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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172729
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】コンテナハウス
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
E04B1/348 H
E04B1/348 D
E04B1/348 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078872
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】518356350
【氏名又は名称】株式会社パークホームズ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌弘
(57)【要約】
【課題】輸送性および外観デザインを両立できるコンテナハウスを提供する。
【解決手段】コンテナハウス10は、箱形のフレーム構造12を備える。フレーム構造12は、長手方向に延在する4本の桁14a,14bと、高さ方向に延在する4本の柱16と、各桁14a,14bの端部と各柱16の端部の間を接合する8個の角部材18a,18bと、幅方向に延在し、2本の桁14a,14b間を連結する複数の梁20a,20bと、を備える。各角部材18a,18bは、コンテナ輸送に使用されるコーナーキャスティングを着脱自在に取り付けるための取付部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱形のフレーム構造を備えるコンテナハウスであって、
前記フレーム構造は、
長手方向に延在する4本の桁と、
高さ方向に延在する4本の柱と、
各桁の端部と各柱の端部の間を接合する8個の角部材と、
幅方向に延在し、2本の桁間を連結する複数の梁と、を備え、
各角部材は、コンテナ輸送に使用されるコーナーキャスティングを着脱自在に取り付けるための取付部を有することを特徴とするコンテナハウス。
【請求項2】
前記フレーム構造は、2本の桁、2本の柱および4個の角部材により囲われる正面開口を有し、前記正面開口の平面視において、各角部材の外縁が円弧形状または隅切り形状を有することを特徴とする請求項1に記載のコンテナハウス。
【請求項3】
前記フレーム構造は、前記正面開口を遮る柱を備えないことを特徴とする請求項2に記載のコンテナハウス。
【請求項4】
前記正面開口の平面視において、各角部材の内縁から外縁までの幅は、隣接する桁の前記高さ方向の幅または隣接する柱の前記長手方向の幅と同じであることを特徴とする請求項2または3に記載のコンテナハウス。
【請求項5】
各桁は、前記長手方向に延在する一対のトラス弦材と、前記一対のトラス弦材の間に設けられる複数のトラス斜材と、前記一対のトラス弦材の間に接合され、前記一対のトラス弦材の端部から前記長手方向に突出して前記角部材に接合される接続部材とを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のコンテナハウス。
【請求項6】
各角部材の外周に沿って設けられ、前記取付部を被覆する外周カバーをさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のコンテナハウス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
住居や事務所、店舗などの建築物としてコンテナハウスが広く利用されている。コンテナハウスは、例えば、国際標準(ISO)規格で定められる海上輸送用コンテナと同等の寸法および強度を備える直方体形状を有し、海上輸送用コンテナと同じように扱って輸送できるよう構成される。コンテナハウスの8箇所の角には、コンテナの吊り上げや固定に利用するコーナーキャスティングが設けられる。海上輸送用コンテナと同規格のコーナーキャスティングを設けることで、コンテナ船、鉄道およびトラックといった一般的な輸送手段を用いてコンテナハウスを必要とする現場に容易に輸送できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-185375号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、リゾート地などの宿泊施設としてコンテナハウスが利用される場合があり、内装のみならず、外観デザインの優れたコンテナハウスが求められている。