(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172759
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】画像形成装置の制御方法、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20221110BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20221110BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221110BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20221110BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
B41J2/01 305
G03G15/00 463
G03G21/00 370
B41J29/00 Z
B41J2/01 103
B41J2/01 451
B41J2/01 401
H04N1/00 912
H04N1/00 567M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078936
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】岸 義尚
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2H072
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB27
2C056EC12
2C056HA28
2C056HA30
2C056HA58
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AR03
2C061AS02
2C061CL02
2H072AA32
2H072AB15
2H072AB18
2H270LD03
2H270LD10
2H270MD04
2H270MH09
2H270NB19
2H270PA24
2H270PA68
2H270PA69
2H270PA70
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZD04
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC10
5C062AC22
5C062AC58
(57)【要約】
【課題】機密保持のための文書への重ねプリントによって前記文書がさらにカールすることを回避すること。
【解決手段】プロセッサー81は、複数枚の文書から、第1読取面の第1描画領域および第2読取面の第2描画領域の画像が両面対象条件を満たす両面対象文書と前記第1描画領域および前記第2描画領域の画像が対象外条件を満たす対象外文書とを特定する。前記プロセッサー81は、前記両面対象文書に対して特定の両面プリント処理である両面パターンプリント処理をプリント装置1yに実行させ、前記対象外文書に対して画像を形成することなく前記対象外文書をシート排出部へ排出する空送り処理を前記プリント装置1yに実行させる。前記両面パターンプリント処理は、前記両面対象文書の前記第2読取面に第1パターン画像を形成し、さらに前記両面対象文書の前記第1読取面における前記第1描画領域を含む領域に第2パターン画像を形成する処理である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート裁置部に載置された複数枚のシートを1枚ずつ搬送しつつインクジェット方式によって前記シートそれぞれの第1面および第2面に順次画像を形成し、さらに前記シートそれぞれをシート排出部へ排出する両面プリント処理を実行可能なプリント装置と、複数枚の文書それぞれの両面の画像を読み取る両面読取処理を実行可能な画像読取装置と、を備える画像形成装置の制御方法であって、
プロセッサーが、前記画像読取装置に前記両面読取処理を実行させることと、
前記プロセッサーが、前記両面読取処理により得られる前記文書それぞれの第1読取面および第2読取面の画像における描画領域である第1描画領域および第2描画領域を特定することと、
前記プロセッサーが、前記複数枚の文書から、前記第1描画領域および前記第2描画領域の画像が予め定められた両面対象条件を満たす両面対象文書と前記第1描画領域および前記第2描画領域の画像が予め定められた対象外条件を満たす対象外文書とを特定することと、
前記複数枚の文書が、前記複数枚の文書の前記第1読取面が前記複数枚のシートの前記第2面となる向きで、前記複数枚のシートとして前記シート裁置部に載置される場合に、前記プロセッサーが、前記両面対象文書に対して特定の前記両面プリント処理である両面パターンプリント処理を前記プリント装置に実行させ、前記対象外文書に対して画像を形成することなく前記対象外文書を前記シート排出部へ排出する空送り処理を前記プリント装置に実行させることと、を含み、
前記両面パターンプリント処理は、前記両面対象文書の前記第2読取面に第1パターン画像を形成し、さらに前記両面対象文書の前記第1読取面における前記第1描画領域を含む領域に第2パターン画像を形成する処理である、画像形成装置の制御方法。
【請求項2】
前記第2描画領域が存在しない前記両面対象文書に対する前記両面パターンプリント処理は、前記両面対象文書の前記第2読取面における前記第1読取面の前記第1描画領域に重なる領域に前記第1パターン画像を形成し、さらに前記両面対象文書の前記第1読取面における前記第1描画領域を含む領域に前記第2パターン画像を形成する処理である、請求項1に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項3】
前記両面対象条件は、前記第1描画領域が前記第1読取面において占める面積比が予め定められた第1面基準比を超え、かつ、前記第2描画領域が存在しない、という条件を含み、
前記対象外条件は、前記第1描画領域が前記第1読取面において占める面積比が前記第1面基準比を超え、かつ、前記第2描画領域が前記第2読取面において占める面積比が予め定められた第2面基準比を超える、という条件を含む、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項4】
