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特開2022-173085荷役助力装置及び荷役助力装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173085
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】荷役助力装置及び荷役助力装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66D 3/18 20060101AFI20221110BHJP
   B66D 3/20 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
B66D3/18 E
B66D3/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066781
(22)【出願日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2021078271
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591156799
【氏名又は名称】ユニパルス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄
(57)【要約】
【課題】操作性の改善を図った荷役助力装置及び荷役助力装置の制御方法の提供。
【解決手段】昇降作動部16、モータ部11、重量検出部12、位置検出部13、記憶部10a、制御部10を備えた荷役助力装置1である。昇降作動部16は荷役物33の昇降を行い、モータ部11は昇降作動部16を駆動し、重量検出部12は昇降作動部16に加わる重量値を送信し、位置検出部13は係止部7の繰出し値を送信し、記憶部は係止部7及び荷役物33の重量を登録値として記憶し、制御部10はバランス手段10dと自動昇降手段10cとを有し、バランス手段10dは重量値及び登録値を受信してこの差をゼロにする制御値を演算してモータ部を制御してバランス制御を行い、自動昇降手段10cは繰出し値が予め設定された第1の繰出し値に達した後、予め設定された第2の繰出し値に到達して所定の時間が経過した場合、直ちに係止部7を上昇若しくは下降させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降作動部と、モータ部と、重量検出部と、位置検出部と、記憶部と、制御部と、を備えて荷役物の昇降の助力を行う荷役助力装置であって、
前記昇降作動部は、前記荷役物を係止する係止部を吊索で繰り出して前記荷役物の昇降を行い、
前記モータ部は、前記昇降作動部を駆動し、
前記重量検出部は、前記昇降作動部に加わる重量値を検出して前記制御部へ送信し、
前記位置検出部は前記係止部の繰出し値を検出して前記制御部へ送信し、
前記記憶部は前記係止部及び前記荷役物の重量を登録値として記憶し、
前記制御部は、バランス手段と、自動昇降手段とを有し、
前記バランス手段は、前記重量値及び前記登録値を受信して前記重量値と前記登録値との差をゼロにする制御値を演算し前記モータ部を制御してバランス制御を行い、
前記自動昇降手段は、前記位置検出部から受信した前記繰出し値が予め設定された第1の繰出し値に達した後、さらに予め設定された第2の繰出し値に到達して所定の時間が経過したことを検出した場合、直ちに前記係止部を上昇若しくは下降させる荷役助力装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記自動昇降手段によって自動で前記係止部を上昇させて、前記重量検出部から一定の重量値を受信した場合に当該一定の重量値を前記登録値として更新し、前記バランス制御を行う請求項1に記載の荷役助力装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記自動昇降手段によって前記係止部を下降させて、前記重量検出部から受信した前記重量値が、前記記憶部にて予め記憶してある荷役物無し重量値に達した場合、前記荷役物無し重量値を前記登録値として更新し、前記バランス制御を行う請求項1又は2に記載の荷役助力装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記自動昇降手段によって前記係止部を所定の距離を下降させた後、前記重量検出部から受信した前記重量値を前記登録値として更新し、前記バランス制御を行う請求項1又は2に記載の荷役助力装置。
【請求項5】
昇降作動部と、モータ部と、重量検出部と、位置検出部と、記憶部と、制御部と、を備えて荷役物の昇降の助力を行う荷役助力装置の制御方法であって、
前記昇降作動部は、前記荷役物を係止する係止部を吊索で繰り出して前記荷役物の昇降を行い、
前記モータ部は、前記昇降作動部を駆動し、
前記重量検出部は、前記昇降作動部に加わる重量値を検出して前記制御部へ送信し、
前記位置検出部は前記係止部の繰出し値を検出して前記制御部へ送信し、
前記記憶部は前記係止部及び前記荷役物の重量をそれぞれ登録値として記憶し、
前記制御部は、バランスステップと、自動昇降ステップとを有し、
前記バランスステップでは前記制御部が、前記重量値及び前記登録値を受信して前記重量値と前記登録値との差をゼロにする制御値を演算し前記モータ部を制御してバランス制御を行い、
