(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173033
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】多層デザイン御朱印
(51)【国際特許分類】
B42D 15/00 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
B42D15/00 331Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021122006
(22)【出願日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】U 2021002317
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年4月8日以降、SNS、寺院受付、ウェブ等にて、案内・頒布
(71)【出願人】
【識別番号】521260592
【氏名又は名称】鈴木 かおる
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 かおる
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、御朱印に多層デザインを採り入れることにより、多様なデザインを取り入れることが可能な多層デザイン御朱印を提供することにある。
【解決手段】本発明にかかる多層デザイン御朱印は、図柄が描かれた透明デザインシートと、その図柄と形態的に又は観念的に関連する図柄が描かれ透明デザインシートの上面側又は下面側に重ねて配置されるデザインシートとを含み、透明デザインシート又は前記デザインシートの少なくとも一方には文字・印影を含み、これらを複数重ね合わせることにより構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図柄が描かれた透明デザインシートと、
前記図柄と、形態的に又は観念的に関連する図柄が描かれ、前記透明デザインシートの下面側に重ねて配置されるデザインシートとを含み、
前記透明デザインシート又は前記デザインシートの少なくとも一方は、文字又は印影を含み、
少なくとも一枚の前記透明デザインシートと、前記デザインシートとを複数重ね合わせてなる多層デザイン御朱印。
【請求項2】
前記図柄は、生花を分解して得たパーツを層状に再配置して得た押花を撮影した図柄である、
請求項1記載の多層デザイン御朱印。
【請求項3】
前記透明デザインシート及び前記デザインシートに描かれた図柄は、重ね合わせたときに、上面側の透明デザインシートの図柄と、上から透過して見える下面側のデザインシートの図柄とが合成され、形態的又は観念的な纏まりを持つ図柄である、
請求項1記載の多層デザイン御朱印。
【請求項4】
前記透明デザインシート及び前記デザインシートは、重ね合わせたときに、同一位置に配置される同一の文字又は印影を有する、
請求項1記載の多層デザイン御朱印。
【請求項5】
前記透明デザインシート及び前記デザインシートは、重ね合わせたときに、夫々異なる位置に参拝日が配置される、
請求項1記載の多層デザイン御朱印。
【請求項6】
前記透明デザインシート及び前記デザインシートは、重ね合わせたときに有意となる、異なる位置に配置されるお題目、経文、念仏等の文字の一部を夫々有する、
請求項1記載の多層デザイン御朱印。
【請求項7】
お題目、念仏又は経文等の文字を夫々有する複数の前記透明デザインシートを含み、複数の前記透明デザインシートを重ね合わせたときに、一つの前記透明デザインシート上の文字の一部は、他の前記透明デザインシート上の図柄及び文字と重複しない位置に配置される、
請求項1記載の多層デザイン御朱印。
【請求項8】
少なくとも一枚の主たる図柄が選択的に描かれた前記透明デザインシートと、背景となる図柄が選択的に描かれた前記デザインシートとを、組み合わせて提供される、
請求項1記載の多層デザイン御朱印。
【請求項9】
前記透明デザインシートに描かれた図柄は一方向に濃淡の調子が変化する図柄であり、前記透明デザインシートと組み合わせる前記デザインシートは、逆方向に濃淡の調子が変化する図柄であり、
前記淡い部分の図柄は、下面側のシートの濃い部分の図柄が透けて見える濃度である、
請求項1記載の多層デザイン御朱印。
【請求項10】
前記図柄は、龍頭の図柄と、お題目の文字で表した龍の身体の図柄と含む、
