(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173149
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ブラシ、特に歯ブラシの品質検査のための方法、検査装置、およびブラシ製造機
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20221110BHJP
A46D 9/00 20060101ALI20221110BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20221110BHJP
G06V 10/70 20220101ALI20221110BHJP
G06N 3/02 20060101ALI20221110BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20221110BHJP
【FI】
G01N21/88 J
A46D9/00
G06T7/00 350B
G06V10/70
G06N3/02
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076600
(22)【出願日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】21172699
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】311013421
【氏名又は名称】ツァホランスキー アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Zahoransky AG
【住所又は居所原語表記】Anton-Zahoransky-Strasse 1,D-79674 Todtnau,
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス ヴァスマー
(72)【発明者】
【氏名】ウアス シュミート
【テーマコード(参考)】
2G051
3B202
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA01
2G051AB02
2G051CA04
2G051EB01
2G051EB10
2G051EC01
2G051ED22
3B202AB06
3B202AB19
3B202HA03
3B202JA04
5L096BA03
5L096BA18
5L096CA21
5L096FA17
5L096GA40
5L096HA11
5L096JA11
5L096JA22
5L096KA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ブラシの経済的な生産を促進する、ブラシの品質検査のための方法、検査装置、およびブラシ製造機を提供すること。
【解決手段】とりわけ、トレーニングされた、好適にはAIベースの分類器(4)が使用される、ブラシ(2)の品質検査のための方法が提案される。欠陥のあるブラシの画像を示すトレーニングデータセットを用いた相応のトレーニングの後、分類器(4)は、検査すべきブラシ(2)を、当該ブラシ(2)の画像に基づいて、欠陥のあるブラシとして分類するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分類器(4)、特に、好適にはブラシ製造機(1)の検査装置(3)の分類器(4)を使用した、ブラシ(2)、特に歯ブラシおよび/または丸ブラシの品質検査のための方法であって、
前記分類器(4)は、検査すべきブラシ(2)を、当該検査すべきブラシ(2)の画像に基づいて、欠陥のあるブラシとして分類するように構成されており、
前記分類器(4)は、品質検査の実施前に、欠陥のあるブラシ(2)の画像を含んだトレーニングデータセットを用いてトレーニングされる、方法。
【請求項2】
