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特開2022-172686無線中継局のハンドオーバ処理を高度化する中継装置、制御方法、及びプログラム
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  • 特開-無線中継局のハンドオーバ処理を高度化する中継装置、制御方法、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172686
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】無線中継局のハンドオーバ処理を高度化する中継装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/18 20090101AFI20221110BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20221110BHJP
   H04W 40/36 20090101ALI20221110BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20221110BHJP
【FI】
H04W36/18
H04W92/20 110
H04W40/36
H04W36/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078750
(22)【出願日】2021-05-06
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 ヤンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】武田 洋樹
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA01
5K067DD11
5K067EE06
5K067FF18
5K067JJ22
5K067JJ39
(57)【要約】
【課題】IABによる中継伝送を行う無線通信システムにおける柔軟かつ効果的なハンドオーバを可能とすること。
【解決手段】制御装置から直列的に複数の中継局が無線接続されて通信経路が形成される無線通信システムにおける、複数の中継局に含まれる中継装置は、通信経路において中継装置から見て制御装置の側に接続されている装置から別の接続先の装置へハンドオーバを実行することを決定し、ハンドオーバを実行すると決定した場合に、別の接続先の装置へハンドオーバすることの通知であって、別の接続先の装置の情報を含んだ通知を、通信経路において中継装置から見て制御装置の反対側に接続されている他の中継装置へ送信し、他の中継装置が中継装置との接続を維持するか否かを判定し、ハンドオーバを実行すると決定した場合に、その判定の結果に対応するハンドオーバの処理を実行する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置から直列的に複数の中継局が無線接続されて通信経路が形成される無線通信システムにおける、前記複数の中継局に含まれる中継装置であって、
前記通信経路において前記中継装置から見て前記制御装置の側に接続されている装置から別の接続先の装置へハンドオーバを実行することを決定する決定手段と、
ハンドオーバを実行すると決定した場合に、前記別の接続先の装置へハンドオーバすることの通知であって、当該別の接続先の装置の情報を含んだ通知を、前記通信経路において前記中継装置から見て前記制御装置の反対側に接続されている他の中継装置へ送信する送信手段と、
前記他の中継装置が前記中継装置との接続を維持するか否かを判定する判定手段と、
ハンドオーバを実行すると決定した場合に、前記判定の結果に対応するハンドオーバの処理を実行する実行手段と、
を有することを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記送信手段は、前記中継装置がハンドオーバを実行する場合の接続先の候補の装置の情報を、前記他の中継装置に対して通知し、当該候補の装置のうちの1つの装置を前記別の接続先の装置としてハンドオーバを実行すると前記決定手段が決定した場合に、当該候補の装置のいずれに接続するかを示す情報を、前記別の接続先の装置の情報を含んだ通知として前記他の中継装置へ送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記実行手段は、前記他の中継装置が前記中継装置との接続を維持する場合、前記他の中継装置を前記別の接続先の装置を配下に有する制御装置に接続させるための処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記他の中継装置から受信した所定のメッセージに基づいて、前記他の中継装置が前記中継装置との接続を維持するか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項5】
前記別の接続先の装置を示す情報は、当該別の接続先の装置から当該別の接続先の装置を配下に有する制御装置までのホップ数と、当該別の接続先の装置から当該別の接続先の装置を配下に有する制御装置までの遅延時間と、当該別の接続先の装置から当該別の接続先の装置を配下に有する制御装置までの間の中継経路に関する周波数と、当該別の接続先の装置から当該別の接続先の装置を配下に有する制御装置までの間の中継経路を構成する中継装置の機能に関する情報と、当該別の接続先の装置から当該別の接続先の装置を配下に有する制御装置までの間の通信経路の混雑度と、の少なくともいずれかを示す情報を含む、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項6】
制御装置から直列的に複数の中継局が無線接続されて通信経路が形成される無線通信システムにおける、前記複数の中継局に含まれる中継装置であって、
前記通信経路において前記中継装置から見て前記制御装置の側に接続されている他の中継装置が現在接続中の装置から別の接続先の装置へハンドオーバすることの通知であって、当該別の接続先の装置の情報を含んだ前記通知を、当該他の中継装置から受信する受信手段と、
前記通知に基づいて、前記他の中継装置との接続を維持するかを判定する判定手段と、
前記他の中継装置との接続を維持しないと判定した場合に、前記他の中継装置を介さずに前記制御装置または他の制御装置の配下に接続するためのハンドオーバ処理を実行する実行手段と、
を有することを特徴とする中継装置。
【請求項7】
前記受信手段は、
前記他の中継装置がハンドオーバを実行する前に、当該ハンドオーバにおける接続先の候補の装置の情報を受信し、
前記他の中継装置がハンドオーバを実行する場合に、当該他の中継装置が前記候補の装置のいずれを前記別の接続先の装置として接続するかを示す情報を含んだ前記通知を前記他の中継装置から受信する、
ことを特徴とする請求項6に記載の中継装置。
【請求項8】
前記他の中継装置との接続を維持するか否かを示す所定のメッセージを前記他の中継装置に送信する送信手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の中継装置。
【請求項9】
前記他の中継装置を介さずに前記制御装置または他の制御装置の配下に接続する場合の前記中継装置の接続先の候補の情報を取得する取得手段をさらに有し、
