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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172710
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】固体撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20221110BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 F
H01L27/06 102A
H01L27/088 B
H01L27/088 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078800
(22)【出願日】2021-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海老原 康裕
【テーマコード(参考)】
4M118
5F048
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA19
4M118CA03
4M118CA22
4M118DD04
4M118DD09
4M118FA27
4M118FA28
4M118FA33
4M118GA02
4M118GD03
4M118GD04
4M118HA25
4M118HA33
5F048AA05
5F048AB10
5F048AC10
5F048BA01
5F048BB09
5F048BB11
5F048BB12
5F048BB13
5F048BB19
5F048BD06
5F048BF02
5F048BF07
5F048BG13
5F048CB01
(57)【要約】
【課題】フィン型構造を採用するトランジスタの絶縁耐圧を向上させることができる固体撮像装置を提供する。
【解決手段】固体撮像装置は、第1半導体層と、トランジスタと、電界緩和部とを備えている。トランジスタは、第1半導体層の主面部に立設されたフィンと、チャネル長方向に沿ってフィンに配設された第1主電極、チャネル形成領域及び第2主電極と、チャネル幅方向に沿ってフィンを跨ぐようにフィンの上面及び側面を覆うゲート絶縁膜及びゲート電極と、を有する。電界緩和部は、フィンの側面の下部に配設され、電界集中を緩和する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体層と、
前記第1半導体層の主面部に立設されたフィンと、チャネル長方向に沿って前記フィンに配設された第1主電極、チャネル形成領域及び第2主電極と、チャネル幅方向に沿って前記フィンを跨ぐように前記フィンの上面及び側面を覆うゲート絶縁膜及びゲート電極と、を有するトランジスタと、
前記フィンの前記側面の下部に配設され、電界集中を緩和する電界緩和部と、
を備えている固体撮像装置。
【請求項2】
前記第1半導体層に積層された第2半導体層と、
前記第2半導体層の前記第1半導体層側とは反対の主面部に配設された光電変換素子を有し、前記トランジスタに接続された画素とを
更に備え、
前記トランジスタは、画素回路を構築する増幅トランジスタである
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記フィンは、前記第1半導体層の主面から厚さ方向に沿って掘り下げられた溝により形成され、
前記電界緩和部は、前記溝の底部に配設されている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記電界緩和部は、酸化珪素よりも高い誘電率を有する絶縁体を含む
請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記電界緩和部は、前記ゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成された前記絶縁体とを含む
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記絶縁体は、第1絶縁体と、前記第1絶縁体上に形成され、前記第1絶縁体よりも低い誘電率を有する第2絶縁体とを含む
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記絶縁体は、前記溝の底部から前記溝の開口へ向かって、徐々に小さくなる誘電率を有している
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記電界緩和部は、第1酸化珪素膜と、前記第1酸化珪素膜上に形成された前記絶縁体とを含む
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記電界緩和部は、前記絶縁体上に第2酸化珪素膜を更に含む
請求項8に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記絶縁体は、窒化珪素又は酸窒化アルミニウムである
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記電界緩和部は、前記ゲート絶縁膜を窒化した酸窒化珪素膜である
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記電界緩和部の前記絶縁体は、前記電界緩和部以外の領域に形成される前記絶縁体よりも厚く形成されている
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記ゲート電極は、金属により形成されている
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記ゲート電極は、抵抗値を小さくする不純物がドープされた多結晶珪素により形成され、
前記電界緩和部は、前記ゲート電極にドープされた前記不純物の密度を前記電界緩和部以外の領域よりも低くして形成されている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項15】
前記電界緩和部は、前記溝内の前記底部に向かって、徐々に前記不純物の密度を低く形成している
請求項14に記載の固体撮像装置。
【請求項16】
前記電界緩和部は、前記不純物がドープされていない前記ゲート電極により形成されている
請求項14に記載の固体撮像装置。
【請求項17】
前記電界緩和部は、前記フィンの高さの20%以下の範囲に形成されている
請求項14に記載の固体撮像装置。
【請求項18】
前記電界緩和部は、前記第1主電極及び前記第2主電極のうち、ドレイン領域として使用される一方側に配設されている
請求項1に記載の固体撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、撮像素子を積層した半導体装置が開示されている。撮像素子では、フォトダイオードにロジック回路を構築するトランジスタが接続されている。トランジスタは、フィン型構造を採用した増幅トランジスタ(Fin-FET)である。
トランジスタでは、ソース領域、チャネル形成領域及びドレイン領域を有し、基板に立設されたフィンが形成されている。ゲート絶縁膜及びゲート電極はフィンに沿ってチャネル幅方向に形成されている。
このような構造を採用するトランジスタによれば、フィンに沿ってチャネル幅寸法を稼ぐことができるので、電流経路の実効的な面積を増加させることができる。これにより、ノイズ特性を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-129374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記フィン型構造を採用するトランジスタでは、ゲート絶縁膜の絶縁耐圧を向上させることが望まれている。
【0005】
