(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172763
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】菌根菌 子嚢菌白色木材腐朽菌醗酵及び醗酵産生物質食糧、加工食品、飲料、茶、生薬、家畜飼料製造及び当該菌醗酵による生理活性物質抽出法及び当該菌産生物質製造法。
(51)【国際特許分類】
C12N 1/00 20060101AFI20221110BHJP
C12N 1/14 20060101ALI20221110BHJP
C12P 7/18 20060101ALI20221110BHJP
C12P 7/40 20060101ALI20221110BHJP
C12P 7/54 20060101ALI20221110BHJP
C12P 7/52 20060101ALI20221110BHJP
C12P 13/00 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
C12N1/00 R
C12N1/14
C12P7/18
C12P7/40
C12P7/54
C12P7/52
C12P13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078944
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】511161085
【氏名又は名称】有限会社最上蘭園
(71)【出願人】
【識別番号】519328903
【氏名又は名称】宇井 拓男
(71)【出願人】
【識別番号】520512409
【氏名又は名称】宇井 喜代美
(71)【出願人】
【識別番号】519327803
【氏名又は名称】藤原 澄久
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實
(72)【発明者】
【氏名】宇井 清太
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AC05
4B064AD04
4B064AE01
4B064BJ01
4B064BJ04
4B064BJ13
4B064CA05
4B065AA57X
4B065AC14
4B065CA05
4B065CA10
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4B065CA18
4B065CA41
4B065CA42
4B065CA43
4B065CA54
4B065CA56
(57)【要約】
【課題】
菌根菌の特性を持つ子嚢菌白色木材腐朽菌による発酵を利用して新たな発酵技術を開発すること
【解決手段】
菌根菌の特性を持つ子嚢菌白色木材腐朽菌による原料の発酵による、生活活性物質の産生を利用して生活活性物質含有発酵製品を製造し、難分解性化合物の分解を利用して食品原料中の残留農薬を分解し、植物の細胞膜の脆弱化を利用して含有成分を高速で抽出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
菌根菌の特性を持つ子嚢菌白色木材腐朽菌によって化合物を発酵分解する方法。
【請求項2】
請求項1記載の醗酵分解を利用して醗酵製品を製造する方法。
【請求項3】
菌根菌の特性を持つ子嚢菌白色木材腐朽菌が白トリュフTuber 菌である請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
請求項1記載の醗酵分解を利用し食品原料の残留農薬分解、解毒、清浄化する方法。
【請求項5】
請求項1記載の発酵分解によるピルビン酸、塩化コリン、ブタンジオール、インドール3酢酸、又は3-ヒドロキシン酪酸を産生する方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法を利用して、ピルビン酸、塩化コリン、ブタンジオール、インドール3酢酸、又は3-ヒドロキシン酪酸含有加工食品、飲料、茶、生薬、家畜飼料、その他製品を製造する方法。
【請求項7】
請求項1記載の醗酵分解を利用する植物生理活性物質の抽出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物による植物生理活性物質、生物活性物質抽出及び微生物醗酵産生物質醗酵産生物質含有食糧、加工食品、飲料、茶、生薬、家畜飼料製造に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
世界社会は21世紀に入って産業革命から200年の有限化石資源によるエネルギー、製品化による豊かな炭素社会を築き、経済発展を謳歌してきたツケが廻ってきたように、多様な難問課題を解決しなければならなくなった。世界社会はようやく環境と経済の両立目指して2050年ごろまでに脱炭素社会、カーボン ニュートラルで地球環境の保全を模索している。この21世紀後半の年代は別な方向から俯瞰すれば、超高齢化社会であり、90億人に増加する人口による食糧不足の時代でもある。このまま進行すれば気候変動下での食糧確保のために、農薬依存農業がますます進行する。残留農薬は人体、地球環境、生態系に更に深刻な影響を与えるようになる。
【0003】
現在の世界は温室効果ガス排出による地球温暖化による気候変動による天災の多発、気温上昇による農作物へ病害虫の多発による農薬依存農業がもたらす食糧への残留農薬問題、人口増加を賄う食糧は年々農薬使用量増大によって成立しているが、地球環境、生態系に大きな影響をもたらしている。更に、科学は地球の自然の法則を無視した生分解できないプラスチックを開発し、産廃プラスチック処分による炭酸ガス排出、海洋汚染を起こしている。
【0004】
このような世界社会背景の中に、突如、2020年に新型コロナウイルスが発生し、人類が営々と築いてきた経済、社会を、人類の日常を根底から破壊した。更に、コロナウイルスは超高齢社会における免疫の強弱が生死に関わることを人類に問うている。現代医療はウイルスに敗北した。その中で科学はワクチンで対抗しようとしているが、ワクチンはウイルスを根絶する技術ではない。ワクチン依存は、ウイルスとの共存した新しい生活様式を構築する技術である。つまり、これからの21世紀のアフターコロナ社会は「免疫時代」であると同時に、大量生産、大量消費から持続可能な循環型社会への移行時代であり、食糧を生産する農業も、食品関連業界も例外ではない。
【0005】
真核生物である人類の人体における活動エネルギーは、免疫、抗体作成を含めて、摂取した食物から得ている(
図1,
図2)が、この免疫に大きく関係しているのが毎日摂取している食物に含有する残留農薬である。高齢者が重症化する原因の一つが、高齢になるにしたがって残留農薬に汚染された食物を食べた年数が永いということである。アフターコロナ、ウイルス共存社会における「新しい生活様式」が全世界で提唱されているが、その中で最も重要なものが免疫力を左右する「食物」である。全世界で健康、免疫への関心が現在より更に高くしなければならないことが超高齢化社会における「新しい生活様式」である。それに、農薬を含まない食糧生産、加工食品、飲料、茶、生薬、家畜飼料の生産製造技術の開発が、気候変動対策と共にアフターコロナ社会の喫緊の課題である。
【0006】
本発明者は現在の現在の世界社会が直面している問題、2050年の世界社会が目標としている多様な問題、課題を俯瞰したとき、アフターコロナ以降の社会は、ウイルスと共存で生きる免疫時代であり、超高齢化社会、脱炭素社会、100億人の増大する社会であり、同時に食料不足社会でもある。このような時代の中で人類は健康で長寿を希求するが、これは「医食同源」という言葉のように、病気にならない身体は食による免疫力が重要であり、その強弱で健康が左右される。
【0007】
免疫力を脆弱にする要因の一つに食品の残留農薬がある。新しい生活様式で元気で長寿になるには、残留農薬を含まないものを摂取すると同時に、免疫力をアップする新規な食糧、加工食品、飲料、茶、生薬、を摂取することである。このことは家畜にも当てはまる。このことから、本発明者は、新規で人畜無害な醗酵菌の発見と、この菌を利用して残留農薬を分解清浄化し、この新規な発酵によって多様な免疫力アップ食糧、加工食品、飲料、茶、生薬、家畜飼料などの生産製造を行う必要があるとの考えに至った。
【0008】
現在、広く使用されている醗酵菌である酵母菌、コウジカビ菌、乳酸菌、納豆菌、酢酸菌などで生産されている発酵製品では、これらの菌では原料、製品の残留農薬を分解出来ないため、これを食しても免疫力を十分アップすることが出来ない。この壁を打ち破るには新規な醗酵菌の発見と、これを使用したこれまでにない新規な発酵製品を開発する必要がある。
【0009】
これまで、古来人類は健康への希求から多様な醗酵食品を生み出し摂取してきた。酵母菌、乳酸菌、納豆菌、麹菌、酢酸菌、アルコール酵母菌、アオカビ菌まで利用してきた。更に原料に至っては、利用できるものは殆ど利用してきた。健康食品=醗酵食品とまで喧伝される時代である。既に、ほとんどのものが完成製品化されているようである。しかし、未来の脱炭素社会、免疫時代の食品加工ゴミの処理、免疫、アンチエイジング、健康で長寿という観点から現在の製品を俯瞰するとき、最も重要な残留農薬削除清浄化、エネルギー補完による免疫力アップを図れる製品、加工食品残渣処理などにおいて、更に革新的な技術開発を行ないイノベーションすることが必要である。
【0010】
本発明者は、作物、土壌の残留農薬分解、清浄化技術は、子嚢菌白色木材腐朽菌 菌根菌である白トリュフTuber 菌などを用いて開発し、先に4件の特許出願を行なっている(特許文献1~4)。この技術を用いることで、食糧、加工食品、飲料、茶、飼料、生薬原料から残留農薬を削除可能である。白トリュフTuber 菌培養懸濁溶液に原料を浸漬する工程を加工工程に挿入することで、更に残留農薬を削除した製品の製造が可能である。食品残渣処理による減肥料及び減農薬及び無農薬栽培用資材化は、本発明者の先行知見(特許文献2)で解決可能である。原料の残留農薬分解清浄化技術、加工残渣物の減肥料及び減農薬及び無農薬栽培用資材化技術の川上、川下技術は、既に本発明者によって上記のように特許出願済みである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特願2019-164530号
【特許文献2】特願2019-164410号
【特許文献3】特願2020-142873号
【特許文献4】特願2020-216308号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って本発明にとって解決しなければならない問題課題は残りの次の3項目の課題である。