一方で、コンテナハウスを海上輸送用コンテナと同様に輸送するにはコーナーキャスティングが必要不可欠であり、8箇所の角にコーナーキャスティングがあることで外観のデザイン性が損なわれてしまう。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、輸送性と外観デザインを両立できるコンテナハウスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様のコンテナハウスは、箱形のフレーム構造を備える。フレーム構造は、長手方向に延在する4本の桁と、高さ方向に延在する4本の柱と、各桁の端部と各柱の端部の間を接合する8個の角部材と、幅方向に延在し、2本の桁間を連結する複数の梁と、を備える。各角部材は、コンテナ輸送に使用されるコーナーキャスティングを着脱自在に取り付けるための取付部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、輸送性と外観デザインを両立させたコンテナハウスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係るコンテナハウスのフレーム構造を示す外観斜視図である。
図2】正面から見たフレーム構造を示す平面図である。
図3】桁の構成を詳細に示す図である。
図4】柱の構成を詳細に示す図である。
図5】角部材の内部構成を詳細に示す側面図である。
図6】角部材の内部構成を詳細に示す斜視図である。
図7】輸送用アタッチメントの構成を示す斜視図である。
図8】輸送用アタッチメントを取り付けた角部材を示す側面図である。
図9】輸送用アタッチメントを取り付けた角部材を示す斜視図である。
図10】複数のコンテナハウスを組み合わせた建築物の一例を示す外観斜視図である。
図11】変形例に係るフレーム構造を示す側面図である。
図12】別の変形例に係るフレーム構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の寸法比と一致しない。
【0010】
図1は、実施の形態に係るコンテナハウス10のフレーム構造12を示す外観斜視図である。コンテナハウス10は、箱形のフレーム構造12を有する。コンテナハウス10は、フレーム構造12に取り付けられる床材や天井材、壁材、窓、扉などを備え、居住用の電気設備や水道設備といった内装設備をさらに備えるが、これらは図1にて省略されている。
【0011】
フレーム構造12は、海上輸送用コンテナと同等の寸法を備える。フレーム構造12の全長(x方向)は20フィートまたは40フィートであり、フレーム構造12の幅(y方向)は8フィートであり、フレーム構造12の高さ(z方向)は8フィート5インチである。図1は、フレーム構造12の全長が40フィートである場合を例示する。以下の説明において、x方向を長手方向、y方向を幅方向、z方向を高さ方向ともいう。
【0012】
フレーム構造12は、完全な直方体形状ではなく、8箇所の角部材18a,18bが丸みを帯びた形状となっている。また、図1のフレーム構造12にはコンテナ輸送に使用されるコーナーキャスティングが取り付けられておらず、コンテナハウス10の輸送時に8箇所の角部材18a,18bにコーナーキャスティングを一時的に取り付けできるように構成される。コンテナハウス10の輸送時にコーナーキャスティングを取り付けることで、一般的な海上輸送用コンテナと同じようにコンテナハウス10を輸送できる。一方、コンテナハウス10の設置時にコーナーキャスティングを取り外せるため、角部に丸みのある外観とすることができ、8箇所の直角な角があることで角張った印象を与える外観とは一線を画すことのできる優れた外観デザインを実現できる。
【0013】
フレーム構造12は、4本の桁14a,14b(総称して桁14ともいう)と、4本の柱16と、8個の角部材18a,18b(総称して角部材18ともいう)と、複数の梁20a,20b,20c(総称して梁20ともいう)とを備える。フレーム構造12を構成する各部材は鋼鉄製であり、溶接などによって互いに剛接合されている。桁14、柱16および梁20は、一般構造用の角形鋼管などで構成される。フレーム構造12は、建築基準法に基づく鉄骨ラーメン構造を備える。
【0014】
4本の桁14a,14bのそれぞれは、長手方向(x方向)に延在する。4本の桁14a,14bは、一対の下部桁14aおよび一対の上部桁14bを含む。一対の下部桁14aは、フレーム構造12の下部に幅方向(y方向)に間隔を空けて配置される。下部桁14aの両端には下部角部材18aが接合される。一対の下部桁14aの間には複数の下部梁20aが設けられる。複数の下部梁20aは、幅方向(y方向)に延在し、長手方向に間隔をあけて配置される。複数の下部梁20aの両端は、一対の下部桁14aに剛接合されている。一対の下部桁14aおよび複数の下部梁20aは、コンテナハウス10の床構造となる。
