(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172976
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/83 20180101AFI20221110BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20221110BHJP
F25B 13/00 20060101ALI20221110BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20221110BHJP
【FI】
F24F11/83
F25B1/00 351J
F25B1/00 341F
F25B13/00 361
F24F110:10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079359
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】直井 健浩
(72)【発明者】
【氏名】福山 雄太
(72)【発明者】
【氏名】中西 喬也
(72)【発明者】
【氏名】大浦 竜太
【テーマコード(参考)】
3L092
3L260
【Fターム(参考)】
3L092AA02
3L092BA23
3L092DA07
3L092EA15
3L092FA02
3L092FA26
3L260AB02
3L260BA41
3L260CA12
3L260DA05
3L260FB07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】流量調整機構を開いた状態から冷房運転又は暖房運転を開始することにより、運転効率の低下を防ぐことができる空気調和装置を提供する。
【解決手段】空気調和装置は、室内ユニットと、室外ユニットと、室外膨張弁及び室内膨張弁と、制御部と、を備える。制御部は、第1制御と、第2制御と、を行う。第1制御は、冷房運転又は暖房運転を行っている間に、第1条件が満たされると冷房運転又は暖房運転を停止し、その後、第2条件が満たされると冷房運転又は暖房運転を開始する。第1条件は、対象空間の熱負荷が低いことを示す条件である。第2条件は、対象空間の熱負荷に関する条件である。第2制御は、第1制御により、冷房運転又は暖房運転を開始するときの室外膨張弁及び室内膨張弁の開度を、第1条件が満たされた時点での開度よりも大きくする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和の対象空間に設置される、室内ユニット(20)と、
前記対象空間の室外に設置される、室外ユニット(30)と、
冷媒の流量を調整する、流量調整機構(23,34)と、
制御部(70)と、
を備え、
前記制御部は、
前記室内ユニット、及び前記室外ユニットに冷媒を循環させることによって、前記対象空間の室温を設定温度に近づける、冷房運転又は暖房運転と、
冷房運転又は暖房運転を行っている間に、前記対象空間の熱負荷が低いことを示す第1条件、が満たされると冷房運転又は暖房運転を停止し、その後、前記対象空間の熱負荷に関する第2条件、が満たされると冷房運転又は暖房運転を開始する、第1制御と、
前記第1制御により、冷房運転又は暖房運転を開始するときの前記流量調整機構の開度を、前記第1条件が満たされた時点での開度よりも大きくする、第2制御と、
を行う、
空気調和装置(1)。
【請求項2】
前記第1条件及び前記第2条件は、前記設定温度と前記室温との温度差に基づく条件である、
請求項1に記載の空気調和装置(1)。
【請求項3】
前記第2制御は、前記第1制御による冷房運転又は暖房運転の停止及び開始が、所定時間内に所定回数繰り返された後に行われる、
請求項1又は2に記載の空気調和装置(1)。
【請求項4】
前記第2制御における、冷房運転又は暖房運転を開始するときの前記流量調整機構の開度は、前記第1条件が満たされた時点での開度を、所定の割合大きくした開度である、
請求項1から3のいずれか1つに記載の空気調和装置(1)。
【請求項5】
前記第2制御における、冷房運転又は暖房運転を開始するときの前記流量調整機構の開度は、前記第1条件が満たされる前に、前記設定温度と前記室温との温度差が、所定の値となった時点での開度である、
請求項1から3のいずれか1つに記載の空気調和装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2020-051700)に示されているように、冷房運転又は暖房運転時に、対象空間の熱負荷が低くなると冷房運転又は暖房運転を停止し、その後、対象空間の熱負荷に応じて冷房運転又は暖房運転を開始する技術がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のように冷房運転又は暖房運転を停止した後、流量調整機構を閉じた状態から冷房運転又は暖房運転を開始すると、流量調整機構が適切な開度になるまでに時間がかかり、運転効率が低下する、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の空気調和装置は、室内ユニットと、室外ユニットと、流量調整機構と、制御部と、を備える。室内ユニットは、空気調和の対象空間に設置される。室外ユニットは、対象空間の室外に設置される。流量調整機構は、冷媒の流量を調整する。制御部は、冷房運転又は暖房運転と、第1制御と、第2制御と、を行う。冷房運転又は暖房運転は、室内ユニット、及び室外ユニットに冷媒を循環させることによって、対象空間の室温を設定温度に近づける。第1制御は、冷房運転又は暖房運転を行っている間に、第1条件が満たされると冷房運転又は暖房運転を停止し、その後、第2条件が満たされると冷房運転又は暖房運転を開始する。第1条件は、対象空間の熱負荷が低いことを示す条件である。第2条件は、対象空間の熱負荷に関する条件である。第2制御は、第1制御により、冷房運転又は暖房運転を開始するときの流量調整機構の開度を、第1条件が満たされた時点での開度よりも大きくする。
