(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172881
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】二酸化炭素処理剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 13/08 20060101AFI20221110BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20221110BHJP
B01D 53/81 20060101ALI20221110BHJP
B01D 53/92 20060101ALI20221110BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20221110BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20221110BHJP
B01J 20/04 20060101ALI20221110BHJP
B01J 20/16 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
C01B13/08
B01D53/62 ZAB
B01D53/81
B01D53/92 240
B01D53/92 350
B01D53/86 243
B01D53/94 243
B01J20/04 C
B01J20/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079211
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】507062624
【氏名又は名称】オードメルス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502350939
【氏名又は名称】五島 義高
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100138955
【弁理士】
【氏名又は名称】末次 渉
(72)【発明者】
【氏名】五島 義高
(72)【発明者】
【氏名】青木 英樹
(72)【発明者】
【氏名】國分 秀博
(72)【発明者】
【氏名】杉山 善信
(72)【発明者】
【氏名】小島 正弘
【テーマコード(参考)】
4D002
4D148
4G042
4G066
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002BA03
4D002BA04
4D002BA06
4D002DA05
4D002DA06
4D002DA08
4D002DA11
4D002DA22
4D002DA41
4D002DA45
4D002GA01
4D002GB08
4D148AA30
4D148AB02
4D148BA11X
4D148BA36X
4D148BA41X
4D148DA03
4D148DA11
4D148EA04
4G042AA01
4G042BA05
4G042BB02
4G042BB03
4G066AA16B
4G066AA30B
4G066BA09
4G066CA35
4G066DA02
4G066FA02
4G066FA21
4G066FA37
(57)【要約】
【課題】熱処理を要さずに二酸化炭素を固定、分解可能な二酸化炭素処理剤、及び、水素ガス雰囲気下での熱処理を要さずとも酸素欠陥マグネタイトを含有する二酸化炭素処理剤の製造方法を提供する。
【解決手段】二酸化炭素処理剤は、酸化マグネシウム、酸素欠陥マグネタイト、及び、ゼオライトを含有する。二酸化炭素処理剤の製造方法は、マグネタイトとゼオライトを混合、攪拌してゼオライトの細孔内にマグネタイトを充填した混合粉末を得る工程と、混合粉末に水を加えた混合体を得る工程と、混合体に酸化マグネシウムの微粉末を付着させ、乾燥させる工程と、を備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化マグネシウム、酸素欠陥マグネタイト、及び、ゼオライトを含有する、
ことを特徴とする二酸化炭素処理剤。
【請求項2】
