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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172758
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】経糸糊付装置
(51)【国際特許分類】
   D06B 3/04 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
D06B3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078935
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】奥 純一
(72)【発明者】
【氏名】西出 孝之
(72)【発明者】
【氏名】向出 充希
(72)【発明者】
【氏名】島谷 孝志
【テーマコード(参考)】
3B154
【Fターム(参考)】
3B154AB01
3B154BA05
3B154BB38
3B154BB43
3B154BB47
3B154BC01
3B154BC03
3B154BC22
3B154BD04
3B154BE04
3B154DA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】糊付け槽内における糊液の状態が悪化するのを抑制することができる経糸糊付装置の提供。
【解決手段】糊付け槽3、糊液Sを回収する回収部40、サイジングロール11、サイジングロールに外接する第1及び第2のスクイズロール、サイジングロールと第1のスクイズロール13との外接位置の上方に形成された楔状領域に糊液溜まりを形成すべく糊液を供給する糊液供給装置を備え、糊付け槽が、槽内の糊液にサイジングロール及び/又は第2のスクイズロールを浸すことが可能であると共に、後側の端壁が前後方向に関し前記したサイジングロールと第1のスクイズロールとの外接位置より後側に位置するように設けられた経糸糊付装置であって、幅方向におけるサイジングロールと糊付け槽の両側壁7若しくは一方の側壁との間で、幅方向に関し側壁からの一部の範囲であって前後方向に関し糊液溜まりの存在範囲を含む範囲に少なくとも存在する受け部を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板、前後の端壁及び左右の側壁から成ると共に糊液が貯留される糊付け槽と、糊付けに用いられた糊液を回収する回収槽を含む回収部と、経糸シートが巻き掛けられるサイジングロールと、前記経糸シートの進行方向における上流側で前記サイジングロールに外接するように前記サイジングロールに対する後側に設けられる第1のスクイズロールと、前記進行方向における下流側で前記サイジングロールに外接するように前記サイジングロールに対する前側に設けられる第2のスクイズロールと、前記サイジングロールと前記第1のスクイズロールとの外接位置の上方に形成された楔状領域に糊液溜まりを形成すべく糊液を供給する糊液供給装置とを備えた経糸糊付装置であって、前記糊付け槽が、槽内の糊液に前記サイジングロール及び/又は前記第2のスクイズロールを浸すことが可能であると共に、後側の前記端壁が前後方向に関し前記外接位置より後側に位置するように設けられた経糸糊付装置において、
幅方向におけるサイジングロールと糊付け槽の両側壁若しくは一方の側壁との間で、前記幅方向に関し前記側壁からの一部の範囲であって前記前後方向に関し前記糊液溜まりの存在範囲を含む範囲に少なくとも存在する受け部を有する
ことを特徴とする経糸糊付装置。
【請求項2】
前記受け部は、前記糊付け槽及び前記回収部とは別部材で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の経糸糊付装置。
【請求項3】
前記受け部は、前記幅方向に関し前記糊付け槽の外側まで存在するように設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の経糸糊付装置。
【請求項4】
前記受け部は、前記糊液溜まりから溢流する溢流糊液を上方から下方へ向けて流す傾斜面と、前記溢流糊液の流れを前記糊付け槽の外側へ向ける誘導面と、前記傾斜面上を流れる前記溢流糊液が前記糊付け槽内へ流れ落ちるのを規制する規制面とを有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の経糸糊付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底板、前後の端壁及び左右の側壁から成ると共に糊液が貯留される糊付け槽と、糊付けに用いられた糊液を回収する回収槽を含む回収部と、経糸シートが巻き掛けられるサイジングロールと、経糸シートの進行方向における上流側でサイジングロールに外接するようにサイジングロールに対する後側に設けられる第1のスクイズロールと、進行方向における下流側でサイジングロールに外接するようにサイジングロールに対する前側に設けられる第2のスクイズロールと、サイジングロールと第1のスクイズロールとの外接位置の上方に形成された楔状領域に糊液溜まりを形成すべく糊液を供給する糊液供給装置とを備えた経糸糊付装置であって、糊付け槽が、槽内の糊液にサイジングロール及び/又は第2のスクイズロールを浸すことが可能であると共に、後側の端壁が前後方向に関し前記したサイジングロールと第1のスクイズロールとの外接位置より後側に位置するように設けられた経糸糊付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記のような経糸糊付装置として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。