(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173036
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ドリルの再製造方法
(51)【国際特許分類】
B23P 15/32 20060101AFI20221110BHJP
B24B 3/24 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
B23P15/32
B24B3/24
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021148244
(22)【出願日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】110116642
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】315018853
【氏名又は名称】創國興業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陶嘉莉
(72)【発明者】
【氏名】簡松豪
(72)【発明者】
【氏名】趙莉怡
(72)【発明者】
【氏名】孫乘光
(72)【発明者】
【氏名】李振稼
(72)【発明者】
【氏名】趙銘元
【テーマコード(参考)】
3C158
【Fターム(参考)】
3C158AA03
3C158AA19
3C158CA01
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB05
3C158CB10
3C158DB00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ドリルを再製造する方法を提供する。
【解決手段】摩耗領域を備えたドリルを提供するステップと、マシニングホイールが摩耗領域と位置合わせていることを確認するステップと、ドリルの摩耗領域を研削するように、位置合わせされたマシニングホイールによって、らせん状側刃又は第1の切りくず排出溝に沿って、ドリルに対して切削操作を実行するステップと、を含む。ドリルのブレードセクションの最先端にはドリルチップが配置されており、ドリルチップの両側では、シャンクセクションに向かって第1の切削刃面および第2の切削刃面が形成され、第1の切削刃面の第1の外周辺および第2の切削刃面の第2の外周辺は、それぞれ、シャンクセクションに向かってらせん状に伸び、2つのらせん状側刃、第1の切りくず排出溝および第2の切りくず排出溝を形成し、第1の切削刃面は第1の切削辺を有し、第1の切削辺と第1の外周辺は摩耗領域を形成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリルの再製造方法であって、
前記ドリルは、シャンクセクションとブレードセクションを含み、
前記ブレードセクションは前記シャンクセクションの一端に配置されており、前記ブレードセクションの最先端にはドリルチップが配置されており、前記ドリルチップの断面半径はコアの厚さとして定義され、前記ドリルチップの両側では、シャンクセクションに向かって第1の切削刃面および第2の切削刃面が斜めに形成されており、前記第1の切削刃面の第1の外周辺および前記第2の切削刃面の第2の外周辺は、それぞれ、前記ブレードセクションの外径に沿って前記シャンクセクションに向かって延在し、らせん状に伸びて、2つのらせん状側刃、第1の切りくず排出溝および第2の切りくず排出溝を形成しており、前記第1の切削刃面は第1の切削辺を有し、前記第1の切削辺と前記第1の外周辺は摩耗領域を定義しており、
前記方法は、
前記摩耗領域を備えたドリルを提供するステップと、
前記ドリルチップの中心をマシニングホイールの中心に位置合わせすること、および前記第1の外周辺を前記マシニングホイールの刃先に位置合わせすることを含む、前記マシニングホイールが前記摩耗領域と位置合わせされていることを確認するステップと、
前記ドリルの前記摩耗領域を研削して、前記ドリルの切削力を回復させるように、位置合わせされた前記マシニングホイールによって、前記らせん状側刃又は前記第1の切りくず排出溝に沿って、前記ドリルに対して切削操作を実行するステップと、
を含む、ドリルの再製造方法。
【請求項2】
前記摩耗領域は、
前記第1の切削辺と前記第1の外周辺との接合部に位置する主摩耗部分と、