【0005】
第1観点の空気調和装置は、冷房運転又は暖房運転を開始するときの流量調整機構の開度を、第1条件が満たされた時点での開度よりも大きくする。その結果、空気調和装置は、流量調整機構を開いた状態から冷房運転又は暖房運転を開始するため、運転効率の低下を防ぐことができる。
【0006】
第2観点の空気調和装置は、第1観点の空気調和装置であって、第1条件及び第2条件は、設定温度と室温との温度差に基づく条件である。
【0007】
第2観点の空気調和装置は、このような構成により、対象空間の熱負荷を正確に把握することができる。
【0008】
第3観点の空気調和装置は、第1観点又は第2観点のいずれかの空気調和装置であって、第2制御は、第1制御による冷房運転又は暖房運転の停止及び開始が、所定時間内に所定回数繰り返された後に行われる。
【0009】
第3観点の空気調和装置は、冷房運転又は暖房運転の停止及び開始が、所定時間内に所定回数繰り返されるような低負荷時に、第2制御を行う。その結果、空気調和装置は、圧縮機の負荷を減らすことができる。
【0010】
第4観点の空気調和装置は、第1観点から第3観点のいずれかの空気調和装置であって、第2制御における、冷房運転又は暖房運転を開始するときの流量調整機構の開度は、第1条件が満たされた時点での開度を、所定の割合大きくした開度である。
【0011】
第4観点の空気調和装置は、このような構成により、より効率的に運転を開始することができる。
【0012】
第5観点の空気調和装置は、第1観点から第3観点のいずれかの空気調和装置であって、第2制御における、冷房運転又は暖房運転を開始するときの流量調整機構の開度は、第1条件が満たされる前に、設定温度と室温との温度差が、所定の値となった時点での開度である。
【0013】
第5観点の空気調和装置は、このような構成により、より効率的に運転を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】冷房運転における第1制御及び第2制御時の各種機器の動作の一例を示す図である。
【
図4】暖房運転における第1制御及び第2制御時の各種機器の動作の一例を示す図である。
【
図5】冷房運転又は暖房運転における第1制御及び第2制御の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)全体構成
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成し、対象空間の冷房又は暖房を行う。本実施形態では、空気調和装置1は、いわゆるビル用マルチ式空気調和システムである。
図1は、空気調和装置1の冷媒回路50を示す図である。
図1に示すように、空気調和装置1は、主として、室内ユニット20と、室外ユニット30と、を備える。室内ユニット20と、室外ユニット30とは、液冷媒連絡配管51及びガス冷媒連絡配管52を介して接続されることで、冷媒回路50を構成している。室内ユニット20と、室外ユニット30とは、通信線80によって、通信可能に接続されている。
【0016】
(2)詳細構成
(2-1)室内ユニット
室内ユニット20は、空気調和装置1が設置される建物の室内等、空気調和の対象空間に設置される。室内ユニット20は、例えば、天井埋込型のユニットや、天井吊下型のユニットや、床置型のユニット等である。
図1に示すように、室内ユニット20は、主として、室内膨張弁23(流量調整機構)と、室内制御部29と、を備える。また、室内ユニット20は、室内熱交換器21と、室内ファン22と、室内温度センサ61と、ガス側温度センサ62と、液側温度センサ63と、を有する。また、室内ユニット20は、室内熱交換器21の液側端と液冷媒連絡配管51とを接続する液冷媒配管53aと、室内熱交換器21のガス側端とガス冷媒連絡配管52とを接続するガス冷媒配管53bとを有する。
【0017】
(2-1-1)室内熱交換器
室内熱交換器21は、構造を限定するものではないが、例えば、伝熱管(図示省略)と多数のフィン(図示省略)とにより構成されるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室内熱交換器21は、室内熱交換器21を流れる冷媒と、対象空間の空気と、の間で熱交換を行う。
【0018】
室内熱交換器21は、冷房運転の際には蒸発器として機能し、暖房運転の際には凝縮器として機能する。
【0019】
(2-1-2)室内ファン
室内ファン22は、室内ユニット20内に対象空間の空気を吸入して室内熱交換器21に供給し、室内熱交換器21において冷媒と熱交換した空気を、対象空間へと供給する。室内ファン22は、例えば、ターボファンやシロッコファン等の遠心ファンである。室内ファン22は、室内ファンモータ22mによって駆動される。室内ファンモータ22mの回転周波数は、インバータにより制御可能である。
【0020】
(2-1-3)室内膨張弁
室内膨張弁23は、液冷媒配管53aを流れる冷媒の圧力や流量を調節するための機構である。室内膨張弁23は、液冷媒配管53aに設けられる。本実施形態では、室内膨張弁23は、開度調節が可能な電子膨張弁である。
【0021】
(2-1-4)センサ
室内温度センサ61は、対象空間の空気の温度(室温)を測定する。室内温度センサ61は、室内ユニット20の空気の吸入口付近に設けられている。
【0022】
ガス側温度センサ62は、ガス冷媒配管53bを流れる冷媒の温度を計測する。ガス側温度センサ62は、ガス冷媒配管53bに設けられている。