その特許文献1に開示された経糸糊付装置は、糊液が貯留される糊付け槽と、経糸シートが巻き掛けられると共に糊付け槽内の糊液に浸される第1のロール(サイジングロール)とを備えている。また、そのサイジングロールの前側及び後側には、サイジングロールに外接する第2、第3のロールがそれぞれ設けられている。さらに、その経糸糊付装置は、後側の第2のロールとサイジングロールとの外接位置の上方に形成された楔状領域に糊液溜まりを形成すべく糊液を供給する糊液供給装置を備えている。
【0003】
その上で、その第2、第3のロールは、それぞれサイジングロールに対し押接されるように設けられている。それにより、糊液供給装置によって供給される糊液内あるいは糊付け槽の糊液内を通過した経糸シートが、各ロールとサイジングロールとの間を通過することで、その経糸シートから余分な糊液が搾り出される。したがって、その第2、第3のロールは、所謂スクイズロールである。また、その経糸糊付装置は、糊付けに用いられた糊液を回収する回収部を備えている。そして、糊付けに用いられた糊液は、回収部に流れ落ちて回収される。なお、特許文献1の経糸糊付装置では、その回収部は、糊液が流れ落ちる回収路と、糊液を回収する回収槽とを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-96657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記のように経糸シートが糊液内を通過すると、その糊液には、経糸の毛羽や風綿、経糸に付着していた油分等の異物が混入する。そのため、一般的な経糸糊付装置は、その糊液に混入した異物を除去するために、糊付け槽内及び前記した楔状領域に新しい糊液を継続して供給して古い糊液を溢れさせることで、その古い糊液と共に異物を排出させるようになっている。
【0006】
その上で、糊付け槽から槽外へ溢流した糊液は、前記のように回収部に直接的に流れ落ちて回収される。また、前記した楔状領域に形成された糊液溜まりから溢れた糊液も、回収部によって回収される。但し、糊液溜まりから溢れた糊液は、全てが回収部に直接的に流れ落ちるとは限らず、一部が糊付け槽内にも流れ落ちてしまう場合がある。
【0007】
詳しくは、前記した楔状領域は、糊付け槽に浸されたサイジングロールとスクイズロールとの外接位置の上方に存在している。したがって、糊付け槽の側壁は、幅方向において、楔状領域(サイジングロール、スクイズロール)よりも外側に位置している。その上で、回収部は、平面視において糊付け槽を包含するような範囲に存在している。なお、糊液溜まりは糊付け槽よりも上方に位置しており、糊液は、糊液溜まりから激しく溢れて外側へ向けて流れ落ちるようになっている。しかし、その流れ落ちる糊液は、その全てが糊付け槽の外側まで達するとは限らず、また、外側にある経糸糊付装置の構成部分の壁等に当たって跳ね返る場合もあり、その一部が糊付け槽内にも流れ落ちてしまう場合がある。
【0008】
そして、糊液溜まりからの糊液が糊付け槽内に流れ落ちてしまうと、槽内の糊液には、経糸シートが直接浸されることで混入する異物だけで無く、その糊液溜まりから流れ落ちる糊液内の異物も混入することとなる。その結果として、糊付け槽内の糊液に混入する異物の量が多くなり、前記のように新しい糊液の供給による異物の排出が想定通りに行われない状態となる可能性がある。そして、想定通りに異物が排出されない状態が続くと、槽内の糊液の状態が悪化し、経糸シートへの糊付けに悪影響を及ぼす虞がある。
【0009】
そこで、本発明は、糊付け槽内における糊液の状態が悪化するのを抑制することができる経糸糊付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成すべく、本発明は、前述のような経糸糊付装置を前提とし、幅方向におけるサイジングロールと糊付け槽の両側壁若しくは一方の側壁との間で、幅方向に関し側壁からの一部の範囲であって前後方向に関し糊液溜まりの存在範囲を含む範囲に少なくとも存在する受け部を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明において、受け部は、糊付け槽及び回収部とは別部材で構成されるようにしても良い。さらに、受け部は、幅方向に関し糊付け槽の外側まで存在するように設けても良い。また、受け部は、糊液溜まりから溢流する溢流糊液を上方から下方へ向けて流す傾斜面と、溢流糊液の流れを糊付け槽の外側へ向ける誘導面と、傾斜面上を流れる溢流糊液が糊付け槽内へ流れ落ちるのを規制する規制面とを有するように構成されても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明による経糸糊付装置によれば、その経糸糊付装置は、幅方向において、前記した楔状領域と糊付け槽の側壁との間で、前記した範囲に少なくとも存在する受け部を有している。それにより、糊液溜まりから流れ落ちる糊液が受け部によって受けられるため、その流れ落ちる糊液が糊付け槽内に侵入し難くなる。したがって、糊付け槽内の糊液に混入する異物の量が従来と比較して少なくなり、槽内の糊液に混入した異物が想定通りに排出されないという問題が生じ難くなる。そして、その結果として、糊付け槽内の糊液の状態が悪化してしまうのが抑制される。