前記第1の切削辺に位置して前記第1の切りくず排出溝の壁まで伸びた第1の副摩耗部分と、
前記第1の外周辺まで延びた前記主摩耗部分の一部である第2の副摩耗部分と、
を含む、請求項1に記載のドリルの再製造方法。
【請求項3】
前記マシニングホイールは、前記第1の切りくず排出溝に沿って前記ドリルに対して切削操作を実行するように、前記第1の副摩耗部分と位置合わせされる、請求項2に記載のドリルの再製造方法。
【請求項4】
前記マシニングホイールは、前記第1の切りくず排出溝に沿って前記ドリルに対して切削操作を実行するように、前記第1の切削辺および前記第1の副摩耗部分と位置合わせされる、請求項2又は3に記載のドリルの再製造方法。
【請求項5】
前記マシニングホイールは、前記らせん状側刃に沿って前記ドリルに対して切削操作を実行するように、前記第2の副摩耗部分と位置合わせされる、請求項2から4のいずれか一項に記載のドリルの再製造方法。
【請求項6】
前記マシニングホイールは、前記第1の切りくず排出溝および前記らせん状側刃に沿って前記ドリルに対して切削操作を実行するように、前記第1の副摩耗部分および前記第2の副摩耗部分とそれぞれ位置合わせされる、請求項2から5のいずれか一項に記載のドリルの再製造方法。
【請求項7】
前記マシニングホイールにより前記らせん状側刃に沿って前記シャンクセクションへの切削長さは、0.2~12.0mmである、請求項1に記載のドリルの再製造方法。
【請求項8】
前記マシニングホイールにより前記第1の切りくず排出溝に沿って前記シャンクセクションへの切削長さは、0.2~12.0mmである、請求項1に記載のドリルの再製造方法。
【請求項9】
前記ドリルチップの中心をマシニングホイールの中心に位置合わせするステップは、式1を計算して深さの所定値を取得することを含み、
式1:(マシニングホイールの半径+ドリルのコアの厚さ)-マシニングホイールの中心からドリルの中心までの距離である、請求項1に記載のドリルの再製造方法。
【請求項10】
前記第1の外周辺を前記マシニングホイールの刃先に位置合わせするステップは、前記ドリルの前記第1の外周辺における前記第1の切削辺から離れたエンドポイントから前記マシニングホイールの刃先までの距離を計算して角度の所定値を取得することを含む、請求項1に記載のドリルの再製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリルの製造方法に関し、特に摩耗領域を備えたドリルを再製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板の製造工程では、穴あけ加工にマイクロドリル(micro drill)がよく使用されている。これらのマイクロドリルは、使用中に徐々に摩耗し、十分な穴あけの切削力や切りくず除去能力を失うことがあるので、交換する必要がある。このため、プリント回路基板の製造コストが高くなる。まだ、業界ではドリルの精度と品質に対する要求がますます高まっているため、ごく一部のみが摩耗したドリルも交換する必要がある。これは無駄を引き起こす。一方、ドリルの製造工程では、仕様が基準を超過した製品が製造される場合がある。重度な基準超過製品または廃棄すべきドリルと比べて、軽度な基準超過製品(つまり、仕様がわずかに基準を超過したもの)は、無駄が減少するように処理により再利用すべきである。これに鑑みて、本発明は、摩耗領域を備えたドリルを再製造する方法を提供する。ドリルは、元の切削および切りくず除去能力に復元されて、ドリルプロセスで再利用できるようになり、製造コストが削減され、材料の無駄が減少する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の課題を解決するために、本発明の目的は、ドリルを再製造する方法を提供することである。摩耗領域を備えたドリルを再処理して、ドリルの元の切削および切りくず除去能力を回復させて、製造コストを削減し、無駄が減少する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、ドリルの再製造方法を提供する。以下のステップを含む:最初に摩耗領域を備えたドリルを提供する。このドリルは、シャンクセクションとブレードセクションを含む。ブレードセクションは、シャンクセクションの一端に配置されており、ブレードセクションの最先端にはドリルチップが配置されており、ドリルチップの断面半径はコアの厚さとして定義される。