(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173041
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】手持ち用マスクホルダー
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20221110BHJP
A62B 18/08 20060101ALI20221110BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/08 D
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157078
(22)【出願日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2021101200
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598080015
【氏名又は名称】猪谷 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】猪谷 茂
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】従来公知のマスクを耳に掛けずに手に持って使用する際に用いる手持ち用マスクホルダーを提供する。
【解決手段】使用時に使用者17の口元を被覆するように配設され、使用者17の耳介部をつなぐ方向と使用者17の鼻梁方向の両方向において、使用者17の顔面から離れる方向に突出するよう湾曲してなり、その凸面上にマスク15のフィルター15aを保持する保形部2と、この保形部2に穿設される複数の通気孔3と、保形部2に突設される持ち手4と、保形部2を使用者17の口元に配設した際に、耳介部側に配される両側縁2dのそれぞれに一対ずつ設けられ、マスク15の耳掛け紐15bを掛止するスリット5と、を備えてなる手持ち用マスクホルダー1による。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に使用者の口元を被覆するように配設され、前記使用者の耳介部をつなぐ方向と前記使用者の鼻梁方向の両方向において、前記使用者の顔面から離れる方向に突出するよう湾曲してなり、その凸面上にマスクのフィルターを保持する保形部と、
前記保形部に穿設される複数の通気孔と、
前記保形部に突設される持ち手と、
前記保形部を前記使用者の前記口元に配設した際に、前記耳介部側に配される両側縁のそれぞれに一対ずつ設けられ、前記マスクの耳掛け紐を掛止するスリットと、を備えていることを特徴とする手持ち用マスクホルダー。
【請求項2】
前記保形部は、一対の前記スリットの間に穿設され、前記耳掛け紐を前記保形部の凹面側から前記凸面側に導出させる紐導出孔を備えていることを特徴とする請求項1に記載の手持ち用マスクホルダー。
【請求項3】
前記保形部を前記使用者の前記口元に配設した際に、前記使用者の前頭部側に配設される前記保形部の上縁は、その中央に平面視凹状をなす切欠きを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の手持ち用マスクホルダー。
【請求項4】
前記保形部は、少なくとも2つの分割片からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の手持ち用マスクホルダー。
【請求項5】
前記保形部は、2つの前記分割片からなり、
前記分割片同士の係合部は、前記保形部において、使用時に前記使用者の前記鼻梁方向に形成される湾曲形状の稜線上に配されていることを特徴とする請求項4に記載の手持ち用マスクホルダー。
【請求項6】
前記係合部は、
一方の前記分割片において前記側縁と相対する位置の縁部に突設される複数の突起と、
他方の前記分割片において前記側縁と相対する位置の縁部寄りに複数形成され、個々の前記突起を挿脱させる挿脱孔と、を備えていることを特徴とする請求項5に記載の手持ち用マスクホルダー。
【請求項7】
前記保形部は、前記マスクに代えて紙ナフキン又はティッシュペーパーを前記保形部に装着する際に、前記ティッシュペーパー又は前記紙ナフキンを押し込んで保定する保定用孔を、前記通気孔と共用で又は前記通気孔とは別に備え、
前記保定用孔の最小幅は、7-20mmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の手持ち用マスクホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクを耳に掛けずに手に持って使用する際に用いられる手持ち用マスクホルダーに関する。
【0002】
近年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、人の口や鼻から排出されるウイルス等の病原体を含んだ飛沫の飛散を防止するために、あるいは自らが空気中を浮遊する病原体を含んだ飛沫を吸い込んで感染症に感染するのを防止するために、マスクを着用することが推奨されている。
さらに、特に会食時に感染症の感染拡大を防止するために、食事中に会話する際にもマスクを着用して会話すること(所謂、「マスク会食」)が推奨されている。
他方、一般にマスクは、人の口や鼻を覆うフィルターと、このフィルターを人の口や鼻に保持しておくための耳掛け紐から構成されており、耳掛け紐を常時顔面の耳介部に掛止させた状態で使用する。このため、人が食べ物を自らの口に運ぶ際は、頭部の耳介部からマスクの耳掛け紐を取外して顔面から一端フィルターを取外した後、口に食べ物を運び、その後再びマスクのフィルターで顔面を被覆してから、耳掛け紐を耳介部に掛止するという動作を食事中に何度も繰り返す必要があり、この動作の繰り返しが極めて煩雑であった。
その煩雑さのためにマスクを外して食事をしてしまい、さらに、その合間に会話をしてしまう結果、会食時に人の口や鼻から排出される病原体を含んだ飛沫による感染症の感染拡大を防ぐことが困難であった。
【0003】
このような事情に鑑み、会食時の感染症の感染拡大を目的として、耳掛け紐を有する従来公知のマスクのフィルターを、耳掛け紐を用いることなく人の口元に保持しておくための手持ち用マスクホルダーに関する先願がいくつか開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3232758号公報
