(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172783
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】連結部材、及び糸掛方法
(51)【国際特許分類】
B65H 54/14 20060101AFI20221110BHJP
B65H 65/00 20060101ALI20221110BHJP
B65H 75/22 20060101ALI20221110BHJP
B65H 75/28 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
B65H54/14 Z
B65H65/00 D
B65H65/00 E
B65H75/22
B65H75/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021078984
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】木村 宏輝
【テーマコード(参考)】
3F058
【Fターム(参考)】
3F058AB03
3F058AC01
3F058BB11
3F058DA04
3F058DB03
3F058DB05
3F058HB02
3F058HB07
3F058JA03
(57)【要約】
【課題】連結部材に装着された巻取ボビンへの糸掛けを行う際、糸を弛ませることなく確実に捕捉する。
【解決手段】連結部材60は、走行中の糸Yを巻き取るための2つの巻取ボビンB2a、B2bを所定の軸方向に並べて連結するように構成されている。連結部材60は、軸方向に並べられた2つの巻取ボビンB2a、B2bの間に挟まれるように配置されたベース部61と、ベース部61の軸方向における両側に配置され、2つの巻取ボビンB2a、B2bが装着されることが可能に構成された一対の装着部62と、を備える。ベース部61は、
軸方向において一対の装着部62の間に配置された一対のストッパー部66と、軸方向において一対のストッパー部66の間に配置され、走行中の糸Y(糸Yb)をベース部61の径方向における内側へ案内する案内面73と、案内面73によって径方向における内側へ案内された糸を捕捉する捕捉爪72と、を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中の糸を巻き取るための2つの巻取ボビンを所定の軸方向に並べて連結するように構成された連結部材であって、
前記軸方向に並べられた前記2つの巻取ボビンとの間に挟まれるように配置されたベース部と、
前記ベース部の前記軸方向における両側に配置され、前記2つの巻取ボビンが装着されることが可能に構成された一対の装着部と、を備え、
前記ベース部は、
前記走行中の糸を前記ベース部の径方向における内側へ案内する案内面と、
前記案内面によって前記径方向における内側へ案内された糸を捕捉する捕捉爪と、を有することを特徴とする連結部材。
【請求項2】
前記捕捉爪は、
少なくとも前記ベース部の周方向における一方側を向くように形成された受止め面と、
前記受止め面よりも少なくとも前記周方向における前記一方側へ突出した、前記受止め面によって受け止められた前記走行中の糸の脱落を防止する突出部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の連結部材。
【請求項3】
前記ベース部は、
前記案内面と、前記軸方向において前記案内面と対向するように配置された対向面と、によって形成された案内スリットを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の連結部材。
【請求項4】
前記案内面は、少なくとも前記軸方向における一方側を向いており、
前記捕捉爪は、前記案内面の前記軸方向における他方側に配置され、且つ、少なくとも前記ベース部の周方向における一方側へ突出し、
前記ベース部は、
少なくとも前記軸方向における他方側を向いた、前記走行中の糸を前記径方向における内側へ案内可能な予備案内面と、
前記案内面の前記軸方向における前記一方側に配置され、且つ、少なくとも前記周方向における前記他方側へ突出した予備捕捉爪と、を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の連結部材。
【請求項5】
前記予備捕捉爪は、前記周方向において前記捕捉爪と異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の連結部材。
【請求項6】
前記ベース部は、
前記2つの巻取ボビンの前記軸方向における移動を規制する一対のストッパー部、を有し、
前記案内面及び前記捕捉爪は、前記一対のストッパー部の前記径方向における最も外側の端よりも前記径方向における内側に配置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の連結部材。
【請求項7】
前記一対のストッパー部の一方は、
前記案内面と接続され、且つ、前記軸方向において前記案内面に近づくほど外径が小さくなるように形成された傾斜面を有することを特徴とする請求項6に記載の連結部材。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の連結部材と、前記連結部材に装着された2つの巻取ボビンと、を有する巻取体に走行中の複数の糸を掛ける糸掛方法であって、
前記巻取体を回転させながら、前記複数の糸のうち1つの糸を前記案内面によって前記径方向における内側へ案内させて前記捕捉爪に捕捉させることを特徴とする糸掛方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸をそれぞれ巻き取るための複数の巻取ボビンを連結する連結部材、及び、糸掛方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に開示された、糸を巻き取る巻取装置は、ボビンホルダに把持された紙管(巻取ボビン)に同時に巻取可能な糸の数を切換可能に構成されている。ボビンホルダは、例えば、連結部材によって巻取ボビンの軸方向に連結された2つの巻取ボビン(以下、巻取体)が着脱されることが可能である。これにより、巻取装置は、巻取体に2本の糸を巻き取ることができる。2本の糸のうち一方の糸の端部は、例えば、一方の巻取ボビンの端面とボビンホルダとの隙間に挟まれることにより保持されることが可能である。2本の糸のうち他方の糸の端部は、例えば、他方の巻取ボビンの端面と連結部材との隙間に挟まれることにより保持されることが可能である。
【0003】
巻取装置において巻取体に2本の糸が掛けられる際、糸走行方向上流側から供給される2本の糸が、例えば2つのサクションマウスによってそれぞれ吸引保持されている。走行中の2本の糸は、オペレータ又は特許文献2に記載の自動糸掛装置によって、回転している巻取ボビンとボビンホルダ(又は連結部材)との境界部分に向かって径方向内側へ寄せられる。糸が巻取ボビンとボビンホルダ(又は連結部材)との隙間に挟まれて捕捉されると、糸のうち巻取体よりも糸走行方向上流側の部分は、当該隙間の近傍部分に巻き付けられて保持される。また、糸のうち巻取体よりも糸走行方向下流側の部分は、例えば、張力によって自然に切れ、サクションマウスによって吸引除去される。このようにして、巻取ボビンとボビンホルダ(又は連結部材)との隙間に糸の端部が保持され、巻取体への糸の巻き取りが開始可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-35640号公報
【特許文献2】特開2013-23385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、従来よりも細い糸が製造可能になってきたことに起因して、巻取ボビンと連結部材との隙間に糸を捕捉させる際に、以下の問題が顕在化した。すなわち、細い糸は、巻取ボビンと連結部材との隙間にいったん挟まれても、当該隙間においてしっかり把持されにくく、隙間から脱落してしまいやすい。このような状況では、走行中の糸が張ったり弛んだりする不安定な状態になるおそれがある。糸の弛みが糸走行方向上流側に伝播すると、糸走行方向上流側に配置された糸が正常に走行できなくなりうる。また、細い糸がそもそも巻取ボビンと連結部材との隙間に捕捉されず、糸掛けに失敗してしまうおそれもある。
【0006】
本発明の目的は、連結部材に装着された巻取ボビンへの糸掛けを行う際、糸を弛ませることなく確実に捕捉することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明の連結部材は、走行中の糸を巻き取るための2つの巻取ボビンを所定の軸方向に並べて連結するように構成された連結部材であって、前記軸方向に並べられた前記2つの巻取ボビンとの間に挟まれるように配置されたベース部と、前記ベース部の前記軸方向における両側に配置され、前記2つの巻取ボビンが装着されることが可能に構成された一対の装着部と、を備え、前記ベース部は、前記走行中の糸を前記ベース部の径方向における内側へ案内する案内面と、前記案内面によって前記径方向における内側へ案内された糸を捕捉する捕捉爪と、を有することを特徴とする。
【0008】
2つの巻取ボビンと連結部材とが連結されて構成されたものを、説明の便宜上、巻取体と呼ぶ。本発明では、走行中の糸を回転中の巻取体へ近づけ、さらに、連結部材の捕捉爪を糸に引っ掛けることにより、糸を捕捉爪に巻き込んで確実に捕捉することができる。ここで、糸が捕捉爪に到達する前に、連結部材の他の部分によって糸に抵抗が意図せず付与されると、糸がスムーズに走行せずに弛んでしまうおそれがある。この点、本発明では、案内面によって糸を径方向における内側へスムーズに案内できる。このため、糸に抵抗が意図せず付与してしまうことを抑制しつつ、糸を捕捉爪に到達させることができる。したがって、糸を弛ませることなく確実に捕捉することができる。
