(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173077
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】水性インクジェットインク組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 11/322 20140101AFI20221110BHJP
C09D 11/36 20140101ALI20221110BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20221110BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
C09D11/322
C09D11/36
B41M5/00 120
B41J2/01 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062988
(22)【出願日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】17/313,097
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】セペール・エム.・テフラニ
(72)【発明者】
【氏名】シド・モシン・アリ
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・ドンドン
(72)【発明者】
【氏名】ビビー・エスター・アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】シー.・ジェフリー・アレン
(72)【発明者】
【氏名】ミハエラ・マリア・ビロウ
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056FC01
2H186BA08
2H186DA09
2H186FB15
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB22
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB30
2H186FB48
2H186FB55
2H186FB56
2H186FB58
4J039AB12
4J039AD03
4J039AD09
4J039AD10
4J039BA13
4J039BA21
4J039BA35
4J039BC07
4J039BC09
4J039BC13
4J039BC35
4J039BC50
4J039BE01
4J039BE12
4J039BE16
4J039BE22
4J039CA06
4J039EA18
4J039EA46
4J039GA24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】優れたコロイド安定性及び噴射性能、延長されたレイテンシ時間及びデキャップ時間、並びに高い不透明性を呈する水性インクジェットインク組成物を提供する。
【解決手段】一実施形態では、このような水性インクジェットインク組成物は、水、第1の有機溶媒、及び第2の有機溶媒を含む溶媒系であって、第2の有機溶媒が、2~8個の炭素原子を有するアルカンジオールであり、第2の有機溶媒が、0重量%超~約8重量%の量で存在する、溶媒系と、ホワイト顔料と、樹脂粒子と、を含む。水性インクジェットインク組成物を作製する方法及び水性インクジェットインク組成物を使用する方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性インクジェットインク組成物であって、
水、第1の有機溶媒、及び第2の有機溶媒を含む溶媒系であって、前記第2の有機溶媒が、2~8個の炭素原子を有するアルカンジオールであり、前記第2の有機溶媒が、0重量%超~約8重量%の量で存在する、溶媒系と、
ホワイト顔料と、
樹脂粒子と、を含む、水性インクジェットインク組成物。
【請求項2】
前記第2の有機溶媒の量が、約2重量%~約6重量%である、請求項1に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項3】
前記第2の有機溶媒が、直鎖状アルカンジオールである、請求項1に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項4】
前記第2の有機溶媒が、ヘキサンジオールである、請求項3に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項5】
前記ヘキサンジオールが、1,2-ヘキサンジオールである、請求項4に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項6】
前記第1の有機溶媒が、ピロリドン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されず、前記水性インクジェットインク組成物が、これらの種類の前記第1の有機溶媒の各々を有さない、請求項1に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項7】
前記第1の有機溶媒が、ジオールであり、約10重量%~約40重量%の量で存在する、請求項1に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項8】
前記第1の有機溶媒が、プロピレングリコールである、請求項1に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項9】
前記第2の有機溶媒が、4個を超える炭素原子を有する直鎖状アルカンジオールである、請求項8に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項10】
前記ホワイト顔料が、二酸化チタンである、請求項1に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項11】
前記二酸化チタンが、約150nm未満のD50粒子サイズを有する粒子の形態であり、前記二酸化チタンが、約0.1重量%~約15重量%の範囲の量で存在する、請求項10に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項12】
前記樹脂粒子が、モノマー、酸性モノマー、親水性モノマー、多官能性モノマー、及び反応性界面活性剤を含む反応物の重合生成物を含む、請求項1に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項13】
前記樹脂粒子が、シリカナノ粒子を更に含む、請求項12に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項14】
着色剤を更に含む、請求項1に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項15】
前記第1の有機溶媒が、約10重量%~約40重量%の量で存在し、前記第2の有機溶媒が、約2重量%~約6重量%の量で存在する、請求項1に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項16】
前記第1の有機溶媒が、ジオールであり、前記第2の有機溶媒が、ヘキサンジオールである、請求項15に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項17】
前記水性インクジェットインク組成物が、前記水性インクジェットインク組成物の初期平均せん断粘度の約5%以内である、約60℃で約3日後の平均せん断粘度、前記水性インクジェットインク組成物の初期平均せん断粘度の約5%以内である、約60℃で約6日後の平均せん断粘度、又はそれらの両方を呈する、請求項1に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項18】
前記水性インクジェットインク組成物が、水溶性樹脂、水溶性エマルション、水性結合剤、及びポリマー分散剤を有さない、請求項1に記載の水性インクジェットインク組成物。
【請求項19】
水性インクジェットインク組成物であって、
水、第1の有機溶媒、及び第2の有機溶媒を含む溶媒系であって、前記第2の有機溶媒が、2~8個の炭素原子を有するアルカンジオールであり、前記第2の有機溶媒が、0重量%超~約8重量%の量で存在する、溶媒系と、
ホワイト顔料と、
ブラック顔料、シアン顔料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される着色剤と、
樹脂粒子と、を含む、水性インクジェットインク組成物。
【請求項20】
前記第1の有機溶媒が、ジオールであり、前記第2の有機溶媒が、ヘキサンジオールである、請求項19に記載の水性インクジェットインク組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
画質を改善するために、ホワイトインクが標準的なCMYKカラーセットに添加されている。ホワイトインクはまた、透明又はオフホワイトの基材上に印刷する場合、知覚される色を補正するのにも役立つ。インクジェットカラーセットにホワイトインクを含める有益性にもかかわらず、インクを配合する際の複雑さ及び課題のために、それらの完全な可能性にそれらが到達することが妨げられている。1つの障害は、ホワイト顔料(一般に、酸化チタンナノ粒子)の早期沈殿及び長期コロイド安定性の欠如である。酸化チタンナノ粒子(ルチル、アナターゼ、又はそれらの両方)は、非常に高い密度を有する。水性インクジェットインク組成物などの低粘度混合物(一般に、<10cP)では、それらは急速に沈殿する。沈殿が生じると、重力によって容器の底部にコンパクトでセメント状の残渣が形成され、それは、一般に分散性ではない。沈殿は、インク供給管、印刷ヘッド、及びノズルを塞ぐ。沈殿はまた、短い貯蔵寿命、並びに短いレイテンシ時間及びデキャップ時間をもたらす。最後に、沈殿は、印刷されたインクの光学濃度を低減させ、印刷不透明性を損なう。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、ホワイト及びグレー水性インクジェットインク組成物を提供する。水性インクジェットインク組成物の実施形態は、優れたコロイド安定性及び噴射性能、延長されたレイテンシ時間及びデキャップ時間、並びに高い不透明性を呈する。それらはまた、均一な膜形成、湿潤及び展延、並びに様々な基材上での耐久性及び耐水性を含む優れたコーティング特性を呈する。水性インクジェットインク組成物の形成方法及び使用方法も提供される。水性インクジェットインク組成物が提供される。一実施形態では、このような水性インクジェットインク組成物は、水、第1の有機溶媒、及び第2の有機溶媒を含む溶媒系であって、第2の有機溶媒が、2~8個の炭素原子を有するアルカンジオールであり、第2の有機溶媒が、0重量%超~約8重量%の量で存在する、溶媒系と、ホワイト顔料と、樹脂粒子と、を含む。
