(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173058
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】織機
(51)【国際特許分類】
D03D 49/10 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
D03D49/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020110
(22)【出願日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2021078596
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】名木 啓一
(72)【発明者】
【氏名】山岸 大吾
(72)【発明者】
【氏名】田村 公一
(72)【発明者】
【氏名】山 和也
【テーマコード(参考)】
4L050
【Fターム(参考)】
4L050AA11
4L050CA02
4L050CA10
4L050CA12
4L050CC01
4L050CC03
4L050CC09
4L050CC11
4L050EA02
4L050ED03
4L050ED04
(57)【要約】
【課題】織機の振動により軸受ケースの取付部分に作用する力を可及的に小さくすることができる駆動伝達軸の支持構造を備えた織機を提供すること。
【解決手段】織機フレームの内側でギア部材を介して経糸ビームに連結される駆動伝達軸であってサイドフレームに形成された貫通孔に挿通される駆動伝達軸と、前記駆動伝達軸を支持するための支持構造であって前記駆動伝達軸に対し軸線方向に間隔を置いて外嵌された第1の軸受及び第2の軸受を含む支持構造とを備えた織機において、前記支持構造が、前記第1の軸受を内装すると共に前記織機フレームの内側で前記サイドフレームに対し取り付けられる第1の軸受ケースと、前記第2の軸受を内装すると共に前記織機フレームの外側で前記サイドフレームに対し取り付けられる第2の軸受ケースとを含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のサイドフレームを含む織機フレームの内側でギア部材を介して経糸ビームに連結される駆動伝達軸であって前記サイドフレームに形成された貫通孔に挿通される駆動伝達軸と、前記駆動伝達軸を支持するための支持構造であって前記駆動伝達軸に対し軸線方向に間隔を置いて外嵌された第1の軸受及び第2の軸受を含む支持構造とを備えた織機において、
前記支持構造が、前記第1の軸受を内装すると共に前記織機フレームの内側で前記サイドフレームに対し取り付けられる第1の軸受ケースと、前記第2の軸受を内装すると共に前記織機フレームの外側で前記サイドフレームに対し取り付けられる第2の軸受ケースとを含む
ことを特徴とする織機。
【請求項2】
前記第1の軸受ケースと前記第2の軸受ケースとは、共通のネジ部材によって前記サイドフレームに対し取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の織機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のサイドフレームを含む織機フレームの内側でギア部材を介して経糸ビームに連結される駆動伝達軸であって前記サイドフレームに形成された貫通孔に挿通される駆動伝達軸と、前記駆動伝達軸を支持するための支持構造であって前記駆動伝達軸に対し軸線方向に間隔を置いて外嵌された第1の軸受及び第2の軸受を含む支持構造とを備えた織機に関する。
【背景技術】
【0002】
織機において、経糸ビームを回転駆動する駆動機構は、経糸ビームにおけるビームギアと噛み合うピニオンギアのようなギア部材、そのギア部材が一方の端部に固定された駆動伝達軸、及びその駆動伝達軸と駆動源とを連結するギア列を含んでいる。なお、一般的な織機では、駆動源が織機フレームの外側に配置されていることから、ギア列による駆動源と駆動伝達軸との連結も、織機フレームの外側において行われている。したがって、織機フレームの内側においてギア部材を介して経糸ビーム(ビームギア)と連結される駆動伝達軸は、織機フレームにおける一対のサイドフレームのうちの駆動機構が設けられる側(駆動機構側)のサイドフレームに形成された貫通孔に挿通されるかたちで、織機フレームの外側に向けて延びるものとなっている。
【0003】
そして、その駆動伝達軸は、駆動機構側のサイドフレームに取り付けられた支持構造により、駆動機構側のサイドフレームに対し支持されている。なお、その支持構造は、支持をする駆動伝達軸に対しその駆動伝達軸の軸線方向に間隔を置いて設けられるかたちとなる2つの軸受(第1の軸受、第2の軸受)を含んでいる。そして、駆動伝達軸は、その2つの軸受が前記軸線方向に間隔を置いて外嵌されるかたちで、支持構造に対し回転可能に支持されている。そして、そのような支持構造を備えた織機は、特許文献1にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された織機では、その支持構造は、サイドフレームに対し取り付けられたブラケット(軸受ケース)に対し第1の軸受及び第2の軸受が内装されるるかたちで構成されている。すなわち、その支持構造は、第1の軸受及び第2の軸受が共通の(単一の)軸受ケースに内装されるように構成されている。なお、その軸受ケースは、第1の軸受と第2の軸受とが前記のように前記軸線方向に間隔を置いて駆動伝達軸に外嵌された状態となるように、両軸受を内装する部分が前記軸線方向に延びる円筒状に形成されたものとなっており、その円筒状の部分の一端側においてサイドフレームに対し取り付けられている。
