(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172804
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】卵トレイ
(51)【国際特許分類】
B65D 85/32 20060101AFI20221110BHJP
B65D 1/36 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
B65D85/32 130
B65D1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079031
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】513301517
【氏名又は名称】甲斐 義浩
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 義浩
【テーマコード(参考)】
3E033
3E096
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA13
3E033CA02
3E033DA08
3E033DD11
3E033DD13
3E033DE12
3E033EA02
3E096AA09
3E096BA26
3E096BB09
3E096CA06
3E096CB02
3E096CC02
3E096DA23
3E096DC01
3E096EA02X
3E096EA02Y
3E096FA27
3E096GA05
3E096GA11
(57)【要約】
【課題】 運搬中等に割れた鶏卵の黄身/白身が、付近の他の鶏卵をトレイに粘着させていても、当該他の鶏卵を損傷することなく、トレイから取り出し得るようにする。
【解決手段】 卵を起立状態で収容するための複数の収容凹部1と、該複数の収容凹部1に収容される卵の側部を支持するための複数の支持凸部2を、各収容凹部1が4個の支持凸部2で囲まれ且つトレイ周縁部を除く各支持凸部2が4個の収容凹部1で囲まれるように仮想格子点位置に配設して成り、上面視が略方形を成す卵トレイ。収容凹部1は、上下方向各高さの横断面が円形を成し下方へ向けて縮径する逆円錐台形状部10を有し、該逆円錐台形状部10の側壁部101の内面101a上に上下方向へ延設された少なくとも3本の突条部13(13a,13b)を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵を起立状態で収容するための複数の収容凹部と、該複数の収容凹部に収容される卵の側部を支持するための複数の支持凸部とを、各収容凹部が4個の支持凸部で囲まれ且つトレイ周縁部を除く各支持凸部が4個の収容凹部で囲まれるように仮想の格子点位置に配設して成り、上面視が略方形を成す卵トレイであって、
前記収容凹部は、上下方向各高さの横断面が円形を成し下方へ向けて縮径する逆円錐台形状部を有し、該逆円錐台形状部の側壁部の内面上に上下方向へ延設された少なくとも3本の突条部を有する、
ことを特徴とする卵トレイ。
【請求項2】
請求項1に於いて、
前記収容凹部は下端に下開口部を有し、前記収容凹部の上端の上開口部は前記逆円錐台形状部の上端縁により構成される、
ことを特徴とする卵トレイ。
【請求項3】
請求項2に於いて、
前記収容凹部の上開口部は、当該収容凹部の四方に隣接する4個の支持凸部の下端部に代えて前記逆円錐台形状部から上方へ延設された上延設部を有し、
前記上延設部の上縁部は、当該上延設部に対応する支持凸部の側壁部に卵の受部として設けられている側壁開口部の下縁部を構成し、
前記収容凹部は、上端が前記上延設部の上縁部に至り且つ下端が前記逆円錐台形状部の下端に至る4本の長突条部と、上端が前記逆円錐台形状部の上端縁に至り且つ下端が前記逆円錐台形状部の下端に至る前記長突条部間に設けられた4本の短突条部を、前記突条部として有する、
ことを特徴とする卵トレイ。
【請求項4】
請求項3に於いて、
前記逆円錐台形状部の側壁部の上下方向の長さは4mm~6mmの範囲であり、前記上延設部の上下方向の長さは1mm~2mmの範囲である、
ことを特徴とする卵トレイ。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に於いて、
前記突条部の幅は0.8mm~1.2mmの範囲である、
ことを特徴とする卵トレイ。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に於いて、
前記収容凹部が有する前記突条部の本数は、6本~10本の範囲である、
ことを特徴とする卵トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の鶏卵等を起立状態で収容する卵トレイに関する。
