(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172972
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ユーザ装置及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20221110BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20221110BHJP
【FI】
H04W52/02
H04W24/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079345
(22)【出願日】2021-05-07
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 正幸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀明
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA43
5K067BB21
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】PDCCHの監視に必要な消費電力を低減しつつ、さらなる低消費電力化を実現可能とする方法及びユーザ装置を提供する。
【解決手段】ユーザ装置(UE)100は、基地局との無線通信を行う通信部110と、PDCCHをサーチスペースにおいて監視する第1状態において、基地局へのSRS送信、CSI測定、及び基地局へのCSI報告のうち少なくとも1つの動作を制御する所定制御を行う制御部120とを備える。通信部は、サーチスペースに関する設定が第1状態とは異なる第2状態への切り替えを指示する切り替え指示DCIを基地局からPDCCH上で受信する。制御部は、切り替え指示DCIの受信に応じて、少なくとも1つの動作について所定制御と異なる制御を行う。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局(200)との無線通信を行うユーザ装置(100)であって、
前記無線通信を行う通信部(110)と、
PDCCHをサーチスペースにおいて監視する第1状態において、前記基地局(200)へのSRS送信、CSI測定、及び前記基地局(200)へのCSI報告のうち少なくとも1つの動作を制御する所定制御を行う制御部(120)と、を備え、
前記通信部(110)は、前記サーチスペースに関する設定が前記第1状態とは異なる第2状態への切り替えを指示する切り替え指示DCIを前記基地局(200)から前記PDCCH上で受信し、
前記制御部(120)は、前記切り替え指示DCIの受信に応じて、前記少なくとも1つの動作について前記所定制御と異なる制御を行う
ユーザ装置(100)。
【請求項2】
前記第1状態は、前記基地局によって前記ユーザ装置に設定された複数のサーチスペースセットのうち第1サーチスペースセットが適用される状態であり、
前記第2状態は、前記複数のサーチスペースセットのうち第2サーチスペースセットが適用される状態であり、
前記通信部(110)は、前記切り替え指示DCIとして、前記第1サーチスペースセットから前記第2サーチスペースセットへの切り替えを指示する切り替え指示DCIを前記PDCCH上で受信する
請求項1に記載のユーザ装置(100)。
【請求項3】
前記制御部(120)は、前記第1状態において、前記少なくとも1つの動作を周期的に行うように前記通信部(110)を制御し、
前記制御部(120)は、前記第1状態から前記第2状態への切り替え遅延時間内において、前記少なくとも1つの動作を停止するように前記通信部(110)を制御する
請求項1又は2に記載のユーザ装置(100)。
【請求項4】
前記制御部(120)は、前記第1状態において、周期的なSRS送信及び周期的なCSI報告のうち少なくとも1つの動作を行うように前記通信部(110)を制御し、
前記制御部(120)は、前記切り替え遅延時間内において、前記周期的なSRS送信及び前記周期的なCSI報告を停止するように前記通信部(110)を制御する
請求項3に記載のユーザ装置(100)。
【請求項5】
前記第1状態は、所定周期で設けられた前記サーチスペースにおいて前記PDCCHを監視する状態であり、
前記第2状態は、前記所定周期よりも長い周期で設けられた前記サーチスペースで前記PDCCHを監視する状態である
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のユーザ装置(100)。
【請求項6】
前記制御部(120)は、前記第2状態において、前記少なくとも1つの動作を前記サーチスペースの時間区間でのみ行うように前記通信部(110)を制御する
請求項5に記載のユーザ装置(100)。
【請求項7】
前記第1状態は、所定周期で設けられた前記サーチスペースにおいて前記PDCCHを監視する状態であり、
前記第2状態は、前記PDCCHの監視をスキップする状態である
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のユーザ装置(100)。
【請求項8】
前記制御部(120)は、前記第2状態において、前記少なくとも1つの動作を行わないように前記通信部(110)を制御する
請求項7に記載のユーザ装置(100)。
【請求項9】
基地局(200)との無線通信を行うユーザ装置(100)で実行する通信方法であって、
PDCCHをサーチスペースにおいて監視する第1状態において、前記基地局(200)へのSRS送信、CSI測定、及び前記基地局(200)へのCSI報告のうち少なくとも1つの動作を制御する所定制御を行うステップと、
前記サーチスペースに関する設定が前記第1状態とは異なる第2状態への切り替えを指示する切り替え指示DCIを前記基地局(200)から前記PDCCH上で受信するステップと、
前記切り替え指示DCIの受信に応じて、前記少なくとも1つの動作について前記所定制御と異なる制御を行うステップと、を有する
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムで用いるユーザ装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、無線リソース制御(RRC)コネクティッド状態にあるユーザ装置の消費電力を低減するパワーセービング技術を第5世代(5G)システムに導入することが検討されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
例えば、ユーザ装置における物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)の監視に必要な消費電力を低減するために、PDCCHが設けられる候補タイミングに相当するサーチスペースの周期を長くする又はサーチスペースにおけるPDCCHの監視をスキップする状態(以下、「パワーセービング状態」と適宜称する)に切り替えることが検討されている。
【0004】
特に、無線リソース制御(RRC)コネクティッド状態の間欠受信(DRX)におけるアクティブ時間内において動的にパワーセービング状態に切り替えることにより、DRXによる低消費電力化よりも大きな消費電力低減の効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP寄書 RP-200938 “Revised WID UE Power Saving Enhancements for NR”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザ装置のデータ送受信が一時的に行われないような期間において、ユーザ装置をパワーセービング状態とすることが効果的であると考えられる。このような期間については、PDCCHの監視に必要な消費電力を低減するだけではなく、基地局へのサウンディング参照信号(SRS)送信、チャネル状態情報(CSI)測定、及び基地局へのCSI報告に必要な消費電力も低減することで、さらなる低消費電力化を実現できると考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、PDCCHの監視に必要な消費電力を低減しつつ、さらなる低消費電力化を実現可能とするユーザ装置及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係るユーザ装置は、基地局(200)との無線通信を行うユーザ装置(100)であって、前記無線通信を行う通信部(110)と、PDCCHをサーチスペースにおいて監視する第1状態において、前記基地局(200)へのSRS送信、CSI測定、及び前記基地局(200)へのCSI報告のうち少なくとも1つの動作を制御する所定制御を行う制御部(120)とを備える。前記通信部(110)は、前記サーチスペースに関する設定が前記第1状態とは異なる第2状態への切り替えを指示する切り替え指示DCIを前記基地局(200)から前記PDCCH上で受信する。前記制御部(120)は、前記切り替え指示DCIの受信に応じて、前記少なくとも1つの動作について前記所定制御と異なる制御を行う。
【0009】
第2の態様に係る通信方法は、基地局(200)との無線通信を行うユーザ装置(100)で実行する通信方法であって、PDCCHをサーチスペースにおいて監視する第1状態において、前記基地局(200)へのSRS送信、CSI測定、及び前記基地局(200)へのCSI報告のうち少なくとも1つの動作を制御する所定制御を行うステップと、前記サーチスペースに関する設定が前記第1状態とは異なる第2状態への切り替えを指示する切り替え指示DCIを前記基地局(200)から前記PDCCH上で受信するステップと、前記切り替え指示DCIの受信に応じて、前記少なくとも1つの動作について前記所定制御と異なる制御を行うステップとを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、PDCCHの監視に必要な消費電力を低減しつつ、さらなる低消費電力化を実現可能とするユーザ装置及び通信方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係るプロトコルスタックの構成例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る無線通信動作の概要を示す図である。
【
図4】実施形態に係るPDCCHスキッピングの概要を示す図である。
【
図5】実施形態に係るサーチスペースセット切り替え(SSSG切り替え)の概要を示す図である。
【
図6】実施形態に係るDRX及びパワーセービング状態を示す図である。
【
図8】実施形態に係る基地局の構成を示す図である。
【
図10】第1動作例を下りリンクに着目して示す図である。
【
図11】第1動作例を上りリンクに着目して示す図である。
【
図12】実施形態に係る第2動作例を示す図である。
【
図13】実施形態に係る第3動作例を示す図である。
【
図14】第3動作例におけるRRCメッセージに含まれる情報要素の第1構成例を示す図である。
【
図15】第3動作例におけるRRCメッセージに含まれる情報要素の第1構成例を示す図である。
【
図16】第3動作例におけるRRCメッセージに含まれる情報要素の第2構成例を示す図である。
【
図17】第3動作例におけるRRCメッセージに含まれる情報要素の第2構成例を示す図である。
【
図18】実施形態に係る第4動作例を示す図である。
【
図19】第4動作例に係る切り替えタイマを用いた動作の具体例1を示す図である。
【
図20】第4動作例に係る切り替えタイマを用いた動作の具体例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0013】
(システム構成)
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る移動通信システム1の構成について説明する。移動通信システム1は、例えば、3GPPの技術仕様(Technical Specification:TS)に準拠したシステムである。以下において、移動通信システム1として、3GPP規格の第5世代システム(5th Generation System:5GS)、すなわち、NR(New Radio)に基づく移動通信システムを例に挙げて説明する。
【0014】
