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特開2022-172934情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172934
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20221110BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALN20221110BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079293
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】506201518
【氏名又は名称】株式会社ラーニングエージェンシー
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】眞▲崎▼ 大輔
(72)【発明者】
【氏名】前田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏志
(72)【発明者】
【氏名】土屋 典子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 佳純
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザのスキルを評価した評価結果やアンケートの結果を、経済の面で有効に活用することが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】本サービス提供者により管理されるサーバ10において、東京都を所在地とする企業の従業員やアンケート回答者等を対象として、1以上の従業員やアンケート回答者等に対して施されたビジネススキル取得のための研修サービスやアンケート調査等に関して収集されたビジネス基礎力評価結果(スコア)やアンケートの回答(景気の先行指標等)を、人材育成ログ情報として取得するテスト部121と、1以上の人材育成ログ情報(スコアやアンケートの回答(評価値等))に基づいて、東京都を少なくとも含む日本国や関東地方等の景気の今後の動向を示す情報(景気の先行指標)を生成する景気予測部123と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定場所に関連する人を対象として、1以上の前記対象に対して施された人材育成の機会に関して収集された情報を、人材育成ログ情報として取得するログ取得手段と、
1以上の前記人材育成ログ情報に基づいて、前記所定場所を少なくとも含む所定範囲の景気の今後の動向を示す情報を生成する景気動向生成手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記人材育成の機会は、ビジネス基礎力を評価する上で分けられたスキルの中の1以上のテーマの研修を少なくとも含み、
前記人材育成ログ情報は、前記1以上の対象の夫々について、前記研修の後に行われた前記ビジネス基礎力に関するテストの結果を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ログ取得手段により収集される複数の前記人材育成ログ情報の推移に基づいて、前記1以上の対象が所属する組織の成果の変化を予測する業績予測手段を備え、
前記景気動向生成手段は、
前記業績予測手段により予測される組織の成果の変化に基づいて、前記所定場所を少なくとも含む所定範囲の景気の今後の動向を示す情報を生成する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
所定場所に関連する人を対象として、1以上の前記対象に対して施された人材育成の機会に関して収集された情報を、人材育成ログ情報として取得するログ取得ステップと、
1以上の前記人材育成ログ情報に基づいて、前記所定場所を少なくとも含む所定範囲の景気の今後の動向を示す情報を生成する景気動向生成ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項5】
情報処理装置を制御するコンピュータに、
所定場所に関連する人を対象として、1以上の前記対象に対して施された人材育成の機会に関して収集された情報を、人材育成ログ情報として取得するログ取得ステップと、
1以上の前記人材育成ログ情報に基づいて、前記所定場所を少なくとも含む所定範囲の景気の今後の動向を示す情報を生成する景気動向生成ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザの技能(スキル)を診断し、診断結果に基づく人材育成の支援を図る人材育成支援システムは存在する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-246507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように、従来、人材育成の支援により施される研修等の機会で得られる情報は、ユーザ個人のスキルの向上に役立つものの、それ以外の用途として活用がなされていないのが現状である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、人材育成の機会から得られる情報を、経済の面で有効に活用することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態である情報処理装置は、
所定場所に関連する人を対象として、1以上の前記対象に対して施された人材育成の機会に関して収集された情報を、人材育成ログ情報として取得するログ取得手段と、
1以上の前記人材育成ログ情報に基づいて、前記所定場所を少なくとも含む所定範囲の景気の今後の動向を示す情報を生成する景気動向生成手段と、
を備える。
これにより、サービス提供者が、所定場所に関連する人を対象として実施した人材育成の機会に関して、夫々の人から収集された情報に基づいて、所定場所を少なくとも含む所定範囲の景気の今後の動向を示す情報を生成することで、景気の今後の動向を信頼性高く予測することができる。
この結果、人材育成の機会から得られる情報を、経済の面で有効に活用することができる。
本発明の一態様の上記情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、人材育成の機会から得られる情報を、経済の面で有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の情報処理装置の全体構成を示している。
図2図1の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図1の情報処理システムにおけるサーバの機能的構成を示す機能ブロック図である。
図4】ビジネススキルの評価指標と対応付けた個々のユーザのスキルの評価結果の一例を示す図である。
図5】ユーザへのアンケートの一例を示す図である。
図6図3のサーバにおける景気動向の情報の生成動作を示すフローチャートである。
図7】企業の業種毎に利用企業数増加率と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
図8】企業の業種毎に一企業あたりの受講人数増加率と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
図9】企業の業種毎に階層教育に着手している企業の管理職の増加率と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
図10】企業の業種毎に階層教育に着手している企業の途中入社者の受講人数の増加率と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
図11】企業の業種毎の経営戦略、経営方針に関する研修の管理職の受講人数の増加率と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
図12】企業の業種毎の中途社員向け研修の受講人数の増加率と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
図13】企業の業種毎の管理職以上、管理職未満の夫々の受講者に対するアンケート調査で「仕事に対しての充実感」という設問に対して得られたアンケートの回答(アンケート調査結果の数値)と景気動向とを対応させたテーブルの例を示す図である。
図14図13のテーブルから導出されるアンケート調査結果と景気動向との相関関係を示す図である。
図15】企業の業種毎の管理職以上、管理職未満の夫々の受講者に対するアンケート調査で「業務上の新しい取組や挑戦」という設問に対して得られたアンケートの回答(アンケート調査結果の数値)と景気動向とを対応させたテーブルの例を示す図である。
図16図15のテーブルから導出されるアンケート調査結果と景気動向との相関関係を示す図である。
図17】企業の業種毎の管理職以上、管理職未満の夫々の受講者に対するアンケート調査で「業務上の新しい取組や挑戦」、「自己投資の目的」という設問に対して得られたアンケートの回答(アンケート調査結果の数値)と景気動向とを対応させたテーブルの例を示す図である。
図18図17のテーブルから導出されるアンケート調査結果と景気動向との相関関係を示す図である。
図19】企業の業種毎の受講者に対するアンケート調査で「仕事への充実感」、「業務量」という設問に対して得られたアンケートの回答(アンケート調査結果の数値)と景気動向とを対応させたテーブルの例を示す図である。
図20図19のテーブルから導出されるアンケート調査結果と景気動向との相関関係を示す図である。
図21】企業の業種毎の受講者に対するアンケート調査で「会社の雰囲気」、「キャリアプラン」という設問に対して得られたアンケートの回答(アンケート調査結果の評価値)と景気動向とを対応させたテーブルの例を示す図である。
図22図21のテーブルから導出されるアンケート調査結果と景気動向との相関関係を示す図である。
図23】企業の業種毎の受講者に対するアンケート調査においてフリーコメントで得られたアンケートの回答(アンケート調査結果の評価値)と景気動向とを対応させたテーブルの例を示す図である。
図24図23のテーブルから導出されるアンケート調査結果と景気動向との相関関係を示す図である。
図25】研修サービスを利用する企業の管理職のサービス利用者数(利用者ID数)の推移と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
図26】研修サービスを利用する企業の新入社員の研修利用者数(利用者ID数)の推移と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の情報処理システム1の全体構成を示している。
図1に示す情報処理システム1は、サーバ10と、n台(nは1以上の任意の整数値)の受講者端末20-1乃至20-nとが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されることによって構成されている。