前記自動昇降ステップでは前記制御部が、前記位置検出部から受信した前記繰出し値が予め設定された第1の繰出し値に達した後、さらに予め設定された第2の繰出し値に到達して所定の時間が経過したことを検出した場合、直ちに前記係止部を上昇若しくは下降させる荷役助力装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、令和3年5月6日付けの出願を基礎とする国内優先権主張の出願である。本発明は、製造分野の製造組立てや搬送などに用いる荷役助力装置であって、例えば荷役物を昇降させる際にモータによるアシストで重量バランスさせ僅かな操作力で上下移動させる荷役助力装置及び荷役助力装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から工業製品の組立てを行う工場では、大きな重量を有する工具、作業用機器、製品、半完成品などを移動させる荷役装置を使用している。その荷役装置の中でも、大きな重量の荷役物に対してバランス状態を作り出し、使用者が軽い操作力で任意の高さに昇降移動できるように助力(アシスト力)を発生させる荷役助力装置が一部で使用されている。このように助力を発生させる荷役助力装置は、電動モータによって助力を行い、バランス状態を作り出し、荷役物に小さな操作力を加えることでスムーズに移動させている。したがって単に上下動作を電動モータで行うものとは異なり、荷役物の荷重やこれに加わる操作力を例えば荷重検出器で検出して、回転角検出器と繋がったACサーボモータ等で外力の印加による重量変化を元に加速度を調整して細かいバランス制御を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-52007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、操作部からの指令によって制御部がバランスを保つ技術が開示されている。このような荷役助力装置を使用して荷役物を扱う際に、作業者は都度操作スイッチを押して操作指令を行うことが必要である。しかし、この操作スイッチを押す回数を減らしたいという要望があって改善の余地があった。
【0005】
このような問題に鑑みて、本発明は、作業者の負担を軽減して荷役作業の改善を図った荷役助力装置及び荷役助力装置の制御方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る荷役助力装置は、上記の目的を達成するために、
昇降作動部と、モータ部と、重量検出部と、位置検出部と、記憶部と、制御部と、を備えて荷役物の昇降の助力を行う荷役助力装置であって、
昇降作動部は、荷役物を係止する係止部を吊索で繰り出して荷役物の昇降を行い、
モータ部は、昇降作動部を駆動し、
重量検出部は、昇降作動部に加わる重量値を検出して制御部へ送信し、
位置検出部は係止部の繰出し値を検出して制御部へ送信し、
記憶部は係止部及び荷役物の重量を登録値として記憶し、
制御部は、バランス手段と、自動昇降手段とを有し、
バランス手段は、重量値及び登録値を受信して重量値と登録値との差をゼロにする制御値を演算しモータ部を制御してバランス制御を行い、
自動昇降手段は、位置検出部から受信した繰出し値が予め設定された第1の繰出し値に達した後、さらに予め設定された第2の繰出し値に到達して所定の時間が経過したことを検出した場合、直ちに係止部を上昇若しくは下降させるように構成されている。
【0007】
また、制御部は、自動昇降手段によって自動で係止部を上昇させて、重量検出部から一定の重量値を受信した場合に当該一定の重量値を登録値として更新し、バランス制御を行うように構成されている。
【0008】
また、制御部は、自動昇降手段によって係止部を下降させて、重量検出部から受信した重量値が、記憶部にて予め記憶してある荷役物無し重量値に達した場合、荷役物無し重量値を登録値として更新し、バランス制御を行うように構成されている。
【0009】
また、制御部は、自動昇降手段によって係止部を所定の距離を下降させた後、重量検出部から受信した重量値を登録値として更新し、バランス制御を行うように構成されている。
【0010】
本発明の一態様に係る荷役助力装置の制御方法は、上記の目的を達成するために、
昇降作動部と、モータ部と、重量検出部と、位置検出部と、記憶部と、制御部と、を備えて荷役物の昇降の助力を行う荷役助力装置の制御方法であって、
昇降作動部は、荷役物を係止する係止部を吊索で繰り出して荷役物の昇降を行い、
モータ部は、昇降作動部を駆動し、
重量検出部は、昇降作動部に加わる重量値を検出して制御部へ送信し、
位置検出部は係止部の繰出し値を検出して制御部へ送信し、
記憶部は係止部及び荷役物の重量をそれぞれ登録値として記憶し、
制御部は、バランスステップと、自動昇降ステップとを有し、
バランスステップでは制御部が、重量値及び登録値を受信して重量値と登録値との差をゼロにする制御値を演算しモータ部を制御してバランス制御を行い、