移動通信システム1は、ネットワーク10と、ネットワーク10と通信するユーザ装置(User Equipment:UE)100とを有する。ネットワーク10は、5Gの無線アクセスネットワークであるNG-RAN(Next Generation Radio Access Network)20と、5Gのコアネットワークである5GC(5G Core Network)30とを含む。
【0015】
UE100は、ユーザにより利用される装置である。UE100は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話端末、タブレット端末、ノートPC、通信モジュール、又は通信カードなどの移動可能な装置である。UE100は、車両(例えば、車、電車など)又はこれに設けられる装置であってよい。UE100は、車両以外の輸送機体(例えば、船、飛行機など)又はこれに設けられる装置であってよい。UE100は、センサ又はこれに設けられる装置であってよい。なお、UE100は、移動局、移動端末、移動装置、移動ユニット、加入者局、加入者端末、加入者装置、加入者ユニット、ワイヤレス局、ワイヤレス端末、ワイヤレス装置、ワイヤレスユニット、リモート局、リモート端末、リモート装置、又はリモートユニット等の別の名称で呼ばれてもよい。
【0016】
NG-RAN20は、複数の基地局200を含む。各基地局200は、少なくとも1つのセルを管理する。セルは、通信エリアの最小単位を構成する。1つのセルは、1つの周波数(キャリア周波数)に属し、1つのコンポーネントキャリアにより構成される。用語「セル」は、無線通信リソースを表すことがあり、UE100の通信対象を表すこともある。各基地局200は、自セルに在圏するUE100との無線通信を行うことができる。基地局200は、RANのプロトコルスタックを使用してUE100と通信する。基地局200は、UE100へ向けたNRユーザプレーン及び制御プレーンプロトコル終端を提供し、NGインターフェイスを介して5GC30に接続される。このようなNRの基地局200は、gNodeB(gNB)と称されることがある。
【0017】
5GC30は、コアネットワーク装置300を含む。コアネットワーク装置300は、例えば、AMF(Access and Mobility Management Function)及び/又はUPF(User Plane Function)を含む。AMFは、UE100のモビリティ管理を行う。UPFは、ユーザプレーン処理に特化した機能を提供する。AMF及びUPFは、NGインターフェイスを介して基地局200と接続される。
【0018】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係るプロトコルスタックの構成例について説明する。
【0019】
UE100と基地局200との間の無線区間のプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、RRCレイヤとを有する。
【0020】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤと基地局200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0021】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤと基地局200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。基地局200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースを決定する。
【0022】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤと基地局200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0023】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0024】
PDCPレイヤの上位レイヤとしてSDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤが設けられていてもよい。SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。
【0025】
RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCレイヤと基地局200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。UE100のRRCと基地局200のRRCとの間にRRC接続がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCと基地局200のRRCとの間にRRC接続がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。UE100のRRCと基地局200のRRCとの間のRRC接続がサスペンドされている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0026】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、UE100のセッション管理及びモビリティ管理を行う。UE100のNASレイヤとコアネットワーク装置300(AMF)のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0027】
(無線通信動作の概要)
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る無線通信動作の概要について説明する。本実施形態においてサーチスペースは、サーチスペースセットと称されてもよい。
【0028】
基地局200は、PDCCHが設けられる候補タイミングに相当するサーチスペースをUE100に設定する。RRCコネクティッド状態にあるUE100は、設定されたサーチスペースにおいてPDCCHを監視(モニタ)し、PDCCHで運ばれる下りリンク制御情報(DCI)を受信し、DCIが示すリソース割当(スケジューリング)に従って物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)の受信及び/又は物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)の送信を行う。例えば、UE100は、対応するサーチスペースに従って、PDCCHの候補のセットを監視してもよい。すなわち、UE100は、対応するサーチスペースに従って、PDCCHの監視が設定されたサービングセルにおける下りリンクBWP(DL BWP)での制御リソースセット(CORESET)で、PDCCHの候補のセットを監視してもよい。ここで、モニタとは、モニタされるDCIフォーマットに従って、PDCCHの候補のそれぞれをデコードすることを示していてもよい。
【0029】
図3に示すように、ステップS1において、基地局200は、PDCCHに関する設定情報(PDCCH設定情報)を含むRRCメッセージをUE100に送信し、PDCCHに関する各種設定をUE100に対して行う。このRRCメッセージは、UE固有のRRCメッセージであって、例えばRRC Reconfigurationメッセージであってもよい。ここで、PDCCHに関する設定のうちサーチスペース設定は、サーチスペース周期(PDCCH監視周期とも称する)、サーチスペースオフセット(PDCCH監視オフセットとも称する)、サーチスペース持続時間(例えば連続するスロットの数)、PDCCH監視に対するシンボル、アグリゲーションレベル、サーチスペースのタイプ、及びDCIフォーマット等を含む。ここで、サーチスペースのそれぞれ(サーチスペースの設定のそれぞれ)は、1つのCORESETに関連してもよい。また、サーチスペースの設定は、1以上のDL BWPのそれぞれに対して設定されてもよい。ここで、サーチスペースのタイプは、UE固有のサーチスペース(USS: UE-specific Search Space)及び/又はUE共通のサーチスペース(CSS: Common Search Space)を含んでもよい。
【0030】
DCIフォーマットには、PDSCH又はPUSCHのスケジューリングに用いられるスケジューリングDCIフォーマットと、このようなスケジューリングに用いられない非スケジューリングDCIフォーマットとがある。スケジューリングDCIフォーマットで送信されるDCIをスケジューリングDCIと呼び、非スケジューリングDCIフォーマットで送信されるDCIを非スケジューリングDCIと呼ぶ。
【0031】
スケジューリングDCIフォーマットには、PDSCHのスケジューリングに用いられる下りリンクDCIフォーマット(例えば、DCIフォーマット1_0、DCIフォーマット1_1、DCIフォーマット1_2)と、PUSCHスケジューリングに用いられる上りリンクDCIフォーマット(例えば、DCIフォーマット0_0、DCIフォーマット0_1、DCIフォーマット0_2)とがある。スケジューリングDCIは、UE個別に送信されるUE固有のDCIであってもよい。例えば、スケジューリングDCIは、UE個別に割り当てられるRNTIを適用して送信されてもよい。
【0032】
一方、非スケジューリングDCIフォーマットには、例えば、DCIフォーマット2_0、DCIフォーマット2_6がある。非スケジューリングDCIは、複数のUE100に一斉に送信可能なDCIであってもよい。例えば、非スケジューリングDCIは、複数のUE100に共通のRNTIを適用して送信されてもよい。
【0033】
ステップS2において、UE100は、基地局200から設定されたサーチスペースにおけるPDCCHの監視を開始する。例えば、DCIフォーマット1_0、DCIフォーマット0_0、DCIフォーマット1_1、DCIフォーマット0_1、DCIフォーマット1_2、及びDCIフォーマット0_2のそれぞれがUE100に設定されており、UE100は設定に基づいてPDCCH(DCI)を監視する。例えば、基地局200は、UE100に対して、あるサーチスペースにおいて、DCIフォーマット1_0及びDCIフォーマット0_0を監視するように設定してもよい。また、基地局200は、UE100に対して、あるサーチスペースにおいて、DCIフォーマット1_1及びDCIフォーマット0_1を監視するように設定してもよい。また、基地局200は、UE100に対して、あるサーチスペースにおいて、DCIフォーマット1_2及びDCIフォーマット0_2を監視するように設定してもよい。すなわち、例えば、基地局200は、あるサーチスペースに対してCSSを設定した場合において、UE100に対して、DCIフォーマット1_0及びDCIフォーマット0_0に対するPDCCHの候補を監視するように設定してもよい。また、基地局200は、あるサーチスペースに対してCSSを設定した場合において、UE100に対して、DCIフォーマット2_0に対するPDCCHの候補を監視するように設定してもよい。また、基地局200は、あるサーチスペースに対してUSSを設定した場合において、UE100に対して、DCIフォーマット1_0及びDCIフォーマット0_0、又は、DCIフォーマット1_1及びDCIフォーマット0_1に対するPDCCHの候補を監視するように設定してもよい。また、基地局200は、あるサーチスペースに対してUSSを設定した場合において、UE100に対して、DCIフォーマット1_0及びDCIフォーマット0_0、又は、DCIフォーマット1_2及びDCIフォーマット0_2に対するPDCCHの候補を監視するように設定してもよい。
【0034】
ステップS3において、UE100は、自UE宛てのDCIを基地局200から受信及び検出する。例えば、UE100は、基地局200からUE100に割り当てられたC-RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identifier)及びMCS-C-RNTI(Modulation and Coding Scheme-C-RNTI)、又はCS-RNTI(Configured Scheduling-RNTI)を用いてPDCCHのブラインド復号を行い、復号に成功したDCIを自UE宛てのDCIとして取得する。ここで、基地局200から送信されるDCIには、C-RNTI及びMCS-C-RNTI、又はCS-RNTIによってスクランブルされたCRCパリティビットが付加されている。
【0035】
DCIがPDSCHのスケジューリングを示す場合、ステップS4において、UE100は、スケジューリングされたPDSCHで基地局200から下りリンクデータを受信する。
