(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172836
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/10 20060101AFI20221110BHJP
B65D 5/66 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
B65D5/10 G
B65D5/66 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079103
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曲 威
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA04
3E060DA30
(57)【要約】
【課題】付属品の視認性及び取り出し易さに優れるとともに、製品と付属品との接触を抑制できる包装箱を提供すること。
【解決手段】包装箱1は、一対の正面板21,22と一対の側面板23,24と上面部10と底面部3とを含み、内部に製品4を収容する。上面部10は、側面板23,24の上端部に折曲線17,18を介して各々連接された上面サイドフラップ12,13を内側に折り込むとともに、一方の正面板22の上端部に連接された上面メインフラップ11を折り重ねることによって形成されている。上面サイドフラップ12,13のうちの一方にスリット係止部15が形成されており、他方の該上面サイドフラップ12の角部が該スリット係止部15に挿入されることによって、該上面サイドフラップ12,13の双方が互いに固定されている。他方の上面サイドフラップ12に、製品4の付属品5が固定されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後一対の正面板と左右一対の側面板と上面部と底面部とを含み、中空の六面体形状を備え、内部に製品を収容する包装箱であって、
前記上面部は、前記左右一対の側面板の上端部に折曲線を介して各々連接された上面サイドフラップを内側に折り込むとともに、一方の正面板の上端部に折曲線を介して連接された上面メインフラップを折り重ねることによって形成されており、
前記上面サイドフラップのうちの一方にスリット係止部が形成されており、他方の該上面サイドフラップの角部が該スリット係止部に挿入されることによって、該上面サイドフラップの双方が互いに固定されており、
他方の前記上面サイドフラップに、前記製品の付属品が固定されている、包装箱。
【請求項2】
前記スリット係止部が、一方の前記上面サイドフラップの基端側角部寄りに形成されている、請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記付属品が一方向に長い形状を有している、請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項4】
他方の前記上面サイドフラップに、挿入孔が形成されており、該挿入孔に前記付属品を挿入することによって、該付属品が該上面サイドフラップに固定されている、請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
平面視において前記挿入孔が、他方の前記上面サイドフラップにおいて対向する角部間を結ぶ対角線と交差し、且つ該対角線の一方側に突出した湾曲スリットとなっており、
前記湾曲スリットの位置が、前記対角線の一方側に偏倚している、請求項4に記載の包装箱。
【請求項6】
前記上面部が開封される前の状態において、前記包装箱の外側から内側に向かって、前記上面メインフラップ、前記スリット係止部を有する前記一方の上面サイドフラップ、及び前記他方の上面サイドフラップの順で重ねられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項7】
前記底面部がワンタッチ底により形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に製品を収容する包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
製品を内部に収容する包装箱は、一般的に、中空の六面体形状を備え、該六面体形状の上端部及び下端部それぞれに設けられた上面部及び底面部を有している。当該包装箱では、通常、上蓋を開くことで、収容された物品を包装箱の外部に取り出す。従来、包装箱が具備する上蓋の構成について、種々の検討がなされている。
