(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172889
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】吐出容器入り薬液
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20221110BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20221110BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221110BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20221110BHJP
A61K 31/416 20060101ALN20221110BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P1/02
A61P29/00
A61K9/12
A61K31/416
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079219
(22)【出願日】2021-05-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.2020年5月8日 https://www.mons-sapporo.co.jp/apstj35/timetable.html にて発表 2.2020年11月26日 https://www.aaps.org/aaps/pharmsci/annual-meeting https://virtual.aaps.org/aaps/#!▲*▼menu=6▲*▼browseby=3▲*▼sortby=2 にて発表 3.2021年4月1日 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cpb/69/4/69_c21-00035/_html/-char/en にて発表 4.2021年5月7日 https://www.apstj.org/36/assets/pdf/apstj36_abstracts.pdf にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507219686
【氏名又は名称】静岡県公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】岡林 正憲
(72)【発明者】
【氏名】渡部 早紀
(72)【発明者】
【氏名】相澤 貴志
(72)【発明者】
【氏名】王 欣
(72)【発明者】
【氏名】内田 信也
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 康治
(72)【発明者】
【氏名】並木 徳之
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA27
4C076BB22
4C076BB23
4C076CC15
4C076EE32V
4C076FF68
4C084AA17
4C084MA13
4C084MA57
4C084NA10
4C084ZA67
4C084ZB11
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC37
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA10
4C086ZA67
(57)【要約】
【課題】薬剤による口腔内の治療において高い服薬アドヒアランスを実現可能とする技術を提供する。
【解決手段】本発明の吐出容器入り薬液10Aは、口腔内治療用の薬剤と起泡剤と水とを含んだ薬液200と、前記薬液200を収容し、前記薬液200を泡の形態で吐出する吐出容器1とを備え、口腔内に泡の形態で前記薬液200を適用するために使用される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内治療用の薬剤と起泡剤と水とを含んだ薬液と、
前記薬液を収容し、前記薬液を泡の形態で吐出する吐出容器と
を備えた、口腔内に泡の形態で前記薬液を適用するために使用される吐出容器入り薬液。
【請求項2】
前記泡を0.07g/cm3乃至0.50g/cm3の泡密度の範囲で吐出する請求項1に記載の吐出容器入り薬液。
【請求項3】
前記起泡剤はメチルセルロースを含んだ請求項1又は2に記載の吐出容器入り薬液。
【請求項4】
前記薬剤は口腔粘膜炎治療用の薬剤である請求項1乃至3の何れか1項に記載の吐出容器入り薬液。
【請求項5】
口腔内治療用の薬剤と起泡剤と水とを含み、泡の形態で口腔内に適用するための薬液。
【請求項6】
前記起泡剤はメチルセルロースである請求項5に記載の薬液。
【請求項7】
前記薬剤は口腔粘膜炎治療用の薬剤である請求項5又は6に記載の薬液。
【請求項8】
口腔内治療用の薬剤と起泡剤と水とを含んだ、泡の形態の薬液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器入り薬液に関する。
【背景技術】
【0002】
抗がん剤治療に伴う副作用は、治療を受けたほぼ全ての患者が経験する。この副作用、例えば、骨髄抑制、悪心・嘔吐、脱毛、口腔粘膜炎、末梢神経障害、又は皮膚障害の発現頻度は、薬剤の種類により様々である。中でも口腔粘膜炎は、がんの薬物療法(化学療法)及び放射線治療に伴って発現する頻度が高い副作用の一つである。具体的には、口腔粘膜炎は、標準的な化学療法を受けている患者の20乃至40%に起こり、造血幹細胞移植前に高用量化学療法を受けている患者の80%に起こる。また、頭頸部がんに対しての化学療法又は放射線治療を受けている患者については、ほぼ全ての患者で口腔粘膜炎が起こる。
【0003】
重症な口腔粘膜炎は、痛みを伴い、嚥下困難や経口摂取の減少を引き起こし、生活の質(QOL, Quality of life)を著しく悪化させる。更に、口腔内の炎症部位は、微生物が侵入し易い環境である。この炎症を生じている時期が骨髄抑制時期と重なると敗血症を引き起こす可能性がある。口腔粘膜炎が重症化することによる抗がん剤の減量や投与スケジュールの遅延は、その有効性を妨げ、生命予後への影響や医療経済の面においても影響を及ぼすことから、口腔粘膜炎を含む副作用管理の重要性が示されている。
【0004】
口腔粘膜炎の予防と治療については、がん治療に伴う粘膜障害に対する臨床診療ガイドラインにおいていくつかの方法が推奨されている。薬物療法としては、ベンジダミン(本邦未承認)やモルヒネの含嗽が推奨されている。また、抗がん剤による口腔粘膜炎の発生は、フリーラジカルの産生や炎症性サイトカインの産生が関与すると考えらえていることから、デキサメタゾン、ポラプレジンク、レバミピド及びアロプリノールなどの抗炎症作用及び抗酸化作用を有する薬剤による含嗽が有効性を示すという報告がなされている。
【0005】
例えば、特許文献1には、L-カルノシン亜鉛酸を有効成分とする含嗽用製剤が記載されている。また、この文献には、L-カルノシン亜鉛酸を有効成分とする口腔内軟膏剤も記載されている。
【0006】
含嗽液及び口腔内軟膏剤以外の口腔内用製剤として、スプレー剤がある。例えば、特許文献2には、ラジカルスカベンジャー、増粘剤、分散剤及びラジカルスカベンジャーの溶解剤を含有する口内炎用スプレー剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-17490号公報
【特許文献2】特開2002―255852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
含嗽液は、1回の使用量が多く、口腔内で長時間保持するのは困難である。更に、含嗽液には、誤嚥や、含嗽による刺激が口腔内の炎症部位において疼痛を起こすなどの懸念もある。また、含嗽液は、炎症部位の全面に接触し易く、また、炎症部位へ速く浸透するため、炎症部位を刺激し易い。これらのことから、含嗽液を用いた場合、低い服薬アドヒアランスにつながり易い。なお、服薬アドヒアランス(又はアドヒアランス)とは、患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けることを意味する。
【0009】
スプレー剤の場合、誤嚥のリスクは小さい。但し、スプレー剤の場合も、含嗽液ほどではないにしろ、刺激による疼痛を生じ得る。
【0010】
軟膏の場合、炎症部位への浸透を遅くすることができる。但し、軟膏を炎症部位に適用すると、炎症部位に圧力が加わり、この圧力による刺激が疼痛を生じさせる。このため、軟膏も、低い服薬アドヒアランスにつながり易い。さらに軟膏は広い範囲の炎症部位に適用しにくい。
【0011】
そこで、本発明は、薬剤による口腔内の治療において高い服薬アドヒアランスを実現可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面によると、口腔内治療用の薬剤と起泡剤と水とを含んだ薬液と、前記薬液を収容し、前記薬液を泡の形態で吐出する吐出容器とを備えた、口腔内に泡の形態で前記薬液を適用するために使用される吐出容器入り薬液が提供される。
【0013】
本発明の他の側面によると、口腔内治療用の薬剤と起泡剤と水とを含み、泡の形態で口腔内に適用するための薬液が提供される。
【0014】
本発明の更に他の側面によると、口腔内治療用の薬剤と起泡剤と水とを含んだ、泡の形態の薬液が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、薬剤による口腔内の治療において高い服薬アドヒアランスを実現可能とする技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る吐出容器入り薬液を示す断面図。