【特許文献2】特許第6896954号公報
【特許文献3】実用新案登録第3233075号公報
【特許文献4】実用新案登録第3230836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示される考案や特許文献2に開示される発明では、マスク支持具にマスクのフィルターがほぼフラットな状態で保持される。
このため、マスク支持具にマスクを装着した状態で、使用者の口元にマスクのフィルターを配置した際に、マスクのフィルターと使用者の顔面との間に大きな隙間が生じてしまう。
この場合、使用者の顔面とマスク支持具に保持されるマスク(フィルター)の隙間から、病原体(例えばウイルス等)を含んだ飛沫が容易に拡散してしまう。
このため、特許文献1に開示される考案や特許文献2に開示される発明にマスクを装着して使用する場合は、マスクのフィルターを耳掛け紐を利用して使用者の顔面に着用する場合に比べて、感染症の感染拡大防止効果が低くなると考えられる。
【0006】
また、特許文献3や特許文献4に開示される考案では、マスク支持具又は保持具にマスクを装着した際に、マスクの耳掛け紐を備える側の辺を結ぶ方向に対して交差する方向にマスクのフィルターを屈曲又は湾曲させることができる。
このため、特許文献1に開示される考案や特許文献2に開示される発明と比べて、使用者の口元にマスクを配置した際の、使用者の顔面とマスクのフィルターの間に生じる隙間は小さくなると考えられる。
しかしながら、特許文献3や特許文献4に開示される考案では、マスク支持具又は保持具にマスクを装着した際に、持ち手部分、すなわち特許文献3に開示される考案における基片部(3)や特許文献4に開示される考案における握り部(21)、の中心軸方向にマスクのフィルターを屈曲又は湾曲させることができない。
このため、特許文献3や特許文献4に開示される考案を用いてマスクを保持する場合は、特に使用者の顔面の眼窩下部周辺から、病原体(例えばウイルス等)を含んだ飛沫が飛散してしまう懸念があった。
したがって、特許文献3や特許文献4に開示される考案を用いる場合も、感染症の感染拡大防止効果が十分に発揮されない可能性があった。
【0007】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、手持ち用マスクホルダーにマスクを装着した状態で使用者の口元に配置した際に、マスクのフィルターと使用者の顔面との間に隙間が生じ難い手持ち用マスクホルダーを提供することにある。
加えて、本発明の目的は、使用時に耳掛け紐が邪魔にならない手持ち用マスクホルダーを提供することにある。
さらに、本発明の目的は、不使用時にコンパクトに持ち運ぶことができる手持ち用マスクホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第1の発明である手持ち用マスクホルダーは、使用時に使用者の口元を被覆するように配設され、使用者の耳介部をつなぐ方向と使用者の鼻梁方向の両方向において、使用者の顔面から離れる方向に突出するよう湾曲してなり、その凸面上にマスクのフィルターを保持する保形部と、この保形部に穿設される複数の通気孔と、保形部に突設される持ち手と、保形部を使用者の口元に配設した際に、耳介部側に配される両側縁のそれぞれに一対ずつ設けられ、マスクの耳掛け紐を掛止するスリットと、を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において保形部は、その凸面側を被覆するように装着されるマスクのフィルターを、人の口元の立体形状に沿うように保形しながら保持するという作用を有する。また、保形部に形成される通気孔は、保形部を形成する部材の厚み方向に空気を出入りさせるという作用を有する。さらに、持ち手は、使用者がこの持ち手を操作することで、保形部及びこの保形部に装着されるマスクのフィルターを、使用者の口元に配置可能にするという作用を有する。また、保形部に形成されるスリットは、このスリットにマスクの耳掛け紐を掛止することで、マスクのフィルターを保形部に着脱可能に固定するという作用を有する。
【0009】
第2の発明である手持ち用マスクホルダーは、上述の第1の発明であって、保形部は、一対のスリットの間に穿設され、耳掛け紐を保形部の凹面側から凸面側に導出させる紐導出孔を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明において保形部に形成される紐導出孔は、マスクの耳掛け紐を保形部の凹面側から凸面側に導出させるという作用を有する。
第2の発明においても保形部の凸面上にマスクのフィルターが装着される。このことは、保形部に形成されるスリットにマスクの耳掛け紐を掛止した際に、この耳掛け紐のループ部分が、保形部の凹面側に配されることを意味している。そして、保形部の凹面側にマスクの耳掛け紐が配される場合は、第2の発明である手持ち用マスクホルダーにマスクを装着して使用者の口元に配した際に、マスクの耳掛け紐のループ部分が使用者の口元に常時配されることになる。この場合、使用者が会話時に口を開いた際に、使用者の口腔内に耳掛け紐のループ部分が意図せず入り込むなどして会話の邪魔になる可能性がある。
しかしながら、第2の発明では、保形部に形成される一対のスリットの間に紐導出孔を備えている。このため、第2の発明では、スリットに耳掛け紐を掛止した後に、耳掛け紐のループ部分を、紐導出孔から保形部の凸面側に導出させることができる。これにより、マスクを装着した第2の発明の使用中に、耳掛け紐のループ部分が、使用者の口回りに配置されて、会話の妨げになるのを抑制するという作用を有する。
【0010】
第3の発明である手持ち用マスクホルダーは、上述の第1又は第2の発明であって、保形部を使用者の口元に配設した際に、使用者の前頭部側に配設される保形部の上縁は、その中央に平面視凹状をなす切欠きを備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、上述の第1又は第2の発明による作用と同じ作用を有する。さらに、第3の発明において保形部がその上縁の中央に平面視凹状をなす切欠きを備えていることで、第3の発明における保形部にマスクを装着した際に、この切欠き部分からマスクの上縁を裸出させることができる。