本開示は、フィン型構造を採用するトランジスタの絶縁耐圧を向上させることができる固体撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る固体撮像装置は、第1半導体層と、第1半導体層の主面部に立設されたフィンと、チャネル長方向に沿ってフィンに配設された第1主電極、チャネル形成領域及び第2主電極と、チャネル幅方向に沿ってフィンを跨ぐようにフィンの上面及び側面を覆うゲート絶縁膜及びゲート電極と、を有するトランジスタと、フィンの側面の下部に配設され、電界集中を緩和する電界緩和部とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本開示の第1実施の形態に係る固体撮像装置の画素及び画素回路を示す要部断面図である。
図1B図1Aに示される画素回路の要部平面図である。
図2図1Aに示される画素及び画素回路の回路図である。
図3】本開示の第2実施の形態に係る固体撮像装置の画素回路を示す、図1Aに対応する要部断面図である。
図4】本開示の第3実施の形態に係る固体撮像装置の画素回路を示す、図1Aに対応する要部断面図である。
図5】本開示の第4実施の形態に係る固体撮像装置の画素回路を示す、図1Aに対応する要部断面図である。
図6】本開示の第5実施の形態に係る固体撮像装置の画素回路を示す、図1Aに対応する要部断面図である。
図7】本開示の第6実施の形態に係る固体撮像装置の画素回路を示す、図1Aに対応する要部断面図である。
図8】本開示の第7実施の形態に係る固体撮像装置の画素回路を示す、図1Aに対応する要部断面図である。
図9】本開示の第8実施の形態に係る固体撮像装置の画素回路を示す、図1Aに対応する要部断面図である。
図10】本開示の第9実施の形態に係る固体撮像装置の画素回路を示す、図1Aに対応する要部断面図である。
図11】本開示の第10実施の形態に係る固体撮像装置の画素回路を示す、図1Aに対応する要部断面図である。
図12】本開示の第11実施の形態に係る固体撮像装置の画素回路を示す、図1Bに対応する要部断面図である。
図13】本開示の実施の形態に係る第1応用例であって、車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図14】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
図15】本開示の実施の形態に係る第2応用例であって、内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図16】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1実施の形態
第1実施の形態は、固体撮像装置に、本技術を適用した第1例を説明する。
2.第2実施の形態
第2実施の形態は、第1実施の形態に係る固体撮像装置において、電界緩和部の構成を変えた第2例を説明する。
3.第3実施の形態
第3実施の形態は、第1実施の形態に係る固体撮像装置において、電界緩和部の構成を変えた第3例を説明する。
4.第4実施の形態
第4実施の形態は、第1実施の形態に係る固体撮像装置において、電界緩和部の構成を変えた第4例を説明する。
5.第5実施の形態
第5実施の形態は、第1実施の形態に係る固体撮像装置において、電界緩和部の構成を変えた第5例を説明する。
6.第6実施の形態
第6実施の形態は、第1実施の形態に係る固体撮像装置において、電界緩和部の構成を変えた第6例を説明する。
7.第7実施の形態
第7実施の形態は、第1実施の形態に係る固体撮像装置において、電界緩和部の構成を変えた第7例を説明する。
8.第8実施の形態
第8実施の形態は、第1実施の形態に係る固体撮像装置において、電界緩和部の構成を変えた第8例を説明する。
9.第9実施の形態
第9実施の形態は、第1実施の形態に係る固体撮像装置において、電界緩和部の構成を変えた第9例を説明する。
10.第10実施の形態
第10実施の形態は、第1実施の形態に係る固体撮像装置において、電界緩和部の構成を変えた第10例を説明する。
11.第11実施の形態
第11実施の形態は、第1実施の形態に係る固体撮像装置において、電界緩和部の構成を変えた第11例を説明する。
12.移動体への応用例
移動体制御システムの一例である車両制御システムに本技術を適用した例を説明する。
13.内視鏡手術システムへの応用例
内視鏡手術システムに本技術を適用した例を説明する。
14.その他の実施の形態
【0009】
<1.第1実施の形態>
図1A図1B及び図2を用いて、本開示の第1実施の形態に係る固体撮像装置1を説明する。図1Aは、固体撮像装置1の要部断面図である。図1Bは、固体撮像装置1の要部平面図である。図2は、固体撮像装置1の回路構成を表す回路図である。
【0010】
ここで、図中、適宜、示される矢印X方向は、便宜的に平面上に載置された固体撮像装置1の1つの平面方向を示している。矢印Y方向は、矢印X方向に対して直交する他の1つの平面方向を示している。また、矢印Z方向は、矢印X方向及び矢印Y方向に対して直交する上方向を示している。つまり、矢印X方向、矢印Y方向、矢印Z方向は、丁度、三次元座標系のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に各々一致している。
なお、これらの各方向は、説明の理解を助けるために示されており、本技術の方向を限定するものではない。
【0011】
[固体撮像装置1の構成]
(1)固体撮像装置1の画素200及び画素回路100の回路構成
固体撮像装置1は、画素200及び画素回路100を備えている。図2は、固体撮像装置1を構築する画素200及び画素回路100の回路構成の一例を示している。
1つの画素200は、光電変換素子(フォトダイオード)201と、転送トランジスタ202との直列回路により構成されている。
【0012】
光電変換素子201のアノード端子は電源電位(基準電位)GNDに接続されている。光電変換素子201のカソード端子は転送トランジスタ202の一方の端子に接続されている。光電変換素子201は固体撮像装置1の外部から入射された光を電気信号に変換する。
転送トランジスタ202の他方の端子は画素回路100に接続されている。転送トランジスタ202の制御端子は水平信号線203に接続されている。
【0013】
画素回路100は、フローティングディフュージョン(FD)変換ゲイン切替えトランジスタ101と、リセットトランジスタ102と、増幅トランジスタ103と、選択トランジスタ104とを備えている。
転送トランジスタ202の他方の端子は、FD変換ゲイン切替えトランジスタ101の一方の端子及び増幅トランジスタ103の制御端子に接続されている。FD変換ゲイン切替えトランジスタ101の他方の端子はリセットトランジスタ102の一方の端子に接続されている。リセットトランジスタ102の他方の端子は電源電位VDDに接続されている。増幅トランジスタ103の一方の端子は選択トランジスタ104の一方の端子に接続されている。増幅トランジスタ103の他方の端子は電源電位VDDに接続されている。選択トランジスタ104の他方の端子は垂直信号線105に接続されている。
第1実施の形態に係る固体撮像装置1では、4つの画素200に対して1つの画素回路100が配設されている。
【0014】
詳細な回路構成の説明は省略するが、固体撮像装置1は、画素回路100の動作を制御する周辺回路を更に備えている。周辺回路は、例えば、入力部、タイミング制御部、行駆動部、列信号処理部、画像信号処理部及び出力部を含んで構築されている。
【0015】
(2)固体撮像装置1の縦断面構成
図1Aは、固体撮像装置1の画素200及び画素回路100の一部の縦断面構成の一例を示している。
固体撮像装置1は、ここでは裏面照射型イメージセンサとして構成されている。矢印Y方向に見て(以下、単に「側面視において」という。)、固体撮像装置1は、第1基体10と、第2基体20と、図示省略の第3基体とを備えている。ここでは、第1基体10は第2基体20上に積層されている。図示省略の第3基体は第1基体10上に積層されている。つまり、第2基体20、第1基体10、第3基体のそれぞれが順次積層され、固体撮像装置1が構成されている。
【0016】
(3)第2基体20の構成
第2基体20は、第2半導体層21と、第2半導体層21の第1基体10側に配設された第2配線層22とを備えている。第2半導体層21は単結晶珪素(Si)により形成されている。