【0006】
なお、一般的な織機においては、織機フレームは、開口装置における綜絖枠の開口運動や筬打ち装置における筬打ち動作等の影響により、製織中において激しく振動する。したがって、その織機フレーム(サイドフレーム)に支持されている経糸ビームも、製織中において激しく振動する。そして、そのように経糸ビームが振動するのに伴い、その経糸ビーム(ビームギア)とギア部材を介して連結された駆動伝達軸も振動する。
【0007】
そして、そのように駆動伝達軸が振動するのに伴い、その駆動伝達軸に外嵌された第1の軸受及び第2の軸受を介し、両軸受を内装する軸受ケースに対しその振動が伝わることとなる。すなわち、軸受ケースは、その振動の方向に向けての力を軸受から受ける状態となる。そして、前記のようにサイドフレームに取り付けられた軸受ケースに軸受が内装された特許文献1の支持構造では、その2つの軸受のうちの一方である第2の軸受がサイドフレームに対する軸受の取付位置から離間して存在しているため、軸受ケースが前記振動による力を第2の軸受から受けると、軸受ケースの取付部分には、その力、及び前記軸線方向における軸受ケースの取付位置と第2の軸受との距離に応じたモーメント力が作用する。
【0008】
特に、特許文献1の支持構造では、前記したように2つの軸受を内装する部分が前記軸線方向に延びる(長い)円筒状に形成されており、第1の軸受が前記一端側(サイドフレームに対し取り付けられる側)に内装されると共に、第2の軸受がその他端側に内装されるようになっている。そのため、第2の軸受の位置は、前記取付位置に対し前記軸線方向において大きく離間した位置となっている。すなわち、その支持構造は、前記軸線方向における前記取付位置と第2の軸受の位置との間の距離が大きいものとなっている。そのため、前記した軸受ケースの取付部分に作用するモーメント力も、その距離が大きい分、大きな力となっている。しかも、その支持構造では、単一の軸受ケースにより2つの軸受を内装する構成となっているため、前記のような第2の軸受による力(モーメント力)に加え、第1の軸受が軸受ケースに作用させる力もその前記取付部分の掛かることとなる。
【0009】
そして、織機フレームが前記のように激しく振動するのに伴い、そのような力は、極めて高い頻度で前記取付部分に作用することとなる。そのため、軸受ケースは前記取付部分においてネジ部材によりサイドフレームに対し固定されているが、その取付部分において摩耗等が生じ、取付状態にガタが生じた状態となる虞がある。そして、そのように軸受ケースの取付状態にガタが生じた状態で織機が高速で運転されると、軸受ケースがより激しく振動することとなるため、軸受ケースやネジ部材が破損してしまう場合がある。
【0010】
さらに、軸受ケースの取付状態にガタが生じると、それに伴う振動による衝撃が両軸受に作用するために軸受の破損を招いてしまったり、駆動伝達軸の支持状態が不安定になる結果として、駆動伝達軸や、その駆動伝達軸と経糸ビームのビームギアとを連結するギア部材等の破損を招いてしまうといった問題が生じる場合もある。
【0011】
そこで、本発明は、織機の振動に起因して駆動機構における各構成要素(軸受ケース、駆動伝達軸、両軸受、及びギア部材等)が破損するのを防止すべく、前記振動により軸受ケースの取付部分に作用する力を可及的に小さくすることができる駆動伝達軸の支持構造を備えた織機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、一対のサイドフレームを含む織機フレームの内側でギア部材を介して経糸ビームに連結される駆動伝達軸であって前記サイドフレームに形成された貫通孔に挿通される駆動伝達軸と、前記駆動伝達軸を支持するための支持構造であって前記駆動伝達軸に対し軸線方向に間隔を置いて外嵌された第1の軸受及び第2の軸受を含む支持構造とを備えた織機を前提とする。
【0013】
その上で、前記の目的を達成すべく、本発明は、その前提とする織機において、前記支持構造が、前記第1の軸受を内装すると共に前記織機フレームの内側で前記サイドフレームに対し取り付けられる第1の軸受ケースと、前記第2の軸受を内装すると共に前記織機フレームの外側で前記サイドフレームに対し取り付けられる第2の軸受ケースとを含むことを特徴とする。
【0014】
また、そのような本発明による織機において、前記第1の軸受ケースと前記第2の軸受ケースとが、共通のネジ部材によって前記サイドフレームに対し取り付けられているようにしても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、支持構造は、第1の軸受と第2の軸受とが共通の軸受ケースに内装されるのでは無く、各軸受に対応して設けられると共に、織機フレームの内側と外側とに分けてそれぞれがサイドフレームに取り付けられる第1の軸受ケース、第2の軸受ケースに内装されるようになっている。したがって、各軸受ケースは、2つの軸受を前記軸線方向に離間させて内装するものと比べ、内装する軸受をサイドフレームに対し近い位置に配置することができるように構成されたものとすることができる。そして、各軸受ケースをそのように構成することで、各軸受ケースにおいては、サイドフレームに対する取付位置と軸受の位置との距離が小さくなるため、前記モーメント力(より詳しくは、前記振動によって各軸受ケースがその内装する軸受から力を受けることでその軸受ケースの取付部分に対し作用するモーメント力)が小さくなる。
【0016】
しかも、その支持構造は、軸受毎に軸受ケースが設けられるように構成されていることから、前記振動によって軸受が軸受ケースに作用させる力も、軸受毎に、対応する軸受ケースで受けられることとなる。したがって、2つの軸受が共通の軸受ケースに内装される場合と比べ、各軸受ケースの取付部分に作用する力は小さくなる。