前記トレーニングデータセットの画像は、植毛部(5)、ブラシ頭部および/またはブラシ本体(6)および/またはブラシグリップに少なくとも1つの欠陥を有しているブラシ(2)を示す、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記トレーニングデータセットは、無傷のブラシ(2)の画像を含み、かつ/または前記分類器(4)は、前記検査すべきブラシ(2)を、前記ブラシ(2)の画像に基づいて、無傷のブラシおよび/または欠陥のあるブラシとして分類するように構成されている、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記トレーニングデータセットから、前記植毛部および/または前記ブラシ頭部および/または前記ブラシ本体および/または前記ブラシグリップにおける欠陥(7)を表す特徴が抽出され、かつ/または前記トレーニングデータセットから、無傷のブラシ(2)を表す特徴が抽出される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記植毛部(5)における欠陥(7)は、好適には、前記ブラシのブラシ頭部および/またはブラシ本体および/またはブラシグリップに関して、前記植毛部(5)の目標形状から逸脱した形状、目標植毛密度から逸脱した植毛密度、植毛の目標配列から逸脱した植毛配列であり、かつ/または目標長さから逸脱した植毛長さおよび/または目標色付けから逸脱した色付けおよび/または植毛部における目標色分布から逸脱した色分布である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ブラシ頭部および/または前記ブラシ本体(6)および/または前記ブラシグリップにおける欠陥は、前記ブラシ頭部および/または前記ブラシ本体(6)および/または前記ブラシグリップの目標幾何形状から逸脱した実際の幾何形状、特に、へこみ、窪み、損傷、および/または目標表面品質から逸脱した表面品質および/または変形および/または曲がりおよび/または目標色彩から逸脱した色彩である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記検査すべきブラシ(2)の少なくとも1つの画像が記録され、前記ブラシ(2)が、前記分類器(4)によって、特に前記画像から抽出された前記ブラシ(2)の特徴に基づいて、欠陥のあるブラシ(2)または無傷のブラシ(2)として分類される、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記分類器(4)によって行われた分類の結果は、検査結果として、特に、好適にはブラシ製造機(1)の検査装置(3)の出力ユニット(9)を介して出力される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記トレーニングデータセットの前記画像は、少なくとも1つの定義された見せ方、特に側面図で前記ブラシ(2)を示し、かつ/または前記検査すべきブラシ(2)の前記画像は、前記トレーニングデータセットの前記画像が前記ブラシ(2)を示す見せ方と同じ見せ方で記録される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記分類器(4)によって行われた分類の確認または修正が、特に、マンマシンインターフェース(10)および/またはトレーニングされたフィードバック分類器を介して前記分類器(4)に戻される、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記分類器(4)として、AIベースの分類器、特に機械学習用および/またはディープラーニング用に構成された分類器が使用される、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記トレーニングデータセットの欠陥のあるブラシ(2)の画像を生成するために、特に、意図的に誤設定されたブラシ製造機(1)を用いて、意図的に欠陥のあるブラシ(2)が製造され、当該ブラシ(2)の画像が、カメラ(11)を用いて記録され、前記トレーニングデータセット内に格納され、特に、各ブラシ(2)からは、少なくとも2つの異なる画像角度からの画像が記録され、特に、前記ブラシ(2)は、前記画像の記録の際に、回転装置(12)を用いて回転させられる、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
検査装置(3)であって、該検査装置(3)が、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法を実施するように構成される手段を備えている、検査装置(3)。
【請求項14】