例えば、特許文献1には、四角筒状の胴部と、該胴部の相対する壁板の端部に連設された二つのサイドフラップと、該胴部の一壁板の端部に連設された閉止板とを備え、該サイドフラップの先端に係合突出部が延設されており、該係合突出部を相互に係合させる、包装体が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、1つ以上の外フラップによって開封面壁が形成されており、該開封面壁の内側に1つ以上の内フラップを有するカートンを備え、該内フラップの少なくとも1つが情報記録媒体を保持している、包装容器が開示されている。
また、特許文献3には、開封部の内面に設けられたICタグと、該開封部と収容物との間に配された緩衝材の金属箔とが接触又は近接している、包装箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】公開実用新案昭63-7680号公報
【特許文献2】特開2013-056683号公報
【特許文献3】特開2015-101380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
包装箱が内部に収容する製品の中には、該製品の付属品とともに流通されるものがある。付属品は製品よりも小さいことが多いので、製品とともに包装箱の収容空間内に収容すると、該付属品の存在を認識し難いことがあり、さらには包装箱からの該付属品の取り出しが困難になることがある。また、輸送等の流通過程で製品を収容した包装箱に振動が加わることがあり、該包装箱内で製品と付属品とが接触し合い、該製品に傷が付く虞があった。特許文献1~3に記載の包装箱は、付属品の視認性や取り出し易さ、製品と付属品との接触防止の点が不十分であった。
【0006】
本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る、包装箱を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前後一対の正面板と左右一対の側面板と上面部と底面部とを含み、中空の六面体形状を備え、内部に製品を収容する包装箱に関する。
前記上面部は、前記左右一対の側面板の上端部に折曲線を介して各々連接された上面サイドフラップを内側に折り込むとともに、一方の正面板の上端部に折曲線を介して連接された上面メインフラップを折り重ねることによって形成されていることが好ましい。
前記包装箱は、前記上面サイドフラップのうちの一方にスリット係止部が形成されており、他方の該上面サイドフラップの角部が該スリット係止部に挿入されることによって、該上面サイドフラップの双方が互いに固定されていることが好ましい。
前記包装箱は、他方の前記上面サイドフラップに、前記製品の付属品が固定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の包装箱によれば、付属品の視認性及び取り出し易さに優れるとともに、製品と付属品との接触を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の包装箱の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す上面メインフラップを開封した包装箱の斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す一対の上面サイドフラップを開封した包装箱の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3に示す一対の上面サイドフラップの係合状態を示す平面図である。
【
図6】
図6は、付属品が固定された方の上面サイドフラップの内面を示す平面図である。
【
図8】
図8は、
図1に示す包装箱を形成するためのブランクの平面図である。
【
図9】
図9は、付属品を保持する保持サイドフラップの別の実施形態を示す
図6相当図である。
【
図10】
図10は、付属品を保持する保持サイドフラップのさらに別の実施形態を示す図であって、上面メインフラップ及び係止サイドフラップを開封した包装箱の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1~
図8には、本発明の包装箱の一実施形態が示されている。本実施形態の包装箱1は、中空の六面体形状を備えており、筒状の周壁部2と上面部10と底面部3とを含んで構成されている(
図1参照)。上面部10は、周壁部2の一方の開口を閉塞し、底面部3は、周壁部2の他方の開口を閉塞している。
【0011】
周壁部2は、包装箱1の被収容物である製品4を収容するための収容空間Vを内部に形成している(
図2参照)。周壁部2の筒状構造における内部空間が、収容空間となる。周壁部2は、筒状であり、該周壁部2の水平断面が正方形形状の四角柱形状を有している。より具体的には、周壁部2は、前後一対の正面板21,22と左右一対の側面板23,24とにより形成されており、一対の正面板21,22が互いに対向し、一対の側面板23,24が互いに対向して、四角筒状となっている。一対の正面板21,22は、互いに同形同大であり、一対の側面板23,24も、互いに同形同大である。本実施形態の一対の正面板21,22及び一対の側面板23,24それぞれは、同形同大の正方形形状となっている。
