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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172761
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/023 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
F01N3/023 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078939
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】内海 尚子
【テーマコード(参考)】
3G190
【Fターム(参考)】
3G190AA02
3G190AA03
3G190AA06
3G190AA12
3G190AA16
3G190BA06
3G190CA13
3G190CB18
3G190CB23
3G190CB34
3G190CB35
3G190DB02
3G190DB27
3G190EA09
3G190EA14
(57)【要約】
【課題】PM堆積量の前提に依らず、フィルタにおけるより正確なアッシュ堆積量を得ることができる排気浄化装置を提供する。
【解決手段】排気浄化装置30は、内燃機関の排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集するためのDPF装置41と、内燃機関の稼働時間に基づいてDPF装置41におけるアッシュ堆積量をカウントしてカウント堆積量を取得するカウント部51と、DPF装置41の前後における排気ガスの差圧を取得する圧力センサ43,44と、データセンタAとの通信を行うことによって、現在の処理済み差圧と洗浄基準差圧との比較に基づいて、洗浄基準差圧に相当するアッシュ堆積量から現在のアッシュ堆積量を算出して算出堆積量を取得する算出部53と、カウント堆積量を算出堆積量に修正する修正部54と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられ、前記内燃機関の排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集するためのフィルタと、
前記内燃機関の稼働時間に基づいて前記フィルタにおけるアッシュ堆積量をカウントしてカウント堆積量を取得するためのカウント部と、
前記排気通路における前記フィルタの前後における前記排気ガスの差圧を取得するための圧力センサと、
前記圧力センサが取得した差圧の長時間平均処理及び平滑化処理により得られる処理済み差圧が洗浄基準差圧に至るときに前記フィルタのアッシュ洗浄要求を行うためのデータセンタとの通信を行うことによって、現在の前記処理済み差圧と前記洗浄基準差圧との比較に基づいて、前記洗浄基準差圧に相当する前記アッシュ堆積量から現在の前記アッシュ堆積量を算出して算出堆積量を取得する算出部と、
前記カウント堆積量を前記算出堆積量に修正する修正部と、
を備える排気浄化装置。
【請求項2】
前記修正部は、前記カウント堆積量と前記算出堆積量とに基づいて、前記カウント部が前記カウント堆積量をカウントする際の前記内燃機関の前記稼働時間と前記アッシュ堆積量との関係を示すパラメータを修正する、
請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記修正部は、前記カウント堆積量又は前記算出堆積量に基づいて、前記フィルタの粒子状物質燃焼再生を行う差圧の閾値を修正する、
請求項1又は2に記載の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アッシュ堆積量の推定装置が記載されている。この装置は、DPFの差圧センサで検出されたDPFの排気入口と排気出口の差圧と、排気流量演算装置で演算された排気流量のデータを記憶装置に記憶させ、DPFの再生処理の終了後に、DPFの再生処理の終了時から所定時間遡った遡及時までの再生終了直前期間に記憶装置に記憶された差圧と排気流量のデータに基づいて、アッシュ堆積量を推定するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-002824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載の装置では、DPFの再生終了直前期間は、排気温度が所定範囲内に維持されることにより、差圧や排気流量の変動が小さいうえ、アッシュ堆積量の推定の邪魔になるPMも十分に焼却されているため、正確なアッシュ堆積量の推定を行うことができるとされている。
【0005】
