(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172796
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】操作入力装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20221110BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
G06F3/041 480
B41J29/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079007
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】船川 尚孝
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061CQ04
2C061CQ21
2C061CQ24
2C061CQ32
(57)【要約】
【課題】画像形成装置などの据え置き型の機器に設置された操作パネルを操作応答として振動させる際に、操作パネルの状態や操作状況が異なる場合でも、良好な振動応答の触覚を得るようにする。
【解決手段】ユーザによる操作パネルの操作を検出した場合に、装置本体に取り付けられた操作パネルを振動素子によって振動させてユーザに通知を行う操作入力装置に適用される。ここで、振動素子を駆動する際には、操作パネルからの操作入力を検出した際に、複数種類の振動方向の内の少なくともいずれか1つの振動方向を選択して、振動素子を駆動させる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる操作パネルの操作を検出した場合に、装置本体に取り付けられた操作パネルを振動素子によって振動させて前記ユーザに通知を行う操作入力装置であって、
前記振動素子を振動させる振動駆動条件として、少なくとも振動方向の情報を複数種類記憶する記憶部と、
前記操作パネルからの操作入力を検出した際に、前記記憶部に記憶された複数種類の振動方向の内の少なくともいずれか1つの振動方向を選択して、前記振動素子を対応した方向に駆動させる振動制御部と、を備える
操作入力装置。
【請求項2】
さらに、前記ユーザを識別または認証するユーザ認証部を備え、
前記記憶部は、前記ユーザ認証部によって予め登録されたユーザ毎に振動方向を関連付けて記憶し、前記ユーザ認証部が識別または認証したユーザに対応した振動方向を読み出して、前記振動制御部により前記振動素子を対応した方向に駆動させる
請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項3】
さらに、前記操作パネルが表示する操作画像を制御する表示制御部を備え、
前記記憶部は、前記表示制御部が表示させる操作画像と振動方向とを関連付けて記憶し、前記表示制御部が表示させる操作画像に対応した振動方向を読み出して、前記振動制御部が前記振動素子を対応した方向に駆動させる
請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項4】
さらに、前記操作パネルの操作面を複数の向きに可変して装置本体に固定させる操作パネル保持部と、
前記操作パネルの向きを検出する操作パネル状態検出部と、を備え、
前記振動制御部は、前記操作パネル状態検出部が検出した前記操作パネルの向きに応じて、前記振動素子を駆動させる際の振動方向を決定する
請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項5】
前記振動制御部は、前記操作パネル状態検出部の検出結果に応じて、複数の振動方向の少なくとも何れか1つを選択して駆動する
請求項4に記載の操作入力装置。
【請求項6】
前記振動制御部は、前記操作パネル状態検出部の検出結果に応じて、前記操作パネルの操作面の重力方向と異なる方向を振動方向として選択して駆動する
請求項5に記載の操作入力装置。
【請求項7】
前記振動制御部は、前記操作パネル状態検出部での検出結果に応じて、複数の振動方向の駆動比率を変化させる
請求項4に記載の操作入力装置。
【請求項8】
前記駆動比率は、前記操作パネルの操作面の重力方向と同一方向の振動の駆動力を強くした比率とする
請求項7に記載の操作入力装置。
【請求項9】
前記操作パネル状態検出部は、前記操作パネルの向きをリニアに検出し、前記振動制御部は、前記操作パネルの向きの検出結果に応じて、複数の振動方向の駆動比率の組み合わせで、前記操作パネルの操作面の重力方向の駆動力を強くする
請求項7に記載の操作入力装置。
【請求項10】
さらに、前記振動素子の振動方向を可変する振動素子可変部を備え、
前記振動制御部は、前記操作パネル状態検出部の検出結果に応じて、前記振動素子可変部にて前記振動素子の振動方向を変化させる
請求項4に記載の操作入力装置。
【請求項11】
装置本体に取り付けられ、ユーザによる操作パネルの操作を検出した場合に、振動素子によって前記操作パネルを振動させて前記ユーザに通知を行う入力装置であって、
前記操作パネルの操作面を複数の向きに可変して装置本体に固定させる操作パネル保持部と、
前記操作パネルからの操作入力を検出した際に、前記操作パネルの向きに応じた振動方向で前記振動素子を駆動させる振動制御部と、を備える
操作入力装置。
【請求項12】
媒体に画像形成を行う装置本体に取り付けられた操作パネルのユーザによる操作を検出した場合に、振動素子によって前記操作パネルを振動させて前記ユーザに通知を行う画像形成装置であって、