前記検査装置(3)は、前記手段として、分類器(4)および/または制御ユニット(14)および/または少なくとも1つのカメラ(11)および/または少なくとも1つの出力ユニット(9)および/または記録の際にブラシ(2)を回転させるための少なくとも1つの回転装置(12)および/または少なくとも1つのデータベース(15)を有し、特に、前記データベース(15)は、少なくとも一時的に前記制御ユニット(14)および/または前記分類器(4)に接続され、かつ/または前記データベース(15)にはトレーニングデータセットおよび/または1つの分類器または前記分類器(4)が格納される、請求項13記載の検査装置(3)。
【請求項15】
ブラシ製造機(1)であって、請求項13または14記載の検査装置(3)を備えている、ブラシ製造機(1)。
【請求項16】
請求項15記載の少なくとも2台のブラシ製造機(1)を備えた生産ネットワーク(16)であって、特に、前記ブラシ製造機(1)が、少なくとも一時的にデータ接続を介して、特に、好適にはクラウドベースのデータベース(15)を介して相互に接続されている、生産ネットワーク(16)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ、特に歯ブラシおよび/または丸ブラシの品質検査のための方法、ならびにブラシ製造機に関する。
【0002】
ブラシの品質に対する要求は、近年増加し続けている。さらに、ブラシの製造には、コストに著しい圧力がかけられる。そのため、ブラシを製造するための方法では、常に改善し続ける要求が高い。ここでの重要な側面は、信頼できる可及的に簡単なブラシの品質検査にある。
【0003】
それゆえ、本発明の課題は、ブラシの経済的な生産を促進する、冒頭に述べた方式のブラシの品質検査のための方法、検査装置、およびブラシ製造機を提供することである。
【0004】
この課題を解決するために、最初に、ブラシ、特に歯ブラシおよび/または丸ブラシの品質検査のための方法であって、この種の方法向けの独立請求項の手段および特徴を備える方法が提案されている。これに伴い、当該課題を解決するために、特に、分類器を使用した、ブラシ、特に歯ブラシおよび/または丸ブラシの品質検査のための方法であって、該分類器は、検査すべきブラシを、当該検査すべきブラシの画像に基づいて、欠陥のあるブラシとして分類するように構成されており、ここで、該分類器は、品質検査の実施前に、欠陥のあるブラシの画像を含んだトレーニングデータセットを用いてトレーニングされる、方法が提案される。
【0005】
分類器は、以下でさらにより詳細に説明する、検査装置の分類器であってよく、この検査装置自体は、以下で同様にさらにより詳細に説明するブラシ製造機の一部であってよい。
【0006】
トレーニングされた分類器を使用することにより、特に効果的で経済的なブラシの品質検査を可能にする、ブラシの品質検査のための自動化された方法が提供される。
【0007】
分類器が、欠陥のあるブラシの画像を有するトレーニングデータセットを用いてトレーニングされることにより、分類器を特定のブラシパターンについて、およびこれらのブラシパターンの際に特に発生する欠陥の識別についてトレーニングすることが特に簡単に可能になる。これにより、本方法は、比較的柔軟となり、分類器の相応のトレーニングの後で、製造すべきおよび検査すべきブラシのパターン変更の際にも多大な労力なしで使用することができる。
【0008】
本方法の一実施形態によれば、トレーニングデータセットの画像は、植毛部および/またはブラシ頭部および/またはブラシ本体および/またはブラシグリップに少なくとも1つの欠陥を有しているブラシを示すことが想定される。
【0009】
欠陥のあるブラシの画像を含んだトレーニングデータセットは、特定のブラシタイプに頻繁に現れる少なくとも1つの欠陥タイプを示す画像を含むことができる。このようにして、分類器を、特定のブラシの品質検査のための欠陥の識別に的を絞ってトレーニングすることが可能になる。この場合、特に、そのような欠陥は、ブラシの製造の際に使用されるブラシ製造機のタイプも場合によっては考慮されるトレーニングデータセットの画像内で示されてもよい。特定のブラシ製造機では、特定の条件下、特に特定の環境条件および/または他の外的要因の下で特定の欠陥画像を生成する傾向があり得る。
【0010】
ブラシ製造機のタイプ、環境条件、および/またはその他の外的要因を考慮することで、このように的を絞って欠陥のあるブラシの画像を含んだトレーニングデータセットを生成し、特に信頼できる品質検査を行うことができる最良にトレーニングされた分類器を得るための分類器のトレーニングに使用することができる。