自動昇降ステップでは制御部が、位置検出部から受信した繰出し値が予め設定された第1の繰出し値に達した後、さらに予め設定された第2の繰出し値に到達して所定の時間が経過したことを検出した場合、直ちに係止部を上昇若しくは下降させるように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の荷役助力装置によれば、操作スイッチを押す回数を少なくして、作業者の負担を軽減する荷役助力装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る荷役助力装置の斜視構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る荷役助力装置の本体装置の一部を省略した斜視構成図と操作指令部の斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る荷役助力装置の電子回路のブロック構成図である。
図4】本発明の実施形態に係る荷役助力装置を用いた作業を表した模式図である。
図5】本発明の実施形態に係る荷役助力装置を用いた作業を表した模式図である。
図6】本発明の実施形態に係る荷役助力装置を用いた作業を表した模式図である。
図7】本発明の実施形態に係る荷役助力装置を用いた作業を表した模式図である。
図8】本発明の実施形態に係る荷役助力装置を用いた作業を表した模式図である。
図9】本発明の実施形態に係る荷役助力装置を用いた作業を表した模式図である。
図10】本発明の実施形態に係る荷役助力装置を用いた作業を表した模式図である。
図11】本発明の実施形態に係る荷役助力装置を用いた作業を表した模式図である。
図12】本発明の実施形態に係る荷役助力装置の制御部が実行するステップのフローチャートである。
図13】本発明の実施形態に係る荷役助力装置のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る荷役助力装置について、図面を基に詳細な説明を行う。図1は本発明の実施形態の一例である荷役助力装置1の斜視構成図である。
【0014】
荷役助力装置1は、本体装置2と、吊下げフック3と、リンクチェーン4と、吊り具用フック5と、グリップ6と、係止部7と、操作指令部20と、を含んで構成されている。本体装置2は、リンクチェーン4を介して、係止部7に荷役物33を係止させて、荷役物33の昇降を行う。吊り具用フック5は、この本体装置2から鉛直下方向へ伸びたリンクチェーン4の下方端部に設けられている。本体装置2の天面部には吊下げフック3が設けられている。したがって本体装置2は建物の梁や、図4以降で表されるような水平移動用のレール42に沿って水平方向に移動自在な移動ブロック41などに吊して使用することができる。
【0015】
吊り具用フック5は、リンクチェーン4の一端に設けられた荷役物用のフックであって、本実施形態では係止部7を吊下げる部材で、汎用性のある形状である。
【0016】
係止部7は、荷役物33を係止するものである。係止部7は、荷役物33の上面に設けられた突部に係止するために、金属板を略J字状に折り曲げたものであって、その端部には吊り具用フック5を挿入するための穴が設けられている。
【0017】
グリップ6は、吊り具用フック5とリンクチェーン4との接続部を覆って固定されて設けられた中空円筒状の部材である。作業者はグリップ6を握って、吊り具用フック5及び係止部7を目的の場所に移動させて荷役作業を行うことができる。
【0018】
図2は本発明の実施形態の荷役助力装置1の本体装置2の一部を省略した斜視構成図と操作指令部20の拡大斜視図である。本体装置2はカバーを備えていて、その内部には制御部10、モータ部11、昇降作動部16、重量検出部12、位置検出部13等が収納されている。
【0019】
本体装置2の制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、その他の記憶装置及び入出力装置を備えて、リンクチェーン4及び昇降作動部16を介して吊り具用フック5の上下移動の制御等を行う。また制御部10は、本体装置2を構成する電気電子部品等に電気を供給する回路を含んでいる。
【0020】
モータ部11は、吊り具用フック5及び係止部7を上下移動させるための駆動源である。モータ部11のモータの負荷側には減速機が取り付けられている。このモータは例えば交流サーボモータである。
【0021】
この減速機はモータの回転速度を所定の速度に減速している。減速機は例えば波動歯車減速機である。波動歯車減速機は、ウェーブジェネレータと、フレクスプラインと、サーキュラスプラインとを有している。ウェーブジェネレータは、楕円状のカムの外周に薄肉のボールベアリングが嵌め込まれ、全体が楕円形状をしている。ベアリングの内輪は楕円カムに固定されていて、外輪はボールを介して弾性変形する。フレクスプラインは、外周に多数の外歯が形成され、ウェーブジェネレータに外嵌されて、ウェーブジェネレータの回転により円周方向へ撓まされる位置が変化するようにした弾性変形可能なものである。サーキュラスプラインは、フレクスプラインの外周側にあってフレクスプラインの外歯と嵌合する内歯を備えている。そして動力は、モータと連結したウェーブジェネレータからフレクスプラインに回転出力として繋げた出力軸15へ取り出されて伝達される。このモータ部11の減速機に例えば波動歯車減速機のようなバックラッシが微小なものを使用することで、モータの正逆回転切り換えを頻繁に行って上下移動を行う時に、切り換え時の制御不能な領域をなくし、スムーズな操作感を実現できる。なお減速機は波動歯車減速機に限るものではない。
【0022】
出力軸15は、減速機にて回転速度を減速し、増大させたトルクを出力する回転軸であり、昇降作動部16と連結し、昇降作動部16を連続的に正逆に回転させるものである。
【0023】