【0017】
したがって、本発明における支持構造によれば、製織中に織機フレームが激しく振動することで各軸受ケースの取付部分に作用する力を、従来の構成の場合と比べ、可及的に小さくすることができる。それにより、その力が各軸受ケースの取付部分に作用することによるその取付部分に生じる摩耗等を抑えることができ、その結果として、駆動機構における各構成要素が破損するのを抑えることができる。
【0018】
また、本発明による織機において、その支持構造を、第1の軸受ケースと第2の軸受ケースとが共通のネジ部材でサイドフレームに対し取り付けられる構成とすることにより、各軸受ケースがサイドフレームに対しより堅固に取り付けた状態とすることができる。
【0019】
詳しくは、各軸受ケースは、ネジ部材によってサイドフレームに取り付けられるが、第1の軸受ケースと第2の軸受ケースとを共通のネジ部材でサイドフレームに取り付けることで、その取付状態は、両軸受ケースでサイドフレームを挟み込むかたちで両軸受ケースがサイドフレームに対し取り付けられた状態となる。すなわち、ネジ部材の締付けによって生じる両軸受ケースによる挟持力をサイドフレームに作用させた状態で、各軸受ケースがサイドフレームに取り付けられた状態となる。
【0020】
それにより、その挟持力によって両軸受ケースとサイドフレームとの間に生じる摩擦力の合計が、各軸受ケースを保持するための保持力となる。したがって、その構成によれば、各軸受ケースを個別にサイドフレームに対し取り付ける場合と比べ、各軸受ケースの保持力が大きくなるため、各軸受ケースがより堅固にサイドフレームに対し取り付けられた状態となる。なお、そのように各軸受ケースが堅固に取り付けられた状態となることで、製織中に各軸受ケースに対し前記振動に起因する力(前記モーメント力及び軸受が軸受ケースに作用させる力)が掛かっても、各軸受ケースに摩耗等が生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、
図1~6に基づき、本発明による織機の一実施例を説明する。
【0023】
織機1において、織機フレーム2は、一対のサイドフレーム3、3を主体とし、その両サイドフレーム3、3がその幅方向(厚さ方向)において対向した状態で複数の梁材4で連結された構成となっている。
【0024】
また、織機1は、筬5aを含むと共に、その筬5aを揺動駆動するための機構を含む筬打ち装置5を備えている。その筬打ち装置5は、往復回動駆動されるロッキング軸5b、ロッキング軸5bに取り付けられる複数のスレーソード、及び各スレーソードに支持されると共に筬5aが取り付けられるスレーを含んでいる。そして、筬打ち装置5は、そのロッキング軸5bが一対のサイドフレーム3、3間において架設されるかたちで両サイドフレーム3、3によって支持されることで、一対のサイドフレーム3、3に支持されるかたちで設けられている。
【0025】
また、織機1は、その前後方向における前側に、製織された織布Wを巻き取るための織布ビーム13を備えている。但し、ここで言う前後方向とは、平面視において織機1の幅方向(梁材4の長手方向)と直交する方向である。そして、その織布ビーム13も、両端の軸部が各サイドフレーム3に支持されることで、一対のサイドフレーム3、3に支持されるかたちで設けられている。
【0026】
さらに、織機1は、前記前後方向における後側に、経糸Tを送り出すための経糸ビーム15を備えている。なお、織機1において、各サイドフレーム3には、その経糸ビーム15を支持するためのビームサポート20が設けられている。そして、経糸ビーム15は、両端の軸部が各ビームサポート20に支持されることで、その一対のビームサポート20、20を介し、一対のサイドフレーム3、3に支持されるかたちで設けられている。
【0027】
以上のような織機1において、各サイドフレーム3は、経糸ビーム15を支持する部分が、送出フレーム33として、前記した筬打ち装置5、織布ビーム13を支持する部分である本体フレーム31とは別体であるように形成されている。そして、その送出フレーム33は、主体的な部分である本体フレーム31に固定されることで、サイドフレーム3の一部を形成している。すなわち、各サイドフレーム3は、主体的な部分であって筬打ち装置5、織布ビーム13を支持する本体フレーム31と、その本体フレーム31に固定されると共に経糸ビーム15を支持する送出フレーム33とで構成されている。
【0028】
その各サイドフレーム3について、より詳しくは、本体フレーム31は、
図1、2に示すように、筐体状であると共に、その外側面(外側壁)が開放されたような形状を成している。そして、両サイドフレーム3、3は、その本体フレーム31において前記のように梁材4によって連結されている。因みに、その連結位置は、本体フレーム31における上側の部分の2位置と、下側の部分の2位置の計4箇所となっている。但し、上側の連結位置は、前記前後方向に関し、本体フレーム31の中央部から前側に離間した位置及び後側に離間した位置の2位置となっている。また、下側の連結位置は、前記中央部付近の2位置となっている。
【0029】
また、本体フレーム31は、製織工場等において設置面(床面)19上に設置されるが、図示の例では、本体フレーム31の高さ位置を調整するための嵩上げ部材14を介して設置面19上に設置されている。なお、その嵩上げ部材14は、略直方体形状のブロック状の部材であって、本体フレーム31の下面に対し、ボルト等のネジ部材を用いて取り付けられている。その上で、本体フレーム31は、設置面19から突出するようなかたちで設けられたアンカーボルトによって嵩上げ部材14が設置面19に対し固定されることで、設置面19に対し設置(固定)された状態とされている。