【
図2】
図2は、本発明の第2実施形態に係る吐出容器入り薬液を示す断面図。
【
図3】
図3は、参考例に係る吐出容器入り起泡剤水溶液について泡密度と粘度との関係を示すグラフ。
【
図4】
図4は、参考例に係る吐出容器入り起泡剤水溶液について排液率の経時的な変化を示すグラフ。
【
図5】
図5は、参考例に係る吐出容器入り起泡剤水溶液について排液率の経時的な変化を示すグラフ。
【
図6】
図6は、参考例に係る吐出容器入り起泡剤水溶液について排液率の経時的な変化を示すグラフ。
【
図7】
図7は、参考例に係る吐出容器入り起泡剤水溶液について排液率の経時的な変化を示すグラフ。
【
図8】
図8は、参考例に係る吐出容器入り起泡剤水溶液について排液率の経時的な変化を示すグラフ。
【
図9】
図9は、泡の吐出から5分後における排液率と泡密度との関係を示すグラフ。
【
図10】
図10は、泡の吐出から10分後における排液率と泡密度との関係を示すグラフ。
【
図11】
図11は、泡の吐出から15分後における排液率と泡密度との関係を示すグラフ。
【
図12】
図12は、泡の吐出から20分後における排液率と泡密度との関係を示すグラフ。
【
図13】
図13は、参考例に係る吐出容器入り起泡剤水溶液について総合的な服用し易さのVAS値の結果を示すグラフ。
【
図14】
図14は、参考例に係る吐出容器入り起泡剤水溶液について総合的な服用し易さのVAS値と泡密度との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、寸法比や形状は、実物とは異なる可能性がある。
【0018】
<1>第1実施形態
本発明の第1実施形態は、
口腔内治療用の薬剤と起泡剤と水とを含んだ薬液と、
前記薬液を収容し、前記薬液を泡の形態で吐出する吐出容器と
を備え、
前記吐出容器は、
前記薬液を収容した容器本体と、
前記容器本体に取り付けられた吐出装置と
を含み、
前記吐出装置は、
空気室と液室と混合室とを内部に有し、ポンピング動作において、前記容器本体から前記液室内に取得した前記薬液と前記空気室内の空気とを前記混合室へ供給して、前記薬液と前記空気とからなる泡を生じさせる泡生成動作と、前記容器本体内から前記薬液を前記液室内に取得するとともに、外部空間の空気を前記空気室へ導入する準備動作とを行うポンプユニットと、
前記泡が通過する吐出流路を内部に有し、前記泡を吐出するノズルユニットと、
前記吐出流路内に設置され、前記泡が通過する1以上のメッシュを含んだ多孔体と
を含んだ、口腔内に泡の形態で前記薬液を適用するために使用される吐出容器入り薬液に関する。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係る吐出容器入り薬液を示す断面図である。
図1に示す吐出容器入り薬液10Aは、吐出容器1と薬液200とを含んでいる。吐出容器入り薬液10Aは、口腔内で泡の形態で薬液200を適用するために使用される。先ず、吐出容器1の構成及びその動作について説明し、薬液200については後で詳しく説明する。
【0020】
<1.1>吐出容器
吐出容器1は、容器本体2と、吐出装置3と、管4とを含んでいる。吐出容器1は、容器本体2内に収容された薬液200を、吐出装置3によって泡の形態で吐出する所謂ハンドポンプである。なお、以下の説明では、吐出容器1の容器本体2側を下方とし、吐出装置3のノズルユニット16側を上方とする。
【0021】
容器本体2は、有底筒状である。容器本体2は、その上端で開口している。容器本体2は、この開口を含む上端部を、円筒状の第1固定部11として含んでいる。第1固定部11は、外周面に雄螺子部12を有している。
【0022】
吐出装置3は、支持部材15と、ノズルユニット16と、ポンプユニット17と、多孔体18とを含んでいる。吐出装置3は、支持部材15により容器本体2に固定されている。
【0023】
支持部材15は、第1被固定部21と、第2固定部23とを含んでいる。支持部材15は、例えば、樹脂からなる一体成形品である。
【0024】
第1被固定部21は、一方の開口側の部分で径が一定であり、他方の開口側の部分では、この開口へ向けて縮径した円筒形状を有している。第1被固定部21のうち上記一方の開口側の部分は、上記他方の開口側の部分の下方にある。第1被固定部21のうち上記一方の開口側の部分の内周面は、第1固定部11の外周面と向き合っている。この内周面は、第1固定部11の雄螺子部12と螺合した雌螺子部25を有している。これにより、第1被固定部21は、容器本体2の第1固定部11に固定されている。
【0025】
第2固定部23は、円筒形状を有している。第2固定部23は、第1被固定部21内に位置している。第2固定部23の上方の端部は、第1被固定部21の上方の端部と連続している。
【0026】
第2固定部23には、ノズルユニット16の外筒部31が挿入されている。第2固定部23の内周面は、その上方の端で全周に亘って内側へ突き出ている。この突出部は、ノズルユニット16を上下動する際にこれを案内する第1案内部22を構成している。
【0027】
ノズルユニット16は、外筒部31と、内筒部32と、天板部33と、ノズル部36とを含んでいる。ノズルユニット16は、例えば、樹脂からなる一体成形品である。ノズルユニット16は、内筒部32及びノズル部36内に、薬液200が通過する吐出流路34を有している。
【0028】
外筒部31は、第1案内部22からなる環に挿入されている。内筒部32は、その外周面が外筒部31の内周面と向き合うように外筒部31内に設置されている。内筒部32は、その内部に、吐出流路34の一部を構成する円柱状の第1流路部35を有している。
【0029】
天板部33は、外筒部31及び内筒部32の上方の開口を閉塞している。天板部33は、ノズル部36の一部を構成している。
【0030】
ノズル部36は、外筒部31の上端から斜め上方に向けて突出した筒形状、例えば円筒形状を有している。ノズル部36は、その内部に、内筒部32の第1流路部35と連通した第2流路部39を有している。
【0031】
ポンプユニット17は、シリンダユニット41と、ピストン42と、弁部43と、付勢部材44とを含んでいる。ポンプユニット17は、内部に、第1空気室45と、第2空気室46と、液室47と、混合室48とを有している。
【0032】
シリンダユニット41は、第1シリンダ部51と、第2シリンダ部52と、第2被固定部53と、取付部54とを含んでいる。シリンダユニット41は、例えば、樹脂からなる一体成形品である。
【0033】
第1シリンダ部51、第2シリンダ部52、第2被固定部53、及び取付部54の各々は、円筒形状を有しており、一方の開口が上方を向き、他方の開口が下方を向くように設置されている。第1シリンダ部51、第2シリンダ部52、第2被固定部53、及び取付部54は、同軸上に配置されている。
【0034】
第1シリンダ部51の壁部には、第1シリンダ部51の内部空間と容器本体2の内部空間とを連通する貫通孔51aが設けられている。貫通孔51aは、容器本体2の開口よりも下方であって、薬液200の液面よりも上方に位置している。
【0035】
第1シリンダ部51の上方の端部は、第2被固定部53の下方の端部と連続している。
【0036】
第2被固定部53は、第2固定部23の外側に第2被固定部53が位置するように第2固定部23と嵌合している。第2被固定部53は、その外周面にフランジ部53bを有している。フランジ部53bは、シール部材53aを介して、第1固定部11によって上方へ押圧されている。これにより、シリンダユニット41は、容器本体2及び支持部材15に対して固定されている。
【0037】
第2シリンダ部52は、第1シリンダ部51と比較して径が小さい。第2シリンダ部52の上方の端部は、第1シリンダ部51の下方の端部と連続している。
【0038】
取付部54の上方の端部は、第2シリンダ部52の下方の端部と連続している。取付部54の上方の端部は、径が一定であり、且つ、第2シリンダ部52の下方の端部と比較して径が小さい。これにより、シリンダユニット41の内面であって、取付部54と第2シリンダ部52との接続部に、円環状の座面52aを含んだ段差が形成されている。
【0039】
取付部54の下方の端部は、径が一定である。取付部54の下方の端部の径は、取付部54の上方の端部の径と比較してより小さい。
【0040】
取付け部54の中間部は、上方から下方へ向けて縮径している。この中間部の内面は、上方から下方へ向けて先細りした第1弁座55を構成している。
【0041】
ピストン42は、ロッド部61と、第1ピストン部62と、第2ピストン部63とを含んでいる。ロッド部61と第1ピストン部62との組み合わせは、例えば、樹脂からなる一体成形品である。
【0042】
ロッド部61は、第1嵌合部65と、第2嵌合部67、混合部66とを含んでいる。
【0043】
第1嵌合部65は、ロッド部61の一方の端部である。第1嵌合部65は、円筒形状を有している。第1嵌合部65は、その一端が内筒部32の内側に位置するように、内筒部32の下端と嵌合している。第1嵌合部65は、上方の端から所定の距離だけ離間した外面に、突起部65aを有している。突起部65aは、内筒部32の下方の端面と当接している。
【0044】
第2嵌合部67は、ロッド部61の他方の端部である。第2嵌合部67は、円柱形状を有している。第2嵌合部67の径は、第1嵌合部65と比較してより大きい。第2嵌合部67は、一方の底面が第1嵌合部65の下方の端部と連続している。第2嵌合部67には、一方の底面から他方の底面まで伸びた貫通孔が設けられている。この貫通孔の側壁には、後述する第2被嵌合部81と第2嵌合部67との間に、第1空気室45と混合室48とを連通する流路を形成する溝が設けられている。
【0045】