【0009】
第2の発明の連結部材は、前記第1の発明において、前記捕捉爪は、少なくとも前記ベース部の周方向における一方側を向くように形成された受止め面と、前記受止め面よりも少なくとも前記周方向における前記一方側へ突出した、前記受止め面によって受け止められた前記走行中の糸の脱落を防止する突出部と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明では、周方向における一方側へ巻取体が回転しているときに、受止め面で糸を受け止めることによって糸を捕捉できる。ここで、受止め面は糸を単に受け止めるものであり、例えば糸を挟んで把持するものではない。つまり、少なくとも受止め面によって受け止められた直後の糸は、受止め面に対してスライド可能である。このため、糸が捕捉爪に起因して張ったり弛んだりするような不安定な状態に陥ることを抑制できる。さらに、受止め面によって受け止められた糸が径方向外側に移動してベース部から脱落しまうことを、突出部によって防止できる。したがって、走行中の糸を安定的に捕捉し且つ保持することができる。
【0011】
第3の発明の連結部材は、前記第1又は第2の発明において、前記ベース部は、前記案内面と、前記軸方向において前記案内面と対向するように配置された対向面と、によって形成された案内スリットを有することを特徴とする。
【0012】
本発明では、案内スリットによって、糸を径方向内側へ確実且つ安定的に案内することができる。
【0013】
第4の発明の連結部材は、前記第1~第3のいずれかの発明において、前記案内面は、少なくとも前記軸方向における一方側を向いており、前記捕捉爪は、前記案内面の前記軸方向における他方側に配置され、且つ、少なくとも前記ベース部の周方向における一方側へ突出し、前記ベース部は、少なくとも前記軸方向における他方側を向いた、前記走行中の糸を前記径方向における内側へ案内可能な予備案内面と、前記案内面の前記軸方向における前記一方側に配置され、且つ、少なくとも前記周方向における前記他方側へ突出した予備捕捉爪と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明では、軸方向と直交する平面内で連結部材を180度回転させたときに、予備案内面を案内面の代わりに機能させ、予備捕捉爪を捕捉爪の代わりに機能させることができる。これにより、巻取体が糸巻取用の装置に正規の向きとは逆向きに装着された場合でも、糸を正常に捕捉できる。つまり、連結部材を糸巻取用の装置に装着する際に、連結部材の向きを考慮する必要がない。このため、連結部材の向きを考慮する必要がある場合に生じる手間を削減できる。
【0015】
第5の発明の連結部材は、前記第4の発明において、前記予備捕捉爪は、前記周方向において前記捕捉爪と異なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0016】
周方向において捕捉爪と予備捕捉爪の全部又は一部が重なる位置に配置されている場合、ベース部が軸方向において大型化してしまうおそれがある。これを回避するために、捕捉爪及び予備捕捉爪を軸方向において小さくすると、糸の捕捉及び/又は保持に失敗するリスクが生じる。本発明では、周方向において捕捉爪と予備捕捉爪の全部又は一部が重なる位置に配置されている場合と比べて、ベース部の軸方向における大型化を抑制しつつ、捕捉爪及び予備捕捉爪を大きく形成することができる。したがって、連結部材の大型化の抑制と、糸の捕捉失敗及び/又は保持失敗の抑制とを両立できる。
【0017】
第6の発明の連結部材は、前記第1~第5のいずれかの発明において、前記ベース部は、前記2つの巻取ボビンの前記軸方向における移動を規制する一対のストッパー部、を有し、前記案内面及び前記捕捉爪は、前記一対のストッパー部の前記径方向における最も外側の端よりも前記径方向における内側に配置されていることを特徴とする。
【0018】
案内面及び/又は捕捉爪がストッパー部よりも径方向外側に配置されていると、案内面及び/又は捕捉爪が2つのボビンよりも径方向外側に突出しうる。このような場合、例えば糸巻取用の装置において、巻取体を単一の長尺の巻取ボビンと同様に取り扱うことが難しくなるおそれがある。本発明では、案内面及び捕捉爪がストッパー部の径方向外端よりも径方向内側に配置されている。したがって、一対のストッパー部の外径以上の外径を有する2つの巻取ボビンを連結部材に装着することで、巻取体を単一の巻取ボビンと同様に取り扱うことができる。
【0019】
第7の発明の連結部材は、前記第6の発明において、前記一対のストッパー部の一方は、前記案内面と接続され、且つ、前記軸方向において前記案内面に近づくほど外径が小さくなるように形成された傾斜面を有する。
【0020】
本発明では、走行中の糸を傾斜面によって案内面へスムーズに導くことができる。
【0021】
第8の発明の糸掛方法は、前記第1~第7のいずれかの発明の連結部材と、前記連結部材に装着された2つの巻取ボビンと、を有する巻取体に走行中の複数の糸を掛ける糸掛方法であって、前記巻取体を回転させながら、前記複数の糸のうち1つの糸を前記案内面によって前記径方向における内側へ案内させて前記捕捉爪に捕捉させることを特徴とする。
【0022】
本発明では、糸を捕捉爪に捕捉させることで、糸を弛ませることなく確実に捕捉及び保持することができる。したがって、糸掛けの成功率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態に係る巻取装置を備える仮撚加工機の側面図である。
【
図2】糸の経路に沿って仮撚加工機を展開した模式図である。
【
図3】(a)は、単一の巻取ボビン及びその周辺構成を示す説明図であり、(b)は、2つの巻取ボビンを有する巻取体及びその周辺構成を示す説明図である。
【
図4】(a)、(b)は、糸掛装置及びその周辺の模式図である。
【
図5】(a)~(c)は、巻取ボビンへの糸掛け時における糸掛装置の動作を示す説明図である。
【
図7】ベース部を軸方向と直交する方向から見た、
図6のVII矢視図である。
【
図8】ベース部を軸方向と直交する方向から見た、
図6のVIII矢視図である。
【
図9】(a)は、
図7の一部の拡大図であり、(b)は、
図8の一部の拡大図である。
【
図10】(a)は、
図8のX(a)- X(a)線断面図であり、(b)は、
図8のX(b)- X(b)線断面図である。
【
図11】(a)~(c)は、捕捉爪による糸の捕捉を示す説明図である。
【
図12】(a)~(c)は、捕捉爪による糸の捕捉及び保持を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
図1の紙面垂直方向を機台長手方向とし、紙面左右方向を機台幅方向とする。機台長手方向及び機台幅方向の両方と直交する方向を、重力の作用する上下方向(鉛直方向)とする。
【0025】
(仮撚加工機の全体構成)
まず、本実施形態の巻取装置21(後述)を有する仮撚加工機1の全体構成について、
図1及び
図2を参照しつつ説明する。
図1は、仮撚加工機1の側面図である。
図2は、糸Yの経路(糸道)に沿って仮撚加工機1を展開した模式図である。
【0026】
仮撚加工機1は、合成繊維からなる糸Yを仮撚加工可能に構成されている。仮撚加工機1は、給糸部2と、加工部3と、巻取部4とを備える。給糸部2は、糸Yを供給可能に構成されている。加工部3は、給糸部2から糸Yを引き出して仮撚加工するように構成されている。巻取部4は、加工部3によって加工された糸Yを巻取ボビンB1或いは巻取体100(
図1、
図2及び
図3(b)参照。詳細は後述)に巻き取るように構成されている。給糸部2、加工部3及び巻取部4が有する各構成要素は、給糸部2から加工部3を通って巻取部4に至る糸道が配置される糸の走行面(
図1の紙面)と直交する機台長手方向において、複数配列されている(
図2参照)。
【0027】
給糸部2は、複数の給糸パッケージPsを保持するクリールスタンド7を有し、加工部3に複数の糸Yを供給する。加工部3は、給糸部2から複数の糸Yを引き出して加工するように構成されている。加工部3は、糸走行方向における上流側から順に、第1フィードローラ11、撚止ガイド12、第1加熱装置13、冷却装置14、仮撚装置15、第2フィードローラ16、合糸装置17、第3フィードローラ18、第2加熱装置19、第4フィードローラ20が配置された構成となっている。巻取部4は、複数の巻取装置21を有する。各巻取装置21は、加工部3で仮撚加工された糸Yを巻取ボビンB1或いは巻取体100に巻き取って、1又は複数の巻取パッケージPwを形成する。
【0028】
仮撚加工機1は、機台幅方向に間隔を置いて配置された主機台8及び巻取台9を有する。主機台8及び巻取台9は、機台長手方向に略同じ長さに延びるように設けられている。主機台8及び巻取台9は、機台幅方向において互いに対向するように配置されている。仮撚加工機1は、1組の主機台8及び巻取台9を含む、スパンと呼ばれる単位ユニットを有する。1つのスパンにおいては、機台長手方向に並んだ状態で走行する複数の糸Yに対して、同時に仮撚加工を施すことができるように各装置が配置されている。仮撚加工機1は、このスパンが、主機台8の機台幅方向の中心線Cを対称軸として、紙面左右対称に配置されている(主機台8は、左右のスパンで共通のものとなっている)。また、複数のスパンが、機台長手方向に配列されている。
【0029】
(加工部の構成)
加工部3の構成について、
図1及び
図2を参照しつつ説明する。第1フィードローラ11は、給糸部2に装着された給糸パッケージPsから糸Yを解舒して第1加熱装置13へ送るように構成されている。第1フィードローラ11は、例えば2本の糸Yを第1加熱装置13へ送ることが可能に構成されているが、これには限られない。撚止ガイド12は、仮撚装置15で糸Yに付与された撚りが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側に伝播しないように構成されている。第1加熱装置13は、第1フィードローラ11から送られてきた糸Yを加熱するように構成されている。第1加熱装置13は、例えば、