【0036】
DCIがPUSCHのスケジューリングを示す場合、ステップS5において、UE100は、スケジューリングされたPUSCHで基地局200に上りリンクデータを送信する。
【0037】
(パワーセービング技術の概要)
次に、
図4を参照して、本実施形態に係るPDCCHスキッピングの概要について説明する。以下において、UE100はRRCコネクティッド状態にあるものとする。
【0038】
第1に、UE100は、基地局200から設定されたサーチスペース設定に基づいて、所定周期で設けられたPDCCHをサーチスペースにおいて監視する。このようなPDCCH監視状態は、第1状態の一例である。
【0039】
第2に、基地局200は、PDCCHスキッピングを指示するスキップ指示DCIをUE100に送信する。スキップ指示DCIは、切り替え指示DCIの一例である。スキップ指示DCIは、スケジューリングDCI又は非スケジューリングDCIであるが、本実施形態において、スケジューリングDCIをスキップ指示DCIとして用いることを主として想定する。
【0040】
第3に、UE100は、基地局200からのスキップ指示DCIの受信に応じて、PDCCHの監視を所定期間にわたってスキップする。このようなPDCCHスキッピング状態は、第2状態(パワーセービング状態)の一例である。PDCCHの監視をスキップする所定期間は、上位レイヤシグナリング(RRCメッセージ)により設定されてもよい。所定期間は、タイマ値(すなわち、切り替えタイマの設定値)により定められてもよいし、連続するスロット数又は連続するサーチスペース数により定められてもよい。
【0041】
このようなPDCCHスキッピングにより、UE100がPDCCHを監視するために必要な消費電力が低減され、動的なパワーセービングを実現できる。
【0042】
次に、
図5を参照して、本実施形態に係るサーチスペースセット切り替えの概要について説明する。
【0043】
第1に、基地局200は、サーチスペースに関する設定のセットであるサーチスペースセットを上位レイヤシグナリング(RRCメッセージ)によってUE100に複数設定する。このようなサーチスペースに関する設定のセットはサーチスペースセット(SSS)又はサーチスペースセットグループ(SSSG)と称されるが、以下においては、主としてSSSGと称することとする。1つのSSSGは、1つ又は複数のサーチスペース設定を含み、SSSGのインデックスにより識別される。ここでは、基地局200は、所定周期でサーチスペースが設けられるSSSG#0(第1サーチスペースセット)と、所定周期よりも長い周期でサーチスペースが設けられるSSSG#1(第2サーチスペースセット)とをUE100に設定するものとする。ここでは基地局200がSSSG#0及びSSSG#1の2つのSSSGをUE100に設定する一例を示しているが、1以上のBWP(例えば、DL BWP)のそれぞれに対して3つ以上のSSSGをUE100に設定してもよい。なお、UE100に複数のBWP(若しくは3つ以上のSSSG)を設定するとは、1つのBWPに対して複数のSSSG(若しくは3つ以上のSSSG)を設定することを意味してもよいし、複数のBWPに対して複数のSSSG(若しくは3つ以上のSSSG)を設定することを意味してもよい。
【0044】
第2に、UE100は、SSSG#0に基づいて、所定周期で設けられたPDCCHをサーチスペースにおいて監視する。このようなSSSG#0が適用される状態は、第1状態の一例である。
【0045】
第3に、基地局200は、SSSG切り替えを指示する切り替え指示DCIをUE100に送信する。スキップ指示DCIは、スケジューリングDCI又は非スケジューリングDCIであるが、本実施形態において、スケジューリングDCIを切り替え指示DCIとして用いることを主として想定する。すなわち、基地局200は、スケジューリングDCIを用いて、SSSG#0からSSSG#1への切り替えをUE100に指示する。
【0046】
第4に、UE100は、切り替え指示DCIの受信に応じてSSSG#1への切り替えを開始する。UE100は、SSSG#0におけるPDCCHの最後のシンボルから切り替え遅延時間(Switch delay)後のシンボルでSSSG#1への切り替えを実施する。このような切り替え遅延時間は、上位レイヤシグナリング(RRCメッセージ)により基地局200からUE100に設定される。
【0047】
第5に、UE100は、SSSG#1に基づいて、所定周期よりも長い周期で設けられたPDCCHをサーチスペースにおいて監視する。このようなSSSG#1が適用される状態は、第2状態(パワーセービング状態)の一例である。
【0048】
このようなサーチスペースセット切り替えにより、UE100がPDCCHを監視するために必要な消費電力が低減され、動的なパワーセービングを実現できる。
【0049】
なお、SSSG#1からSSSG#0への切り替えは、SSSG#0からSSSG#1への切り替えと同様に基地局200がDCIにより指示してもよいし、タイマを用いてUE100がSSSG#1からSSSG#0へ切り替えてもよい。このような切り替えタイマ(Switching timer)のタイマ値は、上位レイヤシグナリング(RRCメッセージ)で基地局200からUE100に設定される。UE100は、SSSG#1への切り替え指示DCIの検出に応じてSSSG#1におけるPDCCHの監視を開始するとともに、切り替えタイマの値を上位レイヤによって設定された値にセットして切り替えタイマを起動する。UE100は、切り替えタイマの値をデクリメントし、切り替えタイマが満了した場合にはSSSG#1におけるPDCCHの監視を停止し、切り替え遅延時間(Switch delay)後にSSSG#0におけるPDCCHの監視を開始する。ここで、SSSG#0における“#0”及びSSSG#1における“#1”は、サーチスペースのセット(グループ)に対するインデックス(サーチスペースグループIDとも称される)を示している。すなわち、インデックスによって識別されるサーチスペースのセット(グループ)に、1以上のサーチスペースセットが関連付けられてもよい。例えば、基地局200は、当該1以上のサーチスペースセットに関連するインデックスを設定することによって、UE100に対してサーチスペースのセット(グループ)を設定してもよい。ここで、本実施形態において、SSSGという名称は単なる一例であり、1以上のサーチスペースセットが関連付けられるサーチスペースのセット(グループ)であれば、その名称は問わない。
【0050】
サーチスペースセット切り替えにおいて、UE100に設定する1つのSSSGにおいてサーチスペースを有しない設定とし、当該1つのSSSGへの切り替えをDCIで指示することにより、上述のPDCCHスキッピングと同様な動作を実現できる。また、UE100に設定する他のSSSGにおいて、長いサーチスペース周期を有する設定とし、当該1つのSSSGへの切り替えをDCIで指示することもできる。このような動作を実現するためには、通常のサーチスペース周期を有するSSSGと、サーチスペースを有しないSSSGと、長いサーチスペース周期を有するSSSGとの合計3つのSSSGをUE100に設定する必要がある。また、さらにサーチスペース周期が長いSSSGをUE100に設定する場合、合計4つのSSSGをUE100に設定する必要がある。このような様々なSSSGをUE100に設定し、SSSGの切り替えをDCIで指示することにより、柔軟なパワーセービングを実現できる。
【0051】
次に、
図6を参照して、本実施形態に係るDRX及びパワーセービング状態について説明する。
【0052】
UE100にDRXが設定される場合、UE100は、DRX動作を利用して不連続的にPDCCHを監視する。具体的には、次のDRXパラメータによりDRX動作が制御される。
【0053】
・DRXサイクル:UE100がウェイクアップする周期を規定する。
【0054】
・オン持続時間(on-duration):ウェイクアップ後に、PDCCHを受信するためにUE100が待機する区間である。UE100がPDCCHの復号に成功した場合、UE100は、ウェイクアップした状態を維持し、非アクティブタイマ(inactivity-timer)を開始する。
【0055】
・非アクティブタイマ:最後のPDCCH復号の成功からUE100が待機する時間区間であって、PDCCH復号失敗時にUE100が再びスリープする区間を規定する。
【0056】
・再送タイマ:再送が予想される間の時間区間を規定する。
【0057】
このように、DRXが設定されたUE100は、スリープ状態(すなわち、受信オフ期間)においてPDCCHを監視する必要が無いため、UE100の消費電力を低減できる。一方、UE100は、アクティブ時間にある間は、PDCCHを受信するために待機し、PDCCHをサーチスペースにおいて監視する。アクティブ時間は、オン持続時間タイマ(drx-onDurationTimer)、非アクティブタイマ(drx-InactivityTimer)、下りリンク再送タイマ(drx-RetransmissionTimerDL)、上りリンク再送タイマ(drx-RetransmissionTimerUL)のいずれかが動作中である時間である。下りリンク再送タイマ(drx-RetransmissionTimerDL)及び上りリンク再送タイマ(drx-RetransmissionTimerUL)は、RRCコネクティッド状態におけるDRX動作のための再送関連タイマの一例である。
【0058】
上述のPDCCHスキッピング又はサーチスペースセット切り替えをDRXのアクティブ時間内で実施することにより、アクティブ時間内において動的にパワーセービング状態に切り替えることが可能であり、DRXによる低消費電力化よりも大きな消費電力低減の効果を得ることができる。
【0059】
ここで、パワーセービング状態への切り替えを指示する切り替え指示DCIとしてスケジューリングDCIを用いる場合、基地局200とUE100との間でデータの送受信が発生するとともに、HARQによるデータ再送処理が必要になり得る。よって、パワーセービング状態への切り替えを指示するスケジューリングDCIの受信に応じてUE100が直ちにパワーセービング状態への切り替えを開始すると、HARQ処理を適切に行うことができない懸念がある。
【0060】
また、RRCコネクティッド状態にあるUE100は、基地局200へのサウンディング参照信号(SRS)送信、チャネル状態情報(CSI)測定、及び基地局200へのCSI報告を行う。UE100がパワーセービング状態にある期間は、データ送受信が一時的に行われないような期間であると考えられるため、SRS送信、CSI測定、及びCSI報告に必要な消費電力も低減可能とすることが望ましい。
【0061】
(ユーザ装置の構成)
次に、
図7を参照して、本実施形態に係るUE100の構成について説明する。UE100は、通信部110及び制御部120を備える。
【0062】
通信部110は、無線信号を基地局200と送受信することによって基地局200との無線通信を行う。通信部110は、少なくとも1つの受信機と、少なくとも1つの送信機とを有する。受信機及び送信機は、アンテナ及びRF回路を含んで構成されてもよい。アンテナは、信号を電波に変換し、当該電波を空間に放射する。また、アンテナは、空間における電波を受信し、当該電波を信号に変換する。RF回路は、アンテナを介して送受信される信号のアナログ処理を行う。RF回路は、高周波フィルタ、増幅器、変調器及びローパスフィルタ等を含んでもよい。
【0063】
制御部120は、UE100における各種の制御を行う。制御部120は、通信部110を介した基地局200との通信を制御する。上述及び後述のUE100の動作は、制御部120の制御による動作であってよい。制御部120は、プログラムを実行可能な少なくとも1つのプロセッサ及びプログラムを記憶するメモリを含んでよい。プロセッサは、プログラムを実行して、制御部120の動作を行ってもよい。制御部120は、アンテナ及びRF回路を介して送受信される信号のデジタル処理を行うデジタル信号プロセッサを含んでもよい。当該デジタル処理は、RANのプロトコルスタックの処理を含む。なお、メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、当該プログラムに関するパラメータ、及び、当該プログラムに関するデータを記憶する。メモリは、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリの全部又は一部は、プロセッサ内に含まれていてよい。
【0064】
