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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172817
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/24 20060101AFI20221110BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
E02F9/24 G
E02F9/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079064
(22)【出願日】2021-05-07
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 悠太
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 浩司
(72)【発明者】
【氏名】湯上 誠之
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015GA03
2D015GB06
2D015GB07
2D015HA03
2D015HB00
(57)【要約】
【課題】 後進時にセンサによる障害物の存在を警告する警告灯を目視できるようにして、作業性を向上する。
【解決手段】 センサ19による障害物の検知結果をオペレータに伝える警告灯20は、運転席10の右側方位置、かつ運転席10の座面10Aの後端部10A2よりも前側に配置されている。これにより、オペレータが体を右側にひねって視線を後側に向けた状態では、オペレータの視界の左側に警告灯20を配置することができる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、前記下部走行体上に旋回可能に設けられた上部旋回体と、前記上部旋回体の前部に回動可能に設けられた作業装置と、を備え、
前記上部旋回体には、オペレータが搭乗する搭乗スペースに配置され、座面を有する運転席と、前記上部旋回体の後方の障害物を検知するセンサと、前記センサにより前記障害物が検知されたことを報知する警告灯と、が設けられた建設機械において、
前記警告灯は、前記運転席の側方位置、かつ前記運転席の前記座面の後端部よりも前側に配置されていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
前記運転席の側方位置には、レバーグリップを傾転させることで前記作業装置を操作する操作レバー装置が設けられ、
前記警告灯は、前記操作レバー装置の前記レバーグリップよりも後側に配置されていることを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項1に記載の建設機械において、
前記警告灯は、前記センサの動作状態で点灯するセンサ用発光部材と、前記センサが周囲に前記障害物を検知したときに点灯する警告用発光部材と、を備えていることを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項1に記載の建設機械において、
前記警告灯は、前記運転席の前記座面の高さよりも高い位置に配置されていることを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項4に記載の建設機械において、
前記搭乗スペースの側方位置には、前記上部旋回体の前側に位置する開閉カバーと、
前記開閉カバーの後側に位置する固定カバーと、が設けられ、
前記警告灯は、前記固定カバーの上面に取付けられていることを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に関し、特に、後方の障害物を検知するセンサを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、下部走行体上に旋回可能に設けられた上部旋回体と、上部旋回体の前部に回動可能に設けられた作業装置と、を備えている。
【0003】
上部旋回体には、オペレータが搭乗する搭乗スペースが設けられ、搭乗スペースには、後側に位置してオペレータが座る運転席と、運転席の左右両側に位置して作業装置を操作する操作レバー装置と、前側に位置して稼働情報を報知するランプ、モニタ等と、が設けられている。
【0004】
また、油圧ショベルには、運転席の後側に位置して周囲の障害物を検知するセンサを備えたものがある。このセンサは、油圧ショベルがキーオンされた状態で周囲の障害物や作業者を検知する。そして、センサによる検知結果は、運転席の前側に配置されたランプ、モニタ等によってオペレータに報知される(特許文献1)。
