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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172811
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】印字装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/08 20060101AFI20221110BHJP
   B65C 5/00 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
B65C9/08
B65C5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079051
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭織
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 吉昭
【テーマコード(参考)】
3E095
【Fターム(参考)】
3E095AA12
3E095AA20
3E095BA02
3E095CA02
3E095DA11
3E095DA15
3E095DA24
3E095EA27
3E095EA32
3E095FA17
3E095FA25
3E095FA30
(57)【要約】
【課題】従来のラベル搬送機構をそのまま使用しながら、ノッチのある台紙レスラベルを使用する場合でも、通常ラベルと同様に、折れや搬送ズレを起こさない印字装置を提供することを課題とする。
【解決手段】一方の面が印字面、他方の面が貼付面とされ、搬送方向に対して所定間隔毎に前記搬送方向と直交する方向のノッチを有する台紙レスラベルの印字装置で、搬送される前記台紙レスラベルをガイドするガイドローラと、ガイドローラを経由して搬送される前記台紙レスラベルを第1ローラおよび第2ローラの間に挟んで下流へ搬送する搬送機構と、を有し、前記ガイドローラ、前記第1ローラおよび前記第2ローラのそれぞれの回転軸方向から見た場合の、前記ガイドローラから前記第1ローラへ搬送される前記台紙レスラベルの搬送方向と、前記第1ローラの回転中心と前記第2ローラの回転中心とを結ぶ直線方向とのなす角度を調整可能にする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面が印字面、他方の面が貼付面とされ、搬送方向に対して所定間隔毎に前記搬送方向と直交する方向にノッチが形成された帯状の台紙レスラベルを搬送しながら印字する印字装置であって、
搬送される前記台紙レスラベルをガイドするガイドローラと、
前記ガイドローラを経由して搬送される前記台紙レスラベルを第1ローラおよび第2ローラの間に挟んで下流へ搬送する搬送機構と、を有し、
前記ガイドローラ、前記第1ローラおよび前記第2ローラのそれぞれの回転軸方向から見た場合の、前記ガイドローラから前記第1ローラへ搬送される前記台紙レスラベルの搬送方向と、前記第1ローラの回転中心と前記第2ローラの回転中心とを結ぶ直線方向とのなす角度を調整可能にした、印字装置。
【請求項2】
一方の面が印字面、他方の面が貼付面とされ、搬送方向に対して所定間隔毎に前記搬送方向と直交する方向にノッチが形成された帯状の台紙レスラベルを搬送しながら印字する印字装置であって、
搬送される前記台紙レスラベルをガイドするガイドローラと、
前記ガイドローラを経由して搬送される前記台紙レスラベルを第1ローラおよび第2ローラで挟んで下流へ搬送する搬送機構と、を有し、
前記ガイドローラ、前記第1ローラおよび前記第2ローラのそれぞれの回転軸方向から見た場合の、前記ガイドローラから前記第1ローラへ搬送される前記台紙レスラベルの搬送方向と、前記第1ローラの回転中心と前記第2ローラの回転中心とを結ぶ直線方向とのなす角度が、少なくとも100度より大きく130度より小さい角度に設定されている、印字装置。
【請求項3】
一方の面が印字面、他方の面が貼付面とされ、搬送方向に対して所定間隔毎に前記搬送方向と直交する方向にノッチが形成された帯状の台紙レスラベルを、第1ローラと第2ローラとの間に挟んで搬送する搬送機構を備え、
前記搬送機構に送り込まれる前記台紙レスラベルが、少なくとも前記第1ローラの全周の1/24以上1/12以下の領域に巻き付くように、前記第1ローラと前記第2ローラとの接触位置が、前記台紙レスラベルが前記第1ローラに最初に接する位置から前記台紙レスラベルの搬送方向下流側にずれた位置に設けられている、