リンクチェーン4は吊索であって、半円弧部とこれに繋がる直線部からなる長円形の環が交差して交互に連接されたものである。リンクチェーン4の一端は吊り具用フック5に繋がっていて、他端(無負荷側)はチェーン収納部17に収納されている。
【0024】
昇降作動部16は、駆動源のモータ部11からの動力の伝達によって回転する回転部材を含んで構成される。本実施形態では昇降作動部16の回転部材は中空円柱の形状であって、中空部で出力軸15と繋がっていて、リンクチェーン4を巻回し、リンクチェーン4の巻き上げ及び繰り出しを行う。リンクチェーン4が巻回される位置は、おおよそ吊下げフック3の鉛直下付近であって、本体装置2の重心位置に近いところに設けられる。リンクチェーン4は昇降作動部16の外側円柱面に設けられたポケット溝に嵌入されておおよそ180度ほど巻回される。本実施形態では吊索は、吊り具用フック5に繋がって昇降作動部16に巻回されるものにリンクチェーン4を用いたが、これに限らずワイヤーロープであっても良い。ワイヤーロープを使用した時は、昇降作動部16はドラム形状で、ワイヤーロープはその一端が固定されて回転部材に巻回される。
【0025】
位置検出部13はモータ部11の反負荷側に連結されている。位置検出部13はモータの回転角位置を検出する。位置検出部13は例えばアブソリュートエンコーダであって、光学式にてモータの回転角位置を検出して位置値を本体装置2の制御部10へ送信する。したがってこの位置検出部13は、係止部7の本体装置2からの繰出し値Lすなわち係止部7の昇降位置を検出することができる。
【0026】
重量検出部12は、起歪体と起歪体に貼られた歪みゲージを備えている。起歪体は昇降作動部16に巻きつけられているリンクチェーン4から伝達される力を検出できるように弾性変形する形状を有している。歪みゲージは重量に応じて起歪体に生ずる歪みを電気信号に変換するホイートストーンブリッジ回路に組み込まれ、重量検出部12は昇降作動部16に加わる重量を検出して、重量値を本体装置2の制御部10へ送信する。
【0027】
そして本体装置2の制御部10が本体装置2内の昇降作動部16の近傍に配置されている。本体装置2の制御部10は、位置検出部13から位置値(繰出し値L)を、重量検出部12から重量値をそれぞれ受信し、これらを基に演算を行い、モータ部11を制御する。本体装置2の制御部10を含む電装部は、本体装置2を粉粒や水滴のかかる場所での使用も可能にするためにカバー内に配置されている。
【0028】
本実施形態では、位置検出部13はモータ部11の反負荷側に配置したがこれに限らず、減速機の出力である出力軸15や昇降作動部16に設けられても良く、また両方に設けられても良い。さらに光学式に限らず磁気式や静電容量式等であっても良い。
【0029】
また重量検出部12は昇降作動部16に加わる重量を検出できれば良く、減速機と昇降作動部16との間に設けた回転軸の捻れからトルクを検出するような回転型の構造や、モータ部11が受ける反力を検出するフランジ型や鼓型の構造のものであっても良い。さらに歪みゲージ式に限らず磁歪式や静電容量式等であっても良い。
【0030】
本体装置送受信部14が、本体装置2の制御部10の回路基板の一部に配置されている。本体装置送受信部14は、操作指令部20と無線にて通信するための電子回路を有している。
【0031】
操作指令部20は、本体装置2を遠隔にて操作するためのものであって、本実施形態では電波によって通信している。操作指令部20は、内蔵されている電池によって駆動される。操作指令部20は、操作手段として例えばバランス釦22、保持釦23、上昇釦24及び下降釦25を有している。操作の内容詳細については後述する。
【0032】
図3は本発明の実施形態に係る荷役助力装置1の電子回路のブロック構成図である。荷役助力装置1は、本体装置2と操作指令部20とを含んで構成されている。
【0033】
本体装置2の制御部10は本体装置2全体の制御を行っている。本体装置2の制御部10は、モータ部11を駆動する駆動回路を含んでいる。そして本体装置2の制御部10は、重量検出部12から昇降作動部16に加わる重量値を受信し、位置検出部13からモータ部11の回転角の位置値を受信し、本体装置送受信部14と信号の送受信を行う。本体装置送受信部14と本体装置2の制御部10とは有線で繋がっていて、極めて短い時間間隔で高速に信号の送受信を行う。なお制御部10内には、記憶部10aと、演算部10bとが含まれていて、演算部10bは、自動昇降手段10cと、バランス手段10dとを含んでいる。また記憶部10aは、制御部10内にあってもよいが、制御部10外であっても良い。
【0034】
本体装置送受信部14は、操作指令部20の操作指令送受信部26と無線にて通信を行う。本体装置送受信部14及び操作指令送受信部26は無線通信を行う電子回路で構成され、電波による送信器と受信器を有する他、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有する場合がある。
【0035】
操作指令制御部21は操作指令部20全体の制御を行っている。操作指令制御部21は各操作手段(操作釦)による操作指令を受けて、操作の指令信号を操作指令送受信部26へ送信する。そして操作指令送受信部26は操作指令制御部21から受信した操作の指令を、本体装置送受信部14へ無線にて送信する。この指令を含んだ信号には、操作指令部20と本体装置2のペアリングを行う操作指令部20の識別情報が付与されている。
【0036】