【0023】
液側温度センサ63は、液冷媒配管53aを流れる冷媒の温度を計測する。液側温度センサ63は、液冷媒配管53aに設けられている。
【0024】
室内温度センサ61、ガス側温度センサ62、及び液側温度センサ63は、例えば、サーミスタである。
【0025】
(2-1-5)室内制御部
室内制御部29は、室内ユニット20を構成する各部の動作を制御する。
【0026】
室内制御部29は、室内膨張弁23、及び室内ファンモータ22mを含む、室内ユニット20が有する各種機器と電気的に接続されている。また、室内制御部29は、室内温度センサ61、ガス側温度センサ62、及び液側温度センサ63を含む、室内ユニット20に設けられている各種センサと通信可能に接続されている。
【0027】
室内制御部29は、制御演算装置及び記憶装置を有する。制御演算装置は、CPUやGPU等のプロセッサである。記憶装置は、RAM、ROM及びフラッシュメモリ等の記憶媒体である。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、プログラムに従って所定の演算処理を行うことで、室内ユニット20を構成する各部の動作を制御する。また、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。また、室内制御部29は、タイマーを有する。
【0028】
室内制御部29は、操作用リモコン(図示省略)から送信される各種信号を、受信可能に構成されている。各種信号には、例えば、運転の開始及び停止を指示する信号や、各種設定に関する信号が含まれる。各種設定に関する信号には、例えば、設定温度や設定湿度に関する信号が含まれる。また、室内制御部29は、通信線80を介して、室外ユニット30の室外制御部39との間で制御信号、計測信号、各種設定に関する信号等のやりとりを行う。
【0029】
室内制御部29と、室外制御部39とは、協働して制御部70として機能する。制御部70の機能については後述する。
【0030】
(2-2)室外ユニット
室外ユニット30は、空気調和装置1が設置される建物の屋上等、対象空間の室外に設置される。
図1に示すように、室外ユニット30は、主として、室外膨張弁34(流量調整機構)と、室外制御部39と、を備える。また、室外ユニット30は、圧縮機31と、流向切換機構32と、室外熱交換器33と、アキュムレータ35と、室外ファン36と、液側閉鎖弁37と、ガス側閉鎖弁38と、吸入圧力センサ64と、吐出圧力センサ65と、を有する。また、室外ユニット30は、吸入管54aと、吐出管54bと、第1ガス冷媒管54cと、液冷媒管54dと、第2ガス冷媒管54eと、を有する。
【0031】
図1に示すように、吸入管54aは、流向切換機構32と圧縮機31の吸入側とを接続する。吸入管54aには、アキュムレータ35が設けられる。吐出管54bは、圧縮機31の吐出側と流向切換機構32とを接続する。第1ガス冷媒管54cは、流向切換機構32と室外熱交換器33のガス側とを接続する。液冷媒管54dは、室外熱交換器33の液側と液冷媒連絡配管51とを接続する。液冷媒管54dには、室外膨張弁34が設けられている。液冷媒管54dと液冷媒連絡配管51との接続部には、液側閉鎖弁37が設けられている。第2ガス冷媒管54eは、流向切換機構32とガス冷媒連絡配管52とを接続する。第2ガス冷媒管54eとガス冷媒連絡配管52との接続部には、ガス側閉鎖弁38が設けられている。
【0032】
(2-2-1)圧縮機
図1に示すように、圧縮機31は、吸入管54aから冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を吸入し、圧縮機構(図示せず)で冷媒を圧縮して、圧縮した冷媒を吐出管54bへと吐出する機器である。
【0033】
圧縮機31は、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積圧縮機である。圧縮機31の圧縮機構は、圧縮機モータ31mによって駆動される。圧縮機モータ31mの回転周波数は、インバータにより制御可能である。
【0034】
(2-2-2)流向切換機構
流向切換機構32は、冷媒の流路を、第1状態と第2状態との間で切り換える機構である。流向切換機構32は、第1状態のとき、
図1の流向切換機構32内の実線で示されるように、吸入管54aを第2ガス冷媒管54eと連通させ、吐出管54bを第1ガス冷媒管54cと連通させる。流向切換機構32は、第2状態のとき、
図1の流向切換機構32内の破線で示されるように、吸入管54aを第1ガス冷媒管54cと連通させ、吐出管54bを第2ガス冷媒管54eと連通させる。
【0035】
流向切換機構32は、冷房運転時には、冷媒の流路を第1状態とする。このとき、圧縮機31から吐出される冷媒は、冷媒回路50内を、室外熱交換器33、室外膨張弁34、室内膨張弁23、室内熱交換器21の順に流れ、圧縮機31へと戻る。第1状態では、室外熱交換器33は凝縮器として機能し、室内熱交換器21は蒸発器として機能する。
【0036】
流向切換機構32は、暖房運転時には、冷媒の流路を第2状態とする。このとき、圧縮機31から吐出される冷媒は、冷媒回路50内を、室内熱交換器21、室内膨張弁23、室外膨張弁34、室外熱交換器33の順に流れ、圧縮機31へと戻る。第2状態では、室外熱交換器33は蒸発器として機能し、室内熱交換器21は凝縮器として機能する。
【0037】
(2-2-3)室外熱交換器
室外熱交換器33では、室外熱交換器33を流れる冷媒と、室外の空気と、の間で熱交換が行われる。室外熱交換器33は、構造を限定するものではないが、例えば、伝熱管(図示せず)と多数のフィン(図示せず)とにより構成されるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。
