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特開2022-173070特に携行型時計製造のための、材料体を焼結する方法のための支持フレーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173070
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】特に携行型時計製造のための、材料体を焼結する方法のための支持フレーム
(51)【国際特許分類】
   G04D 1/06 20060101AFI20221110BHJP
   G04D 3/00 20060101ALI20221110BHJP
   C22C 1/05 20060101ALI20221110BHJP
   B22F 5/00 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
G04D1/06
G04D3/00
C22C1/05 A
B22F5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022053202
(22)【出願日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】21172840.7
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599044744
【氏名又は名称】コマディール・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ドニ・ブーベンドルフ
(72)【発明者】
【氏名】ピエリ・ヴュイユ
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・カルティエ
(72)【発明者】
【氏名】パウロ・アレーデ
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AD09
4K018KA70
(57)【要約】
【課題】 収縮時に材料体が変形することを防ぐような焼結工程のための支持フレームを提供する。
【解決手段】 本発明は、レリーフがある初期形状の材料体(2)から、特に携行型時計製造のための、部品を作成する方法の焼結工程のための支持フレーム(1)に関する。材料体(2)は、焼結工程の間に初期形状から最終形状へと収縮し、支持フレーム(1)には、焼結工程の間に材料体(2)を支持するための少なくとも1つの支持面(9)があり、支持面の形状は、材料体(2)を初期形状から最終形状まで支持するように構成しており、これによって、支持フレームは、焼結工程に関連する収縮係数に沿った形状とプロポーションを維持する。本発明は、さらに、この支持フレームを用いた焼結方法に関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レリーフがある初期形状の材料体(2、12、22、32)から、特に携行型時計製造のための、部品を作成する方法の焼結工程のための支持フレーム(1、10、20、30、40、50)であって、
前記材料体(2、12、22、32)は、焼結工程の間に初期形状から最終形状へと収縮し、
前記支持フレーム(1、10、20、30、40、50)には、焼結工程の間に前記材料体(2、12、22、32)を支持するための少なくとも1つの支持面(9、19、29、39、49、59)があり、
前記支持面(9、19、29、39、49、59)の形状にはレリーフがあり、
前記支持面の形状は、前記材料体(2、12、22、32)を初期形状から最終形状まで支持するように構成しており、
これによって、前記支持フレームは、前記焼結工程に関連する収縮係数に沿った形状とプロポーションを維持する
ことを特徴とする支持フレーム。
【請求項2】
前記支持面(9、19、29、39、49、59)には、それぞれが2つの異なるレベルにありそれぞれが焼結時に前記材料体と接触している少なくとも2つの部分(3、4、5、13、14、15、23、24、25、33、34、35、43、44、45)がある
ことを特徴とする請求項1に記載の支持フレーム。
【請求項3】
前記部分のうちの1つは、初期形状においては前記材料体(2、12、22、32)と接触しておらず最終形状において前記材料体(2、12、22、32)と接触しているように意図されている
ことを特徴とする請求項2に記載の支持フレーム。
【請求項4】
前記部分のうちの2つ(14、15、34、35、44、45)は、初期形状と最終形状において前記材料体(2、12、22、32)と接触するように意図されている
ことを特徴とする請求項2に記載の支持フレーム。
【請求項5】
前記支持面(9、19、29、39、49、59)には、中央部分(3、13、23、33、43)と2つの側方部分(4、5、14、15、24、25、34、35、44、45)がある
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の支持フレーム。
【請求項6】
前記中央部分(13、33、43)は底部を形成し、前記側方部分(14、15、34、35、44、45)は前記中央部分(13、33、43)よりも高さが高い
ことを特徴とする請求項5に記載の支持フレーム。
【請求項7】
前記中央部分(3、23)は、前記側方部分(4、5、24、25)よりも高さが高い
ことを特徴とする請求項5に記載の支持フレーム。
【請求項8】
前記中央部分(3、13、23、33、43)は、初期形状では前記材料体(2、12、22、32)と接触せず、最終形状では前記材料体(2、12、22、32)と接触するように意図されている