前記振動素子を振動させる振動駆動条件として、少なくとも振動方向の情報を複数種類記憶する記憶部と、
前記操作パネルからの操作入力を検出した際に、前記記憶部が記憶した複数種類の振動方向の内の少なくともいずれか1つの振動方向を選択して、前記振動素子を対応した方向に駆動させる振動制御部と、を備える
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作入力装置および画像形成装置に関し、特に装置の操作パネル部を振動させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンなどの携帯端末において、タッチパネルなどへの操作の応答として、振動による通知を行うものが各種実用化されている。すなわち、携帯端末内にバイブレータと称される振動素子を内蔵させ、タッチパネルでタッチを検出したときの応答として、予め設定された時間、振動素子により携帯端末を振動させて、携帯端末を所持したユーザに振動で操作応答を行うことが行われている。
【0003】
スマートフォンなどの携帯端末の場合、操作時にはユーザが携帯端末を持っているため、振動素子による振動が直接手に伝わる。したがって、振動素子で振動させる箇所は、タッチパネル上の押下位置と関係なく、持っている手に均一に振動が伝わればよく、一般には端末の裏面が強く振動する構成になっている。
【0004】
特許文献1には、タッチパネルを備える触感提示装置において、ユーザがパネルをタッチする位置に応じて、提示する触感を変化させて、ユーザに複数段階の触感を提示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるように、デジタル複合機などの据え置き型の機器においても、タッチパネルなどの操作パネルを、操作時に振動で応答させることが提案されている。
据え置き型の機器の場合、操作パネルを操作する際に、操作者が機器に触れるのは指先だけであり、操作パネルそのものは据え置き型の機器側に保持されている。
【0007】
据え置き型の機器で操作者の指先に振動を伝えるためには、操作パネルを振動させる必要があるが、据え置き型の機器の操作パネルは大型であることが多く、操作パネルをタッチする領域である操作領域は、パネル上の様々な領域になる。一方、振動素子の配置位置は、機器ごとに特定の位置に決まっているため、操作パネルをタッチする領域によって、操作者の指に伝わる応答としての振動に強弱が生じてしまう。このため、操作パネルをタッチする位置によっては、操作者が振動応答を正しく感じることができない事態が発生する。
【0008】
ここで、特許文献1に記載された装置では、操作パネルを振動素子により振動させる際に、振動素子の取り付け位置に基づいて設定され、補正された振動量として、操作パネルの各部に対してほぼ均一な振動を与える技術が記載されている。
但し、指先に応答として振動を与える際に、操作者が得る感覚は、操作者自身の指先の感じ方の差や、指先で操作パネルを触れる際の触れ方等によって個人差があり、常に同じ振動を与えても、操作者によっては振動応答があると感じられない場合が発生する。
【0009】
さらに、近年ではデジタル複合機の操作性を改善するために、操作パネルの設置角度を可変できるようにする場合や、操作パネルの縦横の向きを自由に回転できる構成とする場合もある。ここで、振動素子の振動方向が単一方向であると、操作パネルの角度や向きを変えた際に、振動する方向が変化して、タッチパネル操作時に操作者が感じる振動の触覚や強さが変わってしまう。
【0010】
本発明は、据え置き型の機器に設置された操作パネルを操作応答として振動させる際に、操作パネルの状態や操作状況が異なる場合でも、良好な振動応答の触覚を得ることができる操作入力装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の操作入力装置は、ユーザによる操作パネルの操作を検出した場合に、装置本体に取り付けられた操作パネルを振動素子によって振動させてユーザに通知を行う操作入力装置であって、操作パネルからの操作入力を検出した際に、複数種類の振動方向の内の少なくともいずれか1つの振動方向を選択して、振動素子を対応した方向に駆動させる振動制御部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、媒体に画像形成を行う装置本体に取り付けられた操作パネルのユーザによる操作を検出した場合に、振動素子によって操作パネルを振動させてユーザに通知を行う画像形成装置であって、振動素子を振動させるとして、少なくとも振動方向の情報を複数種類記憶する振動条件記憶部と、操作パネルからの操作入力を検出した際に、振動条件記憶部が記憶した複数種類の振動方向の内のいずれか1つの振動駆動方向を選択して、振動素子を駆動させる振動制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作パネルの状態や使用条件に応じて振動方向を変更することで、操作パネルの状態や使用条件が異なる場合でも、良好な振動応答の触覚をユーザに与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施の形態例による画像形成装置の例を示す構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態例による装置の制御構成の例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態例による操作部の構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態例による操作パネル部の例を示す断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態例による振動制御部の基本的な制御例を示すフローチャートである。