【0038】
(2-2-4)室外膨張弁
室外膨張弁34は、液冷媒管54dを流れる冷媒の圧力や流量を調節するための機構である。本実施形態では、室外膨張弁34は、開度調節が可能な電子膨張弁である。
【0039】
(2-2-5)アキュムレータ
アキュムレータ35は、流入する冷媒を、ガス冷媒と液冷媒とに分ける気液分離機能を有する容器である。アキュムレータ35に流入する冷媒は、ガス冷媒と液冷媒とに分離され、上部空間に集まるガス冷媒が圧縮機31へと流入する。
【0040】
(2-2-6)室外ファン
室外ファン36は、室外ユニット30内に室外の空気を吸入して室外熱交換器33に供給し、室外熱交換器33において冷媒と熱交換した室外の空気を、室外ユニット30の外に排出するファンである。室外ファン36は、例えばプロペラファン等の軸流ファンである。室外ファン36は、室外ファンモータ36mによって駆動される。室外ファンモータ36mの回転周波数は、インバータにより制御可能である。
【0041】
(2-2-7)センサ
吸入圧力センサ64は、吸入圧力を計測するセンサである。吸入圧力センサ64は、吸入管54aに設けられている。吸入圧力は、冷凍サイクルの低圧の値である。
【0042】
吐出圧力センサ65は、吐出圧力を計測するセンサである。吐出圧力センサ65は、吐出管54bに設けられている。吐出圧力は、冷凍サイクルの高圧の値である。
【0043】
(2-2-8)液側閉鎖弁及びガス側閉鎖弁
図1に示すように、液側閉鎖弁37は、液冷媒管54dと液冷媒連絡配管51との接続部に設けられた弁である。ガス側閉鎖弁38は、第2ガス冷媒管54eとガス冷媒連絡配管52との接続部に設けられた弁である。液側閉鎖弁37及びガス側閉鎖弁38は、例えば、手動で操作される弁である。
【0044】
(2-2-9)室外制御部
室外制御部39は、室外ユニット30を構成する各部の動作を制御する。
【0045】
室外制御部39は、圧縮機モータ31m、流向切換機構32、室外膨張弁34、及び室外ファンモータ36mを含む、室外ユニット30が有する各種機器に電気的に接続されている。また、室外制御部39は、吸入圧力センサ64、及び吐出圧力センサ65を含む、室外ユニット30に設けられている各種センサと通信可能に接続されている。
【0046】
室外制御部39は、制御演算装置及び記憶装置を有する。制御演算装置は、CPUやGPU等のプロセッサである。記憶装置は、RAM、ROM及びフラッシュメモリ等の記憶媒体である。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、プログラムに従って所定の演算処理を行うことで、室外ユニット30を構成する各部の動作を制御する。また、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。また、室外制御部39は、タイマーを有する。
【0047】
室外制御部39は、通信線80を介して、室内ユニット20の室内制御部29との間で制御信号、計測信号、各種設定に関する信号等のやりとりを行う。
【0048】
室外制御部39と、室内制御部29とは、協働して制御部70として機能する。制御部70の機能については後述する。
【0049】
(2-3)制御部
制御部70は、室内制御部29と室外制御部39とが、通信線80を介して通信可能に接続されることによって構成されている。言い換えると、室内制御部29と室外制御部39との協働が、空気調和装置1の動作を制御する制御部70として機能する。
【0050】
図2は、空気調和装置1の制御ブロック図である。
図2に示すように、制御部70は、室内温度センサ61、ガス側温度センサ62、液側温度センサ63、吸入圧力センサ64、及び吐出圧力センサ65と通信可能に接続されている。制御部70は、各種センサの送信する計測信号を受信する。また、制御部70は、室内膨張弁23、室内ファンモータ22m、圧縮機モータ31m、流向切換機構32、室外膨張弁34、及び室外ファンモータ36mと電気的に接続されている。制御部70は、操作用リモコンから送信される制御信号に応じて、各種センサの計測信号に基づき、室内膨張弁23、室内ファンモータ22m、圧縮機モータ31m、流向切換機構32、室外膨張弁34、及び室外ファンモータ36mを含む、空気調和装置1の各種機器の動作を制御する。
【0051】
制御部70は、主として、冷房運転又は暖房運転と、第1制御と、第2制御と、を行う。
【0052】
(2-3-1)冷房運転
制御部70は、操作用リモコンから、室内ユニット20に冷房運転を行わせる旨の指示を受けると、流向切換機構32内が、
図1の実線で示された状態になるように流向切換機構32を制御する。このとき、冷媒の流路は、第1状態となる。
【0053】
制御部70は、室外膨張弁34を段階的に開けると共に、室内熱交換器21のガス側出口における冷媒の過熱度が所定の目標過熱度になるように、室内膨張弁23を開度調節する。室内熱交換器21のガス側出口における冷媒の過熱度は、例えば、ガス側温度センサ62の計測値から、吸入圧力センサ64の計測値(吸入圧力)から換算される蒸発温度を、差し引くことで算出される。
【0054】
また、制御部70は、吸入圧力センサ64の計測値から換算される蒸発温度が所定の目標蒸発温度に近づくように、圧縮機31の運転容量を制御する。圧縮機31の運転容量の制御は、圧縮機モータ31mの回転周波数を制御することにより行われる。
【0055】
以上のように、対象空間の室温を設定温度に近づけるように、制御部70が圧縮機31、室外膨張弁34、及び室内膨張弁23等の各種機器を制御することで、冷房運転時には冷媒回路50を以下のように冷媒が流れる。
【0056】
