABドナーXに、IABノードAが直接無線接続している状態を示している。IABノードAは、IABドナーXのCUによる制御の下で、自身に直接接続するUEとIABドナーXとの間の通信を中継する。IABノードAは、IABドナーXの中継伝送を実行可能な状態において、IABノードFのMTとの接続をUEとの接続手順と同様の手順で確立し、IABノードFは、IABドナーXとの間で中継伝送に関する設定を実行することにより、中継伝送を伴う通信経路を確立する。同様に、IABノードFにはIABノードGが接続され、IABノードGにIABノードHが接続されて、中継伝送を伴う通信経路が確立される。このようにして、複数の中継局(IABノード)が直列的に無線接続されることによる通信経路が確立される。なお、これは一例であり、例えばIABノードHがIABノードFに直接接続され、IABノードGとIABノードHがIABノードFに並列に接続されてもよい。ただし、この場合であっても、IABドナーXのDUからIABノードGまでの第1の通信経路と、IABドナーXのDUからIABノードHまでの第2の通信経路とが、それぞれ複数の中継局が直列的に無線接続されて構成されると言うことができる。
【0015】
なお、
図1の例では、上述のような、IABドナーXの配下のIABノードA及びIABノードF~Hを含んだ通信経路に加え、IABドナーYとIABノードBとによって構成される通信経路、及び、IABドナーZとIABノードC~Eとによって構成される通信経路が示されている。
【0016】
IABノードは、上述のように端末装置としての機能であるMTを用いて、IABドナー又は他のIABノードのDUと接続することができる。IABのMTは、通常のUEと同様に、接続先のIABドナー/IABノードを切り替えるハンドオーバを実行することができる。上述のように、ハンドオーバには、従来のネットワーク側からの指示に応じて端末装置が接続先を切り替える第1の手法と、端末装置において所定の条件が満たされた場合に端末装置がネットワーク側からの指示メッセージを受け取ることなくハンドオーバを実行する第2の手法とが存在する。この第2の手法を「条件付きハンドオーバ(CHO)」と呼ぶ。
【0017】
CHOでは、ハンドオーバの対象となる端末装置が周囲の無線品質を測定して、基地局装置へ通知する。基地局装置は、通知された無線品質に基づいて、端末装置のハンドオーバ先の候補となる別の基地局装置を決定し、その別の基地局装置へその端末装置のハンドオーバを要求する。別の基地局装置は、端末装置と接続を確立する場合の設定を実際にハンドオーバが行われる前に実行し、設定情報を生成して端末装置が接続中の基地局装置へ送信する。そして、基地局装置は、その設定情報を受信すると、その設定情報とハンドオーバを実行するための所定の条件を端末装置へ通知する。ここで、設定情報は、例えば、ハンドオーバ先を指定可能とする物理セル識別子(Physical Cell Identity(PCI))を含みうる。なお、所定の条件は、例えばハンドオーバ先の基地局装置ごとに異なっていてもよい。一例として、所定の条件は、例えば、端末装置において、隣接セルの無線品質が接続中のセルの無線品質より所定レベル以上良好となった場合や接続中のセルの無線品質が所定値以下となった場合に満たされたと判定されうる。端末装置は、通知された所定の条件が満たされたと判定した場合に、接続中の基地局装置からの指示メッセージを受信することなく、その基地局装置との接続を切断して、ハンドオーバに関して事前に設定情報が通知されている別の基地局装置との接続を確立する。その後、ハンドオーバ元の基地局装置は、端末装置との接続が確立されたハンドオーバ先の別の基地局装置からハンドオーバの成功の通知を受信し、ハンドオーバの候補として事前に設定が行われた別の基地局装置に対して、ハンドオーバのキャンセルを通知し、事前設定情報をクリアさせうる。以上の処理によれば、端末装置がハンドオーバ先の別の基地局装置と接続を確立した時点でその端末装置と別の基地局装置との間でハンドオーバ後の設定情報が保持されているため、直ちに通信を開始することができる。このため、ハンドオーバに関して発生する通信の断絶を防ぐことができる。
【0018】
本実施形態では、IABノードFが、IABノードAから、IABドナーY又はIABドナーZの配下のIABノードへ条件付きハンドオーバする場合について説明する。IABノードのハンドオーバにおいて通信の断絶を防ぐためには、ハンドオーバ前の段階で、中継伝送路の設定が行われている必要がある。
【0019】
ここで、IABノードFがIABドナーYの配下のIABノードBへ接続する場合について検討する。この場合、IABドナーYは、IABノードBにIABノードFが接続されて形成される通信経路に関して、IABノードBの下流側(IABノードBから見てIABドナーYの反対側)にIABノードFが接続される通信経路を定義して、その通信経路に対する識別子などを付与する。なお、下りリンク方向(IABドナーYからIABノードFへ向かう方向)の通信経路と、上りリンク方向(IABノードFからIABドナーYへ向かう方向)の通信経路とが別個に定義されうる。そして、IABドナーYは、その通信経路と識別子とを関連付けて、IABノードFへその情報を通知する。また、IABドナーYは、IABノードFに割り当てられるべきIP(Internet Protocol)アドレスや中継伝送に係るBAP(Backhaul Adaptation Protocol)アドレスを決定し、それらのアドレスをIABノードFへ通知する。さらに、IABドナーYは、例えば、自身(及び必要に応じて他のIABノード)のIPアドレスやBAPアドレスをIABノードFへ通知しうる。また、IABのために使用可能なリソース情報が設定情報としてIABノードFへ通知されてもよい。なお、このときに、ハンドオーバ先のIABノードBに関連付けられたハンドオーバ識別情報(例えば、CondReconfigID)が、通知される各種情報と関連付けられてIABノードFへ通知される。また、IABドナーYは、IABノードBに対して、IABノードFが接続した後の経路情報などの設定情報(例えば、BAP configuration)を通知する。
【0020】
IABノードFがIABノードBへ条件付きハンドオーバする場合、これらの設定情報が、事前にIABドナーYやIABノードBにおいて設定され、かつ、IABノードFへ通知されているべきである。これらの設定情報がハンドオーバ前にIABドナーY、IABノードB、及び、IABノードFとの間で共有されていることにより、IABノードFは、IABノードBと接続を確立した直後から、中継伝送を行うことができる。この結果、IABノードFに接続されているUEの通信が途絶する時間を短期化することができる。
【0021】
IABノードFがハンドオーバすることにより、IABノードFの下流側(IABノードFから見て通信経路においてIABドナーXの反対側)のIABノードGやIABノードHも、IABドナーYと接続することとなる。しかしながら、IABドナーYは、条件付きハンドオーバを実行する主体であるIABノードFについては事前設定を行うことができるが、その下流側に接続しているIABノードGやIABノードHについてはその存在を認識していない。このため、IABドナーYは、IABノードG及びHについての事前設定を行うことができず、IABノードGやIABノードHに接続しているUEの通信が、これらのIABノードのハンドオーバが完了して中継装置としての設定が完了するまで、長期間にわたって途絶してしまいうる。
【0022】
本実施形態では、このような事情に鑑み、ハンドオーバ元のIABドナーが、ハンドオーバ先の候補となるIABドナー(ハンドオーバ先のIABノードを配下に有するIABドナー)へ、ハンドオーバの対象となるIABノードのハンドオーバのための第1の情報を通知する際に、追加してそのIABノードの下流側に接続される別のIABノードに関する第2の情報を通知する。例えば、
図1において、IABドナーXは、IABノードFのハンドオーバ先の候補をIABノードB~Eと決定した場合に、それらを制御するIABドナーY及びZに対して、IABノードFに関する第1の情報のみならず、IABノードG及びHに関する第2の情報をも通知する。ここで通知される情報は、IABノードFを起点とする下流側の通信経路の構成を示す情報を含む。例えば、IABノードFのDUがIABノードGのMTと接続し、IABノードGのDUがIABノードHのMTと接続していることを示す情報など、通信経路がどのように構成されているかを示す情報が、IABドナーY及びZに通知されうる。これによれば、IABドナーY及びZは、IABノードFがハンドオーバしてきた場合に、IABノードG及びHを含めて、どのような通信経路が構成されることとなるかを認識することができるようになる。なお、ハンドオーバ元のIABドナーは、ハンドオーバの対象となるIABノードが接続する候補の、IABドナー又は別のIABノードごとにハンドオーバ識別情報を付与して、上述の第1の情報及び第2の情報と共に、ハンドオーバ先の候補のIABドナーへ通知しうる。この通知は、例えば、IABノードFがハンドオーバを実行する可能性のある状態となり、3GPP規格で定義されており、そのハンドオーバ先の候補が決定された後に基地局装置(IABドナー)間で送受信されるHANDOVER REQUESTメッセージを用いて行われうる。
