(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173138
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】電源・デジタル制御ループ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/05 20060101AFI20221110BHJP
H03M 1/60 20060101ALI20221110BHJP
H03M 1/76 20060101ALI20221110BHJP
G06F 1/28 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
G06F3/05 311
H03M1/60
H03M1/76
G06F3/05 321Z
G06F1/28
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076250
(22)【出願日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】17/313,223
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】599158797
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies AG
【住所又は居所原語表記】Am Campeon 1-15, 85579 Neubiberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ ボノミ
(72)【発明者】
【氏名】フランク プレマッシング
【テーマコード(参考)】
5B011
5J022
【Fターム(参考)】
5B011DA00
5B011DB03
5B011EA08
5B011EA09
5B011GG03
5B011HH02
5J022AA12
5J022AB05
5J022CE05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アナログチャネルのバスを介し、SoCレベルで、夫々の局所電源ドメインにアナログ基準電圧をルーティングすることによるチャネルと近傍の回路構造との間の結合のリスクを回避する電源・デジタル制御ループ(SDRL)回路を提供する。
【解決手段】SDRL回路は、アナログ基準電圧Vrefを基準SDC110によりデジタル基準信号dig_rに変換してモニタリングSDRL200、トリミングSDRL300、制御SDRL500に提供し、局所電源ドメインの電圧V1~V3を局所SDC210、310、510によってデジタル信号に変換した値とデジタル基準信号dig_rとの差分をデジタル減算器222で演算し、差分のerror信号をデジタルLPF224を通して信号prg_1を局所SDC210へフィードバックし、信号prg_2をトリミングにフィードバックし、信号prg_3を局所電力生成回路520へフィードバックする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源・デジタル制御ループ(SDRL)回路であって、前記電源・デジタル制御ループ(SDRL)回路は、
基準電源回路と、
前記基準電源回路に接続されている局所電源回路と、
を有し、
前記基準電源回路は、アナログ基準電源電圧をデジタル基準信号に変換する基準電源・デジタル変換器(SDC)を有し、
前記局所電源回路は、
デジタルフィードバック信号に基づいて、アナログ局所電源電圧をデジタル局所電源信号に変換する局所SDCと、
前記デジタル局所電源信号と、前記基準電源回路の前記基準SDCからルーティングされる前記デジタル基準信号と、の比較に基づいて、前記デジタルフィードバック信号をモニタリングする局所モニタリング回路と、
を有する、
SDRL回路。
【請求項2】
前記デジタル局所電源信号は、前記アナログ局所電源電圧および前記デジタルフィードバック信号に対する単調な依存性を有する、
請求項1記載のSDRL回路。
【請求項3】
前記局所SDCは、
前記デジタルフィードバック信号に基づいて、前記アナログ局所電源電圧をアナログ局所出力信号に変換するアナログ・アナログ変換器(AAC)と、
前記アナログ局所出力信号を前記デジタル局所電源信号に変換するアナログ・デジタル変換器(ADC:analog-to-digital converter)と、
を有する、
請求項1記載のSDRL回路。
【請求項4】
前記AACは、
前記デジタルフィードバック信号に基づいて、前記アナログ局所電源電圧をアナログ局所中間信号に変換する第1のAACであって、線形伝達関数を有する第1のAACと、
前記アナログ局所中間信号を前記アナログ局所出力信号に変換する第2のAACであって、単調でありかつ線形性についての制約がない伝達関数を有する第2のAACと、
を有する、
請求項3のSDRL回路。
【請求項5】
前記第1のAACは、線形伝達関数を有し、前記第2のAACは、非線形伝達関数を有する、
請求項4記載のSDRL回路。
【請求項6】
前記局所モニタリング回路は、前記デジタル局所電源信号と、前記基準電源回路の前記基準SDからの前記デジタル基準信号と、の比較に基づくデジタル較正信号を前記第2のAACにフィードバックして、前記第2のAACを較正するようにさらに構成されている、
請求項4記載のSDRL回路。
【請求項7】
前記SDRL回路は、複数の局所電源回路をさらに有し、
前記第2のAACの較正フェーズ中、前記局所電源回路の前記アナログ局所電源電圧は、同じ値を有し、前記局所電源回路の前記デジタルフィードバック信号は、同じ値を有し、それぞれの前記局所モニタリング回路は、それぞれの前記デジタル較正信号を調整し、これにより、それぞれの前記デジタル局所電源信号と前記デジタル基準信号との間の差分を最小化し、それぞれの前記第2のAACとそれぞれの別の前記第2のAACとの間の差分を最小化するようにさらに構成されている、