混合部66は、第1嵌合部65内で、第2嵌合部67の上面から上方へ突き出た突起である。具体的には、混合部66は、有底円筒形状を有している。混合部66の底部は、その開口の上方に位置している。混合部66は、その内部空間を混合室48として有している。混合部66の底部には、その外部空間と混合室48とを連通する貫通孔66aが設けられている。混合部66は、その内面に複数の突起部66bを有している。
【0046】
第1ピストン部62は、第1摺動部71と連結部72とを含んでいる。
【0047】
第1摺動部71は、高さ方向の中間位置で括れた円柱形状を有している。第1摺動部71のうち括れた部分は胴部71aであり、胴部71aを間に挟んで上下に位置した部分は端部71bである。
【0048】
第1摺動部71は、第1シリンダ部51内に設置されている。第1摺動部71の各端部71bは、その全周に亘って第1シリンダ部51の内周面と接している。胴部71aは、第1シリンダ部51の内周面から離間している。第1摺動部71は、第1シリンダ部51に対して上下方向へ摺動可能である。
【0049】
連結部72は、第1摺動部71を第2嵌合部67へ連結している。連結部72は、円筒形状を有している。連結部72は、第2嵌合部67を取り囲んでいる。連結部72と第2嵌合部67とは、それらの上端で連続しており、それらの間に円筒形状を有している溝74を形成している。連結部72は、その下端にフランジ部を有している。フランジ部の外周部は、第1摺動部71の内周面と連続している。このフランジ部には、溝74の近傍に貫通孔73が設けられている。
【0050】
第2ピストン部63は、第2被嵌合部81と、第2摺動部82と、フランジ部とを含んでいる。
【0051】
第2ピストン部63は、円筒形状を有している。第2ピストン部63は、一端を第2被嵌合部81として含み、他端を第2摺動部82として含んでいる。
【0052】
第2被嵌合部81は、第2嵌合部67と嵌合している。第2被嵌合部81の内周面のうち上方の部分は、上方から下方へ向けて縮径しており、第2弁座83を構成している。上記の通り、第2嵌合部67の貫通孔の側壁に設けられた溝は、第2被嵌合部81と第2嵌合部67との間に、第1空気室45と混合室48とを連通する流路を形成している。
【0053】
第2摺動部82は、少なくともその下端部の外周面が全周に亘って第2シリンダ部52の内周面と接している。第2摺動部82は、第2シリンダ部52に対して上下方向へ摺動可能である。
【0054】
第2摺動部82の上端における内径は、第2被嵌合部81の下端における内径と比較してより小さい。これにより、第2ピストン部63の内面であって、第2被嵌合部81と第2摺動部82との接続部に、円環状の第1座面部84を含んだ段差が形成されている。
【0055】
第2ピストン部63のフランジ部は、第2摺動部82の上端に設けられている。このフランジ部の上面は、第3弁座85である。
【0056】
弁部43は、第1弁体91と、第2弁体92と、第3弁体93と、第2案内部94とを含んでいる。
【0057】
第1弁体91は、例えば、金属又は樹脂からなる球体である。第1弁体91は、第1弁座55が形成している凹部内に設置されている。第1弁体91、その自重等によって第1弁座55と円環状に接触している。第1弁体91は、取付部54からの薬液200の流れを生じた場合には、第1弁座55から離間する。
【0058】
第2弁体92は、樹脂からなるポペット弁である。第2弁体92は、第2弁座83とともに、液室47から薬液200を吐出する吐出部を形成している。
【0059】
第2弁体92は、弁体部92aと軸体92bとを含んでいる。
【0060】
弁体部92aは、第2弁座83に沿った形状を有している。弁体部92aは、上部で凹んでおり、上方から下方へ向けて先細りした内部空間を形成している。弁体部92aは、その外周面が第2弁座83と当接している。ノズルユニット16が操作されると、ノズルユニット16に追従して第2ピストン部63が移動し、第2弁座83は弁体部92aから離間する。
【0061】
軸体92bは、その上端が弁体部92aの下端と連続している。軸体92bの下端には、軸体92bの径よりも大きな径を有する突起部92cが設けられている。
【0062】
第3弁体93は、固定体93aと、第1開閉弁93bと、第2開閉弁93cとを含んでいる。第3弁体93は、例えば、ゴム材料等の弾性変形が可能な材料からなる一体成形品である。
【0063】
固定体93aは、円筒形状を有している。固定体93aは、連結部72に設けられた溝74と嵌合している。これにより、第3弁体93は、第1ピストン部62に固定されている。
【0064】
第1開閉弁93bは、固定体93aの下端の外周に設けられている。第1開閉弁93bは、連結部72の下面に当接しており、これにより、貫通孔73を閉塞している。
【0065】
第2開閉弁93cは、固定体93aの下端の内周に設けられている。第2開閉弁93cは、第2ピストン部63の第3弁座85と当接しており、これにより、第1空気室45と混合室48とを連通する流路を閉塞している。
【0066】
第2案内部94は、例えば、樹脂からなる。第2案内部94は、円筒状部と、第2座面部94aと、突起部94cとを含んでいる。
【0067】
第2案内部94の円筒状部は、第2シリンダ部52内で、その長さ方向に伸びている。円筒状部には、その壁部に、円筒状部の長さ方向に各々が伸びた複数のスロット94bが設けられている。第2座面部94aは、円筒状部の下端の外周部から円環状に突出している。突起部94cは、円筒状部の上端の内周部から円環状に突出している。突起部94cは、第2弁体92の突起部92cと当接することで、第2弁体92の移動を規制する。
【0068】
付勢部材44は、金属からなるコイルばねである。付勢部材44は、第1座面部84と第2座面部94aとの間に設置されている。付勢部材44は、第1座面部84及び第2座面部94aを介して第2ピストン部63及び第2案内部94を互いから離間する方向に付勢する。
【0069】
第1空気室45は、第1シリンダ部51と、第1ピストン部62と、第2ピストン部63とによって囲まれた空間である。第1空気室45は、第1ピストン部62の往復動で容積が変化する。第1空気室45は、貫通孔73を介して第2空気室46と連通するとともに、第2嵌合部67の溝が形成している流路を介して混合室48と連通している。
【0070】
第2空気室46は、外筒部31と内筒部32との間に挟まれた空間部と、第2固定部23と第1シリンダ部51とロッド部61と第1ピストン部62とによって囲まれた空間部とからなる。第2空気室46は、第1案内部22と外筒部31との間の隙間を介して、外部空間と連通している。また、第2空気室46は、第1ピストン部62の端部71bが第1シリンダ部51の貫通孔51aよりも下方に位置しているときには、この貫通孔51aを介して容器本体2内の空間と連通する。
【0071】
液室47は、第2シリンダ部52と、第2ピストン部63と、第1弁体91と、第2弁体92とによって囲まれた空間である。液室47は、第2ピストン部63の往復動で容積が変化する。液室47は、第1弁体91が第1弁座55から離間することで、取付部54及び管4を介して容器本体2の内部と連通する。また、液室47は、第2弁体92の弁体部92aが第2ピストン部63の第2弁座83から離間することで、混合室48と連通する。
【0072】
混合室48は、混合部66内の空間である。混合室48は、貫通孔66aを介して二次側の吐出流路34と連通している。混合室48は、空気及び薬液200を混合し、空気が混合された薬液200を、貫通孔66aを介して二次側へ供給する。
【0073】
多孔体18は、ホルダ18aと、第1メッシュ18bと、第2メッシュ18cとを含んでいる。薬液200は、混合室48において空気と混合されることにより泡の形態となり、多孔体18を通過することにより、個々の泡の大きさが小さくなる。
【0074】
ホルダ18aは、円筒形状を有している。ホルダ18aは、第1嵌合部65と嵌合している。
【0075】
ホルダ18aの上方及び下方の開口部の各々は、開口面積が0.2乃至0.7cm2の範囲内にあることが好ましく、0.3乃至0.4cm2の範囲内にあることがより好ましい。ホルダ18aの上方の開口部とホルダ18aの下方の開口部とは、開口面積が異なっていてもよいが、等しい開口面積を有していることが好ましい。
【0076】
第1メッシュ18bは、多孔シートである。第1メッシュ18bは、ホルダ18aの下方の開口部に設置されている。
【0077】
第1メッシュ18bのメッシュ数M1は、60乃至330の範囲内にあることが好ましく、90乃至260の範囲内にあることがより好ましい。なお、メッシュ数は、1インチの長さ当たりの網目の数である。第2メッシュ18cのメッシュ数M2の範囲は、一例によると、第1メッシュ18bのメッシュ数M1と同等である。第2メッシュ18cのメッシュ数M2は、第1メッシュ18bのメッシュ数M1以上であることが好ましい。
【0078】
第1メッシュ18bの線径R1は、30乃至80μmの範囲内にあることが好ましく、40乃至70μmの範囲内にあることがより好ましい。第2メッシュ18cの線径R2は、第1メッシュ18bの線径R1と同等である。
【0079】
第2メッシュ18cは、多孔シートである。第2メッシュ18cは、ホルダ18aの上方の開口部に設置されている。
【0080】
第1メッシュ18bから第2メッシュ18cまでの距離は、10乃至20mmの範囲内にあることが好ましく、12乃至16mmの範囲内にあることがより好ましい。
【0081】
吐出流路34は、貫通孔66aと、ホルダ18aの内部空間と、第1流路部35と、第2流路部39とによって構成されている。吐出流路34は、混合室48からノズル部36の先端の開口へ至る流路を構成している。
【0082】