前記酸化マグネシウム、前記酸素欠陥マグネタイト、及び、前記ゼオライトの総量に占める前記酸化マグネシウムの含有量が3~75重量%、前記酸素欠陥マグネタイトの含有量が10~90重量%、前記ゼオライトの含有量が0.1~20重量%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素処理剤。
【請求項3】
前記酸化マグネシウム、前記酸素欠陥マグネタイト、及び、前記ゼオライトの総量に占める前記酸化マグネシウムの含有量が40~60重量%、前記酸素欠陥マグネタイトの含有量が25~55重量%、前記ゼオライトの含有量が1~17重量%である、
ことを特徴とする請求項2に記載の二酸化炭素処理剤。
【請求項4】
炭素粉末を3~20重量%含有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の二酸化炭素処理剤。
【請求項5】
カルシウム化合物粉末を3~20重量%含有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の二酸化炭素処理剤。
【請求項6】
アルミニウム粉末を3~20重量%含有する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の二酸化炭素処理剤。
【請求項7】
ケイ素粉末を3~20重量%含有する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の二酸化炭素処理剤。
【請求項8】
アルミニウムケイ酸塩を含有し、
前記酸化マグネシウム、前記酸素欠陥マグネタイト、及び、前記ゼオライトの総量と前記アルミニウムケイ酸塩との重量比が99.1:1~65:35である、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の二酸化炭素処理剤。
【請求項9】
マグネタイトとゼオライトを混合、攪拌して前記ゼオライトの細孔内に前記マグネタイトを充填した混合粉末を得る工程と、
前記混合粉末に水を加えた混合体を得る工程と、
前記混合体に酸化マグネシウムの微粉末を付着させ、乾燥させる工程と、を備える、
ことを特徴とする二酸化炭素処理剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素処理剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の要因として、発電所や工場、自動車など化石燃料を使用する施設から排出される二酸化炭素の放出量が増大したことが挙げられる。二酸化炭素の排出を削減するべく、自然エネルギーの利用が進められているものの、まだ化石燃料を使用せざるを得ない状況が続くとみられている。このため、排出された二酸化炭素の分解除去技術や固定化技術の開発が望まれている。
【0003】
二酸化炭素の分解除去技術や固定化技術として、半導体光触媒法、金属コロイド触媒、金属錯体、酵素等による光化学的還元法、電気化学的還元法、化学的固定変換方法など、これまで種々の方法が提案されている。そのほか、酸素欠陥マグネタイトを用いて二酸化炭素を分解する方法も提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。特許文献1、非特許文献1によれば、酸素欠陥マグネタイトの存在下で二酸化炭素を加熱することにより、二酸化炭素を炭素に分解することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】玉浦 裕、“マグネタイトを利用したCO2の分解除去と燃料化”、紙パ技協誌、45(5)、540-547、1991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、非特許文献1のように、酸素欠陥マグネタイトを用いて二酸化炭素を分解する方法は、比較的低温環境下で行えるものの、150℃以上、好ましくは250℃以上の熱エネルギーを要する。
【0007】
また、酸素欠陥マグネタイトを得る必要があるが、マグネタイトから酸素欠陥マグネタイトを得るためには、水素ガス雰囲気下、マグネタイトを290℃以上で加熱処理する必要がある。
【0008】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱処理を要さずに二酸化炭素を固定、分解可能な二酸化炭素処理剤、及び、水素ガス雰囲気下での熱処理を要さずとも酸素欠陥マグネタイトを含有する二酸化炭素処理剤の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点に係る二酸化炭素処理剤は、