【0012】
一対の正面板21,22のうち、後述する上面メインフラップ11が連接された方を、以下、「後方正面板22」ともいい、該上面メインフラップ11が連接されていない方を、以下、「前方正面板21」ともいう。周壁部2の周方向において、前方正面板21は、一対の側面板23,24との間に位置しており、これら側面板23,24と隣り合っている。周壁部2の周方向において、後方正面板22は、一対の側面板23,24との間に位置しており、これら側面板23,24と隣り合っている。
本実施形態の包装箱1は、正面板21,22の幅に沿った幅方向Yとこれに直交する奥行方向Xとを有している。
本実施形態の包装箱1は、周壁部2の筒状構造において上面部10が形成されている側を、鉛直方向の上方に向けた状態で用いられる。
【0013】
包装箱1において、
図1に示すように、筒状の周壁部2の一端の開口部には上面部10が位置し、該周壁部2の他端の開口部には底面部3が位置している。包装箱1において上面部10と底面部3とは周壁部2を介して対向配置されている。本実施形態の底面部3の構成については後に詳述する。
【0014】
上面部10は、左右一対の側面板23,24の上端部に折曲線16,17を介して各々連接された上面サイドフラップ12,13と、後方正面板22の上端部に折曲線16を介して連接された上面メインフラップ11とを備えている(
図2参照)。すなわち、上面部10は、幅方向Yにおいて対向配置された一対の上面サイドフラップ12,13と、上面メインフラップ11とを備えている。
一対の上面サイドフラップ12,13は、一対の側面板23,24の上縁をなす折曲線17,18を介して回動可能である。また、上面メインフラップ11は、後方正面板22の上縁をなす折曲線16を介して回動可能である。一対の上面サイドフラップ12,13及び上面メインフラップ11は、これらが回動することによって、周壁部2の上端側の開口部を開閉する。
【0015】
包装箱1においては、
図2及び
図3に示すように、一対の上面サイドフラップ12,13を内側に折り込むとともに、これに上面メインフラップ11を折り重ねることによって、上面部10が形成されている。斯かる構成により、上面部10は、一対の上面サイドフラップ12,13及び上面メインフラップ11によって、周壁部2の上面部10側の開口部を閉塞する。包装箱1において「内側」は、包装箱1の内部側(収容空間V側)を意味し、「外側」は、包装箱1の外部側を意味する。
上面メインフラップ11には、これと連接する折曲線16とは反対側に差し込みフラップ11aが延設されている。周壁部2の上端側の開口部を該上面メインフラップ11で閉じた際に、差し込みフラップ11aが、前方正面板21と上面サイドフラップ12,13との間に差し込まれることによって、上面メインフラップ11が前記開口部を閉塞するように固定される。
【0016】
一対の上面サイドフラップ12,13それぞれは、平面視において略四角形形状を有しており、折曲線17,18と接する2つの角部と、該折曲線17,18から離間する2つの角部とを有している。以下、上面サイドフラップ12,13において、折曲線17,18と接する角部を「基端側角部」といい、折曲線17,18から離間して位置する角部を「先端側角部」ともいう。
【0017】
包装箱1においては、上面サイドフラップのうちの一方にスリット係止部15が形成されている。スリット係止部15が形成されている方の上面サイドフラップ13を、以下、「係止サイドフラップ」13ともいう(
図3参照)。スリット係止部15は、係止サイドフラップ13において一方向に長い貫通孔となっている。
また、包装箱1においては、
図3に示すように、他方の該上面サイドフラップ12の角部12aが該スリット係止部15に挿入されることによって、該上面サイドフラップ12,13の双方が互いに固定されている。本実施形態において他方の上面サイドフラップ12は、奥行方向Xにおいて後方正面板22側に位置する先端側角部12aが、スリット係止部15に挿入されて、係止サイドフラップ13に固定されている。
【0018】
包装箱1は、内部(収容空間V)に製品4を収容する。本実施形態において製品4は、円柱形状の容器に化粧料が充填された化粧品である。包装箱1は、他方の上面サイドフラップ12に、製品4の付属品5が固定されている(
図2及び
図3参照)。本実施形態において付属品5は、化粧品の化粧料を肌に塗布する際に用いられるスパチュラである。
付属品5が固定される方の上面サイドフラップ12を、以下、「保持サイドフラップ」12ともいう。すなわち、包装箱1において保持サイドフラップ12は、付属品5が固定されるとともに、該保持サイドフラップ12の先端側角部12aがスリット係止部15に挿入される。