【0017】
第2半導体層21には画素200が構成されている。画素200の光電変換素子201は、詳細な構造を省略しているが、カソード領域としてのn型半導体領域とアノード領域としてのp型半導体領域とを備え、双方のpn接合により構成されている。
【0018】
光電変換素子201の光入射側には、図示が省略されているが、電荷固定膜及び絶縁膜を介在させて、受光レンズが配設されている。ここでは、矢印X方向及び矢印Y方向に隣接する合計4個の画素200に対して、1個の受光レンズが配設されている。なお、1個の画素200に対して、1個の受光レンズが配設されていてもよい。受光レンズは、光電変換素子201へ入射する光を集光する。
ここで、光入射側とは、第2半導体層21の第1基体10側とは反対側である。
【0019】
画素200の転送トランジスタ202は、同様に詳細な構造を省略しているが、第2半導体層21の第1基体10側の表面部に構成されている。転送トランジスタ202はnチャネル絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET)により構成されている。転送トランジスタ202は、ソース領域及びドレイン領域である一対の主電極(端子)と、チャネル形成領域と、ゲート絶縁膜と、ゲート電極(制御端子)とを備えている。
ここで、IGFETには、金属体/酸化膜/半導体型電界効果トランジスタ(MOSFET)及び金属体/絶縁体/半導体型電界効果トランジスタ(MISFET)が少なくとも含まれている。
【0020】
また、矢印X方向及び矢印Y方向に隣接する画素200と画素200との間には画素分離領域24が配設されている。画素分離領域24は、隣接する画素200同士を光学的、かつ、電気的に分離する。
【0021】
第2配線層22は、電極221と、貫通配線222と、絶縁層223とを備えている。電極221の一端は転送トランジスタ202に接続され、電極221の他端は貫通配線222の一端に接続されている。貫通配線222の他端は、絶縁層223、第1基体10の一部を厚さ方向(矢印Z方向)に延在し、接続構造は図示していないが、ここでは第1基体10の第1配線層12に接続されている。
電極221は、例えば、抵抗値を小さくする不純物として燐(P)がドープされた多結晶珪素(Si)により形成されている。貫通配線222は、例えばダングステン(W)により形成されている。
【0022】
絶縁層223は、電極221、貫通配線222のそれぞれを埋設して形成されている。絶縁層223は、実際には複数層の絶縁膜を積層して形成されている。絶縁層223は、酸化珪素膜(SiO)、窒化珪素膜(SiN)又は双方を組み合わせて形成されている。
【0023】
(4)第1基体10の第1半導体層11の構成
第1基体10は、第2基体20側に配設された第1半導体層11と、第1半導体層11の第1基体10側とは反対側に配設された第1配線層12とを備えている。第1半導体層11は単結晶珪素により形成されている。
第1半導体層11には画素回路100が構成されている。つまり、第1半導体層11には、FD変換ゲイン切替えトランジスタ101、リセットトランジスタ102、選択トランジスタ104及び増幅トランジスタ103が配設されている(図2参照)。
ここで、FD変換ゲイン切替えトランジスタ101、リセットトランジスタ102、選択トランジスタ104の基本的な構成要素は同一である。このため、簡略化して、図1Aの左側には、1つのトランジスタ(例えば、FD変換ゲイン切替えトランジスタ101)の断面構造のみが示されている。図1Aの右側には、増幅トランジスタ103の断面構造が示されている。
【0024】
FD変換ゲイン切替えトランジスタ101、リセットトランジスタ102及び選択トランジスタ104は、第1半導体層11の第2基体20側とは反対側の主面部に配設されている。ここで、主面部とは、トランジスタ、抵抗等の素子を形成する主要な表面部位という意味において使用されている。
【0025】
FD変換ゲイン切替えトランジスタ101は素子分離領域110に周囲を囲まれている。素子分離領域110は、第1半導体層11の主面MSから厚さ方向に沿って掘り下げられた溝110Aと、溝110A内に埋め込まれた埋設体110Cとを備えている。また、素子分離領域110は、第1半導体層11の厚さ方向に沿って貫通された貫通穴110Bと、貫通穴110B内に埋め込まれた埋設体110Cとを備えている。埋設体110Cは、ここでは酸化珪素、窒化珪素、又はそれらを組み合わせた複合膜により形成されている。
なお、埋設体110Cは、多結晶珪素の表面に絶縁膜を形成し、少なくとも表面部分に絶縁性を有する構成としてもよい。
【0026】
FD変換ゲイン切替えトランジスタ101は、チャネル形成領域111と、ゲート絶縁膜112と、ゲート電極113と、図示省略のソース領域及びドレイン領域として使用される一対の主電極(114)とを含んで構成されている。
【0027】
チャネル形成領域111は、第1半導体層11の主面部を用いて形成されている。詳細な構成並びに説明は省略するが、チャネル形成領域111には閾値電圧を調整する不純物が注入されている。
ゲート絶縁膜112は、チャネル形成領域111上にこのチャネル形成領域に沿って配設されている。ゲート絶縁膜112はここでは酸化珪素により形成されている。
ゲート電極113は、ゲート絶縁膜112上にこのゲート絶縁膜112に沿って形成されている。ゲート電極113は、抵抗値を小さく調整する不純物がドープされた多結晶珪素により形成されている。
図1AはFD変換ゲイン切替えトランジスタ101をチャネル幅方向Wcに沿って切断した断面構成を表している。このため、図示が省略されているが、一対の主電極は、チャネル形成領域111を中心として、チャネル長方向Lcに沿って離間されたn型半導体領域により形成されている。
ここで、チャネル幅方向Wcは矢印X方向に一致する方向である。また、チャネル長方向Lcは矢印Y方向に一致する方向である。
FD変換ゲイン切替えトランジスタ101は、nチャネルIGFETにより構成されている。
【0028】
リセットトランジスタ102及び選択トランジスタ104は、FD変換ゲイン切替えトランジスタ101と同様に、nチャネルIGFETにより構成されている。同一の構造であるので、リセットトランジスタ102及び選択トランジスタ104の構造の説明は省略する。
【0029】
(5)増幅トランジスタ103の構成
図1A及び図1Bに示されるように、増幅トランジスタ103は、素子分離領域110により周囲を囲まれた領域内において、第1半導体層11の主面部に配設されている。増幅トランジスタ103は、フィン115と、チャネル形成領域111と、ゲート絶縁膜112と、ゲート電極113と一対の主電極114とを含んで構成されている。すなわち、増幅トランジスタ103はフィン型構造を有するFin-FETである。増幅トランジスタ103は、本開示に係るフィン型構造を有するトランジスタである。
【0030】
フィン115は第1半導体層11の主面部に立設されている。詳しく説明すると、フィン115は、第1半導体層11の主面部に形成された、素子分離領域110の溝110Aに周囲を取り囲まれている。第1半導体層11の主面MSから深さ方向に沿って掘り下げられた溝110Aにより、第1半導体層11の主面部にフィン115が形作られている。フィン115は、側面視において、矩形状又は台形状に形成されている。フィン115の矢印Z方向に沿った寸法は高さ寸法とされる。一方、フィン115は、矢印Z方向から見て(以下、単に「平面視において」という。)、チャネル幅方向Wcよりもチャネル長方向Lcが長い、矩形状に形成されている。
【0031】
チャネル形成領域111は、主に、フィン115のチャネル長方向Lcの中間部分に配設されている。詳しく説明すると、チャネル形成領域111は、フィン115の上部、フィン115の側部及びフィン115の下部に配設されている。フィン115の上部には、FD変換ゲイン切替えトランジスタ101のチャネル形成領域111と同様、閾値電圧を調整する不純物が注入されている。フィン115の側部は素子分離領域110の溝110A内の側部に対応する領域である。ここでは、フィン115の側部には閾値電圧を調整する不純物が注入されていない。フィン115の下部は溝110A内の底部に対応する領域である。