請求項6記載のSDRL回路。
【請求項8】
前記ADCの分解能は、前記デジタル局所電源信号における1つの最下位ビットの変化によって発生する、前記アナログ局所出力信号における変化よりも小さい、
請求項4記載のSDRL回路。
【請求項9】
前記局所モニタリング回路は、前記デジタル局所電源信号と前記デジタル基準信号との間の差分に基づいて、前記差分がゼロになるまで、前記デジタルフィードバック信号を制御するように構成されている、
請求項1記載のSDRL回路。
【請求項10】
前記局所モニタリング回路は、
前記デジタル基準信号から前記デジタル局所電源信号を減算して、誤差信号を出力する減算器と、
前記誤差信号を積分して、前記デジタルフィードバック信号として、積分された前記誤差信号を出力するデジタルローパスフィルタと、
を有する、
請求項1記載のSDRL回路。
【請求項11】
前記SDRL回路は、局所BGR電圧および前記デジタルフィードバック信号に基づいて、あらかじめ定められた値を前記アナログ局所電源電圧が有するように前記アナログ局所電源電圧をトリミングする局所トリミング回路をさらに有する、
請求項1記載のSDRL回路。
【請求項12】
前記SDRL回路は、複数の局所電源回路をさらに有する、
請求項1記載のSDRL回路。
【請求項13】
前記基準電源回路および複数の前記局所電源回路のそれぞれは、モジュール式構造の回路である、
請求項12記載のSDRL回路。
【請求項14】
前記SDRL回路は、前記基準電源回路から複数の前記局所電源回路に前記デジタル基準信号を伝送するルーティングインフラストラクチャをさらに有する、
請求項12記載のSDRL回路。
【請求項15】
請求項1記載のSDRL回路を有するSoC。
【請求項16】
前記基準電源回路は、第1のチップに設けられており、前記局所電源回路は、第2のチップに設けられている、
請求項1記載のSDRL回路。
【請求項17】
電源・デジタル制御ループ(SDRL)回路であって、前記電源・デジタル制御ループ(SDRL)回路は、
基準電源回路と、
前記基準電源回路に接続されている局所電源回路と、
を有し、
前記基準電源回路は、アナログ基準電源電圧をデジタル基準信号に変換する基準電源・デジタル変換器(SDC)を有し、
前記局所電源回路は、
アナログ局所電源電圧をデジタル局所電源信号に変換する局所SDCと、
前記デジタル局所電源信号と、前記基準電源回路の前記基準SDCからルーティングされる前記デジタル基準信号と、の比較に基づいて、デジタルフィードバック信号を生成する局所フィードバック制御回路と、
前記デジタルフィードバック信号に基づいて、前記アナログ局所電源電圧を供給するように構成された局所電力供給回路と、
を有する、
SDRL回路。
【請求項18】
前記局所電力供給回路は、前記デジタルフィードバック信号および局所BGR電圧に基づいて、あらかじめ定められた電圧値に前記アナログ局所電源電圧をトリミングする局所電圧トリミング回路を有する、
請求項17記載のSDRL回路。
【請求項19】
前記局所電力供給回路は、前記デジタルフィードバック信号に基づいて、あらかじめ定められた電圧値を有する前記アナログ局所電源電圧を生成する局所電力生成回路を有する、
請求項17記載のSDRL回路。
【請求項20】
前記局所電力生成回路は、前記デジタルフィードバック信号をあらかじめ定められた前記電圧値を有する前記アナログ局所電源電圧に変換するデジタル・アナログ変換器(DAC)を有する、
請求項19記載のSDRL回路。
【請求項21】
前記アナログ局所電源電圧のあらかじめ定められた前記電圧値は、前記アナログ基準電源電圧の前記電圧値とは異なる、
請求項19記載のSDRL回路。
【請求項22】
前記デジタル局所電源信号は、前記アナログ局所電源電圧および前記デジタルフィードバック信号に対する単調な依存性を有する、
請求項17記載のSDRL回路。
【請求項23】
前記局所SDCには、線形性についての制約がない、
請求項17記載のSDRL回路。
【請求項24】
前記SDRL回路は、
電力供給網と、
前記電力供給網におけるそれぞれの位置に設けられておりかつそれぞれのアナログ電源電圧値を有する複数の局所電源回路と、
をさらに有する、
請求項17記載のSDRL回路。
【請求項25】
電源・デジタル制御ループ(SDRL)の方法であって、前記方法は、
基準電源回路の基準アナログ・デジタル変換器(ADC)により、アナログ基準電源電圧をデジタル基準信号に変換するステップと、
デジタルフィードバック信号に基づいて、前記基準電源回路に接続されている、局所電源回路の局所ADCにより、アナログ局所電源電圧をデジタル局所電源信号に変換するステップと、
前記デジタル局所電源信号と、前記基準電源回路の前記基準ADCからルーティングされる前記デジタル基準信号と、の比較に基づいて、前記局所電源回路の局所モニタリング回路により、前記デジタルフィードバック信号をモニタリングするステップと、
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
最近の傾向は、コストを削減しかつ最適化を向上させるために、別々の電気回路を単一の集積回路に組み合わせることである。このようなSoC(System-on-Chip)は、近傍に複数の回路を有しており、これによって結果的に、システム性能を劣化させてしまう望ましくない結合が起こってしまうことがある。最も危険な結合の1つは、電源の相互作用である。電源の相互作用を低減するための1つのストラテジは、共通の1つの電源ドメインを、それぞれが1つまたは複数の回路専用に設けられている複数の局所電源ドメインに分割することである。しかしながら、このことには、アナログチャネルのバスを介し、SoCレベルで、それぞれの局所電源ドメインにアナログ基準電圧をルーティングすることが必要とされ、チャネルと近傍の回路構造との間の結合のリスクが伴う。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】本開示の複数の様相による開ループ型電源電圧-デジタル変換器(SDC:supply voltage-to-digital converter)の概略図である。