本実施形態に係るUE100において、通信部110は、PDCCHをサーチスペースにおいて監視する第1状態において、UE100に割り当てられた無線リソース(具体的には、PDSCHリソース、PUSCHリソース)を示すスケジューリングDCIを基地局200からPDCCH上で受信する。制御部120は、スケジューリングDCIに基づいて、当該無線リソースを用いてデータを受信又は送信するように通信部110を制御する。制御部120は、サーチスペースに関する設定が第1状態とは異なる第2状態(例えば、パワーセービング状態)への切り替えを指示するスケジューリングDCIを通信部110が受信した場合、当該データに対するHARQ処理と対応付けられた再送関連タイマが動作中において切り替えの開始を保留する。これにより、パワーセービング状態への切り替え指示としてスケジューリングDCIを用いる場合であっても、HARQ処理を適切に行うことが可能になる。後述の第1動作例において、このような動作の詳細について説明する。
【0065】
本実施形態に係るUE100において、制御部120は、PDCCHをサーチスペースにおいて監視する第1状態において、基地局200へのSRS送信、CSI測定、及び基地局200へのCSI報告のうち少なくとも1つの動作を制御する所定制御を行う。通信部110は、サーチスペースに関する設定が第1状態とは異なる第2状態(例えば、パワーセービング状態)への切り替えを指示する切り替え指示DCIを基地局200からPDCCH上で受信する。制御部120は、切り替え指示DCIの受信に応じて、SRS送信、CSI測定、及びCSI報告のうち少なくとも1つの動作について所定制御と異なる制御を行う。これにより、SRS送信、CSI測定、及びCSI報告において、パワーセービング状態に最適化された制御を適用可能になる。よって、PDCCHの監視に必要な消費電力を低減しつつ、さらなる低消費電力化が実現可能である。後述の第2動作例において、このような動作の詳細について説明する。
【0066】
なお、第1状態は、基地局200によってUE100に設定された複数のSSSGのうち第1SSSGが適用される状態であってもよい。第2状態は、当該複数のSSSGのうち第1SSSGと異なる第2SSSGが適用される状態であってもよい。通信部110は、第1SSSGから第2SSSGへの切り替えを指示するスケジューリングDCIを切り替え指示として受信してもよい。また、第1状態は、所定周期で設けられたPDCCHをサーチスペースにおいて監視する状態であってもよい。第2状態は、所定周期よりも長い周期で設けられたサーチスペースでPDCCHを監視する状態、又はPDCCHの監視をスキップする状態であってもよい。第2状態は、上述の第2SSSGにより実現されてもよい。
【0067】
本実施形態に係るUE100において、通信部110は、UE100に設定された1つ又は複数のSSSGのそれぞれのインデックスと、UE100が適用するSSSGの切り替えを指示する切り替え指示DCI中の情報フィールドにセットされる値との対応関係を示す対応関係情報を基地局200から受信する。当該1つ又は複数のSSSGは、PDCCHを周期的に監視するSSSG及びPDCCHの監視をスキップするSSSGの少なくとも一方を含む。制御部120は、通信部110がPDCCH上で切り替え指示DCIを受信した場合、対応関係情報に基づいて、受信した切り替え指示DCI中の情報フィールドにセットされた値と対応するインデックスを有するSSSGを用いてPDCCHの監視を制御する。これにより、様々なサーチスペースセットを用いて柔軟なパワーセービングを実現可能になる。また、切り替え指示DCIに設けられる1つの情報フィールドにより、サーチスペースの周期が異なる複数のサーチスペースセットのいずれかを指定する、或いはPDCCHの監視を行わないサーチスペースセットを指定することができるため、様々なサーチスペースセットを用いる場合であってもDCIのサイズの増大を抑制できる。後述の第3動作例において、このような動作の詳細について説明する。
【0068】
本実施形態に係るUE100において、通信部110は、UE100に設定された3つ以上のSSSGのうち1つのSSSGへの切り替えを指示する切り替え指示DCIを基地局200から受信する。制御部120は、切り替え指示DCIの受信に基づいて、当該1つのSSSGが適用される持続時間を定めるタイマを起動してもよい。UE100(制御部120)は、当該タイマが満了した場合、3つ以上のSSSGのうち、基地局200により設定されたデフォルトSSSGに切り替える。これにより、様々なサーチスペースセットを用いて柔軟なパワーセービングを実現可能になる。具体的には、UE100がタイマベースでSSSGの切り替えを行う場合で、UE100に3つ以上のSSSGが設定されている場合であっても、切り替え先のSSSGを基地局200が把握できる。様々なSSSGに対してタイマベースで切り替えを行うことが可能になる。後述の第4動作例において、このような動作の詳細について説明する。
【0069】
(基地局の構成)
次に、
図8を参照して、本実施形態に係る基地局200の構成について説明する。基地局200は、通信部210と、ネットワークインターフェイス220と、制御部230とを有する。
【0070】
通信部210は、例えば、UE100からの無線信号を受信し、UE100への無線信号を送信する。通信部210は、無線信号を受信する1つ又は複数の受信機及び無線信号を送信する1つ又は複数の送信機を備えてよい。
【0071】
ネットワークインターフェイス220は、信号をネットワークと送受信する。ネットワークインターフェイス220は、例えば、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して接続された隣接基地局から信号を受信し、隣接基地局へ信号を送信する。また、ネットワークインターフェイス220は、例えば、NGインターフェイスを介して接続されたコアネットワーク装置300から信号を受信し、コアネットワーク装置300へ信号を送信する。
【0072】
制御部230は、基地局200における各種の制御を行う。制御部230は、例えば、通信部210を介したUE100との通信を制御する。また、制御部230は、例えば、ネットワークインターフェイス220を介したノード(例えば、隣接基地局、コアネットワーク装置300)との通信を制御する。上述及び後述の基地局200の動作は、制御部230の制御による動作であってよい。制御部230は、プログラムを実行可能な少なくとも1つのプロセッサ及びプログラムを記憶するメモリを含んでよい。プロセッサは、プログラムを実行して、制御部230の動作を行ってもよい。制御部230は、アンテナ及びRF回路を介して送受信される信号のデジタル処理を行うデジタル信号プロセッサを含んでもよい。当該デジタル処理は、RANのプロトコルスタックの処理を含む。なお、メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、当該プログラムに関するパラメータ、及び、当該プログラムに関するデータを記憶する。メモリの全部又は一部は、プロセッサ内に含まれていてよい。
【0073】
本実施形態に係る基地局200は、PDCCHをサーチスペースにおいて監視するUE100との無線通信を行う。通信部210は、UE100に設定した1つ又は複数のSSSGのそれぞれのインデックスと、UE100において適用するSSSGの切り替えを指示する切り替え指示DCI中の情報フィールドにセットされる値との対応関係を示す対応関係情報をUE100に送信する。当該1つ又は複数のSSSGは、PDCCHを周期的に監視するSSSG及びPDCCHの監視をスキップするSSSGの少なくとも一方を含む。
【0074】
本実施形態に係る基地局200において、通信部210は、UE100に設定された3つ以上のSSSGのうち1つのSSSGへの切り替えを指示する切り替え指示DCIをUE100に送信する。制御部230は、当該1つのSSSGが適用される持続時間を定めるタイマが満了した際に切り替え先となるデフォルトSSSGをUE100に設定してもよい。
【0075】
(第1動作例)
次に、
図9を参照して、本実施形態に係る第1動作例について説明する。
【0076】
上述のように、切り替え指示DCIとしてスケジューリングDCIを用いる場合、HARQによるデータ再送処理であるHARQ処理が必要になり得るため、UE100が直ちにパワーセービング状態への切り替えを開始すると、HARQ処理を適切に行うことができない懸念がある。そこで、UE100(制御部120)は、切り替え指示DCI(スケジューリングDCI)によりスケジューリングされたデータに対するHARQ処理と対応付けられた再送関連タイマが動作中において、切り替え指示DCIにより指示された切り替えの開始を保留する。
【0077】
図9に示すように、ステップS11において、UE100(通信部110)は、切り替え指示DCIとしてのスケジューリングDCIを基地局200からPDCCH上で受信する。このようなスケジューリングDCIは、UE100に割り当てられたPDSCHリソース又はPUSCHリソースを示す情報フィールドに加えて、切り替え先のSSSGを示す情報フィールドを含んでもよい。
【0078】
ステップS12において、UE100(通信部110)は、スケジューリングDCIによりスケジューリングされたデータを受信又は送信する。例えば、UE100(通信部110)は、割り当てられたPDSCHリソースを用いて下りリンクデータを受信したり、割り当てられたPUSCHリソースを用いて上りリンクデータを送信したりする。UE100(通信部110)が下りリンクデータを受信する場合、UE100(制御部120)は、受信した下りリンクデータのデータ復号を試み、データ復号に成功したか否かを示すHARQフィードバック、すなわち、ACK又はNACKを基地局200にフィードバックする。UE100(通信部110)が上りリンクデータを送信する場合、UE100(制御部120)は、基地局200が上りリンクデータのデータ復号に成功したか否かを示すHARQフィードバック、すなわち、ACK又はNACKを基地局200から受信する。UE100(制御部120)は、受信又は送信するデータごとにHARQ処理をタイマにより管理し、当該データのデータ復号が完了するまでHARQ処理を継続する。
【0079】
ステップS13において、UE100(制御部120)は、HARQ処理に用いる次の再送関連タイマのいずれかが動作中であるか否かを判定する。
【0080】
・下りリンクHARQ RTTタイマ(drx-HARQ-RTT-TimerDL)
下りリンクデータのHARQ処理に用いるタイマであって、UE100のMACエンティティが予期するHARQ再送のための下りリンク割り当てまでの最小期間を規定するタイマである。UE100(制御部120)は、下りリンクデータに対するHARQフィードバックの送信に応じて下りリンクHARQ RTTタイマを起動する。UE100(制御部120)は、下りリンクHARQ RTTタイマの動作中は、PDCCHを監視する必要が無い。
【0081】
・下りリンク再送タイマ(drx-RetransmissionTimerDL)
下りリンクデータのHARQ処理に用いるタイマであって、下りリンク再送を受信するまでの最大期間を規定するタイマである。UE100(制御部120)は、下りリンクHARQ RTTタイマの満了時に、下りリンクデータ復号に成功していない場合、下りリンク再送タイマを起動する。UE100(制御部120)は、下りリンク再送タイマの動作中は、PDCCHを監視し、再送データを待ち受ける。
【0082】
・上りリンクHARQ RTTタイマ(drx-HARQ-RTT-TimerUL)
上りリンクデータのHARQ処理に用いるタイマであって、UE100のMACエンティティがHARQ再送許可(HARQ retransmission grant)を受信するまでの最小期間を規定するタイマである。UE100(制御部120)は、上りリンクデータの送信に応じて下りリンク再送タイマを起動する。UE100(制御部120)は、上りリンクHARQ RTTタイマの動作中は、PDCCHを監視する必要が無い。
【0083】
・上りリンク再送タイマ(drx-RetransmissionTimerUL)
上りリンクデータのHARQ処理に用いるタイマであって、上りリンク再送許可を受信するまでの最大期間を規定するタイマである。UE100(制御部120)は、上りリンクHARQ RTTタイマの満了時に上りリンク再送タイマを起動する。UE100(制御部120)は、上りリンク再送タイマの動作中はPDCCHを監視する。
【0084】
これらの再送関連タイマのいずれかが動作中である場合(ステップS13:YES)、ステップS14において、UE100(制御部120)は、ステップS11で受信した切り替え指示DCIにより指示された切り替えの開始を保留する。