次いで操作指令部20に設けられている操作手段である各操作釦の役割について説明する。各操作釦は例えばモーメンタリ動作のプッシュスイッチであって、押している期間中はONとなって離すと自己復帰でOFFになる。作業者がバランス釦22を押すと操作指令部20からバランス指令が送信され、本体装置2の制御部10はこれを受信してバランス制御へ移行する。すなわち本体装置2の制御部10は、バランス釦22が押された時、重量検出部12が昇降作動部16に加わる重量値を検出して出力した重量値を記憶部10aにより登録重量として記憶し、その後バランス手段10dによって登録重量と昇降作動部16に加わる重量との差をゼロにする制御値を演算して、モータ部11を制御する。この制御を本発明ではバランス制御と言い、このバランス制御中の係止部7及び荷役物33の状態をバランス状態と言う。換言すると、本体装置2の制御部10は、登録した重量で生じるリンクチェーン4のテンションと、昇降作動部16検出した重量で生じるリンクチェーン4のテンションとが同じになるように制御値を演算してモータ部11を制御することがバランス制御である。そして作業者がこのバランス制御中に係止部7や荷役物33に鉛直下向きの外力を加えると、昇降作動部16に加わる重量が大きくなることから、本体装置2の制御部10はこれを登録重量へ近づけるように制御値を演算し、リンクチェーン4を繰り出す方向にモータ部11を制御し、係止部7及び荷役物33は下降する。一方、作業者がこのバランス制御中に係止部7や荷役物33に鉛直上向きの外力を加えると、昇降作動部16に加わる重量が小さくなることから、本体装置2の制御部10はこれを登録重量へ近づけるように制御値を演算し、リンクチェーン4を巻き上げる方向にモータ部11を制御し、係止部7及び荷役物33は上昇する。そして作業者が外力の印加をやめると、重量検出部12が検出する重量が登録重量と等しくなるので係止部7及び荷役物33は静止した状態となる。なおこの制御値は例えば加速度を含むものである。
【0037】
一方で、作業者が保持釦23を押すと、本体装置2の制御部10は保持指令を受信し、昇降作動部16を現在位置にて保持、すなわち吊り具用フック5及び係止部7の昇降位置を保つようにモータ部11を制御する。
【0038】
作業者が上昇釦24若しくは下降釦25を押すと、本体装置2の制御部10はこれを受けてモータ部11を制御して、吊り具用フック5を上昇若しくは下降させる。作業者は上昇釦24若しくは下降釦25を連続的に押すことで、モータ部11により吊り具用フック5及び係止部7を連続的に昇降させることができる。本体装置2が保持状態及びバランス状態いずれにあっても、作業者が上昇釦24若しくは下降釦25を押すと、上昇若しくは下降を行い、押した上昇釦24若しくは下降釦25から手を離すと保持状態に戻る。
【0039】
図4から図11は、作業者が本発明の実施形態に係る荷役助力装置1を用い、荷役物33を扱う一連の作業状態を表した模式図である。また図12は本発明の実施形態に係る荷役助力装置1の本体装置2の制御部10が実行するフローチャートである。図4から図12を用いて係止部7及び荷役物33の動きとその時の本体装置2の制御部10が実行する制御の各ステップについて説明する。
【0040】
図4において、レール42は作業構内の天井等に水平方向に設けられた軌道レールである。移動ブロック41はレール42に沿って略水平方向に移動可能な部材であって、吊下げフック3と連結して本体装置2を吊している。したがって移動ブロック41は吊下げフック3以下を水平方向に移動自在にしている。
【0041】
荷役助力装置1の鉛直下方向には、構造物30がある。構造物30は、第1の面30aと第2の面30bを有している。第1の面30aは鉛直方向において第2の面30bよりも低い位置にある。第1の面30aには、コンベア31が置かれていて、コンベア31上で荷役物33が図4の奥行き方向に搬送されて来る。一方、第2の面30bには有底の容器32が置かれている。容器32は荷役物33を複数個入れることができる収納容器である。ここではコンベア31で搬送されてきた荷役物33を、容器32へ移動させる手順について説明する。
【0042】
図12において、まず荷役助力装置1の電源が入っていない状態にて、作業者が、本体装置2の不図示の電源スイッチをONにすると、本体装置2の制御部10が起動して、本体装置2の制御部10はステップS101を実行して、ステップS102へ進む。本体装置2の制御部10はステップS101にて、昇降作動部16を現在位置にて保持する(保持モード)。本体装置2の制御部10はステップS102にて、上昇釦24若しくは下降釦25が押されたと判断した場合は、ステップS103を実行する。本体装置2の制御部10はステップS103にて、昇降作動部16を作動させて係止部7を上昇若しくは下降させステップS101へ戻って、その位置での保持状態となる。作業者が操作指令部20の上昇釦24若しくは下降釦25を連続的に押し続けると、本体装置2の制御部10はステップS103を継続して吊り具用フック5及び係止部7を上昇若しくは下降させる。
【0043】
本体装置2の制御部10はステップS102にて、上昇釦24若しくは下降釦25が押されていないと判断した場合は、ステップS104へ進む。
【0044】