【
図6】振動方向の違いによる感覚の相違を説明する図である。
【
図7】操作パネルの向きによる振動方向の変化を説明する図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態例による振動素子の配置例を示す図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態例による振動制御部の詳細な制御例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第2の実施の形態例による操作パネルの例を示す図である。
【
図11】本発明の第2の実施の形態例による操作パネルのチルト動作(a)および回転動作(b)を示す図である。
【
図12】本発明の第2の実施の形態例による操作パネルのチルト動作時および回転動作時の振動方向の変化を示す図である。
【
図13】本発明の第2の実施の形態例による操作パネルのチルト動作時および回転動作時の振動方向の設定例を示す図である。
【
図14】本発明の第2の実施の形態例による振動制御部の制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施の形態例を、図面を参照して順に説明する。以下に説明する各実施の形態例において、共通する箇所には同一の符号を付し、重複説明は省略する。
【0016】
[1.第1の実施の形態例]
本発明の第1の実施の形態例を、
図1~
図9を参照して説明する。
図1は、本実施の形態例の画像形成装置100の例を示す。
本実施の形態例の画像形成装置100は、MFP(MultiFunction Peripheral)と称されるデジタル複合機である。デジタル複合機は、用紙(媒体)に画像を形成するプリンタとしての機能の他に、複写機、イメージスキャナ、ファクシミリなどの機能を備える。
【0017】
画像形成装置100は、用紙カセット101、画像形成部102、用紙排出部103、原稿読取部104、および操作パネル部110を備える。
画像形成部102は、原稿読取部104が読み取った原稿または外部から伝送された原稿の画像を、用紙カセット101から搬送された用紙の表面または裏面に形成する画像形成処理を行う。
画像形成部102で画像が形成された用紙は、用紙排出部103から排出される。
【0018】
操作パネル部110は、画像形成処理に関する各種設定や、画像形成の開始指示などを行う操作部である。この操作パネル部110は、各種操作ボタンなどを表示する液晶表示パネルと、パネル表面のタッチを検出するタッチパネルとを備える。デジタル複合機が備える液晶表示パネルは、例えば縦10センチ×横20センチ程度の比較的大型のサイズである。
また、本実施の形態例の操作パネル部110は、操作応答としてパネル自身が振動を行う機能を備える。この振動を行う機能の詳細については後述する。
【0019】
図2は、画像形成装置100の制御部120の構成例を示す。画像形成装置100による画像形成処理は、画像形成装置100に内蔵された制御部120の制御下で実行される。
制御部120は、中央演算処理部(以下「CPU」と称する)121、描画部122、画像処理部123、画像処理部124、画像出力部125、および照明制御部126を備える。また、制御部120は、ROM127、RAM128、ハードディスクドライブ(以下「HDD」と称する)129、およびネットワークインターフェース130を備える。
【0020】
CPU121は、接続されたROM127、RAM128、またはHDD129から、制御に必要なプログラムやデータを読み出し、画像形成のための制御処理を実行する。読み出したプログラムの実行で、CPU121には、制御処理機能を実行する制御処理部121aが形成される。また、読み出したプログラムの実行で、CPU121には、画像形成装置100の各部の状態を判別する判別機能を実行する判別処理部121bが形成される。
ROM127やRAM128は、データの一時保存に利用される記憶部であり、HDD129は、主として画像データ(原稿データ)の保存に利用される記憶部である。
CPU121に接続されたネットワークインターフェース130は、外部から原稿データなどを受信する。また、画像形成装置100の動作状況を監視する監視部署との通信も、ネットワークインターフェース130を介して行われる。
【0021】
図1の原稿読取部104で読み取られた原稿は、制御部120の画像読取部123を経てCPU121に供給される。CPU121は、画像読取部123経由で読み取った原稿、またはネットワークインターフェース130が受信した原稿についての画像形成処理を行う。ここで、CPU121には画像処理部124が接続され、原稿データから得た画像の補正処理や加工処理が、画像処理部124で実行される。そして、画像処理部124で処理が行われた画像データが、画像出力部125から出力され、画像形成部102(
図1)で画像形成が実行される。
【0022】
また、CPU121には、描画部122が接続され、CPU121からの指示に基づいて、操作パネル部110に表示させる操作画面を、描画部122が描画する。操作パネル部110は、描画部122が描画した操作画面を表示する。
さらに、CPU121には、照明制御部126が接続され、CPU121からの指示に基づいて、操作パネル部110の画面の照明を制御する。
【0023】
図3は、操作パネル部110の制御構成を示す。