【0011】
品質検査を実施するための分類器の品質は、トレーニングデータセットが無傷のブラシの画像を含む場合にさらに向上させることができる。この分類器は、欠陥のあるブラシの画像も無傷のブラシの画像も含むように構成されたトレーニングデータセットを用いることにより、どれが欠陥のあるブラシもしくは無傷のブラシであるかを特に迅速にかつ信頼できるように学習することができる。これにより、検査すべきブラシの無傷のブラシとしての分類結果もしくは欠陥のあるブラシとしての分類結果を大幅に改善することができる。
【0012】
本方法を実施する際に使用される分類器は、検査すべきブラシを、当該ブラシの画像に基づいて、無傷のブラシおよび/または欠陥のあるブラシとして分類するように構成されていてよい。
【0013】
本方法の一実施形態では、トレーニングデータセットから、植毛部および/またはブラシ頭部および/またはブラシ本体および/またはブラシグリップにおける欠陥を表すことができる特徴が抽出されることが想定されてよい。次いで、抽出されたこれらの特徴は、分類器のトレーニングの際に使用することができる。このことは、特に、分類器がAIベースの分類器であり、例えばマシンラーニング用またはディープラーニング用に構成されていてもよい場合に当てはまる。
【0014】
さらに、トレーニングデータセットからは、無傷のブラシを表す特徴を抽出することができる。このことも、分類器のトレーニングを促進させることができ、これにより、分類器は、最終的に、検査すべきブラシを、欠陥のあるブラシまたは無傷のブラシとして分類することが実行できるようになる。
【0015】
本方法の一実施形態では、植毛部における欠陥は、好適には、ブラシ頭部および/またはブラシ本体および/またはブラシグリップおよび/またはブラシ把柄部に関して、植毛部の目標形状から逸脱した形状、目標植毛密度から逸脱した植毛密度、植毛の目標配列から逸脱した植毛配列であり、かつ/または目標長さから逸脱した植毛長さおよび/または植毛部における目標色分布から逸脱した色分布および/または植毛部における目標色付けから逸脱した色付けであることが想定される。
【0016】
ブラシ頭部および/またはブラシ本体および/またはブラシグリップおよび/またはブラシ把柄部における欠陥は、ブラシ頭部および/またはブラシ本体および/またはブラシグリップおよび/またはブラシ把柄部の目標幾何形状から逸脱した実際の幾何形状であってよい。欠陥のあるブラシの欠陥を表す実際の幾何形状(これらの画像はトレーニングデータセットに含まれていてよい)は、例えば、へこみ、窪み、損傷、および/または目標表面品質から逸脱した表面品質および/または変形および/または曲がりおよび/または目標色彩から逸脱した色彩であってよい。表面品質として、例えば、定義された表面粗さ、例えば、ブラシ、特にブラシ頭部および/またはブラシ本体および/またはブラシグリップおよび/またはブラシ把柄部および/またはブラシ頭部の表面が照射されたときの表面の反射特性もしくは吸収特性に基づいて生じる表面粗さが設定されてよい。
【0017】
したがって、トレーニングデータセットには、ブラシにおける前述した欠陥の少なくとも1つをそれぞれが示すブラシの画像を含めることができる。
【0018】
本方法の一実施形態では、検査すべきブラシの少なくとも1つの画像が記録され、ブラシが、分類器によって、特に画像から抽出されたブラシの特徴に基づいて、欠陥のあるブラシまたは無傷のブラシとして分類されることが想定される。
【0019】
分類器によって行われた分類の結果は、検査結果として出力することができる。これは、例えば、検査装置の出力ユニットを介して行うことができる。この検査装置は、例えば、ブラシ製造機の検査装置であってよい。
【0020】
トレーニングデータセットの画像は、少なくとも1つの定義された見せ方でブラシを示すことができる。この少なくとも1つの定義された見せ方は、例えば、側面図であってよい。
【0021】
トレーニングされた分類器を用いて信頼できる検査を行うことができるようにするために、検査すべきブラシの画像が、トレーニングデータセットの画像がブラシを示す見せ方と同じ見せ方で記録されると合目的的であり得る。
【0022】
トレーニングされた分類器をさらに改善するために、分類器によって行われた分類の確認および/または修正が分類器に戻されると合目的的であり得る。
【0023】