【0003】
水性インクジェットインク組成物を作製する方法及び水性インクジェットインク組成物を使用する方法も提供される。
【0004】
本開示の他の主要な特徴及び利点は、以下の図面、発明を実施するための形態、及び添付の特許請求の範囲を検討すると当業者には明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0005】
水性インクジェットインク組成物は、水を含む溶媒系と、ホワイト顔料と、樹脂粒子と、を含む。着色剤、ワックス、及び他の添加剤などの他の構成成分が含まれ得る。これらの構成成分は、以下で詳細に記載される。
【0006】
溶媒系
【0007】
上記のように、水性インクジェットインク組成物は、水を含む。実施形態では、使用される水の量は、水性インクジェットインク組成物の総重量と比較して、40重量%~70重量%の範囲である。これは、50重量%~70重量%、40重量%~60重量%、40重量%~50重量%、及び50重量%~60重量%を含む。
【0008】
水は、水溶性又は水相溶性有機溶媒も含む溶媒系の1つの構成成分である。実施形態では、第1のこのような有機溶媒が使用される。第1の有機溶媒は、ジオールであり得る。ジオールは、2、3、又は4個の炭素原子を有するアルカンジオールであり得る。アルカンジオールは、分岐状アルカンジオールであり得る。例示的な分岐状アルカンジオールは、プロピレングリコールである。単一の種類又は異なる種類の第1の有機溶媒の組み合わせが使用され得る。第1の有機溶媒の総量は、水性インクジェットインク組成物の総重量と比較して、10重量%~40重量%の量で、水性インクジェットインク組成物中に存在し得る。これは、15重量%~40重量%、及び20重量%~40重量%を含む。
【0009】
実施形態では、第1の有機溶媒は、ピロリドン、例えば、2-ピロリドン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコール、又はプロピレングリコールモノプロピルエーテルではない。このような実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、これらの化合物の各々を有さない(すなわち、含まない)。
【0010】
実施形態では、第2の有機溶媒が溶媒系中に使用される。第2の有機溶媒はまた、ジオールであり得るが、第1の有機溶媒とは異なるものである。以下の実施例に示されるように、水性インクジェットインク組成物のコロイド安定性は、第2の有機溶媒の存在に対して非常に感受性があると判定された。実施形態では、第2の有機溶媒は、アルカンジオールである。アルカンジオールは、2~8個の炭素原子、すなわち、2、3、4、6、7、又は8個の炭素原子を有し得る。実施形態では、アルカンジオールは、4個を超える炭素原子、例えば、5、6、7、又は8個を有する。アルカンジオールは、直鎖状又は分岐状アルカンジオールであり得る。2つのヒドロキシ基は、アルカンジオール上のどの位置にあってもよい。例示的な直鎖状アルカンジオールとしては、以下の、エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,3-ヘプタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,3-オクタンジオール、1,5-オクタンジオール、1,6-オクタンジオール、1,7-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、2,4-オクタンジオール、I、3,6-オクタンジオールが挙げられる。他の例示的なアルカンジオールとしては、2-メチル-2、4-ペンタンジオール、3-メチル-1、5-ペンタンジオール、2-エチル-1、3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、3-メチル-1、3ブタンジオール、2-エチル-1、3-ヘキサンジオール、2-ブチル-2-エチル-1、3-プロパンジオール、2、5-ジメチル-ヘキサンジオール、及び2、2、4-トリメチル-1、3-ペンタンジオールが挙げられる。
【0011】
実施形態では、第2の有機溶媒は、上に記載されるヘキサンジオールのうちのいずれかを含むヘキサンジオールである。実施形態では、第2の有機溶媒は、1,2-ヘキサンジオールである。実施形態では、第2の有機溶媒は、1,6-ヘキサンジオールではない。このような実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、1,6-ヘキサンジオールを有さない(すなわち、含まない)。
【0012】
異なる種類の第2の有機溶媒の単一の種類又は組み合わせが使用され得る。第2の有機溶媒の総量は、水性インクジェットインク組成物の総重量と比較して、0重量%超~8重量%の量で、水性インクジェットインク組成物中に存在し得る。これは、0重量%超~6重量%、0重量%超~5重量%、2重量%~6重量%、3重量%~6重量%、及び3重量%~5重量%を含む。
【0013】
実施形態では、溶媒系は、水、第1の有機溶媒、及び第2の有機溶媒からなる。このような実施形態では、上に記載される第1及び第2の有機溶媒のうちのいずれかが使用され得る。上に記載される水並びに第1及び第2の有機溶媒の量のうちのいずれかが使用され得る。
【0014】
ホワイト顔料
【0015】
水性インクジェットインク組成物は、ホワイト顔料を含む。ホワイト顔料は、一般に、二酸化チタン(TiO2)である。TiO2の結晶構造は、アナターゼ、ルチルであり得るか、又は異なる種類の結晶構造の組み合わせが使用され得る。酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、リトポン(BaSO4及びZnS)、アルミナ水和物、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、タルク(Mg3Si4O10(OH)2)、シリカ(SiO2)、及びチャイナクレー(Al2O3.2SiO2.2H2O)などの他のホワイト顔料が使用され得る。異なる種類のホワイト顔料の組み合わせが使用され得る。しかしながら、実施形態では、ホワイト着色剤としてTiO2のみが使用される。
【0016】
ホワイト顔料は、一般に、粒子の形態である。粒子のサイズは、D50粒子サイズとして報告され得、これは、試料の50%(体積基準)が当該直径値未満の直径を有する粒子からなる直径を意味する。実施形態では、ホワイト顔料粒子は、20nm~500nmの範囲のD50粒子サイズを有する。しかしながら、実施形態では、20nm~80nm、又は30nm~70nmを含む、150nm未満、125nm未満、100nm未満のD50粒子サイズを有する比較的小さいホワイト顔料粒子が使用される。D50粒子サイズは、Malvern Zetasizer Nano ZSを使用して測定され得る。光散乱技術及び方法の確認には、Microspheres-Nanospheres(MicrotracのCorpuscular会社)又は第三者ベンダー(ThermoFisher Scientificなど)から入手可能な20nm~200nmの範囲内の直径を有するNISTポリスチレンナノスフィア対照試料が使用され得る。
【0017】
様々な量のホワイト顔料が使用され得る。実施形態では、ホワイト顔料は、水性インクジェットインク組成物の総重量と比較して、0.1重量%~15重量%の範囲の量で存在する。これは、1重量%~10重量%、及び1重量%~5重量%を含む。2種類以上のホワイト顔料が使用される場合、これらの量は、ホワイト顔料の総量を指す。これらの量は、ホワイト顔料を含む分散体の量とは対照的に、固形分含有量を指す。
【0018】
樹脂粒子
【0019】
水性インクジェットインク組成物はまた、樹脂粒子も含む。樹脂粒子は、様々なモノマーから合成されて、ポリマー材料を形成し、このポリマー材料から樹脂粒子が構成される。モノマーの種類、したがってポリマー材料は、特に限定されない。しかしながら、例示として、以下のモノマー及びこれらの組み合わせが使用され得る(例えば、「(メタ)アクリレート」にあるような「(メタ)」の使用は、アクリレート及びメタアクリレートの両方を指す):スチレン;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ドデシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、2-クロロエチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、及びブチルメタアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;β-カルボキシエチルアクリレート(β-CEA)、フェニルアクリレート、メチルアルファクロロアクリレート;ブタジエン;イソプレン;メタアクリロニトリル;アクリロニトリル;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、及びビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルベンゾエート、及びビニルブチレートなどのビニルエステル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、及びメチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン;塩化ビニリデン及びクロロフッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;N-ビニルインドール;N-ビニルピロリドン;メタクリレート;アクリルアミド;メタアクリルアミド;ビニルピリジン;ビニルピロリドン;ビニル-N-メチルピリジニウムクロリド;ビニルナフタレン;P-クロロスチレン;塩化ビニル;臭化ビニル;フッ化ビニル;エチレン;プロピレン;ブチレン;並びにイソブチレン。実施形態では、樹脂粒子を形成するために使用されるモノマーは、スチレン及びアルキルアクリレートを含む。
【0020】