操作パネル部110は、CPU111とタッチパネル117と液晶表示パネル118とを備える。タッチパネル117と液晶表示パネル118は重ねて配置される。タッチパネル117は、液晶表示パネル118の表示画面の表面のタッチを検出する。CPU111は、タッチパネル117でのタッチ検出と液晶表示パネル118での表示を制御する。
【0024】
CPU111は、タッチパネル117のタッチされた座標位置を判断する座標判断部111aと、液晶表示パネル118の表示を制御する表示制御部111bを備える。表示制御部111bは、画像形成装置100の制御部120が備える描画部122(
図2)から供給される画像データに基づいて、液晶表示パネル118での表示を制御する。
【0025】
また、操作パネル部110は、ブザー部113と振動素子115とを備える。
ブザー部113は、ブザー制御部112の制御により、警告音などの各種音の出力を行う。出力される音の種類や音量補正などは、記憶部116に記憶されたデータに基づいて設定される。ブザー制御部112は、CPU111からの指示に基づいて、警告音などの出力を制御する。
【0026】
振動素子115は、振動制御部114の制御により、タッチパネル117と液晶表示パネル118を振動させる。振動素子115がタッチパネル117と液晶表示パネル118を振動させる際の振動方向や振動強度などの振動状態についてのデータは、記憶部116に記憶される。振動制御部114は、CPU111からの指示に基づいて、記憶部116に記憶されたデータを読み出しながら、振動素子115による振動状態を制御する。
なお、
図3に示す構成では、CPU111と振動制御部114とを分けるようにしたが、CPU111が振動制御部114としての機能を備えるようにして、CPU111が振動素子115を直接制御する構成にしてもよい。
【0027】
次に、振動素子115によりタッチパネル117と液晶表示パネル118を振動させる構成を、
図4を参照して説明する。
図4は、画像形成装置100に取り付けられた操作パネル部110の断面図である。
操作パネル部110のタッチパネル117と液晶表示パネル118は、操作パネル保持フレーム106の上に配置される。この操作パネル保持フレーム106は、振動吸収部材107を介して、画像形成装置100の筐体側に設置される。
【0028】
振動吸収部材107は、ゴム、バネ、ダンパーなどで構成され、操作パネル保持フレーム106の四隅などに配置される。振動吸収部材107を四隅に配置するのは一例であり、例えばゴムシートで振動吸収部材107を構成して、操作パネル保持フレーム106の裏面側全体に振動吸収部材107を配置してもよい。
【0029】
そして、操作パネル保持フレーム106の裏面側には、振動素子115が取り付けられる。振動素子115は、駆動信号の印加で、特定の方向に操作パネル保持フレーム106とタッチパネル117と液晶表示パネル118とを振動させる。振動素子115は、例えばリニアアクチュエータで構成され、リニアな運動により特定の方向に振動を発生する。但し、後述するように本実施の形態例の振動素子115は、複数の方向に振動させることができ、振動制御部114の制御により、少なくともいずれか一つの振動方向の振動に設定される。
【0030】
ここで、操作パネル保持フレーム106は、振動吸収部材107を介して装置本体側に設置されている。このため、操作パネル部110以外の画像形成装置100の本体側には振動が伝わることがなく、操作パネル部110は、本体側から切り離された状態で効率よく振動する。
【0031】
図5は、操作パネル部110のCPU111が、振動素子115を振動させる際の、基本的な処理を示すフローチャートである。この
図5のフローチャートでは、操作パネル部110のCPU111および振動制御部114の制御で振動素子115を駆動する際の振動方向を選択する処理は説明しない。振動素子115を駆動する際の振動方向を選択する処理は、
図9のフローチャートで後述する。
【0032】
まず、CPU111は、タッチパネル117が押下されたか否かのタッチ検出を行う(ステップS100)。ここでは、例えばタッチパネル117からの割り込み信号をCPU111が検出して、押下の有りの判断を行う。
ここで、タッチがない場合には(ステップS100のNO)、振動させるための処理を何も実行せず、ステップS100でタッチ有りが検出されるまでこの判断処理を繰り返す。
【0033】
そして、ステップS100でタッチ有りを検出した場合には(ステップS100のYES)、CPU111は、押下があったタッチパネル117上の位置を取得する(ステップS101)。さらに、ステップS101で取得した押下位置(タッチ位置)が、液晶表示パネル118が表示した何れかのボタンの領域か否かを判断する(ステップS102)。
ここで、ボタンの領域の押下でない場合には(ステップS102のNO)、CPU111はステップS100の判断に戻り、新たな押下があれば、同じ処理を繰り返し実行する。
【0034】
また、ステップS102でボタンの領域の押下である場合には(ステップS102のYES)、CPU111は、振動制御部114に対して振動処理の実行を指示し(ステップS103)、ステップS100の判断に戻り、新たな押下があれば、同じ処理を繰り返し実行する。
ステップS103での振動処理の指示を受信した振動制御部114は、振動素子115を短時間振動させる。例えば、振動制御部114は、振動素子115を20msから100ms程度の間の短時間だけ、振動させる。
この振動素子115による短時間の振動が行われることで、液晶表示パネル118に表示されたボタンの真上のタッチパネル117の押下があるとき、その押下に対する応答が振動で行われる。