酸化マグネシウム、酸素欠陥マグネタイト、及び、ゼオライトを含有する、
ことを特徴とする。
【0010】
また、前記酸化マグネシウム、前記酸素欠陥マグネタイト、及び、前記ゼオライトの総量に占める前記酸化マグネシウムの含有量が3~75重量%、前記酸素欠陥マグネタイトの含有量が10~90重量%、前記ゼオライトの含有量が0.1~20重量%であることが好ましい。
【0011】
また、前記酸化マグネシウム、前記酸素欠陥マグネタイト、及び、前記ゼオライトの総量に占める前記酸化マグネシウムの含有量が40~60重量%、前記酸素欠陥マグネタイトの含有量が25~35重量%、前記ゼオライトの含有量が1~17重量%であることが好ましい。
【0012】
また、炭素粉末を3~20重量%含有することが好ましい。
【0013】
また、カルシウム化合物粉末を3~20重量%含有することが好ましい。
【0014】
また、アルミニウム粉末を3~20重量%含有することが好ましい。
【0015】
また、ケイ素粉末を3~20重量%含有することが好ましい。
【0016】
また、アルミニウムケイ酸塩を含有し、
前記酸化マグネシウム、前記酸素欠陥マグネタイト、及び、前記ゼオライトの総量と前記アルミニウムケイ酸塩との重量比が99.1:1~65:35であることが好ましい。
【0017】
本発明の第2の観点に係る二酸化炭素処理剤の製造方法は、
マグネタイトとゼオライトを混合、攪拌して前記ゼオライトの細孔内に前記マグネタイトを充填した混合粉末を得る工程と、
前記混合粉末に水を加えた混合体を得る工程と、
前記混合体に酸化マグネシウムの微粉末を付着させ、乾燥させる工程と、を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、熱処理を要さずに二酸化炭素を固定、分解可能な二酸化炭素処理剤、及び、水素ガス雰囲気下での熱処理を要さずとも酸素欠陥マグネタイトを含有する二酸化炭素処理剤の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(二酸化炭素処理剤)
二酸化炭素処理剤は、酸化マグネシウム、酸素欠陥マグネタイト、及び、ゼオライトを含有している。二酸化炭素処理剤は、多孔性であるゼオライトの細孔に酸素欠陥マグネタイトが入り込んで結合しているとともに、酸化マグネシウムが付着している。主として、酸化マグネシウムによって、効率的に二酸化炭素が吸着、捕捉され、捕捉された二酸化炭素を酸素欠陥マグネタイトが分解し、酸素を放出する。二酸化炭素処理剤は、常温においても、二酸化炭素を分解して酸素を放出することができるので、熱処理を行わなくてもよい。
【0020】
酸化マグネシウム、酸素欠陥マグネタイト、及び、ゼオライト中に占める酸化マグネシウムの含有量は、3~75重量%、好ましくは20~60重量%、より好ましくは40~60重量%である。酸化マグネシウムが少なすぎると二酸化炭素の吸着、捕捉が促進され難く、一方、酸化マグネシウムが多すぎると相対的に酸素欠陥マグネタイトの含有量が少なくなるので、二酸化炭素の分解が進行し難くなる。
【0021】
酸化マグネシウム、酸素欠陥マグネタイト、及び、ゼオライト中に占める中の酸素欠陥マグネタイトの含有量は、10~90重量%、好ましくは25~70重量%、より好ましくは25~55重量%である。
【0022】
酸化マグネシウム、酸素欠陥マグネタイト、及び、ゼオライト中に占めるゼオライトの含有量は、0.1~20重量%、好ましくは1~17重量%、より好ましくは1~15重量%である。
【0023】
ゼオライトは、LTA型、FAU型など、特に制限されるものではないが、構造的には入り口が8員環で小細孔であるLTA型が望ましい。また、種類上は、アミチ沸石、方沸石、バレル沸石等があるが、結晶構造として六方、直方晶、立方晶、正方のものが望ましい。ゼオライトの具体例として、方沸石、シャンファ石、ポーリン沸石、ベルベルヒ沸石、エディントン沸石、エリオン沸石、フォージャス沸石、ガロン沸石などが挙げられる。
【0024】
(その他の成分)
二酸化炭素処理剤は、上記の成分の他、他の成分を含有していてもよい。例えば、炭素粉末、カルシウム化合物粉末を含有していてもよく、含有量は例えば、それぞれ3~20重量%である。