図2に示すように、4本の糸Yを加熱可能に構成されているが、これには限られない。冷却装置14は、第1加熱装置13で加熱された糸Yを冷却するように構成されている。冷却装置14は、例えば、
図2に示すように、4本の糸Yを冷却可能に構成されているが、これには限られない。仮撚装置15は、冷却装置14の糸走行方向下流側に配置され、糸Yに撚りを付与するように構成されている。仮撚装置15は、例えば、いわゆるディスクフリクション方式の仮撚装置であるが、これには限られない。第2フィードローラ16は、仮撚装置15で処理された糸Yを合糸装置17へ送るように構成されている。第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度は、第1フィードローラ11による糸Yの搬送速度よりも速い。これにより、糸Yは、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸される。
【0030】
合糸装置17は、糸Yaと糸Ybを合糸して糸Ycを形成可能に構成されている。合糸装置17は、例えば、ある仮撚装置15で処理された糸Yaと、当該仮撚装置15に隣接配置された仮撚装置15で処理された糸Ybとを合糸可能である。合糸装置17は、2つのインターレースノズル31、32を有する(
図2参照)。合糸装置17は、例えばインターレースノズル31の内部を通っている糸Ya及び糸Yb(
図2の紙面左側部分参照)に対して空気を噴射し、糸Yaと糸Ybを空気流で絡める空気交絡(インターレース)によって合糸し、糸Ycを形成する。合糸装置17は、糸Yaと糸Ybとを合糸せずに、2本の糸Yをそのまま糸走行方向における下流側へ案内することも可能である。この場合、糸Yaはインターレースノズル31の内部を通り、糸Ybはインターレースノズル32の内部を通る(
図2の紙面右側部分参照)。
【0031】
第3フィードローラ18は、合糸装置17よりも糸走行方向における下流側を走行している糸Yを第2加熱装置19へ送るように構成されている。第3フィードローラ18は、例えば、
図2に示すように、2本の糸Yを第2加熱装置19へ送ることが可能に構成されているが、これには限られない。なお、第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度は、第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩される。第2加熱装置19は、第3フィードローラ18から送られてきた糸Yを加熱するように構成されている。第2加熱装置19は、第2加熱装置19は、鉛直方向に沿って延びており、1つのスパンに1つずつ設けられている。第4フィードローラ20は、第2加熱装置19によって加熱された糸Yを巻取装置21へ送るように構成されている。第4フィードローラ20は、例えば、
図2に示すように、2本の糸Yを巻取装置21へ送ることが可能に構成されているが、これには限られない。第4フィードローラ20による糸Yの搬送速度は、第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩される。
【0032】
以上のように構成された加工部3では、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸された糸Yが、仮撚装置15によって撚られる。仮撚装置15により形成される撚りは、撚止ガイド12までは伝播するが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側には伝播しない。延伸されつつ撚りが付与された糸Yは、第1加熱装置13で加熱されて熱固定された後、冷却装置14で冷却される。仮撚装置15よりも糸走行方向下流側では糸Yは解撚されるが、上記の熱固定によって糸Yが波状に仮撚りされた状態が維持される。仮撚りが施された2本の糸Y(糸Ya及び糸Yb)は、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩されながら、合糸装置17によって合糸された後、又は、合糸されずにそのまま、糸走行方向下流側へ案内される。さらに、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩されながら、第2加熱装置19で熱固定される。最後に、第4フィードローラ20から送られた糸Y(糸Yc、又は、糸Ya、Yb)は、巻取装置21によって巻き取られる。これにより、各巻取装置21において、1つの巻取パッケージP1又は2つの巻取パッケージP2が形成される。
【0033】
(巻取部の構成)
巻取部4の構成について
図2及び
図3(a)、(b)を参照しつつ説明する。
図3(a)は、単一の巻取ボビンBw、及びその周辺構成を示す説明図である。
図3(b)は、複数の巻取ボビンBw(巻取ボビンB2)と後述の連結部材60とを有する巻取体100、及びその周辺構成を示す説明図である。巻取部4は、複数の巻取装置21を有する。各巻取装置21は、例えば特開2013-35640号公報に記載されているように、1つ又は2つの巻取ボビンBwに糸Yを巻取可能に構成されている。つまり、各巻取装置21は、動作モードとして単一モード及び複数モードを選択可能である。単一モードとは、1つの巻取ボビンBw(巻取ボビンB1)に1つの糸Ycを巻き取る動作モードである。複数モードとは、2つの巻取ボビンBw(巻取ボビンB2)に2つの糸Ya、Ybを巻き取る動作モードである。巻取装置21は、糸Yが綾振りされる際の支点となる支点ガイド41と、糸Yを綾振りするトラバース装置42と、巻取ボビンBwを回転自在に支持する単一のクレードル43と、制御部44(
図1参照)とを有する。なお、制御部44の代わりに、例えば、複数の巻取装置21を制御する制御装置(不図示)が設けられていても良い。
【0034】
支点ガイド41は、上述したように、糸Yが綾振りされる際の支点となるガイドである。支点ガイド41は、例えば、機台長手方向に沿って並ぶように、各巻取装置21に3つずつ設けられている(
図2参照)。例えば、合糸装置17により合糸されて1本になった糸Yを案内する場合には、3つの支点ガイドのうち中央に配置された支点ガイド41に糸Yが掛けられる(
図2の紙面左側部分参照)。また、合糸されずにそのまま送られてきた2本の糸Yを案内する場合には、3つの支点ガイド41のうち両端の2つの支点ガイド41にそれぞれ糸Yが掛けられる(
図2の紙面右側部分参照)。
【0035】
トラバース装置42は、例えば、モータ(不図示)により往復駆動される無端ベルト(不図示)に取り付けられたトラバースガイド45によって、糸Yを綾振りすることが可能に構成されている。無端ベルトに取り付けられるトラバースガイド45の数は、綾振りされる糸Yの数に応じて変更可能である。例えば、合糸装置17により合糸されて1本になった糸Yを綾振りするトラバース装置42においては、1つのトラバースガイド45が設けられている(
図2の紙面左側部分参照)。また、合糸されずにそのまま送られてきた2本の糸Yを綾振りするトラバース装置42においては、2つのトラバースガイド45が設けられている(
図2の紙面右側部分参照)。トラバースガイド45の移動範囲は、綾振りされる糸Yの数に応じて変更可能である。綾振りされる糸Yの数及びトラバースガイド45の移動範囲等の設定に関する情報は、例えば、制御部44に記憶されている。
【0036】
クレードル43は、糸Ycを巻き取るための単一の巻取ボビンBw(巻取ボビンB1。
図3(a)参照))又は糸Ya及びYbを巻き取るための巻取体100(
図3(b)参照)を回転自在に支持するように構成されている。ここで、巻取体100の概略について説明する。巻取体100は、2つの巻取ボビンBw(巻取ボビンB2)と、連結部材60とを有する。クレードル43に装着されている巻取ボビンBwの軸方向(以下、単に軸方向とする)において、各巻取ボビンB2は、巻取ボビンB1の半分未満の長さを有する。巻取ボビンB2の外径及び内径は、巻取ボビンB1の外径及び内径と略等しい。
【0037】
連結部材60は、例えば樹脂製の部材である。連結部材60は、2つの巻取ボビンB2を軸方向に並べて連結するように構成されている。連結部材60は、ベース部61と、ベース部61の軸方向における両側に配置された一対の装着部62(第1装着部63及び第2装着部64)とを有する。ベース部61は、軸方向において連結部材60の中心部に配置されている。ベース部61は、軸方向において、2つの巻取ボビンB2(巻取ボビンB2a、B2b)の間に挟まれるように配置されている。説明の便宜上、
図3(a)、(b)の紙面右側を軸方向における一方側とし、紙面左側を軸方向における他方側とする。例えば、第1装着部63は、軸方向においてベース部61の一方側に配置されている。第2装着部64は、軸方向においてベース部61の他方側に配置されている。第1装着部63及び第2装着部64の各々は、巻取ボビンB2に差し込まれることが可能に構成されている。これにより、2つの巻取ボビンB2が第1装着部63及び第2装着部64にそれぞれ装着(固定)されることで巻取体100が形成される。軸方向において、巻取体100の長さは、単一の巻取ボビンB1の長さと略等しい。連結部材60のさらなる詳細については後述する。
【0038】
クレードル43は、巻取ボビンB1が着脱されることが可能、且つ、巻取体100が着脱されることが可能に構成されている。