管4は、可撓性を有している。管4は、一端が取付部54と嵌合しており、他端が容器本体2の底部近傍に位置している。
【0083】
吐出容器1は、後述する泡生成動作において吐出する空気の大気圧下における体積V1(cm3)が、4乃至30cm3の範囲内にあることが好ましく、この泡生成動作において吐出する薬液200の質量V2(g)が0.3乃至15gの範囲内にあることが好ましい。
【0084】
<1.2>吐出容器の動作
次に、吐出容器1を用いた薬液200の吐出について説明する。
泡生成動作開始前の吐出容器1では、付勢部材44は、第2ピストン部63を第2案内部94から離間する方向に付勢している。従って、ノズルユニット16及びピストン42は上死点に維持されている。
【0085】
ノズルユニット16及びピストン42が上死点に位置している場合、第1空気室45及び液室47の各々は、容積が最大である。また、ノズルユニット16及びピストン42が上死点に位置している場合、第1弁体91、第2弁体92及び第3弁体93は閉状態にある。即ち、第1空気室45及び第2空気室46は互いから遮断され、第1空気室45及び混合室48は互いから遮断され、液室47及び混合室48は互いから遮断されている。
【0086】
泡生成動作は、ノズルユニット16が容器本体2に近接する方向へノズルユニット16を押圧することにより開始する。ノズルユニット16を押圧すると、ピストン42は上死点から下死点へ向けて移動する。具体的には、第1ピストン部62及び第2ピストン部63が下死点に向けて移動し、第1空気室45及び液室47の容積が漸次減少する。
【0087】
このとき、第1空気室45内の空気が、第1ピストン部62により圧縮されて、大気圧よりも高圧になる。その結果、第2開閉弁93cは、第1空気室45内の空気により押圧され、第3弁座85から離間する方向に移動して開状態となる。同時に、第1開閉弁93bは閉状態となる。これにより、第1空気室45が第2嵌合部67の溝を介して混合室48と連通し、第1空気室45内の空気が混合室48へ流入する。
【0088】
また、このとき、液室47の容積が減少するのに伴い、液室47内の薬液200及び空気も、大気圧よりも高圧になる。その結果、第1弁体91は、液室47内の薬液200により第1弁座55へ向けて押圧される。また、弁体部92aは、第2弁座83から離間する方向に押圧され、第2弁体92は開状態となる。これにより、液室47が混合室48と連通し、液室47内の薬液200が混合室48へ流入する。
【0089】
このようにして、第1空気室45の空気及び液室47の薬液200が混合室48へ流入することにより、薬液200は空気と混合される。混合室48で空気と混合された薬液200は、多孔体18を通過し、薬液200と空気とからなる泡の各々が微細化されるとともに、泡が均質化される。このようにして生じた泡の形態の薬液200は、ノズル部36の開口から吐出される。
【0090】
泡生成動作は、第1ピストン部62及び第2ピストン部63が下死点に到達することにより終了する。第1ピストン部62及び第2ピストン部63が下死点に到達すると、第1空気室45及び液室47の容積が最小となる。第1ピストン部62及び第2ピストン部63が下死点に位置している場合、付勢部材44は、第2ピストン部63の第1座面部84により押圧されて圧縮されている。
【0091】
ノズルユニット16及びピストン42が下死点に移動後、ノズルユニット16への押圧を解除することにより、準備動作が開始する。ノズルユニット16への押圧を解除すると、圧縮した付勢部材44は、復元力により伸張し、第1座面部84を介して第2ピストン部63を付勢する。これにより、ノズルユニット16及びピストン42は上死点へ向けて移動する。第1ピストン部62及び第2ピストン部63が、上死点へ向けて移動すると、第1空気室45及び液室47の容積が漸次増加する。
【0092】
第1空気室45が増加すると、第1空気室45内の空気は大気圧よりも低圧になる。第1空気室45内の空気が第2空気室46内の空気よりも低圧になると、第1開閉弁93bは第2空気室46内の空気により押圧されて連結部72から離間する方向に移動し、第3弁体93は開状態となる。同時に、第2開閉弁93cは閉状態となる。これにより、第1空気室45及び第2空気室46が連通し、第2空気室46内の空気が第1空気室45内へ流入する。
【0093】
また、液室47の容積が増加すると、液室47内の薬液200は大気圧よりも低圧になる。それ故、第2弁体92は閉状態となる。そして、液室47内の薬液200が大気圧よりも低圧になると、管4内の薬液200の圧力により第1弁体91は、第1弁座55から離間して開状態となる。これにより、容器本体2内の薬液200が液室47内へ流入する。
【0094】
その後、第1ピストン部62及び第2ピストン部63が上死点へ到達すると、第1空気室45及び液室47の容積は最大となる。これにより、準備動作が終了する。
【0095】
なお、準備動作後における液室47内の薬液200が規定の量まで達していない場合、これに続く泡生成動作では、泡を吐出できないか、又は、吐出される薬液200の量が不十分となる。この場合、例えば、準備動作後における液室47内の薬液200が規定の量に達するまで、泡生成動作と準備動作とを含むポンピング動作(プライミング)を繰り返し、その後の泡生成動作によって吐出された泡を口腔内へ適用する。
【0096】
<1.3>薬液
次に、薬液200について説明する。
【0097】
薬液200は、薬剤と起泡剤と水とを含んでいる。
【0098】
薬剤は、口腔内治療用の薬剤である。好ましくは、薬剤は口腔粘膜炎治療用の薬剤である。薬剤は、胃粘膜保護用、抗炎症用、痛風治療用、鎮痛用、又は解熱用の薬剤であってもよい。薬剤は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
【0099】
薬剤は、例えば、粘膜修復剤、粘膜保護・止血剤、消炎鎮痛剤、鎮痛剤(例えば、モルヒネ)、局所麻酔剤、及びラジカルスカベンジャーの1以上を含んでいる。
【0100】
粘膜修復剤は、例えば、線維素溶解酵素剤である。線維素溶解酵素剤は、例えば、フィブリノリジン・デオキシリボヌクレアーゼ、ストレプトキナーゼ・ストレプトドルナーゼ及びアズレンスルホン酸ナトリウムの1以上である。
【0101】
粘膜保護・止血剤は、例えば、アルギン酸ナトリウムである。
消炎鎮痛剤は、例えば、非ステロイド系抗炎症剤である。非ステロイド系抗炎症剤は、例えば、アスピリン、サリチル酸、メフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム、及びイブプロフェンの1以上である。
【0102】
局所麻酔剤は、例えば、ジブカイン、プロカイン、リドカイン、及びそれらの塩の1以上である。
【0103】
ラジカルスカベンジャーは、例えば、アロプリノール、消化性潰瘍治療剤及び蛋白分解酵素阻害剤の1以上である。消化性潰瘍治療剤は、例えば、レバミピド及びエンプロスチルの1以上である。蛋白分解酵素阻害剤は、例えば、メシル酸カモスタット及びメシル酸ガベキサートの1以上である。
【0104】
薬剤は、ポラプレジンク、ベンジダミン、デキサメタゾン、及びL-カルノシン亜鉛塩の1以上を含んでいてもよい。
【0105】
薬剤の量は、100質量部の水に対し、0.01質量部乃至3.20質量部の範囲内にあることが好ましく、0.28質量部乃至3.15質量部の範囲内にあることがより好ましい。
【0106】
起泡剤は、薬液200を吐出容器1で吐出する際に、薬液200を泡の形態にするものである。起泡剤は、低分子であってもよく、高分子であってもよい。
起泡剤は、例えば、界面活性剤、セルロース誘導体、及び多糖類の1以上である。
【0107】
セルロース誘導体は、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又はそれらの1以上である。好ましくは、セルロース誘導体は、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの少なくとも一方を含む。
【0108】
多糖類は、例えば、グァーガム、キチン、キトサン、又はそれらの1以上である。
【0109】
界面活性剤は、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、又はそれらの1以上である。アニオン界面活性剤は、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、及びN-アシルメチルタウリン塩の1以上である。ノニオン界面活性剤は、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリエチレングルコールエーテル、及びポリオキシプロピレンブロックポリマーの1以上である。界面活性剤は、好ましくは、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤の少なくとも一方を含む。
【0110】
起泡剤は、上記の成分に加え、補助界面活性剤を更に含んでいてもよい。補助界面活性剤は、例えば、脂肪酸モノエタノールアミド及び脂肪酸ジエタノールアミド等の高級アルコールである。
【0111】
好ましくは、起泡剤は、セルロース誘導体及び多糖類の少なくとも一方である。より好ましくは、起泡剤は、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの少なくとも一方である。更に好ましくは、起泡剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。起泡剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用した場合、メチルセルロースを使用した場合と比較して、薬液200の表面張力は小さい。表面張力が小さな薬液200は、泡立ちが良い。
