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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173107
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】電磁振動及びエネルギーハーベスタ
(51)【国際特許分類】
   H02K 35/02 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
H02K35/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073905
(22)【出願日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】17/308252
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/366045
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522172092
【氏名又は名称】エナーヴィブ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Enervibe LTD
【住所又は居所原語表記】1 Golan Street, Airport City 7019900, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】ダン ハロニアン
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル ハロニアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、本体の振動を電気に変換するための電磁エネルギーハーベスタに関するものである。
【解決手段】電磁エネルギーハーベスタは、両端部が強磁性コア113の縦軸に沿って巻かれたコイル114、磁石21、及び自分の第1端部が本体に固定されるように設計され、自分の第2端部が磁石に固定されるように設計された懸垂装置2を含む。コアの第1端部は、磁石に非常に近接するように設計されて、コアの縦軸は磁石の磁気軸に実質的に垂直に整列されるように設計される。本体の振動は、コアと磁石との間の相対的な交互移動を発生させることができ、これは、コイルの端部の間に交流電圧を生成することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の振動を電気に変換するための電磁エネルギーハーベスタであって、
両端部が強磁性コアの縦軸に沿って巻かれたコイル、磁石、及び第1端部が本体に固定されるように設計され、第2端部が磁石に固定されるように設計された懸垂装置を含み、
コアの第1端部は、磁石に非常に近接するように設計され、コアの縦軸は磁石の磁気軸に実質的に垂直に整列されるように設計され、
本体の振動が、コイルの端部の間に交流電圧を生成することができるコアと磁石との間の相対的な交互移動を発生させることができる、電磁エネルギーハーベスタ。
【請求項2】
前記磁石を囲んで配置されるように設計された複数の装置をさらに含む、請求項1に記載の電磁エネルギーハーベスタ。
【請求項3】
前記装置は、前記コアの上に平行に配置された上部水平強磁性ロッド、及び前記コアの下に平行に配置された下部水平強磁性ロッドをさらに含み、前記水平強磁性ロッドは、側方向強磁性ロッドによって連結され、前記強磁性ロッドは、磁束をコイルに近くに制限することができる、請求項1に記載の電磁エネルギーハーベスタ。
【請求項4】
前記懸垂装置は、第1面で前記磁石に固定され、第2面で前記本体に固定されたスプリングである、請求項1に記載の電磁エネルギーハーベスタ。
【請求項5】
前記スプリングは、圧縮スプリング、円錐状スプリングまたはトーションスプリングタイプのような任意タイプのスプリングである、請求項4に記載の電磁エネルギーハーベスタ。
【請求項6】
前記懸垂装置は、前記本体に連結されるように設計されたベース、及びベースによって支持され、前記磁石に連結されるように設計された自在に回転するヒンジを含み、