【0019】
本実施形態の包装箱1は、上面部10が開封される前の状態において、外側から内側に向かって、上面メインフラップ11、係止サイドフラップ13、及び保持サイドフラップ12の順で重ねられる。斯かる包装箱1を開封する場合、先ず上面メインフラップ11を開き、スリット係止部15から保持サイドフラップ12の先端側角部12aを抜き取って、係止サイドフラップ13を開き、次いで保持サイドフラップ12を開く。
図4に本実施形態の包装箱1の上面部10を開封した状態を示す。開封状態の包装箱1は、保持サイドフラップ12に付属品5が固定されているので、開封時に付属品5を容易に視認できる上、外観が良好となり見栄えが良い(
図4参照)。しかも、包装箱1内部から付属品5を取り出すよりも、保持サイドフラップ12から該付属品5を取り出す方が容易である。このように、本実施形態の包装箱1は、別体の部材を使うことなく簡易な構成で付属品5を収容できるとともに、該付属品5の視認性及び取り出し易さに優れる。
【0020】
また、包装箱1は、内部に製品4を収容し、付属品5を保持サイドフラップ12に固定した状態で流通される(
図2参照)。斯かる包装箱1では、製品4と付属品5とが互いに接触することを抑制できるので、流通過程(輸送時)で包装箱1に振動が加わっても付属品5の接触によって製品4に傷が付くことを効果的に抑制できる。特に、スリット係止部15によって上面サイドフラップ12,13の双方が互いに固定されているので、保持サイドフラップ12への付属品5の固定が安定し、製品4と付属品5との接触を効果的に抑制できる。
さらに包装箱1の底面部3に付属品5を置かないで収容するので、包装箱1の高さを低く設定し易く、収容空間Vを小さくできる。すなわち、包装箱1のサイズを小さくできる。
【0021】
図5に、係合した上面サイドフラップ12,13の平面図を示す。
図5では、説明の便宜上、係止サイドフラップ13を点線で示し、付属品5の図示を省略している。
上面サイドフラップ12,13の双方の固定をより安定化する観点から、スリット係止部15は、係止サイドフラップ13の基端側角部寄りに形成されていることが好ましく、同サイドフラップ13における奥行方向Xの後方正面板22側に位置する基端側角部寄りに形成されていることがより好ましい。この場合、スリット係止部15は、係止サイドフラップ13において互いに対向する角部間を結ぶ対角線であって、該スリット係止部15の延在方向と略平行である対角線よりも、基端側角部寄りに位置していればよい。
【0022】
本実施形態のスリット係止部15の端縁は、係止サイドフラップ13の周縁に接続していない。これに代えて、スリット係止部15は、係止サイドフラップ13の周縁に至る切れ込みであってもよい。スリット係止部15の形状は、保持サイドフラップ12の先端側角部を挿入可能な形状とすることができる。
スリット係止部15は、その長手方向において幅が異なっていてもよく、一定であってもよい。先端側角部12aの挿入操作をより容易にする観点から、スリット係止部15において対向する輪郭線どうしが離れるように、該スリット係止部15の幅が拡大する領域を有することが好ましい。斯かるスリット係止部15として、半月状の平面視形状を有するものが挙げられる。
先端側角部の挿入をより容易にしつつ、上面サイドフラップ12,13の双方の固定をより安定化する観点から、スリット係止部15の幅L7(
図5参照)は、好ましくは1mm以上20mm以下、より好ましくは2mm以上10mm以下である。
本実施形態のスリット係止部15は、その長手方向中央に幅の広い幅広部を有している。本実施形態のように、長手方向においてスリット係止部15の幅が異なっている場合、該スリット係止部15の最小幅及び最大幅が上述した範囲内であることが好ましい。
【0023】
上面サイドフラップ12,13の双方の固定をより安定化し、且つ上面サイドフラップ12,13の外観(見栄え)をより向上させる観点から、スリット係止部15に挿入された保持サイドフラップ12の先端側角部12aは、該スリット係止部15から突出した長さL5(
図5参照)が、好ましくは2mm以上25mm以下、より好ましくは5mm以上15mm以下である。前記「突出した長さL5」は、保持サイドフラップ12の先端側角部12aをスリット係止部15に挿入した状態下であって、先端側角部12aの挿入方向における先端側角部12aの先端から、該先端に最も近いスリット係止部15の周縁までの最短長さである。
【0024】
スリット係止部15への先端側角部12aの挿入操作をより容易にする観点から、スリット係止部15の延在方向と奥行方向Xとの交差角度は、好ましくは30°以上60°以下、より好ましくは40°以上50°以下である。
【0025】