圧縮機31が起動されると、冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒が圧縮機31に吸入され、圧縮機31で圧縮されて冷凍サイクルにおける高圧のガス冷媒となる。
【0057】
高圧のガス冷媒は、流向切換機構32を経由して、第1ガス冷媒管54cを流れ、室外熱交換器33に送られる。室外熱交換器33に送られた高圧のガス冷媒は、室外ファン36によって供給される室外の空気と熱交換を行って凝縮し、高圧の液冷媒となる。室外熱交換器33を通過した高圧の液冷媒は、液冷媒管54dを流れ、室外膨張弁34を通過し、室内ユニット20に送られる。
【0058】
室内ユニット20に送られた高圧の液冷媒は、室内膨張弁23において圧縮機31の吸入圧力近くまで減圧され、気液二相状態の冷媒となって室内熱交換器21に送られる。気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器21において、室内ファン22により室内熱交換器21へと供給される対象空間の空気と熱交換を行って蒸発し、低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡配管52を経由して室外ユニット30に送られ、流向切換機構32を経由してアキュムレータ35に流入する。アキュムレータ35に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機31に吸入される。室内熱交換器21に供給された空気の温度は、室内熱交換器21を流れる冷媒と熱交換することで低下し、室内熱交換器21で冷却された空気が対象空間に吹き出す。
【0059】
(2-3-2)暖房運転
制御部70は、操作用リモコンから、室内ユニット20に暖房運転を行わせる旨の指示を受けると、流向切換機構32内が、
図1の破線で示された状態になるように流向切換機構32を制御する。このとき、冷媒の流路は、第2状態となる。
【0060】
制御部70は、室内熱交換器21の液側出口における冷媒の過冷却度が所定の目標過冷却度になるように、室内膨張弁23を開度調節する。室内熱交換器21の液側出口における冷媒の過冷却度は、例えば、吐出圧力センサ65の計測値(吐出圧力)から換算される凝縮温度から、液側温度センサ63の計測値を差し引くことで算出される。
【0061】
また、制御部70は、室外熱交換器33に流入する冷媒が、室外熱交換器33において蒸発可能な圧力まで減圧されるように、室外膨張弁34を開度調節する。
【0062】
また、制御部70は、吐出圧力センサ65の計測値から換算される凝縮温度が所定の目標凝縮温度に近づくように、圧縮機31の運転容量を制御する。圧縮機31の運転容量の制御は、圧縮機モータ31mの回転周波数を制御により行われる。
【0063】
以上のように、対象空間の室温を設定温度に近づけるように、制御部70が、圧縮機31、室外膨張弁34、及び室内膨張弁23等の各種機器を制御することで、暖房運転時には冷媒回路50を以下のように冷媒が流れる。
【0064】
圧縮機31が起動されると、冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒が圧縮機31に吸入され、圧縮機31で圧縮されて冷凍サイクルにおける高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、流向切換機構32を経由して室内熱交換器21に送られ、室内ファン22によって供給される対象空間の空気と熱交換を行って凝縮し、高圧の液冷媒となる。室内熱交換器21へと供給された空気の温度は、室内熱交換器21を流れる冷媒と熱交換することで上昇し、室内熱交換器21で加熱された空気が対象空間に吹き出す。室内熱交換器21を通過した高圧の液冷媒は、室内膨張弁23を通過して減圧される。室内膨張弁23において減圧された冷媒は、液冷媒連絡配管51を経由して室外ユニット30に送られ、液冷媒管54dに流入する。液冷媒管54dを流れる冷媒は、室外膨張弁34を通過する際に圧縮機31の吸入圧力近くまで減圧され、気液二相状態の冷媒となって室外熱交換器33に流入する。室外熱交換器33に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン36によって供給される室外の空気と熱交換を行って蒸発し、低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、流向切換機構32を経由してアキュムレータ35に流入する。アキュムレータ35に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機31に吸入される。
【0065】
(2-3-3)第1制御
制御部70は、第1制御として、冷房運転又は暖房運転を行っている間に、第1条件が満たされると、冷房運転又は暖房運転を停止する。第1条件は、対象空間の熱負荷が低いことを示す条件である。本実施形態では、第1条件は、設定温度と室温との温度差に基づく条件である。具体的には、本実施形態の冷房運転における第1条件は、室温が設定温度より1℃以上低くなった場合に成立する条件である。また、本実施形態の暖房運転における第1条件は、室温が設定温度より1℃以上高くなった場合に成立する条件である。
【0066】
制御部70は、第1条件が満たされたことによって冷房運転又は暖房運転を停止した後、第2条件が満たされると、冷房運転又は暖房運転を開始する。第2条件は、対象空間の熱負荷に関する条件である。本実施形態では、第2条件は、設定温度と室温との温度差に基づく条件である。具体的には、本実施形態の冷房運転における第2条件は、室温が設定温度より1℃以上高くなった場合に成立する条件である。また、本実施形態の暖房運転における第1条件は、室温が設定温度より1℃以上低くなった場合に成立する条件である。
【0067】
