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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173046
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】β-アラニン配合ゲル状経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/175 20160101AFI20221110BHJP
   A23L 29/231 20160101ALI20221110BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20221110BHJP
   A23L 29/281 20160101ALI20221110BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20221110BHJP
   A23G 3/36 20060101ALI20221110BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221110BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221110BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
A23L33/175
A23L29/231
A23L29/269
A23L29/281
A23L29/256
A23G3/36
A23G3/34 101
A61K31/198
A61K9/06
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/12
A61P43/00 105
A61P21/00
A61K47/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180303
(22)【出願日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2021078255
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】儘田 大
(72)【発明者】
【氏名】白水 健太
【テーマコード(参考)】
4B014
4B018
4B041
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4B014GB08
4B014GK04
4B014GK05
4B014GK08
4B014GL02
4B014GL04
4B014GL09
4B014GL11
4B014GP14
4B014GP23
4B014GQ05
4B018LB01
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE06
4B018MD01
4B018MD09
4B018MD19
4B018MD20
4B018MD32
4B018MD33
4B018MD39
4B018MD85
4B018ME14
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4B018MF04
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4B041LK50
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4C076DD22T
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4C206MA05
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4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA94
4C206ZC01
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、その効果実感であるβ-アラニンフラッシュの刺激感を増強したゲル状経口組成物を提供することである。
【解決手段】
エリスリトール、β-アラニン、エリスリトール、増粘多糖類、酸味料を含有させたゲル状経口組成物は、β-アラニン特有の効果実感であるβ-アラニンフラッシュを増強することを見いだし、本発明を完成するに至った。かかる知見により得られた本発明の態様は次のとおりである。
(a)β-アラニン、(b)エリスリトール、(c)増粘多糖類、(d)酸味料を含有することを特徴とするゲル状経口組成物、である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)β-アラニン、(b)エリスリトール、(c)増粘多糖類、(d)酸味料を含有することを特徴とするゲル状経口組成物。
【請求項2】
(c)増粘多糖類が、寒天、ジェランガム、ペクチン、ゼラチンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のゲル状経口組成物。
【請求項3】
(d)酸味料が、クエン酸、クエン酸塩、リンゴ酸、リンゴ酸塩、リン酸、リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のゲル状経口組成物。
【請求項4】
一回の経口摂取量当たりのβ-アラニンの含有量が800~6400mgである、請求項1~3のいずれかに記載のゲル状経口組成物。
【請求項5】
(a)β-アラニンの含有量が0.16~12.8質量%である、請求項1~4のいずれかに記載のゲル状経口組成物。
【請求項6】
運動前、または運動中のヒト又はヒト以外の哺乳動物に摂取される、請求項1~5のいずれかに記載のゲル状経口組成物。
