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▶ アール・ビー・コントロールズ株式会社の特許一覧

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  • 特開-スイッチング電源装置 図1
  • 特開-スイッチング電源装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172736
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
H02M3/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078892
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】北川 厚
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA04
5H730BB43
5H730DD04
5H730EE07
5H730FD24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】変圧トランスを備え、変圧トランスの2次側回路の測定値から1次側コイルに印加される電圧を検知する電圧検知機能を備えたスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】スイッチング電源において、変圧トランス4の2次側コイル42に誘導される交番電力を、整流子5と逆方向に整流するダイオード61を介して極性反転回路6に入力し、この極性反転回路6から出力される電圧値及びび変圧トランス4の1次側コイル41と2次側コイル42との巻線比から1次側コイル41に印加される電圧値を求める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の商用電源から供給される交流電源を整流する1次側回路と、この1次側回路で生成された直流電力を変圧トランスの1次側コイルに断続的に印加することによってこの変圧トランスの2次側コイルに交番電力を誘導し、さらに、この2次側コイルに誘導された交番電力を整流する整流子を備えたスイッチング電源において、上記2次側コイルと上記整流子との間から分岐した交番電力を、上記整流子と逆方向に整流するダイオードを介して極性反転回路に入力し、この極性反転回路から出力される電圧値、および上記変圧トランスの1次側コイルと2次側コイルとの巻線比から1次側コイルに印加される電圧値を求めることを特徴とするスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧トランスを備え、変圧トランスの2次側回路の測定値から1次側コイルに印加される電圧を検知する電圧検知機能を備えたスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチング電源として、変圧トランスを挟んで、外部の商用電源から供給される交流電力を一旦整流して直流電力に変換し、その直流電力を変圧トランスの1次側コイルに断続的に流すことによって2次側コイルに交番電力を誘導するものが知られている。誘導された交番電力はさらに整流して直流電力に変換されて利用されるが、1次側コイルに印加される電圧が変動すると2次側に誘導される交番電力の電圧も連動して変動するため、1次側コイルに印加される電圧をモニタする場合がある。
【0003】
例えば、1次側回路で整流された直後の位置、具体的には平滑用コンデンサと1次側コイルとの間に電圧検知回路を設けて、この電圧検知回路で検知された電圧を制御部に取り込むように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-208365号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のスイッチング電源回路では、外部から供給される交流電力に例えばサージなどの外乱が重畳された場合に、1次側コイルに印加される電圧を1次側回路で検知しているので、その外乱の影響を受け、最悪の場合、上記特許文献1に示された制御部が破壊されるおそれがある。このような不具合を解消するためには、上記電圧検知回路の出力値を直接制御部に入力するのではなく、絶縁アンプなどを介して入力するように構成すればよい。ところが、この絶縁アンプは高価であるため、スイッチング電源装置のコストの高騰を招くという新たな不具合が生じる。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、上記絶縁アンプなどの別途の部品を新たに追加することなく、1次側回路に対して絶縁された状態で1次側コイルに印加される電圧を検知することのできるスイッチング電源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明によるスイッチング電源装置は、外部の商用電源から供給される交流電源を整流する1次側回路と、この1次側回路で生成された直流電力を変圧トランスの1次側コイルに断続的に印加することによってこの変圧トランスの2次側コイルに交番電力を誘導し、さらに、この2次側コイルに誘導された交番電力を整流する整流子を備えたスイッチング電源において、上記2次側コイルと上記整流子との間から分岐した交番電力を、上記整流子と逆方向に整流するダイオードを介して極性反転回路に入力し、この極性反転回路から出力される電圧値、および上記変圧トランスの1次側コイルと2次側コイルとの巻線比から1次側コイルに印加される電圧値を求めることを特徴とする。
【0008】
1次側コイルと2次側コイルとは電気的に連結されておらず絶縁されているので、2次側コイルの出力電圧から1次側コイルに印加される電圧を求めるように構成することにより、1次側回路に対して絶縁された状態で1次側コイルへの印加電圧を検知することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明は、絶縁アンプなどの別途の部品を用いることなく、1次側回路に対して絶縁された状態で1次側コイルに印加される電圧を検知するので、1次側回路に生じる外乱の影響の有無にかかわらず、1次側コイルへの印加電圧を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明によるスイッチング電源の一実施の形態の構成における変圧トランス周辺の回路構成を示す図
図2】2次側コイルに誘導される交番電力の電圧値の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照して、1は外部の商用電源であり、この商用電源1から供給される交流電力をダイオードブリッジ2で全波整流した後、平滑用コンデンサ21で直流電力に平滑化する。そして、図外の発振ICから出力されるパルス信号によってオン/オフする電界効果トランジスタ3によって、変圧トランス4の1次側コイル41に平滑化された直流電力が断続的に印加される。1次側コイル41には直流電力が印加されるごとに2次側コイル42に電力が誘導され、1次側コイル41への直流電力の印加が停止すると2次側コイル42に逆方向の電流が誘導される。従って、2次側コイル42には上記電界効果トランジスタ3のオン/オフサイクルに同期した交番電力が誘導されることになる。なお、本実施の形態では、1次側コイル41と2次側コイル42とが逆極性になるように構成されている。
【0012】
2次側コイル42に誘導された交番電力はダイオード5で整流された後、平滑用コンデンサ51で直流電力へ平滑されて、所定の電圧の直流電力として出力される。
【0013】
2次側コイル42に誘導される交番電力の電圧値を図2に示す。図において横方向の直線は0ボルト(GRD)を示す。この0ボルトラインより上側であるプラス側の電力はダイオード5を通って平滑用コンデンサ51に供給されるが、Aで示す電圧、すなわちダイオード5の順方向降下電圧(Vf)分はダイオード5を流れず残る。また、Bで示すマイナス側の電圧はダイオード5を通過しないので、交番電力の電圧値に相当する値になる。
【0014】
このBで示した電圧値は1次側コイル41に印加された電圧値に、1次側コイル41と2次側コイル42の巻線比を乗じた値になる。
【0015】
そこで、上記ダイオード5とは逆方向のダイオード61によってBに示す電圧値を極性反転回路6に取り込み、ここで、プラス/マイナスの極性を反転させた後、A/Dコンバータ7でデジタル信号に変換し、CPU8に取り込むようにした。CPU8では取り込んだ電圧値、すなわちBに示す電圧値と変圧トランス4の巻線比とから逆算して1次側コイル41に印加される電圧値を求めるようにした。
【0016】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0017】
1 商用電源
2 ダイオードブリッジ
3 電界効果トランジスタ
4 変圧トランス
5 ダイオード
図1
図2