ことを特徴とする請求項6に記載の支持フレーム。
【請求項9】
前記側方部分(14、15、34、35、44、45)は、初期形状と最終形状において前記材料体(2、12、22、32)と接触するように意図されている
ことを特徴とする請求項7に記載の支持フレーム。
【請求項10】
前記中央部分(3、13、23、33、43)は、最終形状と初期形状において前記材料体(2、12、22、32)と接触するように意図されている
ことを特徴とする請求項7又は9に記載の支持フレーム。
【請求項11】
前記支持面は、収縮時に前記材料体が滑動することを可能にするように、1よりも大きい、好ましくは3よりも大きい、さらに好ましくは4よりも大きい、粗さ係数Raを有する
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の支持フレーム。
【請求項12】
前記支持面(9、19、29、39、49、59)に粉末が施され、これによって、収縮時に前記材料体(2、12、22、32)を滑動させることを可能にする
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の支持フレーム。
【請求項13】
前記支持面(9、19、29、39、49、59)は、重力に起因する変形のリスクを低減するように重力軸に対して配置されるように構成している
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の支持フレーム。
【請求項14】
前記支持フレーム(1、10、20、30、40、50)のレリーフは、焼結工程全体にわたって前記材料体(2、12、22、32)の収縮をガイドし、収縮時に前記材料体のプロポーションを維持するように構成している
ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の支持フレーム。
【請求項15】
特に携行型時計製造のための、材料体を焼結する方法であって、
前記材料体は、初期には初期形状であり、
前記方法は、
請求項1~14のいずれか一項に記載の支持フレーム上に前記材料体を配置し、前記材料体が前記支持フレームの支持面の第1の部分と少なくとも部分的に接触するようにする工程と、及び
初期形状から最終形状へと収縮するように、前記支持フレーム上の前記材料体を焼結する工程とを行い、
得られる材料体は、前記支持フレームの支持面の第2の部分と少なくとも部分的に接触し、前記第2の部分は第1の部分とは異なる
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に携行型時計(例、腕時計、懐中時計)製造のための、材料体を焼結する方法のための支持フレームに関する。
【0002】
本発明は、さらに、このような支持フレームを用いる焼結方法に関する。
【0003】
本発明の1つの利用分野は、好ましくは携行型時計製造の分野のために意図された、外側コンポーネントの製造に基づいている。このようなコンポーネントは、例えば、携行型時計のケースに固定されるように意図された時計ベゼル、ブレスレットリンク、表盤、時計ケース、又はクラスプコンポーネントであることができる。
【0004】
本発明の別の利用分野は、例として移動体電話やタブレットのケースを形成するための、移動体通信及び携帯電話の分野、コンピュータ端末、特に携行型コンピューター端末、の分野、又は宝飾品又は食器の分野において用いられる外側コンポーネントの製造に基づいている。なお、これらに限定されない。
【0005】
本発明は、特に、硬い材料、すなわち、耐衝撃性と耐傷性のある材料、によって作られたコンポーネントに関する。このような硬い材料は、特に、高度なセラミックスタイプのものであることができる。また、各コンポーネントは、二酸化ジルコニウム(「ジルコニア」)、酸化アルミニウム(「アルミナ」)、又はセラミックス基材と金属マトリックスを組み込んだ複合材料(「サーメット」)によって作ることができる。また、本発明の外側コンポーネントの各コンポーネントは、合成ルビー又はサファイアによって作ることもできる。
【背景技術】
【0006】
前記のような部品を製造する方法として、
- 少なくとも1種類の粉末材料とバインダーとの混合物から前駆体を作る工程と、
- 型内への射出又は押圧によって材料体を形成する工程と、及び
- 材料体を焼結して硬化させて所望の部品を得る工程と
を行う方法が行われている。
【0007】
前記焼結工程は、材料体を焼結してセラミックス体を形成するように意図されている。好ましくは、本発明によると、前記焼結工程においては、熱的脱バインダーなどによる熱分解を行うことができる。
【0008】
前記焼結工程において、バインダーの蒸発と粉末の凝集に起因する収縮係数によって、材料体の体積が減少する。
【0009】
しかし、この方法には、収縮時に材料体が変形することがあるという課題がある。材料体が収縮するにしたがって、重力などに起因して、材料体の形状が失われる可能性がある。また、当該部品を形成するために用いられる材料に応じて収縮係数が変わる。
【0010】
したがって、一般的には、最終的な部品を完成させるために、部品に対して機械加工工程を行う必要がある。したがって、当該プロセスは長くなり、材料を損失することを伴い、この分については必要な最終的な寸法構成を得ることを確実にするために追加しなければならない。
【0011】