【0023】
そして、ハンドオーバ先の候補となるIABドナーは、上述の第1の情報及び第2の情報を受信すると、ハンドオーバを実行する可能性のあるIABノードが実際にハンドオーバに関連する処理を開始する前に、そのIABノードが接続された場合の通信経路に関する設定を完了しておく。なお、ここでのIABノードによって開始されるハンドオーバに関連する処理は、例えばハンドオーバ元のIABドナーからの切断処理や、ハンドオーバ先のIABドナーへのランダムアクセス処理を含む。ハンドオーバ先の候補のIABドナーは、例えば、第1の情報によって示されるIABノードが、自身又は自身の配下の別のIABノードに接続され、その下流側にさらに第2の情報によって示されるIABノードが直列的に接続されたネットワークトポロジが形成されるものとして設定を行う。例えば、第1の情報及び第2の情報によって特定されるIABノードのそれぞれについて、BAPアドレスやIPアドレスの設定が行われる。また、IABドナーと、各IABノードとの間の通信経路のそれぞれについて、上りリンクと下りリンクとの両方のための通信経路を識別する識別情報が設定される。なお、この設定については、従来のIABの設定と同様であるため、これ以上の詳細についてはここでは説明しない。
【0024】
例えば、IABドナーYは、IABノードBのDUにIABノードFのMTが接続され、その下流側にさらにIABノードG及びHが直列的に接続されたネットワークトポロジが形成されるものとして設定を行う。IABドナーYは、例えば、IABノードF~Hのそれぞれについて、BAPアドレスやIPアドレスの設定を行う。そして、IABドナーYは、この設定によって得られた設定情報と、IABドナーXから通知されたハンドオーバ識別情報とを関連付けた情報を、IABノードFのハンドオーバ先の候補であるIABノードBへ通知する。また、IABドナーYとIABノードFとの間の通信経路、IABドナーYとIABノードGとの間の通信経路、及び、IABドナーYとIABノードHとの間の通信経路のそれぞれについて、上りリンクと下りリンクとの両方のための通信経路を識別する識別情報が設定される。
【0025】
また、例えば、IABドナーZは、IABノードCのDUにIABノードFのMTが接続された場合、IABノードDのDUにIABノードFのMTが接続された場合、及び、IABノードEのDUにIABノードFのMTが接続された場合、のそれぞれについて同様の設定を実行する。すなわち、例えば、各接続形態に対して、IABノードF~HのBAPアドレスやIPアドレスの設定が行われ、また、IABドナーZとIABノードF~Hとのそれぞれの間の通信経路に対する識別情報の設定等が行われる。なお、各設定には、IABノードFの接続先がIABノードC~Eのいずれであるかに応じて、IABドナーXから通知されたハンドオーバ識別情報が関連付けられる。そして、IABドナーZは、各接続形態についての設定によって得られた設定情報とその接続形態に対応するハンドオーバ識別情報とを、その接続形態に対応するIABノードへ通知する。
【0026】
IABドナーYは、例えば、IABノードBに対してIABノードFが接続された場合のIABノードFのための設定情報(通信経路の識別情報、BAPアドレス、及びIPアドレス)と、IABノードGのための設定情報と、IABノードHのための設定情報との組み合わせと、IABノードBに対応するハンドオーバ識別情報とを関連付けた情報をIABノードBへ送信する。また、IABドナーZは、IABノードCに対してIABノードFが接続された場合のIABノードF~Hのそれぞれのための設定情報と、IABノードCに対応するハンドオーバ識別情報とを関連付けた情報をIABノードCへ送信する。また、IABドナーZは、IABノードDに対してIABノードFが接続された場合のIABノードF~Hのそれぞれのための設定情報と、通信経路におけるIABノードCの次のノード(IABノードD)と、IABノードDに対応するハンドオーバ識別情報とを関連付けた情報をIABノードCへ送信する。同様に、IABドナーZは、IABノードEに対してIABノードFが接続された場合のIABノードF~Hのそれぞれのための設定情報と、通信経路におけるIABノードCの次のノード(IABノードD)と、IABノードEに対応するハンドオーバ識別情報とを関連付けた情報をIABノードCへ送信する。また、IABドナーZは、IABノードDに対してIABノードFが接続された場合のIABノードF~Hのそれぞれのための設定情報と、IABノードDに対応するハンドオーバ識別情報とを関連付けた情報をIABノードDへ送信する。また、IABドナーZは、IABノードEに対してIABノードFが接続された場合のIABノードF~Hのそれぞれのための設定情報と、通信経路におけるIABノードDの次のノード(IABノードE)と、IABノードEに対応するハンドオーバ識別情報とを関連付けた情報をIABノードDへ送信する。さらに、IABドナーZは、IABノードEに対してIABノードFが接続された場合のIABノードF~Hのそれぞれのための設定情報と、IABノードEに対応するハンドオーバ識別情報とを関連付けた情報をIABノードEへ送信する。
【0027】
なお、例えば、IABドナーYやIABドナーZが、IABノードB~Eへの設定情報を通知する際には、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージを用いうる。また、IABドナーYやIABドナーZは、BAP control PDU(Protocol Data Unit)を用いて、IABノードB~Eへの設定情報を通知してもよい。また、これらとは異なる新たなメッセージを定義して、この情報の通知に用いてもよい。
【0028】
これによれば、IABノードFのハンドオーバ先の候補の各IABドナー/IABノードにおいて、IABノードFが実際にハンドオーバ処理を実行した場合に、接続が確立された時点で中継伝送の設定が完了していることとなるため、これらのIABドナー/IABノードにおいて、即座に中継通信を実行することができるようになる。
【0029】
IABドナーY及びZは、上述のようにして得られた設定情報とハンドオーバ候補の各装置に対応するハンドオーバ識別情報とを関連付けた情報を、IABドナーXへ通知しうる。なお、IABドナーY及びZは、例えば、IABノードFのハンドオーバが行われることにより、通信容量や処理能力、IABに割り当て可能なリソースの限界を超える場合などにおいて、IABノードFのハンドオーバを拒否してもよい。この場合、例えば、HANDOVER REQUESTメッセージに対する応答としてHANDOVER FAILUREメッセージが送信されうる。また、IABドナーY及びZは、例えば通信容量等の関係により、IABノードF~Hの通信を受け入れるために、IABノードFにおいて達成されるべき無線品質の条件を決定し、その条件を、IABノードFのハンドオーバの条件としてIABドナーXへ通知してもよい。なお、例えば利用可能な通信容量の情報など、ハンドオーバの条件を特定可能な情報がIABドナーY及びZからIABドナーXへ通知されてもよい。なお、ハンドオーバが受け入れ可能な場合の上述の各種情報の通知は、例えばHANDOVER REQUESTメッセージに対する応答であるHANDOVER REQUEST ACKNOWLEDGEメッセージによって行われうる。
【0030】
IABドナーXは、このハンドオーバ識別情報と、物理セル識別子と、設定情報とが関連付けられた情報を、IABノードFへ通知する。このとき、IABドナーXは、ハンドオーバ識別情報ごとに個別に、すなわち、IABノードFの接続先の候補となるIABドナー又はIABノードごとに、IABノードFがハンドオーバを実行すべき条件をIABノードFへ通知するようにしてもよい。また、IABドナーXは、各ハンドオーバ識別情報と設定情報とが関連付けられた情報を、IABノードG及びHへ通知する。
【0031】
