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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172824
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】基地局及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/18 20180101AFI20221110BHJP
【FI】
H04W76/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079076
(22)【出願日】2021-05-07
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】前本 大輝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀明
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE24
5K067FF18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】CPACにおけるセカンダリセルグループのプライマリセルの追加又は変更を失敗したことを把握できる基地局及び通信制御方法を提供する。
【解決手段】基地局200は、マスターセルグループを管理するマスターノードとセカンダリセルグループを管理するセカンダリノードとから提供される無線リソースをユーザ装置が利用できる二重接続方式において、マスターノードとして動作し、無線品質に関する条件が満たされた場合にセカンダリセルグループのプライマリセルを追加又は変更するためのCPAC設定情報をユーザ装置へ送信する無線通信部212と、プライマリセルの追加又は変更の失敗に関するCPAC失敗情報をユーザ装置から取得し、失敗情報を生成する制御部214と、失敗情報を1又は複数の他の基地局へ送信するネットワーク通信部213と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターセルグループを管理するマスターノードとセカンダリセルグループを管理するセカンダリノードとから提供される無線リソースをユーザ装置(100)が利用できる二重接続方式において前記マスターノードとして動作する基地局(200、201)であって、
無線品質に関する条件が満たされた場合に前記セカンダリセルグループのプライマリセルを追加又は変更するためのCPAC設定情報を前記ユーザ装置(100)へ送信する無線通信部(212)と、
前記CPAC設定情報に基づく前記プライマリセルの追加又は変更の失敗に関するCPAC失敗情報を前記ユーザ装置(100)から取得し、前記CPAC失敗情報に基づく失敗情報を生成する制御部(214)と、
前記失敗情報を1又は複数の他の基地局(200、202、203)へ送信するネットワーク通信部(213)と、を備える基地局。
【請求項2】
前記1又は複数の他の基地局(200、202、203)は、前記セカンダリノードとして動作している基地局(200、202)を含む
請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記ネットワーク通信部(213)は、前記CPAC設定情報に含める前記プライマリセルになりうる候補プライマリセルの設定に関する情報を前記1又は複数の他の基地局(200、202、203)から受信し、
前記1又は複数の他の基地局(200、202、203)は、前記セカンダリノードになる可能性がある候補セカンダリノードとして動作する基地局(200、202、203)を含む
請求項1又は2に記載の基地局。
【請求項4】
前記制御部(214)は、前記CPAC失敗情報に基づいて、前記複数の他の基地局(200、202、203)のそれぞれに個別の失敗情報を生成し、
前記ネットワーク通信部(213)は、前記複数の他の基地局(200、202、203)のそれぞれに、前記個別の失敗情報を送信する
請求項1から3のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項5】
前記CPAC設定情報は、前記セカンダリセルグループの前記プライマリセルになり得る1又は複数の候補プライマリセルの識別子を含み、
前記制御部(214)は、前記候補プライマリセル毎の個別の失敗情報を生成し、
前記ネットワーク通信部(213)は、前記候補プライマリセルを管理する前記1又は複数の他の基地局(200、202、203)のそれぞれに、当該他の基地局(200、202、203)が管理する前記候補プライマリセルに対応する前記個別の失敗情報を送信する
請求項1から4のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項6】
前記失敗情報は、前記プライマリセルの追加又は変更が失敗した原因を示す情報を含む
請求項1から5のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項7】
前記失敗情報は、前記セカンダリセルグループの前記プライマリセルになり得る候補プライマリセル以外のセルで前記ユーザ装置(100)が検出した検出セルの識別情報と、前記ユーザ装置(100)が前記検出セルに対して行った測定の結果と、を含む
請求項1から6のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項8】
マスターセルグループを管理するマスターノードとセカンダリセルグループを管理するセカンダリノードとから提供される無線リソースをユーザ装置(100)が利用できる二重接続方式において前記マスターノードとして動作する基地局(200、201)で実行される通信制御方法であって、
無線品質に関する条件が満たされた場合に前記セカンダリセルグループのプライマリセルを追加又は変更するためのCPAC設定情報を前記ユーザ装置(100)へ送信するステップと、
前記CPAC設定情報に基づく前記プライマリセルの追加又は変更の失敗に関するCPAC失敗情報を前記ユーザ装置(100)から取得し、前記CPAC失敗情報に基づく失敗情報を生成するステップと、
前記失敗情報を1又は複数の他の基地局(200、202、203)へ送信するステップと、を有する
通信制御方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムで用いる基地局及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代(5G)の移動通信システム(5Gシステム)では、マスターセルグループを管理するマスターノードとセカンダリセルグループを管理するセカンダリノードとから提供される無線リソースをユーザ装置が利用できる二重接続方式(いわゆる、Dual Connectivity)において、ユーザ装置において無線品質に関する条件が満たされた場合に、マスターノードが関与せずに、ユーザ装置がセカンダリノードにおいてセカンダリセルグループのプライマリセルを変更する動作(いわゆる、intra-SN CPC(Conditional PSCell Change))が規定されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
