(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173140
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】クイックファスナを備える材料分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 3/32 20060101AFI20221110BHJP
G01N 19/00 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
G01N3/32 B
G01N19/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076299
(22)【出願日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】10 2021 111 641.4
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】301077552
【氏名又は名称】ネッチ ゲレーテバウ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ ノイマン
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ツィエール
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ビーアマン
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン チューペル
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト シュヴェントナー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーボルト ヴォーツ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ヒルマー
(72)【発明者】
【氏名】レオンハルト ファウルハンマー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ラウアー
(72)【発明者】
【氏名】カイ ディンゲス
(72)【発明者】
【氏名】クラース ルーマン
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル ベルマン
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ シュトーヒ
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA02
2G061AB05
2G061BA19
2G061DA01
2G061DA05
2G061DA10
(57)【要約】
【課題】材料分析装置のセットアップ時間を更に短縮する。
【解決手段】本発明は、材料試料を分析するための材料分析装置に関する。材料分析装置は、一般に温度調整可能な試料チャンバと、少なくとも1個のピラーに支持されつつ、試料チャンバ内に突入する試料ホルダと、一端が励振器によって力で負荷され、他端に接続部材を保持すると共に、その接続部材によって試料に所定の方式で力を伝達して試料に負荷を加える負荷シャフトとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般に温度調整可能な試料チャンバ(5)と、
少なくとも1個のピラー(12)に支持されつつ、前記試料チャンバ(5)内に突入する試料ホルダ(10)と、
一端が励振器によって力で負荷され、他端に接続部材(14)を保持すると共に、前記接続部材(14)によって前記試料(4)に所定の方式で力を伝達して前記試料に負荷を加える負荷シャフト(3)と、
を備える、材料試料を分析するための材料分析装置(1)であって、
前記負荷シャフト(3)が、前記試料チャンバ(5)に面する端部にブッシング(16)を形成し、
前記ブッシングが、作動可能状態にあるときに、プローブシャフト(14)の差し込み部分を収容し、
前記ブッシング(16)が、少なくとも1つの横方向ウィンドウ(19)を有し、好適には平坦なキー面(22)を有する平キーの形態の、キー(20)が、前記横方向ウィンドウを通して、背後における前記差し込み部分の溝(18)内に差し込み可能であり、これにより前記接続部材(14)が、前記負荷シャフト(3)に遊びなく固定されていることを特徴とする材料分析装置。
【請求項2】
好適には上側から、負荷することができ、カバー(6)で閉鎖することができ、一般に温度調整可能な試料チャンバ(5)と、
前記カバー(6)に、好適には少なくとも2個、より好適には4個のピラー(12)によって、固定されると共に、前記カバーに支持されつつ、前記試料チャンバ(5)内に突入する試料ホルダ(10)と、
一端が励振器によって力で負荷され、他端にプローブシャフト(14)を保持すると共に、前記プローブシャフト(14)によって前記試料(4)に所定の方式で力を伝達して前記試料に負荷を加える負荷シャフト(3)と、
を備える、材料試料を分析するための材料分析装置(1)であって、
前記負荷シャフト(3)が、前記試料チャンバ(5)に面する端部にブッシング(16)を形成し、
前記ブッシングが、作動可能状態にあるときに、前記プローブシャフト(14)の差し込み部分を収容し、
前記ブッシング(16)が、少なくとも1つの横方向ウィンドウ(19)を有し、好適には平坦なキー面(22)を有する平キーの形態の、キー(20)が、前記横方向ウィンドウを通して、背後における前記差し込み部分の溝(18)内に差し込み可能であり、これにより前記プローブシャフト(14)が、前記負荷シャフト(3)に遊びなく固定されていることを特徴とする材料分析装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の材料分析装置(1)であって、前記負荷シャフト(3)の前記ブッシング(16)が、好適にはセンタリングテーパシートの形態で、第1センタリングテーパを形成し、前記第1センタリングテーパが、前記プローブシャフト(14)の前記差し込み部分上における好適には雄型の第2センタリングテーパと一緒に、前記負荷シャフト(3)に対して前記プローブシャフトをセンタリングすることを特徴とする材料分析装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の材料分析装置(1)であって、前記キー(20)及び前記プローブシャフト(14)の前記差し込み部分における前記溝(18)は、前記キーが前記溝(18)内に導入される際に、前記キー(20)が、前記プローブシャフト(14)の端部部分上における雄型センタリングテーパを、前記ブッシング(16)の前記センタリングテーパシート内に引き込むよう形成されていることを特徴とする材料分析装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の材料分析装置(1)であって、可撓性ばね、好適には一端が固定された板ばね(24)が、前記負荷シャフト(3)の外側に固定されると共に、前記キー(20)を前記負荷シャフト(3)に向けて半径方向に付勢していることを特徴とする材料分析装置。