【
図1A】
図1の第1のアナログ・アナログ変換器(AAC:analog-to-analog converter)の考えられ得る1つの実装形態の概略図である。
【
図1B】
図1の第2のAACの考えられ得る1つの実装形態の概略図である。
【
図1C】
図1のトラッキングアナログ・デジタル変換器(ADC:analog-to-digital converter)の考えられ得る1つの実装形態の概略図である。
【
図2】本開示の複数の様相による、モニタリング用の電源・デジタル制御ループ(SDRL:supply-to-digital regulation loop)の概略図である。
【
図3】本開示の複数の態様によるトリミングSDRLの概略図である。
【
図4】本開示の複数の態様による較正フェーズを有するSDRLを示す概略図である
【
図5】本開示の複数の態様による制御SDRLを有する複数のSDRLを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本開示は、局所電源ドメインの局所電源電圧信号をモニタリングし、トリミングし、または制御するように構成されたモジュール式電源・デジタル制御ループに関する。基準電源信号は、既知の電圧を有し、基準電源信号とデジタル的に比較されかつ相応に調整される複数の局所電源信号が存在していてよい。基準電源信号は、アナログ信号よりも局所電源ドメインへのルーティングが容易なデジタル信号である。また、それぞれの局所電源電圧信号のモニタリング、トリミング、または制御は、独立しておりかつ並列に実行可能である。
【0004】
詳細な説明および図の概要
電源・デジタル制御ループ(SDRL)はそれぞれ、電源・デジタル変換器(SDC)を有する。SDC構成部品をまず説明し、続いてSDRLを説明する。SDC構成部品を構成し、
図1および
図1A~
図1Cに関して第I節で説明する。SDRLには、モニタリングSDRL(第II節、
図2)、トリミングSDRL(第III節、
図3)、較正フェーズを有するSDRL(第IV節、
図4)、および制御SDRL(第V節、
図5)が含まれる。
【0005】
信号/要素は時折、「x」を含む参照符号によって示されるかまたは説明される。特段に記載しない限り、「x」は一般的なものであることを意図しており、例えば、prgxは、prgr,prg1,prg2,…のいずれかを表すことができる。また異なる図面において同じ電圧識別子V1,V2およびV3が用いられることがあるが、これらのドメインにおけるこれらの電圧および信号は、複数の図にわたって同じであることを必ずしも意味するものではなく、電圧は、特定の図面における順序にしたがって、ラベル付けされている。
【0006】
I. 電源電圧・デジタル変換器(SDC)
図1には、本開示の複数の態様による開ループSDC100の概略図が示されている。SDC100は、モジュール式電源・デジタル制御ループ(SDRL)の1つの要素であり、2つの部分、すなわちアナログ・アナログ変換器(AAC)110およびトラッキングアナログ・デジタル変換器(ADC)120(
図1および1C)を有する。AAC110は、第1のAAC112(
図1および
図1A)および第2のAAC114(
図1および
図1B)から構成されている。
【0007】
I.A. 第1のアナログ・アナログ変換器(AAC)
第1のAAC112は、デジタルフィードバック信号prgxに基づいて、アナログ電源電圧Vxをアナログ中間信号sx1(例えば、電圧、電流または電荷)に変換するように構成されている。
【0008】
第1のAAC112についての要件は、線形伝達関数を有すること、すなわち、アナログ中間信号sx
1は、アナログ電源電圧Vxおよびデジタルフィードバック信号prg
xに線形に関係していることである。第1のAAC112のこの線形関係は、
【数1】
と表すことができ、ただし、パラメータa,bは既知のパラメータである。パラメータa,bは、異なるSDC110のそれぞれの第1のAAC112について同じであるべきであり、そうでなければ、
図4に関して以下で説明するように較正フェーズが設けられるべきである。またアナログ局所電源電圧Vxおよびデジタルフィードバック信号prg
xは、PVT(pressure、voltage、temperature:圧力、電圧、温度)とは無関係である。
【0009】
第1のAAC112は、例えば、プログラマブル抵抗/容量ディバイダ、プログラマブルカレントミラー、および/またはプログラマブル抵抗/コンデンサを備えたアクティブローパスフィルタを有していてよい。
【0010】
図1Aは、
図1の第1のAAC112の考えられ得る実装形態100Aの概略図である。
【0011】
第1のAAC112Aの例示的な実装形態は、
図4に関して以下で説明する較正フェーズについても示されているマルチプレクサを備えたプログラマブル抵抗ラダーである。この実装形態における第1のAAC112の係数は、以下のように決定可能である。すなわち、
【数2】
である。
【0012】
係数a,bは、抵抗比に使用される。これらは、保証することが困難な絶対値に依存するのではなく、ntot回使用される抵抗Rのマッチングに依存する。したがって、第1のAAC112内部の局所的な変化は、ntot個の抵抗についての同じ量の抵抗公称値Rに等しく影響を及ぼし、これにより、係数a,bは影響を受けない。さらに、物理的に互いに離れて位置しかつ必然的に異なる公称抵抗値を有する第1のAAC112であっても、依然として同じ係数a,bを有することになる。さらに、比b/aは、≪1に設定することができ、これにより、第1のAAC112についてのすべての要件を満たすことができる。