酸性モノマーは、(メタ)アクリル酸モノマー、スルホン酸モノマー、スルホネートモノマー、及びこれらの組み合わせを含む、樹脂粒子を形成するために使用され得る。例示的な酸性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ジメチルアクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホネート、シアノアクリル酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、エチリジン酢酸、プロピリジン酢酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、スチリルアクリル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、フェニルアクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、アコニット酸、フェニルアクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、ビニル安息香酸、N-ビニルスクシンアミド酸、メサコン酸、メタクロイルアラニン、アクリロイルヒドロキシグリシン、スルホエチルメタクリル酸、スルホプロピルアクリル酸、スチレンスルホン酸、スルホエチルアクリル酸、2-メタクリロイルオキシメタン-1-スルホン酸、3-メタクリオイルオキシプロパン-1-スルホン酸、3-(ビニルオキシ)プロパン-1-スルホン酸、エチレンスルホン酸、ビニル硫酸、4-ビニルフェニル硫酸、エチレンホスホン酸、ビニルリン酸、ビニル安息香酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの酸性モノマーはまた、その塩、例えば、スルホン酸の塩も包含する。
【0021】
2つの異なる酸性モノマーは、各々が異なるpKa値を有する樹脂粒子を形成するために使用され得る。これは、広範囲のpH及び広範囲の顔料グレードにわたるコロイド安定性を改善するのに有用である。2つの異なる酸性モノマーのpKa値は、少なくとも2単位、少なくとも3単位、少なくとも4単位、又は少なくとも5単位互いに異なっていてもよい。実施形態では、2つの異なる酸性モノマーは、0.1~10の範囲の重量比で樹脂粒子を形成するために使用されるモノマーエマルション中に存在する。これは、0.5~8及び1~6の範囲を含む。実施形態では、樹脂粒子を形成するために使用される2つの異なる種類の酸性モノマーは、メタアクリル酸及びスルホン酸を含む。
【0022】
親水性モノマーは、樹脂粒子を形成するために使用され得る。「親水性モノマー」という用語は、上に記載される「酸性モノマー」と区別される。すなわち、選択された酸性モノマーはまた親水性であってもよいが、これらの用語は、異なる、化学的に別々の種のモノマーを指す。親水性モノマーは、概して、単官能性であり、すなわち、単一の重合性基を含む。好適な親水性モノマーは、親水性モノマーの水結合部分と水素結合部分との間に形成された水素結合を介して、比較的相当な量の水を吸収することができるものである。ヒドロキシル部分及びグリコール部分は、例示的な水素結合部分である。例えば、グリコール含有鎖が相当量の水を吸収することができるため、ポリ(エチレングリコール)-及びポリ(プロピレングリコール)系親水性モノマーが特に有用である。好適な親水性モノマーはまた、水素結合部分が樹脂粒子の表面から周囲の水性媒体に延びるように、樹脂粒子の表面付近で重合するものである。
【0023】
上記のように、例示的な親水性モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)クリレート、及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドなどのヒドロキシル部分を含むものが挙げられる。他の例示的な親水性モノマーとしては、エチレングリコール(メタ)アクリレート及びプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのグリコール部分を含むものが挙げられる。ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート及びポリ(プロピレングリコール)(メタ)アクリレートは、他の例である。実施形態では、親水性モノマーは、185g/mol~1500g/molの範囲の分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレートである。これは、360g/mol~1500g/mol、及び500g/mol~1000g/molの範囲を含む。実施形態では、親水性モノマーは、260g/mol~1000g/molの範囲の分子量を有するポリ(プロピレングリコール)(メタ)アクリレートである。これは、360g/mol~1000g/mol、及び500g/mol~1000g/molの範囲を含む。これらの分子量を決定するために、ゲル浸透クロマトグラフィーが使用され得る。
【0024】
多官能性モノマーは、樹脂粒子、すなわち、2つ以上の重合性基(例えば、2つ、3つ、4つ)を含むものを形成するために使用され得る。これらは、樹脂粒子内の架橋を促進するため有用である。例示的な多官能性モノマーとしては、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、例えば、250g/molの分子量を有するポリ(エチレングリコール)ジアクリレートなどの二官能性モノマーが挙げられる。214g/mol~1000g/mol、214g/mol~500g/mol、及び214g/mol~300g/molの範囲の分子量を有するものを含む他のポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレートが使用され得る。これらの二官能性モノマーはまた、上記のように親水性であるとみなされてもよい。重ねて、これらの分子量を決定するために、ゲル浸透クロマトグラフが使用され得る。他の親水性二官能性モノマーとしては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートなどのエーテル結合を含むアルキル鎖と結合したジアクリレート化合物、及びこれらの化合物のアクリレートをメタアクリレートと置換することによって得られる化合物、ポリオキシエチレン(2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレートなどの芳香族基及びエーテル結合を含む鎖と結合したジアクリレート化合物、並びにこれらの化合物のアクリレートをメタアクリレートと置換することによって得られる化合物が挙げられる。他の二官能性モノマーとしては、イソプレン及びブタジエンなどのジエン化合物、ジビニルベンゼン及びジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,10-ドデカンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの、アルキル鎖と結合したジアクリレート化合物、並びにこれらの化合物のアクリレートをメタアクリレートと置換することによって得られる化合物が挙げられる。多官能性モノマーには、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールメタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及びこれらの化合物のアクリレートをメタアクリレートと置換することによって得られる化合物が含まれる。
【0025】
反応性界面活性剤は、樹脂粒子を形成するために使用され得る。好適な反応性界面活性剤は、それらが樹脂粒子に組み込まれるような重合性(及びしたがって反応性)基を含む。例示的な反応性界面活性剤としては、Hitenol BC10-25などの市販のHitenol BCシリーズのものなどのアニオン性エーテル硫酸塩反応性界面活性剤が挙げられる。他の好適な反応性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、Hitenol BC-10、BC-20、BC-2020、BC-30;Hitenol AR-10、AR-20、AR10-25、AR-2020を含むポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム;Noigen RN-10、RN-20、RN-30、RN-40、RN-5065を含む非イオン性ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;及びE-sperse RX-201、RX-202、RX-203、RS-1596、RS-1616、RS-1617、RS-1618、RS-1684を含むEthoxから入手可能な反応性界面活性剤が挙げられる。
【0026】
連鎖移動剤は、樹脂粒子を形成するために使用され得る。連鎖移動剤は、メルカプタン又はチオールであり得る。好適な連鎖移動剤としては、n-ドデシルメルカプタン(n-dodecylmercaptan、NDM)、n-ドデカンチオールド(n-dodecanethiol、DDT)、tert-ドデシルメルカプタン、1-ブタンチオール、2-ブタンチオール、オクタンチオール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。四臭化炭素、四塩化炭素、及びこれらの組み合わせなどのハロゲン化炭素は、連鎖移動剤として使用され得る。
【0027】
樹脂粒子を形成する際、上に記載されるモノマーのうちのいずれかが、溶媒を含むモノマーエマルション中で使用され得る。水は、溶媒として一般に使用されるが、水溶性又は水混和性有機溶媒(例えば、エタノール)も含まれ得る。モノマーの種類及びそれらの相対量は、樹脂粒子の特性を調整するために選択され得る。
【0028】
酸性モノマーは、1.5重量%~15重量%の範囲の量で、モノマーエマルション中で使用され得る。(ここで、重量%は、(酸性モノマーの総重量)/(反応性界面活性剤を除くモノマーエマルション中のモノマーの総重量)*100を指す)。この範囲は、5重量%~10重量%を含む。上記のように、異なるpKa値を有する2つの異なる種類の酸性モノマーを、上に記載される重量比で使用してもよい。親水性モノマーは、1重量%~15重量%の範囲の量で、モノマーエマルション中で使用され得る。(重量%は、酸性モノマーについて記載されるものと類似の意味を有する。)この範囲は、2重量%~15重量%、及び5重量%~15重量%を含む。二官能性モノマーを含む多官能性モノマーは、同様の量で、モノマーエマルション中で使用され得る。実施形態では、量は、0.01重量%~0.8重量%、0.03重量%~0.3重量%、又は0.4重量%~0.6重量%の範囲である。他のモノマー(例えば、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート)は、70重量%~97重量%の範囲の量で存在してもよい。(重量%は、酸性モノマーについて記載されるものと類似の意味を有する。)この範囲は、75重量%~90重量%を含む。