印字装置。
【請求項4】
一方の面が印字面、他方の面が貼付面とされ、搬送方向に対して所定間隔毎に前記搬送方向と直交する方向にノッチを有する台紙レスラベルを複数のローラで搬送する際の印字装置における前記各ローラの位置の調整方法であって、
前記ローラは、搬送される前記台紙レスラベルをガイドするガイドローラと、前記ガイドローラを経由して搬送される前記台紙レスラベルを挟んで搬送する第1ローラと、第2ローラとを備え、
前記第ガイドローラと、前記第1ローラおよび第2ローラの位置を調整する際は、前記ガイドローラ、前記第1ローラおよび前記第2ローラのそれぞれの回転軸方向から見た場合の、前記ガイドローラから前記第1ローラおよび前記第2ローラへ搬送される際の前記台紙レスラベルの搬送方向と、前記第1ローラの回転中心と前記第2ローラの回転中心とを結ぶ直線方向との成す角度を100度から130度の範囲内で調整する、調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙レスラベルに印字し、発行する印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
包装された三角「おにぎり」に、四角形の商品ラベルを貼付すると、下記特許文献1の代表図に開示されているように、二等辺三角形の「おにぎり」の等辺から商品ラベルの左右の角部がはみ出ることがある。そのため、「おにぎり」よりも大きいサイズのラベルを使用するときは、はみ出る角部を予めカットしたラベルを使用することがある。
【0003】
図1は、そうした形状のラベルを台紙レスラベルで構成した一例である。この図において、台紙レスラベルLは、一方の面が印字面、他方の面が貼付面とされ、その搬送方向Fと直交する方向には、一定間隔で両サイドから所定深さのノッチNが設けられている。そうした帯状の台紙レスラベルLは、ロール状に巻かれてラベルロールに形成され、その状態で印字装置に装着される。
【0004】
印字装置は、図2に示すように、ラベルロールLRを支持するロール支持部RSと、ラベルロールLRから台紙レスラベルLを引き離しながら繰り出す搬送機構DUと、ラベルロールLRと搬送機構DUとの間にあって、ラベルロールLRから繰り出された台紙レスラベルLを搬送機構DUまで案内するダンパーローラDRと、ガイドローラGRと、搬送機構DUの下流側にあって、台紙レスラベルLに商品情報を印字する印字部PUと、印字部PUの下流側にあって、印字部PUから発行された台紙レスラベルLを、図1のノッチN部分でカットするカッターユニットCUと、を備えている。
【0005】
搬送機構DUは、図示しないモータによって回転駆動される第1ローラR1と、台紙レスラベルLを第1ローラR1に押し付けて、台紙レスラベルLを第1ローラR1の周面に所定長さ巻き付ける第2ローラR2とで構成されている。また、第2ローラR2と、ダンパーローラDR、ガイドローラGRは、共に回転自在なフリーローラで構成されている。
なお、図2において、台紙レスラベルLの貼付面は、第1ローラR1に接しており、印字面は、第2ローラR2に接している。
【0006】
第2ローラR2は、図3に示すように、第1ローラR1の回転中心X1から下流側に少しずれた位置に配置されているとともに、図示しないスプリングでもって第1ローラR1に所定の圧力でもって押し付けられている。これにより、台紙レスラベルLの貼付面が、第1ローラR1の周面に所定長さだけ巻き付けられるから、第1ローラR1が回転することによって台紙レスラベルLをラベルロールLRから繰り出すときに、台紙レスラベルLと第1ローラR1との間でスリップが生じないように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-15125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、図1に示すような台紙レスラベルLを従来装置の第1ローラR1と第2ローラR2との間に送り込むと、図3に示すように、ノッチNの端Eが第1ローラR1から浮き上がった状態で第2ローラR2に当たるため、浮き上がったノッチNの端Eが変形したり、跳ね上がったり、裏返しになったりして、図4に示すように、ノッチNの端Eの貼付面が印字面側に向くことがある。こうした不良ラベルが、印字部PUに送られると、印字ヘッドに粘着剤が付着する問題が発生する。
【0009】