本方法の一実施形態では、分類器によって行われた分類の修正または確認の戻しは、特に、マンマシンインターフェースを介して、例えばコンピュータ上で行うことができる。本方法の他の実施形態では、(フィードバックトレーニングとも称され得る)前述した補足トレーニングが、トレーニングされたフィードバック分類器によって行われることが想定されてよい。
【0024】
つまり、この場合、最初に定義された分類器は、フィードバック分類器と一緒に分類器カスケードを形成する。
【0025】
フィードバック分類器は、例えば、事前に、トレーニングされた分類器を用いて無傷のもしくは欠陥のあるブラシとして適切に分類されていた、欠陥のあるブラシおよび/または無傷のブラシの画像を含むトレーニングデータセットを用いてトレーニングされたものであってよい。
【0026】
したがって、フィードバック分類器は、最初の分類器によって適切に分類されたブラシの画像を含む確立されたトレーニングデータセットを用いてトレーニングされていてよい。
【0027】
このようにして、最初のトレーニングされた分類器と、トレーニングされたフィードバック分類器とからなるカスケード分類器アレイを介して、分類器の改善、ひいては検査結果の改善を達成することができる。
【0028】
分類器として、AIベースの分類器、特に、機械学習もしくはマシンラーニング用および/またはディープラーニング用に構成された分類器が使用され得る。これは、前述したフィードバック分類器についても当てはまり、このフィードバック分類器は、分類器によって行われた分類の確認および/または修正のために使用することができる。
【0029】
本方法の特別な実施形態では、トレーニングデータセットの欠陥のあるブラシの画像を生成するために、意図的に欠陥のあるブラシを製造することが想定される。ここでは、少なくとも1つの特徴に関して、欠陥のあるブラシを製造することができる。欠陥のあるブラシの意図的な生産は、例えば、意図的に誤設定されたブラシ製造機を使用することによって可能である。
【0030】
したがって、少なくとも1つの特徴に関して欠陥のあるこれらのブラシの画像が、カメラを用いて記録され、トレーニングデータセットに格納される。このようにして、欠陥のあるブラシの多数の画像を生成し、それらを、分類器をトレーニングするためのトレーニングデータセットに格納することが可能になる。さらに、特定のブラシ製造機タイプのために、ブラシにおいて特定の欠陥を生成してこれらの欠陥を画像に結像し、次いで、それらを分類器のトレーニングデータセットのために使用することも可能である。
【0031】
本方法の一実施形態では、各ブラシからは、少なくとも2つの異なる画像角度からの画像が記録される。この場合、誤設定されたブラシ製造機を用いて意図的に欠陥があるように製造されたブラシは、画像の記録の際にまたは画像の記録のために、例えば、引き続き以下でさらにより詳細に説明するブラシ製造機の回転装置を用いて回転させることができる。これは、トレーニングデータセットの特に効果的な生成にも役立つ。
【0032】
トレーニングデータセットを生成する前の方法ステップにおいてブラシ製造機を誤設定するために、ブラシ製造機を、個々のまたは複数の動作パラメータにおいて、意図的に欠陥のあるブラシが製造されるように設定することが可能である。例えば、ブラシの製造において、目標長さから逸脱した実際の長さを有する植毛フィラメントを使用することが可能である。さらに、製造されたブラシのブラシ頭部における植毛を短くするための切断装置を、植毛が過度に短く切断されるように、つまり、植毛部において完成したブラシが、目標長さから逸脱した実際の長さを有するように設定することも可能である。
【0033】
さらに、例えば、ブラシ製造機のハンドリング装置および/またはクランプ装置を、目標作業圧力から逸脱した作業圧力で動作させ、それによってあえて損傷をブラシに生じさせ、次いで、それがトレーニングデータセットの記録された画像内で欠陥として示されることも考えられる。
【0034】
ブラシ製造機の誤設定のためのさらなる出発点は、当業者にとって自身の専門知識から推論することが可能である。
【0035】
本課題を解決するために、検査装置が、ブラシの品質検査のための方法に向けられたうちの1つによる方法を実施するように構成された手段を備えている検査装置も提案されている。
【0036】