【0013】
I.B. 第2のアナログ・アナログ変換器(AAC)
第2のAAC114は、アナログ局所中間信号sx
1をアナログ局所出力信号sx
2に変換するように構成されている。第2のAAC114は、アナログ局所出力信号sx
2が、アナログ局所中間信号sx
1およびデジタル較正信号calib
xに依存するように設計されている。第2のAAC114は、単調であり、したがってトラッキングADC120を簡素化する。第2のAAC114には、線形性についての制約がなく、アナログ局所中間信号sx
1は、線形であっても非線形であってもよく、また未知であってもよい。第2のAAC114の関係式は、
【数3】
と表すことができる。
【0014】
第2のAAC114は、例えば、電圧制御発振器(VCO:voltage controlled oscillator)、電圧/電流増幅器、および/またはトライステートインバータのプログラマブルアレイを有していてよいが、第2のAAC114はなくてもよい(すなわち第1のAAC112トラッキングADC120に直接的に接続されている)。
【0015】
図1Bは、
図1の第2のAAC114の考えられ得る実装形態100Bの概略図である。
【0016】
第2のAAC114の例示的な第2の実装形態100Bは、プログラマブル容量アレイ(PCA:programmable capacitive array)114-2を備えた、電流スターブ型リング発振器114-1である。第2のAAC114の出力(すなわち、アナログ出力信号sx2)は、生成されるクロック信号clkxの周波数であるのに対し、デジタル較正信号calibxは、リング発振器114-1の容量負荷を変化させ、アナログ局所中間信号sx1は、放電電流を変化させる。デジタル較正calibxは、線形または非線形であってよく、単調である。
【0017】
I.C. トラッキングADC
トラッキングADC120は、サンプルレートfsで、アナログ出力信号sx2をデジタル電源信号digxに変換するように構成されており、保持期間の間、デジタル電源信号digxを一定に保持する。
【0018】
第1のAAC112と、第2のAAC114と、トラッキングADC120と、の組み合わせは、デジタル電源信号digxが、アナログ電源電圧Vxおよびデジタルフィードバック信号prgxに対する単調な依存性を有する電源・デジタル変換器(SDC)である。またSDC100全体には、線形性についての制約がない。
【0019】
トラッキングADC120は、例えば、カウンタおよびサンプラ、比較器を備えたフラッシュADC、デュアルランプトラッキングADC、アナログ積分器を備えた1次のデルタシグマ変調器ADC、および/またはデジタル積分器を備えたデルタ変調器を有していてよい。
【0020】
図1Cは、
図1のトラッキングADC120の例示的な実装形態100Cの概略図である。
【0021】
この実装形態100CのトラッキングADC120は、クロック信号clkxの周波数を取り出すように設計されており、周波数fsにおけるサンプラ120-3Cが続くカウンタ120-1Cを伴って実装可能である。この実装形態により、蓄積が生じて不安定性につながってしまうため、カウンタ120-1Cは、ロジック120-4Cからのリセット信号の受信に応答して、サンプリング周期毎にリセットする。
【0022】
サンプリング周波数fsは、システムの自由度でもあり、また分解能と、測定時間と、消費電力との間のトレードオフでもある。サンプリング周波数fsextは、外部ソースによって供給され、ディバイダ120-2Cを介して変更可能である。異なる局所SDRL110は、システム設計にしたがって異なるサンプリング周波数で動作可能である。
【0023】
II. モニタリング用の電源・デジタル制御ループ(SDRL)
図2には、本開示の複数の態様によるモニタリングSDRL200の概略図が示されている。
【0024】
SDRL200は、基準電源回路と、局所電源回路と、この場合に局所モニタリング回路と称されるデジタルフィードバック回路220と、を有する。基準電源回路は、基準電源・デジタル変換器(SDC)110を有する。局所電源回路は、局所SDC210を有する。局所モニタリング回路220は、負のフィードバックループアーキテクチャを形成する。基準SDC110および局所SDC210のそれぞれは、
図1に関して上述したモジュール式SDCに基づいている。
【0025】
II.A. 基準SDC
基準SDC110は、既知のアナログ基準電源電圧Vrefをデジタル基準信号digrに変換するように構成されている。基準SDC110は、固定されたプログラマブルなデジタル信号prgr(図示せず)を有する。
【0026】
II.B. 局所SDC
局所SDC210は、デジタルフィードバック信号prg1に基づいて、アナログ局所電源電圧V1をデジタル局所電源信号dig1に変換するように構成されている。
【0027】
II.C. 局所監視回路
局所モニタリング回路220は、デジタル局所電源信号dig1と、基準SDC110からルーティングされるデジタル基準信号digrと、の比較に基づいて、デジタルフィードバック信号prg1をモニタリングするように構成されている。
【0028】
局所モニタリング回路220は、デジタル減算器222およびデジタルローパスフィルタ(LPF)224を有する。デジタル減算器222は、基準デジタル基準信号digrとデジタル局所電源信号dig1との差分を表す誤差信号error1を出力するように構成されている。デジタルLPF224は、誤差信号error1をフィルタリングし、デジタルフィードバック信号prg1を介して、誤差信号error1を局所SDC210へフィードバックし、これにより差分がゼロに向かうように構成されている。基本的には代わりに、誤差信号error1を基準SDC110にフィードバックすることができるが、局所SDC210にフィードバックすることがより有利である。