図3(a)、(b)に示すように、クレードル43は、巻取ボビンB1又は巻取体100を把持するように配置された一対のボビンホルダ47(ボビンホルダ47a、47b)を有する。ボビンホルダ47a、47bは、クレードル43の一対のアーム部43a、43bにそれぞれ回転自在に支持されている。各ボビンホルダ47は、巻取ボビンB1又は巻取ボビンB2に挿通される挿通部48と、挿通部48を軸方向に押圧する押圧部49とを有する。押圧部49は、巻取ボビンB2よりも大径の部分である。押圧部49は、例えば不図示のばねによって、巻取ボビンB1(又は巻取ボビンB2)を軸方向に押圧する側へ力を加えられている。軸方向における一方側の押圧部49には、後述する糸掛け作業の際に糸Yを径方向における内側へ案内する不図示の切り欠きが形成されている(例えば特開2013-35640号公報を参照されたい)。
【0039】
クレードル43の近傍には、接触ローラ46が配置されている。接触ローラ46は、単一の巻取ボビンB1(
図3(a)参照)に糸Yが巻き取られて形成される単一の巻取パッケージP1、又は2つの巻取ボビンB2(
図3(b)参照)に糸Yがそれぞれ巻き取られて形成される2つの巻取パッケージP2の表面に接触して接圧を付与する。接触ローラ46は、軸方向に関して外径が略均一な略円筒形状を有する。接触ローラ46は、単一の巻取パッケージP1及び2つの巻取パッケージP2のいずれにも接圧を付与可能である(理由については後述する)。すなわち、接触ローラ46は、単一の巻取パッケージP1及び2つの巻取パッケージP2のいずれを形成する際にも用いられる共通のローラである。
【0040】
クレードル43に支持されている巻取ボビンB1又は巻取体100は、例えば、不図示のモータによって回転駆動される。このような構成では、巻取パッケージP1又は巻取パッケージP2の表面に接触している接触ローラ46が、摩擦によって従動回転しつつ巻取パッケージP1(又は巻取パッケージP2)に接圧を付与する。或いは、巻取ボビンB1又は巻取体100をモータで回転駆動する代わりに、接触ローラ46が不図示のモータによって回転駆動されても良い。このような構成では、接触ローラ46に接触している巻取パッケージP1(又は巻取パッケージP2)が、摩擦によって従動回転する。
【0041】
制御部44は、トラバース装置42の動作及び巻取ボビンB1(又は巻取体100)を回転駆動するモータの動作を制御する。制御部44は、巻取装置21に巻き取る糸Yの数に関する設定を変更可能に構成されている。すなわち、制御部44は、単一の巻取ボビンB1に1本の糸Yを巻き取る(
図2の紙面左側部分参照)単一モードと、2つの巻取ボビンB2に2本の糸Yをそれぞれ巻き取る(
図2の紙面右側部分参照)複数モードとの間で動作モードを切換可能である。
【0042】
以上のように構成された巻取部4では、上述した第4フィードローラ20から送られた糸Yが各巻取装置21によって巻取ボビンB1(又は巻取ボビンB2)に巻き取られ、巻取パッケージP1(又は巻取パッケージP2)が形成される。合糸装置17によって2本の糸Yが合糸される場合には、対応する巻取装置21の動作モードは単一モードに設定される。また、2本の糸Yが合糸されずにそのまま糸走行方向における下流側へ案内される場合には、対応する巻取装置21の動作モードは複数モードに設定される。以下では、主に、複数モードが実行される場合の構成について説明する。
【0043】
(糸掛装置)
本実施形態において、巻取装置21の近傍には、糸掛装置50が設けられている(
図4(a)、(b)及び
図5(a)~(c)参照)。
図4(a)は、糸掛装置50を上側から見た図である。
図4(b)は、糸掛装置50を軸方向における一方側から見た図である。
図5(a)~(c)は、巻取ボビンB2への糸掛け時における糸掛装置50の動作を示す説明図である。
【0044】
糸掛装置50は、クレードル43に装着されている巻取体100への糸Yの巻取りを終了させ、且つ、クレードル43に新たに装着された巻取体100への糸掛けを行うように構成されている。糸掛装置50は、2つの巻取ボビンB2の各々に糸Yを掛けることができるように構成されている。以下、糸掛装置50の一例について説明する。糸掛装置50は、軸方向に並べて配置された2つの糸掛部51(糸掛部51a、51b)を有する。糸掛部51aは、軸方向一方側の糸Y(糸Ya)を軸方向一方側の巻取ボビンB2(巻取ボビンB2a)に掛けるように構成されている。糸掛部51bは、軸方向他方側の糸Y(糸Yb)を軸方向他方側の巻取ボビンB2(巻取ボビンB2b)に掛けるように構成されている。
図4(a)、(b)に示すように、各糸掛部51は、サクションマウス52と、糸寄せアーム53と、糸配置アーム54と、糸押付アーム55と、糸保持アーム56と、カッタ57(
図4(a)参照)とを有する。各糸掛部51は、巻取ボビンB2への糸Yの巻取りを終了させる動作、及び、新しい巻取ボビンB2への糸掛け動作を実行可能に構成されている。
【0045】
サクションマウス52は、ある巻取体100への糸Yの巻取りの終了後、次の巻取体100への糸掛けが完了するまでの間、加工部3によって仮撚加工された走行中の糸Yを一時的に吸引保持するためのものである。サクションマウス52は、糸Yがトラバースガイド45によって綾振りされる領域(
図4(a)の実線及び二点鎖線で示された糸Yを参照)の外側に配置されている。各サクションマウス52は、対応する巻取ボビンB2に巻かれる糸Yが綾振りされる範囲の外側(本実施形態では軸方向一方側)に配置されている。糸寄せアーム53は、トラバースガイド45によって綾振りされている糸Yを軸方向における一方側へ移動させるように構成されている。糸寄せアーム53は、軸方向と略直交する方向に延びた回動軸53aを軸中心として回動可能である。回動軸53aの近傍には、糸Yをサクションマウス52の入り口近傍へ案内可能なガイド部材58が設けられている。糸寄せアーム53は、軸方向に沿って延びた退避位置(例えば
図5(a)参照)と、退避位置から略90度回転した糸寄せ位置(例えば
図5(b)参照)との間で状態を変更可能である。糸配置アーム54は、サクションマウス52によって吸引保持されている糸Yを巻取体100のほぼ真上に位置させるように構成されている(例えば
図5(c)参照)。糸掛部51aの糸配置アーム54及び糸掛部51bの糸配置アーム54は、軸方向に延びた回動軸54aを軸中心として一体的に回動可能に構成されている。糸押付アーム55は、糸Yを巻取体100の外周部に押し付けるように構成されている。糸掛部51aの糸押付アーム55及び糸掛部51bの糸押付アーム55は、軸方向に延びた回動軸55aを軸中心として一体的に回動可能に構成されている。糸保持アーム56は、糸押付アーム55との間に糸Yを挟んで保持するように構成されている。糸保持アーム56は、糸配置アーム54と一体的に回動可能に構成されている。カッタ57は、糸寄せアーム53によって軸方向における一方側へ移動させられた糸Yを切断するように構成されている。これらの構成要素のより詳細については、例えば特開2013-23385号公報を参照されたい。
【0046】
糸掛装置50による糸掛けの動作について、
図5(a)~(c)を参照しつつ簡単に説明する。例えば、クレードル43に装着された巻取体100の2つの巻取ボビンB2に糸Yが巻き取られて、2つの巻取パッケージP2が形成されている(
図5(a)参照)。このとき、糸寄せアーム53が退避位置から糸寄せ位置に回動することにより、糸Yが、ガイド部材58に沿って案内されつつ、軸方向における一方側に移動させられる。これにより、糸Yがトラバースガイド45から外され、さらに、カッタ57によって切断される。これにより、クレードル43に装着された巻取体100への糸Yの巻取りが終了する。それとほぼ同時に、カッタ57よりも糸走行方向上流側の糸Yは、サクションマウス52に吸引捕捉される(
図5(b)参照)。なお、サクションマウス52に糸Yが吸引捕捉された後、糸寄せアーム53は退避位置に戻る。次に、例えば不図示のオートドッファによって、満巻の巻取パッケージP2がクレードル43から取り外され、新しい空の巻取ボビンB2を有する巻取体100がクレードル43に装着される。
【0047】
次に、糸Yがサクションマウス52によって吸引保持されている状態で、糸配置アーム54が上方へ回動する(
図5(c)参照)。これにより、糸Yが巻取体100のほぼ真上に配置される。なお、このとき、糸保持アーム56も糸配置アーム54と一体的に回動する(
図5(c)参照)。さらに、糸押付アーム55が回動することにより、糸走行方向において糸配置アーム54とサクションマウス52との間にある糸Yが、回転している巻取ボビンB2及びその近傍部分に押し付けられる(
図5(c)及び
図3(b)参照)。より具体的には、軸方向における一方側の糸Y(糸Ya)は、ボビンホルダ47の押圧部49に形成された切り欠き(不図示)に沿って径方向内側へ案内され、巻取ボビンB2aの軸方向一方側の端面と押圧部49との間に把持される。これにより、糸Yaが巻取ボビンB2aに巻き取られることが可能になる。軸方向における他方側の糸Y(糸Yb)は、後述するように、連結部材60によって捕捉され、回転している巻取ボビンB2bに巻き取られることが可能になる。
【0048】
なお、糸掛部51bの構成要素の少なくとも一部は、糸掛装置50から取り外されることが可能に構成されていても良い。これにより、動作モードが複数モードから単一モードに切り換えられる際に、糸掛部51bの構成要素の少なくとも一部が糸掛装置50から取り外され、糸掛部51aのみが1本の糸Yの糸掛けに使用されても良い。或いは、糸掛装置50全体が単一モード専用の糸掛装置(不図示)と交換されても良い。なお、上述した糸掛けの作業は、糸掛装置50の代わりに、オペレータによって行われても良い。
【0049】