【0025】
また、二酸化炭素処理剤は、アルミニウム粉末、ケイ素粉末等を含有していてもよい。二酸化炭素処理剤中に占めるこれらの成分の含有量は、それぞれ、0.1~20重量%であることが好ましく、より好ましくは3~20重量%、更に好ましくは3~5重量%、最も好ましくは4~5重量%である。また、アルミニウムとケイ素の成分を含有する場合、アルミニウムとケイ素の比がアルミニウムを1としたとき、ケイ素が0.7~1の非晶質アルミニウムケイ酸塩であってもよい。非晶質アルミニウムケイ酸塩は二酸化炭素吸着材として広く知られている。アルミニウムケイ酸塩を含有する場合、酸化マグネシウム、酸素欠陥マグネタイト及びゼオライトの総量とアルミニウムケイ酸塩との重量比が99.1:1~65:35であることが好ましく、97:3~25:75であることがより好ましい。
【0026】
(二酸化炭素処理剤の製造方法)
二酸化炭素処理剤は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0027】
(工程1)
ゼオライトとマグネタイトとを混合し、機械的エネルギーを加えてゼオライトの微細孔にマグネタイトが入り込むようにする。機械的エネルギーを加えるには、例えば、底辺が半球、胴部が円筒状の撹拌容器内にゼオライトとマグネタイトを混入し、容器内の回転軸が多軸、すなわち回転軸が自転しつつ更にその回転軸を回転させるようにするとよい。具体的には、自転公転攪拌機、自転公転式ミキサー、遊星式攪拌機、攪拌脱泡機などの装置を用いて行うとよい。これらの装置にて発生する遠心力による材料対流とせん断応力によって、ゼオライトとマグネタイトとが混合され、高い機械的エネルギーが付与される。これにより、ゼオライトの細孔にマグネタイトが入り込むことになる。また、容器内の相対湿度を50%前後(±5%)にして行うことが望ましい。
【0028】
(工程2)
工程1で得られた混合粉末に水を加える。乾燥したゼオライトは、水を吸収して発熱するが、ゼオライトは微細構造を持ち、その領域内において部分的に大量の熱が発生する。また、ゼオライトは水に浸漬されると、水素を発生させる。この発熱、及び、水素発生のメカニズムによって、ゼオライトに混入されたマグネタイトが酸素欠陥マグネタイトに変換される。なお、水は混合粉末に対して40~60重量%、好ましくは50重量%程度加えるとよい。
【0029】
(工程3)
工程2で得られた混合体に酸化マグネシウムを付着させる。混合体に酸化マグネシウムを均質に付着させることができればどのような手法で行ってもよく、例えば、工程2において混合粉末に水を加えた後、平面状に引き延ばした混合体に、酸化マグネシウムの粉末を振りかけることで行い得る。酸化マグネシウムの粉末は微粉末状であることが好ましく、例えば、平均粒径が20μm以下、好ましくは10μm以下である。
【0030】
(工程4)
続いて、酸化マグネシウムを付着させた状態にて乾燥させる。乾燥は加温して乾燥させてもよいが、自然乾燥でも行い得る。以上のようにして、二酸化炭素処理剤を製造し得る。
【0031】
本実施の形態の二酸化炭素処理剤の製造方法では、常温でも酸素欠陥マグネタイトを含有する二酸化炭素処理剤を製造することができるので、従来のような水素ガス雰囲気下での加熱処理を要さず、製造コストに優れる。
【0032】
得られた二酸化炭素処理剤は、破砕して粒状、粉末状にして使用してもよい。二酸化炭素処理剤は、単体として使用するほか、基材や素材に混入させたり塗布したりして使用することもできる。基材や素材として、例えば、アスファルト等の道路材、ペンキ等の塗料、塗材、着色剤、接着剤、セメント、建材、外装材、内装材、天井材などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0033】
なお、上述した炭素やカルシウム化合物、アルミニウム、ケイ素、アルミニウムケイ酸塩等、他の成分を含有する二酸化炭素処理剤を得る場合、これらの粉末を上述の工程3において、酸化マグネシウム粉末とともに添加してもよく、工程3で酸化マグネシウム粉末を付着、乾燥させた後に添加、混合してもよい。また、各成分の配合量については、上述した二酸化炭素処理剤の配合量(混合するマグネタイトの配合量については、酸素欠陥マグネタイトの配合量)に準ずる。
【実施例0034】
(実験1)