例えば、IABドナーXは、IABノードBに対応するハンドオーバ識別情報と、そのIABノードBへのハンドオーバのための条件と、IABノードBの物理セル識別子と、IABノードFがIABノードBに接続した場合の中継伝送を伴う通信経路に関する第1の設定情報を、IABノードFへ通知する。第1の設定情報は、例えば、IABノードFのBAPアドレスやIPアドレス、IABドナーYとIABノードFとの間に形成される通信経路の識別情報、IABのために使用可能なリソースの情報等を含む。IABノードFは、この第1の設定情報を用いることにより、IABノードBにハンドオーバした場合に直ちに中継伝送を実行することが可能となる。また、IABドナーXは、IABノードFがIABノードBに接続した場合のIABノードG及びHの中継伝送を伴う通信経路に関する第2の設定情報を、IABノードF~Hへ送信する。例えば、IABノードFは、IABドナーYとIABノードGとの間の通信経路の経路情報とIABノードGのBAPアドレスやIPアドレス、及び、IABドナーYとIABノードHとの間の通信経路の経路情報とIABノードHのBAPアドレスやIPアドレスを示す情報を取得する。すなわち、IABノードFは、IABドナーYとIABノードG又はHとの間の中継通信に関与する(通信経路に含まれる中継局として機能する)ため、それらの通信経路に関する情報を事前に取得しうる。また、IABノードGは、IABドナーYとIABノードGとの間の通信経路の経路情報やIABノードBの物理セル識別子とIABノードGのBAPアドレスやIPアドレスを第1の設定情報として取得し、IABドナーYとIABノードHとの間の通信経路の経路情報とIABノードHのBAPアドレスやIPアドレスを示す情報を第2の設定情報として取得しうる。また、IABノードHは、IABノードBの物理セル識別子やIABドナーYとIABノードHとの間の通信経路の経路情報及びIABノードHのBAPアドレスやIPアドレスを示す情報を第1の設定情報として取得する。なお、IABノードHは、IABドナーYとIABノードF及びGとの間の通信経路には関与しないため、これらの通信経路に関する情報については取得しない。なお、IABノードF~Hは、IABドナーYのIPアドレスやBAPアドレスをも取得しうる。
【0032】
上述の第2の設定情報は、IABドナーX及びIABノードAを介して、IABノードFへ送信される。なお、IABノードG及びHへ通知される設定情報は、IABノードFとは別個に用意されうる。例えば、IABノードFのために、IABノードF自身が中継装置として動作するための設定情報と、IABノードG又はHまでの通信経路が形成される場合のIABノードFの設定に関する設定情報とが第1の設定情報として用意され、それとは別個に、IABノードG及びHが中継装置として動作するための設定情報であって、IABノードG及びHへ転送されるべき設定情報が第2の設定情報として用意されうる。そして、IABノードFは、IABノードG及びHへ、その第2の設定情報を送信する。なお、上述のIABノードFのためのIABノードG又はHまでの通信経路に関する設定情報とIABノードG及びHへ転送される第2の設定情報は、いずれもIABノードG及びHとIABドナーYとの間の通信経路の設定が共通するため、共通の情報を含む。すなわち、IABノードFに対しては、共通する情報が重複して通知される。IABノードFは、第2の設定情報については、その情報の解析等を行わずに、そのままIABノードGへ転送しうる。なお、IABノードGに転送される設定情報は、IABドナーYとIABノードGとの間の通信経路に関するIABノードGの設定情報と、IABドナーYとIABノードHとの間の通信経路が形成される場合のIABノードGの設定情報を含む。また、IABノードHに転送される設定情報は、IABドナーYとIABノードHとの間の通信経路に関するIABノードHの設定情報を含む。このIABノードHに転送される設定情報は、IABノードFからIABノードGへ転送され、IABノードGからそのままIABノードHへ転送される。このような構成によれば、IABノードG及びHは、IABドナーXから送信された設定情報をそのまま受信することとなり、迅速に設定を完了することが可能となる。なお、この設定情報は、IABドナーYによって生成されてもよく、IABドナーX及びIABノードAは、IABドナーYから受信した設定情報をそのままIABノードFへ転送してもよい。
【0033】
また、IABノードFに対して、IABドナーYとIABノードG~Hとの間の通信経路に関する設定情報をまとめて送信し、IABノードFは、この設定情報に基づいて、IABノードG及びHの設定情報を生成するようにしてもよい。すなわち、IABノードFは、上述のように各IABノードに通知される重複する設定情報を受信するのではなく、例えば、重複のない設定情報を受信する。そして、IABノードFは、その設定情報の中から自身の設定情報を抽出して設定処理を実行し、IABノードYからIABノードFまでの通信経路に関する情報を除いた情報を生成し、IABノードGへ送信するようにしうる。IABノードGは、この情報を受信すると、自身の設定情報を抽出して設定処理を実行し、IABノードYからIABノードGまでの通信経路に関する情報を除いた情報を生成し、IABノードHへ送信しうる。
【0034】
同様に、IABドナーZは、IABノードC、IABノードD、及びIABノードEのそれぞれに対してIABノードFが接続した場合のIABノードF~Hの設定情報を生成し、IABノードC~Eのそれぞれに関連付けられたハンドオーバ識別情報と共にその設定情報をIABドナーXへ送信する。すなわち、IABノードFがIABノードCへハンドオーバする場合のハンドオーバ識別情報と設定情報との第1の組み合わせ、IABノードFがIABノードDへハンドオーバする場合のハンドオーバ識別情報と設定情報との第2の組み合わせ、及び、IABノードFがIABノードEへハンドオーバする場合のハンドオーバ識別情報と設定情報との第3の組み合わせが、IABドナーZからIABドナーXへ送信される。そして、それらの情報が、IABドナーXから、上述の第1の設定情報及び第2の設定情報の形式で、IABノードF~Hへ送信される。
【0035】
なお、IABドナーX及びIABノードAからIABノードF~Hへの情報の通知は、無線リソース制御(RRC)メッセージ(例えばRRCReconfigurationメッセージ)によって行われる。なお、IABドナーY及びZは、ハンドオーバ先の候補のIABノードB~Eのそれぞれに対してIABノードFが接続される場合の、IABノードF~Hのそれぞれの設定情報をRRCReconfigurationメッセージとして構成する。そして、IABドナーY及びZは、そのメッセージの集合とハンドオーバ識別情報と(場合によってはさらにハンドオーバの条件と)の組み合わせを生成して、IABドナーXへ送信するようにしうる。例えば、IABドナーYは、IABノードBに対応するハンドオーバ識別情報、IABノードBへのハンドオーバが実行されるべき条件(例えば無線品質等)、その場合のIABノードFのためのRRCReconfigurationメッセージ、IABノードGのためのRRCReconfigurationメッセージ、及び、IABノードHのためのRRCReconfigurationメッセージを、IABドナーXへ送信する。同様に、IABドナーZは、IABノードCに対応するハンドオーバ識別情報、IABノードCへのハンドオーバが実行されるべき条件、その場合のIABノードFのためのRRCReconfigurationメッセージ、IABノードGのためのRRCReconfigurationメッセージ、及び、IABノードHのためのRRCReconfigurationメッセージを、IABドナーXへ送信する。なお、ハンドオーバが実行されるべき条件について、複数の無線品質の条件と、それぞれの条件を特定するための識別子(たとえば、measurement identity)を、事前に別のRRCメッセージで通知しておき、各IABノードへ送信されるRRCReconfigurationメッセージでは、条件を特定するための識別子のみを含めるようにしてもよい。また、IABドナーZは、IABノードD及びIABノードEをハンドオーバ先とした場合の設定情報を、IABドナーXへ送信する。IABドナーXは、IABノードAを介して、これらの情報をIABノードFへ転送し、IABノードFは、IABノードG及びHのための設定情報を、IABノードGへ転送しうる。
【0036】
また、IABノードF~Hへの情報の通知は、例えば、3GPP規格で定義されているBAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージを用いて行われてもよい。また、IABノードF~Hへの情報通知は、3GPP規格で定義されているBAP control PDU(Protocol Data Unit)を用いて行われてもよい。また、これらとは異なる新たなメッセージを定義して、この情報の通知に用いてもよい。なお、IABノードFへの情報の通知がRRCメッセージによって行われ、IABノードG及びHに対しては、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージや、BAP control PDU、新たに定義されたメッセージを用いて設定情報の通知が行われてもよい。