なお、以下、受講者端末20-1乃至20-nの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「受講者端末20」と呼ぶ。
【0010】
受講者端末20は、受講者毎に管理される情報処理装置であって、例えばタブレット端末やスマートフォン等で構成される。
サーバ10は、本サービス提供者により管理される。サーバ10は、受講者端末20-1乃至20-nの夫々の各動作を制御しつつ各種処理を実行する。
【0011】
本サービス提供者は、企業からの申し込みにより社員を受講者として講座に参加させて受講させたりオンライン研修等を行う。また、サービス提供者は、受講者が受講した講座やオンライン研修の内容の理解度や習得度を確認するために当該受講者に対してテストを行い、そのテストの結果を評価して当該受講者に対して今後のアドバイス等を行う。
さらに、本サービス提供者は、企業或いはその企業内の部署等に属する複数の社員(受講者)の夫々のテストの結果に基づいて、当該企業或いは当該部署等に対し成長の支援を行うとともに、今後の成長の最適解を提示し、社会の発展に貢献できるようにする。
【0012】
具体的には、本実施形態では、サーバ10は、次のように受講者端末20と連携して動作する。
即ち、サーバ10は、先ずサーバ10に予め記憶されている複数の問題のうち1以上からなるビジネス基礎力診断テスト(以下単に「テスト」と称す)を、受講者端末20に送信し、これら1以上の問題の夫々に対して受講者が入力した解答を受信する。
【0013】
テストは、サービス提供者により実施される。当該テストの問題は、受講者のビジネスにおける基礎的な力(ビジネス基礎力)を評価するためのものであり、サービス提供者により1以上のビジネスの評価対象のスキル毎及び夫々のスキルの1以上のテーマ毎に出題される。ビジネス基礎力とは、社会人として仕事を行う上で役に立つ技術又は能力をいう。
【0014】
ビジネス基礎力を評価するためのスキルとテーマとの関係について説明する。
スキルは、m個(mは1以上の任意の整数値)に定義され、さらに1以上のスキルの夫々にp個(pは、mとは独立した1以上の任意の整数値)のテーマが定義されている。
テストでは、当該テーマの夫々に関連する内容の問題が項目毎に出題される。
【0015】
受講者端末20は、サーバ10が送信したテストを受信する。そして、受講者は、受講者端末20を操作して、当該テストを構成する複数の問題の夫々について解答を入力する。
受講者端末20は、受講者が入力したテストの解答(各問題の解答の集合体)を、サーバ10に送信する。
【0016】
サーバ10は、受講者端末20-1乃至20-nの夫々からテストの解答が送信される毎に、当該回答を順次取得し採点を行う。また、サーバ10は、採点結果を前記項目毎に正規化し、これをスコアとして受講者毎に記憶し管理する。
【0017】
サーバ10は、受講者毎に管理しているスコアから、所定の母集団のスコアを抽出するための抽出条件を設定し記憶する。
なお、所定の母集団は、特に限定されず、例えば、受講者に関する各種属性情報のうち、所定の1以上の属性情報が一致する受講者からなる集団や、スコアが一定範囲内の受講者からなる集団等各種各様な集団を採用することができる。なおその前提として、サーバ10は、各受講者毎に、採点結果を示すスコアとともに、当該受講者の各種属性情報を対応付けて管理しているものとする。
この場合、所定の母集団のスコアを抽出するための抽出条件としては、例えば、同年齢、同職種、同業界、同役職、同入社年度、過去のスコアの値や範囲等を採用することができる。
【0018】
サーバ10は、所定の受講者のスコアと、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアとを抽出し、両スコアを比較する。
具体的には、例えば当該所定の受講者のスコアと、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアの平均値、最大値又は最小値とを比較することができる。
【0019】
また、サーバ10は、当該所定の受講者のスコアと当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアとをプロットしたグラフを、当該所定の受講者の受講者端末20の画面に表示させる。
【0020】
これにより、受講者は、受講者端末20の画面に表示されたグラフの、各スキルの各テーマ夫々についての当該受講者自身のスコアの値と、当該受講者が含まれる所定の母集団のスコアの値との分布から、当該受講者の現在のスキルと、過去のスキルとを比べた成長の度合いや企業の教育効果を容易に視認することができる。
【0021】
このようなスキルの評価結果の情報(スコア)や受講者へのアンケート調査の回答を、例えば業界及び業種の情報と組み合わせて経済の面でAI等に分析させることで、受講者である社員が属する会社やその社内の部署の今後の業績等を予測(業績が上がる、横ばい、安定する、下がる等)することができる。
また、受講者のスキルの評価結果の情報(スコア)や受講者へのアンケート調査の回答を業界及び業種の情報と組み合わせて、景気の今後の動向の先行指標を得ることで、四半期毎の経済指標(短観等)の発表を待つことなく、例えば日本国や関東地方、又は各都道府県等の景気の今後の動向を示す情報を生成、つまり予測することができる。
また、生成(予測)された景気の今後の動向を示す情報を、例えば集団を管理する者(社長や部署の長(部長等の管理職等))の端末に表示し閲覧させることで、受講者が社員であれば、社員のスキルの変化に応じて会社の業績や景気の先行き等を見通せるので、他社(他者)に先駆けて次の動きをかけることができる。
【0022】
図2は、図1の情報処理システム1のうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0023】
サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、バス104と、入出力インターフェース105と、出力部106と、入力部107と、記憶部108と、通信部109と、ドライブ110と、を備えている。
【0024】
CPU101は、ROM102に記録されているプログラム、又は、記憶部108からRAM103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM103には、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0025】
CPU101、ROM102及びRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104にはまた、入出力インターフェース105も接続されている。入出力インターフェース105には、出力部106、入力部107、記憶部108、通信部109及びドライブ110が接続されている。
【0026】
出力部106は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部107は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
【0027】
記憶部108は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部109は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(図1の例では受講者端末20)との間で通信を行う。
【0028】
ドライブ110には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア111が適宜装着される。ドライブ110によってリムーバブルメディア111から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部108にインストールされる。
また、リムーバブルメディア111は、記憶部108に記憶されている各種データも、記憶部108と同様に記憶することができる。
【0029】
図3は、図1の情報処理システムにおけるサーバの機能的構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、サーバ10の記憶部108(図2)の一領域には、受講者DB141と、受検DB142と、企業DB143とが設けられている。
受講者DB141には、受講者に関する情報が記憶されている。
受講者に関する情報は、例えば企業の従業員が、自身のスキル向上のために、サービス提供者が開催する講座や研修等を受講するための情報である。
【0030】
具体的には、受講者DB141には、研修サービスを受講する従業員の氏名、年齢、社内における所属部署(部門等)、役職、受講する講座や研修に関する情報(講座名や講座番号、研修名や研修番号、受講日、受講履歴)等が、受講者個人を識別する情報(受講者ID又は受講者番号等)に対応して記憶されている。
【0031】
受講者が受講する講座や研修のうち例えば講座としては、複数の講座が記憶されている。講座とは例えば研修プログラムを実施する研修会や講習会等であり、複数の講座に複数の受講者が参加することが可能である。研修についても同様である。
講座の情報は、複数の講座夫々に1つ以上の評価要素が対応した情報である。
1つ以上の評価要素は、特に限定されないが、以下においては、テーマ又はサブテーマが採用されているものとして説明する。即ち、以下の例では、1つの講座に1以上(主に1つ)のテーマ又はサブテーマが対応付けられているものとする。
テーマは、ビジネスの技能要素の夫々をネーミングした主題であり、講座名と対応付けされる。サブテーマは、テーマの中に含まれる小テーマをいい、小テーマだけの講座も設定される。研修についても同様である。
【0032】
ビジネス基礎力を評価する指標は、例えば図4に示すグラフに示されるように、「ビジネス知識」(Business knowledge)、「プランニング&コントロール」(Planning & Control)、「シンキング」(Thinking)、「コミュニケーション」(Communication)等の4つに定義(区分)される。テーマは、夫々のスキルの評価要素の1つである。各スキルには、1以上のテーマが含まれる講座が設定されている。
【0033】
例えば「ビジネス知識」のスキルのビジネス基礎力を図るテーマは、時事問題、法務・人事・労務、財務・経理、マーケティング、経営等がある。図示しないが、法務・人事・労務というテーマには、人事・労務、コンプライアンス等のサブテーマが含まれる。
【0034】
「プランニング&コントロール」のスキルのビジネス基礎力を図るテーマは、目的及び目標、計画、業務管理、振り返り・評価、改善等がある。図示しないが、目的及び目標というテーマには、目的思考というサブテーマが含まれる。また、計画というテーマには、アクションプラン立案というサブテーマが含まれる。
【0035】
「シンキング」のスキルのビジネス基礎力を図るテーマは、数的処理、思考法活用、情報収集、課題設定、解決策立案等がある。図示しないが、思考法活用というテーマには、要素分解力というサブテーマが含まれる。
【0036】
「コミュニケーション」のスキルのビジネス基礎力を図るテーマは、ネゴシエーション、文書伝達、口頭伝達、傾聴、ビジネスマナー等がある。図示しないが、文書伝達というテーマには、スライド作成力というサブテーマが含まれる。