前記両面対象条件は、前記第1描画領域が前記第1読取面における予め定められた外縁領域において占める面積比が予め定められた第1外縁基準比を超え、かつ、前記第2描画領域が存在しない、という条件をさらに含む、請求項3に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項5】
前記両面対象条件は、前記第1描画領域が前記第1読取面において占める面積比が前記第1面基準比を超え、かつ、前記第2描画領域が前記第2読取面において占める面積比が予め定められた第2面基準比を下回る、という条件を含み、
前記第2描画領域が存在する前記両面対象文書に対する前記両面パターンプリント処理は、前記両面対象文書の前記第2読取面における前記第1読取面の前記第1描画領域に重なる領域および前記両面対象文書の前記第2読取面における前記第2描画領域を含む領域に前記第1パターン画像を形成し、さらに前記両面対象文書の前記第1読取面における前記第1描画領域を含む領域に前記第2パターン画像を形成する処理である、請求項3または請求項4に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項6】
前記プロセッサーが、前記複数枚の文書から、前記第1描画領域および前記第2描画領域の画像が予め定められた片面対象条件を満たす片面対象文書を特定することと、
前記プロセッサーが、前記片面対象文書の前記第2読取面に画像を形成せず、さらに前記片面対象文書の前記第1読取面における前記第1描画領域を含む領域に前記第2パターン画像を形成する片面パターンプリント処理を前記プリント装置に実行させることと、をさらに含み、
前記片面対象条件は、前記第1描画領域が前記第1読取面において占める面積比が前記第1面基準比を下回り、かつ、前記第2描画領域が存在しない、という条件である、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項7】
前記プロセッサーは、前記両面パターンプリント処理における前記両面対象文書の排出処理とは異なる態様で、前記空送り処理における前記対象外文書の排出処理を前記プリント装置に実行させる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項8】
前記プロセッサーが、前記画像読取装置に前記両面読取処理を実行させた後に、前記両面読取処理の対象となった前記複数枚の文書を、前記複数枚の文書の前記第1読取面が前記複数枚のシートの前記第2面となる向きで前記シート裁置部に載置することを案内する案内情報を情報出力装置を通じて出力することをさらに含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項9】
シート裁置部に載置された複数枚のシートを1枚ずつ搬送しつつインクジェット方式によって前記シートそれぞれの第1面および第2面に順次画像を形成し、さらに前記シートそれぞれをシート排出部へ排出する両面プリント処理を実行可能なプリント装置と、
複数枚の文書それぞれの両面の画像を読み取る両面読取処理を実行可能な画像読取装置と、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置の制御方法の処理を実行するプロセッサーと、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機密保持のための文書への重ねプリントを制御する画像形成装置の制御方法および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置が、機密保持のために文書への重ねプリントを行うことが知られている。また、前記画像形成装置が、マーキングセンサーによって記録紙から読み取られた画像が表す機密レベルに応じた画像パターンを前記記録紙における既に画像が形成されている領域に重ねてプリントすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記画像形成装置がインクジェット方式でシートに画像を形成する場合、画像が形成された前記シートである文書は、画像が形成された面が収縮することによってカールする。現像剤が水性インクである場合に、前記文書のカールは特に顕著である。
【0005】
従って、機密保持のためのパターン画像が、前記文書における既に画像が形成されている面にさらに形成された場合、前記文書はさらに小さな曲率半径でカールする。前記文書が小さな曲率半径でカールすると、搬送路においてジャムが生じやすい。さらに、カール度合いの強い前記文書は、取り扱いにくい。
【0006】
本発明の目的は、機密保持のための文書への重ねプリントによって前記文書がさらにカールすることを回避できる画像形成装置の制御方法および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る画像形成装置の制御方法は、プリント装置と画像読取装置とを備える画像形成装置を制御する方法である。前記プリント装置は、シート裁置部に載置された複数枚のシートを1枚ずつ搬送しつつインクジェット方式によって前記シートそれぞれの第1面および第2面に順次画像を形成し、さらに前記シートそれぞれをシート排出部へ排出する両面プリント処理を実行可能である。前記画像読取装置は、複数枚の文書それぞれの両面の画像を読み取る両面読取処理を実行可能である。前記制御方法は、プロセッサーが、前記画像読取装置に前記両面読取処理を実行させることを含む。さらに前記制御方法は、前記プロセッサーが、前記両面読取処理により得られる前記文書それぞれの第1読取面および第2読取面の画像における描画領域である第1描画領域および第2描画領域を特定することを含む。さらに前記制御方法は、前記プロセッサーが、前記複数枚の文書から、前記第1描画領域および前記第2描画領域の画像が予め定められた両面対象条件を満たす両面対象文書と前記第1描画領域および前記第2描画領域の画像が予め定められた対象外条件を満たす対象外文書とを特定することを含む。さらに前記制御方法は、前記複数枚の文書が、前記複数枚の文書の前記第1読取面が前記複数枚のシートの前記第2面となる向きで、前記複数枚のシートとして前記シート裁置部に載置される場合に、前記プロセッサーが、前記両面対象文書に対して特定の前記両面プリント処理である両面パターンプリント処理を前記プリント装置に実行させ、前記対象外文書に対して画像を形成することなく前記対象外文書を前記シート排出部へ排出する空送り処理を前記プリント装置に実行させることとを含む。前記両面パターンプリント処理は、前記両面対象文書の前記第2読取面に第1パターン画像を形成し、さらに前記両面対象文書の前記第1読取面における前記第1描画領域を含む領域に第2パターン画像を形成する処理である。
