(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022172983
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】室内機、および、空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/70 20180101AFI20221110BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20221110BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20221110BHJP
【FI】
F24F11/70
F24F110:10
F24F110:20
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079372
(22)【出願日】2021-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】三浦 脩
(72)【発明者】
【氏名】西谷 恵介
(72)【発明者】
【氏名】佐柳 恒久
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA41
3L260CA12
3L260CA13
3L260CB06
3L260CB13
3L260FA02
3L260FB73
(57)【要約】
【課題】ドレン水の発生量が少ない場合、ドレンポンプの運転時間を短くすることで、ドレンポンプの消費電力を抑制することが好ましい。
【解決手段】室内機12は、冷媒を循環させることで冷房運転を実行可能な空気調和装置10に用いられる。室内機12は、室内熱交換器50と、ドレンパン57と、ドレンポンプ59と、室内制御部92とを備える。室内熱交換器50は、冷媒と室内空気とを熱交換する。ドレンパン57は、室内熱交換器50で発生する水を受ける。ドレンポンプ59は、ドレンパン57から水を吸い上げる。室内制御部92は、冷房運転の実行時に、室内熱交換器50内の冷媒の蒸発温度が、室内空気の露点温度以下の時に、ドレンポンプ59の運転を行う。室内制御部92は、冷房運転の実行時に、冷媒の蒸発温度が露点温度よりも高い時に、ドレンポンプ59の運転を行わない期間を有するようにドレンポンプ59を制御する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を循環させることで冷房運転を実行可能な空気調和装置(10)に用いられる室内機であって、
冷媒と室内空気とを熱交換する熱交換器(50)と、
前記熱交換器で発生する水を受けるドレンパン(57)と、
前記ドレンパンから水を吸い上げるドレンポンプ(59)と、
制御部(92)と、
を備え、
前記制御部は、前記冷房運転の実行時に、
前記熱交換器内の冷媒の蒸発温度が、前記室内空気の露点温度以下の時に、前記ドレンポンプの運転を行い、
前記蒸発温度が前記露点温度よりも高い時に、前記ドレンポンプの運転を行わない期間を有するように前記ドレンポンプを制御する、
第1制御を行う、
室内機(12)。
【請求項2】
前記制御部は、前記冷房運転の実行時に、前記蒸発温度が前記露点温度以下である状態から、前記蒸発温度が前記露点温度よりも高い状態に移行した時点から所定期間、前記ドレンポンプの運転を継続させ、その後、前記ドレンポンプの運転を停止させる、前記第1制御を行う、
請求項1に記載の室内機。
【請求項3】
前記制御部は、前記冷房運転の実行時に、前記蒸発温度を取得するための第1センサ(51)、または、前記露点温度を取得するための第2センサ(52,53)の異常を検知した場合、前記ドレンポンプの運転を継続させる、
請求項1または2に記載の室内機。
【請求項4】
前記制御部は、前記冷房運転の実行時に、
第1状態において、前記ドレンポンプの運転を継続させ、
前記第1状態よりも、前記冷房運転の実行時における前記空気調和装置の負荷が小さい第2状態において、前記第1制御を行う、
請求項1から3のいずれか1項に記載の室内機。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の室内機を備える、
空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
室内機、および、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開平7-332743号公報)に開示される空気調和機は、蒸発器で生成されたドレン水をドレンパンで受け、ドレンポンプを用いてドレンパン内のドレン水を排出する機構を備える。この空気調和機は、ドレンパン内のドレン水の水位が、ドレンポンプの吸水口の高さ以上になるとドレンポンプの運転を開始し、ドレンポンプの吸水口の高さ以下になるとドレンポンプの運転を停止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ドレン水の発生量が多い場合、ドレンポンプを継続的に運転させていないと、ドレンパン内のドレン水の水位が急上昇してドレンパンからドレン水があふれ出るおそれがある。しかし、ドレン水の発生量が少ない場合、ドレンポンプの運転時間を短くすることで、ドレンポンプの消費電力を抑制することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の室内機は、冷媒を循環させることで冷房運転を実行可能な空気調和装置に用いられる。室内機は、熱交換器と、ドレンパンと、ドレンポンプと、制御部とを備える。熱交換器は、冷媒と室内空気とを熱交換する。ドレンパンは、熱交換器で発生する水を受ける。ドレンポンプは、ドレンパンから水を吸い上げる。制御部は、冷房運転の実行時に、第1制御を行う。第1制御において、制御部は、熱交換器内の冷媒の蒸発温度が、室内空気の露点温度以下の時に、ドレンポンプの運転を行う。第1制御において、制御部は、蒸発温度が露点温度よりも高い時に、ドレンポンプの運転を行わない期間を有するようにドレンポンプを制御する。