【請求項6】
請求項5に記載の材料分析装置(1)であって、前記キー(20)は、前記板ばねが前記キーに引っ張り力も伝達できるよう、半径方向外側端部にて前記板ばね(24)に接続されていることを特徴とする材料分析装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の材料分析装置(1)であって、前記キー(20)が、前記板ばね(24)にバヨネットクロージャ式に、かつ形状密着に接続されていることを特徴とする材料分析装置。
【請求項8】
請求項5~7の何れか一項に記載の材料分析装置(1)であって、前記板ばね(24)が、細長で好適には半径方向外方に向けて斜めに角度が付けられた自由端を有し、該自由端が、前記負荷シャフト(3)の長手方向軸線(L)方向において前記キー(20)を越えて突出し、前記自由端は、前記負荷シャフト(3)が試料スペース(5)内に更に移動するとストッパに衝突し、これにより前記板ばね(24)が半径方向外方に向けて広がると共に、前記プローブシャフト(14)を前記負荷シャフト(3)から取り外すことができるよう前記キー(20)を溝(18)から引き出すことを特徴とする材料分析装置。
【請求項9】
請求項1の前提部に記載の材料分析装置(1)、又は請求項2の前提部に記載の材料分析装置(1)、又は請求項1~8の何れか一項に記載の材料分析装置(1)であって、前記試料チャンバの壁、特にカバー(6)の形態の壁が、前記試料ホルダ(10)における1個以上のピラー(12)のそれぞれのための保持開口を有し、前記保持開口内に、それぞれの前記ピラー(12)の自由端が差し込み可能であり、前記ピラー(12)の前記自由端は、前記カバー(6)に移動可能に取り付けられたキー(20)を差し込み可能な溝(18)を保持し、これにより前記ピラー(12)の端部が前記カバー(6)上で遊びなく形状密着に固定されていることを特徴とする材料分析装置。
【請求項10】
請求項9に記載の材料分析装置(1)であって、前記保持開口が、完全に又は部分的に止まり穴として構成されていることにより、前記カバー(6)に取り付けられた前記キー(20)が前記ピラー(12)に割り当てられた自由端を、前記キー(20)のキー面(22)と前記止まり穴の底部との間で固定することを特徴とする材料分析装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の材料分析装置(1)であって、前記カバー(6)に、同期作動再現機構が組み込まれ、前記同期作動再現機構が、全てのキー(38)を同期的に作動させる、即ち前記各キー(38)を前記ピラー(12)の溝(36)内に押し込むこと、又は前記各キー(38)を前記ピラー(12)の前記溝(36)から引き出すことを特徴とする材料分析装置。
【請求項12】
請求項11に記載の材料分析装置(1)であって、前記同期作動再現機構が、偏心器(41)を含み、前記偏心器(41)が、対応する回転中に、少なくとも1個のキー(38)に圧縮力を加えて前記少なくとも1個のキーをピラー(12)の溝(36)内に押し込むと共に、同期作動フレーム(45)に張力を加え、該同期作動フレームが、これにより他の位置に引っ張られると、少なくとも1個の第2キー(38)に圧縮力を加えて前記少なくとも1個の第2キーを他のピラー(12)の溝(36)内に押し込むことを特徴とする材料分析装置。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の材料分析装置(1)であって、前記キー(38)が、前記偏心器(41)及び前記同期作動フレーム(45)と直接的にではなく、好適には可撓性棒ばね(44)の形態のばね要素を介して関連付けられていることを特徴とする材料分析装置。
【請求項14】
好適には請求項1~13の何れか一項に記載の材料試料を分析するための材料分析装置(1)であって、
温度調整可能な試料チャンバ(5)と、
少なくとも1個のピラー(12)に支持されつつ、前記試料チャンバ(5)内に突入する試料ホルダ(10)と、
一端が励振器によって力で負荷され、他端に接続部材(14)を保持すると共に、前記接続部材(14)によって前記試料(4)に所定の方式で力を伝達して前記試料に負荷を加える負荷シャフト(3)と、
前記試料チャンバ(5)の外部に配置された測定システムと、
を備える材料分析装置において、
前記試料チャンバ(5)の外部における前記試料チャンバ(5)と前記測定システムとの間の少なくとも一領域が、ヒートパイプ技術に基づく冷却システムによって自動的に冷却され、
前記自動的な冷却が、中空で密閉されると共に、冷却流体が内部で自動的に循環する少なくとも1個のヒートパイプが設けられることで行われ、前記ヒートパイプの熱吸収端が、冷却すべき壁領域に熱伝導的に接続され、