上面サイドフラップ12,13の双方の固定をより安定化する観点から、保持サイドフラップ12の先端側角部12aがスリット係止部15に挿入されることによって、上面サイドフラップ12,13の双方が互いに固定された状態(以下、「固定状態」ともいう。)において、幅方向Yにおける上面サイドフラップ12,13どうしの重なり長さL3(
図5参照)は、幅方向Yにおける両上面サイドフラップ12,13の基端(折曲線17,18)どうし間の長さL1(
図5参照)に対して好ましくは30%以上90%以下、より好ましくは50%以上80%以下である。幅方向Yにおける両上面サイドフラップ12,13の基端(折曲線17,18)どうし間の長さL1は、幅方向Yにおける正面板21,22の全長と一致する。
上記と同様の観点から、幅方向Yにおける上面サイドフラップ12,13どうしの重なり長さL3(
図5参照)は、好ましくは20mm以上50mm以下、より好ましくは30mm以上40mm以下である。
【0026】
幅方向Yにおける、保持サイドフラップ12の長さと係止サイドフラップ13の長さとは同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、係止サイドフラップ13は、保持サイドフラップ12よりも、幅方向Yの長さが短くてもよい。
【0027】
本実施形態の保持サイドフラップ12は、
図4及び
図6に示すように、2個の挿入孔14a,14bが形成されており、該挿入孔14a,14bに付属品5を挿入することによって、該付属品5が該保持サイドフラップ12に固定されている。斯かる構成は、付属品5を保持サイドフラップ12に固定させる操作や、該保持サイドフラップ12から付属品5を取り外す操作をより簡易にする点で好ましい。
【0028】
挿入孔14a,14bの平面視形状は特に制限されず、曲線状又は直線状の切れ込みであってもよい。保持サイドフラップ12における挿入孔14a,14bは、曲線状の切れ込みであることが好ましい。斯かる構成により、付属品5を挿入したときの見栄えがより向上するとともに、切り裂きに対する強度をより向上できる。
【0029】
本実施形態の保持サイドフラップ12では、平面視において挿入孔14a,14bが、該保持サイドフラップ12において対向する角部12b,12d間を結ぶ対角線と交差する。斯かる対角線は、挿入孔14a,14bの延在方向と交差する方の対角線である。
また、本実施形態の挿入孔14a,14bは、前記対角線の一方側に突出した湾曲スリットとなっている。より具体的には、挿入孔14a,14bは、対角線の延在方向における一方側に凸の湾曲スリットになっており、基端側角部12bに向かって凸状となっている。
挿入孔からの付属品5の取り出しをより容易にする観点から、挿入孔14a,14bの位置は、前記対角線の一方側に偏倚していることが好ましい。挿入孔14a,14bが複数ある場合、該挿入孔のうちの少なくとも1つが、前記対角線の一方側に偏倚して位置していることが好ましい。「対角線の一方側に偏倚する」は、該対角線の中点よりも、該対角線を結ぶ角部のいずれか一方側に偏倚することを意味する。本実施形態では、挿入孔14bが、奥行方向Xにおいて後方正面板22側に位置する基端側角部12b側に偏倚して位置する。
【0030】
また、本実施形態の保持サイドフラップ12は、2個の挿入孔14a,14bを有するが、挿入孔の個数は単数であってもよく、2個以上の複数であってもよい。
保持サイドフラップ12における付属品5の固定をより安定化する観点から、保持サイドフラップ12が複数の挿入孔を有する場合、挿入孔どうし間の離間距離L9(
図5参照)は、付属品5の全長に対して好ましくは10%以上50%以下、より好ましくは15%以上40%以下である。
上記と同様の観点から、挿入孔どうし間の離間距離L9(
図5参照)は、好ましくは5mm以上30mm以下、より好ましくは10mm以上20mm以下である。
挿入孔どうし間の離間距離L9は、挿入孔どうし間の最短距離である。
【0031】
付属品5の形状は特に限定されず、任意の形状とすることができる。付属品5の固定操作を容易にするとともに、上面部10で周壁部2の開口部をより確実に閉塞する観点から、付属品5は扁平形状であることが好ましい。
上記と同様の観点から、付属品5の最大厚みは、好ましくは0.1mm以上5mm以下、より好ましくは1mm以上3mm以下である。
【0032】
付属品5を、挿入孔14a,14bに挿入させ易くするとともに、保持サイドフラップ12へより容易に固定する観点から、付属品5は、一方向に長い形状を有していることが好ましい。
付属品5の全長は特に限定されないが、好ましくは50mm以上100mm以下、より好ましくは60mm以上80mm以下である。
付属品5が一方向に長い形状を有する場合、該付属品5の保持サイドフラップ12における固定位置は、該付属品5の長手方向の中央部であること好ましい。前記中央部は、付属品5の全長を三等分して3領域に区分したときの中央の領域である。本実施形態における前記固定位置は、挿入孔14a,14bの位置である。付属品5がホットメルト接着剤等の接着手段により保持サイドフラップ12に固定されている場合、前記固定位置は、該接着手段の位置である。