【0008】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記プリント装置と前記画像読取装置と前記プロセッサーと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機密保持のための文書への重ねプリントによって前記文書がさらにカールすることを回避できる画像形成装置の制御方法および画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る画像形成装置における画像読取装置の構成図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る画像形成装置における制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る画像形成装置における重ねプリント制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1読取画像の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2読取画像の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る画像形成装置により第1パターン画像が重ねプリントされた文書の第2読取面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る画像形成装置により第2パターン画像が重ねプリントされた文書の第1読取面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る画像形成装置における重ねパターンプリント制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[第1実施形態]
図1に示されるように、第1実施形態に係る画像形成装置10は、画像読取装置1x、プリント装置1y、制御装置8、操作装置801および表示装置802を備える。
【0013】
図2に示されるように、画像読取装置1xは、基体部5aおよび基体部5aの上面を覆うカバー部5bを備える。基体部5aは、各種の機器を収容する筐体である。カバー部5bは、基体部5aの上面を覆う位置と基体部5aの上面を開放する位置との間で変位可能に支持されている。
【0014】
さらに、画像読取装置1は、基体部5aの上面に配置されたコンタクトガラス63およびプラテンガラス64を備える。
【0015】
さらに、画像読取装置1は、文書搬送装置50、画像読取部6および移動機構65などを備える。文書搬送装置50は、カバー部5bに組み込まれている。
【0016】
文書搬送装置50は、供給トレイ51、文書搬送路500、搬送機構52、文書排出トレイ53および供給文書検出部54などを備える。文書搬送路500は、コンタクトガラス63の表面を経由する文書91の通路である。
【0017】
搬送機構52は、供給トレイ51上に載置された複数枚の文書91を1枚ずつ文書搬送路500へ送り出し、さらにその文書91を文書搬送路500に沿って搬送し、さらにその文書91を文書排出トレイ53上へ排出する。
【0018】
画像読取部6は、原稿9に形成されている画像を読み取り、読み取った画像のデータを出力する画像読取処理を実行する。画像読取部6は、文書搬送路500に沿って搬送される文書91に対する前記画像読取処理を実行可能である。
【0019】
本実施形態において、画像読取部6は、第1画像読取部61、第2画像読取部62およびAFE(Analog Front End)60を含む。
【0020】
以下の説明において、文書91の2つの面をそれぞれ第1読取面91aおよび第2読取面91bと称する(
図2参照)。文書91は、第1読取面91aが上面、第2読取面91bが下面となる状態で、供給トレイ51上に載置される。
【0021】
第1画像読取部61は、文書搬送路500に沿って搬送される文書91の第1読取面91aの画像を読み取る。第2画像読取部62は、文書搬送路500に沿って搬送される文書91の第2読取面91bの画像を読み取る。
【0022】
即ち、画像読取装置1xは、複数枚の文書91それぞれの両面の画像を読み取る両面読取処理を実行可能である。
【0023】
本実施形態において、第1画像読取部61および第2画像読取部62の各々は、発光部6a、導光部材6bおよびイメージセンサー6cを備える。
【0024】
発光部6aは、文書91に光を照射する。導光部材6bは、文書91に反射した光をイメージセンサー6cへ導くミラーまたはレンズである。イメージセンサー6cは、文書91に反射した光の強度を検出し、検出信号を読取画像の信号として出力するラインセンサーである。
【0025】
AFE60は、前記読取画像の信号をデジタルの画像データへ変換し、その画像データを出力する。前記デジタルの画像データが、前記読取画像のデータである。
【0026】
図2に示される例において、第1画像読取部61のイメージセンサー6cは、CCD(Charge Coupled Device)タイプのセンサーである。第1画像読取部61における発光部6aと導光部材6bの一部とは、キャリッジ61xによって支持されている。
【0027】
移動機構65は、キャリッジ61xをコンタクトガラス63に対向する基準位置からプラテンガラス64に対向する位置に亘る範囲で移動させる。
【0028】
文書91が文書搬送装置50によって搬送される場合に、移動機構65は、キャリッジ61xを前記基準位置に保持する。キャリッジ61xが前記基準位置に保持されているときに、第1画像読取部61は、文書91の第1読取面91aの画像を読み取る。
【0029】
一方、文書91がプラテンガラス64上に載置される場合に、移動機構65は、キャリッジ61xをプラテンガラス64の下面に沿って移動させる。これにより、第1画像読取部61は、プラテンガラス64上の文書91の下面の画像を読み取る。
【0030】
供給文書検出部54は、供給トレイ51上に載置された文書91を検出する。例えば、供給文書検出部54は、不図示の変位部材および検出センサーを備える。
【0031】