以下、冷房運転及び暖房運転それぞれにおける、第1制御時の各種機器の動作について説明する。
【0068】
(2-3-3-1)冷房運転における第1制御
図3は、冷房運転における第1制御及び第2制御時の各種機器の動作の一例を示す図である。
図3の上側のグラフは、横軸を時間軸として、設定温度の周辺における対象空間の室温の推移を示している。
図3の下側のグラフは、横軸を時間軸として、圧縮機31の圧縮機モータ31mの回転周波数の推移と、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度の推移と、を示している。
【0069】
図3の「冷房運転1」に示すように、冷房運転によって対象空間の室温が設定温度に近づくにつれ、制御部70は、圧縮機モータ31mの回転周波数、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、段階的に小さくしていく。
【0070】
図3の「第1制御A」に示すように、対象空間の室温が「設定温度-1℃」以下になると(第1条件を満たすと)、制御部70は、第1制御として、冷房運転を停止する。具体的には、制御部70は、圧縮機モータ31mを停止し、室外膨張弁34及び室内膨張弁23を全閉状態にする。
【0071】
図3の「運転停止1」に示すように、制御部70が冷房運転を停止している間、対象空間の室温は上昇していく。
【0072】
図3の「第1制御B」に示すように、対象空間の室温が「設定温度+1℃」以上になると(第2条件を満たすと)、制御部70は、第1制御として、冷房運転を開始する。具体的には、「冷房運転2」に示すように、制御部は、圧縮機モータ31mの回転周波数、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、段階的に大きくしていく。このとき、制御部70は、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、全閉状態から大きくしていく。
【0073】
図3の「冷房運転2」に示すように、冷房運転によって対象空間の室温が設定温度に近づくにつれ、制御部70は、圧縮機モータ31mの回転周波数、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、段階的に小さくしていく。
【0074】
図3の「第1制御C」に示すように、対象空間の室温が「設定温度-1℃」以下になると(第1条件を満たすと)、制御部70は、第1制御として、冷房運転を停止する。具体的には、制御部70は、圧縮機モータ31mを停止し、室外膨張弁34及び室内膨張弁23を全閉状態にする。
【0075】
(2-3-3-2)暖房運転における第1制御
図4は、暖房運転における第1制御及び第2制御時の各種機器の動作の一例を示す図である。
図4の上側のグラフは、横軸を時間軸として、設定温度の周辺における対象空間の室温の推移を示している。
図4の下側のグラフは、横軸を時間軸として、圧縮機31の圧縮機モータ31mの回転周波数の推移と、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度の推移と、を示している。
【0076】
図4の「暖房運転1」に示すように、暖房運転によって対象空間の室温が設定温度に近づくにつれ、制御部70は、圧縮機モータ31mの回転周波数、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、段階的に小さくしていく。
【0077】
図4の「第1制御A」に示すように、対象空間の室温が「設定温度+1℃」以上になると(第1条件を満たすと)、制御部70は、第1制御として、暖房運転を停止する。具体的には、制御部70は、圧縮機モータ31mを停止し、室外膨張弁34及び室内膨張弁23を全閉状態にする。
【0078】
図4の「運転停止1」に示すように、制御部70が暖房運転を停止している間、対象空間の室温は下降していく。
【0079】
図4の「第1制御B」に示すように、対象空間の室温が「設定温度-1℃」以下になると(第2条件を満たすと)、制御部70は、第1制御として、暖房運転を開始する。具体的には、「暖房運転2」に示すように、制御部は、圧縮機モータ31mの回転周波数、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、段階的に大きくしていく。このとき、制御部70は、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、全閉状態から大きくしていく。
【0080】
図4の「暖房運転2」に示すように、暖房運転によって対象空間の室温が設定温度に近づくにつれ、制御部70は、圧縮機モータ31mの回転周波数、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、段階的に小さくしていく。
【0081】
図4の「第1制御C」に示すように、対象空間の室温が「設定温度+1℃」以上になると(第1条件を満たすと)、制御部70は、第1制御として、暖房運転を停止する。具体的には、制御部70は、圧縮機モータ31mを停止し、室外膨張弁34及び室内膨張弁23を全閉状態にする。
【0082】
(2-3-4)第2制御
第2制御は、第1制御により、冷房運転又は暖房運転を開始するときの室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、第1条件が満たされた時点での開度よりも大きくする。本実施形態では、第2制御における、冷房運転又は暖房運転を開始するときの室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度は、第1条件が満たされた時点での開度を、所定の割合大きくした開度である。所定の割合は、例えば、30%である。第2制御は、第1制御による冷房運転又は暖房運転の停止及び開始が、所定時間内に所定回数繰り返された後に行われてもよい。例えば、第2制御は、第1制御による冷房運転又は暖房運転の停止及び開始が、30分以内に5回繰り返された後に行われてもよい。