前記ヒートパイプの熱放出端が、冷却体に接続され、及び/又は、冷却剤が前記冷却体の外側に対して流れることを特徴とする材料分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブシャフト及び/又は試料ホルダ用のクイックファスナを備える請求項1の前提部に係る材料分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係るような装置は、動的粘弾性分析にのみ使用されるわけではないが、好適には、動的粘弾性分析に使用される。動的粘弾性分析(DMA)は、主に高分子材料の粘弾性特性を判定するのに不可欠な方法である。この方法との関連においては、モジュラー式の設計を有する材料分析装置が必要である。このモジュラー式の設計は、好適には、装置を、特に複数の異なる試料ホルダ及び異なるプローブシャフトで作動可能とするものである。これにより、想定可能な負荷シナリオのほぼ全てを1個の装置でシミュレートすることができる。これら試料ホルダ及び関連のプローブシャフトはこれまで、各ケースにおいて材料分析装置にねじ込まれてきた。ねじ接続は、安全であり、必要な力を確実に伝達することができ、更には迅速に確立できると共に再び解除することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来既知の材料分析装置は、良好かつ確実に機能するのみならず、そのセットアップも比較的良好に変更可能ではあるが、そのような材料分析装置のセットアップ時間を更に短縮することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1の特徴部全体によって解決される。
【0005】
従って、材料試料を分析するための材料分析装置が提案される。この装置は、好適には、上側から負荷することができ、カバーで閉鎖することができ、一般に温度調整可能な試料チャンバを備える。本発明に係る装置は、1個、2個、又はそれ以上の個数のピラーによって定位置に保持される試料ホルダを備え、試料ホルダは、好適には、ピラーによってカバーから吊り下げられている。試料ホルダの位置決めには通常、試料ホルダを支持する2個、又はより好適には3つ以上の個数のピラーが使用される。上方から負荷が加えられる好適なケースにおいて、ピラーは、試料ホルダがカバーから下方に向けて試料チャンバ内に突入することを可能にする。
【0006】
材料分析装置は、負荷シャフトを更に備える。負荷シャフトは、その一端が励振器によって力で負荷される。負荷シャフトは、その他端に、当業者が「試料形状に適合されたインサート」とも称することの多いプローブシャフトを保持するが、統一性の理由から以下においては特許用語「プローブシャフト」を使用する。このプローブシャフトにより、試料に所定の方式で力が伝達される。これにより、プローブシャフトが試料に負荷をかける。
【0007】
本発明によれば、材料分析装置は、負荷シャフトが、試料チャンバに面する端部にブッシングを形成していることを特徴とする。このブッシングは、作動可能状態で、プローブシャフトの差し込み部分を収容する。ブッシングは、少なくとも1つの横方向ウィンドウを有する。平坦なキー面を有する好適には平キーの形態のキーは、横方向ウィンドウを通して、背後における差し込み部分の溝に差し込み可能である。キーは、典型的には、プローブシャフトの長手方向軸線に対して純粋に半径方向に差し込まれる。
【0008】
これにより、プローブシャフトは、負荷シャフトに対して形状密着に遊びなく固定することができる。このキー接続は、通常は工具を使用することなく、迅速に確立及び解除できるという大きな利点を有する。また、適切で強制的な付勢により、キー接続が常に自動的に正しく実現される。これは、セットアップ時間を短縮するだけでなく、作動上の安全性も向上させ得る。なぜなら、ねじ接続の締結を不注意で間違えるという問題が生じないからである。更に、ねじ接続に比べて、キー接続が不所望に解除してしまうリスクが全くないか、あっても僅かである。
【0009】
本発明における任意的な実施形態
理想的には、負荷シャフトのブッシングは、好適にはセンタリングテーパシートの形態で、第1センタリングテーパを形成する。第1センタリングテーパシートは、プローブシャフトの差し込み部分上における好適には雄型の第2センタリングテーパと一緒に、負荷シャフトに対してプローブシャフトをセンタリングする。この目的のために、キーは、好適には、2個のセンタリングテーパを互いに引き込むよう成形され、位置決めされ、付勢され、これらテーパは、好適には、試料スペースに向かって見て、試料スペースの下方に取り付けられている。このようにして、本発明に係るクイックファスナは、必然的に最適なセンタリングを保証する。
【0010】
可撓性ばねが負荷シャフトの外側に固定されていれば、特に有利である。この可撓性ばねは、キーを、負荷シャフトに向けて半径方向に付勢する。可撓性ばねは、好適には、その一端にのみ固定された板ばねのように設計されている。
【0011】
キーは、好適には、板ばねがキーに引っ張り力も伝達できるよう、外側端部にて板ばねに接続されている。これにより、板ばねは、キーの両方向において自在の作動要素になる。板ばねは、当然のことながら大きさが無視できる程度であるおかげで、キーを再び取り外すことも容易に可能にする。特に、板ばねは、電動で十分に作動可能であり、殆どの場合、そのために付加的なモータを必要としない。
【0012】
後者の目的のために、板ばねは、細長で好適には半径方向外方に向けて斜めに角度が付けられた自由端を有し、その自由端は、負荷シャフトの長手方向軸線方向においてキーを越えて突出している。最終的にはそれ自体がキー効果を有するこの細長端部は、負荷シャフトが試料スペース内に更に導入される際に、ストッパに衝突するよう使用することができる。ストッパは、負荷ばねがストッパに引っ掛かると共に、更に導入される際に外側に広がるよう成形及び位置決めされている。
【0013】
その後、ばねによってキーが溝から引き出され、プローブシャフトを負荷シャフトから取り外すことができる。
【0014】
本発明における更なる解決策
上述した請求項の特徴と一緒のみならず、単独かつ独立的に、請求項1における前提部の特徴のみと一緒に、材料分析装置の保護も求められており、その材料分析装置の試料チャンバ壁又はカバーは、試料ホルダにおける複数のピラー用の保持開口を有する。各ピラーの自由端は、その保持開口内に差し込むことができる。ピラーの自由端は、溝を有する。カバー内に移動可能に取り付けられたキーは、好適には、ピラーの長手方向軸線に対して純粋に半径方向に溝内に差し込むことができる。
【0015】
このようにして、ピラーの端部は、通常は工具を使用することなく、試料チャンバ壁上又はカバー上に形状密着に遊びなく固定することができる。この固定は、プローブシャフトに適用されるものと実質的に同じ形式であるため、プローブシャフトに関連して上述したのと同様の利点を有する。
【0016】
本発明における任意的な更なる実施形態