この場合、第3の発明における保形部にマスクを装着して、使用者の口元に配置した際に、保形部の切欠きから裸出したマスクの内側面を、使用者の鼻梁に直接接触させるという作用を有する。これにより、第3の発明の使用時に、保形部と使用者の鼻の周囲に隙間が生じるのを抑制するという作用を有する。
【0011】
第4の発明である手持ち用マスクホルダーは、上述の第1乃至第3のいずれかの発明であって、保形部は、少なくとも2つの分割片からなることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。さらに、第4の発明において保形部が少なくとも2つの分割片から構成されることで、不使用時に第3の発明を分解してコンパクトに収納及び持運ぶことを可能にするという作用を有する。
【0012】
第5の発明である手持ち用マスクホルダーは、上述の第4の発明であって、保形部は、2つの分割片からなり、分割片同士の係合部は、保形部において、使用時に使用者の鼻梁方向に形成される湾曲形状の稜線上に配されていることを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明は、上述の第4の発明による作用と同じ作用を有する。さらに、第5の発明において、保形部を上述のように構成することで、保形部を分割した状態で持運んだり保管したりする際に、一方の分割片の凹面に、他方の分割片の凸面を重ね合わせることができる。
この場合、重ね合わされた分割片が嵩張らないのでその形態をコンパクトにできる。
【0013】
第6の発明である手持ち用マスクホルダーは、上述の第5の発明であって、係合部は、一方の分割片において側縁と相対する位置の縁部に突設される複数の突起と、他方の分割片において側縁と相対する位置の縁部寄りに複数形成され、個々の突起を挿脱させる挿脱孔と、を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第6の発明は、上述の第5の発明による作用と同じ作用を有する。さらに、第6の発明において、係合部が一方の分割片に形成される複数の突起と、他の分割片に形成され、複数の上記突起のそれぞれを挿脱させる挿脱孔とにより構成されていることで、係合部が立体的な湾曲状であっても、係合部に隙間やがたつきを生じさせることなく2つの分割片を一体化するという作用を有する。
また、第6の発明の係合部が上述のような形態を有することで、この係合部に別途固定構造を設けなくとも、2つの分割片の連結状態を良好に保持しておくことができる。
【0014】
第7の発明である手持ち用マスクホルダーは、上述の第1乃至第6のいずれかの発明であって、保形部は、マスクに代えて紙ナフキン又はティッシュペーパーを保形部に装着する際に、紙ナフキン又はティッシュペーパーを押し込んで保定する保定用孔を、通気孔と共用で又は通気孔とは別に備え、保定用孔の最小幅は、7-20mmの範囲内であることを特徴とするものである。
上記構成の第7の発明は、上述の第1乃至第6のそれぞれの発明による作用と同じ作用を有する。さらに、第7の発明において保形部の凹面側を紙ナフキン又はティッシュペーパーで被覆し、さらにその縁部を保形部の凸面側に折り返した後、この折り返し部分を、保形部に形成される保定用孔に押し込むことで、保形部に紙ナフキン又はティッシュペーパーを簡易的に固定しておくことができる。
この場合、紙ナフキン又はティッシュペーパーを第7の発明の保形部に装着することで、紙ナフキン又はティッシュペーパーをマスクのフィルターの代用品として使用することができる。
さらに、保形部に形成される保定用孔の最小幅を7-20mmの範囲内に特定することで、保形部に紙ナフキン又はティッシュペーパーを保形部に簡易的に固定する際に、その固定効果を良好にしつつ、保定用孔への紙ナフキン又はティッシュペーパーの押し込み操作を使用者の指先により行うことを可能にするという作用を有する。
【発明の効果】
【0015】
上述のような第1の発明によれば、保形部に保持されるマスクのフィルターの立体形状を、人の顔面の口元の立体形状に近付けることができる。
この場合、マスクのフィルターを装着した保形部を、使用者の口元に近接させて保持した際に、つまり第1の発明を使用した際に、保形部と使用者の顔面の間に生じる隙間を極力小さくすることができる。
この場合、第1の発明を使用しながら会話した際に、保形部と使用者の顔面との隙間から、病原体(例えばウイルス等)を含む飛沫が漏れるのを防ぐことができる。あるいは、第1の発明を使用しながら会話した際に、保形部と使用者の顔面との隙間から、病原体(例えばウイルス等)を含む飛沫が侵入するのを防ぐことができる。
つまり、万一第1の発明の使用者が感染症に罹患している場合、使用者から生じる飛沫によりその周囲の人に感染症の感染拡大が起こるのを防止できる。あるいは、第1の発明の使用者が感染症に罹患しておらず、かつ第1の発明の使用者の会食相手が感染症に罹患している場合は、第1の発明の使用者が感染するのを防止できる。
よって、第1の発明によれば、会食時における感染症の感染拡大防止効果に優れた手持ち用マスクホルダーを提供することができる。
【0016】
第2の発明は、上述の第1の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第2の発明によれば、保形部にマスクを装着した際に、マスクの耳掛け紐を保形部の凸面側に常時配置しておくことができる。これにより、第2の発明を使用しながら会話をする際に、マスクの耳掛け紐が使用者の口回りに触れたり、使用者の口腔内に入り込んだりするのを防止できる。
よって、第2の発明によれば、感染症の感染拡大防止効果に優れ、かつ使用感が快適な手持ち用マスクホルダーを提供することができる。
【0017】
第3の発明は、上述の第1又は第2の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第3の発明によれば、マスクのフィルターを装着した保形部を使用者の口元に近接させた状態で配置した際に、保形部に形成される切欠きから裸出するマスクのフィルターの内側面を使用者の鼻梁に直接接触させることができる。
この場合、マスクのフィルターを装着した保形部を使用者の口元に近接させた際に、使用者の鼻の周囲とマスクのフィルターの間にほとんど隙間が生じない。このため、第3の発明を使用しながら会話をする際に、ウイルス等の病原体を含んだ飛沫が使用者の周囲に拡散したり、ウイルス等の病原体を含んだ飛沫が使用者の口や鼻から体内に侵入したりするのを防止できる。