【0015】
一対の上部桁14bは、フレーム構造12の上部に幅方向(y方向)に間隔を空けて配置される。上部桁14bの両端には上部角部材18bが接合される。一対の上部桁14bの間には複数の上部梁20bが設けられる。複数の上部梁20bは、幅方向(y方向)に延在し、長手方向(x方向)に間隔をあけて配置される。複数の上部梁20bの両端は、一対の上部桁14bに剛接合されている。一対の上部桁14bおよび複数の上部梁20bは、コンテナハウス10の天井構造となる。
【0016】
4本の柱16のそれぞれは、高さ方向(z方向)に延在する。4本の柱16のそれぞれは、下部角部材18aと上部角部材18bの間に配置される。各柱16の下端には下部角部材18aが接合され、各柱16の上端には上部角部材18bが接合される。幅方向に対向する一対の柱16の間には複数の側部梁20cが配置される。複数の側部梁20cの両端は、一対の柱16に剛接合される。一対の柱16および複数の側部梁20cは、コンテナハウス10の壁構造となる。
【0017】
8個の角部材18a,18bは、各桁14a,14bの端部と各柱16の端部の間を接合する。8個の角部材18a,18bは、フレーム構造12の下部に配置される4個の下部角部材18aと、フレーム構造12の上部に配置される4個の上部角部材18bとを含む。各下部角部材18aは、下部桁14aの端部と柱16の下端の間を接合する。各上部角部材18bは、上部桁14bの端部と柱16の上端の間を接合する。
【0018】
図2は、正面(y方向)から見たフレーム構造12を示す平面図であり、フレーム構造12の正面開口22の形状を示す。正面開口22は、長手方向(x方向)に延びる間口の大きい開口であり、2本の桁14a,14b、2本の柱16および4個の角部材18a,18bにより囲われる。正面開口22には、正面開口22を遮るような梁や柱が配置されていない。その結果、正面開口22の全面をガラス張りにするようなデザインを採用することができ、外観のデザイン性を高めることができる。
【0019】
正面開口22の外縁は、帯状の枠24によって縁取られる。帯状の枠24は、桁14a,14b、柱16および角部材18a,18bの側面によって構成される。帯状の枠24は、幅が一定となるように構成される。つまり、桁14a,14bのz方向の幅w1は、柱16のx方向の幅w2と同じである。また、角部材18a,18bの側面はアーチ形状となっており、アーチの内縁から外縁までの幅w3は、桁14a,14bのz方向の幅w1および柱16のx方向の幅w2と同じである。均一な幅を有する帯状の枠24によって正面開口22を縁取ることにより、外観のデザイン性を高めることができる。
【0020】
図3(a)~(c)は、桁14の構成を詳細に示す図である。図3(a)は、桁14の外観を示し、図3(b)は、桁14の内部構成を示し、図3(c)は、A-A線の断面構造を示す。桁14は、外装板26と、接続部材28と、一対のトラス弦材30a,30bと、複数のトラス斜材32とを含む。図3(b)は、図3(a)の外装板26を取り除いた状態を示す。
【0021】
一対のトラス弦材30a,30bは、高さ方向(z方向)に間隔を空けて長手方向(x方向)に延在する角形鋼管である。複数のトラス斜材32は、一対のトラス弦材30a,30bの間に配置され、長手方向に対して斜めに延在する角形鋼管である。一対のトラス弦材30a,30bおよび複数のトラス斜材32は、溶接などにより剛接合され、ワーレントラス構造を形成する。桁14の内部をトラス構造とすることで、約40フィートの長さを有する桁14の剛性を高めることができる。特に、正面開口22に梁や柱が設けられない場合であっても、国際標準規格にて定められる強度を具備するフレーム構造12を実現できる。
【0022】
接続部材28は、一対のトラス弦材30a,30bの間に配置され、一対のトラス弦材30a,30bの端部から長手方向に突出する角形鋼管である。接続部材28は、角部材18と接合される部分であり、図1の状態では、角部材18の内部に配置されるために外部から接続部材28が見えない。接続部材28は、桁14の両端のそれぞれに設けられる。接続部材28は、溶接などにより一対のトラス弦材30a,30bに剛接合される。
【0023】
外装板26は、一対のトラス弦材30a,30bの外側に巻き付けられる鉄板である。外装板26は、溶接などにより一対のトラス弦材30a,30bに剛接合される。外装板26は、桁14の側面となる部分であり、桁14が1本の角形鋼管で構成される場合と同様の外観となるようにし、外観デザインを高める役割を持つ。
【0024】