【0030】
また、送出フレーム33は、サイドフレーム3における経糸ビーム15を支持する部分であり、本体フレーム31の後部側において、本体フレーム31に対し一体化されるように固定されている。但し、経糸ビーム15は、織機1上において、前述のようにビームサポート20によって支持された状態とされる。したがって、送出フレーム33は、そのビームサポート20を支持するものとなっている。その上で、本実施例の織機1では、その送出フレーム33とビームサポート20とは、一体で成形され、それぞれが単一の送出構造体の一部となっている。
【0031】
その送出構造体における送出フレームに相当する部分(送出フレーム部)33は、
図3に示すように、設置面19上に設置(固定)される部分であるベース部33bと、そのベース部33b上に立設するかたちで設けられた部分である略筐体状の支持部33aとで構成されている。なお、支持部33aは、図示の例では、その内側を向く側面が開放されると共に、前記前後方向における中央部付近に補強用のリブが形成されるように形成されたものとなっている。また、その支持部33aは、ベース部33bにおいて設置面19に対し直接的に固定されるが、その固定された状態において、その上端が前記のように嵩上げ部材14を介して設置面19上に設置された本体フレーム31の下面よりも上方に位置するような高さ寸法を有している。
【0032】
また、その送出構造体において、送出フレーム部33よりも上側の部分は、ビームサポートに相当する部分(ビームサポート部)20となっている。そのビームサポート部20は、経糸ビーム15における両端の軸部に嵌装された軸受18を受け入れる円弧状の支承面が形成された支承部20aと、支承部20aへ向けて経糸ビーム15を案内するために上面が前記支承面に連続すると共に支承部20aから後方へ向けて延びる案内部20bとを有している。また、ビームサポート部20は、支承部20aに受け入れられた経糸ビーム15を保持するためのクランプレバー20cを有している。そのクランプレバー20cは、支承部20aに対し回動可能に設けられていると共に、支承部20aに受け入れられた経糸ビーム15(軸受18)を保持すべく、ボルト等の固定手段20dによって案内部20bに対し固定されるようになっている。
【0033】
そして、その送出構造体は、本体フレーム31の後部側の内側壁に固定されている。具体的には、送出構造体は、ビームサポート部20における案内部20bを後方へ向ける向きで、その一部が前記前後方向において本体フレーム31と重複する配置で、サイドフレーム3内に位置した状態とされる。但し、その送出構造体と本体フレーム31との位置関係は、送出構造体のビームサポート部20における前記支承面が本体フレーム31の後端よりも後方に位置する(前記支承部が本体フレーム31と重複しない)ものとなっている。その上で、送出構造体は、前記前後方向に関し前記のような位置関係でその外側壁において本体フレーム31の内側壁に当接した状態で、ボルト等のネジ部材により複数の箇所で本体フレーム31に対し固定されている。
【0034】
なお、送出構造体は、そのように本体フレーム31に固定された状態で、送出フレーム部33におけるベース部33bにおいて、設置面19から突出するようなかたちで設けられたアンカーボルトによって設置面19に対し固定されている。
【0035】
また、織機1は、送出構造体におけるビームサポート部20に支持された経糸ビーム15を回転駆動させるための駆動機構40を備えている。より詳しくは、経糸ビーム15は、
図4に示すように、ビームフランジ16の外側に取り付けられたビームギア17を含んでいる。そして、駆動機構40は、経糸ビーム15を回転駆動するための駆動源としての送出モータMと、経糸ビーム15におけるビームギア17と噛み合うギア部材であるピニオンギア46と、そのピニオンギア46を介して経糸ビーム15に連結される駆動伝達軸44であって、その一方の端部にピニオンギア46が固定された駆動伝達軸44とを含んでいる。
【0036】
また、駆動機構40は、
図3に示すように、送出モータMの出力軸を駆動伝達軸44に対し連結するためのギア列48を含んでいる。さらに、そのギア列48は、駆動伝達軸44の他方の端部に固定されたウォームホイール48a、そのウォームホイール48aと噛み合うウォーム48bを含むウォーム軸48c、ウォーム軸48cの一方の端部に固定された伝達ギア48d、及び送出モータMの出力軸に固定されたモータギア48eであって伝達ギア48dと噛み合うモータギア48eから構成されている。
【0037】
そして、そのギア列48は、本体フレーム31(サイドフレーム3)に取り付けられたギアケース42に収納されている。なお、そのギアケース42は、織機フレーム2の外側に配置されるかたちで設けられている。したがって、駆動伝達軸44は、本体フレーム31に挿通されるかたちで設けられた状態となる。
【0038】
そこで、本体フレーム31には、そのような駆動伝達軸44が挿通される貫通孔31aが形成されている。但し、その貫通孔31aは、
図1に示すように、本体フレーム31の後部側の下側の部分において、経糸ビーム15におけるビームギア17の外周縁と重複するような位置に形成されている。また、その貫通孔31aは、鍵孔状に形成されており、丸孔状の丸孔部31a1と、その丸孔部31a1に連続するように形成された長孔状の長孔部31a2とから成っている。なお、長孔部31a2は、丸孔部31a1に対し前側において、前記前後方向と平行な方向に延びるように形成されている。また、長孔部31a2は、上下方向において、その中心線の位置が丸孔部31a1の中心の位置と略一致するような位置に形成されている。