近年、移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPPでは、二重接続方式において、ユーザ装置において無線品質に関する条件が満たされた場合に、ユーザ装置へ無線リソースを既に提供しているセカンダリノードのプライマリセルから別のセカンダリノードのプライマリセルへ変更する動作(いわゆる、inter-SN CPC)を5Gシステムで導入することが検討されている(例えば、非特許文献2参照)。また、ユーザ装置において無線品質に関する条件が満たされた場合に、セカンダリセルグループのプライマリセルを追加する動作(いわゆる、CPA(Conditional PSCell Addition))を5Gシステムで導入することが検討されている(例えば、非特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP技術仕様書:TS37.340 V16.5.0
【非特許文献2】3GPP寄書:R2-2100848
【非特許文献3】3GPP寄書:R2-2100847
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなユーザ装置において無線品質に関する条件が満たされた場合にセカンダリセルグループのプライマリセルの追加又は変更(以下、CPAC)が行わるケースでは、ユーザ装置へのセカンダリセルグループのプライマリセルの設定は、セカンダリノード又はセカンダリノードとして動作する可能性がある候補セカンダリノードとして動作する基地局が生成することが想定されている。
【0006】
ここで、ユーザ装置が、CPACにおいて、プライマリセルの追加又は変更を失敗することがある。セカンダリノード又は候補セカンダリノードとして動作する基地局がプライマリセルの追加又は変更の失敗を把握できない場合、常に同じ設定を生成してしまって、プライマリセルの追加又は変更の失敗が多発する恐れがある。
【0007】
そこで、本発明は、セカンダリノード又は候補セカンダリノードとして動作する基地局がCPACにおけるセカンダリセルグループのプライマリセルの追加又は変更の失敗を把握できる基地局及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る基地局は、マスターセルグループを管理するマスターノードとセカンダリセルグループを管理するセカンダリノードとから提供される無線リソースをユーザ装置が利用できる二重接続方式において前記マスターノードとして動作する基地局である。前記基地局は、無線品質に関する条件が満たされた場合に前記セカンダリセルグループのプライマリセルを追加又は変更するためのCPAC設定情報を前記ユーザ装置へ送信する無線通信部と、前記CPAC設定情報に基づく前記プライマリセルの追加又は変更の失敗に関するCPAC失敗情報を前記ユーザ装置から取得し、前記CPAC失敗情報に基づく失敗情報を生成する制御部と、前記失敗情報を1又は複数の他の基地局へ送信するネットワーク通信部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る通信制御方法は、マスターセルグループを管理するマスターノードとセカンダリセルグループを管理するセカンダリノードとから提供される無線リソースをユーザ装置が利用できる二重接続方式において前記マスターノードとして動作する基地局で実行される通信制御方法である。前記通信制御方法は、無線品質に関する条件が満たされた場合に前記セカンダリセルグループのプライマリセルを追加又は変更するためのCPAC設定情報を前記ユーザ装置へ送信するステップと、前記CPAC設定情報に基づく前記プライマリセルの追加又は変更の失敗に関するCPAC失敗情報を前記ユーザ装置から取得し、前記CPAC失敗情報に基づく失敗情報を生成するステップと、前記失敗情報を1又は複数の他の基地局へ送信するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、セカンダリノード又は候補セカンダリノードとして動作する基地局がCPACにおけるセカンダリセルグループのプライマリセルの追加又は変更の失敗を把握できる基地局及び通信制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態に係るシステムの概略的な構成の一例を示す説明図である。
図2】本開示の実施形態に係るシステムのプロトコルスタックの構成例を示す図である。
図3】本開示の実施形態に係るUEの構成例を示す図である。
図4】本開示の実施形態に係るBSの構成例を示す図である。
図5】本開示の実施形態の移動通信システムの動作例1を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係るメッセージに含まれる情報の一例を示す図である。
図7】本開示の実施形態の移動通信システムの動作例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一又は類似の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0013】
(1)システムの構成
(1.1)システム概要
図1を参照して、本開示の実施形態に係るシステム1の構成の例を説明する。システム1は、例えば、移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPPの技術仕様(Technical Specification:TS)に準拠した移動通信システムである。以下において、システム1として、3GPP規格の第5世代システム(5th Generation System:5GS)、すなわち、NR(New Radio)に基づく移動通信システムを例に挙げて説明する。なお、システム1は、この例に限定されない。システム1は、LTE(Long Term Evolution)又は3GPP規格の他の世代システム(例えば、第6世代)のいずれかのTSに準拠したシステムであってよい。システム1は、3GPP規格以外の規格のTSに準拠したシステムであってよい。
【0014】
図1に示すように、システム1は、5Gの無線アクセスネットワーク(いわゆる、Next Generation Radio Access Network:NG-RAN)20と、5Gのコアネットワーク(5G Core Network:5GC)30と、ユーザ装置(User Equipment:UE)100と、を含む。
【0015】
NG-RAN20は、無線アクセスネットワークのノードである基地局(Base Station:BS)200を含む。BS200は、UE100との無線通信を行う無線通信装置である。BS200は、1又は複数のセルを管理する。BS200は、自セルとの無線リソース制御(RRC)レイヤにおける接続を確立したUE100との無線通信を行う。基地局200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。図1において、BS201がセルC1を管理し、BS202がセルC2を管理する一例を示している。UE100は、セルC1及びセルC2の重複領域に位置している。