検査装置の一実施形態では、検査装置は、手段として、少なくとも1つの分類器および/または制御ユニットおよび/または少なくとも1つのカメラおよび/または少なくとも1つの出力ユニットおよび/またはブラシの画像の記録の際にブラシを回転させるための少なくとも1つの回転装置および/または少なくとも1つのデータベースを有することが想定される。
【0037】
データベースは、例えば、少なくとも一時的に制御ユニットおよび/または分類器に接続されてよく、かつ/またはトレーニングデータセットおよび/または1つの分類器または上記の分類器を含んでいてもよい。
【0038】
最後に、本課題を解決するために、検査装置に向けられた請求項の1つに記載の検査装置を備えているブラシ製造機も提案される。
【0039】
本課題を解決するために、そのようなブラシ製造機に向けられた請求項に記載の少なくとも2台のブラシ製造機を備えた生産ネットワークも提案される。これらのブラシ製造機は、少なくとも一時的にデータ接続を介して、特に、少なくとも1つの好適にはクラウドベースのデータベースを介して相互に接続されてよい。
【0040】
データ接続を介して、ブラシ製造機およびその検査装置は、トレーニングデータセットを取得したり、かつ/または相互に交換したりすることができる。さらに、データ接続を介して、生産ネットワークの少なくとも2台のブラシ製造機の間で、それらの分類器の性能を継続的に向上させるために、既に前述したフィードバックトレーニングに関する情報を交換することも可能である。
【0041】
さらに、生産ネットワークのブラシ製造機に、データベースを介して少なくとも1つのトレーニングされた分類器を提供することも可能であり、これらの分類器には、生産ネットワーク内で編成されたブラシ製造機が、必要に応じて、前述したブラシの品質検査のための方法を実施するためにアクセスすることができる。
【0042】
以下では本発明の実施例を図面に基づき簡潔に説明する。本発明は、これらの図面に示された実施例に限定されるものではなく、さらなる実施例は、個々のまたは複数の保護請求項の特徴を相互に組み合わせることによって、かつ/または実施例の個々のまたは複数の特徴を組み合わせることによって生じる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明による方法を実施するように構成された検査装置を有するブラシ製造機の斜視図である。
【
図2】分類器のトレーニングのためのトレーニングデータセットの生成を示すための概略図である。
【
図3】例えば、トレーニングデータセットおよび/またはそれを用いてトレーニングされた分類器を、クラウドベースのデータベースで提供できることを示すための概略図である。
【
図4】クラウドベースのデータベースから取得したトレーニングデータセットを用いた分類器のトレーニングを示すための概略図である。
【
図5】マンマシンインターフェースにおいて、訓練された操作者により分類器によって行われた分類の確認および/または修正によってトレーニングされる分類器のフィードバックトレーニングを示すための概略図である。
【
図6】クラウドベースのデータベースと、対応するデータ接続とを介して相互に接続された全部で6台のブラシ製造機からなる生産ネットワークを示すための図である。
【0044】
図1は、全体として符号1で示された、ブラシ2を製造するためのブラシ製造機を示している。製造されたブラシ2の品質検査を実施するために、このブラシ製造機1は、検査装置3を有している。
【0045】
この検査装置3は、以下で説明するブラシ2の品質検査のための方法を実施するように構成された手段を備えている。
【0046】
ブラシ2の品質検査のための方法の核心は、検査装置3の分類器4の使用である。この分類器4は、検査すべきブラシ2を、当該検査すべきブラシ2の画像に基づいて、欠陥のあるブラシとして分類するように構成されている。
【0047】
分類器4がこの品質検査を実行できるようにするために、分類器4は、品質検査の実施前に、欠陥のあるブラシ2の画像を含んだトレーニングデータセット17を用いてトレーニングされる。
【0048】
トレーニングデータセット17の画像は、植毛部5における少なくとも1つの欠陥を示すブラシ2、あるいはブラシ2のブラシヘッドおよび/またはブラシ本体6および/またはブラシグリップおよび/またはブラシ把柄部における少なくとも1つの欠陥も示すブラシ2を示している。
【0049】
図2は、丸ブラシとして構成されたブラシ2の2つの画像を示している。
図2の2つの画像のうちの右側の画像は、ここでは、植毛部5に欠陥7を有するブラシ2を示している。
【0050】