【0039】
また、丸孔部31a1の内径は、駆動伝達軸44に固定されているピニオンギア46の外径よりも僅かに大きい寸法となっている。一方、長孔部31a2の上下方向における寸法は、駆動伝達軸44の軸径よりも僅かに大きい寸法となっている。さらに、長孔部31a2の長手方向における寸法は、駆動伝達軸44の軸径よりも大きい寸法となっており、図示の例では、その軸径の1.5倍程度となっている。
【0040】
そして、駆動伝達軸44は、その貫通孔31aの長孔部31a2に挿通されるかたちで本体フレーム31に設けられることにより、織機フレーム2の内側でピニオンギア46を介して経糸ビーム15に連結されると共に、織機フレーム2の外側でギア列48を介して送出モータMの出力軸と連結された状態となる。
【0041】
その上で、駆動伝達軸44は、本体フレーム31に取り付けられた支持構造50により本体フレーム31(サイドフレーム3)に対し支持されている。なお、その支持構造50は、駆動伝達軸44をその軸線方向に間隔を置いた2箇所で支持するように、2つの軸受(第1の軸受52及び第2の軸受54)を含んでいる。そして、駆動伝達軸44は、その2つの軸受が外嵌されるかたちで、支持構造50に対し回転可能に支持されている。
【0042】
以上で説明した織機において、本発明では、支持構造は、第1の軸受を内装すると共に織機フレームの内側でサイドフレームに対し取り付けられる第1の軸受ケースと、第2の軸受を内装すると共に織機フレームの外側でサイドフレームに対し取り付けられる第2の軸受ケースとを含むように構成されている。そして、本実施例は、その第1の軸受ケースと第2の軸受ケースとが共通のネジ部材によってサイドフレーム3(本体フレーム31)に対し取り付けられる例である。そのような支持構造について、詳しくは以下の通りである。
【0043】
第1の軸受ケース56は、
図5、6に示すように、両端が開放された略円筒状に形成された部分である第1の支持部56aを主体とする部材である。但し、その第1の軸受ケース56は、第1の支持部56aのその軸線方向における一端側に、フランジ状に形成された部分である第1の取付部56bを有している。なお、
図5は、第1の軸受ケース56を織機フレーム2の内側から視た図(
図4におけるA視)であり、
図6は、
図5におけるB-B断面図である。
【0044】
また、その第1の軸受ケース56において、第1の支持部56aは、図示のように、第1の取付部56bが設けられる一端側の開口よりも他端側の開口が小さくなるように、その他端に半径方向における内側に僅かに突出する部分(突出部)56a1を有している。その上で、その第1の軸受ケース56には、第1の支持部56aにおいて、その突出部56a1に当接させるような配置で第1の軸受52が内装される。したがって、その第1の軸受ケース56(第1の支持部56a)の前記軸線方向における寸法は、第1の軸受52の厚さ寸法よりも大きく、図示の例では、ピニオンギア46と本体フレーム31との間隔よりも若干小さい寸法となっている。
【0045】
また、第1の取付部56bは、
図5に示すように、略台形状に形成されている。そして、第1の取付部56bには、その四隅に、第1の軸受ケース56を本体フレーム31に取り付けるためのネジ部材62を挿通させる貫通孔56b1が形成されている。なお、第1の軸受ケース56の本体フレーム31に対する取り付けは、位置決めピン64を用いて本体フレーム31に対する第1の軸受ケース56の位置を固定した(位置決めした)状態で行われる。したがって、本体フレーム31には、貫通孔31aにおける長孔部31a2の上縁及び下縁の近傍に、その内側面(内側壁)から突出するかたちで2つの位置決めピン64、64が設けられている。その上で、第1の取付部56bには、その位置決めピン64が嵌挿される2つの位置決め孔56b2、56b2が形成されている。
【0046】
また、第2の軸受ケースについて、本実施例では、前記したギアケース42が軸受を内装するようにも構成されており、ギアケース42が第2の軸受ケースをも兼ねるようになっている。すなわち、そのギアケース42は、前記したギア列48を収納する部分としてのギア列収納部42cに加え、第2の軸受54を内装する部分としての第2の支持部42aを有するように構成されている。さらに、本実施例のギアケース42は、その構成として、自身を本体フレーム31に対し取り付ける部分である第2の取付部42bも有している。
【0047】
より詳しくは、ギア列収納部42cは、
図3、4、及び
図6に示すように、ウォームホイール48aを収納するホイール収納部42c1と、ウォーム48b及びウォーム軸48cを収納するウォーム収納部42c2と、伝達ギア48d及びモータギア48eを収納するギア収納部42c3とから構成されている。
【0048】
それらのうち、ホイール収納部42c1は、両端が開放された略円筒状を成している。また、ホイール収納部42c1は、ウォームホイール48aを収納すべく、その内径がウォームホイール48aの外径よりも若干大きく、且つ、軸線方向における寸法がウォームホイール48aの厚さ方向における寸法より大きい(図示の例では2倍程度)ものとなっている。また、ホイール収納部42c1は、その一端側の開口が他端側の開口よりも小さく形成されたものとなっている。その上で、ホイール収納部42c1の他端には、円盤状の蓋部材66が取り付けられており、他端側の開口は、その蓋部材66により閉塞された状態となっている。
【0049】