【0037】
また、上述の例では、IABノードF~Hの設定情報として、BAPアドレスやIPアドレスが通知される場合について説明したが、これらのアドレスの少なくともいずれかが、ハンドオーバの前後で変化しない場合には、その変化しないアドレスについては通知が省略されてもよい。これによれば、相対的に少ない情報量で、ハンドオーバのための設定を実行することができる。
【0038】
IABノードFは、上述のようにして事前設定されたハンドオーバの条件に基づいて、ハンドオーバを実行する。このとき、IABノードFは、ハンドオーバのためにランダムアクセス手順を実行する。ランダムアクセス手順において、IABノードFは、ハンドオーバ先のIABノード(場合によってはIABドナー)に対応するランダムアクセスプリアンブルの送信用のリソースにおいて、ランダムアクセスプリアンブルを送信する。このとき、IABノードFは、ランダムアクセスプリアンブルを用いて、ハンドオーバ先のIABノードへハンドオーバ識別情報を通知する。例えば使用可能なランダムアクセスプリアンブルの系列をハンドオーバ識別情報ごとに事前に分類(定義)しておくことができる。この場合、IABノードFは、通知すべきハンドオーバ識別情報に関連付けられたランダムアクセスプリアンブルの系列の中から、1つの系列を選択して、その系列をランダムアクセスプリアンブルとして送信する。これにより、IABノードFは、ハンドオーバ先のIABノードに対して、ランダムアクセスプリアンブルによってハンドオーバ識別情報を通知することができる。また、ハンドオーバ先のIABノードは、ランダムアクセスプリアンブルがどのUEによって送信されたかを認識することができる。このため、ハンドオーバ先のIABノードは、ランダムアクセスプリアンブルがIABノードFから送信されたものであることを認識すると、IABノードFが自身に接続する場合のための設定情報に関連付けられているハンドオーバ識別情報を特定することができる。また、ハンドオーバ先のIABノードにおいて、ハンドオーバ識別情報ごとに、ランダムアクセスプリアンブルを送信すべきリソース(時間・周波数リソース)を設定しておいてもよい。この場合、IABノードFは、通知すべきハンドオーバ識別情報に関連付けられたリソースを使用して、ランダムアクセスプリアンブルを送信しうる。これによれば、ハンドオーバ先のIABノードは、どのリソースでランダムアクセスプリアンブルを検出したかに応じて、ハンドオーバ識別情報を特定することができる。また、IABノードFは、例えば、ランダムアクセス手順のメッセージ3や、完了時に送信するRRCReconfigurationCompleteメッセージによって、ハンドオーバ識別情報を通知してもよい。なお、ハンドオーバ先のIABノードは、ランダムアクセスプリアンブルによってハンドオーバ識別情報の通知を受けた場合に、ランダムアクセス手順に成功せず、RRCReconfigurationCompleteメッセージを受信しなかった場合、そのハンドオーバ識別情報を受信しなかったものとして扱ってもよい。
【0039】
IABノードFのハンドオーバ先のIABノードは、通知されたハンドオーバ識別情報に関連付けられている設定情報を有効化する。そして、そのIABノードは、通知されたハンドオーバ識別情報以外のハンドオーバ識別情報に関連付けられている設定情報については削除しうる。なお、ハンドオーバ先のIABノードは、IABノードFのハンドオーバの実行前に、全ての事前設定を有効化しておき、通知されたハンドオーバ識別情報に対応する設定情報以外を無効化するように動作してもよい。なお、ハンドオーバ先のIABノードは、自身が接続しているIABドナーに対して、IABノードFから通知されたハンドオーバ識別情報を通知しうる。この通知は、例えば、3GPP規格で定義されているUL RRC MESSAGE TRANSFERメッセージによって行われうる。そして、IABドナーは、通知されたハンドオーバ識別情報に対応する設定情報を有効化し、通知されたハンドオーバ識別情報と異なるハンドオーバ識別情報に対応する設定情報を無効化/削除する。なお、ハンドオーバ先の第1のIABノードとIABドナーとの間に別の第2のIABノードが含まれる場合、第1のIABノードは、第2のIABノードへも、ハンドオーバ識別情報を通知し、第2のIABノードは、そのハンドオーバ識別情報に対応する設定情報を有効化し、その他の設定情報を無効化/削除しうる。なお、この通知は、例えばBAP control PDUによって行われうる。また、この通知は、第1のIABノードから第2のIABノードに対して行われるのではなく、例えばIABドナーから第2のIABノードに対して行われてもよい。例えば、第1のIABノードが、UL RRC MESSAGE TRANSFERによってIABドナーへ通知を行い、IABドナーが、gNB-DU CONFIGURATION UPDATEメッセージやBAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージ等の、3GPP規格において規定されている中継伝送のためのメッセージを用いて第2のIABノードへ情報を通知しうる。なお、IABドナーは、配下の各IABノードから、ハンドオーバ識別情報に対応する設定情報を有効化したことの通知を受信したことに応答して、自身におけるそのハンドオーバ識別情報に対応する設定情報を有効化するようにしてもよい。すなわち、IABノードFがハンドオーバしたことに応じて、対応する設定情報を、各IABノードが有効化するまでは、IABドナーにおける設定情報を有効化しないようにしてもよい。
【0040】
なお、ハンドオーバ先のIABノードを配下に有するIABドナーは、設定情報の有効化によって、IABノードF~Hとの中継通信を可能とした後、又はこれと並行して、ハンドオーバ元のIABドナーに対して、IABノードFが接続されたことを通知しうる。そして、ハンドオーバ元のIABドナーは、IABノードFのハンドオーバ先の候補であったIABノードを配下に有するIABドナーへ、設定情報の無効化/削除を要求するメッセージを送信しうる。なお、ハンドオーバ先のIABノードを配下に有するIABドナーは、そのハンドオーバ先のIABノードに対応するハンドオーバ識別情報を、ハンドオーバ元のIABドナーへ通知してもよい。この場合、ハンドオーバ元のIABドナーは、通知されたハンドオーバ識別情報と異なるハンドオーバ識別情報に関連付けられた設定情報を無効化/削除すべきことを、そのハンドオーバ識別情報に対応するIABノードを配下に有するIABドナーへ通知してもよい。この設定情報の無効化/削除の指示は、例えば、3GPP規格で定義されているHANDOVER CANCELメッセージによって送信されうる。そして、IABドナーは、設定情報の無効化/削除の要求を受信した場合、配下のIABノードに対して同様に設定情報の無効化/削除を指示する情報を通知する。IABノードは、この通知を受信したことに応じて、設定情報を無効化/削除しうる。なお、この指示は、各IABノードに対するRRCメッセージ(例えばRRCReconfigurationメッセージ)によって個別に通知されてもよいし、例えばBAP control PDUを用いて直列的に接続されている複数のIABノードに逐次的に通知されてもよい。一例において、IABドナーZがIABノードC~Eへ通知を行う場合、IABドナーZが、IABノードCへBAP control PDUを送信し、指定したハンドオーバ識別情報に対応する設定情報を無効化/削除させる。そして、IABノードCが、IABノードDへBAP control PDUを送信し、指定したハンドオーバ識別情報に対応する設定情報を無効化/削除させる。最後に、IABノードDが、IABノードEへBAP control PDUを送信し、指定したハンドオーバ識別情報に対応する設定情報を無効化/削除させる。
【0041】
IABノードFは、ハンドオーバ先のIABノードに接続した場合に、そのハンドオーバに対応するハンドオーバ識別情報に関連付けられた設定情報を有効化するように、配下のIABノードG及びHへ通知しうる。これにより、IABノードFは、IABノードG及びHに対して、中継局としての設定を有効化して中継局として動作する制御を行うように指示することができる。そして、IABノードF~Hは、そのハンドオーバ識別情報と異なるハンドオーバ識別情報に関連付けられた設定情報を無効化/削除しうる。