こうした問題を解消するには、例えば第2ローラR2の直径を、第1ローラR1の直径よりも大きいローラにすれば、第1ローラR1から浮き上がったノッチNの端Eが、第2ローラR2に当たる角度は、より小さくなるから、ノッチNの端Eは、直ちに第1ローラR1に押し付けられて、図4に示すような不良ラベルの発生は、抑えられる。
【0010】
しかし、従来装置の第2ローラR2に替えて、直径の大きいローラを用いることは、機種の異なる印字装置間において部品を共通化してコストを下げたい、という要望に応えることができない。
【0011】
そこで、本発明では、従来の第1ローラ、第2ローラをそのまま使用しながら、ノッチのある台紙レスラベルを使用する場合でも、通常ラベルと同様に、折れや搬送ズレを起こさない新たな印字装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る印字装置は、
一方の面が印字面、他方の面が貼付面とされ、搬送方向に対して所定間隔毎に前記搬送方向と直交する方向にノッチが形成された帯状の台紙レスラベルを搬送しながら印字する印字装置であって、
搬送される前記台紙レスラベルをガイドするガイドローラと、
前記ガイドローラを経由して搬送される前記台紙レスラベルを第1ローラおよび第2ローラの間に挟んで下流へ搬送する搬送機構と、を有し、
前記ガイドローラ、前記第1ローラおよび前記第2ローラのそれぞれの回転軸方向から見た場合の、前記ガイドローラから前記第1ローラへ搬送される前記台紙レスラベルの搬送方向と、前記第1ローラの回転中心と前記第2ローラの回転中心とを結ぶ直線方向とのなす角度を調整可能にしたことを特徴とする。
【0013】
図5は、前記角度を調整可能にしたテスト機の概略図であって、図2に示す従来装置と同じ部品には、同じ符号を用いている。この図5において、ガイドローラGRは、その回転軸Sを水平方向に保ったまま、破線で示す方向F2、すなわち、ガイドローラGRから第1ローラR1に至る台紙レスラベルLの搬送方向F1と交差する方向F2に移動可能に構成するとともに、移動させた任意の位置で固定できるようにしている。
【0014】
これにより、第1ローラR1と第2ローラR2の取付位置を変えずに、ガイドローラGRから第1ローラR1に至る台紙レスラベルLの搬送方向F1と、第1ローラR1の回転中心X1と第2ローラR2の回転中心X2とを結ぶ直線方向F3とのなす角度Θが、自在に調整できるようにしている。
【0015】
このテスト機を用いて、ガイドローラGRを破線で示す方向F2に段階的に変えながら移動させた各位置において、台紙レスラベルLを間欠的に搬送したときに、図4に示すような不良ラベルが発生するか否か、また、台紙レスラベルLに搬送ズレが生ずるか否か、すなわち、図2のカッターユニットCUによるカット位置が、ノッチNの位置からずれるか否かを調べた。
【0016】
その結果、ガイドローラGRをダンパーローラDRに近づけていけば、台紙レスラベルLのノッチNの端Eは、第1ローラR1から浮き上がり難くなるとともに、例え浮き上がったとしても、第2ローラR2によって直ちに第1ローラR1に押し付けられるから、ノッチNの端Eは、裏返ったり、折れたりしなくなる。しかし、台紙レスラベルLが第1ローラR1の周面に貼り付く領域は、次第に小さくなるから、第1ローラR1のラベル搬送力は、漸次減少して、ラベルのカット位置が、搬送方向F1にずれる場合がある。
【0017】
逆にガイドローラGRをダンパーローラDRから遠ざけていけば、台紙レスラベルLのノッチNの端Eは、第1ローラR1から浮き上がって第2ローラに当たり、そのときの当たる角度は、次第に大きくなっていくから、ノッチNの端Eは、裏返ったり、折れたりする。しかし、台紙レスラベルLが第1ローラR1の周面に貼り付く領域は、次第に大きくなるから、第1ローラR1のラベル搬送力は、次第に強くなり、ラベルのカット位置は、ずれなくなる。
【0018】
こうした実験を繰り返した結果、従来装置の前記角度Θは、133度であったが、この角度Θを105度から120度の範囲に調整すれば、ノッチNの端Eは、折れないし、ラベルのカット位置もずれなくなる。ただし、前記角度Θを100度まで下げても台紙レスラベルLを第1ローラR1に押し付ける第2ローラR2のスプリングの強さを強くしていけば、台紙レスラベルLは、第1ローラR1に強く貼り付くから、台紙レスラベルLが第1ローラR1の周面に貼り付く領域が小さくなっても、ラベルのカット位置のずれを防ぐことができる。
【0019】
また、腰の弱い台紙レスラベルLを使用すれば、台紙レスラベルのノッチNの端Eが第1ローラR1から浮き上がる現象を抑えることができるから、この場合には、前記角度Θを130度まで上げても、ノッチNの端Eを折らずにラベルを発行することができる。