保持開口が完全に又は部分的に試料スペースに向けて、即ち通常は下方に向けて開放された止まり穴として設計されていれば特に有利である。この止まり穴は通常、カバー内に取り付けられたキーが、キー面と止まり穴との間の底部で、キーに割り当てられたピラーの自由端をクランプするよう設計されている。プローブシャフトとは異なり、この場合には一般的にセンタリングが行われない。従って、プローブシャフトの場合よりも接続を単純にすることができる。
【0017】
理想的には、試料チャンバ壁又はカバー内には同期作動再現機構が組み込まれている。この機構は、特定の試料ホルダにおける異なるピラーのキーの全てを同期的に作動させるよう、即ちピラーの各キーを溝に同期的に押し込んだり引き出したりするよう設計されている。このような同期作動再現機構により、各試料ホルダの取り付け及び取り外しをするために複数のねじ接続を順次に解除しなければならない従来の状態に比べて、セットアップ時間を大幅に短縮することができる。
【0018】
好適には、同期作動再現機構は、偏心器を有する。この偏心器は、対応する回転中に、少なくとも1個の第1キーに圧縮力を加えて少なくとも1個のキーをピラーの溝内に押し込む。同時に、変位フレームに張力が加えられる。この変位フレームが、これにより他の位置に引っ張られると、少なくとも1個の第2キーに圧縮力を加える。この圧縮力は、第2キーを他のピラーの溝内に押し込む。偏心器が反対方向に回転すると、各キーが解放されて再び元の位置に戻ることができる。代替的に、偏心器は、キーを積極的に引き戻す
ようキーに強制結合されている。
【0019】
この目的のために、キーが、偏心器及び変位フレームと直接的にではなく、ばね要素を介して関連付けられていれば特に有利である。この場合、特に有利なばね要素は、可撓性棒ばねである。なぜなら、そのような可撓性棒ばねを介して、圧縮力のみならず引っ張り力も強制作動するようキーに特に効果的に作用させることができるからである。これは、特に問題を生じない解決策につながる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る材料分析装置を作動可能状態で示す略図である。
【
図2】本発明に係る材料分析装置を、
図1に対して90°回転させた観測者位置から作動可能状態で示す側面図である。
【
図3】本発明に従ってプローブシャフトが如何にして負荷シャフトに接続されているかを表す例示的な実施形態を示す詳細図である。
【
図4】
図4は、プローブシャフトが如何にして取り外し可能であるかを示す略図であり、
図4aは、より小さな図により、材料分析装置から取り外されると共に分離状態のプローブシャフトを示す説明図である。
【
図5】作動可能位置にあるプローブシャフトの作動機構を示す説明図である。
【
図6】プローブシャフトを取り外す際のプローブシャフトの作動機構を示す説明図である。
【
図7】試料スペースのカバー上における、試料ホルダのピラーの本発明に係る固定を示す説明図である。
【
図8】
図7における例示的な実施形態を示す詳細図である。
【
図9】
図7における固定を解除状態で示す説明図である。
【
図10】
図9における例示的な実施形態を示す詳細図である。
【
図11】試料ホルダのピラーのための本発明に係る同期作動再現機構の例示的な実施形態を示す説明図である。
【
図12】試料ホルダのピラーのための本発明に係る同期作動再現機構の例示的な実施形態を、キー及びその作動をより容易に視認できるよう部分的に切り取られた状態で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明に係る材料分析装置1の概略図を良好に示す。
【0022】
材料分析装置1は、振動励振器2を備える。この振動励振器2は、負荷シャフト3に振動を加える。これら振動は、負荷シャフト3により、概略的にのみ表された試料4に伝達される。
【0023】
材料分析装置1は更に、
図1において概略的にのみ表された試料チャンバ5を備える。この試料チャンバ5は、作動中はカバー6によって実質的に閉鎖されている。試料チャンバ内では、所望の試験温度を確立することができる。任意的に、放射波、例えば紫外線を試験対象物に適用することも可能である。必要に応じて、例えば、プラスチック材料に対して腐食作用を有するか、又はプラスチック材料に対して他の形で作用する或いは影響する液体を霧吹き或いは蒸気吹きすることも可能である。同様の条件は、任意的に、適切な浸漬浴への浸漬によって実現することもできる。
【0024】
図1においては、図示の例示的な実施形態における試料チャンバと測定システムとの間の試料チャンバ外側領域が、ヒートパイプ技術に基づく冷却システムによって自動的に冷却されることが容易に分かる。この目的のために、好適には冷却プレートとして構成された支持プレート7が断熱材8の上方に配置され、従って試料チャンバと測定システムとの間に配置されている。支持プレート7は、
図1に示すように多層カバー6の層であってもよいが、カバー6から完全に独立させることもできる(図示せず)。
【0025】
図示の冷却プレート7は、試料チャンバの上方に位置する測定システムに対して、試料チャンバからの熱による負荷を排除するか又は低減する。流体冷却剤は、好適には、冷却プレート7を通って流れ、冷却装置34を介して冷却される。ただし、冷却プレート7は、ラップトップ構造で使用される「ヒートパイプ」のように機能することもできる。
【0026】
特に好適には、冷却は、冷却プレート7に基本的に半径方向孔が設けられることによって実現される。この孔には、最適な熱伝導を実現するために、通常は熱伝導性ペーストが使用されつつ、管状ヒートパイプが嵌め込まれる。使用されるヒートパイプは、ヒートパイプを収容する冷却プレートよりも長い。従って、ヒートパイプは、冷却プレート7から横方向に突出している。例えば
図1から容易に分かるように、冷却プレート7から横方向に突出している部分は、冷却装置34内に延在している。冷却装置34内に延在した部分は、典型的にはフィン付き冷却体の溝又は孔によって収容され、その冷却体は、ヒートシンクとして機能すると共に、典型的にはファンによって冷却空気に晒されている。
【0027】
この場合に使用されるタイプの「ヒートパイプ」は通常、密閉されており、破壊せずに開放することはできない。
【0028】
ヒートパイプは、典型的には、内部の流体が温度差によってのみ(場合によっては毛細管現象によって支援されつつ)駆動されて循環し、この場合に流体がヒートパイプの一端で熱を吸収し、その熱をヒートパイプの他端まで運んで外部に放出するよう設計されている。
【0029】
本発明に従って使用されるヒートパイプに関してより詳細に述べると、好適には使用されるヒートパイプについて以下のことを指摘することができる。