詳しくは、複数の収容凹部と複数の支持凸部とを、各収容凹部が4個の支持凸部で囲まれ、且つ、トレイ周縁部を除く各支持凸部が4個の収容凹部で囲まれるように、それぞれ仮想の格子点位置に配設して成り、上面視が略方形を成す卵トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
卵運搬用のトレイとして、従来より、種々のトレイが提案/提供されている。
特開2001-287723号公報(特許文献1)には、卵トレイに収容されている鶏卵をトレイ内から取り出す際、運搬中等に鶏卵が割れて該鶏卵の黄身/白身が、付近の他の鶏卵をトレイに粘着させている場合でも、当該他の鶏卵を損傷させずに取り出せるようにすることを企図した卵トレイが開示されている。
略同様の目的を有し、全体的な構造にも類似点を有する卵トレイとしては、特開2013-119406号公報(特許文献2)に記載の卵トレイを挙げることができる。
また、目的は異なるが、全体的な構造に類似点を有する卵トレイとしては、特開2016-074433号公報(特許文献3)に記載の卵トレイを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-287723号公報
【特許文献2】特開2013-119406号公報
【特許文献3】特開2016-074433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の卵トレイでは、収容凹部3(3は特許文献1内の符号;特許文献1の
図4と
図2を、本願の
図6(a)(b)に転載)の基部周縁(=収容凹部3の上端の開口部の縁付近)に、鶏卵Eの底部外周を点支持可能とした少なくとも3個の瘤状の上向き隆起4を設けている。即ち、鶏卵を点支持することで、割れた鶏卵の黄身/白身が付近の他の鶏卵をトレイに粘着させている場合でも、容易に取り出し得るようにしている。
【0005】
特許文献2の卵トレイでは、収容凹部と、隣接する収容凹部間を連結する連結部との境界部に、連結部の上面から収容凹部の内周面にかけて連続する溝部を設け、該溝部により黄身/白身を排出容易とすることで、粘着を抑制している。
【0006】
特許文献1や2に記載の卵トレイでは、割れた鶏卵の黄身/白身が付近の他の鶏卵をトレイに粘着させている場合に、該付近の他の鶏卵を損傷することなくトレイから取り出し得るようにする効果が、未だ十分ではない。
本願は、運搬中等に割れた鶏卵の黄身/白身が、付近の他の鶏卵をトレイに粘着させている場合でも、該付近の他の鶏卵を損傷することなく、トレイから容易に取り出し得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の構成を、下記[1]~[6]に記す。なお、この項([課題を解決するための手段])と次項([発明の効果])に於いて、符号は理解を容易にするために付したものであり、本発明を符号の構成に限定する趣旨ではない。
【0008】
[1]発明1
卵を起立状態で収容するための複数の収容凹部1と、該複数の収容凹部1に収容される卵の側部を支持するための複数の支持凸部2とを、各収容凹部1が4個の支持凸部2で囲まれ且つトレイ周縁部を除く各支持凸部2が4個の収容凹部1で囲まれるように仮想の格子点位置に配設して成り、上面視が略方形を成す卵トレイであって、
前記収容凹部1は、上下方向各高さの横断面が円形を成し下方へ向けて縮径する逆円錐台形状部10を有し、該逆円錐台形状部10の側壁部101の内面101a上に上下方向へ延設された少なくとも3本の突条部13(13a,13b)を有する、
ことを特徴とする卵トレイ。
[2]発明2
発明1に於いて、
前記収容凹部1は下端に下開口部15を有し、前記収容凹部1の上端の上開口部16は前記逆円錐台形状部10の上端縁106により構成される、
ことを特徴とする卵トレイ。
[3]発明3
発明2に於いて、
前記収容凹部1の上開口部16は、当該収容凹部1の四方に隣接する4個の支持凸部2の下端部に代えて前記逆円錐台形状部10から上方へ延設された上延設部108を有し、
前記上延設部108の上縁部108aは、当該上延設部108に対応する支持凸部2の側壁部20に卵の受部として設けられている側壁開口部201の下縁部201aを構成し、
前記収容凹部1は、上端が前記上延設部108の上縁部108aに至り且つ下端が前記逆円錐台形状部10の下端109に至る4本の長突条部13aと、上端が前記逆円錐台形状部10の上端縁106に至り且つ下端が前記逆円錐台形状部10の下端109に至る前記長突条部13a間に設けられた4本の短突条部13bを、前記突条部13として有する、
ことを特徴とする卵トレイ。
[4]発明4
発明3に於いて、