ここで、従来の連結部材(不図示)は、当該連結部材と巻取ボビンB2bとの間に形成された隙間に糸Ybを挟んで捕捉するように構成されていた。しかし、近年、従来よりも細い糸Yが製造可能になってきたことに起因して、以下の問題が顕在化してきた。すなわち、細い糸Yは、従来の連結部材と巻取ボビンB2bとの隙間にいったん挟まれても、当該隙間においてしっかり把持されにくく、隙間から脱落してしまいやすい。このような状況では、走行中の糸Yが張ったり弛んだりする不安定な状態になるおそれがある。糸Yの弛みが糸走行方向上流側に伝播すると、糸走行方向上流側に配置された糸Yが正常に走行できなくなりうる。また、細い糸Yがそもそも巻取ボビンB2bと従来の連結部材との隙間に捕捉されず、糸掛けに失敗してしまうおそれもある。本実施形態においては、糸Yを弛ませずに確実に捕捉するため、連結部材60が後述の構成を有する。なお、巻取ボビンB2aとボビンホルダ47との隙間に糸Yを捕捉させる際には、このような問題は発生していない。これは、上述したボビンホルダ47の切り欠きによって糸Yが捕捉されることと関連している可能性があると本願発明者は考察している。
【0050】
(連結部材の詳細構成)
次に、連結部材60の詳細構成(特に、ベース部61の詳細構成)について、
図6~
図10(b)を参照しつつ説明する。
図6は、ベース部61の斜視図である。
図7は、ベース部61を軸方向と直交する方向から見た、
図6のVII矢視図である。
図8は、ベース部61を軸方向と直交する方向から見た、
図6のVIII矢視図である。
図9(a)は、
図7に示すベース部61の一部の拡大図である。
図9(b)は、
図8に示すベース部61の一部の拡大図である。
図10(a)は、
図8のX(a)-X(a)線断面図である。
図10(b)は、
図8のX(b)-X(b)線断面図である。
図6~
図8においては、ベース部61を実線で表し、装着部62(第1装着部63及び第2装着部64)を破線で表し、巻取ボビンB2a、B2bを二点鎖線で示している。
【0051】
図7及び
図8において、第1装着部63がベース部61の軸方向一方側(紙面右側)に配置され、第2装着部64がベース部61の軸方向他方側(紙面左側)に配置されている。説明の便宜上、このような連結部材60の向きを、連結部材60の「正規の向き」と称する。また、説明の便宜上、連結部材60が正規の向きに配置されている場合に、連結部材60を軸方向における一方側から見たときの、反時計回りの向きを、周方向における一方側とする(
図10(a)参照)。同じく時計回りの向きを、周方向における他方側とする(
図10(a)参照)。なお、参考までに、
図10(b)は、連結部材60を軸方向における他方側から見た断面図であるため、
図10(b)においては時計回りの向きが周方向一方側であり、反時計回りの向きが周方向他方側である。
【0052】
ベース部61は、全体として概ね円板状の部分である。ベース部61は、径方向において巻取ボビンB2a、B2bよりも小さい。つまり、ベース部61は、径方向において巻取ボビンB2a、B2bの内側に収まっている。
【0053】
図6~
図10(a)に示すように、ベース部61は、一対のストッパー部66と、案内スリット71(
図7~
図10(b)参照)と、捕捉爪72とを有する。ベース部61は、連結部材60が正規の向きに配置されている場合に、走行中の糸Y(糸Yb)を案内スリット71によって径方向における内側に案内し、さらに、糸Ybを捕捉爪72によって捕捉することが可能に構成されている。
【0054】
一対のストッパー部66(ストッパー部67、68)は、巻取ボビンB2の軸方向における移動を規制するように構成されている。ストッパー部67は、ベース部61の軸方向における一方側の端部に形成されている。ストッパー部67は、第1装着部63の軸方向における他方側の端部よりも径方向外側に位置している。ストッパー部67は、傾斜面67aを有する。傾斜面67aは、例えば、軸方向における他方側へ向かうほど(すなわち、ベース部61の軸方向一方側の端から遠ざかるほど)外径が小さくなっている。ストッパー部68(本発明の、一対のストッパー部の一方)は、ベース部61の軸方向における他方側の端部に形成されている。ストッパー部68は、第2装着部64の軸方向における一方側の端部よりも径方向外側に位置している。ストッパー部68は、傾斜面68aを有する。傾斜面68aは、例えば、軸方向における一方側へ向かうほど(すなわち、ベース部61の軸方向他方側の端から遠ざかり、後述する案内面73に近づくほど)外径が小さくなっている。なお、傾斜面67a及び傾斜面68aは、軸方向と直交する方向から見たときに、例えば直線状である(
図7及び
図8参照)が、これには限られない。傾斜面67a及び/又は傾斜面68aは、例えば、軸方向と直交する方向から見たときに湾曲した湾曲面を有していても良い。
【0055】
案内スリット71(
図7~
図10(b)参照)は、糸Ybを径方向内側へ案内するためのスリットである。案内スリット71は、軸方向において、ベース部61の内側部(概ね中央部)に形成されている。より詳細には、案内スリット71は、軸方向において、ストッパー部67とストッパー部68との間に配置されている(
図8~
図9(b)参照)。案内スリット71は、案内面73と対向面74とを有する。案内面73は、少なくとも軸方向における一方側を向いている。案内面73は、例えば、概ねL字状に形成されているより詳細には、例えば、
図10(a)に示すように、案内面73の径方向外側部分は、周方向に延びている。案内面73の径方向外側部分の周方向一方側部分は、径方向において、底面75との間に隙間を有している。案内面73の周方向他方側部分は、径方向外側から径方向内側にかけて延びており、底面75の周方向他方側部分と接続されている。案内面73は、周方向における一部に形成されている。案内面73は、傾斜面68aと接続されており、径方向において傾斜面68aの内側に配置されている(
図10(a)参照)。言い換えると、案内面73は、一対のストッパー部66の径方向における最も外側の端よりも径方向内側に配置されている。案内面73は、径方向において捕捉爪72よりも内側まで延びるように形成されている。対向面74は、軸方向における他方側を向いており、軸方向において案内面73と向かい合うように配置されている(
図8、
図9(b)参照)。対向面74は、概ね三日月状に形成されている(
図10(b)参照)。対向面74は、傾斜面67aと接続されており、径方向において傾斜面67aの内側に配置されている(
図10(b)参照)。軸方向において、案内面73と対向面74との間には、案内面73の径方向内端と対向面74の径方向内端とを接続する底面75が形成されている。底面75は、少なくとも径方向外側を向いている。軸方向から見たときに、底面75は概ね直線状である。底面75は、略直線状でも良い。或いは、底面75は、
図10(a)、(b)に示すように、両端部が少し湾曲していても良い。
【0056】
捕捉爪72は、案内面73によって径方向内側へ案内された糸Ybを捕捉するように構成されている。
図7~
図9に示すように、捕捉爪72は、軸方向において、例えば、案内面73の他方側に配置されている。捕捉爪72は、軸方向において、例えば、ストッパー部68と少なくとも部分的に重なる位置に配置されている。捕捉爪72は、周方向において、例えば、案内面73の一方側の端部の位置に配置されている。捕捉爪72は、例えば、受止め面76と、突出部77とを有する。受止め面76は、走行中の糸Ybを受け止めるように構成されている。受止め面76は、例えば、少なくとも周方向における一方側を向いている。突出部77は、受止め面76によって受け止められた糸Ybが受止め面76から脱落することを防止するように構成されている。突出部77は、例えば、受止め面76よりも周方向における一方側に向かって突出した突起である。突出部77は、受止め面76の軸方向における一方側に配置されている。突出部77は、例えば、軸方向における他方側及び周方向における一方側を向いた略平面状の側面77a(
図9(a)、(b)参照)を有する。
【0057】
また、ベース部61は、連結部材60が正規の向きとは逆向き(すなわち、軸方向と直交する平面内で、連結部材60を正規の向きから180度回転させた向き)に配置されている場合にも、糸Ybを捕捉することができるように構成されている。
図8及び
図10(b)に示すように、ベース部61は、予備案内スリット81と、予備捕捉爪82とを有する。予備案内スリット81及び予備捕捉爪82は、周方向において、案内スリット71及び捕捉爪72とは異なる位置に配置されている。より具体的には、予備案内スリット81及び予備捕捉爪82は、周方向において、案内スリット71及び捕捉爪72が形成された位置から概ね180度離れた位置に配置されている(
図10(a)、(b)参照)。予備案内スリット81及び予備捕捉爪82は、軸方向と直交する所定の方向から見たとき、ベース部61の軸方向及び径方向における中心を対称点として、案内スリット71及び捕捉爪72と点対称になるように形成されている(
図8参照)。
【0058】
予備案内スリット81は、案内スリット71と略同一形状を有する。予備案内スリット81は、案内面73と略同一形状の予備案内面83と、対向面74と略同一形状の予備対向面84とを有する。予備案内面83は、少なくとも軸方向における他方側を向いている。予備案内面83は、傾斜面67aと接続されており、径方向において傾斜面67aの内側に配置されている(
図10(b)参照)。言い換えると、予備案内面83も、一対のストッパー部66の径方向における最も外側の端よりも径方向内側に配置されている。予備対向面84は、少なくとも軸方向における一方側を向いており、軸方向において予備案内面83と向かい合うように配置されている。予備対向面84は、傾斜面68aと接続されており、径方向において傾斜面68aの内側に配置されている(
図10(a)参照)。軸方向において、予備案内面83と予備対向面84との間には、予備案内面83の径方向内端と予備対向面84の径方向内端とを接続する底面85(
図8参照)が形成されている。底面85の形状は、底面75の形状と略同一である。
【0059】
予備捕捉爪82は、捕捉爪72と略同一形状を有する。