図4は、柱16の構成を詳細に示す図である。図4(a)は、柱16の外観を示し、図4(b)は、柱16の内部構成を示し、図4(c)は、B-B線の断面構造を示す。柱16は、外装板34と、接続部材36と、一対の芯材38a,38bとを含む。図4(b)は、図4(a)の外装板34を取り除いた状態を示す。柱16は、桁14と同様の構造を有するが、トラス構造ではない点で桁14と異なる。
【0025】
一対の芯材38a,38bは、長手方向(x方向)に間隔を空けて高さ方向(z方向)に延在する角形鋼管である。接続部材36は、一対の芯材38a,38bの間に配置され、一対の芯材38a,38bの端部から長手方向に突出する角形鋼管である。接続部材36は、角部材18と接合される部分であり、図1の状態では、角部材18の内部に配置されるために外部から接続部材36が見えない。接続部材36は、柱16の上端および下端のそれぞれに設けられる。接続部材36は、溶接などにより一対の芯材38a,38bに剛接合される。
【0026】
外装板34は、一対の芯材38a,38bの外側に巻き付けられる鉄板である。外装板34は、溶接などにより一対の芯材38a,38bに剛接合される。外装板34は、柱16の側面となる部分であり、柱16が1本の角形鋼管で構成される場合と同様の外観となるようにし、外観デザインを高める役割を有する。
【0027】
図5は、角部材18の内部構成を詳細に示す側面図である。角部材18は、一対の側部接合板40と、内周板42と、外周カバー44と、梁接合板46と、柱接合板48と、取付部50とを含む。図5では、幅方向(y方向)に対向する一対の側部接合板40のうち、手前側の側部接合板40を取り外した状態を示している。
【0028】
側部接合板40は、角部材18の側面となる部分であり、アーチ状または扇状の鉄板である。側部接合板40は、桁14の端部と接して高さ方向に直線状に延びる第1辺40aと、柱16の端部と接して幅方向に直線状に延びる第2辺40bと、第1辺40aおよび第2辺40bの間を90度の円弧を描くように延びる内縁40cと、第1辺40aおよび第2辺40bの間を90度の円弧を描くように延びる外縁40dとを有する。第1辺40aの長さは、桁14の幅w1と同じである。第2辺40bの長さは、柱16の幅w2と同じである。内縁40cから外縁40dまでの幅w3、つまり、外縁40dの曲率半径から内縁40cの曲率半径を引いた値は、幅w1およびw2と同じである。
【0029】
内周板42は、一対の側部接合板40の内縁40cに沿って配置される鉄板であり、内縁40cの曲率半径と同じ曲率半径を有する曲面を有する。内周板42は、一対の側部接合板40の内縁40cに溶接などによって剛接合される。
【0030】
外周カバー44は、一対の側部接合板40の外縁40dに沿って配置される鉄板であり、外縁40dの曲率半径と同じ曲率半径を有する曲面を有する。外周カバー44は、コーナーキャスティングが取り付けられる取付部50を被覆する部材であり、着脱可能となるよう構成される。角部材18にコーナーキャスティングを取り付ける場合、外周カバー44が取り外される。
【0031】
梁接合板46は、桁14と取付部50の間に配置され、桁14および取付部50に溶接などにより剛接合される鉄板である。梁接合板46は、桁14の接続部材28の先端に接合されており、桁14の接続部材28の先端から柱16に向けてz方向に延びる。
【0032】
柱接合板48は、柱16と取付部50の間に配置され、桁14および取付部50に溶接などにより剛接合される鉄板である。柱接合板48は、柱16の接続部材36の先端に接合されており、柱16の接続部材36の先端から桁14に向けてx方向に延びる。
【0033】
取付部50は、梁接合板46と柱接合板48の間に配置され、梁接合板46および柱接合板48に剛接合される鋼鉄製のブロックである。取付部50は、コーナーキャスティングが取り付けされる部分であり、取り付け用のボルトが挿通される第1取付孔50aおよび第2取付孔50bを有する。第1取付孔50aは、z方向に延びるように設けられ、第2取付孔50bは、x方向に延びるように設けられる。取付部50は、取付部50の外側の角に設けられる切り欠き50cを有する。
【0034】
取付部50は、桁14のx方向に延びる中心線C1にセンター合わせされて配置されるのではなく、桁14の中心線C1よりも柱16に近づくようにz方向にオフセットされて配置される。取付部50は、柱16のz方向に延びる中心線C2にセンター合わせされて配置されるのではなく、柱16の中心線C2よりも桁14に近づくようにx方向にオフセットして配置される。取付部50は、桁14および柱16の中心線C1,C2の交点Pよりも内側の方向、つまり、内周板42に近づく方向にオフセットして配置されている。取付部50を内側にオフセットして配置することで、一対の側部接合板40の間に取付部50を収めることができる。また、取付部50の外側の角に切り欠き50cを設けることで、側部接合板40の外縁40dよりも外側に取付部50がはみ出さないようにできる。