前記変位部材は、供給トレイ51上の文書91の荷重を受けて初期位置である上位置からそれより下方の下位置へ変位する。前記検出センサーは、前記下位置へ変位した前記変位部材を検出する。
【0032】
プリント装置1yは、シート収容部2、シート搬送装置3、インクジェット記録装置4およびシート排出トレイ101を備える。シート搬送装置3およびインクジェット記録装置4は、本体筐体100内に配置されている。
【0033】
シート搬送装置3は、シート供給機構31、シート搬送路30、複数組の搬送ローラー対32および経路切替機構33を備える。シート搬送路30は、インクジェット記録装置4に対向するプリント位置を経由するシート92の通路である。シート収容部2は、上下に変位可能なリフト板21aを備える。
【0034】
不図示の昇降機構が、リフト板21aを上下に変位させることにより、リフト板21a上の最上位のシート92を一定の高さに保持する。
【0035】
さらに、プリント装置1yは、手差トレイ21bおよびトレイ閉検出部22を備える。リフト板21aおよび手差トレイ21bは、それぞれ複数枚のシート92を積載可能なシート裁置部21である。
【0036】
手差トレイ21bは、本体筐体100の側面へ折り畳み可能である。トレイ閉検出部22は、本体筐体100の側面に折りたたまれた手差トレイ21bを検出する。即ち、トレイ閉検出部22は、本体筐体100の側面に折り畳まれた手差トレイ21bを検出する。
【0037】
トレイ閉検出部22が手差トレイ21bを検出していることは、手差トレイ21bが本体筐体100の側面に折り畳まれている状況を表す。手差トレイ21bがシート92を載置可能である場合、トレイ閉検出部22は手差トレイ21bを検出していない。
【0038】
シート供給機構31は、第1シート供給機構31aおよび第2シート供給機構31bを含む。
【0039】
第1シート供給機構31aは、リフト板21a上からシート92を1枚ずつシート搬送路30へ送り出す。第2シート供給機構31bは、手差トレイ21b上からシート92を1枚ずつシート搬送路30へ送り出す。
【0040】
複数組の搬送ローラー対32は、不図示の駆動機構によって回転駆動される。複数組の搬送ローラー対32は、回転駆動されることにより、第1シート供給機構31aまたは第2シート供給機構31bによってシート搬送路30へ送り出されたシート92を、シート搬送路30に沿って搬送する。
【0041】
インクジェット記録装置4は、シート搬送装置3によって搬送されるシート92にインクジェット方式によってプリント処理を実行する。前記プリント処理は、シート92に画像を形成する処理である。
【0042】
本実施形態において、インクジェット記録装置4は、水性インクによってシート92に画像を形成する。
【0043】
シート搬送路30は、主搬送路30aおよび反転搬送路30bを含む。主搬送路30aは、第1シート供給機構31aおよび第2シート供給機構31bのそれぞれに連通する搬入口から前記プリント位置を経由して排出口に至る通路である。
【0044】
反転搬送路30bは、主搬送路30aにおける前記プリント位置と排出ローラー対32aの位置との間の分岐部から主搬送路30aにおける前記プリント位置に対しシート搬送方向の上流側の合流部に至る通路である。
【0045】
排出ローラー対32aは、前記順回転方向の反対の逆回転方向へ回転することにより、前記プリント位置を通過したシート92を反転搬送する。経路切替機構33は、排出ローラー対32aにより反転搬送されるシート92を反転搬送路30bへ案内する。
【0046】
複数組の搬送ローラー対32は、反転搬送路30bへ案内されたシート92を反転搬送路30bに沿って搬送し、さらにシート92を、前記合流部を経由して再び主搬送路30aに沿って搬送する。
【0047】
シート92は、最初に前記プリント位置へ搬送されたときに第1面がインクジェット記録装置4に対向し、反転搬送路30bを経由して再び前記プリント位置へ搬送されたときには第2面がインクジェット記録装置4に対向する。
【0048】
プリント装置1yは、排出ローラー対32aの回転方向の制御、および、経路切替機構33の制御が行われることにより、片面プリント処理または両面プリント処理を実行する。
【0049】
前記片面プリント処理は、シート裁置部21に載置された複数枚のシート92を1枚ずつ搬送しつつ、インクジェット方式によってシート92それぞれの前記第1面に画像を形成し、さらに画像が形成されたシート92それぞれをシート排出トレイ101上へ排出する処理である。
【0050】
前記両面プリント処理は、シート裁置部21に載置された複数枚のシート92を1枚ずつ搬送しつつ、インクジェット方式によってシート92それぞれの前記第1面および前記第2面に順次画像を形成し、さらに画像が形成されたシート92それぞれをシート排出トレイ101上へ排出する処理である。シート排出トレイ101は、シート排出部の一例である。
【0051】
操作装置801は、人の操作を受け付ける装置であり、例えば、操作ボタンおよびタッチパネルを含む。表示装置802は、情報を表示する装置であり、例えば、液晶表示ユニットなどのパネル表示装置を含む。
【0052】
制御装置8は、各種のデータ処理および画像形成装置10の制御を実行する。
【0053】
図3に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)81と、RAM(Random Access Memory)82、二次記憶装置83および信号インターフェイス84などの周辺機器とを備える。さらに、制御装置8は、他装置と通信可能な通信装置85も備える。
【0054】
二次記憶装置83は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。二次記憶装置83は、前記コンピュータープログラムおよび各種のデータの記憶および更新が可能である。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置83として採用される。
【0055】
信号インターフェイス84は、各種のセンサーが出力する信号をデジタルデータへ変換し、変換後のデジタルデータをCPU81へ伝送する。さらに、信号インターフェイス84は、CPU81が出力する制御指令を制御信号へ変換し、前記制御信号を制御対象の機器へ伝送する。
【0056】
通信装置85は、画像形成装置10にプリントジョブを送信するホスト装置などの他装置との通信を実行する。CPU81は、通信装置85を通じて前記他装置と通信する。