(1) 免疫アップする成分の生産技術の開発
(2) 免疫アップの成分を含有する多様な人畜無害な食糧、加工食品、飲料、茶、生薬、家畜飼料の全世界での製造
(3) 超短時間植物生理活性物質の抽出技術開発による多様な短時間、低コスト加工食品、飲料、生薬健康ドリンク剤、家畜用飲料製造
この3項目の解決によって、本発明者の発明目的は達成される。目的とする理由は次のようなものである。
【0013】
<(1)の課題について>
本発明者は、免疫時代に適合しエネルギー補完製品は、地球の全真核生物がエネルギー源とするピルビン酸を含有する食糧、加工食品、飲料、茶、家畜飼料、生薬の開発であるとの考えに至った。上述したように、これまでの醗酵微生物には、ピルビン酸を産生する菌は発見されている。しかし、そのピルビン酸は、グルコースから解糖経路の途中の産生されるピルビン酸であることから、短時間で次の物質に変化する、又は、細菌が自身のエサにするためにピルビン酸を産生するために、固体、液体中にピルビン酸を変化することなく保存する例は発見されていない。そこで、本発明者はこれまでの醗酵知見にない子嚢菌白色木材腐朽菌 菌根菌Pezizales菌に属するチャワンダケ科、ショウロウ科の白色木材腐朽菌による「醗酵」の有無検証試験を実施した(
図4)その結果、白トリュフTuber 菌が醗酵菌であることを世界で初めて発見した。これまで、子嚢菌白色木材腐朽菌がリグニン、セルロースをリグニンペルオキシターゼ、マンガンペルオキシターゼ、ラッカーゼなどの酵素で分解しグルコースを産生する研究は行われてきたが、白トリュフTuber 菌醗酵は知られていなかった。この知見によれば、炭水化物を原料にして白トリュフTuber 菌醗酵で容易に解糖経路の最終産物であるピルビン酸を安定した形で産生出来ることになる。更にこの試験によって免疫に重要な成分である塩化コリン、3-ヒドロキシ酪酸も同時に産生することが分析で解明された。
【0014】
<(2)の課題について>
新規発見の白トリュフTuber 菌が醗酵菌であり、この菌が醗酵過程において、これまでの醗酵菌である酵母菌、麹カビ菌、乳酸菌、納豆菌では産生できなかった人、動物、家畜の免疫、エネルギー獲得に関連するピルビン酸、塩化コリン、3-ヒドロキシなどを産生することで、これまでになかった上記の成分を含有した新規な醗酵食糧、加工食品、飲料、茶、生薬、家畜飼料の製造が可能になった。理論的には、炭水化物を含有する植物原料、果実、茎、塊根を原料とし、白トリュフTuber 菌醗酵で生産することが可能であることから、全世界で栽培されている作物ばかりでなく、各国に自生する原種植物を原料にすることも可能である。このことは、本発明が全世界で実施出来ることを示唆しており、2の課題は解決する。
【0015】
<(3)の「課題について>
植物には人間の健康に有効な生理活性物質を含んできるものが多く、これを水、湯、有機溶媒などで抽出し、多くの製品を開発製品化してきた。しかし、植物活性物質には、多くの場合水に不溶、湯に不溶、有機溶媒に不溶なものが多くあり、単一抽出工程では、植物生理活性物質の全てを短時間で抽出できない。それで、抽出できない成分は利用されることなく加工廃棄物として未利用のまま廃棄処分されてきた。
白トリュフTuber 菌醗酵では、白色木材腐朽菌の特性で、短時間で植物組織細胞のリグニン、セルロースを分化、脆弱化することで、細胞内の生理活性物質を短時間で速やかに、常温で溶出、抽出可能である。この特性を利用すれば短時間で生理活性物質を含有した飲料、生薬健康ドリンク剤などを製造することが可能である。
本発明者は、先の出願(特許文献1)で白トリュフTuber 菌が子嚢菌 菌根菌であるにもかかわらず、リグニン、セルロースを分解出来る特性を具備していることを世界で初めて発見したが、本発明に、この白色木材腐朽菌の特性を利用したことで本発明の課題を達成したものである。
【0016】
本発明者は、次のような5項目の目標を掲げて研究試験を実施した。
(1) 残留農薬を含まない、又は限りなくゼロに近い免疫に影響を与えない、免疫力をアップさせる安心安全な食糧、加工食品、飲料、茶、生薬、家畜飼料を生産製造する。
このような製品を製造するには、原料に残留農薬が含有しない栽培でしなければならない。そのためには、全世界の圃場で減肥料及び減農薬及び無農薬栽培を行ない、残留農薬を含有しない原料を生産することが望ましい。この栽培法は本発明者が前記したように4件の特許出願を行なっている。
しかし、地球の気候変動、温暖化によってますます農薬依存農業を行なわなければ、原料生産が安定的に行われないことから、残留農薬を含有した原料の場合は、栽培現場、加工時にも残留農薬を分解、解毒清浄化することが本発明の必須条件である。本発明者は原料である圃場における作物の白トリュフTuber 菌による残留農薬分解、解毒清浄化法は先行特許出願(特許文献4)している。本発明では、更にこの原料残留農薬を白トリュフTuber 菌懸濁液浸漬による分解、解毒清浄化に改良を加え、より以上の安心、安全な製品製造法を提供する。
【0017】
(2) 子嚢菌白色木材腐朽菌である白トリュフTuber 菌が醗酵菌であることを利用し、これまでにない新規なピルビン酸含有及び塩化コリン、3-ヒドロキシ酪酸含有の多様な食糧、加工食品、飲料、茶、生薬、家畜飼料などを開発する。
ピルビン酸は地球に生息する全ての真核生物のエネルギー源である。しかし、これまで、ピルビン酸含有の製品を作ることが出来なかった。その理由は、これまでのピルビン酸を産生する微生物は、例えば酵母菌はグルコースからピルビン酸、そしてアルコール生産を行ない、嫌気性細菌はグルコースからピルビン酸を作りこれをエサにして食べ繁殖するなど、自身のエネルギー源のエサや、解糖経路の中間産生物質であり、抽出が困難であったからである。ところが、白トリュフTuber 菌は植物のリグニン、セルロースからリグニンペルオキシターゼ、マンガンペルオキシターゼ、ラッカーゼなどの分解酵素でグルコースを作り、グルコースから醗酵によってピルビン酸を産生し、酵母菌のようにアルコールに、嫌気性細菌のように自身のエサとして食べることなく、白トリュフTuber 菌のエサであるリグニン、セルロースなどの炭水化物存在する場合は、他の条件が満たされた条件下では、永続的にピルビン酸を産生する。この白トリュフTuber 菌醗酵のピルビン酸産生によって、世界に例のない新規なピルビン酸含有の多様な製品の開発が可能となった。
【0018】
このピルビン酸は、人間の身体の37兆とも60兆個ともいわれる細胞ミトコンドリアのクエン酸回路でエネルギーに変換される物質である。(
図1、
図2)免疫力を持続させるにも、免疫細胞を多く作るにもエネルギーが必要である。コロナウイルスと戦う体力もエネルギーが作るものである。その源がピルビン酸である。アフターコロナ社会は、免疫がキイポイントであり、次々に生まれる新型ウイルスに対抗するにはワクチンより自身の免疫力である。
【0019】
本発明の白トリュフTuber 菌による残留農薬分解清浄化とピルビン酸含有食糧、加工食品、飲料、茶、生薬などの製品によって、超高齢化社会における、アンチエイジング、健康長寿が可能になる。更に、畜産、ペット飼料にピルビン酸を含有させることで、免疫アップ、夏負けなどに負けない家畜、ペットになる(
図35)。
【0020】
(3) 白トリュフTuber 菌の白色木材腐朽菌の特性を利用して、植物生理活性物質、生物活性物質の短時間抽出により、生薬成分含有健康ドリンク剤、医薬品原料、皮膚機能性化粧料原料、農薬原料を製造する。
【0021】
(4) 本発明は、更に2050年の炭酸ガス排出ゼロに適合する産廃ゴミを生まない食品製造技術も合わせて提供し、加工食品、飲料、茶などの残渣に白トリュフTuber 菌を生息させることで(
図36)減肥料及び減農薬及び無農薬栽培を可能にする。この技術は先に特許出願している(特許文献2)。
【0022】
(5) 本発明は、加工食品、飲料、生薬、畜産飼料の原料に残留農薬を含有している場合を想定し、加工工程内に白トリュフTuber 菌による分解、解毒清浄化技術を挿入し、残留農薬を含まない製品製造を行なう(
図17)。
【0023】
本発明者は、以上のような課題解決のために膨大な試験を実施し、白トリュフTuber 菌の特性の全貌を明らかにした。本発明は、係る白トリュフTuber 菌の多様な特性を利用したものであるが、特に、白トリュフTuber 菌醗酵の発見によるものが重要である。
すなわち、子嚢菌白色木材腐朽菌菌根菌である白トリュフTuber 菌による醗酵が、これまでの醗酵に無い次世代醗酵製品を製造できることを発見した。その新規な発見は白トリュフTuber 菌の具備する多様な特性の中から、本発明に有用ないくつかの特性を利用することで新しい生活様式議題に適合した残留農薬清浄化した、ピルビン酸含有の新規な多様な機能性製品の製造が可能となった。
【0024】
本発明は全世界で実施することを視野に入れて開発したものである。
本発明は、本発明者による白トリュフTuber 菌の特性解明試験、先行特許出願4件(特許文献1~4)のため試験と、本発明の為に実施した追加試験の膨大な知見を基に、これまでの醗酵における固定観念を削除、排除して行い、今までに例を見ない子嚢菌、白色木材腐朽菌 菌根菌である白トリュフTuber 菌による醗酵の発見によって達成されたものである。
【0025】
アフターコロナ社会は免疫時代であり、本発明において新規な子嚢菌木材腐朽菌 菌根菌である白トリュフTuber 菌を用いた理由は、本発明の目的である上述した5項目は、ただ単に新規な免疫アップ、アンチエイジング、健康長寿を図る食糧、飲料などの製品製造だけでなく、それらの加工原料が世界各地の農業圃場で生産される農産物であることから、本発明の製品は、原料生産の農業圃場現場での残留農薬分解解毒清浄化から、人体のエネルギー源であるピルビン酸含有の多様な加工食品、飲料、生薬、畜産飼料、更に加工処理工程で発生する加工残渣処理まで、脱炭素社会、カーボンニュートラルによる温室効果ガス排出ゼロ、更に、残渣の白トリュフTuber 菌醗酵による減肥料及び減農薬及び無農薬栽培用資材への改変による産廃ゴミを発生しない、安心、安全な加工原料の生産調達まで川上から川下まで単一菌、白トリュフTuber 菌で一貫して行うことができるからである。
【0026】
そのため、前記したような膨大な本発明に関連する先行試験を基に、本発明のための追加試験を実施し、子嚢菌 白色木材腐朽菌 菌根菌の特性を具備した白トリュフTuber 菌醗酵による多様な醗酵世界の革新的新技術の開発に成功したものである。