【0037】
ここでビジネススキルを評価するためのスキルの分け方について説明する。
スキルは、人材育成において成長するために必要なスキルを体系化して大きく4つに分けられる。
人が成果を出すためには、計画性・実行力「プランニング&コントロール」が必要となる。この計画性・実行力を上げるためには意思や判断等の考え方「シンキング」、人間関係を構築するコミュニケーション力「コミュニケーション」、前提となる知識「ビジネス知識」が同時に必要である。
このように4つのスキルに分けてビジネス基礎力を診断することで、診断対象者の持っているスキルの特長が見え易くなる。
【0038】
ビジネス基礎力は、個々のテーマの単位、又は複数のテーマで1つ設定される講座の単位で、受講者が講座や研修を受講することにより、受講者のビジネススキルの向上が図られる。
受講者が講座や研修を受講するにあたり、受講前と受講中及び受講後等にビジネス基礎力診断テストが実施される。
【0039】
受検DB142には、サービス提供者が実施するテストに関する情報が記憶されている。テストに関する情報は、例えばテストの問題、解答、個々の受講者のテスト結果(テーマ毎の得点)やその総合的評価であるビジネス基礎力評価結果(スキル毎のスコア)、研修サービス利用企業及び受講者へのアンケートと、アンケートに対する回答、研修利用企業数、受講人数、階層教育に着手している企業数、研修テーマ別・階層別の受講人数、教育導入までの意思決定にかかるリードタイム、サービス利用者ID登録数等を含む人材育成ログ情報が記憶されている。
スコアは、テストのテーマ毎の得点を、例えば5段階等で評価した数値(“1”から“5”)であり、1スキル毎に合計した数値も記憶されている。1スキル5つのテーマとした場合に1スキル25点満点とし、この場合の個々のテーマのスコアを合計した値等で、受講者のスキル毎の評価が示される。
【0040】
企業DB143には、企業の情報(企業規模(人数)、組織構成(階層等)、部署、部門の配置等)が記憶されている。また、企業DB143には、企業における従業員夫々の情報(例えば従業員の氏名、年齢、入社年月日、在職年数、組織上の職位、役職等)が社員番号等の従業員の個人特定情報に紐づけて記憶されている。
また、企業DB143には、当該企業の成果としての業績に関する情報(例えば過去の実績値(例えば1年前や数年前等の月毎の収益、利益率等)と、今期の現在までの月毎の実績値、来期の予想値等)が記憶されている。
なお、上記で示した1年前や数年前等は一例であり、3年前であってもよく過去の実績であれば足りる。
この他、企業DB143には、講座や研修を受講する企業の業績情報(例えば経済情報誌等で公開されている範囲の情報)が同業他社で比較可能に記憶されている。
【0041】
サーバ10のCPU101(図2参照)においては、処理を実行する際に、テスト部121と、業績予測部122と、景気予測部123と、表示制御部124と、が機能する。
テスト部121は、企業等の組織に所属する1以上の従業員(構成員)の夫々についてのビジネス基礎力を示す情報を取得する。ビジネス基礎力を示す情報は、例えばスキルを評価するためのスキルやテーマ毎のテストのスコア等である。
具体的には、テスト部121は、受検DB142に予め記憶されている、受講者のスキルを評価するための問題の中から、受講者が受講者端末20を操作して解答をするための問題を、各テーマの項目毎に作成する。このようにして作成された各スキルの夫々のテーマ毎の問題と解答の集合体がテストである。
【0042】
テスト部121は、テストを、通信部109を介して受講者端末20に表示させることにより、受講者に対しテストを出題する。
受講者は、受講者端末20を操作することにより、テスト部121が出題したテストに対する解答(各問題毎の解答)を入力する。受講者が入力した解答は、受講者端末20からサーバ10に対して送信される。
【0043】
テスト部121は、受講者端末20から送信されたテストの解答(各問題毎の解答の集合体)を、通信部109を介して取得する。
テスト部121は、取得したテストの解答を、所定の採点基準に基づいて各問題毎に採点する。
テスト部121は、各問題毎の採点の結果を、各スキルの各テーマ毎に正規化(スコア化)し、当該スコアを受検DB142に評価結果として各テーマの項目名と紐付けて記憶し受講者毎に管理する。
【0044】
テスト部121は、所定場所に関連する人、例えば東京都等を所在地とする企業で働く従業員、所定場所において研修サービスを受けてアンケートに回答するアンケート回答者等)を対象として、1以上の受講者やアンケート回答者に対して実施されたテストやアンケートで収集された情報(ビジネス基礎力の評価結果(スコア)やアンケートの回答コメントや評価値等)を、人材育成ログ情報として取得する。
テスト部121は、受講者端末20からの評価提示要求(作表指示)に応じて受検DB142で管理されている1以上の受講者のスコアの中から、所定の受講者のスコアと、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアとを取得し表示制御部124へ出力する。なお、所定の受講者を第1受講者と言い換える場合がある。
【0045】
なお、当該所定の母集団は、受検DB142に予め記憶されている所定の抽出条件によって抽出される。具体的には例えば、上述した様に、同年齢、同職種、同業界、同役職、同入社年度、又は所定の受講者本人の過去のスコアのうち、任意の数(1も含む)の任意の組合せを所定の抽出条件とした母集団を抽出することができる。
【0046】
表示制御部124は、テスト部121により取得される1以上の従業員の夫々のスコアを円形の表示領域(例えば図4参照)にプロットした折れ線グラフと、当該従業員が含まれる母集団のスコアを円形の表示領域にプロットした折れ線グラフとを重畳させて、通信部109を介して受講者端末20の画面に表示させる制御を行う。
【0047】
表示制御部124は、テスト部121から出力されるスコアをプロットしたビジネス基礎力診断結果の評価値をグラフとして表示する。
具体的には、表示制御部124は、テスト部121から出力される所定の受講者のスコアと、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアとをグラフ(図4参照)にして、通信部109を介して受講者端末20の画面に表示させる制御を行う。
また、表示制御部124は、景気予測部123により生成される景気予測結果を表示する制御を実行する。
【0048】
業績予測部122は、人材育成ログ情報(ビジネス基礎力評価結果(スコア)やアンケートの回答コメント等)の推移に基づいて、1以上の従業員(受講者)やアンケート回答者等が所属する企業の業績の変化(業績の向上、横ばい、低迷等のうちいずれか)を予測する。
人材育成ログ情報のうち例えばビジネス基礎力評価結果(スコア)を用いる場合、業績予測部122は、テスト部121により取得されたビジネス基礎力を示す情報により示される1以上の従業員の夫々についてのビジネス基礎力の夫々の過去の受検結果(スコア)と現在の受検結果(スコア)との差異(推移、例えば増加率や減少率等といった変化率)に基づいて、当該企業の業績(収益や利益率等)の変化を予測し、その業績予測結果を景気予測部123へ出力する。
具体的には、業績予測部122は、当該従業員が受講者として参加した研修により獲得したビジネス基礎力に関するテストを受講者に課して得られた当該テストの評価結果を受検DB142より読み出し、企業DB143より当該受講者に関する企業の情報(部門や組織図上の階層)を読み出し、当該テストの評価結果と企業の情報に基づいて、1以上の従業員が所属する企業の業績(収益、利益率等)の変化を予測し予測結果(企業の業績の変化(業績向上又は業績低迷等))を景気予測部123に出力すると共に、企業DB143に記憶する。
【0049】
景気予測部123は、業績予測部122により予測される企業の業績の変化(業績の向上、横ばい、低迷等のうちの何れか)に基づいて、企業の活動場所を少なくとも含む、例えば東京都等の所定範囲(地域)の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成する。景気動向を判断するための指標として日銀短観指数がある。
企業の業績の変化と景気動向との関係性を判断するための情報として、インターネット等から取得される日銀短観指数(以下「日銀短観」と称す)を用いるものとする。
景気予測部123は、企業の業績の変化に伴い、その時々の日銀短観指数がどのように変化したかで、将来の企業の業績の変化に伴い変化する日銀短観指数を予測する。
景気予測部123は、企業の業績の変化からだけででなく、人材育成ログ情報に含まれる様々な先行指標を用いて景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成する。
先行指標は、例えばテストの評価結果であるスコアの推移の他、利用企業数や受講人数の推移、階層教育に着手している企業数の割合の推移、研修テーマ別・階層別、受講人数の割合の推移、研修サービス利用企業及び受講者からのアンケート結果(回答コメント)と、研修サービス利用企業の利用者IDの推移、意思決定にかかる時間の推移等を含む。
これら先行指標と景気動向との関係性を判断するための情報として日銀短観を用いるものとする。
【0050】
景気予測部123は、利用数予測部131、階層教育予測部132、研修予測部133、アンケート予測部134、研修利用企業予測部135、意思決定予測部136等を備える。
【0051】
利用数予測部131は、企業が属する業種毎に、研修サービスを利用する企業数や受講人数の推移に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成する。先行指標は、例えば上昇傾向、横ばい、下降傾向等といった指標である。
この他、何ポイント上昇等といった指標であってもよい。この例では、企業の属性を業種毎に分けたが業界毎に分けてもよい。
利用数予測部131は、研修サービスを利用する企業数や受講人数の推移を、業種・業界ごとに分けて業種・業界の景気動向(今後、景気が上昇する、横ばい、下降する等)を予測する。
研修サービスを利用する企業数の推移だけで見ると、サービス提供企業の営業努力等の要因ともとれるが、企業数の推移を業種・業界の属性情報と組み合わせることで、その業種・業界の景気の今後の動向を、信頼に足りる情報として予測することができる。
【0052】
階層教育予測部132は、企業が属する業種毎に、階層教育に着手している企業数の推移に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成する。つまり階層教育に着手している企業数の推移と業種・業界の属性情報とを組み合わせることで業種・業界の景気動向を予測する。
階層教育に着手している企業数の推移だけで見ると、サービス提供企業の営業努力等の要因ともとれるが、企業数の推移と業種・業界情報とを組み合わせることで、業種・業界全体の景気動向(今後、景気が上昇する、横ばい、下降する等)を信頼に足りる情報として予測することができる。
【0053】
研修予測部133は、企業が属する業種毎に、研修テーマ別・階層別の受講人数推移に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成する。つまり研修テーマ別・階層別の受講人数推移を、業種・業界の属性情報と組み合わせることで、業種・業界の景気動向を予測する。