前記ハーベスタは、ヒンジ及び磁石に付着されたサイズモ質量体をさらに含み、前記ヒンジ、磁石及びサイズモ質量体の重心は、本体の振動がコアと磁石との間の前記交互する相対的な移動を発生させて、前記コイルの端部の間に交流電圧を生成することができるように、ヒンジの回転軸からずれることができる、請求項1に記載の電磁エネルギーハーベスタ。
【請求項7】
本体の振動を電気に変換するための電磁エネルギーハーベスタの振動共振周波数を決める方法であって、
(a)両端部が強磁性コアの縦軸に沿って巻かれたコイルと、
磁石と、
本体と連結されるように設計されたベース、及びベースによって支持され、磁石と連結されるように設計された自在に回転するヒンジと、
ヒンジ及び磁石に付着されたサイズモ質量体と、を含み、
前記ヒンジ、磁石及びサイズモ質量体の重心がともにヒンジの回転軸からずれることができ、
コアの第1端部は磁石に非常に近接するように設計され、コアの縦軸は磁石の磁気軸に実質的に垂直に整列されるように設計される、前記ハーベスタを提供するステップと、
(b)ハーベスタの好ましい振動共振周波数を決めるために、サイズモ質量体に対する特定重量を選択するステップと、を含む方法。
【請求項8】
前記懸垂装置は、前記本体に連結されるように設計されたベース、及び前記ベースによって支持されて、前記磁石に連結されるように設計された自在に回転するヒンジを含み、
前記ハーベスタは、本体の振動が前記コイルの端部の間に前記交流電圧を生成することができるコアと磁石との間の前記交互する相対的な移動を発生させることができるように、ヒンジに固定された第1端部、及びサイズモ質量体に固定された第2端部を有するレバーをさらに含む、請求項1に記載の電磁エネルギーハーベスタ。
【請求項9】
本体の振動を電気に変換するための電磁エネルギーハーベスタの振動共振周波数を決める方法であって、
(a)両端部が強磁性コアの縦軸に沿って巻かれたコイルと、
磁石と、
本体と連結されるように設計されたベース、及びベースによって支持されて磁石に連結されるように設計された自在に回転するヒンジと、
ヒンジに固定された第1端部、及びサイズモ質量体に固定された第2端部を有するレバーと、を含み、
コアの第1端部は、磁石に非常に近接するように設計され、コアの縦軸は、磁石の磁気軸に実質的に垂直に整列されるように設計される、前記ハーベスタを提供するステップと、
(b)ハーベスタの好ましい振動共振周波数を決めるために、サイズモ質量体に対する特定重量を選択するステップと、を含む方法。
【請求項10】
前記懸垂装置は、
前記本体に連結されるように設計されたベースと、
ベースによって支持される自在に回転するヒンジと、
第1端部で自在に回転するヒンジに連結され、第2端部で磁石に連結されるレバーと、を含み、
本体の振動がコアと磁石との間の前記相対的な交互移動を発生させることができ、これがコイルの端部の間に前記交流電圧を生成することができるようにする、請求項1に記載の電磁エネルギーハーベスタ。
【請求項11】
前記磁石または前記レバーの前記第1端部に連結されたサイズモ質量体をさらに含む、請求項10に記載の電磁エネルギーハーベスタ。
【請求項12】
本体の振動を電気に変換するための電磁エネルギーハーベスタの振動共振周波数を決める方法であって、
(a)両端部が強磁性コアの縦軸に沿って巻かれたコイルと、
磁石と、
本体と連結されるように設計されたベース、及びベースによって支持される自在に回転するヒンジと、
サイズモ質量体と、
ヒンジに固定されるように設計された第1端部、及び磁石及びサイズモ質量体に固定されるように設計された第2端部を有するレバーと、を含み、
コアの第1端部は、磁石に非常に近接するように設計され、コアの縦軸は、磁石の磁気軸に実質的に垂直に整列されるように設計される、前記ハーベスタを提供するステップと、
(b)ハーベスタの好ましい振動共振周波数を決めるために、サイズモ質量体に対する特定重量を選択するステップと、を含む方法。
【請求項13】
前記懸垂装置は、前記本体に連結されるように設計されたベース、及び前記ベースによって支持され、前記磁石に連結されるように設計された自在に回転するヒンジを含み、
磁石とともにヒンジの重心がヒンジの回転軸からずれることができ、これは、本体の振動がコアと磁石との間の前記交互する相対移動を発生させて、前記コイルの端部の間の前記交流電圧を生成することができ、
前記ハーベスタは、前記磁石に非常に近接するように本体またはベースに付着された固定磁石をさらに含み、固定磁石の磁気力が磁石に対する復元力としての役割を果たすことができるように、固定磁石の両極が磁石の両極を対向する、請求項1に記載の電磁エネルギーハーベスタ。