しかしながら、このような方法では、排ガス流量及びPM堆積量の条件を揃える必要があり、DPF上のPMを完全に燃焼させることが前提となる。したがって、DPFの再生方法として、例えば連続再生を主体とした場合のように、DPFのPM堆積量をある程度残すような運用を行う場合には、アッシュ堆積量の推定の精度が低下するおそれがある。
【0006】
そこで、本開示は、PM堆積量の前提に依らず、フィルタにおけるより正確なアッシュ堆積量を得ることができる排気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る排気浄化装置は、内燃機関の排気通路に設けられ、内燃機関の排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集するためのフィルタと、内燃機関の稼働時間に基づいてフィルタにおけるアッシュ堆積量をカウントしてカウント堆積量を取得するためのカウント部と、排気通路におけるフィルタの前後における排気ガスの差圧を取得するための圧力センサと、圧力センサが取得した差圧の長時間平均処理及び平滑化処理により得られる処理済み差圧が洗浄基準差圧に至るときにフィルタのアッシュ洗浄要求を行うためのデータセンタとの通信を行うことによって、現在の処理済み差圧と洗浄基準差圧との比較に基づいて、洗浄基準差圧に相当するアッシュ堆積量から現在のアッシュ堆積量を算出して算出堆積量を取得する算出部と、カウント堆積量を算出堆積量に修正する修正部と、を備える。
【0008】
この装置では、カウント部が、内燃機関の稼働時間に基づいて、フィルタのアッシュ堆積量をカウントしてカウント堆積量を取得する。これにより、常時、フィルタにおけるアッシュ堆積量が取得されることとなる。一方、この装置では、算出部が、フィルタ前後の排気ガスの差圧の長時間平均処理及び平滑化処理により得られる処理済み差圧が洗浄基準差圧に至ったときにフィルタのアッシュ洗浄要求を行うためのデータセンタとの通信を行うことによって、現在の差圧である現在差圧と洗浄基準差圧との比較に基づいて、洗浄基準差圧に相当するアッシュ堆積量から現在のアッシュ堆積量を算出して算出堆積量を取得する。そして、この装置では、修正部が、カウント堆積量を算出堆積量に修正する。したがって、少なくとも差圧の長時間平均が得られる時間間隔でアッシュ堆積量がより正確な値に修正される。よって、この装置によれば、フィルタにおけるPM堆積量の前提に依らず、より正確なアッシュ堆積量が得られる。
【0009】
本開示に係る排気浄化装置では、修正部は、カウント堆積量と算出堆積量とに基づいて、カウント部がカウント堆積量をカウントする際の内燃機関の稼働時間とアッシュ堆積量との関係を示すパラメータを修正してもよい。この場合、修正部による修正後において、カウント部が内燃機関の稼働時間に基づいてカウントして得られるアッシュ堆積量がより正確となる。
【0010】
本開示に係る排気浄化装置では、修正部は、カウント堆積量又は算出堆積量に基づいて、フィルタの粒子状物質燃焼再生を行う差圧の閾値を修正してもよい。この場合、フィルタのアッシュ堆積に起因した必要以上の再生要求が抑制される。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、PM堆積量の前提に依らず、フィルタにおけるより正確なアッシュ堆積量を得ることができる排気浄化装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る排気浄化装置を示す模式図である。
図2図2は、図1に示されたECUの機能的な構成を示す図である。
図3図3は、処理済み差圧とカウント堆積量とを示すグラフである。
図4図4は、フィルタ再生の差圧の閾値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して一実施形態に係る排気浄化装置について説明する。なお、各図において、同一の要素又は相当する要素には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、一実施形態に係る排気浄化装置を示す模式図である。図1に示される排気浄化装置30は、例えばバスやトラック等の大型車両、産業車両に搭載され、エンジン(内燃機関)10によって発生した排気ガスを浄化するためのものである。排気浄化装置30が搭載される車両は、例えばエンジン10を発電用の動力源として利用する、いわゆるシリーズ方式のハイブリッド車であってもよい。ここでは、エンジン10から発生する一酸化炭素(NO)や二酸化炭素(NO)等をまとめて窒素酸化物(NOx)と称する。
【0015】
エンジン10は、ディーゼルエンジン等の内燃機関であり、(例えばハイブリッド車である場合)バッテリの残存容量が低下したときに駆動する。エンジン10は、複数のシリンダ10aを備えている。複数のシリンダ10aには、複数のシリンダ10a内に空気を供給する吸気マニホールド12、及び、複数のシリンダ10aから排出ガスを排出する排気マニホールド13が接続されている。