【請求項7】
ゼリー、又はグミである請求項1~6のいずれかに記載のゲル状経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β-アラニン配合ゲル状経口組成物に関し、医薬品、医薬部外品及び食品等の分野において利用されうる。
【背景技術】
【0002】
β-アラニンは体内に天然で生成するペプチド(カルノシン)の構成分子であり、摂取することで、筋肉疲労を遅らせ、体内のカルノシン合成を促進することが知られている(特許文献1)。また、継続摂取後に、運動において顕著なパフォーマンス向上効果が知られている。
これまで、アメリカなどのサプリメント先進国では広く食品に使用されてきたが、日本では2019年3月に厚生労働省が食品への使用を認めたばかりの機能性素材である。
【0003】
近年、老若男女問わず、運動への関心が高まっており、サプリメント市場は非常に活性化している。その一方で、日本市場においては、未だプロテインが主を占めており、今後β-アラニンのような機能性素材にも着目がされることが想定される。
【0004】
β-アラニンは、パフォーマンス向上のためには1日当たり1.6g~6.4g摂取するのが一般的であると言われており、その多くはプレワークアウトサプリメントとして含まれている。また、β-アラニンは、一度に800mg以上摂取すると、皮膚表面に刺激感を感じることがあり、これはβ-アラニンフラッシュと呼ばれており、この刺激感の強さは用量依存的に増すことが知られている(非特許文献1)。この感覚はサプリメント摂取時の効果実感と捉えられることも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2016-517438号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Amino Acids(2006) 30: 279-289
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、β-アラニンを増量することなく、β-アラニンを摂取したことで得られるβ-アラニンフラッシュの刺激感(効果実感)を増強したゲル状経口組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、β-アラニン、エリスリトール、増粘多糖類、酸味料を含有させたゲル状経口組成物は、β-アラニン特有の効果実感であるβ-アラニンフラッシュを増強することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
かかる知見により得られた本発明の態様は次のとおりである。
(1)(a)β-アラニン、(b)エリスリトール、(c)増粘多糖類、(d)酸味料を含有することを特徴とするゲル状経口組成物、
(2)(c)増粘多糖類が、寒天、ジェランガム、ペクチン、ゼラチンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)に記載のゲル状経口組成物、
(3)(d)酸味料が、クエン酸、クエン酸塩、リンゴ酸、リンゴ酸塩、リン酸、リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)又は(2)に記載のゲル状経口組成物、
(4)一回の経口摂取量当たりのβ-アラニンの含有量が800~6400mgである、(1)~(3)のいずれかに記載のゲル状経口組成物、
(5)(a)β-アラニンの含有量が0.16~12.8質量%である、(1)~(4)のいずれかに記載のゲル状経口組成物、
(6)運動前、または運動中のヒト又はヒト以外の哺乳動物に摂取される、(1)~(5)のいずれかに記載のゲル状経口組成物、
(7)ゼリー、又はグミである(1)~(6)のいずれかに記載のゲル状経口組成物、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、β-アラニンの配合量を増量することなく、β-アラニンフラッシュの刺激感(効果実感)を増強したゲル状経口組成物を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「β-アラニン」とは化学名で3-アミノプロパン酸と呼ばれる体内に天然で生成するペプチド(カルノシン)の構成分子である。β-アラニンの化学式はC3H7NO2であり、同じ化学式で示され名称の類似したL-アラニン、D-アラニン、DL-アラニンはいずれも化学名2-アミノプロピオン酸である。β-アラニンフラッシュはβ-アラニン特有の刺激感であり、L-アラニン、D-アラニン、DL-アラニンでは認められない。本発明におけるβ-アラニンとしては特に制限されるものではないが、例えばCarnoSyn(登録商標)ベータアラニン等の市販のβ-アラニンを用いることができる。
【0012】
また、本発明における経口組成物中のβ-アラニンの含有量は制限されるものではないが、一度に摂取する量が800mg以上となることが好ましく、より好ましくは1600mg以上である。そして、上限は6400mgが好ましい。また、本発明のゲル状経口組成物中におけるβ-アラニンの含有量は、好ましくは0.16~12.8質量%、より好ましくは0.8~10.0質量%である。
【0013】
本発明におけるエリスリトールとは、食品、飲料、医薬部外品、医薬品などに通常使用されるエリスリトールを選択することができる。本発明のゲル状経口組成物中におけるエリスリトールの含有量は、好ましくは1.0~36.0質量%、より好ましくは1.6~18.0質量%である。
【0014】