また、ウォーム収納部42c2は、概ね円筒状を成すものとなっている。また、ウォーム収納部42c2は、その内径がウォーム48bの外径よりも僅かに大きく、且つ、その軸線方向における寸法がホイール収納部42c1の外径よりも若干小さいものとなっている。その上で、ウォーム収納部42c2は、ホイール収納部42c1の外周面上において、その軸線方向をホイール収納部42c1の軸線方向と直交させるような向きで、ホイール収納部42c2と一体的に形成されている。また、そのように一体的に形成された状態で、ホイール収納部42c1とウォーム収納部42c2とは互いの内部空間が繋がった状態となっている。
【0050】
そして、そのウォーム収納部42c2には、ホイール収納部42c1に収納されるウォームホイール48aとウォーム48bとが噛合するようなかたちで、ウォーム軸48cが収容される。より詳しくは、ギアケース42(ホイール収納部42c1)には、後述のように駆動伝達軸44が回転可能に支持される。また、その支持は、円筒状を成すホイール収納部42c1の軸線方向に対し駆動伝達軸44の軸線方向を一致させると共に、その軸線方向に見てホイール収納部42c1の中心に駆動伝達軸44の軸心を略一致させるようなかたちで行われている。その上で、ウォームホイール48aは、駆動伝達軸44の一端部に嵌装された状態で、ホイール収納部42c1内に収納されている。なお、その状態において、ウォームホイール48aは、前記軸線方向において、そのギア歯の中心が円筒形状を成すウォーム収納部42c2の中心と略一致するような配置で設けられている。
【0051】
その上で、ウォーム軸48cは、その軸線方向に関し、ウォーム48bが前記のように設けられたウォームホイール48aと噛合するような配置で、ウォーム収納部42c2内に収納されている。なお、ウォーム軸48cは、ウォーム収納部42c2内において、軸受等(図示略)を介して回転可能に支持されている。さらに、ウォーム軸48cは、そのように収納(支持)された状態において、その一端部がウォーム収納部42c2における開放された一端側から突出するようなかたちで設けられている。
【0052】
また、ギア収納部42c3は、前記のようにウォーム軸48cと送出モータMの出力軸とを連結するギア(伝達ギア48d、モータギア48e)を収納する部分であり、図示の構成では、ウォーム収納部42c2と一体的に形成されている。具体的には、ギア収納部42c3は、その両側面の一方が、ウォーム収納部42c2における前記のように開放された一端側の端縁に連続するようなかたちで、ウォーム収納部42c2と一体的に設けられている。なお、ウォーム軸48cは、前記のようにその一端部がウォーム収納部42c2における開放された一端側から突出している。そこで、そのギア収納部42c3における一方の側面には、そのウォーム軸48cの一端部が挿通される貫通孔が形成されている。それにより、ウォーム軸48cは、その一端部がギア収納部42c3の内部に位置した状態となっている。その上で、そのギア収納部42c3内に位置するウォーム軸48cの一端部には、伝達ギア48dが固定されている。
【0053】
また、送出モータMは、ギア収納部42c3における他方の側面に対し、出力軸の軸線方向をウォーム軸48cの軸線方向と一致させると共に、その出力軸をギア収納部42c3の一方の側面に向ける向きで取り付けられている。したがって、ギア収納部42c3における他方の側面には、送出モータMの出力軸が挿通される貫通孔が形成されている。それにより、送出モータMがギア収納部42c3に取り付けられた状態で、送出モータMの出力軸は、大体の部分がギア収納部42c3の内部に位置している。その上で、送出モータMの出力軸には、前記のようにモータギア48eが固定されている。そして、そのモータギア48eと伝達ギア48dとは、ギア収納部42c3内において噛合した状態となっている。
【0054】
また、ギアケース42は、前記のように自身を本体フレーム31に対し取り付ける部分である第2の取付部42bを有している。より詳しくは、ギア列収納部42cにおけるホイール収納部42c1は、前述のように略円筒状を成すと共にその一端側の開口が他端側の開口よりも小さい形状を成しており、その一端側の開口の内径は、他端側の開口の半分程度となっている。したがって、ホイール収納部42c1は、その一端側に、他端側の開口に対し半径方向に延びる壁部42c4を有している。その上で、ギアケース42は、その壁部42c4からホイール収納部42c1の軸線方向に延びる4本の柱状の脚部42b1を有しており、その4本の柱状の脚部42b1で第2の取付部42bが構成されている。
【0055】
なお、その4本の脚部42b1は、ホイール収納部42c1の軸線方向に見て、ホイール収納部42c1の一端側の開口の周囲の壁部42c4に形成されている。また、その4本の脚部42b1が形成される位置は、第1の軸受ケース56における第1の取付部56bに形成された4つの貫通孔56b1の位置に合わせることができる位置となっている。さらに、その4本の脚部42b1は、ホイール収納部42c1に対する位置が、前記のように4つの貫通孔56b1の位置と合わせた状態で、第1の軸受ケース56(ホイール収納部42c1)の軸線方向に見て、第1の軸受ケース56の軸心とホイール収納部42c1の軸心とが一致した状態となるような位置であるように形成されている。
【0056】
また、前述のように、本実施例では、第1の軸受ケース56と第2の軸受ケース(ギアケース42)とが共通のネジ部材によってサイドフレーム3(本体フレーム31)に取り付けられる。そして、その共通のネジ部材は、前記したネジ部材62である。そこで、各脚部42b1の端面42b2には、
図6に示すように、そのネジ部材62が螺装される雌ネジ孔42b3が形成されている。また、本体フレーム31には、そのネジ部材62が挿通される4つの挿通孔31bが形成されている。
【0057】