【0016】
BS200は、例えば、RANのプロトコルスタックを使用してUE100と通信する。プロトコルスタックは、例えば、RRC(Radio Resource Control)レイヤ、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤ、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、MAC(Medium Access Control)レイヤ及び物理(Physical:PHY)レイヤを含む。但し、LTEの場合、SDAPレイヤが存在しなくてよい。
【0017】
BS200は、例えば、UE100へ向けたNRユーザプレーン及び制御プレーンプロトコル終端を提供し、NGインターフェイスを介して5GC30に接続されるgNBである。なお、BS200は、例えばLTEにおいてUE100へ向けたE-UTRAユーザプレーン及び制御プレーンプロトコル終端を提供するeNBであってよい。
【0018】
BS200は、複数のユニットを含んでもよい。複数のユニットは、プロトコルスタックに含まれる上位レイヤ(higher layer)をホストする第1のユニットと、プロトコルスタックに含まれる下位レイヤ(lower layer)をホストする第2のユニットとを含んでよい。上位レイヤは、RRCレイヤ、SDAPレイヤ及びPDCPレイヤを含んでよく、下位レイヤは、RLCレイヤ、MACレイヤ及びPHYレイヤを含んでよい。第1のユニットは、CU(central unit)であってよく、第2のユニットは、DU(Distributed Unit)であってよい。複数のユニットは、PHYレイヤの下位の処理を行う第3のユニットを含んでよい。第2のユニットは、PHYレイヤの上位の処理を行ってよい。第3のユニットは、RU(Radio Unit)であってよい。BS200は、複数のユニットのうちの1つであってよく、複数のユニットのうちの他のユニットと接続されていてよい。また、BS200は、IAB(Integrated Access and Backhaul)ドナー又はIABノードであってよい。
【0019】
5GC30は、コアネットワーク装置300を含む。コアネットワーク装置300は、制御プレーンに対応した装置であって、UE100に対する各種モビリティ管理を行う装置であってよい。コアネットワーク装置300は、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信し、UE100が在圏するトラッキングエリアの情報を管理する。コアネットワーク装置300は、UE100に対して着信を通知するために、基地局200を通じてページングを行う。コアネットワーク装置300は、5G/NRのAMF(Access and Mobility Management Function)、又は4G/LTEのMME(Mobility Management Entity)であってもよい。
【0020】
コアネットワーク装置300は、ユーザプレーンに対応した装置であって、UE100のデータの転送制御を行う装置である。コアネットワーク装置300は、5G/NRのUPF(User Plane Function)、又は4G/LTEのS-GW(Serving Gateway)であってもよい。
【0021】
コアネットワーク装置300は、例えば、AMF及び/又はUPFを含んでよい。コアネットワーク装置300は、NGインターフェイスを介してBS200と接続される。
【0022】
UE100は、BS200のカバレッジエリア内に位置する場合に、BS200と通信できる。UE100は、上述のプロトコルスタックを使用してBS200と通信できる。
【0023】
UE100は、ユーザにより利用される装置であればよい。UE100は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話端末、タブレット端末、ノートPC、通信モジュール、又は通信カードなどの移動可能な無線通信装置である。また、UE100は、車両(例えば、車、電車など)又は車両に設けられる装置であってよい。UE100は、車両以外の輸送機体(例えば、船、飛行機など)又は車両以外の輸送機体に設けられる装置であってよい。また、UE100は、センサ又はセンサに設けられる装置であってよい。なお、UE100は、移動局、移動端末、移動装置、移動ユニット、加入者局、加入者端末、加入者装置、加入者ユニット、ワイヤレス局、ワイヤレス端末、ワイヤレス装置、ワイヤレスユニット、リモート局、リモート端末、リモート装置、又はリモートユニット等の別の名称で呼ばれてもよい。
【0024】
(1.2)プロトコルスタックの構成例
図2を参照して、システム1のプロトコルスタックの構成例について説明する。図2に示すように、UE100と基地局200との間の無線区間のプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、RRC(Radio Resource Control)レイヤとを有する。
【0025】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤと基地局200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0026】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤと基地局200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。基地局200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースを決定する。
【0027】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤと基地局200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0028】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0029】
PDCPレイヤの上位レイヤとしてSDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤが設けられていてもよい。SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。
【0030】
RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCレイヤと基地局200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。UE100のRRCと基地局200のRRCとの間にRRC接続がある(すなわち、RRC接続が確立されている)場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCと基地局200のRRCとの間にRRC接続がない(すなわち、RRC接続が確立されていない)場合、UE100はRRCアイドル状態にある。UE100のRRCと基地局200のRRCとの間のRRC接続がサスペンドされている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0031】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、UE100のセッション管理及びモビリティ管理を行う。UE100のNASレイヤとコアネットワーク装置300のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。
【0032】
なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0033】
(1.3)二重接続方式
二重接続方式(いわゆる、Dual Connectivity)では、RRCコネクティッド状態にあるUE100が2つの異なるBS200に位置する基地局200により提供される無線リソースを利用するように構成される。これらの基地局200は、非理想的なバックホールを介して接続されており、当該無線リソースをUE100に割り当てるための互いに異なるスケジューラを有する。一方の基地局200は、マスターセルグループ(以下、MCG)を管理するマスターノードとして動作し、他方の基地局200は、セカンダリセルグループ(以下、SCG)を管理するセカンダリノードとして動作する。従って、UE100は、マスターノードとセカンダリノードとから提供される無線リソースを利用できる。
【0034】
マスターノードは、コアネットワーク30への制御プレーン接続を提供する無線アクセスノードである。マスターノードは、マスターeNB、マスターng-eNB、又はマスターgNBと称されてよい。セカンダリノードは、コアネットワーク30への制御プレーン接続がなく、UE100へ追加的な無線リソースを提供する。セカンダリノードは、en-gNB、セカンダリng-eNB、又はセカンダリgNBと称されてよい。ここで、マスターノード及び/又はセカンダリノードは、論理的なエンティティ(logical entity)である。本実施形態において、基地局200は、マスターノード及び/又はセカンダリノードに対応してもよい。すなわち、基地局200は、マスターノード及び/又はセカンダリノードに置き換えられてもよい。
【0035】
MCGは、マスターノードに関連付けられているサービングセルのグループである。MCGは、プライマリセル(Spセル又はPセルと称される)と、オプションで1以上のセカンダリセル(Sセルと称される)で構成される。SCGは、セカンダリノードに関連付けられているサービングセルのグループである。SCGは、プライマリセル(Spセル又はPSセルと称される)と、オプションで1以上のセカンダリセル(Sセルと称される)で構成される。従って、Spセルは、MCG又はSCGのプライマリセルである。なお、UE100には、MCG用の1つのMACエンティティとSCG用の1つのMACエンティティとが設定される。
【0036】
二重接続方式では、条件付きのSCGのプライマリセル(又はPSセル)変更が行われる。条件付きSCGのプライマリセル変更では、UE100において無線品質に関する条件が満たされた場合に、マスターノードが関与せずに、UE100がセカンダリノードにおいてSCGのプライマリセルを変更する動作(いわゆる、intra-SN CPC(Conditional PSCell Change))が行われる。また、条件付きプライマリセル変更では、UE100において無線品質に関する条件が満たされた場合に、UE100へ無線リソースを既に提供しているセカンダリノードのSCGのプライマリセルから別のセカンダリノードのSCGのプライマリセルへ変更する動作(いわゆる、inter-SN CPC)が行われてよい。
【0037】
また、二重接続方式では、条件付きSCGのプライマリセル(又はPSセル)追加が行われる。条件付きSCGのプライマリセル追加では、UE100において無線品質に関する条件が満たされた場合に、SCGのプライマリセルを追加する動作(いわゆる、CPA(Conditional PSCell Addition))が行われてよい。
【0038】
このような条件付きのSCGのプライマリセルの追加又は変更する動作は、CPAC(Conditional PSCell Addition/Change)と称されてよい。
【0039】
(1.4)UEの構成
図3を参照して、UE100の構成例について説明する。図3に示すように、UE100は、アンテナ101と、通信部120と、制御部130とを有する。
【0040】
通信部120は、制御部130の制御下で、アンテナ101を介して信号を送受信することによって他の通信装置との通信を行う。通信部120は、例えば、BS200からの無線信号を受信し、BS200への無線信号を送信する。また、通信部120は、例えば、他のUEからの無線信号を受信し、他のUEへの無線信号を送信してよい。なお、アンテナ101は、UE100の外部に設けられてよい。
【0041】
通信部120は、受信部121と送信部122とを有する。受信部121は、アンテナ101が受信する無線信号をベースバンド信号である受信信号に変換し、受信信号に対する信号処理を行ったうえで制御部130に出力する。送信部122は、制御部130が出力するベースバンド信号である送信信号に対する信号処理を行ったうえで無線信号に変換し、無線信号をアンテナ101から送信する。
【0042】
なお、受信部121は、1つ又は複数の受信機を含んでよい。送信部122は、1つ又は複数の送信機を含んでよい。受信機と送信機とは、1つの送受信機により構成されてよい。また、アンテナ101は、受信と送信とで兼用されてよい。
【0043】
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、例えば、通信部120を介したBS200又は他のUE100との通信を制御する。後述のUE100の動作は、制御部130の制御による動作であってよい。
【0044】
制御部130は、プログラムを実行可能な1つ以上のプロセッサ及びプログラムを記憶するメモリを含んでよい。1つ以上のプロセッサは、プログラムを実行して、制御部130の動作を行ってもよい。プログラムは、制御部130の動作をプロセッサに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0045】
プロセッサは、アンテナ101及びRF回路を介して送受信される信号のデジタル処理を行う。当該デジタル処理は、RANのプロトコルスタックの処理を含む。プロセッサは、単一のプロセッサであってよい。プロセッサは、複数のプロセッサを含んでもよい。当該複数のプロセッサは、デジタル処理を行うベースバンドプロセッサと、他の処理を行う1つ以上のプロセッサとを含んでもよい。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、当該プログラムに関するパラメータ、及び、当該プログラムに関するデータを記憶する。メモリは、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリの全部又は一部は、プロセッサ内に含まれていてよい。