【0016】
吸気マニホールド12には、吸気通路14が接続されている。吸気通路14には、吸気の上流側からコンプレッサ15及びインタークーラー16が順に設けられている。コンプレッサ15には、吸気が流入する導入管17が接続されている。導入管17にはエアクリーナ18が設けられている。
【0017】
排気マニホールド13には、タービン19を介して排気通路20が接続されている。タービン19は、連結軸を介してコンプレッサ15に連結されている。タービン19は、エンジン10の排気マニホールド13から排出された排出ガスの流れによって回転する。コンプレッサ15は、タービン19の回転に伴って回転し、導入管17から空気(吸気)を取り込み、圧縮された空気を吸気通路14へ送り出す。すなわち、コンプレッサ15及びタービン19は、ターボチャージャーを構成する。吸気通路14内に導入された空気は、吸気マニホールド12を通って複数のシリンダ10aへ導入される。複数のシリンダ10a内に導入された空気は各シリンダ10a内で圧縮される。
【0018】
また、エンジン10の複数のシリンダ10aに近接した位置には、複数のインジェクタ24がそれぞれ設けられている。複数のインジェクタ24は、燃料供給路23が接続されている。燃料供給路23には、燃料ポンプが接続されている。燃料ポンプは、燃料タンクに貯えられた軽油等の燃料を、燃料供給路を介して複数のインジェクタに圧送する。複数のインジェクタ24は、燃料タンクから供給された燃料を複数のシリンダ10a内にそれぞれ噴射する。
【0019】
インジェクタ24からの燃料は、圧縮された空気中に噴射されることより各シリンダ10a内で燃焼され、各シリンダ10a内に配置されたピストンをシリンダ10a内で往復移動させる。ピストンが往復運動することにより、エンジン10が駆動される。
【0020】
排気浄化装置30は、排気通路20に設けられた浄化ユニット40を備えている。浄化ユニット40は、排気通路20に配置されたDPF(Diesel Particulate Filter)装置(フィルタ)41を有している。DPF装置41は、例えば多数の通気孔が形成されたセラミック製のフィルタであり、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集するためのものである。
【0021】
また、浄化ユニット40は、DPF装置41よりも排気ガスの上流側に配置されたDOC(Diesel Oxidation Catalyst)装置42を有している。DOC装置42は、例えばセラミック製の担体と当該担体上に担持される酸化触媒を含み、排気ガスに含まれる炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)等を酸化して浄化する。DOC装置42に含まれる酸化触媒としては、白金、ロジウム、パラジウム等の貴金属触媒が挙げられる。
【0022】
さらに、浄化ユニット40は、排気ガスの上流側から下流側に向けて順に配置された圧力センサ43及び圧力センサ44を有している。圧力センサ43は、DOC装置42とDPF装置41との間、及び/又はDOC装置42の上流側に設けられ、排気ガスの圧力を検出する。圧力センサ44は、DPF装置41よりも下流側に設けられ、排気ガスの圧力を検出する。このように、圧力センサ43,44は、DPF装置41の前後(上流・下流)における排気ガスの圧力を検出することにより、排気通路20におけるDPF装置41の前後における排気ガスの差圧(以下、単に「DPF装置41の差圧」と称する場合がある)を取得することができる。
【0023】
ここで、排気浄化装置30は、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50の動作の詳細については後述する。ECU50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CAN(Controller Area Network)通信回路等を有する電子制御ユニットである。ECU50では、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより後述する各部の機能を実現する。ECU50は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。
【0024】
ECU50は、圧力センサ43,44から情報を取得可能に構成されている。これにより、ECU50は、圧力センサ43,44が取得したDPF装置41の差圧を取得することができる。また、ECU50は、車両外部に設置されたデータセンタAと通信可能に構成されており、データセンタAとの間で情報の授受が可能とされている。
【0025】