【0005】
第1観点の室内機は、熱交換器で発生する水の量が少ない場合、ドレンポンプの運転を行わない期間を有するようにドレンポンプを制御する。これにより、ドレンポンプの消費電力が抑制される。
【0006】
第2観点の室内機は、第1観点の室内機であって、第1制御において、制御部は、蒸発温度が露点温度以下である状態から、蒸発温度が露点温度よりも高い状態に移行した時点から所定期間、ドレンポンプの運転を継続させ、その後、ドレンポンプの運転を停止させる。
【0007】
第2観点の室内機では、ドレンパンの水位が上昇することによる水の漏洩が抑制される。
【0008】
第3観点の室内機は、第1観点または第2観点の室内機であって、制御部は、冷房運転の実行時に、蒸発温度を取得するための第1センサ、または、露点温度を取得するための第2センサの異常を検知した場合、ドレンポンプの運転を継続させる。
【0009】
第3観点の室内機では、ドレンパンの水位が上昇することによる水の漏洩が抑制される。
【0010】
第4観点の室内機は、第1乃至第3観点のいずれか1つの室内機であって、制御部は、冷房運転の実行時に、第1状態において、ドレンポンプの運転を継続させる。制御部は、冷房運転の実行時に、第1状態よりも、冷房運転の実行時における空気調和装置の負荷が小さい第2状態において、第1制御を行う。
【0011】
第4観点の室内機は、空気調和装置の負荷が大きく、熱交換器で発生する水の量が多い場合、ドレンポンプを常時運転させる。一方、室内機は、空気調和装置の負荷が小さく、熱交換器で発生する水の量が少ない場合、ドレンポンプの運転を行わない期間を有するようにドレンポンプを制御する。これにより、ドレンパンの水位が急上昇することによる水の漏洩が抑制され、かつ、ドレンポンプの消費電力が抑制される。
【0012】
第5観点の空気調和装置は、第1乃至第4観点のいずれか1つの室内機を備える。
【0013】
第5観点の空気調和装置では、ドレンポンプの消費電力が抑制されるので、運転に必要な電力が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】室内機12を備える空気調和装置10の冷媒回路を示す図である。
【
図2】天井裏空間80に設置される室内機12の模式図である。
【
図5】ドレンパン57およびドレンポンプ59の概略構成図である。
【
図6】ドレンポンプ59の制御を表すフローチャートである。
【
図7】
図6のステップS14における第1の判定基準を説明するためのタイムチャートである。
【
図8】変形例Bにおける、ドレンポンプ59の制御を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の実施形態の室内機12を備える空気調和装置10について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(1)空気調和装置10の全体構成
図1に示されるように、空気調和装置10は、冷媒配管方式の空気調和装置であって、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって建物内の各室を冷暖房する。空気調和装置10は、室外機11と、室内機12と、液冷媒連絡管13と、ガス冷媒連絡管14と、を備える。空気調和装置10の冷媒回路は、室外機11と室内機12とが、液冷媒連絡管13およびガス冷媒連絡管14で接続されることによって構成される。空気調和装置10の冷媒回路では、冷媒回路内に封入された冷媒が循環する。空気調和装置10は、冷媒回路内において冷媒が圧縮され、放熱(凝縮)され、減圧され、吸熱(蒸発)された後に再び圧縮される冷凍サイクル運転を行う。
【0017】
室外機11は、建物の外あるいは建物の地下室等に設置される。室外機11は、主として、圧縮機20と、四路切換弁15と、室外熱交換器30と、室外膨張弁41と、室外ファン35と、液側閉鎖弁17と、ガス側閉鎖弁18と、アキュムレータ25と、室外制御部91と、を有する。
【0018】
室内機12は、
図2に示されるように、各室の天井81の上方に位置する、天井裏空間80に設置される。室内機12は、天井81に埋め込まれることにより設置されるタイプの室内機である。室内機12は、主として、ケーシング22と、風向変更部材39と、室内熱交換器50と、室内ファン55と、ベルマウス56と、ドレンパン57と、ドレンポンプ59と、室内制御部92と、を有する。空気調和装置10は、1台の室外機11に複数台の室内機12が接続される分散型の構成を有する。しかし、空気調和装置10は、1台の室外機11に1台の室内機12が接続される構成を有してもよい。
【0019】