したがって、第3の発明によれば、第1又は第2の発明と比較して、感染症の感染拡大防止効果がより優れた手持ち用マスクホルダーを提供することができる。
【0018】
第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第4の発明では、不使用時に保形部を収納したり持運んだりする際の手持ち用マスクホルダーの形態をコンパクトにすることができる。
この結果、第4の発明の収納性や携行性を向上させることができる。
【0019】
第5の発明は、上述の第4の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第5の発明によれば、上述の第4の発明と比較して、保形部を2つ分割片に分解した状態で収納したり持運んだりする際の形態を、一層コンパクトにできる。
この結果、第5の発明の収納性や携行性を一層向上させることができる。
【0020】
第6の発明は、上述の第5の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第6の発明によれば、2つ分割片を、係合部を介して一体化した際の形状保持性を良好にできる。
この場合、第6の発明を使用している最中に、意図せず保形部が係合部において分離してしまい、マスクのフィルターを顔面の立体形状に近付けた状態で保持しておくという効果が発揮されなくなるのを防ぐことができる。
【0021】
第7の発明は、上述の第1乃至第6のそれぞれの発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第7の発明によれば、紙ナフキン又はティッシュペーパーを保形部に装着することができる。
この場合、万一マスクを所持し忘れた場合に、紙ナフキン又はティッシュペーパーと第7の発明を組み合わせて、マスクの代用品として利用することができる。
さらに、第7の発明によれば、保形部にマスクのフィルターと紙ナフキン又はティッシュペーパーの両方を装着することもできる。この場合は、保形部にマスクのフィルターを装着して使用する際に、保形部の凹面側を紙ナフキン又はティッシュペーパーで被覆しておくことができる。この結果、第7の発明の使用時に、保形部の凹側面が使用者の口や鼻から排出される飛沫で汚れるのを防止できる。
よって、第7の発明によれば、防汚性と汎用性に優れた手持ち用マスクホルダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】(a)本発明の実施形態に係る手持ち用マスクホルダーの斜視図であり、(b)同手持ち用マスクホルダーの側面図である。
【
図2】(a)~(c)はいずれも本発明の実施形態に係る手持ち用マスクホルダーにウレタンマスクを装着する際の手順を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る手持ち用マスクホルダーに不織布マスクを装着した状態を側面側から見た図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る手持ち用マスクホルダーの使用状態を示す側面図である。
【
図5】(a)~(c)はいずれも本発明の実施形態に係る手持ち用マスクホルダーに紙ナフキンを装着する際の手順を示す図である。
【
図6】(a)本発明の実施形態に係る手持ち用マスクホルダーを分解した状態で正面から見た図であり、(b)同手持ち用マスクホルダーを分解した状態で持ち手側から見た図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る保形部を構成する2つの分割片を係合した状態を持ち手側から見た図である。
【0023】
<1;本発明の実施形態について>
<1-1;本発明の基本構成について>
はじめに、
図1及び
図2を参照しながら本発明の実施形態に係る手持ち用マスクホルダーの概要について説明する。
図1(a)本発明の実施形態に係る手持ち用マスクホルダーの斜視図であり、(b)同手持ち用マスクホルダーの側面図である。
本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1は、例えば
図1(a),(b)に示すように、マスクのフィルターを保持する保形部2と、この保形部2を構成する材質である例えば合成樹脂等の厚み方向を貫通して形成される複数の通気孔3と、保形部2の周縁に突設される持ち手4と、保形部2の側縁2dのそれぞれに一対ずつ設けられるスリット5とを備えてなるものである。
また、ここでは、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を使用者17(後段における
図4を参照)の口及び鼻を被覆するように配置した際に、使用者17の前頭部側に配される保形部2の外縁を上縁2c、使用者17の耳介部側に配される保形部2の外縁を側縁2d、使用者17のオトガイ部側に配される保形部2の外縁を下縁2eと呼ぶことにする。
さらに、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1では、
図1(a),(b)に示すように、保形部2における一対の側縁2d,2dを結ぶ方向(使用者17の耳介部をつなぐ方向)と、保形部2における上縁2cと下縁2eを結ぶ方向(使用者17の鼻梁方向)の両方において、使用者17の顔面から離れる方向に保形部2が突出するように湾曲している。
また、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1では、
図1(a),(b)に示すように、必要に応じて持ち手4に貫通穴4aを形成しておき、この貫通穴4aに18を挿通しておいてもよい(任意選択構成要素)。なお、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1が首掛け紐18を備えることによる作用・効果については後段において詳細に説明する。
【0024】
<1-2;本発明へのマスクの装着手順について>
[1-2-1;ウレタンマスクの装着手順について]
図2(a)~(c)はいずれも本発明の実施形態に係る手持ち用マスクホルダーにウレタンマスクを装着する際の手順を示す図である。なお、
図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1にウレタンマスク14を装着する場合は、まず、保形部2の凸面2a上をウレタンマスク14のフィルター14aで被覆した後に、