【0046】
なお、以下において、UE100が備える機能部(具体的には、通信部120及び制御部130)の動作を、UE100の動作として説明することがある。
【0047】
(1.4)BSの構成
図4を参照して、BS200の構成例について説明する。図4に示すように、BS200は、アンテナ211と、無線通信部212と、ネットワーク通信部213と、制御部214とを有する。
【0048】
無線通信部212は、制御部214の制御下で、アンテナ211を介してUE100との通信を行う。無線通信部212は、受信部212aと、送信部212bとを有する。受信部212aは、アンテナ211が受信する無線信号をベースバンド信号である受信信号に変換し、受信信号に対する信号処理を行ったうえで制御部214に出力する。送信部212bは、制御部214が出力するベースバンド信号である送信信号に対する信号処理を行ったうえで無線信号に変換し、無線信号をアンテナ211から送信する。
【0049】
ネットワーク通信部213は、コアネットワーク装置300と接続される。ネットワーク通信部213は、制御部214の制御下で、コアネットワーク装置300とのネットワーク通信を行う。
【0050】
制御部214は、無線通信部212を制御するとともに、基地局200における各種の制御を行う。制御部214は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。メモリは、ROM、EPROM、EEPROM、RAM及びフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでもよい。プロセッサは、デジタル信号のデジタル処理を行うデジタル信号プロセッサ(DSP)と、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)とを含んでもよい。なお、メモリの一部は無線通信部212に設けられていてもよい。また、DSPは、無線通信部212に設けられていてもよい。
【0051】
このように構成されたBS200では、無線通信部212は、無線品質に関する条件が満たされた場合にSCGのプライマリセルを追加又は変更するためのCPAC設定情報をUE100へ送信する。制御部214は、CPAC設定情報に基づくプライマリセルの追加又は変更の失敗に関するCPAC失敗情報をUE100から取得し、CPAC失敗情報に基づく失敗情報を生成する。ネットワーク通信部213は、失敗情報を1又は複数の他のBS200へ送信する。これにより、他のBS200は、失敗情報に基づいて、CPACにおけるSCGのプライマリセルの追加又は変更の失敗を把握できる。他のBS200は、例えば、把握した失敗に基づいて、SCGのプライマリセルの設定を決めることができる。
【0052】
1又は複数の他のBS200は、セカンダリノードとして動作しているBS200を含んでよい。これにより、セカンダリノードとして動作するBS200は、CPACにおけるSCGのプライマリセルの追加又は変更の失敗を把握できる。
【0053】
ネットワーク通信部213は、CPAC設定情報に含めるプライマリセルになりうる候補プライマリセルの設定に関する情報を1又は複数の他のBS200から受信してよい。1又は複数の他のBS200は、セカンダリノードになる可能性がある候補セカンダリノードとして動作する基地局を含んでよい。これにより、候補セカンダリノードとして動作するBS200は、CPACにおけるSCGのプライマリセルの追加又は変更の失敗を把握できる。
【0054】
制御部214は、CPAC失敗情報に基づいて、複数の他のBS200のそれぞれに個別の失敗情報を生成してよい。ネットワーク通信部213は、複数の他のBS200のそれぞれに、個別の失敗情報を送信してよい。これにより、複数の他のBS200のそれぞれは、CPACにおけるSCGのプライマリセルの追加又は変更の失敗を把握できる。また、全ての他のBS200の共通の失敗情報を全ての他のBS200へ送信する場合と比較して、BS200間で送信される情報量を低減できる。
【0055】
CPAC設定情報は、SCGのプライマリセルになり得る1又は複数の候補プライマリセルの識別子を含んでよい。制御部214は、候補プライマリセル毎の個別の失敗情報を生成してよい。ネットワーク通信部213は、候補プライマリセルを管理する1又は複数の他のBS200のそれぞれに、当該他のBS200が管理する候補プライマリセルに対応する個別の失敗情報を送信してよい。これにより、他のBS200は、候補プライマリセル毎に、CPACにおけるSCGのプライマリセルの追加又は変更の失敗を把握できる。また、全ての他のBS200の共通の失敗情報を全ての他のBS200へ送信する場合と比較して、BS200間で送信される情報量を低減できる。
【0056】
失敗情報は、プライマリセルの追加又は変更が失敗した原因を示す情報を含んでよい。これにより、BS200は、プライマリセルの追加又は変更が失敗した原因を把握できる。BS200は、例えば、失敗した原因に基づいて、SCGのプライマリセルの設定を決めることができる。
【0057】
失敗情報は、候補プライマリセル以外のセルでUE100が検出した検出セルの識別情報と、UE100が検出セルに対して行った測定の結果と、を含む。これにより、他のBS200は、例えば、検出セルの測定の結果に基づいて、SCGのプライマリセルの設定を決めることができる。
【0058】
なお、以下において、BS200が備える機能部(具体的には、無線通信部212と、ネットワーク通信部213と、及び制御部214)の動作を、BS200の動作として説明することがある。
【0059】
(2)システムの動作
(2.1)動作例1
図5及び図6を参照して、本開示の実施形態に係るUE100及びBS200(BS201、BS202、BS203)の動作例1を説明する。
【0060】
本動作例において、UE100は、BS201とRRC接続を確立している。UE100は、RRCコネクティッド状態である。BS201にとって、BS202及びBS203は、隣接基地局である。BS201は、マスターノードとして動作するBS200である。
【0061】
ステップS101:
BS201の制御部214は、条件付きのSCGのプライマリセル追加(以下、CPAと適宜称する)を行うことを決定する。BS201の制御部214は、UE100から取得した測定結果に基づいて、CPAを決定してよい。
【0062】
なお、測定結果は、UE100が測定した無線品質の測定結果である。BS201の無線通信部212がUE100から測定結果を受信することで、BS201の制御部214は、測定結果を取得できる。
【0063】