室内熱交換器50は、その一端が液冷媒連絡管13に接続され、その他端がガス冷媒連絡管14に接続される。室内熱交換器50は、冷媒の吸熱器(蒸発器)または放熱器(凝縮器)として機能する。空気調和装置10が冷房運転を実行している時、室内熱交換器50は、吸熱器として機能する。空気調和装置10が暖房運転を実行している時、室内熱交換器50は、放熱器として機能する。
【0020】
室外制御部91は、室外機11の構成機器を制御するコンピュータである。室内制御部92は、室内機12の構成機器を制御するコンピュータである。室外制御部91および室内制御部92は、主として、演算装置と記憶装置とを備える。演算装置は、例えば、CPUまたはGPUである。演算装置は、記憶装置に記憶されるプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の演算処理を行う。演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶される情報を読み出したりする。室外制御部91は、室内制御部92と通信線を介して接続され、データおよび制御信号等の送受信を行う。
【0021】
液冷媒連絡管13およびガス冷媒連絡管14は、室外機11および室内機12を建物に設置する際に、現地にて施工される冷媒配管である。
図2に示されるように、液冷媒連絡管13およびガス冷媒連絡管14は、天井裏空間80を通る。
【0022】
(2)室内機12の構成
(2-1)ケーシング22
ケーシング22の内部には、主として、室内熱交換器50と、室内ファン55と、ベルマウス56と、ドレンパン57と、ドレンポンプ59と、室内制御部92とが配置される。ケーシング22は、主として、ケーシング本体22aと、化粧パネル22bと、を有する。
【0023】
図2に示されるように、ケーシング本体22aは、各室の天井81に形成される開口81aに挿入されるようにして配置される。ケーシング本体22aは、その平面視において、長辺と短辺とが交互に形成される略8角形状の箱状体であり、下面が開口している。ケーシング本体22aは、天板と、天板の周縁部から下方に延びる複数の側板とを有する。
【0024】
化粧パネル22bは、天井81の開口81aに嵌め込まれるようにして配置される。化粧パネル22bは、ケーシング本体22aの天板および側板よりも平面視における外側に広がっており、ケーシング本体22aの下方に室内側から取り付けられる。
【0025】
図3に示されるように、化粧パネル22bは、内枠23aと、平面視における内枠23aの外側に設けられた外枠23bと、を有する。平面視における内枠23aの内側には、下方に向けて開口した平面視略四角形状の吸込口36が形成されている。平面視における外枠23bの内側であって内枠23aの外側には、下方から斜め下方に向けて開口した吹出口37と角部吹出口38が形成されている。
図4に示されるように、吸込口36の上方には、吸込口36から吸入された空気中の塵埃を除去するためのフィルタ34が設けられている。吹出口37は、第1吹出口37aと、第2吹出口37bと、第3吹出口37cと、第4吹出口37dと、を有しており、これらは内枠23aと外枠23bとの間であって、平面視において略四角形状の吸込口36の各辺と平行に伸びるように設けられている。角部吹出口38は、第1角部吹出口38aと、第2角部吹出口38bと、第3角部吹出口38cと、第4角部吹出口38dと、を有しており、これらは内枠23aと外枠23bとの間の平面視における4角に設けられている。
【0026】
ケーシング本体22aの下面には、風向変更部材39が取り付けられる。風向変更部材39は、吹出口37を通過する空気流れの方向を変更可能な部材である。風向変更部材39は、第1吹出口37aに配置される第1風向変更部材39aと、第2吹出口37bに配置される第2風向変更部材39bと、第3吹出口37cに配置される第3風向変更部材39cと、第4吹出口37dに配置される第4風向変更部材39dと、を有して構成されている。各風向変更部材39a~dは、フラップ本体と、アームZと、を有している。フラップ本体は、回転軸に垂直な断面形状が凹状に形成された凹面Xと、凹面Xの裏側であって、回転軸に垂直な断面形状が凸状に形成された凸面Yと、を有する板状部材である。凹面Xは、空気調和装置10の停止時に吹出口37の上流側を向く面であって、長手方向に伸びたローレットが複数形成されている。凸面Yは、停止時に室内空間側である下方を向く面であって、なめらかな化粧面を有している。アームZは、フラップ本体の凹面X側に固定されている。アームZは、フラップ本体側とは反対側の端部が室内ユニット3内部から伸びる構造部品に対して駆動軸を介して回動可能に軸支されている。各駆動軸は、平面視において各吹出口37a~dの長手方向に沿うように伸びている。風向変更部材39は、各駆動軸の端部に連結された図示しないステッピングモータを有している。フラップ本体とアームZとは、当該モータからの駆動力を受けることで、駆動軸を介して回動することで、風向変更を行う。風向変更部材39の姿勢は、駆動軸の回動程度に応じて予め定められた複数種類の所定角度となるように制御される。冷房運転および暖房運転では、吹出口37の上流側を通過した空気は、フラップ本体のうち主として凹面Xに当たる。
【0027】
第1風向変更部材39a、第2風向変更部材39b、第3風向変更部材39c、第4風向変更部材39dの各姿勢は、室内制御部92によって、それぞれ独立に制御される。風向変更部材39は、リモコン等を介してユーザからの風向指示を受け付けた場合に室内制御部92によって駆動軸が駆動されることで姿勢が制御される。