【0020】
以上の実験結果から、本発明に係る印字装置は、
一方の面が印字面、他方の面が貼付面とされ、搬送方向に対して所定間隔毎に前記搬送方向と直交する方向にノッチが形成された帯状の台紙レスラベルを搬送しながら印字する印字装置であって、
搬送される前記台紙レスラベルをガイドするガイドローラと、
前記ガイドローラを経由して搬送される前記台紙レスラベルを第1ローラおよび第2ローラで挟んで下流へ搬送する搬送機構と、を有し、
前記ガイドローラ、前記第1ローラおよび前記第2ローラのそれぞれの回転軸方向から見た場合の、前記ガイドローラから前記第1ローラへ搬送される前記台紙レスラベルの搬送方向と、前記第1ローラの回転中心と前記第2ローラの回転中心とを結ぶ直線方向とのなす角度が、少なくとも100度より大きく130度より小さい角度に設定されていることを特徴とする。
【0021】
より好ましくは、前記角度が、105度から120度までの範囲内である。これにより腰の強い台紙レスラベルLが使用されても、ノッチNの端Eを折らず、ラベルのカット位置もずらさずに、正常なラベルを発行することができる。
【0022】
さらに、本発明に係る印字装置は、
一方の面が印字面、他方の面が貼付面とされ、搬送方向に対して所定間隔毎に前記搬送方向と直交する方向にノッチが形成された帯状の台紙レスラベルを、第1ローラと第2ローラとの間に挟んで搬送する搬送機構を備え、
前記搬送機構に送り込まれる前記台紙レスラベルが、少なくとも前記第1ローラの全周の1/24以上1/12以下の領域に巻き付くように、前記第1ローラと前記第2ローラとの接触位置が、前記台紙レスラベルが前記第1ローラに最初に接する位置から前記台紙レスラベルの搬送方向下流側にずれた位置に設けられていることを特徴とする。
【0023】
図3において、第1ローラR1へ搬送される台紙レスラベルLの搬送方向F1と、第1ローラR1の回転中心X1と第2ローラR2の回転中心X2とを結ぶ直線方向F3との成す角度Θが、105度から120度の範囲は、台紙レスラベルLが第1ローラR1に巻き付く角度αでみれば、15度から30度の範囲である。この範囲は、台紙レスラベルLが第1ローラR1に最初に接する位置P1から、第1ローラR1と第2ローラR2との接触位置P2までの角度範囲であり、それは、第1ローラの全周の1/24以上1/12以下の領域で巻き付く範囲である。
【0024】
これにより、台紙レスラベルLのノッチNの端Eが、第1ローラから浮き上がっていたとしても、折れ曲がらずに搬送することができ、かつ、ラベルのカット位置もずれない効果がある。
【0025】
さらに、本発明に係る位置調整方法は、
一方の面が印字面、他方の面が貼付面とされ、搬送方向に対して所定間隔毎に前記搬送方向と直交する方向にノッチを有する台紙レスラベルを複数のローラで搬送する際の印字装置における前記各ローラの位置の調整方法であって、
前記ローラは、搬送される前記台紙レスラベルをガイドするガイドローラと、前記ガイドローラを経由して搬送される前記台紙レスラベルを挟んで搬送する第1ローラと、第2ローラとを備え、
前記ガイドローラ、前記第1ローラおよび前記第2ローラのそれぞれの回転軸方向から見た際、前記ガイドローラから前記第1ローラおよび前記第2ローラへ搬送される際の前記台紙レスラベルの搬送方向と、前記第1ローラの回転中心と前記第2ローラの回転中心とを結ぶ直線方向との成す角度が、130度より小さく、90度より大きい角度となるように、前記第ガイドローラと、前記第1ローラおよび第2ローラの何れかのローラの位置を調整することを特徴とする。
【0026】
ここでは、取付位置に余裕を持たせるために、前記角度が、90度より大きく、130度より小さい範囲で調整できるようにしている。また、図5では、取付位置を固定した第1ローラR1と第2ローラR2に対し、ガイドローラGRを上下方向に移動させる構成を採ったが、これに替えて、ガイドローラGRと第1ローラR1の取付位置を固定し、第2ローラR2を第1ローラR1の周面に沿って移動できるようにして、前記角度が、130度より小さく、90度よりも大きい角度となるように調整しても良い。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ガイドローラから第1ローラおよび第2ローラへ搬送される際の台紙レスラベルの搬送方向と、前記第1ローラの回転中心と前記第2ローラの回転中心とを結ぶ直線とにより成す角度を調整するだけで、ノッチNのある台紙レスラベルであっても、通常ラベルと同様に、折れや搬送ズレを起こさない印字装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】台紙レスラベルの一例を示す部分平面図。