受講人数の推移だけで見ると、サービス提供企業の営業努力等の要因ともとれるが、受講人数の推移を業種・業界情報と組み合わせることで、業種・業界全体の動向を予測することができる。
受講人が受講する研修テーマには、会社(受講者本人)が持っている課題感や会社から渡されている期待等が反映される傾向がある。受講する研修テーマから景気動向を予測できるという仮説を基に検証したところ、受講する研修テーマと景気動向には相関関係が存在することが分かった。
【0054】
アンケート予測部134は、研修サービス利用企業及び受講者(従業員)からのアンケート結果(回答コメント等)に含まれる所定役職、例えば管理職以上、管理職以下に分けた従業員のマインドや仕事へ取り組む姿勢等、受講者(従業員)の思考の傾向を判定し、受講者(従業員)の思考の傾向に基づいて、景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成する。アンケート結果(回答コメント等)については、受検DB142より読み出すものとする。役職については、企業DB143より当該受講者(従業員)に関する企業の情報(部門や組織図上の階層)を読み出すものとする。
このように研修サービス利用企業の業種毎に、受講者(従業員)からのアンケート結果(回答コメント等)に含まれる従業員の思考の傾向を読み取ることで、今後の景気の動向を予測する。
アンケートの回答コメントには、会社の風土(雰囲気)が反映される傾向にあり、管理職以上を含む従業員が感じ取っている風土(雰囲気)は、企業の状態や今後の成長と関連性があると言える。また、従業員のマインド、仕事へ取り組む姿勢なども関連性があると言える。
管理職は、景気動向の変化をいち早く察する傾向があり、管理職未満は実際に変化するまで動向に気づき難い傾向がある。
アンケート予測部134は、アンケート結果に含まれる役職区分毎の思考特性と業種を関連付けて景気の今後の動向を予測する。
【0055】
研修利用企業予測部135は、研修サービス利用企業の利用者IDの登録状況に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成する。つまり利用者IDの以前よりも増加している企業は、人材の育成のための投資を増加しており、その企業の業種、業界の景気が今後上昇傾向にあることが分かる。また利用者IDの以前よりも減少している企業は、人材の育成のための投資を減少させており、その企業の業種、業界の景気が今後下降傾向にあることが分かる。利用者IDの登録状況は、受講者DB141から読み出すものとする。
【0056】
意思決定機関予測部136は、企業において研修サービスを利用するか否かを決定する意思決定にかかる時間の推移に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成する。つまり意思決定にかかる時間が基準意思決定時間よりも短い場合、その企業の業種の景気の先行きが良いことを示し、基準意思決定時間よりも長い場合、その企業の業種の景気の先行きがよくないことを示す。
意思決定にかかる時間の推移は、企業DB143に記憶されている企業毎の契約情報に含まれる、研修サービスのパンフレットの取り寄せ日や問い合わせ日から研修サービスを受講する契約を済ませるまでの期間を過去半年単位や1年単位に読み出すものとする。
【0057】
図4は、所定の受講者のスコアの値と、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団のスコアの値とを円領域にプロットし夫々を折れ線グラフとして重畳表示した例を示す図である。
図4に示すように、本実施形態において、受講者のビジネス基礎力を評価する指標を、例えばビジネスの実務能力という面で人を評価するように4つのスキルに分けて定義し、各スキル毎に5つのテーマで項目が設定されている。
具体的には、ビジネス基礎力を評価する上で定義される4つのスキルとして、例えば「ビジネス知識」(Buisiness Knowlege)、「プランニング&コントロール」(Planning & Control)、「コミュニケーション」(Communication)、並びに「シンキング」(Thinking)等がある。
【0058】
また、4つのスキルの夫々には、5つのテーマが設定されている。5つのテーマとしては、例えば「ビジネス知識」というスキルには、時事問題、法務・人事・労務、財務・経理、マーケティング、経営というテーマで項目が設定されている。
「プランニング&コントロール」というスキルには、目的及び目標、計画、業務管理、振り返り・評価、改善というテーマで項目が設定されている。
「コミュニケーション」というスキルには、ネゴシエーション、文書伝達、口頭伝達、傾聴、ビジネスマナーというテーマで項目が設定されている。
「シンキング」というスキルには、数的処理、思考法活用、情報収集、課題設定、解決策立案というテーマで項目が設定されている。
【0059】
そして、サーバ10のテスト部121は、受講者に対し、各スキル毎に設定したテーマ毎に個別のテストを課し、当該テストの結果を取得し、各スキル毎に設定したテーマ毎の所定の採点基準に基づいて採点をした上で、当該採点結果を正規化(スコア化)し、これをスコアとして取得し、当該スコアを所定の表示領域にプロットしたグラフを受講者端末20に表示させる。
【0060】
具体的には、図4に示す同心円状の表示領域(円領域又は円グラフ、レーダーチャート等という)に、4つのスキルを表示領域の外周上に均等に割り当て表示し、各スキル毎に設定した各テーマの夫々を、スキルとの関係がわかるようにして円領域の外周上に均等間隔で配置し、正規化により取得したスコアの最低値“0”(ゼロ)を同心円状の中心に割り当て、中心から遠ざかる方向に一定間隔で数値(“1”乃至“5”)を配置する。当該スコアの最高値“5”は円領域の外周上に配置される。また、スコアが取り得る値(“1”乃至“5”)の夫々に同心円が配置される。
【0061】
そして、サーバ10は、受講者毎に管理しているスコアから、所定の受講者のスコアと、当該所定の受講者が含まれる所定の母集団であって、同年齢、同職種、同業界、同役職、同入社年度、又は本人の過去の結果の母集団のスコアとの1又は2以上の組合せを、前記表示領域にプロットしたグラフを受講者端末20に表示させる。
即ち、図4の表示領域には、受講者個人の今回スコア、前回スコア、前々回スコアという3つのスコアについて、線種を分けたレーダーチャートで描かれる。チャートどうしは、同一領域に重ねて表示されており、変化した項目(スキル)が一目で比較可能になっている。
各スキルの項目名の位置には、そのスキルの総点数に対する受講者の取得点数が提示される。レーダーチャートの外側のスキル名、例えば「ビジネス知識」というスキル名の枠の位置には、そのスキルにおける受講者の獲得スコア(点数)が示される。この例では、スキルの合計点(25満点)に対する獲得スコア(19点)として、例えば19/25等という表示形態で提示される。
【0062】
このように、各スキル毎の各テーマのスコアの値の分布状態を可視化することで、当該所定の受講者は、現状のスキルと過去のスキルとを比べた成長の度合い、並びに企業の教育効果を容易に視認することができる。
【0063】
このように、受講者は、受講者自身のビジネスにおけるスキルの高さを容易に視認できるとともに、受講者と同年齢の受講者や、受講者と同職種かつ同年齢の受講者のビジネスにおけるスキルの水準についても視認できるため、受講者自身のビジネスにおけるスキルの高さを相対的に把握することができる。
したがって、受講者は、受講者自身の強みとして伸ばすべきスキルや、弱みとしてフォローすべきスキルを容易に把握することができる。
【0064】
ここで、図5を参照してアンケート調査を行うアンケートについて説明する。図5は、アンケートの帳票又はアンケート画面の一例を示す図である。
受講者のマイページには、図5に示すアンケート画面が表示される。
アンケート画面は、テーマ、アンケート設問、回答方法、凡例等の項目が設けられている。
テーマは、例えば「今の気分」、「実務量」、「本人の成長実感」、「本人のチャレンジ」、「自己投資」、「会社の雰囲気」、「今後のキャリア」等、7つのテーマが設けられている。
例えば「今の気分」というテーマについては、アンケートの設問が「今、仕事に充実感を持っていますか?」といった内容であり、設問に対する回答を0-100の範囲の中から数値を入力して回答する方式とする。0は、充実感を全く持っていないものとし、100は、充実感をたいへん持っているものとする。
このアンケート画面によるアンケート調査では、企業の従業員が感じ取っている企業の風土(雰囲気)や従業員のマインド、仕事へ取り組む姿勢等が解る。これらの情報は、企業の状態や今後の成長と関連性があると言えるため、これらの情報を先行指標として、景気の今後の動向を予測することができる。
【0065】
続いて、図6を参照してこの情報処理システム1におけるサーバ10の景気予測動作を説明する。図6は、サーバ10の業績予測動作を示すフローチャートである。
この場合、図6のステップS11において、テスト部121は、例えば東京都を所在地とする企業の従業員やアンケート回答者等の対象者を対象として、1以上の対象者に施された研修サービスやアンケート調査等に関して収集された情報(ビジネス基礎力評価結(スコア)やアンケートの回答(評価値等))を、人材育成ログ情報として取得する。
1以上の人材育成ログ情報に含まれるビジネス基礎力評価結果やアンケート回答等の指標の推移に基づいて、東京都を少なくとも含む日本国や関東地方等の景気の今後の動向を示す景気の先行指標等の情報を生成する
その後、サービス提供者からビジネス基礎力を向上するためのサービスの提供を受けている企業等からサービス提供者に今後の業績予測の依頼があると、サービス提供者は、サーバ10に対して業績予測を指示する。
サーバ10では、ステップS12において、業績予測部122は、テスト部121により取得されたスコアにより示される1以上の従業員の夫々についてのビジネス基礎力診断テストの夫々の過去の受検結果と現在の受検結果との差異に基づいて、当該企業の業績、収益、利益率等の変化を予測し、予測結果を表示制御部124へ出力する。
【0066】
以下、図7乃至図26を参照して本サービス提供者が実施した研修サービスの評価結果(スコア)及びアンケート調査結果(アンケートの回答コメント)と、日銀短観変化幅と、の相関関係を検証したいくつかの事例を説明する。
【0067】
まず、図7を参照して、利用数予測部131において、企業が属する業種毎に、研修サービスを利用する企業数の推移に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成するための検証事例について説明する。
図7は、企業の業種毎に利用企業数増加率と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
【0068】
図7のテーブル61は、ある年から翌年にかけての1年間で、研修サービスを利用する企業数の増加率と同年度の短観変化幅とを比較したものである。
研修サービスを受ける利用企業の増加は、事業拡大や新規事業の着手、従業員の増加など、企業にとって業績が上昇傾向にあるという仮説を元に検証した。