前記逆円錐台形状部10の側壁部101の上下方向の長さは4mm~6mmの範囲であり、前記上延設部108の上下方向の長さは1mm~2mmの範囲である、
ことを特徴とする卵トレイ。
[5]発明5
発明3又は発明4に於いて、
前記突条部13(13a,13b)の幅は0.8mm~1.2mmの範囲である、
ことを特徴とする卵トレイ。
[6]発明6
発明1又は発明2に於いて、
前記収容凹部1が有する前記突条部13の本数は、6本~10本の範囲である、
ことを特徴とする卵トレイ。
【発明の効果】
【0009】
発明1は、卵を起立状態で収容するための複数の収容凹部1と、該複数の収容凹部1に収容される卵の側部を支持するための複数の支持凸部2とを、各収容凹部1が4個の支持凸部2で囲まれ且つトレイ周縁部を除く各支持凸部2が4個の収容凹部1で囲まれるように仮想の格子点位置に配設して成り、上面視が略方形を成す卵トレイであって、前記収容凹部1は、上下方向各高さの横断面が円形を成し下方へ向けて縮径する逆円錐台形状部10を有し、該逆円錐台形状部10の側壁部101の内面101a上に上下方向へ延設された少なくとも3本の突条部13(13a,13b)を有する卵トレイであるため、収容された卵の一部が割れて黄身/白身が他の収容凹部1内に入り、該他の収容凹部と卵との間に停留して粘着した場合でも、容易に剥離させて卵を取り出すことができる。
発明2は、発明1に於いて、前記収容凹部1は下端に下開口部15を有し、前記収容凹部1の上端の上開口部16は前記逆円錐台形状部10の上端縁106により構成される卵トレイであるため、発明1の効果をさらに高める効果がある。
発明3は、発明2に於いて、前記収容凹部1の上開口部16は、当該収容凹部1の四方に隣接する4個の支持凸部2の下端部に代えて前記逆円錐台形状部10から上方へ延設された上延設部108を有し、前記上延設部108の上縁部108aは、当該上延設部108に対応する支持凸部2の側壁部20に卵の受部として設けられている側壁開口部201の下縁部201aを構成し、前記収容凹部1は、上端が前記上延設部108の上縁部108aに至り且つ下端が前記逆円錐台形状部10の下端109に至る4本の長突条部13aと、上端が前記逆円錐台形状部10の上端縁106に至り且つ下端が前記逆円錐台形状部10の下端109に至る前記長突条部13a間に設けられた4本の短突条部13bを、前記突条部13として有する卵トレイであるため、発明2の効果をさらに高める効果がある。
発明4は、発明3に於いて、前記逆円錐台形状部10の側壁部101の上下方向の長さは4mm~6mmの範囲であり、前記上延設部108の上下方向の長さは1mm~2mmの範囲である卵トレイであるため、発明3の効果を最適に奏させる範囲を与えることかできる。
発明5は、発明3又は発明4に於いて、前記突条部13(13a,13b)の幅は0.8mm~1.2mmの範囲である卵トレイであるため、発明3又は発明4の効果を最適に奏させる範囲を与えることができる。
発明6は、発明1又は発明2に於いて、前記収容凹部1が有する前記突条部13の本数は6本~10本の範囲である卵トレイであるため、発明1又は発明2の効果を良好に奏させる範囲を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】複数の収容凹部1と複数の支持凸部2とを、各収容凹部1が4個の支持凸部2で囲まれ、且つ、トレイ周縁部を除く各支持凸部2が4個の収容凹部1で囲まれるように仮想の格子点位置に配設した様子を説明する上面模式図。
【
図2】(a)は
図1内2Aで示す部分の構成を説明する上面模式図、(b)は(a)内矢視Bの模式図、(c)は(b)内矢視Cの模式図を示す。(c)に於いて、C視上矢とはC位置から上方向を向く矢で見た部位を示し、C視右斜め上矢とはC位置から右斜め上方向を向く矢で見た部位を示す。
【
図3】突条部13の変形例の説明図であり、(a)と(b)は
図2(c)と同様の部位を示す。即ち、C視上矢とはC位置から上方向を向く矢で見た部位を示し、C視右斜め上矢とはC位置から右斜め上方向を向く矢で見た部位を示す。(c)は(b)内矢視C方向で見た部位を示す。
【
図4】実施の形態の卵トレイを斜め上方から見た様子を示す斜視図。
【
図5】実施の形態の卵トレイを斜め下方から見た様子を示す斜視図。
【
図6】実施の形態の卵トレイを上方から見た様子を示す平面図。
【
図7】実施の形態の卵トレイを下方から見た様子を示す底面図。
【
図8】特許文献1の
図4と
図2を転載した図。符号は特許文献1の符号。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図4は実施の形態の卵トレイTの概観を上方から見た様子を示す斜視図であり、
図5は
