(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172818
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】電力補償装置およびそれを備えた交流き電システム
(51)【国際特許分類】
B60M 3/00 20060101AFI20221110BHJP
H02J 3/26 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
B60M3/00 A
H02J3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079065
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷内田 貴行
(72)【発明者】
【氏名】森島 直樹
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066GA01
5G066GC01
(57)【要約】
【課題】架線の切換セクションを無くし、かつ隣接する変電所間に過電流が流れることを防止できる電力補償装置を提供する。
【解決手段】変電所1内の電力補償装置は、スコット結線変圧器2から供給される交流電圧Vuを受ける交流端子T1と、交流電気車31に交流電力を供給するための架線11に接続される交流端子T2と、直流電圧VDCを出力するAC/DC変換器6と、直流電圧VDCを交流電圧V1に変換して交流端子T1,T2間に出力するDC/AC変換器7および変圧器4とを備える。DC/AC変換器8は、交流端子T2に現れる交流電圧V2=Vu+V1が参照交流電圧V2rになるように交流出力電圧を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相/二相変圧器から供給される二相交流電圧のうちの一方の交流電圧を受ける第1の交流端子と、
交流電気車に交流電力を供給するための架線に接続される第2の交流端子と、
第1の直流電圧を出力する直流電源と、
前記第1の直流電圧を第1の交流電圧に変換して前記第1および第2の交流端子間に出力する第1の電力変換器とを備え、
前記第1の電力変換器は、前記第2の交流端子に現れる第2の交流電圧が参照交流電圧になるように前記第1の交流電圧を生成する、電力補償装置。
【請求項2】
前記第1の電力変換器は、
前記第1の直流電圧を第3の交流電圧に変換するDC/AC変換器と、
前記第3の交流電圧を受ける1次巻線と、前記第1および第2の交流端子間に接続された2次巻線とを有する変圧器とを含み、
前記DC/AC変換器は、前記第2の交流電圧が前記参照交流電圧になるように前記第3の交流電圧を生成する、請求項1に記載の電力補償装置。
【請求項3】
前記直流電源は、前記三相/二相変圧器から供給される二相交流電圧のうちの他方の交流電圧を前記第1の直流電圧に変換する第2の電力変換器を含む、請求項1または請求項2に記載の電力補償装置。
【請求項4】
前記第1の電力変換器は、前記電力補償装置から前記架線に供給される有効電力の2分の1の有効電力を出力する、請求項3に記載の電力補償装置。
【請求項5】
前記第2の電力変換器から供給される直流電力を交流電力に変換して前記第2の交流端子に出力する第3の電力変換器をさらに備え、
前記第1および第3の電力変換器は、前記電力補償装置から前記架線に供給される有効電力の2分の1の有効電力を出力する、請求項3に記載の電力補償装置。
【請求項6】
前記三相/二相変圧器から供給される二相交流電圧のうちの他方の交流電圧を第2の直流電圧に変換する第2の電力変換器と、
前記第2の電力変換器から供給される直流電力を交流電力に変換して前記第2の交流端子に出力する第3の電力変換器とをさらに備え、
前記第1および第3の電力変換器は、前記電力補償装置から前記架線に供給される有効電力の2分の1の有効電力を出力する、請求項1または請求項2に記載の電力補償装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電力補償装置と、
商用交流電源から供給される三相交流電圧を前記二相交流電圧に変換して前記電力補償装置に供給する前記三相/二相変圧器と、
前記電力補償装置の前記第2の交流端子に接続された前記架線とを備える、交流き電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力補償装置およびそれを備えた交流き電システムに関し、特に、交流電気車に交流電力を供給するための架線に接続される電力補償装置およびそれを備えた交流き電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特許文献1(特開2000-71820号公報)には、交流電気車に交流電力を供給するための架線を備えた交流き電システムが開示されている。架線は、複数の切換セクションによって複数の副架線に分割されている。複数の切換セクションには、変電所と、き電区分所とが交互に配置されている。
【0003】