本体装置2の制御部10はステップS104にて、バランス釦22が押されていないと判断するとステップS101へ戻って保持状態を保つ。本体装置2の制御部10はステップS104にて、バランス釦22が押されたと判断するとステップS105へ進む。すなわち作業者が、荷役物33が吊下げられていない状態、すなわち荷役物無し状態で、バランス釦22を押すと、本体装置2の制御部10はステップS105にて、重量検出部12に加わる重量値W1を受信して、これを登録値として記憶し、ステップS106へ進む。この重量値W1が荷役物無し重量値であって、係止部7に荷役物33が係止されていない時に重量検出部12が検出する重量である。
【0045】
本体装置2の制御部10はステップS106にて、記憶部10aにて記憶されている荷役物無しの登録値を基に荷役物無しバランス制御を開始し(バランスステップ)、ステップS107へ進む。すなわち制御部10内のバランス手段10dが、このバランスステップを実行する。この状態では、作業者がグリップ6を掴んで係止部7を自在に昇降できるので、作業者は係止部7の先端部の繰出し値Lが所定の第1の繰出し値L1aよりも小さくなるまで移動させる。この時の状態が図4である。なお繰出し値Lとは、本体装置2の底面Bから係止部7の先端までの鉛直方向の距離を指す。
【0046】
本体装置2の制御部10のステップS107は、係止部7の先端部の繰出し値が所定の第1の繰出し値L1aよりも小さくなるまで継続する。本体装置2の制御部10はステップS107にて、係止部7の先端部の繰出し値Lが所定の第1の繰出し値L1aよりも小さくなったと判断した場合、ステップS108へ進む。
【0047】
本体装置2の制御部10はステップS108にて、自動荷揚げ機能有効化のフラグを立てて、ステップS109へ進む。
【0048】
本体装置2の制御部10のステップS109は、係止部7の先端部の繰出し値Lが所定の第2の繰出し値L2aよりも大きく、かつ所定の時間すなわちn秒間これを維持するまで継続する。この所定の時間の値nは作業管理者や作業者が、荷役作業の内容によって制御部10にて設定することができる。本体装置2の制御部10はステップS109にて、係止部7の先端部の繰出し値Lが所定の第2の繰出し値L2aよりも大きく、かつ所定の時間すなわちn秒間これを維持したと判断したら(Yes)、ステップS110へ進む。すなわち作業者はグリップ6を操作して、係止部7を少なくとも図5で示された第2の繰出し値L2aの位置より下方に下げてn秒間これを維持する。すると、本体装置2の制御部10はステップS110にて、自動荷揚げを実行し(自動昇降ステップ)、ステップS111へ進む。すなわち制御部10内の自動昇降手段10cが、この自動昇降ステップを実行する。作業者は自動荷揚げが実行され始めるとグリップ6から手を離し、自動荷揚げが終了するまで待つことになる。
【0049】
本体装置2の制御部10はステップS110にて実行する自動荷揚げは以下のように行われる。本体装置2の制御部10は、モータ部11へ係止部7を上昇させる方向に回転するように指令し、昇降作動部16によってリンクチェーン4が巻き上げられる。そして、重量検出部12から受信した重量値がおおよそ一定の重量値になったところでモータ部11に停止指令を行う(図6)。そして自動荷揚げは終了となって、自動荷揚げ機能有効化のフラグは消される。重量検出部12から受信した重量値がおおよそ一定の重量値になるということは、荷役物33が宙吊り状態となったことを意味する。
【0050】
本体装置2の制御部10はステップS111にて、重量検出部12から受信した重量値W2を記憶して、ステップS112へ進む。本体装置2の制御部10はステップS112にて、重量値W2に基づいてバランス制御を行い、ステップS113へ進む。すなわちこの時、本体装置2の制御部10は、荷役物有りバランス制御を実行する。この後、作業者がグリップ6を掴んで係止部7及び荷役物33を自在に昇降できるので、作業者は係止部7の先端部の繰出し値Lが所定の第3の繰出し値L3よりも小さくなるまで移動させる。
【0051】
本体装置2の制御部10のステップS113は、係止部7の先端部の繰出し値Lが所定の第1の繰出し値L1bよりも小さくなるまで継続する。本体装置2の制御部10はステップS113にて、係止部7の先端部の繰出し値Lが所定の第1の繰出し値L1bよりも小さくなった(図7)と判断すると(Yes)、ステップS114へ進む。
【0052】
本体装置2の制御部10はステップS114にて、自動荷降ろし機能有効化のフラグを立てて、ステップS115へ進む。自動荷揚げした荷役物33は基本的に降ろす必要がある。したがって自動荷揚げが終わって自動荷揚げ機能有効化のフラグは消されてはいるが、本体装置2の制御部10は次に行うべき自動荷降ろし機能有効化のフラグを立てるための待ち状態となっている。
【0053】
作業者は図8に示すように、グリップ6を操作して、本体装置2を容器32の鉛直上付近へ移動させる。移動ブロック41とレール42の摩擦は小さいので、作業者が水平方向の力をグリップ6に加えると本体装置2他一式は図8の位置へ容易に移動が可能である。そして作業者はグリップ6を操作して、荷役物33を容器32の載置する位置へ徐々に降下させる(図9)。もちろん図7の状態から、作業者が水平方向の力をグリップ6に加えつつ鉛直下方向の力も加えることで図9の状態へ進んでも良い。
【0054】