【0030】
冷却プレート7は、不可避的に特定の熱流、特に断熱材8を克服することができた熱損失を伝導する。冷却プレート領域の入熱は、ヒートパイプを形成する容器、典型的には銅パイプ、並びにその内部の作動媒体の温度を、作動媒体の沸点に到達するまで上昇させる。その後、作動媒体は蒸発し始める。温度はもはやそれ以上は上昇せず、代わりに、それ以上伝導されたエネルギーは全て蒸発熱に変換される。
【0031】
これにより、ヒートパイプ内の圧力は局所的に液面よりも上昇し、ヒートパイプ内に僅かな圧力勾配が生じる。発生した蒸気は、体積全体に広がり始め圧力がより低い箇所に流れ、また温度が作動媒体の沸点よりも低い箇所では凝縮する。このためには、蒸気は容器にエネルギーを放出し、容器は周囲にエネルギーを放出しなければならない。これは、能動的な冷却が生じ得る凝縮器が配置された位置、即ち冷却装置34領域で最も顕著である。
【0032】
潜熱、即ち凝縮熱が全て周囲に放出されるまで、温度はそれ以上低下することはない。
【0033】
作動媒体の液体部分は、図示の実施形態でヒートパイプとして使用されるパイプに通常設置される金属メッシュによって生じる毛細管力に起因して蒸発器に戻る。代替的に、使用されるパイプは、内面が滑らかでない代わりに、パイプの長手方向軸線に延在するフィンを有し、これらフィン間に毛細管溝と見なせる自由空間を包囲するパイプであってもよい。
【0034】
好適には、断熱材8は通常、分散した非晶質シリカに基づく無機材料より成る高温耐性プレートである。このプレートは、特殊な赤外線不透明化剤を有することも多く、従って試料チャンバ5内で発生する赤外線放射も容易に断熱材を克服することができない。断熱材8の片側の試料チャンバ内には通常、試料チャンバの温度制御に使用されるいわゆるカバーヒーティング9が配置されている。
【0035】
試料は、試料ホルダ10の助けにより、試料チャンバ5内の所定位置に保持されている。試料ホルダ10は通常、一種の試料テーブル又は試料クロス部材11で構成されている。この試料ホルダは、ピラー12の助けによりやはり所定位置に保持されている。この目的のために、カバーの外側にピラー固定手段13が配置されている。これは、好適には、以下においてより詳細に説明するように、同期作動再現機構を含む。ピラーは、カバー内に割り当てられた貫通開口を通って、カバー内のピラー固定手段13領域内に突入している。
【0036】
負荷シャフト3は、振動励振器2によって伝達された振動を試料に直接的にではなく、負荷シャフト3に結合されたプローブシャフト14を介して試料に加えることが対応する図から容易に分かる。この場合、負荷シャフトをプローブシャフト14に結合するカップリングは、参照符号15で表されている。カップリング15は、
図1及び
図2に概略的にしか表されておらず、以下においてより詳細に説明する。プローブシャフト14は、カバー内に割り当てられた貫通開口を通って、試料チャンバ5内領域に突入している。
【0037】
注目すべきは、プローブシャフト14は、好適には、少なくとも試料チャンバ5内に突入する領域において中空に穿孔されていることである。プローブシャフト14は更に、典型的には、幾つかの半径方向ウィンドウを有する。これにより、熱がプローブシャフトに沿って試料スペースから試料スペース外領域に流れ出ることができる、プローブシャフト14上の熱伝導に利用可能な断面が小さく維持される。
【0038】
試料テーブル又は試料クロス部材11を保持するピラー12も、好適には、熱伝導率の低減に関して同様に設計されている。これは、プローブシャフトに関して説明したのと同じ理由によるものである。
【0039】
図3は、カップリング15を示すと共に、プローブシャフト14が如何にして負荷シャフト3に結合されているかを示す。
【0040】
図示の実施形態において、負荷シャフト3は、少なくともプローブシャフトに面する端部が中空であることが容易に分かる。この中空の端部は、ブッシング16を形成している。図示の実施形態において、プローブシャフト14は、その端部に、この場合は雄型カップリングピース17を保持している。この設計は、分離をするために、キーが割り当てられたウィンドウからキーを完全に引き出す必要がないから特に有利である。
【0041】
有利には、カップリングピース17は、プローブシャフト14上にねじ固定されている。プローブシャフト14とは異なり、カップリングピース17は、基本的に中実である。カップリングピース17は、結合をするために、負荷シャフト3のブッシング16内に差し込まれている。図示のように、カップリングピース17は、側面から半径方向にアクセス可能な溝18を有する。完全に結合された状態において、溝18は、ブッシング16内にてウィンドウ19の後方に位置している。キー20は、ウィンドウを通して差し込まれている。
【0042】
キー20は、丸キー、又は明らかに好適には平キーとして構成することができる。
【0043】
平キーは、概略的に表されている。この場合、平キーは、平面的で純粋に半径方向に向けられた下側摺動面21を有する。摺動面21の反対側において、平キーは、基本的には同様に平面的で斜めに形成されたキー面22を有する。キー面22は、カップリングピース17上の対向キー面23と相互作用する。
【0044】
この場合にキー20は、好適には、板ばね24として形成されたばね要素により、カップリングピース17に向けて半径方向に付勢されている。これは、板ばね24により、キー20が溝18内に強制的に押し込まれることを意味する。一方ではキー20のキー面22及びカップリングピースの対向キー面23が互いに摺動し、他方ではキー20の下側摺動面21がウィンドウ19のエッジ上で支持されることにより、カップリングピース17が負荷シャフトのブッシング16内により深く引き込まれる傾向がある。その結果、センタリングが自動的に行われる。なぜならこの場合、カップリングピース17の外側テーパ25は、負荷シャフト3のブッシング16における端部のテーパシート26に引き込まれるからである。これにより、カップリングピース17の円筒形シャンク27がブッシング16の内面に対して当然有する(通常は小さい)遊びが支障をもたらすことがなくなる。このようなカップリングにより、負荷シャフト3は、その長手方向軸線Lに沿った一方向及びその反対方向の両方において、振動をプローブシャフト14に損失なく伝達可能であることが容易に分かる。
【0045】