【0029】
デジタル減算器222は、例えば、減算器、アップ/ダウンカウンタおよび/または周波数検出器を有していてよい。
【0030】
基準SDC110と、局所SDC210と、局所モニタリング回路220と、の組み合わせは、エラー信号error1の平均がゼロである、すなわち
【数4】
である場合に、デジタルフィードバック信号prg
1の値が安定するまで、デジタル局所電源フィードバック信号prg
1を制御するように構成されたフィードバックループである。
【0031】
フィードバックプロセスは、
【数5】
と表すことができ、これらはb/a≪1である場合に有効である。
【0032】
推定電圧V1
estは、
【数6】
と表すことができ、ただし、Vrefは、既知のアナログ基準電源電圧であり、b/aは、第1のAAC112におけるパラメータの既知の比であり、プログラマブルデジタル信号prg
rは、基準SDC110における既知の固定の信号であり、prg
1は、サンプリング周波数fsでフィードバックループによって変化させられるプログラマブルデジタル信号である。
【0033】
プログラマブルデジタル信号prg1の最下位ビットの変化が、bV1~bVrefの変化を発生させることに注目することにより、量子化ステップを復旧することできる。プログラマブルデジタル信号prg1におけるこの変化は、第2のAAC114を介して増大され、トラッキングADC120の分解能よりも大きい。したがってbは、アナログ基準電源電圧Vrefに対して相対的なアナログ局所電源電圧(モニタ電圧)V1の量子化誤差である。これらの結論が有効であるのは、基準SDC110の第1のAAC112と局所SDC210との関係が同じであり、かつ基準SDC110の第2のAAC114と局所SDC210との関係が同じである場合である。
【0034】
局所モニタリング回路220は、トラッキングADC120と同期すべきである。オプションの機能には、デジタルフィードバック信号prg1が範囲外である場合のフラグビット、または電圧アクティビティを解析するための他のデジタルアルゴリズムが含まれる。
【0035】
III. トリミング用の電源・デジタル制御ループ(SDRL)
図3には、本開示の複数の態様によるトリミングSDRL300の概略図が示されている。
【0036】
図2に関して上述したモニタリングSDRL200は、第1のAAC112においてそれ自体の制御ループを閉じ、アナログ局所電源電圧V1をモニタリングする。この同じコンセプトは、このトリミングSDRL300において再使用可能であり、これにより、第1のAAC112の代わりに局所トリミング回路312を調整することによってアナログ局所電源電圧V1がトリミングされる。このループは、生成されるアナログ局所電源電圧V1を所望の値に調整するように構成されている。
【0037】
局所トリミング回路312は、低ドロップアウト(LDO:low drop output)および局所BGR(band gap reference)を有する。局所トリミング回路312は、局所BGR電圧およびデジタルフィードバック信号(すなわち、トリミング信号trim1)に基づいて、あらかじめ定められた値をアナログ局所電源電圧V1が有するようにこれをトリミングするように構成されている。このあらかじめ定められた値は、アナログ基準電源電圧Vrefの値と等しくてよいか、または択一的には異なるように設計されていてよい。
【0038】
電源電圧V1が局所トリミング回路312にこのように依存すると仮定すると、
【数7】
であり、ただし、Vbgrは、BGR電圧であり、cは、通例、既知の値であり、trim
1は、トリミングデジタル信号であり、このトリミングデジタル信号は、
図2では第1のAAC112にルーティングされ、ここではその代わり局所トリミング回路312にルーティングされるプログラマブルデジタル信号prg
rと同じ信号である。
【0039】
数式14から、安定アナログ局所電源電圧V1は、
【数8】
と表される。
【0040】
トリミングされたアナログ局所電源電圧V1は、アナログ基準電源電圧Vrefとは異なる値に設定されてよい。プログラマブルデジタル信号prgrは、調整可能であるが、より有利であるのは、局所SDC310を調整することである。フィードバックループは、量子化誤差~c・Vbgrを有する。というのは、安定状態においてこれはサンプリング周波数fs毎にアナログ局所電源電圧V1を移動する電圧ステップであるためである。
【0041】
トリミングフェーズは、1回、実行すればよい。択一的にはトリミングフェーズは、バックグラウンド較正として連続的に実行されてよい。
【0042】
IV. モジュール式電源・デジタル制御ループ(MSDRL:Modular Supply-to-Digital Regulation Loop)における電源ドメインの較正フェーズ
図4は、本開示の複数の態様による、較正フェーズを有するトリミング用SDRL410.1,410.2を示す概略
図400である。
【0043】
ここでは1つの基準電源回路と、それぞれのSDRL410xを備えた複数の局所電源回路とが設けられている。基準電源回路と、複数の局所電源回路のそれぞれとは、モジュール式構造の回路である。基準電源回路から複数の局所電源回路にデジタル基準信号digrを伝送するためのルーティングインフラストラクチャ410も設けられている。基準電源回路および局所電源回路は、同一のチップ上に設けられていてよい。択一的には、1つまたは複数の別のチップに設けられる局所電源回路と共に、単一のチップに基準供給回路を設けてもよい。
【0044】
較正を有する局所SDRL410.1,410.2は、