【0028】
(2-2)室内熱交換器50
室内熱交換器50は、平面視における室内ファン55の周囲を囲むように曲げられた状態で、ケーシング本体22aの内部に配置された熱交換器である。より具体的には、室内熱交換器50は、所定間隔を空けて配置された多数の伝熱フィンと、これらの伝熱フィンを板厚方向に貫通した複数の伝熱管と、を有している。室内熱交換器50の液側には、液冷媒連絡管13の一端が接続されており、室内熱交換器50のガス側には、ガス冷媒連絡管14の一端が接続されている。
【0029】
(2-3)室内ファン55
室内ファン55は、ケーシング本体22aの内部に配置された遠心送風機である。室内ファン55は、室内の空気を化粧パネル22bの吸込口36を通じてケーシング22内に吸入し、室内熱交換器50を通過させた後、化粧パネル22bの吹出口37を通じてケーシング22外へ吹き出す空気流れを形成させる。室内ファン55は、ケーシング本体22aの天板の中央に設けられたファンモータ55aと、ファンモータ55aに連結されて回転駆動される羽根車とを有している。羽根車は、ターボ翼を有する羽根車であり、回転軸線Oを軸心として回転することで、下方から羽根車の内部に空気を吸入し、平面視における羽根車の外周側に向かって吹き出すことができる。室内ファン55は、室内制御部92によって回転数が制御されることで風量を複数段階に制御することが可能である。
【0030】
(2-4)ドレンパン57
図4に示されるように、ドレンパン57は、室内熱交換器50の下側に配置され、室内熱交換器50において空気中の水分が凝縮して生じるドレン水を受けとる。このドレンパン57は、ケーシング本体22aの下部に装着されている。ドレンパン57には、平面視において、室内熱交換器50の内側において上下方向に伸びた円筒形状の空間が形成されており、当該空間の内側下方にベルマウス56が配置されている。ベルマウス56は、吸込口36から吸入される空気を室内ファン55に案内するための部材であり、水平に広がった平面部と、中心近傍において上下に伸びる円筒形状部分と、を有している。
【0031】
ドレンパン57には、平面視において、室内熱交換器50の外側において上下方向に伸びた複数の吹出流路47が形成されている。吹出流路47は、下端において第1吹出口37aと連通する第1吹出流路と、下端において第2吹出口37bと連通する第2吹出流路と、下端において第3吹出口37cと連通する第3吹出流路と、下端において第4吹出口37dと連通する第4吹出流路と、を有する。また、吹出流路47は、下端において第1角部吹出口38aと連通する第1角部吹出流路と、下端において第2角部吹出口38bと連通する第2角部吹出流路と、下端において第3角部吹出口38cと連通する第3角部吹出流路と、下端において第4角部吹出口38dと連通する第4角部吹出流路と、を有する。
【0032】
空気調和装置10が冷房運転を実行している時、室内熱交換器50の表面には結露水が発生することがある。ドレンパン57は、室内熱交換器50の表面から落下する結露水を受けるために設けられる。室内熱交換器50の表面から落下する結露水は、ドレン水としてドレンパン57に貯留される。
【0033】
図5に示されるように、ドレンパン57は、ドレン水が貯留される空間である凹部57aを有する。凹部57aの底面は、水平面と略平行になるように配置される。そのため、ドレンパン57内のドレン水の水面は、水平面に略平行となる。以下において、水位とは、凹部57aの底面を基準とする、ドレンパン57内のドレン水の水面の鉛直方向の高さ位置を意味する。ドレンパン57内にドレン水が貯留されていないとき、水位はゼロである。ドレンパン57内にドレン水が、ドレンパン57の上端57bの高さ位置まで貯留されているときの水位は、最大水位h0である。水位が最大水位h0の状態において、室内熱交換器50からドレンパン57にドレン水が落下すると、ドレンパン57からドレン水が漏れ出る。
【0034】
ドレンパン57内には、水位センサ58が配置される。水位センサ58は、主として、フロート58aと、支持部材58bとから構成される。フロート58aは、ドレン水に浮くことができる部材である。フロート58aは、ドレンパン57の水位の変化に応じて、上昇または下降する。支持部材58bは、フロート58aを支持する。室内制御部92は、フロート58aの高さ位置を検出することで、ドレンパン57の水位を取得する。
【0035】
(2-5)ドレンポンプ59
ドレンポンプ59は、ドレンパン57からドレン水を排出する。ドレンポンプ59は、吸水口59aと排水口59bとを有する。ドレンポンプ59は、ドレンパン57内のドレン水を、吸水口59aから吸入して、排水口59bから吐出する。
【0036】
吸水口59aは、ドレンポンプ59の上方から下方に向かって突出する部分の先端に位置する。吸水口59aは、ドレンパン57の凹部57a内に位置する。吸水口59aは、ドレンパン57の凹部57aの底面の上方、かつ、ドレンパン57の上端57bの下方に位置する。
【0037】
排水口59bは、ケーシング22の側板から突出する銅管の先端開口である。
図2および
図5に示されるように、排水口59bには、排水管60が接続される。排水管60は、天井裏空間80に設置される。排水管60は、ドレン水を、建物の外部あるいは建物の排水溝に流すための管である。
【0038】