【0042】
これにより、不要な設定情報が残ることによる誤作動を防ぎながら、かつ、IABノードFのハンドオーバを契機として必要な設定情報を有効化することができるため、IABノードFのハンドオーバに迅速に中継通信を実行することができる。
【0043】
なお、上述の説明では、不要な設定情報を削除するために、HANDOVER CANCELなどのメッセージを使用するものとして説明したが、これに限られない。例えば、HANDOVER CANCELなどのメッセージの使用に代えて又はこれに加えて、設定情報の有効期限を事前に設定しておき、IABノードは、その設定情報が有効化されないまま有効期限が経過した場合、その設定情報を破棄するようにしうる。なお、設定情報の有効期限は、例えば、ハンドオーバ元のIABドナーによって設定されてもよいし、ハンドオーバ先のIABドナーによって設定されてもよい。ハンドオーバ元のIABドナーが有効期限を設定する場合には、その有効期限は、ハンドオーバ先の候補となるIABドナー(及びハンドオーバの対象のIABノード)へ、ハンドオーバの対象のIABノード及びそのIABノードより下流側に接続される他のIABノードによって形成される通信経路の構成を示す情報と共に通知され、その後、通知を受信したIABドナーが、設定情報を配下の各IABノードに対して設定する際に、その設定情報と共にその配下の各IABノードへ通知しうる。また、ハンドオーバ先の候補のIABドナーが有効期限を設定する場合には、ハンドオーバ先のIABドナーが各設定情報を設定する際に、その設定情報のそれぞれについて有効期限を設定し、各IABノードやハンドオーバ元のIABドナー(及びハンドオーバの対象のIABノード)へ通知するようにしうる。なお、有効期限は、例えば時刻の情報によって示されてもよいし、所定のタイミングからの経過時間に対応するタイマ値によって示されてもよい。なお、有効期限は、例えば各IABドナーや各IABノードの負荷の状態に基づいて設定されてもよい。一例において、高負荷状態においては有効期限を短く設定し、低負荷状態においては有効期限を長く設定しうる。なお、この逆に、高負荷状態においては有効期限を長く設定し、低負荷状態においては有効期限を短く設定してもよい。なお、ハンドオーバの候補となるIABドナー又はその配下のIABノードにおける負荷が短期間のうちに上昇した場合などにおいて、そのIABドナーがハンドオーバをキャンセルし、ハンドオーバ先の候補からそのIABドナーやIABノードを除かせてもよい。
【0044】
なお、上述の例では、IABノードFが、IABノードB~Eのいずれかにハンドオーバする場合の例について説明したが、IABノードFのMTが、IABドナーY又はZのDUに対してハンドオーバする場合についても同様の処理が行われうる。すなわち、IABノードがハンドオーバする候補は、IABノードのみならずIABドナーであってもよい。そして、その1つ以上の候補の装置それぞれに対して、上述のように、ハンドオーバの対象のIABノードの情報とそのIABノードの下流側に存在する他のIABノードの情報とが通知され、その候補の装置のそれぞれにハンドオーバの対象のIABノードが接続された場合の中継伝送に関する設定を含んだ設定情報が生成される。ハンドオーバ先の候補の装置及びその装置にハンドオーバの対象のIABノードが接続した場合の通信経路に関与するIABドナー及びIABノードは、生成された情報をハンドオーバ識別情報と関連付けて保持する。そして、ハンドオーバの対象のIABノードがハンドオーバを実行した際に、そのハンドオーバ先を特定するハンドオーバ識別情報に基づいて、保持している設定情報を有効化/無効化(削除)する。このようにすることで、ハンドオーバの対象のIABノードがどのような接続形態でハンドオーバを行ったとしても、即座に中継伝送を実行することが可能となる。
【0045】
(装置の構成)
続いて、上述のようなIABドナー及びIABノードのハードウェア構成例について
図2を用いて説明する。IABドナー及びIABノードは、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、装置が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、5Gの無線通信用の回路によって構成される。なお、
図2では、1つの通信回路205が図示されているが、IABドナー及びIABノードは、例えば、5G用の無線通信回路および有線通信用の有線通信回路などの、複数の通信回路を有しうる。なお、IABドナー及びIABノードは、使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれについて別個の通信回路205を有してもよいし、それらの周波数帯域の少なくとも一部に対して共通の通信回路205を有してもよい。
【0046】
図3は、本実施形態においてハンドオーバの対象のIABノードのハンドオーバ先の候補のIABドナー(例えばIABドナーY及びZ)の機能構成例を示す図である。なお、ハンドオーバ先の候補のIABドナーは、ハンドオーバの対象のIABノードが直接無線接続する可能性のあるDUを有するIABドナーであってもよいし、そのIABノードが無線接続する可能性のある別のIABノードを配下に有するIABドナーであってもよい。ハンドオーバ先の候補のIABドナーは、その機能構成例として、例えば、情報取得部301、設定情報生成部302、有効期限設定部303、設定情報返信部304、設定情報通知部305、ハンドオーバ処理部306、および設定処理部307を有する。なお、
図3は、ハンドオーバ先の候補のIABドナーが有する機能のうちの、本実施形態の説明に関連する部分のみを示しており、IABドナーは、一般的なIABドナーのCU及びDUとしての機能を当然に有する。また、IABドナーは、
図3に示した機能及びIABドナーとしての汎用機能以外の機能を有してもよい。なお、ハンドオーバ先の候補となるIABドナーは、ハンドオーバ元のIABドナーとしても当然に動作しうる。このため、
図4を用いて後述される処理機能を当然に有しうる。また、
図3の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。
図3の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各処理部は上述したようなバリエーションを取ることが可能であるが、ここではその一部のみを述べるにとどめ、網羅的な説明については省略する。
【0047】
情報取得部301は、例えば別のIABドナーの制御の下で中継伝送を行っているIABノードが条件付きハンドオーバ(CHO)を実行するべき状態になった場合に、その別のIABドナーから、IABノードの情報を取得する。IABノードの情報は、そのハンドオーバの対象のIABノードのハンドオーバのための設定を可能とする第1の情報を含む。なお、IABノードのハンドオーバのための設定を可能とする第1の情報は、一般的なUEがCHOを実行する場合のハンドオーバ後の設定を可能とする各種情報と、一般的なIABノードが中継装置として中継伝送を行うための設定を可能とする各種情報を含む。一例において、第1の情報は、IABノードの識別情報、IABノードが現在行っている通信のパラメータ、IABノードのBAPアドレス及びIPアドレスなどを含むが、これらに限定されない。また、IABノードの情報は、ハンドオーバの対象のIABノードがCHOを実行する前の通信経路において、そのIABノードから見てハンドオーバ元のIABドナーの反対側に接続されている他のIABドナーを示す第2の情報を含む。第2の情報は、ハンドオーバの対象のIABドナーが形成している通信経路のうちのそのIABドナーから下流側の通信経路の情報である。この第2の情報は、例えば、ハンドオーバの対象のIABノードの下流側に接続されている別のIABノードの識別情報や、BAPアドレス及びIPアドレスを含み、また、それらのIABノードの接続順序を示す情報を含みうる。情報取得部301は、さらに、ハンドオーバの対象のIABノードが接続する可能性のある装置ごとに設定されたハンドオーバ識別情報を取得しうる。例えば、
図1において、IABドナーYは、上述のハンドオーバの対象のIABノード等の情報に加え、IABノードBに対応するハンドオーバ識別情報を取得する。また、IABドナーZは、上述のハンドオーバの対象のIABノード等の情報に加え、IABノードCに対応するハンドオーバ識別情報、IABノードDに対応するハンドオーバ識別情報、及びIABノードEに対応するハンドオーバ識別情報を取得する。なお、ハンドオーバ先の候補が一意に定まる場合には、ハンドオーバ識別情報が取得される必要はない。
【0048】