【0035】
図6は、角部材18の内部構成を詳細に示す斜視図である。図6は、外周カバー44を取り除いた状態の角部材18を示す。梁接合板46、柱接合板48および取付部50は、幅方向に対向する一対の側部接合板40の間に配置され、一対の側部接合板40に溶接などにより剛接合される。同様に、桁14および柱16の接続部材28,36も一対の側部接合板40に溶接などにより剛接合される。
【0036】
図7は、輸送用アタッチメント60の構成を示す斜視図である。輸送用アタッチメント60は、コンテナハウス10の輸送時に角部材18に取り付けられる付属部品であり、一対のコーナーキャスティング62を含む。一対のコーナーキャスティング62の間には連結梁70が設けられる。一対のコーナーキャスティング62は、連結梁70の両端のそれぞれに溶接などにより剛接合される。連結梁70は、コンテナハウス10に取り付けた状態で幅方向(y方向)に延在する。輸送用アタッチメント60は、幅方向(y方向)に対向する一対の角部材18に取り付けられる。一つのコンテナハウス10につき、4本の輸送用アタッチメント60が用意され、4本の輸送用アタッチメント60が8箇所の角部材18に取り付けられる。
【0037】
コーナーキャスティング62は、直方体形状の鋼鉄製のブロックであり、その内部が空洞であり、空洞と連通する複数の係合孔64a,64b,64cを有する。コーナーキャスティング62は、国際標準(ISO)規格で定められた形状を有する。複数の係合孔64a,64b,64cは、コンテナの吊り上げや固定に利用する緊締装置と係合する。複数の係合孔64a,64b,64cは、例えば、コーナーキャスティング62の一つの角に隣接する3面のそれぞれに設けられる。
【0038】
コーナーキャスティング62には、取付部50に取り付けるための第1取付板66および第2取付板68が溶接などにより剛接合されている。第1取付板66は、コーナーキャスティング62からx方向に延在し、第1取付孔50aに取り付けられる第1ボルトを挿通するための第1挿通孔66aを有する。コーナーキャスティング62と第1取付板66の間のコーナーには三角形の第1補強板66bが溶接などにより剛接合されている。第2取付板68は、コーナーキャスティング62からz方向に延在し、第2取付孔50bに取り付けられる第2ボルトを挿通するための第2挿通孔68aを有する。コーナーキャスティング62と第2取付板68の間のコーナーには三角形の第2補強板68bが溶接などにより剛接合されている。
【0039】
図8は、輸送用アタッチメント60を取り付けた角部材18を示す側面図であり、 図9は、輸送用アタッチメント60を取り付けた角部材18を示す斜視図である。図8では、連結梁70の図示を省略している。図8に示されるように、第1取付板66および第2取付板68が取付部50と当接し、第1ボルト72aによって取付部50と第1取付板66の間が固定され、第2ボルト72bによって取付部50と第2取付板68の間が固定される。角部材18に取り付けられたコーナーキャスティング62は、桁14および柱16の中心線C1,C2の交点Pよりも外側に位置し、国際標準規格で定められるコーナーキャスティングの位置と同等の位置に配置される。したがって、コンテナハウス10に輸送用アタッチメント60を取り付けることで、コンテナハウス10を海上輸送用コンテナと同じようにクレーンで吊り上げ可能となり、コンテナ輸送用の緊締装置を用いて固定可能となる。
【0040】
コーナーキャスティング62は、第1ボルト72aおよび第2ボルト72bによって角部材18に着脱自在に取り付けられる。角部材18は、コーナーキャスティング62の有無によらず、桁14と柱16の間が接合された状態を維持する。つまり、角部材18からコーナーキャスティング62を取り外したとしても、桁14と柱16の間が接合された状態が維持され、フレーム構造12が分解してしまうことはない。
【0041】
つづいて、コンテナハウス10の使用方法について説明する。コンテナハウス10は、工場などで製造される。工場で製造されるコンテナハウス10は、フレーム構造12を備えるだけではなく、フレーム構造12に取り付けられる床材や天井材、壁材、窓、扉などを備えてもよく、居住用の電気設備や水道設備といった内装設備を備えてもよい。工場で製造されるコンテナハウス10は、4本の輸送用アタッチメント60を備える。コンテナハウス10は、輸送用アタッチメント60に設けられるコーナーキャスティング62を利用して、コンテナ船、鉄道およびトラックなどの輸送手段により、コンテナハウス10が設置される現場まで輸送される。
【0042】