【0032】
一対の主電極114の一方はフィン115のチャネル長方向Lcの一端部に配設されている。一対の主電極114の他方は、チャネル形成領域111を介在させて、フィン115のチャネル長方向Lcの他端部に配設されている。便宜的に、一対の主電極114のうち、ソース領域として使用される一方の主電極114は符号(S)を加えて示している。同様に、ドレイン領域として使用される他方の主電極114は符号(D)を加えて示している。一対の主電極114はそれぞれn型半導体領域により形成されている。
【0033】
ゲート絶縁膜112はチャネル形成領域111上に配設されている。つまり、ゲート絶縁膜112は、チャネル幅方向Wcに沿って、フィン115の一方の側部の下面上及び側面上、そしてフィン115の上面上、フィン115の他方の側部の側面上及び下面上に形成されている。第1実施の形態において、ゲート絶縁膜112は酸化珪素膜により形成されている。
【0034】
ゲート電極113はゲート絶縁膜112上に配設されている。ゲート絶縁膜112と同様に、ゲート電極113は、チャネル幅方向Wcに沿ってフィン115の下面上、側面上及び上面上に配設されている。ゲート電極113は、FD変換ゲイン切替えトランジスタ101等と同様に、抵抗値を小さく調整する不純物がドープされた多結晶珪素により形成されている。
【0035】
増幅トランジスタ103は、FD変換ゲイン切替えトランジスタ101等と同様に、nチャネルIGFETにより構成されている。
【0036】
(7)電界緩和部116の構成
上記フィン型構造を有する増幅トランジスタ103は、電界集中を緩和する電界緩和部116を備えている。詳しく説明すると、第1実施の形態において、電界緩和部116は、フィン115の側面の下部に配設されている。表現を代えると、電界緩和部116は、フィン115を構築する、素子分離領域110の溝110Aの底面に沿って配設されている。さらに詳細に説明すると、電界緩和部116は、溝110Aの底面と、溝110Aのチャネル形成領域111側の側面(フィン115の側面)との角部に少なくとも配設されている。
【0037】
第1実施の形態では、電界緩和部116は、増幅トランジスタ103のゲート絶縁膜112を利用し、ゲート絶縁膜112と絶縁体116Aとの積層膜により形成されている。
ゲート絶縁膜112は、前述の通り、酸化珪素膜により形成されている。ゲート絶縁膜112の厚さは、増幅トランジスタ103の最適な動作特性を得るため、例えば4nm以上8nm以下に形成されている。
絶縁体116Aは、酸化珪素よりも高い誘電率を有する絶縁膜(High-k膜)により形成されている。絶縁体116Aとしては、窒化珪素、酸窒化アルミニウム(AlON)、酸化ハフニウム(HfO2)、窒素添加ハフニウムシリケート(HfSiON)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ランタン(La2O3)及び酸化セシウム(CeO2)から選択される1つの高誘電体絶縁材料が使用されている。特に、窒化珪素又は酸窒化アルミニウムが使用される場合、固体撮像装置1の製造プロセスにおいて、950℃程度の高温度熱処理が使用可能である。絶縁体116Aの厚さは、増幅トランジスタ103に印加される動作電圧において、十分なゲート絶縁膜112の絶縁耐圧を確保するため、例えば1nm以上10nm以下に形成されている。第1実施の形態に係る固体撮像装置1では、絶縁体116Aの厚さは、ゲート絶縁膜112の厚さと同等の4nm以上8nm以下に形成されている。
【0038】
(8)第1基体10の第1配線層12の構成
図1Aに示されるように、第1配線層12は、図示省略の複数層の配線と、プラグ配線121と、絶縁層123とを備えている。
複数層の配線は、信号配線や電源配線として使用されている。配線は、例えばアルミニウム(Al)合金により形成されている。前述の第2基体20の第2配線層22を貫通する貫通配線222の他端は、例えば第1配線層12の配線に接続されている。
プラグ配線121は、絶縁層123を厚さ方向に貫通して形成されている。プラグ配線121は、例えば、貫通配線222と同様に、タングステンにより形成されている。
絶縁層123は、第2配線層22の絶縁層223と同様に、複数層の絶縁膜により形成されている。
【0039】
(9)第3基体の概略構成
詳細な構造並びに説明は省略するが、第3基体は、第1基体10の第2基体20側とは反対側に積層されている。第1基体10と同様に、第3基体は第3半導体層と第3配線層とを備えている。第3半導体層には周辺回路が搭載されている。周辺回路は相補型IGFETを含んで構成されている。
【0040】
[作用効果]
第1実施の形態に係る固体撮像装置1は、図1A及び図1Bに示されるように、第1半導体層11と、増幅トランジスタ103と、電界緩和部116とを備える。増幅トランジスタ103は、第1半導体層11の主面部に立設されたフィン115を有し、フィン型構造により構成される。電界緩和部116は、フィン115の側面の下部に少なくとも配設される。
ここで、増幅トランジスタ103のゲート電極113に動作電圧が印加されると、ゲート電極113と第1半導体層11との間に電位差が発生する。特に、フィン115の側面の下部は素子分離領域110の溝110A内の角部であり、この部位には電界集中が発生する。電界緩和部116は電界集中を緩和可能であるため、電界緩和部116によりゲート絶縁膜112の絶縁耐圧を向上させることができる。
実際に経時絶縁破壊(TDDB)試験を実施した結果、十分な絶縁耐圧が得られ、ゲート絶縁膜112の絶縁破壊を未然に防ぐことができた。
【0041】
また、固体撮像装置1では、図1A及び図2に示されるように、増幅トランジスタ103は画素200に接続された画素回路100を構成している。増幅トランジスタ103では、フィン型構造が採用されているので、ゲート幅方向Wcにゲート幅寸法を長くすることができる。このため、絶縁耐圧を向上させつつ、増幅トランジスタ103の相互コンダクタンス(gm)特性を改善することができる。加えてRTS(Random Telegraph Signal)ノイズ特性を改善することができる。
【0042】
また、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103では、フィン115の上部に閾値電圧を調整する不純物が注入され、フィン115の側部には不純物が注入されていない。このため、フィン115の側部においてチャネル形成領域111を移動するキャリア(ここでは電子)は、フィン115の上部においてチャネル形成領域111を移動するキャリアに対して、界面準位の影響を受け難くなる。これにより、絶縁耐圧を向上させつつ、増幅トランジスタ103の低周波ノイズ(1/fノイズ)を改善することができる。
【0043】
さらに、固体撮像装置1では、図1Aに示されるように、フィン115の側面の下部であって、素子分離領域110の溝110Aの底部に電界緩和部116が配設される。このため、電界緩和部116は、比較的簡易な構成であり、製造プロセスでも溝110Aの底部に簡易に形成可能である。
【0044】
また、固体撮像装置1では、図1Aに示されるように、電界緩和部116が高い誘電率を有する絶縁体116Aを含んで構成される。このため、増幅トランジスタ103のゲート電極113と第1半導体層11との間に生成されるゲート容量を増加させることができるので、ノイズ特性を向上させることができる。
【0045】
さらに、固体撮像装置1では、図1Aに示されるように、電界緩和部116は、増幅トランジスタ103のゲート絶縁膜112と絶縁体116Aとを含んで構成される。つまり、電界緩和部116は、ゲート絶縁膜112を利用し、ゲート絶縁膜112に絶縁体116Aを加えて実効的な厚さを増加している。このため、簡易な構成により絶縁耐圧を向上させることができる。
【0046】