酸化マグネシウム、マグネタイト、ゼオライトを表1に示す配合比で配合し、各試料(試料No.1~23)を製造した。
【0035】
各試料は、それぞれ以下のようにして製造した。
底辺が半球、胴部が円筒状の撹拌容器内にゼオライトとマグネタイトを混入した。そして、攪拌容器を自転公転攪拌機にセットして攪拌した。なお、容器内の相対湿度を50%にして行った。
得られた混合粉末に水(混合粉末に対して重量比50%)を加えて攪拌し、平面状に引き伸ばした混合体を得た。
直方体の容器内に酸化マグネシウムを均一に入れた。なお、この容器の底部には直径0.5mm程度の穴が等間隔に開けられており、この底部にアルミニウム製の遮蔽板を設置している。酸化マグネシウムを入れた容器を平面状に引き延ばした混合体の上に置いた。そして、遮蔽板を取り除き、これを水平方向に前後左右へシャッフルしつつ、酸化マグネシウムの粉末を混合体の上に均一に振りかけた。
酸化マグネシウム粉末を振りかけた後、この状態で乾燥させることで、各試料を製造した。
【0036】
製造した各試料について、二酸化炭素の分解、酸素発生の検証実験を行った。実験は以下のようにして行った。
試験用バットに試料(300g)を入れ、蒸留水300mLを入れて攪拌した。
試験用バットを袋に入れて密閉した後、ガス注入口から順次、一酸化炭素、二酸化炭素を一定量注入した。ガス注入後、袋内の二酸化炭素濃度、一酸化炭素濃度、酸素濃度を赤外線吸収式二酸化炭素濃度計、非分散型赤外線吸収式一酸化炭素濃度計、ジルコニア式酸素濃度計を用いてそれぞれ測定した。
袋内の二酸化炭素、酸素、及び、一酸化炭素の初期濃度は、それぞれ以下の通りであった。
・二酸化炭素の初期濃度: 21,400ppm
・酸素の初期濃度 :129,700ppm
・一酸化炭素の初期濃度: 32ppm
そして、このまま24時間放置した。24時間後の袋内の二酸化炭素濃度、酸素濃度、一酸化炭素濃度を上記と同様の手法にてそれぞれ測定した。24時間後の袋内の各気体の濃度を表1に示す。
【0037】
【0038】
いずれの試料においても、二酸化炭素濃度の減少が見られた。特に、試料中の酸化マグネシウムの含有量が40重量%以上の試料(No.4,6,7,8,11~23)では、大幅な二酸化炭素濃度の減少が見られた。
【0039】
また、試料No.5,7,12~16,19,20,23では、酸素濃度の増加も見られた。特に、試料No.12~16,19,20で増加量が多かった。結果にばらつきは見られるものの、概ね、酸化マグネシウム40~60重量%、マグネタイト32~47重量%、ゼオライト1~13重量%の配合比で得られた試料において、二酸化炭素を分解し、酸素を発生させる効果が高いと考えられる。
【0040】
なお、いずれの試料においても一酸化炭素濃度は増加しておらず、二酸化炭素は一酸化炭素に分解されず、酸素が生成していることがわかる。
【0041】
このように、二酸化炭素と二酸化炭素処理剤とを常温環境下で介在させても、二酸化炭素を固定、分解し、酸素を発生させる二酸化炭素処理剤を提供できること、また、この二酸化炭素処理剤は、常温で製造していることから、水素ガス雰囲気下での加熱処理を要さずとも酸素欠陥マグネタイトを含有する二酸化炭素処理剤を製造できることを立証した。
【0042】
(実験2)
酸化マグネシウム60重量%、マグネタイト32重量%、ゼオライト8重量%の試料(実験1の試料No.15)に対し、アルミニウムケイ酸塩を添加し、その効果を検証した。
【0043】
試料No.15とアルミニウムケイ酸塩を表2、3に示す配合比で配合し、各試料(試料No.31~74)を調製した。
【0044】
そして、実験1と同様の手法にて、二酸化炭素の分解、酸素発生の検証実験を行った。24時間後の袋内の各気体の濃度を表2、3に示す。なお、袋内の二酸化炭素、酸素、及び、一酸化炭素の初期濃度は、それぞれ以下の通りであった。
・二酸化炭素の初期濃度: 21,400ppm
・酸素の初期濃度 :129,700ppm
・一酸化炭素の初期濃度: 32ppm
【0045】
【0046】
【0047】
全ての試料(試料No.31~74)で二酸化炭素濃度が大幅に減少し、酸素濃度が増加している。特に、概ね試料NO.42~58で酸素濃度の増加が大きく、アルミニウムケイ酸塩が3~25重量%であることが特に好ましいことがわかる。なお、いずれの試料においても一酸化炭素濃度は増加しておらず、二酸化炭素は一酸化炭素に分解されず、酸素が生成していることがわかる。