【0029】
合わせて、酸性モノマー、親水性モノマー、及び多官能性モノマー(例えば、親水性多官能性モノマー)の量は、10重量%~30重量%の範囲でモノマーエマルション中に存在してもよい。(ここで、重量%は、(酸性モノマー、親水性モノマー、及び多官能性モノマーの総重量)/(反応性界面活性剤を除くモノマーエマルション中のモノマーの総重量)*100を指す)。この範囲は、15重量%~30重量%、及び15重量%~25重量%を含む。
【0030】
反応性界面活性剤は、1.5重量%~6.5重量%の範囲の量で、モノマーエマルション中で使用され得る。(ここで、重量%は、(反応性界面活性剤の総重量)/(反応性界面活性剤モノマーを含むモノマーエマルション中のモノマーの総重量)*100を指す)。この範囲は、1.5重量%~5重量%を含む。
【0031】
連鎖移動剤は、モノマーエマルション中に存在してもよく、様々な好適な量、例えば、0.25重量%~2.5重量%で使用されてもよい。(ここで、重量%は、(連鎖移動剤の総重量)/(反応性界面活性剤を除くモノマーエマルション中のモノマーの総重量)*100を指す。)
【0032】
実施形態では、モノマーエマルションは、溶媒(例えば、水)、スチレン、アルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、酸性モノマー、親水性モノマー、多官能性モノマー(例えば、二官能性モノマー)、反応性界面活性剤、及び連鎖移動剤を含む(又はこれらからなる)。このような実施形態では、一種類又は異なる種類の様々なモノマーが使用され得る。同様に、一種類若しくは異なる種類の溶媒及び/又は一種類若しくは異なる種類の連鎖移動剤が使用され得る。実施形態では、モノマーエマルションは、溶媒(例えば、水)、スチレン、アルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、2つの異なる種類の酸性モノマー(例えば、メタアクリル酸及びスルホン酸)、親水性モノマー(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート)、二官能性モノマー(例えば、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート)、反応性界面活性剤、及び連鎖移動剤を含む(又はこれらからなる)。これらの実施形態のうちのいずれかでは、上に記載されるように、様々なモノマー及び連鎖移動剤の量が使用され得る。残りは、溶媒からなっていてもよい。
【0033】
少なくとも実施形態では、モノマーエマルションは、界面活性剤を有さない(すなわち、含まない)。ここで、「界面活性剤」は、ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecylsulfate、SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム;ジアルキルベンゼンアルキルサルフェート;パルミチン酸;アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸塩;及び分岐状ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの非反応性非重合性アニオン性界面活性剤を指す。「界面活性剤」はまた、アルキルベンジルジメチル塩化アンモニウム、ジアルキルベンゼンアルキル塩化アンモニウム、ラウリルトリメチル塩化アンモニウム、アルキルベンジルメチル塩化アンモニウム、アルキルベンジルジメチル臭化アンモニウム、塩化ベンザルコニウム、セチル臭化ピリジニウム、トリメチル臭化アンモニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、及びドデシルベンジルトリエチル塩化アンモニウムなどの非反応性非重合性カチオン性界面活性剤を指す。「界面活性剤」はまた、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、並びにポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーなどの非反応性非重合性非イオン性界面活性剤を指す。したがって、モノマーエマルションは、これらの界面活性剤のいずれも有さない場合がある(すなわち、含まない)。
【0034】
樹脂粒子を形成するためのプロセス工程は、上に記載されるモノマーエマルションのうちのいずれかを、一定期間にわたってある供給速度で反応性界面活性剤溶液に添加することを含み得る。反応性界面活性剤溶液は、溶媒及び反応性界面活性剤を含む。上に記載される溶媒のうちのいずれか及び反応性界面活性剤のうちのいずれかが使用され得る。一種類又は異なる種類の溶媒及び/又は反応性界面活性剤が使用され得る。反応性界面活性剤溶液中の反応性界面活性剤は、モノマーエマルション中に存在し得る反応性界面活性剤と比較して、同じ種類又は異なる種類であってもよい。反応性界面活性剤溶液は、緩衝液を更に含んでもよい。重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び水酸化アンモニウムなどの様々な緩衝液が使用され得る。反応性界面活性剤は、1重量%~10重量%の範囲の量で使用され得る。(ここで、重量%は、(反応性界面活性剤の総重量)/(反応性界面活性剤溶液の総重量)*100を指す。)この範囲は、2重量%~5重量%を含む。緩衝液は、0.25重量%~2.5重量%の範囲の量で使用され得る。(重量%は、上に記載されるものと同様の意味を有する。)
【0035】
反応性界面活性剤溶液中に開始剤が含まれ得る。代替的に、開始剤及び上に記載される溶媒のうちのいずれかを含む別個の開始剤溶液が形成されてもよく、別個の開始剤溶液が反応性界面活性剤溶液に添加される。別個の開始剤溶液は、モノマーエマルションを添加する前に添加されてもよい。追加の量の別個の開始剤溶液は、モノマーエマルションの添加後に添加されてもよい。一種類又は異なる種類の溶媒及び/又は開始剤が使用され得る。好適な開始剤の例としては、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate、APS)、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸カリウムなどの水溶性開始剤、並びに有機過酸化物、及びVAZO 64(商標)などのVazo過酸化物、2-メチル2-2’-アゾビスプロパンニトリル、VAZO 88(商標)、2-2’-アゾビスイソブチルアミド無水物を含むアゾ化合物を含む有機可溶性開始剤、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。使用され得る他の水溶性開始剤としては、アゾアミジン化合物、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-クロロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジ-ヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-アミノ-フェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-2-プロペニルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(2-ヒドロキシ-エチル)2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロ-リド、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジ-ヒドロクロリド、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}ジヒドロクロリド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。開始剤は、0.1重量%~2.5重量%の範囲の量で使用され得る。(ここで、重量%は、(開始剤の総重量)/(反応性界面活性剤溶液の総重量)*100を指す。)
【0036】
反応性界面活性剤溶液中にシリカナノ粒子が含まれ得る。シリカナノ粒子は、親水性モノマーの水素結合部分及び/又は水素結合部分に結合した水分子に結合し得る。シリカナノ粒子の使用は、少なくとも部分的には、少量の非シリカホワイト顔料(例えば、二酸化チタン)が水性インクジェットインク組成物に使用され得るため、有益である。重合プロセス中にシリカナノ粒子を含むのではなく、シリカナノ粒子は、以下に記載されるように、水性インクジェットインク組成物を作製する場合、添加剤として含まれ得る。
【0037】
使用されるシリカナノ粒子のサイズは、概して非常に小さく、例えば、100nm以下、50nm以下、又は5nm~50nmの範囲のD50粒子サイズを有するシリカナノ粒子が使用され得る。シリカナノ粒子は、0.5重量%~5重量%の範囲の量で、反応性界面活性剤溶液中に含まれ得る。(ここで、重量%は、(シリカナノ粒子の総重量)/(反応性界面活性剤溶液の総重量)*100を指す。シリカナノ粒子の総重量は、シリカナノ粒子分散体/溶液の重量ではなく、固形分重量を指す。使用され得る市販のシリカナノ粒子としては、以下のものが挙げられる:FM、SM、HS-30、HS-40、LS、TM-40、TM-50、SM-AS、AS-30、AS-40、AM、HSA、TMA、P X-30、P t-40、P W-50、CL、及びCL-Pなどの様々なグレードのLUDOX Colloidal Silica、並びにSNOWTEX ST-20L、ST-30、ST-40、ST-50、ST-OS、ST-O、ST-O-40、ST-OL、ST-C、ST-C-30、ST-CM、ST-N、STN30G、ST-N40、ST-NS、ST-XS、ST-S、ST-UP、ST-O-UP、MA-ST-UP、ST-PS-S、AMT-330S、HX-305M1、及びHX-305M5などの様々なグレードの日産化学シリカが挙げられる。
【0038】
実施形態では、反応性界面活性剤溶液は、溶媒(例えば、水)、反応性界面活性剤、並びに任意選択的に開始剤、緩衝液、及びシリカナノ粒子のうちの1つ以上を含む(又はこれらからなる)。このような実施形態では、一種類又は異なる種類のこれらの構成成分が使用され得る。これらの実施形態のうちのいずれかでは、上に記載されるように、反応性界面活性剤、開始剤、緩衝液、及びシリカナノ粒子の量が使用され得る。残りは、溶媒からなっていてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、反応性界面活性剤溶液は、上に記載される界面活性剤のうちのいずれも有さない(すなわち、含まない)。少なくともいくつかの実施形態では、反応性界面活性剤溶液は、溶液中に存在する反応性界面活性剤モノマー以外のいかなるモノマーも有さない(すなわち、含まない)。