ドレンポンプ59は、図示されないモータの駆動によって、ドレンパン57内のドレン水に圧力をかけてドレンパン57からドレン水を吸い上げて、排水管60へ送り出す。これにより、ドレンポンプ59は、ドレン水を室内機12の外部に排出する。室内制御部92は、ドレンポンプ59の運転を開始するタイミング、および、ドレンポンプ59の運転を停止するタイミングを制御する。
【0039】
(3)空気調和装置10の動作
(3-1)暖房運転
空気調和装置10が暖房運転を実行する場合、四路切換弁15は、
図1の破線で示される状態に切り換えられる。空気調和装置10の冷媒回路において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機20に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。圧縮機20から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁15、ガス側閉鎖弁18およびガス冷媒連絡管14を通じて、室内熱交換器50に送られる。室内熱交換器50に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器50において、室内空気と熱交換を行って凝縮して、高圧の液冷媒になる。これにより、室内空気が加熱される。室内熱交換器50で凝縮した液冷媒は、液冷媒連絡管13および液側閉鎖弁17を通じて、室外膨張弁41に送られる。室外膨張弁41に送られた冷媒は、室外膨張弁41によって冷凍サイクルの低圧まで減圧される。室外膨張弁41で減圧された低圧の冷媒は、室外熱交換器30に送られる。室外熱交換器30に送られた低圧の冷媒は、室外熱交換器30において、室外空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒となる。室外熱交換器30で蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁15およびアキュムレータ25を通じて、再び、圧縮機20に吸入される。
【0040】
(3-2)冷房運転
空気調和装置10が冷房運転を実行する場合、四路切換弁15は、
図1の実線で示される状態に切り換えられる。空気調和装置10の冷媒回路において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機20に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。圧縮機20から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁15を通じて、室外熱交換器30に送られる。室外熱交換器30に送られた高圧のガス冷媒は、室外熱交換器30において、室外空気と熱交換を行って凝縮して、高圧の液冷媒となる。室外熱交換器30で凝縮した液冷媒は、室外膨張弁41によって冷凍サイクルの低圧まで減圧される。室外膨張弁41で減圧された低圧の冷媒は、液側閉鎖弁17および液冷媒連絡管13を通じて、室内熱交換器50に送られる。室内熱交換器50に送られた冷媒は、室内熱交換器50において、室内空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒になる。これにより、室内空気は冷却される。室内熱交換器50で蒸発したガス冷媒は、ガス冷媒連絡管14、ガス側閉鎖弁18、四路切換弁15およびアキュムレータ25を通じて、再び、圧縮機20に吸入される。
【0041】
(4)室内機12の制御
室内制御部92は、空気調和装置10の冷房運転の実行時に、第1制御を行う。第1制御では、室内制御部92は、室内熱交換器50内の冷媒の蒸発温度が、室内空気の露点温度以下である第1条件が満たされる時に、ドレンポンプ59の運転を行う。第1制御では、室内制御部92は、室内熱交換器50内の冷媒の蒸発温度が、室内空気の露点温度よりも高い第2条件が満たされる時に、ドレンポンプ59の運転を行わない期間を有するようにドレンポンプ59を制御する。
【0042】
冷媒の蒸発温度が露点温度よりも高い場合、室内空気に含まれる水蒸気が凝縮して室内熱交換器50の表面に結露しにくい。冷媒の蒸発温度が露点温度以下の場合、室内空気に含まれる水蒸気が凝縮して室内熱交換器50の表面に結露しやすい。そのため、第2条件が満たされる時は、第1条件が満たされる時よりも、室内熱交換器50の表面で発生する結露水の量が少ない。従って、第2条件が満たされる時は、第1条件が満たされる時よりも、ドレンパン57内のドレン水の水位が上昇する速さが小さい。
【0043】
室内制御部92は、第1条件が満たされる時において、ドレンポンプ59が停止している場合にはドレンポンプ59の運転を開始させ、ドレンポンプ59が運転している場合にはドレンポンプ59の運転を継続させる。室内制御部92は、第2条件が満たされる時において、ドレンポンプ59が運転している場合には、後述する所定の条件に基づいて、ドレンポンプ59の運転を継続させるか、または、ドレンポンプ59の運転を停止させる。
【0044】
冷房運転の実行時における室内熱交換器50内の冷媒の蒸発温度は、蒸発温度サーミスタ51によって検出される。
図1に示されるように、蒸発温度サーミスタ51は、室内熱交換器50に取り付けられる。室内制御部92は、蒸発温度サーミスタ51から、室内熱交換器50内の冷媒の蒸発温度を取得する。
【0045】