【請求項14】
前記固定磁石は、予め設計された角度で本体またはベースに付着される、請求項13に記載の電磁エネルギーハーベスタ。
【請求項15】
本体の振動を電気に変換するための電磁エネルギーハーベスタの振動共振周波数を決める方法であって、
(a)両端部が強磁性コアの縦軸に沿って巻かれたコイルと、
磁石と、
本体と連結されるように設計されたベース、及びベースによって支持されて磁石に連結されるように設計された自在に回転するヒンジであって、ヒンジの重心は、磁石とともにヒンジの回転軸からずれることができ、コアの第1端部は、磁石に非常に近接するように設計され、コアの縦軸は磁石の磁気軸に実質的に垂直に整列されるように設計されるヒンジと、
固定磁石の磁気力が磁石に対する復元力としての役割を果たすことができるように、固定磁石の両極が磁石の両極を対向するように、磁石に非常に近接するように本体またはベースに付着された固定磁石とを含む、前記ハーベスタを提供するステップと、
(b)ハーベスタの好ましい振動共振周波数を決めるために、磁石に対する特定重量を選択するステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年5月5日に出願された米国特許出願17/308,252の一部継続出願である。
本発明は、本体の振動を電気に変換する電磁エネルギーハーベスティングに関する。ハーベスタは、コイルで巻かれた強磁性コアの近くで自在に振動したり回転する懸垂装置によって懸垂されている磁石を含む。
【背景技術】
【0002】
本特許出願は、本体の振動を電気に変換する電磁エネルギーハーベスティングに関するものである。振動は、機械の振動によって発生され得るか、または、例えば、人の手足の動きによって、回転するタイヤの内部で、またはボール及びラケットのような運動装置によって発生した衝撃によって発生され得る。アプリケーションは、振動または衝撃を受ける本体に付着されたセンサのような装置に電源を供給するために、振動エネルギーハーベスタを利用することができる。電磁振動エネルギーハーベスタは、通常コイルの近くで動く磁石を含む。レンツ(Lentz)の法則とファラデー(Faraday)の法則によれば、このような動きは、電力装置にハーベスティングされることができるコイルワイヤの間の起電力を誘導する。
【0003】
本特許出願は、小さな振動に最も適した異なる構成を用いる。この構成は、小さな振動がコア内の磁束を反転させるように、コイルが巻かれたコアに対して動く磁石を用いる。図1aに概略的に示された米国特許US 8704625 B2は、ファラデー法則に基づいた電磁エネルギー変換機器である。ファラデーの法則は、磁石と導体との間の相対的な動きが磁束を変化させ、これが導体内部の起電力F=-NdΦ/dtを生じると叙述し、ここで、Fは起電力、Nは導体の回転数、Φは磁束である。起電力は磁束変化速度に比例することが分かる。図1aに示された先行技術US 8704625 B2において、磁気回路は、N極とS極を有する永久磁石30、31、及び第1面321と第2面322を有する強磁性コア32を利用して形成される。コイル33は、コアの周りに巻かれる。第1位置で、磁石30のN極は、第1面321に連結され、磁石31のS極は第2面322に連結される。N極が第2面に連結され S極が第1面に連結されるようにコアを動くことにより、磁気回路内の磁束が反転され、したがって、dΦ/dtが高くなり、これは、無線スィッチに電力を供給するように用いられることができるコイル内部電流のインパルスを生成する。
【0004】
先行技術US 9509304 B2及びUS 240267 B2は、インダクターに亘って磁束を反転させる同じ概念を用いるが、互いに異なるメカニズムを利用する。
【0005】
図1bに概略的に示された先行技術WO 2019002775 A1は、電磁エネルギー変換機器11に関するもので、伝導コイル20と、伝導コイル20によって形成された内部空間の主磁石30と、主磁石が2つの安定した平衡位置の間で軸YY`を中心として回転するようにする保持手段40と、それぞれ第1端部21及び第2端部22に対向するように配置された第1アクチュエーター磁石31及び第2アクチュエーター磁石32と、を含み、第1アクチュエーター磁石31及び第2アクチュエーター磁石32は、第1アクチュエーター磁石31または第2アクチュエーター磁石32の一つに力が印加されると、主軸XX`と同じ方向へ平行に同時にスライディングするように配置される。回転運動をすることにより、アクチュエーター磁石の作用下で、伝導コイル20の磁束の時間的変化は前記コイルの端子で電圧インパルスを生成する。