【0112】
起泡剤の量は、100質量部の水に対し、0.1質量部乃至8.0質量部の範囲内にあることが好ましく、0.4質量部乃至6.0質量部の範囲内にあることがより好ましい。
【0113】
高分子の起泡剤を使用した場合、起泡剤の質量平均分子量は、10000乃至170000の範囲内にあることが好ましく、10000乃至70000の範囲内にあることがより好ましい。
【0114】
高分子の起泡剤を使用した場合、起泡剤の量の好ましい範囲は、その分子量に応じて異なる。即ち、質量平均分子量が10,000乃至70000の範囲内にある起泡剤の量は、100質量部の水に対して、1質量部乃至8質量部の範囲内にあることが好ましく、1質量部乃至6質量部の範囲内にあることがより好ましい。質量平均分子量が110,000乃至140000の範囲内にある起泡剤の量は、100質量部の水に対して0.2質量部乃至1.0質量部の範囲内にあることが好ましく、0.4質量部乃至0.8質量部の範囲内にあることがより好ましい。質量平均分子量が160,000乃至190000の範囲内にある起泡剤の量は、100質量部の水に対して0.1質量部乃至0.8質量部の範囲内にあることが好ましく、0.4質量部乃至0.6質量部の範囲内にあることがより好ましい。このような起泡剤を使用した場合、吐出容器入り薬液10Aは、小さな泡密度を有し、安定性に優れた泡を吐出する傾向にある。
薬液200は、pH調整剤を更に含んでいてもよい。pH調整剤は、例えば、クエン酸である。
【0115】
23℃における薬液200の粘度は、1.0mPa・s乃至150.0mPa・sの範囲内にあることが好ましく、2.0mPa・s乃至40.0mPa・sの範囲内にあることがより好ましい。薬液200の粘度が上記の範囲内にある場合、吐出容器入り薬液10Aはきめ細かい泡を吐出し易い。薬液200の粘度が高すぎると、小さい泡密度を有する泡が得られ難い。
【0116】
高分子の起泡剤を使用した場合であって、起泡剤の質量平均分子量が10,000乃至70000の範囲内にあるときには、23℃における薬液200の粘度は2.0mPa・s乃至40.0mPa・sの範囲内にあることが好ましい。
【0117】
薬液200の粘度は、L/Aロータを備えたTVB10形粘度計(東機産業株式会社製)を用いて測定することができる。測定における回転速度は3.0rpmとする。以下、粘度について温度の記載がない場合、23℃における粘度を表している。
【0118】
好ましくは、吐出容器入り薬液10Aは、泡を0.07g/cm3乃至0.50g/cm3の泡密度の範囲で吐出する。上記の範囲内の泡密度を有する泡は、口腔に適用した場合に、長時間に亘って泡の形態で口腔内に留まり易い。より好ましくは、吐出容器入り薬液10Aは、泡を0.07g/cm3乃至0.10g/cm3の泡密度の範囲で吐出する。
【0119】
泡密度の好ましい範囲は、薬液200の粘度に応じて異なる。薬液200の粘度が2.0mPa・s乃至40.0mPa・sの範囲内にある場合、吐出容器入り薬液10Aは、泡を0.07g/cm3乃至0.50g/cm3の泡密度の範囲で吐出することが好ましく、0.07g/cm3乃至0.1g/cm3の泡密度の範囲で吐出することがより好ましい。
【0120】
泡密度は、以下の方法により測定できる。先ず、容器を準備し、この容器の質量を測定する。次に、泡を上記の容器内に吐出し、泡の体積を測定する。次に、容器及び泡の合計質量を測定し、得られた合計質量から容器の質量を引いた値を泡の質量として得る。そして、泡の質量を泡の体積で割った値を泡密度として得る。
【0121】
好ましくは、吐出容器入り薬液10Aは、吐出後5分後において、0.1%乃至40%の排液率を有する泡を吐出する。上記の範囲内の排液率を有する泡は、口腔に適用した場合に、長時間に亘って泡の形態で口腔内に留まり易い。より好ましくは、吐出容器入り薬液10Aは、吐出後5分後において、6%乃至36%の排液率を有する泡を吐出する。
【0122】
排液率は、以下の方法により測定できる。先ず、ロート及び容器を準備し、これらの各々の質量を測定する。次に、容器上にロートを設置する。その後、ロートに泡を吐出する。次に、吐出から5分後において、容器内に落下した薬液の質量と容器の質量との合計質量を測定し、この合計質量と容器の質量との差を、容器内に落下した薬液の質量として得る。次に、吐出した泡の質量、ロートの質量及び容器の質量の合計質量を測定する。次に、この合計質量からロートの質量及び容器の質量を引いた値を吐出質量として得る。そして、容器内に落下した薬液の質量を吐出質量で割った値を排液率として得る。
【0123】
<1.4>効果
上記の通り、吐出容器入り薬液10Aは、薬液200を泡の形態で吐出する。即ち、吐出容器入り薬液10Aは、フォーム製剤を吐出する。
【0124】
フォーム製剤は、液状の製剤と比較して、軽量である。また、フォーム製剤は、密度が小さく、少量であっても口腔内において容易に広がる。それ故、フォーム製剤が口腔内の炎症部位へ与える物理的刺激は小さく、かつ口腔内の広範囲の粘膜に適用することができる。
【0125】
また、含嗽液を使用した場合には誤嚥のリスクがある。一方、フォーム製剤は、誤嚥のリスクが小さい。
【0126】
また、フォーム製剤は、含嗽液よりも口腔内に長時間保持し易い。このため、局所における薬剤の持続的な効果も得られ易い。
【0127】
上記の通り、フォーム製剤は、炎症部位に対する刺激が小さく、誤嚥のリスクが小さく、且つ、口腔内に長時間保持し易い。従って、吐出容器入り薬液10Aは、薬剤による口腔内の治療において高い服薬アドヒアランスを実現可能とする。吐出容器入り薬液10Aは、口腔粘膜炎による痛みを伴う患者の服薬アドヒアランス向上に特に有益である。
【0128】
なお、これまでに、医薬品としての泡状の薬液、即ちフォーム製剤は、皮膚、直腸、膣へ適用する例が存在するものの、口腔粘膜炎の予防及び治療を目的としたフォーム製剤の使用に関する報告はない。更に、フォーム製剤について、口腔内に適用できる製剤としてふさわしい物性を明らかにした報告もない。
【0129】
また、吐出容器入り薬液10Aは、準備動作時において、第1空気室45に一定量の空気を導入するとともに、液室47に一定量の薬液200を導入する。そして、泡生成動作時に、第1空気室45から混合室48へ所定量の空気を供給するとともに、液室47から混合室48へ所定量の薬液200を供給する。即ち、吐出容器入り薬液10Aによると、混合室48へ供給する空気の量と薬液の量との比を一定とすることができ、また、泡の形態にある薬液200の吐出量も一定とすることができる。
【0130】
<2>第2実施形態
本発明の第2実施形態は、
口腔内治療用の薬剤と起泡剤と水とを含んだ薬液と、
前記薬液を収容し、前記薬液を泡の形態で吐出する吐出容器と
を備え、
前記吐出容器は、
前記薬液を収容するとともに、押圧によって容積が変化する容器本体と、
前記容器本体に取り付けられた吐出装置と
を含み、
前記吐出装置は、
混合室を内部に有し、押圧によって前記容器本体の前記容積を減少させることによって前記容器本体から前記薬液と空気とが前記混合室へ供給された場合に、前記混合室において前記薬液と前記空気とからなる泡を生じさせ、前記泡を吐出するノズルユニットと、
前記ノズルユニット内に設置され、前記泡が通過する1以上のメッシュを含んだ多孔体と
を含んだ、口腔内に泡の形態で前記薬液を適用するために使用される吐出容器入り薬液に関する。
【0131】
図2は、本発明の第2実施形態に係る吐出容器入り薬液を示す断面図である。
図2に示す吐出容器入り薬液10Bは、吐出容器101と、図示しない薬液とを含んでいる。吐出容器入り薬液10Bが含んでいる薬液は、第1実施形態において説明した薬液200と同様である。吐出容器入り薬液10Bは、口腔内で泡の形態で薬液を適用するために使用される。以下、吐出容器101の構成及びその動作について説明する。
【0132】
<2.1>吐出容器
吐出容器101は、容器本体102と、吐出装置103と、管104とを含んでいる。吐出容器101は、容器本体102内に収容された薬液を、吐出装置103によって泡の形態で吐出するスクイズフォーマである。なお、以下の説明では、吐出容器101の容器本体102側を下方とし、吐出装置103側を上方とする。
【0133】
容器本体102は、有底筒状である。容器本体102は、その上端で開口している。容器本体102は、この開口を含む上端部を、円筒状の第1固定部として含んでいる。第1固定部は、外周面に雄螺子部を有している。容器本体102は、可撓性を有している。容器本体102は、例えば、樹脂からなる。
【0134】
吐出装置103は、第1支持部材143と、第2支持部材154と、第3支持部材161と、弁体193と、多孔体118とを含んでいる。第1支持部材143と、第2支持部材154と、第3支持部材161と、弁体193とは、ノズルユニットを構成している。
【0135】
第1支持部材143は、有底円筒形状を有している。第1支持部材143は、例えば、樹脂からなる一体成形品である。第1支持部材143は、ベースキャップとも呼ぶ。
【0136】
第1支持部材143の開口は、第1支持部材143の底部の下方にある。第1支持部材143の内周面のうち下方の部分は、第1固定部の外周面と向き合っている。この部分は、容器本体102の第1固定部の雄螺子部と螺合した雌螺子部を有している。これにより、第1支持部材143は、容器本体102の第1固定部に固定されている。
【0137】
第1支持部材143のうち第1固定部の外周面と向き合った部分には、その外周面を周回する溝が設けられている。以下、この部分を第2固定部と呼ぶ。
【0138】
第1支持部材143の底部には、複数の第1貫通孔143aと、複数の第2貫通孔143bと、第3貫通孔143cとが更に設けられている。第1貫通孔143aは、第1支持部材143の底部に対して同心状に配列している。第2貫通孔143bは、第1支持部材143の配列の内側で、第1支持部材143の底部に対して同心状に配列している。第3貫通孔143cは、第2貫通孔143bの配列の外側に設けられている。