図3に関して上述したようにトリミング用であるが、本開示はこの点において限定されない。この図は、局所SDRLタイプに依存しない較正フェーズを説明するために使用される。それぞれの局所SDRLは、任意のタイプであってよく、任意の個数の局所SDRLが設けられていてよい。
【0045】
複数のSDRL410.xは、物理的に異なる位置に配置されており、その結果、SDC410.xのアナログ部分間に相違が生じるため、較正フェーズが含まれる。これらの相違は、一定の要因と時間変化的な要因とに分類することができる。一定の要因は、例えば、レイアウトの不整合およびキャリア濃度における相違などの技術関連の作用である。時間変化的な要因は、温度勾配およびSDCの給電の勾配などのシステムアクティビティに依存する。一定の要因は、一度の較正によって補償可能であるが、時間変化の要因は、取り扱うのがより困難である。1つのストラテジは、これらの変化の影響を受けにくいか、もしくはこれらへの低い依存性を有するSDC実装、または択一的には較正と動作との間で互いに入れ替わるSDC実装を選択することである。
【0046】
第1のAAC112は本質的に、時間変化的な要因の影響を受けにくい。第2のAAC114は非線形であり、したがって一定の要因についての補償が行われる。第2のAAC114の較正フェーズは、第2のAAC114のデジタル較正信号calibxが、アナログ局所出力信号sx2を単調に変化させる付加的な較正ループを介して実行されてよい。
【0047】
本明細書に開示されている基準SDRL410.rは、システム(例えばSoC)に沿って局所SDRL410.1,410.2にルーティングされる共通のデジタル基準信号digrに変換される既知のアナログ基準電源電圧Vrefを有する。それぞれの局所SDRL410.1,410.2は、その内部電源電圧V1,V2を別々にモニタリングおよび/またはトリミングすることができる。SDRL410.x間の第2のAAC114の差分を補償するために、較正フェーズが1回以上設定される。
【0048】
第2のAAC114は、トラッキングADC120についての要件および複雑さを低減するために、モニタまたはトリミングループによって、またデジタル較正信号calibxによって生成されるアナログ局所出力信号sx2の変化を増幅するように選択される。
【0049】
SDRL410.xを較正するために、デジタルフィードバック回路220は、デジタル局所電源信号digxと、基準電源回路の基準SDC110からのデジタル基準信号digrと、の比較に基づくデジタル較正信号calibxを第2のAAC114にフィードバックして、第2のAAC114を較正するように構成されている。第2のAAC114のこの較正フェーズの間、局所電源回路のアナログ局所電源電圧Vxは、同じ値を有し、局所電源回路のデジタルフィードバック信号trimxは、同じ値を有し、それぞれのデジタルフィードバック回路220はさらに、それぞれのデジタル較正信号calibxを調整し、これにより、それぞれのデジタル局所電源信号digxとデジタル基準信号digrとの間の差分を最小化し、それぞれの第2のAAC114と、それぞれの別の第2のAAC114との間の差分を最小化するように構成されている。
【0050】
トラッキングADC120における分解能は、以下、すなわち、(1)モニタリングおよびトリミングフェーズ中の、デジタル局所電源信号digxおよび局所トリミング信号trimxにおける1つの最下位ビットの変化と、(2)較正フェーズ中の、デジタル較正信号calibxにおける1つの最下位ビットの変化と、によって発生するアナログ局所出力信号sx2における変化よりも小さくなければならない。
【0051】
V. 制御用のデジタル制御ループ(SDRL)
図5は、本開示の複数の態様による、1つの制御SDRL500を有する複数のSDRLを示す概略図である。
【0052】
このSDRLには、
図2に関して上述したモニタリングSDRL200と、
図3に関して上述したトリミングSDRLと、上述した基準SDC110にも接続される制御SDRL500とが含まれている。SDRL200,300は、説明を目的として含まれているだけであり、制御SDRL500に関して限定を意味するものではない。また図面を簡略化するために、第1のAAC112および第2のAAC114は、単一のボックスA2Aに組み合わされている。
【0053】
図2に関して上述したモニタリングSDRL200は、第1のAAC112においてその制御ループを閉じ、アナログ局所電源電圧V1をモニタリングする。この同じコンセプトは、この制御SDRL500において再使用可能であり、これにより、第1のAAC112の代わりに局所電力生成回路510を制御することによってアナログ局所電源電圧V3が生成される。このループは、アナログ局所電源電圧V3を所望の値に生成するように構成されている。
【0054】
制御用の局所電源回路は、基準電源回路に接続されており、局所SDC510と、(デジタル減算器222およびデジタルLPF224を有する)局所フィードバック制御回路と、局所電力生成回路520と、を有する。局所SDC510は、アナログ局所電源電圧V3をデジタル局所電源信号dig3に変換するように構成されている。局所フィードバック制御回路は、デジタル局所電源信号dig3と、基準電源回路の基準SDC110からルーティングされるデジタル基準信号digrと、の比較に基づいて、デジタルフィードバック信号prg3を生成するように構成されている。局所電力生成回路520は、デジタルフィードバック信号prg3に基づいて、アナログ局所電源電圧V3を生成するように構成されている。
【0055】
局所電力生成回路520は、デジタルフィードバック信号prg3をあらかじめ定められた電圧値を有するアナログ局所電源電圧V3に変換するDACを含んでいてよい。既存のLDOのトリミングする代わりに、局所電力生成回路520は、デジタルLDOを生成する。電圧値V3は、アナログ基準電源電圧Vrefの値と同じであってよいか、または択一的にはこれとは異なっていてよい。