【0006】
図1cに概略的に示された先行技術US 2008/0048506 A1は、コイル端子の間に電圧降下を生成するために、コイル221の上でスライディングする磁石4001を利用する。コイルは、その極端24a、24bに磁石を備える。スライディングは、中心軸を有するロッカー(rocker)10を含むスライディングメカニズムを通じて実行される。ロッカーは、その極端10a、10cにある2つの磁石と、着地上のランディング(landing)磁石10b、10dを備えて、ロッカーが一位置から他の位置に転換される時、一極端上の磁石がそのランディング(landing)磁石により近く移動し、他の極端上の磁石はランディング磁石から遠くなる。ロッカーを一位置から他の位置に移動すると、パドル(paddle)42を利用して、磁石401がコイルに沿ってスライディングする。自分の磁石を有するロッカーとコイル24a、24bの極端に備える磁石の作用は、ドライバー磁石401に磁気力を生成して、ドライバー磁石401がロッカー及び磁石が存在しない場合よりもっと高いワイヤコイル内の電圧インパルスを誘導するようにする。
【0007】
図1dは、コイル102の内部のスプリング101によって懸垂されている磁石100を示す電磁振動エネルギーハーベスティングの最新技術を説明する。コイルは、本体103に固定されて、本体が動いたり振動する時に磁石がコイルに対して振動し、コイル1021の両端の間に電圧を誘導する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電磁エネルギーハーベスティングの先行技術は、切り替え応用に用いられるコイル内の電気インパルスを生成するように、コアの極性反転を利用する装置を開示する。また、先行技術は、コイル内に電気を生成するように、コイルの隣の磁石の振動を利用する振動エネルギーハーベスティングを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本特許出願では、相違する電磁振動エネルギーハーベスティングが開示される。基本構成は、図2に示されている。ここで、磁石21は、スプリングのような懸垂装置2によって懸垂され、コア115の長さで垂直に1151自在に振動する。装置1は、本体118に固定され、コイル114で巻かれた強磁性コア113を含む。磁石は、コイルの第1側1131に近く、それによって本体がY方向に振動したり衝撃を受ける時、コイルの両端部1141、1142の間に交流電圧が生成されるように、コアの第1側に対する磁石の運動または振動運動が誘導される。装置1は、また、コイルに近接した磁束を制限する強磁性磁束制限器116、117を含むことができる。
【0010】
図3は、ハーベスタの動作についてより詳しく示す。図3aで、磁石21は、磁束1161が下部磁束制限器116を通じて流れるように下に移動し、コア内の磁束の磁気極性を変化させる。図3bで、磁石は、磁束1171が上部磁束制限器117を通じて流れるように上に移動して、コア内の磁束の磁気極性を反転させる。このような磁束の迅速な極性変化は、高いdΦ/dt及びコイル端部1141、1142の間の交流電圧1143につながる。
【0011】
図1aに示された先行技術におけるコイル内で磁石が移動する方法は、移動が存在する限りコイル内に電力が生成されるように、大変位が期待される場合により実用的である。図2及び図3に示されたコアに対して移動する磁石は、それぞれの振動サイクルで磁束の極性が反転されるように小さな振動振幅に対してより実用的である。
【0012】
実際には、機械的損傷を防止するように、磁石の大きな欠陷を防止するためにストッパがハーベスタに追加されるという点に留意する。このようなストッパは、簡潔性のために、図面で省略された。
【0013】
磁束密度は、コイルのワイヤが磁石またはコアから遠くなるほど低下する。よって、磁石またはコアに近いワイヤは、コアまたは磁石からより遠く離れたワイヤよりも多くの電力に寄与するはずである。また、ワイヤ数の増加は、ワイヤの抵抗を増加させるので、ワイヤの抵抗による電力の損失につながる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1a】米国特許登録US8704625 B2公報に係る先行技術を示す。