前記判定手段は、前記中継装置の接続先の候補の情報と、前記他の中継装置がハンドオーバする前記別の接続先の装置の情報とに基づいて、前記他の中継装置との接続を維持するかを判定する、
ことを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項10】
前記別の接続先の装置を示す情報は、当該別の接続先の装置から当該別の接続先の装置を配下に有する制御装置までのホップ数と、当該別の接続先の装置から当該別の接続先の装置を配下に有する制御装置までの遅延時間と、当該別の接続先の装置から当該別の接続先の装置を配下に有する制御装置までの間の中継経路に関する周波数と、当該別の接続先の装置から当該別の接続先の装置を配下に有する制御装置までの間の中継経路を構成する中継装置の機能に関する情報と、当該別の接続先の装置から当該別の接続先の装置を配下に有する制御装置までの間の通信経路の混雑度と、の少なくともいずれかを示す情報を含む、
ことを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項11】
制御装置から直列的に複数の中継局が無線接続されて通信経路が形成される無線通信システムにおける、前記複数の中継局に含まれる中継装置によって実行される制御方法であって、
前記通信経路において前記中継装置から見て前記制御装置の側に接続されている装置から別の接続先の装置へハンドオーバを実行することを決定することと、
ハンドオーバを実行すると決定した場合に、前記別の接続先の装置へハンドオーバすることの通知であって、当該別の接続先の装置の情報を含んだ通知を、前記通信経路において前記中継装置から見て前記制御装置の反対側に接続されている他の中継装置へ送信することと、
前記他の中継装置が前記中継装置との接続を維持するか否かを判定することと、
ハンドオーバを実行すると決定した場合に、前記判定の結果に対応するハンドオーバの処理を実行することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
制御装置から直列的に複数の中継局が無線接続されて通信経路が形成される無線通信システムにおける、前記複数の中継局に含まれる中継装置によって実行される制御方法であって、
前記通信経路において前記中継装置から見て前記制御装置の側に接続されている他の中継装置が現在接続中の装置から別の接続先の装置へハンドオーバすることの通知であって、当該別の接続先の装置の情報を含んだ前記通知を、当該他の中継装置から受信することと、
前記通知に基づいて、前記他の中継装置との接続を維持するかを判定することと、
前記他の中継装置との接続を維持しないと判定した場合に、前記他の中継装置を介さずに前記制御装置または他の制御装置の配下に接続するためのハンドオーバ処理を実行することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項13】
制御装置から直列的に複数の中継局が無線接続されて通信経路が形成される無線通信システムにおける、前記複数の中継局に含まれる中継装置に備えられたコンピュータに、
前記通信経路において前記中継装置から見て前記制御装置の側に接続されている装置から別の接続先の装置へハンドオーバを実行することを決定させ、
ハンドオーバを実行すると決定した場合に、前記別の接続先の装置へハンドオーバすることの通知であって、当該別の接続先の装置の情報を含んだ通知を、前記通信経路において前記中継装置から見て前記制御装置の反対側に接続されている他の中継装置へ送信させ、
前記他の中継装置が前記中継装置との接続を維持するか否かを判定させ、
ハンドオーバを実行すると決定した場合に、前記判定の結果に対応するハンドオーバの処理を実行させる、
ためのプログラム。
【請求項14】
制御装置から直列的に複数の中継局が無線接続されて通信経路が形成される無線通信システムにおける、前記複数の中継局に含まれる中継装置に備えられたコンピュータに、
前記通信経路において前記中継装置から見て前記制御装置の側に接続されている他の中継装置が現在接続中の装置から別の接続先の装置へハンドオーバすることの通知であって、当該別の接続先の装置の情報を含んだ前記通知を、当該他の中継装置から受信させ、
前記通知に基づいて、前記他の中継装置との接続を維持するかを判定させ、
前記他の中継装置との接続を維持しないと判定した場合に、前記他の中継装置を介さずに前記制御装置または他の制御装置の配下に接続するためのハンドオーバ処理を実行させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線中継局のハンドオーバ処理の高度化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)において、端末装置がネットワークへアクセスする手法をバックホールリンクに応用し、中継伝送を実行するためのIAB(Integrated Access and Backhaul)が規格化されている。IABでは、中継装置として動作するIABノードが、端末装置としての機能を用いて、コアネットワークに接続可能で中継伝送を制御するIABドナーと無線アクセスリンクを確立して接続する。なお、1つのIABドナーに対しては、複数のIABノードが直接接続することができる。また、IABノードは、IABドナーとの接続を確立した後、端末装置として動作する他のIABノードとの接続を確立することができる。すなわち、1つのIABドナーに対して、複数のIABノードが直列的に接続することができる。なお、以下では、IABノードから見て、IABドナーの側を上流と呼び、その反対側を下流と呼ぶ。すなわち、IABドナーとIABノードAが直接接続し、IABノードAにIABノードBが直接接続し、IABノードBにIABノードCが直接接続する構成において、IABノードBから見て、IABノードAやIABドナーが上流の装置であり、IABノードCが下流の装置となる。IABドナーは、接続先のIABドナーやIABノードを切り替えるハンドオーバを実行することができる。これにより、IABノードは、より良好な無線品質のIABドナーやIABノードを上流の装置として、中継伝送を実行することができる。
【0003】
ハンドオーバは、端末装置において接続中の無線リンクの通信品質が劣化した後にコアネットワーク側におけるハンドオーバの準備等の処理が開始され、基地局装置から端末装置への指示メッセージが送信されるのが標準的な手法である。しかしながら、この手法では、実際に通信品質が劣化してからハンドオーバの指示が送信されるまでの処理に時間を要するため、通信できない又は通信品質が不十分な時間が長期化してしまいうる。これに対して、この準備等の処理を事前に実行しておき、端末装置において所定の条件が満たされた場合に、基地局装置からの指示メッセージを受信せずに接続先のセルを切り替える手法が規定されている(非特許文献1参照)。所定の条件は、例えば、端末装置において、隣接セルの無線品質が接続中のセルの無線品質より所定レベル以上良好となった場合や接続中のセルの無線品質が所定値以下となった場合を含む。この手法によれば、ハンドオーバが実行されるべき通信品質の低下などが生じる前にコアネットワーク側におけるハンドオーバの準備が完了しているため、通信できない又は通信品質が不十分な時間を大幅に低減することができる。このようなハンドオーバを条件付きハンドオーバ(CHO)と呼ぶ。非特許文献2には、この条件付きハンドオーバをIABノードの端末機能におけるハンドオーバに適用することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TR38.874、V16.0.0、2018年12月