本発明における酸味料とは、食品、医薬部外品、医薬品などに通常使用される有機酸又はその塩、もしくは無機酸又はその塩を選択することができる。本例示によって使用可能な酸味料を限定するものではないが、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸カリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アジピン酸、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウムなどの有機酸又はその塩や、リン酸、リン酸ナトリウム、塩酸などの無機酸又はその塩を用いることができる。本発明のゲル状経口組成物中における酸味料の含有量は、好ましくは合計量として0.1~20.0質量%、より好ましくは0.5~10質量%、さらに好ましくは1.0~5.0質量%である。
【0015】
本発明における増粘多糖類とは、植物や海藻、あるいは発酵工程から得られる高分子多糖類で、水に溶解すると粘性を示したり、ゲル化したりする性質を持つものの総称であり、食品、医薬部外品、医薬品などに通常使用される増粘多糖類を選択することができる。本例示によって使用可能な増粘多糖類を制限するものではないが、例えば、寒天、ジェランガム、ゼラチン、ペクチン、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タラガム、グアーガム、タマリンドシードガム、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、グルコマンナン、キトサン、サイリウムシードガム、カードラン、ウェランガム、カラヤガム、ハイドロキシメチルセルロース等を挙げることができる。また、本発明において増粘多糖類は、適宜1種又は2種以上を選択して用いることができる。なお、これらの中でも、寒天、ジェランガム、ゼラチン、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチンが好ましく、寒天、ジェランガム、ゼラチンがより好ましい。本発明のゲル状経口組成物中の増粘多糖類の含有量は、ゼリーの場合、好ましくは0.01~5.0質量%であり、より好ましくは0.01~3.0質量%である。グミの場合、好ましくは0.01~10.0質量%である。
【0016】
本発明におけるゲル状経口組成物は、水分を保持しており、液体のような流動性が少ないものであり、例えば、ゼリー、グミが挙げられる。また、水分活性(Aw)としては、0.30~0.99が好ましい。
【0017】
本発明のゲル状経口組成物は、β-アラニンの効果実感であるβ-アラニンフラッシュを感じてから、また、感じながら運動することでモチベーションの向上が期待されるため、運動前、または運動中に摂取されることが好ましい。本発明の運動とは、無酸素運動、有酸素運動、身体の柔軟性や可動域を高めるためのストレッチ、これらの要素を複合的に含んだトレーニングやスポーツなどが挙げられる。
【0018】
本発明のゲル状経口組成物は、1回の経口摂取でβ-アラニンを800mg~6400mgを摂取することができる。本発明における1回の経口摂取量とは、本発明の経口組成物が一度に摂取される量、より詳細には、例えば数分以内程度の短い時間において断続的にまたは連続的に摂取される量を示し、ゼリーの場合は例えば30g~300g、典型的には、30g、50g、100g、150g、180g、250g、300gがその量であり、グミの場合は例えば1g~10g、典型的には、1g、2g、3g、4g、5g、6g、8g、10gがその量である。また、容器や形は特に限定されない。ゼリー容器の容量は特に限定されないが、例えば30g~300g(典型的には30g、50g、100g、150g、180g、250g、300g)とすることができる。
【0019】
本発明の飲料中には、本発明の効果を損なわない質的、量的範囲で通常も用いられる他の成分、添加剤などを配合することができる。本発明の他の成分としては、例えば、カフェイン、ビタミン類(VB1、VB2、VB6、VB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、VC、VD、VE)、アミノ酸類(アルギニン,シトルリン、バリン、ロイシン、イソロイシン、グリシン、ヒスチジン、カルニチン、グルタミン、タウリン)、ローヤルゼリー、食塩、コエンザイムQ10、アスタキサンチン、αリポ酸等が挙げられる。また、添加剤としては、例えば、保存料(安息香酸、安息香酸ナトリウム等)、着色料、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、酸化防止剤、乳化剤、香料、消泡剤等が挙げられる。
【0020】
本発明のゲル状経口組成物の製造方法としては、常法により製造することができ、その方法は特に限定されるものではない。ゼリーの場合は、通常、各成分を量りとり、適量の精製水にて溶解、撹拌した後、必要に応じて加熱、pHを調整し、さらに精製水を加えて容量調整し、必要に応じてろ過、殺菌処理を施し、容器に充填、冷却することにより得られる。好ましくは、原料の全部又は一部を90~130℃で1秒~5分間殺菌し、さらに10~40℃程度に冷却して製造するのがよい。殺菌には通常の殺菌機を用いればよく、例えば、プレート式殺菌機、チューブラー式殺菌機、ジャケット付きタンク等を使用することができる。また、冷却には通常の冷却機を用いればよく、例えば、熱交換プレート、チューブラー式冷却機、ジャケット付きタンク等を使用することができる。
グミの場合は、通常、糖類等を適量の精製水にて溶解した後、必要に応じて加熱・濃縮し、その後、増粘剤や添加剤等を加え、容量調整もしくはBrix調整をし、必要に応じてろ過や殺菌等の処理を施し、容器に充填・成形し、乾燥することにより得られる。さらに、得られたグミは、必要に応じて、オイルやオブラートで表面をコーティングすることもできる。
【実施例0021】