さらに、そのギアケース42の本体フレーム31に対する取り付けは、第1の軸受ケース56と同様に、位置決めピン(図示略)を用いて本体フレーム31に対するギアケース42の位置を固定した状態で行われる。そこで、本体フレーム31には、貫通孔31aにおける長孔部31a2の上縁及び下縁の近傍に、その外側面(外側壁)から突出するかたちで2つの位置決めピンが設けられている。その上で、4本の脚部42b1のうち、対応する2本の脚部42b1の端面42b2には、その位置決めピンが嵌挿される位置決め孔(図示略)が形成されている。
【0058】
また、ギアケース42は、ホイール収納部42c1内に、第2の軸受54を内装する部分としての第2の支持部42aを有している。より詳しくは、ギアケース42は、ホイール収納部42c1における壁部42c4に対し一体的に形成された第2の支持部42aを含むように構成されている。その第2の支持部42aは、
図6に示すように、両端が開放された略円筒状を成しており、壁部42c4の内側の面からホイール収納部42c1の内側へ向けて突出するようなかたちで、壁部42c4と一体的に形成されている。なお、その第2の支持部42aは、その軸線方向に見て、その軸心がホイール収納部42c1の軸心と一致するような位置に形成されている。さらに、その第2の支持部42aは、前記のように第2の軸受54を内装する部分であり、その内径が第2の軸受54を嵌装し得るような大きさであると共に、軸線方向における寸法が第2の軸受54の厚さ寸法よりも若干大きいものとなっている。
【0059】
また、その第2の支持部42aの内径は、前記したホイール収納部42c1の一端側の開口よりも大きくなっている。したがって、第2の支持部42aは、その軸線方向に見て、壁部42c4側においてその内側に壁部42c4の一部が存在するようなものとなっている。その上で、第2の支持部42aにおいては、壁部42c4に当接させた状態で、第2の軸受54が内装される。
【0060】
そして、以上で説明した支持構造50おいて、第1の軸受ケース56及びギアケース(第2の軸受ケース)42は、本体フレーム31を挟み込むかたちで前記した共通のネジ部材62によって本体フレーム31に対し取り付けられる。
【0061】
なお、その取り付けにあたっては、第1の軸受ケース56は、前述のように、織機フレーム2の内側に配置され、位置決めピン64により位置決めされた状態で、本体フレーム31の内側面に当接した状態とされる。また、ギアケース42は、織機フレーム2の外側に配置され、本体フレーム31の外側面から突出する位置決めピンによって位置決めされた状態で、その第2の取付部42bにおける各脚部42b1の端面42b2において本体フレーム31の外側面に当接した状態とされる。そして、その状態では、第1の軸受ケース56の第1の取付部56bに形成された貫通孔56b1とギアケース42の第2の取付部42bにおける端面42b2に形成された雌ネジ孔42b3とは、第1の支持部56a(第2の支持部42a)の軸線方向に見て、本体フレーム31に形成された挿通孔31bに対しその位置が一致した状態となっている。
【0062】
その上で、ネジ部材62が、第1の軸受ケース56側(織機フレーム2の内側)からその第1の軸受ケース56における貫通孔56b1に挿入されると共に、本体フレーム31における挿通孔31bに挿通され、ギアケース42における雌ネジ孔42b3に螺合される。それにより、第1の軸受ケース56とギアケース(第2の軸受ケース)42とは、本体フレーム31を挟み込むかたちで本体フレーム31に対し取り付けられた(固定された)状態となる。
【0063】
なお、その取り付け状態では、第1の軸受ケース56における第1の支持部56a(ギアケース42における第2の支持部42a)の軸線方向に見て、第1の支持部56aと第2の支持部42aとは、その軸心とが一致した状態となっている。その上で、駆動伝達軸44が、織機フレーム2の内側においては第1の支持部56aに内装された第1の軸受52が外嵌されると共に、外側においては第2の支持部42aに内装された第2の軸受54が外嵌されるかたちで、第1の軸受ケース56及びギアケース42によって支持されている。
【0064】
それにより、駆動伝達軸44は、本体フレーム31に対し回転可能に支持された状態となる。そして、駆動伝達軸44がそのように支持された状態において、駆動伝達軸44の一方の端部に固定されたピニオンギア46が経糸ビーム15におけるビームギア17に噛合すると共に、ウォームホイール48aがギアケース42におけるギア列収納部42cのウォーム収納部42c2に支持(収納)されたウォーム48bと噛合した状態となっている。
【0065】
以上のように構成された本実施例の織機1によれば、支持構造50は、第1の軸受52が本体フレーム31の内側面(織機フレーム2の内側)に取り付けられた第1の軸受ケース56に内装され、第2の軸受54が本体フレーム31の外側面(織機フレーム2の外側)に取り付けられた第2の軸受ケースを兼ねるギアケース42に内装されるようになっている。したがって、その支持構造50は、従来の支持構造のように第1の軸受及び第2の軸受が共通の軸受ケースに内装されているものに比べ、第1の軸受52及び第2の軸受54の両軸受を本体フレーム31(サイドフレーム3)に対し近い位置に配置することができる。
【0066】
それにより、その支持構造50においては、各軸受ケース(第1の軸受ケース56及びギアケース42)における本体フレーム31に対し取り付けられる位置と軸受を内装する位置との距離が小さくなるため、織機フレーム2の振動によって各軸受ケースがその内装する軸受から力を受けることでその軸受ケースの取付部分に対し作用するモーメント力が小さくなる。しかも、軸受ケースが軸受毎に設けられているため、前記振動によって軸受ケースが軸受から受ける力も、従来の支持構造のように2つの軸受が共通の軸受ケースに内装されるものと比べ、小さくなる。その結果として、前記振動によって各軸受ケースの取付部分に作用する力は、従来の支持構造と比べて小さくなる。