本体装置2の制御部10のステップS115は、係止部7の先端部の繰出し値Lが所定の第2の繰出し値L2bよりも大きく、かつ所定の時間すなわちm秒間これを維持するまで継続する。この所定の時間の値mも作業管理者や作業者が、荷役作業の内容によって制御部10にて設定することができる。本体装置2の制御部10はステップS115にて、係止部7の先端部の繰出し値Lが所定の第2の繰出し値L2bよりも大きく、かつ所定の時間すなわちm秒間これを維持したと判断したら(Yes)、ステップS116へ進む。すなわち作業者はグリップ6を操作して、係止部7を少なくとも図9で示された第2の繰出し値L2bの位置より下方に下げてm秒間これを維持する。すると、本体装置2の制御部10はステップS116にて、自動荷降ろしを実行し(自動昇降ステップ)、ステップS105へ進む。すなわち制御部10内の自動昇降手段10cが、この自動昇降ステップを実行する。作業者は自動荷降ろしが始まった時点でグリップ6から手を離して自動荷降ろしの完了を待つ。
【0055】
ここで本体装置2の制御部10がステップS116にて行う詳細について説明する。本体装置2の制御部10は、モータ部11へ係止部7を下降させる方向に回転するように指令し、昇降作動部16によってリンクチェーン4が繰り出される。モータ部11が停止する条件は例えば以下のいずれかである。
【0056】
条件例1:本体装置2の制御部10は、モータ部11へ係止部7を予め定めた所定の距離だけ下降させた後、重量検出部12から受信した重量値が一定の重量値になったところでステップS105へ進む。この予め定めた所定の距離は作業管理者や作業者が、荷役作業の内容によって制御部10にて設定することができる。
【0057】
条件例2:本体装置2の制御部10は、重量検出部12から受信した重量値が、予め記憶部10aに記憶されている荷役物無し重量値になるまで係止部7を下降させてステップS105へ進む。荷役物無し重量値とは、係止部7に荷役物が係止されていない時に重量検出部12が検出する重量である。予め記憶部10aに記憶されている荷役物無し重量値は、作業管理者や作業者が予め係止部7に荷役物33を吊下げない状態で登録することによって制御部10にて設定することができる。
【0058】
よって、図10に示すように、係止部7は荷役物33から外すことが可能な位置(繰出し値Lc)まで降下する。その後作業者は再びグリップ6を握って、係止部7を荷役物33から外し、鉛直上方向へ移動させる(図11)。
【0059】
なお作業者が保持釦23、上昇釦24、下降釦25を押すと、本体装置2の制御部10はこれを割り込み処理として扱い、ステップS101へ戻って荷役助力装置1は保持状態となる。
【0060】
図13は本発明の実施形態に係る荷役助力装置1において、横軸を時間軸として、荷役助力装置1の制御モードと、係止部7の繰出し値、バランスに使用する登録重量及び検出重量の遷移との関係を模式的に示したチャートの例である。図13は、上からバランス釦22の押下状態、制御部10の制御モード、自動荷揚げ及び自動荷降ろしのフラグ状態、係止部7の繰出し値(図4図11に合わせ縦軸下向きをプラスとしている。)、記憶部10aが登録記憶している登録値、重量検出部12が検出して制御部10が受信した検出重量をそれぞれ示している。
【0061】
次に図4から図11で示された作業の状態と、図12のフローチャートと、図13のチャートとを参照して説明する。
【0062】
まず荷役助力装置1の電源が入っていない状態にて、作業者が、本体装置2の不図示の電源スイッチをONにすると、本体装置2の制御部10が起動して、本体装置2の制御部10はステップS101を実行して、位置保持を実行する。したがって荷役助力装置1のモードは保持モードとなる。この時、係止部7には何も係止されていない状態であるので、作業者が外力を加えなければ重量検出部12が重量値W1を検出する。
【0063】
次いで作業者がバランス釦22を押すと(時刻t1)、本体装置2の制御部10はステップS104でYesへ進み、ステップS105で重量検出部12が検出する重量値W1を登録値として記憶部10aは記憶する。なお本実施形態では、荷役助力装置1の電源が切れた時の登録値が再起動時の登録値として引き継がれるため、起動時から登録値がW1となっている。
【0064】
本体装置2の制御部10は時刻t1から荷物無しバランスモードとなる。作業者はグリップ6を持って、係止部7の繰出し値Lが、第1の繰出し値L1aよりも小さくなるまで係止部7を上昇させようとする。すると重量検出部12に加わる重量値は減少するので、本体装置2の制御部10は、重量検出部12が検出する重量値が登録重量W1になるように係止部7を巻き上げるので、検出重量はおおよそW1となる。ここで図13の時刻t2付近の検出重量の破線部は作業者が鉛直上向きの外力を印加したことによる正味の重量を示している。なお作業者が、係止部7の繰出し値Lが、第1の繰出し値L1aよりも小さいかどうかを判断するために、本体装置2の底面部に発光ダイオード等による表示部や音声報知などによって相対的な位置関係を表示しても良い。その他の変形として、操作指令部20やグリップ6に表示部を設けて表示しても良いし、操作指令部20やグリップ6に振動する部材を設けて作業者に知らせるようにしても良い。
【0065】
本体装置2の制御部10は、係止部7の繰出し値Lが、第1の繰出し値L1aよりも小さくなった時刻t2にて、自動荷揚げ機能有効化のフラグを立てる。その後、作業者はグリップ6を掴んで係止部7を鉛直下方向に外力を加えて引き降ろすため、係止部7の繰出し値Lは増加し、重量検出部12に加わる重量値は増加し、本体装置2の制御部10は、重量検出部12が検出する重量値が登録重量W1になるように係止部7を繰り出すので、検出重量はおおよそW1となる。そして検出重量の破線部は作業者が鉛直下向きの外力を印加したことによる正味の重量を示している。