図2に示されているブラシ2のブラシ本体6は、相互に撚られたワイヤ区分から形成される把柄部からなる。この把柄部は、同時にこの種のブラシ2のブラシグリップも形成している。
【0051】
図2のブラシ2の2つの画像によって示されるトレーニングデータセット17には、欠陥のあるブラシ2の画像の他に、無傷のブラシ2の画像も含まれている。
図2の2つの画像のうちの左側の画像は、無傷のブラシ2を示している。
【0052】
分類器4は、トレーニングデータセット17を用いたトレーニングの後、検査すべきブラシ2を、当該ブラシ2の画像に基づいて、無傷のブラシもしくは欠陥のあるブラシとして分類するように構成されている。
【0053】
分類器4のトレーニングのために、トレーニングデータセット17から、例えば、植毛部、ブラシ頭部、ブラシ本体、および/またはブラシグリップおよび/またはブラシ把柄部におけるブラシ2の欠陥7を表す特徴を抽出することができる。トレーニングデータセット17が無傷のブラシ2の画像も含むならば、図中に示される実施例の場合のように、分類器4をトレーニングするためのトレーニングデータセット17からは、無傷のブラシ2を表す特徴も抽出することができる。
【0054】
図2は、ブラシ2の植毛部5における欠陥7が、例えば、植毛部5の目標形状から逸脱した形状であってよいことを示している。
【0055】
植毛部5の目標形状からの逸脱は、例えば、目標植毛密度から逸脱した植毛密度、植毛の目標配列から逸脱した植毛配列、および/または目標長さから逸脱した植毛長さに基づくものであってよい。
【0056】
植毛部の目標印象からの他の逸脱も同様に、分類器4のトレーニングのためのトレーニングデータセット17の画像上で識別可能な欠陥7であることができる。そのため、例えば、目標色付けおよび/または目標色分布からの逸脱を、トレーニングデータセット17内の欠陥のあるブラシ2の画像内の欠陥7として示すことも可能である。
【0057】
ブラシヘッド、ブラシ本体6および/またはブラシグリップおよび/またはブラシ把柄部における欠陥7は、例えば、ブラシヘッド、ブラシ本体および/またはブラシグリップの目標幾何形状から逸脱した実際の幾何形状によるものであってよい。この種の欠陥として、例えば、ブラシ2の前述した部分または領域には、へこみ、窪み、損傷および/または目標表面品質から逸脱した表面品質および/または変形および/または曲がりおよび/または目標色彩から逸脱した色彩が存在することが想定可能である。
【0058】
分類器4の可及的に包括的なトレーニングのために、可及的に多くの上述した欠陥7が可及的に多くの異なる印象において、欠陥のあるブラシを2再現するトレーニングデータセットの画像上で識別できるならば、それは有利になり得る。
【0059】
図2に大幅に概略化されて示される丸ブラシの場合、考えられる欠陥7は、例えば、それぞれの丸ブラシのブラシ把柄部8の損傷においても起こり得る。ブラシ把柄部8内またはブラシ把柄部8上の欠陥は、例えば、曲がりおよび/またはブラシ把柄部8の目標寸法からの逸脱、例えば目標直径および/または目標長さからの逸脱であってよい。
【0060】
本方法が実施される場合、最初に、検査すべきブラシ2の少なくとも1つの画像が記録され、ブラシ2は、事前にトレーニングされた分類器4によって、例えば画像から抽出されたブラシ2の特徴に基づいて、欠陥のあるブラシまたは無傷のブラシ2として分類される。
【0061】
次いで、分類器4によって行われた分類の結果が、検査結果として出力される。これは、ブラシ製造機1の検査装置3の出力ユニット9を介して行われる。この目的のために、出力ユニット9は、知覚可能な信号、例えば、音響的および/または光学的信号を出力することができる。
【0062】
トレーニングデータセット17の画像は、少なくとも1つの定義された見せ方で、例えば側面図でブラシ2を示すことができる。
【0063】
したがって、検査すべきブラシ2の画像は、本来の品質検査の際に、やはりトレーニングデータセット17の画像がブラシ2を再現するのと同じ見せ方で記録される。
【0064】
図5は、既にトレーニングされた分類器4のいわゆるフィードバックトレーニングを表す。このフィードバックトレーニングの間、分類器4には、当該分類器4をさらにトレーニングし、それによって、検査すべきブラシ2の適正な分類のための自身のスキルを向上させるために、分類器4によって事前に行われた、欠陥のあるブラシまたは無傷のブラシとしてのブラシ2の分類の確認または修正が戻される。