【0056】
さらに、複数の局所電源回路は、電力供給網のそれぞれの位置に設けられていてよい。モニタリングSDRL200は、例えば、パッドへのルーティングの寄与に起因する局所電源電圧変化について、これらのポイントをモニタリングするために、電力供給網における異なるポイントに配置することができる。
【0057】
本明細書に開示されたモジュール式電源・デジタル制御ループは、占有する面積および電力消費が少ないため、公知の制御ストラテジよりも有利である。構造はモジュール式であり、したがってモニタリング、トリミングまたは制御用に付加的な局所電源を加えるために再使用することができる。ルーティングは、SoCシステムオンチップに沿った低周波基準デジタル信号バスのルーティングだけである。また局部電源信号のモニタリング、トリミングまたは制御は、他のものとは独立しており、並行して行うことができる。
【0058】
本開示の技術は、以下の複数の実施例においても説明可能である。
【0059】
実施例1.電源・デジタル制御ループ(SDRL)回路であって、電源・デジタル制御ループ回路は、基準電源回路を有し、この基準電源回路は、アナログ基準電源電圧をデジタル基準信号に変換する基準電源・デジタル変換器(SDC)を有し、電源・デジタル制御ループ回路はさらに、基準電源回路に接続されている局所電源回路を有し、局所電源回路は、デジタルフィードバック信号に基づいて、アナログ局所電源電圧をデジタル局所電源信号に変換する局所SDC、およびデジタル局所電源信号と、基準電源回路の基準SDCからルーティングされるデジタル基準信号と、の比較に基づいて、デジタルフィードバック信号をモニタリングする局所モニタリング回路を有する、電源・デジタル制御ループ(SDRL)回路。
【0060】
実施例2.デジタル局所電源信号は、アナログ局所電源電圧およびデジタルフィードバック信号に対する単調な依存性を有する、実施例1のSDRL回路。
【0061】
実施例3.局所SDCは、デジタルフィードバック信号に基づいて、アナログ局所電源電圧をアナログ局所出力信号に変換するアナログ・アナログ変換器(AAC)と、アナログ局所出力信号をデジタル局所電源信号に変換するアナログ・デジタル変換器(ADC)と、を有する、実施例1のSDRL回路。
【0062】
実施例4.AACは、デジタルフィードバック信号に基づいて、アナログ局所電源電圧をアナログ局所中間信号に変換する第1のAACであって、線形伝達関数を有する第1のAACと、アナログ局所中間信号をアナログ局所出力信号に変換する第2のAACであって、単調でありかつ線形性についての制約がない伝達関数を有する第2のAACと、を有する、実施例3のSDRL回路。
【0063】
実施例5.第1のAACは、線形伝達関数を有し、第2のAACは非線形伝達関数を有する、実施例4のSDRL回路。
【0064】
実施例6.局所モニタリング回路はさらに、デジタル局所電源信号と、基準電源回路の基準SDからのデジタル基準信号と、の比較に基づくデジタル較正信号を第2のAACにフィードバックして、第2のAACを較正するように構成されている、実施例4のSDRL回路。
【0065】
実施例7.さらに、複数の局所電源回路を有し、第2のAACの較正フェーズ中、局所電源回路のアナログ局所電源電圧は、同じ値を有し、局所電源回路のデジタルフィードバック信号は、同じ値を有し、それぞれの局所モニタリング回路はさらに、それぞれの前記デジタル較正信号を調整し、これにより、それぞれのデジタル局所電源信号とデジタル基準信号との間の差分を最小化し、それぞれの第2のAACとそれぞれの別の第2のAACとの間の差分を最小化するように構成されている、実施例6のSDRL回路。
【0066】
実施例8.ADCの分解能は、デジタル局所電源信号における1つの最下位ビットの変化によって発生する、アナログ局所出力信号における変化よりも小さい、実施例4のSDRL回路。
【0067】
実施例9.局所モニタリング回路は、デジタル局所電源信号とデジタル基準信号との間の差分に基づいて、差分がゼロになるまで、デジタルフィードバック信号を制御するように構成されている、実施例1のSDRL回路。
【0068】
実施例10.局所モニタリング回路は、デジタル基準信号からデジタル局所電源信号を減算して、誤差信号を出力する減算器と、誤差信号を積分して、デジタルフィードバック信号として、積分された誤差信号を出力するデジタルローパスフィルタと、を有する、実施例1のSDRL回路。
【0069】
実施例11.さらに、局所BGR電圧およびデジタルフィードバック信号に基づいて、あらかじめ定められた値をアナログ局所電源電圧が有するようにこれをトリミングする局所トリミング回路を有する、実施例1のSDRL回路。
【0070】
実施例12.さらに、複数の局所電源回路を有する、実施例1のSDRL回路。
【0071】
実施例13.基準電源回路と、複数の局所電源回路のそれぞれとは、モジュール式構造の回路である、実施例12のSDRL回路。
【0072】
実施例14.さらに、基準電源回路から複数の局所電源回路にデジタル基準信号を伝送するルーティングインフラストラクチャを有する、実施例12のSDRL回路。
【0073】
実施例15.実施例1のSDRL回路を有するSoC。
【0074】
実施例16.基準電源回路が、第1のチップに設けられており、局所電源回路が、第2のチップに設けられている、実施例1のSDRL回路。
【0075】
実施例17.電源・デジタル制御ループ(SDRL)回路であって、電源・デジタル制御ループ回路は、基準電源回路を有し、基準電源回路は、アナログ基準電源電圧をデジタル基準信号に変換する基準電源・デジタル変換器(SDC)を有し、電源・デジタル制御ループ回路はさらに、基準電源回路に接続されている局所電源回路を有し、局所電源回路は、アナログ局所電源電圧をデジタル局所電源信号に変換する局所SDC、デジタル局所電源信号と、基準電源回路の基準SDCからルーティングされるデジタル基準信号と、の比較に基づいて、デジタルフィードバック信号を生成する局所フィードバック制御回路、およびデジタルフィードバック信号に基づいて、アナログ局所電源電圧を供給するように構成された局所電力供給回路、を有する、電源・デジタル制御ループ(SDRL)回路。