【0057】
CPU81は、コンピュータープログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーである。RAM82は、コンピューター読み取り可能な揮発性の記憶装置である。RAM82は、CPU81が実行する前記コンピュータープログラムおよびCPU81が各種の処理を実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。
【0058】
CPU81は、前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される複数の処理モジュールを含む。前記複数の処理モジュールは、主処理部8a、読取制御部8b、プリント制御部8cおよび画像処理部8dなどを含む。
【0059】
主処理部8aは、操作装置801に対する操作に応じて各種の処理を開始させる制御、および、表示装置802の制御などを実行する。
【0060】
読取制御部8bは、画像読取装置1xを制御することにより、画像読取装置1に前記両面読取処理を実行させる。プリント制御部8cは、プリント装置1yを制御することにより、プリント装置1yに前記片面プリント処理または前記両面プリント処理を実行させる。
【0061】
また、プリント制御部8cは、パターンプリントモードが動作モードとして選択されている場合に、パターンプリント処理をプリント装置1yに実行させる。
【0062】
前記パターンプリント処理は、機密保持のために文書91における画像が形成された面にパターン画像を重ねプリントする処理である。前記パターンプリントモードが選択される場合、複数枚の文書91が、複数枚のシート92としてシート裁置部21上に載置される。
【0063】
画像処理部8dは、前記読取画像のデータ、および、前記プリント処理の対象のデータに関する各種の画像処理を実行する。
【0064】
ところで、画像形成装置10がインクジェット方式でシート92に画像を形成する場合、画像が形成されたシート92である文書91は、画像が形成された面が収縮することによってカールする。現像剤が水性インクである場合に、文書91のカールは特に顕著である。
【0065】
従って、機密保持のためのパターン画像が、文書91における既に画像が形成されている面にさらに形成された場合、文書91はさらに小さな曲率半径でカールする。文書91が小さな曲率半径でカールすると、シート搬送路30においてジャムが生じやすい。さらに、カール度合いの強い文書91は、取り扱いにくい。
【0066】
画像形成装置10において、読取制御部8bおよびプリント制御部8cは、後述する重ねプリント制御を実行する(
図4参照)。これにおり、機密保持のための文書91への重ねプリントによって文書91がさらにカールすることを回避することができる。
【0067】
前記重ねプリント制御が開始される前に、前記パターン画像の形成の対象となる複数枚の文書91が供給トレイ51上に載置される。その際、複数枚の文書91は、水性インクにより画像が形成されたおもて面が第1読取面91aとなるように供給トレイ51上に載置される。なお、複数枚の文書91のうら面にも画像が形成されている場合がある。
【0068】
主処理部8aは、予め定められた重ねプリント制御開始イベントが発生したときに前記重ねプリント制御を開始させる。例えば、前記重ねプリント制御開始イベントは、前記パターンプリントモードが前記動作モードとして選択されており、かつ、供給文書検出部54が供給トレイ51上の文書91を検出している状況下で、操作装置801に対する読取開始操作が行われた、というイベントである。
【0069】
[重ねプリント制御]
以下、
図4に示されるフローチャートを参照しつつ、前記重ねプリント制御の手順の一例について説明する。前記重ねプリント制御は、画像形成装置10の制御方法の一例である。
【0070】
以下の説明において、S101,S102,…は、前記重ねプリント制御における複数の工程の識別符号を表す。前記重ねプリント制御において、まず、工程S101の処理が開始する。
【0071】
<工程S101>
まず、工程S101において、読取制御部8bは、画像読取装置1xに前記両面読取処理を実行させる。その後、読取制御部8bは、処理を工程S102へ移行させる。
【0072】
工程S101の処理により、複数枚の文書91の第1読取面91aの前記読取画像のデータ、および、複数枚の文書91の第2読取面91bの前記読取画像のデータが得られる。
【0073】
<工程S102>
工程S102において、画像処理部8dは、前記両面読取処理により得られる文書91それぞれの第1読取面91aおよび第2読取面91bの画像における描画領域である第1描画領域A1および第2描画領域A2を特定する(
図5,6参照)。
【0074】
図5における第1読取画像G1は、第1読取面91aの画像の一例である。
図6における第2読取画像G2は、第2読取面91bの画像の一例である。
【0075】
例えば、画像処理部8dは、前記読取画像における複数の描画画素を、横方向および縦方向のそれぞれについて予め定められた基準距離の範囲内に存在するものごとにグループ化する。さらに、画像処理部8dは、前記描画画素のグループ各々の外接矩形の領域を第1描画領域A1または第2描画領域A2として特定する(
図5,6参照)。
【0076】
画像処理部8dは、文書91ごとの第1描画領域A1および第2描画領域A2を表す描画領域データを二次記憶装置83に記録する。その後、画像処理部8dは、処理を工程S103へ移行させる。
【0077】
<工程S103>
工程S103において、画像処理部8dは、複数枚の文書91の種類を特定する処理を実行する。本実施形態において、複数枚の文書91の種類は、両面対象文書、片面対象文書および対象外文書の3種類である。
【0078】
前記両面対象文書は、第1描画領域A1および第2描画領域A2の画像が予め定められた両面対象条件を満たす文書91である。
【0079】
前記両面対象条件は、第1描画領域A1が第1読取面91aにおいて占める面積比が予め定められた第1面基準比を超え、かつ、第2描画領域A2が第2読取面91bにおいて占める面積比が予め定められた第2面基準比を下回る、という第1両面対象条件を含む。
【0080】
従って、前記第1両面対象条件は、第1描画領域A1が第1読取面91aにおいて占める面積比が前記第1面基準比を超え、かつ、第2描画領域A2が存在しない、という条件を含む。なお、前記第2面基準比は前記第1面基準比よりも小さい。