設定情報生成部302は、情報取得部301によって取得された情報に基づいて、ハンドオーバの対象のIABノードのハンドオーバ後の通信パラメータや、IABノードとして中継伝送を実行するための設定を含んだ第1の設定情報を生成する。通信パラメータは、従来のハンドオーバにおいて、ハンドオーバ先の候補の基地局装置がハンドオーバ元の基地局装置へ通知するものと同様である。IABノードとして中継伝送を実行するための設定は、例えば、ハンドオーバの対象のIABノードがハンドオーバ後に使用すべきBAPアドレスやIPアドレスの設定値、そのIABノードが追加された場合の通信経路の識別情報の設定を含む。なお、設定情報生成部302は、現在接続されているIABノードのうち、ハンドオーバの対象のIABノードが追加された場合の通信経路に関与するIABノードのためにも、設定情報を生成する。例えば、
図1において、IABノードFがIABノードDに接続される場合の設定情報は、IABノードC及びDのためにも生成される。この場合、例えば、IABノードCのための設定情報として、下りリンク方向の新たな通信経路の識別情報とその識別情報に対応する通信経路において次の信号の送信先がIABノードDであること、及び、上りリンク方向の新たな通信経路の識別情報とその識別情報に対応する通信経路において次の信号の送信先がIABドナーZであることを示す情報が生成される。また、IABノードDのための設定情報として、下りリンク方向の新たな通信経路の識別情報とその識別情報に対応する通信経路において次の信号の送信先がIABノードFであること、及び、上りリンク方向の新たな通信経路の識別情報とその識別情報に対応する通信経路において次の信号の送信先がIABノードCであることを示す情報が生成される。また、設定情報生成部302は、ハンドオーバの対象のIABノードの下流側に接続されている別のIABノードがIABノードとして中継伝送を実行するための設定を含んだ第2の設定情報を生成する。第2の設定情報は、例えば、ハンドオーバの対象のIABノードの下流側に接続されている別のIABノードのBAPアドレスやIPアドレス、及び、それらのIABノードを含んで新たに定義される通信経路の識別情報を含む。設定情報生成部302は、これらの別のIABノードが接続された場合に新たに定義された通信経路に関与する他のIABノードのためにも、通信経路の識別情報と通信経路における次の信号の送信先との組み合わせを示す情報などの設定情報を生成しうる。なお、設定情報生成部302は、ハンドオーバの対象のIABノード及びその下流側に接続されている別のIABノードについて、ハンドオーバ前のBAPアドレスやIPアドレスの値を流用可能である場合、その値を流用するようにしてもよい。なお、設定情報生成部302は、ハンドオーバの対象のIABノードが接続する可能性のある候補の装置ごとに、上述の各設定情報を生成する。例えば、
図1において、IABドナーZは、IABノードCへのハンドオーバが行われる場合、IABノードDへのハンドオーバが行われる場合、及びIABノードEへのハンドオーバが行われる場合のそれぞれについて、設定情報を生成する。
【0049】
有効期限設定部303は、設定情報生成部302によって生成された設定情報の有効期限を設定する。なお、有効期限は、ハンドオーバ元のIABドナーによって決定された値を受信することによって設定されてもよいし、有効期限設定部303が決定してもよい。有効期限は、例えば、時刻によって指定されてもよいし、所定のタイミング(例えば設定情報が記憶されたタイミング)からの経過時間を示すタイマによって指定されてもよい。なお、タイマが使用される場合、各装置に設定情報が到達するまでのタイムラグが考慮された値が設定されうる。すなわち、装置ごとに異なるタイマ値が使用されうる。なお、有効期限設定部303は、例えば、ハンドオーバ先の候補の装置ごとに異なる有効期限を設定してもよい。
【0050】
設定情報返信部304は、情報取得部301が取得した情報の送信元でありハンドオーバの対象のIABノードのハンドオーバ元のIABドナーに対して、設定情報生成部302が生成した第1の設定情報及び第2の設定情報(ハンドオーバの対象のIABノード及びその下流側のIABノードのための設定情報)を送信する。なお、設定情報返信部304は、情報取得部301が情報を取得する際に受信されたメッセージ(例えばHANDOVER REQUESTメッセージ)に対する返信(例えばHANDOVER REQUEST ACKNOWLEDGEメッセージ)として、ハンドオーバ元のIABドナーへ、設定情報を送信する。なお、有効期限設定部303が有効期限を決定した場合には、設定情報返信部304は、第1の設定情報及び第2の設定情報に加えて、有効期限を示す情報を、ハンドオーバ元のIABドナーへ送信する。また、設定情報返信部304は、情報取得部301がハンドオーバ識別情報を取得している場合には、設定情報を、ハンドオーバ識別情報と関連付けて、ハンドオーバ元のIABドナーへ送信する。この場合、ハンドオーバの対象のIABノードの接続先の候補の装置ごとの設定情報に、その装置に対応するハンドオーバ識別情報が対応付けられる。
【0051】
設定情報通知部305は、配下のIABノードに対して、設定情報生成部302によって生成された設定情報を通知する。例えば、IABドナーYは、IABノードBへ、IABノードFがIABノードBに接続された場合の通信経路設定を示す情報を通知する。また、IABドナーZは、IABノードCへ、IABノードFがIABノードCに接続された場合の通信経路設定を示す情報と、IABノードFがIABノードDに接続された場合の通信経路設定を示す情報と、IABノードFがIABノードEに接続された場合の通信経路設定を示す情報とを通知する。また、IABドナーZは、IABノードDへ、IABノードFがIABノードDに接続された場合の通信経路設定を示す情報と、IABノードFがIABノードEに接続された場合の通信経路設定を示す情報とを通知する。さらに、IABドナーZは、IABノードEへ、IABノードFがIABノードEに接続された場合の通信経路設定を示す情報を通知する。
【0052】
ハンドオーバ処理部306は、ハンドオーバの対象のIABノードがCHOを実行した場合に、そのIABノードの接続を確立するための処理を実行する。なお、ハンドオーバ処理部306は、配下のIABノードがランダムアクセスプリアンブルを検出したことに応じて、ハンドオーバの対象のIABノードとのランダムアクセス手順を実行する。なお、配下のIABノードは、ランダムアクセスプリアンブルに基づいてハンドオーバ識別情報を特定して、そのハンドオーバ識別情報をIABドナーのハンドオーバ処理部306に通知しうる。また、ハンドオーバ処理部306は、配下のIABノードのいずれがランダムアクセスプリアンブルを検出したかに基づいて、ランダムアクセスプリアンブルを検出したIABノードに対応するハンドオーバ識別情報を特定してもよい。また、ハンドオーバ処理部306は、ハンドオーバ手順の完了後に、ハンドオーバの対象のIABノードから送信されるメッセージ(RRCReconfigurationCompleteメッセージ)から、ハンドオーバ識別情報を取得してもよい。
【0053】
設定処理部307は、ハンドオーバ処理部306によって、ハンドオーバの対象のIABノードが自身又は配下の別のIABノードに接続したことに応じて、設定情報生成部302によって生成された設定情報を有効化することによって、ハンドオーバ後の中継伝送を実行可能とする。設定処理部307は、IABドナー自身の設定情報を有効化すると共に、ハンドオーバの対象のIABノードが接続したことによって新たに形成された通信経路に含まれる配下のIABノード(すなわち、IABドナーから、ハンドオーバの対象のIABノードが接続した配下のIABノードまでの通信経路の通信を中継する各装置)に対して、設定情報を有効化するように指示する。なお、設定処理部307は、例えばハンドオーバ処理部306が特定したハンドオーバ識別情報を指定して、そのハンドオーバ識別情報に対応する設定情報のみを有効化するように処理/指示を行いうる。また、設定処理部307は、そのハンドオーバ識別情報と異なるハンドオーバ識別情報に対応する設定情報については、無効化又は削除するように処理/指示を行いうる。また、設定処理部307は、ハンドオーバ元のIABドナーからの指示に応じて、又は、有効期限設定部303によって設定された有効期限が経過したことに応じて、自身の設定情報を無効化/削除し、必要に応じて配下のIABノードに対して、設定情報を無効化/削除するように指示しうる。
【0054】