本発明者は、新規な醗酵菌 子嚢菌白色木材腐朽菌 菌根菌 白トリュフTuber 菌の醗酵を発見した(
図4)。この新しい知見により、白トリュフTuber 菌の多様な特性に「醗酵」が加わったことで、アフターコロナ社会、脱炭素社会における加工食品、飲料関連の革新イノベーション技術、製品を作ることが可能になり本発明が完成した。
【0027】
アフターコロナ社会における ウイルスとの共存生活、新しい生活様式における食糧、加工食品、飲料、茶、生薬、更に畜産、ペット飼料は、より「健康」意識が高まり、現在の製品より更に免疫、アンチエイジング、元気で長寿指向の合致した製品が要求されることが予想される。現在の発酵技術で生産されるものは殆ど出尽くされ、乳酸菌、酵母、納豆菌などの発酵食品が健康に良いとされているが、これらの菌は残留農薬を完全には分解出来ない。現在の多様な製品は、原料に含まれる残留農薬を分解、解毒清浄化しないまま製品化され摂取されている。これでは、摂取することが逆効果になる可能性がある。しかし、原料から残留農薬を完全に分解清浄化する有効な技術は存在しなかったことから、残留農薬を含まない製品を作ることは不可能であった。
【0028】
全世界のアフターコロナ社会における新しい生活様式における食生活、食文化は、免疫を高めるものでなければならない。そうであるならば、残留農薬の含まないものを製造する新規な革新的な技術を開発 食品加工イノベーションを行なわなければならない。
乳酸菌、納豆菌、酵母などの菌では、能力が限定的であることから現在以上の製品は開発できないからである。
【0029】
主要な発明の他に派生的に発明された事項を、以下列記する。
(ア) 白トリュフTuber 菌懸濁液に加工原料浸漬による残留農薬の含有しない食品、飲料、飼料、茶免疫アップ製品の製造。
(イ) 白トリュフTuber 菌醗酵ピルビン酸、塩化コリン、3-ヒドロキシ酪酸、インドール3酢酸のエネルギー、細胞増殖成分含有の健康長寿、アンチエイジング製品、サプリメント、加工食品、飲料、茶、生薬、生薬、家畜、ペット飼料、その他製品の製造。
(ウ)活性物質、生物活性物質の短時間抽出 生薬ドリンク剤製造。
(エ) 白トリュフTuber 菌菌糸体キチン、ピルビン酸含有多機能性免疫アップ、整腸、パンの製造。
(オ) 醗酵乳製品とピルビン酸含有製品の複合製品によるグレードアップ健康食糧、加工食品、飲料、茶、飼料、パン製造。
(カ) 食品、加工食品残渣の減肥料及び減農薬及び無農薬栽培用資材による食品加工原料の安定生産。
(キ) 炭酸ガス排出ゼロの2050年対応のゴミを生まない食品加工技術。
(ク) ピルビン酸の嫌気性水素産生細菌分解による水素生産。
(ケ) 白トリュフTuber 菌醗酵派生物質としてピルビン酸、植物ホルモン、インドール3酢酸の医薬品、化粧料原料生産。
(コ) 世界各地の農産物、特産作物を原料し多様な新規製品の製造。
【0030】
本発明の食料とは主食も含めた食べ物全般、もしくは、調理する食材を意味し、本発明の加工食品とは、何らかの加工を施した食品であり、水産練り製品・肉加工品・乳加工品・嗜好食品・調味料・菓子類・冷凍食品・レトルト食品・缶詰食品・インスタント食品等、本発明の飲料とは茶、緑茶、紅茶、中国茶烏龍茶、ハブ茶、麦茶、そば茶、ブレンド茶、ほうじ茶、ぎょくろう、プーアル茶、うめこぶ茶、マテ茶、チョコレート、コーヒー、ココア、タピオカ、清涼飲料水果汁飲料(柑橘類・リンゴ・ブドウなど)炭酸飲料、機能性飲料、スポーツ飲料、ノンアルコール飲料が例示される。
また、本発明の生薬とは、民間薬草、漢方薬草のことであり、本発明の家畜ペット飼料とは、牧草、穀物残渣、家畜ペット用飲料のことであり、生理活性物質とは、植物細胞内に含有する生理活性物質であり、タンニン、α-ピネン、ポリフェノールなどが例示される。
さらに、本発明の醗酵産生物とは、醗酵によって微生物が産生する物質のことを意味し、ピルビン酸、塩化コリン、3-ヒドロキシ酪酸 インドール3 酢酸、キチンナノファイバー、白トリュフTuber 菌醗酵成分、などが例示される。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は、本発明者によるPezizales 菌に属するセイヨウショウロ科白トリュフTuber magnatumの多様な特性検定試験の中で、初めて発見した特性を利用することで、本発明を完成させた。本発明では、白トリュフTuber 菌を用いて試験実施したが、白トリュフTuber 菌の属するTuber菌は世界各地に約180種発見されている。更にTuber菌の属するチャワンダケ目の中には、白トリュフTuber 菌のように子嚢菌、白色木材腐朽菌、菌根菌の特性を具備した菌も存在することから、今後の試験研究によって、それらの菌種も同じように使用できる可能性があることから、白トリュフTuber 菌に限定するものではない。
【0032】
本発明で利用した特性は下記のものである。
1 白トリュフTuber 菌が醗酵菌であること。
2 白トリュフTuber 菌がリグニン、セルロースを分解・解糖してピルビン酸、塩化コリン、3-ヒドロキシ酪酸、乳酸など)を産生すること。
3 子嚢菌であるが担子菌白色木材腐朽菌と同じようにリグニン、セルロースを分解出来る白色木材腐朽菌の特性を具備していること。
4 ピルビン酸を原料として インドール 3 ピルビン酸を作り、細胞増殖ホルモン 植物ホルモン インドール 3 酢酸を産生すること。
5 原料栽培中に残留農薬を速やかに分解して、加工食品原料を生産できること。
6 加工食品などの原料を加工処理工程で残留農薬を分解清浄化出来ること。
6 生理活性物質、生物活性成分を速やかに抽できること。
7 白トリュフTuber 菌は人畜無害菌であること。
8 強い抗菌力で病害菌を抑止、不活性化できること。
9 白トリュフTuber 菌は菌根菌であり食品、加工食品残渣に白トリュフTuber 菌生息させることで減肥料及び減農薬及び無農薬栽培用土壌改良材にして安定栽培できること。
10 植物油廃油を分解出来ること(植物品加工で「ゴミ」が生じない)。
【0033】
本発明は世界各地で実施することを視野に入れ、醗酵の世界でこれまで利用されなかった子嚢菌の白色木材腐朽菌である白トリュフTuber 菌が醗酵出来る菌であることを発見し、この知見を利用して本発明を完成させたものである。
白トリュフTuber 菌は、菌根菌であるために、子実体からの新しい菌糸体の培養が難しく、このため菌糸体の大量生産が極めて困難であるため、醗酵業界では白トリュフTuber 菌を利用することなど想定されなかった。このため、本発明者は白トリュフTuber 菌の子実体の入手から試験を始めなければならなかった。
【0034】
イタリア、アルバから輸入した白トリュフTuber 菌子実体(
図3(1))から、慣行培養技術の平板培養で得た新しい菌糸体(用いて、菌糸体、白トリュフTuber 菌原液の大量生産(
図3(4))に成功した(特許文献1)。この大量培養で得た菌糸体懸濁を用いて本発明の目的に適した多様な白トリフ菌醗酵関連の技術、産生物、製品の製造試験を行った。
【効果】
【0035】
これまでの醗酵微生物、乳酸菌、酵母菌、麹菌、納豆菌は難分解性植物化合物であるリグニンを分解できず、これらの微生物醗酵は地球の炭素循環の一部分を担う菌であり、炭水化物から一つの菌で糖化、解糖、そして解糖経路の最終産物である「ピルビン酸」「塩化コリン」「3-ヒドロキシ酪酸」「インドール 3 酢酸」を産生することが不可能であった。
本発明は、リグニン、セルロースを分解する地球唯一の菌である白色木材腐朽菌の特性を持つ子嚢菌白色木材腐朽菌 菌根菌 白トリュフTuber 菌による醗酵を利用することにより、これまでの醗酵微生物では製造できなかった化合物を生産することができ、これまでの醗酵微生物ではなし得なかった発酵製品原料中の残留農薬を分解することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図4】白トリュフTuber 菌が醗酵菌である実証試験
【
図5】トリュフTuber 菌醗酵バナナピルビン酸の製造
【
図6】加工食品残渣の白トリュフTuber菌醗酵による植物ホルモン産生試験
【
図7】白トリュフTuber 菌醗酵による洋ナシ、アルプチン、新規酸味遮断物質及び新規甘味成分の抽出試験
【
図8】白トリュフTuber 菌によるバナナピルビン酸ドライフルーツの製造試験
【
図9】白トリュフTuber 菌によるグリセリン溶液醗酵分解試験
【
図10】白トリュフTuber 菌によるネオニコチノイドの分解試験
【
図11】白トリュフTuber 菌分解による除草剤分解試験
【
図12】白トリュフTuber 菌による除草剤分解試験
【
図13】白トリュフTuber 菌懸濁液散布によるサクランボ 加工原料の残留農薬分解・清浄化試験
【
図14】加工食品工程における残留農薬分解浄化工程図
【
図15】白トリュフTuber 菌による茶葉残留農薬分解試験
【
図18】白トリュフTuber 菌が醗酵菌であることの実証試験
【
図19】白トリュフTuber 菌醗酵乳酸産生試験
【
図20】白トリュフTuber 菌を利用した醗酵免疫押し麦製造試験
【
図21】白トリュフTuber 菌醗酵酸性溶液による免疫ジャム製造試験
【
図22】白トリュフTuber 菌による短時間醗酵免疫果汁ピルビン酸飲料製造試験
【
図23】白トリュフTuber 菌醗酵ピルビン酸含有チョコレート製造試験
【
図24】白トリュフTuber 菌醗酵産生ピルビン酸、菌糸体由来キチンファイバー含有の機能性免疫パン製造試験
【
図25】白トリュフTuber 菌醗酵ピルビン酸含有免疫アップ麺製造試験
【
図26】白トリュフTuber 菌醗酵を利用したウコギ青汁製造試験
【
図27】白トリュフTuber 菌醗酵による家畜飼料製造試験
【
図28】白トリュフTuber 菌醗酵畜産飼料製造試験
【
図29】白トリュフTuber 菌醗酵畜産飼料養鶏卵生産試験
【
図30】白トリュフTuber 菌醗酵による生理活性物質、生物活性物質の短時間抽出試験
【
図31】白トリュフTuber 菌醗酵による柿タンニン抽出試験
【
図32】白トリュフTuber 菌醗酵によるワサビ生物活性成分アリルイソチオシアネート抽出試験
【
図33】白トリュフTuber 菌醗酵による松葉α―ピネン抽出試験
【
図34】白トリュフTuber 菌醗酵による植物廃棄油分解試験
【
図35】加工食品残渣の白トリュフtuber菌醗酵による減肥料及び減農薬及び無農薬栽培用資材製造
【
図36】白トリュフTuber 菌培養懸濁液の植物組織浸透性試験
【
図37】加工食品残渣の白トリュフTuber 菌醗酵による植物ホルモン産生試験