図2】従来の印字装置の概要を示す説明図。
図3】台紙レスラベルと第1ローラと第2ローラの位置関係の説明図。
図4】台紙レスラベルのノッチの端が折れた状態の平面図。
図5】ガイドローラの取付位置を移動自在とした説明図。
図6】本発明の一実施形態に係る印字装置の主要部の外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態を図6に基づいて説明する。ただし、この実施形態は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、この図6において、矢印で示す方向を前後方向、それと直交する方向を左右方向としている。また、前後方向の前側を正面、後側を奥側と言う場合がある。
【0030】
図6において、印字装置1は、ラベルロールLRを支持するロール支持部RSと、ラベルロールLRから繰り出された台紙レスラベルLを下方へ向けて案内するダンパーローラDRと、ダンパーローラDRの下方で上下動可能に配置されたガイドローラGRと、ガイドローラGRで方向変換された台紙レスラベルLを水平方向に引っ張る搬送機構DUと、搬送機構DUの下流側にあって、台紙レスラベルLを搬送しながら商品情報を印字する印字部PUとを備えている。
【0031】
ロール支持部RSには、図示しないセンタリング機構が組み込まれて、そこに装着されたラベルロールLRを、搬送経路の中央位置で位置決めするようになっている。
【0032】
ダンパーローラDRは、それを回転自在に支持する支持軸S1を介して、揺動アームAMの先端部に取り付けられている。揺動アームAMは、支持軸S1とは反対側の回転軸S2を中心として所定範囲内で揺動するように構成され、同時に、スプリングSPでもって常時、引き上げられた状態に保持されている。これにより、台紙レスラベルLがラベルロールLRから引き出されて下向きに引っ張られるときの力に抗して、ダンパーローラDRを揺動範囲の上死点付近に保持するようになっている。また、揺動アームAMの回転軸S2には、図示しないオイルダンパーが取り付けられて、台紙レスラベルLが引っ張られることによってダンパーローラDRが下がった状態において、台紙レスラベルLが搬送機構DUから外れた場合でも、ダンパーローラDRが上死点まで急激に跳ね返らないようになっている。
【0033】
ガイドローラGRは、支持軸S3に回転自在に取り付けられているとともに、支持軸S3の端部は、保持プレートHPに固定されている。この保持プレートHPは、上下方向に長孔LHが設けられたガイドプレートGPに移動自在に取り付けられている。すなわち、長孔LHは、上下方向に3列設けられ、真ん中の長孔LHが、支持軸S3を上下に移動させるための移動スペースとされ、その両サイドの長孔が、保持プレートHPをガイドプレートGPに固定するためのボルト・ナットBNの上下移動スペースとされている。
【0034】
そして、ガイドローラGRを上下に移動させるときは、ボルト・ナットBNを緩めてから保持プレートHPをガイドプレートGPに沿って上下に移動させ、位置が決まると、ボルト・ナットBNを締め付けることにより、保持プレートHPを長孔LHの任意の位置で固定できるようになっている。これにより、ガイドローラGRは、ダンパーローラDRの近接位置から、搬送機構DUの第1ローラR1のレベル付近まで上下に位置を変えることができるようになっている。
【0035】
搬送機構DUは、第1ローラR1と、第2ローラR2と、第1ローラR1を回転駆動するモータM1と、モータM1の回転軸S4の回転力を第1ローラR1の回転軸S5に伝達する動力伝達機構DMとを備えている。この動力伝達機構DMは、モータM1の回転軸S4に取り付けられたプーリーPU1と、第1ローラの回転軸S4に取り付けられたプーリーPU3と、両プーリーPU1,PU2間に掛け渡されたタイミングベルトTBとで構成されている。
【0036】
第1ローラR1は、表面に台紙レスラベルLの貼付面の剥離を促す剥離材がコーティングされたゴム製ローラであって、その心材に前記回転軸S4が設けられている。また、第2ローラR1は、台紙レスラベルLを第1ローラR1に所定の圧力で押し付けるもので、正面視逆L字型、側面視逆コの字型のフレームFRに回転自在に取り付けられている。
【0037】