キー20は、その半径方向外端部領域において、板ばね24に形状密着に固定されていることも容易に分かる。この目的のために、板ばね24は、ウィンドウを有することができる。キーは、このウィンドウを通して突出している。図示の実施形態において、板ばね24は、図示のように、端部の一方のみがクランプされていることに特徴付けられている。好適には、パイプクリップ28の一種がキーの端部をクランプするのに使用される。このパイプクリップは、負荷シャフト3の周囲に局所的に係合し、板ばね24の一端を動かないよう固定する。板ばね24の反対側の端部は、好適には、負荷シャフトの長手方向軸線Lに対して角度付きか、又は何れにせよ斜めに延在するセクション29を形成している。セクション29の機能については、以下においてより詳細に説明する。
【0046】
図4及び
図4aは、
図1と比較した場合に、負荷シャフトが如何にして遠隔制御されつつ電動で取り外し可能かを明確に示す。
図1は、上述したように、材料分析装置を作動可能状態で示す。振動励振器2は、通常は遠隔制御されつつ電動で、垂直方向ガイド(図示せず)によって上下に移動することができる。この可動性は、実際には、プローブシャフトの端部を正確に位置決めし、試料4に正確に結合可能とするために使用される。しかしながらこの場合、この可動性は、本発明に従って「その用途から転用」され又は二次的な用途に使用される。
図4及び
図4aから容易に分かるように、振動励振器2は、カップリング15を解除するのに下方に向けて移動される。その過程において、板ばねの斜めに延在するセクション29は、ある時点でストッパ30に衝突する。振動励振器2が移動し続けると、斜めに延在するセクション29は、その傾斜がくさび状に作用することにより、外方に向けて正確に曲げられる。これは、板ばねがこの場合は時計回りに旋回することを意味する。その際、キー20は、溝18から引き出される。これにより、プローブシャフト14がロック解除される。その後、
図4aに示すように、プローブシャフト14が負荷シャフト3から引き出し可能である。
【0047】
図5及び
図6は、より詳細を示す。この場合、板ばね24は、その上端が好適にはパイプクリップ28によってクランプ保持されていることが明確に表されている。図示の実施形態において、ストッパ30は、好適には、シャックル31によって形成され、そのシャックル31は、材料分析装置に固定的に取り付けられると共に、ローラ32を保持している。
【0048】
図5は、全体を作動可能状態で示す。
図6は、全体を、振動励振器2が十分に下方に移動された後の状態で示す。図示のように、板ばね24において斜めに延在するセクション29は、ローラ32上で転動する。これにより、板ばね24は、ほぼ摩擦なしで外方に向けて引き出される。
【0049】
注目すべきは、キー20と板ばね24との間の接続も、これら図から容易に分かることである。図示のように、板ばね24は、ウィンドウ33を有する。キー20の端部は、ウィンドウに対して形状密着に固定されているか、又は好適にはウィンドウにおける2つの側面の間に固定されている。この目的のために、キーは、
図5及び
図6に示すように、2つの対向する側面に溝が形成された端部を有するのが理想的である。
【0050】
好適には、キーの端部における断面は、正方形ではなく長方形である。ウィンドウ33は、同じ長方形断面を再現しているが、90°回転されている。これにより、キーは、組み立て中に、2つの溝付き側面がウィンドウ33のラインと同じ高さになるまで差し込み可能である。その後、キー20は、その終了位置まで90°回転される。これにより、ウィンドウ33において互いに対向する2つの側面は、キーの端部における2つの溝に形状密着に係合する。このようにして、キーは、板ばねにより、負荷シャフトの長手方向軸線Lに対して垂直方向に強制的に往復動させることができる。他の固定方法、例えば、キーを板ばねにねじ固定することも勿論想定可能である。
【0051】
図7~
図12は、試料ホルダが試料スペースのカバーから試料スペース内に垂れ下がるよう、試料ホルダのピラーがカバーに固定された状態を最適に示す。
【0052】
図11は、
図1に示すように、カバー6において、試料チャンバから離れた側における最外部を形成するピラー固定手段13の概略を示す。固定されるべきピラーは、カバーの切り欠きを通って、ピラー固定手段が取り付けられたカバー外側領域に突入している。この全体は、ピラー固定手段が実質的に低温、ほぼ室温に維持されるという利点を有する。
【0053】
通常は平面的なピラー固定手段には、止まり穴が全体的又は部分的に設けられている。これら止まり穴のそれぞれは、各ピラー12のカップリングピース35を受け入れている。図示のように、この場合に止まり穴という用語は、カップリングピース35における上端面のためのストッパを形成する孔のことを意味する。カップリングピース35は、横方向溝36を有する。溝36は、止まり穴のストッパに面すると共に、キー面37を形成する少なくとも1つの溝側面を有する。
【0054】
カップリングピース35は、移動可能なキー38が差し込まれることによって固定されている。移動可能なキーは、丸キーであり得る。ただし、図示のように、平キーが遥かに適している。溝側面上でキー面37と相互作用する好適には移動可能なキーの上側キー面により、カップリングピース35は、キー38と止まり穴との間でクランプされている。このようにして、関連するピラー12は、その長手方向軸線LSの方向及び逆方向に固定される。ピラー12の長手方向軸線LSに対して横方向又は斜め方向の移動は、止まり穴の周壁によって回避される。キー38は、試料スペースに面する側において、ピラー固定手段13の平面上で摺動する。キー38も通常、キー38が横方向にガイドされる平面的な側面を有する。
【0055】
各ピラー12には、このようなキーカップリングが個別に割り当てられている。
【0056】
任意的で特殊な特徴は、4個以上のキーが同期して作動することである。この目的のために、同期作動再現機構が設けられている。この同期作動再現機構は、
図9及び
図10に示すように、各キーを引き戻すことができる。この場合、キーは、溝36から完全に離脱する。
【0057】
その後、試料テーブル11は、ピラー12と一緒に下方に取り外すことができる。
【0058】
図示の実施形態において、ピラー固定手段13の一部である同期作動再現機構の構造は、
図11及び
図12に最適に示す。
【0059】
より良好に理解するために、先に
図12を参照されたい。