【
図38】白トリュフTuber 菌によるハチミツネオニコチノイド分解清浄化試験
【発明を実施するための形態】
【実施例0037】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0038】
[実験例1]
<白トリュフ菌Tuber.菌生育試験>
白トリュフ菌Tuber.は、下記の基本培地上に取り出した白トリュフ子実体溶解菌糸体(
図3(2))から伸びた菌糸を培養し、得られる分離コロニー(菌叢)(
図3(3))から菌糸体を採取して大量に培養することができる(
図3(4))。この菌叢の主成分はキチンである。
【0039】
【表1】
このようにして大量に得られたコロニーを粉砕し、得られた懸濁液をそのまま若しくは水で希釈して、以下の実験に使用した。
【0040】
[実験例2]
<白トリュフTuber 菌が醗酵菌であることの実証試験1>
白トリュフTuber 菌が醗酵菌であることを実証するため、以下のような実験を行った。
2000ccのガラス製の保存ビンに、供試材料としてバナナ(皮削除)200g、水1800ccを充填し、これに本発明の白トリュフTuber 菌培養懸濁液20ccを添加し、最低10℃、最高25℃の室内で静置培養した。白トリュフTuber 菌は強い抗菌性具備している(特許文献1)ので、原料、培養水は特に殺菌していない。
培養7日後の状態を
図4(1)に示す。白トリュフTuber 菌が盛んに繁殖し醗酵を行なっていることが判る。これは、本画像が白トリュフTuber 菌が醗酵菌であることを、実証するものである。
【0041】
[実験例3]
<白トリュフTuber 菌が醗酵菌であることの実証試験2>
白トリュフTuber 菌が糖をエサにして繁殖し醗酵するが、リグニン、セルロース以外のグリセリンでも繁殖し醗酵するかの実験を行った。
[実験方法]
植物残渣に、水1000cc、グリセリン30ccを混合し、これに白トリュフTuber 菌懸濁液20ccを添加し(
図6(1))、最低10℃、最高25℃の室内で静置培養した。
培養10日後の状態を
図6(2)に示す。このように、白トリュフTuber 菌が子嚢菌木材腐朽菌でありながら、リグニン、セルロース以外のグリセリンでも生育することが実証された。
【0042】
[実験例4]
<白トリュフTuber 菌の発酵を利用したピルビン酸が産生されることの実証試験>
白トリュフTuber 菌の醗酵を利用してピルビン酸が産生できることを実証するため、以下のような実験を行った。
白トリュフTuber 菌醗酵培地として、水1000cc、ハイポネックス3g、糖蜜30gの培地醗酵溶液20cc、pH6.0を用い、最低10℃~最高25℃の培養温度で培養した。7日後の醗酵状態を
図4(2)に示す。
この発酵液の成分を分析した結果は以下の通りであった。
【0043】
【0044】
[実験例5]
<白トリュフTuber 菌が発酵菌であることの実証試験>
白トリュフTuber 菌が発酵菌であることを実証するため、以下のような実験を行った。
雑草100gを水1000ccに投与し、これに白トリュフTuber 菌懸濁液10ccを添加(
図18(1))、培養温度最低15℃、最高25℃の好気条件下で室内静置培養させた。
図18(2)は、培養10日後の状態で、雑草に白トリュフTuber 菌が生息繁殖し、盛んに雑草を醗酵分解しており、白トリュフTuber 菌は醗酵菌であることが判る。
これを利用することで、免疫アップ、エネルギー補給、アンチエイジング、スポーツドリンク、元気で長寿用の多機能性製品を製造することができる。
そこで、ハイポネックス培地による白トリュフTuber 菌醗酵産生成分を分析し、如何なる成分が産生されるかを調べた。
醗酵のための培養液組成は、水1000cc、ハイポネックス3g(NPK源)、白砂糖30gであり、これに、白トリュフTuber 菌を添加し、最低15℃~最高30℃で培養し、15日後の発酵溶液を分析した。結果を以下に示す。
【0045】
【0046】
白トリュフTuber 菌による醗酵で、これまでの醗酵微生物で生産できなかったピルビン酸、塩化コリン、3-ヒドロキシ酪酸、インドール3酢酸などの免疫、細胞増殖に関係する成分を醗酵産生することが実証された。このようにして産生された成分を多様な製品添加することで、免疫アップ、エネルギー補給、アンチエイジング、スポーツドリンク、元気で長寿用の多機能性製品を製造することができる。
【0047】
[実験例6]
<白トリュフTuber 菌の発酵を利用した乳酸が産生されることの実証試験>
白トリュフTuber 菌の醗酵を利用して乳酸が産生できることを実証するため、以下のような実験を行った。
白トリュフTuber 菌醗酵培地として、水1000cc、皮を剥いたバナナ200gを容器に充填し、これに白トリュフTuber 菌10ccを添加し、最低15℃~最高25℃の温度下、常温の室内で静置培養した。72時間後の発酵溶液(
図19)を濾過し溶液の成分を分析した。結果を以下に示す。
【0048】
【表4】
また、この飲料を「日本食品センター」にて分析した。食品表示法に基づくデータは以下の通りであった。
【0049】
【0050】
白トリュフTuber 菌醗酵によりバナナ含有炭水化物を解糖経路によって72時間の短期間の発酵によって「乳酸」を産生することが本試験によって実証された。これまでの先行知見では、糖から乳酸を産生する菌は細菌である「乳酸菌」とされてきた。しかし、本試験によって、子嚢菌 白色木材腐朽菌である白トリュフTuber 菌が、醗酵の解糖経路において「乳酸」を産生することが明らかになった。
この乳酸から醗酵を継続させることで解糖経路の最終産生物質であるピルビン酸を産生する。本発明は、白トリュフTuber 菌醗酵によるピルビン酸含有の免疫アップする多様な食糧、加工食品、飲料、生薬の製造を目的としているが、本試験によって、炭水化物→グルコース→乳酸→ピルビン酸の解糖が白トリュフTuber 菌の単一菌によって行うことが判明したことで、短期間の白トリュフTuber 菌醗酵でノンアルコールの多様な製品の製造が期待できる。
今回の実験で検出されたブタンジオールは、多様な化学製品の凡庸原料として石油化学で生産されているが、近年微生物による産生が研究され注目されている化合物である。
【0051】
[実験例7]
<白トリュフTuber 菌醗酵によるブドウ短時間抽出免疫ドリンク剤製造試験>
新規な白トリュフTuber 菌醗酵による超速ピルビン酸含有免疫アップのノンアルコールブドウジュース製造である。
[製造法]
水450cc、皮付きのブドウ(品種デラウエア)50g、及び白トリュフTuber 菌懸濁液10ccを500ccペットボトルに充填し、最低20℃~最高35℃の培養温度で72時間静置培養したところ、素晴らしく飲み口の良いピルビン酸含有ブドウ果汁を製造できた。
この飲料を「日本食品センター」にて分析した。食品表示法に基づくデータは以下の通りであった。
【0052】
【0053】
[実験例8]
<白トリュフTuber 菌を利用したバナナピルビン酸含有飲料の製造試験>
白トリュフTuber 菌の醗酵を利用してバナナピルビン酸含有飲料の製造実験を行った。
100℃、10分加熱殺菌したガラス製の保存ビンに、供試材料としてバナナ(皮削除)2本、水2000ccを充填し、これに本発明の白トリュフTuber 菌培養懸濁液10ccを添加し、最低10℃、最高25℃の室内で3~5日間、静置培養した(
図5(1))。
十分発酵させた発酵液を濾過して得られた溶液を
図5(2)に示す。
バナナには醗酵に必要な澱粉、炭水化物、糖質、タンパク質、遊離アミノ酸など含有している。これらの成分を白トリュフTuber 菌が分解醗酵してピルビン酸を産生する。この発酵液を家畜のエサに混合して与えることによって、エネルギー源を補完することで元気で長寿、病気衰弱を改善する非常にアンチエイジング効果が高いピルビン酸免疫機能性ドリンク剤が出来る。この液は、人間の飲料にも使用でき、一日の摂取量 体重50kg当たり40cc程度でよい。
図5(3)は試作品である。
また、緑茶、紅茶原料から水、湯で抽出した液、あるいは最近嗜好品飲料としてブームになっているタピオカドリンクなどに、本方法で製造したバナナを白トリュフTuber 菌醗酵ピルビン酸含有溶液を適宜添加することで、簡単に免疫アップ機能を具備した飲料を製造できる。
【0054】
[実験例9]
<白トリュフTuber 菌を利用した洋ナシの発酵による、アルプチン並びに新規酸味遮断物質及び新規甘味成分の抽出試験>
洋ナシ、ラフランスなどには機能性皮膚美白成分アルプチン、並びに本発明で新たに発見した酸味遮断物質、糖質ゼロ甘味物質が含まれており、これらの成分の白トリュフTuber 菌醗酵による超速抽出法試験を行った。
供試材料として洋ナシ、ラフランスを用い、保存ビン500ccに、水 500cc、洋ナシ皮付細断片 100gを充填し、最低10℃~最高25℃の培養温度下、室内、明所で静置培養した。
図7は、培養3日後の状態。写真から明らかなように白トリュフTuber 菌はラフランスの果皮、細胞のリグニン、セルロースを超速で分解、脆弱化するので、細胞内の成分が抽出し易くなり、前記ラフランス中の有効微量成分を短時間で抽出することが期待できる。
【0055】
[実験例10]
<白トリュフTuber 菌を利用したバナナ、ピルビン酸含有ドライフルーツの製造試験>
果実の加工食品として多様なドライフルーツが市販されている(
図8(1))が、これまでのドライフルーツは乾燥させ保存を目的に作られていた。
本発明によるドライフルーツは、白トリュフTuber 菌醗酵を行なうので、ピルビン酸などの成分を含む免疫機能性ドライフルーツが製造できる。
図8(2)は、供試材料としてバナナを用い、皮を剥いたバナナを水に浸漬する。水の高さはバナナの高さにし、白トリュフTuber 菌培養液を添加する。3から5日、最低10℃、最高温度25℃で培養し、バナナに白トリュフTuber 菌が繁殖したとき、バナナを熱乾燥する。ほとんどの果実は、上記の方法で免疫ドライフルーツにすることが出来る。
また、粉体の製造も可能である。
【0056】
[実験例11]
<白トリュフTuber 菌を利用したグリセリン溶液醗酵分解試験>
植物油廃棄油の処理は、現在デーゼル車用燃料であるバイオ油として再生使用されている。この再生処理過程で「グリセリン」「グレセリン含有処理水」が発生し、この処理に多大なコストをかけている。更に近い将来電気自動車となりデーゼル車が製造中止となった場合、現在の食品加工で使用されている膨大な食用油の廃棄油は、新たな産業廃棄物となり行き先がない廃棄物油脂となる。
本発明では、この近い将来問題になる食品加工廃棄油脂の分解も発明目的の一つである。