【0005】
ここで、油圧ショベルは、下部走行体による走行、上部旋回体の旋回、作業装置の回動等の作業(動作)を行うことができる。一方で、運転席のオペレータは、油圧ショベルの周囲を全て目視することはできない。そこで、上述した作業時には、センサによって周囲の障害物を検知してオペレータに報知することで、障害物を避けて効率よく作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-159045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
油圧ショベルには、下部走行体に整地用の排土板を備えたものがあり、排土板を用いて地面を均すことができる。排土板を用いた整地作業では、油圧ショベルの前進と後進とが繰り返される。油圧ショベルを後進させるときには、オペレータは、体をひねって後方を目視する姿勢をとる。このために、油圧ショベルの後進時にオペレータは、後方の目視と同時に運転席の前側に配置されたランプ、モニタ等を目視できず、センサによる障害物の検知結果を確認することができない。これにより、油圧ショベルの後進時には、後方と運転席の前側に配置されたランプ、モニタ等を交互に確認する必要があり、障害物の存在を想定して走行速度を抑える必要があり、作業性が低下するという問題がある。
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、後進時に後方の目視確認と同時にセンサによる障害物の存在を警告する警告灯を目視できるようにして、作業性を向上できるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自走可能な下部走行体と、前記下部走行体上に旋回可能に設けられた上部旋回体と、前記上部旋回体の前部に回動可能に設けられた作業装置と、を備え、前記上部旋回体には、オペレータが搭乗する搭乗スペースに配置され、座面を有する運転席と、前記上部旋回体の後方の障害物を検知するセンサと、前記センサにより前記障害物が検知されたことを報知する警告灯と、が設けられた建設機械において、前記警告灯は、前記運転席の側方位置、かつ前記運転席の前記座面の後端部よりも前側に配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、後進時に後方の目視確認と同時にセンサによる障害物の存在を警告する警告灯を目視することができ、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による油圧ショベルを示す左側面図である。
図2】油圧ショベルの右側面図である。
図3】油圧ショベルを示す平面図である。
図4】上部旋回体を右側に旋回させた状態の油圧ショベルを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る建設機械の代表例として、クローラ式の下部走行体を備えた油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図4に従って詳細に説明する。なお、以下の説明において、特に断らない限り、前後、左右、上下の方向は、油圧ショベルの運転席に着座したオペレータの視点を基準としている。
【0013】
図1において、油圧ショベル1は、前後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3と、上部旋回体3の前部に回動可能に設けられた作業装置4と、を備えている。
【0014】
下部走行体2は、トラックフレーム2Aの左右両側に駆動輪2Bと遊動輪2Cとを備え、駆動輪2Bと遊動輪2Cには、履帯2Dが巻回されている。また、トラックフレーム2Aの前側には、整地作業(排土作業)を行うための排土板5が設けられている。
【0015】
作業装置4は、後述する旋回フレーム6の前端に左右方向に揺動可能に取付けられたスイングポスト4Aと、スイングポスト4Aに回動可能に取付けられたブーム4Bと、ブーム4Bの先端に回動可能に取付けられたアームと、アームの先端に回動可能に取付けられたバケット(いずれも図示せず)と、これらを動作するブームシリンダ4C、アームシリンダ、バケットシリンダ(いずれも図示せず)と、を備えている。
【0016】
また、図3図4に示すように、後述の旋回フレーム6とスイングポスト4Aとの間には、スイングポスト4Aを左右方向に揺動するためのスイングシリンダ4Dが設けられている。
【0017】
上部旋回体3は、ベースとなる後述の旋回フレーム6を有し、この旋回フレーム6上に、運転席10、操作レバー装置11,12、右カバー15、センサ19、警告灯20を備えている。
【0018】