見栄えをより向上する観点から、付属品5は、保持サイドフラップ12において対向する角部間を結ぶ対角線に沿って固定されていることが好ましい。また、本実施形態のように、一方向に長い付属品5を固定する場合、前記対角線に沿って固定した方が、保持サイドフラップ12との固定面積をより確保できるので、箱に振動や衝撃が加わっても安定して該付属品5を固定できる。さらに斯かる点を考慮した包装箱の寸法を設計し易い。
【0033】
付属品5は、保持サイドフラップ12の内面に固定されていてもよく、保持サイドフラップ12の外面に固定されていてもよい。前記「内面」は、周壁部2の開口部を上面部10で閉塞した状態において、包装箱1の内部(収容空間V)側と対向する面である。「外面」は、前記内面の反対側に位置する面である。
周壁部2の開口部を上面部10でより確実に閉塞する観点から、保持サイドフラップ12の内面に付属品5が固定されていることが好ましい(
図6参照)。
付属品5が保持サイドフラップ12の内面に固定されていることで、保持サイドフラップ12と係止サイドフラップ13との間の厚みが過度に大きくなることが抑制されて、上面メインフラップ11が周壁部2の上端部から過度に浮くことを抑制できる。
斯かる効果をより確実に奏させる観点から、本実施形態のように、包装箱1は、上面部10が開封される前の状態において、外側から内側に向かって、上面メインフラップ11、係止サイドフラップ13、及び保持サイドフラップ12の順で重ねられることが好ましい。
【0034】
本実施形態の付属品5は、2つの挿入孔14a,14bに挿入されることにより、該付属品5の長手方向両端側が保持サイドフラップ12の内面側に露出し、該付属品の長手方向中央部が外面側に露出している。斯かる付属品5の長手方向両端側は、後方正面板22側に位置する部分と、前方正面板21側に位置する部分とで長さが異なっている。これにより、付属品5の取り出し操作をより容易にできる。
【0035】
前述したように、本実施形態の付属品5は、保持サイドフラップ12に形成された挿入孔14a,14bに挿入されることで、該保持サイドフラップ12に固定される。保持サイドフラップ12への付属品5の固定手段は、挿入孔14a,14b以外の手段であってもよい。例えば、ホットメルト接着剤や接着テープ等の公知の接着手段を用いて、付属品5を保持サイドフラップ12に固定してもよい。
【0036】
図7に、本実施形態の底面部3の平面図を示す。本実施形態の底面部3は、ワンタッチ底により形成されている。ワンタッチ底は、後述するブランクから筒状の周壁部2を形成するときに底面部3が形成されるものであり、簡便に組み立てることができる箱底である。ワンタッチ底は、後述する底側板及び底端板を部分的に接合した底板を、包装箱1の内側に折込み、該底板どうしが互い違いになるように該底板どうしを重ねることによって組み立てられる。斯かる構成において、包装箱1の内側に折り込まれた底板と、付属品5を底面部3に置いて収容するための仕切りとが干渉するので、ワンタッチ底を有する包装箱1には該仕切りを導入し難い。したがって、付属品5が保持サイドフラップ12に固定されるという構成は、ワンタッチ底を具備する包装箱1に特に有効である。
具体的には、底面部3は、前方正面板21の下端部に折曲線36を介して連接された前方底側板31と、側面板24の下端部に折曲線39を介して連接された前方底端板34と、後方正面板22の下端部に折曲線37を介して連接された後方底側板32と、側面板23の下端部に折曲線38を介して連接された後方底端板33とにより形成されている。
【0037】
前方底側板31は、折曲線36を底辺とする略三角形の主底部31bと、該主底部31bの斜辺の一部から部分的に延設された略三角形の延設接合部31aとを有している。前方底側板31には、主底部31bと延設接合部31aとが二股に分かれたV字部分が形成されている。主底部31bと延設接合部31aとは、折曲線31cを介して連接されている。前方底端板34は、折曲線39を底辺とする略台形形状を有している。
後方底側板32は、前方底側板31と対向配置されており、該前方底側板31と同じ構成を有している。また、後方底端板33は、前方底端板34と対向配置されており、該前方底端板34と同じ構成を有している。
本実施形態における周壁部2の下端側の開口部は正方形となっている。前方底側板31と後方底側板32とは、前記正方形(周壁部2の下端側の開口部)の中心を対称点として点対称に形成されている。また、前方底端板34と後方底端板33とは、前記正方形(周壁部2の下端側の開口部)の中心を対称点として点対称に形成されている。
【0038】