試験方法は、水980cc、グリセリン20cc(グリセリン2%溶液)にハイポネックス3g(N6,5 P6 K19%含有)、白トリュフTuber 菌懸濁液10ccを添加し、この混合溶液を300cc三角フラスコに分注し、最低5℃~最高15℃の培養温度で室内静置培養を行なった。処理後の処理水の成分は以下の通りであった。
【0057】
【表7】
図9は、培養7日後の白トリュフTuber 菌醗酵状態を示す。白トリュフTuber 菌はグリセリン溶液を低温、短時間で生育醗酵することが実証された。この試験は食品廃棄物食用油脂を白トリュフTuber 菌で処理することが出来ることを示唆している。
【0058】
[実験例12]
<白トリュフTuber 菌を利用した農薬分解実証試験>
生物生態系における農薬残留で世界的に最も問題になっている農薬は「ネオニコチノイド剤」である。この農薬は残効性に優れた特性を具備していることから世界中で多くの害虫防除に使用されている。この農薬の残留成分が多様な昆虫の生態系、特にミツバチに及ぼす大きな影響から、世界各国で使用禁止が拡がっている。
以上のことから、ネオニコチノイド剤系の農薬「ニテンピラム」を用いて「白トリュフ」Tuber菌懸濁液希釈液散布による残留農薬の分解解毒試験を行った。
白トリュフTuber 菌を利用して、殺虫剤ネオニコチノイド剤(ニテンピラム)が分解されることを実証するため、以下のような試験を行った。
供試材料 菌根イソギク 2トレイ。
農薬名 ニテンピラム剤 100倍希釈液
残留農薬分解解毒剤 白トリュフTuber 菌懸濁液100倍溶液
試験は2回実施した(実施例A、実施例B)。
実験A
(1)菌根イソギク2トレイにニテンピラム1000倍希釈液を噴霧散布した(
図10(1))。
(2)片方のトレイにニテンピラム剤の散布24時間後に、白トリュフTuber 菌懸液散布し(処理区)、残りの1トレイは無処理区とした。
(3)無処理区、処理区のトレイからそれぞれ菌根イソギクの茎葉を3日後、7日後に採取し、ニテンピラム剤散布後の残留農薬濃度と、白トリュフTuber 菌懸濁液24時間後、及び5日後のニテンピラム剤の残留農薬濃度を検定した。
検体の作成は、処理区、無処理区より菌根イソギク10gを採取し、すり鉢ですりつぶした検体から1gを、99ccのハチミツにミックスし100gの検体溶液(菌根イソギク100倍希釈ハチミツ)を作成した(
図10(2)のHG1)。
実験B
農薬は自然に放置しても散布後徐々に分解が進行するので、白トリュフTuber 菌懸濁液散布の効果を検証するために、白トリュフTuber 菌懸濁液散布を48時間後とした以外は実験Aと同様な実験を行い、無処理区と白トリュフTuber 菌懸濁液処理区の菌根イソギクをニテンピラム剤の散布6日後の同じ日に採取し、すりつぶした後、1gを99gの蜂蜜に混合し夫々100gの検体(菌根イソギク100倍希釈ハチミツ)を作成して検定した(
図10(2)のMM2)。
実験A,Bの検体を分析会社(一般財団法人 三重県環境保全事業団)に、それらの残留農薬成分の検定を依頼した。
検定結果
実験A 白トリュフTuber 菌懸濁液散布5日後のニテンピラム残留農薬成分値
無処理区 0.52ppm
処理区 0.01ppm(分析機器限界値)
ニテンピラム殺虫剤散布1日後の残留成分は0.52ppmと非常に高い数値であるが、白トリュフTuber 菌懸濁液散布5日後のニテンピラム残留成分は0.01とほとんどゼロに近いところまで分解解毒した。なお、ニテンピラム残留成分の環境基準値は0.01ppmである。
実験B 白トリュフTuber 菌懸濁液6日後のニテンピラム残留農薬成分値
無処理区 0.03ppm
処理区 0.01ppm(分析機器限界値)
実験Aの結果が示すように、無処理区は散布翌日では0.52ppmであるが、自然分解によって0.03ppmまで減少した。一方、白トリュフTuber 菌懸濁液処理区では(48時間後散布)0,01ppmとほとんどゼロに近いところまで減少した。
実験A、Bにより、白トリュフTuber 菌懸濁液散布で0,01ppm分析限界値までニテンピラム残留農薬を分解解毒することが実証された。
また、上記の検定値が示すように、白トリュフTuber 菌懸濁液の農薬散布後24時間、48時間の噴霧散布によって、作物、植物生体内の残留農薬成分を分解解毒することが実証された。
植物、作物生育中における農薬散布の生体内残留農薬の分解、解毒技術は、先行知見、先行文献は見当たらず、新規な発想による「白トリュフ」Tuber菌による試験である。
本検定による数値は、農薬散布後24時間から48時間後に「白トリュフ」Tuber菌懸濁液希釈100液を噴霧散布することで、生育中の作物生体内の残留農薬成分を、分析機器で検出できない低濃度エリアまで分解解毒することを示唆している。
この知見は、生育中の農薬散布による体内残留農薬成分が本発明の方法により分解解毒出来ることを示唆したもので、食の安全性ばかりでなく、農業従事者の健康、圃場エリアの生物生態系への影響など、今後、本技術を世界で普及することで、重大な課題である地球環境、残留農薬問題を解決できる新規な技術といえる。
さらに、ニテンピラムを微量含むハチミツに白トリュフTuber 菌懸濁液を10%添加混合し、30日間放置し成分を分析したところ、実験A,Bともに、ニテンピラムは0.01ppmまで減少していたが、無処理のハチミツは0.03ppmであった。
この試験で、白トリュフTuber 菌が残留農薬でミツバチの生態系に重大な影響を及ぼしているネオニコチノイド剤を分解清浄化することが実証された。本発明の白トリュフTuber 菌により発酵処理された発酵製品は、原料中の微量に含まれる残留農薬が低減されることが期待でき、残留農薬を含まない食糧、加工食品、飲料、生薬、茶、家畜飼料製造が可能となる。
【0059】
[実験例13]
<白トリュフTuber 菌を利用した除草剤分解解毒実証試験>
白トリュフTuber 菌を利用して、農薬の中で最も毒性が強く作物に薬害を与えて枯死させる除草剤が分解解毒されることを実証するため、除草剤「ランドアップ」、「2,4-D」、「MCPP」、「カソロン」、「ラプチウロン」、「バスタ」、「クサトローゼ」(いずれも除草剤の商品名)を供試材料にし、以下のような実験を行った。
(1)菌根イソギク鉢(9cm)を、除草剤ごとに2鉢ずつ用意し
(2)各除草剤の基準希釈液を作成し、1鉢に菌根イソギクの茎葉に充分濡れる程度(実際の圃場使用量の約5から10倍の使用量)噴霧し、残りの1鉢は無処理区とした。
(3)白トリュフTuber菌懸濁液100倍液を、除草剤散布24時間後に無処理区を除き各菌根イソギク鉢に散布した。
(4)白トリュフTuber菌懸濁液散布60日後の状態を観察した(
図11)。
写真(
図11)の左から「ラプチウロン」、「MCPP」、「2,4-D」、「クサトローゼ」、「ランドアップ」、「カソロン」、「バスタ」、「無処理区」である。この試験によって「白トリュフ」Tuber菌懸濁液散布で生育中の作物体内の残留農薬を分解解毒することが、目視で確認することが出来た。
【0060】
[実験例14]
<白トリュフTuber 菌懸濁液30倍希釈液によるランドアップ解毒試験>
本発明は食糧、加工食品、飲料、茶、生薬、家畜飼料に農薬を含まない原料を使用して、これまでにない製品製造を目的にしている。現在の製品原料には除草剤の残留農薬が含有しており、これが人体、家畜、ペットの免疫を弱体化している。アフターコロナ社会における上記の製品は、これまでと異なった免疫を重視した新規な製品開発が望ましい。そこで、本試験を行なった。
本発明は除草剤を散布した後、「白トリュフ」Tuber菌懸濁液を散布して土壌、生態系の残留成分を分解、解毒して環境を浄化するものであるが、現在使用されている除草剤の多くは、植物の生理活性機能に作用して、生存できないようにして枯死させるものである。葉に散布された除草剤が細胞に吸収され、植物組織全体に移行し生理活性物資生産機能に作用するまでの間に、「白トリュフ」Tuber菌の酵素群が、体内の除草剤成分を分解すれば、殺菌剤、殺虫剤の体内残留成分を分解出来る。
除草剤散布後、何時間の後に「白トリュフ」Tuber 菌懸濁液を散布すれば、最も有効に農薬成分を分解するかを探るために試験を行った。
[試験方法]
供試農薬として、ランドアップ(マックスロード)を使用し、菌根イソギク14鉢にランドアップを1000cc当たり100cc添加した溶液を噴霧葉面散布した。(通常散布濃度の10倍高濃度液散布)
これに「白トリュフ」Tuber菌懸濁液100倍希釈液を下写真のように左から
A区無処理、B区4時間後、C区6時間後、D区12時間後、E区24時間後、F区60時間後、G区72時間後とし夫々の2鉢を設定し、ランドアップ散布から上記の時間経過時に白トリュフTuber 菌の懸濁液を噴霧して、その後の菌根イソギクの状態を継続観察することによりラン、ドアップ分解解毒の最適散布時間を検証する試験を行った。
図12(写真)は、ランドアップ散布体内残留成分の「白トリュフ」Tuber菌懸濁液の経過時間散布による分解の程度を観察するための画像であり、左から、A区無処理、B区4時間後、C区6時間後、D区12時間後、E区24時間後、F区60時間後、G区72時間後であり、処理30日後の画像である。
[結果]
考察 ランドアップ散布後、無処理区、4時間後、6時間後、の時間に白トリュフTuber 菌懸濁液散布は、体内のランドアップ残留成分を分解、解毒できなかったために、処理30日後に2鉢ともに枯死した。12時間後処理区では1鉢が枯れ、1鉢が生き残った。24時間後、48時間後、60時間後、72時間後散布区では、「白トリュフ」Tuber菌が体内に浸透した残留成分を分解解毒したことにより菌根イソギクは生き残った。特に24時間後、48時間後イソギクの生育は良好なことから、白トリュフTuber 菌懸濁液100倍希釈液の葉面散布による、作物生体内の残留農薬分解は、農薬散布後、24時間から48時間の間の分解解毒処理が望ましいことが判った。
本試験によって、農薬散布後24時間から60時間の間に「白トリュフ」Tuber 菌懸濁液100倍希釈液を葉面散布することで、作物体内に残留した農薬成分を効率的に分解解毒することが判明した。
【0061】
[実験例15]
<白トリュフTuber 菌を利用したサクランボ加工原料の残留農薬分解、清浄化試験>
山形県のサクランボ農薬散布は、
図13のように、県で定めた農薬散布カレンダーによって定めた農薬を散布している。サクランボは加工食品の原料に使用されているが、国の基準より少ないものの、残留農薬が含有しているのは、このように多くの農薬が散布されているためである。