【非特許文献2】3GPP寄書、R3-210001、2021年1月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、複数のIABノードが直列的に接続される場合がある。この場合、ハンドオーバが行われる際に、ハンドオーバを行う第1のIABノードから見て下流の第2のIABノードが、その第1のIABノードと共に接続先のIABドナーを切り替えることが想定される。しかしながら、ハンドオーバ後に、第1のIABノードは遅延等の要求を満たした通信が可能であるが、第2のIABノードにおいては要求を満たした通信ができない場合がありうる。また、IABノードが、下流側に接続されているIABノードを考慮すると、ハンドオーバの自由度が大きく制限されてしまいうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、IABによる中継伝送を行う無線通信システムにおける柔軟かつ効果的なハンドオーバを可能とする技術を提供する。
【0007】
本発明の一態様による中継装置は、制御装置から直列的に複数の中継局が無線接続されて通信経路が形成される無線通信システムにおける、前記複数の中継局に含まれる中継装置であって、前記通信経路において前記中継装置から見て前記制御装置の側に接続されている装置から別の接続先の装置へハンドオーバを実行することを決定する決定手段と、ハンドオーバを実行すると決定した場合に、前記別の接続先の装置へハンドオーバすることの通知であって、当該別の接続先の装置の情報を含んだ通知を、前記通信経路において前記中継装置から見て前記制御装置の反対側に接続されている他の中継装置へ送信する送信手段と、前記他の中継装置が前記中継装置との接続を維持するか否かを判定する判定手段と、ハンドオーバを実行すると決定した場合に、前記判定の結果に対応するハンドオーバの処理を実行する実行手段と、を有する。
【0008】
本発明の一態様による別の中継装置は、制御装置から直列的に複数の中継局が無線接続されて通信経路が形成される無線通信システムにおける、前記複数の中継局に含まれる中継装置であって、前記通信経路において前記中継装置から見て前記制御装置の側に接続されている他の中継装置が現在接続中の装置から別の接続先の装置へハンドオーバすることの通知であって、当該別の接続先の装置の情報を含んだ前記通知を、当該他の中継装置から受信する受信手段と、前記通知に基づいて、前記他の中継装置との接続を維持するかを判定する判定手段と、前記他の中継装置との接続を維持しないと判定した場合に、前記他の中継装置を介さずに前記制御装置または他の制御装置の配下に接続するためのハンドオーバ処理を実行する実行手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、IABによる中継伝送を行う無線通信システムにおける柔軟かつ効果的なハンドオーバが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】無線通信システムの構成例を示す図である。
図2】IABノードのハードウェア構成例を示す図である。
図3】ハンドオーバを実行するIABノードの機能構成例を示す図である。
図4】下流側のIABノードの機能構成例を示す図である。
図5】無線通信システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
(システム構成)
図1に本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、3GPP規格で規定されているIAB(Integrated Access and Backhaul)を用いた無線中継伝送システムである。IABを用いた無線中継伝送システムは、IABドナー(IABドナーX~Z)と、IABノード(IABノードA~F)とを含む。IABドナーは、中継伝送の制御を行う制御装置としての機能(Central Unit、CU)及び基地局装置としての無線信号の送受信のための処理を行う機能(Distributed Unit、DU)を有する。一方、IABノードは、端末装置として動作する機能(Mobile Termination、MT)及びDUを有し、いずれかのIABドナーに、直接または他のIABノードを介して、MTによって無線接続する。そして、IABノードは、接続したIABドナーのCUによる制御の下で中継伝送を実行して、端末装置(User Equipment、UE)とIABドナーとの間の通信を中継するように動作する。
【0013】
図1の例では、IABドナーXに、IABノードAが直接無線接続している状態を示している。IABノードAは、IABドナーXのCUによる制御の下で、自身に直接接続するUEとIABドナーXとの間の通信を中継する。IABノードAは、IABドナーXの中継伝送を実行可能な状態において、IABノードEのMTとの接続をUEとの接続手順と同様の手順で確立し、IABノードEは、IABドナーXとの間で中継伝送に関する設定を実行することにより、中継伝送を伴う通信経路を確立する。同様に、IABノードEにはIABノードFが接続されて、中継伝送を伴う通信経路が確立される。このようにして、複数の中継局(IABノード)が直列的に無線接続されることによる通信経路が確立される。なお、これは一例であり、例えばIABノードFがIABノードAに直接接続され、IABドナーX-IABノードA-IABノードEという第1の通信経路とIABドナーX-IABノードA-IABノードFという第2の通信経路とが並列的に形成されてもよい。ただし、各通信経路に着目してみれば、IABドナーから末端のIABノードまでの間で、1つ以上の中継局が直列的に無線接続された通信経路が形成されていると言うことができる。
【0014】
なお、図1の例では、上述のような、IABドナーXの配下のIABノードA及びIABノードE~Fを含んだ通信経路に加え、IABドナーYとIABノードB~Cとによって形成される通信経路、及び、IABドナーZとIABノードDとによって形成される通信経路が示されている。
【0015】
IABノードは、上述のように端末装置としての機能であるMTを用いて、IABドナー又は他のIABノードのDUと接続することができる。IABのMTは、通常のUEと同様に、接続先のIABドナー/IABノードを切り替えるハンドオーバを実行することができる。上述のように、ハンドオーバには、従来のネットワーク側からの指示に応じて端末装置が接続先を切り替える第1の手法と、端末装置において所定の条件が満たされた場合に端末装置がネットワーク側からの指示メッセージを受け取ることなくハンドオーバを実行する第2の手法とが存在する。この第2の手法を「条件付きハンドオーバ(CHO)」と呼ぶ。
【0016】