【0060】
図12は、
図11で視認可能であると共に、重要部分を遮る様々な構成要素を切り取られた状態で示す。図示のように、キー38は、プレート46上の溝又は限定された窪み内を往復動する。プレート46は、ピラー固定手段13の一部である。この目的のために、比較的分かり易く表されているように、好適には、各キーの隣には横方向ガイドストリップ39が設けられている。キー38の各対には、共通の作動スライドスイッチ40が割り当てられている。
【0061】
良く見ると、各キーは、細長円筒形要素を介して作動スライドスイッチ40に接続されているのが分かる。この場合、細長円筒形要素は、キーにおける細長側面のうちの1つで終端している。細長円筒形要素は、ばね要素、好適には、可撓性棒ばねの形態として構成されている。
【0062】
更に、二重偏心器41がプレート46に旋回可能に取り付けられている。二重偏心器41の旋回ハンドル42により、二重偏心器41は偏心器軸線43周りで回転可能である。旋回ハンドル42が時計回りに回転して二重偏心器41が作動すると、二重偏心器41の一個、即ち観測者に向けられた偏心器が作動スライドスイッチ40を押圧する。これにより、図示の実施形態において、作動スライドスイッチ40が左側に向けて押圧される。その結果、可撓性棒ばね44を介して作動スライドスイッチ40にそれぞれ接続された各キー38は、開放位置から閉鎖位置に押し出される。
【0063】
図11及び
図12を並べて見ると、同期作動再現機構が如何にして機能するかが分かる。即ち、同期作動再現機構には、同期作動フレーム45が属している。二重偏心器41の第2偏心器は、この場合に同期作動フレームの右側端部に対して内側から当接している。図示の実施形態において、作動スライドスイッチ40を左側に向けて移動させる二重偏心器の同じ動きにより、同期作動フレーム45が第2偏心器によってこの場合は右側に向けて引っ張られる。この引っ張り運動は、ピラー固定手段13全体を越えて、左側の作動スライドスイッチ40領域まで及ぶ。その後、この左側の作動スライドスイッチ40は、同期作動フレームによって左側から右側に引っ張られる。その際、左側の作動スライドスイッチ40は、スイッチ40に接続された各キー38を可撓性棒ばねを介して同様に開放位置から右側の閉鎖位置に押圧する。
【0064】
このようにして、試料テーブル又は試料クロス部材11を容易にかつ扱い易く交換することが可能になる。試料チャンバ5を画定する区画を取り外した後、試料テーブル又は試料クロス部材11は一方の手で保持し、他方の手で旋回ハンドル42を90°回転させる。その後、試料テーブル又は試料クロス部材11は下方に向けて片手で取り外すことができる。
【符号の説明】
【0065】
1 材料分析装置
2 振動励振器
3 負荷シャフト
4 試料
5 試料チャンバ
6 カバー
7 冷却プレート
8 断熱材
9 カバーヒーティング
10 試料ホルダ
11 試料テーブル/試料クロス部材
12 試料ホルダを保持するためのピラー
13 ピラー固定手段
14 プローブシャフト又は接続部材
15 プローブシャフトと負荷シャフトとの間のカップリング
16 負荷シャフトのカップリングスリーブ又はブッシング
17 カップリングピース
18 溝
19 ウィンドウ
20 キー
21 摺動面
22 キーのキー面
23 カップリング17の対向キー面
24 板ばね
25 外側テーパ
26 ブッシング16のテーパシート
27 カップリングピース17の円筒形シャンク
28 パイプクリップ
29 板ばねにおける斜めに延在するセクション
30 ストッパ
31 シャックル
32 ローラ
33 ウィンドウ
34 冷却装置
35 カップリングピース
36 溝
37 キー面
38 キー
39 横方向ガイドストリップ
40 作動スライドスイッチ
41 偏心器又は二重偏心器
42 旋回ハンドル
43 偏心器軸線
44 可撓性棒ばね
45 同期作動フレーム
46 プレート
L シャフトの長手方向軸線
LS ピラー12の長手方向軸線
【手続補正書】
【提出日】2022-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般に温度調整可能な試料チャンバ(5)と、
少なくとも1個のピラー(12)に支持されつつ、前記試料チャンバ(5)内に突入する試料ホルダ(10)と、
一端が励振器によって力で負荷され、他端に接続部材(14)を保持すると共に、前記接続部材(14)によって前記試料(4)に所定の方式で力を伝達して前記試料に負荷を加える負荷シャフト(3)と、
を備える、材料試料を分析するための材料分析装置(1)であって、
前記負荷シャフト(3)が、前記試料チャンバ(5)に面する端部にブッシング(16)を形成し、
前記ブッシングが、作動可能状態にあるときに、プローブシャフト(14)の差し込み部分を収容し、
前記ブッシング(16)が、少なくとも1つの横方向ウィンドウ(19)を有し、好適には平坦なキー面(22)を有する平キーの形態の、キー(20)が、前記横方向ウィンドウを通して、背後における前記差し込み部分の溝(18)内に差し込み可能であり、これにより前記接続部材(14)が、前記負荷シャフト(3)に遊びなく固定されていることを特徴とする材料分析装置。
【請求項2】
好適には上側から、負荷することができ、カバー(6)で閉鎖することができ、一般に温度調整可能な試料チャンバ(5)と、
前記カバー(6)に、好適には少なくとも2個、より好適には4個のピラー(12)によって、固定されると共に、前記カバーに支持されつつ、前記試料チャンバ(5)内に突入する試料ホルダ(10)と、
一端が励振器によって力で負荷され、他端にプローブシャフト(14)を保持すると共に、前記プローブシャフト(14)によって前記試料(4)に所定の方式で力を伝達して前記試料に負荷を加える負荷シャフト(3)と、
を備える、材料試料を分析するための材料分析装置(1)であって、
前記負荷シャフト(3)が、前記試料チャンバ(5)に面する端部にブッシング(16)を形成し、
前記ブッシングが、作動可能状態にあるときに、前記プローブシャフト(14)の差し込み部分を収容し、