【0039】
反応性界面活性剤溶液へのモノマーエマルションの添加は、不活性ガス(例えば、窒素)下で、及び高温(例えば、50℃~90℃の範囲の温度などの室温よりも高い)で実施され得る。これは、モノマーエマルションを添加する前に、不活性ガスでパージし、反応性界面活性剤溶液を加熱し、モノマーエマルションの添加中に継続することによって達成され得る。
【0040】
上記のように、モノマーエマルションは、一定期間にわたってある供給速度で添加され得る。開始剤の存在下で、モノマーエマルションのモノマーは、重合反応を経て、ラテックスの樹脂粒子を形成する。供給速度は、一般に、重合が「モノマー欠乏」条件下で実施されるように十分に遅い。これは、供給速度が、重合反応の速度、例えば、スチレンとアクリレートモノマーとの間の速度以下であることを意味する。例示的な供給速度としては、1Lの総反応体積に基づいて、1mL/分~10mL/分の範囲のものが挙げられる。例示的な期間は、60分~600分の範囲のものを含む。モノマーエマルションを添加した後、更なる開始剤の添加あり又はなしで重合を更なる期間継続させることができる。例示的な追加の期間としては、1時間~18時間の範囲の時間が挙げられる。モノマーエマルションの添加及び添加後の重合はどちらも、不活性ガス下及び高温で実施され得る。上に記載されるプロセス工程の結果は、樹脂粒子を含むラテックスである。ラテックスは、そのまま使用され得るか、又は凝固、溶解、及び沈殿、濾過、洗浄、又は乾燥などの標準的な技術によって処理され得る。
【0041】
実施形態では、樹脂粒子を形成するための方法は、樹脂粒子を形成する際の樹脂シードの使用を伴わない。このような実施形態では、モノマーエマルションも反応性界面活性剤溶液もこのような樹脂シードを含まない。樹脂粒子を形成する重合反応は、またこのような樹脂シードを伴わない。同様に、少なくとも実施形態では、本方法は、上に記載される界面活性剤のうちのいずれ(反応性界面活性剤モノマー以外)の使用も伴わない。他の実施形態では、樹脂粒子を形成するための方法は、例えば、重合を開始及び安定化するために、樹脂シードを使用し得る。
【0042】
本方法は、モノマーエマルションを形成すること、反応性界面活性剤溶液を形成すること、及び/又は開始剤溶液を形成することを更に含み得る。各々は、所望の構成成分を所望の量で組み合わせて、混合することによって形成され得る。
【0043】
樹脂粒子の組成は、モノマーの選択、及びそれらの相対量、並びに上に記載されるような重合生成物を生成する選択されたモノマー間の重合反応に依存する。したがって、様々なモノマーの組み合わせを含む反応物質の様々な重合生成物に基づくものを含む、様々な組成が包含される。上記のように、モノマーの選択は、特に限定されない。しかしながら、実施形態では、樹脂粒子は、スチレン、アルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、酸性モノマー、親水性モノマー、多官能性モノマー(例えば、二官能性モノマー)、及び反応性界面活性剤を含む反応物質の重合生成物(例えば、コポリマー)を含む(又はこれらからなる)。このような実施形態では、一種類又は異なる種類の様々なモノマーが存在し得る。実施形態では、樹脂粒子は、スチレン、アルキルアクリレート(例えば、ブチルアクリレート)、2つの異なる種類の酸性モノマー(例えば、メタアクリル酸及びスルホン酸)、親水性モノマー(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート)、二官能性モノマー(例えば、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート)、及び反応性界面活性剤を含む反応物質の重合生成物を含む(又はこれらからなる)。これらの実施形態の各々において、開始剤は、樹脂粒子中の各ポリマー鎖の開始及び末端に組み込まれてもよい。これらの実施形態の各々では、樹脂は、多官能性/二官能性モノマーに起因して架橋され得る。これらの実施形態の各々では、モノマーは、上に記載される量で樹脂粒子中に存在し得る。例えば、酸性モノマー、親水性モノマー、及び多官能性モノマーの量は一緒に、樹脂粒子中10重量%~30重量%の範囲であってもよい。上記のように、この重量%は、(酸性モノマー、親水性モノマー、及び多官能性モノマーの総重量)/(反応性界面活性剤を除く樹脂粒子中のモノマーの総重量)*100を指す。
【0044】
樹脂粒子は、それらのサイズ及びサイズ分布を特徴とし得る。樹脂粒子は、比較的小さいサイズ及び狭いサイズ分布を有し得る。樹脂粒子のサイズは、Malvern Nano Zetasizerなどのナノ粒子分析器を使用して測定したD-(z、ave)値として報告され得る。実施形態では、D-(z、ave)は、200nm以下、190nm以下、180nm以下、170nm以下、又は80nm~200nmの範囲である。サイズ分布は、Malvern Nano-ZSなどのナノ粒子分析器を使用して測定した多分散指数(polydispersity index、PDI)として報告され得る。実施形態では、PDIは、0.1以下、0.050以下、0.040以下、0.035以下、0.030以下、又は0.001~0.1の範囲である。
【0045】
それらの小さなサイズ及び狭いサイズ分布に起因して、樹脂粒子は、大きな粒子を有さない(すなわち、含まない)ことを更に特徴とし得る。これは、200nm未満、175nm未満、又は150nm未満のD(v、90)値によって証明され得る。
【0046】
樹脂粒子の小さなサイズ及び狭いサイズ分布は、樹脂粒子を含むラテックスから溶媒を除去(すなわち、乾燥)したときに、三次元(three-dimensional、3D)フォトニック結晶を形成する能力によって更に証明され得る。このような結晶形成は、樹脂粒子の均一なサイズ分布のために可能である。局所結晶化及び3Dフォトニック結晶を形成する能力は、走査型トンネル電子顕微鏡(scanning tunneling electron microscopy、STEM)を使用して確認することができる。制御された加熱を使用して、3Dフォトニック結晶を達成することができる。
【0047】
樹脂粒子は、水性インクジェットインク組成物中に、1重量%~10重量%の範囲の量を含む様々な量で存在し得る。(ここで、重量%は、(樹脂粒子の総重量)/(水性インクジェットインク組成物の総重量)*100を指す。)この範囲は、1重量%~6重量%を含む。異なる種類の樹脂粒子の組み合わせが使用され得るが、実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、単一種類の樹脂粒子を含む。
【0048】
着色剤
【0049】
ホワイト顔料に加えて、水性インクジェットインク組成物は、着色剤を含み得る。着色剤には、顔料、染料、及びこれらの組み合わせが含まれる。好適な染料の例としては、アニオン性染料、カチオン性染料、非イオン性染料、及び双性イオン性染料が挙げられる。好適な染料の具体例としては、食用色素のブラックNo.1、食用色素のブラックNo.2、食用色素のレッドNo.40、食用色素のブルーNo.1、食用色素のイエローNo.7など食用色素、FD&C染料、アシッドブラック染料(No.1、7、9、24、26、48、52、58、60、61、63、92、107、109、118、119、131、140、155、156、172、194)、アシッドレッド染料(No.1、8、32、35、37、52、57、92、115、119、154、249、254、256)、アシッドブルー染料(No.1、7、9、25、40、45、62、78、80、92、102、104、113、117、127、158、175、183、193、209)、アシッドイエロー染料(No.3、7、17、19、23、25、29、38、42、49、59、61、72、73、114、128、151)、ダイレクトブラック染料(No.4、14、17、22、27、38、51、112、117、154、168)、ダイレクトブルー染料(No.1、6、8、14、15、25、71、76、78、80、86、90、106、108、123、163、165、199、226)、ダイレクトレッド染料(No.1、2、16、23、24、28、39、62、72、236)、ダイレクトイエロー染料(No.4、11、12、27、28、33、34、39、50、58、86、100、106、107、118、127、132、142、157)、リアクティブレッド染料(No.4、31、56、180)、リアクティブブラック染料(No.31)、リアクティブイエロー染料(No.37)などのリアクティブ染料、アントラキノン染料、モノアゾ染料、ジスアゾ染料、各種フタロシアニンスルホン酸塩を含むフタロシアニン誘導体、アザ(18)アヌレン、ホルマザン銅錯体、及びトリフェノジオキサジンが挙げられる。
【0050】
好適な顔料の例としては、ブラック顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、及びイエロー顔料が挙げられる。顔料は、有機粒子又は無機粒子であり得る。好適な無機顔料としては、カーボンブラックが挙げられる。しかしながら、コバルトブルー(CoO-Al2O3)、クロムイエロー(PbCrO4)、及び酸化鉄などの他の無機顔料が好適であり得る。好適な有機顔料としては、例えば、ジアゾ顔料及びモノアゾ顔料などアゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーンなどフタロシアニン顔料)、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、ピラントロン顔料、及びキノフタロン顔料)、不溶性染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート及び酸性染料型キレート)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、並びにPR168などのアントアントロン顔料が挙げられる。フタロシアニンブルー及びグリーンの代表例としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、及びそれらの誘導体(ピグメントブルー15、ピグメントグリーン7、及びピグメントグリーン36)が挙げられる。