図1b】国際特許公開WO 2019002775 A1公報に係る先行技術を示す。
図1c】米国特許公開US 2008/0048506 A1公報に係る先行技術である。
図1d】電磁振動エネルギーハーベスティングの最新技術を示す。
図2】本特許出願で開示される電磁エネルギーハーベスタの一実施形態を示す。
図3a-3b】電磁エネルギーハーベスタに対する詳細な図面である。
図4a-4b】本特許出願で開示される電磁エネルギーハーベスタの実施形態を示す。
図5a-5b】図2及び4に示した電磁エネルギーハーベスタのコイルの間の比較を示す。
図6a-6b】図2及び4に示した電磁エネルギーハーベスタのY方向磁束の間の比較を示す。
図7a-7b】図2及び4に示した電磁エネルギーハーベスタのX方向磁束の間の比較を示す。
図8】スプリングのない電磁エネルギーハーベスタの実施形態を示す。
図9】2つのサイズモ質量体(seismic mass)を有する、図8に示したスプリングのない電磁エネルギーハーベスタの実施形態を示す。
図10】高いモーメント生成力のための長いレバーを有するスプリングのない電磁エネルギーハーベスタの実施形態を示す。
図11図10に示した振動エネルギーハーベスタの側面図である。
図12】スプリングのない電磁エネルギーハーベスタの他の実施形態を示す。
図13】スプリングのない電磁エネルギーハーベスタの他の実施形態を示す。
図14】スプリングのない電磁エネルギーハーベスタの他の実施形態を示す。
図15】衝撃力を受ける場合の図8に示したスプリングのない電磁エネルギーハーベスタのコイル端部の間の電圧応答を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本特許出願の他の実施形態は、図4に示された高密度電磁エネルギーハーベスタである。この実施形態において、磁石21は、磁石の周りに配置された各種装置1の付近で自在に振動するスプリング2のような懸垂装置によって懸垂されている。各装置1は、本体118に固定されたコイル114によって巻かれたコア113を含む。図4で説明されたマルチ-コアハーベスタは、8つの装置を示す。マルチ-コアハーベスタは、図4に示されたように、内部にコアが突出された単一強磁性ディスク104によって製造されることができる。また、図4に示されたマルチ-コアハーベスタは、コイルに近く磁石の磁束を制限するための上部105強磁性ロッド及び下部106強磁性ロッドを示す。図2のように、磁石のN極-S極は振動方向に整列される。また、図4に示されたように、磁石は、上下に配置された2つ以上のN極-S極を有し得る点に留意する。
【0016】
図2に示された設計と比較した図4に示された設計の長所を例示的に説明するために、シングルコアとマルチ-コアハーベスタとの間の比較が提示される。図5aは、0.2mmの直径を有する956回のワイヤ巻線を有するシングルコアハーベスタのコア1134を示す。測定されたワイヤの抵抗は16.5Ωである。図5bは、8つのコアの全体巻線がシングルコアと同一に0.2mmの直径を有するワイヤで巻かれた8-コアハーベスタの一つのコア1135を示す。直列に連結された場合、8つのコイルの全抵抗は8.82Ωである。したがって、図4に示された実施形態は、図2に示された実施形態に比べて、コイルの抵抗電力損失で50%の減少を提供する。
【0017】
図6は、図5に示された2つのコイルの断面を示す。磁束Φがコアから距離Yに応じて減少するので、ワイヤの総厚さy1を有するシングルコイルからそれぞれが同じ総巻き数を有する厚さy1/2を有する8つのコイルに移動することは、図2に示された実施形態に比べて、ワイヤ上の平均磁束を56%だけ増加させる。
【0018】
図7aは、図5aに説明されたシングルコアハーベスタの磁気回路71を示し、図7bは、図5bに説明された8つのコアハーベスタのコアの一つの磁気回路72を示す。シングルコアハーベスタの磁気回路が8-コアハーベスタのコアより遥かに長いことが明らかである。より長い磁気回路はより高い磁束損失に解釈される。また、コア内部の損失により、コアに沿う磁束が同一でなく、したがってX軸に沿ってより遠いワイヤ内の磁束は、磁石により近いワイヤ内の磁束より小さい。
【0019】
図4に説明された実施形態で、互いに異なる装置のコイルが直列または並列に、または何れの他の組合で連結されることができることに留意する。また、図4に示された実施形態は例示であるので、任意の磁石形態及びコイルが巻かれたコア構成が用いられることができることに留意する。