図2(a),(b)に示すように、保形部2の側縁2dに形成されている一対のスリット5のそれぞれに、ウレタンマスク14の耳掛け紐14bの根元側を挟み込んで固定する。そして、上述のような一連の動作により本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1へのウレタンマスク14の装着が完了する。
【0025】
[1-2-2;不織布マスクの装着手順について]
図3は本発明の実施形態に係る手持ち用マスクホルダーに不織布マスクを装着した状態を側面側から見た図である。なお、
図1及び
図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1への不織布マスク15の装着手順は、上述のウレタンマスク14の装着手順と同じであるため特に図示しないが、簡単に説明すると、まず、手持ち用マスクホルダー1の保形部2の凸面2a上に不織布マスク15のフィルター15aを装着する。
この後、保形部2の側縁2dに形成されている一対のスリット5のそれぞれに、不織布マスク15の耳掛け紐15bの根元側を挟み込んで固定する。そして、上述のような一連の動作により手持ち用マスクホルダー1への不織布マスク15の装着が完了する。
なお、同じく特に図示しないが、従来公知の布マスクの本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1への装着方法も同様である。
【0026】
<1-3;本発明の使用方法と作用・効果について>
続いて、
図4を参照しながら本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の使用方法について説明する。
図4は本発明の実施形態に係る手持ち用マスクホルダーの使用状態を示す側面図である。なお、
図1乃至
図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を使用する場合、使用者17は、保形部2に不織布マスク15のフィルター15aを装着した後(例えば
図3を参照)、保形部2の外縁である例えば下縁2eに突設されている持ち手4を手指17aで保持して操作して、
図4に示すように、フィルター15aを装着した保形部2の凹面2b側を口元に近接させながら保持すればよい。
【0027】
この時、不織布マスク15のフィルター15aは保形部2によって、使用者17の顔面の口回りの立体形状に沿うように整形された状態になる。このため、耳掛け紐15bを用いて不織布マスク15を使用者17の顔面に装着した時と同様に、使用者17の口や鼻を不織布マスク15のフィルター15aでしっかりと被覆することができる。
このように、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を使用する場合は、その使用時に保形部2に保持される不織布マスク15のフィルター15aと使用者17の顔面の間に隙間が生じ難い。
この結果、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を使用しながら会話する際に(
図4を参照)、使用者17の口や鼻から排出される飛沫が周囲に拡散するのを好適に防ぐことができる。
あるいは、
図4に示すように本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を使用する場合は、使用者17の周囲で他人が会話する際に、他人の口や鼻から排出される飛沫が使用者17の口や鼻に侵入するのを防ぐこともできる。
よって、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1によれば、会食時に不織布マスク15の耳掛け紐15bを用いることなくフィルター15aを使用者17の口元に配置しておくことができ、これにより使用者17の口や鼻から排出される飛沫の拡散防止効果、並びに他者から発生する飛沫が使用者17の口や鼻から体内に取り込まれるのを好適に防ぐことができる。
【0028】
<2;本発明の細部構造について>
[2-1;保形部に形成される紐導出孔について]
本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の保形部2は、先の
図1,2に示すように、一対のスリット5の間に穿設される紐導出孔6を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
そして、上述のような紐導出孔6を備えた保形部2を有する手持ち用マスクホルダー1に例えばウレタンマスク14を装着する場合は、保形部2の凹面2b側に配されるウレタンマスク14の耳掛け紐14bのループ部分R(
図2(b)を参照)を、
図2(c)に示すように紐導出孔6から保形部2の凸面2a側に引き出せばよい。
また、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の保形部2に装着されるマスクが不織布マスク15である場合も同様に、保形部2の凹面2b側に配される耳掛け紐15bのループ部分Rを、紐導出孔6から保形部2の凸面2a側(
図1(b)を参照)に引き出せばよい(
図3を参照)。
さらに、特に図示しないが本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の保形部2に布マスクを装着して用いる場合も同様である。
【0029】
そして、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の保形部2に例えば不織布マスク15を装着して用いる場合は、例えば
図3に示すように、その使用時に紐導出孔6を利用することで耳掛け紐15bを保形部2の凸面2a側に常時配置しておくことができる。
この場合、不織布マスク15を装着した手持ち用マスクホルダー1を使用者17が自らの口元に近接させた場合でも、使用者17の口回りに耳掛け紐15bが触れたり、使用者17の口腔内に意図せず耳掛け紐15bが入り込んだりすることがない。このため、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を快適に使用することができる。
なお、