また、材料体に用いられる材料の性質に起因する別の課題がある。収縮係数は、常に同じであるとは限らず、選択した材料によって異なる。したがって、同じ部品を異なる材料を用いて作った場合、同じ最終的な材料体を得るには、材料体の大きさを変える必要がある。このことによって焼結工程が複雑になり、最終的な材料体の大きさを定めるために機械加工工程の必要性が発生し、変形を大きくするリスクを発生させてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記課題を解決して、前記問題が発生しないような焼結工程のための支持フレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このために、本発明は、レリーフがある初期形状の材料体から、特に携行型時計製造のための、部品を作成する方法の焼結工程のための支持フレームに関する。前記材料体は、焼結工程の間に初期形状から最終形状へと収縮し、前記支持フレームには、焼結工程の間に前記材料体を支持するための少なくとも1つの支持面がある。
【0014】
前記支持フレームは、前記支持面の形状にはレリーフがあり、前記支持面の形状が、前記材料体を初期形状から最終形状まで支持するように構成しており、これによって、前記支持フレームが、前記焼結工程に関連する収縮係数に沿った形状とプロポーション(形の割合)を維持するという点で注目に値する。
【0015】
したがって、一方において、前記支持フレームによって、前記材料体の初期形状のプロポーションを維持し、焼結工程の間に前記材料体が変形することを防ぐことが可能になり、他方において、前記支持フレームは、収縮係数が異なる様々なセラミックス材料によって作られた材料体に用いることができる。
【0016】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記支持面には、それぞれが2つの異なるレベルにありそれぞれが焼結時に前記材料体と接触している少なくとも2つの部分がある。
【0017】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記部分のうちの1つは、初期形状においては前記材料体と接触しておらず最終形状において前記材料体と接触しているように意図されている。
【0018】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記部分のうちの2つは、初期形状と最終形状において前記材料体と接触するように意図されている。
【0019】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記支持面には、中央部分と2つの側方部分がある。
【0020】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記支持面は、収縮時に前記材料体が滑動することを可能にするために、1よりも大きい、好ましくは3よりも大きい、さらに好ましくは4よりも大きい、粗さ係数Raを有する。
【0021】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記中央部分は、前記側方部分よりも高さが高い。
【0022】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記中央部分は底部を形成し、前記側方部分は前記中央部分よりも高さが高い。
【0023】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記側方部分は、初期形状と最終形状において前記材料体と接触するように意図されている。
【0024】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記中央部分は、初期形状では前記材料体と接触せず、最終形状では前記材料体と接触するように意図されている。
【0025】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記中央部分は、最終形状と初期形状において前記材料体と接触するように意図されている。
【0026】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記支持面は、重力に起因する変形のリスクを低減するように重力軸に対して配置されるように構成している。
【0027】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記支持フレームのレリーフは、焼結工程全体にわたって前記材料体の収縮をガイドし、収縮時に前記材料体のプロポーションを維持するように構成している。
【0028】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記支持面に粉末が施され、これによって、収縮時に前記材料体を滑動させることを可能にする。
【0029】
本発明は、さらに、特に携行型時計製造のための、材料体を焼結する方法に関する。前記材料体は、初期には初期形状であり、前記方法は、
- 本発明に係る支持フレーム上に前記材料体を配置し、前記材料体が前記支持フレームの支持面の第1の部分と少なくとも部分的に接触するようにする工程と、
- 初期形状から最終形状へと収縮するように、前記支持フレーム上の前記材料体を焼結する工程とを行い、
得られる材料体は、前記支持フレームの支持面の第2の部分と少なくとも部分的に接触し、前記第2の部分は第1の部分とは異なる。
【0030】