【0139】
第1支持部材143の底部下面には、第2固定部が設けられている。第2固定部は、第1支持部材143の底部の内面から第1支持部材143の開口へ向けて各々が突き出ており、同心状に配置された第1及び第2円筒状突起部である。第1円筒状突起部の上端は、第1貫通孔143aの配列の内側に位置し、第2貫通孔143bの配列を取り囲んでいる。第2円筒状突起部の上端は、第1貫通孔143aの配列を取り囲んでいる。第2円筒状突起部の一部は、上端が、第1貫通孔143aの配列と第3貫通孔143cとの間に位置している。第2固定部は、第1支持部材143の底部下面側の空間を、第1貫通孔143a内の空間と連通した第1空間部と、第2貫通孔143b内の空間と連通した第2空間部と、第3貫通孔143c内の空間と連通した第3空間部とに仕切っている。
【0140】
第1支持部材143の底部下面には、突起片149が更に設けられている。突起片149は、第1貫通孔143a内の空間と連通した第1空間部内で、第1支持部材143の底部の内面から第1支持部材143の開口へ向けて突き出ている。
【0141】
第1支持部材143の底部上面には、円環状の溝が設けられている。この溝は、第1貫通孔143a及び第2貫通孔143bが円環の内側で開口し、第3貫通孔143cが円環の外側で開口するように設けられている。第1支持部材143の底部上面には、上記溝を取り囲んだ円筒状の第1突起部が更に設けられている。
【0142】
第2支持部材154は、円盤状部分と複数の突起部とを含んでいる。第2支持部材154は、例えば、樹脂からなる一体成形品である。第2支持部材154は、チューブホルダとも呼ぶ。
【0143】
第2支持部材154は、円盤状部分の一方の主面、ここでは上面から、円盤状部分の縁に沿って円筒状に突き出た第2突起部を含んでいる。第2支持部材154は、第2突起部の位置で、容器本体102の第1固定部と第1支持部材143の底部との間に挟まれている。また、第2支持部材154は、円盤状部分の上面から各々が突き出ており、同心状に配置された第3及び第4円筒状突起部を含んでいる。第3及び第4円筒状突起部は、それぞれ、第1支持部材143の第1及び第2円筒状突起部と嵌合している。更に、第2支持部材154は、円盤状部分の下面から突き出た第5円柱状突起部を含んでいる。第5円柱状突起部は、容器本体102の第1固定部と嵌合している。これにより、第2支持部材154は、第1支持部材143によって支持されるとともに、第1支持部材143及び容器本体102に対して固定されている。なお、第3円筒状突起部の内部空間は、第2貫通孔143bの内部空間と連通している。
【0144】
第2支持部材154の円盤状部分には、第3円筒状突起部と第4円筒状突起部との間に第4貫通孔が設けられている。第4貫通孔は、円盤状部分の下面では、第5円筒状突起部によって囲まれた空間内で開口している。第4貫通孔には、第1支持部材143の突起片149が挿入されている。これにより、第1支持部材143に対する第2支持部材154の回転を防止している。また、第4貫通孔は、第1貫通孔143aとともに、容器本体102の内部空間を第1支持部材143の上方の空間へ連通させている。
【0145】
第2支持部材154の円盤状部分には、その上面に、第2貫通孔143b内の空間と連通した第2空間部から、第3貫通孔143c内の空間と連通した第3空間部まで伸びた溝が更に設けられている。この溝は、第2空間と第3空間とを連通させる流路を構成している。
【0146】
第2支持部材154は、円盤状部分の中央部が下方へ突き出ている。第2支持部材154は、この中央部から下方へ更に突き出た取付部を更に含んでいる。取付部は、円筒形状を有しており、その内部空間は、第3円筒状突起部によって囲まれた空間と連通している。即ち、第2支持部材154の円盤状部分には、中心部に貫通孔が設けられており、この貫通孔の内部空間は、取付部の内部空間と連通している。
【0147】
第3支持部材161は、有底円筒形状を有している。第3支持部材161は、例えば、樹脂からなる一体成形品である。第3支持部材161は、ヒンジキャップとも呼ぶ。
【0148】
第3支持部材161の開口は、第3支持部材161の底部の下方にある。第3支持部材161の内周面は、第1支持部材143の外周面と向き合っている。第3支持部材161の内周面には、これを周回するように伸びた突起が設けられている。第3支持部材161の側壁部は第1支持部材143の第2固定部と嵌合しており、第3支持部材161の内周面に設けられた突起は、第2固定部の外周面に設けられた溝に係止されている。これにより、第3支持部材161は、第1支持部材143に固定されている。
【0149】
第3支持部材161の底部下面には、第1支持部材143の第1突起部が当接している。これにより、第3支持部材161は、第1突起部が形成している円環の内側で、第1支持部材143から離間している。
【0150】
第3支持部材161の底部は、上面が中央部で突き出ている。この突き出た部分は、ノズル部である。第3支持部材161の底部の下面は、上記の中央部で凹んでいる。この凹部内の空間は、混合室148である。第3支持部材161の底部には、この凹部の位置に貫通孔が設けられている。この貫通孔の内部空間は、上記凹部の内部空間と連通している。第3支持部材161のうち混合室よりも上方に位置した部分は、嵌合部である。
【0151】
第3支持部材161の底部下面には、混合室148を取り囲んだ側壁の位置に、円筒状の溝が設けられている。この溝の位置は、第1支持部材143の底部上面に設けられた円環状の溝の位置と一致している。そして、第3支持部材161の底部には、上記中央部を取り囲んだ周縁部に、第4貫通孔161aが更に設けられている。
【0152】
第3支持部材161は、ヒンジ部と、図示しない蓋部とを更に含んでいる。蓋部は、ヒンジ部を介して、第3支持部材161の底部と連結している。ヒンジ部は、第3支持部材161の底部が蓋部によって覆われた状態と、第3支持部材161の底部が蓋部によって覆われていない状態との間での切り替えを可能とする。
【0153】
弁体193は、固定体193aと、第1開閉弁193bと、第2開閉弁193cとを含んでいる。弁体193は、例えば、ゴム材料等の弾性変形が可能な材料からなる一体成形品である。
【0154】
固定体193aは、円筒形状を有している。固定体193aは、その上部が、第3支持部材161の底部下面に設けられた溝と嵌合している。これにより、弁体193は、第3支持部材161に固定されている。固定体193aの下端部は、第1支持部材143の底部上面に設けられた溝と嵌合している。
【0155】
第1開閉弁193bは、固定体193aの下端部近傍であって、その外周に設けられている。第1開閉弁193bは、第3支持部材161の底部下面周縁部に当接しており、これにより、第4貫通孔161aを閉塞している。
【0156】
第2開閉弁193cは、固定体193aの下端部近傍であって、その内周に設けられている。第2開閉弁193cは、第1支持部材143の底部上面周縁部に当接しており、これにより、第1貫通孔143a及び第2貫通孔143bを閉塞している。
【0157】
多孔体118は、ホルダ118aと、第1メッシュ118bと、第2メッシュ118cとを含んでいる。薬液は、混合室148において空気と混合されることにより泡の形態となり、多孔体118を通過することにより、個々の泡の大きさが小さくなる。
【0158】
ホルダ118aは、円筒形状を有している。ホルダ118aは、第3支持部材161の嵌合部と嵌合している。
【0159】
第1メッシュ118bは、多孔シートである。第1メッシュ118bは、ホルダ118aの下方の開口部に設置されている。
【0160】
第2メッシュ118cは、多孔シートである。第2メッシュ118cは、ホルダ118aの上方の開口部に設置されている。
【0161】
ホルダ118a、第1メッシュ118b及び第2メッシュ118cには、それぞれ、第1実施形態において、ホルダ18a、第1メッシュ18b及び第2メッシュ18cについて上述した構成を採用することができる。
【0162】
管104は、可撓性を有している。管104は、一端が第2支持部材154の取付部と嵌合しており、他端が容器本体102の底部近傍に、好ましくは、容器本体の底部の縁のうちヒンジ部に最も近い位置の近傍に位置している。
【0163】
<2.2>吐出容器の動作
次に、吐出容器101を用いた薬液の吐出について説明する。
吐出動作開始前の吐出容器101では、第1開閉弁193bは、第4貫通孔161aを閉塞している。また、第2開閉弁193cは、第1貫通孔143a及び第2貫通孔143bを閉塞している。
【0164】
吐出動作時には、吐出装置103が容器本体102の下方に位置するように吐出容器101を回転させる。次いで、容器本体102の胴部を押圧して、容器本体102を、その容積が減少するように変形させる。これにより、容器本体102内の薬液及び空気を加圧する。
【0165】
容器本体102内の薬液及び空気が大気圧よりも高圧になると、第1開閉弁193bは第4貫通孔161aを閉塞したまま、第2開閉弁193cは、第1支持部材143の底部上面から離間する方向へ移動する。その結果、容器本体102内の薬液は、矢印F1で示すように、第1貫通孔143aを介して混合室148へ流入する。また、容器本体102内の空気は、矢印F2で示すように、管104及び第2貫通孔143b等を介して、混合室148へ流入する。
【0166】
このようにして、容器本体102内の空気及び薬液が混合室148へ流入することにより、薬液は空気と混合される。混合室148で空気と混合された薬は、多孔体118を通過し、薬液と空気とからなる泡の各々が微細化されるとともに、泡が均質化される。このようにして生じた泡の形態の薬液は、ノズル部の開口から吐出される。