企業における教育投資は、事業拡大等を見越しての先行投資と言える。
【0069】
図7のテーブル61では、情報通信業は、短観の変化幅が大きく、かつ研修の利用企業数も増加している。卸小売業は、短観の変化幅が横ばい、かつ研修の利用企業数は横ばいとなっている。運輸業は、短観の変化幅がマイナス、かつ研修の利用企業数も減少している。
これらのデータから、短観の変化幅が示す景気動向指数と、利用企業数の増加には相関関係があるという検証結果が得られた。その他、業種・業界でも同様の傾向がみられることから、研修の利用企業数の増加率は、景気動向の先行指数として有効であると言える。また、エリア別、企業規模別でも同様の傾向が見いだせた。
【0070】
続いて、図8を参照して、利用数予測部131において、企業が属する業種毎に、研修サービスを利用する企業の受講者数の推移に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成するための検証事例について説明する。
図8は、企業の業種毎に一企業あたりの受講人数増加率と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
【0071】
図8のテーブル62は、ある年から翌年にかけての1年間で、研修サービスを利用する企業の受講者数の増加率と同年度の短観変化幅とを比較したものである。
研修の受講人数の増加は、事業拡大や新規事業の着手、従業員の増加等、企業にとって業績が上向き傾向にあるという仮説を元に検証した。
受講人数の増加は、研修サービスを利用する企業の増加とも関連が高いため、事業拡大や新規事業の着手、従業員の増加等、企業にとって業績が上昇傾向にあると言える。また、事業拡大等を見越しての先行投資とも言える。
【0072】
図8のテーブル62では、情報通信業は、短観の変化幅が大きく、かつ研修の受講人数も増加している。卸小売業は、短観の変化幅が横ばい、かつ研修の受講人数は横ばいとなっている。運輸業は、短観の変化幅がマイナス、かつ研修の受講人数も減少している。
これらのデータから、短観の変化幅が示す景気動向指数と研修サービスの受講人数の増加には関連性があるという検証結果が得られた。その他、業種・業界でも同様の傾向がみられることから、研修の受講人数の増加率は、景気動向の先行指数として有効であることが言える。また、エリア別、企業規模別でも同様の傾向が見いだせた。
【0073】
次に、図9を参照して、階層教育予測部132において、企業が属する業種毎に、階層教育に着手している企業の管理職の受講人数の推移に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成するための検証事例について説明する。
図9は、企業の業種毎に階層教育に着手している企業の管理職の増加率と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
【0074】
図9のテーブル63は、ある年から翌年にかけての1年間で、階層教育に着手している企業の管理職の受講人数の増加率と同年度の短観変化幅とを比較したものである。
研修サービスを受ける利用企業の管理職の受講者の増加は、管理職の育成に力を入れていると言い換えることができる。事業の拡大や組織あたりの人数の増加を見越して、管理職の育成が急務となり、管理職の受講者の増加に繋がるという仮説を元に検証した。
【0075】
図9のテーブル63では、情報通信業は、短観の変化幅が大きく、かつ管理職の研修の受講人数は増加している。卸小売業は、短観の変化幅が横ばい、かつ管理職の研修の受講人数は増加している。運輸業は、短観の変化幅がマイナス、かつ管理職の研修の受講人数も減少している。
これらのデータから、短観の変化幅が示す景気動向指数と管理職の受講人数の増加には関連性があるという検証結果が得られた。その他、業種・業界でも同様の傾向がみられることから、管理職の研修の受講人数の増加率は、景気動向の先行指数として有効であることが言える。また、エリア別、企業規模別でも同様の傾向が見いだせた。
【0076】
次に、図10を参照して、階層教育予測部132において、企業が属する業種毎に、階層教育に着手している企業の途中入社者の受講人数の推移に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成するための検証事例について説明する。
図10は、企業の業種毎に階層教育に着手している企業の途中入社者の受講人数の増加率と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
【0077】
図10のテーブル64は、ある年から翌年にかけての1年間で、階層教育に着手している企業の途中入社者の受講人数の増加率と同年度の短観変化幅とを比較したものである。
なお、中途入社者の受講人数は、中途入社者向けの研修の参加人数から取得する。
研修サービスを受ける利用企業の途中入社者の受講者の増加は、中途入社者自体が増加している、中途採用が活発化していると言い換えることができる。
事業が拡大し始めるタイミングでは、中途入社者の採用が急務となり、中途入社者の受講者の増加に繋がるという仮説を元に検証した。
【0078】
図10のテーブル64では、情報通信業は、短観の変化幅が大きく、かつ中途入社者の研修の受講人数も増加している。卸小売業は、短観の変化幅が横ばい、かつ中途入社者の研修の受講人数も横ばいとなっている。運輸業は、短観の変化幅がマイナス、かつ中途入社者の研修の受講人数も減少している。
これらのデータから、短観の変化幅が示す景気動向指数と中途入社者の研修の受講人数の増加には関連性があるという検証結果が得られた。また中途入社者の採用は、事業の成長と組織拡大のギャップを見越して活性化するという側面もあるため、先行指標の要素として見いだせる。その他、業種・業界でも同様の傾向がみられることから、中途入社者の研修の受講人数の増加率は、景気動向の先行指数として有効であると言える。また、エリア別、企業規模別でも同様の傾向が見いだせる。
【0079】
次に、図11図12を参照して、研修予測部133において、企業が属する業種毎に、研修テーマ別・階層別の受講人数の推移に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成するための検証事例について説明する。
まず、図11を参照して、研修予測部133において、企業が属する業種毎に、経営戦略、経営方針に関する研修の管理職の受講人数の推移に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成するための検証事例について説明する。
図11は、企業の業種毎の経営戦略、経営方針に関する研修の管理職の受講人数の増加率と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
【0080】
図11のテーブル65は、ある年から翌年にかけての1年間で、研修サービスの中の、経営戦略、経営方針に関する研修の受講人数の増加率と同年度の短観の変化幅を比較したものである。なお、経営戦略、経営方針に関する研修の受講対象者は、役職が管理職以上の者とする。
管理職以上が経営方針や経営戦略に意欲的に取り組む(研修を積極受講する)状態は、景気上昇の予兆と言える。事業が拡大局面にあるときは、当該研修の受講者が増加するという仮説を元に検証した。
【0081】
図11のテーブル65では、情報通信業は、短観の変化幅が大きく、かつ経営に関する研修の受講人数も増加している。卸小売業は、短観の変化幅が横ばい、かつ経営に関する研修の受講人数も横ばいとなっている。運輸業は、短観の変化幅がマイナス、かつ経営に関する研修の受講人数も減少している。
上記データから、経営戦略や方針に関連する研修と景気の動向には関連性があるという検証結果が得られた。また、企業において、事業の拡大局面もしくはその予兆があるときには、経営戦略や方針を再設計する必要に迫られる傾向があるため、景気拡大の先行指標として有効であると言える。また、その他、業種・業界でも同様の傾向がみられることから、経営戦略や方針に関連する研修の受講人数の増加率は、景気動向の先行指数として有効であることが言える。エリア別、企業規模別でも同様の傾向が見いだせる。
【0082】
次に、図12を参照して、研修予測部133において、企業が属する業種毎に、中途社員向け研修の受講人数の推移に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成するための検証事例について説明する。
図12は、企業の業種毎の中途社員向け研修の受講人数の増加率と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
【0083】
図12のテーブル66は、ある年から翌年にかけての1年間で、中途社員向け研修の受講人数の増加率と同年度の短観の変化幅を比較したものである。
中途入社向けの研修の受講人数の増加は、中途入社者自体が増加している、中途採用が活発化している、と言い換えることができる。
事業が拡大し始めるタイミングでは、中途入社者の採用が急務となり、中途入社者の受講者の増加につながるという仮説を元に検証した。
図12のテーブル66では、情報通信業は、短観の変化幅が大きく、かつ中途入社者に関する研修の受講人数も増加している。卸小売業は、短観の変化幅が横ばい、かつ中途入社者に関する研修の受講人数も横ばいとなっている。運輸業は、短観の変化幅がマイナス、かつ中途入社者に関する研修の受講人数も減少している。
上記データから、中途社員向けの研修と景気の動向には相関関係(相関性)があるという検証結果が得られた。その他、業種・業界でも同様の傾向がみられることから、中途社員向けの研修の受講人数の増加率は、景気動向の先行指数として有効であることが言える。また、エリア別、企業規模別でも同様の傾向が見いだせる。
【0084】
上記経営戦略、経営方針に関する研修や中途入社向けの研修の例は、一例であり、この他、クリエイティブ系研修、キャリアデザイン系研修、新任管理職系研修、コストダウンや回収不能防止系の研修等について検証した。
【0085】
キャリアデザイン系研修の受講者の特長は、企業が安定傾向にあり、個人が未来に前向きな状態である場合が多いことがあげられる。
当該テーマの研修の受講者が増加している業種・業界は継続的な成長がみられる、もしくは長期的な成長の展望が描ける状態にあると言える。
【0086】
新任管理職系研修の受講者が増加しているということは、新任管理職の絶対数が増加していると言い換えることができる。
新任管理職数が増加しているということは、社員数の増加や部門役割が新設されているような状況であると言える。当該テーマの研修の受講者が増加している業種・業界は景気が上昇傾向にあると言える。
【0087】
コストダウンや回収不能防止系の研修の受講者の特長として、コストダウンの必要性を感じている、もしくは、実際に必要に迫られている企業であることがあげられる。
当該テーマの研修の受講者が増加している業種・業界は、財務的に不安定、すなわち景気が下降傾向にあるといえる。
【0088】
以下、図13乃至24を参照して、アンケート予測部134において、企業が属する業種、業界毎に、受講者のアンケート回答に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成するための検証事例について説明する。