そこで、殺菌剤や殺虫剤が散布され、その効果が発揮された数日後に白トリュフTuber 菌懸濁液30倍希釈液を同じ装置で散布し、収穫されたサクランボの残留農薬を調べた。
試験方法
(1)約3か月間、山形県農薬使用基準に準拠し農薬散布を実施
(2)最終農薬散布の5日後に、白トリュフTuber 菌懸濁液30倍希釈液を農薬散布と同じ装置を用いて散布した
(3)白トリュフTuber 菌懸濁液の散布5日後にサクランボを採取し、分析会社((株)つくば分析センター)に送付し分析を依頼した。
分析は、平成17年1月24日 食安発第0124001号「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法」に基づき、対象となる250種の農薬のすべてについて実施した。その結果、検出されたのは
クロチアニチジン: 0.1ppm(4.0ppm)
テブコナール: 0.6ppm(5.0ppm)
ペルメトリン: 0.1ppm(5.0ppm)
の三種だけで、いずれも基準値以下であり、その他の成分は検出されなかった。なお、カッコ内の数値は基準値である。
【0062】
白トリュフTuber 菌を利用して、各種発酵飲食品を製造する場合、加工原料の残留農薬分解、清浄化すれば、残留農薬が含まれない飲食製品を製造することができる。
具体的には、原料を水洗し、カットした段階で白トリュフTuber 菌含有溶液に1~2時間浸漬することにより原料中の残留農薬を分解し、その後、改めて白トリュフTuber 菌を利用した発酵処理を行い、発酵が完了したら、加熱殺菌して製品として容器などに充填すればよい(
図14)。
【0063】
[実験例16]
<白トリュフTuber 菌を利用した新規な製茶法による原料作成試験>
現在の製茶法は、圃場でも製茶加工過程でも残留農薬の分解、解毒清浄化は行われていない。圃場で散布された農薬は自然に分解するという観点から、現在の製茶法は成立しているからである。喫茶は健康に良いからという意味で行われている場合が多いが、喫茶は茶葉の生理活性物質、生物活性物質を水、湯で抽出して飲用するので、茶葉に残留農薬が含有されていると、それも同時に抽出溶融したものを飲むことになる。健康を考えて飲む茶が、逆に「免疫」を弱くする茶になっている可能性がある。
これからの免疫時代における茶は、残留農薬を清浄化した茶にすべきである。本発明者は、以上のような観点から以下のような新規な製茶法を開発した。
すなわち、(ア)白トリュフTuber 菌懸濁液の50倍希釈液に農薬の規定基準量を添加した混合液を圃場茶葉に散布し、原料の茶葉の残留農薬を減少させた茶葉を慣行方法で煎茶を製造する方法である。そこで、上記新規な製茶法において、残留農薬がどの程度分解できるかを検証した。
検証試験(ア)
(1)茶葉生産圃場で使用されている以下の12種類の農薬(殺菌剤、殺虫剤)を、それぞれ約3.3m
2に散布し、A区、B区で合計24区とした(
図15)。
A区:白トリュフTuber 菌懸濁液の50倍希釈液に農薬の規定基準量を添加した混合液を圃場茶葉に散布
B区:農薬を規定の基準量の希釈液を圃場茶葉に散布
[使用農薬名]
アセフェート、ジフェノコナゾール、テプコナゾール、フェントエート(PAP)、メチダチオン、アセタミプリド(ネオネコチノイド)、シラフルオフェン、ピリプロキシフェン、ピリジフェン、ピリミホスメチル、ブプロフェジン、プロシミドン
(2)農薬散布5日後に、12種類の散布区から定量ずつ採取し混合したもの100gを分析センターに送り、残留農薬の分析を依頼した。結果は以下の通りで、12種類の農薬の中で、アセフェート、ジフェノコナゾール、テブコナゾール、PAP、DMTPのみA区、B区とも検出された。なお、カッコ内は国の基準値である。
【0064】
【0065】
【表9】
A区とB区の数値を比較すると、A区の白トリュフTuber 菌懸濁液処理区が自然分解より低い数値になっており、この試験によって圃場での茶葉に農薬と白トリュフTuber 菌懸濁液散布で、残留農薬を国基準値より大幅に減少させることができるので、白トリュフTuber 菌処理による「新製茶法」の原料に適していることを示唆している。
なお、農薬の中でPAPは白トリュフTuber 菌でも自然分解でも国基準より高い数値であり、残効性農薬であるPAPは茶葉圃場では使用しないことが望ましい。
【0066】
[実験例17]
<白トリュフTuber 菌を利用した新規な製茶工法の実証試験>
茶葉の栽培圃場では、多量の農薬(殺菌剤、殺虫剤)が散布(通常8回程度)されており(
図16(1))、茶用の農薬は2020年現在で約100種類が登録されて使用されている。当然、製茶された「お茶」には、基準値以下ではあるが「残留農薬」が含有し、喫茶した場合、茶葉含有の成分と同時に、この残留農薬成分も当然溶出している。また、製茶する場合、複数の生産者の茶をブレンドすることから、製品化された茶の分析では「茶畑」を特定することは、ほとんど不可能である。この問題を解決するには、加工食品と同じように加工工程に残留農薬分解解毒、清浄化工程を挿入することで解決できる。即ち、茶葉を摘んで蒸す前(
図16(2))に白トリュフTuber 菌懸濁液希釈液に1から数時間浸漬して清浄化し(
図16(3))、その後水洗いしたのち(
図16(4))に「蒸す」工程を行なえばよい。
本発明の方法を
図17(2)に示す。
図17(1)は、慣行の方法である。
【0067】
[実験例18]
<白トリュフTuber 菌の発酵を利用した免疫押し麦製造試験>
押し麦は白米に混和することで麦含有の多様な成分を摂取できることで健康を希求する人に利用されている。しかしこの押し麦にも残留農薬が含有している。
この押し麦を、白トリュフTuber 菌で醗酵させることにより、多様な残留農薬分解清浄化すると共に、ピルビン酸、塩化コリンなどを含有する免疫力をアップさせる醗酵穀物を製造することができる。
押し麦(
図20(1))を、白トリュフTuber 菌で醗酵させるには、乾燥押し麦に水を加え30分から2時間放置して充分吸水させ、余分な水を排出した後、白トリュフTuber 菌培養液10cc添加。培養温度、最低10℃~最高15℃、明所で静置培養すればよい。
図20(2)は、培養10日後の画像である。この醗酵押し麦には、白トリュフTuber 菌産生成分ピルビン酸などの成分を含有し、健康押し麦が出来る。押し麦以外の他の穀物の場合でも同じである。白トリュフTuber 菌が澱粉から糖化、解糖経路によってピルビン酸を産生する。これまで麹菌醗酵では糖化でグルコースまで産生するがピルビン酸を産生でき発酵菌は知られていない。
【0068】
[実験例19]
<白トリュフTuber 菌の発酵を利用した免疫ジャム製造試験>
原料に使用するするイチゴ(
図21(1))は予め白トリュフTuber 菌懸濁液30倍希釈液に浸漬して残留農薬を分解清浄化しておく。このことによって残留農薬を含まないピルビン酸含有の新規イチゴジャムを製造できる。また、本発明の白トリュフTuber 菌培養液は、ピルビン酸産生能を有するPH4.0の強酸性溶液(
図21(2))なので、ペクチンゲル化用酸性剤として利用できる。イチゴジャム製造の基本工程で砂糖添加し煮詰めた状態になった時、ペクチンをゲル化するために白トリュフTuber 菌培養液を適宜添加しゲル化する。
図21(1)は、瓶に充填し加熱殺菌して完成したイチゴジャムである。
ペクチンのゲル化に一般には酢、レモン汁などを用いるが、本発明では、白トリュフTuber 菌培養液を用いることで、ピルビン酸などの含有した免疫ジャムが出来る。他の果実を用いたジャムも同様な方法で製造することが可能である。
【0069】
[実験例20]
<白トリュフTuber 菌の発酵を利用した短時間免疫果汁ピルビン酸飲料製造試験>
白トリュフTuber 菌醗酵を利用すれば、新規な「免疫果汁」「飲料」をこれまでの醗酵では不可能であった短時間で製造することができ、大幅な製造コスト削減が可能である。
また、本発明によれば、わずかでも炭水化物を含有していれば、白トリュフTuber 菌醗酵で約3から5日で発酵させることが出来るので、ほとんどすべての果物(葉、茎、根茎)から新規な「免疫果汁」「飲料」を製造できる。
図22(1)はバナナ、(2)はアケビ、(3)は柿(甘がき)、(4)はトマト、(5)はリンゴ、(6)は桃、(7)はブルーベリー、(8)は西瓜、(9)はマンゴー、(10)はミカン、の培養4日後の状態である。
試験方法
水1000cc、果実を細断したもの200g又は潰した果汁200ccに、白トリュフTuber 菌培養液10ccを添加し、培養温度 最低10℃~最高25℃の好気条件で、静置培養を行う。白トリュフTuber 菌の強い抗菌力で原料の付着雑菌を失活させるので、原料の果実を水洗いや熱殺菌などする必要がない。
白トリュフTuber 菌が植物中のリグニンを超速で分解して成分を浸出させ、これを超速で醗酵させるので、発酵は培養3日で完了する。
このように、本発明によれば、培養3日で果実内の生理活性物質、生物活性物質は抽出され、これに、白トリュフTuber 菌醗酵成分であるピルビン酸などが加わった新規な免疫果汁飲料を製造できる。その後100℃で約10分加熱殺菌し醗酵を失活させる。白トリュフTuber 菌醗酵はあるアルコールを産生しないので「ノンアルコール」飲料を製造できる。
また、嗜好に合わせてブレンドすることも可能である。
さらに白トリュフTuber 菌醗酵は急速に炭水化物、糖質を分解しピルビン酸に改質するので「糖質ゼロ」の免疫飲料を生産できる。
【0070】
[実験例21]
<白トリュフTuber 菌の発酵を利用したピルビン酸含有チョコレート製造試験>
ビルビン酸は、種々の植物原料を本発明の方法により、発酵させることにより容易に製造することができるので、ピルビン酸含有発酵溶液をそのままあるいは脱水乾燥させ粉末として、種々の食品に添加することができる。 チョコレートは現在嗜好品として消費されているが、これにピルビン酸を含有担持させることで、全く別な製品、チョコレートに免疫アップ機能を担持させた次世代チョコレート、疲れ回復、疲れ防止チョコレートにすることが可能である。
[製造例]
チョコレート原料(
図23(1))を粉砕して混錬し、チョコレート原料粉を練ってドロドロの状態とする(
図23(2))。
この状態で、約10%白トリュフTuber 菌醗酵バナナドライ粉を混合すれば、バナナピルビン酸含有チョコレートが完成する(
図23(3))。
【0071】
[実験例22]
<白トリュフTuber 菌の発酵を利用したピルビン酸、菌糸体由来キチンナノファイバー含有の機能性免疫パン製造試験>
白トリュフTuber 菌菌糸体の大量培養の成功により、菌糸体から容易にキチン、キチンナノファイバーを製造することができる(