【0020】
表1は、図2に示された実施形態と比較した図4に示された実施形態の長所を要約したのである。
【0021】
【表1】
【0022】
図8は、スプリングのない振動エネルギーハーベスタの実施形態を示す。前述の実施形態のように、ハーベスタは、支持部118に固定された装置1を含む。装置2は、本体118に固定された支持部23によって支持され、自分の軸221を中心として自在に回転するヒンジ22を含む。磁石21及びサイズモ質量体24は、サイズモ質量体と磁石によって荷重を受けるヒンジの重心がヒンジ回転軸221からずれるようにヒンジに固定される。磁石は、コアの一側面1131及び磁束制限器の底1161及び上部の端部1171に近接するように位置されて、コアにほぼ整列された状態に保持される。X方向への本体の振動によって、またはX方向で本体に加えられる衝撃力によって、そして、回転中心を離れた重心25の位置によって、コアと磁石との間に相対的な交互移動が誘導され、これは、コイル端部1141、1142の間の交流電圧を誘導するコア、及び磁束制限器に沿った磁束の振動強度を誘導する。ハーベスタは、中止された時に、磁石がコアとほぼ整列されるように、一つの停止状態である磁石が存在するように設計されることに留意する。
【0023】
図9は、図8に説明されたハーベスタの他の実施形態を示す。ここで、2つのサイズモ質量体241、242は、ハーベスタがX及びY方向の振動及び衝撃に反応するように用いられる。振動振幅を制限するためのストッパ1181、1182も示された。
【0024】
スプリングに基づくハーベスタに比べて、このようなハーベスタの長所は、磁石がヒンジを中心に回転するはずであるので、大きな衝撃から磁石を保護する必要がないということである。
【0025】
図10は、図8に説明されたハーベスタの他の実施形態を示す。装置2は、本体118に固定された支持部26と、自在に回転するヒンジ27を含む。自在に回転するヒンジは、レバー28の一端部281に固定され、レバーの第2端部は、磁石21及びサイズモ質量体24に固定される。磁石は、コアの端部1131及び磁性制限器の底1161及び上部の端部1171に近接するように位置されて、コアにほぼ整列された状態に保持される。本体に対するY方向の振動または衝撃によって、コアの端部1131と磁石21との間に振動相対変位が誘導され、これはコイル端部1141、1142の間に交流電圧を誘導する。
【0026】
図11は、サイズモ質量体及び磁石の振動を制限するための2つのストッパ1181、1182を有する図10に示されたハーベスタの側面図を示す。
【0027】
図12は、本発明の他の実施形態を説明する。本実施形態において、装置2は、振動体118に連結されたベース23によって支持される自在に回転するヒンジ22を含む。磁石21は、ヒンジに固定されているので、ヒンジの軸を中心として回転することができる。同様の極40N及び21Nだけでなく、極40S及び21Sが互いに対向し、また、磁石21が予め設計された位置でコアの端部1131と対向するように、ハーベスタは、予め設計された角度41で自在に回転することができる磁石21に非常に近接するように、本体またはベースに付着される固定磁石40をさらに含む。本体の振動または本体に加えられる衝撃が磁石を回転させることができるように、磁石とともにヒンジの重心222がヒンジの回転軸221からずれる。本体に加えられる振動または衝撃が、コイルの端部1141、1142の間に交流電圧を生成することができるコア113と自在に回転する磁石21との間の交互する相対移動を発生させることができるように、停止位置で強制的に解除される時、固定磁石は磁石21に対する復元力としての役割を果たす。
【0028】
コアの端部1131に対する磁石21の位置だけでなく、予め決められた角度41は、励振力の形態及び方向に依存する。
【0029】