ドリルチップの両側では、シャンクセクションに向かって第1の切削刃面および第2の切削刃面が斜めに形成されており、第1の切削刃面の第1の外周辺および第2の切削刃面の第2の外周辺は、それぞれ、ブレードセクションの外径に沿ってシャンクセクションに向かって延在し、らせん状に伸びて、2つのらせん状側刃、第1の切りくず排出溝および第2の切りくず排出溝を形成しており、第1の切削刃面は第1の切削辺を有し、第1の切削辺と第1の外周辺は摩耗領域を形成している。次に、マシニングホイールが摩耗領域と位置合わせていることを確認する。ドリルチップの中心をマシニングホイールの中心に位置合わせすること、および第1の外周辺をマシニングホイールの刃先に位置合わせすることを含む。その後、ドリルの摩耗領域を研削して、ドリルの切削力を回復させるように、位置合わせされたマシニングホイールによって、らせん状側刃又は第1の切りくず排出溝に沿って、ドリルに対して切削操作を実行する。
【0005】
好ましくは、摩耗領域は、第1の切削辺と第1の外周辺との接合部に位置する主摩耗部分と、第1の切削辺に位置して第1の切りくず排出溝の壁まで伸びた第1の副摩耗部分と、第1の外周辺まで延びた主摩耗部分の一部である第2の副摩耗部分と、を含んでよい。
【0006】
好ましくは、マシニングホイールは、第1の切りくず排出溝に沿ってドリルに対して切削操作を実行するように、第1の副摩耗部分と位置合わせてよい。
【0007】
好ましくは、マシニングホイールは、第1の切りくず排出溝に沿ってドリルに対して切削操作を実行するように、第1の切削辺および第1の副摩耗部分と位置合わせてよい。
【0008】
好ましくは、マシニングホイールは、らせん状側刃に沿ってドリルに対して切削操作を実行するように、第2の副摩耗部分と位置合わせてよい。
【0009】
好ましくは、マシニングホイールは、第1の切りくず排出溝およびらせん状側刃に沿ってドリルに対して切削操作を実行するように、第1の副摩耗部分および第2の副摩耗部分と位置合わせてよい。
【0010】
好ましくは、マシニングホイールによりらせん状側刃に沿ってシャンクセクションへの切削長さは、0.2~12.0mmであってよい。
【0011】
好ましくは、マシニングホイールにより第1の切りくず排出溝に沿ってシャンクセクションへの切削長さは、0.2~12.0mmであってよい。
【0012】
好ましくは、ドリルチップの中心をマシニングホイールの中心に位置合わせするステップは、式1を計算して深さの所定値を取得することを含んでよい:式1:(マシニングホイールの半径+ドリルのコアの厚さ)-マシニングホイールの中心からドリルの中心までの距離。
【0013】
好ましくは、第1の外周辺をマシニングホイールの刃先に位置合わせするステップは、ドリルの第1の外周辺における第1の切削辺から離れたエンドポイントからマシニングホイールの刃先までの距離を計算して角度の所定値を取得することを含んでよい。
【0014】
以下、本発明の目的、技術的内容、特徴および効果を理解しやすくするために、特定の実施形態および図面とともに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るドリルの再製造方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施形態に係るドリルの構造の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るドリルの構造の端面の上面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る摩耗領域を表示するドリル構造の端面の上面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るマシニングホイールがドリルと位置合わせされる概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るマシニングホイールが切断操作を実行する概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るマシニングホイールがドリルと位置合わせされる概略図である。
【
図9】本発明の別の実施形態に係るマシニングホイールがドリルと位置合わせされる概略図である。
【
図10】本発明の別の実施形態に係るマシニングホイールがドリルと位置合わせされる概略図である。
【
図11】本発明の別の実施形態に係るマシニングホイールがドリルと位置合わせされる概略図である。