なお、タッチパネル117の押下は、操作を行うユーザの指により行われる押下と、予め用意されたタッチペンによる押下のいずれでもよい。
【0035】
このように、本実施の形態例による画像形成装置100は、操作パネル部110がタッチパネル117を備えた構成であるが、そのタッチパネル117をユーザの指などでタッチしたとき、タッチパネル117自身の振動による応答が行われる。タッチ位置が液晶表示パネル118に表示されたボタン以外の領域である場合には、振動応答が行われず、正しくボタンの箇所をタッチしたときだけ、タッチがあったことを操作したユーザに振動で的確に通知するようになる。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態例による画像形成装置100は、タッチパネル117をユーザの指などでタッチしたとき、タッチパネル117自身の振動による応答が行われる。ここで、タッチパネル117を振動素子115が振動させる際の振動方向によって、指に伝わる感覚の相違について説明する。
図6は、タッチパネル117を、X方向(水平方向)に振動させた場合(a)と、Y方向(垂直方向)に振動させた場合(b)と、Z方向(上下方向)に振動させた場合(c)を示す。
【0037】
図6(a)に示すようにX方向に振動させた場合、タッチした手Hの指先に伝わる振動Mxは、水平方向の振動になる。また、
図6(b)に示すようにY方向に振動させた場合、タッチした手Hの指先に伝わる振動Myは、垂直方向の振動になる。さらに、
図6(c)に示すようにZ方向に振動させた場合、タッチした手Hの指先に伝わる振動Mzは、上下方向の振動になる。
この
図6(a),(b),(c)に示すように、操作面の振動方向が異なることで、操作者の指先が感じる振動の感覚にも違いが生じる。なお、以下の説明で振動方向がX方向、Y方向、Z方向と述べた場合には、
図6に示すような振動方向を意味する。
【0038】
次に、
図7を参照して、タッチパネル117を操作する際における、タッチパネル117の配置状態によって、振動方向が異なる点を説明する。
図7(a)は、タッチパネル117を横長に配置した場合であり、
図7(b)は、タッチパネル117を縦長に配置した場合である。ここでの振動素子115による振動は、X方向(長手方向)の振動Mxである。
図7(a)と
図7(b)を比較すると判るように、タッチパネル117の配置向きを変えた場合、振動素子115による振動Mxが操作者の手Hの指先に伝わる際の振動方向についても、配置向きの変化に連動して変化する。
【0039】
ここで、例えば
図7(b)に示すように、振動素子115による振動Mxの方向が、重量方向(鉛直方向)と一致した場合、重力の影響で振動量が減衰してしまう。したがって、
図7(b)に示す状態のときには、
図7(a)の場合よりも指先に振動応答の感触を得にくくなってしまう。
【0040】
そこで、本実施の形態例では、タッチパネル117を振動させる振動素子115として、複数の方向に振動できる構成としている。このように構成することにより、タッチパネル117の向きなどの設定条件に応じて、振動素子115の振動方向を制御して、どのような状況であっても適切な振動応答を行うことができる。
【0041】
次に、
図8を参照して、振動素子115を複数の方向に振動できる構成について説明する。本実施の形態例では、振動素子115は、既に
図4で説明したように、操作パネル保持フレーム106に配置されているが、ここでは説明を簡単にするため、タッチパネル117の裏面側に振動素子115が取り付けられているものとする。
【0042】
図8(a)に示す例は、タッチパネル117の裏面側に、振動方向を複数方向にすることが可能な振動素子115aを配置している。この振動素子115aは、例えば
図6に示すMx方向の振動とMy方向の振動とMz方向の振動の3種類の振動を選択的に行うことができる。
図8(b)に示す例は、タッチパネル117の裏面側に、それぞれ振動方向が異なる複数の振動素子115x,115y,115zを配置している。3つの振動素子115x,115y,115zは、それぞれ例えば
図6に示すMx方向、My方向およびMz方向の振動を個別に行う振動素子である。
【0043】
図8(c)に示す例は、タッチパネル117の裏面側に、取り付け位置を可動できる振動素子115bを配置している。例えば、振動素子115bは、
図8(c)に実線で示すように水平方向(Mx方向)に振動できる配置位置と、
図8(c)に破線で示すように垂直方向(My方向)に振動できる配置位置を選択することができる。
この
図8(c)の場合には、振動素子115bは、不図示の振動素子可変保持部により、タッチパネル117の裏面側に可動できる構成で取り付けられる。
なお、振動素子115bは、振動素子可変保持部により上下方向(Mz方向)に振動できる配置を選択できるようにしてもよい。
【0044】
本実施の形態例では、振動素子115として、
図8(a),(b),(c)の例のいずれかの構成を適用して、複数方向に振動できるようにする。そして、振動素子115を使った振動応答を行う際に、そのときの装置に設定された内容で、いずれかの振動方向で振動応答を行う。振動方向などの設定内容は、例えば記憶部116(
図3)に記憶する。
【0045】
図9は、操作パネル部110のCPU111の制御で、振動素子115を駆動する場合の振動方向を選択する処理の流れを示すフローチャートである。
まず、CPU111は、タッチパネル117が押下されたか否かのタッチ検出を行う(ステップS200)。ここでは、例えばタッチパネル117からの割り込み信号をCPU111が検出して、押下の有りの判断を行う。