【0167】
吐出動作終了時には、吐出装置103が容器本体102の上方に位置するように吐出容器101を回転させるとともに、容器本体102の胴部への押圧を解除する。押圧を解除すると、容器本体102は本来の形状へ復元し、これに伴い、その容積は増加する。その結果、容器本体102内の薬液及び空気は、大気圧よりも低圧になる。
【0168】
容器本体102内の薬液及び空気が大気圧よりも低圧になると、第1開閉弁193bは、第3支持部材161の底部下面から離間する方向へ移動し、第2開閉弁193cは、第1支持部材143の底部上面へ近づく方向へ移動して、これと当接する。その結果、吐出容器101の外部の空気が、矢印F3で示すように、第4貫通孔161a、第3貫通孔143c及び管104等を介して、容器本体102内へ流入する。
【0169】
<2.3>効果
吐出容器入り薬液10Bも、第1実施形態に係る吐出容器入り薬液10Aと同様に、フォーム製剤を吐出する。それ故、吐出容器入り薬液10Bも、薬剤による口腔内の治療において高い服薬アドヒアランスを実現可能とする。
【0170】
また、吐出容器入り薬液10Bは、フォーム製剤の吐出は、容器本体102の胴部を押圧することによって行う。このような方法による吐出は、吐出容器入り薬液10Bから炎症部位へフォーム製剤を直接供給するのに適している。
【0171】
<4>変形例
吐出容器入り薬液には、様々な変形が可能である。
例えば、吐出容器では、泡の形態の薬液の吐出に、手動式ポンプを利用する代わりに、電動式ポンプを利用してもよい。或いは、吐出容器は、液化ガス又は圧縮ガスを使用して、泡の形態の薬液を吐出するものであってもよい。
【0172】
泡は、薬液と空気とを混合室へ供給することによって生じさせる代わりに、薬液中へ空気をバブリングすることによって生じさせてもよい。
【0173】
吐出容器は、メッシュを1つのみ含んでいてもよく、3以上のメッシュを含んでいてもよい。
【0174】
薬液と混合するガスは、空気でなくてもよい。例えば、薬液と混合するガスは、酸素ガス、窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス、又は、それらの1以上を含んだ混合ガスであってもよい。
【0175】
これらの場合も、薬剤による口腔内の治療において高い服薬アドヒアランスを実現することが可能となる。
【実施例0176】
以下に、本発明の具体例を記載する。
【0177】
<吐出容器入り薬液の製造>
(例1)
先ず、684.03gの精製水と14gの起泡剤と1.97gの薬剤とを混合して、起泡剤を2質量%の濃度で含む薬液を得た。次に、得られた薬液を、吐出容器であるポンプフォーマー(品名「F7」、大和製罐株式会社製)に充填した。
起泡剤としては、メチルセルロース(商品名「メトローズ(登録商標)SM-4」、信越化学工業株式会社製)を使用し、薬剤としてはベンジダミン(Combi-Blocks Inc.製)を使用した。
【0178】
以上のようにして、例1に係る吐出容器入り薬液を得た。
【0179】
(例2)
ベンジダミンの代わりにデキサメタゾン(Combi-Blocks Inc.製)を使用したこと、及び、起泡剤の濃度を2質量%から1質量%へ変更したこと以外は例1と同様の方法により、例2に係る吐出容器入り薬液を製造した。
【0180】
(例3)
ベンジダミンの代わりにデキサメタゾン(Combi-Blocks Inc.製)を使用したこと以外は例1と同様の方法により、吐出容器入り薬液を製造した。
【0181】
(例4)
ベンジダミンの代わりにデキサメタゾン(Combi-Blocks Inc.製)を使用したこと、及び、起泡剤の濃度を2質量%から4質量%へ変更したこと以外は例1と同様の方法により、吐出容器入り薬液を製造した。
【0182】
(例5)
ベンジダミンの代わりにアロプリノール(東京化成工業株式会社製)を使用したこと以外は例1と同様の方法により、吐出容器入り薬液を製造した。
【0183】
(例6)
ベンジダミンの代わりにアロプリノール(東京化成工業株式会社製)を使用したこと、及び、起泡剤の濃度を2質量%から4質量%へ変更したこと以外は例1と同様の方法により、吐出容器入り薬液を製造した。
【0184】
(例7)
ベンジダミンの代わりにレバミピド(東京化成工業株式会社製)を使用したこと以外は例1と同様の方法により、吐出容器入り薬液を製造した。
【0185】
(例8)
先ず、477gの精製水と、3.0gのクエン酸と、20gの起泡剤とを混合して、起泡剤を4質量%の濃度で含む溶液を得た。次に、得られた溶液に15錠のポラプレジンクOD錠75mg(沢井製薬株式会社製)を加え、錠剤が完全に溶解するまで撹拌した。その後、高温蒸気滅菌を121℃で20分間行い、室温まで溶液を冷却して、例8に係る薬液を得た。次に、得られた薬液を上述したのと同様のポンプフォーマーに充填した。
【0186】
起泡剤としては、メチルセルロース(商品名「メトローズ(登録商標)SM-4」、信越化学工業株式会社製)を使用した。また、15錠のポラプレジンクOD錠75mg(沢井製薬株式会社製)の合計質量は72gであった。
【0187】
以上のようにして、例8に係る吐出容器入り薬液を得た。
【0188】
なお、例8に係る吐出容器入り薬液において、1回の吐出により生じた泡に含まれるポラプレジンクの理論上の含有量は12.5mgとした。
【0189】
<泡密度、吐出量及び薬剤含有量>
先ず、例1に係る吐出容器入り薬液について、ポンピングのプライミングをした後に、1回の押出により、72.14mlの容積を有する容器に泡の形態の薬液を吐出した。次に、泡の形態の薬液について、泡密度、吐出量及び薬剤含有量を測定した。薬液の吐出を3回行い、各回で上記の測定を行った。なお、ここでは、ポンピングのプライミングとしてポンプを6回押した。
【0190】
次に、例2乃至7に係る吐出容器入り薬液についても、例1について説明したのと同様の方法により、泡密度、吐出量及び薬剤含有量の測定を行った。これらの結果を表1に纏めた。
【0191】
【0192】
表1における「含有量A(mg/g)」の欄は、1g当たりの泡に含まれる薬剤の質量を示す。表1における「R.S.D.(%)」は、相対標準偏差を示す。表1における「含有量B(%)」は、泡における薬剤に望まれる質量の最小値に対する、泡に含まれる薬剤の実際の質量の割合を示す。また、表1において、泡密度、吐出量及び含有量の各々の数値は平均値±標準偏差(SD)を示す。表1に示すように、例1乃至7の何れについても、含有量Bを100%以上するとともに、低い泡密度を達成することができた。また、表1に示すように、とりわけ、例1乃至4及び7に係る吐出容器入り薬液が吐出した泡の形態の薬液(即ち、フォーム製剤)は、薬剤含有量のばらつきが小さかった。
【0193】
<例8に係る薬液についての粘度>
例8に係る吐出容器入り薬液について、L/Aロータを備えたTVB10形粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、23℃における粘度を3回測定した。測定における回転速度は3.0rpmとした。その結果、粘度の平均値は37.27mPa・sであった。
【0194】
<例8に係る吐出容器入り薬液についての泡密度及び吐出量>
例8に係る吐出容器入り薬液についても、例1について説明したのと同様の方法により、泡密度及び吐出量を測定した。その結果、泡密度の平均値は0.0807g/cm3であり、標準偏差(SD)は0.00424であった。また、吐出量の平均値は0.788gであり、標準偏差(SD)は0.0149であった。
【0195】
<例8に係る吐出容器入り薬液についての排液率>
以下の方法により、例8に係る吐出容器入り薬液について排液率を得た。
【0196】
先ず、室温25℃±1℃において、角度付きロート及び200mLビーカーの各々について質量を測定した。次に、支持体にロートを設置し、ロートの足がビーカーの内壁に接するようにビーカーを設置した。次に、ポンピングのプライミングを行った後の例8に係る吐出容器入り薬液から5g±0.5gの泡をロート上に吐出した。次に、吐出直後、並びに吐出後2、5、10、15、20、30、40及び60分経過時において、ビーカー内に落下した薬液の質量とビーカーの質量との合計質量を測定し、この合計質量とビーカーの質量との差を、容器内に落下した薬液の質量、即ち、排液の質量として得た。次に、吐出した泡の質量、ロートの質量及びビーカーの質量の合計質量を測定した。次に、この合計質量からロートの質量及びビーカーの質量を引いた値を吐出質量として得た。次に、排液の質量を測定した各時間(以下、時間Tとする)における排液の質量を吐出質量で割った値を、例8に係る吐出容器入り薬液の排液率として得た。
【0197】
その結果、例8に係る吐出容器入り薬液の、泡の吐出から5分後における排液率は3回の平均で2.47%であった。
【0198】
<薬効の確認及び総合的な評価>
例8に係る吐出容器入り薬液が吐出した泡(以下、例8に係るフォーム製剤と呼ぶ)について、薬効の確認及び総合的な評価を以下の試験によって行った。
【0199】
先ず、10人のがん患者らの口腔粘膜炎について、Common Terminology Criteria for Adverse Events v5.0(CTCAE)のグレードを用いて評価した。次に、患者らに対して、例8に係るフォーム製剤を1日当たり6回の服用を2乃至3週間行った。ポラプレジンクの投与量は1日当たり75mgとした。その後、上記のグレードを用いて、各患者の口腔粘膜炎を評価した。これによって薬効を確認した。また、患者らは、フォーム製剤の口腔内消失時間、フォーム製剤の滑らかさ、フォーム製剤の硬さ、フォーム製剤のテクスチャー、フォーム製剤の炎症部位への付着性、及び口腔内に残存したフォーム製剤を吐き出して口を水で漱いだ後の口腔内の状態に基づく総合的な評価を5段階評価で行った。