【0066】
作業者はグリップ6を掴んで係止部7を荷役物33の係止部分まで到達させて停止させる。そして本体装置2の制御部10が、係止部7の繰出し値Lが、第2の繰出し値L2aを超えて(時刻t3)、所定の時間であるn秒間持続したことをステップS109にて検出すると、ステップS110にて自動荷揚げを実行する。したがって重量検出部12に加わる重量は徐々に大きくなる。そして本体装置2の制御部10は、重量検出部12から受信した重量値が略一定のW2になったところでモータ部11に停止指令を行い、自動荷揚げは終了となって、自動荷揚げ機能有効化のフラグを消す(時刻t5)。本体装置2の制御部10は、ステップS111にてこの時の重量値W2を記憶部10aに登録値として記憶して、時刻t5からステップS112で荷役物有りバランス制御を実行する。よって時刻t5から、制御部10は荷役物有りバランスモードとなる。
【0067】
次いで作業者はグリップ6を掴んで係止部7を上昇させるので、係止部7の繰出し値Lは減少し、重量検出部12に加わる重量値も減少する。しかし、本体装置2の制御部10は、重量検出部12が検出する重量値が登録重量W2になるように係止部7を巻き上げるので、検出重量はおおよそW2のままである。
【0068】
やがて作業者によって係止部7の繰出し値Lが第1の繰出し値L1bに到達すると、本体装置2の制御部10は、係止部7の繰出し値Lが、第1の繰出し値L1bよりも小さくなった時刻t6にて、自動荷降ろし機能有効化のフラグを立てる。なお作業者が、係止部7の繰出し値Lが、第1の繰出し値L1bよりも小さいかどうかを判断するために、本体装置2の底面部に発光ダイオード等による表示部や音声報知などによって相対的な位置関係を表示しても良い。その他の変形として、操作指令部20やグリップ6に表示部を設けて表示しても良いし、操作指令部20やグリップ6に振動する部材を設けて作業者に知らせるようにしても良い。そして作業者は、荷役助力装置1を容器32の鉛直上の位置まで水平方向に移動する(時刻t6から時刻t7の期間が相当する。)。作業者はグリップ6を掴んで係止部7を下降させ始めると(時刻t7)、係止部7の繰出し値Lは増加し、重量検出部12に加わる重量値も増加する。ここでも本体装置2の制御部10は、重量検出部12が検出する重量値が登録重量W2になるように係止部7を繰り出すので、検出重量はおおよそW2のままである。
【0069】
作業者は図9に示すように、荷役物33を容器32の載置面付近まで到達させる。そして本体装置2の制御部10が、係止部7の繰出し値Lが、第2の繰出し値L2bを超えて(時刻t8)、所定の時間であるm秒間持続したことをステップS115にて検出すると、ステップS116にて自動荷降ろしを実行する。したがって重量検出部12が検出する重量値は、荷役物33が容器32に接触すると共に減少する。そして本体装置2の制御部10は、重量検出部12から受信した重量値が略一定のW1になったところで自動荷降ろしは終了となり、自動荷降ろし機能有効化のフラグを消す(時刻t10)。
【0070】
本体装置2の制御部10は、自動荷降ろしをした後、直ちに重量値W1での荷役物無しバランスモードに遷移する。
【0071】
作業者は、グリップ6を掴んで係止部7を荷役物33から外して係止部7を、係止部7の繰出し値Lが、第1の繰出し値L1aに達するまで(時刻t11)上昇させる。したがって係止部7の繰り出し値は減少し、重量検出部12に加わる重量値も減少する。この後は同様の作業の繰り返しである。図13で示す期間中で作業者が押すのは最初のバランス釦22一度きりであることから、作業者の負担を大きく低減できる。また荷役助力装置1の電源ONと共に、制御部10が荷役物無しバランスモードで起動する変形の設定であれば、基本一切の釦を操作すること無しに荷役作業を行うことができる。
【0072】
以上説明したように本発明の荷役助力装置の自動荷揚げ機能、自動荷降ろし機能によって、操作釦を押す頻度を低減することで、作業者の操作性の向上を図った荷役助力装置及びその制御方法を提供できる。
【0073】
本発明を好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の活用例として、荷役物の移動を助力して行う荷役機械への適用が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 :荷役助力装置
2 :本体装置
3 :吊下げフック
4 :リンクチェーン(吊索)
5 :吊り具用フック
6 :グリップ
7 :係止部
10 :制御部(本体装置制御部)
10a :記憶部
10b :演算部
10c :自動昇降手段
10d :バランス手段
11 :モータ部
12 :重量検出部
13 :位置検出部
14 :本体装置送受信部
15 :出力軸
16 :昇降作動部
17 :チェーン収納部
20 :操作指令部
21 :操作指令制御部
22 :バランス釦
23 :保持釦
24 :上昇釦
25 :下降釦
26 :操作指令送受信部
30 :構造物
30a :第1の面
30b :第2の面
31 :コンベア
32 :容器
33 :荷役物
41 :移動ブロック
42 :レール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13