【0081】
前記第1両面対象条件を満たす文書91は、通常、第1読取面91aを内側としてカールしている。
【0082】
また、前記両面対象条件が、第2両面対象条件をさらに含んでいてもよい。前記第2両面対象条件は、第1描画領域A1が第1読取面91aにおける予め定められた外縁領域A3において占める面積比が予め定められた第1外縁基準比を超え、かつ、第2描画領域A2が第2読取面91bにおいて占める面積比が前記第2面基準比を下回り、かつ、第2描画領域A2が第2読取面91bにおける外縁領域A3において占める面積比が予め定められた第2外縁基準比を下回る、という条件である。
【0083】
従って、前記第2両面対象条件は、第1描画領域A1が第1読取面91aにおける外縁領域A3において占める面積比が前記第1外縁基準比を超え、かつ、第2描画領域A2が存在しない、という条件を含む。
【0084】
例えば、前記両面対象条件が、前記第1両面対象条件と前記第2両面対象条件との論理和の条件であることが考えられる。
【0085】
文書91は、水性インクの画像が中央の領域に形成されている場合よりも、水性インクの画像が外縁領域A3に形成されている場合の方が、よりカールしやすい。そのため、前記第2両面対象条件が採用されることにより、第1読取面91aを内側としてカールしている文書91が、より確実に前記両面対象文書として分類される。
【0086】
また、前記片面対象文書は、第1描画領域A1および第2描画領域A2の画像が予め定められた片面対象条件を満たす文書91である。
【0087】
前記片面対象条件は、第1描画領域A1が第1読取面91aにおいて占める面積比が前記第1面基準比を下回り、かつ、前記第2描画領域が存在しない、という条件である。
【0088】
前記片面対象条件を満たす文書91は、通常、第1読取面91aに水性インクの画像が形成されていても、ほとんどカールしていない。
【0089】
一方、前記対象外文書は、第1描画領域A1および第2描画領域A2の画像が予め定められた対象外条件を満たす文書91である。
【0090】
前記対象外条件は、前記第1描画領域が第1読取面91aにおいて占める面積比が前記第1面基準比を超え、かつ、前記第2描画領域が第2読取面91bにおいて占める面積比が予め定められた第2面基準比を超える、という第1対象外条件を含む。
【0091】
前記第1対象外条件を満たす文書91は、既に両面の広い領域に亘って水性インクの画像が形成されている。そのような文書91は、さらにパターン画像が重ねプリントされた場合に、ランダムに湾曲し、シート搬送路30においてジャムを引き起こしやすい。
【0092】
また、前記対象外条件が、第2対象外条件をさらに含んでいてもよい。前記第2対象外条件は、第1描画領域A1が第1読取面91aにおける外縁領域A3において占める面積比が前記第1外縁基準比を超え、かつ、第2描画領域A2が第2読取面91bにおいて占める面積比が前記第2面基準比を上回る、もしくは、第2描画領域A2が第2読取面91bにおける外縁領域A3において占める面積比が前記第2外縁基準比を上回る、という条件である。
【0093】
画像処理部8dは、複数枚の文書91の種類を特定した結果を表す種類特定データを二次記憶装置83に記録し、処理を工程S104へ移行させる。
【0094】
<工程S104>
工程S104において、主処理部8aは、予め定められた案内情報を、表示装置802を通じて出力する。表示装置802は情報出力装置の一例である。
【0095】
前記案内情報は、工程S101で前記両面読取処理の対象となった複数枚の文書91を、複数枚の文書91の第1読取面91aが複数枚のシート92の前記第2面となる向きで手差トレイ21bに載置することを案内する情報である。
【0096】
ユーザーは、前記案内情報に従って、文書排出トレイ53上の複数枚の文書91を手差トレイ21b上へ移動させる。主処理部8aは、前記案内情報を出力した後、処理を工程S105へ移行させる。
【0097】
従って、複数枚の文書91が、複数枚の文書91の第1読取面91aが複数枚のシート92の前記第2面となる向きで、複数枚のシート92として手差トレイ21bに載置される場合に、工程S105以降の処理が実行される。
【0098】
<工程S105>
工程S105において、主処理部8aは、予め定められたプリント開始イベントが発生するまで待機する。
【0099】
例えば、前記プリント開始イベントは、トレイ閉検出部22が手差トレイ21bを検出していない状況下で、操作装置801に対するプリント開始操作が行われた、というイベントである。
【0100】
主処理部8aは、前記プリント開始イベントが発生したときに、処理を工程S106へ移行させる。
【0101】
<工程S106>
工程S106において、プリント制御部8cは、工程S103で得られた前記種類特定データに基づいて、手差トレイ21b上の搬送対象の1枚の文書91の種類を識別する。
【0102】
そして、プリント制御部8cは、搬送対象の文書91が前記両面対象文書である場合に処理を工程S107へ移行させ、搬送対象の文書91が前記片面対象文書である場合に処理を工程S108へ移行させ、搬送対象の文書91が前記対象外文書である場合に処理を工程S109へ移行させる。
【0103】
<工程S107>
工程S107において、プリント制御部8cは、前記両面対象文書に対して特定の前記両面プリント処理である両面パターンプリント処理をプリント装置1yに実行させる。
【0104】
前記両面パターンプリント処理は、前記両面対象文書の第2読取面91bに第1パターン画像PT1を形成し、さらに前記両面対象文書の第1読取面91aにおける前記第1描画領域を含む領域に第2パターン画像PT2を形成する処理である(
図7,8参照)。
【0105】
第2描画領域A2が存在しない前記両面対象文書に対する前記両面パターンプリント処理は、以下の第1プリント処理および前記第1プリント処理に続く第2プリント処理を含む。
【0106】
前記第1プリント処理は、前記両面対象文書の第2読取面91bにおける第1読取面91aの第1描画領域A1に重なる領域に第1パターン画像PT1を形成する処理である(
図7参照)。前記第2プリント処理は、前記両面対象文書の第1読取面91aにおける第1描画領域A1を含む領域に第2パターン画像PT2を形成する処理である(
図8参照)。
【0107】
一方、第2描画領域A2が存在する前記両面対象文書に対する前記両面パターンプリント処理は、第3プリント処理および前記第3プリント処理に続く第4プリント処理を含む。