【0085】
これに対し、再送関連タイマのいずれも動作していない場合(ステップS13:NO)、ステップS15において、UE100(制御部120)は、ステップS11で受信した切り替え指示DCIにより指示された切り替えを開始又は実行する。例えば、UE100(制御部120)は、再送関連タイマが満了した後の最初のスロットからSSSG切り替えを実行してもよい。
【0086】
このように、第1動作例において、再送関連タイマが動作中の期間は、切り替え指示DCIにより指示された切り替えの切り替え遅延時間(Switch delay)の少なくとも一部を構成する。なお、上位レイヤシグナリング(RRCメッセージ)により切り替え遅延時間が設定されている場合、UE100(制御部120)は、上位レイヤシグナリングにより設定された切り替え遅延時間が経過しても、再送関連タイマが動作中の期間は、切り替え指示DCIにより指示された切り替えの開始を保留してもよい。
【0087】
また、切り替え遅延時間が、次のような再送関連タイマが動作中の期間を含むとしてもよい。
・DL HARQフィードバックの送信の終了後の最初のシンボルで対応するHARQプロセスに対して起動されたdrx-HARQ-RTT-TimerDLが動作中の期間:
・drx-HARQ-RTT-TimerDLの有効期限が切れた後の最初のシンボルの対応するHARQプロセスが正常に復号されなかった場合に開始されたdrx-RetransmissionTimerDLが動作中の期間:
・対応するPUSCH送信の最初の送信(バンドル内)の終了後の最初のシンボルで対応するHARQプロセスに対して開始されたdrx-HARQ-RTT-TimerULが動作中の期間:
・drx-HARQ-RTT-TimerULの有効期限が切れた後の最初のシンボルで対応するHARQプロセスに対して開始されたdrx-RetransmissionTimerULが動作中の期間。
【0088】
また、UE100(制御部120)が複数のHARQ処理を実行している場合、当該複数のHARQ処理の再送関連タイマが1つでも動作していれば、切り替え指示DCIにより指示された切り替えの開始を保留してもよい。例えば、UE100は、全てのHARQ処理に対応するdrx-RetransmissionTimerDLが満了し、及び/又は、全てのHARQ処理に対応するdrx-RetransmissionTimerULが満了したことに基づいて(例えば、満了した後の最初のスロットから)SSSG切り替えを実行してもよい。
【0089】
なお、UE100(制御部120)は、configured DL assignment(すなわち、CS-RNTIでスクランブルされたCRCを有する下りリンクDCIフォーマット)、及び/又は、configured UL grant(すなわち、CS-RNTIでスクランブルされたCRCを有する上りリンクDCIフォーマット)を受信した場合に、上記の動作を実行してもよい。
【0090】
また、第1動作例において、既存のDRX向け各種タイマを利用することとしているが、これに限らず、上位レイヤにて設定されるPDCCHスキッピング及び/又はSSSG切り替えのHARQ処理・再送処理に用いられるタイマを利用してもよい。このようなタイマは、例えば、DCIbasedPowerSaving-HARQ-RTT-TimerDL、DCIbasedPowerSaving-HARQ-RTT-TimerUL、DCIbasedPowerSaving-RetransmissionTimerDL、DCIbasedPowerSaving-RetransmissionTimerUL等である。ここで、DCIbasedPowerSaving-HARQ-RTT-TimerDLは下りリンクHARQ RTTタイマの一例であり、DCIbasedPowerSaving-HARQ-RTT-TimerULは上りリンクHARQ RTTタイマの一例であり、DCIbasedPowerSaving-RetransmissionTimerDLは下りリンク再送タイマの一例であり、DCIbasedPowerSaving-RetransmissionTimerULは上りリンク再送タイマの一例である。
【0091】
次に、
図10を参照して、本実施形態に係る第1動作例について下りリンクに着目して説明する。
【0092】
ステップS101において、UE100(通信部110)は、下りリンクスケジューリングDCIを切り替え指示DCIとしてPDCCH上で受信する。下りリンクスケジューリングDCIは、下りリンクデータのための無線リソース(すなわち、PDSCHリソース)を割り当てるDCIである。UE100(通信部110)は、下りリンクスケジューリングDCIで割り当てられたPDSCHリソースを用いて基地局200から下りリンクデータを受信する。UE100(制御部120)は、受信した下りリンクデータの復号を試みる。
【0093】
ステップS102において、UE100(通信部110)は、ステップS102で受信した下りリンクデータの復号に成功したか否かを示すHARQフィードバックを基地局200に送信する。
【0094】
ステップS103において、UE100(制御部120)は、下りリンクデータに対応するHARQフィードバックの送信に応じて下りリンクHARQ RTTタイマを起動する。UE100(制御部120)は、下りリンクHARQ RTTタイマの動作中において、切り替え指示DCIで指示された切り替えの開始を保留する。
【0095】
下りリンクHARQ RTTタイマが満了した場合(ステップS104:YES)、ステップS105において、UE100(制御部120)は、下りリンクデータの復号に成功しているか否かを判定する。下りリンクデータの復号に成功している場合(ステップS105:YES)、ステップS106において、UE100(制御部120)は、切り替え指示DCIで指示された切り替えを開始する。
【0096】
一方、下りリンクデータの復号に成功していない場合(ステップS105:NO)、ステップS107において、UE100(制御部120)は、下りリンクHARQ RTTタイマが満了したことに応じて下りリンク再送タイマを起動する。UE100(制御部120)は、下りリンク再送タイマの動作中において、PDCCHを監視するとともに、切り替え指示DCIで指示された切り替えの開始を保留する。
【0097】
下りリンク再送タイマが満了した場合(ステップS108:YES)、ステップS106において、UE100(制御部120)は、切り替え指示DCIで指示された切り替えを開始する。下りリンク再送タイマの動作中に基地局200から再送データを受信した場合、UE100(制御部120)は、下りリンク再送タイマを停止し、ステップS102に処理を戻してもよい。
【0098】
次に、
図11を参照して、本実施形態に係る第1動作例について上りリンクに着目して説明する。
【0099】
ステップS201において、UE100(通信部110)は、上りリンクスケジューリングDCIを切り替え指示DCIとしてPDCCH上で受信する。上りリンクスケジューリングDCIは、上りリンクデータのための無線リソース(すなわち、PUSCHリソース)を割り当てるDCIである。
【0100】
ステップS202において、UE100(通信部110)は、上りリンクスケジューリングDCIで割り当てられたPUSCHリソースを用いて基地局200に上りリンクデータを送信する。
【0101】
ステップS203において、UE100(制御部120)は、上りリンクデータの送信に応じて上りリンクHARQ RTTタイマを起動する。UE100(制御部120)は、上りリンクHARQ RTTタイマの動作中において、切り替え指示DCIで指示された切り替えの開始を保留する。
【0102】
上りリンクHARQ RTTタイマが満了した場合(ステップS204:YES)、ステップS205において、UE100(制御部120)は、上りリンク再送タイマを起動する。UE100(制御部120)は、上りリンク再送タイマの動作中において、PDCCHを監視するとともに、切り替え指示DCIで指示された切り替えの開始を保留する。
【0103】
上りリンク再送タイマが満了した場合(ステップS206:YES)、ステップS207において、UE100(制御部120)は、切り替え指示DCIで指示された切り替えを開始する。
【0104】
このように、本実施形態に係る第1動作例によれば、切り替え指示としてスケジューリングDCIを受信したUE100は、当該スケジューリングDCIによりスケジューリングされたデータに対するHARQ処理と対応付けられた再送関連タイマが動作中において、切り替えの開始を保留する。これにより、切り替え指示としてスケジューリングDCIを用いる場合であっても、HARQ処理を適切に行うことが可能になる。
【0105】
なお、第1動作例において、基地局200へのCSI報告を考慮してもよい。例えば、切り替え指示DCIを受信したUE100が、スケジューリングDCIにより基地局200への非周期的なCSI報告を指示された場合、UE100(制御部120)は、スケジューリングされたPUSCHにおいてCSI報告を基地局200に送信し、このCSI報告を行うまでの間は、切り替え指示DCIで指示された切り替えの開始を保留してもよい。そして、UE100(制御部120)は、スケジューリングされたPUSCHにおいてCSI報告を送信したことに応じて、切り替え指示DCIで指示された切り替えを開始してもよい。なお、CSI報告の詳細については後述の第2動作例において説明する。
【0106】
(第2動作例)
次に、
図12を参照して、本実施形態に係る第2動作例について説明する。
【0107】
上述のように、UE100がパワーセービング状態にある期間はデータ送受信が一時的に行われないような期間であると考えられるため、SRS送信、CSI測定、及びCSI報告に必要な消費電力も低減することが望ましい。
【0108】
ここで、SRS送信とは、基地局200が上りリンクのチャネル状態の推定に用いるチャネル推定用の上りリンク物理信号であるSRSを基地局200に送信する動作をいい、UE100は、基地局200からの設定に応じてSRS送信を行う。SRS報告は、上りリンクのリンクアダプテーションのための動作である。リンクアダプテーションは、データ送信に適用する変調・符号化方式(MCS)をチャネル状態に適応させるものである。UE100がパワーセービング状態にある期間においては、上りリンクのリンクアダプテーションを行う必要性が低いため、SRS送信を抑制することとする。
【0109】
CSI測定とは、下りリンクのチャネル状態の推定に用いる参照信号を測定する動作をいい、UE100は、基地局200からの設定に応じてCSI測定を行う。例えば、UE100は、基地局200により送信されるチャネル状態情報リファレンス信号(channel state information reference signal:CSI-RS)及び同期信号/物理報知チャネル(synchronization signal/physical broadcast channel:SS/PBCH)ブロックの少なくとも一方に基づくCSI測定を行う。CSI報告とは、CSI測定の結果に応じて推定されたチャネル状態を示すCSI報告を基地局200に送信する動作をいい、UE100は、基地局200からの設定に応じてCSI報告を行う。例えば、チャネル状態には、チャネル品質インジケータ(channel quality indicator:CQI)、ランクインジケータ(rank indicator:RI)、プリコーディングマトリクスインジケータ(precoding matrix indicator:PMI)、SS/PBCHブロックリソースインジケータ(SS/PBCH block resource indicator:SSBRI)、CSI-RSリソースインジケータ(CSI-RS resource indicator:CRI)、レイヤインジケータ(layer indicator:LI)、及びレイヤ1リファレンス信号受信電力(Layer 1 reference signal received power:L1-RSRP)のうちの1つ以上を含む。CSI報告は、PUCCH又はPUSCH上で行われてもよい。CSI測定及びCSI報告は、下りリンクのリンクアダプテーションのための動作である。UE100がパワーセービング状態にある期間においては、下りリンクのリンクアダプテーションを行う必要性が低いため、CSI測定及びCSI報告を抑制することとする。
【0110】