図4は、本実施形態においてハンドオーバの対象のIABノードが接続しているハンドオーバ元のIABドナー(例えばIABドナーX)の機能構成例を示す図である。なお、ハンドオーバ元のIABドナーは、ハンドオーバの対象のIABノードが直接無線接続しているDUを有するIABドナーであってもよいし、そのIABノードが無線接続している別のIABノードを配下に有するIABドナーであってもよい。ハンドオーバ元の候補のIABドナーは、その機能構成例として、例えば、CHO判定部401、情報通知部402、設定情報受信部403、設定情報送信部404、および、設定情報削除指示部405を有する。なお、
図4は、ハンドオーバ元のIABドナーが有する機能のうちの、本実施形態の説明に関連する部分のみを示しており、IABドナーは、一般的なIABドナーのCU及びDUとしての機能を当然に有する。また、IABドナーは、
図4に示した機能及びIABドナーとしての汎用機能以外の機能を有してもよい。なお、ハンドオーバ元のIABドナーは、ハンドオーバ先の候補となるIABドナーとしても当然に動作しうる。このため、
図3を用いて上述した処理機能を当然に有しうる。また、
図4の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。
図4の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各処理部は上述したようなバリエーションを取ることが可能であるが、ここではその一部のみを述べるにとどめ、網羅的な説明については省略する。
【0055】
CHO判定部401は、配下の(IABドナー自身から直列的に接続されて通信を中継するための制御の対象となっている)IABノードにCHOを実行させるか否かを判定する。CHO判定部401は、例えば、配下のIABノードにおいて無線品質が低下した場合などに、そのIABノードがCHOを判定すべきと判定する。CHO判定部401は、例えば、IABノードに無線品質を測定させ、その無線品質が所定値を下回ったなどの所定の状態となったことに応じて、CHOを実行すべきと判定する。CHO判定部401は、配下のIABノードにCHOを実行させると判定した場合、CHOが実際に実行されるべき所定の条件を決定し、また、例えば接続先の候補となる装置が複数存在する場合に、その複数の装置のそれぞれに対応するハンドオーバ識別情報を決定する。
【0056】
情報通知部402は、ハンドオーバの対象のIABノードとその下流側に接続されているIABノードの情報を、ハンドオーバ先の候補のIABドナーへ通知する。この情報は上述の通りであるため、ここでの説明については省略する。また、情報通知部402は、IABノードのハンドオーバ後の接続先の候補となる装置ごとにハンドオーバ識別情報を決定し、ハンドオーバ先の候補の各IABドナーへ、そのIABドナーが配下に置く装置に対応するハンドオーバ識別情報を通知する。また、情報通知部402は、CHOに伴う設定情報の有効期限を決定して、ハンドオーバ先の候補の各IABドナーへ通知してもよい。
【0057】
設定情報受信部403は、ハンドオーバ先の候補の各IABドナーから、ハンドオーバの対象のIABノードおよびその下流側に接続されている別のIABノードのための設定情報を受信する。設定情報の詳細については上述の通りであるため、説明を省略する。設定情報送信部404は、設定情報受信部403において受信した設定情報を、ハンドオーバの対象のIABノード(及びその下流側に接続されたさらなるIABノード)へ送信する。設定情報送信部404は、例えば、ハンドオーバ識別情報と共に、そのハンドオーバ識別情報に関連付けられた設定情報や有効期限の情報、及び、ハンドオーバを実際に実行すると判定するための所定の条件を示す条件情報を、ハンドオーバの対象のIABノード(及びその下流側に接続されたさらなるIABノード)へ送信しうる。設定情報削除指示部405は、例えば、ハンドオーバの対象のIABノードが接続したIABドナーと異なるIABドナーへ、そのハンドオーバの対象のIABノードに関する設定情報を削除するように指示する。なお、設定情報削除指示部405は、例えば、ハンドオーバの対象のIABノードが接続したIABドナーから、ハンドオーバによる接続先の装置に対応するハンドオーバ識別情報の通知を受信し、そのハンドオーバ識別情報と異なるハンドオーバ識別情報に対応する設定情報を削除するように、各IABドナーへ通知するようにしてもよい。この場合、IABノードのハンドオーバ先のIABドナーであっても、設定情報削除指示部405によって削除が指示されるまでは、設定情報を保持するようにしてもよい。
【0058】
図5は、本実施形態においてハンドオーバを実行する対象のIABノードの機能構成例を示す図である。ハンドオーバを実行する対象のIABノードは、その機能構成例として、例えば、情報受信部501、設定情報転送部502、ハンドオーバ実行部503、中継設定部504、設定指示部505、および情報削除処理部506を有する。なお、
図5は、ハンドオーバを実行する対象のIABノードが有する機能のうちの、本実施形態の説明に関連する部分のみを示しており、IABノードは、一般的なIABノードのMT及びDUとしての機能を当然に有する。また、
図5の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。
図5の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各処理部は上述したようなバリエーションを取ることが可能であるが、ここではその一部のみを述べるにとどめ、網羅的な説明については省略する。
【0059】
情報受信部501は、接続中の(ハンドオーバ元の)IABドナーから、例えば、CHOのための所定の条件と、ハンドオーバ識別情報と、ハンドオーバ後に使用すべき通信パラメータやハンドオーバ後にIABノードとして中継動作を行うための設定を含んだ第1の設定情報と、を受信する。また、情報受信部501は、下流側に接続されている別のIABノードがハンドオーバの完了後にIABノードとして中継動作を行うための設定を含んだ第2の設定情報を、ハンドオーバ元のIABドナーから取得しうる。設定情報転送部502は、受信した第2の設定情報を、例えば対応するハンドオーバ識別情報と共に、下流側に接続されている別のIABノードへ転送する。なお、IABドナーは、ハンドオーバ後の設定を、ハンドオーバの対象のIABノードに対して行うと共に、そのIABノードの下流側に接続されている別のIABノードに対しても個別に実行することができる。例えば、IABドナーは、各IABノードに対してRRCメッセージ(例えばRRCReconfigurationメッセージ)を送信して、個別の設定を実行しうる。この場合、IABノードは、下流側に接続されている別のIABノードの情報を取得して転送する必要はない。すなわち、IABノードは、RRCメッセージをそのまま転送するにとどめ、その内容として含まれる設定情報を取得する必要はない。
【0060】
ハンドオーバ実行部503は、情報受信部501によって受信された、ハンドオーバを実行すべき所定の条件が満たされた場合に、その所定の条件と関連付けられた装置との間でランダムアクセス手順を用いて、ハンドオーバ処理を実行する。ハンドオーバ実行部503は、一例において、ハンドオーバの実行時にランダムアクセスプリアンブルによって、接続先の装置へ、その装置に対応するハンドオーバ識別情報を通知しうる。また、ハンドオーバ実行部503は、ハンドオーバの完了後に送信するメッセージによって、接続先の装置へ、その装置に対応するハンドオーバ識別情報を送信してもよい。なお、ハンドオーバ先のIABドナー等が、接続先の装置を特定することによりハンドオーバ識別情報を特定可能である場合は、ハンドオーバ実行部503がハンドオーバ識別情報を送信しなくてもよい。
【0061】
中継設定部504は、ハンドオーバ処理に成功した場合に、接続先の装置に対応するハンドオーバ識別情報に関連付けられた上述の第1の設定情報を有効化し、ハンドオーバ後の通信と中継伝送のための設定を実行する。設定指示部505は、ハンドオーバ処理に成功した場合に、接続先の装置に対応するハンドオーバ識別情報に関連付けられた上述の第2の設定情報を有効化するように、下流側に接続されている別のIABノードへ指示する。情報削除処理部506は、ハンドオーバ処理に成功した場合に、接続先の装置と異なる装置に対応するハンドオーバ識別情報に関連付けられた第1の設定情報を無効化/削除する。また、情報削除処理部506は、接続先の装置と異なる装置に対応するハンドオーバ識別情報に関連付けられた第2の設定情報を無効化/削除するように指示する。
【0062】
なお、ここではハンドオーバ識別情報を用いる例を示しているが、有効化/無効化/削除の対象となる設定情報を特定可能な任意の識別情報が用いられてもよい。
【0063】
(処理の流れ)
続いて、
図6を用いて、本実施形態の無線通信システムで実行される処理の流れの例について説明する。なお、ここでは、