包装箱1では、前方底端板34が前方底側板31よりも内面側に位置するように、前方底端板34と前方底側板31とは重なった状態で接合されている。具体的には、延設接合部31aと前方底端板34とが、これらの斜辺どうしの位置が一致するように重なった状態で接合されている。このように、前方底端板34と前方底側板31とが重なった状態で接合されたものを、以下、「前方底板35a」ともいう。
これと同様に、後方底端板33が後方底側板32よりも内面側に位置するように、後方底端板33と後方底側板32とは重なった状態で接合されている。具体的には、延設接合部32aと後方底端板33とが、これらの斜辺どうしの位置が一致するように重なった状態で接合されている。このように、後方底端板33と後方底側板32とが重なった状態で接合されたものを、以下、「後方底板35b」ともいう。
前方底端板34と前方底側板31との接合、及び後方底端板33と後方底側板32との接合には、接着剤、両面テープ、ステープラー等の公知の接合手段が用いられている。
【0039】
前方底側板31の主底部31bの先端部を後方底端板33の内面側に差し込み、後方底側板32の主底部32bの先端部を前方底端板34の内面側に差し込むことにより、前方底板35aと後方底板35bとが互い違いになるように、該前方底板35aと後方底板35bとを重ねる。これにより、前方底側板31のV字部分と、後方底側板32のV字部分とが係合し、周壁部2の下端部側の開口部が、底面部3によって閉塞される(
図7参照)。
【0040】
包装箱1に収容される製品4は、特に制限されず、化粧品以外のものであってもよい。例えば、ヘアケア製品、加工食品、飲料、調味料、菓子類、玩具、書籍、音楽又は映像が記録されたCDやDVD、スマートフォン等の電子情報端末、電子部品等が挙げられる。
付属品5は、製品の使用時に用いられる道具であってもよく、該道具以外のものであってもよい。製品4が化粧品の場合、付属品5としては、ミニブラシ、スポンジ、該化粧品の使用方法が記載された説明書又は化粧料が充填された試供品サンプルであってもよい。
【0041】
次に、包装箱1の形成部材について詳述する。
本実施形態の包装箱1は、
図8に示す一枚のブランク6を用いて形成される。斯かるブランク6は、包装箱1を展開した所定の形状となるように、一枚の薄板状の紙製シート材料を、打ち抜いて裁断することで、容易に得ることができる。
【0042】
ブランク6には、筋押し等の折れ癖加工や、切り込み加工等を施すことにより、各部の折曲線、スリット係止部15や挿入孔14a,14b等が適宜の箇所に設けられている。これにより、ブランク6を用いることで、
図1に示すような立体形状をなす包装箱1を容易に組み立てることができる。
【0043】
本実施形態のブランク6は、
図8に示すように、一方向に長い形状を有し、その長手方向と、該長手方向に直交する直交方向とを有している。ブランク6の長手方向は、筒状の周壁部2の周方向に対応し、ブランクの直交方向は、包装箱1の高さ方向Zに対応する。ブランク6では、その長手方向に沿って前方正面板21、側面板24、後方正面板22、及び側面板23が連結している。これら隣り合う板21,24,22,23どうしの境界部分には、折曲線26が形成されている。折曲線26は、ブランク6の長手方向に直交するように延びている。ブランク6の長手方向における一方の端部には継ぎしろ部25が設けられており、同長手方向において該継ぎしろ部25に前方正面板21が隣接して配されている。また、ブランク6の長手方向における他方の端部には側面板23が配されている。
【0044】
ブランク6において前方正面板21は、直交方向の一端側に、折曲線36を介して前方底側板31が連接されている。
ブランク6において前方正面板21と隣接する側面板24は、直交方向の一端側に、折曲線39を介して前方底端板34が連接されており、該直交方向の他端側に、折曲線17を介して保持サイドフラップ12が連接されている。
ブランク6において側面板23,24間に位置する後方正面板22は、直交方向の一端側に、折曲線37を介して後方底側板32が連接されており、該直交方向の他端側に、折曲線16を介して上面メインフラップ11が連接されている。
ブランク6において長手方向の端部に位置する側面板23は、直交方向の一端側に、折曲線38を介して後方底端板33が連接されており、該直交方向の他端側に、折曲線18を介して係止サイドフラップ13が連接されている。
【0045】
ブランク6において上面メインフラップ11には、直交方向の折曲線16とは反対側の端縁に差し込みフラップ11aが連接されている。差し込みフラップ11aと上面メインフラップ11とは、折曲線11bによって区分されており、該折曲線11bの延在方向の中央に、該延在方向に沿った切り込みが形成されている。
ブランク6の長手方向において、上面メインフラップ11は、これと隣り合う上面サイドフラップ12,13それぞれと互いに連接されておらず、切り込みによって区分されている。