【0108】
前記第3プリント処理は、前記両面対象文書の前記第2読取面における前記第1読取面の前記第1描画領域に重なる領域および前記両面対象文書の前記第2読取面における前記第2描画領域を含む領域に前記第1パターン画像を形成する処理である。前記第4プリント処理は、前記第2プリント処理と同じ処理である。
【0109】
工程S107において、まず、第1パターン画像PT1が前記両面対象文書の第2読取面91bに形成される(
図7参照)。第1パターン画像PT1の形成は、前記両面対象文書における第2読取面91bを収縮させ、前記両面対象文書における第1読取面91aを内側とするカールを緩和させる。
【0110】
続いて、前記両面対象文書のカールが緩和した状態で、第2パターン画像PT2が前記両面対象文書の第1読取面91aに形成される(
図8参照)。これにより、前記両面対象文書が第2パターン画像PT2の形成によって小さな曲率半径でカールしてしまうことが回避される。
【0111】
前記両面パターンプリント処理は、前記両面対象文書の第2読取面91bに第1パターン画像PT1を形成し、さらに前記両面対象文書の第1読取面91aにおける前記第1描画領域を含む領域に第2パターン画像PT2を形成する処理である(
図7,8参照)。
【0112】
工程S107において、まず、第1パターン画像PT1が前記両面対象文書の第2読取面91bに形成される(
図7参照)。第1パターン画像PT1の形成は、前記両面対象文書における第2読取面91bを収縮させ、前記両面対象文書における第1読取面91aを内側とするカールを緩和させる。
【0113】
続いて、前記両面対象文書のカールが緩和した状態で、第2パターン画像PT2が前記両面対象文書の第1読取面91aに形成される(
図8参照)。これにより、前記両面対象文書が第2パターン画像PT2の形成によって小さな曲率半径でカールしてしまうことが回避される。
【0114】
<工程S108>
工程S108において、プリント制御部8cは、前記片面対象文書に対して特定の前記片面プリント処理である片面パターンプリント処理をプリント装置1yに実行させる。
【0115】
前記片面パターンプリント処理は、前記両面対象文書の第2読取面91bに画像を形成せず、さらに前記片面対象文書の第1読取面91aにおける前記第1描画領域を含む領域に第2パターン画像PT2を形成する処理である。
【0116】
工程S108において、まず、前記片面対象文書は画像を形成されずに主搬送路30aおよび反転搬送路30bを経由して再び主搬送路30aへ搬送される。
【0117】
続いて、第2パターン画像PT2が前記片面対象文書の第1読取面91aに形成される。
【0118】
前記片面対象文書における第1読取面91aの第1描画領域A1は小さい。そのため、前記片面対象文書はほとんどカールしていない。さらに、前記片面対象文書における第2読取面91bの第2描画領域A2は存在しない。そのため、第1パターン画像PT1を前記片面対象文書の第2読取面91bに形成する必要はない。
【0119】
<工程S109>
工程S109において、プリント制御部8cは、前記対象外文書について空送り処理をプリント装置1yに実行させる。
【0120】
前記空送り処理は、前記対象外文書に対して画像を形成することなく前記対象外文書をシート排出トレイ101へ排出する処理である。
【0121】
前記対象外文書は、既に両面における比較的広い領域に画像が形成された文書91である。そのため、第1パターン画像PT1または第2パターン画像PT2がさらに前記対象外文書に形成されると、前記対象外文書がランダムに湾曲するおそれがある。ランダムに湾曲した文書91は、シート搬送路30においてジャムを引き起こしやすい。
【0122】
従って、前記対象外文書は、機密保護のための第1パターン画像PT1または第2パターン画像PT2の形成の対象から除外される。
【0123】
また、工程S109において、プリント制御部8cは、前記両面パターンプリント処理における前記両面対象文書の排出処理とは異なる態様で、前記空送り処理における前記対象外文書の排出処理をプリント装置1yに実行させる。
【0124】
例えば、プリント制御部8cは、前記空送り処理において前記対象外文書がシート排出トレイ101へ排出されるときに、前記両面パターンプリント処理において前記両面対象文書が排出されるときの排出ローラー対32aの回転速度とは異なる速度で、排出ローラー対32aを回転させる。これにより、前記対象外文書は、シート排出トレイ101上において前記両面対象文書とは異なる位置に積載される。
【0125】
また、プリント装置1yが、複数の搬出路と、それら複数の搬出路に対応する複数組の排出ローラー対32aおよび複数のシート排出トレイ101と、を備える場合がある。この場合、プリント制御部8cは、前記空送り処理における前記対象外文書を、前記両面パターンプリント処理における前記両面対象文書の排出先とは異なる排出先へ排出させる処理を、プリント装置1yに実行させてもよい。
【0126】
なお、工程S108において、プリント制御部8cは、前記両面パターンプリント処理における前記両面対象文書の排出処理と同じ態様で、前記片面パターンプリント処理における前記片面対象文書の排出処理をプリント装置1yに実行させる。
【0127】
上記の処理により、機密保護のための重ねプリントから除外された前記対象外文書を他の文書91と区別して取り扱うことが容易となる。
【0128】
プリント制御部8cは、工程S107、工程S108または工程S109の処理を実行した後、処理を工程S110へ移行させる。
【0129】
<工程S110>
工程S110において、プリント制御部8cは、全ての文書91についての処理が終了したか否かを判定する。
【0130】
例えば、プリント制御部8cは、工程S106~S109の処理の対象となった文書91の枚数が、工程S101の前記両面読取処理の対象となった文書91の枚数に達したときに、全ての文書91についての処理が終了したと判定する。
【0131】
プリント制御部8cは、全ての文書91についての処理が終了したと判定した場合に前記重ねプリント制御を終了させ、そうでない場合に処理を工程S106へ移行させる。
【0132】
本実施形態によれば、機密保持のための文書91への重ねプリントによって文書91がさらにカールすることを回避できる。
【0133】
[第2実施形態]
次に、