図4では本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1に不織布マスク15を装着して用いる場合を例に挙げて説明しているが、不織布マスク15に代えて、
図3に示すようなウレタンマスク14や図示しない耳掛け紐を有する布マスクを使用する場合も同様の効果を発揮させることができる。
【0030】
[2-2;他の使用形態について]
次に、
図5を参照しながら本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の他の使用形態について説明する。
本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1は、上述のウレタンマスク14や不織布マスク15、あるいは図示しない布マスクを装着して用いる以外にも、紙ナフキン又はティッシュペーパーを上述の各種マスクのフィルターの代用品として用いることができる。
この場合、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1は、例えば紙ナフキン等を保形部2の凹面2b側に装着する際に、この紙ナフキン等の端部を保形部2の厚み方向に押し込んで保定しておくための保定用孔13を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
なお、保形部2に形成される保定用孔13は、保形部2に形成される通気孔3と共用でもよいし、通気孔3とは別に保形部2に保定用孔13を形成してもよい。
また、保形部2に形成される保定用孔13は通気孔3としての機能も有する。
【0031】
なお、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1が保形部2に上述のような保定用孔13を通気孔3と兼用で備える場合は、この保定用孔13の最小幅を7-20mmの範囲内に設定するとよい。
この理由として、保形部2に形成される保定用孔13の最小幅が7mmを下回る場合は、使用者17の指先による保定用孔13内への紙ナフキン16の押し込みが困難になるためである。また、保形部2に形成される保定用孔13の最小幅が20mmを上回る場合は、保定用孔13内に紙ナフキン16を押し込んだ際に、保定用孔13による紙ナフキン16の掛止効果が十分に発揮されず、保形部2から装着済の紙ナフキン16が外れやすくなるためである。
【0032】
次に本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1に紙ナフキン16を装着するための手順について
図5を参照しながら説明する。
図5(a)~(c)はいずれも本発明の実施形態に係る手持ち用マスクホルダーに紙ナフキンを装着する際の手順を示す図である。なお、
図1乃至
図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1に紙ナフキン16を装着するための準備作業として、まず、装着対象である紙ナフキン16を広げて、保形部2の凹面2b側を紙ナフキン16で被覆した際に持ち手4が配される側の辺に、5cm程度の裂け目16aを形成する。
【0033】
次に、
図5(a)に示すように、紙ナフキン16に形成された裂け目16aに本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の持ち手4を配置しながら、保形部2の凹面2bを紙ナフキン16で被覆する。
この後、
図5(a),(b)に示すように、保形部2の下縁2eからはみ出している紙ナフキン16を、保形部2の凸面2a側に折り込む。
そして、
図5(c)に示すように、保形部2の上縁2cからはみ出している紙ナフキン16についても、保形部2の凸面2a側に折り込む。
この後、
図5(c)に示すように、保形部2の凸面2a上に折り返された紙ナフキン16の端部寄りを指先で、通気孔3と兼用の保定用孔13に押し込んで、保形部2に紙ナフキン16を掛止すればよい。
なお、
図5では、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1に紙ナフキン16を装着する場合を例に挙げて説明しているが、紙ナフキン16に代えて従来公知のティッシュペーパーを用いることもできる。なお、紙ナフキン16に代えてティッシュペーパーを用いる場合の手持ち用マスクホルダー1への装着手順は、
図5に示す紙ナフキン16の装着手順と同じである。
【0034】
そして、
図5(c)に示すように、保形部2に紙ナフキン16又はティッシュペーパーを装着した本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1は、従来公知のマスクを装着した本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の代用品として使用することができる。
この場合、使用者17が本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を保持しており、かつウレタンマスク14、不織布マスク15あるいは布マスクのいずれも所持していない場合に、手持ち用マスクホルダー1に紙ナフキン16又はティッシュペーパーを装着することで、従来公知のマスクを手持ち用マスクホルダー1に装着して用いるのと同様に使用することができる。
より具体的には、
図5(c)に示すような状態の紙ナフキン16等を備えた本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を会話時に用いることで、使用者17が病原体である例えばウイルス等が含まれる飛沫を周囲に拡散させたり、あるいは会話の相手から排出される飛沫を使用者17が鼻や口から吸い込んだりするリスクを低減することができる。
なお、保形部2に装着される紙ナフキン16やティッシュペーパーのフィルターとしての効果は、ウレタンマスク14や不織布マスク15、あるいは図示しない布マスクと比較して劣る可能性があるが、
図5(c)に示すような紙ナフキン16又はティッシュペーパーを装着した本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を使用しない場合と比較すると、飛沫感染させるリスク又は飛沫感染するリスクを確実に低減することができる。
【0035】
また、