CHOでは、ハンドオーバの対象となる端末装置が周囲の無線品質を測定して、基地局装置へ通知する。基地局装置は、通知された無線品質に基づいて、端末装置のハンドオーバ先の候補となる別の基地局装置を決定し、その別の基地局装置へその端末装置のハンドオーバを要求する。別の基地局装置は、端末装置と接続を確立する場合の設定を実際にハンドオーバが行われる前に実行し、設定情報を生成して端末装置が接続中の基地局装置へ送信する。そして、基地局装置は、その設定情報を受信すると、その設定情報とハンドオーバを実行するための所定の条件を端末装置へ通知する。ここで、設定情報は、例えば、ハンドオーバ先を指定可能とする物理セル識別子を含みうる。なお、所定の条件は、例えばハンドオーバ先の基地局装置ごとに異なっていてもよい。一例として、所定の条件は、例えば、端末装置において、隣接セルの無線品質が接続中のセルの無線品質より所定レベル以上良好となった場合や接続中のセルの無線品質が所定値以下となった場合に満たされたと判定されうる。端末装置は、通知された所定の条件が満たされたと判定した場合に、接続中の基地局装置からの指示メッセージを受信することなく、その基地局装置との接続を切断して、ハンドオーバに関して事前に設定情報が通知されている別の基地局装置との接続を確立する。その後、ハンドオーバ元の基地局装置は、端末装置との接続が確立されたハンドオーバ先の別の基地局装置からハンドオーバの成功の通知を受信し、ハンドオーバの候補として事前に設定が行われた別の基地局装置に対して、ハンドオーバのキャンセルを通知し、事前設定情報をクリアさせうる。以上の処理によれば、端末装置がハンドオーバ先の別の基地局装置と接続を確立した時点でその端末装置と別の基地局装置との間でハンドオーバ後の設定情報が保持されているため、直ちに通信を開始することができる。このため、ハンドオーバに関して発生する通信の断絶を防ぐことができる。
【0017】
本実施形態では、IABノードEが、IABノードAを介してIABドナーXに接続されている状態から、IABノードCを接続先としてIABドナーYの配下(IABドナーYの制御によって中継伝送を行う状態)にハンドオーバするものとする。この場合、そのIABノードEの配下のIABノードFは、IABノードEとの接続を維持して、IABノードEと共にIABドナーYの配下にハンドオーバすることが想定されうる。しかしながら、この例の場合、IABノードEがIABドナーまで到達するのに、ハンドオーバ前では2ホップが必要であるのに対し、ハンドオーバ後には3ホップが必要となる。IABノードEは、ハンドオーバ先として許容遅延の範囲内で通信が可能な接続先としてIABノードCを選択しうるが、IABノードFにおいてはIABノードEに接続したままでは許容遅延の範囲内での通信が可能でなくなってしまう場合がありうる。また、IABドナーYからIABノードCまでの通信経路において中継伝送に利用可能なリソース(周波数・時間リソースや演算リソース)の量が、IABノードEがハンドオーバ後に中継伝送に使用可能なリソースが減ることにより、IABノードFの通信に利用可能なリソースを確保できない場合がある。このような場合、IABノードFは、例えば別の接続先の装置へとハンドオーバすべきである。しかしながら、IABノードEがハンドオーバしてそのハンドオーバ後の回線で通信を試みてからIABノードFがハンドオーバすると、IABノードFが通信できない時間が長期化してしまいうる。
【0018】
本実施形態では、このような事情に鑑み、IABノードFのような、中継伝送を制御するIABドナーとの間に別のIABノードが存在するIABノードが、その別のIABノードがハンドオーバする場合に、必要に応じて柔軟にその別のIABノードを介さずにいずれかのIABノードへ接続するようにハンドオーバを実行可能とする技術を提供する。なお、本実施形態では、一例として、IABノードEがハンドオーバによってIABノードCに接続し、IABノードFが、そのハンドオーバにおいてIABノードEとの接続を維持せずに、IABノードDを接続先として、別のIABドナーZにハンドオーバする場合について説明する。ただし、これは一例に過ぎず、IABノードE及びFは、別の接続先の装置を介していずれかのIABドナーの配下にハンドオーバするようにしてもよい。また、ハンドオーバでは、直接接続先の装置が切り替えられれば足り、接続先のIABドナーは変更されなくてもよい。例えば、IABノードFは、IABノードEがハンドオーバによって接続先の装置をIABノードCへと変更した場合に、IABノードAへハンドオーバしてもよい。この場合、IABノードFを配下に有するIABドナーは、ハンドオーバの前後でIABドナーXから変化しない。また、IABノードEがハンドオーバによって接続先の装置をIABノードCへと変更した場合に、IABノードFもIABノードCを接続先としてハンドオーバしてもよい。この場合、IABノードE及びFが、IABノードCに対して並列的に接続されることとなる。また、IABノードFは、IABノードBに接続するようにしてもよい。また、IABノードEも、例えば接続先をIABノードAからIABドナーXに切り替えるなど、最終的な接続先のIABドナーが変更されない形態でハンドオーバを行うことができる。このように、IABノードE及びFは、ハンドオーバにより、様々な接続形態で別の装置に接続することができる。
【0019】
本実施形態では、IABノードE及びFは、条件付きハンドオーバ(CHO)を行うものとする。このために、IABノードE及びFは、CHOに先立ち、周囲の無線環境を測定して、その測定結果をIABドナーXへ通知する。そして、IABドナーXは、IABノードE及びFのそれぞれについてのハンドオーバ先の候補の装置(直接接続先の装置)を決定し、その候補の装置を配下に有するIABドナーへ、IABノードE及びFのハンドオーバを要求するメッセージを送信する。なお、IABドナーXは、例えば、IABノードEがCHOのためにハンドオーバの条件を満たすと判定した場合に、その下流側に接続されているIABノードFがその条件を満たさなくても、IABノードFについてもCHOに関するハンドオーバ要求を送信する。すなわち、1つのIABノードについてCHOのための準備を開始する際には、その下流側に接続されている他のIABノードについてもCHOのための準備を開始する。なお、IABノードE及びFのハンドオーバ時の接続先の候補の装置は相互に異なりうる。例えば、IABノードEは、接続先の候補の装置として、IABノードCとIABノードBを含み、IABノードFは、接続先の候補の装置として、IABノードAとIABノードCとIABノードDを含みうる。なお、ハンドオーバを要求するメッセージ(例えばHANDOVER REQUESTメッセージ)は、通常の端末装置のCHOの際に送信されるメッセージと同様であってもよいし、一例において、IABノードとしての中継をハンドオーバ後に実行するための設定に必要な情報を含んでもよい。
【0020】
IABノードE又はFについてのハンドオーバ先の候補の装置を配下に有するIABドナー(例えばIABドナーY及びZ)は、ハンドオーバを要求するメッセージを受信する。そして、そのIABドナーは、IABノードE及びFのうちの自身の配下にハンドオーバする可能性のあるノードについて、例えば、ハンドオーバを受け入れられるか否か、及び、ハンドオーバ後の通信パラメータを決定し、その決定の結果を示す情報をハンドオーバ元のIABドナーへ通知する。この通知は、例えば、ハンドオーバを要求するメッセージへの応答メッセージ(例えばHANDOVER REQUEST ACKNOWLEDGEメッセージ)によって行われうる。なお、ハンドオーバ先のIABドナーは、この時点において、IABノードE又はFの接続先のIABノードについて、そのIABノードから自身に到達するまでの中継回数(ホップ数)や伝送遅延、中継伝送に使用可能なリソースの量、中継伝送に使用する周波数や送信電力、中継伝送に用いられる中継装置の機能に関する情報(使用可能な周波数、最大送信電力、カバレッジ拡張機能の有無)、混雑度等を示す情報を通知しうる。なお、ハンドオーバ元のIABドナーが、例えば周期的に情報交換が行われる場合などで事前にこれらの情報を知っている場合には、この通知はなくてもよい。また、ハンドオーバ先のIABドナーは、IABノードE又はFが、ハンドオーバ後に配下のIABノードとして中継伝送を実行するためのパラメータをハンドオーバ元のIABドナーへ通知してもよい。