前記ブッシング(16)が、少なくとも1つの横方向ウィンドウ(19)を有し、好適には平坦なキー面(22)を有する平キーの形態の、キー(20)が、前記横方向ウィンドウを通して、背後における前記差し込み部分の溝(18)内に差し込み可能であり、これにより前記プローブシャフト(14)が、前記負荷シャフト(3)に遊びなく固定されていることを特徴とする材料分析装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の材料分析装置(1)であって、前記負荷シャフト(3)の前記ブッシング(16)が、好適にはセンタリングテーパシートの形態で、第1センタリングテーパを形成し、前記第1センタリングテーパが、前記プローブシャフト(14)の前記差し込み部分上における好適には雄型の第2センタリングテーパと一緒に、前記負荷シャフト(3)に対して前記プローブシャフトをセンタリングすることを特徴とする材料分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の材料分析装置(1)であって、前記キー(20)及び前記プローブシャフト(14)の前記差し込み部分における前記溝(18)は、前記キーが前記溝(18)内に導入される際に、前記キー(20)が、前記プローブシャフト(14)の端部部分上における雄型センタリングテーパを、前記ブッシング(16)の前記センタリングテーパシート内に引き込むよう形成されていることを特徴とする材料分析装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の材料分析装置(1)であって、可撓性ばね、好適には一端が固定された板ばね(24)が、前記負荷シャフト(3)の外側に固定されると共に、前記キー(20)を前記負荷シャフト(3)に向けて半径方向に付勢していることを特徴とする材料分析装置。
【請求項6】
請求項5に記載の材料分析装置(1)であって、前記キー(20)は、前記板ばねが前記キーに引っ張り力も伝達できるよう、半径方向外側端部にて前記板ばね(24)に接続されていることを特徴とする材料分析装置。
【請求項7】
請求項5に記載の材料分析装置(1)であって、前記キー(20)が、前記板ばね(24)にバヨネットクロージャ式に、かつ形状密着に接続されていることを特徴とする材料分析装置。
【請求項8】
請求項5に記載の材料分析装置(1)であって、前記板ばね(24)が、細長で好適には半径方向外方に向けて斜めに角度が付けられた自由端を有し、該自由端が、前記負荷シャフト(3)の長手方向軸線(L)方向において前記キー(20)を越えて突出し、前記自由端は、前記負荷シャフト(3)が試料スペース(5)内に更に移動するとストッパに衝突し、これにより前記板ばね(24)が半径方向外方に向けて広がると共に、前記プローブシャフト(14)を前記負荷シャフト(3)から取り外すことができるよう前記キー(20)を溝(18)から引き出すことを特徴とする材料分析装置。
【請求項9】
一般に温度調整可能な試料チャンバ(5)と、
少なくとも1個のピラー(12)に支持されつつ、前記試料チャンバ(5)内に突入する試料ホルダ(10)と、
一端が励振器によって力で負荷され、他端に接続部材(14)を保持すると共に、前記接続部材(14)によって前記試料(4)に所定の方式で力を伝達して前記試料に負荷を加える負荷シャフト(3)と、
を備える、材料試料を分析するための材料分析装置(1)であって、
前記試料チャンバの壁、特にカバー(6)の形態の壁が、前記試料ホルダ(10)における1個以上のピラー(12)のそれぞれのための保持開口を有し、前記保持開口内に、それぞれの前記ピラー(12)の自由端が差し込み可能であり、前記ピラー(12)の前記自由端は、前記カバー(6)に移動可能に取り付けられたキー(20)を差し込み可能な溝(18)を保持し、これにより前記ピラー(12)の端部が前記カバー(6)上で遊びなく形状密着に固定されていることを特徴とする材料分析装置。
【請求項10】
請求項9に記載の材料分析装置(1)であって、前記保持開口が、完全に又は部分的に止まり穴として構成されていることにより、前記カバー(6)に取り付けられた前記キー(20)が前記ピラー(12)に割り当てられた自由端を、前記キー(20)のキー面(22)と前記止まり穴の底部との間で固定することを特徴とする材料分析装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の材料分析装置(1)であって、前記カバー(6)に、同期作動再現機構が組み込まれ、前記同期作動再現機構が、全てのキー(38)を同期的に作動させる、即ち前記各キー(38)を前記ピラー(12)の溝(36)内に押し込むこと、又は前記各キー(38)を前記ピラー(12)の前記溝(36)から引き出すことを特徴とする材料分析装置。
【請求項12】
請求項11に記載の材料分析装置(1)であって、前記同期作動再現機構が、偏心器(41)を含み、前記偏心器(41)が、対応する回転中に、少なくとも1個のキー(38)に圧縮力を加えて前記少なくとも1個のキーをピラー(12)の溝(36)内に押し込むと共に、同期作動フレーム(45)に張力を加え、該同期作動フレームが、これにより他の位置に引っ張られると、少なくとも1個の第2キー(38)に圧縮力を加えて前記少なくとも1個の第2キーを他のピラー(12)の溝(36)内に押し込むことを特徴とする材料分析装置。
【請求項13】
請求項12に記載の材料分析装置(1)であって、前記キー(38)が、前記偏心器(41)及び前記同期作動フレーム(45)と直接的にではなく、好適には可撓性棒ばね(44)の形態のばね要素を介して関連付けられていることを特徴とする材料分析装置。
【請求項14】
好適には請求項1又は2に記載の材料試料を分析するための材料分析装置(1)であって、
温度調整可能な試料チャンバ(5)と、
少なくとも1個のピラー(12)に支持されつつ、前記試料チャンバ(5)内に突入する試料ホルダ(10)と、
一端が励振器によって力で負荷され、他端に接続部材(14)を保持すると共に、前記接続部材(14)によって前記試料(4)に所定の方式で力を伝達して前記試料に負荷を加える負荷シャフト(3)と、
前記試料チャンバ(5)の外部に配置された測定システムと、
を備える材料分析装置において、
前記試料チャンバ(5)の外部における前記試料チャンバ(5)と前記測定システムとの間の少なくとも一領域が、ヒートパイプ技術に基づく冷却システムによって自動的に冷却され、
中空で密閉されると共に、冷却流体が内部で自動的に循環する少なくとも1個のヒートパイプが設けられ、前記ヒートパイプの熱吸収端が、冷却すべき壁領域に熱伝導的に接続され、
前記ヒートパイプの熱放出端が、冷却体に接続され、及び/又は、冷却剤が前記冷却体の外側に対して流れることを特徴とする材料分析装置。
【外国語明細書】