BS201の制御部214は、測定結果に基づいて、セカンダリノードになる可能性がある候補セカンダリノードを決定する。具体的には、BS201の制御部214は、無線品質が良好であるセルを管理するBS200を候補セカンダリノードとして決定する。本動作例では、BS201の制御部214は、BS202を候補セカンダリノードとして決定する。また、BS201の制御部214は、BS203を候補セカンダリノードとして決定してよい。なお、候補セカンダリノードは、ターゲットセカンダリノードと称されてよい。
【0064】
ステップS102:
BS201のネットワーク通信部213は、SN追加要求メッセージを候補セカンダリノードへ送信する。具体的には、BS201のネットワーク通信部213は、SN追加要求メッセージをBS202へ送信する。BS202のネットワーク通信部213は、SN追加要求メッセージを受信する。BS201のネットワーク通信部213は、SN追加要求メッセージをBS203へ送信してもよい。BS203のネットワーク通信部213は、SN追加要求メッセージを受信してもよい。
【0065】
SN追加要求メッセージは、二重接続方式においてセカンダリノードとして動作することを要求するメッセージであってもよいし、二重接続方式においてSCGのプライマリセルの追加を要求するメッセージであってもよいし、二重接続方式において条件付きのSCGのプライマリセルの追加を要求するメッセージであってもよい。SN追加要求メッセージは、測定結果を含んでよい。
【0066】
ステップS103:
BS202の制御部214は、BS201からの要求を承認するか否かを決定する。BS202の制御部214は、測定結果に基づいて、要求を承認するか否かを決定してもよい。本動作例では、BS202の制御部214は、CPAを承認すると決定する。
【0067】
BS202の制御部214は、SCGの設定に関するSCG設定情報を生成してよい。SCG設定情報は、後述のCPAC設定に含める情報である。SCG設定情報は、SCGのプライマリセル(Spセル又はPSセル)となり得る候補プライマリセルの設定に関する情報を含む。当該情報は、例えば、候補プライマリセルの識別子を含んでよい。また、SCG設定情報は、SCGのセカンダリセルとなり得る候補セカンダリセルの設定に関する情報を含んでよい。当該情報は、例えば、候補セカンダリセルの識別子を含んでよい。
【0068】
ステップS104:
BS202のネットワーク通信部213は、SN追加要求承認メッセージをBS201へ送信する。BS201のネットワーク通信部213は、SN追加要求承認メッセージを受信する。
【0069】
SN追加要求承認メッセージは、BS201からの要求を承認するメッセージである。BS202の制御部214は、SCG設定情報をSN追加要求承認メッセージに含めてよい。
【0070】
BS201の制御部214は、SN追加要求承認メッセージに基づいて、UE100に対して、BS203が候補セカンダリノードとして動作すると把握する。
【0071】
BS201の制御部214は、無線品質に関する条件が満たされた場合にSCGのプライマリセルを追加又は変更するためのCPAC設定情報を生成する。本動作例では、CPAC設定情報は、SCGのプライマリセルを追加するための設定を示す。CPAC設定情報は、SCGのプライマリセルになり得る1又は複数の候補プライマリセルの識別子を含んでよい。BS201の制御部214は、BS202からSCG設定情報を取得している場合、SCG設定情報をCPAC設定情報に含めてよい。
【0072】
BS201の制御部214は、UE100がCPACを開始するための実行条件を示す実行条件情報を生成してよい。実行条件情報は、CPACを開始するためのトリガとなる無線品質に関する条件(イベント)を示してよい。無線品質は、例えば、受信電力(RSRP)、受信品質(RSRQ)、信号対干渉ノイズ比(SINR)などの少なくともいずれかである。BS201の制御部214は、実行条件情報をCPAC設定情報に含めてよい。
【0073】
ステップS105:
BS203の制御部214は、SN追加要求メッセージの受信に応じて、BS201からの要求を承認するか否かを決定する。本動作例では、BS203の制御部214は、CPAを承認しない、すなわち、拒絶すると決定する。
【0074】
ステップS106:
BS203のネットワーク通信部213は、SN追加要求拒絶メッセージをBS201へ送信する。BS201のネットワーク通信部213は、SN追加要求拒絶メッセージを受信する。SN追加要求拒絶メッセージは、BS201からの要求を拒絶するメッセージである。
【0075】
BS201の制御部214は、SN追加要求拒絶メッセージに基づいて、UE100に対して、BS203がセカンダリノードとして動作しないと把握する。
【0076】
ステップS107:
BS201の無線通信部212は、RRC再設定メッセージをUE100へ送信する。UE100の通信部120は、RRC再設定メッセージを受信する。
【0077】
RRC再設定メッセージは、無線リソース制御を再設定するためのメッセージである。RRC再設定メッセージは、CPAC設定情報を含む。これにより、BS201の無線通信部212は、CPAC設定情報をUE100へ送信する。UE100の通信部120は、CPAC設定情報を受信する。UE100の制御部130は、CPAC設定情報に基づく設定を適用する。
【0078】
ステップS108:
UE100の通信部120は、CPAC設定情報に基づく設定を適用した後、RRC再設定完了メッセージをBS201へ送信する。BS201の無線通信部212は、RRC再設定完了メッセージを受信する。
【0079】
ステップS109:
UE100の制御部130は、実行条件情報に基づいて、実行条件の評価を行う。具体的には、UE100の制御部130は、候補プライマリセルに対して無線品質の測定を行う。UE100は、候補プライマリセルに対する無線品質の測定結果(例えば、受信電力(RSRP)、受信品質(RSRQ)、信号対干渉ノイズ比(SINR)など)が実行条件を満たすか否かを判定する。
【0080】
UE100は、候補プライマリセルの測定結果が実行条件を満たした場合、当該候補プライマリセルを管理するBS200とRRC接続を確立するためのランダムアクセス手順を実行してよい。
【0081】
ステップS110:
UE100の制御部130は、CPACが失敗したと判定する。UE100の制御部130は、以下のいずれかの場合に、CPACが失敗したと判定する。
(a)候補プライマリセルを検出できなかった。
(b)候補プライマリセルを検出できたが、測定結果が実行条件を満たさなかった。実行条件を満たす候補セルが存在しなかった。
(c)測定結果が実行条件を満たしたが、ランダムアクセス手順を失敗した。
【0082】
UE100の制御部130が、CPACが失敗したと判定した場合、ステップS111の処理が実行される。
【0083】
なお、UE100の制御部130は、測定結果が実行条件を満たして、ランダムアクセス手順が成功した場合、BS201をマスターノードとして、BS202をセカンダリノードとして二重接続方式による通信を実行する。
【0084】
ステップS111:
UE100の通信部120は、CPAC失敗情報をBS201へ送信する。BS201の無線通信部212は、CPAC失敗情報を受信する。
【0085】