請求項1から請求項9のいずれかに記載の多層デザイン御朱印。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の階層を持つ図柄を含む多層デザイン御朱印に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寺院神社などでは、神仏のご加護を祈念して、参拝者に対して、御朱印帳にお題目・印影を記入押印した御朱印を提供している。寺院神社名に朱印を押印するものが主流であるが、近年、そのデザインが多様化しつつあり、御朱印用紙の右上又は中央部に、寺院神社名やお題目を書き、周辺部に絵画又はイラストのようなデザインを配置するものも頒布されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記態様の御朱印は、絵画又はイラスト等を併記したとしても、画一的なデザインになりがちである。本発明の目的は、御朱印に多層デザインを採り入れることにより、多様なデザインを取り入れることが可能な多層デザイン御朱印を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にかかる多層デザイン御朱印は、透明デザインシートと、透明デザインシート上の図柄、文字、印影を含み、図柄、文字、印影、のいずれかは、それ自体が多層構成、又は、複数の透明シートに多層に分散配置される構成、の多層デザインを採用する。
【0005】
多層デザインは、複数の透明デザインシートにそれぞれ部分的に対象物を印刷し、それらデザインシートを重ね合わせることにより統一的なデザインが完成するようにしてもよいし、複数層からなる対象物を予め重ね合わせて撮像して得た画像を印刷してもよい。勿論、御朱印に添えるデザインだけではなく、御朱印の文字・印影自体を複数シートに夫々分散して部分的に描き、シートを重ねることにより、お題目、念仏、経文等が完成するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、御朱印に多層デザインを採用することで、多様なデザインを取り入れることが可能な多層デザイン御朱印を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1の実施の形態の多層デザイン御朱印を示す図
【
図2】本発明の第1の実施の形態で使用される押花の分解図
【
図3】本発明の第1の実施の形態で使用される多層デザインの一例を示す図
【
図4】本発明の第2の実施の形態の多層デザイン御朱印を示す図
【
図5】本発明の第2の実施の形態の多層デザイン御朱印の変形例を示す図
【
図6】本発明の第2の実施の形態の多層デザイン御朱印の他の変形例を示す図
【
図7】本発明の第3の実施の形態の多層デザイン御朱印を示す図
【
図8】本発明の第3の実施の形態の多層デザイン御朱印を示す図
【
図9】本発明の第3の実施の形態の多層デザイン御朱印を示す図
【
図10】本発明の第3の実施の形態の多層デザイン御朱印の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1(a)(b)(c)は、本発明の第1の実施の形態の多層デザイン御朱印を示す図である。
図1(a)は完成状態の多層デザイン御朱印であり、
図1(b)(c)は、多層デザイン御朱印を構成構成するデザインシートの構成を示す図である。
【0009】
図1(a)に示すように、多層デザイン御朱印には、その中央部に桜の花が描かれており、右側には、お題目「南無妙法蓮華経」の文字が、左側下部には、御朱印の提供元を示す寺院の印影が、夫々配置されている。そして、背景部全域には、桜の花の画像デザインが配置される。
【0010】
図1(b)は、1枚目の透明デザインシートを示すものであり、中央部の画像デザインは、桜の花の押花を撮像した画像を印刷したものである。この押花は、生花のがく、花冠、雄しべ、雌しべ、茎、葉、等を夫々分解して乾燥させた後、お題目「南無妙法蓮華経」の文字の周辺に配置した時に、その配置とバランスがとれるように、がく、花冠、雄しべ、雌しべ、葉、茎、を層状に再配置したうえで固定し、その状態で撮像される。画像処理ソフトにより、撮像された背景部分を含む全体画像から層状に整列された花の部分をトリミングして層状の押花画像データを作成し、この画像を透明デザインシートに印刷する。桜の花の右側には、お題目「南無妙法蓮華経」の文字が記され、左下には寺院の印影が施されている。
【0011】
図1(c)は、2枚目のデザインシートを示すものであり、桜の花の右側には、お題目「南無妙法蓮華経」の文字が記され、左下には寺院の印章が記されている。この文字と印章とは、1枚目の透明シートと同一の位置に配置されており、2枚のデザインシートを重ね合わせたときに、夫々が重なり合うようになっている。1枚目の透明デザインシートは、桜、文字、印影以外の部分は透明であるため、下面側に配置されるデザインシートの図柄が上から透けて見え、上下二枚のデザインシートに描かれた図柄が合成されて、より審美性が向上する。
【0012】