データセンタAは、例えば、ECU50を介して定期的にDPF装置41の差圧を取得すると共に、その圧力センサ43,44が取得した差圧の長時間平均処理及び平滑化処理により、定期的に処理済み差圧を算出する。そして、データセンタAは、その算出した処理済み差圧をECU50に送信したり、処理済み差圧が洗浄基準差圧に至るときにDPF装置41のアッシュ洗浄要求を行うための信号をECU50に対して送信したりする。アッシュは、例えば、排気ガスに含まれるオイル由来のものであり、例えば亜鉛化合物やカルシウム化合物等を含む灰分である。
【0026】
図2は、図1に示されたECUの機能的な構成を示す図である。図2に示されるように、ECU50は、カウント部51、通信部52、算出部53、及び、修正部54を有している。カウント部51は、車両又はエンジン10の稼働時間に基づいて、DPF装置41におけるアッシュ堆積量をカウントし、カウント堆積量を取得するためものものである。図3のグラフ(カウント堆積量C1~C3)がカウント堆積量の一例である。
【0027】
通信部52は、圧力センサ43,44及びデータセンタAとの通信を行う。通信部52は、圧力センサ43,44からDPF装置41の差圧を示す情報を受信すると共に、取得した差圧を示す情報をデータセンタAに送信する。また、上述したように、データセンタAから処理済み差圧を示す情報を受信すると共に、データセンタAからアッシュ洗浄要求に係る信号を受信する。ECU50は、アッシュ洗浄要求に係る信号を受信した際には、DPF装置41のアッシュ洗浄を行う旨を車両の乗員や運用者に提示することができる。
【0028】
算出部53は、圧力センサ43,44から通信部52を介して取得した現在の差圧である現在差圧と洗浄基準差圧との比較に基づいて、洗浄基準差圧に相当するアッシュ堆積量から現在のアッシュ堆積量を算出して算出堆積量を取得する。そして、修正部54は、カウント部51が取得したカウント堆積量を、算出部53が取得した算出堆積量に修正する。カウント部51は、修正後の値からアッシュ堆積量のカウントを続ける。引き続いて、データセンタA、算出部53、及び修正部54の動作について、より具体的に説明する。
【0029】
図3は、処理済み差圧とカウント堆積量とを示すグラフである。図3では、圧力センサ43,44からECU50を介して取得したDPF装置41の差圧に基づいて、データセンタAにおいて長時間平均処理及び平滑化処理が施されて生成された処理済み差圧Dがプロットされている。処理済み差圧Dは、車両・エンジン10の稼働時間(横軸)が増すにつれて、DPF装置41へのアッシュの堆積に基づいて処理済み差圧Dが徐々に上昇しくことが理解される。データセンタAは、この処理済み差圧Dが洗浄基準差圧(グラフ中の洗浄閾値)に至ると(或いは至ることが予測されると)、ECU50に対してDPF装置41のアッシュ洗浄要求を示す信号を送信する。
【0030】
一方、データセンタAは、生成した処理済み差圧Dに関する情報をECU50に送信している。上述したように、ECU50では、カウント部51が、車両又はエンジン10の稼働時間に基づいて、DPF装置41におけるアッシュ堆積量をカウントし、カウント堆積量C1,C2,C3を取得している。算出部53は、処理済み差圧Dの洗浄基準差圧に相当する(処理済み差圧Dが洗浄閾値に達したときの)DPF装置41のアッシュ堆積量である堆積量閾値を予め保持しており、この堆積量閾値に基づいて、データセンタAから受信した現在の処理済み差圧Dから現在のアッシュ堆積量を算出して算出堆積量を取得する。
【0031】
すなわち、算出部53は、通信部52を介してデータセンタAとの通信を行うことによって、現在の処理済み差圧Dである現在差圧と洗浄基準差圧との比較に基づいて、洗浄基準差圧に相当するアッシュ堆積量から現在のアッシュ堆積量を算出して算出堆積量を取得する。
【0032】
これにより得られる算出堆積量は、カウント部51がカウントして取得している現在のカウント堆積量と乖離している場合がある。このため、修正部54は、例えば車両の定期メンテナンス時に、算出堆積量とカウント堆積量との乖離を抑制すべく、カウント堆積量を算出堆積量に修正する。これを図3のイメージで説明すると、ある時点のカウント堆積量が、同時点の処理済み差圧R1に基づいて算出された算出堆積量と乖離している場合、当該カウント堆積量を処理済み差圧R1に基づいた算出堆積量P1に修正する(補正する)。
【0033】
さらに、修正部54は、その後のある時点のカウント堆積量が、同時点の処理済み差圧R2に基づいて算出された算出堆積量と乖離している場合、当該カウント堆積量を処理済み差圧R2に基づいた算出堆積量P2に修正する(補正する)。また、修正部54は、さらに後の時点のカウント堆積量が、同時点の処理済み差圧R3に基づいて算出された算出堆積量と乖離している場合、当該カウント堆積量を処理済み差圧R3に基づいた算出堆積量P3に修正する(補正する)。