CPAC失敗情報は、CPAC設定情報に基づくプライマリセルの追加又は変更の失敗に関する情報である。本動作例では、CPAC設定情報に基づくプライマリセルの追加の失敗に関する情報である。
【0086】
CPAC失敗情報は、SCGのプライマリセルが追加又は変更が失敗した原因を示す原因情報(例えば、cpac-FailureCause)を含んでよい。原因情報は、例えば、候補プライマリセルが検出できなかったことを示す情報(例えば、noPSCellDetected)を含んでよい。また、原因情報は、例えば、実行条件を満たす候補プライマリセルが存在しなかったことを示す情報(例えば、noEventFulfilled)を含んでよい。この場合、検出された候補プライマリセルの識別子(例えば、物理セル識別子)のリストを含んでよい。また、原因情報は、例えば、ランダムアクセス手順が失敗したことを示す情報(例えば、rach-Failure)を含んでよい。この場合、実行条件を満たした候補プライマリセルの識別子(例えば、物理セル識別子)のリストを含んでよい。
【0087】
CPAC失敗情報は、UE100に設定された候補プライマリセル以外の検出された検出セルの識別情報と、UE100が検出セルに対して行った測定の結果とを含んでよい。CPAC失敗情報は、例えば、検出セルの識別情報(例えば、carrierFreq)と測定の結果(例えば、measResultCellList)とのリスト(例えば、otherDetectedCellList)を含んでよい。検出セルの識別情報は、例えば、候補プライマリセルの物理セル識別子であってよいし、検出セルの周波数の識別子(絶対無線周波数チャネル番号(ARFCN))であってよい。
【0088】
BS201の制御部214は、CPAC失敗情報をUE100から取得する。BS201の制御部214は、CPAC失敗情報に基づく失敗情報を生成する。失敗情報は、CPAC失敗情報に含まれる情報の少なくとも一部を含んでよい。失敗情報は、原因情報を含んでよいし、検出セルの識別情報と測定の結果とを含んでよい。BS201の制御部214は、例えば、複数のBS200に共通の失敗情報を生成してもよい。
【0089】
BS201の制御部214は、複数のBS200のそれぞれに対応する個別の失敗情報を生成してもよい。BS201の制御部214は、例えば、CPAC失敗情報に含まれる候補プライマリセルの識別子及び/又は検出セルの識別情報により示されるセルを管理するBS200毎に、当該識別子又は識別情報に関連付けられた情報(例えば、原因情報、測定結果など)を含む個別の失敗情報を生成してよい。
【0090】
また、BS201の制御部214は、セル毎の個別の失敗情報を生成してもよい。例えば、BS201の制御部214は、候補プライマリセル毎の個別の失敗情報を生成してもよい。BS201の制御部214は、例えば、CPAC失敗情報に含まれる候補プライマリセルの識別子及び/又は検出セルの識別情報により示されるセル毎に、当該識別子に関連付けられた情報(例えば、原因情報、測定結果など)を含む個別の失敗情報を生成してよい。
【0091】
また、BS201の制御部214は、検出セル毎の個別の失敗情報を生成してもよい。BS201の制御部214は、例えば、CPAC失敗情報に含まれる検出セルの識別情報により示されるセル毎に、当該識別情報に関連付けられた情報(例えば、測定結果など)を含む個別の失敗情報を生成してよい。
【0092】
ステップS112:
BS201のネットワーク通信部213は、失敗情報をBS202へ送信する。BS202のネットワーク通信部213は、失敗情報を受信する。BS201のネットワーク通信部213は、失敗情報をBS203へ送信してもよい。BS203のネットワーク通信部213は、失敗情報を受信してもよい。BS201のネットワーク通信部213は、複数のBS200のそれぞれに、共通の失敗情報を送信してもよく、個別の失敗情報を送信してもよい。図6に示すように、BS201のネットワーク通信部213は、セルグループ設定情報(CG-ConfigInfo)メッセージにより、失敗情報を送信してもよい。
【0093】
BS201のネットワーク通信部213は、複数のBS200のそれぞれに個別の失敗情報が生成された場合、BS202に対応する個別の失敗情報を、BS202へ送信し、BS203に対応する個別の失敗情報をBS203へ送信する。また、BS201のネットワーク通信部213は、セル毎の個別の失敗情報が生成された場合、個別の失敗情報が生成された各セルを管理するBS200へ、対応する個別の失敗情報を送信する。
【0094】
なお、BS201の制御部214は、失敗情報の送信先を、例えば、(a)候補プライマリセルの設定に関する情報の送信元のBS200、(b)SN追加要求承認メッセージの送信元のBS200、(c)SN追加要求拒絶メッセージの送信元のBS200、(d)CPAC失敗情報に含まれる識別子により示される候補プライマリセルを管理するBS200、(e)CPAC失敗情報に含まれる識別子又は識別情報により示される検出セルを管理するBS200の少なくともいずれかに決定してよい。
【0095】
BS202の制御部214は、失敗情報に基づいて、CPAC設定に基づく失敗を把握することができる。BS202の制御部214は、失敗したSCG設定情報を考慮して、その後にCPACの要求を受けた場合にSCG設定情報を生成することができる。BS202の制御部214は、例えば、検出できなかった候補プライマリセルを次回の候補プライマリセルとして設定され難くしてもよい。
【0096】
(2.2)動作例2
図7を参照して、本開示の実施形態に係るUE100及びBS200の動作例2を説明する。上述した内容との相違点を主として説明する。動作例2では、セカンダリノードがトリガとなるセカンダリノード間CPC(SN initiated inter-SN CPC)について説明する。
【0097】
本動作例では、二重接続方式において、BS201がUE100のマスターノードとして動作し、BS202がUE100のセカンダリノードとして動作する。BS203は、ターゲットセカンダリノード(候補セカンダリノード)として動作する。UE100は、BS201及びBS202とRRC接続を確立している。UE100は、BS201が管理するMCGのプライマリセルを介してBS201と通信を行っており、BS202が管理するSCGのプライマリセルを介してBS202と通信を行っている。
【0098】
ステップS201:
BS202のネットワーク通信部213は、SN変更要求(SN Change Required)メッセージをBS201へ送信する。BS201のネットワーク通信部213は、SN変更要求メッセージを受信する。
【0099】
SN変更要求メッセージは、二重接続方式においてセカンダリノードとして動作するBS200を変更することを要求するメッセージであってもよいし、二重接続方式においてSCGのプライマリセルの変更を要求するメッセージであってもよいし、二重接続方式において条件付きのSCGのプライマリセルの変更を要求するメッセージであってもよい。SN変更要求メッセージは、測定結果を含んでよい。
【0100】