また、固体撮像装置1では、図1Aに示されるように、電界緩和部116は、ゲート絶縁膜112を酸化珪素膜とし、酸化珪素膜と酸化珪素膜上に形成された絶縁体116Aとを含んで構成される。このため、電界緩和部116の実効的な厚さを増加しつつ、増幅トランジスタ103のゲート容量を増加させることができる。これにより、絶縁耐圧を向上させつつ、ノイズ特性を改善することができる。
【0047】
さらに、固体撮像装置1では、図1Aに示されるように、電界緩和部116の絶縁体116Aが、窒化珪素又は酸窒化アルミニウムにより形成される。これらの高誘電体材料は耐熱性を備えているので、高温熱処理が含まれる製造プロセスにおいて使用可能とされる。このため、高温熱処理が含まれる増幅トランジスタ103の製造工程において、電解緩和部116を簡易に形成することができる。
【0048】
<2.第2実施の形態>
本開示の第2実施の形態に係る固体撮像装置1を説明する。なお、第2実施の形態並びにそれ以降の実施の形態において、第1実施の形態に係る固体撮像装置1の構成要素と同一の構成要素、又は実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
図3は、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103の断面構成を表している。第2実施の形態に係る固体撮像装置1では、電界緩和部116は、フィン115の側面の下部に配設された第1絶縁体16B及び第2絶縁体16Cを含んで構成されている。電界緩和部116は、ゲート絶縁膜112も含んで構成されている。
【0050】
電界緩和部116の第1絶縁体116Bはゲート絶縁膜112上に配設されている。第1絶縁体116Bは、酸化珪素よりも高い誘電率を有する絶縁膜により形成されている。例えば、第1絶縁体116Bは、前述の例示した高誘電体絶縁材料の酸窒化アルミニウムにより形成されている。第1絶縁体116Bの厚さは、例えば2nm以上4nm以下に形成されている。
第2絶縁体116Cは、第1絶縁体116B上に配設されている。第2絶縁体116Cは、酸化珪素よりも高い誘電率を有し、第1絶縁体116Bによりも低い誘電率を有する絶縁膜により形成されている。例えば、第2絶縁体116Cは、前述の例示した高誘電体絶縁材料の窒化珪素により形成されている。第2絶縁体116Cの厚さは、例えば2nm以上4nm以下に形成されている。
【0051】
すなわち、電界緩和部116は、誘電率が異なる2種類の第1絶縁体116B及び第2絶縁体116Cを含んで構成されている。そして、高い誘電率を有する第1絶縁体116Bが第2絶縁体116Cよりも第1半導体層11側に配設されている。なお、電界緩和部116は、誘電率が異なる3種類以上の複数種類の絶縁体を含んで構成されてもよい。
【0052】
なお、上記以外の構成要素は、第1実施の形態に係る固体撮像装置1の構成要素と同一である。
【0053】
[作用効果]
第2実施の形態に係る固体撮像装置1では、第1実施の形態に係る固体撮像装置1により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
また、第2実施の形態に係る固体撮像装置1では、図3に示されるように、電界緩和部116は、第1絶縁体116B及び第2絶縁体116Cを含んで構成される。第1絶縁体116Bは、第2絶縁体116Cよりも高い誘電率を有し、第1半導体層11側に配設される。
このため、電界緩和部116は、第1絶縁体116B及び第2絶縁体116Cにより実効的な厚さを増加しつつ、増幅トランジスタ103のゲート容量を増加させることができる。これにより、絶縁耐圧を向上させつつ、ノイズ特性を改善することができる。
【0055】
<3.第3実施の形態>
本開示の第3実施の形態に係る固体撮像装置1を説明する。図4は、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103の断面構成を表している。
【0056】
第3実施の形態に係る固体撮像装置1では、電界緩和部116は、ゲート絶縁膜112と、ゲート絶縁膜112上に配設された第3絶縁体116Dとを含んで構成されている。第3絶縁体116Dは、フィン115の側面の下部から上部へ向かって、徐々に小さくなる誘電率を有している。表現を代えれば、第3絶縁体116Dの誘電率は、素子分離領域110の溝110Aの底部から溝110Aの開口側へ向かうほど徐々に小さくなっている。ここでいう徐々に誘電率が小さくなる、とは、連続的に誘電率が低下する状態のほか、段階的に誘電率が低下する状態をいう。
第3絶縁体116Dは、前述の例示した高誘電体絶縁材料により形成されている。第3絶縁体116Dの厚さは、第1実施の形態に係る固体撮像装置1の絶縁体116Aの厚さと同一に形成されている。第3絶縁体116Dの形成には、例えばコンビナトリアル(combinatorial)法が使用されている。
【0057】
[作用効果]
第3実施の形態に係る固体撮像装置1では、第2実施の形態に係る固体撮像装置1により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
<4.第4実施の形態>
本開示の第4実施の形態に係る固体撮像装置1を説明する。図5は、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103の断面構成を表している。
【0059】
第4実施の形態に係る固体撮像装置1は、第1実施の形態に係る固体撮像装置1の変形例であり、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103のゲート電極113を金属により形成している。金属材料としては、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)及びアルミニウムを使用することができる。
【0060】
[作用効果]
第4実施の形態に係る固体撮像装置1では、第1実施の形態に係る固体撮像装置1により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
また、第4実施の形態に係る固体撮像装置1では、図5に示されるように、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103のゲート電極113が金属により形成される。増幅トランジスタ103について経時絶縁破壊試験を実施すると、ゲート絶縁膜112の絶縁耐圧が十分に得られ、ゲート絶縁膜112の絶縁破壊を未然に防ぐことができる。このため、増幅トランジスタ103の絶縁耐圧をより向上させることができる。
【0062】
<5.第5実施の形態>
本開示の第5実施の形態に係る固体撮像装置1を説明する。図6は、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103の断面構成を表している。第5実施の形態に係る固体撮像装置1は、第1実施の形態に係る固体撮像装置1の変形例である。
【0063】
第5実施の形態に係る固体撮像装置1では、電界緩和部116は、ゲート絶縁膜112と、絶縁体116Aと、第4絶縁体116Eとを含んで構成されている。第1実施の形態に係る固体撮像装置1のゲート絶縁膜112と同様に、ゲート絶縁膜112は酸化珪素膜により形成されている。ゲート絶縁膜112の厚さは例えば5nmに形成されている。絶縁体116Aは高い誘電率を有する高誘電体絶縁材料により形成されている。絶縁体116Aの厚さは例えば6nmに形成されている。
そして、第4絶縁体116Eは、例えば酸化珪素膜により形成されている。第4絶縁体116Eの厚さは、ゲート絶縁膜112、絶縁体116Aのそれぞれの厚さよりも薄い、例えば1nmに形成されている。
【0064】
[作用効果]
第5実施の形態に係る固体撮像装置1では、第1実施の形態に係る固体撮像装置1により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