キナクリドンの代表例としては、ピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49、ピグメントレッド122、ピグメントレッド192、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントバイオレット19、及びピグメントバイオレット42が挙げられる。アントラキノンの代表例としては、ピグメントレッド43、ピグメントレッド194、ピグメントレッド177、ピグメントレッド216、及びピグメントレッド226が挙げられる。ペリレンの代表例としては、ピグメントレッド123、ピグメントレッド149、ピグメントレッド179、ピグメントレッド190、ピグメントレッド189、及びピグメントレッド224が挙げられる。チオインジゴイドの代表例としては、ピグメントレッド86、ピグメントレッド87、ピグメントレッド88、ピグメントレッド181、ピグメントレッド198、ピグメントバイオレット36、及びピグメントバイオレット38が挙げられる。複素環イエローの代表例としては、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー65、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー90、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー117、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー155、及びピグメントイエロー213が挙げられる。このような顔料は、BASF Corporation、Engelhard Corporation、及びSun Chemical Corporationなど多くの供給元から粉末又はプレスケーキの形態で市販されている。使用可能なブラック顔料の例としては、炭素顔料が挙げられる。炭素顔料は、許容可能な光学濃度及び印刷特性を提供する、任意の市販の炭素顔料であり得る。本系及び方法での使用に好適な炭素顔料は、カーボンブラック、グラファイト、ガラス状炭素、木炭、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。このような炭素顔料は、チャンネル法、コンタクト法、ファーネス法、アセチレン法、又はサーマル法など種々の既知の方法で製造することができ、Cabot Corporation、Columbian Chemicals Company、Evonik、及びE.I.DuPont de Nemours and Companyのようなそのような供給業者から市販されている。好適なカーボンブラック顔料としては、MONARCH(登録商標)1400、MONARCH(登録商標)1300、MONARCH(登録商標)1100、MONARCH(登録商標)1000、MONARCH(登録商標)900、MONARCH(登録商標)880、MONARCH(登録商標)800、MONARCH(登録商標)700、CAB-O-JET(登録商標)200、CAB-O-JET(登録商標)300、CAB-O-JET(登録商標)450、REGAL(登録商標)、BLACK PEARLS(登録商標)、ELFTEX(登録商標)、MOGUL(登録商標)、及びVULCAN(登録商標)顔料などCabot社製の顔料、RAVEN(登録商標)5000及びRAVEN(登録商標)3500などColumbian社製の顔料、カラーブラックFW200、FW2、FW2V、FW1、FW18、FW5160、FW5170、スペシャルブラック6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4、PRINTEX(登録商標)U、PRINTEX(登録商標)140U、PRINTEX(登録商標)V、及びPRINTEX(登録商標)140VなどEvonik社製の顔料が挙げられるが、これらに限定されない。他の顔料としては、CAB-O-JET 352K、CAB-O-JET 250C、CAB-O-JET 260M、CAB-O-JET 270Y、CAB-O-JET 465M、CAB-O-JET 470Y、及びCAB-O-JET 480V(Cabot Corporationから入手可能)が挙げられる。
【0051】
使用される場合、着色剤は、様々な量で水性インクジェットインク組成物中に存在し得る。実施形態では、着色剤は、水性インクジェットインク組成物の総重量と比較して、0.01重量%~5重量%の範囲の量で存在する。これは、0.01重量%~2重量%、及び0.01重量%~1重量%を含む。2種類以上の着色剤が使用される場合、これらの量は、着色剤の総量を指す。これらの量は、着色剤を含む分散体の量とは対照的に、固形分含有量を指す。
【0052】
実施形態では、ホワイト顔料に加えて、水性インクジェットインク組成物は、ブラック着色剤、シアン着色剤、又はそれらの組み合わせを含む。ホワイト顔料含有水性インクジェットインク組成物中にそのような着色剤を含めることは、グレー水性インクジェットインク組成物を提供するのに有用である。実施形態では、水性インクジェットインク組成物中の着色剤は、ホワイト顔料、及び任意選択的に、ブラック着色剤及びシアン着色剤のうちの1つ以上からなる。このような実施形態では、上に記載されるホワイト顔料、ブラック着色剤、及びシアン着色剤のうちのいずれかが使用され得る。上に記載されるホワイト顔料、ブラック着色剤、及びシアン着色剤の量のいずれかが使用され得る。
【0053】
ワックス
【0054】
水性インクジェットインク組成物はワックスを含み得る。例示的なワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、微結晶ワックス、ポリオレフィンワックス、モンタン系エステルワックス、及びカルナバワックスが挙げられる。50℃~150℃の範囲の融点を有するワックスが使用され得る。カルナウバワックス及びパラフィンワックスに基づくナノスケール(例えば、1000nm以下、500nm以下、又は100nm以下の直径)のワックスエマルションが使用され得る。Michelmanからのものなどのワックスが使用され得る(例えば、Michem Lube 103DI、124、124P135、156、180、182、190、270R、368、511、693、723、743、743P、及び985;並びにMichem Emulsion 24414、34935、36840、41740、43040、43240、44730、47950、48040M2、61355、62330、66035、67235、70750、71150、71152、91735、93235、93335、93935、及び94340)。Aquacer 2500、Aquacer 507、Aquacer 513、Aquacer 530、Aquacer 531、Aquacer 532、Aquacer 535、Aquacer 537、Aquacer 539、及びAquacer 593を含む、Bykからのワックスも使用され得る。
【0055】
帯電ワックス(例えば、アニオン性ワックス)に基づくナノスケールワックスエマルションが特に有用であることが見出された。例示的なそのようなワックスは、Michem Lube 190である。
【0056】
使用される場合、ワックスは、様々な量で水性インクジェットインク組成物中に存在し得る。実施形態では、量は、水性インクジェットインク組成物の総重量と比較して、0.1重量%~5重量%の範囲である。2種類以上のワックスが使用される場合、これらの量は、ワックスの総量を指す。これらの量は、ワックスを含む分散体の量とは対照的に、固形分含有量を指す。
【0057】
界面活性剤
【0058】
水性インクジェットインク組成物は、界面活性剤を含み得る。好適な界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate、SLS)、Dextrol OC-40、Strodex PK 90、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸カリウム、ミレス硫酸ナトリウム、及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウムシリーズなど)、非イオン性界面活性剤(Surfynol(登録商標)104シリーズ、Surfynol(登録商標)400シリーズ、Dynol(商標)604、Dynol(商標)607、Dynol(商標)810、EnviroGem(登録商標)360、Tergitol(商標)15-s-7、Tergitol(商標)15-s-9、TMN-6、TMN-100x、及びTergitol(商標)NP-9、Triton(商標)X-100などの二級アルコールエトキシレートシリーズ)、及びカチオン性界面活性剤(Chemguard S-106A、Chemguard S-208M、Chemguard S-216M)が挙げられる。PolyFox(商標)TMPF-136A、156A、151N、Chemguard S-761p、S-764p、Silsurf(登録商標)A008、Siltec(登録商標)C-408、BYK 345、346、347、348、及び349、3410、333、3455、342、333、302、ポリエーテルシロキサンコポリマーTEGO(登録商標)Wet-260、270 500など、及びTEGO(登録商標)Tween 4000などのいくつかのフッ素化又はシリコーン界面活性剤が使用され得、Chemguard S-500及びChemguard S-111などのアルキルベタインフルオロ界面活性剤又はアルキルアミンオキシドフルオロ界面活性剤などのいくつかの両性フッ素化界面活性剤も使用され得る。
【0059】
使用される場合、界面活性剤は、様々な量で水性インクジェットインク組成物中に存在し得る。実施形態では、界面活性剤は、水性インクジェットインク組成物の総重量と比較して、0.01重量%~2重量%の範囲の量で存在する。2種類以上の界面活性剤が使用される場合、これらの量は、界面活性剤の総量を指す。
【0060】
他の樹脂、エマルション、結合剤、分散剤
【0061】
必須ではないが、水性インクジェットインク組成物は、水溶性樹脂又はエマルション、水性結合剤、ポリマー分散剤、又はこれらの組み合わせを含み得る。ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンなどの、様々な水溶性樹脂が使用され得る。3000g/mol~9000g/mol、3000g/mol~7000g/mol、3000g/mol~5000g/mol、又は4000g/molの範囲の分子量を有するポリエチレングリコールが使用され得る。これらの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して測定され得る。
【0062】