BS202の制御部214は、条件付きのSCGのプライマリセル変更(以下、CPCと適宜称する)を要求することを決定する。BS202の制御部214は、UE100から取得した測定結果に基づいて、CPCの要求を決定してよい。BS202の制御部214は、CPCの要求を決定した場合に、SN変更要求メッセージをBS201へ送信する制御を実行してよい。
【0101】
なお、測定結果は、UE100が測定した無線品質の測定結果である。BS202の無線通信部212がUE100から測定結果を受信することで、BS202の制御部214は、測定結果を取得できる。
【0102】
BS202の制御部214は、UE100がCPAC(本動作例では、CPC)を開始するための実行条件を示す実行条件情報を生成してよい。BS202の制御部214は、実行条件情報をSN変更要求メッセージに含めてよい。実行条件情報は、動作例1と同様の情報である。
【0103】
ステップS202:
BS201の制御部214は、測定結果に基づいて、セカンダリノードになる可能性がある候補セカンダリノードを決定する。具体的には、BS201の制御部214は、無線品質が良好であるセルを管理するBS200を候補セカンダリノードとして決定する。本動作例では、BS201の制御部214は、BS203を候補セカンダリノード(ターゲットセカンダリノード)として決定する。
【0104】
ステップS203:
BS201のネットワーク通信部213は、CPCトリガメッセージをBS203へ送信する。BS203のネットワーク通信部213は、CPCトリガメッセージを受信する。
【0105】
CPCトリガメッセージは、BS203においてCPCのトリガとなるメッセージであってよい。CPCトリガメッセージは、測定結果を含んでよい。
【0106】
BS203の制御部214は、CPCトリガメッセージの受信に応じて、SCGの設定に関するSCG設定情報を生成してよい。BS203の制御部214は、ステップS103と同様に、SCG設定情報を生成してよい。
【0107】
ステップS204:
BS203のネットワーク通信部213は、CPCトリガメッセージに対する応答であるCPC確認(CPC Confirmation)メッセージをBS201へ送信する。BS201のネットワーク通信部213は、CPC確認メッセージを受信する。BS203の制御部214は、SCG設定情報をCPC確認メッセージに含めてよい。
【0108】
ステップS205からS210:
動作例1のステップS107からS112に対応する。
【0109】
なお、ステップS210において、BS201の制御部214は、失敗情報の送信先を、上述の(a)~(e)の他に、実行条件情報の送信元のBS200に決定してもよい。これにより、BS202の制御部214は、その後、SN変更要求メッセージを送信する際に、失敗した実行条件情報を考慮して、実行条件情報を生成することができる。BS202の制御部214は、失敗情報に含まれる測定結果に基づいて、実行条件情報を生成してよい。
【0110】
(その他の実施形態)
本開示の実施形態を説明したが、本開示は実施形態に限定されるものではない。例えば、マスターノードがトリガとなるセカンダリノード間CPC(MN initiated inter-SN CPC)において、上述と同様の動作が行われてよい。また、intra-SN CPCにおいて、上述と同様の動作が行われてよい。
【0111】
また、上述の動作例では、UE100は、CPAC失敗情報をマスターノードに送信していたが、これに限られない。UE100は、CPAC失敗情報をセカンダリノードに送信してもよい。セカンダリノードは、CPAC失敗情報に基づいて、CPAC設定に基づく失敗を把握してもよい。セカンダリノードは、CPAC失敗情報をマスターノードに送信してもよい。マスターノードは、CPAC失敗情報に基づいて失敗情報を生成してもよい。
【0112】
また、上述の各動作例は、別個独立して実施する場合に限らず、各動作例を適宜組み合わせて実施可能である。また、例えば、本明細書に記載されている処理におけるステップは、必ずしもフローチャート又はシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、処理におけるステップは、フローチャート又はシーケンス図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、処理におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。
【0113】
例えば、本明細書において説明した装置の1つ以上の構成要素の動作を含む方法が提供されてもよく、上記構成要素の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供されてもよい。また、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非遷移的実体的記録媒体が提供されてもよい。このような方法、プログラム、及びコンピュータに読み取り可能な非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible computer-readable storage medium)も、本開示に含まれる。また、UE100の少なくとも一部又はBS200の少なくとも一部は、UE100又はBS200が行う各処理を実行する回路が集積化されたチップセット又はSoC(System on Chip)であってよい。
【0114】
本開示において、「送信する(transmit)」は、送信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に送信することを意味してもよい。或いは、「送信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に送信することとの組合せを意味してもよい。同様に、「受信する(receive)」は、受信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に受信することを意味してもよい。或いは、「受信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に受信することとの組合せを意味してもよい。
【0115】
以上では、本開示の実施形態を説明したが、本開示は実施形態に限定されるものではない。実施形態は例示にすぎないということ、及び、本開示のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。
【符号の説明】
【0116】
1 :システム
20 :無線アクセスネットワーク
30 :コアネットワーク
100 :ユーザ装置(UE、RedCap UE)
101 :アンテナ
120 :通信部
121 :受信部
122 :送信部
130 :制御部
200 :基地局(BS)
201 :基地局(BS)
202 :基地局(BS)
203 :基地局(BS)
211 :アンテナ
212 :無線通信部
212a :受信部
212b :送信部
213 :ネットワーク通信部
214 :制御部
300 :コアネットワーク装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7