室内空気の露点温度は、室内温度センサ52および室内湿度センサ53によって検出されるデータから算出される。
図1に示されるように、室内温度センサ52および室内湿度センサ53は、室内機12に取り付けられる。室内温度センサ52および室内湿度センサ53は、室内機12の吸込口36の近傍に取り付けられる。室内制御部92は、室内温度センサ52から、室内機12に吸入される室内空気の温度を取得する。室内制御部92は、室内湿度センサ53から、室内機12に吸入される室内空気の相対湿度を取得する。室内制御部92は、室内空気の温度および相対湿度から、室内空気の露点温度を算出する。
【0046】
次に、空気調和装置10の冷房運転の実行時における、室内制御部92によるドレンポンプ59の制御(第1制御)について
図6のフローチャートを参照しながら説明する。室内制御部92は、
図6に示される処理を所定の時間間隔で実行する。
【0047】
室内制御部92は、室内熱交換器50内の冷媒の蒸発温度と、室内空気の露点温度とを取得する(ステップS11)。室内制御部92は、冷媒の蒸発温度の検出値を蒸発温度サーミスタ51から取得する。室内制御部92は、室内空気の温度および相対湿度の検出値を室内温度センサ52および室内湿度センサ53からそれぞれ取得して、室内空気の露点温度を算出して取得する。
【0048】
次に、室内制御部92は、冷媒の蒸発温度が室内空気の露点温度以下であるか否かを判定する(ステップS12)。室内制御部92は、冷媒の蒸発温度が室内空気の露点温度以下であると判定した場合、ドレンポンプ59の運転を開始または継続させる制御を行う(ステップS13)。具体的には、室内制御部92は、ドレンポンプ59が運転している場合、ドレンポンプ59の運転を停止させずに継続させる。また、室内制御部92は、ドレンポンプ59が停止している場合、ドレンポンプ59の運転を開始させる。例えば、室内制御部92は、空気調和装置10の起動時に、冷媒の蒸発温度が室内空気の露点温度以下であると判定した場合、ドレンポンプ59の運転を直ちに開始させる。
【0049】
室内制御部92は、ステップS12において、冷媒の蒸発温度が室内空気の露点温度よりも高い判定した場合、ドレンポンプ59の運転を行わない期間を有するようにドレンポンプ59を制御する(ステップS14)。次に、ステップS14において、ドレンポンプ59が運転している場合に、室内制御部92が、ドレンポンプ59の運転を継続させるか、または、ドレンポンプ59の運転を停止させるかに関する条件である判定基準の具体例を2つ説明する。
【0050】
第1の判定基準では、
図7に示されるように、室内制御部92は、冷媒の蒸発温度が露点温度以下である状態から、冷媒の蒸発温度が露点温度よりも高い状態に移行した時点t1から所定の期間t2、ドレンポンプ59の運転を継続させる。その後、室内制御部92は、時点t1から所定の期間t2が経過した時点t3において、ドレンポンプ59の運転を停止させる。所定の期間t2は、例えば、1分~5分である。
【0051】
第2の判定基準では、室内制御部92は、蒸発温度サーミスタ51、室内温度センサ52および室内湿度センサ53の少なくとも1つの異常を検知した場合に、ドレンポンプ59の運転を継続させる。室内制御部92は、蒸発温度サーミスタ51、室内温度センサ52および室内湿度センサ53から、異常発生に関する信号を受信することで、異常を検知する。
【0052】
室内制御部92は、第1の判定基準および第2の判定基準の少なくとも1つに基づいて、ドレンポンプ59を制御する。室内制御部92は、第1の判定基準および第2の判定基準の両方を適用する場合、第1の判定基準に基づいてドレンポンプ59の運転を停止させることができる場合でも、ドレンポンプ59の運転を継続させる。言い換えると、第2の判定基準は、第1の判定基準に優先して適用される。
【0053】
(5)特徴
(5-1)
室内機12の室内制御部92は、空気調和装置10の冷房運転の実行時において、室内熱交換器50内の冷媒の蒸発温度、および、室内空気の露点温度に基づいて、ドレンポンプ59の制御方法を変更する。具体的には、室内制御部92は、冷媒の蒸発温度が露点温度よりも高く、ドレンパン57内のドレン水の水位が上昇する速さが小さい場合、所定の条件に基づいて、ドレンポンプ59の運転を継続させるか、または、ドレンポンプ59の運転を停止させる。これにより、ドレンポンプ59を常時運転させる場合と比較して、ドレンポンプ59の消費電力が抑制される。
【0054】
(5-2)
室内機12の室内制御部92は、第1の判定基準に基づいて、冷媒の蒸発温度が露点温度以下である状態から、冷媒の蒸発温度が露点温度よりも高い状態に移行した時点から、所定の期間が経過した後に、ドレンポンプ59の運転を停止させる。冷媒の蒸発温度が露点温度よりも高い状態に移行した時点では、ドレンパン57内にドレン水が溜まり続けてドレンパン57内のドレン水の水位が上昇する速さが大きい可能性がある。そのため、冷媒の蒸発温度が露点温度よりも高い状態に移行した時点でドレンポンプ59の運転を停止させると、ドレンパン57からドレン水があふれ出てドレン水が漏洩するおそれがある。
【0055】
そのため、第1の判定基準に基づいてドレンポンプ59を制御することで、ドレンパン57からドレン水があふれ出てドレン水が漏洩することが抑制される。
【0056】
(5-3)