例示的な水性結合剤としては、Rhohm & Haasから入手可能なRhoplex I-1955、Rhoplex I-2426D、Rhoplex I-62、Rhoplex I-98、Rhoplex E-1691が挙げられる。他には、DSM Corporationから入手可能なLucidene 190、Lucidene 400、及びLucidene 243;NeoCryl A-1110、NeoCryl A-2092、NeoCryl A-639、NeoRad R-440、NeoRad R-441、NeoRez N-55、972、PVP K-15、PVP K-30、PVP K-60、PVP K-85という名称で、ISPから入手可能な、Ganex P-904LC、PVP/VA W-63である。他の例示的な水性結合剤としては、Joncryl 537、Joncryl H538、Joncryl H538などの、Johnson Polymers(BASF)から入手可能なものが挙げられる。
【0063】
使用され得るポリマー分散剤としては、スチレン-アクリルコポリマーなどのアクリルポリマー及びビニルピロリドンコポリマー、ウレタン又はポリウレタン分散体、並びにアクリル-ウレタンハイブリッド分散体が挙げられる。より具体的なポリマー分散剤としては、Joncryl(登録商標)671、Joncryl(登録商標)683、Joncryl(登録商標)296、Joncryl(登録商標)690、Joncryl HPD 296、Joncryl HPD96-E、Joncryl LMV 7085、Joncryl 8082などの、Johnson Polymers(BASF)から入手可能なものが挙げられ、使用され得る他の分散剤としては、分散剤の目的のために参照により組み込まれるEP特許第2097265号に記載されるもの、及び分散剤の目的のために参照により組み込まれる米国特許出願第2019/284414号に記載されるものが挙げられる。
【0064】
存在する場合、様々な量の上記の構成成分が、水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。実施形態では、樹脂/エマルション/結合剤/分散剤は、水性インクジェットインク組成物の総重量と比較して、0.01重量%~5重量%の範囲の量で存在する。組み合わせが使用される場合、又は2つ以上の種類が使用される場合、これらの量は、樹脂/エマルション/結合剤/分散剤の総量を指す。
【0065】
しかしながら、少なくとも実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、水溶性樹脂又はエマルションを有さない(すなわち、含まない)。同様に、実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、水性結合剤を有さない(すなわち、含まない)。同様に、実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、ポリマー分散剤を有さない(すなわち、含まない)。これは、水溶性樹脂又はエマルション、水性結合剤、及び上に記載されるポリマー分散剤のうちのいずれも有さない(すなわち、含まない)ことを意味する。水溶性樹脂、水溶性エマルション、水性結合剤、及びポリマー分散剤という用語はいずれも、本水性インクジェットインク組成物中の樹脂粒子を包含しない。
【0066】
添加剤
【0067】
様々な添加剤を水性インクジェットインク組成物中で使用して、その特性を調整することができる。好適な添加剤としては、殺生物剤;殺真菌剤;安定剤;酸又は塩基、リン酸塩、カルボン酸塩、亜硫酸塩、アミン塩、緩衝液などのpH調整剤;EDTA(ethylenediamine tetra acetic acid、エチレンジアミン四酢酸)などの金属イオン封鎖剤;保湿剤;消泡剤;湿潤剤;及び上に記載されるシリカナノ粒子のうちの1つ以上が挙げられる(例えば、まだモノマー重合中に含まれていない場合)。
【0068】
様々な量の添加剤が水性インクジェットインク組成物中で使用され得る。実施形態では、添加剤は、水性インクジェットインク組成物の総重量と比較して、0.01重量%~5重量%の範囲の量で存在する。2種類以上の添加剤が使用される場合、これらの量は、添加剤の総量を指す。
【0069】
少なくとも実施形態では、本水性インクジェットインク組成物は、凝固剤を有さず(すなわち、含まない)、凝集剤を有さず(すなわち、含まない)、可塑剤を有さない(すなわち、含まない)。実施形態では、インク組成物は、N-メチルピロリドンなどの任意のピロリドンベースの溶媒を有さず(すなわち、含まない)、Texanol及びTexanolイソブチレートを有さない(すなわち、含まない)。
【0070】
実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、溶媒系と、ホワイト顔料と、樹脂粒子と、任意選択的に、着色剤、ワックス、及び添加剤のうちの1つ以上と、を含む(又はこれらからなる)。実施形態では、水性インクジェットインク組成物は、溶媒系と、ホワイト顔料と、樹脂粒子と、ワックスと、任意選択的に、着色剤及び添加剤のうちの1つ以上と、を含む(又はこれらからなる)。実施形態では、溶媒系は、水、第1の有機溶媒、及び第2の有機溶媒からなる。実施形態では、着色剤は存在し得、ブラック着色剤、シアン着色剤、及びこれらの組み合わせから選択され得る。実施形態では、添加剤は、安定剤、界面活性剤、消泡剤、湿潤剤、保湿剤、及び殺生物剤から選択され得る。これらの実施形態のうちのいずれかでは、構成成分は、本明細書に開示される溶媒系、有機溶媒、樹脂粒子、ホワイト顔料、着色剤、ワックス、及び添加剤のうちのいずれかから選択され得る。これらの実施形態のうちのいずれかでは、上に記載されるような構成成分の量が使用され得る。
【0071】
水性インクジェットインク組成物は、所望の構成成分を所望の量で組み合わせて、混合することによって形成され得る。例示的な方法は、(分散体として提供され得る)ホワイト顔料を水に添加することと、(ラテックスとして提供され得る)樹脂粒子を水に添加することと、有機溶媒を水に添加することと、任意の添加剤を水に添加することと、を含む。有機溶媒及び任意の添加剤は、水に添加する前に、別個の混合物として一緒に組み合わされ得る。(分散体として提供され得る)ワックスが含まれる場合、それは別々に添加され得る。ワックスは、有機溶媒及び添加剤の添加後に添加され得る。着色剤が含まれる場合、水性インクジェットインク組成物のコロイド安定性は、着色剤の添加順序に対して非常に感受性があると判定された。これらの結果は、以下の実施例において実証される。具体的には、ホワイト顔料の添加前に、(別個又は組み合わされた分散体として添加され得る)任意の着色剤が望ましく添加される。混合及び/又は加熱を、方法中に使用してもよい。水性インクジェットインク組成物を、使用前に濾過してもよい。
【0072】
特性
【0073】
水性インクジェットインク組成物は、それらの粘度を特徴とし得る。粘度は、4~400Hzの範囲にわたって、37℃の温度で測定されるような平均せん断粘度であり得る。平均せん断粘度は、TA InstrumentsによるARES-G2レオメーターを使用して測定され得る。平均値を提供するための測定値の数は、10であり得る。平均せん断粘度値は、水性インクジェットインク組成物の総重量と比較して、4重量%~15重量%の範囲のホワイト顔料固形分含有量を有する水性インクジェットインク組成物を指し得る。実施形態では、平均せん断粘度は、1mPa・秒~8mPa・秒、2mPa・秒~7mPa・秒、又は3mPa・秒~6mPa・秒の範囲である。これらの粘度は、水性インクジェットインク組成物の形成後1日以内に測定される、すべての初期粘度である。
【0074】
上記のように、水性インクジェットインク組成物の実施形態は、高い長期コロイド安定性を呈する。以下の実施例において記載されるように、平均せん断粘度は、水性インクジェットインク組成物のコロイド安定性の測定値を提供する。水性インクジェットインク組成物の実施形態は、長期間にわたり、高温で、非常に安定した平均せん断粘度を呈する。具体的には、水性インクジェットインク組成物の実施形態は、それぞれの初期平均せん断粘度の5%以内である、60℃で3日後の平均せん断粘度を呈する。水性インクジェットインク組成物の実施形態は、それぞれの初期平均せん断粘度の5%以内である、60℃で6日後の平均せん断粘度を呈する。以下の実施例において実証されるように、平均せん断粘度の安定性、したがってコロイド分散体の安定性は、水性インクジェットインク組成物中の第2の有機溶媒に対して非常に感受性があることが見出された。ホワイト顔料に加えて1つ以上の着色剤を含む水性インクジェットインク組成物(例えば、グレー水性インクジェットインク組成物)について、安定性もまた、着色剤/ホワイト顔料の添加順序に対して非常に感受性がある。
【0075】
水性インクジェットインク組成物は、印刷された画像を形成するために使用されてもよい。実施形態では、このような方法は、開示された水性インクジェットインク組成物のうちのいずれかの液滴を基材上に射出して、その上に画像を形成することを含む。このような方法は、インクジェット印刷装置にインク組成物を組み込むことを更に含み得る。印刷装置は、サーマルインクジェットプロセスを用いることができ、ノズル内のインク組成物は、画像的パターンで選択的に加熱され、それによってインク組成物の液滴が画像的パターンで射出される。代替的に、印刷装置は音響インクジェットプロセスを用いることができ、インク組成物の液滴は、音響ビームによって画像的パターンで射出される。更に別の実施形態では、印刷装置は圧電インクジェットプロセスを用いることができ、インク組成物の液滴は、圧電振動要素の振動によって画像的パターンで射出される。任意の好適な基材が用いられ得る。
【0076】
方法は、中間転写部材上に画像的パターンでインク液滴を射出することと、溶媒を部分的又は完全に除去するために画像を加熱することと、中間転写部材から最終記録基材に画像的パターンでインク組成物を転写することと、を含み得る。中間転写部材は、最終記録シートの温度よりも高く、印刷装置内のインク組成物の温度よりも低い温度まで加熱されてもよい。オフセット又は間接印刷プロセスはまた、例えば、米国特許第5,389,958号に開示されており、その開示は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0077】
最終記録シートとして、任意の好適な基材又は記録シートを用いることができる。例示的な基材としては、McCoy(登録商標)Gloss #100コーティング基材、Xerox(登録商標)Bold非コーティング基材、Kodak写真紙、Sterling(登録商標)Ultra Web Matte(オフセットコーティング)、TrueJet(登録商標)Gloss Text(Inkjet処理コーティング)、及びMcCoy(登録商標)Silk(オフセットコーティング)が挙げられる。他の基材が以下の実施例において提供される。