ここで、タッチがない場合には(ステップS200のNO)、振動させるための処理を何も実行せず、ステップS200でタッチ有りが検出されるまでこの判断処理を繰り返す。
【0046】
そして、ステップS200でタッチ有りを検出した場合には(ステップS200のYES)、CPU111は、押下があったタッチパネル117上の位置を取得する(ステップS201)。さらに、ステップS201で取得した押下位置(タッチ位置)が、液晶表示パネル118が表示した何れかのボタンの領域か否かを判断する(ステップS202)。
ここで、ボタンの領域の押下でない場合には(ステップS202のNO)、CPU111はステップS200の判断に戻り、新たな押下があれば、同じ処理を繰り返し実行する。
【0047】
また、ステップS202でボタンの領域の押下である場合には(ステップS202のYES)、CPU111からの指示で振動制御部114が現在の振動方向の設定情報を読み出す(ステップS203)。
そして、振動制御部114は、読み出した振動方向の設定がX方向か否かを判断する(ステップS204)。
ステップS204で振動方向の設定がX方向と判断したとき(ステップS204のYES)、振動制御部114は、振動素子115をX方向に駆動させて、タッチに対する振動応答を行う(ステップS206)。
【0048】
また、ステップS204で振動方向の設定がX方向でないと判断したとき(ステップS204のNO)、振動制御部114は、読み出した振動方向の設定がY方向か否かを判断する(ステップS205)。
ステップS205で振動方向の設定がY方向と判断したとき(ステップS205のYES)、振動制御部114は、振動素子115をY方向に駆動させて、タッチに対する振動応答を行う(ステップS207)。
【0049】
さらに、ステップS205で振動方向の設定がY方向でないと判断したとき(ステップS205のNO)、振動制御部114は、振動制御部114は、振動素子115をZ方向に駆動させて、タッチに対する振動応答を行う(ステップS208)。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態例による画像形成装置100は、予め決められた設定条件に基づいて、振動応答を行う際の振動方向を選択することができる。
振動方向を決める条件としては、操作を行うユーザの種別によって振動方向を設定してもよい。
すなわち、画像形成装置100は、認証カードや認証コードの入力でユーザを識別するユーザ認証部を備えると共に、記憶部(HDD129など)がユーザ毎の振動条件(振動方向の設定)の設定を記憶する。そして、ユーザ認証部が画像形成装置100を使用するユーザを識別したとき、振動制御部114は、記憶部に記憶された該当するユーザの振動条件を読み出し、振動条件に基づいて振動方向や振動強度を設定する。
このように振動条件をユーザ毎に設定できるようにすることで、各ユーザが好みの振動条件を設定して、その設定した振動条件で適切に振動応答を行うことが可能になる。
【0051】
また、画像形成装置100は、表示制御部111bで表示させる操作画像と振動条件とを関連付けて記憶部(HDD129など)に記憶し、表示制御部111bが表示させる操作画像に対応した振動条件を読み出して、振動制御部114が振動素子115を駆動させるようにしてもよい。
例えば、機能の選択ボタンなどが表示された箇所がタッチされた際には、振動素子115は、タッチパネル117の操作面と平行な方向に弱い振動を行う。また、印刷開始ボタンや削除ボタンなどの実行を指示するボタンについては、振動素子115は、タッチパネル117の操作面と直交する方向に強い振動を行う。
このように、表示内容に応じて振動条件を変化させることで、振動応答状態によってどのような応答であるかが分かり、適切な振動応答ができるようになる。
【0052】
[2.第2の実施の形態例]
次に、本発明の第2の実施の形態例を、
図10~
図14を参照して説明する。この
図11~
図14において、第1の実施の形態例で説明した
図1~
図9に対応する箇所には同一符号を付し、重複説明を省略する。
本実施の形態例では、画像形成装置100が備える操作パネル部110が、装置本体に対して可動できる構成とし、操作パネル部110の可動状態に対応して振動素子115の振動状態を可変したものとする。なお、本実施の形態例の画像形成装置100は、操作パネル部110の可動させる構成以外は、第1の実施の形態例で説明した画像形成装置100と同様に構成されている。
【0053】
まず、
図10を参照して、操作パネル部110に配置した振動素子115の振動方向によって、操作者の指先に伝わる振動の強さが変化することを説明する。
図10(a)は、振動素子115が、操作パネル部110に配置されたタッチパネル117を、タッチパネル117の表面と平行な方向M1に振動させた場合を示す。また、
図10(b)は、振動素子115が、操作パネル部110に配置されたタッチパネル117を、タッチパネル117の表面と直交する方向M2に振動させた場合を示す。
図10(a),(b)いずれの場合にも、タッチパネル117の操作面は水平に配置された状態である。
【0054】
図10(a)に示す振動方向M1の場合には、タッチパネル117の重力方向(図中の上下方向)と、振動方向M1とが異なり、振動素子115による振動時に、重力(自重)による振動の減衰は発生しない。
一方、
図10(b)に示す振動方向M2の場合には、タッチパネル117の重力方向と、振動方向M2とが一致し、振動素子115による振動時に、重力(自重)による振動の減衰が発生する。したがって、タッチパネル117の重力方向と振動方向とが一致する場合には、振動素子115の駆動力を強くして、重力による減衰分を補うことが好ましい。