【
図12】本発明の別の実施形態に係るマシニングホイールがドリルと位置合わせされる概略図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るドリルの処理長さの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態について詳細に説明し、図面と共に例示する。これらの詳細な説明に加えて、本発明は他の実施形態でも広く実施することができる。上記実施形態への任意の容易な置換、修正、および同等の変更は、すべて本発明の範囲に含まれ、特許出願の範囲に従う。本明細書の説明では、読者が本発明をより完全に理解できるようにするために、多くの特定の詳細が提供されている。しかし、本発明は、特定の詳細の一部または全部を省略することを前提として実施することもできる。さらに、本発明に対する不必要な制限を回避するために、周知のステップまたは要素は詳細に説明されていない。図面内の同じまたは類似の要素は、同じまたは類似の符号で表されている。図面は説明のみを目的としており、要素の実際のサイズや数量を表すものではないことに注意すべきである。図面を簡潔にするために、一部の詳細が完全に描かれていない場合がある。
【0017】
本発明は、ドリルを再製造する方法を提供する。
図1のステップS11を参照して、最初に、摩耗領域を備えたドリルを提供する。なお、本発明の趣旨は、使用後に摩耗したドリルを再製造することによって、可能な限り切削能力を回復させて、ドリルを再び穴あけ作業に適用できるようにすることである。ドリルの切削能力の回復に関する評価については、後で説明する。ここで、
図2から4を参照して、使用されるドリル100は、シャンクセクション12およびブレードセクション14を含んでよい。その中で、ブレードセクション14は、シャンクセクション12の一端に配置されており、ブレードセクション14の最先端には、ドリルチップ16が配置されている。ドリルチップ16の断面半径は、
図3に示すように、コアの厚さTとして定義される。第1の切削刃面20および第2の切削刃面30は、ドリルチップ16の両側でシャンクセクション12に向かって斜めに形成されている。第1の切削刃面20の第1の外周辺21および第2の切削刃面30の第2の外周辺31は、それぞれ、ブレードセクション14の外径に沿ってシャンクセクション12に向かって延在し、らせん状に伸びて、2つのらせん状側刃40、第1の切りくず排出溝41および第2の切りくず排出溝42を形成する。
【0018】
一実施形態では、第1の切削刃面20は、第1の主要刃面201および第1の補助刃面202を含んでよい。第1の主要刃面201は、第1のエッジ203で第1の補助刃面202と接続される。
図3に示すように、第2の切削刃面30は、第2の主要刃面301および第2の補助刃面302を含んでよい。第2の主要刃面301は、第2のエッジ303で第2の補助刃面302と接続される。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明に係る再製造方法は、両面ドリル(図示せず)または非対称な刃面を有する他のドリル(図示せず)にも適用できる。
【0019】
図4を参照して、ドリルを使用した穴あけのプロセスでは、一般的に、第1の切削辺22と第1の外周辺21との接合部は、穴の壁に接触して力を加える主な部分であるため、これらの位置は、ドリルの使用後に摩耗しやすい部分となる。本発明では、穴あけ後でドリルが摩耗した領域を摩耗領域50とし、摩耗領域50は、第1の切削辺22および第1の外周辺21により形成された壁面および刃面によって定義することができる。一実施形態では、摩耗領域50は、第1の切削辺22と第1の外周辺21との接続刃面に位置する主摩耗領域51と、第1の切削辺22に位置して第1の切りくず排出溝41の壁面まで延在する第1の副摩耗領域52と、第1の外周辺21まで延びた主摩耗部分51の一部である第2の副摩耗部品53と、を含む。
【0020】
図4では、破線は摩耗前のドリルのプロファイルを示し、実線は摩耗後のドリルのプロファイルを示している。
図4は主摩耗領域51、第1の副摩耗領域52、第2の副摩耗領域53はすべて完全に摩耗していることを示す概略図であることに留意されたい。これは、説明の便宜上の例示的な図面に過ぎず、本発明はこれに限定されない。摩耗領域50における主摩耗領域51、第1の副摩耗領域52、第2の副摩耗領域53のうちの少なくとも1つが摩耗状態を有する限り、本発明に係る方法でドリルを再製造することができる。