旋回フレーム6は、支持構造体として形成され、トラックフレーム2A上に旋回可能に取付けられている。旋回フレーム6の前部には、支持ブラケット6Aが前側に突出して設けられている。この支持ブラケット6Aには、作業装置4のスイングポスト4Aが左右方向に揺動可能に支持されている。旋回フレーム6の後部には、作業装置4との重量バランスをとるためのカウンタウエイト7が設けられている。
【0019】
また、旋回フレーム6上には、カウンタウエイト7の前側に位置してエンジン、油圧ポンプ、熱交換装置等(いずれも図示せず)が設けられている。なお、エンジン以外にも、電動モータ、或いはエンジンと電動モータとを組合せたハイブリッド式の原動機を用いることができる。さらに、旋回フレーム6の右側には、例えば、後側に位置して前述した熱交換装置、バッテリ等が設けられ、旋回フレーム6の前側には、燃料タンク等(いずれも図示せず)が設けられている。
【0020】
ここで、旋回フレーム6上は、カウンタウエイト7の前側で、左右方向の中間部から左側の範囲が搭乗スペース8となっている。この搭乗スペース8は、後述する右カバー15よりも左側に配置されている。
【0021】
フロア部材9は、搭乗スペース8に重なるように旋回フレーム6上に設けられている。フロア部材9は、前後方向の中間部から前側が平坦な足乗せ部9Aとなり、後側が足乗せ部9Aの後端から立ち上がったステップ状の運転席台座9Bとなっている。足乗せ部9Aは、後述の運転席10に着座したオペレータが足を置くものである。また、運転席台座9Bは、エンジン、油圧ポンプ等を覆うと共に、運転席10の取付台となっている。
【0022】
運転席10は、搭乗スペース8に乗り込んだオペレータが座るものである。運転席10は、運転席台座9B上に取付けられた座面10Aと、座面10Aの後部から上側に延びた背もたれ10Bと、により構成されている。座面10Aは、上下方向の厚さを持った長方形状のクッション部材として形成されている。座面10Aは、前後方向の中間部を左右方向に延びた直線と左右方向の中間部を前後方向に延びた直線との交点が中央点Cとなっている。また、座面10Aは、前側の前端部10A1と、後側で背もたれ10Bが取付けられる後端部10A2と、を有している(図1図3参照)。
【0023】
操作レバー装置としての左操作レバー装置11は、運転席10の左側の側方位置に設けられ、前部にオペレータによって傾転されるレバーグリップ11Aを有している。また、操作レバー装置としての右操作レバー装置12は、運転席10の右側の側方位置に設けられ、前部にオペレータによって傾転されるレバーグリップ12Aを有している。左操作レバー装置11と右操作レバー装置12は、搭乗スペース8の内側に設けられている。左操作レバー装置11のレバーグリップ11Aおよび右操作レバー装置12のレバーグリップ12Aを傾転させることにより、作業装置4等を操作することができる。ここで、レバーグリップ11A,12Aの前後方向の位置は、運転席10の座面10Aの前端部と同等ないし僅かに前側となっている。なお、操作レバー装置11,12は、運転席10に取付けたり、フロア部材9の運転席台座9Bに取付けたりすることができる。
【0024】
走行レバー・ペダル装置13は、フロア部材9の足乗せ部9Aの前部に設けられている。走行レバー・ペダル装置13は、手動操作または足踏み操作されることにより、下部走行体2を前進走行または後進走行させる。
【0025】
また、表示装置14は、搭乗スペース8内となる足乗せ部9Aの右前部に設けられている。表示装置14は、例えば、油圧ショベル1の運転状態、各種設定等の情報をオペレータに対して表示するモニタ、ランプ等によって構成されている。
【0026】
右カバー15は、搭乗スペース8の右側に位置して旋回フレーム6上に設けられている。右カバー15は、後部カバー部16と前部カバー部17とにより構成されている。後部カバー部16と前部カバー部17との境界位置は、運転席10の座面10Aの中央点Cと同等の前後位置となっている。
【0027】
後部カバー部16は、熱交換装置等を右側から覆う開閉可能な側面カバー16Aと、熱交換装置等の上側を覆う固定カバー16Bと、を備えている。側面カバー16Aは、円弧状に湾曲して形成されている。固定カバー16Bは、例えば、平坦な金属板からなり、熱交換装置を形成する枠体等の構造物を介して旋回フレーム6上に固定されている。これにより、固定カバー16Bは、強度および安定感を備えている。
【0028】
前部カバー部17は、燃料タンク等を右側から覆う側面カバー17Aと、燃料タンク等の上側を覆う開閉可能な開閉カバー17Bと、を備えている。開閉カバー17Bは、後部を支点として前側が上下方向に回動可能に設けられている。
【0029】