【0021】
そして、ハンドオーバ元のIABドナー(IABドナーX)は、IABノードE及びFのそれぞれに対して、接続先の候補のそれぞれに関するハンドオーバ後の通信パラメータ等の情報と、ハンドオーバ先に対応するハンドオーバ識別情報とを通知する。この通知は、例えば、無線リソース制御(RRC)メッセージ(例えばRRCReconfigurationメッセージ)によって行われうる。IABドナーXは、一例として、IABノードEに対して接続先の装置の候補の情報としてIABノードB及びCの情報を通知し、IABノードFに対して接続先の装置の候補の情報としてIABノードA、C及びDの情報を通知しうる。これにより、CHOのための事前準備が完了する。
【0022】
その後、IABノードEが、例えばIABノードCからの信号の無線品質がIABノードAからの信号の無線品質に所定のオフセットを加算した値を超えた場合など、CHOを実行する条件を満たしたものとする。この場合、IABノードEは、IABノードCに接続するために、IABノードAとの接続を切断し、IABノードCとのランダムアクセス手順を実行することとなる。ここで、本実施形態では、IABノードEがIABノードCへのCHOを実行することを決定した際に、IABノードEからIABノードFへ、IABノードEがIABノードCへハンドオーバすることの通知を行う。この通知は、例えば、RRCメッセージ(例えばRRCReconfigurationメッセージ)や、中継伝送の制御メッセージ(例えばBAP(Backhaul Adaptation Protocol) control PDU(Protocol Data Unit))を用いて行われる。IABノードFは、この通知に基づいて、IABノードEとの接続を維持するか否かを判定しうる。すなわち、IABノードFは、IABノードEとの接続を維持して、IABドナーY-IABノードB-IABノードC-IABノードE-IABノードFという通信経路を形成するか、IABノードEとの接続を維持せずに他のハンドオーバ先の候補に接続するかを判定する。
【0023】
例えば、IABノードFは、IABノードEとの接続を維持した場合の自身からIABドナーまでのホップ数を特定し、そのホップ数が所定数を超える場合に、IABノードEとの接続を維持しないことを決定しうる。また、IABノードFは、IABノードEとの接続を維持した場合の自身からIABドナーまでの遅延時間を推定し、その推定遅延時間が所定値を超える場合に、IABノードEとの接続を維持しないことを決定しうる。これらの場合、IABノードFは、例えばホップ数が所定数以下となる又は推定遅延時間が所定値以下となるような別の接続先の装置を選択して、その装置へのハンドオーバを実行することができる。これらによれば、IABノードFは、実際に通信を行った場合の遅延時間が所定の要求を満たせなくなるにも関わらず、IABノードEとの接続を維持してしまうことを防ぎ、その所定の要求を満たすことのできる接続先の装置へハンドオーバすることが可能となる。また、IABノードFは、IABノードEの接続先の装置からIABドナーまでの通信経路の混雑度が所定レベルを超える場合、IABノードEとの接続を維持しないことを決定しうる。この場合、IABノードFは、例えば混雑度が所定レベル以下となるような別の接続先の装置を選択して、その装置へのハンドオーバを実行することができる。これによれば、IABノードFが、IABノードEのハンドオーバにより通信経路の混雑によって満足な通信ができなくなることを防ぐことができる。また、IABノードFは、IABノードEの接続先の装置からIABドナーまでの通信経路に使用される周波数や送信電力、中継伝送に用いられる中継装置の機能に関する情報により、通信の安定性が確保出来ないと判断できる場合、IABノードEとの接続を維持しないことを決定しうる。この場合、IABノードFは、通信の安定度を確保するに足る周波数(たとえば6GHz以下の周波数)を通信経路に使用する別の接続先の装置を選択して、その装置へのハンドオーバを実行することができる。最大送信電力がより高い中継装置を中期経路に使用している、または、通信の安定度を高める機能(たとえば、カバレッジ拡張機能)を有する中継装置により中継伝送を実現する別の接続装置へのハンドオーバを実行することもできる。これによれば、IABノードFが、IABノードEのハンドオーバにより通信の安定性を欠くことを防ぐことができる。
【0024】
なお、IABノードEの接続先の候補の装置を示す情報と、その接続先の装置からその装置を配下に有するIABドナーまでのホップ数と、その接続先の装置からその装置を配下に有するIABドナーまでの遅延時間と、その接続先の装置とその装置を配下に有するIABドナーまでの通信経路の混雑度との少なくともいずれかなどの情報は、IABドナーからのCHOの設定のためのメッセージにおいて、IABノードEに通知される。同様に、IABノードFの接続先の候補の装置を示す情報と、その接続先の装置からその装置を配下に有するIABドナーまでのホップ数と、その接続先の装置からその装置を配下に有するIABドナーまでの遅延時間と、その接続先の装置とその装置を配下に有するIABドナーまでの通信経路の混雑度との少なくともいずれかなどの情報は、IABドナーからのCHOの設定のためのメッセージにおいて、IABノードFに通知される。そして、IABノードEは、例えば、ハンドオーバを行うことを決定した場合に、そのハンドオーバによって接続すべき装置を示す情報と共に、ホップ数、遅延時間、又は混雑度等の情報をIABノードFへ通知しうる。これにより、IABノードFは、自身がハンドオーバする候補の装置についてのホップ数、遅延時間、又は混雑度などの情報と、IABノードEがハンドオーバしようとする装置におけるそれらの情報とを比較することが可能となる。
【0025】
なお、IABノードFに対して、IABノードEの接続先の候補の装置を示す情報と、その接続先の装置からその装置を配下に有するIABドナーまでのホップ数と、その接続先の装置からその装置を配下に有するIABドナーまでの遅延時間と、その接続先の装置とその装置を配下に有するIABドナーまでの通信経路の混雑度との少なくともいずれかなどの情報が事前に通知されてもよい。すなわち、IABノードがハンドオーバの対象となる場合に、現在の通信経路においてそのIABノードの下流側に接続されている別のIABノードに対して、そのハンドオーバの対象のIABノードのハンドオーバ後の接続先の候補の装置を示す情報と、その装置に接続した場合のホップ数、遅延時間、又は混雑度などの情報が事前に通知されうる。そして、IABノードEは、ハンドオーバを実行すると決定した場合に、ハンドオーバ先として選択した接続先の装置を示す情報をIABノードFへ通知する。この場合、IABノードEの接続先の候補の装置のそれぞれについてのホップ数、遅延時間、又は混雑度などの情報をIABノードFが事前に取得できているため、IABノードEが選択した装置を示す情報のみを通知することにより、IABノードFが他の情報を特定することができる。なお、IABノードEの接続先の候補の装置のそれぞれについて、IABドナーによってハンドオーバ識別情報が設定されうる。このため、IABノードEは、IABノードFに対して、選択した接続先の装置に対応するハンドオーバ識別情報を通知しうる。なお、これは一例であり、選択した接続先の装置をIABノードEとIABノードFとの間で特定可能な任意の情報が使用されうる。
【0026】