【0021】
本文で定義されている「摩耗」は、使用後のドリルの摩耗や損傷だけでなく、刃面の仕様が所定の基準を超過した基準超過製品も含むことに注意されたい。つまり、本発明に係るドリルの再製造方法は、使用後に摩耗したドリルのみへの適用に限定されず、ドリルの製造プロセスにおける基準超過製品の処理および再利用にも適用することができる。詳細には、基準超過製品は、
図4に示す摩耗領域50で基準を超過したものである。例えば、長さ、厚さ、または角度が予定の仕様を超過したものはすべて、本発明に係る方法の適用可能範囲に属する。
【0022】
次に、
図5を再度参照して、マシニングホイール200が摩耗領域50と位置合わせされることを確認する(
図1のステップS13)。詳細には、マシニングホイール200がドリルの摩耗領域50と位置合わせされることを確認するステップにおける位置合わせは、以下を含む3つの方向で実行されなければならない:1.ドリルチップの中心に対するマシニングホイールの中心の深さ方向;2.ドリルの外周辺に対するマシニングホイールの刃先の角度方向;3.ドリルのブレードセクションに対するマシニングホイールの加工長度方向。
図5を参照して、ここで、深さ方向で位置合わせするステップは、マシニングホイールとドリルとの重なり合う深さが式1の計算によって得られた深さの所定値を満たすかどうかを確認することである:
式1:(マシニングホイールの半径+ドリルのコアの厚さ)-マシニングホイールの中心からドリルの中心までの距離
【0023】
角度方向で位置合わせするステップは、マシニングホイールがドリルを切削する角度が角度の所定値を満たすかどうかを確認することである。角度の所定値は、ドリルの第1の外周辺21における第1の切削辺22から離れたエンドポイント212からマシニングホイールの刃先までの距離を計算することによって取得されたものである。また、加工長度方向で位置合わせするステップは、マシニングホイール200がドリルのドリルチップ16からシャンクセクション12に向かって切削する長さの所定値を確認することである。センサ300を用いて、深さの所定値、角度の所定値、および長さの所定値を確認することによって、マシニングホイール200をドリル100と位置合わせする。なお、深さの所定値、角度の所定値、および長さの所定値は、需要、ドリルのサイズ、ドリルの摩耗の程度、またはドリルが基準を超過した程度などのいろいろな考慮要因に応じて異なる範囲を有することができる。例えば、深さの所定値は、0.01~3.00mmであってよく、角度の所定値は、0~360度であってよく、長さの所定値は、0.5~12.0mmであってよい。
【0024】
本発明の実施形態では、センサ300を使用して、上記述べた深さの所定値、角度の所定値、および長さの所定値を検出することによって、マシニングホイール200がドリルの摩耗領域50と位置合わせされるかどうかを確認して、位置合わせ操作を実行することに留意されたい。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、他の方法を使用してマシニングホイールをドリルと位置合わせすることもできる。例えば、画像取得手段などを使用して位置合わせ操作を実行することができる。
【0025】
次に、ドリルの摩耗領域を研削して、ドリルの切削力を回復させるために、位置合わせされたマシニングホイール200を使用して、らせん状側刃40、第1の切りくず排出溝41、または第2の切りくず排出溝42に沿って、ドリルに対して切削操作を実行する(
図1のステップS15)。実際には、ドリルの切削力は、穴あけ作業後に穴内の穴壁の粗さ(Roughness)を測定することによって評価される。一般的に、穴壁の粗さが小さいほど、ドリルの切削力が高くなる。使用されたことのないドリルで穴あけした穴壁の粗さは、使用されたことのあるドリルで穴あけした穴壁よりも小さい。
【0026】
図7を参照する。
図7の(A-1)は、使用されたことのないドリルで穴あけした穴壁の粗さを示す。たとえば、粗さは5~10μmである。穴あけの回数が増えると、穴あけした穴の粗さも大きくなる。穴壁の粗さが閾値を超える場合、ドリルの切削力が弱すぎて使用できなくなったと判明できる。一般的に言えば、粗さの閾値は、需要に応じた範囲値であってもよい。10~25μmであり、好ましくは、25μmであってよい。