【0013】
また、その受け部を糊付け槽及び回収部とは別部材で構成するものとすれば、既設の経糸糊付装置に対してもその受け部を後付けするかたちで適用することが可能となる。さらに、受け部を幅方向に関し糊付け槽の外側まで存在するように設けるものとすれば、その受け部で受けられた糊液を糊付け槽の外側にまでより効果的に誘導することができる。
【0014】
また、前記したような傾斜面、誘導面、及び規制面を有するように受け部を構成するものとすれば、受け部で受けられた糊液が糊付け槽内に流れ落ちるのを有効に規制することができるため、より効果的に糊付け槽内における糊液の状態の悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る一実施形態における経糸糊付装置の側面概略図である。
図2】本発明に係る一実施形態における経糸糊付装置の平面図である。
図3図2の正面図である。
図4図2の側面図である。
図5】本発明に係る別の実施形態における経糸糊付装置の平面図である。
図6図5の正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下では、図1図4に基づき、本発明が適用された経糸糊付装置の一実施形態(実施例)について説明する。
【0017】
経糸糊付装置1は、糊液Sを貯留する糊付け槽3と、経糸シートTが巻き掛けられると共に糊液Sに浸されるサイジングロール11と、サイジングロール11に外接する第1のスクイズロール13及び第2のスクイズロール15とを備えている。また、経糸糊付装置1は、サイジングロール11と第1のスクイズロール13との外接位置に上方から糊液Sを供給する糊液供給装置20も備えている。その経糸糊付装置1の各構成要素について、詳しくは以下の通りである。
【0018】
糊付け槽3は、平面視において略矩形状を成しており、底面を成す底板4と、底板4における4つの端縁からそれぞれ立設する前後の端壁5、6及び左右の側壁7、7とで形成されている。なお、矩形状を成す前記底面の長辺方向が糊付け槽3の幅方向(両側壁7、7が対向する方向)となり、短辺方向が前後方向(端壁5、6が対向する方向)となっている。
【0019】
また、糊付け槽3における後側の端壁(後側端壁)6には、後述する糊液Sの供給源に接続された供給部30が設けられている。そして、その供給部30を介して糊付け槽3内に糊液Sが供給されることで、その槽内に糊液Sが貯留される。
【0020】
サイジングロール11は、経糸シートTが巻き掛けられるロールであり、その両端に取り付けられた支軸12、12により、経糸糊付装置1におけるフレーム(図示略)に対し回転可能に支持されている。なお、サイジングロール11は、平面視において糊付け槽3の存在範囲内に位置すると共に、その軸線方向が前記幅方向と一致するように設けられている。また、サイジングロール11は、上下方向に関しては、その下端が前側の端壁(前側端壁)5の上縁よりも下方に位置するように設けられている。それにより、サイジングロール11は、糊付け槽3内に糊液Sが貯留された状態では、その下部が糊液Sに浸った状態となる。
【0021】
なお、経糸糊付装置1は、サイジングロール11を回転駆動する駆動機構(図示略)を備えており、サイジングロール11は、経糸シートTの進行に合わせて積極的に回転駆動されるようになっている。そして、経糸シートTは、サイジングロール11に巻き掛けられるかたちで案内されており、その過程で糊液Sに浸されて糊液Sが含浸された状態となる。
【0022】
その上で、その含浸された糊付け槽3内の糊液Sを経糸シートTから搾るための第2のスクイズロール15が、サイジングロール11に対する前側に位置する配置で設けられている。そして、第2のスクイズロール15は、その軸線方向をサイジングロール11の軸線方向と一致させた向きで、その両端に取り付けられた支軸16、16によって前記フレームに対し回転可能に支持されている。なお、第2のスクイズロール15は、押圧機構(図示略)を介して前記フレームに対し支持されており、サイジングロール11に対し押圧された状態で外接するように設けられている。したがって、第2のスクイズロール15は、前記のようにサイジングロール11が回転駆動されるのに伴い、従動回転するようになっている。
【0023】
また、第2のスクイズロール15の上下方向における配置は、本実施例では、その軸心がサイジングロール11の軸心よりも若干上方に位置するものとなっている。したがって、前記したサイジングロール11に対する第2のスクイズロール15の外接位置は、サイジングロール11の外周面上において、上下方向に関し支軸12よりも僅かに上方の位置となっている。
【0024】