キャノピ18は、カウンタウエイト7の上面に取付けられ、運転席10を上側から覆っている。キャノピ18は、例えば左右方向に間隔をもってカウンタウエイト7の上面に立設された左支柱18Aおよび右支柱18Bと、左支柱18A、右支柱18Bの上端側に前側に延びて設けられたルーフ18Cと、を備えた2柱式のキャノピとして構成されている。なお、本実施形態では、油圧ショベル1に2柱式のキャノピ18を備えた場合を例示しているが、3柱式、4柱式のキャノピを備えた油圧ショベルに適用してもよい。また、キャノピ18に代えてキャブを備えた油圧ショベルに適用してもよい。
【0030】
センサ19は、運転席10の後側となるカウンタウエイト7の上側に位置して設けられている。センサ19は、例えば、レーザ光を利用して上部旋回体3の後方の障害物(図示せず)を検知するものである。センサ19は、運転席10に座ったオペレータが後を向いたときに、カウンタウエイト7等によって目視できない範囲、具体的には、カウンタウエイト7の後方から左右方向に広がる扇状の範囲を検知することができる。この場合、障害物とは、鉄骨、コンクリート片、岩石、人体等を含むものである。
【0031】
センサ19は、検知結果をコントローラ(図示せず)に出力する。これにより、コントローラは、センサ19の検知結果に基づいて後述の警告灯20を点灯させる。なお、センサを複数個設けて広範囲を検知する構成としてもよい。また、レーザ光を用いたセンサ以外を使用してもよい。
【0032】
次に、本実施形態の特徴部分となる警告灯20の構成および作用効果について詳細に説明する。
【0033】
警告灯20は、センサ19により障害物が検知されたことを発光によってオペレータに報知するものである。警告灯20は、上下方向に延びた円柱体からなり、下側のセンサ用発光部材20Aと上側の警告用発光部材20Bとを有している。センサ用発光部材20Aは、センサ19の動作状態(正常な検知状態)で点灯する緑色ランプ等によって形成されている。また、警告用発光部材20Bは、センサ19が周囲に障害物を検知したときに点灯する赤色ランプ等によって形成されている。なお、警告灯は、オペレータが障害物の存在を認識しうる光を発することができれば、上述した構成(形状、発光色等)に限るものではない。
【0034】
警告灯20の作動状態の一例を述べる。センサ19が周囲の障害物を検知している状態(作動状態)にあるときには、警告灯20は、緑色のセンサ用発光部材20Aを点灯する。一方、警告灯20は、センサ19が障害物を検知し、その信号がコントローラに出力されると、コントローラからの信号によって赤色の警告用発光部材20Bを点灯し、近くに障害物が存在していることをオペレータに警告する。
【0035】
次に、警告灯20の取付位置について詳述する。警告灯20は、強度と安定感を有する金属板からなる後部カバー部16の固定カバー16Bの上面に取付けられている。この警告灯20の取付位置は、図3に示すように、搭乗スペース8の外側で、運転席10の右側方位置、かつ運転席10の座面10Aの後端部10A2よりも前側に位置している。また、警告灯20は、操作レバー装置11,12のレバーグリップ11A,12Aよりも後側に配置されている。さらに、警告灯20は、図1に示すように、運転席10の座面10Aの高さよりも高い位置に配置されている。これにより、警告灯20は、前方を向いたオペレータの視界の右側に配置することができる。
【0036】
ここで、油圧ショベル1は、排土板5を用いた整地作業時に、運転席10に座ったオペレータが、地面と排土板5との位置関係を目視で確認する必要がある。しかし、図3に示す作業装置4と排土板5との位置関係では、作業装置4が邪魔になって排土板5の右側が見えない場合がある。そこで、整地作業を行う場合には、図4に示すように、下部走行体2に対して上部旋回体3を右側に回動(旋回)させて作業装置4を右側に移動させ、運転席10に着座したオペレータが排土板5の全体を目視確認しやすい車体姿勢にして作業が行われる。そして、図4に示す油圧ショベル1の整地作業の姿勢では、後進するときに後方を目視する場合、オペレータは、必然的に体を右側にひねって視線を後側に向けるようになる。
【0037】
この場合、運転席10の側方位置、運転席10の座面10Aの後端部10A2よりも前側位置、操作レバー装置11,12のレバーグリップ11A,12Aよりも後側位置、運転席10の座面10Aよりも上側位置に配置された警告灯20は、右回りで後方を向いているオペレータの視界に入れることができる。
【0038】
しかも、運転席10の座面10Aの後端部10A2よりも前側に配置された警告灯20は、後方を目視するオペレータの視界の邪魔になることもない。また、警告灯をキャノピ18の右支柱18Bやその近傍に配置することも考えられるが、後方を目視するオペレータの視界の妨げになる上に、正面で発光することになり、目障りとなって作業性を低下させる虞がある。
【0039】