図8に示すように、予備捕捉爪82は、軸方向において、例えば、予備案内面83の一方側に配置されている。予備捕捉爪82は、軸方向において、例えば、ストッパー部67と重なる位置に配置されている。予備捕捉爪82は、周方向において、例えば、予備案内面83の他方側の端部の位置に配置されている。予備捕捉爪82は、例えば、受止め面76と略同一形状の予備受止め面86と、突出部77と略同一形状の予備突出部87とを有する。予備受止め面86は、例えば、少なくとも周方向における他方側を向いている。予備突出部87は、例えば、受止め面76よりも周方向における他方側に向かって突出した突起である。予備突出部87は、受止め面76の軸方向における他方側に配置されている。
【0060】
図10(a)、(b)に示すように、底面75の周方向一方側の端には、例えば、底面75よりも径方向外側に配置された外周面91が接続されている。底面75の周方向他方側の端には、例えば、底面75よりも径方向外側に配置された外周面92が接続されている。外周面91、92は、軸方向から見たときに略円弧状である。外周面91は、底面85の周方向他方側の端に接続されている。外周面92は、底面85の周方向一方側の端に接続されている。底面75、85及び外周面91、92は、軸方向においてベース部61の略中心部に形成されている。外周面91、92の軸方向における一方側の端には、傾斜面67aが接続されている(
図10(b)参照)。外周面91、92の軸方向における他方側の端には、傾斜面68aが接続されている(
図10(a)参照)。
【0061】
(連結部材への糸掛方法)
次に、上述した巻取体100に複数の糸Yを掛ける糸掛方法のうち、連結部材60に複数の糸Yのうち1本の糸Yを掛ける方法について、
図11(a)~
図12(c)を参照しつつ説明する。より具体的には、糸Y(糸Yb)が糸掛装置50(又はオペレータ)によって巻取体100の表面に押し付けられるように配置されているとき(
図3(b)及び
図5(c)参照)、連結部材60に糸Ybが捕捉される様子について説明する。ここでは、連結部材60が正規の向きに配置されているものとして説明を進める。
【0062】
糸掛けが行われる際、軸方向と直交する方向から見たとき(
図3(b)、
図7及び
図8参照)、糸Ybは、連結部材60のベース部61の延びる方向(紙面上下方向)に対してわずかに斜めに(紙面左右方向に)傾いた状態で、ベース部61の表面近傍に配置される。また、上述したように、糸Ybはサクションマウス52に向かって(すなわち、
図11(a)~
図12(c)の破線矢印に示されるように、紙面下側に向かって)走行している。また、連結部材60を含む巻取体100は、周方向における一方側へ回転している(
図11(a)~
図12(c)の実線矢印参照)。
【0063】
走行中の糸Ybが回転中の巻取体100の表面に押し付けられるように配置されたとき(
図5(c)参照)、糸Ybは、連結部材60のベース部61の傾斜面67a、68aに沿って、ベース部61の軸方向内側且つ径方向内側へ案内される(
図11(a)参照)。巻取体100がさらに回転すると、傾斜面67a、68aによって径方向内側へ案内された糸Ybは、案内面73に沿ってさらに径方向内側へ案内される(
図11(b)参照)。巻取体100がさらに回転すると、糸Ybに捕捉爪72が引っ掛けられ、糸Ybが捕捉爪72によって捕捉される(
図11(c)、
図12(a)参照)。捕捉爪72に捕捉された糸Ybは、受止め面76によって受け止められる(
図12(b)参照)。受止め面76によって受け止められた糸Ybは、突出部77によって、受止め面76から脱落することが防止される(より詳細には、糸Ybの軸方向一方側及び径方向外側への脱落が防止される)。このようにして、糸Ybが捕捉爪72によって捕捉され且つ保持される。なお、捕捉爪72に捕捉された直後の糸Ybは、受止め面76によって単に受け止められており、受止め面76に対してスライド可能である。このため、糸Ybが捕捉爪72に起因して張ったり弛んだりするような不安定な状態に陥ることが抑制される。
【0064】
なお、巻取体100が回転しているとき、糸Ybは予備案内スリット81によっても径方向内側へ案内される。しかしながら、連結部材60が正規の向きに配置されている場合、予備捕捉爪82は、糸Ybに引っ掛かる向きとは逆向きに回転する。このため、予備捕捉爪82が意図せず糸Ybを捕捉してしまうことはない。
【0065】
さらに、巻取体100が回転し続ける(
図12(c)参照)ことにより、糸Ybが連結部材60に何周か重なるように巻き付けられ、糸Ybが連結部材60によってしっかり保持される。これにより、糸Ybのうち巻取体100よりも糸走行方向下流側(サクションマウス52側)の部分は、張力によって自然に切れる。以上のようにして、糸Ybが巻取ボビンB2bに巻き取られることが可能となる。
【0066】
なお、連結部材60が正規の向きとは逆向きに配置されている場合、予備捕捉爪82が周方向における一方側へ突出するように配置される。この場合、予備案内スリット81及び予備捕捉爪82を、案内スリット71及び捕捉爪72の代わりに機能させることができる。すなわち、連結部材60が正規の向きとは逆向きに配置されている場合、予備案内スリット81(予備案内面83及び予備対向面84)によって径方向内側に案内された糸Ybを予備捕捉爪82によって捕捉及び保持できる。この場合、捕捉爪72によって糸Ybが意図せず捕捉されることはない。
【0067】
以上のように、走行中の糸Ybを回転中の巻取体100へ近づけ、さらに、連結部材60の捕捉爪72に引っ掛けることにより、糸Ybを捕捉爪72に巻き込んで確実に捕捉することができる。また、案内面73によって糸Ybを径方向における内側へスムーズに案内できる。このため、糸Ybに抵抗が意図せず付与してしまうことを抑制しつつ、糸Ybを捕捉爪72に到達させることができる。したがって、糸Ybを弛ませることなく確実に捕捉することができる。
【0068】
また、周方向における一方側へ巻取体100が回転しているときに、受止め面76で糸Ybを受け止めることによって糸Ybを捕捉できる。ここで、受止め面76は糸Ybを単に受け止めるものであり、例えば糸Ybを挟んで把持するものではない。つまり、少なくとも受止め面76によって受け止められた直後の糸は、受止め面76に対してスライド可能である。このため、糸Ybが捕捉爪72に起因して張ったり弛んだりするような不安定な状態に陥ることを抑制できる。さらに、受止め面76によって受け止められた糸Ybが径方向外側に移動してベース部61から脱落してしまうことを、突出部77によって防止できる。したがって、走行中の糸Ybを安定的に捕捉し且つ保持することができる。
【0069】
また、案内スリット71によって、糸Ybを径方向内側へ確実且つ安定的に案内することができる。
【0070】
また、軸方向と直交する平面内で連結部材を180度回転させたときに、予備案内面83を案内面73の代わりに機能させ、予備捕捉爪82を捕捉爪72の代わりに機能させることができる。これにより、巻取体100が巻取装置21に正規の向きとは逆向きに装着された場合でも、糸Ybを正常に捕捉できる。つまり、連結部材60を巻取装置21に装着する際に、連結部材60の向きを考慮する必要がない。このため、連結部材60の向きを考慮する必要がある場合に生じる手間を削減できる。
【0071】
また、予備捕捉爪82は、周方向において捕捉爪72と異なる位置に配置されている。これにより、周方向において捕捉爪72と予備捕捉爪82の全部又は一部が重なる位置に配置されている場合と比べて、ベース部61の軸方向における大型化を抑制しつつ、捕捉爪72及び予備捕捉爪82を大きく形成することができる。したがって、連結部材60の大型化の抑制と、糸Ybの捕捉失敗及び/又は保持失敗の抑制とを両立できる。
【0072】
また、案内面73及び捕捉爪72が一対のストッパー部66の径方向外端よりも径方向内側に配置されている。したがって、一対のストッパー部66の外径以上の外径を有する2つの巻取ボビンB2を連結部材60に装着することで、巻取体100を単一の巻取ボビンB1と同様に取り扱うことができる。特に、巻取装置21の動作モードが複数モードのときと単一モードのときとで、同一の接触ローラ46を使用できる。このため、動作モードを切り換える際に、接触ローラ46を交換する手間を省くことができる。
【0073】
また、走行中の糸Yを傾斜面68aによって案内面73へスムーズに導くことができる。
【0074】
また、本実施形態の糸掛方法では、糸Yを捕捉爪72に捕捉させることで、糸Yを弛ませることなく確実に捕捉及び保持することができる。したがって、糸掛けの成功率を向上させることができる。
【0075】
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0076】
(1)前記実施形態においては、巻取体100を構成する連結部材60のベース部61が巻取ボビンB2a、B2bよりも径方向内側に収まっているものとした。しかしながら、これには限られない。ベース部61は、径方向におけるサイズが巻取ボビンB2a、B2bと等しくなるように形成されていても良い。このような場合でも、接触ローラ46を複数モードと単一モードとで共用できる。
【0077】
或いは、ベース部61の径方向におけるサイズは、巻取ボビンB2a、B2bの径方向におけるサイズよりも大きくても良い。例えば、案内面73及び捕捉爪72がストッパー部67、68よりも径方向外側に突出していても良い。但し、この場合、複数モードにおいて、巻取パッケージP2に正常に接圧を付与するためには、軸方向における中央部が凹んでいる接触ローラ(不図示)を用いる必要がある。
【0078】
(2)前記までの実施形態において、予備案内面83及び予備捕捉爪82が、周方向において案内面73及び捕捉爪72と異なる位置に設けられているものとした。しかしながら、これには限られない。予備案内面83及び予備捕捉爪82の少なくとも一部が、周方向において案内面73及び捕捉爪72と重なる位置に設けられていても良い。