また、第5実施の形態に係る固体撮像装置1では、図6に示されるように、電界緩和部116は、ゲート絶縁膜112と、絶縁体116Aと、第4絶縁体116Eとを備える。つまり、電界緩和部116は酸化珪素/高誘電体絶縁材料/酸化珪素の積層構造となる。この積層構造により、増幅トランジスタ103のゲート電極113側にはバンドオフセットが形成される。このため、ゲート電極113と第1半導体層11との間のFN(Fowler-Nordheim)トンネル電流をブロックすることができ、絶縁耐圧を更に向上させることができる。
【0066】
<6.第6実施の形態>
本開示の第6実施の形態に係る固体撮像装置1を説明する。図7は、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103の断面構成を表している。第6実施の形態に係る固体撮像装置1は、第1実施の形態に係る固体撮像装置1の変形例である。
【0067】
第6実施の形態に係る固体撮像装置1では、電界緩和部116は第5絶縁体116Fを含んで構成されている。第5絶縁体116Fは、ゲート絶縁膜112の酸化珪素を窒化した酸窒化珪素(SiON)膜により形成されている。
詳しく説明すると、第5絶縁体116Fは、第1半導体層11側の一部の窒素濃度を低くして酸化珪素とし、ゲート電極113側の他部の窒素濃度を高くして酸窒化珪素としている。酸窒化珪素の誘電率は酸化珪素の誘電率よりも高い。第5絶縁体116Fの厚さは、例えば10nm以上14nm以下に形成されている。
【0068】
[作用効果]
第6実施の形態に係る固体撮像装置1では、第1実施の形態に係る固体撮像装置1により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0069】
<7.第7実施の形態>
本開示の第7実施の形態に係る固体撮像装置1を説明する。図8は、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103の断面構成を表している。第7実施の形態に係る固体撮像装置1は、第1実施の形態に係る固体撮像装置1の変形例である。
【0070】
第7実施の形態に係る固体撮像装置1では、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103のゲート絶縁膜112が、前述の高誘電体絶縁材料である絶縁体116Aにより形成されている。
そして、電界緩和部116は、フィン115の側面の少なくとも下部に配設され、フィン115の上面や下部を除く側面の他の領域よりもゲート絶縁膜112を厚くして形成されている。ここでは、電界緩和部116は、素子分離領域110の溝110Aの底部において全域に配設されている。
【0071】
[作用効果]
第7実施の形態に係る固体撮像装置1では、第1実施の形態に係る固体撮像装置1により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0072】
<8.第8実施の形態>
本開示の第8実施の形態に係る固体撮像装置2を説明する。図9は、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103の断面構成を表している。第8実施の形態に係る固体撮像装置2は、第1実施の形態に係る固体撮像装置1の電界緩和部116の構成を変えた例を説明する。
【0073】
第8実施の形態に係る固体撮像装置2では、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103のゲート電極113が多結晶珪素により形成されている。多結晶珪素には抵抗値を小さく調整する不純物がドープされている。例えば、不純物には燐が使用され、不純物の密度は1×1020原子/cmに形成されている。
【0074】
そして、第1実施の形態に係る固体撮像装置1の電界緩和部116と同様に、第8実施の形態に係る固体撮像装置2は電界緩和部117を備えている。電界緩和部117は、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103のフィン115の側部の下部に配設されている。表現を代えれば、電界緩和部117は、素子分離領域110の溝110A内の底部に配設されている。
【0075】
電界緩和部117は、ゲート電極113の一部の多結晶珪素にドープされる不純物の密度を低く調整することにより形成されている。例えば、電界緩和部117では、不純物の密度が1×1017原子/cm以下に形成されている。
また、電界緩和部117は、フィン115の高さの20%以下の範囲に形成されている。詳しく説明すると、例えば、フィン115の高さが250nmに形成された場合、電界緩和部117の高さは20nm以下に形成されている。電界緩和部117内に空乏層が生成されると、増幅トランジスタ103の実行的なチャネル幅寸法が減少する。このため、電界緩和部117の高さは、空乏層の伸びと同等の寸法に設定されている。
電界緩和部117は、固体撮像装置2の製造プロセスにおいて、ゲート電極113に不純物をドープした後、例えばアニールの温度を低く設定して不純物を活性化させることにより形成される。このような製造プロセスを採用することにより、ゲート電極113の一部の不純物の密度を低く形成することができる。
【0076】
なお、上記以外の構成要素は、第1実施の形態に係る固体撮像装置1の構成要素と同一である。
【0077】
[作用効果]
第8実施の形態に係る固体撮像装置2は、図9に示されるように、第1半導体層11と、増幅トランジスタ103と、電界緩和部117とを備える。増幅トランジスタ103は、第1半導体層11の主面部に立設されたフィン115を有し、フィン型構造により構成される。電界緩和部117は、フィン115の側面の下部に少なくとも配設される。
ここで、増幅トランジスタ103のゲート電極113に動作電圧が印加されると、ゲート電極113と第1半導体層11との間に電位差が発生する。特に、フィン115の側面の下部は素子分離領域110の溝110A内の角部であり、この部位には電界集中が発生する。このとき、電界緩和部117は多結晶珪素の不純物の密度を低く形成しているので、電界緩和部117とゲート絶縁膜112との界面から電界緩和部117内に生成される空乏層を拡大することができる。このため、電界集中を緩和することができ、電界緩和部117によりゲート絶縁膜112の絶縁耐圧を向上させることができる。
実際に経時絶縁破壊試験を実施した結果、十分な絶縁耐圧が得られ、ゲート絶縁膜112の絶縁破壊を未然に防ぐことができた。
【0078】
また、固体撮像装置2では、増幅トランジスタ103はフィン型構造を有するので、第1実施の形態に係る固体撮像装置1の増幅トランジスタ103により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0079】
さらに、固体撮像装置2では、増幅トランジスタ103において、ゲート絶縁膜112の膜厚を薄く形成することができるので、ゲート容量を増加させることができる。このため、絶縁耐圧を向上させつつ、ノイズ特性を改善することができる。
【0080】
<9.第9実施の形態>
本開示の第9実施の形態に係る固体撮像装置2を説明する。図10は、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103の断面構成を表している。第9実施の形態に係る固体撮像装置1は、第8実施の形態に係る固体撮像装置2の変形例を説明する。
【0081】
第9実施の形態に係る固体撮像装置2は、電界緩和部118を備えている。電界緩和部118は、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103のフィン115の側面の上部から下部に向かって、ゲート電極113の多結晶珪素にドープされた不純物の密度を徐々に低く形成している。表現を代えれば、電界緩和部118は不純物の密度のグラデーションを備えている。
【0082】
なお、上記以外の構成要素は、第8実施の形態に係る固体撮像装置2の構成要素と同一である。
【0083】
[作用効果]
第9実施の形態に係る固体撮像装置2では、第8実施の形態に係る固体撮像装置2により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0084】