図9,10を参照しつつ、第2実施形態に係る画像形成装置10Aについて説明する。
図9において、
図1に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
【0134】
画像形成装置10Aは、画像形成装置10における画像読取装置1xが画像読取装置1zに置き換えられた構成を備える。さらに、画像形成装置10Aは、手差トレイ21b上に載置された文書91を検出する供給文書検出部23を備える。
【0135】
画像読取装置1zは、第1画像読取部61a、第2画像読取部62aおよびAFE60を備える。第1画像読取部61aおよび第2画像読取部62aは、それぞれ画像読取装置1における第1画像読取部61および第2画像読取部62に相当する。
【0136】
第1画像読取部61aは、手差トレイ21bから主搬送路30aへ搬送される文書91の第1読取面91aの画像を読み取る。第2画像読取部62aは、手差トレイ21bから主搬送路30aへ搬送される文書91の第2読取面91bの画像を読み取る。
【0137】
AFE60は、第1画像読取部61aおよび第2画像読取部62aにより得られる前記読取画像の信号をデジタルの画像データへ変換し、その画像データを出力する。即ち、画像読取装置1zは、画像読取装置1xと同様に、複数枚の文書91について前記両面読取処理を実行可能である。
【0138】
本実施形態において、主処理部8aは、予め定められたパターンプリント開始イベントが発生したときに重ねパターンプリント制御を開始させる。前記重ねパターンプリント制御は、第1実施形態における前記重ねプリント制御に相当する。
【0139】
例えば、前記パターンプリント開始イベントは、供給文書検出部23が手差トレイ21b上の文書91を検出している状況下で、操作装置801に対するプリント開始操作が行われた、というイベントである。
【0140】
前記重ねパターンプリント制御が開始される前に、複数枚の文書91が、第1読取面91aが複数枚のシート92の前記第2面となる向きで手差トレイ21bに載置される(
図9参照)。
【0141】
[重ねパターンプリント制御]
以下、
図10に示されるフローチャートを参照しつつ、前記重ねパターンプリント制御の手順の一例について説明する。前記重ねパターンプリント制御は、画像形成装置10の制御方法の一例である。
【0142】
以下の説明において、S201,S202,…は、前記重ねパターンプリント制御における複数の工程の識別符号を表す。前記重ねパターンプリント制御において、まず、工程S201の処理が開始する。
【0143】
<工程S201>
工程S201において、プリント制御部8cは、プリント装置1yに手差トレイ21b上の文書91の搬送を開始させる。その後、プリント制御部8cは、処理を工程S202へ移行させる。
【0144】
<工程S202>
工程S202において、読取制御部8bは、画像読取装置1zに前記両面読取処理を実行させる。その後、読取制御部8bは、処理を工程S203へ移行させる。工程S202は、
図4の工程S101に相当する。
【0145】
工程S202の処理により、複数枚の文書91の第1読取面91aの前記読取画像のデータ、および、複数枚の文書91の第2読取面91bの前記読取画像のデータが得られる。
【0146】
<工程S203>
工程S203において、画像処理部8dは、工程S102と同様に、前記両面読取処理により得られる文書91の第1読取面91aおよび第2読取面91bの画像における第1描画領域A1および第2描画領域A2を特定する(
図5,6参照)。その後、画像処理部8dは、処理を工程S204へ移行させる。
【0147】
<工程S204>
工程S204において、画像処理部8dは、工程S103と同様に、搬送されている文書91の種類を特定する処理を実行する。文書91の種類は、前記両面対象文書、前記片面対象文書および前記対象外文書の3種類である。
【0148】
そして、画像処理部8dは、文書91が前記両面対象文書であると特定した場合に処理を工程S205へ移行させ、文書91が前記片面対象文書であると特定した場合に処理を工程S206へ移行させ、文書91が前記対象外文書であると特定した場合に処理を工程S207へ移行させる。
【0149】
<工程S205>
工程S205において、プリント制御部8cは、工程S107と同様に、前記両面対象文書に対する前記両面パターンプリント処理をプリント装置1yに実行させる。
【0150】
<工程S206>
工程S206において、プリント制御部8cは、工程S108と同様に、前記片面対象文書に対する前記片面パターンプリント処理をプリント装置1yに実行させる。
【0151】
<工程S207>
工程S207において、プリント制御部8cは、工程S109と同様に、前記対象外文書に対する前記空送り処理をプリント装置1yに実行させる。
【0152】
プリント制御部8cは、工程S205、工程S206または工程S207の処理を実行した後、処理を工程S208へ移行させる。
【0153】
<工程S208>
工程S208において、プリント制御部8cは、全ての文書91についての処理が終了したか否かを判定する。
【0154】
例えば、プリント制御部8cは、供給文書検出部23が手差トレイ21b上の文書91を検出していない場合に、全ての文書91についての処理が終了したと判定する。
【0155】
プリント制御部8cは、全ての文書91についての処理が終了したと判定した場合に前記重ねパターンプリント制御を終了させ、そうでない場合に処理を工程S201へ移行させる。
【0156】
画像形成装置10Aが採用されることにより、画像形成装置10が採用される場合と同様に、機密保持のための文書91への重ねプリントによって文書91がさらにカールすることを回避できる。
【符号の説明】
【0157】
1 :画像読取装置
1x :画像読取装置
1y :プリント装置
1z :画像読取装置
2 :シート収容部
3 :シート搬送装置
4 :インクジェット記録装置
8 :制御装置
10 :画像形成装置
10A :画像形成装置
21 :シート裁置部
21a :リフト板
21b :手差トレイ(シート裁置部)
30 :シート搬送路
30a :主搬送路
30b :反転搬送路
32 :搬送ローラー対
32a :排出ローラー対
54 :供給文書検出部
61 :第1画像読取部
61a :第1画像読取部
62 :第2画像読取部
62a :第2画像読取部
85 :通信装置
91 :文書
91a :第1読取面
91b :第2読取面
101 :シート排出トレイ(シート排出部)