【0079】
(3)前記までの実施形態において、捕捉爪72及び予備捕捉爪82が連結部材60に1つずつ設けられているものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、捕捉爪72及び予備捕捉爪82のうち少なくとも一方が、複数設けられていても良い。具体例として、2つの捕捉爪72が、周方向において並べて配置されていても良い。或いは、2つ目の捕捉爪72が、例えば予備対向面84が形成された位置に設けられていても良い。また、連結部材60に設けられている捕捉爪72の数と予備捕捉爪82の数は、同じであっても良く、互いに異なっていても良い。
【0080】
(4)前記までの実施形態において、連結部材60に予備案内面83及び予備捕捉爪82が設けられているものとした。しかしながら、これには限られない。連結部材60は、予備案内面83及び予備捕捉爪82を有していなくても良い。但し、この場合には、巻取体100をクレードル43に装着する際に、巻取体100の向きに注意する必要がある。
【0081】
(5)前記までの実施形態において、案内面73の軸方向一方側に対向面74が形成され、案内面73と対向面74とによって案内スリット71が形成されているものとした。しかしながら、これには限られない。対向面74は、必ずしも設けられていなくても良い。
【0082】
(6)受止め面76の形状は、上述したものに限られない。例えば、受止め面76は、凹状に湾曲していても良い。
【0083】
(7)突出部77の形状は、上述したものに限られない。突出部77は、例えば、少なくとも周方向に突出した円柱形状を有していても良い。
【0084】
(8)前記までの実施形態において、受止め面76と突出部77が別々に形成されているものとしたが、これには限られない。例えば、受止め面76は、必ずしも形成されていなくても良い。この場合、例えば突出部77の側面77aが、糸Ybを受け止めても良い。
【0085】
(9)捕捉爪72の構造は、上述したものに限られない。捕捉爪72は、糸Ybを巻取ボビンB2とベース部61との隙間に挟む手段とは異なる手段で、案内面73によって径方向内側へ案内された糸Ybを捕捉可能に構成されていれば良い。
【0086】
(10)前記までの実施形態において、ベース部61の軸方向における中心部に底面75、85及び外周面91、92が形成されているものとした。しかしながら、これには限られない。ベース部61の軸方向における中心部には、例えば、周方向における全域に亘って形成された、軸方向から見たときに略円形状の底面(不図示)が形成されていても良い。当該底面は、例えば、上述した底面75、85よりも径方向における内側に形成されていても良い。
【0087】
(11)巻取装置21は、糸Yを巻き取る動作モードとして、複数モードのみを実行可能に構成されていても良い。
【0088】
(12)巻取装置21は、3つ以上の巻取ボビン(不図示)に糸Yを巻取可能に構成されていても良い。つまり、巻取体100が、2つ以上の連結部材60と、3つ以上の巻取ボビン(不図示)とを有していても良い。
【0089】
(13)本発明の連結部材60は、仮撚加工機1の巻取装置21に限らず、2本以上の糸(不図示)を巻き取ることが可能に構成された様々な巻取装置(不図示)に適用されることが可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 仮撚加工機
21 巻取装置
60 連結部材
61 ベース部
62 装着部
66 ストッパー部
68a 傾斜面
71 案内スリット
72 捕捉爪
73 案内面
74 対向面
76 受止め面
77 突出部
82 予備捕捉爪
83 予備案内面
100 巻取体
B1 巻取ボビン
B2 巻取ボビン
P1 巻取パッケージ
P2 巻取パッケージ
Y 糸
Ya 糸
Yb 糸
【手続補正書】
【提出日】2022-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中の糸を巻き取るための2つの巻取ボビンを所定の軸方向に並べて連結するように構成された連結部材であって、
前記軸方向に並べられた前記2つの巻取ボビンとの間に挟まれるように配置されたベース部と、
前記ベース部の前記軸方向における両側に配置され、前記2つの巻取ボビンが装着されることが可能に構成された一対の装着部と、を備え、
前記ベース部は、
前記軸方向において前記一対の装着部の間に配置され、前記2つの巻取ボビンの前記軸方向における移動を規制する一対のストッパー部と、
前記軸方向において前記一対のストッパー部の間に配置され、前記走行中の糸を前記ベース部の径方向における内側へ案内する案内面と、
前記案内面によって前記径方向における内側へ案内された糸を捕捉する捕捉爪と、を有することを特徴とする連結部材。
【請求項2】
前記捕捉爪は、
少なくとも前記ベース部の周方向における一方側を向くように形成された受止め面と、
前記受止め面よりも少なくとも前記周方向における前記一方側へ突出した、前記受止め面によって受け止められた前記走行中の糸の脱落を防止する突出部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の連結部材。
【請求項3】
前記ベース部は、
前記案内面と、前記軸方向において前記案内面と対向するように配置された対向面と、によって形成された案内スリットを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の連結部材。
【請求項4】
前記案内面は、少なくとも前記軸方向における一方側を向いており、
前記捕捉爪は、前記案内面の前記軸方向における他方側に配置され、且つ、少なくとも前記ベース部の周方向における一方側へ突出し、
前記ベース部は、
少なくとも前記軸方向における他方側を向いた、前記走行中の糸を前記径方向における内側へ案内可能な予備案内面と、
前記案内面の前記軸方向における前記一方側に配置され、且つ、少なくとも前記周方向における前記他方側へ突出した予備捕捉爪と、を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の連結部材。
【請求項5】
前記予備捕捉爪は、前記周方向において前記捕捉爪と異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の連結部材。
【請求項6】
前記案内面及び前記捕捉爪は、前記一対のストッパー部の前記径方向における最も外側の端よりも前記径方向における内側に配置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の連結部材。
【請求項7】
前記一対のストッパー部の一方は、
前記案内面と接続され、且つ、前記軸方向において前記案内面に近づくほど外径が小さくなるように形成された傾斜面を有することを特徴とする請求項6に記載の連結部材。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の連結部材と、前記連結部材に装着された2つの巻取ボビンと、を有する巻取体に走行中の複数の糸を掛ける糸掛方法であって、
前記巻取体を回転させながら、前記複数の糸のうち1つの糸を前記案内面によって前記径方向における内側へ案内させて前記捕捉爪に捕捉させることを特徴とする糸掛方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
第1の発明の連結部材は、走行中の糸を巻き取るための2つの巻取ボビンを所定の軸方向に並べて連結するように構成された連結部材であって、前記軸方向に並べられた前記2つの巻取ボビンとの間に挟まれるように配置されたベース部と、前記ベース部の前記軸方向における両側に配置され、前記2つの巻取ボビンが装着されることが可能に構成された一対の装着部と、を備え、前記ベース部は、前記軸方向において前記一対の装着部の間に配置され、前記2つの巻取ボビンの前記軸方向における移動を規制する一対のストッパー部と、前記軸方向において前記一対のストッパー部の間に配置され、前記走行中の糸を前記ベース部の径方向における内側へ案内する案内面と、前記案内面によって前記径方向における内側へ案内された糸を捕捉する捕捉爪と、を有することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明では、軸方向と平行な平面内で連結部材を180度回転させたときに、予備案内面を案内面の代わりに機能させ、予備捕捉爪を捕捉爪の代わりに機能させることができる。これにより、巻取体が糸巻取用の装置に正規の向きとは逆向きに装着された場合でも、糸を正常に捕捉できる。つまり、連結部材を糸巻取用の装置に装着する際に、連結部材の向きを考慮する必要がない。このため、連結部材の向きを考慮する必要がある場合に生じる手間を削減できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
第6の発明の連結部材は、前記第1~第5のいずれかの発明において、前記案内面及び前記捕捉爪は、前記一対のストッパー部の前記径方向における最も外側の端よりも前記径方向における内側に配置されていることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
クレードル43は、巻取ボビンB1が着脱されることが可能、且つ、巻取体100が着脱されることが可能に構成されている。
図3(a)、(b)に示すように、クレードル43は、巻取ボビンB1又は巻取体100を把持するように配置された一対のボビンホルダ47(ボビンホルダ47a、47b)を有する。ボビンホルダ47a、47bは、クレードル43の一対のアーム部43a、43bにそれぞれ回転自在に支持されている。各ボビンホルダ47は、巻取ボビンB1又は巻取ボビンB2に挿通される挿通部48と、挿通部48を軸方向に押圧する押圧部49とを有する。押圧部49は、