【0055】
ここで、本実施の形態例では、操作パネル部110を可動できる構成としており、操作パネル部110の重力方向と振動方向とが一致する状況は、操作パネル部110の向きによって異なる。
図11は、本実施の形態例の画像形成装置100で、操作パネル部110の向きを可変させる構成を示す。
図11(a)は、画像形成装置100の操作パネル部110を、チルト動作させる場合の例を示す。本実施の形態例の画像形成装置100は、
図11(a)に示すように、水平状態に配置した操作パネル部110-1と、直立した状態に配置した操作パネル部110-2との間で、チルト角度Taを自在に設定することができる。
【0056】
また、本実施の形態例の画像形成装置100は、
図11(b)に示すように、縦長状態に配置した操作パネル部110-3と、横長状態に配置した操作パネル部110-4との間で、回転角度Tbを自在に設定することができる。
これは、操作パネル保持部(不図示)が、チルト動作や回転動作を可能な状態で、操作パネル部110を画像形成装置100本体に接続することで実現している。また、チルト角度Taや回転角度Tbは、画像形成装置100に内蔵された不図示の操作パネル状態検出部により検出される。
【0057】
図12は、操作パネル部110のチルト角度Taや回転角度Tbを変化させた際の、操作パネル部110に取り付けられた振動素子115による振動方向が変化する状態を示す。
振動素子115は、第1の実施の形態例の
図6で説明したように、タッチパネル117を、X方向(水平方向)に振動させる場合(
図6(a))と、Y方向(垂直方向)に振動させる場合(
図6(b))と、Z方向(上下方向)に振動させる場合(
図6(c))の3種類の振動方向が選択できるものとする。
【0058】
図12(a)に示すように、水平状態に配置した操作パネル部110-Aの場合には、X方向が操作パネル部110の表面の手前から奥に向かう方向、Y方向が操作パネル部110の左右方向になる。そして、これらX方向およびY方向と直交するZ方向は、操作パネル部110の上下方向になり、このZ方向が重力方向になる。
これに対して、
図12(b)に示すように、直立した横長の状態に配置した操作パネル部110-Bの場合には、重力方向はY方向になる。また、
図12(c)に示すように、直立した縦長の状態に配置した操作パネル部110-Cの場合には、重力方向はX方向になる。
【0059】
このように、操作パネル部110のチルト角度Taや回転角度Tbを変化させた重力方向と一致する振動方向が変化する。ここで、既に説明したように、重力方向と一致する方向については、振動素子115で操作パネル部110を振動させた際に、重力(自重)による振動の減衰が発生するが、チルト角度Taや回転角度Tbによって重力方向と一致する方向が変化するため、操作パネル部110の配置角度によって、重力分の振動減衰を補正する方向も変化させる必要がある。
【0060】
図13は、
図12に示す3つの配置位置の操作パネル部110-A,110-B,110-C、並びにチルト角度Taを0°と90°の間に設定した場合の操作パネル部110-Dにおける、重力方向と、重力の影響を受けない振動方向の例を示す。
図13(a)に示すチルト角度Taが0°の操作パネル部110-Aの場合、操作パネル部110の上下方向であるZ方向が重力方向になる。したがって、操作パネル部110-Aの場合、X方向またはY方向を振動方向とすることで、重力の影響を受けない振動を行うことができる。
【0061】
また、
図13(b)に示すチルト角度Taが90°で回転方向が横向きに配置した操作パネル部110-Bの場合、操作パネル部110の上端と下端を結ぶ方向であるY方向が重力方向になる。したがって、操作パネル部110-Bの場合、X方向またはZ方向を振動方向とすることで、重力の影響を受けない振動を行うことができる。
また、
図13(c)に示すチルト角度Taが90°で回転方向が縦向きに配置した操作パネル部110-Cの場合、操作パネル部110の上端と下端を結ぶ方向であるX方向が重力方向になる。したがって、操作パネル部110-Cの場合、Y方向またはZ方向を振動方向とすることで、重力の影響を受けない振動を行うことができる。
【0062】
さらに、
図13(d)に示すように、チルト角度Taを0°と90°の傾斜した状態に設定した場合、すなわち回転方向が横向きの操作パネル部110-Dの場合には、Y方向とZ方向の両方向に重力がかかった状態になっている。
【0063】
以上の説明から分かるように、操作パネル部110に配置したタッチパネル117のタッチ時の振動応答を行う際に、重力の影響を排除するためには、操作パネル部110の配置状態を検出して、検出した配置状態に応じて適切な振動方向の設定が必要になる。
【0064】
図14は、本実施の形態例における、操作パネル部110のCPU111の制御で、振動素子115を駆動する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、CPU111は、タッチパネル117が押下されたか否かのタッチ検出を行う(ステップS300)。ここでは、例えばタッチパネル117からの割り込み信号をCPU111が検出して、押下の有りの判断を行う。
ここで、タッチがない場合には(ステップS300のNO)、振動させるための処理を何も実行せず、ステップS300でタッチ有りが検出されるまでこの判断処理を繰り返す。
【0065】
そして、ステップS300でタッチ有りを検出した場合には(ステップS300のYES)、CPU111は、押下があったタッチパネル117上の位置を取得する(ステップS301)。さらに、ステップS301で取得した押下位置(タッチ位置)が、液晶表示パネル118が表示した何れかのボタンの領域か否かを判断する(ステップS302)。