その上で、前記のようにサイジングロール11に巻き掛けられた経糸シートTは、前記のように外接するサイジングロール11と第2のスクイズロール15との間を通過した後、外部へ向けて引き出される。そして、そのようにサイジングロール11と第2のスクイズロール15との間を通過する際に、前記のように糊液Sが含浸された経糸シートTから余分な糊液Sが搾られる。
【0025】
さらに、サイジングロール11の上流側には、その上流側において経糸シートTに糊液Sを含浸させるために糊液Sを供給する供給ノズル24と、その供給ノズル24によって供給された糊液Sを搾るための第1のスクイズロール13とが設けられている。
【0026】
それらについて詳しくは、第1のスクイズロール13は、その軸線方向をサイジングロール11の軸線方向と一致させた向きで、その両端に取り付けられた支軸14、14によって前記フレームに対し回転可能に支持されている。なお、第1のスクイズロール13も、第2のスクイズロール15と同様に、前記押圧機構を介して前記フレームに対し回転可能に支持されている。したがって、第1のスクイズロール13も、サイジングロール11に対し押圧された状態で外接しており、サイジングロール11が回転駆動されるのに伴い、従動回転するようになっている。
【0027】
また、第1のスクイズロール13は、本実施例では、上下方向に関し、その軸心の位置が第2のスクイズロール15の軸心の位置と略一致するような位置に設けられている。すなわち、第1のスクイズロール13は、前記前後方向においてサイジングロール11に対し対称的に設けられている。したがって、サイジングロール11に対する第1のスクイズロール13の外接位置は、サイジングロール11の外周面上において、サイジングロール11に対する第2のスクイズロール15の外接位置と上下方向における略同じ位置となっている。また、サイジングロール11と第1のスクイズロール13との外接位置は、前記前後方向に関し、糊付け槽3の後側端壁6よりも若干前側に位置している。
【0028】
なお、そのようにサイジングロール11に対し第1のスクイズロール13が外接することで、サイジングロール11と第1のスクイズロール13との間に楔状の間隙である楔状領域17が形成された状態となる。そして、その楔状領域17の上方には、その楔状領域17に向けて糊液Sを供給する供給ノズル24が設けられている。
【0029】
その供給ノズル24は、前記幅方向におけるサイジングロール11の存在範囲内で、複数個が前記幅方向に所定の間隔を置いて並ぶように設けられている。そして、各供給ノズル24を介してその楔状領域17に上方から糊液Sが供給されることで、その楔状領域17において、糊液Sが溜められた糊液溜まり18が形成される。
【0030】
その上で、経糸シートTは、第1のスクイズロール13に巻き掛けられるかたちで案内され、前記のように外接するサイジングロール11と第1のスクイズロール13との間を通過した後、前記のようにサイジングロール11に巻き掛けられる。そして、そのように両ロール間に形成された糊液溜まり18を通過することで、経糸シートTに対し糊液Sが含浸された状態となる。そして、そのように糊液Sが含浸された経糸シートTがサイジングロール11と第1のスクイズロール13との間を通過する際に、経糸シートTから余分な糊液Sが搾られる。
【0031】
なお、各供給ノズル24は、前記のように楔状領域17に対し上方から糊液Sを供給するための糊液供給装置20の一部であり、経糸糊付装置1は、そのような糊液供給装置20を備えている。その糊液供給装置20は、前記した供給ノズル24に加え、その供給ノズル24に供給される糊液Sの供給源である供給槽22を備えている。そして、糊液供給装置20においては、その供給槽22と各供給ノズル24とが管路26によって接続されると共に、その管路26中にポンプPが設けられており、そのポンプPによって各供給ノズル24へ糊液Sを供給するようになっている。また、本実施例では、管路26が分岐されて供給部30にも接続されており、糊液供給装置20は、糊付け槽3へも糊液Sを供給するものとなっている。
【0032】
また、経糸糊付装置1においては、糊液Sが糊付け槽3に供給されることで、貯留された糊液Sが槽外へ溢流する。そこで、経糸糊付装置1は、その糊付け槽3の下方に、その溢流した糊液Sを受けて前記した供給槽22へ流すための回収箱40を備えている。
【0033】
その回収箱40は、糊付け槽3と同じく上方が開放された筐体状に形成されており、その前壁41及び後壁42の間隔が糊付け槽3の前記短辺方向(前記前後方向)の寸法よりも大きく、且つ、その左右の横壁43、43間の間隔が糊付け槽3の前記長辺方向(前記幅方向)の寸法よりも大きいものとなっている。また、各横壁43は、前記幅方向に見て、サイジングロール11及び第1のスクイズロール13と対向するような大きさとなっている。
【0034】
その上で、前記した楔状領域17における糊液溜まり18の糊液Sも、供給ノズル24からの糊液Sの供給によって、サイジングロール11及び第1のスクイズロール13の両側へ溢流するが、その溢流した糊液Sも、回収箱40によって受けられる。そして、経糸糊付装置1は、その回収箱40で受けられた糊液Sが前記した供給槽22へ流されて回収されるように構成されている。したがって、本実施例では、糊付けに用いられた糊液Sを回収するための供給槽22が本発明で言う回収槽に相当し、供給槽22及び回収箱40の組み合わせが本発明で言う回収部に相当する。