巻取ボビンB1及び巻取ボビンB2よりも大径の部分である。押圧部49は、例えば不図示のばねによって、巻取ボビンB1(又は巻取ボビンB2)を軸方向に押圧する側へ力を加えられている。軸方向における一方側の押圧部49には、後述する糸掛け作業の際に糸Yを径方向における内側へ案内する不図示の切り欠きが形成されている(例えば特開2013-35640号公報を参照されたい)。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
なお、糸掛部51bの構成要素の少なくとも一部は、糸掛装置50から取り外されることが可能に構成されていても良い。これにより、巻取装置21の動作モードが複数モードから単一モードに切り換えられる際に、糸掛部51bの構成要素の少なくとも一部が糸掛装置50から取り外され、糸掛部51aのみが1本の糸Yの糸掛けに使用されても良い。或いは、糸掛装置50全体が単一モード専用の糸掛装置(不図示)と交換されても良い。なお、上述した糸掛けの作業は、糸掛装置50の代わりに、オペレータによって行われても良い。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
一対のストッパー部66(ストッパー部67、68)は、巻取ボビンB2の軸方向における移動を規制するように構成されている。ストッパー部67は、ベース部61の軸方向における一方側の端部に形成されている。ストッパー部67は、第1装着部63の軸方向における他方側の端部よりも径方向外側に位置している。ストッパー部67は、傾斜面67aを有する。傾斜面67aは、例えば、
概ね円錐台形状であり、軸方向における他方側へ向かうほど(すなわち、ベース部61の軸方向一方側の端から遠ざかるほど)外径が小さくなっている。ストッパー部68(本発明の、一対のストッパー部の一方)は、ベース部61の軸方向における他方側の端部に形成されている。ストッパー部68は、第2装着部64の軸方向における一方側の端部よりも径方向外側に位置している。ストッパー部68は、傾斜面68aを有する。傾斜面68aは、
概ね円錐台形状であり、例えば、軸方向における一方側へ向かうほど(すなわち、ベース部61の軸方向他方側の端から遠ざかり、後述する案内面73に近づくほど)外径が小さくなっている。なお、傾斜面67a及び傾斜面68aは、軸方向と直交する方向から見たときに、例えば直線状である(
図7及び
図8参照)が、これには限られない。傾斜面67a及び/又は傾斜面68aは、例えば、軸方向と直交する方向から見たときに湾曲した湾曲面を有していても良い。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
案内スリット71(
図7~
図10(b)参照)は、糸Ybを径方向内側へ案内するためのスリットである。案内スリット71は、軸方向において、ベース部61の内側部(概ね中央部)に形成されている。より詳細には、案内スリット71は、軸方向において、ストッパー部67とストッパー部68との間に配置されている(
図8~
図9(b)参照)。案内スリット71は、案内面73と対向面74とを有する。案内面73は、少なくとも軸方向における一方側を向いている。案内面73は、例えば、概ねL字状に形成されている
。より詳細には、例えば、
図10(a)に示すように、案内面73の径方向外側部分は、周方向に延びている。案内面73の径方向外側部分の周方向一方側部分は、径方向において、底面75との間に隙間を有している。案内面73の周方向他方側部分は、径方向外側から径方向内側にかけて延びており、底面75の周方向他方側部分と接続されている。案内面73は、周方向における一部に形成されている。案内面73は、傾斜面68aと接続されており、径方向において傾斜面68aの内側に配置されている(
図10(a)参照)。言い換えると、案内面73は、一対のストッパー部66の径方向における最も外側の端よりも径方向内側に配置されている。案内面73は、径方向において捕捉爪72よりも内側まで延びるように形成されている。対向面74は、軸方向における他方側を向いており、軸方向において案内面73と向かい合うように配置されている(
図8、
図9(b)参照)。対向面74は、概ね三日月状に形成されている(
図10(b)参照)。対向面74は、傾斜面67aと接続されており、径方向において傾斜面67aの内側に配置されている(
図10(b)参照)。軸方向において、案内面73と対向面74との間には、案内面73の径方向内端と対向面74の径方向内端とを接続する底面75が形成されている。底面75は、少なくとも径方向外側を向いている。軸方向から見たときに、底面75は概ね直線状である。底面75は、略直線状でも良い。或いは、底面75は、
図10(a)、(b)に示すように、両端部が少し湾曲していても良い。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
また、ベース部61は、連結部材60が正規の向きとは逆向き(すなわち、軸方向と
平行な平面内で、連結部材60を正規の向きから180度回転させた向き)に配置されている場合にも、糸Ybを捕捉することができるように構成されている。
図8及び
図10(b)に示すように、ベース部61は、予備案内スリット81と、予備捕捉爪82とを有する。予備案内スリット81及び予備捕捉爪82は、周方向において、案内スリット71及び捕捉爪72とは異なる位置に配置されている。より具体的には、予備案内スリット81及び予備捕捉爪82は、周方向において、案内スリット71及び捕捉爪72が形成された位置から概ね180度離れた位置に配置されている(
図10(a)、(b)参照)。予備案内スリット81及び予備捕捉爪82は、軸方向と直交する所定の方向から見たとき、ベース部61の軸方向及び径方向における中心を対称点として、案内スリット71及び捕捉爪72と点対称になるように形成されている(
図8参照)。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
予備捕捉爪82は、捕捉爪72と略同一形状を有する。
図8に示すように、予備捕捉爪82は、軸方向において、例えば、予備案内面83の一方側に配置されている。予備捕捉爪82は、軸方向において、例えば、ストッパー部67と
少なくとも部分的に重なる位置に配置されている。予備捕捉爪82は、周方向において、例えば、予備案内面83の他方側の端部の位置に配置されている。予備捕捉爪82は、例えば、受止め面76と略同一形状の予備受止め面86と、突出部77と略同一形状の予備突出部87とを有する。予備受止め面86は、例えば、少なくとも周方向における他方側を向いている。予備突出部87は、例えば、
予備受止め面
86よりも周方向における他方側に向かって突出した突起である。予備突出部87は、
予備受止め面
86の軸方向における他方側に配置されている。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
図10(a)、(b)に示すように、底面75の周方向一方側の端には、例えば、底面75よりも径方向外側に配置された外周面91が接続されている。底面75の周方向他方側の端には、例えば、底面75よりも径方向外側に配置された外周面92が接続されている。外周面91、92は、軸方向から見たときに略円弧状である。外周面91は、底面85の周方向他方側の端に接続されている。外周面92は、底面85の周方向一方側の端に接続されている。底面75、85及び外周面91、92は、軸方向においてベース部61の略中心部に形成されている。外周面91、92の軸方向における一方側の端には、傾斜面67aが接続されている(
図9(a)、(b)参照)。外周面91、92の軸方向における他方側の端には、傾斜面68aが接続されている(
図9(a)、(b)参照)。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
また、周方向における一方側へ巻取体100が回転しているときに、受止め面76で糸Ybを受け止めることによって糸Ybを捕捉できる。ここで、受止め面76は糸Ybを単に受け止めるものであり、例えば糸Ybを挟んで把持するものではない。つまり、少なくとも受止め面76によって受け止められた直後の糸Ybは、受止め面76に対してスライド可能である。このため、糸Ybが捕捉爪72に起因して張ったり弛んだりするような不安定な状態に陥ることを抑制できる。さらに、受止め面76によって受け止められた糸Ybが径方向外側に移動してベース部61から脱落してしまうことを、突出部77によって防止できる。したがって、走行中の糸Ybを安定的に捕捉し且つ保持することができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
また、軸方向と平行な平面内で連結部材60を180度回転させたときに、予備案内面83を案内面73の代わりに機能させ、予備捕捉爪82を捕捉爪72の代わりに機能させることができる。これにより、巻取体100が巻取装置21に正規の向きとは逆向きに装着された場合でも、糸Ybを正常に捕捉できる。つまり、連結部材60を巻取装置21に装着する際に、連結部材60の向きを考慮する必要がない。このため、連結部材60の向きを考慮する必要がある場合に生じる手間を削減できる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
また、走行中の糸Ybを傾斜面68aによって案内面73へスムーズに導くことができる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
また、本実施形態の糸掛方法では、糸Ybを捕捉爪72に捕捉させることで、糸Ybを弛ませることなく確実に捕捉及び保持することができる。したがって、糸掛けの成功率を向上させることができる。