図4の卵トレイの概観を下方から見た様子を示す斜視図である。また、
図1は、実施の形態の卵トレイTの上面の概要を示す模式図である。
【0012】
図示のように、実施の形態の卵トレイTは、収容凹部1と支持凸部2を、仮想の格子点位置(
図1内・破線の交差位置)に配設して成り、上面視が略方形を成す。上とは、収容凹部1の内部(卵が収容される部分)が見える側を言うものと定義する。例えば、
図4は斜め上方から見た斜視図である。また、略方形とは、方形の内方へ若干窪んでいる部分を有する場合(
図4,
図5;参照)や、四隅をR形状とした場合等を含む意味である。方形が正方形であれば、複数の卵トレイTに卵を収容し、段積みのため交互に水平面内で90度回転したとしても、90度回転させたトレイと回転させなかったトレイとで、各辺の長さが揃うため、段ボール等の容器へ隙間無く収納できる。
材質としては、例えば、硬質のポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル等の公知のプラスチックを用いることができる。
【0013】
収容凹部1は、
図2(a)(b)に示すように、上方側の逆円錐台形状部10と、その下方に一体に連設された下凹部11(本実施の形態では、下凹部11も逆円錐台形状を成す)とから成る。逆円錐台形状とは、上下方向の各高さの横断面が円形を成し、該円形が下方へ向けて一定の割合で縮径する形状であって、先鋭な下端(径=0)に至る前に切断された形状を言う。一定の割合で縮径するとは、逆円錐台形状部10の
図2(b)で左右の縁として描かれている部分(左縁は右下から左上へ延び、右縁は左下から右上へ延びるように描かれている)が、直線状を成すことを言う。
【0014】
収容凹部1の上端、即ち、逆円錐台形状部10の上端は、開口されている。つまり、逆円錐台形状部の上端縁106が、収容凹部1の上開口部16を構成する。また、収容凹部1の下端、即ち、下凹部11の下端も、開口されている。つまり、下凹部11の下端縁115が、収容凹部1の下開口部15を構成する。
収容凹部1の下端が開口されているため、上開口部16から当該収容凹部1に起立状態で収容された卵が運搬中等に割れた場合でも、漏れ出た黄身/白身の大部分は、下開口部15を通って排出される。
【0015】
支持凸部2は、
図4に示すように、上下方向の各高さの横断面が円形を成し、該円形が上方へ向けて縮径する形状を成す。図示の例では縮径する割合が一定ではないため、円錐台形状ではなく、上へ行くにしたがって先鋭さが増す形状を成すが、縮径する割合を一定として、支持凸部2を、円錐台形状と成してもよい。要は、支持凸部2の側壁(正確には側壁に設けられた側壁開口部201(下記「0016」参照)の縁)にて卵の側部を支持できればよい。
【0016】
支持凸部2の側壁20であって、収容凹部1を向く側には、側壁開口部201が設けられている。この側壁開口部201は、収容凹部1に起立状態で収容される卵の側部を受け入れて、縁(側壁開口部201の縁)にて支持する機能を奏する。このように、卵の側部を受け入れて縁にて支持するため、卵を良好に支持できるとともに、支持凸部2が卵に及ぼす衝撃力を抑制することができるため、運搬中等の卵の損傷を抑制できる。
【0017】
側壁開口部201の下端縁201aは、収容凹部1の逆円錐台形状部10の上端縁106から上方へ延設された上延設部108の上縁部108aによって構成されている。このため、側壁開口部201の下端縁201aは、支持凸部2の当該高さの横断面の円の曲率ではなく、逆円錐台形状部10の当該延設された高さの横断面の円の曲率を成す。つまり、逆円錐台形状部10と同様に、外側へ広がる円形状の曲率を成す。また、傾斜角度も逆円錐台形状部10と同じ傾斜角度を成す。
図4に於いて、203は支持凸部2の上端部の開口部であり、205は突起である。卵を収容していない状態では、複数のトレイTをそのまま積み重ねる。収容凹部1内に上段の収容凹部1が収容され、全体的な容積は小さくなる。一方、卵を収容した状態では、交互に(=一つおきに)水平面内で90°回転させることにより、支持凸部2の上に上段の収容凹部1の下端が位置し、その結果、支持凸部2の上端の突起205が、収容凹部1の下端の下開口部15に挿入されて、位置決めされる。
【0018】
収容凹部1と支持凸部2は、
図1(及び
図4、
図5)に示すように、各収容凹部1が4個の支持凸部2で囲まれ、且つ、トレイ周縁部を除く各支持凸部2が4個の収容凹部1で囲まれるように、仮想の格子点位置に配設されている。
図1では、仮想の格子を破線で示している。格子点とは、これらの破線が交差する位置である。なお、実施の形態では、
図1、
図4、
図5に示すように、トレイの縁(図中、上の縁と下の縁)に位置する支持凸部2は、段積みしてラックやコンテナ等に収容される卵トレイTのサイズの関係上、トレイTの当該の縁に沿って切断した1/2形状を成している。