【0035】
以上のような経糸糊付装置1において、本発明では、糊付け槽内における糊液の状態の悪化を抑制することを目的として、経糸糊付装置が、前記幅方向におけるサイジングロールと糊付け槽の両側壁若しくは一方の側壁との間で、前記幅方向に関し側壁からの一部の範囲であって前記前後方向に関し糊液溜まりの存在範囲を含む範囲に少なくとも存在する受け部を有するように構成される。そして、本実施例の経糸糊付装置1は、糊付け槽3及び回収部(回収箱40)とは別部材で構成された受け部材50を有するように構成されており、その受け部材50が前記した受け部を有するようになっている。また、本実施例は、その受け部材50が前記幅方向におけるサイジングロール11の両側に設けられた例である。
【0036】
そのような本発明における経糸糊付装置1の一実施形態(本実施例)について、以下で詳しく説明する。但し、両受け部材50及び受け部材50周辺の各構成については、前記幅方向におけるサイジングロール11の両側で同じであるため、以下では、その一方の側についてのみ説明する。
【0037】
受け部材50は、糊液溜まり18から溢れた糊液Sを受けてその糊液Sを糊付け槽3の外側へと流す受け部としての誘導部材51と、誘導部材51を取り付けるための取付部材52とで構成されている。また、誘導部材51は、糊液溜まり18から溢れた糊液Sを受けて流す流動部51aと、流動部51a上を流れる糊液Sの流れを規制する規制部51bとから成っている。
【0038】
より詳しくは、誘導部材51について、流動部51aは、薄い板状であって、その板厚方向に見て、概ね矩形状を成すように形成されている。具体的には、流動部51aは、その端面の長辺方向における一端側の2つの角の一方に面取りが施された形状を成している。言い換えれば、流動部51aは、前記長辺方向において、前記面取りが施された部分(面取り部分)51a2と、面取り部分51a2を除く矩形状の部分(矩形部分)51a1とを含んでいる。因みに、流動部51aの矩形部分51a1は、前記長辺方向における面取り部分51a2側の部分をその板厚方向に若干屈曲させたかたちで形成されている。
【0039】
また、規制部51bは、流動部51aと同じ板厚の板状であって、流動部51aにおける前記長辺方向と平行な両端縁のうちの前記面取りが施された一方の端縁に連続するかたちで形成されている。但し、その規制部51bは、流動部51aにおける前記一方の端縁の存在範囲全体に亘って存在すると共に、流動部51aの端面に対して直交するように形成されている。したがって、規制部51bは、流動部51aの矩形部分51a1に連続する部分と、その部分に対して角度(前記面取りと同じ角度)を成すかたちで面取り部分51a2に連続するように形成された傾斜部分51b1とを含んでいる。
【0040】
また、取付部材52について、取付部材52は、板状の部材であり、その一端側に、取り付け用のネジ部材が挿通される貫通孔であって板厚方向に貫通するように形成された貫通孔を有している。なお、本実施例では、受け部材50(取付部材52)が取り付けられる部分は、回収箱40の横壁43となっている。そして、受け部材50においては、その取付部材52に対し、前記した誘導部材51が溶接等によって接合されている。
【0041】
その誘導部材51と取付部材52との接合について、誘導部材51と取付部材52とは、流動部51aの端面と取付部材52の端面とが直交するような状態で接合されている。さらに、その接合は、後述のように取付部材52が回収箱40の横壁43に取り付けられた状態(取り付け状態)で、誘導部材51の流動部51aの端面が上下方向に対し傾斜(後側から前側へ向けて下がるように傾斜)した状態となるようなかたちで行われている。なお、本実施例では、誘導部材51と取付部材52とは、誘導部材51における流動部51aの他方の端縁(前記一方の端縁とは反対側の端縁)と取付部材52における他端側の端縁とを一致させるかたちで接合されている。したがって、取付部材52におけるその他端側の端縁は、取付部材52の板厚方向に見て(図4)、前記取り付け状態において傾斜した状態となる流動部51aの端面に沿うようなかたちに形成されている。
【0042】
そして、そのように構成された受け部材50は、取付部材52の貫通孔に挿通されたネジ部材を回収箱40の横壁43に形成された雌ネジ孔に螺挿された状態とすることで、回収箱40の横壁43に取り付けられた状態とされる。なお、その受け部材50の取り付け位置について、上下方向に関しては、受け部材50は、前記のように傾斜して設けられる誘導部材51(流動部51a)の下端が糊付け槽3の側壁7の上縁よりも若干上方に位置するように取り付けられている。
【0043】
また、前記前後方向に関し、受け部材50は、前記取り付け状態では、誘導部材51の流動部51aがサイジングロール11を支持する支軸12及び第1のスクイズロール13を支持する支軸14の間に亘って存在するように設けられた状態となっている。言い換えれば、受け部材50における誘導部材51の流動部51aは、前記のように傾斜した状態において前記前後方向における両支軸12、14間に亘って存在し得るような前記長辺方向の寸法を有している。したがって、受け部材50は、前記前後方向に関しては、その流動部51aの存在範囲が糊液溜まり18の存在範囲を包含するようなかたちで設けられている。さらに、そのように受け部材50が設けられた状態において、受け部材50と糊液溜まり18とは、前記前後方向において、流動部51aの矩形部分51a1の存在範囲が糊液溜まり18の存在範囲を包含するような位置関係となっている。