本実施形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0040】
まず、油圧ショベル1の排土板5を用いた整地作業について説明する。オペレータは、フロア部材9上に搭乗し、運転席10に着座する。運転席10に着座したオペレータは、図4に示すように、上部旋回体3を右側(時計回り)に旋回させることで作業装置4を右側に避けて、排土板5の全体を目視できるようにする。これにより、オペレータは、地面に対する排土板5の位置を正しい作業位置に調整することができる。
【0041】
排土板5を作業位置に調整したら、オペレータは、走行レバー・ペダル装置13を操作し、下部走行体2を前進または後進させる。これにより、排土板5によって整地することができる。
【0042】
ここで、排土板5を用いた整地作業において、油圧ショベル1を後進させる場合には、オペレータは、体を右側にひねって視線を後側に向けることにより、後方の安全性を確認しながら走行する。この油圧ショベル1の後進時には、センサ19が後方を含む周囲の障害物を検知し、センサ19の検知結果を報知する警告灯20をオペレータの視界の左側(オペレータから見て左側)に見ることができる。これにより、オペレータは、後方の目視確認と同時に警告灯20を目視することができるから、カウンタウエイト7等によって目視できない範囲を必要以上に気にすることなく、油圧ショベル1をスムーズに走行させることができる。
【0043】
次に、油圧ショベル1の作業装置4を用いた土砂等の掘削作業について説明する。運転席10に着座したオペレータは、左操作レバー装置11のレバーグリップ11A、右操作レバー装置12のレバーグリップ12Aを傾転させることにより、上部旋回体3を旋回動作させつつ、作業装置4を回動して土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0044】
この作業装置4を用いた土砂等の掘削作業時においても、前方を向いたオペレータの視界の右側に警告灯20を見ることができる。これにより、オペレータは、後方を必要以上に気にすることなく、スムーズに掘削作業を行うことができる。
【0045】
かくして、実施形態によれば、センサ19による障害物の検知結果をオペレータに伝える警告灯20は、運転席10の右側方位置、かつ運転席10の座面10Aの後端部10A2よりも前側に配置されている。また、警告灯20は、操作レバー装置11,12のレバーグリップ11A,12Aよりも後側に配置されている。さらに、警告灯20は、運転席10の座面10Aの高さよりも高い位置に配置されている。
【0046】
これにより、前方を向いたオペレータの視界の右側に警告灯20を配置することができる。しかも、排土板5を用いた整地作業において、下部走行体2に対して上部旋回体3を右側に回動(旋回)させ、オペレータが体を右側にひねって視線を後側に向けた状態では、オペレータの視界の左側に警告灯20を配置することができる。この結果、オペレータは、前方の目視確認と同時に警告灯20を目視することができると共に、後方の目視確認と同時に警告灯20を目視することができるから、後方を必要以上に気にすることなく、油圧ショベル1をスムーズに動作させることができ、作業性を向上することができる。
【0047】
また、警告灯20は、センサ19の動作状態で点灯するセンサ用発光部材20Aと、センサ19が周囲に障害物を検知したときに点灯する警告用発光部材20Bと、を備えている。これにより、センサ19が正常に機能しているか否か、周囲に障害物が存在するか否かを確認することができる。
【0048】
さらに、搭乗スペース8の側方位置(右側位置)には、上部旋回体3の前側に位置する前部カバー部17の開閉カバー17Bと、開閉カバー17Bの後側に位置する後部カバー部16の固定カバー16Bと、が設けられている。この上で、警告灯20は、固定カバー16Bの上面に取付けられている。これにより、警告灯20は、固定カバー16B上に安定した状態で設けることができる。
【0049】
なお、実施形態では、履帯2Dを備えたクローラ式の油圧ショベル1に適用した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の油圧ショベルにも適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 作業装置
8 搭乗スペース
10 運転席
10A 座面
10A2 後端部
11 左操作レバー装置(操作レバー装置)
11A,12A レバーグリップ
12 右操作レバー装置(操作レバー装置)
16 後部カバー部
16B 固定カバー
17 前部カバー部
17B 開閉カバー
19 センサ
20 警告灯
20A センサ用発光部材
20B 警告用発光部材
図1
図2
図3
図4