【0065】
図5に示されている実施例では、このことが、マンマシンインターフェース10を介して、すなわちここではコンピュータを介して行われている。
【0066】
本明細書の一般的部分で既により詳細に説明されているように、トレーニングされたフィードバック分類器を使用することも可能である。
【0067】
分類器4およびフィードバックトレーニングのために場合によって使用できるフィードバック分類器も、それぞれ機械学習用および/またはディープラーニング用に構成されたAIベースの分類器である。
【0068】
トレーニングデータセットの欠陥のあるブラシ2の画像を生成するために、意図的に欠陥のあるブラシ2が製造される。これは、誤設定されたブラシ製造機1を用いて行われる。したがって、ブラシ製造機1の誤設定に基づき種々の欠陥7を有し得るこれらのブラシ2の画像は、次いで、検査装置3のカメラ11を用いて記録され、トレーニングデータセット17内に格納される。
【0069】
この場合、各ブラシ2からは、少なくとも2つの異なる画像角度からの画像を記録することができる。
【0070】
この目的のために、
図1によるブラシ製造機1は、画像の記録の際にブラシ2を回転させることができる回転装置12を有する。このブラシ製造機1の回転装置12は、ここでは、回転装置12に保持されたブラシ2が照明ユニット13を用いて後方から照明されるように配置される。したがって、回転装置12は、照明ユニット13と、ブラシ製造機1の少なくとも1つのカメラ11との間に配置されている。
【0071】
検査装置3は、さらに、制御ユニット14を有しており、この制御ユニット14を用いて、例えば、回転装置12およびカメラ11が駆動制御可能である。
【0072】
品質検査の結果も同時に示す、分類器4によって行われた分類の結果に応じて、検査装置3の制御ユニット14は、出力ユニット9も駆動制御することができる。
【0073】
検査装置3は、さらに、データ接続を介して少なくとも一時的にデータベース15に接続され、そこから、例えば、分類器4のためのブラシタイプ固有のトレーニングデータセットおよび/またはAIモデルをロードすることができる。
【0074】
さらに、ブラシ製造機1およびその検査装置3を用いて生成されたトレーニングデータセット17をデータベース15に格納し、他のブラシ製造機1およびそれらの検査装置3にそれらの分類器4のトレーニングのために提供することも可能である。さらに、ブラシ製造機1およびそれらの検査装置3に、このようにして既にトレーニングされた分類器4を利用可能にさせることも可能である。
【0075】
図6によれば、複数のブラシ製造機1が、生産ネットワーク16において組織化されていてよい。
【0076】
図6に示される生産ネットワーク16は、全部で6台のブラシ製造機1を含み、これらのブラシ製造機1はそれぞれ検査装置3を有している。これらのブラシ製造機1は、少なくとも一時的にデータ接続とクラウドベースのデータベース15とを介して相互に接続される。
【0077】
クラウドベースのデータベース15を介して、ブラシ製造機1およびその検査装置3は、トレーニングデータセット17および/または既にトレーニングされた分類器4を交換することができ、あるいはブラシ製造機1およびその検査装置3に、トレーニングデータセット17および/または特定のブラシタイプに対して特別にトレーニングされた分類器4を利用させることができる。
【0078】
また、前述したフィードバック分類器が、例えばクラウドベースのデータベース15に格納されていてもよい。
【0079】
本発明は、ブラシ製造分野における改善に関するものである。この目的のために、とりわけ、トレーニングされた、好適にはAIベースの分類器4が使用される、ブラシ2の品質検査のための方法が提案される。欠陥のあるブラシの画像を示すトレーニングデータセットを用いて相応にトレーニングされた後、分類器4は、検査すべきブラシ2を、当該ブラシ2の画像に基づいて、欠陥のあるブラシとして分類するように構成されている。
【符号の説明】
【0080】
1 ブラシ製造機
2 ブラシ
3 検査装置
4 分類器
5 植毛部
6 ブラシ本体
7 欠陥
8 ブラシ把柄部
9 出力ユニット
10 マンマシンインターフェース、特にコンピュータ
11 カメラ
12 回転装置
13 照明ユニット
14 制御ユニット
15 データベース
16 生産ネットワーク
17 トレーニングデータセット
【外国語明細書】