図13は、企業の業種毎の管理職以上、管理職未満の夫々の受講者に対するアンケート調査で「仕事に対しての充実感」という設問に対して得られたアンケートの回答(アンケート調査結果の数値)と景気動向とを対応させたテーブルの例を示す図である。
図14は、図13のテーブルから導出されるアンケート調査結果と景気動向との相関関係を示す図である。
【0089】
図13のテーブル67は、複数の業種、業界A~D毎に、管理職以上、管理職未満の夫々の受講者から得られたアンケート結果の数値と景気動向とを対応させて示したものである。アンケート結果の数値は、回答指数の平均値を分析指数として使用したものである。
具体的な設問は、「仕事に充実感を持っていますか?」であり、この設問に対する回答は、0-100の指数の中から、設問に対して、受講者が思う現在の状態を数値に当てはめて回答されたものである。指数の下限の0は全く持っていない、指数の上限の100は、たいへん持っている、という設定の中で回答を得ている。
【0090】
仕事への充実感と景気動向には相関関係があるという仮説を元に検証した。
仕事への充実感を持っている状態の特長としては、会社や個人としての成長を実感している、会社への貢献を感じている、承認されている等があげられる。
これらの状態は、個人として成果を出せている状態にも繋がるため、仕事への充実感を感じている人が多いほど、高い成果を上げられているとも言える。
一方で、仕事への充実感を持てていない状態の特長は、会社や個人としての成長を感じられない、将来への不安を感じる、職場環境が著しく悪化している、等があげられる。
業種Aは、管理職が高く、管理職未満が高い。これに対応する景気動向は、「よいもしくは上昇傾向」が当てはまる。
業種Bは、管理職が高く、管理職未満が低い。これに対応する景気動向は、「拡大し始めている」が当てはまる。
業種Cは、管理職が低く、管理職未満が高い。これに対応する景気動向は、「停滞もしくは縮小しはじめ」が当てはまる。
業種Dは、管理職が低く、管理職未満が低い。これに対応する景気動向は、「悪いもしくは下降傾向」が当てはまる。
仕事への充実感で、上記管理職以上と管理職未満の数値と景気動向とをマトリクスにすると、図14のような相関関係(の図)が得られる。
上記データから、仕事への充実感と景気の動向には関連性があるいう検証結果が得られた。その他、業種・業界でも同様の傾向がみられることから、アンケートから読み取れる仕事への充実感への回答結果は、景気動向の先行指数(先行指標)として有効であると言える。また、エリア別、企業規模別でも同様の傾向が見いだせる。
【0091】
続いて、アンケート調査の設問を変えた事例を説明する。
図15は、企業の業種毎の管理職以上、管理職未満の夫々の受講者に対するアンケート調査で「業務上の新しい取組や挑戦」という設問に対して得られたアンケートの回答(アンケート調査結果の数値)と景気動向とを対応させたテーブルの例を示す図である。
図16は、図15のテーブルから導出されるアンケート調査結果と景気動向との相関関係を示す図である。
【0092】
図15のテーブル68は、複数の業種、業界A~D毎に、管理職以上、管理職未満の夫々の受講者から得られたアンケート結果の数値と景気動向とを対応させて示したものである。アンケート結果の数値は、回答指数の平均値を分析指数として使用したものである。
具体的な設問は、「直近3か月間で、会社・組織・個人で新しい業務に取り組んだり挑戦したりしましたか?」であり、この設問に対する回答は、0-100の指数の中から、設問に対して、受講者が思う現在の状態を数値に当てはめて回答されたものである。指数の下限の0は新しい取組・挑戦を全くしていない、指数の上限の100は、多くの新しい取組・挑戦をした、という設定の中で回答を得ている。
【0093】
業務上の新しい取組や挑戦と景気動向には相関関係があるという仮説を元に検証した。
業務上の新しい取組や挑戦をしている状態とは、即ち新しい領域(新規事業立ち上げ、事業拡大)に着手している状態である。景気が拡大傾向にあるときにこそ、新しい領域に着手するといえ、業務上の新しい取組や挑戦ができる環境にあるか否かと景気動向には相関関係があると言える。
また、新しい取組や挑戦出来ているということは、それらの取組ができる風土が企業にあるとも言える。新しい取組や挑戦を継続して行うことが企業の成長にも繋がるため、それらの取組ができる風土があるということは、企業の成長要素があるとも言い換えることができる。
一方で、新しい取組や挑戦をしない企業は、停滞や下降をもたらし、取組ができる風土がない企業も同様の傾向がみられる。
【0094】
業種Aは、管理職が高く、管理職未満が高い。これに対応する景気動向は、「好調もしくは上昇傾向」が当てはまる。
業種Bは、管理職が高く、管理職未満が低い。これに対応する景気動向は、「景気が拡大し始めている」が当てはまる。
業種Cは、管理職が低く、管理職未満が高い。これに対応する景気動向は、「停滞もしくは縮小しはじめ」が当てはまる。
業種Dは、管理職が低く、管理職未満が低い。これに対応する景気動向は、「不調もしくは下降傾向」が当てはまる。
業務上の新しい取組や挑戦で、上記管理職以上と管理職未満の数値と景気動向とをマトリクスにすると、図16のような相関関係(の図)が得られる。
上記データから、業務上の新しい取組や挑戦と景気の動向には関連性があるという検証結果が得られた。その他、業種・業界でも同様の傾向がみられることから、アンケートから読み取れる業務上の新しい取組や挑戦への回答結果は、景気動向の先行指数(先行指標)として有効であると言える。また、エリア別、企業規模別でも同様の傾向が見いだせる。
管理職未満が新しい取組や挑戦に着手しだすのは、管理職よりも一歩遅れて動き出すケースが多いため、上記傾向となる。
【0095】
続いて、アンケート調査の設問を変えた事例を説明する。
図17は、企業の業種毎の管理職以上、管理職未満の夫々の受講者に対するアンケート調査で「業務上の新しい取組や挑戦」、「自己投資の目的」という設問に対して得られたアンケートの回答(アンケート調査結果の数値)と景気動向とを対応させたテーブルの例を示す図である。
図18は、図17のテーブルから導出されるアンケート調査結果と景気動向との相関関係を示す図である。
【0096】
図17のテーブル69は、複数の業種、業界A~D毎に、業務上の新しい取組や挑戦のアンケート結果の推移と、自己投資の目的の回答a、bの割合の変化と、景気動向とを対応させて示したものである。
アンケート結果の業務上の新しい取組や挑戦の数値は、回答指数の平均値を分析指数として使用したものである。
自己投資の目的という設問に対する回答は、下記a,b,cの中から受講者が選択して回答したものである。
aは、今の仕事をより良く進めるため、bは、今の仕事とは異なる仕事につなげるため、cは、すぐに仕事で役立つわけではないが、いつか役に立つかもしれないため、である。
【0097】
「業務上の新しい取組や挑戦をしているか」と「自己投資」の関係性と景気動向には相関関係があるという仮説を元に検証した。
業務上の新しい取組や挑戦している状態とは、即ち新しい領域(新規事業立ち上げ、事業拡大)に着手している状態である。景気が拡大傾向にあるときにこそ、新しい領域に着手するといえ、業務上の新しい取組や挑戦ができる環境にあるか否かと景気動向には相関関係があると言える。
また、新しい取組や挑戦出来ているということは、それらの取組ができる風土が企業にあるとも言える。新しい取組や挑戦を継続して行うことが企業の成長にもつながるため、それらの取組ができる風土があるということは、企業の成長要素があるとも言い換えることができる。
一方で、新しい取組や挑戦しない企業は、停滞や下降をもたらし、取組ができる風土がない企業も同様の傾向がみられる。
自己投資の目的には、現在の仕事への向き合い方やキャリアプランが反映されると言える。
【0098】
aの回答は、現在の業務をより高いレベルで行うための前向きな状態であることと言えるが、bの回答からは、現在の業務に対して前向きな状態でないといえ、特に転職を検討しているとbの行動が表れ、先が見通せないと感じている人が多い傾向がある。これらの傾向と業績との関連性は高いと言える。
【0099】
業種Aは、新しい取組や挑戦ができており、aの割合が高い。これに対する景気動向は、「継続的に安定成長をしている、更に拡大する可能性がある」が当てはまる。
業種Bは、新しい取組や挑戦ができており、a、bの割合が同じである。これに対する景気動向は、「一時的に成長をしている、成長が継続しない可能性がある」が当てはまる。
業種Cは、新しい取組や挑戦ができておらず、aの割合が高い。これに対する景気動向は、「安定している、一方で新しい取組ができていないため緩やかに下降していく可能性が高い、またスキルが向上しても新しい取組がないため、人が離れていく可能性が高い」が当てはまる。
業種Dは、新しい取組や挑戦ができておらず、bの割合が高い。これに対する景気動向は、「下降傾向」が当てはまる。
業務上の新しい取組や挑戦と自己投資と景気動向とをマトリクスにすると、図18のような相関関係(の図)が得られる。
上記データから、「業務上の新しい取組や挑戦をしているか」と「自己投資」の関係性と景気動向には関連性があるという検証結果が得られた。
その他、業種・業界でも同様の傾向がみられることから、アンケートから読み取れる「業務上の新しい取組や挑戦をしているか」と「自己投資」の回答結果は、景気動向の先行指数として有効であることが言える。また、エリア別、企業規模別でも同様の傾向が見いだせる。
【0100】
続いて、アンケート調査の設問を変えた事例を説明する。
図19は、企業の業種毎の受講者に対するアンケート調査で「仕事への充実感」、「業務量」という設問に対して得られたアンケートの回答(アンケート調査結果の数値)と景気動向とを対応させたテーブルの例を示す図である。
図20は、図19のテーブルから導出されるアンケート調査結果と景気動向との相関関係を示す図である。
【0101】
図19のテーブル70は、複数の業種、業界A~D毎に、受講者から得られた「仕事への充実感」、「業務量」の夫々のアンケート結果の推移と景気動向とを対応させて示したものである。アンケート結果の数値は、回答指数の平均値を分析指数として使用したものである。
「仕事への充実感」の具体的な設問は、「仕事に充実感を持っていますか?」であり、この設問に対する回答は、0-100の指数の中から、設問に対して、受講者が思う現在の状態を数値に当てはめて回答されたものである。指数の下限の0はまったく持っていない、指数の上限の100は、たいへん持っている、という設定の中で回答を得ている。
「業務量」の具体的な設問は、「直近3か月間で、会社・組織・個人で業務量は増えていますか?」であり、この設問に対する回答は、0-100の評価値(指数)の中から、設問に対して、受講者が思う現在の増加率を数値に当てはめて回答されたものである。指数の下限の0は増加率が-50%以下、指数の上限の100は、増加率が+50%以上、という設定の中で回答を得ている。
【0102】
「仕事に対しての充実感」と「業務量」の関係性と景気動向には相関関係があるという仮説を元に検証した。
仕事への充実感を持っている状態の特長として、会社や個人としての成長を実感している、会社への貢献を感じている、承認されているなどがあげられる。これらの状態は個人として成果を出せている状態にも繋がるため、仕事への充実感を感じている人が多いほど高い業績を上げられているとも言える。