各変電所は、電力系統の送電線から受けた三相交流電圧を二相交流電圧に変換する三相/二相変圧器と、交流電気車が走行している位置に従って、三相/二相変圧器から供給される二相交流電圧のうちのいずれか一方の交流電圧を対応する切換セクションに供給するセクション切換器とを含む。き電区分所は、交流電気車が走行している位置に従って、対応する2つの副架線のうちのいずれか一方の副架線を対応する切換セクションに接続するセクション切換器を含む。
【0004】
また、たとえば特許文献2(特開2004-314702号公報)には、変電所と架線を備えた交流き電システムが開示されている。変電所は、スコット結線変圧器および電力補償装置を含む。スコット結線変圧器は、送電線から受けた三相交流電圧を二相交流電圧に変換する。二相交流電圧のうちの一方の交流電圧は、そのまま架線に供給される。電力補償装置は、二相交流電圧のうちの他方の交流電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧を交流電圧に変換して架線に供給する。この交流き電システムでは、スコット結線変圧器および電力補償装置によって生成した単相交流電圧を架線に直接供給するので、変電所に対応する切換セクションを無くすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-71820号公報
【特許文献2】特開2004-314702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電力系統の送電線から各変電所が受ける三相交流電圧の位相、振幅は系統インピーダンス、負荷の接続状況などに応じて変動するので、複数の変電所が受ける三相交流電圧間には位相、振幅のずれが発生する。このため、特許文献2の交流き電システムでは、複数の変電所の交流出力電圧間に位相、振幅のずれが発生し、架線から全ての切換セクションを無くすと、隣接する変電所間に過電流が流れるという問題がある。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、架線の切換セクションを無くし、かつ隣接する変電所間に過電流が流れることを防止することが可能な電力補償装置およびそれを備える交流き電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る電力補償装置は、三相/二相変圧器から供給される二相交流電圧のうちの一方の交流電圧を受ける第1の交流端子と、交流電気車に交流電力を供給するための架線に接続される第2の交流端子と、第1の直流電圧を出力する直流電源と、第1の直流電圧を第1の交流電圧に変換して第1および第2の交流端子間に出力する第1の電力変換器とを備えたものである。第1の電力変換器は、第2の交流端子に現れる第2の交流電圧が参照交流電圧になるように第1の交流電圧を生成する。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る電力補償装置では、三相/二相変圧器からの交流電圧を受ける第1の交流端子と、架線に接続される第2の交流端子と、第1の直流電圧を出力する直流電源と、第1の直流電圧を第1の交流電圧に変換して第1および第2の交流端子間に出力する第1の電力変換器とが設けられ、第1の電力変換器は、第2の交流端子に現れる第2の交流電圧が参照交流電圧になるように第1の交流電圧を生成する。したがって、複数の変電所の交流出力電圧の位相および振幅が一致するので、架線の切換セクションを無くし、かつ隣接する変電所間に過電流が流れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1による交流き電システムの構成を示す回路ブロック図である。
【
図2】実施の形態2による交流き電システムの要部を示す回路ブロック図である。
【
図3】実施の形態3による交流き電システムの要部を示す回路ブロック図である。
【
図4】実施の形態4による交流き電システムの要部を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1による交流き電システムの構成を示す回路ブロック図である。
図1において、この交流き電システムは、複数(図では2つ)の変電所1と、交流電気車31に単相交流電力を供給するための架線11とを備える。
【0012】
複数の変電所1は、架線11に沿って、所定間隔で設けられている。各変電所1は、商用交流電源32から供給される三相交流電力を単相交流電力に変換して架線11に供給する。商用交流電源32は、電力系統の送電線である。交流電気車31は、架線11からパンタグラフを介して供給される単相交流電力によって駆動され、線路上を走行する。
【0013】
変電所1は、スコット結線変圧器2、交流端子T1,T2、電流検出器CD1,CD2、変圧器3~5、AC/DC変換器6、DC/AC変換器7,8、および制御装置9を備える。変電所1のうちのスコット結線変圧器2以外の部分は、電力補償装置の一実施例を構成する。
【0014】
スコット結線変圧器2は、M座変圧器2aおよびT座変圧器2bを含む。変圧器2a,2bは、商用交流電源32から供給される三相交流電圧をそれぞれ二相交流電圧Vu,Vvに変換する。交流電圧Vuの位相は、交流電圧Vvの位相よりも90度進んでいる。スコット結線変圧器2は、三相/二相変圧器の一実施例を構成する。スコット結線変圧器2の代わりに変形ウッドブリッジ結線変圧器を用いても構わない。