【0067】
このように、その支持構造50では、前記振動によって各軸受ケースの取付部分に作用する力を、従来の支持構造と比べ、可及的に小さくすることができる。それにより、その力に起因する、その取付部分に生じる摩耗等を抑えることができ、その結果として、各軸受ケース、両軸受、駆動伝達軸44、及び各ギア部材といった駆動機構40における各構成要素が破損するのを抑えることができる。
【0068】
また、本実施例の織機1では、共通のネジ部材62によって第1の軸受ケース56及びギアケース42を本体フレーム31に取り付けることで、第1の軸受ケース56とギアケース42とは、本体フレーム31を挟み込むかたちで本体フレーム31に対し取り付けられた状態となっている。それにより、第1の軸受ケース56及びギアケース42を個別に本体フレーム31に取り付けた場合と比べ、第1の軸受ケース56及びギアケース42をより堅固に本体フレーム31(サイドフレーム3)に取り付けた状態とすることができる。そして、その結果として、第1の軸受ケース56及びギアケース42の取付部分に摩耗等を生じにくくすることができるようになる。
【0069】
なお、本発明については、以上で説明した実施例(前記実施例)に限定されるものではなく、以下のような変形した実施形態でも実施が可能である。
【0070】
(1)第2の軸受ケースについて、前記実施例では、駆動伝達軸に連結されたギア列を収納するためのギアケースがその第2の軸受ケースを兼ねるものとした。しかし、本発明では、第2の軸受ケースは、少なくとも第2の軸受を内装するものであれば良く、ギアケースとは別の部材として構成されたものであっても良い。
【0071】
具体的には、例えば、第2の軸受ケースを、前記実施例における第1の軸受ケース56と同様に、両端が開放された略円筒状に形成された部分を主体とすると共に、その第2の軸受ケースが自身をサイドフレームに取り付けるためのフランジ状の部分を有するように構成されたものとする。その上で、その第2の軸受ケースが、第2の軸受を内装する共に、フランジ状の部分においてサイドフレームの外側面に取り付けられるものとすれば良い。なお、その場合、その第2の軸受ケースとは別部材として設けられるギアケースは、サイドフレームに対し第2の軸受ケースよりも外側の位置であって、織機の幅方向に見て、内装するギア列におけるウォームホイールの中心を第2の軸受ケースに内装された第2の軸受の軸心と一致させることができるような配置で、適当な取り付け手段により、サイドフレーム等に取り付けられる。
【0072】
(2)支持構造を構成する第1の軸受ケース及び第2の軸受ケースのサイドフレームに対する取り付け構成について、前記実施例における支持構造50では、第1の軸受ケース56と第2の軸受ケースを兼ねるギアケース42とは、共通のネジ部材62により、共締めされるかたちで本体フレーム31(サイドフレーム3)に取り付けられている。しかし、本発明における支持構造は、そのように第1の軸受ケースと第2の軸受ケースとが共通のネジ部材によって取り付けられるように構成されたものに限らず、第1の軸受ケースと第2の軸受ケースとがそれぞれに対し設けられたネジ部材によって取り付けられるように構成されたものであっても良い。
【0073】
なお、各軸受ケースのサイドフレームの取り付けは、例えば、前記実施例の第2の軸受ケースと同様にサイドフレームの挿通されたネジ部材が軸受ケースに螺挿されるかたちで行われるようにしても良いし、軸受ケースにおけるフランジ状の部分に挿通されたネジ部材がサイドフレームに螺挿されるかたちで行われるようにしても良い。また、後者の場合は、サイドフレームに対し、軸受ケース毎に別個の雌ネジ孔を形成するようにしても良い。あるいは、両軸受ケースに共通の雌ネジ孔であってサイドフレームを貫通するように形成された雌ネジ孔に対し、各軸受ケース側からネジ部材を螺挿するようにすることも可能である。
【0074】
(3)前提となる織機について、前記実施例では、織機1は、経糸ビーム15(ビームギア17)を回転駆動するための駆動機構40の駆動源が送出モータMであるように構成されたものとなっている。しかし、本発明が適用される織機は、経糸ビーム(ビームギア)を回転駆動するための駆動機構が、織機の主軸を駆動源とするように構成されたものであっても良い。
【0075】
なお、本発明は、以上で説明した例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 織機 2 フレーム
3 サイドフレーム 4 梁材
5 筬打ち装置
15 経糸ビーム 16 ビームフランジ
17 ビームギア 19 設置面
20 ビームサポート部
31 本体フレーム 31a 貫通孔
31a1 丸孔部 31a2 長孔部
31b 挿通孔
40 駆動機構
42 ギアケース 42a 第2の支持部
42b 第2の取付部 42b1 脚部
42b2 端面 42b3 雌ネジ孔
42c ギア列収納部 42c1 ホイール収納部
42c2 ウォーム収納部 42c3 ギア収納部
42c4 壁部
44 駆動伝達軸 46 ピニオンギア
48 ギア列 48a ウォームホイール
48b ウォーム 48c ウォーム軸
48d 伝達ギア 48e モータギア
50 支持構造 52 第1の軸受
54 第2の軸受 56 第1の軸受ケース
56a 第1の支持部 56a1 突出部
56b 第1の取付部 56b1 貫通孔
56b2 位置決め孔
62 ネジ部材 64 位置決めピン
66 蓋部材
W 織布 T 経糸
M 送出しモータ