コンテナハウス10が現場に設置された後、コンテナハウス10から4本の輸送用アタッチメント60が取り外され、8箇所の角部材18のそれぞれに外周カバー44が取り付けられる。これにより、図1に示されるフレーム構造12を備えるコンテナハウス10が現場に設置され、利用可能な状態となる。なお、コンテナハウス10を現場に設置した後、コンテナハウス10に対して追加の作業がなされてもよい。また、複数のコンテナハウス10を現場で組み合わせることにより、一つのコンテナハウス10よりも大きな建築物が構成されてもよい。
【0043】
図10は、複数のコンテナハウス10a,10bを組み合わせた建築物の一例を示す外観斜視図である。図10の例では、第1コンテナハウス10aおよび第2コンテナハウス10bを幅方向(y方向)に並べて設置している。第1コンテナハウス10aは、居住用であり、天井材80および壁材82を備え、正面開口に取り付けられる窓や扉(不図示)を備え、床材および内装設備(不図示)を備える。第2コンテナハウス10bは、半外型のテラスであり、床材84を備えるが、天井材や壁材を備えない。図10の例においても、コンテナハウス10a,10bの角部にはコーナーキャスティング62がなく、丸みを帯びた外観形状となっている。その結果、複数のコンテナハウス10a,10bを用いて外観デザインの優れた建築物を提供できる。
【0044】
以上、本発明を実施の形態にもとづいて説明した。本発明は上述の実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0045】
図11は、変形例に係るフレーム構造112を示す側面図である。本変形例では、角部材118の側部接合板140の内縁140cおよび外縁140dが円弧形状を有するのではなく、隅切り形状を有するように構成される。側部接合板140の内縁140cおよび外縁140dは、z方向に延びる直線と、x方向に延びる直線と、x方向およびz方向に対して45度となる斜めに延びる直線とにより構成される。内周板142は、内縁140cに対応した折れ曲がった平板により構成される。外周カバー144は、外縁140dに対応した折れ曲がった平板により構成される。本変形例によれば、正面開口122の外縁および帯状の枠124が八角形となるように構成することができ、外観のデザイン性を高めることができる。
【0046】
図12は、別の変形例に係るフレーム構造212を示す側面図である。本変形例では、桁14のz方向の幅w1と柱216のx方向の幅w2が同じではなく、柱216の幅w2が桁14の幅w1よりも小さい。本変形例の柱216は、外装板234と、一対の芯材238a,238bとを含む。一対の芯材238a,238bは、例えば、x方向に隣接して配置されており、一対の芯材238a,238bの間に接続部材が挟み込まれていない。柱216の接続部材236は、一対のうち片方の芯材238bの端部により構成され、片方の芯材238bの端部が角部材218の柱接合板48に剛接合される。
【0047】
角部材218の内縁240cから外縁240dまでの幅w3は、周方向の位置に応じて変化する。側部接合板240の第1辺240aの長さは桁14の幅w1と同じであり、第2辺240bの長さは柱216の幅w2と同じである。そのため、第2辺240bの長さは、第1辺240aの長さよりも小さい。角部材218の内縁240cから外縁240dまでの幅w3は、桁14から柱216に向けて徐々に小さくなるように変化する。図12の例では、内縁240cが楕円の一部となる円弧形状を有し、外縁240dが円の一部となる円弧形状を有する。本変形例においても、正面開口222の外縁を丸みを帯びた帯状の枠224によって縁取ることができ、外観のデザイン性を高めることができる。
【0048】
本実施の形態に係るコンテナハウス10は、トレーラーハウスの上部構造として使用されてもよい。例えば、コンテナハウス10の下部桁14aおよび下部梁20aにより構成される床構造に対し、走行用のタイヤおよび牽引車両の牽引部に連結するための連結部材を取り付けてもよい。例えば、参照により本書に援用される特開2020-059321に記載されるタイヤおよび連結部材を本実施の形態に係るコンテナハウス10に適用できる。
【符号の説明】
【0049】
10…コンテナハウス、12…フレーム構造、14…桁、14a…下部桁、14b…上部桁、16…柱、18…角部材、18a…下部角部材、18b…上部角部材、20…梁、20a…下部梁、20b…上部梁、20c…側部梁、22…正面開口、24…枠、28…接続部材、30…トラス弦材、32…トラス斜材、36…接続部材、44…外周カバー、50…取付部、60…輸送用アタッチメント、62…コーナーキャスティング。
図1
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図11
図12