図5(c)では、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1に紙ナフキン16又はティッシュペーパーのみを装着する場合を例に挙げて説明しているが、紙ナフキン16又はティッシュペーパーを装着した保形部2の凸面2a上に、さらに従来公知のマスク(例えばウレタンマスク14、不織布マスク15又は布マスク等)を装着した状態で本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を用いてもよい(図示せず、任意選択構成要素)。
先の
図2乃至
図4に示すように、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の保形部2に従来公知のマスク(例えばウレタンマスク14、不織布マスク15又は布マスク等)のみを装着して用いる場合、保形部2の凹面2b側に使用者17の口や鼻から排出される飛沫が付着すると考えられる。このため、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を繰り返し使用する際に、保形部2の表面(特に凹面2b)が汚れて不衛生になる懸念がある。
これに対して、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の保形部2の凹面2b側に紙ナフキン16又はティッシュペーパーを装着するとともに、さらに保形部2の凸面2a側に従来公知のマスクのフィルターを装着して用いる場合は、紙ナフキン16又はティッシュペーパーにより保形部2の凹面2b側が汚れるのを好適に防止できる。
【0036】
したがって、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の保形部2が、保定用孔13を備えている場合は、手持ち用マスクホルダー1の汎用性を高めることができ、しかも手持ち用マスクホルダー1の使用時の衛生状態を良好に維持することができる。
なお、
図1乃至
図5では、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の保形部2に、通気孔3と兼用の保定用孔13を形成する場合を例に挙げて説明しているが、保形部2に通気孔3とは別に保定用孔13を形成してもよい(任意選択構成要素)。
この場合、保定用孔13についてはその最小幅を7-20mmの範囲内にしておく必要があるが、通気孔3の最小幅は7-20mmの範囲内でなくともよい。
さらに、この場合は、保形部2の上縁2c寄りと、下縁2e寄りの少なくとも2箇所ずつに通気孔3とは別に保定用孔13を設けておくことが望ましい。なお、紙ナフキン16やティッシュペーパーをしっかりと保形部2に掛止することができるよう、保形部2の上縁2cの中央と下縁2eの中央とを結ぶ中心線を基準にして線対称をなすように、かつ保形部2の上縁2c寄りと下縁2eよりのそれぞれに保定用孔13を設けておくとよい(図示せず)。
なお、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の保形部2に紙ナフキン16やティッシュペーパーを装着しないで用いる場合でも、使用後に保形部2を洗浄したり、アルコール消毒したりするなどすれば十分に衛生的に使用できる。
【0037】
[2-3;本発明の変形例について]
続いて、
図1及び
図4を参照しながら本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の変形例について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1は、保形部2の上縁2cの中央に平面視凹状をなす切欠き7を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、保形部2の凸面2a上に従来公知のマスク(例えばウレタンマスク14又は不織布マスク15又は布マスク等)のフィルターを装着した際に、使用者17の鼻梁と接触する部分を切欠き7から裸出させることができる。
この場合、例えば先の
図4に示すように、従来公知のマスクのフィルター(ただし、
図4では不織布マスク15のフィルター15a)を装着した本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を使用者17の口元に近接させた状態で保持した際に、保形部2の切欠き7から裸出する不織布マスク15のフィルター15aの内側面を直接、使用者17の鼻梁に接触させることができる。
【0038】
この場合、
図4に示すような本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の使用時に、使用者17の鼻周囲に隙間が生じ難くなるので、使用者17の口や鼻から排出される飛沫がこの隙間から周囲に拡散したり、あるいはこの隙間から使用者17の周囲を漂う飛沫が使用者17の口や鼻に侵入したりするのを好適に防ぐことができる。
よって、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の保形部2が上縁2cに切欠き7を備えている場合は、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を使用することによる感染症の感染拡大防止効果を一層向上させることができる。
【0039】
[2-4;本発明の他の変形例について]
最後に、
図1、
図6及び
図7を参照しながら、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の他の変形例について説明する。
図6(a)は本発明の実施形態に係る手持ち用マスクホルダーを分解した状態で正面から見た図であり、(b)は同手持ち用マスクホルダーを分解した状態で持ち手側から見た図である。また、
図7は本発明の実施形態に係る保形部を構成する2つの分割片を係合した状態を持ち手側から見た図である。なお、
図1乃至
図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の保形部2は、
図6(a),(b)に示すように、少なくとも2の分割片に分割可能に構成してもよい(任意選択構成要素)。