室内機12の室内制御部92は、第2の判定基準に基づいて、蒸発温度サーミスタ51、室内温度センサ52および室内湿度センサ53の少なくとも1つの異常を検知した場合に、ドレンポンプ59の運転を継続させる。蒸発温度サーミスタ51、室内温度センサ52および室内湿度センサ53の少なくとも1つに異常が発生した場合、室内制御部92は、冷媒の蒸発温度および露点温度の少なくとも1つを正常に取得できない。この場合、室内制御部92は、実際には冷媒の蒸発温度が露点温度以下であるにも関わらず、冷媒の蒸発温度が露点温度よりも高いと誤って判定するおそれがある。この状態で、室内制御部92がドレンポンプ59の運転を停止させると、ドレンパン57からドレン水があふれ出てドレン水が漏洩するおそれがある。
【0057】
そのため、第2の判定基準に基づいてドレンポンプ59の運転を継続させることで、ドレンパン57からドレン水があふれ出てドレン水が漏洩することが抑制される。
【0058】
(5-4)
室内機12の室内制御部92は、室内熱交換器50内の冷媒の蒸発温度、および、室内空気の露点温度に基づいて、室内熱交換器50の表面に結露水が発生しやすいか否かを判定する。冷媒の蒸発温度は、蒸発温度サーミスタ51によって検出され、室内空気の露点温度は、室内温度センサ52および室内湿度センサ53によって検出される。蒸発温度サーミスタ51、室内温度センサ52および室内湿度センサ53は、従来の空気調和装置10においても使用されるセンサである。そのため、室内熱交換器50の表面に結露水が発生しやすいか否かを判定するために特別なセンサを用いる必要がないので、室内機12のコストが抑制される。
【0059】
(5-5)
ドレンポンプ59の消費電力が抑制されるので、空気調和装置10の運転に必要な電力が抑制される。
【0060】
<変形例>
(1)第1変形例
実施形態では、室内制御部92は、室内熱交換器50内の冷媒の蒸発温度が、室内空気の露点温度よりも高い場合、第2条件が満たされると判定する。
【0061】
しかし、室内制御部92は、冷媒の蒸発温度が室内空気の露点温度以下である場合に、冷媒の蒸発温度と、室内空気の露点温度との差が所定の値よりも小さい状態になった場合に、第2条件が満たされると判定してもよい。言い換えると、室内制御部92は、冷媒の蒸発温度が、室内空気の露点温度よりもわずかに低い場合でも、第2条件が満たされると判定してもよい。この場合、室内制御部92は、冷媒の蒸発温度Tcと、室内空気の露点温度Tdとが、Td-c<Tcの関係式を満たす場合、第2条件が満たされると判定する。定数cは、上述の所定の値であり、例えば、1℃または2℃である。冷媒の蒸発温度が、室内空気の露点温度よりもわずかに低い状態では、冷媒の蒸発温度が室内空気の露点温度よりも高い状態と同様に、室内熱交換器50の表面で発生する結露水の量が少ない場合がある。
【0062】
そのため、第2条件を上記のように定義して室内機12を制御することで、ドレンポンプ59の運転時間が低減されるので、ドレンポンプ59の消費電力が抑制される。
【0063】
本変形例では、第1の判定基準に関して、室内制御部92は、冷媒の蒸発温度Tcが室内空気の露点温度よりもわずかに低い温度Td-c以下である状態から、温度Td-cよりも高い状態に移行した時点から所定の期間、ドレンポンプ59の運転を継続させてもよい。その後、室内制御部92は、所定の期間が経過した時点において、ドレンポンプ59の運転を停止させる。
【0064】
(2)第2変形例
室内制御部92は、冷房運転の実行時に、空気調和装置の負荷に応じて、上述の第1制御を行うか行わないかを決定してもよい。例えば、室内制御部92は、第1状態において、第1制御を行わずにドレンポンプの運転を開始または継続させ、第2状態において、第1制御を行ってもよい。
【0065】
第1状態および第2状態は、空気調和装置10の起動後における空気調和装置10の状態を表す。第2状態は、第1状態よりも、冷房運転の実行時における空気調和装置10の負荷が小さい状態である。通常、圧縮機20、室外ファン35および室内ファン55の回転数が高いほど、または、室内空気の温度と室外空気の温度との差が大きいほど、空気調和装置10の負荷は大きくなる。
【0066】
室内制御部92は、空気調和装置10が第1状態の時に、ドレンポンプ59の運転を継続させる。室内制御部92は、空気調和装置10が第2状態の時に、実施形態の第1制御を行う。
【0067】
次に、空気調和装置10の冷房運転の実行時における、室内制御部92によるドレンポンプ59の制御について
図8のフローチャートを参照しながら説明する。室内制御部92は、
図8に示される処理を所定の時間間隔で実行する。
【0068】
室内制御部92は、空気調和装置10の状態が第1状態であるか、または、第2状態であるかを判定する(ステップS21)。室内制御部92は、圧縮機20、室外ファン35および室内ファン55の回転数、および、室内空気の温度と室外空気の温度との差などのパラメータに基づいて、空気調和装置10の状態を判定する。
【0069】
室内制御部92は、空気調和装置10が第1状態であると判定した場合、ドレンポンプ59の運転を開始または継続させる制御を行う(ステップS22)。具体的には、室内制御部92は、ドレンポンプ59が運転している状態で、空気調和装置10が第1状態であると判定した場合、ドレンポンプ59の運転を停止させずに継続させる。また、室内制御部92は、ドレンポンプ59が停止している状態で、空気調和装置10が第1状態であると判定した場合、ドレンポンプ59の運転を開始させる。例えば、室内制御部92は、空気調和装置10の起動時に空気調和装置10が第1状態であると判定した場合、ドレンポンプ59の運転を直ちに開始させる。