図2は、本発明の第1の実施の形態で使用される押花の分解図であり、生花を各パーツに分解した状態を示している。これらのパーツ夫々を乾燥した後に組み合わせて全体デザインを考慮して再配置して
図1(b)の桜のデザインを得る。勿論、再配置の工程と乾燥工程とは、再配置の容易さを考慮しつつ、適宜変更可能である。
図1(b)の桜のデザインは、概ね全てのパーツを使用し、更に、桜の葉も加えたデザインとしたが、この多層デザイン画像は、デザイン上、必要な部分だけを用いた押花であってもよい。必要なパーツのみを用いることにより、不要なパーツを取り除いたり、花の一部を強調したり、通常見えにくい部分を表現したりできるため、すっきりとした所望のデザインを得ることができる。また、一旦、分解したパーツを、選択的に層状に配列するため、実物の押花にはないデザインの多様性が得られる。
【0013】
図3は、本発明の第1の実施の形態で使用される多層デザイン御朱印の一例を示す図である。がく、花冠、葉等を使用せず、桜の花弁のみを円形に配列した多層デザインである。分解した花弁を円形に、花弁相互が多層に重なるように配置して撮影する。生花を押花にして撮影するため、イラスト画では出せない質感が得られる。この場合、多層に重なる花弁が多ければ、配色やデザインをより多様化させることができる。多層デザインを作成する際に、パーツの一部のみを用いることにより、生花を用いた押花でありながらも、実写にはない多様なデザインを得ることができる。
【0014】
図4(a)(b)(c)は、本発明の第2の実施の形態の多層デザイン御朱印を示す図である。この第2の実施の形態の多層デザイン御朱印は、画像デザイン自体が複数のシートに跨って配置されている点が、第1の実施の形態のものと異なる。
図4(a)は、寺院名の日蓮寺の文字、その押印及びお題目「南無妙法蓮華経」の文字と共に、池に茂る蓮の葉の図柄が施された御朱印であり、参拝日として「令和三年五月五日」と記されている。次いで、
図4(b)は、
図4(a)と同様に、寺院名の日蓮寺、その押印とお題目「南無妙法蓮華経」の文字とが、
図4(a)の御朱印と同じ位置に記されており、蓮の花の図柄が透明シート上に施された御朱印であり、参拝日として「令和三年八月五日」と記されている。
図4(c)は、
図4(a)の蓮の葉の御朱印の上に、
図4(b)の蓮の花の透明デザインシートの御朱印を重ねて配置して、二つの図柄を合成したものである。
【0015】
このように、上面側に位置する透明デザインシートは、桜、文字、印影以外の部分は透明であるため、下面側に配置されるデザインシートの図柄が上から透けて見えることにより、二枚の図柄が合成されて一体的景観となることから、より審美性が向上する。尚、
図4(a)の蓮の花が咲いていない時期の蓮池と、組み合わせる蓮の花が咲いた時期の蓮池の図柄を用意する場合には、
図4(b)の蓮の花の背景に、薄く蓮の花の図柄を描くようにすれば、
図4(b)の蓮の花の御朱印に、より現実的な季節感を表現することができる。この場合も、
図4(b)の蓮の花の周囲、背景に蓮の葉が薄く描かれたデザインシートから透けて見える下面側に配置されるデザインシートの図柄が、
図4(a)の蓮池の図柄と合成されて一体的景観となる。
【0016】
図示するように、右側の日蓮寺と押印、及び、お題目「南無妙法蓮華経」の文字とは同じ位置で重なりあう一方、異なる日付である参拝日は、夫々異なる位置に配置されているため、二枚のデザインシートを重ねたときに、日付順に横に並んで配置されることとなる。蓮の花と葉とは、形態的に合成された状態で美しい景観となっている。
【0017】
このように、寺院名と御朱印、御主題等の基本表示を同一の位置に配置する一方で、景観の一部の図柄を複数のデザインシートに分散配置すると共に、参拝日を異なる位置に配置した複数枚の御朱印を重ね合わせることにより、それぞれの御朱印は、御朱印としての意味を持つと共に、それらを重ね合わせることにより、景観的、形態的に調和のとれた、より美しい景観が完成する。
【0018】
また、下面側の透明デザインシートに、背景として花又は雲の図柄を配置し、上面側透明デザインシートに、花や龍の図柄を配置するようにしてもよい。図柄自体、お題目の文字自体を複数の透明デザインシートに夫々分けて記載し、複数シートを重ね合わせることにより、図柄やお題目が完成するようするなど、夫々のシートに何を配置するかは適宜変更可能である。また、お題目「南無妙法蓮華経」の文字を夫々記した複数のデザインシートを組み合わせることも考えられる。例えば、「南無妙法蓮華経」のうち異なる文字を夫々強調したシートを重ね合わせることにより、全ての文字が強調されたお題目「南無妙法蓮華経」が完成する等である。
【0019】