この場合、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を使用しない場合に、保形部2を少なく2の分割片に分解しておくことができる。この結果、不使用時に本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1をコンパクトな形態で保管したり、持運んだりすることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の保形部2を複数の分割片により構成する場合は、その数を2つ(分割片8a及び分割片8b)に特定するとともに、分割片8aと分割片8bの係合部9を、保形部2の上縁2cの中央と、保形部2の下縁2eの中央とを結ぶ湾曲状の稜線10上に設けてもよい(任意選択構成要素)。
この場合は、保形部2を分解してなる分割片8aと分割片8bを重ね合わせた際に、分割片8aと分割片8bを隙間なく重ね合わせることができる。
この場合、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を分割片8aと分割片8bに分解して持運んだり収納したりする際の態様をコンパクトにすることができる。
【0041】
さらに、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の保形部2において係合部9を稜線10に沿って設ける場合、この係合部9の具体的な構造を下記のように構成してもよい。
つまり、係合部9は、例えば
図6(a),(b)に示すように、分割片8bにおいてその側縁2dと相対する縁部(稜線10)に突設される複数の突起11と、分割片8aにおいてその側縁2dと相対する縁部(稜線10)寄りに複数形成され、個々の突起11を挿脱させる挿脱孔12と、により構成されていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、係合部9が立体的な湾曲状をなす稜線10上に設けられていても、分割片8aと分割片8bの間に、隙間やがたつきを生じさせることなくこれらを係合して一体化することができる。
これにより、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1が使用される間、分割片8a及び分割片8bを安定した状態で連結しておくことができる。
この結果、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の使用中に、保形部2が係合部9において意図せず分離してしまい、従来公知のマスクのフィルターや紙ナフキン16等を使用者17の口元に保持しておくことができなくなるという不具合が生じるのを防止できる。
【0042】
さらに、
図6(a),(b)に示すように、分割片8bにおいてその側縁2dと相対する縁部(稜線10)に突設される複数の突起11の突設方向を、この相対する縁部寄りの平面方向と略同一の方向にしてもよい。
また、分割片8bにおいてその側縁2dと相対する縁部寄りに複数形成され、個々の上記突起11を挿脱させる挿脱孔12を、保形部2の凹面2b側(突起11の先端の入口)から凸面2a側(突起11の先端の出口)に向かって形成してもよい。
なお、上述の分割片8bにおける突起11の形成方向、並びに分割片8aにおける挿脱孔12の形成方向はいずれも任意選択構成要素である。
この場合、
図7に示すように、分割片8a及び分割片8bを連結した際に、係合部9において分割片8bに形成される突起11と、分割片8aにおける挿脱孔12同士の間に配されるパーツとが交絡した状態になる。
この場合、分割片8aに対する分割片8bの成す角度を所望に保持しながら分割片8aと分割片8bを一体化しておくことができる。この結果、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の使用時における安定性、すなわち保形部2の形状保持性を高めることができる。
さらに、この場合は、突起11が保形部2の凸面2a上又は凹面2b上に突設されないので、分割片8aと分割片8bを重ね合わせた際に、これらが嵩張るのを防止できる。
よって、保形部2の係合部9を構成する突起11の突設方向、並びに挿脱孔12の形成方向を上述のように特定することで、より使い勝手が良く、収納や持ち運びがし易い手持ち用マスクホルダー1を提供することができる。
【0043】
[2-5;その他]
さらに、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1は、
図1乃至
図6に示すように、持ち手4の端部寄りに首掛け用の紐を挿通可能な貫通穴4aを備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1の持ち手4に形成される貫通穴4aに首掛け紐18を挿通し、この首掛け紐18をループ状にした状態で、使用者17の首に首掛け紐18をかけておくことで、手持ち用マスクホルダー1を使用しない場合に、手持ち用マスクホルダー1を首掛け紐18に吊下げて保持することができる。
この場合、使用者17の口元から取外した手持ち用マスクホルダー1をテーブル等の上に載置する必要がないので、手持ち用マスクホルダー1及びそれに装着される従来公知のマスク等の衛生状態を良好に維持することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を構成する材質は特に限定されないが、合成樹脂が適している。この場合、本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を成型することで容易に量産できる。この結果、使用者17に対して本実施形態に係る手持ち用マスクホルダー1を廉価に提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように本発明は、従来公知のマスク(例えばウレタンマスク、不織布マスク、布マスク等)を耳に掛けずに手に持って使用する際に用いられる手持ち用マスクホルダーであり、衛生用品に関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…手持ち用マスクホルダー 2…保形部 2a…凸面 2b…凹面 2c…上縁 2d…側縁 2e…下縁 3…通気孔 4…持ち手 4a…貫通穴 5…スリット 6…紐導出孔 7…切欠き 8a,8b…分割片 9…係合部 10…稜線 11…突起 12…挿脱孔 13…保定用孔 14…ウレタンマスク 14a…フィルター 14b…耳掛け紐 15…不織布マスク 15a…フィルター 15b…耳掛け紐 16…紙ナフキン 16a…裂け目 17…使用者 17a…手指 18…首掛け紐 R…ループ部分