また、IABノードFは、例えば、自身のCHOの情報として設定された接続先の候補の装置からの無線信号の品質が、IABノードEからの信号の無線信号の品質にオフセットを加算した値を上回る場合などに、IABノードEがハンドオーバしない場合であっても、IABノードEとの接続を切断して別の接続先の装置へハンドオーバしてもよい。このとき、IABノードFは、例えば、各接続先の候補の装置についてのホップ数、遅延時間、又は混雑度の情報等に基づいて、IABノードEからのハンドオーバを実行することを決定してもよい。これにより、IABノードFは、IABノードEの状況によらずに適切な接続先の装置が存在する場合に、その接続先の装置に接続することができる。
【0027】
なお、IABノードFは、例えば、IABノードEのハンドオーバによる接続先の装置を示す情報を受信した場合、自身のハンドオーバによる接続先の候補の装置からの信号の無線品質が所定値に達しないなど、ハンドオーバの条件が満たされない場合には、例えばホップ数や遅延時間、混雑度などの条件によらずにIABノードEとの接続を維持すると決定してもよい。すなわち、IABノードFは、IABノードEとの接続を切断した場合に通信状況が劣化する場合などにおいては、その他の条件によらずにIABノードEとの接続を維持すると決定してもよい。
【0028】
IABノードFは、例えば、IABノードEとの接続を維持するか否かを示す所定のメッセージを、IABノードEへ送信しうる。所定のメッセージは、例えば、RRCメッセージ(例えば、RRCReconfigurationCompleteメッセージ)でありうる。一例において、IABノードFは、自身がハンドオーバを実行する前に、この所定のメッセージをIABノードEへ送信しうる。また、IABノードFは、IABノードEからの切断処理の際にこの所定のメッセージをIABノードEへ送信してもよい。IABノードEは、この所定のメッセージに基づいて、IABノードFが自身との接続(自身を介する接続)を維持するか否かを判定しうる。なお、これは一例であり、例えば、IABノードEは、IABノードFがIABドナーXからの切断のための処理を実行したことを検知したか否かによって、IABノードFが接続を維持するか否かを判定してもよい。また、IABノードEは、IABノードFへハンドオーバの通知を送信してから所定期間の間に、IABノードFがIABノードEからの切断のための処理を実行しなかったことに応じて、IABノードFが接続を維持すると判定する。
【0029】
IABノードEは、IABノードFが接続を維持する場合には、IABノードFを含んだ中継伝送を伴う通信経路が確立されるようにハンドオーバを行う。一例において、IABノードEは、IABノードFが接続を維持する場合は、IABノードFをハンドオーバ後にIABノードEを配下に有することとなるIABドナーに接続させるための処理を実行する。また、IABノードEは、IABノードFまでの中継伝送による通信経路が確立されるべきことをハンドオーバ先のIABドナーへ通知することを含んだハンドオーバ処理を実行しうる。一方で、IABノードEは、IABノードFが接続を維持しない場合、IABノードEで終端する通信経路が確立されるべきことをハンドオーバ先のIABドナーへ通知することを含んだハンドオーバ処理を実行しうる。このように、IABノードEは、IABノードFが接続を維持するか否かの判定結果に対応するハンドオーバの処理を実行する。
【0030】
なお、上述の例では、ハンドオーバの対象となるIABノードEと、そのIABノードEに直接接続されているIABノードFとの関係におけるハンドオーバの処理について説明したが、これに限られない。すなわち、IABノードEの下流側に複数のIABノードが接続される場合、IABノードEに直接接続されないが、IABノードEより下流側に接続されるIABノードが、上述のIABノードFのように動作しうる。この場合、下流側の複数のIABノードのそれぞれに対して、IABノードEのハンドオーバによる接続先の装置の情報が通知され、その複数のIABノードのそれぞれが、IABノードEの配下での接続を維持するかを決定しうる。なお、例えば図1においてIABノードFの下流側にIABノードGが接続される場合、IABノードFには、IABノードEのハンドオーバによる接続先の装置の情報が通知されるが、IABノードGには、IABノードE及びFの両方についてのハンドオーバによる接続先の装置の情報が通知されうる。
【0031】
以上のようにして、IABノードが柔軟にハンドオーバを実行することができ、各IABノードが状況に適した接続先に接続して中継伝送を実行することができる。
【0032】
(装置の構成)
続いて、上述のようなIABノードのハードウェア構成例について図2を用いて説明する。IABノードは、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、装置が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、5Gの無線通信用の回路によって構成される。なお、図2では、1つの通信回路205が図示されているが、IABノードは、例えば、5G用の無線通信回路および有線通信用の有線通信回路などの、複数の通信回路を有しうる。なお、IABノードは、使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれについて別個の通信回路205を有してもよいし、それらの周波数帯域の少なくとも一部に対して共通の通信回路205を有してもよい。
【0033】
図3に、本実施形態に係る、ハンドオーバの対象となるIABノード(図1のIABノードE)の機能構成例を示す。ハンドオーバの対象となるIABノードは、その機能構成例として、例えば、ハンドオーバ情報取得部301、ハンドオーバ要否判定部302、ハンドオーバ先通知部303、接続維持判定部304、および、ハンドオーバ実行部305を有する。なお、図3は、ハンドオーバの対象となるIABノードが有する機能のうちの、本実施形態の説明に関連する部分のみを示しており、IABノードは、一般的なIABノードのMT及びDUとしての機能を当然に有する。また、IABノードは、図3に示した機能及びIABノードとしての汎用機能以外の機能を有してもよい。さらに、図3の機能構成例は、ハンドオーバの対象となるIABノードが有する機能であるが、IABノードは、後述のようにハンドオーバの対象となるIABノードの下流側に接続されたIABノードとしても機能しうる。このため、IABノードは、後述の図4の機能構成をも有しうる。なお、図3の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。図3の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各処理部は上述したようなバリエーションを取ることが可能であるが、ここではその一部のみを述べるにとどめ、網羅的な説明については省略する。
【0034】
ハンドオーバ情報取得部301は、自身のハンドオーバのための情報を取得する。この情報は、例えば、ハンドオーバ先の候補となる現在接続中の装置とは別の接続先の候補の装置の情報を含む。ここでは、接続先の候補の装置のそれぞれについて、CHOを実行するための情報として、接続先の候補の装置に対応するハンドオーバ識別情報、ハンドオーバが実行されるべき条件、及び、ハンドオーバ後に使用すべき通信パラメータが取得される。また、ハンドオーバ情報取得部301は、ハンドオーバに関連する処理のための情報をも取得しうる。例えば、ハンドオーバ後に、中継装置として動作するための設定情報などが取得されうる。