【0083】
(2-3-4-1)冷房運転における第1制御及び第2制御
図3の「運転停止2」に示すように、制御部70が冷房運転を停止している間、対象空間の室温は上昇していく。
【0084】
図3の「第1制御D+第2制御A」に示すように、対象空間の室温が「設定温度+1℃」になると(第2条件を満たすと)、制御部70は、第1制御及び第2制御として、冷房運転を開始する。具体的には、「冷房運転3」に示すように、制御部は、圧縮機モータ31mの回転周波数、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、段階的に大きくしていく。このとき、制御部70は、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、第1条件が満たされた時点での開度を所定の割合大きくした開度(
図3のα,β点)、から大きくしていく。
【0085】
(2-3-4-2)暖房運転における第1制御及び第2制御
図4の「運転停止2」に示すように、制御部70が暖房運転を停止している間、対象空間の室温は下降していく。
【0086】
図4の「第1制御D+第2制御A」に示すように、対象空間の室温が「設定温度-1℃」になると(第2条件を満たすと)、制御部70は、第1制御及び第2制御として、暖房運転を開始する。具体的には、「暖房運転3」に示すように、制御部は、圧縮機モータ31mの回転周波数、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、段階的に大きくしていく。このとき、制御部70は、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、第1条件が満たされた時点での開度を所定の割合大きくした開度(
図4のα,β点)、から大きくしていく。
【0087】
(3)処理
冷房運転又は暖房運転における第1制御及び第2制御の処理の一例を、
図5のフローチャートを用いて説明する。
【0088】
ステップS1に示すように、制御部70は、操作用リモコンからの指示等により、冷房運転又は暖房運転を開始する。
【0089】
ステップS1からステップS2に進むと、制御部70は、所定時間T1待機する。所定時間T1は、例えば、5分である。
【0090】
ステップS2からステップS3に進むと、制御部70は、第1条件が満たされたか否かを判定する。第1条件が満たされた場合、ステップS4に進む。第1条件が満たされない場合、ステップS2に戻り、制御部70は、再び所定時間T1待機する。言い換えると、制御部70は、所定時間T1ごとに、第1条件が満たされたか否かを判定する。
【0091】
ステップS3からステップS4に進むと、制御部70は、冷房運転又は暖房運転を停止する。
【0092】
ステップS4からステップS5に進むと、制御部70は、所定時間T2待機する。所定時間T2は、例えば、5分である。
【0093】
ステップS5からステップS6に進むと、制御部70は、第2条件が満たされたか否かを判定する。第2条件が満たされた場合、ステップS7に進む。第2条件が満たされない場合、ステップS5に戻り、制御部70は、再び所定時間T2待機する。言い換えると、制御部70は、所定時間T2ごとに、第2条件が満たされたか否かを判定する。
【0094】
ステップS6からステップS7に進むと、制御部70は、第1制御による冷房運転又は暖房運転の停止及び開始が、所定時間内に所定回数繰り返されているか否かを判定する。所定時間内に所定回数繰り返されている場合、ステップS8に進む。所定時間内に所定回数繰り返されていない場合、ステップS9に進む。
【0095】
ステップS7からステップS8に進むと、制御部70は、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、第1条件が満たされた時点での開度を所定の割合大きくした開度にし(第2制御あり)、(ステップS1に戻り)冷房運転又は暖房運転を開始する。
【0096】
ステップS7からステップS9に進むと、制御部70は、室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を全閉状態にし(第2制御なし)、(ステップS1に戻り)冷房運転又は暖房運転を開始する。
【0097】
制御部70は、操作用リモコンからの指示等により、冷房運転又は暖房運転が停止されるまで、本処理を継続する。
【0098】
(4)特徴
(4-1)
従来、冷房運転又は暖房運転時に、対象空間の熱負荷が低くなると冷房運転又は暖房運転を停止し、その後、対象空間の熱負荷に応じて冷房運転又は暖房運転を開始する技術がある。
【0099】
しかし、冷房運転又は暖房運転を停止した後、流量調整機構を閉じた状態から冷房運転又は暖房運転を開始すると、流量調整機構が適切な開度になるまでに時間がかかり、運転効率が低下する、という課題がある。
【0100】
本実施形態の空気調和装置1は、冷房運転又は暖房運転を開始するときの室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度を、第1条件が満たされた時点での開度よりも大きくする。その結果、空気調和装置1は、室外膨張弁34及び室内膨張弁23を開いた状態から冷房運転又は暖房運転を開始するため、運転効率の低下を防ぐことができる。
【0101】
(4-2)