図13は、本特許出願の他の実施形態について説明する。本体118に固定された装置1は、コイル端部1141、1142を有する伝導コイル114によって巻かれたコア113を含む。コア端部1131、1132は、両側から延長する。装置2は、本体118に固定された支持部23によって支持され、軸221を中心として自在に回転するヒンジ22を含む。磁石21及びサイズモ質量体24は、磁石によって荷重を受けるヒンジと、サイズモ質量体の重心がヒンジの回転軸221からずれるようにヒンジに固定される。磁石は、第1極性2101がコア1131の一端部と対向し、磁石の第2極性2102がコアの第2端部1132を対向するように、コアの端部1131、1132に非常に近く位置する。停止状態で、与えられた極性1133を有する磁束がコアに沿って誘導される。X方向に沿った本体118の振動またはX方向の本体に対する衝撃は、コアの端部1131、1132を対向する磁石極性の間で振動させるヒンジ回転中心221の周りでのヒンジ22の回転を誘導する。このような磁石極性振動は、コアに沿って磁束の方向を変更し、これは、コイル端部1141、1142の間に交流電圧を誘導する。
【0030】
コアの端部1131、1132は、振動または衝撃に対する磁石極性振動の感度を増加させるように鋭くすることがあり得ることに留意する。
【0031】
図14は、装置2がヒンジ22に固定されたレバー29を含むように、図12に説明された振動エネルギーハーベスタについて説明する。サイズモ質量体24は、レバーの端部に再位置される。ハーベスタのこのような設計は、Y方向の振動と衝撃に反応し、サイズモ質量体及びレバーによって生成されたモーメントの影響により、より敏感になる。
【0032】
図15は、図8に説明されたハーベスタの衝撃力に対する反応について説明する。繰り返し的な振動は、ハーベスタに加えられる繰り返し的な衝撃力によるものである。それぞれのインパルスは、運動エネルギーを電気及び摩擦に変換することを反映するコアワイヤの間の減衰交流電圧を生成する磁石に対するコアの減衰振動を生成する。振動は、磁石-コア-サイズモ質量体システムの様相のようなスプリング質量を示す。振動の周波数は、振動のピークの間の時間差から計算されることができ、図8のような特定の場合に、共振周波数は107Hzに計算される。
【0033】
一般に、振動エネルギーハーベスタは、特定振動周波数用に設計される。スプリング-マスシステムの場合、共振周波数は、 ω=√(k/m)で計算されることができ、ここで、『ω』は共振周波数、『m』はサイズモ質量体、『k』はスプリングのスプリング定数である。図8乃至図11は、スプリングのない振動エネルギーハーベスタを説明する。しかしながら、このハーベスタは、図14に示されたように、特定共振周波数を有していることが発見された。このような共振周波数は、磁石の強度、磁石の重量及びサイズモ質量体の重量によって異なる。図8乃至図11に説明された振動エネルギーハーベスタの共振周波数は、磁石の強度を調整し、磁石の重量及びサイズモ質量体の重量を変更することにより調整されることができる。
【0034】
本発明は、本体の振動を電気に変換するための電磁エネルギーハーベスタに関するものであり、これは、両端部が強磁性コアの縦軸に沿って巻かれたコイル、及び第1端部が本体に固定され、第2端部が磁石に固定された懸垂装置の上に懸垂されている磁石を含む電磁気装置を含む。コアの第1端部は、磁石に非常に近接し、コアの縦軸は、磁石の磁気軸に実質的に垂直に整列される。エネルギーは、本体の振動がコイルの端部の間に交流電圧を生成することができるコアと磁石との間の相対的な交互移動を発生させる時にハーベスティングされる。本発明は、また磁石の周りに配置された各種電磁気装置に関するものである。このような配置は、同じ全体コイル長さを有するシングルコアハーベスタに比べて、より高い効率の振動エネルギーハーベスタが得られる。
【0035】
本発明で、電磁気装置は、またコアの上に平行に配置された上部水平強磁性ロッド及びコアの下に平行に配置された下部水平強磁性ロッドをさらに含むことができ、これら2つのロッドは、側方向強磁性ロッドによってコアに連結される。これら強磁性ロッドは、磁束をコイルに近く制限することができ、エネルギーハーベスティング効率を向上させることができる。
【0036】
本発明に開示された懸垂装置は、第1面で前記磁石に固定され、第2面で前記本体に固定されるスプリングであり得る。スプリングは、例えば、圧縮スプリング、円錐状スプリング、またはトーションスプリングのような任意のタイプのスプリングであり得る。
【0037】
懸垂装置は、また、本体に連結されたベース、及び磁石に連結されたベースによって支持される自在に回転するヒンジであり得る。この場合、ハーベスタは、ヒンジ及び磁石に付着されたサイズモ質量体をさらに含んで、ヒンジ、磁石及びサイズモ質量体の重心がヒンジの回転軸からずれるようにする。本体が振動または衝撃を受けると、コアと磁石との間に交互する相対運動が誘導される。これは、ハーベスティングされることができる前記コイルの前記端部の間に交流電圧を生成する。