以下に、実施例、比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例では、次に示す市販の原料を用いた。β-アラニン(商品名:100% BETA-ALANINE AMINO ACID、メーカー:MYPROTEIN)、エリスリトール(商品名:エリスリトール、メーカー:三菱ケミカル株式会社)、クエン酸(商品名:クエン酸(結晶)、メーカー:磐田化学工業株式会社)、リン酸(商品名:85%燐酸、メーカー:燐化学工業株式会社)、DL-リンゴ酸(商品名;リンゴ酸フソウ、メーカー:扶桑化学工業株式会社)寒天(商品名:伊那寒天カリコリカン、メーカー:伊那食品工業株式会社)、ジェランガム(商品名:ケルコゲルHM、メーカー:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)、ゼラチン(商品名:ゼラチン AP100、メーカー:株式会社ニッピ)。
【0022】
(試験サンプルの調製:ゼリー)(実施例1~7および比較例1~6)
寒天もしくはジェランガムを適量の精製水で溶解し、100℃になるまで加熱した後、下記表1~3に記載の処方の通り、成分を配合させ、精製水にて容量調整した。その後100gずつキャップ付きスタンドパウチに充填し、85℃で20分間の殺菌を行った後、冷却し、試験サンプル(ゼリー)を得た。
【0023】
(試験サンプルの調製:グミ)(実施例8)
エリスリトール、β-アラニンを精製水で加熱溶解し、そこにあらかじめ70℃の精製水で膨潤溶解しておいたゼラチンを加え、さらに事前溶解したクエン酸、香料を順次投入した後、容量調整をした。その後、モールドに6gずつ充填し、室温で12時間乾燥させ、試験サンプル(グミ)を得た。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
(試験例:ゼリー)
実施例1~7および比較例1~6は、飲用時のβ-アラニンフラッシュの刺激感(効果実感)を専門パネル2名で評価した。評価はサンプル100gを一度に飲用し、その後2分経過までは30秒ごとに、2分経過から30分経過までは1分ごとに両掌の開閉運動を5回繰り返し、表4の評価基準に則り、30分経過まで評価した。なお、サンプル間の試験条件を極力そろえるために1日1サンプルのみとし、評価時間を朝起床から午前9時30分までの間に実施した。また、評価当日は発熱や咳などの風邪症状がなく体調が優れていること、評価の一時間前より飲食をしないこと、官能検査室等の静かに官能試験に集中できる部屋で実施することを試験条件とした。なお、サンプルはブラインドで、専門パネルごとに1回評価した。
【0028】
(試験例:グミ)
実施例8は、飲用時のβ-アラニンフラッシュの刺激感(効果実感)を専門パネル2名で評価した。評価はβ-アラニンの一回摂取量が1200mgとなるように、サンプルを2粒、一度に摂取し、その後2分経過までは30秒ごとに、2分経過から30分経過までは1分ごとに両掌の開閉運動を5回繰り返し、表4の評価基準に則り、30分経過まで評価した。なお、サンプル間の試験条件を極力そろえるために1日1サンプルのみとし、評価時間を朝起床から午前9時30分までの間に実施した。また、評価当日は発熱や咳などの風邪症状がなく体調が優れていること、評価の一時間前より飲食をしないこと、官能検査室等の静かに官能試験に集中できる部屋で実施することを試験条件とした。なお、サンプルはブラインドで、専門パネルごとに1回評価した。
【0029】
【表4】
【0030】
(試験結果の解析)
表1~3に示したサンプルに関して、サンプルごとに、専門パネルのつけた30秒・1分・1分30秒・2分・3分、・・・・・28分・29分・30分の32の評価ポイントにおける評点を平均化し、各評価ポイントの平均評点を得た。平均評点の小数点第1位を四捨五入し、飲用後からの経過時間ごとに記録した結果を表5~7に示す。また、β-アラニンフラッシュの刺激感(効果実感)を十分に感じられている、表5~7に記載の平均評点の値が表4の基準において「手全体に感じる」もしくは「手全体に強く感じる」になる回数、すなわち平均評点3以上を記録した回数をサンプルごとにカウントし、表8~10に示す。
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】
【表7】
【0034】
【表8】
【0035】
【表9】
【0036】
【表10】
【0037】
(試験結果の考察)
表8より、実施例1~3のゲル状経口組成物(ゼリー)は、比較例1~4と比較して、平均評点3以上を記録した回数が多かったことから、β-アラニン特有の刺激感(効果実感)であるβ-アラニンフラッシュを増強することができた。
表9より、実施例2、4~6のゲル状経口組成物(ゼリー)は、比較例3と比較して、平均評点3以上を記録した回数が多かったことから、酸味料の種類・量によらず、β-アラニン特有の刺激感(効果実感)であるβ-アラニンフラッシュを増強することができた。
表10より、実施例2、7のゲル状経口組成物(ゼリー)は、比較例1、3、5、6と比較して、平均評点3以上を記録した回数が多かったことから、増粘剤の種類によらず、β-アラニン特有の刺激感(効果実感)であるβ-アラニンフラッシュを増強することができた。また、実施例8のゲル状経口組成物(グミ)においては、比較例3、6のような一度に摂取するβ-アラニン量が多い場合よりも、平均評点3以上を記録した回数が多いことから、グミとすることでβ-アラニン特有の刺激感(効果実感)であるβ-アラニンフラッシュを増強することができた。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明により、β-アラニンを増量することなく、β-アラニン特有の刺激感(効果実感)であるβ-アラニンフラッシュを増強したゲル状経口組成物を提供することが可能となった。よって、今後のスポーツサプリメントの機能性素材として広く使用されうるβ-アラニン特有の効果実感を増強したゲル状経口組成物を提供することにより、食品、医薬品、医薬部外品分野における産業の発達が期待できる。