【0015】
交流端子T1(第1の交流端子)は、M座変圧器2aから交流電圧Vuを受ける。電流検出器CD1は、M座変圧器2aと交流端子T1との間に流れる交流電流Iuの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号を制御装置9に与える。制御装置9は、交流電圧Vuの瞬時値を検出し、その検出値と交流電流Iuの検出値とに基づいて、M座変圧器2aから出力される有効電力Puを求める。
【0016】
交流端子T2(第2の交流端子)は、架線11に接続される。変圧器3は、T座変圧器2bから交流電圧Vvを受ける一次巻線3aと、AC/DC変換器6に接続された二次巻線3bとを有し、T座変圧器2bとAC/DC変換器6との間で交流電力を授受する。
【0017】
AC/DC変換器6は、制御装置9によって制御され、T座変圧器2bから変圧器3を介して供給される交流電圧を直流電圧VDCに変換する。制御装置9は、直流電圧VDCを検出し、その検出値が参照直流電圧VDCrになるようにAC/DC変換器6を制御する。変圧器3およびAC/DC変換器6は、直流電源(または第2の電力変換器)の一実施例を構成する。
【0018】
DC/AC変換器7は、制御装置9によって制御され、AC/DC変換器6によって生成された直流電圧VDCを交流電圧に変換する。変圧器4は、DC/AC変換器7の交流出力電圧を受ける1次巻線4aと、交流端子T1,T2間に接続された2次巻線4bとを含み、DC/AC変換器7と交流端子T1,T2との間で交流電力を授受する。
【0019】
M座変圧器2aから供給される交流電圧Vuと、交流端子T1,T2間の交流電圧V1(第1の交流電圧)との和が交流端子T2に現れる交流電圧V2=Vu+V1となる。制御装置9は、交流電圧V2(第2の交流電圧)の瞬時値を検出し、その検出値が参照交流電圧V2rになるようにDC/AC変換器7を制御する。参照交流電圧V2rは、所定の位相、所定の振幅、商用周波数を有し、正弦波状に変化する交流電圧である。DC/AC変換器7および変圧器4は、第1の電力変換器の一実施例を構成する。
【0020】
DC/AC変換器8は、制御装置9によって制御され、AC/DC変換器6から供給される直流電力を交流電力に変換する。変圧器5は、DC/AC変換器8の交流出力電圧を受ける1次巻線5aと、交流端子T2に接続された2次巻線5bとを含み、DC/AC変換器8と交流端子T2との間で交流電力を授受する。電流検出器CD2は、交流端子T2と架線11との間に流れる交流電流I2の瞬時値を検出し、その検出値を示す信号を制御装置9に出力する。
【0021】
制御装置9は、交流電圧V2の検出値と交流電流I2の検出値とに基づいて、対応する変電所1から架線11に供給される有効電力Pを求め、その有効電力Pが上記有効電力Puの2倍になるように、DC/AC変換器7,8およびAC/DC変換器6の各々を制御する。このとき、有効電力Pの2分の1の有効電力Pu=P/2がM座変圧器2aから供給され、残りの有効電力P/2がT座変圧器2bから供給される。また、制御装置9は、架線11で発生する無効電力および高調波電流を補償するようにDC/AC変換器7,8を制御する。
【0022】
以上のように、この実施の形態1では、各変電所1の交流出力電圧V2が参照交流電圧V2rになるようにAC/DC変換器7を制御するので、複数の変電所1の交流出力電圧V2の位相および振幅を一致させることができる。したがって、架線11から切換セクションを無くし、かつ隣接する変電所1間に過電流が流れることを防止することができる。
【0023】
また、変電所1から架線11に供給される有効電力Pを求め、その有効電力Pが上記有効電力Puの2倍になるように、DC/AC変換器7,8およびAC/DC変換器6の各々を制御する。このとき、有効電力Pの2分の1の有効電力Pu=P/2がM座変圧器2aから供給され、残りの有効電力P/2がT座変圧器2bから供給される。したがって、商用交流電源32の三相交流電力に不均衡が発生することを防止することができる。
【0024】
また、交流電気車31で発生する無効電力および高調波電流をDC/AC変換器7,8によって補償することができる。
【0025】
なお、T座変圧器2bの交流出力電圧Vvを交流端子T1に与え、M座変圧器2aの交流出力電圧Vuを変圧器3の1次巻線3aに与えてもよい。ただし、この場合は、T座変圧器2bから供給される交流電圧Vvと、交流端子T1,T2間の交流電圧V1との和が交流端子T2に現れる交流電圧V2=Vu+V1となる。制御装置9は、交流電圧V2が参照交流電圧V2rになるように、DC/AC変換器7を制御する。
【0026】
[実施の形態2]
図2は、実施の形態2による交流き電システムの要部を示す回路ブロック図であって、
図1と対比される図である。
図2を参照して、この交流き電システムが
図1の交流き電システムと異なる点は、変電所1が変電所15で置換されている点である。変電所15は、変電所1に変圧器16およびAC/DC変換器17を追加し、制御装置9を制御装置9Aで置換したものである。
【0027】
変圧器16は、T座変圧器2bからの交流電圧Vvを受ける一次巻線16aと、AC/DC変換器17に接続された二次巻線16bとを有し、T座変圧器2bとAC/DC変換器17との間で交流電力を授受する。