【0035】
ハンドオーバ要否判定部302は、例えばハンドオーバ情報取得部301によって取得されたハンドオーバの条件の情報に基づいて、接続先の候補の装置のいずれかにハンドオーバによって接続する処理を開始すべき条件が満たされたかを判定する。例えば、ハンドオーバ要否判定部302は、接続先の候補の装置から送信された信号の無線品質を測定し、その無線品質が、対応する接続先の候補の装置に関して定められているハンドオーバの条件を満たしているか否かを判定しうる。そして、ハンドオーバ要否判定部302は、ハンドオーバを実行すべき所定の条件が満たされたことに応じて、その所定の条件に関連付けられている接続先の候補の装置へ接続するためのハンドオーバ処理を実行すると決定する。
【0036】
ハンドオーバ先通知部303は、ハンドオーバ要否判定部302において接続先として決定した装置のことを示す情報を、現在形成している通信経路において自身より下流側に接続している別のIABノードへ通知する。なお、この通知は、例えば、IABノードが実際にハンドオーバを実行する前に行われうる。これによれば、IABノードは、下流側の別のIABノードが、この時点において設定されている情報を用いてCHOを実行してから、自身のためのハンドオーバ処理を実行することができる。IABノードが先にハンドオーバを実行してしまうと、場合によっては、下流側のIABノードのCHOの設定を使用することができなくなるため、このようにすることにより、効果的にハンドオーバを実行することが可能となる。
【0037】
接続維持判定部304は、下流側のIABノードが、自身との接続を維持するか否かを判定する。例えば、接続維持判定部304は、下流側の別のIABノードから、接続を維持するか否かを示す情報を含んだ所定のメッセージを受信することによって、この判定を実行しうる。また、接続維持判定部304は、例えば、ハンドオーバ先通知部303が接続先の情報を下流側の別のIABノードへ通知してから所定期間内に、その別のIABノードが、現在確立している接続を切断するための処理を開始したか否かに基づいて、接続が維持されるか否かを判定してもよい。
【0038】
ハンドオーバ実行部305は、接続維持判定部304の判定結果に対応する方法でハンドオーバのための処理を実行する。すなわち、接続が維持される場合には、ハンドオーバ後の接続先のIABドナーが、下流側のIABノードとも接続するようにするハンドオーバ処理を実行する。一方で、ハンドオーバ実行部305は、下流側のIABノードが接続を維持しないと判定された場合には、ハンドオーバ後の接続先のIABドナーの配下に、現在の通信経路における下流側のIABノードを接続させないようなハンドオーバを実行する。例えば、ハンドオーバ実行部305は、接続を維持しない下流側のIABノードが切断されてから、ハンドオーバ処理を開始しうる。また、ハンドオーバ実行部305は、例えば、ハンドオーバ処理の一環として、中継伝送のための設定処理を行う。ハンドオーバ実行部305は、下流のIABノードが接続を維持する場合には、ハンドオーバ先のIABドナーからその下流のIABノードまでの通信経路が設定されるように処理を行い、下流のIABノードが接続を維持しない場合には、自身で通信経路が終端するように中継伝送のための設定処理を行いうる。
【0039】
図4に、本実施形態に係る、ハンドオーバの対象となる他のIABノードの下流に接続されているIABノード(図1のIABノードF)の機能構成例を示す。このIABノードは、その機能構成例として、例えば、ハンドオーバ情報取得部401、ハンドオーバ先通知受信部402、接続維持要否判定部403、接続維持要否通知部404、および、ハンドオーバ実行部405を有する。なお、図4は、ハンドオーバの対象となる他のIABノードの下流に接続されているIABノードが有する機能のうちの、本実施形態の説明に関連する部分のみを示しており、IABノードは、一般的なIABノードのMT及びDUとしての機能を当然に有する。また、IABノードは、図4に示した機能及びIABノードとしての汎用機能以外の機能を有してもよい。さらに、IABノードは、上述のようにハンドオーバの対象となるIABノードとしても機能しうる。このため、IABノードは、上述の図3の機能構成をも有しうる。なお、図4の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。図4の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各処理部は上述したようなバリエーションを取ることが可能であるが、ここではその一部のみを述べるにとどめ、網羅的な説明については省略する。
【0040】
ハンドオーバ情報取得部401は、自身のハンドオーバのための情報を取得する。この情報は、例えば、ハンドオーバ先の候補となる現在接続中の装置とは別の接続先の候補の装置の情報を含む。ここでは、接続先の候補の装置のそれぞれについて、CHOを実行するための情報として、接続先の候補の装置に対応するハンドオーバ識別情報、ハンドオーバが実行されるべき条件、及び、ハンドオーバ後に使用すべき通信パラメータが取得される。また、ハンドオーバ情報取得部401は、ハンドオーバに関連する処理のための情報をも取得しうる。例えば、ハンドオーバ後に、中継装置として動作するための設定情報などが取得されうる。なお、ハンドオーバ情報取得部401は、例えば、接続先の候補の装置のそれぞれについて、その装置を配下に有するIABドナーとその装置との間のホップ数や通信遅延時間、又は、そのIABドナーとその装置との間の通信経路の混雑度の情報などを併せて取得しうる。
【0041】
ハンドオーバ先通知受信部402は、現在形成している通信経路における上流側のIABノードがハンドオーバすることを決定した場合に、その上流側のIABノードがハンドオーバによって接続を確立する装置の情報を示す通知を受信する。ハンドオーバ先通知受信部402は、例えば、上流側のIABノードの接続先の装置を示す情報と、その接続先の装置を配下に有するIABドナーとその装置との間のホップ数や通信遅延時間、又は、そのIABドナーとその装置との間の通信経路の混雑度の情報などを、その通知によって受信しうる。なお、ハンドオーバ先通知受信部402は、上流のIABノードのハンドオーバによる接続先の候補の装置の情報をハンドオーバが行われることが決定される前に取得しておきうる。この場合、ハンドオーバ先通知受信部402は、上流のIABノードがハンドオーバを行うことを決定した場合に、その接続先の候補の装置のうちのいずれを接続先の装置とするかを指定する情報のみを受信しうる。
【0042】
接続維持要否判定部403は、ハンドオーバ情報取得部401において取得された情報と、ハンドオーバ先通知受信部402において受信された情報とに基づいて、ハンドオーバの対象のIABノードとの接続を維持するか否かを判定する。例えば、通信遅延の要求や混雑度などの要件条件が接続を維持しても満たされるか否かによって、接続を維持するか否かが判定される。接続維持要否通知部404は、接続維持要否判定部403による判定の結果を、ハンドオーバの対象のIABノードへ通知する。ハンドオーバ実行部405は、上流のIABノードとの接続を維持しないと接続維持要否判定部403によって判定された場合に、ハンドオーバ情報取得部401において取得された情報を用いて、接続先の装置を切り替える。なお、ハンドオーバ処理部405によるハンドオーバを実行することによって、上流のIABノードとの接続を切断することによって、上流のIABノードに対して、接続を維持しないことを黙示的に通知することもできる。この場合は、接続維持要否通知部404は省略されてもよい。