図12に示すように、ステップS301において、UE100(制御部120)は、PDCCHをサーチスペースにおいて監視する第1状態において、基地局200へのSRS送信、CSI測定、及び基地局200へのCSI報告のうち少なくとも1つの動作を制御する所定制御を行う。UE100(制御部120)は、第1状態において、UE100(制御部120)は、SRS送信、CSI測定、及びCSI報告のうち少なくとも1つの動作を周期的に行ってもよい。例えば、UE100(制御部120)は、第1状態において、周期的なSRS送信及び周期的なCSI報告のうち少なくとも1つの動作を行う。周期的なSRS送信は、セミパーシステントSRS送信を含んでもよい。周期的なCSI報告は、PUCCH又はPUSCH上で行うセミパーシステントCSI報告を含んでもよい。
【0111】
ステップS301において、UE100(通信部110)は、サーチスペースに関する設定が第1状態とは異なる第2状態(例えば、パワーセービング状態)への切り替えを指示する切り替え指示DCIをPDCCH上で受信する。第2動作例において、切り替え指示DCIは、上述のようなスケジューリングDCIに限らず、非スケジューリングDCIであってもよい。切り替え指示DCIは、切り替え先のSSSGを示す情報フィールドを含んでもよい。
【0112】
ステップS303において、UE100(制御部120)は、切り替え指示DCIの受信に応じて、SRS送信、CSI測定、及びCSI報告のうち少なくとも1つの動作について所定制御と異なる制御を行う。
【0113】
例えば、UE100(制御部120)は、第1状態から第2状態への切り替え遅延時間(Switch delay)内において、SRS送信、CSI測定、及びCSI報告のうち少なくとも1つの動作を停止する。UE100(制御部120)は、切り替え遅延時間内において、周期的なSRS送信及び周期的なCSI報告を停止してもよい。このような制御は、「Pswitchシンボルで構成される切り替え遅延時間内において、UEは、
・周期的SRS送信及びセミパーシステントSRS送信
・PUSCHに設定されたセミパーシステントCSI
・ps-TransmitPeriodicL1-RSRPが値trueで構成されていない場合において、PUCCH上で行うL1-RSRPである周期的CSI報告
・ps-TransmitOtherPeriodicCSIが値trueで構成されていない場合において、PUCCH上で行うL1-RSRPではない周期的CSI報告
を行うことを期待されない」と表現されてもよい。
【0114】
第2動作例において、第1状態は、所定周期で設けられたPDCCHをサーチスペースにおいて監視する状態であって、第2状態は、PDCCHの監視をスキップする状態(PDCCHスキッピング状態)であってもよい(
図4参照)。UE100(制御部120)は、第2状態において、SRS送信、CSI測定、及びCSI報告のうち少なくとも1つの動作を行わなくてもよい。
【0115】
第2動作例において、第1状態は、所定周期で設けられたPDCCHをサーチスペースにおいて監視する状態であって、第2状態は、所定周期よりも長い周期で設けられたサーチスペースでPDCCHを監視する状態であってもよい(
図5参照)。第1状態から第2状態への切り替えは、SSSG切り替えにより実現されてもよい。UE100(制御部120)は、第2状態において、SRS送信、CSI測定、及びCSI報告のうち少なくとも1つの動作をサーチスペースの時間区間でのみ行ってもよい。
【0116】
例えば、UE100(制御部120)は、第2状態において、非周期的なSRS送信をサーチスペースの時間区間である監視スロットでのみ行ってもよい。このような制御は、「上位レイヤシグナリングによりSSSG切り替えが設定されたUEは、サーチスペースの周期が所定値(例えば、80ミリ秒)よりも長い場合、非周期的なSRS送信をトリガするために、対応する監視スロット以外でSRSリソースが利用可能であることを期待しない」と表現されてもよい。
【0117】
また、UE100(制御部120)は、第2状態において、CSI測定をサーチスペースの時間区間である監視スロットでのみ行ってもよい。このような制御は、「上位レイヤシグナリングによりSSSG切り替えが設定されたUEは、CSI報告のための直近のCSI測定機会は、サーチスペースに対応する監視スロット以外のスロットを除くとする」と表現されてもよいし、「上位レイヤシグナリングによりSSSG切り替えが設定されたUEは、サーチスペースの周期が所定値(例えば、80ミリ秒)よりも長い場合、対応する監視スロット以外でCSI-RSリソースが利用可能であることを期待しない」と表現されてもよい。
【0118】
このように、本実施形態に係る第2動作例によれば、切り替え指示DCIを受信したUE100は、切り替え指示DCIの受信に応じて、SRS送信、CSI測定、及びCSI報告のうち少なくとも1つの動作について、切り替え指示DCIを受信する前の制御とは異なる制御を行う。これにより、SRS送信、CSI測定、及びCSI報告において、パワーセービング状態に最適化された制御、例えば、拡張されたサーチスペース周期に最適化された制御を適用可能になるため、PDCCHの監視に必要な消費電力を低減しつつ、さらなる低消費電力化が実現可能である。
【0119】
(第3動作例)
次に、
図13を参照して、本実施形態に係る第3動作例について説明する。
【0120】
第3動作例において、SSSG切り替えによりパワーセービングを行う動作を想定する。具体的には、異なるサーチスペース周期を有する複数のSSSGと、サーチスペースを有しないSSSGとを含む様々なSSSGの中から、1つ又は複数のSSSGをUE100に設定可能とし、SSSGの切り替えをDCIで指示することによって柔軟なパワーセービングを実現する。
【0121】
図13に示すように、ステップS401において、基地局200(通信部210)は、1つ又は複数のRRCメッセージをUE100に送信する。1つ又は複数のRRCメッセージは、UE個別に送信される専用RRCメッセージ(例えば、RRCReconfigurationメッセージ)を含んでもよい。UE100(通信部110)は、RRCメッセージを受信する。
【0122】
RRCメッセージは、UE100に設定する1つ又は複数のSSSGのそれぞれのインデックスと、UE100が適用するSSSGの切り替えを指示する切り替え指示DCI中の情報フィールド(以下、「SSSG情報フィールド」と称する)にセットされる値との対応関係を示す対応関係情報を含む。当該1つ又は複数のSSSGは、PDCCHを周期的に監視するSSSG及びPDCCHの監視をスキップするSSSGの少なくとも一方を含む。
【0123】
例えば、4つのSSSGをUE100に設定する場合、対応関係情報は、「SSSGインデックス#0:値“00”」、「SSSGインデックス#1:値“01”」、「SSSGインデックス#2:値“10”」、及び「SSSGインデックス#3:値“11”」といった情報を含む。基地局200は、これら4つのSSSGをまとめてUE100に設定することに限らず、例えば2つのSSSGずつ2回に分けて4つのSSSGをUE100に設定してもよい。なお、SSSG情報フィールドにセットされる値は、ビットマップ形式で構成されてもよい。例えば、「SSSGインデックス#0:値“1000”」、「SSSGインデックス#1:値“0100”」、「SSSGインデックス#2:値“0010”」、及び「SSSGインデックス#3:値“0001”」というように、「1」であるビットの位置(コードポイント)がSSSGインデックスと対応付けられてもよい。
【0124】
RRCメッセージは、SSSGインデックスのそれぞれと対応付けられたサーチスペース設定情報をさらに含む。サーチスペース設定情報は、1つ又は複数のサーチスペース設定を含む。各サーチスペース設定は、サーチスペース周期、サーチスペースオフセット、サーチスペース持続時間(例えば連続するスロットの数)、PDCCH監視に対するシンボル、アグリゲーションレベル、サーチスペースのタイプ、及びDCIフォーマット等を含む。
【0125】
例えば、SSSGインデックス#0と対応付けられたサーチスペース設定情報は、サーチスペース周期として第1サーチスペース周期を設定する情報である。SSSGインデックス#1と対応付けられたサーチスペース設定情報は、サーチスペース周期として第2サーチスペース周期を設定する情報である。SSSGインデックス#2と対応付けられたサーチスペース設定情報は、サーチスペース周期として第3サーチスペース周期を設定する情報である。SSSGインデックス#4と対応付けられたサーチスペース設定情報は、サーチスペースが設定されないことを示す情報である。すなわち、SSSGインデックス#4は、PDCCHスキッピングを示すサーチスペース設定情報と対応付けられている。
【0126】
RRCメッセージは、1つ又は複数のDCIフォーマットごとにSSSG情報フィールドの有無を示すフィールド設定情報を含んでもよい。切り替え指示DCIは、フィールド設定情報によりSSSG情報フィールドが有ることが示されたDCIフォーマットを有するDCIである。非スケジューリングDCI及び/又はスケジューリングDCIに対して、共通又は独立に、SSSG情報フィールドの有無(presence/absence)が設定されてもよい。DCIフォーマット1_1及びDCIフォーマット0_1に対して共通に、DCIフォーマット1_2及びDCIフォーマット0_2に対して共通に、SSSG情報フィールドの有無(presence/absence)が設定されてもよい。
【0127】
RRCメッセージは、1つ又は複数のDCIフォーマットごとにSSSG情報フィールドのビット数を示すビット数設定情報を含んでもよい。非スケジューリングDCI、及び/又はスケジューリングDCIに対して、共通又は独立に、SSSG情報フィールドのビット数が直接設定されてもよい。DCIフォーマット1_1及びDCIフォーマット0_1に対して共通に、及び/又は、DCIフォーマット1_2及びDCIフォーマット0_2に対して共通に、SSSG情報フィールドのビット数が設定されてもよい。例えば、DCIフォーマット1_1及び/又はDCIフォーマット0_1に対して2ビットまでのSSSG情報フィールドが設定され、及び/又は、DCIフォーマット1_2及びDCIフォーマット0_2に対して1ビットのSSSG情報フィールドが設定されてもよい。
【0128】
RRCメッセージは、1つ又は複数のSSSGごとに切り替えタイマ(Switching timer)のタイマ設定値を含んでもよい。このような切り替えタイマ(Switching timer)の詳細については、後述の第4動作例において説明する。
【0129】
ステップS402において、UE100(制御部120)は、基地局200から設定された情報を記憶する。
【0130】
ステップS403において、基地局200(通信部210)は、SSSGのアクティブ化又は非アクティブ化をSSSGインデックスごとに指定するMAC CE(以下、「SSSG状態選択MAC CE」と称する)をUE100に送信してもよい。UE100(通信部110)は、SSSG状態選択MAC CEを受信する。SSSG状態選択MAC CEは、各SSSGインデックスについてアクティブ化/非アクティブ化を指示する。アクティブ化されたSSSGは切り替え先のSSSGとして有効な状態になり、非アクティブ化されたSSSGは切り替え先のSSSGとして無効な状態になる。但し、デフォルトSSSGについては非アクティブ化が禁止されてもよい。デフォルトSSSGについては後述の第4動作例において説明する。
【0131】
例えば、SSSG状態選択MAC CEは、SSSG状態選択MAC CE用に規定されたLCIDを有するMACサブヘッダにより識別される。SSSG状態選択MAC CEは、SSSG状態選択MAC CEの適用対象とするサービングセルを示す「セルIDフィールド」を含んでもよい。SSSG状態選択MAC CEは、SSSGインデックスからなるSSSGインデックスリストのエントリ「i」ごとにアクティブ化/非アクティブ化を示す「Tiフィールド」を含んでもよい。「Tiフィールド」は、「T0フィールド」乃至「T(n-1)フィールド」を含み、有効化するSSSGに対して値「1」がセットされる。ここで「n」はアクティブ化可能なSSSGの最大数を示し、例えば「4」である。SSSGインデックス#0をアクティブ化、SSSGインデックス#1を非アクティブ化、SSSGインデックス#2をアクティブ化、SSSGインデックス#3を非アクティブ化する場合を想定すると、「T0フィールド」は「1」に、「T1フィールド」は「0」に、「T2フィールド」は「1」に、「T3フィールド」は「1」に、それぞれセットされる。
【0132】