添付の図面を参照する以下の説明において、他の具体的な特徴や利点が明確に観察される。これは、大まかなガイドとして提供されるものであり、限定するためのガイドとして提供されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1の実施形態に係る支持フレームと、その上に配置されている焼結工程前の初期形状の材料体の概略図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る支持フレームと、その上に配置されている焼結工程後の最終形状の材料体の概略図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る支持フレームと、その上に配置されている焼結工程前の初期形状の材料体の概略図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る支持フレームと、その上に配置されている焼結工程後の最終形状の材料体の概略図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る支持フレームと、その上に配置されている焼結工程後の最終形状の材料体の概略図である。
図6】ワイヤ状の材料体の概略図である。
図7図6のワイヤを作成することを可能にする、本発明の第4の実施形態に係る支持フレームの概略図である。
図8図7の支持フレームの一部と初期形状のワイヤの概略断面図である。
図9図7の支持フレームの一部と最終形状のワイヤの概略断面図である。
図10】第1の変異形態に係る図7の支持フレームの一部及び最終形状のワイヤの概略断面図である。
図11】第2の変異形態に係る図7の支持フレームの一部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
上で説明したように、本発明は、特に携行型時計製造のための、部品を作成する方法の焼結工程を経て作成することを意図されている部品用の支持フレームに関する。前記焼結工程は、初期形状を有する材料体を焼結することによって構成している。焼結時に、前記材料体は、初期形状に対して収縮係数で収縮して最終形状になる。一般的には、初期形状は、焼結工程後に得たい部品の所望の形状に対応するプロポーションを有する。
【0033】
この形状を維持するために、焼結工程の間に材料体を支持しレリーフがある少なくとも1つの支持面がある支持フレームが用いられる。前記レリーフは、材料体が収縮係数で収縮してそのプロポーションを維持するように、初期形状と最終形状の材料体を支持するように構成している。支持フレームの前記レリーフは、選択した材料にかかわらず収縮時に材料体の形状を維持するように、焼結工程全体にわたって材料体の収縮をガイドする。
【0034】
前記支持フレームは、好ましくは、一体的に作られ、例えば、好ましくは排他的に、Al23を含む。前記材料体は、例えばセラミックスや金属によって作られている。
【0035】
前記支持面には、滑動部分があり、この滑動部分の上で、収縮時に材料体が動くことができる。このために、前記支持面は、1よりも大きい、好ましくは3よりも大きい、さらに好ましくは4よりも大きい、粗さ係数Raを有する。
【0036】
代わりに、前記支持面に粉末スプレーを噴霧して、収縮時に材料体が滑動することを可能にすることができる。
【0037】
好ましくは、前記支持面は、重力に起因する変形のリスクを低減するように重力軸に対して配置されるように決められる。
【0038】
前記支持面には、それぞれが2つの異なるレベルに配置されそれぞれが焼結時に材料体と接触している少なくとも2つの部分がある。「異なるレベル」とは、支持面のレリーフにおいて一方の部分が他方の部分よりも高い又は低いことを意味するように理解される。
【0039】
代替的実施形態において、前記部分の1つは、初期形状では材料体と接触せず、最終形状では材料体と接触するように意図されている。代わりに、前記少なくとも2つの部分が、初期形状でも最終形状でも材料体と接触するように意図されていることもできる。
【0040】
以下において説明する図は、支持フレームの様々な実施形態を示している。
【0041】
図1の支持フレームの支持面には、中央部分3と2つの側方部分4、5がある。前記側方部分は、好ましくは、滑動を可能にする粗さ係数を有する。好ましくは、前記中央部分も前記のような粗さを有する。中央部分3は実質的に水平であり、側方部分4、5に対して高くなっている。側方部分4、5は、中央部分3から緩やかに下がっている。中央部分3と側方部分4、5の連結部は、段を形成している。中央部分と側方部分は、選択した材料にかかわらず材料体が収縮することを可能にするような寸法構成になっている。
【0042】
前記材料体は、例えば、ブレスレットのバックルのコンポーネントを形成するように意図されており、前記材料体には、中央に厚い部分6があり、両側に2つの薄い部分7、8があり、これによって、一体的な材料体を形成する。薄い部分7、8は下の方に曲がっており、中央部分6のレベルより下まで延在している。前記材料体は、厚い部分6が支持面の中央部分3上に載り各薄い部分7、8が支持面の側方部分4、5に載るように、支持フレーム上に配置されている。
【0043】
焼結工程時に、前記材料体は、図2に示している最終形状へと収縮する。最終的な材料体の体積は、収縮のために初期の材料体の体積よりも小さくなるが、材料体2のプロポーションと形状は実質的に保持される。薄い部分7、8にある材料体2の両端は、側方部分4、5の方から中央部分3に近づく。
【0044】
支持フレームのおかげで、焼結時に材料体が変形しない。前記支持面のレリーフは、重力に起因する材料体の変形を減殺する。このために、支持フレームは、支持面が重力の方向に対して垂直に延在するように構成している。
【0045】
図3及び4における支持フレームの第2の実施形態は、図1又は2の支持フレーム1と比べて反対方向に配置されるバックルを焼結するための支持フレーム10を示している。
【0046】