【0044】
その上で、その流動部51aにおける矩形部分51a1の前記短辺方向の寸法は、前記幅方向において対向する回収箱40の横壁43と糊付け槽3の側壁7との間隔よりも大きく、且つ、回収箱40の横壁43とサイジングロール11(第1のスクイズロール13)との間隔よりも若干小さい大きさとなっている。したがって、前記取り付け状態における受け部材50は、前記前後方向における糊液溜まり18の存在範囲において、前記幅方向に関し、流動部51aの端面の一部分が糊付け槽3と重複するようなかたちで存在している。
【0045】
なお、その流動部51aは、前記のように前記長辺方向における一端側において前記面取りが施されていることから、面取り部分51a2において前記短辺方向における寸法が徐々に小さくなるような形状となっている。その上で、流動部51aにおける前記面取りは、受け部材50の前記取り付け状態において、前記幅方向に関し前記一方の端縁から糊付け槽3の側壁7よりも若干外側(回収箱40の横壁43側)となる位置まで流動部51aが切り欠かれるようなかたちで施されている。したがって、その流動部51aに連続する規制部51bにおいて、その面取り部分51a2に連続する傾斜部分51b1は、その先端部分が前記幅方向に関し糊付け槽3の外側に位置するように存在するかたちとなっている。
【0046】
以上のように構成された本実施例の経糸糊付装置1によれば、前記した楔状領域17における糊液溜まり18に供給ノズル24から糊液Sが供給されることによって糊液溜まり18内の糊液Sがサイジングロール11及び第1のスクイズロール13の両側へ溢流するが、前記のように受け部材50が設けられていることで、その受け部材50がその溢流した糊液Sを受けると共に前記幅方向における糊付け槽3の外側へ誘導するため、糊液溜まり18から溢流する糊液Sが糊付け槽3内に落ちる(糊付け槽3内の糊液に混入する)のが防がれる。また、糊液溜まり18から溢流する糊液Sには回収箱40の横壁43に当たって糊付け槽3側へ跳ね返るものもあるが、その糊液Sも受け部材50によって受けられるため、糊付け槽3内に落ちることが防がれる。
【0047】
その受け部材50の作用について、より詳しくは、受け部材50における誘導部材51の流動部51aは、前記のように前記前後方向における糊液溜まり18の存在範囲において、前記幅方向に関し流動部51aの端面の一部分が糊付け槽3と重複するようなかたちで存在している。したがって、上方から落ちる糊液Sは、その流動部51aによって受けられることとなる。また、その誘導部材51は、その流動部51aに加え、回収箱40の横壁43側を向く規制部51bをも有しているため、前記のように横壁43から跳ね返る糊液Sも、より有効に受けるようになっている。
【0048】
そして、誘導部材51が前記のように傾斜した状態で設けられていることから、その受けた糊液Sが流動部51aの端面に沿って下方へ流れるようになっている。なお、規制部51bは、その糊液Sが流れる流動部51aの端面に対して直交するかたちで形成されている。したがって、その流動部51a上を流れる糊液Sの糊付け槽3側への溢流がその規制部51bによって規制されるため、その流れる糊液Sが糊付け槽3内へ流入することが無い。
【0049】
その上で、誘導部材51における規制部51bは、前記長辺方向に関し流動部51aの下端側となる面取り部分51a2の位置において、その糊液Sが流れる方向に対して角度を成す傾斜部分51b1を有しており、その傾斜部分51b1の先端部分が前記幅方向に関し糊付け槽3の外側に位置するように構成されている。それにより、流動部51aを流れる糊液Sは、その傾斜部分51b1に当たることで糊付け槽3の外側(回収箱40)へと誘導されることとなる。したがって、その流動部51aで受けられた糊液Sは、そのように流動部51aの端面に沿って下方へ流されると共に、規制部51bに誘導されて回収箱40に流される。
【0050】
以上から、そのように構成された受け部材50においては、その流動部51aの端面が、糊液溜まり18からの糊液Sを上方から下方へ向けて流す傾斜面として機能している。また、誘導部材51における規制部51bの内側の端面が、傾斜面(流動部51aの端面)上を流れる糊液Sが糊付け槽3内へ流れ落ちるのを規制する規制面として機能している。さらに、誘導部材51における規制部51bにおいて、その傾斜部分51b1における内側の端面が、糊液Sの流れを糊付け槽3の外側へ向ける誘導面として機能している。
【0051】
このように、本実施例の経糸糊付装置1によれば、楔状領域17に形成された糊液溜まり18から溢流する糊液Sが、受け部材50で受けられると共に糊付け槽3の外側へと誘導されるため、その糊液Sに混入した経糸の毛羽や風綿等の異物が糊付け槽3内の糊液に混入するといったことが可及的に防止される。それにより、糊付け槽3の糊液Sに混入する異物の量が従来と比較して少なくなるため、糊付け槽3の糊液Sに混入した異物が想定通りに排出されないという問題が生じ難くなる。そして、その結果として、糊付け槽3の糊液の状態が悪化してしまうのが抑制される。