【0038】
最後の懸垂装置は、スプリングを含まないことに留意する。しかしながら、懸垂装置は、相変らずスプリング-マス(spring-mass)システムと同様の振動様相を有するということが明かされた。本発明は、振動エネルギーハーベスタを利用して、本体の振動を電気に変換するための電磁エネルギーハーベスタの振動共振周波数を決める方法を教示し、前記電磁エネルギーハーベスタは:
a.両端部が強磁性コアの縦軸に沿って巻かれたコイル、
b.磁石、
c.本体に連結されるように設計されたベース、及びベースによって支持されて、磁石に連結された自在に回転するヒンジ、
d.ヒンジ、磁石及びサイズモ質量体の重心がともにヒンジの回転軸からずれるように、ヒンジ及び磁石に付着されたサイズモ質量体を含む。
コアの第1端部は、磁石に非常に近接し、コアの縦軸は磁石の磁気軸に実質的に垂直に整列される。ハーベスタの好ましい振動共振周波数を決めるために、サイズモ質量体に対する特定重量を選択する。
【0039】
本発明は、また、本体に連結されたベース、及びベースによって支持されて、前記磁石に連結される自在に回転するヒンジを含む磁石懸垂装置に関する。ハーベスタのこのような構成は、本体の振動がコアと磁石との間の相対交互移動を発生させて、これがコイルの端部の間に交流電圧を生成することができるように、ヒンジに固定された第1端部、及びサイズモ質量体に固定された第2端部を有するレバーをさらに含む。
【0040】
本発明は、また本体の振動を電気に変換するためのスプリングのない電磁振動エネルギーハーベスタの振動共振周波数を決める方法を教示し、この電磁振動エネルギーハーベスタは:
【0041】
a.両端部が強磁性コアの縦軸に沿って巻かれたコイル、
b.磁石、
c.本体に連結されたベース、及びベースによって支持されて、磁石に連結される自在に回転するヒンジ、
d.ヒンジに固定された第1端部、及びサイズモ質量体に固定された第2端部を有するレバーを含む。
コアの第1端部は、磁石に非常に近接して、コアの縦軸が磁石の磁気軸に実質的に垂直に整列されるように設計される。この方法は、サイズモ質量体に対する特定重量を選択することにより、ハーベスタの好ましい振動共振周波数を決めることができることを教示する。
【0042】
本発明は、また、懸垂装置を利用する電磁エネルギーハーベスタに関するもので、このような懸垂装置は:
a.前記本体に連結されたベース、
b.ベースによって支持される自在に回転するヒンジ、
c.第1端部で自在に回転するヒンジに連結され、第2端部で磁石に連結されるレバーを含み、それにより、本体の振動は、コアと磁石との間の相対的な交互移動を誘導し、これは、コイルの端部の間に交流電圧を生成する。このような電磁エネルギーハーベスタは、エネルギーの変換効率を改善して、振動エネルギーハーベスタの共振周波数を設定するために、前記磁石または前記レバーの前記第1端部に連結されるサイズモ質量体をさらに含むことができる。
【0043】
本発明は、本体の振動を電気に変換するための電磁エネルギーハーベスタの振動共振周波数を決める方法を教示し、このような電磁エネルギーハーベスタは:
a.両端部が強磁性コアの縦軸に沿って巻かれたコイル、
b.磁石、
c.本体と連結されるように設計されたベース、及びベースによって支持される自在に回転するヒンジ、
d.サイズモ質量体、
ヒンジに固定されるように設計された第1端部、及び磁石及びサイズモ質量体に固定されるように設計された第2端部を有するレバーを含む。
【0044】
コアの第1端部は、磁石に非常に近接し、コアの縦軸は、磁石の磁気軸に実質的に垂直に整列され、サイズモ質量体に対する特定重量を選択することは、ハーベスタの好ましい振動共振周波数を決めることができる。
【0045】
本特許出願において、振動及び衝撃という用語は、振動及びエネルギーハーベスタに作用する力を記述するのに用いられる。あらゆる種類の力が関連していることは明らかである。
【0046】
磁石の上下運動でスプリングが破損されることを防止するために、ストッパを追加する必要がある。強い振動または衝撃が加えられると、磁石がこのようなストッパにぶつかって長期的には損傷を受ける可能性がある。上下運動を回転に変換することは、このような損傷を防止して装置を単純化させる。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15