支持フレーム10には、底部を形成する中央部分13及び2つの隆起した側方部分14、15がある支持面がある。材料体2は、第1の実施形態のものと同じであるが、支持フレーム上にて逆さまに横たわっている。したがって、薄い部分7、8にある材料体2の両端は、厚い部分6よりも高くにある。
【0047】
側方部分14、15は、その初期形状と最終形状において材料体と接触するように意図されている。したがって、材料体2は、支持面の側方部分14、15と接触する薄い部分7、8によって支持されている。厚い部分6は、材料体の初期形状において懸架される。
【0048】
図4に示しているように、焼結工程の後で、収縮した材料体2の体積は小さくなる。このときに、厚い部分6は、支持面の中央部分13上に載っている。この実施形態において、中央部分13は、初期形状においては材料体2と接触せずに、最終形状においては材料体2と接触するように意図されている。
【0049】
支持面のレリーフは、材料体2の底部の最終形状に少なくとも部分的に対応するように構成している。各側方部分14、15は、中央部分と斜めの角度を形成し、この斜めの角度は、材料体2の形状の厚い部分6と薄い部分7、8が形成する角度に対応する。
【0050】
図5は、ドーム型ないし凸状の中央部分23がある支持フレーム20の第3の実施形態を示しており、この中央部分23上に最終形状の材料体12が載っている。材料体12は、バックル17及び厚い端18があるブレスレットの部品16であり、これは、図5に示しているように、収縮した最終形状になっている。支持フレーム20には、初期形状の材料体12のバックル17を保持するための第1の隆起した側方部分24がある。支持フレーム20には、中央部分23から段によって下がっている第2の側方部分25がある。初期形状と最終形状において、この第2の側方部分25上にブレスレットの厚い端18が載っている。最終形状へと収縮した後において、厚い端18は、中央部分23と第2の側方部分25の間の段によって定められる段に触れている。
【0051】
図7に示している第4の実施形態において、支持フレーム30は、図6に示しているまっすぐな細長いワイヤ22の形成を可能にするように構成している。初期の材料体は細長いワイヤ状の形であり、この細長いワイヤ状の形は、焼結後も保持されるが、支持フレームなしで保持することは非常に難しい。
【0052】
図7の支持フレームには、焼結時にワイヤ22を保持するための複数の溝31があり、各溝31は、1本のワイヤを保持するように意図されている。このような溝31内にワイヤ状の材料体が配置されて、焼結の間の変形を防ぐ。
【0053】
各溝には、溝の底を形成する中央部分と、溝の縁を形成する2つの高さが高くなっている側方部分がある。これらの側方部分は、中央部分から離れるにしたがって離れるように延在している。
【0054】
図8及び9は、第1の変異形態に係る第1の溝の輪郭を示しており、図8においては材料体22が初期形状となっており、図9においては最終形状となっている。図8において、ワイヤ22は、焼結工程の前にて、2つの側方部分34、35上に載っている。したがって、ワイヤ22は、初期形状において支持面の中央部分33上に載っていない。ワイヤ22の幅は、中央部分33の幅よりも大きい。
【0055】
焼結時に、材料体22は、材料体の最終形状まで、この場合は細長いワイヤの形状まで、収縮する。ワイヤが収縮した後、ワイヤの幅は2つの側方部分の間の距離よりも小さくなり、これによって、図9に示しているように、ワイヤが、支持面の中央部分33と接触するまで溝内にて滑って入り込む。
【0056】
支持フレームにおける各溝の支持面のレリーフのおかげで、ワイヤはまっすぐに保たれ変形しない。
【0057】
図10及び11は、代替的実施形態に係る支持フレーム40、50における溝41、51を示しており、溝41と溝51は、異なる輪郭を有する。
【0058】
図10における溝41には、フレア状に広がった形の部分と、丸まった底部分43があり、このフレア状に広がった形の部分は、例えば、少なくとも80°、さらには少なくとも100°、の角度を形成する。初期形状において、円筒状の材料体32は側方部分44、45上に載り、最終形状において、材料体32は丸まった底部分43上に載る。したがって、ワイヤの円筒状の形が、焼結工程の間維持される。
【0059】
図11に示している代替的実施形態において、溝51は、底部が傾斜した形状を有する。
【0060】
本発明は、さらに、初期形状を有する、特に携行型時計製造のための、材料体を焼結する方法に関する。
【0061】
この方法は、第1の工程において、前記材料体が前記支持フレームの前記支持面の第1の部分と少なくとも部分的に接触するように、前記材料体が、本発明に係る、レリーフがある支持面がある支持フレーム上に配置される。
【0062】
本発明は、第2の工程において、前記材料体が初期形状から最終形状へと収縮するように、前記材料体が支持フレーム上で焼結される。最終形状において、材料体は、支持フレームの支持面の第2の部分と少なくとも部分的に接触する。ここで、第2の部分は第1の部分とは異なる。
【0063】
第1及び第2の部分は、特に重力に対して、互いに異なる方向を向いていることができる。
【0064】
好ましくは、材料体は、第2の工程の間に初期形状から最終形状までにおいて支持フレームに沿って滑動する。
【符号の説明】
【0065】
1、10、20、30、40、50 支持フレーム
2、12、22、32 材料体
3、13、23、33、43 中央部分
4、5、14、15、24、25、34、35、44、45 側方部分
9、19、29、39、49、59 支持面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】