また、「南無妙法蓮華経」の文字を夫々記した複数のデザインシートを重ねる際に、上面側のデザインシートの「南無」の文字と、下面側のデザインシートの「妙法蓮華経」文字とが連なって見えるような変形も可能である。また、お題目「南無妙法蓮華経」の文字を夫々記した複数のデザインシートを重ね合わせたときに、一つの前記透明デザインシート上の文字の一部は、他の前記透明デザインシート上の図柄・文字と重複しない位置に配置する変形も可能である。これらにより、図柄は合成されて纏まりをなす一方、文字はお題目として可読状態になる。
【0020】
更には、異なる透明デザインシートに描いた、龍頭の図柄と、南無妙法蓮華経の文字で構成した龍の身体とを組み合わせたり、龍頭の図柄と身体の文字とを同一シートに配置して、他の透明シートに雲等の背景を配置する変形も考えられる。
【0021】
図5は、本発明の第2の実施の形態の多層デザイン御朱印の変形例を示す図であり、4枚の透明デザインシートに四季の花々を描いた多層デザイン御朱印を示している。
図5(a)は、完成状態の多層デザイン御朱印である。
図5(b)は春の花である桜を、
図5(c)は、夏の花である向日葵を、
図5(d)は、秋の樹木である紅葉を、
図5(e)は、冬の花である椿を、夫々、お題目「南無妙法蓮華経」の文字の周囲の異なる位置に配置した状態を示している。これらを重ねると、
図5(a)のような四季の花々を描いた多層デザイン御朱印の図柄となる。このように、観念的に統一された複数の図柄を、複数枚の透明デザインシートを重ねたときに、デザイン的に纏まるように配置することにより、御朱印の多様化を図ることができる。
【0022】
前記透明デザインシートの前記図柄と、下面側に配置され上面側から透過して目視される前記デザインシート上の図柄とは、形態的に又は観念的に纏まりを持つ。形態的な纏まりとは、同種、異種の二つの図柄を合成することにより、相互補完的に全体として一体的に纏まった一つの景観・図柄になる場合を広く含む。観念的な纏まりとは、異なる二つの図柄を合成することにより、相互補完的に全体として一つの纏まった観念を表現する場合や、同一の観念を想起する同種の図柄を組み合わせる場合を広く含む。但し、いずれの場合も、上面側の透明デザインシートの図柄と、上から透過して見える下面側の図柄とが合成して得られる図柄である。
【0023】
図6(a)(b)(c)は、本発明の第2の実施の形態の多層デザイン御朱印の他の変形例を示す図である。
図6(a)は、桜の花、雄蕊、雌蕊等を分解して再配置して押し花にしたものを拡大してマクロ撮影した画像である。同様に、
図6(b)も、桜の花の花弁を分解して再配置したものであるが、
図6(a)とは異なり、花びらだけをサークル上に配置したうえで一定の距離を隔てて撮影したものである。両者は、双方とも桜の花びらの実写でありながらも、使用するパーツ、配置、縮尺率等が異なる。二枚の御朱印は、右側の日蓮寺と押印、及び、お題目「南無妙法蓮華経」の文字とは同じ位置で重なりあう一方、異なる日付である参拝日は、異なる位置に記されている。
図6(c)は、これら異なる二つの画像を重ね合わせた、御朱印・御主題の完成形である。図示するように、二つの異なる桜の画像は、合成されることにより、実写の組み合わせでありながら、通常目にすることができない、非常にデザイン性の高い図柄となっているため、御朱印・御主題として好適である。この変形例は、複数枚の異なるシートに配置した、使用するパーツ、配置、縮尺率等が異なる実写の画像を重ね合わせることにより、初めて得られるデザインである。
【0024】
図7、
図8、
図9は、本発明の第3の実施の形態の多層デザイン御朱印を示す図である。
図7は、主たる図柄を中央部に配し、透明シートで構成した御朱印である。
図7(a)に示す図柄は、既述のように、花弁を分解して再配置した押花をマクロ撮影したものを図柄として採用した。
図7(b)、
図7(c)は、仏教に所縁のある仏像や龍などを主たる図柄としたものであるが、主たる図柄として、用いる図柄は何でもよく、そうすることにより、御朱印を多様化することができる。
【0025】
図8(a)(b)(c)は、
図7に示した主たる図柄と組み合わせる背景図を示している。これらは、
図7(a)(b)(c)の透明シートに描かれた図柄の背景として組み合わせて用いる、背景シートである。上述実施の形態と同様に、上面側に位置する透明デザインシートは、主たる図柄、文字、印影以外の部分は透明であるため、下面側に配置されるデザインシートの図柄が上から透けて見えることにより、二枚の図柄が合成されて一体的景観となることから、より審美性が向上する。下面側に配置される背景シートは、二枚のデザインシートにより図柄を完成させる場合は透明である必要はないが、透明シートにすることにより、更に、異なる図柄を描いた三枚目のシートと組み合わせることもできる。これら背景としての図柄は、雲、空、星、花、海、動物など自然を体現する図柄や色など、観念的に仏教、神仏に関連のあるものが望ましいが、そうでなくとも、上面側に配置される透明デザインシートの図柄と、形態的・観念的に纏まりがあればよい。