図24(2)、(3))。現在、キチン、キチンナノファイバーは「カニ殻」から製造している(
図24(1))が、海の無い国では製造できない。しかし白トリュフTuber 菌菌糸体はどこでも培養できることから、全世界で免疫力アップ、速効エネンルギー供給ができ、更にこれをパンに添加すれば、食感が改善されたパンを製造することができる。
[製造例]
パン粉に水の代わりに加熱殺菌した白トリュフTuber 菌培養液希釈液30倍を加えピルビン酸含有のパン生地を作成、これに酵母菌を添加醗酵させ製造する。
この白トリュフTuber 菌培養希釈液30倍にはピルビン酸が多量に含有するが、キチンファイバーの含有量が少ない場合がある、このようなときは、キチンファイバー粉を適宜加えたものを使用する。
このことによって、パン粉の粒子をナノファイバーが連結架橋し、ふわーとした膨柔な食感のパンが出来る。これにピルビン酸が含有することで、これまでできなかった、フワフワ食感、免疫機能性パンが製造できる。
【0072】
[実験例23]
<白トリュフTuber 菌の発酵を利用したピルビン酸含有果汁添加多様なアイス関連製品製造試験>
現在のアイス関連製品は嗜好品として製造販売、消費されているが、これらの製品に、バナナなどを原料にした白トリュフTuber 菌醗酵果汁を添加することで、嗜好品でありながら、免疫アップ、夏バテ防止、エネルギー補給の新規な機能を担持した製品にすることができる。
また、白トリュフTuber 菌醗酵ピルビン酸含有果汁添加によって多様なフルーツ味の製品を作ることが可能である。更に乳製品、乳酸菌醗酵溶液と混合することで、より複雑なピルビン酸、乳酸菌含有の免疫機能性アイス関連製品を製造できる。
【0073】
[実験例24]
<白トリュフTuber 菌醗酵によるピルビン酸含有免疫アップ麺製造試験>
日本人は麺類を多く食している。この麺にピルビン酸を含有させることで、
免疫力アップ、エネルギー供給、補完の次世代麺を製造できる。
[製造法]
図25(1) こね水調整。小麦粉1kg 食塩10から30g、かん水を加えた状態
図25(2) 混合 白トリュフTuber 菌醗酵懸濁水300~400ccを加え、液温20~30℃で、15~20分間こねている状態
図25(3) めん帯 帯状にする
図25(4) 圧延 麺帯に圧力を加えて薄く延ばす工程
図25(5) 細切り 切断する
図25(6) 完成したピルビン酸含有麺
【0074】
[実験例25]
<白トリュフTuber 菌の発酵を利用したウコギ青汁製造試験>
現在野菜不足の補完として多様な青汁、整腸目的として乳酸菌含有青汁など製造販売されている。本発明では、白トリュフTuber 菌の短時間醗酵により、細胞を脆弱化することで腸内における消化吸収を向上させると同時に、白トリュフTuber 菌醗酵により残留農薬の含まない、ピルビン酸含有の免疫力アップ、エネルギー補給、これに乳酸菌を生息させることで整腸作用などの多機能性青汁を製造できる。
本試験では、山形県産の春の完全無農薬山菜として食されてきた「ウコギ」(
図26(1)、(2))を原料にして試験を行った。
本試験では、このウコギを数日間白トリュフTuber 菌醗酵し、これを真空凍結乾燥し、粉状に加工する(
図26(3))。これを水またはお湯で溶かすことによりおいしく喫食することができる(
図26(4))。
【0075】
[実験例26]
<乳酸菌醗酵食品と白トリュフTuber 菌醗酵食品の組み合わせによる機能性免疫食品の製造試験>
加工食品の醗酵は乳酸菌、麹菌、酵母菌を使用して行われてものがほとんどである。味噌、醤油、乳酸菌醗酵製品、漬物、豆乳などに白トリュフTuber 菌醗酵洋ナシ溶液のピルビン酸、キチンナノファイバー、その他の醗酵産物成分を添加することで、新規なピルビン酸含有の多様な免疫機能性醗酵製品を製造することができる。
[製造例1]
味噌に白トリュフTuber 菌醗酵洋ナシ溶液(加熱殺菌)を添加してピルビン酸含有、キチ ナノ ファイバー含有免疫機能性味噌を製造することができる。
白トリュフTuber 菌醗酵洋ナシ溶液はPH4.0であるが、酸味がないため、味噌の味、風味を損なわない。
[製造例2]
醤油に白トリュフTuber 菌洋ナシ溶液(加熱殺菌)を添加してピルビン酸含有、キチンナノファイバー含有免疫機能性醤油を製造することができる。この場合も。醤油の味、風味を損なうことはない。
[製造例3]
ヨーグルトに白トリュフTuber 菌洋ナシ溶液(加熱殺菌)を添加してピルビン酸含有、キチンナノファイバー含有免疫機能性ヨーグルトを製造することができる。
[製造例4]
各種漬物に白トリュフTuber 菌洋ナシ溶液(加熱殺菌)を添加すれば、ピルビン酸含有、キチンナノファイバー含有免疫機能性漬物を製造することができる。
【0076】
[実験例27]
<白トリュフTuber 菌の発酵による家畜飼料製造試験>
経済発展国で肉、特に牛肉の消費量が増大している。牛、豚、鶏の飼料のほとんどは、人間の食糧である穀物である。将来の食糧不足は、即、肉、卵、牛乳などの生産減につながる。飼料効率アップが畜産業界の革新的新技術である。
現在、穀物を10kg食べさせて肉1kg生産である。肉によるタンパク質摂取が食糧の浪費になっている。そこで、将来を見越して「人工肉」の研究が始動しているが、本発明者は飼料効率アップ技術の開発での対応を想定している。
家畜の濃厚飼料は穀物、穀物残渣などであるが、現在は、そのまま飼料としている。これを白トリュフTuber 菌醗酵させることで、ピルビン酸などの多様な成分含有した免疫飼料に改質出来る。これによって、飼料効率アップが可能である。野生の草食動物は、野草をエサにして食べるとき、同時に土、土が付着した野草も食べるが、これには枯れ葉を分解する白色木材腐朽菌が生息付着している。つまり、野生に草食動物は白色木材腐朽菌を食べている。このリグニン、セルロース分解酵素、リグニンペルオキシターゼ、マンガンペルオキシターゼを体内に取り込んで、難分解性の植物繊維を分解している。これまでの畜産における先行知見における醗酵飼料には、乳酸菌醗酵のサイレージがあるが、乳酸菌は細菌でありリグニン、セルロースを分解出来ない菌である。先行知見において、白色木材腐朽菌は削除、無視されてきたが、本発明では草食動物の野生における白色木材腐朽菌を含むエサを再現するものである。
供試材料として、米糠500g+フスマ500gを用い、水を適宜添加し湿度80%に調整する。これに、白トリュフTuber 菌培養液10ccを添加し、厚さ約50cm、好気条件、最低温度5℃~最高温度20度の温度で、7日間静置培養した(
図27(1))。これを粒状に加工し熱乾燥して白トリュフTuber 菌失活させ、飼料に供す(
図27(2))。
なお、米糠以外の材料を変更すれば、家畜用だけでなく、これまでの米糠健康食品とは異なる免疫アップ、アンチエイジング、健康で長寿用のピルビン酸によるエネルギー補完健康食品が出来る。
【0077】
[実験例28]
<白トリュフTuber 菌の発酵による家畜飼料の試験>
白トリュフTuber 菌醗酵飼料を家畜が喜んで食べるかという基礎試験を実施した。家畜が喜んで食べなければ毎日与え続けることが出来ないからである。
そこで、白トリュフTuber 菌醗酵米糠免疫ピルビン酸含有機能性濃厚飼料を以下のように製造した。
米糠に水を適宜添加し湿度80%(オシボリの湿度)にしたものを、厚さ約5から10cmとして白トリュフTuber 菌原液を適宜添加し、最低温度5から20度、最高温度20から50℃、好気条件下で2日から5日間醗酵培養した。
このようにして製造した飼料を牧草にパラパラ添加し、乳牛に食べさせた(
図28(1))。さらに、飼料のみを肥育和牛に食べさせた(
図28(2))。
いずれも、勢いよく食べ、家畜に対する嗜好性に優れていることが判った。
【0078】
[実験例29]
<白トリュフTuber 菌の発酵による家畜飼料、養鶏卵生産試験>
白トリュフTuber 菌醗酵米糠免疫ピルビン酸を含有する機能性濃厚飼料を製造した。
米糠に水を適宜添加し、湿度80%(オシボリの湿度)にしたものに白トリュフTuber 菌原液を適宜添加して米糠の厚さ約5から10cmとし、最低温度5~20度、最高温度20~50℃の好気条件下で2~5日醗酵培養した(
図29(1))。これを乾燥し(
図29(2))、名古屋コーチンに単用(
図29(3))または他の飼料と共に与えた(
図29(4))。
【0079】
[実験例30]
<白トリュフTuber 菌の発酵による生理活性物質、生物活性物質の短時間抽出試験>
白トリュフTuber 菌を本発明に採用したのは、白トリュフTuber 菌が子嚢菌でありながら白色木材腐朽菌の特性を具備し、植物組織の葉、花。果実、茎、根、塊根。球根などの細胞のリグニン、セルロースを分解、脆弱化することで、他の醗酵微生物では行うことが出来ない短時間で細胞内の全成分を細胞外に溶出出来ると同時に本試験は原料の残留農薬分解清浄を同時に行うことで、農薬を含まないピルビン酸含有飲料を製造できることである。この特性を利用して短時間で農薬を含まないピルビン酸を含有する果汁、生薬飲料を製造した。白トリュフTuber 菌醗酵を用いればほとんどの植物原料から3から5日でほとんどの成分を抽出でき、ハーブ、薬草、漢方薬含有の飲料製造を短時間でできる。
[製造例]
原料として、ブドウ(黒ブドウ)(
図30(1))及びブルーベリー(
図30(2))を使用し、水500ccに対し原料100gを水洗いして投入し、白トリュフTuber菌原液を10cc添加した(
図30(3))。
培養温度 最低10℃~最高25℃の培養温度で、名所静置培養した。
培養7日後、各原料の細胞のリグニン、セルロースを分解、脆弱化された結果、細胞内のポリフェノールなどの成分がすべて進出した(
図30(4))。
【0080】
[実験例31]
<白トリュフTuber 菌の発酵による柿タンニン抽出試験>
これまでの柿タンニン製造法は、渋柿の青柿(未熟果実)を酵母菌で醗酵させ抽出しているために、約2,3年必要であった。更に酸化するために「褐色」の溶液となる。本発明は子嚢菌白色木材腐朽菌の新規な醗酵によって、約7日から10日で柿タンニンを抽出し、更に白トリュフTuber 菌の抗酸化酵素により酸化を抑止し「無色透明柿タンニン溶液」が製造できる。
また、現在多くの植物から多様な「茶」が製造されているが、それらのほとんどに植物
生理活性物質のタンニンが含有している。白トリュフTuber 菌には酸化を抑止する酵素を含有しているので、酸化褐変しない柿タンニン溶液、その他のタンニンを含む茶などの溶液を製造できる。
[製造例]
原料として、品種名「御所柿」(山形県産の渋柿)の青柿又は半熟果実を使用し、水500ccに渋柿50gを水洗して適宜カットしたもの(