また、このフレームFRは、印字部PUの印字ヘッドPHが取り付けられたベースプレートBPの左側端部に、支持軸S6を中心として上下に揺動可能に取り付けられているとともに、ベースプレートBPとフレームFRとの間に設けられた複数のスプリングSP2でもって、第2ローラR2を第1ローラR1に押し付けるように構成されている。
【0038】
印字部PUは、回転駆動される印字ローラPRと、その印字ローラPRと対向配置される印字ヘッドPHと、モータM2の回転軸S7の回転力を印字ローラPRの回転軸S8に伝達する動力伝達機構DUとを備えている。この動力伝達機構DMは、モータM2の回転軸S7に取り付けられたプーリーPU3と、印字ローラPRの回転軸S8に取り付けられたプーリーPU4と、両プーリーPU3,PU4間に掛け渡されたタイミングベルトTBとで構成されている。
【0039】
また、印字ヘッドPHは、ベースプレートBPと印字ヘッドPHとの間に配置された複数のスプリングSP3でもって、印字ローラPRに押し付けられている。また、印字ヘッドPHと第2ローラR2とが取り付けられたベースプレートBPの、台紙レスラベルLの縁と平行な奥側の縁には、図示しない水平ヒンジが設けられ、そのヒンジを回転中心として、ベースプレートBPの前側が跳ね上がるようになっている。したがって、ベースプレートBPが跳ね上がると、それに伴って第2ローラR2と印字ヘッドPHが共に跳ね上がって、開いた第1ローラR1と第2ローラR2との間に、並びに、印字ローラPRと印字ヘッドPHとの間に、台紙レスラベルLを通すことができるようになっている。
【0040】
なお、ベースプレートBPの跳上機構は、周知であるから、ベースプレートBPを水平姿勢に保持するためのロック機構は、ここでは省略している。また、第1ローラR1と印字ローラPRとの間には、台紙レスラベルLを正面視V字に曲げて搬送するプレートPLが設けられている。これは、台紙レスラベルLの印字面に付着した粘着材を拭うものである。また、この図では、印字部PUの下流側に配置されるカッターユニットCUは、省略している。
【0041】
このように構成された印字装置100において、台紙レスラベルLを搬送路に通すときは、ベースプレートBPを跳ね上げた状態にして、装着されたラベルロールLRから台紙レスラベルLを引き離しながら、ダンパーローラDRからガイドローラGRを経由させ、第1ローラR1からプレートPLの下を通して印字ローラPRに掛け渡す。その状態で跳ね上げたベースプレートBPを降ろしてロック機構でベースプレートBPを固定する。
【0042】
この状態で図示しない印字キーが操作されるか、図示しない制御部から、印字指令が送信されると、モータM1、M2が同期回転することにより、台紙レスラベルLがラベルロールLRから順次繰り出されて、搬送機構DUから印字部PUへと搬送される。その際、台紙レスラベルLが、第1ローラの全周の1/24以上1/12以下の領域で巻き付くように、ガイドローラGRの位置と、第1ローラR1並びに第2ローラR2の位置とが調整されていれば、ノッチNが形成された台紙レスラベルLであっても、通常ラベルと同様にノッチNの端Eが折れたり、搬送ズレが起きたりしない印字装置とすることができる。
【0043】
したがって、図6に示すテスト機を商品化するときは、ガイドローラGRを上下移動させて最適位置を求め、求めた位置の図2に示すフレーム10に、ガイドプレートGPの取付部を設け、そこにガイドローラGRの支持軸S3の端部を固定するようにする。これにより、ノッチNの無い台紙レスラベルはもちろんのこと、ノッチNのある台紙レスラベルであっても、不良ラベルを発生させない印字装置とすることができる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、特許請求の範囲内で種々の実施形態も採用可能である。例えば、搬送機構DUの駆動と、印字部PUの駆動とを一つのモータで駆動するように構成しても良い。この場合、印字部PUの搬送速度を搬送機構DUの搬送速度よりも若干速くして、搬送機構DUと印字部PUとの間で台紙レスラベルLが緊張保持されるようにする。
【符号の説明】
【0045】
100 印字装置
N ノッチ
L 台紙レスラベル
GR ガイドローラ
DU 搬送機構
R1 第1ローラ
R2 第2ローラ
S3 ガイドローラの回転軸
S5 第1ローラの回転軸
X1 第1ローラの回転中心
X2 第2ローラの回転中心
F1 搬送方向
F3 直線方向
Θ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6