【0026】
図9(a)(b)(c)は、
図7の主たる図柄を、
図8の背景シートの上に配置した御朱印の完成形を示している。図示するように、複数の主たる図柄と複数の背景シートの中から、参拝者の好みにより選択された組み合わせの合成御朱印が提供される。主たる図柄と背景図柄との双方を複数用意して選択的に組み合わせることにより、御朱印の図柄をより多様化させることができる。主たる図柄を描いた御朱印シートは、組み合わせる図柄の配置を異なる位置にすると共に、参拝日を記す位置を相互に重ならないようにすることにより、複数の透明シートを組み合わせることもできる。
【0027】
図10(a)(b)(c)(d)は、本発明の第3の実施の形態の多層デザイン御朱印の他の変形例を示す図であり、二枚の御朱印を重ねることにより、御朱印が完成するものである。
図10(a)(b)は、夫々異なる日に参拝して授かった御朱印を示している。
図10(a)は、滝と鯉との図柄であり、上部の滝の部分が薄く、下部の鯉の部分が濃く描かれており、上下方向にグラデーションがかかった透明シートである。一方、
図10(b)は、滝と龍との図柄であり、上部の龍の部分が濃く、下部の滝の部分が薄く描かれており、上下方向に
図10(a)と逆方向のグラデーションがかかった透明シートである。また、お題目「南無妙法蓮華経」と寺院名と印章とは二枚とも同じ位置に記されているが、参拝日は相互に横方向にずれた位置に配置されている。
【0028】
図10(c)(d)は、上記
図10(a)(b)の二枚の御朱印を重ねたものである。
図10(c)は、
図10(a)の鯉の透明シートを手前に、
図10(b)の龍のシートを奥にして、重ねたものである。図示するように、下部の鯉は鮮明に見えるが、上部の龍はグラテーションがかかった滝の背後に薄くぼんやりした状態で現れる。一方、
図10(d)は、
図10(b)の龍の透明シートを手前(上)に、
図10(a)の鯉のシートを奥(下)にして、重ねたものである。図示するように、上部の龍は鮮明に見えるが、下部の鯉はグラテーションがかかった滝の背後に薄くぼんやりした状態で現れる。この場合、下面側に位置する図柄のデザインが、上から透けて見えるような、適度な濃淡の差がてるように図柄の濃度調整を行うとよい。
【0029】
このように、双方異なる図柄を描いた御朱印シートの図柄を、夫々主たる図柄部分を濃く描き、従たる図柄部分を薄く描いた透明デザインシートを重ね合わせることにより、ご朱印を多様化することができる。好み等に応じていずれが上面であってもよい。この場合も、既述のように、参拝日を異なる位置に記すことにより、夫々の御朱印一枚でも御朱印としての意味を持ち、重ねて合成してもデザイン的に意味があり、更に、重ねる場合にいずれを手前に配置するかにより、異なるデザインが得られるため、御朱印の多様化という点でより好ましい。
【0030】
本発明は、以下の態様を含みうる。
透明シートと、前記透明シートに印刷された、文字及び印影を含む御朱印と、前記透明シートに印刷された、複数層からなる画像デザインと、を含む多層デザイン御朱印。
また、以下のようでもよい。
前記画像デザインは、生花を押花にして撮像して得た画像で構成される、多層デザイン御朱印。
また、以下のようでもよい。
前記画像デザインは、生花を分解して得たパーツを層状に再配置して得た押花を撮像して得た画像で構成される、多層デザイン御朱印。
また、以下のようでもよい。
前記画像デザインは、複数の前記透明シートに夫々配置され、複数の前記透明シートを重ね合わせることにより完成する画像で構成される、多層デザイン御朱印。
また、以下のようでもよい。
複数の前記透明シートを重ね合わせることにより完成する前記画像は、形態又は外観が一つの纏まりをなす場合と、観念的に一つの纏まりをなす場合とを含む、多層デザイン御朱印。
また、以下のようでもよい。
前記御朱印は、複数の前記透明シートに夫々配置され、複数の前記透明シートを重ね合わせることにより完成する文字及び印影で構成される、多層デザイン御朱印。
また、以下のようでもよい。
複数の前記透明シートを重ね合わせることにより完成する前記文字及び印影は、形態又は外観が一つの纏まりをなす場合と、観念的に一つの纏まりをなす場合とを含む、多層デザイン御朱印。図柄だけでなく文字や印影を、複数シートを組み合わせて構成するようにしてもよい。
また、以下のようでもよい。
画像デザインは、龍頭の図柄と、お題目の文字で表した龍の身体の図柄と含む、請求項1から請求項7のいずれかに記載の多層デザイン御朱印。
【産業上の利用可能性】
本発明は、寺院神社が配布する御朱印として利用可能であるが、多層透明シートの図柄、背景画等を適宜組み合わせたパーツを一部に備える仏具や、一般装飾品としても利用できる。