図31(1))を500ccペットボトルに投入、白トリュフTuber 菌原液を10cc添加し、最低温度5℃~最高温度20度の温度条件で、約7日から15日間、白トリュフTuber菌醗酵させた。発酵15日後、「透明柿タンニン溶液」が完成した(
図31(2))。
この「透明柿タンニン溶液」を「日本食品分析センター」にて分析したところ、100g中、タンニン(タンニン酸として)が0.05g含まれていた。
一方、白トリュフTuber 菌ではなく、従来法の酵母菌醗酵で抽出する場合、ポリオキシ酸化酵素の働きにより、溶液は酸化され褐色に変化する。上記と同様な実験を酵母菌と白トリュフTuber 菌で行い両者を比較した。
図31(3))は、左が酵母醗酵により製造中の柿タンニン溶液であり、右が白トリュフTuber 菌醗酵により製造中の柿タンニン溶液であり、両者の差は歴然としている。
加工食品、飲料製造する場合、このポリオキシ酸化による「変色」は大問題であり、これを白トリュフTuber 菌醗酵で抑止することで製造工程を単純化し、製造コストを低くすることが可能である。
【0081】
[実験例32]
<白トリュフTuber 菌の発酵によるワサビ生物活性成分アリルイソチオシアネート抽出試験>
アブラナ科ワサビには抗菌、抗虫対策として生理活性物質アリルイソチオシアネートを含有している。これを利用して「寿司」などに使用され続けてきた。
本試験は白トリュフTuber 菌醗酵によるアリルイソチオシアネート抽出を実施した。
水500ccが充填された500ccペットボトルにワサビ根茎を1cmに細断したものを入れ、これに白トリュフTuber 菌原液10ccを添加し、最低温度10℃~最高温度20度の温度で、3~5日間培養した(
図32(1))。
その後、抽出溶液を濾過して100℃で5分間、加熱殺菌し、アリルイソチオシアネート抽出溶液を得た(
図32(2))。
【0082】
[実験例33]
<白トリュフTuber 菌の発酵による松葉活性成分α-ピネン抽出試験>
α-ピネンは抗菌。抗虫の特性を具備しており、松、ミョウガなどに多く含まれ、森林浴で最初に鼻腔に入ってくる癒しの成分はα-ピネンの匂いである。白トリュフTuber 菌醗酵による低コスト抽出を目的に本試験では松葉を用い、更に、その効果を検証するため抽出溶液によるアブラムシの殺虫、忌避試験も同時に行った。
[試験方法]
水500ccを入れたペットボトルに、黒松葉(
図33(1))100gを入れ、さらに白トリュフTuber 菌原液10ccを添加し、最低温度10℃~最高温度25℃の温度で静置培養した。
白トリュフTuber 菌醗酵5日目(
図33(2))に、培養溶液中にα-ピネンが抽出されていることを確認するため、10倍希釈液を活発に動き回るアブラムシに噴霧した(
図33(3))。噴霧12時間後、全てのアブラムシが動かなくなり死亡していた(
図33(4))。
【0083】
[実験例34]
<白トリュフTuber 菌の発酵による植物廃棄油分解試験>
食品加工、飲食店で使用される植物廃棄油の処理は将来大きな産業ゴミとなる(再利用先のデーゼル車廃止で)。この処理に白トリュフTuber 菌を使用すれば、短時間で分解処理することが出来る
菜種油廃棄油100ccに白トリュフTuber 菌2ccを添加し、常温、7日後の状態を
図34に示す。写真から明らかなように、白トリュフTuber 菌が廃棄油をエサにして勢いよく繁殖していた。
【0084】
[実験例35]
<白トリュフTuber 菌の発酵を利用した加工食品残渣処理による減化学肥料及び減農薬及び無農薬栽培用資材の製造試験>
本発目の主目的は、加工食品の「川下」の食品加工残渣、廃油の白トリュフTuber 菌醗酵による減化学肥料及び減農薬及び無農薬栽培資材化による持続可能な農薬を含まない加工食品原料の永続的な安定生産を全世界圃場で行うことである。
加工食品の製造時に発生するバナナ残渣(
図35(1))に白トリュフTuber 菌を散布し、バナナ残渣を白トリュフTuber 菌により醗酵分解し、無農薬栽培用資材に改変する(
図35(2))。
これを圃場に施すことで、土壌に菌根菌である白トリュフTuber 菌が共生するので、作物は気候変動下でも安定した生育、生産が期待できる。
【0085】
[実験例36]
図36
<白トリュフTuber 菌培養懸濁液の植物組織浸透性試験>
本発明は白トリュフTuber 菌懸濁希釈液に加工食品、飲料原料を浸漬して、原料の残留農薬を白色木材腐朽菌の分解能力で分解、解毒清浄化するものである。このためには、白トリュフTuber 菌の分解酵素が速やかに原料の細胞内に浸透する必要がある。本試験は、その浸透速度試験である。
供試材料として、白菜の葉を使用し、これに白トリュフTuber 菌懸濁液30倍希釈液を温度15℃、湿度90%の条件下散布した(
図36(1))。
散布5分後、葉の細胞に浸透を始め(
図36(2))、10分後、葉の表面に希釈液は殆どなくなり、白トリュフTuber 菌が葉の細胞に浸透した(
図36(3))。
【0086】
[実験例37]
<加工食品残渣の白トリュフTuber 菌醗酵による植物ホルモン産生試験>
加工食品残渣処理を白トリュフTuber 菌醗酵し、減肥料及び減農薬及び無農薬栽培用資材に改質する場合、この発酵溶液には派生副産物として多量な植物ホルモンであるインドール3酢酸、エネルギー源のピルビン酸が産生される。この植物ホルモンとピルビン酸を白トリュフTuber 菌 菌根菌の菌糸が植物に供給することで、ピルビン酸のエネルギーと、細胞分裂を促進させる植物ホルモンと、更に白トリュフTuber 菌の抗菌力で、優れた減肥料及び減農薬及び無農薬栽培用資材となる。
実験例4の試験で、白トリュフTuber 菌が植物ホルモンインドール3酢酸を産生する非常に稀有な菌であることが実証された。現在、気候変動下での食糧安定生産のために、全ての植物が体内で産生している植物ホルモンを産生する微生物の探索を多くの研究家が世界各国で行っているが、人体の細胞増殖にもインドール3酢酸が必要であり、腸内細胞のターンオーバー、免疫細胞の増殖の必須成分であることから、低コスト生産可能な白トリュフTuber 菌は、今後、非常に重要になると予想される。
本試験では、白トリュフTuber 菌が産生する植物ホルモンの効果を検証するため、実験例4の試験で得られた植物ホルモン含有発酵溶液を使用して、イネの無肥料栽培及びナデシコの栽培を行った。
[イネの無肥料栽培]
植物ホルモン10倍希釈液散布したイネの苗(A)と無散布のイネの苗(B)を用意し(
図37(1))、1月後のイネの生育状態を観察した(
図37(2))。
その結果、植物ホルモン散布区(A)は無散布区(B)と比べ、草丈が20%程度高くなり茎の本数も多くなっており、多収穫につながる生育であった。
[ナデシコの栽培]
鉢植えのナデシコを2鉢用意し、片方の鉢に植物ホルモン10倍希釈液を10日間隔で2回散布した。無処理鉢を(A)。散布した鉢を(B)とする。
図37(3)は、26日後のナデシコ開花状況を示すものであり、散布した鉢(B)の方が、花数が多くなっている。また、
図37(4)は、真横からの画像で、散布した鉢(B)の方が、草丈が20%程度高くなり、株元の繁殖が多くなって大形の株に生育した。
【0087】
[実験例38]
<白トリュフTuber 菌によるハチミツネオニコチノイド分解清浄化試験>
ハチミツは健康食品、加工食品への添加物として非常に多く使用されるようなり、需要が高くなるにしたがって、世界から輸入されているが、その中に殺虫剤ネオニコチノイドを含有するものがある。
近年ハチミツの残留農薬含有が世界的に大きな問題になっており、特にネオニコチノイド系の殺虫剤は、ミツバチの生態系を破壊するという知見から、欧州諸国などによる全面的な使用禁止が実施されているが、日本では逆に残留基準値が大幅に引き上げられている。
しかし、ハチミツの生産現場、消費者は、残留農薬含有蜂蜜に大きな不安を抱いて、安心安全なハチミツへの希求が高まっている。そこで白トリュフTuber 菌によるハチミツ含有ネオニコチノイド系殺虫剤の分解の有無を試験した。
写真1 左 MM2区ハチミツと白トリュフTuber 菌懸濁液混合
右 MG1区 無処理区
[試験方法]
ハチミツ100ccを無処理区(MG1)と、ハチミツ100ccに白トリュフTuber 菌懸濁液10ccを添加し撹拌後5日間常温室内に放置した白トリュフTuber 菌処理区(MM2)とし(
図38)、この二つの区の蜂蜜を分析会社(三重県環境保全事業団)に送付し残留殺虫剤を分析検定した。
MM2(写真左):0.01ppm(検出限界)
MG1(写真右):0.03ppm
ネオニコチノイド系殺虫剤ニテンピラムの残留濃度は、MM2区で無処理区に比較して減少している。これは白トリュフTuber 菌が処理5日間で分解清浄化を進行させていることを示唆している。白トリュフTuber 菌の10月の室内温度での活動は低下している時期であるが、分解を始めていることからより多くの分解をするためには20日から30日間必要であることを示唆している。
白トリュフTuber 菌がこれらの生理活性物質を産生するとともに、最も重要な人畜無害な醗酵菌であることを世界で初めて本発明者が発見したことにより、画期的な免疫アップ、エネルギー補給、補完製品を製造できる新規な革新醗酵技術を開発した。醗酵の世界に新たに子嚢菌白色木材腐朽菌が加わったことにより、有史以来、現在まで存在しなかったピルビン酸などの含有する醗酵製品が製造できることになった。更に、本発明の子嚢菌白色木材腐朽菌である白トリュフTuber 菌醗酵の新発見によって、乳酸菌、酵母菌、麹菌、納豆菌醗酵で製造できなかった残留農薬清浄、ピルビン酸含有のアフターコロナ社会、脱炭素社会、ウイルスと共存、免疫社会、超高齢化社会に適合した免疫アップ、アンチエイジング、健康持続、元気長寿用の多様な醗酵食糧、加工食品、飲料、茶、生薬、家畜飼料製品製造が可能になった。更に、食品加工ゴミを発生させない加工食品残渣処理による減肥料及び減農薬及び無農薬栽培用資材への改質、嫌気性水素産生細菌醗酵と組み合わせることにより、食品加工残渣から水素生産を行なうことが可能になった。更に白トリュフTuber 菌の木材腐朽菌の特性を利用しての短時間植物生理活性物質、生物活性物質の抽出が可能となった。更に気候変動下での作物生育の促進、安定を図れる植物ホルモン インドール3酢酸の派生産生は特筆できる醗酵産物で、醗酵世界に新たな領域を拓くものである。本発明は、新規な革新的新規醗酵技術による食品、飲料、家畜飼料業界のイノベーションによって、これまでの醗酵食品の領域より更に多様な領域の製品、残渣処理によって、新しい生活様式の生活、経済、食生活、農業を豊かにするものである。