【0076】
実施例18.局所電力供給回路は、デジタルフィードバック信号および局所BGR電圧に基づいて、あらかじめ定められた電圧値にアナログ局所電源電圧をトリミングする局所電圧トリミング回路を有する、実施例17のSDRL回路。
【0077】
実施例19.局所電力供給回路は、デジタルフィードバック信号に基づいて、あらかじめ定められた電圧値を有するアナログ局所電源電圧を生成する局所電力生成回路を有する、実施例17のSDRL回路。
【0078】
実施例20.局所電力生成回路は、デジタルフィードバック信号をあらかじめ定められた電圧値を有するアナログ局所電源電圧に変換するデジタル・アナログ変換器(DAC)を有する、実施例19のSDRL回路。
【0079】
実施例21.アナログ局所電源電圧のあらかじめ定められた電圧値は、アナログ基準電源電圧の電圧値とは異なる、実施例19のSDRL回路。
【0080】
実施例22.デジタル局所電源信号は、アナログ局所電源電圧およびデジタルフィードバック信号に対する単調な依存性を有する、実施例17のSDRL回路。
【0081】
実施例23.局所SDCには、線形性についての制約がない、実施例17のSDRL回路。
【0082】
実施例24.さらに、電力供給網と、電力供給網におけるそれぞれの位置に設けられておりかつそれぞれのアナログ電源電圧値を有する複数の局所電源回路と、を有する、実施例17のSDRL回路。
【0083】
実施例25.電源・デジタル制御ループ(SDRL)方法であって、この方法は、基準電源回路の基準アナログ・デジタル変換器(ADC)により、アナログ基準電源電圧をデジタル基準信号に変換することと、デジタルフィードバック信号に基づいて、基準電源回路に接続されている、局所電源回路の局所ADCにより、アナログ局所電源電圧をデジタル局所電源信号に変換することと、デジタル局所電源信号と、基準電源回路の基準ADCからルーティングされるデジタル基準信号と、の比較に基づいて、局所電源回路の局所モニタリング回路により、デジタルフィードバック信号をモニタリングすることと、を有する方法。
【0084】
実施例26.アナログ局所電源電圧をデジタル局所電源信号SDCに変換することは、アナログ・アナログ変換器(AAC)により、デジタルフィードバック信号に基づいて、アナログ局所電源電圧をアナログ局所出力信号に変換することと、アナログ・デジタル変換器(ADC)により、アナログ局所出力信号をデジタル局所電源信号に変換すること、とを有する、実施例25のSDRL方法。
【0085】
実施例27.AACによって変換することは、線形伝達関数を有する第1のAACにより、デジタルフィードバック信号に基づいて、アナログ局所電源電圧をアナログ局所中間信号に変換することと、単調でありかつ線形性についての制約がない伝達関数を有する第2のAACにより、アナログ局所中間信号をアナログ局所出力信号に変換すること、とを有する、実施例26のSDRL方法。
【0086】
実施例28.局所モニタリング回路によってモニタリングすることはさらに、デジタル局所電源信号と、基準電源回路の基準SDからのデジタル基準信号と、の比較に基づくデジタル較正信号を第2のAACにフィードバックして、第2のAACを較正することを有する、実施例28のSDRL方法。
【0087】
実施例29.さらに局所トリミング回路により、局所BGR電圧およびデジタルフィードバック信号に基づいて、あらかじめ定められた値をアナログ局所電源電圧が有するようにこれをトリミングすることを有する、実施例25のSDRL方法。
【0088】
実施例30.電源・デジタル制御ループ(SDRL)方法であって、この方法は、基準電源回路の基準電源・デジタル変換器(SDC)により、アナログ基準電源電圧をデジタル基準信号に変換することと、基準電源回路に接続されている、局所電源回路の局所SDCにより、アナログ局所電源電圧をデジタル局所電源信号に変換することと、局所電源回路の局所フィードバック制御回路により、デジタル局所電源信号と、基準電源回路の基準SDCからルーティングされるデジタル基準信号と、の比較に基づいて、デジタルフィードバック信号を生成することと、局所電源回路の局所電力供給回路により、デジタルフィードバック信号に基づいて、アナログ局所電源電圧を供給することと、を有する方法。
【0089】
実施例31.上記のように供給することは、局所電圧トリミング回路により、デジタルフィードバック信号および局所BGR電圧に基づいて、あらかじめ定められた電圧値にアナログ局所電源電圧をトリミングすることを有する、実施例30のSDRL方法。
【0090】
実施例32.ように供給することは、局所電力生成回路により、デジタルフィードバック信号に基づいて、あらかじめ定められた電圧値を有するアナログ局所電源電圧を生成することを有する、実施例30のSDRL方法。
【0091】
上述のことは、例示的な実施形態に関連して説明されていたが、「例示的」という語は、最善または最適なものではなくむしろ単に例として理解すべきである。したがって本開示は、本開示の範囲内に含まれ得る択一的な形態、変更形態および等価形態を含むことを意図している。
【0092】
本明細書では特定の実施形態を例示しかつ説明して来たが、種々異なる択一的かつ/または等価的な実装形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、本明細書で示しかつ説明した特定の実施形態を置き換え得ることは当業者によって理解されよう。本開示は、本明細書で説明した特定の実施形態の任意の適合化または変化形態を含むことを意図している。
【外国語明細書】