本実施形態の空気調和装置1では、第1条件及び第2条件は、設定温度と、対象空間の室温との温度差に基づく条件である。その結果、空気調和装置1は、対象空間の熱負荷を正確に把握することができる。
【0102】
(4-3)
本実施形態の空気調和装置1は、冷房運転又は暖房運転の停止及び開始が、所定時間内に所定回数繰り返されるような低負荷時に、第2制御を行う。その結果、空気調和装置1は、圧縮機31の負荷を減らすことができる。
【0103】
(4-4)
本実施形態の空気調和装置1では、第2制御における、冷房運転又は暖房運転を開始するときの室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度は、第1条件が満たされた時点での開度を、所定の割合大きくした開度である。その結果、空気調和装置1は、より効率的に運転を開始することができる。
【0104】
(5)変形例
(5-1)変形例1A
本実施形態では、空気調和装置1は、1つの室内ユニット20を有していた。しかし、空気調和装置1は、より多くの室内ユニット20を有してもよい。このとき、制御部70は、例えば、室内ユニット20毎に、第1制御及び第2制御に伴う室内膨張弁23の動作を制御する。また、制御部70は、例えば、第1制御によって最後に冷房運転又は暖房運転を停止した室内ユニット20(その結果、すべての室内ユニット20が第1制御によって停止)と、第1制御によって最初に冷房運転又は暖房運転を開始した室内ユニット20(当該室内ユニット20以外は第1制御によって停止中)と、に合わせて、第1制御及び第2制御に伴う圧縮機31及び室外膨張弁34の動作を制御する。
【0105】
(5-2)変形例1B
本実施形態では、空気調和装置1は、室内ユニット20が室内膨張弁23を有する、ビル用マルチ式空気調和システムであった。しかし、空気調和装置1は、家庭用ルームエアコン等のように、室内ユニット20が室内膨張弁23を有しないものであってもよい。
【0106】
(5-3)変形例1C
本実施形態では、第2制御における、冷房運転又は暖房運転を開始するときの室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度は、第1条件が満たされた時点での開度を、所定の割合大きくした開度であった。
【0107】
しかし、第2制御における、冷房運転又は暖房運転を開始するときの室外膨張弁34及び室内膨張弁23の開度は、第1条件が満たされる前に、設定温度と対象空間の室温との温度差が、所定の値となった時点での開度であってもよい。冷房運転の場合、所定の値は、例えば、0.5℃(対象空間の室温-設定温度)である。
【0108】
その結果、空気調和装置1は、より効率的に運転を開始することができる。
【0109】
(5-4)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0110】
1 空気調和装置
20 室内ユニット
30 室外ユニット
23 室内膨張弁(流量調整機構)
34 室外膨張弁(流量調整機構)
70 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0111】
【手続補正書】
【提出日】2022-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和の対象空間に設置される、室内ユニット(20)と、
前記対象空間の室外に設置される、室外ユニット(30)と、
冷媒の流量を調整する、流量調整機構(23,34)と、
制御部(70)と、
を備え、
前記制御部は、
前記室内ユニット、及び前記室外ユニットに冷媒を循環させることによって、前記対象空間の室温を設定温度に近づける、冷房運転又は暖房運転と、
冷房運転又は暖房運転を行っている間に、前記対象空間の熱負荷が低いことを示す第1条件、が満たされると冷房運転又は暖房運転を停止し、その後、前記対象空間の熱負荷に関する第2条件、が満たされると冷房運転又は暖房運転を開始する、第1制御と、
前記第1制御により、冷房運転又は暖房運転を開始するときの前記流量調整機構の開度を、前記第1条件が満たされた時点での開度よりも大きくする、第2制御と、
を行い、
前記第2制御は、前記第1制御による冷房運転又は暖房運転の停止及び開始が、所定時間内に所定回数繰り返された後に行われる、
空気調和装置(1)。
【請求項2】
空気調和の対象空間に設置される、室内ユニット(20)と、
前記対象空間の室外に設置される、室外ユニット(30)と、
冷媒の流量を調整する、流量調整機構(23,34)と、
制御部(70)と、
を備え、
前記制御部は、
前記室内ユニット、及び前記室外ユニットに冷媒を循環させることによって、前記対象空間の室温を設定温度に近づける、冷房運転又は暖房運転と、
冷房運転又は暖房運転を行っている間に、前記対象空間の熱負荷が低いことを示す第1条件、が満たされると冷房運転又は暖房運転を停止し、その後、前記対象空間の熱負荷に関する第2条件、が満たされると冷房運転又は暖房運転を開始する、第1制御と、
前記第1制御により、冷房運転又は暖房運転を開始するときの前記流量調整機構の開度を、前記第1条件が満たされた時点での開度よりも大きくする、第2制御と、
を行い、
前記第2制御における、冷房運転又は暖房運転を開始するときの前記流量調整機構の開度は、前記第1条件が満たされる前に、前記設定温度と前記室温との温度差が、所定の値となった時点での開度である、
空気調和装置(1)。
【請求項3】
前記第1条件及び前記第2条件は、前記設定温度と前記室温との温度差に基づく条件である、
請求項1または2に記載の空気調和装置(1)。
【請求項4】
前記第2制御における、冷房運転又は暖房運転を開始するときの前記流量調整機構の開度は、前記第1条件が満たされた時点での開度を、所定の割合大きくした開度である、
請求項1から3のいずれか1つに記載の空気調和装置(1)。