【0046】
図8に示すブランク6は、折曲線26に沿って筒状に折り曲げ、継ぎしろ部25をブランク6の長手方向の他端に位置する側面板23に接合することにより、筒状の周壁部2を形成することができる。次いで、前方底端板34と前方底側板31とを接合して、前方底板35aを形成するとともに、さらに後方底端板33と後方底側板32とを接合して、後方底板35bを形成する。その後、前方底側板31のV字部分と、後方底側板32のV字部分とを係合させて、前方底板35aと後方底板35bとを重ね、底面部3を形成する。次いで、折曲線16,17,18に沿って折り曲げることで、上面メインフラップ11と上面サイドフラップ12,13を形成し、包装箱1を組み立てる。
【0047】
包装箱1に製品4及び付属品5を収容する場合は、先ず、該包装箱1の収容空間に製品4を収容する。次いで、保持サイドフラップ12に付属品5を固定し、該保持サイドフラップ12の先端側角部12aを係止サイドフラップ13のスリット係止部15に差し込んで、上面サイドフラップ12,13を互いに固定する。次いで、上面サイドフラップ12,13の上に、上面メインフラップ11を重ね、差し込みフラップ11aを、前方正面板21と上面サイドフラップ12,13との間に差し込んで、封緘する。斯かる包装箱1において、上面メインフラップ11の上から、別部材のシールを貼付してもよい。
【0048】
本発明の包装箱1は、
図1~8に示す実施形態に限定されない。以下に、本発明に係る包装箱の別の実施形態について説明する。以下では、別の実施形態について、
図1~8に示す実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、
図1~8に示す実施形態についての説明が適宜適用される。
【0049】
上述した
図1~8に示す実施形態の付属品5は、一方向に長い形状を有するものであったが、付属品5は、一方向に長い形状でなくてもよい。例えば、付属品5は、
図9に示すように、正方形の扁平体であってもよい。
図9に示す付属品5は、2枚のアルミシートの周縁どうしを接合してなる扁平状の袋体に、化粧料が充填されたアルミパックである。アルミパックの充填物は、化粧料であってもよい。また、前記充填物は、製品に対応して使用される他の添加剤であってもよい。
【0050】
また、保持サイドフラップ12は、付属品5の形状に応じて、該保持サイドフラップ12に形成される挿入孔14c,14dの平面視形状や配置を適宜変更してもよい。例えば、正方形等の矩形形状を有する付属品5の固定を容易に且つより安定させる観点から、保持サイドフラップ12では、該矩形(付属品5)において対向する角部に対応する位置に、該角部それぞれを差し込み可能な挿入孔14c,14dが形成されていてもよい(
図9参照)。
【0051】
上述した
図1~8に示す実施形態の付属品5は、保持サイドフラップ12に1個の付属品5が固定されていたが、該保持サイドフラップ12には2個以上の複数の付属品5が固定されていてもよい。例えば、
図10に示す包装箱1では、保持サイドフラップ12の表裏(内面及び外面)に、付属品としてアルミパック5aとスパチュラ5bとが固定されている。
図10では、保持サイドフラップ12に
図6に示す挿入孔14a,14bと、
図9に示す挿入孔14c,14dとが形成されている。
図10に示す実施形態の保持サイドフラップ12は、内面にスパチュラ5bが固定され、外面にアルミパック5aが固定されている。斯かる包装箱1は、複数の付属品5a,5bを収容しながらも、これら付属品5a,5bを視認し易く且つ取り出し易い。
また、
図10に示す実施形態に代えて、保持サイドフラップ12の内面及び外面それぞれに同じ形状の付属品(例えば前記アルミパック等の扁平状の袋体)が固定されていてもよい。
【0052】
本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。また、上述した実施形態を組み合わせてもよい。
例えば、底面部3はワンタッチ底でなくてもよく、一対の底面サイドフラップと底面メインフラップとを重ね合わせて形成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 包装箱
2 周壁部
3 底面部
4 製品
5 付属品
6 ブランク
10 上面部
11 上面メインフラップ
11a 差し込みフラップ
12 保持サイドフラップ
12a 先端側角部
13 係止サイドフラップ
15 スリット係止部
14a,14b 挿入孔
21 前方正面板
22 後方正面板
23,24 側面板
25 継ぎしろ部
31 前方底側板
31a 延設接合部
31b 主底部
31c 折曲線
32 後方底側板
32a 延設接合部
32b 主底部
32c 折曲線
33 後方底端板
34 前方底端板
35a 前方底板
35b 後方底板
V 収容空間
X 奥行方向
Y 幅方向
Z 高さ方向