<10.第10実施の形態>
本開示の第10実施の形態に係る固体撮像装置2を説明する。図11は、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103の断面構成を表している。第10実施の形態に係る固体撮像装置1は、第8実施の形態に係る固体撮像装置2の変形例を説明する。
【0085】
第10実施の形態に係る固体撮像装置2は、電界緩和部119を備えている。フィン型構造を有する増幅トランジスタ103のゲート電極113は多結晶珪素により形成されている。多結晶珪素には抵抗値を小さく調整する不純物がドープされている。電界緩和部119はゲート電極113の一部の多結晶珪素を利用して形成され、この多結晶珪素には不純物がドープされていない。つまり、電界緩和部119はノンドープの多結晶珪素により形成されている。
【0086】
なお、上記以外の構成要素は、第8実施の形態に係る固体撮像装置2の構成要素と同一である。
【0087】
[作用効果]
第10実施の形態に係る固体撮像装置2では、第8実施の形態に係る固体撮像装置2により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0088】
<11.第11実施の形態>
本開示の第11実施の形態に係る固体撮像装置2を説明する。図12は、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103の平面構成を表している。第11実施の形態に係る固体撮像装置1は、第8実施の形態に係る固体撮像装置2の変形例を説明する。
【0089】
第11実施の形態に係る固体撮像装置2では、第8実施の形態に係る固体撮像装置2の電界緩和部117が、フィン型構造を有する増幅トランジスタ103のドレイン領域として使用される主電極114(D)側に配設されている。表現を代えれば、電界集中が発生し易い領域に電界緩和部117が配設されている。
【0090】
なお、上記以外の構成要素は、第8実施の形態に係る固体撮像装置2の構成要素と同一である。
また、第11実施の形態に係る固体撮像装置2は、第9実施の形態に係る固体撮像装置2の電界緩和部118若しくは第10実施の形態に係る固体撮像装置2の電界緩和部119を増幅トランジスタ103の主電極114(D)側に配設してもよい。
さらに、第11実施の形態に係る固体撮像装置2は、第1実施の形態から第7実施の形態に係る固体撮像装置1と組み合わせてもよい。
【0091】
[作用効果]
第11実施の形態に係る固体撮像装置2では、第8実施の形態に係る固体撮像装置2により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0092】
<12.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0093】
図13は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0094】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図13に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0095】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0096】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0097】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0098】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0099】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0100】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0101】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0102】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12030に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0103】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図13の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0104】
図14は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0105】
図14では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0106】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0107】
なお、図14には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0108】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0109】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0110】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0111】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0112】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、より簡易な構成の撮像部12031を実現できる。
【0113】
<13.内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0114】
図15は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0115】
図15では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0116】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0117】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0118】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0119】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0120】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0121】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0122】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0123】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0124】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0125】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0126】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0127】