SSSG情報フィールドは、アクティブ化されたSSSGのみを対象としたビットマップ形式で構成されてもよい。例えば、最初に有効化されたSSSGはSSSG情報フィールドのコードポイント1にマッピングされ、2番目に有効化されたSSSGはSSSG情報フィールドのコードポイント2にマッピングされる。SSSGインデックス#0をアクティブ化、SSSGインデックス#1を非アクティブ化、SSSGインデックス#2をアクティブ化、SSSGインデックス#3を非アクティブ化する場合を想定すると、SSSG情報フィールドのビット数は「2」であり、「10」がSSSGインデックス#0を示し、「01」がSSSGインデックス#2を示す。
【0133】
ステップS404において、基地局200(通信部210)は、SSSG情報フィールドを有する切り替え指示DCIをPDCCH上でUE100に送信する。UE100(通信部110)は、切り替え指示DCIをPDCCH上で受信する。UE100(制御部120)は、基地局200から設定されたフィールド設定情報に基づいて、検出したDCIのDCIフォーマットが切り替え指示DCIに該当するか否かを判定してもよい。
【0134】
ステップS405において、UE100(制御部120)は、ステップS404で受信した切り替え指示DCIのSSSG情報フィールドにセットされた値を取得する。UE100(制御部120)は、基地局200から設定されたビット数設定情報に基づいて、SSSG情報フィールドのビット数を特定したうえで、SSSG情報フィールドにセットされた値を取得してもよい。或いは、UE100(制御部120)は、UE100に設定されたSSSGインデックスの数(すなわち、設定されたSSSGインデックスリストのエントリ数)に基づいてSSSG情報フィールドのビット数を特定したうえで、SSSG情報フィールドにセットされた値を取得してもよい。例えば、UE100に設定されたSSSGインデックスの数を「I」とした場合、UE100(制御部120)は、SSSG情報フィールドのビット数を、log2(I)の小数点以下を切り上げた整数値により算出及び特定してもよい。
【0135】
ステップS406において、UE100(制御部120)は、基地局200から設定された対応関係情報に基づいて、受信した切り替え指示DCI中のSSSG情報フィールドにセットされた値と対応するSSSGインデックスを有するSSSGへの切り替えを行い、切り替え先のSSSGに従ってPDCCHを監視する。例えば、
図13の例において、SSSG情報フィールドにセットされた値が「11」である場合、UE100(制御部120)は、SSSGインデックス#3のSSSGへの切り替えを指示されたと判定し、SSSGインデックス#3のSSSGへの切り替えを行う。
【0136】
次に、
図14及び
図15を参照して、第3動作例におけるRRCメッセージに含まれる情報要素の第1構成例について説明する。
【0137】
図14に示すように、RRCメッセージは、PDCCH設定(PDCCH-Config)情報要素を含む。この情報要素は、制御リソースセット(CORESET)、サーチスペース、及びPDCCHを取得するための追加パラメータなどのUE固有のPDCCHパラメータを設定するために用いられる情報要素である。
【0138】
PDCCH設定(PDCCH-Config)情報要素には、SSSG追加・変更リスト(searchSpaceSetToAddModList)及び/又はSSSG解放リスト(searchSpaceSetToReleaseList)を含めることができる。SSSG追加・変更リストは、UE100に設定するSSSGのリスト(SEQUENCE (SIZE (1..maxNrofSearchSpaceSets-r17)) OF SearchSpaceSet-r17)である。SSSG解放リストは、UE100において設定解除するSSSGのリスト(SEQUENCE (SIZE (1..maxNrofSearchSpaceSets-r17)) OF SearchSpaceSet-r17)である。ここで、「maxNrofSearchSpaceSets-r17」は、設定可能なSSSGの最大数を示す。
【0139】
図15に示すように、SSSG追加・変更リスト及びSSSG解放リストの各エントリを構成する「SearchSpaceSet-r17」は、SSSGのインデックスである「SearchSpaceSetId-r17」と、このSSSGに含まれる各サーチスペース設定である「searcSpaces-r17」とを含む。「searcSpaces-r17」は、このSSSGに含まれる各サーチスペース設定のサーチスペースIDのリスト(SEQUENCE (SIZE (0..maxNrofSearchSpaces-r17)) OF SearchSpaceId)により構成される。SSSGのインデックスである「SearchSpaceSetId-r17」は、「0..maxNrofSearchSpaceSets-1-r17」のビット数を有する。
【0140】
次に、
図16及び
図17を参照して、第3動作例におけるRRCメッセージに含まれる情報要素の第2構成例について説明する。第2構成例は、各サーチスペース設定において、当該サーチスペース設定が属するSSSGを示すものである。
【0141】
図16に示すように、PDCCH設定(PDCCH-Config)情報要素には、サーチスペース追加・変更リスト(searchSpacesToAddModListExt2-r17)を含めることができる。サーチスペース追加・変更リストは、1乃至10の「SearchSpaceExt2-r17」からなるリストである。
【0142】
図17に示すように、サーチスペース設定(SearchSpace)情報要素は、このサーチスペース設定が対応付けられているSSSGのインデックスのリストである「searchSpaceSetIdList-r17」を含む。1つのサーチスペース設定は複数のSSSGに関連付けることが可能である。UE100に設定されたサーチスペース設定のいずれも対応付けられていないSSSGについては、UE100は、当該SSSGを使用している間はPDCCHを監視しない。
【0143】
このように、第3動作例によれば、UE100に設定された1つ又は複数のSSSGのそれぞれのSSSGインデックスと、UE100が適用するSSSGの切り替えを指示する切り替え指示DCI中のSSSG情報フィールドにセットされる値との対応関係を示す対応関係情報を基地局200から受信する。当該1つ又は複数のSSSGは、PDCCHを周期的に監視するSSSG及びPDCCHの監視をスキップするSSSGの少なくとも一方を含む。これにより、様々なSSSGを用いて柔軟なパワーセービングを実現可能になる。また、切り替え指示DCIに設けられる1つのSSSG情報フィールドにより、サーチスペースの周期が異なる複数のSSSGのいずれかを指定する、或いはPDCCHの監視を行わないSSSGを指定することができるため、様々なSSSGを用いる場合であってもDCIのサイズの増大を抑制できる。
【0144】
(第4動作例)
次に、
図18を参照して、本実施形態に係る第4動作例について説明する。第4動作例において、UE100がタイマベースでSSSGの切り替えを行う場合で、UE100に3つ以上のSSSGが設定され得る場合を想定する。
【0145】
第4動作例において、基地局200(制御部230)は、UE100に設定するSSSGのうち1つをデフォルトSSSGとしてUE100に設定してもよい。例えば、基地局200(制御部230)は、UE100に設定するSSSGインデックスのうち1つを「defaultSSSG-Id」として指定してもよい。デフォルトSSSGは、UE100に設定されたSSSGのうち、基地局200及びUE100が予め共有している所定規則によって決定されるSSSGであってもよい。デフォルトSSSGは、基地局200によりデフォルトSSSGとしてUE100に設定されたSSSGであってもよい。
【0146】
図18に示すように、ステップS501において、基地局200により複数のSSSGが設定されたUE100(制御部120)は、当該複数のSSSGのうち1つのSSSGを用いてPDCCHを監視する。
【0147】
ステップS502において、UE100(通信部110)は、他のSSSGへの切り替えを指示する切り替え指示DCIをPDCCH上で基地局200から受信する。
【0148】
ステップS503において、UE100(制御部120)は、切り替え指示DCIで指定されたSSSGへの切り替えを行うとともに、当該SSSGと対応付けられたタイマ(切り替えタイマ)を起動する。
【0149】
ステップS504において、UE100(制御部120)は、切り替えタイマが満了したか否かを判定する。
【0150】
切り替えタイマが満了した場合(ステップS504:YES)、ステップS505において、UE100(制御部120)は、設定された複数のSSSGのうちデフォルトSSSGに切り替える。ここで、基地局200から「defaultSSSG-Id」として指定されたSSSGに切り替えることにより、基地局200は、UE100の切り替え先のSSSGを把握できる。なお、切り替えタイマは基地局200が設定した値であるため、基地局200は、UE100と同様に切り替えタイマを管理し、UE100において切り替えタイマが満了したことを把握できる。
【0151】
UE100(制御部120)は、デフォルトSSSGが基地局200により設定されていない場合、具体的には、「defaultSSSG-Id」としてデフォルトSSSGが基地局200から明示的に指定されていない場合、所定規則に従ってデフォルトSSSGを決定する。所定規則は、例えば3GPPの技術仕様で規定される規則であり、基地局200及びUE100が予め共有している規則である。
【0152】
ここで、所定規則は、UE100に設定されたSSSGインデックスのうち、最も値が小さいSSSGインデックスに対応するSSSG、又は最も値が大きいSSSGインデックスに対応するSSSGをデフォルトSSSGとして決定する規則であってもよい。例えば、
図13の例では、最も値が小さいSSSGインデックスに対応するSSSGをデフォルトSSSGとする規則である場合、UE100(制御部120)は、SSSGインデックス#0のSSSGをデフォルトSSSGとして決定する。最も値が大きいSSSGインデックスに対応するSSSGをデフォルトSSSGとする規則である場合、UE100(制御部120)は、SSSGインデックス#4のSSSGをデフォルトSSSGとして決定する。
【0153】
上述のように、UE100(通信部110)は、UE100に設定するSSSGインデックスと、切り替え指示DCI中のSSSG情報フィールドにセットされる値との対応関係を示す対応関係情報を基地局200から受信してもよい。所定規則は、切り替え指示DCI中のSSSG情報フィールドにセットされる値として特定の値(例えば、「0」)で示されるSSSGインデックスに対応するSSSGをデフォルトSSSGとして決定する規則であってもよい。例えば、UE100(制御部120)は、切り替え指示DCI中のSSSG情報フィールドにセットされる値が「0」で示されるSSSGインデックスを有するSSSGをデフォルトSSSGとして決定する。
【0154】
所定規則は、UE100に設定されたSSSGインデックスのうち、予め定められた値を有するSSSGインデックス(例えば、インデックス#0)に対応するSSSGをデフォルトSSSGとして決定する規則であってもよい。
【0155】
所定規則は、UE100に設定されたSSSGのうち、PDCCHの監視をスキップするSSSG以外のSSSGをデフォルトSSSGとして決定する規則であってもよい。すなわち、UE100(制御部120)は、デフォルトSSSGとして、PDCCHスキッピングに対応するSSSGインデックスは設定されないと想定してもよい。
【0156】
UE100にDRXが設定されている場合、UE100(制御部120)は、DRXの受信オフ期間から受信オン期間(アクティブ時間)に切り替わる際に特定のSSSGを適用してもよい。所定規則は、当該特定のSSSGをデフォルトSSSGとして決定する規則であってもよい。すなわち、UE100(制御部120)は、DRXの受信オフ期間の経過後にPDCCHをモニタする最初のSSSGをデフォルトSSSGとして決定してもよい。
【0157】
第4動作例において、UE100(通信部110)は、UE100に割り当てられた無線リソースを示すスケジューリングDCIを切り替え指示DCIとして受信してもよい。UE100(制御部120)は、切り替え指示DCIとしてスケジューリングDCIを受信した後、1つのSSSGへの切り替えを行うタイミング(具体的には、SSSG切り替えを実行するスロット)で切り替えタイマを起動してもよい。第1動作例で説明したように、UE100(制御部120)は、HARQ処理に関する再送関連タイマが動作中においてSSSG切り替えを保留し得る。このため、切り替え指示DCIとしてスケジューリングDCIを受信した場合、切り替え指示DCIを受信したタイミングでは無く、SSSG切り替えを実行するタイミングで切り替えタイマを起動することとしている。