【実施例0078】
以下の実施例は、本開示の様々な種類を更に定義するために提示される。これらの実施例は、例示のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、別途記載のない限り、割合及び百分率は重量による。本明細書で使用される場合、「室温」は、約20℃~約25℃の温度を指す。
【0079】
実施例1:ラテックス
【0080】
1.4グラムの反応性界面活性剤溶液(MontelloからのHitenol BC 1025)、36グラムの脱イオン水、及び0.7gのシリカナノ粒子溶液(34%のLudox TMA)を、ガラス製反応器内で混合することによって調製した。次いで、反応物を窒素で30分間パージした。次いで、反応器を、250rpmで撹拌しながら窒素で連続的にパージした。次いで、反応器を、約75℃まで加熱し、そこで保持した。別に、0.3グラムの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を、5グラムの脱イオン水中で溶解し、反応器に添加した。
【0081】
別に、モノマーエマルションを以下の様式で調製した:28gのスチレン、6gのブチルアクリレート、3gのメタアクリル酸、1gの4-スチレンスルホン酸ナトリウム(スチレンスルホン酸)、1gのヒドロキシエチルアクリレート(hydroxyethyl acrylate、HEA)、0.6gの1-ドデカンチオール(DDT)、0.2gのPEGDA 250、0.8gのHitenol BC 1025、及び16gの脱イオン水を混合してエマルションを形成した。乳化された混合物を、反応器にゆっくりと約2時間供給し、反応は、約1.5時間継続した。更なる0.1gのAPS開始剤を、脱イオン水中で溶解し、約10分間にわたって反応器に添加し、反応は、更に約1.5時間継続した。得られたラテックスを室温まで冷却し、0.5M KOH溶液でpH8.0に中和した。
【0082】
モノマーの変換を測定し、99.9%を上回る変換が示された。したがって、モノマーエマルション中のモノマーの重量は、計算から重合性界面活性剤を除いて樹脂粒子と同じである。
【0083】
実施例2:ホワイト水性インクジェットインク組成物
【0084】
実施例1のラテックスを使用して、ホワイト水性インクジェットインク組成物を形成した。以下の工程を使用して、水性インクジェットインク組成物を形成し、配合を表1に示す。
【0085】
1.酸化チタン分散体を脱イオン水に添加し、カウルブレードインペラを使用して、約650RPMの速度で約15分間混合した。
【0086】
2.樹脂粒子のラテックス(実施例1)を酸化チタン分散体にゆっくり添加し、約20分間混合した(混合物A)。
【0087】
3.別個のビーカー内で、溶媒、保湿剤、安定剤、消泡剤、界面活性剤、及び湿潤剤を混合して、均質な混合物(混合物B)を形成した。
【0088】
4.混合物Bを混合物Aにゆっくりと添加した。添加が完了すると、構成成分を約20分間混合させた。
【0089】
5.ワックスを添加し、混合を約15分間継続した。
【0090】
6.混合した後、水性インクジェットインク組成物を室温で約60分間置いてから、pH、伝導度、及び表面張力を確認した
【0091】
【0092】
実施例4:グレー水性インクジェットインク組成物
【0093】
第1のプロセス(プロセスI)を使用して、グレー水性インクジェットインク組成物を形成した。工程は、以下のとおりであった。
【0094】
プロセスI
【0095】
1.酸化チタンの水への添加、約650rpmでの混合。
【0096】
2.ブラック分散体の工程1における混合物への添加。
【0097】
3.シアン分散体の工程2における混合物への添加。
【0098】
3.樹脂粒子を有するラテックス(実施例1)の工程3における混合物への添加。
【0099】
4.混合物を約25~30分間撹拌させる。
【0100】
5.溶媒と添加剤との混合物(実施例1の混合物B)を調製する。
【0101】
6.混合物B~Aの添加を約650rpmで完了させると、混合速度を約500rpmまで減少させ、混合物を約50~55分間撹拌した。
【0102】
7.ワックス分散体の工程7における溶液への約400rpmでの添加、約20分間の混合。
【0103】
プロセスIを介して調製されたグレー水性インクジェットインク組成物は、可視粒子形成によって証明されるように、安定性の問題を欠点として持つ。粒子形成の程度は、組成物を1ミクロンフィルターを通って流すことができないほど大きかった。
【0104】
プロセスIに関連する安定性の問題を軽減するために、変更プロセスを開発した。
【0105】
プロセスII
【0106】
1.ブラック分散体の水への添加。
【0107】
2.シアン分散体の工程1における混合物への添加。
【0108】
3.酸化チタン分散体の工程2における混合物への添加。
【0109】
4.樹脂粒子を有するラテックス(実施例1)の工程3における混合物への添加。
【0110】
5.プロセスIでの工程4~7に従う。
【0111】
プロセスIIを介して調製されたグレー水性インクジェットインク組成物は、1ミクロンフィルターを容易に通過し、かつ目詰まり又はレイテンシの問題なしに噴射される。代表的な配合を表2に示す。
【0112】
【0113】
コロイド安定性
【0114】
水性インクジェットインク組成物のコロイド安定性を試験するために、ホワイト水性インクジェットインク組成物を、加速エージング調査のために、約60℃(例えば、±5℃)のオーブン内で3日(±12時間)、又は約60℃(例えば、±5℃)のオーブン内で6日(±12時間)のいずれかでエージングした。エージング前後にレオロジー及び粒子サイズを測定した。平均せん断粘度を、TA InstrumentsによるARES-G2レオメーターを使用して、37℃で、4~400Hzの範囲にわたって測定した。報告値は、10回の測定値の平均であった。レオロジー測定値は、インクのエージング中の構造形成、ゲル化、凝固、又は沈殿に感受性があるため、粒子サイズ測定値と比較して、コロイド安定性のより正確な指標であると判定された。以下の表3は、表1のホワイトインクA~Gの結果を示す。表3では、各インクA~Gの第1の測定値は、インクの調製の1日以内に測定された、インクの初期平均せん断粘度である。粘度の変化%は、(初期平均せん断粘度値とエージング後の平均せん断粘度値との間の差の大きさ)/(初期平均せん断粘度値)*100で与えられる。結果は、ホワイトインクC~Gにおいて顕著であり、60℃で6日間のエージング後の平均せん断粘度値が、初期平均せん断粘度値と同じ(4%以内)であることを呈する。これらのホワイトインクは、5重量%以下の1,2-ヘキサンジオールを含有する。ホワイトインクA及びBは、7重量%の1,2-ヘキサンジオールを含有する。
【0115】
【0116】
印刷性能
【0117】
水性インクジェットインク組成物を、Dimatix DMP2800プリンタを使用して、異なる紙基材上に噴射した。使用された試験キーパラメータの第1のセットは以下のとおりであった:液滴質量=4.5~4.8ng(すなわち、約4.5ng)、液滴速度=6~7m/秒、周波数=5kHz、電圧=16~20V、印刷温度は、37℃であった。使用された試験キーパラメータの第2のセットは以下のとおりであった:液滴質量=8.5~9ng(すなわち、約9ng)、液滴速度=9~11m/秒、周波数=5kHz、電圧=24~27V、印刷温度は、37℃であった。印刷パラメータは、600×600dpi印刷であった。測定は、デジタルルーペを有するパーソナル画像分析システムであるPIAS II機器を使用して行った。ドットサイズ及び直径を測定するために、約3.2mm×2.4mmの視野を有する高解像度光学モジュール、約5μm/ピクセルを使用した。結果を(ホワイトインクC及びGについて)表4及び(グレーインクについて)表5に示す。
【0118】
【0119】
ホワイト水性インクジェットインク組成物C及びGもまた、例外的な耐水性を呈した。ホワイトインクCは、20回超の湿式摩擦、ホワイトインクGは、25回超の湿式摩擦に耐性があった。耐湿式摩擦性を、湿式Qチップの2回摩擦を使用して測定した。各インクの薄層を、McCoy光沢#100紙上にコーティングし、次いで、130℃の対流式オーブンで2分間乾燥させた。
【0120】
ホワイト水性インクジェットインク組成物C及びGを使用して印刷された画像について顕微鏡画像を得た。画像は、線幅において優れたドット円形度及び均質性を示した。ホワイトインクC及びGの両方の固形分印刷ブロックは、非常に平滑な側部及び縁部を示し、これは、通常、水性インクジェットインクにおいて得ることは困難である。
【0121】
【0122】
上記のように、グレー水性インクジェットインク組成物の特性評価からの結果を表5に要約する。この表では、寒色グレー及び暖色グレーのPantone見本からの基準測定値も含まれていた。グレーインクの4.5ng及び9ng印刷の結果は、基準Pantone寒色グレー及び暖色グレーと一致している。また、モトル、真円度、及び粒状性は、仕様内であった。
【0123】
「例示的な」という語は、例、事例、又は例示としての役割を果たすことを意味するために本明細書で使用される。「例示的な」として本明細書で記載される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計に比べて好ましい又は有利であると解釈されない。更に、本開示の目的のために、特に指定がない限り、「a」又は「an」は、「1つ以上」を意味する。
【0124】
既に含まれていない場合、本開示におけるパラメータのすべての数値は、およそを意味する「約」という用語によって進められる。これは、当業者に理解されるような関連パラメータの測定に固有の変動を包含する。これはまた、開示された数値及び開示された数値を四捨五入した値の正確な値も包含する。
【0125】
本開示の例示的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のために提示される。網羅的であること、又は本開示を開示される正確な形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示に照らして修正及び変形が可能であるか、又は本開示の実施から取得されてもよい。本開示の原理を説明するために、及び本開示の実用的な用途として、当業者が様々な実施形態において本開示を利用することを可能にするために、かつ企図される特定の用途に適した様々な修正を用いて、実施形態が選択及び記載される。本開示の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義されることが意図される。