【0028】
AC/DC変換器17は、制御装置9Aによって制御され、T座変圧器2bから変圧器16を介して供給される交流電圧を直流電圧VDC1に変換する。制御装置9Aは、直流電圧VDC1を検出し、その検出値が参照直流電圧VDCrになるようにAC/DC変換器17を制御する。変圧器16およびAC/DC変換器17は、直流電源の一実施例を構成する。DC/AC変換器7は、AC/DC変換器17から供給される直流電圧VDC1を交流電圧に変換して変圧器4の1次巻線4aに与える。
【0029】
他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。この実施の形態2でも、実施の形態1と同じ効果が得られる。
【0030】
また、この実施の形態2では、DC/AC変換器7用の直流電圧VDC1と、DC/AC変換器8用の直流電圧VDCとが別々に生成される。したがって、直流電圧VDC1,VDCのうちのいずれか一方の直流電圧にリプル成分が発生した場合に、そのリプル成分が他方の直流電圧に伝搬したり、そのリプル成分によって共振現象が発生することを防止することができ、交流出力電圧V2の安定化を図ることができる。
【0031】
[実施の形態3]
図3は、実施の形態3による交流き電システムの要部を示す回路ブロック図であって、
図1と対比される図である。
図3を参照して、この交流き電システムが
図1の交流き電システムと異なる点は、変電所1が変電所20で置換されている点である。変電所20は、変電所1に直流電源21を追加したものである。
【0032】
直流電源21は、DC/AC変換器7に直流電圧VDC1を供給する。直流電源16は、たとえばバッテリ、コンデンサ等である。DC/AC変換器7は、直流電源21から供給される直流電圧VDC1を交流電圧に変換して変圧器4の1次巻線4aに与える。DC/AC変換器7は、主に無効電力を供給するので、直流電源21の容量は小さい。AC/DC変換器6は、T座変圧器2bから変圧器3を介して供給される交流電圧を直流電圧VDCに変換してDC/AC変換器8に供給する。
【0033】
他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。この実施の形態3でも、実施の形態1と同じ効果が得られる。
【0034】
また、この実施の形態3では、DC/AC変換器7用の直流電圧VDC1と、DC/AC変換器8用の直流電圧VDCとが別々に生成される。したがって、直流電圧VDC1,VDCのうちのいずれか一方の直流電圧が変動した場合に、他方の直流電圧が変動することを防止することができ、交流出力電圧V2の安定化を図ることができる。
【0035】
また、変圧器16およびDC/AC変換器17を使用して直流電圧VDC1を生成する実施の形態2と比べ、装置構成の簡単化、低コスト化を図ることができる。
【0036】
[実施の形態4]
図4は、実施の形態4による交流き電システムの要部を示す回路ブロック図であって、
図1と対比される図である。
図4を参照して、この交流き電システムが
図1の交流き電システムと異なる点は、変電所1が変電所25で置換されている点である。
【0037】
変電所25は、変電所1からDC/AC変換器8および変圧器5を除去し、制御装置9を制御装置9Bで置換したものである。換言すると、変電所25のDC/AC変換器7および変圧器4は、変電所1のDC/AC変換器7,8および変圧器4,5の役割を果たす。
【0038】
制御装置9Bは、直流電圧VDCが参照直流電圧VDCrになるようにAC/DC変換器6を制御する。また、制御装置9Bは、交流電圧V2が参照交流電圧V2rになるように、DC/AC変換器7を制御する。
【0039】
また、制御装置9Bは、交流電圧V2の検出値と交流電流I2の検出値とに基づいて、対応する変電所25から架線11に供給される有効電力Pを求め、その有効電力PがM座変圧器2aの上記有効出力電力Puの2倍になるように、DC/AC変換器7およびAC/DC変換器6の各々を制御する。このとき、有効電力Pの2分の1の有効電力Pu=P/2がM座変圧器2aから供給され、残りの有効電力P/2がT座変圧器2bから供給される。また、制御装置9Bは、架線11で発生する無効電力および高調波電流を補償するようにDC/AC変換器7を制御する。
【0040】
他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。この実施の形態4でも、実施の形態1と同じ効果が得られる。
【0041】
また、この実施の形態4では、DC/AC変換器8および変圧器5を除去したので、装置の低コスト化、構成の簡単化を図ることができる。
【0042】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
1,15,20,25 変電所、2 スコット結線変圧器、2a M座変圧器、2b T座変圧器、T1,T2 交流端子、CD1,CD2 電流検出器、3~5,16 変圧器、3a~5a,16a 1次巻線、3b~5b,16b 2次巻線、6,17 AC/DC変換器、7,8 DC/AC変換器、9,9A,9B 制御装置、11 架線、21 直流電源、31 交流電気車、32 商用交流電源。