図1のようなシステムにおいて、IABノードFが、IABノードDにハンドオーバする場合の例について説明する。なお、説明を簡単にするために、IABノードAについては省略する。
【0064】
まず、処理の開始時点で、IABノードFは、IABドナーXと接続しており、中継伝送により通信しているものとする(S601)。この状態で、IABドナーXは、例えば、IABノードFから、無線品質の測定結果の報告を受信するなどにより、IABノードFが所定の条件を満たしたことに応じて自律的にハンドオーバ(CHO)を実行すべきか否かを決定する。ここで、IABドナーXは、IABノードB~Eを接続先の装置の候補として、IABノードFがCHOを実行すべきと判定したものとする(S602)。この場合、IABドナーXは、IABドナーYに対してIABノードBに対応するハンドオーバ識別情報とIABノードF~Hの情報を含んだHANDOVER REQUESTメッセージを送信し、IABドナーZに対してIABノードC~Eのそれぞれに対応するハンドオーバ識別情報とIABノードF~Hの情報を含んだHANDOVER REQUESTメッセージを送信する(S603)。
【0065】
IABドナーY及びZは、このHANDOVER REQUESTを受け入れるか否かを判定する(S604)。このときに、IABドナーYは、IABノードFがIABノードBに接続するための無線通信パラメータや、中継伝送を行うための設定情報を生成する。同様に、IABドナーZは、IABノードFがIABノードC~Eのそれぞれに接続するための無線通信パラメータや、中継伝送を行うための設定情報を生成する。このとき、IABドナーY及びZは、IABノードFの下流側に接続されているIABノードG及びHに関して、中継伝送を行うための設定情報をさらに生成する。さらに、IABドナーY及びZは、IABノードFがハンドオーバした場合に形成される通信経路について、配下のIABノードB~Eがその新たな通信経路での通信に対応可能とするための設定情報を生成する。そして、IABドナーY及びZは、各設定情報とそれに対応するハンドオーバ識別情報とを関連付けて、ハンドオーバ元のIABドナーXへ通知する(S605)。この通知は、例えば、HADOVER REQUEST ACKNOWLEDGEメッセージによって行われうる。また、IABドナーY及びZは、配下のIABノードB~Eに対して、IABノードFがハンドオーバした場合に新たに形成される通信経路での通信に対応可能とするための設定情報を通知する(S606)。なお、この通知は、例えば、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージや、BAP control PDUなどを用いて行われうる。
【0066】
IABドナーXは、S605において受信した、接続先の装置に対応するハンドオーバ識別情報と、そのハンドオーバ識別情報に関連付けられた設定情報とを、IABノードF~Hへ送信する(S607)。なお、この設定情報の送信は、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージやBAP control PDUを用いて、IABノードFがIABノードXから通知された情報を転送する形式で行われうる。また、IABドナーXは、IABノードF~Hのそれぞれに対して、RRCメッセージを用いて、個別に設定情報を通知してもよい。また、例えば、IABドナーXが、IABノードFへRRCメッセージにより情報を通知し、IABノードFからIABノードG及びHへの情報送信にはBAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージやBAP control PDUが使用されるようにしてもよい。以上により、IABノードFがハンドオーバを実行するための事前準備が完了する。
【0067】
その後、IABノードFは、IABノードDからの無線信号の無線品質が、IABノードAからの無線信号の無線品質より一定以上良好であったなどの所定の条件を満たすと(S608)、IABノードDとのランダムアクセス処理を実行する(S609)。IABノードDは、このランダムアクセス処理によるハンドオーバを受け付ける。このとき、IABノードFは、ランダムアクセスプリアンブルや、ランダムアクセス処理後のRRCメッセージ等によって、IABノードDに対応するハンドオーバ識別情報を通知しうる。なお、IABノードDやIABドナーZにおいて、IABノードFがIABノードDに接続したことによって、ハンドオーバ識別情報が特定可能である場合は、IABノードFからハンドオーバ識別情報が送信されなくてもよい。
【0068】
IABノードFは、ハンドオーバに成功すると、下流側のIABノードG及びHへ、接続先のIABノードDに対応するハンドオーバ識別情報に関連付けられた設定情報を有効化するように指示する(S610)。ここで、IABノードF~Hは、例えばIABノードB、C及びEに対応するハンドオーバ識別情報に関連付けられた設定情報を無効化/削除する。なお、IABノードG及びHは、IABノードFからの明示的な指示を受けたことに応じて設定情報の無効化/削除を行ってもよいし、IABノードDに対応する設定情報を有効化する指示を受けたことに応じて、他の設定情報を無効化/削除するようにしてもよい。なお、この通知は、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージやBAP control PDUを用いて行われうる。
【0069】
IABノードDは、IABドナーZへ、例えばランダムアクセス手順の間に特定されたハンドオーバ識別情報をIABドナーZへ通知する(S611)。このときに、IABノードDは、ハンドオーバ識別情報に関連付けられた設定情報を有効化し、他の設定情報を無効化/削除しうる。また、IABノードDは、IABノードCを介してハンドオーバ識別情報を通知するため、IABノードCは、このハンドオーバ識別情報に対応する設定情報を有効化し、他の設定情報を無効化/削除しうる。そして、IABドナーZも、受信したハンドオーバ識別情報に対応する設定情報を有効化し、他の設定情報を無効化/削除する。そして、IABドナーZは、IABノードEへ、保持している設定情報の全てを削除するように指示する(S612)。なお、IABノードC及びDは、IABドナーZからの明示的な指示があった後に設定情報を有効化するようにしてもよい。すなわち、IABノードC及びDは、ハンドオーバの成功の時点では設定情報を有効化せずに、ハンドオーバ識別情報をIABドナーZへ通知し、その後にIABドナーZからの指示を受信してから、設定情報を有効化するようにしてもよい。同様に、IABドナーZからの削除指示が受信されるまでは、各IABノードにおいて設定情報を保持し続けるようにしてもよい。一方で、有効期限が設定される場合には、設定情報の削除指示は送信されなくてもよい。なお、有効期限が設定される場合であっても、設定情報の削除指示が送受信されてもよい。IABドナーと各IABノードとの間の情報の送受信は、例えば、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージやBAP control PDUを用いて行われうる。
【0070】
IABドナーZは、ハンドオーバの成功に伴い、HADOVER SUCCESSメッセージを、ハンドオーバ元のIABドナーXへ送信する(S613)。IABドナーXは、これにより、IABノードFがIABドナーZの配下に加入したことを認識することができる。そして、IABドナーXは、IABノードBへのCHOが行われないと判定し、IABノードBを配下に有するIABドナーYへ、HANDOVER CANCELメッセージを送信する(S614)。そして、IABドナーYは、IABノードBへ、設定情報の削除を指示する(S615)。なお、有効期限が設定される場合には、設定情報の削除指示は送信されなくてもよい。また、有効期限が設定される場合であっても、設定情報の削除指示が送受信されてもよい。IABドナーと各IABノードとの間の情報の送受信は、例えば、BAP MAPPING CONFIGURATIONメッセージやBAP control PDUを用いて行われうる。
【0071】
以上により、IABノードFがCHOにより接続先を切り替えた後に、IABノードFの中継伝送のための設定が即座に完了し、さらに、IABノードFの下流側に接続されているIABノードG及びHの中継伝送のための設定も即座に完了する。この結果、ハンドオーバが行われた際に、通信が途絶することを防ぐことができるようになる。
【0072】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。