【0070】
室内制御部92は、ステップS21において、空気調和装置10が第2状態であると判定した場合、次に説明するように、実施形態のステップS11~S14と同じ処理(ステップS23~S26)を行う。
【0071】
室内制御部92は、室内熱交換器50内の冷媒の蒸発温度と、室内空気の露点温度とを取得する(ステップS23)。室内制御部92は、冷媒の蒸発温度の検出値を蒸発温度サーミスタ51から取得する。室内制御部92は、室内空気の温度および相対湿度の検出値を室内温度センサ52および室内湿度センサ53からそれぞれ取得して、室内空気の露点温度を算出する。
【0072】
次に、室内制御部92は、冷媒の蒸発温度が室内空気の露点温度以下であるか否かを判定する(ステップS24)。室内制御部92は、冷媒の蒸発温度が室内空気の露点温度以下であると判定した場合、ドレンポンプ59の運転を開始または継続させる制御を行う(ステップS25)。具体的には、室内制御部92は、ドレンポンプ59が運転している場合、ドレンポンプ59の運転を停止させずに継続させる。また、室内制御部92は、ドレンポンプ59が停止している場合、ドレンポンプ59の運転を開始させる。例えば、室内制御部92は、空気調和装置10の起動時に、冷媒の蒸発温度が室内空気の露点温度以下であると判定した場合、ドレンポンプ59の運転を直ちに開始させる。
【0073】
室内制御部92は、ステップS24において、冷媒の蒸発温度が室内空気の露点温度よりも高い判定した場合、ドレンポンプ59の運転を行わない期間を有するようにドレンポンプ59を制御する(ステップS26)。
【0074】
本変形例では、室内機12の室内制御部92は、空気調和装置10の冷房運転の実行時において、空気調和装置10の負荷が大きい場合、ドレンポンプ59を常時運転させる。空気調和装置10の負荷が大きい第1状態では、ドレンパン57内のドレン水の水位が上昇する速さが大きい。そのため、ドレンパン57の水位が急上昇することによるドレン水の漏洩が抑制される。
【0075】
一方、室内機12の室内制御部92は、空気調和装置10の冷房運転の実行時において、空気調和装置10の負荷が小さい場合、室内熱交換器50内の冷媒の蒸発温度、および、室内空気の露点温度に基づいて、ドレンポンプ59の制御方法を変更する。空気調和装置10の負荷が小さい第2状態では、ドレンパン57内のドレン水の水位が上昇する速さが小さい。この場合、室内制御部92は、所定の条件に基づいて、ドレンポンプ59の運転を継続させるか、または、ドレンポンプ59の運転を停止させる。これにより、ドレンポンプ59を常時運転させる場合と比較して、ドレンポンプ59の消費電力が抑制される。
【0076】
(3)第3変形例
実施形態の室内機12は、冷房および暖房の機能を有する空気調和装置10に用いられる。しかし、室内機12は、冷房専用の空気調和装置10に用いられてもよい。
【0077】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0078】
10 :空気調和装置
12 :室内機
50 :室内熱交換器(熱交換器)
51 :蒸発温度サーミスタ(第1センサ)
52 :室内温度センサ(第2センサ)
53 :室内湿度センサ(第2センサ)
57 :ドレンパン
59 :ドレンポンプ
92 :室内制御部(制御部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【手続補正書】
【提出日】2022-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を循環させることで冷房運転を実行可能な空気調和装置(10)に用いられる室内機であって、
冷媒と室内空気とを熱交換する熱交換器(50)と、
前記熱交換器で発生する水を受けるドレンパン(57)と、
前記ドレンパンから水を吸い上げるドレンポンプ(59)と、
制御部(92)と、
を備え、
前記制御部は、前記冷房運転の実行時に、
前記熱交換器内の冷媒の蒸発温度が、前記室内空気の露点温度以下の時に、前記ドレンポンプの運転を行い、
前記蒸発温度が前記露点温度よりも高い時に、前記ドレンポンプの運転を行わない期間を有するように前記ドレンポンプを制御する、
第1制御を行い、
前記制御部は、前記冷房運転の実行時に、前記蒸発温度が前記露点温度以下である状態から、前記蒸発温度が前記露点温度よりも高い状態に移行した時点から所定期間、前記ドレンポンプの運転を継続させ、その後、前記ドレンポンプの運転を停止させる、前記第1制御を行う、
室内機(12)。
【請求項2】
前記制御部は、前記冷房運転の実行時に、前記蒸発温度を取得するための第1センサ(51)、または、前記露点温度を取得するための第2センサ(52,53)の異常を検知した場合、前記ドレンポンプの運転を継続させる、
請求項1に記載の室内機。
【請求項3】
前記制御部は、前記冷房運転の実行時に、
第1状態において、前記ドレンポンプの運転を継続させ、
前記第1状態よりも、前記冷房運転の実行時における前記空気調和装置の負荷が小さい第2状態において、前記第1制御を行う、
請求項1又は2に記載の室内機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の室内機を備える、
空気調和装置。