【0158】
UE100(制御部120)は、UE100に設定される3つ以上のSSSGのうち2以上のSSSGに適用する切り替えタイマの値として共通の値を用いてもよい。基地局200(制御部230)は、UE100に設定する3つ以上のSSSGのうち2以上のSSSGに適用する切り替えタイマの値として共通の値を設定してもよい。
【0159】
UE100(制御部120)は、UE100に設定されるSSSGのそれぞれに適用する切り替えタイマの値として、SSSGごとに個別の値を用いてもよい。基地局200(制御部230)は、SSSGごとに個別の切り替えタイマ設定値をUE100に設定してもよい。
【0160】
UE100(制御部120)は、切り替え先のSSSGがPDCCHスキッピングに対応するSSSGである場合、当該SSSGへの切り替えを開始するタイミング(スロット)で、当該SSSGと対応付けられた切り替えタイマを起動してもよい。PDCCHスキッピング状態にある場合、すなわちPDCCHの監視をスキップする所定期間においては、PDCCH監視に用いるリソースが専有されておらず、任意のタイミングで切り替え当該SSSGへの切り替えを開始できる。この利点を活用し、PDCCH監視の動作を阻害することなく切り替え遅延時間の影響を最小化することが可能となる。なお、UE100(制御部120)は、当該切り替えタイマの満了後、デフォルトSSSGを想定してPDDCHを監視してもよい。
【0161】
次に、
図19を参照して、第4動作例に係る切り替えタイマを用いた動作の具体例1について説明する。
【0162】
図19に示すように、UE100には、デフォルトSSSG(Default SSSG)、SSSG#x、及びSSSG#yの合計3つのSSSGが設定されている。ここで、基地局200(制御部230)は、デフォルトSSSGではないSSSG#x及びSSSG#yに対して共通の1つの切り替えタイマ値をUE100に設定しているものとする。
【0163】
期間T11において、UE100(制御部120)は、デフォルトSSSGを用いてPDCCHを監視する。UE100(通信部110)は、期間T11の最後のサーチスペースにおいて、SSSG#xへの切り替えを指示する非スケジューリングDCI(Non-scheduling DCI)を受信する。UE100(制御部120)は、非スケジューリングDCIの場合はHARQ処理が発生しないため、非スケジューリングDCIの受信時に切り替えタイマ(Switching timer)を起動する。
【0164】
期間T12において、UE100(制御部120)は、切り替えタイマが動作中において、SSSG#xを用いてPDCCHを監視する。SSSG#xは、デフォルトSSSGに比べてサーチスペース周期が長いSSSGである。UE100(制御部120)は、切り替えタイマが満了すると、切り替え遅延時間(Switch delay)の経過後にデフォルトSSSGに切り替える。
【0165】
期間T13において、UE100(制御部120)は、デフォルトSSSGを用いてPDCCHを監視する。UE100(通信部110)は、期間T13の最後のサーチスペースにおいて、SSSG#yへの切り替えを指示するスケジューリングDCI(Scheduling DCI)を受信する。UE100(制御部120)は、スケジューリングDCIの場合はHARQ処理が発生するため、スケジューリングDCIの受信時に切り替えタイマを起動せずに、SSSG#yへの切り替えを実行したタイミング(スロット)で切り替えタイマを起動する。
【0166】
期間T14において、UE100(制御部120)は、切り替えタイマが動作中において、SSSG#yを用いてPDCCHを監視する。SSSG#yは、デフォルトSSSGに比べてサーチスペース周期が短いSSSGである。UE100(制御部120)は、切り替えタイマが満了すると、切り替え遅延時間(Switch delay)の経過後にデフォルトSSSGに切り替える。そして、期間T15において、UE100(制御部120)は、デフォルトSSSGを用いてPDCCHを監視する。
【0167】
次に、
図20を参照して、第4動作例に係る切り替えタイマを用いた動作の具体例2について説明する。
【0168】
図20に示すように、UE100には、デフォルトSSSG(Default SSSG)、PDCCH skipping用のSSSG#x、及びPDCCH skipping用のSSSG#yの合計3つのSSSGが設定されている。ここで、基地局200(制御部230)は、デフォルトSSSGではないSSSG#x及びSSSG#yに対して個別の切り替えタイマ値をUE100に設定しているものとする。
【0169】
期間T21において、UE100(制御部120)は、デフォルトSSSGを用いてPDCCHを監視する。UE100(通信部110)は、期間T11の最後のサーチスペースにおいて、SSSG#xへの切り替えを指示する非スケジューリングDCI(Non-scheduling DCI)を受信する。UE100(制御部120)は、切り替え先のSSSG#xがPDCCHスキッピングに対応するSSSGであるため、SSSG#xへの切り替えを実行したタイミング(スロット)で、SSSG#xに独立に設定された切り替えタイマ(Switching timer-1)を起動する。
【0170】
期間T22において、UE100(制御部120)は、Switching timer-1が動作中において、PDCCHの監視をスキップする。UE100(制御部120)は、Switching timer-1が満了すると、切り替え遅延時間(Switch delay)の経過後にデフォルトSSSGに切り替える。
【0171】
期間T23において、UE100(制御部120)は、デフォルトSSSGを用いてPDCCHを監視する。UE100(通信部110)は、期間T23の最後のサーチスペースにおいて、SSSG#yへの切り替えを指示するスケジューリングDCI(Scheduling DCI)を受信する。UE100(制御部120)は、切り替え先のSSSG#xがPDCCHスキッピングに対応するSSSGであるため、SSSG#yへの切り替えを実行したタイミング(スロット)で、SSSG#yに独立に設定された切り替えタイマ(Switching timer-2)を起動する。Switching timer-2のタイマ値は、Switching timer-1のタイマ値よりも大きい。
【0172】
期間T24において、UE100(制御部120)は、Switching timer-2が動作中において、PDCCHの監視をスキップする。UE100(制御部120)は、Switching timer-2が満了すると、切り替え遅延時間(Switch delay)の経過後にデフォルトSSSGに切り替える。そして、期間T25において、UE100(制御部120)は、デフォルトSSSGを用いてPDCCHを監視する。
【0173】
このように、第4動作例によれば、UE100がタイマベースでSSSGの切り替えを行う場合で、UE100に3つ以上のSSSGが設定され得る場合であっても、デフォルトSSSGを規定することにより、切り替え先のSSSGを基地局200が把握できる。よって、様々なSSSGに対してタイマベースで切り替えを行うことが可能になる。
【0174】
(その他の実施形態)
上述の第1動作例乃至第4動作例は、別個独立に実施してもよいし、2以上の動作例を組み合わせて実施してもよい。また、第1動作例乃至第4動作例におけるステップは、必ずしもフロー図又はシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、動作におけるステップは、フロー図又はシーケンス図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、動作におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。さらに、上述の各動作フローは、別個独立に実施する場合に限らず、2以上の動作フローを組み合わせて実施可能である。例えば、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローに追加してもよいし、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローの一部のステップと置換してもよい。
【0175】
上述の実施形態において、基地局200は、複数のユニットを含んでもよい。複数のユニットは、プロトコルスタックに含まれる上位レイヤ(higher layer)をホストする第1のユニットと、プロトコルスタックに含まれる下位レイヤ(lower layer)をホストする第2のユニットとを含んでよい。上位レイヤは、RRCレイヤ、SDAPレイヤ及びPDCPレイヤを含んでよく、下位レイヤは、RLCレイヤ、MACレイヤ及びPHYレイヤを含んでよい。第1のユニットは、CU(Central Unit)であってよく、第2のユニットは、DU(Distributed Unit)であってよい。複数のユニットは、PHYレイヤの下位の処理を行う第3のユニットを含んでよい。第2のユニットは、PHYレイヤの上位の処理を行ってよい。第3のユニットは、RU(Radio Unit)であってよい。基地局200は、複数のユニットのうちの1つであってよく、複数のユニットのうちの他のユニットと接続されていてよい。また、基地局200は、IAB(Integrated Access and Backhaul)ドナー又はIABノードであってよい。
【0176】
上述の実施形態において、移動通信システム1としてNRに基づく移動通信システムを例に挙げて説明した。しかしながら、移動通信システム1は、この例に限定されない。移動通信システム1は、LTE又は3GPP規格の他の世代システム(例えば、第6世代)のいずれかのTSに準拠したシステムであってよい。基地局200は、LTEにおいてUE100へ向けたE-UTRAユーザプレーン及び制御プレーンプロトコル終端を提供するeNBであってよい。移動通信システム1は、3GPP規格以外の規格のTSに準拠したシステムであってよい。
【0177】
UE100又は基地局200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。また、UE100又は基地局200が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又は基地局200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0178】
上述の実施形態において、「送信する(transmit)」は、送信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に送信することを意味してもよい。或いは、「送信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に送信することとの組合せを意味してもよい。同様に、「受信する(receive)」は、受信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に受信することを意味してもよい。或いは、「受信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に受信することとの組合せを意味してもよい。同様に、「取得する(obtain/acquire)」は、記憶されている情報の中から情報を取得することを意味してもよく、他のノードから受信した情報の中から情報を取得することを意味してもよく、又は、情報を生成することにより当該情報を取得することを意味してもよい。同様に、「~を含む(include)」及び「~を備える(comprise)」は、列挙する項目のみを含むことを意味せず、列挙する項目のみを含んでもよいし、列挙する項目に加えてさらなる項目を含んでもよいことを意味する。同様に、本開示において、「又は(or)」は、排他的論理和を意味せず、論理和を意味する。
【0179】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0180】
1 :移動通信システム
10 :ネットワーク
100 :UE
110 :通信部
120 :制御部
200 :基地局
210 :通信部
220 :ネットワークインターフェイス
230 :制御部
300 :コアネットワーク装置