一方で、仕事への充実感を持てていない状態の特長としては、会社や個人としての成長を感じられない、将来への不安を感じる、不公平感を感じている、職場環境が著しく悪化している、等があげられる。
業務量が増加傾向にある場合には以下の2つのパターンの傾向がある。
一つ目は、新しい領域(新規事業立ち上げ、事業拡大)に着手している状態で、これにより業務量が増加している場合である。
二つ目は、退職などの理由から対応者が減少し、一人当たりの業務量が増加している場合である。
【0103】
業務量の増減だけでなく、業務量が増えている状態であっても仕事に対して充実感を持てているか否かを組み合わせることで、景気動向を予測する。
業種Aは、「仕事への充実感」が高く、「業務量」が増加している。これに対する景気動向は、「好調もしくは上昇傾向」が当てはまる。
業種Bは、「仕事への充実感」が高く、「業務量」が微増している…拡大し始めている
業種Cは、「仕事への充実感」が低く、「業務量」が増加している。これに対する景気動向は、「停滞もしくは縮小し始め、もしくは急拡大(無理な成長)により急減速や崩壊の可能性もある。」が当てはまる。
業種Dは、「仕事への充実感」が低く、「業務量」が停滞もしくは減少している。これに対する景気動向は、「不調もしくは下降傾向」が当てはまる。
「仕事への充実感」と「業務量」と景気動向とをマトリクスにすると、図20のような相関関係(の図)が得られる。
上記データから、「仕事への充実感」と「業務量」の関係性と景気動向には相関関係(関連性)があるという検証結果が得られた。
その他、業種・業界でも同様の傾向がみられることから、アンケートから読み取れる「仕事への充実感」と「業務量」の回答結果は、景気動向の先行指数として有効であることが言える。また、エリア別、企業規模別でも同様の傾向が見いだせる。
【0104】
続いて、アンケート調査の設問を変えた事例を説明する。
図21は、企業の業種毎の受講者に対するアンケート調査で「会社の雰囲気」、「キャリアプラン」という設問に対して得られたアンケートの回答(アンケート調査結果の評価値)と景気動向とを対応させたテーブルの例を示す図である。
図22は、図21のテーブルから導出されるアンケート調査結果と景気動向との相関関係を示す図である。
【0105】
図21のテーブル71は、複数の業種、業界A~D毎に、受講者から得られた「会社の雰囲気」、「キャリアプラン」の夫々のアンケート結果の推移と景気動向とを対応させて示したものである。アンケート結果の数値は、回答指数の平均値を分析指数として使用したものである。
「会社の雰囲気」の具体的な設問は、「会社の雰囲気はよいと感じますか?、3か月前と現在を比較して増加率でお答えください」であり、この設問に対する回答は、0-100の評価値(指数)の中から、設問に対して、受講者が思う現在の状態を数値に当てはめて回答されたものである。指数の下限の0はとてもよくない、指数の上限の100は、とてもよい、という設定の中で回答を得ている。
「キャリアプラン」の具体的な設問は、「今の会社で働き続けたいか?」であり、この設問に対する回答は、下記a乃至gの中から受講者が選択して回答したものである。
aは今の会社で働き続けたい、bは、いずれは同業種で転職を検討している、cは、いずれは異業種で転職を検討している、dは、いずれは同業種で起業したい、eは、いずれは異業種で起業したい、fは、フリーランスとして独立したい、gは、その他、である。
上記回答を同業種と異業種の要素で分類すると、同業種要素はa、b、d、f、異業種要素はc、eとなる。
【0106】
「会社の雰囲気」と「キャリアプラン」の関係性と景気動向には相関関係があるという仮説を元に検証した。
会社の雰囲気がよい状態の特長として、会社や個人として業務に前向きに取り組めている、人間関係が良好である、意見が通りやすいなどがあげられる。これらの状態は個人として成果を出せている状態にもつながるため、会社の雰囲気がよいと感じている人が多いほど高い業績を上げられているとも言える。
一方で、会社の雰囲気が悪い状態の特長として、会社や個人としての成長を感じられない、将来への不安を感じる、不公平感を感じている、職場環境が著しく悪化している、などがあげられる。
キャリアプランとして、転職の意向がある場合に同業種もしくは異業種を希望するかで、業種・業界への印象や成長の予兆を読み取ることができる。
同業種への転職もしくは独立・フリーランスを希望する場合は、業種・業界に対してポジティブな雰囲気を感じている、もしくは業種・業界が安定しているもしくは成長できると感じている。
異業種への転職を希望する場合は、個人的に業種・業界にあっていない、というケースもあるが、多くは業種・業界に不安や成長できると感じることができていないと言える。
【0107】
転職の思考がない、もしくは同業種へ転職を希望する、かつ会社の雰囲気がよい。これに対する景気動向は、「既に好調である」が当てはまる。
転職の思考がない、もしくは同業種へ転職を希望するが、会社の雰囲気はよくない。これに対する景気動向は、「状況によるため、相関関係は見いだせない」が当てはまる。
転職の思考があり、異業種へ転職を希望するが、会社の雰囲気はよい。これに対する景気動向は、「停滞傾向にある」が当てはまる。
転職の思考があり、異業種へ転職を希望する、かつ会社の雰囲気がよくない。これに対する景気動向は、「縮小し始めている」が当てはまる。
【0108】
「会社の雰囲気」と「キャリアプラン」と景気動向とをマトリクスにすると、図22のような相関関係(の図)が得られる。
上記データから、「会社の雰囲気」と「キャリアプラン」の関係性と景気動向には相関関係(関連性)があるという検証結果が得られた。
その他、業種・業界でも同様の傾向がみられることから、アンケートから読み取れる、「会社の雰囲気」と「キャリアプラン」の回答結果は、景気動向の先行指数として有効であると言える。また、エリア別、企業規模別でも同様の傾向が見いだせる。
【0109】
続いて、アンケート調査の設問を変えた事例を説明する。
図23は、企業の業種毎の受講者に対するアンケート調査においてフリーコメントで得られたアンケートの回答(アンケート調査結果の評価値)と景気動向とを対応させたテーブルの例を示す図である。
図24は、図23のテーブルから導出されるアンケート調査結果と景気動向との相関関係を示す図である。
【0110】
図23のテーブル72は、複数の業種、業界A~D毎に、アンケートの結果として受講者から得られたフリーワードの回答を「ポジティブキーワード」と「ネガティブキーワード」の夫々に種別した結果と景気動向とを対応させて示したものである。アンケート結果の数値は、「ポジティブキーワード」と「ネガティブキーワード」との比率を示すものである。
具体的には、アンケート調査における各設問にフリーコメント欄を設け、その中のキーワードから「ポジティブワード」と「ネガティブワード」を抽出し、業種、業界A~D毎に夫々のキーワードの割合を求めた。
「ポジティブワード」と「ネガティブワード」の割合と景気動向には相関関係があるという仮説を元に検証した。
受講者のアンケートの回答結果で、会社の雰囲気がよい、又は仕事へ充実感をもってあたれている、チャレンジや挑戦をする風土があるときは、フリーコメントにポジティブなキーワードが記載される傾向にある。一方で、逆のケースだとネガティブなキーワードが増える。
【0111】
図23のテーブル72では、業種、業界Aのポジティブワードとネガティブワードとの比率は、9:1であり、ネガティブキーワードがほとんど出てこない状態である。これに対する景気動向は、「好調もしくは上昇傾向」が当てはまる。
業種、業界Bのポジティブワードとネガティブワードとの比率は、6:4であり、ポジティブキーワードがネガティブキーワードをやや上回る状態である。これに対する景気動向は、「景気とは関連性なし」が当てはまる。
業種、業界Cのポジティブワードとネガティブワードとの比率は、3:7であり、ネガティブキーワードがポジティブキーワードをやや上回る状態である。これに対する景気動向は、「景気とは関連性なし」が当てはまる。
業種、業界Dのポジティブワードとネガティブワードとの比率は、2:8であり、ポジティブキーワードがほとんど出てこない状態である。これに対する景気動向は、「停滞もしくは下降傾向」が当てはまる。
会社の雰囲気が良い、又は仕事へ充実感をもってあたれている、チャレンジや挑戦する風土があるときは、フリーコメントにポジティブなキーワードが記載される傾向にある。一方で、逆のケースではネガティブなキーワードが増える。
アンケート結果のフリーコメントと景気動向とをマトリクスにすると、図24のような相関関係(の図)が得られる。
上記データから、フリーコメントの「ポジティブワード」と「ネガティブワード」の割合と景気動向には関連性があるという検証結果が得られた。
その他、業種・業界でも同様の傾向がみられることから、フリーコメントの「ポジティブワード」と「ネガティブワード」の割合は、景気動向の先行指数として有効であると言える。また、エリア別、企業規模別でも同様の傾向が見いだせる。
【0112】
次に、図25図26を参照して、上記テストのスコアやアンケート結果以外の研修に関する情報の推移に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成するための検証事例について説明する。
まず、図25を参照して、研修利用企業予測部135において、研修利用企業の利用者IDの推移に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成するための検証事例について説明する。
図25は、研修サービスを利用する企業の管理職のサービス利用者数(利用者ID数)の推移と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
【0113】
図25のテーブル73は、ある年から翌年にかけての1年間で、研修サービスを利用する企業の受講者のうち管理職の利用者ID数の増加率と同年度の短観の変化幅を比較したものである。
研修サービスを利用する企業における管理職の利用者ID数の増加は、管理職自体が増加していると言い換えることができる。
事業が拡大し始めるタイミングでは、管理職の育成が急務となり、管理職の受講者の増加に繋がるという仮説を元に検証した。
【0114】
図25のテーブル73では、情報通信業は、短観の変化幅が大きく、かつ管理職の研修の受講人数も増加している。卸小売業は、短観の変化幅が横ばい、かつ管理職の研修の受講人数は横ばいとなっている。運輸業は、短観の変化幅がマイナス、かつ管理職の研修の受講人数も減少している。
【0115】
これらのデータから、景気動向指数と管理職の受講者人数の増加には関連性があるという検証結果が得られた。その他、業種・業界でも同様の傾向がみられることから、管理職の研修の受講人数の増加率は、景気動向の先行指数として有効であることが言える。また、エリア別、企業規模別でも同様の傾向が見いだせる。
【0116】
次に、図26を参照して、研修利用企業予測部135において、研修利用企業の新入社員の利用者IDの推移に基づいて、業種、業界の景気の今後の動向を示す情報(景気動向の先行指標等)を生成するための検証事例について説明する。
図26は、研修サービスを利用する企業の新入社員の研修利用者数(利用者ID数)の推移と短観変化幅とを比較したテーブルの例を示す図である。