【0043】
(処理の流れ)
続いて、図5を用いて、処理の流れの例について概説する。なお、各処理の詳細については上述の通りであるため、ここでは処理の概要のみを説明する。なお、本処理例では、図1のような構成において、IABノードEが、IABノードCを接続先の装置としてハンドオーバを実行し、IABノードFは、IABノードEとの接続を維持せずに、IABノードDを接続先の装置としてハンドオーバする場合の例について説明する。
【0044】
まず、IABノードEは、IABノードA(図5において不図示)を介して、IABドナーXと接続しているものとする。また、IABノードFはIABノードEに接続しているものとする。そして、IABノードFからIABドナーXまでの通信経路が形成され、その通信経路をかいして端末装置のための通信が中継される(S501)。この状態で、IABノードE及びFは、例えば周期的に又は所定の条件が満たされたことに応じて、例えばIABドナーXによって指定された、周囲の装置からの無線信号の品質を測定して、その測定結果をIABドナーXへ通知する。そして、IABドナーXは、その通知に基づいて、IABノードE及びFがCHOを実行可能な状態とするか否かを決定する(S502)。ここでは、IABドナーXは、IABノードEについてCHOの準備を開始すると決定したものとする。この場合、IABノードEの下流側のIABノードFが接続されているため、IABドナーXは、IABノードFについてもCHOの準備を開始する。
【0045】
ここで、IABドナーXは、IABノードEの接続先の候補の装置としてIABノードB及びCを選択し、IABノードFの接続先の候補の装置としてIABノードA、C、及びDを選択したものとする。この場合、IABドナーXは、IABノードB及びCを配下に有するIABドナーYに対して、IABノードEのCHOのための設定等を、HANDOVER REQUESTメッセージを用いて要求する(S503)。同様に、IABドナーXは、接続先の候補の装置を配下に有するIABドナーY及びZに対して、HANDOVER REQUESTメッセージを用いて、IABノードFのCHOのための設定等を要求する(S503)。IABドナーY及びZでは、それぞれ、CHOの設定・準備等の要求を受信した場合、そのCHOの対象となるIABノードE及びFについて、ハンドオーバを受け入れるか否かを判定し、受け入れる場合には、ハンドオーバ後に使用すべき通信パラメータなどの情報を生成する(S504)。なお、IABドナーY及びZは、自身の配下に、IABノードE又はFが接続可能な装置が複数存在する場合、それらの装置ごとに通信パラメータ等の情報を生成する。なお、接続先の候補の装置のそれぞれに対し、IABドナーXから指定された又はIABドナーY及びZによって決定されたハンドオーバ識別情報が関連付けられうる。そして、通信パラメータ等の設定情報とハンドオーバ識別情報とが関連付けられて、IABドナーXへ通知される(S505)。なお、この通知は、HANDOVER REQUEST ACKNOWLEDGEメッセージによって行われうる。この通知において、接続先の候補の装置ごとに、IABドナーまでのホップ数や通信遅延情報、対応する通信経路における混雑度などの情報が併せて送信されうる。また、中継通信のための設定情報も併せて生成され、IABドナーXへ通知されてもよい。
【0046】
IABドナーXは、通知された情報のうち、IABノードEの接続先の候補の装置に関する情報を、IABノードEへ送信する(S506)。この情報は、さらに、IABノードFへ通知されてもよい。また、IABドナーXは、通知された情報のうち、IABノードFの接続先の候補の装置に関する情報を、IABノードFへ送信する(S507)。ここで、S506およびS507で通知される情報は、接続先の候補の装置ごとに、IABドナーまでのホップ数や通信遅延情報、対応する通信経路における混雑度などの情報を含むものとする。その後、IABノードEは、S506で取得した情報においてIABノードCについて指定されるハンドオーバを実行すべき条件(例えばIABノードCからの信号の無線品質が、現在接続中のIABノードAからの信号の無線品質を大幅に上回るなどの条件)が満たされたことを検出したものとする(S508)。すると、IABノードEは、下流側のIABノードFに対して、IABノードCを接続先とするハンドオーバを実行することを通知する(S509)。なお、図5の例では、S506において、接続先の候補の装置におけるホップ数や通信遅延、混雑度などの接続を維持するか否かを判定するための情報がIABノードFへ通知されているため、S509では、接続先の装置(IABノードC)を特定する情報のみがIABノードFへ通知されれば足りる。一方で、S506において、接続先の候補の情報がIABノードFへ通知されない場合は、S509において、その情報が通知されるようにしうる。
【0047】
IABノードFは、S509の通知を受信すると、自身の接続先の候補の装置のそれぞれからの信号の受信品質や、それらの装置のそれぞれにおけるホップ数や通信遅延、混雑度などの情報に基づいて、IABノードEとの接続を維持するか否かを判定する(S510)。IABノードFは、IABノードE及びIABノードCを通じてIABドナーYの配下に接続することでホップ数や通信遅延、混雑度などの要求を満たせる場合や、自身の接続先の候補の装置のそれぞれからの信号の受信品質がいずれも不十分である場合などに、IABノードEとの接続を維持すると判定しうる。一方、IABノードFは、IABノードCを通じてIABドナーYの配下に接続すると、ホップ数や通信遅延、混雑度などの要求を満たせなくなる場合や、自身の接続先の候補の装置のいずれかからの信号の受信品質が非常に良好である場合などに、IABノードEとの接続を維持せず、自身の接続先の候補の装置のうちの1つの装置に接続を切り替えることを決定しうる。図5の例では、IABノードFは、IABノードDを接続先の装置としてハンドオーバを実行すると決定したものとする。
【0048】
IABノードFは、S510の判定の結果を、例えばRRCReconfigurationCompleteメッセージを用いてIABノードEへ通知する(S511)。これにより、IABノードEは、IABノードFが自身との接続を維持しないと決定したことを認識する。そして、IABノードFは、IABノードDとの間でランダムアクセス手順を実行し(S512)、IABノードEは、IABノードCとの間でランダムアクセス手順を実行する(S513)。なお、S512とS513との順序は逆であってもよいし、同時であってもよい。
【0049】
本実施形態では、このようにして、IABノードのハンドオーバが発生する場合に、そのIABノードの下流側に接続されている別のIABノードをハンドオーバ後にも無条件で接続先を変更しないようにするのではなく、その別のIABノードをさらなる別のIABノードに接続させることができるようにする。これによれば、上流側のIABノードのハンドオーバによって下流側のIABノードの通信が要求を満たすことのできないものとなる場合に、下流側のIABノードを、要求を満たすことのできる別の装置に迅速に接続させることができるようになる。これにより、中継伝送を伴う通信経路を、柔軟かつ効果的に形成して運用することが可能となる。
【0050】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5