ここで、ボタンの領域の押下でない場合には(ステップS302のNO)、CPU111はステップS300の判断に戻り、新たな押下があれば、同じ処理を繰り返し実行する。
【0066】
また、ステップS302でボタンの領域の押下である場合には(ステップS202のYES)、CPU111からの指示で振動制御部114が、現在の操作パネル部110の状態である、チルト角度および回転角度を取得する(ステップS303)。この操作パネル部110の状態は、不図示の操作パネル状態検出部により検出される。
そして、振動制御部114は取得したチルト角度が0°であるか否かを判断する(ステップS304)。
【0067】
ステップS304でチルト角度が0°であると判断したとき(ステップS304のYES:
図13(a)の状態)、振動制御部114は、振動素子115をX方向またはY方向に駆動させて、タッチに対する振動応答を行う(ステップS305)。
【0068】
ステップS304でチルト角度が0°でないと判断したとき(ステップS304のNO)、振動制御部114は、チルト角度が90°であるか否かを判断する(ステップS306)。
ステップS306でチルト角度が90°であると判断したとき(ステップS306のYES)、振動制御部114は、回転位置が横か縦かを判断する(ステップS307)。
ステップS307で回転位置が横であると判断したとき(ステップS307のYES:
図13(b)の状態)、振動制御部114は、振動素子115をX方向またはZ方向に駆動させて、タッチに対する振動応答を行う(ステップS308)。
ステップS307で回転位置が縦であると判断したとき(ステップS307のNO:
図13(c)の状態)、振動制御部114は、振動素子115をY方向またはZ方向に駆動させて、タッチに対する振動応答を行う(ステップS309)。
【0069】
ステップS306でチルト角度が90°でないと判断したとき(ステップS306の「90度以外」)、振動制御部114は、回転位置が横か縦かを判断する(ステップS310)。
ステップS310で回転位置が横であると判断したとき(ステップS310のYES:
図13(d)の状態)、振動制御部114は、振動素子115をX方向に駆動させて、タッチに対する振動応答を行う(ステップS311)。
ステップS310で回転位置が縦であると判断したとき(ステップS310のNO)、振動制御部114は、振動素子115をY方向に駆動させて、タッチに対する振動応答を行う(ステップS312)。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態例の画像形成装置100によると、タッチパネル117が配置された操作パネル部110のチルト角度と回転角度を好みの角度に設定した際に、振動素子115が振動応答を行う方向が重力方向でない方向に設定される。このため、本実施の形態例の画像形成装置100は、振動素子115による振動応答が、重力の影響による減衰がなく、適切な強さで行われ、どの角度に設置した場合でも適切に行うことができる。
【0071】
[3.変形例]
なお、上述した第2の実施の形態例では、操作パネル部110の角度に応じて、重力方向を避けた振動方向とした。
これに対して、それぞれの操作パネル部110の設置角度に応じて、重力方向の振動を個別または同時に行うようにしてもよい。この場合、重力方向の振動を他の方向と同時に行う場合には、他の方向よりも振動素子115の駆動力を強めて、重力の影響による減衰を補うようにしてもよい。重力方向だけを振動させる際にも、他の方向だけを振動させる場合よりも強い振動として、重力の影響による減衰を補うのが好ましい。
【0072】
また、上述した第2の実施の形態例では、いずれか1つの振動方向を選択するようにした。これに対して、操作パネル部110の配置角度に応じて、X方向とY方向とZ方向の3つの振動方向を組み合わせてもよい。
例えば、
図13(d)に示すようにチルト角度を約45°としたとき、Y方向の振動とZ方向の振動とを同時に行って、組み合わせで重力方向に振動しているように感じられるようにしてもよい。この場合にも、重力の影響による減衰を補うために振動素子115の駆動力を強めて、重力の影響による減衰を補うようにしてもよい。
【0073】
なお、複数の振動方向を組み合わせる場合には、例えば操作パネル状態検出部が向き(チルト角度および回転角度)をリニアに検出し、振動制御部114は、その向きの検出結果に応じて、複数の振動方向の駆動比率の組み合わせをリニアに変化させて、重力方向の駆動力を強くしてもよい。
【0074】
また、上述した各実施の形態例では、据え置き型機器である画像形成装置が備える操作パネル部を振動させる例としたが、その他の様々な据え置き型の機器の入力装置である操作パネルを振動させる場合にも、同様の構成や制御処理を適用してもよい。
【符号の説明】
【0075】
100…画像形成装置、101…用紙カセット、102…画像形成部、103…用紙排出部、104…原稿読取部、105…照明部、106…操作パネル保持フレーム、107…振動吸収部材、110…操作パネル部、111…中央演算処理部(CPU)、114…振動制御部、115…振動素子、116…記憶部、117…タッチパネル、118…液晶表示パネル、120…制御部、121…中央演算処理部(CPU)、122…描画部、123…画像読取部、124…画像処理部、125…画像出力部、126…照明制御部、127…ROM、128…RAM、129…ハードディスクドライブ(HDD)、130…ネットワークインターフェース