【0019】
本実施の形態では、
図2(a)(b)に示すように、逆円錐台形状部10の側壁部101の内面101a上に、上下方向へ延設された8本の突条部13(13a,13b)を有する。突条部13aは、一端(上端)が逆円錐台形状部10の上延設部108の上縁部108aに至り、他端(下端)が逆円錐台形状部10の下端109に至る、相対的に長い突条部である。一方、突条部13bは、一端(上端)が逆円錐台形状部10の上端縁106に至り、他端(下端)が逆円錐台形状部10の下端109に至る、相対的に短い突条部である。なお、突条部とは、細い筋状(リブ状)の突出部を言う。
【0020】
長突条部13aは、逆円錐台形状部10の側壁部101の内面101a上、収容凹部1を囲む4個の支持凸部2が設けられている側の中央の部位にそれぞれ設けられている。即ち、合計4本の長突条部13aが設けられている。短突条部13bは、隣接する長突条部13a~13a間の中央の部位に設けられている。したがって、合計4本の短突条部13bが設けられている。
【0021】
従来製品との比較では、逆円錐台形状部10の開き角度(
図2(b)に示す傾斜部位の法線から外方への開き角度)を35°~55°、好ましくは40°~50°、更に好ましくは42°~46°の範囲、逆円錐台形状部10の上下方向の長さ(
図2(b)の傾斜した部位に沿う長さ)を4mm~6mmの範囲、上延設部108の上下方向の長さ(
図2(b)の傾斜した部位に沿う長さ)を1mm~2mmの範囲、突条部13(13a,13b)の上面(卵に接する面)の幅を0.8mm~1.2mm、好ましくは0.9~1.1mmの範囲、突条部13(13a,13b)の突出高さ(逆円錐台形状部10の側壁部101の内面101aからの高さ;
図3(c)の13t参照)を0.6mm~1.0mm、好ましくは0.7mm~0.9mmの範囲に設定し、卵の黄身/白身を収容凹部1に零した状態で卵を収容して、所定時間(例:7日間)経過後に取り出す試験を多数回行ったところ、取り出し時に当該の卵が破損する率を十分に低減できた。
【0022】
理由としては、(イ)収容凹部1に零した黄身/白身が突条部13に沿って流れ出易くなったこと、(ロ)突条部13の上面に付着した黄身/白身が該上面に沿って及び該上面の両側から流れ落ちるため残留する量が少なく、結果、収容されて該上面にて支持される卵を粘着する力も小さくなること、(ハ)取り出す際に卵に加わる力が突条部13の上面の方向に逆らわない方向であるため、粘着していた場合でも、粘着部分が卵に及ぼす力が低減されること、等が考えられる。
また、上記のように収容して運搬試験を行ったところ、卵運搬時の破損率も、従来製品と比較して遜色がなかった。
【0023】
上記実施の形態では、逆円錐台形状部10は、その上端縁106が収容凹部1の上開口部16の縁を構成している。即ち、逆円錐台形状部10が、収容凹部1の上部域を構成している。しかし、これに代えて、中間域を構成するように設けてもよい。即ち、逆円錐台形状部10の上端縁106を、収容凹部1の開口部16の縁から若干下方の部位に設けてもよい。要は、収容された卵の下部を、取り出し容易な角度(=逆円錐台形状部10の側壁部101の角度)を成す突条部13で支持できればよい。
【0024】
また、上記実施の形態では、突条部13は逆円錐台形状部10の側壁部101の内面101aの上端縁106(上延設部108の場合は上縁部108a)~下端109に設けられているが、逆円錐台形状部10の側壁部101の上下長より若干短くして、中途に設けるように構成してもよい。要は、収容された卵の下部を支持できるとともに取り出し容易な長さを有する突条部13で支持できればよい。
また突条部13は、
図3(a)に示すように、途中で分断されていてもよい。また、
図3(b)に示すように、突条部13を逆円錐台形状部10の上延設部108までは延長しない構成も可能である。
また、実施の形態では8本の突条部13(13a,13b)を設けているが、これに限らず、卵を支持できる本数である3本以上で可能であり、好ましくは6本~10本の範囲である。
【符号の説明】
【0025】
1 収容凹部
10 逆円錐台形状部
101 逆円錐台形状部の側壁部
101a 逆円錐台形状部の側壁部の内面
106 逆円錐台形状部の上端縁
108 逆円錐台形状部の上延設部
108a 逆円錐台形状部の上延設部の上縁部
109 逆円錐台形状部の下端
11 下凹部
115 下凹部11の下端縁
13 突条部
13a 長突条部
13b 短突条部
15 下開口部
16 上開口部
2 支持凸部
20 支持凸部の側壁部
201 側壁開口部
201a 側壁開口部の下縁部
203 上開口部
205 上突起
T 卵トレイ