【0052】
さらに、本実施例の受け部材50のように、その受け部材50を糊付け槽3及び回収箱40とは別部材として構成するものとすれば、既設の経糸糊付装置に対しても受け部材50を後付けするかたちで適用することが可能となる。
【0053】
以上では、本発明が適用された経糸糊付装置の一実施形態(以下、「前記実施例」と言う。)について説明した。しかし、本発明は、前記実施例において説明した構成に限定されるものではなく、以下のような別の実施形態(変形例)での実施も可能である。
【0054】
(1)受け部について、前記実施例では、経糸糊付装置1が、回収箱40の横壁43に取り付けられる受け部材50を備えており、その受け部材50における誘導部材51が受け部として設けられている。しかし、本発明において、受け部は、前記幅方向に関し糊付け槽3の側壁4からの一部の範囲であって前記前後方向に関し糊液溜まり18の存在範囲を含む範囲に少なくとも存在するように設けられたものであれば良く、前記実施例の誘導部材51のようなかたちに構成されたものには限られない。
【0055】
例えば、受け部は、図5、6に示すようなかたちに構成された受け部材60であっても良い。具体的には、その受け部材60は、板状であると共にその端面が矩形状を成す板状部61を主体として構成されている。但し、その受け部材60は、その板状部61の長辺となる両側縁から立ち上がるように形成された側壁部62を有している。なお、その受け部材60における板状部61は、その短辺方向に関し、糊液溜まり18の存在範囲の前記前後方向における大きさよりも大きい寸法を有している。そして、その受け部材60は、板状部61の短辺方向を前記前後方向に一致させると共に、前記前後方向において板状部61の存在範囲が糊液溜まり18の存在範囲を包含するような位置に設けられている。因みに、その受け部材60は、図示しない取付部材等を介してそのような位置に設けられる。
【0056】
また、受け部材60は、板状部61の長辺方向におけるサイジングロール11側となる一端側の端縁が回収箱40の横壁43側(前記幅方向における外側)となる他端側の端縁よりも上方に位置するように、傾斜した状態で設けられている。その上で、受け部材60は、板状部61の長辺方向に関し、その設けられた状態における平面視において、板状部61が糊付け槽3の内側から外側までの範囲に亘って存在し得るような大きさを有している。
【0057】
そのように構成された受け部材60によれば、その板状部61において糊液溜まり18からの糊液Sが受けられると共に、その受けられた糊液Sがその板状部61の端面上を前記他端側の端縁に向けて流れ、糊付け槽3の外側に流れ落ちることとなる。なお、そのように板状部61の端面上を流れる糊液Sは、前記した側壁部62により、板状部61の前記側縁から糊付け槽3内へ流れ落ちるのが規制される。したがって、その受け部材60においては、板状部61の端面が、糊液溜まり18からの糊液Sを上方から下方へ向けて流す傾斜面、及び、糊液Sの流れを糊付け槽3の外側へ向ける誘導面として機能している。さらに、側壁部62における内側を向く面が、傾斜面(板状部61の端面)上を流れる糊液Sが糊付け槽3内へ流れ落ちるのを規制する規制面として機能している。
【0058】
なお、受け部としての前記実施例の受け部材50における誘導部材51や前記した受け部材60は、傾斜面上を流れる糊液Sが糊付け槽3内へ流れ落ちるのを規制するための規制面を有するように構成されている。しかし、本発明の受け部は、そのような規制面を有するものに限定されない。例えば、前記した受け部材60の板状部61を、前記前後方向に沿った方向の大きさが、板状部61で受けられた糊液Sが端面上を流れる過程で両前記側縁から流れ落ちないような大きさであるものとすれば、規制面を省略することが可能である。また、前記した受け部材60における板状部61と同じように設けられる板材を、その端面が両前記側縁間で円弧を成す円弧面であるように形成することでも、規制面を省略することが可能である。
【0059】
(2)さらに、受け部について、前記実施例では、受け部としての誘導部材51が回収箱40及び糊付け槽3とは別部材として構成され、その誘導部材51が取付部材52によって回収箱40の横壁43に取り付けられている。しかし、本発明において、そのように受け部が前記した別部材として構成される場合であっても、その取り付け位置は、回収箱40の横壁43に限られず、糊付け槽3の側壁7であっても良い。
【0060】
また、その受け部の取り付けについては、前記実施例では取付部材52を介して行われているが、それに代えて、溶接等により、回収箱40又は糊付け槽3に対し直接的に固定するかたちとしても良い。
【0061】
さらに、受け部は、前記のように回収箱40及び糊付け槽3とは別部材で構成されたものにも限定されず、例えば、糊付け槽3自体が受け部に相当する部分を有するように構成されても良い。具体的には、糊付け槽3を、側壁7と一体に形成された部分であって、その側壁7の上縁部分から糊付け槽3の内側且つ斜め上方へ向けて(サイジングロール11側へ向けて)突出する板状部を有するように構成されているものとする。また、その板状部は、前記前後方向において糊液溜まり18の存在範囲を包含するような範囲に亘って形成される。それにより、その板状部が、受け部として機能することとなる。なお、その場合、受け部は、前記幅方向に関し、糊付け槽3と重複する範囲のみに存在するかたちとなる。このように、本発明の受け部は、前記幅方向の存在範囲に関しては、前記実施例のような糊付け槽3の外側まで存在するものに限らず、糊付け槽3の側壁7からの一部の範囲に存在するものであれば良い。