【0200】
例8に係るフォーム製剤を2乃至3週間服用した後の各患者の口腔粘膜炎を評価した結果、10人中3人の患者は上記のグレードが低下した。また、総合的な評価については、10人の患者のうち1人が「5」であると評価し、6人が「4」であると評価し、2人が「3」であると評価し、1人が「2」であると評価し、0人が「1」であると評価した。総合的な評価において、「5」、「4」、「3」、「2」及び「1」は、それぞれ、「とても好ましい」、「好ましい」、「どちらでもない」、「好ましくない」及び「とても好ましくない」を示す。上記の通り、10人中7人が例8に係るフォーム製剤を好ましいと評価した。これらの結果から、例8に係るフォーム製剤は有用性を有していることが示唆された。
【0201】
<参考例>
以下、本発明の参考例を記載する。
【0202】
<吐出容器入り起泡剤水溶液の製造>
(参考例1)
先ず、99.0gの精製水と1.0gの起泡剤とを混合して、起泡剤を1質量%の濃度で含む起泡剤水溶液を得た。次に、得られた起泡剤水溶液をポンプフォーマー(品名「F7」、大和製罐株式会社製)に充填した。
起泡剤としては、メチルセルロース(商品名「メトローズ(登録商標)SM-4」、信越化学工業株式会社製)を使用した。
【0203】
以上のようにして、例1に係る吐出容器入り起泡剤水溶液を得た。
【0204】
なお、20℃における、上記の起泡剤を2%の濃度で含むメチルセルロース水溶液の粘度は4.9mPa・sであった。
【0205】
(参考例2乃至25)
表2及び表3に記載した通りに起泡剤の種類及び水溶液における起泡剤の濃度を変更したこと以外は参考例1について説明したのと同様の方法により、参考例2乃至25に係る吐出容器入り起泡剤水溶液を調製した。
【0206】
なお、表2における「SM-4」は、参考例1で使用したメチルセルロースと同じものである。表2における「SM-25」は、「メトローズ(登録商標)SM-25」(信越化学工業株式会社製)を示す。表2における「SM-100」は、「メトローズ(登録商標)SM-100」(信越化学工業株式会社製)を示す。表3における「SM-400」は、「メトローズ(登録商標)SM-400」(信越化学工業株式会社製)を示す。表3における「SM-4000」は、「メトローズ(登録商標)SM-4000」(信越化学工業株式会社製)を示す。
【0207】
<起泡剤水溶液の粘度>
参考例1乃至25に係る起泡剤水溶液の各々について、例8について説明したのと同様の方法により、粘度を測定した。この結果を表2及び表3に示す。
【0208】
【0209】
【0210】
<泡密度及び吐出量>
参考例1乃至25に係る吐出容器入り起泡剤水溶液についても、例1について説明したのと同様の方法により、泡密度及び吐出量の測定をした。これらの結果を表2及び3に纏めた。また、起泡剤水溶液の粘度と泡密度との関係を
図3に示す。
【0211】
図3は、参考例1乃至25に係る吐出容器入り起泡剤水溶液について泡密度と粘度との関係を示すグラフである。
図3に示すように、粘度が低い場合には、粘度の増加に応じて泡密度も増加したが、粘度が高い場合には、粘度の増加に応じて泡密度は減少した。
【0212】
<排液率>
参考例1乃至5、11、13、15、16及び18乃至20に係る吐出容器入り起泡剤水溶液についても、例8について説明したのと同様の方法により、排液率を測定した。
この結果を表4及び
図4乃至
図8に纏めた。
【0213】
【0214】
吐出容器が吐出した泡は、時間の経過に伴い液体になる。このため、排液率は吐出容器が吐出した泡の安定性を示している。
表4及び
図4乃至
図8に示すように、とりわけ、参考例3及び4に係る泡の形態の起泡剤水溶液は、排液率が小さかった。このように、参考例3及び4に係る吐出容器入り起泡剤水溶液が吐出した泡は、特に高い安定性を有していた。
【0215】
図9乃至
図12は、排液率と泡密度との関係を示すグラフである。
図9は、泡の吐出から5分後における排液率と泡密度との関係を示すグラフである。
図10は、泡の吐出から10分後における排液率と泡密度との関係を示すグラフである。
図11は、泡の吐出から15分後における排液率と泡密度との関係を示すグラフである。
図12は、泡の吐出から20分後における排液率と泡密度との関係を示すグラフである。
【0216】
図9乃至
図11に示すように、排液率と泡密度とは有意な相関を示した。このことから、泡密度は泡の安定性を評価するための良好な指標となり得ると考えられる。
【0217】
<総合的な服用し易さのVAS値>
参考例1乃至5、11、13、15及び17乃至20に係る吐出容器入り起泡剤水溶液が吐出した泡の各々について、視覚的アナログ尺度(visual analogue scale、VAS)の値、即ちVAS値を、ランダム化クロスオーバー試験によって得た。試験は、以下の方法により行った。
【0218】
先ず、15人の各被験者は、吐出容器入り起泡剤水溶液が1回の押出により吐出した泡を口腔内に入れた。その後、被験者らは、泡を口腔内に入れたままとし、泡が消えたと感じたときに、口腔内の残留物を吐き出し、直ちに口を水で漱いだ。次に、被験者らは泡の硬さ、泡の滑らかさ、及び泡の口腔内粘膜への付着性、並びに、泡の総合的な服用し易さ(palatability)をVAS値によって評価した。泡の総合的な服用しやすさは、泡の硬さ、泡の滑らかさ、及び泡の口腔内粘膜への付着性を含む被験者らの官能に基づいて評価した。
【0219】
なお、VAS値が100であることは、服用のし易さが良好であることを示す。また、15人の被験者は、何れも健常者であった。また、被験者らは7人の男性及び8人の女性であり、健常者らの年齢は23±0.9歳であった。
【0220】
これらの結果を表5及び
図13に示す。また、総合的な服用し易さのVAS値と泡密度との関係を
図14に示す。
【0221】
【0222】
表5において、泡の硬さ、滑らかさ及び付着性の各々の数値は、平均値±標準偏差(SD)を示す。何れの吐出容器入り起泡剤水溶液が吐出した泡も、概ね滑らかであると評価された。
【0223】
図13は、参考例に係る吐出容器入り起泡剤水溶液について総合的な服用し易さのVAS値の結果を示すグラフである。
図13に示すように、参考例2に係る吐出容器入り起泡剤水溶液が吐出した泡は、総合的な服用し易さのVAS値が最も高かった。
【0224】
図14は、参考例に係る吐出容器入り起泡剤水溶液について総合的な服用し易さのVAS値と泡密度との関係を示すグラフである。
図14に示すように、総合的な服用し易さのVAS値と泡密度との間には相関が見られた。
【0225】
また、参考例1乃至5、11、13、15、16及び18乃至20に係る吐出容器入り起泡剤水溶液の各々について上記のVAS値の評価と共に、泡を口腔に入れた時から泡が消失するまでの時間、即ち口腔内消失時間を測定した結果、泡密度と口腔内消失時間との間にも、総合的な服用し易さのVAS値と泡密度との間と同様の相関があった。具体的には、小さい泡密度を有する泡は口腔内消失時間が長かった。また、参考例3に係る吐出容器入り起泡剤水溶液が吐出した泡は、口腔内消失時間が最も長かった。
【0226】
また、口腔内消失時間と排液率との間にも相関があった。特に、口腔内消失時間と泡の吐出から5分後における排液率とは最も高い相関を示した。このことから、泡の吐出から5分後における排液率は、口腔内において泡が存在する時間をある程度予測できる最も良い指標となると考えられる。
【0227】
以上より、小さい泡密度を有する泡は、口腔内で泡として留まり易く、総合的な服用し易さも高く評価された。口腔内消失時間及び総合的な服用し易さの何れも、泡密度と有意な相関関係が示されたことは、泡密度は服用性に影響する重要な因子であることを示唆しているものと考えられる。
1…吐出容器、2…容器本体、3…吐出装置、4…管、10A…吐出容器入り薬液、10B…吐出容器入り薬液、11…第1固定部、12…雄螺子部、15…支持部材、16…ノズルユニット、17…ポンプユニット、18…多孔体、18a…ホルダ、18b…第1メッシュ、18c…第2メッシュ、21…第1被固定部、22…第1案内部、23…第2固定部、25…雌螺子部、31…外筒部、32…内筒部、33…天板部、34…吐出流路、35…第1流路部、36…ノズル部、39…第2流路部、41…シリンダユニット、42…ピストン、43…弁部、44…付勢部材、45…第1空気室、46…第2空気室、47…液室、48…混合室、51…第1シリンダ部、51a…貫通孔、52…第2シリンダ部、52a…座面、53…第2被固定部、53a…シール部材、53b…フランジ部、54…取付部、55…第1弁座、61…ロッド部、62…第1ピストン部、63…第2ピストン部、65…第1嵌合部、65a…突起部、66…混合部、66a…貫通孔、66b…突起部、67…第2嵌合部、71…第1摺動部、71a…胴部、71b…端部、72…連結部、73…貫通孔、74…溝、81…第2被嵌合部、82…第2摺動部、83…第2弁座、84…第1座面部、85…第3弁座、91…第1弁体、92…第2弁体、92a…弁体部、92b…軸体、92c…突起部、93…第3弁体、93a…固定体、93b…第1開閉弁、93c…第2開閉弁、94…第2案内部、94a…第2座面部、94b…スロット、94c…突起部、101…吐出容器、102…容器本体、103…吐出装置、104…管、118…多孔体、118a…ホルダ、118b…第1メッシュ、118c…第2メッシュ、143…第1支持部材、143a…第1貫通孔、143b…第2貫通孔、143c…第3貫通孔、148…混合室、149…突起片、154…第2支持部材、161…第3支持部材、161a…第4貫通孔、193…弁体、193a…固定体、193b…第1開閉弁、193c…第2開閉弁、200…薬液。