図16は、図15に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0128】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0129】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0130】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0131】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0132】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0133】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0134】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0135】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0136】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0137】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0138】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0139】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0140】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0141】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0142】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0143】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0144】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、カメラヘッド11102の撮像部11402に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、構造の簡素化を実現しつつ、良好な術部画像を得ることができる。
【0145】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0146】
<14.その他の実施の形態>
本技術は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更可能である。
例えば、上記第1実施の形態から第11実施の形態に係る固体撮像装置のうち、2以上の実施の形態に係る固体撮像装置を組み合わせてもよい。
また、本技術は、3層の基体を積層した固体撮像装置に適用されているが、2層の基体若しくは4層以上の基体を積層した固体撮像装置にも適用可能である。
【0147】
本開示では、固体撮像装置は、第1半導体層と、トランジスタと、電界緩和部とを備える。トランジスタは、第1半導体層の主面部に立設されたフィンを有し、フィン型構造により構成される。電界緩和部は、フィンの側面の下部に少なくとも配設される。このため、電界緩和部によりフィンの側面の下部に発生する電界集中を緩和することができるので、トランジスタのゲート絶縁膜の絶縁耐圧を向上させることができる。
【0148】
<本技術の構成>
本技術は、以下の構成を備えている。以下の構成の本技術によれば、固体撮像装置の絶縁耐圧を向上させることができる。
(1)第1半導体層と、
前記第1半導体層の主面部に立設されたフィンと、チャネル長方向に沿って前記フィンに配設された第1主電極、チャネル形成領域及び第2主電極と、チャネル幅方向に沿って前記フィンを跨ぐように前記フィンの上面及び側面を覆うゲート絶縁膜及びゲート電極と、を有するトランジスタと、
前記フィンの前記側面の下部に配設され、電界集中を緩和する電界緩和部と、
を備えている固体撮像装置。
(2)前記第1半導体層に積層された第2半導体層と、
前記第2半導体層の前記第1半導体層側とは反対の主面部に配設された光電変換素子を有し、前記トランジスタに接続された画素とを更に備え、
前記トランジスタは、画素回路を構築する増幅トランジスタである
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)前記フィンは、前記第1半導体層の主面から厚さ方向に沿って掘り下げられた溝により形成され、
前記電界緩和部は、前記溝内の底部に配設されている
前記(1)又は(2)に記載の固体撮像装置。
(4)前記電界緩和部は、酸化珪素よりも高い誘電率を有する絶縁体を含む
前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(5)前記電界緩和部は、前記ゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成された前記絶縁体とを含む
前記(4)に記載の固体撮像装置。
(6)前記絶縁体は、第1絶縁体と、前記第1絶縁体上に形成され、前記第1絶縁体よりも低い誘電率を有する第2絶縁体とを含む
前記(4)に記載の固体撮像装置。
(7)前記絶縁体は、前記溝の底部から前記溝の開口へ向かって、徐々に小さくなる誘電率を有している
前記(4)に記載の固体撮像装置。
(8)前記電界緩和部は、第1酸化珪素膜と、前記第1酸化珪素膜上に形成された前記絶縁体とを含む
前記(4)に記載の固体撮像装置。
(9)前記電界緩和部は、前記絶縁体上に第2酸化珪素膜を更に含む
前記(8)に記載の固体撮像装置。
(10)前記絶縁体は、窒化珪素又は酸窒化アルミニウムである
前記(4)に記載の固体撮像装置。
(11)前記電界緩和部は、前記ゲート絶縁膜を窒化した酸窒化珪素膜である
前記(4)に記載の固体撮像装置。
(12)前記電界緩和部の前記絶縁体は、前記電界緩和部以外の領域に形成される前記絶縁体よりも厚く形成されている
前記(4)に記載の固体撮像装置。
(13)前記ゲート電極は、金属により形成されている
前記(4)に記載の固体撮像装置。
(14)前記ゲート電極は、抵抗値を小さくする不純物がドープされた多結晶珪素により形成され、
前記電界緩和部は、前記ゲート電極にドープされた前記不純物の密度を前記電界緩和部以外の領域よりも低くして形成されている
前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(15)前記電界緩和部は、前記溝内の前記底部に向かって、徐々に前記不純物の密度を低く形成している
前記(14)に記載の固体撮像装置。
(16)前記電界緩和部は、前記不純物がドープされていない前記ゲート電極により形成されている
前記(14)に記載の固体撮像装置。
(17)前記電界緩和部は、前記フィンの高さの20%以下の範囲に形成されている
前記(4)に記載の固体撮像装置。
(18)前記電界緩和部は、前記第1主電極及び前記第2主電極のうち、ドレイン領域として使用される一方側に配設されている
前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
【符号の説明】
【0149】
1、2…固体撮像装置、10…第1基体、100…画素回路、101…FD変換ゲイン切替えトランジスタ、102…リセットトランジスタ、103…増幅トランジスタ、104…選択トランジスタ、11…第1半導体層、110…素子分離領域、110A…溝、115…フィン、116~119…電界緩和部、116A…絶縁体、116B…第1絶縁体、116C…第2絶縁体、116D…第3絶縁体、116E…第4絶縁体、116F…第5絶縁体、111…チャネル形成領域、112…ゲート絶縁膜、113…ゲート電極、114…主電極、12…第1配線層、20…第2基体、200…画素、201…光電変換素子、202…転送トランジスタ、21…第2半導体層、22…第2配線層。
図1A
図1B
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