【0117】
図26のテーブル74は、ある年から翌年にかけての1年間で、研修サービスを利用する企業の受講者のうち新入社員の利用者ID数の増加率と同年度の短観の変化幅を比較したものである。
受講者のうち新入社員の利用者ID数の増加は、新卒採用を積極的に行っていると言い換えることができる。
新卒採用は投資的な要素も大きく事業が拡大し始めるタイミングでは、新卒の積極採用を行うという仮説を元に検証した。
【0118】
図26のテーブル74では、情報通信業は、短観の変化幅が大きく、かつ新入社員の受講者ID数も増加している。卸小売業は、短観の変化幅が横ばい、かつ新入社員の受講者ID数は横ばいとなっている。運輸業は、短観の変化幅がマイナス、かつ新入社員の受講者ID数も減少している。
これらのデータから、景気動向指数と管理職の新入社員の受講者ID数の増加には関連性があるという検証結果が得られた。その他、業種・業界でも同様の傾向がみられることから、新入社員の受講者ID数の増加率は、景気動向の先行指数として有効であると言える。また、エリア別、企業規模別でも同様の傾向が見いだせる。
【0119】
以下、研修サービスと景気動向とのその他の関連性について説明する。
企業が研修サービスの利用を検討し始めてから、研修サービスの契約(導入)に至るまでの意思決定までのリードタイムが景気の動向に関係性がある。
サービス検討から導入までのリードタイムが短いと、組織が既に拡大している、又は組織拡大の必要性が見えている傾向がある。
即ち、サービス検討から導入までのリードタイムは、景気の動向とも関連性があり、サービス検討から導入までのリードタイムが短い業種・業界の景気は上昇傾向にあると言える。
【0120】
ビジネススキル診断テストと退職者との関係が景気の動向に関係性がある。
ビジネススキル診断テストの結果が高い人材の流出が多い業界は景気が停滞、又は下降傾向にある。
【0121】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0122】
例えば、図2に示したハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0123】
また、図3に示した機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは、特に図3の例に限定されない。
【0124】
また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、図3に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロック及びデータベースは、ハードウェア単体で構成してもよいし、別々のハードウェアに備えてもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0125】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0126】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各受講者にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各受講者に提供される記録媒体等で構成される。
【0127】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0128】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものである。
【0129】
例えば、上述の実施形態では、ビジネス基礎力に関する評価を行うためのスキルとして、例えばビジネス知識、計画及びコントロール、コミュニケーション、並びに思考等の4種類のスキルに分けたが、これは例示に過ぎない。
即ち、ビジネス基礎力に関する任意のm個(mは1以上の整数値)夫々のスキルを採用することができる。この場合、各スキル毎に設けられるテーマも、上述の実施形態の例に特に限定されず、任意のp個(pは、mとは独立した1以上の整数値)のテーマを採用することができる。
【0130】
上記実施形態では、企業に所属する1以上の従業員の夫々についてのビジネス基礎力を示す情報として、例えばビジネススキルを評価する1以上のスキルにおけるテーマ毎のビジネス基礎力診断テストの得点を正規化したスコア等を取得したが、この例以外であってもよい。
例えば企業の他、団体やコミュニティであってもよく、組織であれば足りる。従業員の他、例えば社員や所員、署員等であってもよく、構成員であれば足りる。
また、ビジネス基礎力を示す情報としてスキルやテーマ毎のテストを正規化したスコアを取得したが、この他、例えばテストの得点そのものを取得してもよく、ビジネス基礎力を示す情報であれば足りる。
【0131】
上記実施形態では、テスト部121が、東京都を所在地とする企業の従業員やアンケート回答者等を対象として、1以上の従業員やアンケート回答者等に対して施されたビジネススキル取得のための研修サービスやアンケート調査等に関して収集されたビジネス基礎力の評価結果(スコア)やアンケートの回答(景気の先行指標等)を、人材育成ログ情報として取得したが、所定場所は、東京都以外でもよく、対象は、従業員やアンケート回答者以外であってもよい。人材育成の機会は、研修サービスやアンケート調査以外であってもよい。
即ち所定場所に関連する人を対象として、1以上の対象に対して施された人材育成の機会に関して収集された情報を、人材育成ログ情報として取得すればよい。
上記実施形態では、景気予測部123は、1以上の人材育成ログ情報(スコアやアンケートの回答(評価値等))に基づいて、東京都を少なくとも含む日本国や関東地方等の景気の今後の動向を示す情報(景気の先行指標)を生成したが、これ以外であってもよく、1以上の人材育成ログ情報に基づいて、所定場所を少なくとも含む所定範囲の景気の今後の動向を示す情報を生成すればよい。
上記実施形態では、テスト部121により取得された1以上の従業員の夫々についてのビジネス基礎力の夫々の過去のスコアとその後所定の期間(2年、3年、5年等)を経て取得したスコアとの差異に基づいて、当該企業の業績や利益率等の変化を予測したが、これ以外であってもよい。
企業の業績や利益率以外に、例えば収益等であってもよく、組織としての活動の成果であれば足りる。所定の期間についても2年、3年、5年後以外の期間であってもよく、所定期間であれば足りる。
上記実施形態では、生成した景気の今後の動向を示す情報を閲覧させる対象を制限することについては記載していないが、研修サービスの会員となった受講者のリテンション施策として活用してもよい。
例えば通常の会員と、プレミアム会員(オプション課金者)とを設定し、閲覧情報のレベルに差を付けてもよい。通常の会員には、景気が今後上がる、横ばい、下がる程度の情報を提供し、プレミアム会員には、例えば景気が今後上がる場合には、さらに詳細に上がり幅のポイントを提示するようにしてもよい。
また、会員だけでなく、景気の今後の動向を示す情報を一般の人に有料で提供するようにしてもよい。
【0132】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば図3のサーバ10等)は、
所定場所(例えば東京都等)に関連する人(東京都を所在地とする企業の従業員やアンケート回答者等)を対象として、1以上の前記対象(従業員やアンケート回答者等)に対して施された人材育成の機会(ビジネススキル取得のための研修サービスやアンケート調査等)に関して収集された情報(ビジネス基礎力評価結果やアンケートの回答(評価値等))を、人材育成ログ情報として取得するログ取得手段(例えば図3のテスト部121等)と、
1以上の前記人材育成ログ情報(ビジネス基礎力評価結果の指標やアンケート回答等)に基づいて、前記所定場所(例えば東京都等)を少なくとも含む所定範囲(日本国、関東地方、東京都等)の景気の今後の動向を示す情報(景気の先行指標等)を生成する景気動向生成手段(例えば図3の景気予測部123等)と、
を備える。
このような構成を備えることにより、人材育成の機会(ビジネススキル取得のための研修サービス等やアンケート調査等)に関して収集された人材育成ログ情報(ビジネス基礎力評価結果(スコア)の推移やアンケートの回答(評価値やコメント等))に基づいて、所定範囲(日本国、関東地方、東京都等)の景気の今後の動向を示す情報(景気の先行指標等)を生成することで、人材育成の機会(研修サービスやアンケート調査等)から得られる情報を、景気の今後の動向を予測する等といった経済の面で有効に活用することができる。
【0133】
前記人材育成の機会は、ビジネス基礎力を評価する上で分けられたスキルの中の1以上のテーマの研修を少なくとも含み、
前記人材育成ログ情報は、前記1以上の対象の夫々について、前記研修の後に行われた前記ビジネス基礎力に関するテストの結果を含む。
これにより、企業で働く従業員が受講者となり受講した研修の後に行われるビジネス基礎力に関するテストの結果の推移を用いて景気の今後の動向を示す情報(景気の先行指標等)を生成することで、その地域の経済の動き(景気の動向)を、より信頼性高く予測することができる。
【0134】
1以上の前記対象に対して所定期間を隔てて施された複数の人材育成の機会の夫々の際に前記ログ取得手段により収集される複数の前記人材育成ログ情報の推移に基づいて、前記1以上の対象が所属する組織の成果(業績等)の変化(業績の向上、横ばい、低迷等)を予測(AIによる予測処理等を)する業績予測手段(例えば図3の業績予測部122等)を備え、
前記景気動向生成手段(例えば図3の景気予測部123等)は、
前記業績予測手段(例えば図3の業績予測部122等)により予測される組織の成果(企業の業績等)の変化(業績向上又は業績低迷等)に基づいて、前記所定場所(例えば東京都等)を少なくとも含む所定範囲(日本国、関東地方等)の景気の今後の動向を示す情報を生成する。
このように、組織の成果(企業の業績等)の変化(業績向上又は業績低迷等)に基づいて、所定場所(例えば東京都等)を少なくとも含む所定範囲(日本国や関東地方等の地域)の景気の今後の動向を示す情報(景気の先行指標等)を生成することで、その地域の数カ月後や数年後の経済の動き(景気の動向)を、より信頼性高く予測することができる。
【符号の説明】
【0135】
1・・・情報処理システム、10・・・サーバ、20、20-1、20-n・・・受講者端末、101・・・CPU、102・・・ROM、103・・・RAM、104・・・バス、105・・・入出力インターフェース、106・・・出力部、107・・・入力部、108・・・記憶部、109・・・通信部、110・・・ドライブ、111・・・リムーバブルメディア、121・・・テスト部、122・・・業績予測部、123・・・景気予測部、124・・・表示制御部、131・・・利用数予測部、132・・・階層教育予測部、133・・・研修予測部、134・・・アンケート予測部、135・・・研修利用企業予測部、136・・・意思決定予測部、141・・・受講者DB、142・・・受検DB、143・・・企業DB、N・・・ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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