【0034】
このように、ECU50では、例えば定期メンテナンスの間隔といった適当な間隔でカウントの補正を繰り返し実施する。これにより、ECU50では、DPF装置41にPMが残存していたとしても、正確なアッシュ堆積量を保持し続けることが可能となる。
【0035】
一方、カウント部51は、車両・エンジン10の稼働時間に対して、適当なパラメータを適用することにより、DPF装置41のカウント堆積量を取得している。一例として、カウント部51は、稼働時間に対して適当な比例定数を乗じることによりカウント堆積量を取得している。したがって、ある時点において、処理済み差圧Dに基づいて算出された算出堆積量とカウント堆積量とが乖離している場合、その比例定数(パラメータ)が適当でない場合がある。このため、修正部54は、さらに、例えば定期メンテナンス時に、カウント堆積量と算出堆積量とに基づいて(例えば比較により)、カウント部51がカウント堆積量をカウントする際の稼働時間とアッシュ堆積量との関係を示すパラメータを(上記の例では比例定数)を修正する。これにより、これ以降にカウント部51の取得するカウント堆積量がより正確となる。
【0036】
ところで、排気浄化装置30では、DPF装置41に堆積したPMを燃焼させてフィルタを再生するフィルタ再生を行う場合がある。より具体的には、排気浄化装置30では、図4に示されるように、初期状態において流量に対する差圧の閾値S1が設定されており、ある流量でのDPF装置41の差圧が、この閾値S1に至っているとフィルタ再生が行われる。この閾値S1は、DPF装置41のアッシュ堆積量が0である場合の閾値である。したがって、DPF装置41にアッシュが堆積してアッシュに起因した差圧が生じ始めると、DPF装置41の差圧(PM堆積による差圧+アッシュ堆積による差圧)が頻繁に閾値S1に達するようになり、頻繁なフィルタ再生が発生して燃費悪化の原因となるおそれがある。
【0037】
そこで、修正部54は、フィルタ再生のトリガとなる差圧の閾値を、カウント堆積量又は算出堆積量に基づいて、初期状態の閾値S1から別の閾値S2や閾値S3に修正する。すなわち、修正部54は、カウント堆積量又は算出堆積量に基づいて、DPF装置41の粒子状物質燃焼再生を行う差圧の閾値を修正する。これにより、頻繁なフィルタ再生の発生が抑制され、これによる燃費悪化が抑制される。なお、修正部54は、例えばDPF装置41のアッシュ洗浄の後には、閾値S2や閾値S3にある状態から初期の閾値S1に修正することもできる。
【0038】
以上説明したように、排気浄化装置30、カウント部51が、エンジン10の稼働時間に基づいて、DPF装置41のアッシュ堆積量をカウントしてカウント堆積量を取得する。これにより、常時、DPF装置41におけるアッシュ堆積量が取得されることとなる。一方、排気浄化装置30では、算出部53が、DPF装置41前後の排気ガスの差圧の長時間平均処理及び平滑化処理により得られる処理済み差圧Dが洗浄基準差圧に至ったときにDPF装置41のアッシュ洗浄要求を行うためのデータセンタAとの通信を行うことによって、現在の差圧である現在差圧と洗浄基準差圧との比較に基づいて、洗浄基準差圧に相当するアッシュ堆積量から現在のアッシュ堆積量を算出して算出堆積量を取得する。
【0039】
そして、排気浄化装置30では、修正部54が、カウント堆積量を算出堆積量に修正する。したがって、少なくとも差圧の長時間平均が得られる時間間隔でアッシュ堆積量がより正確な値に修正される。よって、排気浄化装置30によれば、DPF装置41におけるPM堆積量の前提に依らず、より正確なアッシュ堆積量が得られる。
【0040】
また、排気浄化装置30では、修正部54は、カウント堆積量と算出堆積量とに基づいて、カウント部51がカウント堆積量をカウントする際のエンジン10の稼働時間とアッシュ堆積量との関係を示すパラメータを修正する。このため、修正部54による修正後において、カウント部51がエンジン10の稼働時間に基づいてカウントして得られるアッシュ堆積量がより正確となる。
【0041】
さらに、排気浄化装置30では、修正部54は、カウント堆積量又は算出堆積量に基づいて、DPF装置41のPM燃焼再生を行う差圧の閾値S1~S3を修正する。これにより、DPF装置41のアッシュ堆積に起因した必要以上のPM燃焼再生の要求が抑制される。
【0042】
以上の実施形態は、本開示の一側面を説明したものである。したがって、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、任意に変更され得る。
【符号の説明】
【0043】
10…エンジン(内燃機関)、20…排気通路、30…排気浄化装置、41…DPF装置(フィルタ)、43,44…圧力センサ、50…ECU、51…カウント部、53…算出部、54…修正部、A…データセンタ。
図1
図2
図3
図4