【0062】
また、前記実施例の経糸糊付装置では、受け部としての誘導部材51が、前記幅方向におけるサイジングロール11の両側に設けられている。しかし、本発明による経糸糊付装置は、そのように受け部がサイジングロール11の両側に設けられるように構成されたものには限られず、受け部が前記幅方向におけるサイジングロール11の一方の側にのみ設けられるように構成されたものであっても良い。但し、その場合には、受け部が設けられない側となるサイジングロール11の他方の側から糊液溜まり18からの糊液Sが溢流しないように、その溢流を防止するための構成を採用するのが好ましい。例えば、経糸糊付装置を、前記幅方向に見て糊液溜まり18の存在範囲を包含するような大きさの蓋部材を備えるように構成されたものとし、その蓋部材を、糊液溜まり18における前記した他方の側をカバーするように設けるものとすれば良い。
【0063】
(3)糊付けに用いられた糊液を回収する回収部について、前記実施例の経糸糊付装置1は、糊液溜まり18からの糊液Sが受け部材50を介して回収箱40に流されると共に、その糊液Sを供給槽22へ流して回収するように構成されている。すなわち、前記実施例では、回収部は、糊液Sが溜まる回収槽としての供給槽22とその回収槽へ向けて糊液Sを流す回収路として機能する回収箱40との組み合わせから成っている。しかし、本発明において、回収部は、そのような回収路を備えず、回収槽のみで構成されていても良い。その場合、回収槽(回収部)は、前記幅方向及び前記前後方向において糊付け槽3よりも大きい寸法のものとされると共に、平面視においてその存在範囲が糊付け槽3を包含するような位置に設けられ、糊付け槽3から溢流する糊液Sが直接的に流れ落ちるようなものとされる。
【0064】
(4)前提となる経糸糊付装置について、前記実施例の経糸糊付装置1は、サイジングロール11が糊付け槽3内の糊液Sに浸され、第1、第2の2つのスクイズロール13、15が経糸シートTの経路を挟むようにサイジングロール11に外接するかたちで設けられるように構成されたものとなっている。しかし、本発明が適用される経糸糊付装置は、そのように構成されたものに限られない。
【0065】
例えば、経糸糊付装置は、サイジングロールに加え、第2のスクイズロールも糊付け槽の糊液Sに浸されるように構成されていても良い。なお、その場合の糊付け槽は、前記前後方向においてサイジングロール及び第2のスクイズロールを包含するような大きさのものとされる。また、経糸糊付装置は、第2のスクイズロールのみが糊付け槽の糊液Sに浸されるように構成されていても良い。但し、その場合でも、本発明においては、糊付け槽は、前記前後方向において、第2のスクイズロールのみを包含するような大きさのものではなく、その後側の端壁がサイジングロールと第1のスクイズロールとの外接位置よりも後側に位置するような大きさのものとされる。
【0066】
また、前記実施例では、経糸糊付装置1は、サイジングロール11の前後に位置する2つのスクイズロール13、15が、上下方向に関し、それらの軸心がサイジングロール11の軸心よりも若干上方に位置するように設けられたものとなっている。しかし、本発明が適用される経糸糊付装置は、各スクイズロールが、上下方向に関し、その軸心がサイジングロールの軸心と略同じ位置若しくは若干下方に位置するように設けられたものであっても良い。また、経糸糊付装置は、2つのスクイズロールが、前記前後方向においてサイジングロールに対し対称的に設けられたものに限らず、サイジングロールに対し非対称的に設けられたものであっても良い。
【0067】
さらに、前記実施例の経糸糊付装置1では、供給ノズル24及び糊付け槽3(供給部30)に糊液Sを供給するための装置が共通の装置(糊液供給装置20)となっている。しかし、経糸糊付装置は、糊付け槽(供給部)に糊液Sを供給するための装置を、供給ノズルへ糊液Sを供給する装置とは別に設けるように構成されていても良い。
【0068】
また、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 経糸糊付装置
3 糊付け槽
4 底板
5 前側の端壁
6 後側の端壁
7 側壁
11 サイジングロール
12 支軸
13 第1のスクイズロール
14 支軸
15 第2のスクイズロール
16 支軸
17 楔状領域
18 糊液溜まり
20 糊液供給装置
22 供給槽
24 供給ノズル
26 管路
30 供給部
40 回収箱
41 前壁
42 後壁
43 横壁
50 受け部材
51 誘導部材
51a 流動部
51a1 矩形部分
51a2 面取り部分
51b 規制部
51b1 傾斜部分
52 取付部材
60 受け部材
61 板状部
62 側壁部
S 糊液
T 経糸シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2