図7の(A-2)は、使用されたことのあるドリルで穴あけした穴壁の粗さを示す(閾値を超えない)。たとえば、粗さは15~20μmであってよい。本発明に係るドリルの再製造方法で再製造された後、穴あけした穴壁の粗さは、
図7の(B)まで大幅に低減することができる。例えば、粗さは、10~15μmとなる。よって、ドリルの切削力が回復されて、ドリルの寿命を延ばす効果を実現する。
【0027】
本発明の一実施形態では、
図5に示すように、マシニングホイール200は、第1の切りくず溝41に沿ってドリルに対して切削操作を実行するように、第1の副摩耗部分52のみと位置を合わせることができる。但し、本発明はこれに限定されるものではない。マシニングホイール200は、切削操作を実行するように、第1の副摩耗部分52と完全にまたは部分的に位置を合わせてよい。例えば、
図8に示すように、マシニングホイールは、形状が第1の副摩耗部分52と完全に同じではなくてもよいので、切断操作を実行するように、第1の副摩耗部分52以外の領域60をカバーしてもよい。別の例として、
図9に示すように、マシニングホイールは、切断操作を実行するように、第1の副摩耗部分52以外の領域61をカバーするために、第1の副摩耗部分52および第1の切削辺22と位置を合わせることができる。
【0028】
本発明の別の実施形態では、
図10に示すように、マシニングホイール200は、らせん状側刃40に沿ってドリルに対して切削操作を実行するように、第2の副摩耗部分53と位置を合わせることができる。本発明の別の実施形態では、
図11に示すように、マシニングホイール200は、第1の切りくず溝41及びらせん状側刃40に沿ってドリルに対して切削操作を実行するように、第1の副摩耗部分52および第2の副摩耗部分53と位置を合わせることができる。本発明の別の実施形態では、
図12に示すように、マシニングホイール200は、第1の切りくず溝41及びらせん状側刃40に沿ってドリルに対して切削操作を実行するように、第1の外周辺21の全体および第1の切削辺22の全体と位置を合わせることができる。実際には、切りくず排出溝とらせん状側刃の一方だけが摩耗している場合、その一方だけを処理してもよい。また、図面には示されていないが、マシニングホイールは、需要に応じて様々な形状を有してもよい。ドリルの摩耗状態を分析することに基づいて、最短の処理経路という改善を達成するように、切削の開始点を判明することができる。
【0029】
そのうち、一実施形態では、マシニングホイールによりらせん状側刃40または第1の切りくず溝41に沿ってシャンクセクションへの切削長さは、0.2~12.0mmである。詳細には、
図13に示すように、長さAは、ドリルチップ16からシャンクセクション12へ延びる切削長さである。
【0030】
本発明により提供されるドリルの再製造方法によれば、マシニングホイールをドリルにおける第1の副摩耗部分、第2の副摩耗部分、第1の切削辺、またはそれらの組み合わせと位置合わせして切削操作を実行することによって、摩耗したドリルを再処理して元の切削力と切りくず除去能力を回復させ、または、製造プロセス中に仕様が基準を超過したドリルを再処理して予定の仕様を満たすようにすることができる。そうすると、穴あけ作業に再適用し、製造コストを削減し、材料の無駄を回避できる。
【0031】
上記の実施形態は、本発明の技術的アイデアおよび特徴を説明するためだけのものであり、その目的は、当技術分野に精通している人々が本発明の内容を理解し、それに従って実施できるようにすることである。本発明の特許範囲を制限するものではない。すなわち、本発明に開示の趣旨に従って行われるすべての等しい変更または修正は、依然として本発明の特許範囲内に属すべきである
【符号の説明】
【0032】
S11~S15 ステップ
12 シャンクセクション
14 ブレードセクション
16 ドリルチップ
20 第1の切削刃面
21 第1の外周辺
22 第1の切削辺
201 第1の主要刃面
202 第1の補助刃面
203 第1のエッジ
30 第2の切削刃面
301 第2の主要刃面
302 第2の補助刃面
303 第2のエッジ
40 らせん状側刃
41 第1の切りくず排出溝
42 第2の切りくず排出溝
50 摩耗領域
51 主摩耗領域
52 第1の副摩耗領域
53 第2の副摩耗領域
60 、61 第1の副摩耗領域以外の領域
100 ドリル
200 マシニングホイール
201 マシニングホイールの中心
202 マシニングホイールの半径
212 エンドポイント
300 センサ
A 処理の長さ
T コアの厚さ
【外国語明細書】